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特開2024-168852架台組立用の連結具および架台組立用の部材セット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168852
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】架台組立用の連結具および架台組立用の部材セット
(51)【国際特許分類】
   F16B 7/18 20060101AFI20241128BHJP
   F16B 12/40 20060101ALI20241128BHJP
   H05K 7/18 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
F16B7/18 D
F16B7/18 E
F16B7/18 A
F16B12/40 A
H05K7/18 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085865
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】594057211
【氏名又は名称】林輝工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 竜司
【テーマコード(参考)】
3J024
3J039
【Fターム(参考)】
3J024AA15
3J024AA47
3J024CA03
3J024CA18
3J039AA01
3J039AA04
3J039AA07
3J039BB03
3J039GA06
(57)【要約】
【課題】組立および分解が容易であると共に、組立後の強度に優れた架台を提供するための、架台組立用の連結具を提供する。
【解決手段】複数の角パイプ2を連結するための連結具3は、第1及び第2の三つ又ブロック体3A,3Bを備え、各ブロック体は、角パイプ2を外嵌させて支持するための、三方向を向いた第1、第2及び第3支持突部を有する。第1の三つ又ブロック体3Aの嵌合凹部34に第2の三つ又ブロック体3Bの嵌合凸部35を嵌合させることで、両ブロック体が連結される。三つ又ブロック体3A,3Bが具備する前記第1、第2および第3支持突部には、角パイプ2の内側において長手方向に延びる補強リブ24と係合可能な係合溝54が形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台組立用の複数のパイプを相互連結するための架台組立用の連結具であって、
当該連結具は、第1の三つ又ブロック体および第2の三つ又ブロック体を備え、
前記第1および第2の三つ又ブロック体の各々は、六面の壁を有してなる基体部を有し、前記六面の壁は、第1の支持壁、第2の支持壁、第3の支持壁、前記第1の支持壁の反対側に位置する第4の壁、前記第2の支持壁の反対側に位置する第5の壁、および前記第3の支持壁の反対側に位置する第6の壁からなり、前記第1、第2および第3の支持壁には、一本のパイプの端部を外嵌させて支持するための第1、第2および第3支持突部がそれぞれ設けられており、
前記第1の三つ又ブロック体において、その基体部の第4の壁は、前記第2の三つ又連結ブロック体の基体部と対向する壁面をなすと共に、この対向壁面としての第4の壁には、第1及び第2の三つ又ブロック体の連結のための嵌合凹部が設けられており、
前記第2の三つ又ブロック体において、その基体部の第4の壁は、前記第1の三つ又連結ブロック体の基体部と対向する壁面をなすと共に、この対向壁面としての第4の壁には、前記第1の三つ又ブロック体の前記嵌合凹部と嵌合可能な嵌合凸部が設けられており、
前記第1および第2の三つ又ブロック体が具備する前記第1、第2および第3支持突部の少なくとも一つには、前記パイプの内側において長手方向に延びる補強リブと係合可能な係合溝が形成されている、ことを特徴とする連結具。
【請求項2】
前記第1の三つ又ブロック体の嵌合凹部と前記第2の三つ又ブロック体の嵌合凸部との嵌合時に、前記第1の三つ又ブロック体の第5および第6の壁、並びに、前記第2の三つ又ブロック体の第5および第6の壁を覆うように取り付けられて両三つ又ブロック体の連結を補強するための連結具カバー材を更に備える、ことを特徴とする請求項1に記載の連結具。
【請求項3】
前記第1および第2の三つ又ブロック体は、アルミニウム又はその合金の鋳物である、ことを特徴とする請求項1に記載の連結具。
【請求項4】
横断面が四角形状をなすパイプであって、該パイプの内側において長手方向に延びる補強リブが設けられたパイプと、
第1の三つ又ブロック体および第2の三つ又ブロック体を備えてなる請求項1~3のいずれか一項に記載の連結具と、
前記第1の三つ又ブロック体の第2又は第3支持突部に連結される一つのパイプと、当該一つのパイプに隣接配置されるところの、前記第2の三つ又ブロック体の第2又は第3支持突部に連結される別のパイプとを互いに離れないように束ねるためのパイプ結束材と、
を備えてなることを特徴とする架台組立用の部材セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬式多用途作業台などの架台の技術分野に関する。とりわけ、現地(作業現場)での組立および分解が可能な架台の組み立てに使用するための連結具と、当該連結具を含む架台組立用の部材セットとに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば鉄道車両や航空機の整備・点検を行う作業現場では、臨時の作業用の足場として組立式の架台が利用されている。例えば鉄道車両の作業現場では、レール上を移動する車両が通り抜けられるような門型の架台を構築すると共に、この門型の架台にキャスター等を取り付け、車両を動かさずに架台の方を動かしつつ車列に沿って整備・点検作業を行うことがある。その他にも、組立および分解が可能な架台は、可搬式の作業台として多くの分野で利用されている。
【0003】
古い時代の架台では、鋼材を溶接して枠組みを構築するなどしていたが、一般に鋼材は比重が大きく、架台が大型化すると重量が増えて移動に困難をきたすといった欠点があった。それゆえ以前から、架台の可搬性や組立容易性を高めるべく、角パイプを主たる骨組み材とする組立式の架台も種々提案されている。例えば特許文献1は、組立式架台に用いられる「継手ユニット」および当該継手ユニットを利用した収納棚を開示する。特許文献1の継手ユニットは、本体ブロック(12)と、その本体ブロックの各装着面に対し螺子(3)を用いて固着される複数の継手ブロック(11)とから構成されている。そして、当該継手ユニットからそれぞれの方向に突出した継手ブロック(11)に対し、角パイプ材(2)を連結することで、角パイプ材どうしの連結を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-205407号の公開公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の組立式架台にあっては、組立および分解の容易性の点で配慮されているものの、組立後の強度についての配慮が不十分な点もあった。
【0006】
本発明の目的は、組立および分解が容易であると共に、組立後の強度に優れた架台を提供するための、架台組立用の連結具を提供することにある。また、当該連結具を含む架台組立用の部材セットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、架台組立用の複数のパイプを相互連結するための架台組立用の連結具であって、
当該連結具は、第1の三つ又ブロック体および第2の三つ又ブロック体を備え、
前記第1および第2の三つ又ブロック体の各々は、六面の壁を有してなる基体部を有し、前記六面の壁は、第1の支持壁、第2の支持壁、第3の支持壁、前記第1の支持壁の反対側に位置する第4の壁、前記第2の支持壁の反対側に位置する第5の壁、および前記第3の支持壁の反対側に位置する第6の壁からなり、前記第1、第2および第3の支持壁には、一本のパイプの端部を外嵌させて支持するための第1、第2および第3支持突部がそれぞれ設けられており、
前記第1の三つ又ブロック体において、その基体部の第4の壁は、前記第2の三つ又連結ブロック体の基体部と対向する壁面をなすと共に、この対向壁面としての第4の壁には、第1及び第2の三つ又ブロック体の連結のための嵌合凹部が設けられており、
前記第2の三つ又ブロック体において、その基体部の第4の壁は、前記第1の三つ又連結ブロック体の基体部と対向する壁面をなすと共に、この対向壁面としての第4の壁には、前記第1の三つ又ブロック体の前記嵌合凹部と嵌合可能な嵌合凸部が設けられており、
前記第1および第2の三つ又ブロック体が具備する前記第1、第2および第3支持突部の少なくとも一つには、前記パイプの内側において長手方向に延びる補強リブと係合可能な係合溝が形成されている、ことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の連結具において、
前記第1の三つ又ブロック体の嵌合凹部と前記第2の三つ又ブロック体の嵌合凸部との嵌合時に、前記第1の三つ又ブロック体の第5および第6の壁、並びに、前記第2の三つ又ブロック体の第5および第6の壁を覆うように取り付けられて両三つ又ブロック体の連結を補強するための連結具カバー材を更に備える、ことを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1に記載の連結具において、
前記第1および第2の三つ又ブロック体は、アルミニウム又はその合金の鋳物である、ことを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、架台組立用の部材セットであり、
横断面が四角形状をなすパイプであって、該パイプの内側において長手方向に延びる補強リブが設けられたパイプと、
第1の三つ又ブロック体および第2の三つ又ブロック体を備えてなる請求項1~3のいずれか一項に記載の連結具と、
前記第1の三つ又ブロック体の第2又は第3支持突部に連結される一つのパイプと、当該一つのパイプに隣接配置されるところの、前記第2の三つ又ブロック体の第2又は第3支持突部に連結される別のパイプとを互いに離れないように束ねるためのパイプ結束材と、を備えてなることを特徴とする。
【0011】
[本発明の基本的な作用・効果など]
本発明の連結具(請求項1)を用いた架台の組立時には、第1及び第2の三つ又ブロック体のそれぞれの第4の壁(対向壁面)を互いに対向させ、第2の三つ又ブロック体の嵌合凸部を第1の三つ又ブロック体の嵌合凹部に嵌合させることで、第1及び第2の三つ又ブロック体が連結一体化される。この連結一体化した状態では、第1の三つ又ブロック体の第2(又は第3)支持突部と、第2の三つ又ブロック体の第2(又は第3)支持突部とが隣り合わせに並んで配置される。そして、これら隣り合わせに並んで配置された二つの支持突部のそれぞれに対してパイプの端部を外嵌することで、当該2本のパイプが長手方向に沿って重ね合わされた状態で、第1及び第2の三つ又ブロック体に結合される。その結果として、架台の組立完了時には、長手方向に沿って重ね合わせ状態にある「2本のパイプの一組」が、連結一体化した第1及び第2の三つ又ブロック体の二つの第2支持突部、二つの基体部および二つの第3支持突部を介して、同じく長手方向に沿って重ね合わせ状態にある「2本のパイプの別の一組」と連結されることになる。このように、本発明の連結具を用いれば、2本のパイプの一組と、2本のパイプの別の一組とを相互に連結できるため、組立完了後の架台の強度を高めることができる。
【0012】
また、連結具と併用するパイプとして、パイプの内側において長手方向に延びる補強リブを有するものを使用すると共に、第1および第2の三つ又ブロック体が具備する前記第1、第2および第3支持突部の少なくとも一つに、前記パイプの補強リブと係合可能な係合溝を形成しておくことで、組立完了後の架台の強度を更に高めることができる。また、パイプ側の補強リブと連結具側の係合溝との係合関係により、長手方向に沿って重ね合わせ状態にある2本のパイプの位置ずれを防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上詳述したように本発明の架台組立用の連結具、および架台組立用の部材セットによれば、組立および分解が容易であると共に、組立後の強度に優れた架台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に従う架台組立用の部材セットを、組立式架台の分解状態で示した斜視図。
図2】連結具を構成する第1及び第2の三つ又ブロック体の概略を対向状態で示す概略斜視図。
図3】第1の三つ又ブロック体の詳細を示し、(A)は斜視図、(B)はYB矢視図(側面図)、(C)はYC矢視図(平面図又は上面図)、(D)はYD矢視図(正面図)、(E)は底面図(又は下面図)。
図4】第2の三つ又ブロック体の詳細を示し、(A)は斜視図、(B)はYB矢視図(側面図)、(C)はYC矢視図(平面図又は上面図)、(D)はYD矢視図(正面図)、(E)は底面図(又は下面図)。
図5】角パイプを示し、(A)は斜視図、(B)は角パイプの長手方向における任意の断面位置での概略横断面図。
図6】(A)は連結具カバー材の斜視図、(B)はパイプ結束材の斜視図。
図7】(A)は組立完了状態にある組立式架台の連結具の周辺を外側から見た斜視図、(B)はその連結具の周辺を内側(裏側)から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、本実施形態に従う架台組立用の部材セット(又は部材キット)は、角パイプ2、連結具3およびパイプ結束材4を備え、前記連結具3は、第1の三つ又ブロック体3A、第2の三つ又ブロック体3Bおよび連結具カバー材3Cを備えてなるものである。そして、これらの部材は多数の螺子6を用いて互いに連結され、図7に示すような組立式架台1として組み立てられる。
【0016】
[角パイプについて]
図5に示すように、本実施形態で用いられる角パイプ2は、横断面が四角形状(具体的には、正方形状又は長方形状)をなすアルミニウム合金製のパイプである。この角パイプ2の四つの内壁面21,22のうちの相対向する一対の内壁面21には、角パイプの長手方向に延びる補強リブ24が設けられている。角パイプの一方の内壁面21に設けられた補強リブ24と、他方の内壁面21に設けられた補強リブ24とは、相対向すると共に、互いに平行な関係を保って延びている。なお、角パイプ2の壁部には、適宜必要な箇所に螺子孔26が形成されている。
【0017】
[連結具について]
図2(概略斜視図)に示すように、連結具3の本体部分は、第1の三つ又ブロック体3Aと第2の三つ又ブロック体3Bとからなる。これらの三つ又ブロック体3A,3Bは、アルミニウム合金製の鋳物で作られている。
【0018】
図3は、第1の三つ又ブロック体3Aの詳細な構造を示す。図3に示すように、第1の三つ又ブロック体3Aは、六面の壁を有してなる概ね六面体状の基体部10を有する。前記六面の壁は、第1の支持壁11、第2の支持壁12、第3の支持壁13、前記第1の支持壁の反対側に位置する第4の壁14、前記第2の支持壁の反対側に位置する第5の壁15、および前記第3の支持壁の反対側に位置する第6の壁16からなっている。そして、第1の支持壁11、第2の支持壁12および第3の支持壁13には、一本の角パイプ2の端部を外嵌させて支持するための第1支持突部31、第2支持突部32および第3支持突部33がそれぞれ設けられている。
【0019】
第1の三つ又ブロック体3Aの基体部10における第4の壁14は、第2の三つ又連結ブロック体3Bの基体部10’と対向する壁面をなしている。そして、この対向壁面としての第4の壁14には、有底円筒状の嵌合凹部34が設けられている。
【0020】
第1の三つ又ブロック体3Aが具備する三つの支持突部(31~33)の各々は、四つの側面51,52と一つの端面53とを有してなる概ね直方体形状をなすと共に、その四つの側面のうちの互いに反対側に位置する二つの側面51には、各支持突部の突出方向に延びる係合溝54がそれぞれ形成されている。各支持突部における一対の係合溝54は、角パイプ2の内側において長手方向に延びる一対の補強リブ24と互いに係合可能となっている。
【0021】
図4は、第1の三つ又ブロック体3Bの詳細な構造を示す。図4に示すように、第1の三つ又ブロック体3Bは、六面の壁を有してなる概ね六面体状の基体部10’を有する。前記六面の壁は、第1の支持壁11’、第2の支持壁12’、第3の支持壁13’、前記第1の支持壁の反対側に位置する第4の壁14’、前記第2の支持壁の反対側に位置する第5の壁15’、および前記第3の支持壁の反対側に位置する第6の壁16’からなっている。そして、第1の支持壁11’、第2の支持壁12’および第3の支持壁13’には、一本の角パイプ2の端部を外嵌させて支持するための第1支持突部31’、第2支持突部32’および第3支持突部33’がそれぞれ設けられている。
【0022】
第2の三つ又ブロック体3Bの基体部10’における第4の壁14’は、第1の三つ又連結ブロック体3Aの基体部10と対向する壁面をなしている。そして、この対向壁面としての第4の壁14’には、第1の三つ又ブロック体3Aの嵌合凹部34と嵌合可能な円柱状の嵌合凸部35が設けられている。
【0023】
第2の三つ又ブロック体3Bにおける三つの支持突部(31’~33’)の各々にも、第1の三つ又ブロック体3Aにおける三つの支持突部(31~33)と同様、角パイプ2の内側において長手方向に延びる一対の補強リブ24と係合可能な一対の係合溝54が形成されている。
【0024】
なお、第1の三つ又ブロック体3Aの支持突部(31~33)および第2の三つ又ブロック体3Bの支持突部(31’~33’)には、適宜必要な箇所に螺子孔36が形成されている。
【0025】
連結具3は、前記第1及び第2の三つ又ブロック体3A,3Bの他に、両三つ又ブロック体の連結を補強するための連結具カバー材3Cを更に備えている。すなわち、図6(A)に示すように、連結具カバー材3Cは、金属板材(例えばアルミニウム合金製の板材)をL字状に折り曲げてなるL字型金属片であり、適宜必要な箇所に螺子孔37が形成されている。
【0026】
この連結具カバー材3Cは、第1の三つ又ブロック体の嵌合凹部34と第2の三つ又ブロック体の嵌合凸部35との嵌合時に、第1の三つ又ブロック体3Aの第5および第6の壁15,16、並びに、第2の三つ又ブロック体3Bの第5および第6の壁15’,16’を覆うように取り付けられる(図1,2,7参照)。
【0027】
[パイプ結束材について]
本実施形態の架台組立用の部材セット(又は部材キット)は、角パイプ2及び連結具3の他に、パイプ結束材4を備えている。すなわち、図6(B)に示すように、パイプ結束材4は、金属製(例えばアルミニウム合金製)の中空角材であって、角パイプ2に比べて短尺であると共に、角パイプ2よりも大きな横断面積を有するところの横断面が四角形状(具体的には、正方形状又は長方形状)をなす中空角材として構成されている。このパイプ結束材4は、隣接配置されることになる2本の角パイプ(例えば、第1の三つ又ブロック体の第2又は第3支持突部に連結される一つのパイプ2と、第2の三つ又ブロック体の第2又は第3支持突部に連結される別のパイプ2)を互いに離れないように束ねるためのパイプ結束手段として機能する。なお、パイプ結束材4の壁部には、適宜必要な箇所に螺子孔46が形成されている。
【0028】
[架台組立の概要]
次に、本実施形態に従う架台組立用の部材セット(2,3,4)を用いた架台の組立作業または組立手順の一例を説明する。なお、以下の「ア、イ、ウ、エ、オ」等の符号は、各作業を区別するために与えられているに過ぎず、符号の順番どおりに作業の順序を限定するという意味ではない。各作業をどのような順序で行うかについては、作業現場での事情に合わせて適宜考慮・選択することができる。
【0029】
(ア) 第1及び第2の三つ又ブロック体のそれぞれの第4の壁(対向壁面)14,14’を互いに対向させると共に、第2の三つ又ブロック体の嵌合凸部35を第1の三つ又ブロック体の嵌合凹部34に嵌合させる。このとき、一方の三つ又ブロック体の二つの外壁(第5の壁15及び第6の壁16)と、他方の三つ又ブロック体の二つの外壁(第5の壁15’及び第6の壁16’)とが整合するように、両三つ又ブロック体の相対回転位相を調整して、一方の三つ又ブロック体の第2支持突部32(又は第3支持突部33)と、他方の三つ又ブロック体の第2支持突部32’(又は第3支持突部33’)とを隣り合わせに(例えば図2に示すように上下に)揃える。
【0030】
(イ) 第1及び第2の三つ又ブロック体の外壁(第5の壁15,15’及び第6の壁16,16’)に対して連結具カバー材3CのL字型内面を接触させると共に、連結具カバー材3Cを両三つ又ブロック体に対して螺子6で固定する(図1及び図7(A)参照)。これにより、連結具カバー材3Cを介して第1及び第2の三つ又ブロック体3A,3Bが強固に連結されると共に、両三つ又ブロック体3A,3Bの相対回転が防止される。
【0031】
(ウ) 長さの等しい2本の角パイプ2を長手方向に沿い接触させた状態で隣接配置すると共に、これら2本の角パイプ2に対してパイプ結束材4を装着(外嵌)して、互いに離れないように束ねる。
【0032】
(エ) 長手方向に沿い接触状態で隣接配置された2本の角パイプ2の各端部を、第1の三つ又ブロック体の第2支持突部32(又は第3支持突部33)および第2の三つ又ブロック体の第2支持突部32’(又は第3支持突部33’)に対して外嵌する。このとき、各角パイプの内側に設けられた補強リブ24が、対応する支持突部の側面に設けられた係合溝54に対して差し込まれるように係合する。各支持突部への角パイプの外嵌完了後に、角パイプの端部を支持突部に対して螺子6で固定することで、隣接配置された2本の角パイプ2の両三つ又ブロック体3A,3Bへの取付けが完了する。
【0033】
(オ) 第1及び第2の三つ又ブロック体のそれぞれの第1支持突部31,31’に対し、1本の角パイプ2の端部を外嵌する。このとき、角パイプの内側に設けられた補強リブ24が、対応する支持突部の側面に設けられた係合溝54に対して差し込まれるように係合する。第1支持突部への角パイプの外嵌完了後に、角パイプの端部を第1支持突部に対して螺子6で固定することで、角パイプ2の三つ又ブロック体3A,3Bへの取付けが完了する。
【0034】
なお、架台の組立手順としては、三つ叉ブロック体への角パイプ2の装着を優先し、第1及び第2の三つ叉ブロック体3A,3Bの相互連結を後回しにするという手順もあり得る。
【0035】
例えば、第1の三つ叉ブロック体3Aの三つの支持突部にそれぞれ角パイプ2を予め外嵌する。同様に、第2の三つ叉ブロック体3Bの三つの支持突部にそれぞれ角パイプ2を予め外嵌する。そして、3本の角パイプと繋がった第2の三つ叉ブロック体3Bの上に、3本の角パイプと繋がった第1の三つ叉ブロック体3Aを載せて、第2の三つ叉ブロック体の嵌合凸部35と第1の三つ叉ブロック体の嵌合凹部34とを嵌合させる。その後で、連結具カバー材3Cやパイプ結束材4を装着する。このような手順で組立式架台1が組み立てられてもよい。
【0036】
[本実施形態の効果]
本実施形態によれば、長手方向に沿って重ね合わせ状態にある2本の角パイプ2の一組と、別の2本の角パイプ2からなる別の一組とを、連結具3(即ち連結一体化した第1及び第2の三つ又ブロック体3A,3B)を介して相互に連結できるため、組立完了後の架台の強度を高めることができる。
【0037】
連結具3と併用する角パイプ2として、角パイプの内側において長手方向に延びる補強リブ24を有するものを使用すると共に、各三つ又ブロック体の第1、第2および第3支持突部に、角パイプの補強リブ24と係合可能な係合溝54を形成しておくことで、組立完了後の架台の強度を更に高めることができる。また、角パイプ側の補強リブ24と連結具側の係合溝54との係合関係により、長手方向に沿って重ね合わせ状態にある2本の角パイプ2の位置ずれを防止することができる。
【0038】
架台組立に用いる主要なパーツ(三ツ又ブロック体3A,3Bおよび角パイプ2)を、鋼材よりも比重の小さいアルミニウム合金製としているので、組立完了時における架台を従来よりも大幅に軽量化することができる。このことは、架台が大型化するほど有意義であり、架台の移動を容易にすると共に、架台の組立や分解の作業を楽にする。
【0039】
連結具3を構成する二つの三ツ又ブロック体3A,3Bは、連結具カバー材3Cで相互に連結・固定されるので、組立過程や組立後において位置ずれを起こしたり、外れたりする心配がない。
【0040】
長手方向に沿い接触させた状態で隣接配置される2本の角パイプ2を、パイプ結束材4を用いて離間不能に束ねることができるため、架台の組立作業時に角パイプ2の離散を防止できると共に、架台の組立完了後においては架台の骨組みの堅牢性を高めることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 組立式架台
2 角パイプ
24 角パイプの補強リブ
3 連結具
3A 第1の三つ又ブロック体
3B 第2の三つ又ブロック体
3C 連結具カバー材
4 パイプ結束材
6 螺子
10,10’ 基体部
11,11’ 第1の支持壁
12,12’ 第2の支持壁
13,13’ 第3の支持壁
14,14’ 第4の壁
15,15’ 第5の壁
16,16’ 第6の壁
31,31’ 第1支持突部
32,32’ 第2支持突部
33,33’ 第3支持突部
34 嵌合凹部
35 嵌合凸部
54 支持突部の係合溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7