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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168860
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】人感装置及び人感システム
(51)【国際特許分類】
   G01V 8/10 20060101AFI20241128BHJP
   G08B 21/22 20060101ALI20241128BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20241128BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20241128BHJP
   G08B 21/04 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G01V8/10 S
G08B21/22
G08B25/00 510M
G08B25/04 K
G08B21/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085879
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】峯邑 隆司
(72)【発明者】
【氏名】朝妻 智裕
【テーマコード(参考)】
2G105
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB16
2G105BB17
2G105CC01
2G105EE06
2G105HH01
5C086AA22
5C086CA12
5C086CA28
5C086CB16
5C086CB36
5C086DA08
5C086DA33
5C087AA02
5C087AA03
5C087DD03
5C087DD20
5C087EE07
5C087FF01
5C087FF04
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG83
(57)【要約】
【課題】軽微な計算資源で所定領域内に存在する不動者を検知可能にする。
【解決手段】動体検知部は所定領域内に存在する動体を検知する。活動量検知部は所定領域内に存在する動体の活動量を検知する。演算部は動体検知部による検知結果及び活動量検知部による検知結果に基づいて所定領域内に存在する人を検知するための処理を実行する。演算部は動体検知部の検知結果に基づいて所定領域内に動体が存在する存在状態であるか所定領域内に動体が存在しない不在状態であるかを判定する。演算部は存在状態である場合に、活動量検知部の検知結果に基づいて動体の活動量が閾値より小さい滞留状態であるかを判定する。演算部は不在状態且つ滞留状態である静止状態が所定時間以上継続した場合に、所定領域内に不動者が存在することを示す検知信号を出力する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定領域内に存在する動体を検知する動体検知部と、
前記所定領域内に存在する動体の活動量を検知する活動量検知部と、
前記動体検知部による検知結果及び前記活動量検知部による検知結果に基づいて前記所定領域内に存在する人を検知するための処理を実行する演算部と、
を備え、
前記演算部は、
前記動体検知部の検知結果に基づいて前記所定領域内に動体が存在する存在状態であるか前記所定領域内に動体が存在しない不在状態であるかを判定し、
前記存在状態である場合に、前記活動量検知部の検知結果に基づいて動体の活動量が閾値より小さい滞留状態であるかを判定し、
前記不在状態且つ前記滞留状態である静止状態が所定時間以上継続した場合に、前記所定領域内に不動者が存在することを示す検知信号を出力する、
を備える人感装置。
【請求項2】
前記演算部は、ユーザインターフェースを介して入力されたユーザの操作に応じて前記所定時間を変化させる、
請求項1に記載の人感装置。
【請求項3】
前記所定領域内に存在する物体から放射される赤外線に関する赤外線データを取得する赤外線センサと、
前記所定領域を撮像して得られる撮像データを取得するカメラセンサと、
を備え、
前記動体検知部は、前記赤外線センサにより取得された前記赤外線データの時系列変化に基づいて前記所定領域内に存在する動体を検知し、
前記活動量検知部は、前記カメラセンサにより取得された前記撮像データの時系列変化に基づいて前記所定領域内に存在する動体の活動量を検知する、
請求項1に記載の人感装置。
【請求項4】
前記赤外線センサは、複数備えられ、
複数の前記赤外線センサのそれぞれの検知範囲は、前記カメラセンサの検知範囲内に含まれる、
請求項3に記載の人感装置。
【請求項5】
前記所定領域を撮像して得られる撮像データを取得するカメラセンサ、
を備え、
前記動体検知部は、前記所定領域を時系列で撮像して得られた複数の前記撮像データ間における変化量の大きさを示す差分と第1閾値との比較に基づいて前記所定領域内に存在する動体を検知し、
前記活動量検知部は、前記差分と前記第1閾値より大きい第2閾値との比較に基づいて前記所定領域内に存在する動体の活動量を検知する、
請求項1に記載の人感装置。
【請求項6】
前記活動量検知部による前記活動量の検知の対象となる領域は、前記動体検知部による前記動体の検知の対象となる領域より小さい、
請求項5に記載の人感装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の人感装置と、
前記演算部から出力される前記検知信号に基づいて前記所定領域内に前記不動者が存在することを通知する通知装置と、
を備える人感システム。
【請求項8】
前記演算部から出力される前記検知信号に基づいて制御される照明装置、
を更に備える、
請求項7に記載の人感システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、人感装置及び人感システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、所定領域内の状態変化を検知可能なセンサ(例えば赤外線センサ等)を利用して、所定領域内に存在する人を検知する技術が利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6948759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術においては、所定領域内に人が存在する場合であっても、その人が動いていない場合には検知が困難であった。また、所定領域を撮像した撮像画像に対する画像解析処理により倒れた人等を検知することは可能であるが、このような画像解析処理には多大な演算負荷がかかるため、計算資源の増大化やシステムの複雑化等が課題となる。
【0005】
そこで、本発明の実施形態は、軽微な計算資源で所定領域内に存在する不動者を検知可能な人感装置及び人感システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の人感装置は、動体検知部と、活動量検知部と、演算部と、を備える。動体検知部は、所定領域内に存在する動体を検知する。活動量検知部は、所定領域内に存在する動体の活動量を検知する。演算部は、動体検知部による検知結果及び活動量検知部による検知結果に基づいて所定領域内に存在する人を検知するための処理を実行する。演算部は、動体検知部の検知結果に基づいて所定領域内に動体が存在する存在状態であるか所定領域内に動体が存在しない不在状態であるかを判定する。演算部は、存在状態である場合に、活動量検知部の検知結果に基づいて動体の活動量が閾値より小さい滞留状態であるかを判定する。演算部は、不在状態且つ滞留状態である静止状態が所定時間以上継続した場合に、所定領域内に不動者が存在することを示す検知信号を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態の人感システムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、第1実施形態の人感装置の機能構成の一例を示す図である。
図3図3は、第1実施形態の人感システムにおける処理の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、第2実施形態の人感システムの構成の一例を示す図である。
図5図5は、第2実施形態の人感装置の機能構成の一例を示す図である。
図6図6は、第2実施形態の人感システムにおける処理の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、第3実施形態の人感システムの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の人感システムSの構成の一例を示す図である。人感システムSは、所定領域内に存在する不動者を検知可能なシステムである。不動者とは、何らかの理由により動けない人又は動かない人であり、換言すれば、所定時間以上動かなかった人又は略動かなかった人である。不動者は、例えば、卒倒、転倒等により倒れた人、意識を失っている人、居眠りをしている人、長時間同一又は略同一の姿勢を保っている人等であり得る。所定領域とは、様々な領域であり得るが、例えば、トイレ、浴室、医療施設内、商業施設内等の領域であり得る。
【0010】
本実施形態の人感システムSは、人感装置1及び通知装置2を備える。人感装置1は、所定領域内に存在する不動者を検知する。なお、人感装置1は、不動者以外の人(活動者)を検知してもよい。通知装置2は、人感装置1による検知結果を示す検知信号に基づいて、不動者が存在すること等を通知するための所定の通知動作を行う。通知装置2の具体的構成は特に限定されるべきものではなく、使用状況等に応じて適宜設計されるべきものである。通知装置2は、例えば、パトライト(登録商標)、警報ブザー、ディスプレイ等を利用して構成され得る。
【0011】
本実施形態の人感装置1は、センサユニット11及びPLC(Programmable Logic Controller)12(演算部の一例)を備える。センサユニット11は、所定領域内に存在する動体に関する情報を取得する。PLC12は、センサユニット11により取得された情報に基づいて、所定領域内に存在する不動者を検知するための演算処理等を実行し、不動者の存否を示す情報を含む検知信号を出力する。なお、PLC12は、活動者を検知するための演算処理等を実行してもよく、活動者の存否を示す情報を含む検知信号を出力してもよい。
【0012】
本実施形態のセンサユニット11は、赤外線センサ21及びカメラセンサ22を備える。
【0013】
赤外線センサ21は、所定領域内に存在する物体から放射される赤外線に関する赤外線データを取得する。赤外線データには、例えば、赤外線の放射源の位置、赤外線の強度等を示す情報が含まれ得る。
【0014】
カメラセンサ22は、所定領域を撮像して得られる撮像データを取得する。撮像データには、例えば、所定領域の撮像画像を構成する各画素の色調等の情報が含まれ得る。
【0015】
なお、センサユニット11には、赤外線データに基づいて所定の演算処理等を実行する演算装置(集積回路等)や、撮像データに基づいて所定の演算処理等を実行する演算装置が搭載されてもよい。また、このような演算装置が赤外線センサ21やカメラセンサ22に内蔵されていてもよい。
【0016】
図1においては、1つのセンサユニット11に赤外線センサ21及びカメラセンサ22が1つずつ搭載されている構成が例示されているが、センサユニット11の構成はこれに限定されるものではない。例えば、1つのカメラセンサ22に対して複数の赤外線センサ21が搭載されてもよい。この場合、複数の赤外線センサ21のそれぞれの検知範囲は、カメラセンサ22の検知範囲内に含まれることが好ましい。赤外線センサ21の検知範囲は、カメラセンサ22の検知範囲より狭いことが多いため、このような構成とすることにより、動体の検知精度を向上させることができる。
【0017】
本実施形態のPLC12は、プログラムに従って演算処理等が可能な演算装置であり、例えばCPU(Central Processing Unit)、メモリ、通信I/F(Interface)、ユーザI/F等を利用して構成され得る。PLC12は、センサユニット11から出力される信号に基づいてプログラムに従って所定の処理を実行し、通知装置2を制御するための検知信号を出力する。また、PLC12は、ユーザI/Fを介して入力されるユーザの操作に応じて設定変更等の各種操作が可能となるように構成されている。
【0018】
図2は、第1実施形態の人感装置1の機能構成の一例を示す図である。人感装置1のセンサユニット11は、動体検知部101及び活動量検知部102を備える。これらの機能部101,102は、センサユニット11を構成するハードウェア及びソフトウェアの協働により構成され得る。また、これらの機能部101,102のうち少なくとも1つが専用のハードウェア(回路等)により構成されてもよい。
【0019】
動体検知部101は、赤外線センサ21により取得された赤外線データに基づいて、所定領域内に存在する動体を検知する。動体検知部101は、例えば、赤外線センサ21から出力される赤外線データを処理する演算装置等を利用して実現され、当該演算装置は、赤外線センサ21とは別体に構成されてもよいし、赤外線センサ21と一体的に構成されてもよい。
【0020】
赤外線データから動体を検知するための具体的手法は、公知又は新規な技術を適宜用いて実現されればよいが、例えば、赤外線データ(赤外線の放射源の位置や赤外線の強度等)の時系列変化等に基づいて動体の存否を判定できる。例えば、所定期間に取得された複数の赤外線データ間の差分が閾値より大きい場合に、動体が存在すると判定できる。動体検知部101による検知結果、すなわち所定領域内に動体が存在するか否かを示す動体検知結果は、PLC12に出力される。
【0021】
活動量検知部102は、カメラセンサ22により取得された撮像データに基づいて、所定領域内に存在する動体の活動量を検知する。活動量検知部102は、例えば、カメラセンサ22から出力される撮像データを処理する演算装置等を利用して実現され、当該演算装置は、カメラセンサ22とは別体に構成されてもよいし、カメラセンサ22と一体的に構成されてもよい。
【0022】
撮像データから動体の活動量を検知するための具体的手法は、公知又は新規な技術を適宜用いて実現されればよいが、例えば、撮像データの時系列変化に基づいて動体の活動量を判定できる。具体的には、時系列で取得される複数の撮像データ間の差分(例えば画素値の差分等)と所定の活動量閾値(第2閾値の一例)との比較結果に基づいて、動体の活動量を判定できる。例えば、当該差分が活動量閾値以上である場合には、活動量が比較的大きい「歩行」状態であると判定し、当該差分が活動量閾値より小さい場合には、活動量が比較的小さい「滞留」状態であると判定できる。なお、活動量は、様々な指標値を利用して表現され得るが、例えば、METs値等が利用され得る。このような本実施形態における活動量の検知手法は、撮像データの特徴(例えば撮像画像の画素値の分布等)から倒れている人等の存否を判定する画像解析処理に比べ、低い演算負荷で実現できる。活動量検知部102による検知結果、すなわち所定領域内に存在する動体の活動量を示す活動量検知結果は、PLC12に出力される。
【0023】
PLC12は、判定部103及び設定部104を備える。これらの機能部103,104は、PLC12を構成するハードウェア及びソフトウェアの協働により構成され得る。また、これらの機能部103,104のうち少なくとも1つが専用のハードウェア(回路等)により構成されてもよい。
【0024】
判定部103は、センサユニット11から受信した動体検知結果及び活動量検知結果に基づいて所定領域内に不動者が存在するかを判定し、その判定結果を示す検知信号を通知装置2に出力する。本実施形態の判定部103は、動体検知結果に基づいて、所定領域内に動体が存在する存在状態であるか、所定領域内に動体が存在しない不在状態であるか、を判定し、存在状態である場合に、活動量検知結果に基づいて、動体の活動量が閾値より小さい滞留状態であるかを判定する。そして、判定部103は、不在状態且つ滞留状態である静止状態が所定時間以上継続した場合に、所定領域内に不動者が存在すると判定する。不動者が存在すると判定された場合、不動者が存在することを示す情報を含む検知信号が通知装置2に出力される。
【0025】
設定部104は、ユーザの操作(例えばPLC12に備えられたユーザI/Fを介して入力される設定操作等)に応じて上記所定時間(不動者が存在すると判定するための静止状態の継続時間)を変更する。なお、当該所定時間は、ユーザの操作に応じて変更されるだけでなく、所定の基準に基づいて自動的に変更されてもよい。例えば、所定時間は、日中の時間帯より夜間の時間帯の方が長くなるように設定されたり、所定領域毎に異なるように設定されてもよい。
【0026】
図3は、第1実施形態の人感システムSにおける処理の一例を示すフローチャートである。ステップS101において、判定部103は、3つのパラメータである「現在状態」、「直前状態」及び「静止状態」の初期値をそれぞれ「現在状態」=「不在」、「直前状態」=「歩行」及び「静止状態」=「No」と設定する。
【0027】
「現在状態」は、所定領域内に動体が存在するか否かを示すパラメータであり、動体検知部101による動体検知結果、すなわち本実施形態では赤外線データに基づく動体の検知結果に基づいて決定される。ここで例示する手法においては、「現在状態」は、「不在」又は「存在」のどちらかの値を取る。「不在」は、動体が存在しない状態に対応し、「存在」は、動体が存在する状態に対応する。
【0028】
「直前状態」は、動体の活動量を示すパラメータであり、活動量検知部102による活動量検知結果、すなわち本実施形態では撮像データに基づく動体の活動量の検知結果に基づいて決定される。ここで例示する手法においては、「直前状態」は、「歩行」又は「滞留」のどちらかの値を取る。「歩行」は、動体が所定の閾値以上の活動量で動いている状態に対応し、例えば、METs値が2以上である状態等であり得る。「滞留」は、動体が動いていない又はその活動量が閾値より小さい状態に対応し、例えば、METs値が2より小さい状態等であり得る。
【0029】
「静止状態」は、「現在状態」が「不在」であり、且つ「直前状態」が「滞留」であるか否かを示すパラメータである。ここで例示する手法においては、「静止状態」は、「Yes」又は「No」のどちらかの値を取る。「現在状態」が「不在」であり、且つ「直前状態」が「滞留」であるとき(不在状態且つ滞留状態であるとき)、「静止状態」は「Yes」となり、それ以外のとき、「静止状態」は「No」となる。
【0030】
ステップS102において、動体検知部101は、赤外線センサ21により取得された赤外線データに基づいて動体の存否を判定し、当該判定結果を示す動体検知結果をPLC12の判定部103に出力する。ステップS103において、判定部103は、動体検知結果に基づいて所定領域内に動体が存在するか否かを判定する。
【0031】
ステップS103において、動体が存在しない場合(S103:No)、ステップS105において、判定部103は、「現在状態」=「不在」とし、その後ステップS102以降の処理が再実行される。
【0032】
一方、ステップS103において、動体が存在する場合(S103:Yes)、ステップS104において、判定部103は、「現在状態」=「存在」とする。その後、ステップS106において、活動量検知部102は、カメラセンサ22により取得された撮像データに基づいて動体の活動量を示す指標値としてのMETs値を算出する。
【0033】
その後、ステップS107において、判定部103は、METs値が閾値(例えば2)より小さいか否かを判定する。METs値が閾値より小さくない場合(S107:No)、ステップS109において、判定部103は、「直前状態」=「歩行」とし、その後ステップS102以降の処理が再実行される。
【0034】
一方、ステップS107において、METs値が閾値より小さい場合(S107:Yes)、ステップS108において、判定部103は、「直前状態」=「滞留」とする。
【0035】
ステップS110において、判定部103は、「現在状態」=「不在」(不在状態)且つ「直前状態」=「滞留」(滞留状態)であるか否かを判定する。ステップS110において、「現在状態」=「不在」且つ「直前状態」=「滞留」でない場合(S110:No)、ステップS112において、判定部103は、「静止状態」=「No」とし、ステップS102以降の処理が再実行される。
【0036】
一方、ステップS110において、「現在状態」=「不在」且つ「直前状態」=「滞留」である場合(S110:Yes)、ステップS111において、判定部103は、「静止状態」=「Yes」とする。
【0037】
ステップS113において、判定部103は、「静止状態」=「Yes」となってから所定時間が経過したか否かを判定する。ステップS113において、所定時間が経過していない場合(S113:No)、ステップS102以降の処理が再実行される。
【0038】
一方、ステップS113において、所定時間が経過した場合(S113:Yes)、ステップS114において、判定部103は、所定領域内に不動者が存在することを示す検知信号を出力する。そして、ステップS115において、通知装置2は、当該検知信号に応じて不動者の存在を通知するための通知動作を実行する。
【0039】
以上のように、本実施形態によれば、赤外線データに基づいて所定領域における動体の存否が検知され、撮像データに基づいて所定領域内に存在する動体の活動量が検知される。そして、不在状態(動体が存在しない状態)且つ滞留状態(動体の活動量が閾値より小さい状態)である静止状態が所定時間以上継続した場合に、所定領域内に不動者が存在すると判定される。このとき、撮像データに基づく活動量の検知(滞留状態であるか否かの判定)は、撮像画像の特徴から倒れている人等の存否を判定する画像解析処理に比べ、低い演算負荷で実現できるため、画像解析用のサーバコンピュータ等の大きな計算資源を準備する必要はない。これにより、比較的安価な計算資源やシステム構成を用いて所定領域内に存在する不動者を検知することが可能となる。
【0040】
以下に、他の実施形態について図面を参照して説明するが、第1実施形態と同一又は同様の箇所についてはその説明を適宜省略する。
【0041】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態の人感システムSの構成の一例を示す図である。本実実施形態の人感装置31のセンサユニット41は、カメラセンサ22を備え、赤外線センサ21を備えていない点で、第1実施形態のセンサユニット11と相違する。
【0042】
図5は、第2実施形態の人感装置31の機能構成の一例を示す図である。本実施形態のセンサユニット41の動体検知部201は、カメラセンサ22により取得された撮像データに基づいて、所定領域内に存在する動体を検知する。すなわち、本実施形態においては、動体の検知及び動体の活動量の検知の両方が撮像データに基づいて行われる。
【0043】
撮像データから動体を検知するための具体的手法は、公知又は新規な技術を適宜用いて実現されればよいが、例えば、撮像データの時系列変化に基づいて動体の存否を判定できる。具体的には、撮像データから活動量を判定する場合と同様に、時系列で取得される複数の撮像データ間における差分と所定の存否閾値(第1閾値の一例)との比較結果に基づいて、動体の存否を判定できる。例えば、当該差分が存否閾値以上である場合には、所定領域内に動体が存在し、当該差分が存否閾値より小さい場合には、所定領域内に動体が存在しないと判定できる。このとき、存否閾値は、活動量の判定に用いられる活動量閾値とは異なる値であって、活動量閾値より小さい値であることが好ましい。このように撮像データに基づいて生成された動体の存否を示す動体検知結果は、第1実施形態と同様に、PLC12に出力される。このように存否閾値より活動量閾値を大きい値に設定したとき、同一のカメラセンサ22を使う場合、検知できる領域の大きさについては、存否を検知できる領域の方が、活動量の多寡を検知できる領域より大きくなる。
【0044】
図6は、第2実施形態の人感システムSにおける処理の一例を示すフローチャートである。ステップS201において、判定部103は、3つのパラメータである「現在状態」、「直前状態」及び「静止状態」の初期値をそれぞれ「現在状態」=「不在」、「直前状態」=「歩行」及び「静止状態」=「No」と設定する。
【0045】
ステップS202において、動体検知部201は、カメラセンサ22により取得された撮像データの差分と存否閾値とに基づいて動体の存否を判定し、当該判定結果を示す動体検知結果をPLC12の判定部103に出力する。ステップS203において、判定部103は、動体検知結果に基づいて所定領域内に動体が存在するか否かを判定する。
【0046】
ステップS203において、動体が存在しない場合(S203:No)、ステップS205において、判定部103は、「現在状態」=「不在」とし、その後ステップS202以降の処理が再実行される。
【0047】
一方、ステップS203において、動体が存在する場合(S203:Yes)、ステップS204において、判定部103は、「現在状態」=「存在」とする。その後、ステップS206において、活動量検知部102は、カメラセンサ22により取得された撮像データの差分と活動量閾値とに基づいて動体の活動量を判定する。
【0048】
ステップS207において、判定部103は、活動量を示すMETs値が閾値(例えば2)より小さいか否かを判定する。METs値が閾値より小さくない場合(S207:No)、ステップS209において、判定部103は、「直前状態」=「歩行」とし、その後ステップS202以降の処理が再実行される。
【0049】
一方、ステップS207において、METs値が閾値より小さい場合(S207:Yes)、ステップS208において、判定部103は、「直前状態」=「滞留」とする。
【0050】
ステップS210において、判定部103は、「現在状態」=「不在」(不在状態)且つ「直前状態」=「滞留」(滞留状態)であるか否かを判定する。ステップS210において、「現在状態」=「不在」且つ「直前状態」=「滞留」でない場合(S210:No)、ステップS212において、判定部103は、「静止状態」=「No」とし、ステップS202以降の処理が再実行される。
【0051】
一方、ステップS210において、「現在状態」=「不在」且つ「直前状態」=「滞留」である場合(S210:Yes)、ステップS211において、判定部103は、「静止状態」=「Yes」とする。
【0052】
ステップS213において、判定部103は、「静止状態」=「Yes」となってから所定時間が経過したか否かを判定する。ステップS213において、所定時間が経過していない場合(S213:No)、ステップS202以降の処理が再実行される。
【0053】
一方、ステップS213において、所定時間が経過した場合(S213:Yes)、ステップS214において、判定部103は、所定領域内に不動者が存在することを示す検知信号を出力する。そして、ステップS215において、通知装置2は、当該検知信号に応じて不動者の存在を通知するための通知動作を実行する。
【0054】
以上のように、本実施形態によれば、動体の検知及び動体の活動量の検知が共通のカメラセンサ22により取得される撮像データに基づいて実行される。これにより、赤外線センサ21を不要とすることができ、コストの削減や小型化等を実現できる。
【0055】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態の人感システムSの構成の一例を示す図である。本実施形態の人感システムSは、不動者だけでなく、不動者以外の人、すなわちある程度大きい活動量で動いている活動者も検知し、当該検知結果に基づいて照明装置51を制御する機能を備える点で第1実施形態と相違する。
【0056】
本実施形態のPLC12の判定部303は、センサユニット11から取得した動体検知結果及び活動量検知結果に基づいて、上述したように不動者の存否を判定するとともに、活動者の存否を判定する。活動者の存否の判定は、従来又は新規な技術を適宜利用して実現されればよい。例えば、動体検知部101から動体が存在することを示す動体検知結果が出力された場合や、活動量検知部102から閾値以上の活動量を示す活動量検知結果が出力された場合等に、所定領域内に活動者が存在すると判定することができる。
【0057】
本実施形態の判定部303は、所定領域内に不動者が存在すると判定した場合には、不動者検知信号を通知装置2に出力し、所定領域内に不動者又は活動者の少なくとも一方が存在すると判定した場合には、人検知信号を照明装置51に出力する。通知装置2は、不動者検知信号が入力された場合に、不動者の存在を通知する通知動作を実行する。照明装置51は、人検知信号が入力されている間は照明を点灯させ、人検知信号の入力がないときには照明を消灯させる。
【0058】
なお、図7においては、赤外線センサ21の赤外線データに基づいて動体検知を行う場合の構成が例示されているが、第2実施形態(図5)と同様に、赤外線センサ21を備えず、カメラセンサ22の撮像データに基づいて動体検知を行う構成であってもよい。
【0059】
以上のように、本実施形態によれば、活動者が存在する場合だけでなく、不動者が存在する場合にも照明を点灯させることが可能となる。
【0060】
上述したような人感システムSの機能を実現するための処理をコンピュータ(PLC12等)に実行させるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。また、当該プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、当該プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。また、当該プログラムをROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0061】
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は例として提示されたものであり、発明の範囲を限定することを意図するものではない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1,31…人感装置、2…通知装置、11,41…センサユニット、12…PLC、21…赤外線センサ、22…カメラセンサ、51…照明装置、101,201…動体検知部、102…活動量検知部、103,303…判定部、104…設定部、S…人感システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7