(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168863
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】電気配線部品構造体
(51)【国際特許分類】
H05K 1/18 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
H05K1/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085882
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】324003048
【氏名又は名称】三菱電機モビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 友貴
(72)【発明者】
【氏名】下野 昭史
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 大義
【テーマコード(参考)】
5E336
【Fターム(参考)】
5E336AA01
5E336BC04
5E336BC15
5E336CC02
5E336CC60
5E336DD04
5E336DD22
5E336DD39
5E336EE01
5E336GG10
5E336GG30
(57)【要約】
【課題】本願は、部品点数を削減することにより低背化を図ることができる電気配線部品構造体を提供するものである。
【解決手段】電子部品が搭載され、複数のスルーホール(7a)が形成された電子回路基板(7)と、スルーホール(7a)のそれぞれに挿通される複数の金属端子(14)が設けられたコネクタ(9)と、電子回路基板(7)とコネクタ(9)とが収容された筐体(2)と、電子回路基板(7)とコネクタ(9)との間に配設され、コネクタ(9)の金属端子(14)が挿通されて電子回路基板(7)のスルーホール(7a)に向けてガイドする端子ガイド穴(5a)が形成され、電磁ノイズを吸収する磁性材で構成された端子整列体(5)とを備えたものである。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が搭載され、複数のスルーホールが形成された電子回路基板と、前記スルーホールのそれぞれに挿通される複数の金属端子が設けられたコネクタと、前記電子回路基板と前記コネクタとが収容された筐体と、前記電子回路基板と前記コネクタとの間に配設され、前記コネクタの前記金属端子が挿通されて前記電子回路基板の前記スルーホールに向けてガイドする端子ガイド穴が形成され、電磁ノイズを吸収する磁性材で構成された端子整列体とを備えたことを特徴とする電気配線部品構造体。
【請求項2】
前記端子整列体は前記筐体に収容されたことを特徴とする請求項1に記載の電気配線部品構造体。
【請求項3】
前記端子整列体は前記筐体に形成された筐体壁により位置決めされたことを特徴とする請求項2に記載の電気配線部品構造体。
【請求項4】
前記端子整列体は前記コネクタに搭載されたことを特徴とする請求項1に記載の電気配線部品構造体。
【請求項5】
前記端子整列体は前記コネクタに形成されたコネクタ壁により位置決めされたことを特徴とする請求項4に記載の電気配線部品構造体。
【請求項6】
前記端子整列体は前記電子回路基板に搭載されたことを特徴とする請求項1に記載の電気配線部品構造体。
【請求項7】
前記端子整列体は前記筐体に当接されて位置決めされたことを特徴とする請求項6に記載の電気配線部品構造体。
【請求項8】
前記端子ガイド穴の部分の前記端子整列体に面取り部が形成されたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電気配線部品構造体。
【請求項9】
前記端子整列体は磁性体と樹脂体とのアセンブリにより構成されたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電気配線部品構造体。
【請求項10】
前記樹脂体に、前記コネクタの前記金属端子を前記電子回路基板の前記スルーホールに向けてガイドする端子ガイド穴が形成されたことを特徴とする請求項9に記載の電気配線部品構造体。
【請求項11】
前記樹脂体は磁性体をインサート成形していることを特徴とする請求項9に記載の電気配線部品構造体。
【請求項12】
前記端子整列体にコネクタ用位置決めピンが設けられ、前記コネクタに前記コネクタ用位置決めピンが挿通される端子整列体アセンブリ用位置決め穴が設けられたことを特徴とする請求項9に記載の電気配線部品構造体。
【請求項13】
前記端子整列体に電子回路基板用位置決めピンが設けられ、前記電子回路基板に前記電子回路基板用位置決めピンが挿通される電子回路基板用位置決め穴が設けられたことを特徴とする請求項9に記載の電気配線部品構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電気配線部品構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コネクタに設けられた金属端子を電子回路基板に設けたスルーホールに挿通させ、コネクタの金属端子と電子回路基板とをはんだ付けする構造の場合、コネクタの金属端子の先端位置の安定化は難しく、電子回路基板のスルーホールの手前に端子整列体を配置し、金属端子を端子整列体に沿わせ、スルーホールに金属端子を挿通させる構造が一般的である。(特許文献1参照)
【0003】
また、コネクタ等のノイズの影響を無視できない電気配線部品構造体の場合は、ノイズ除去用のフェライトコアを設けて金属端子を囲むように配置し、ノイズを除去する構造をとることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の特許文献1に記載の電気配線部品構造体は、金属端子を端子保持部品で保持し、ノイズ除去用の磁性材を取り付けた部品を端子サブアセンブリとする。その後、金属ベースに端子サブアセンブリを取り付け、金属端子を整列させるために端子整列体を取り付け、端子位置を整列させたうえで、スルーホールが形成された電子回路基板を装着し、電気配線部品構造体としている。
【0006】
したがって、端子整列体とノイズ除去用の磁性材との2つの部品が必要となり、電子回路基板とコネクタとの間の配置スペースが大きくなるとともに構造体が高背化するという問題点があった。また、別体としての磁性材の取り付け工数が発生するため、コストアップするという問題点があった。
【0007】
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、その目的は、部品点数を削減することにより低背化を図ることができる電気配線部品構造体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願に開示される電気配線部品構造体は、電子部品が搭載され、複数のスルーホールが形成された電子回路基板と、前記スルーホールのそれぞれに挿通される複数の金属端子が設けられたコネクタと、前記電子回路基板と前記コネクタとが収容された筐体と、前記電子回路基板と前記コネクタとの間に配設され、前記コネクタの前記金属端子が挿通されて前記電子回路基板の前記スルーホールに向けてガイドする端子ガイド穴が形成され、電磁ノイズを吸収する磁性材で構成された端子整列体とを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本願に開示される電気配線部品構造体によれば、部品点数を削減することができる電気配線部品構造体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1による電気配線部品構造体の斜視図である。
【
図2】実施形態1による電気配線部品構造体の正面図である。
【
図3】実施形態1による電気配線部品構造体の側面図である。
【
図4】実施形態1による電気配線部品構造体の
図3のA-A線における断面図である。
【
図5】実施形態2による電気配線部品構造体に搭載されるコネクタの斜視図である。
【
図6】実施形態2による電気配線部品構造体の正面図である。
【
図7】実施形態2による電気配線部品構造体の
図6のB-B線における断面図である。
【
図8】実施形態3による電気配線部品構造体の側面図である。
【
図9】実施形態3による電気配線部品構造体の
図8のC-C線における断面図である。
【
図10】実施形態4による電気配線部品構造体の斜視図である。
【
図11】実施形態4による電気配線部品構造体の側面図である。
【
図12】実施形態4による電気配線部品構造体の
図11のD-D線における断面図である。
【
図13】実施形態4による電気配線部品構造体における端子整列体と磁性体とのアセンブリを示す斜視図である。
【
図14】実施形態4による電気配線部品構造体における端子整列体と磁性体とのアセンブリを反転させた状態を示す斜視図である。
【
図15】実施形態4による電気配線部品構造体における端子整列体と磁性体とのアセンブリを示す断面図である。
【
図16】実施形態4による電気配線部品構造体における端子整列体と磁性体とのアセンブリの取り付け前の状態を示す斜視図である。
【
図17】実施形態5による電気配線部品構造体の斜視図である。
【
図18】実施形態5による電気配線部品構造体の側面図である。
【
図19】実施形態5による電気配線部品構造体の
図18のE-E線における断面図である。
【
図20】実施形態5による電気配線部品構造体における端子整列体と磁性体とのアセンブリを示す斜視図である。
【
図21】実施形態5による電気配線部品構造体における端子整列体と磁性体とのアセンブリを示す断面図である。
【
図22】実施形態5による電気配線部品構造体における端子整列体と磁性体とのアセンブリの取り付け前の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
以下、本願の実施の形態1を
図1から
図4に基づいて説明するが、各図において、同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
図1は実施の形態1による電気配線部品構造体の斜視図である。
図2は実施形態1による電気配線部品構造体の正面図である。
図3は実施形態1による電気配線部品構造体の側面図である。
図4は実施形態1による電気配線部品構造体の
図3のA-A線における断面図である。
【0012】
本願の実施の形態1による電気配線部品構造体1は、外部との信号を送受信し、その信号を用いて電力制御する構造体である。この電気配線部品構造体1の例としては、電力変換装置のような構造体内部の電子回路基板で所望の電力に制御する機器が挙げられる。
【0013】
上述した電気配線部品構造体1における外部との通信はコネクタ9を介して行われ、コネクタ9は筐体2に収容されて固定されている。また、外部からの信号を処理する電子回路基板7がコネクタ9に電気的に接続される。コネクタ9には複数の金属端子14が露出しており、露出した金属端子14が電子回路基板7に形成された複数のスルーホール7aに挿通され、はんだ付けで固定される。金属端子14をスルーホール7aにうまく挿通させるため、電子回路基板7のスルーホール7aと金属端子14の相対位置差を少なくする端子整列体5を構造体内部に配置している。
【0014】
また、従来のコネクタはノイズの影響を受け易いため、金属端子を囲うようにノイズ除去用のフェライトコアからなる磁性材を取り付け、コモンモードノイズあるいはノーマルモードノイズを除去する。このように、従来の構造体は端子整列体と、この端子整列体とは別体の磁性材との2つの部品で構成されている。
【0015】
本願の実施の形態1の電気配線部品構造体1は、端子整列体5がノイズを吸収する磁性材で作ることにより、従来のような別体のフェライトコアからなる磁性材を設ける必要がなくなり、部品点数を削減することができる。部品点数を削減することにより、電子回路基板7とコネクタ9との間の配置スペースが小さくなるとともに、電子回路基板7の位置を下げることができるので、電気配線部品構造体1の低背化を図ることができる。
【0016】
さらに、電気配線部品構造体1を低背化することにより、電子回路基板7に到達するまでの金属端子14の長さを短くでき、材料の体積が減少するため、材料費が安価になり、電気抵抗が小さくなるメリットがある。
【0017】
また、コネクタ9は複数の金属端子14を備えており、一般的に隣り合う金属端子14で電流が往復する電子回路を作り、インダクタンスは金属端子14の長さに比例する。そのため、本願のように金属端子14の長さを短くすると、インダクタンスが小さくなり、金属端子14にノイズが乗った場合、電圧変動が小さくなるため、所望の電圧に対して誤差が少なくなる。
【0018】
本願の実施の形態1の電気配線部品構造体1は
図1に示すようにコネクタ9、金属端子14、筐体2、端子整列体5、電子回路基板7で構成されている。組立工程としては、
図4でわかるように筐体2に対してコネクタ9を固定し、コネクタ9から出た金属端子14は端子先端部14bが電子回路基板7のスルーホール7aの穴径と同径あるいは僅かに小さい外径寸法を有し、端子基部14aが端子先端部14bの径より大きな外径寸法を有している。
【0019】
端子整列体5は、金属端子14の端子先端部14bが挿通する端子挿通穴5bと金属端子14の端子基部14aがガイドされる端子ガイド穴5aとにより構成されている。金属端子14の端子先端部14bから端子整列体5の端子ガイド穴5aを差し込む。さらに端子整列体5の端子ガイド穴5aを金属端子14の端子基部14aに差し込む。これにより、端子整列体5の端子挿通穴5bが金属端子14の端子先端部14bを挿通させる。
【0020】
この時、端子整列体5と筐体2との位置決めは、筐体2から突出した筐体壁3により位置決めされる。また、端子整列体5に形成された端子ガイド穴5aのコネクタ9と対峙する面の端子整列体5の入口部には面取り部6が形成されており、この面取り部6により端子整列体5と金属端子14の挿通状態を容易にしている。
【0021】
コネクタ9の金属端子14に端子整列体5が挿通されると、端子整列体5より突出した金属端子14の端子先端部14bに電子回路基板7のスルーホール7aを挿通させた後、はんだ付けにて固定する。これにより電気配線部品構造体1が組み立てられる。
【0022】
端子整列体5の固定方法については筐体2側に接着剤を塗布しておき、端子整列体5を配置する方法である。上記以外の位置決めあるいは固定方法であっても、機能的に十分な位置精度および固定強度が確保できれば適用可能である。
【0023】
また、端子整列体5の端子ガイド穴5aと金属端子14との位置決め部は端子整列体5に形成される端子ガイド穴5aの大きさと、金属端子14の剛性で決める。端子整列体5の端子ガイド穴5aは製造し易くするために大きくし、金属端子14の端子基部14aについても剛性を持たせるために断面積を大きくするのが有利である。
【0024】
しかし、端子整列体5を使用する目的は金属端子14と電子回路基板7のスルーホール7aとの位置決めであるため、金属端子14のスルーホール7aに通る部分と端子整列体5の端子挿通穴5bで位置決めするのが最も適切である。
【0025】
本願の電気配線部品構造体1の端子整列体5は電磁ノイズを吸収できる材料で作られているため、追加で磁性材料を取り付ける必要はなく、従来必要であった磁性材料分のスペースが必要なくなり、電気配線部品構造体1の小型化を図ることができる。また、別途、磁性材の取り付けが不要になるので、部品費と取り付け工数が無くなり、低コスト化を図ることができるとともに、各種構造部品の小型化も図ることができる。
【0026】
本願の電気配線部品構造体1の構造は、端子整列体5を磁性材で構成することにより、部品点数を削減することができ、電気配線部品構造体1の低背化を図ることができる。また、磁性材で構成された端子整列体5を使用すれば、2部品を1部品にすることができ、構造物の配置スペースの削減、あるいは、磁性材の取り付けの手間、アセンブリ時の固定をする必要がなく、低コストを図ることができる。
【0027】
実施の形態2.
次に、本願の実施の形態2を
図5から
図7に基づいて説明するが、各図において、同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
図5は実施形態2による電気配線部品構造体に搭載されるコネクタの斜視図である。
図6は実施形態2による電気配線部品構造体の正面図である。
図7は実施形態2による電気配線部品構造体の
図6のB-B線における断面図である。
【0028】
上述した実施の形態1においては端子整列体5が筐体2に搭載された場合について述べたが、本願の実施の形態2の電気配線部品構造体1は端子整列体5がコネクタ9に搭載されて位置決めされる形態であり、位置決め方法は様々考えられる。
図7に示すように実施の形態2はコネクタ9にコネクタ壁10を形成し、端子整列体5の外形部と位置決めする構造である。固定方法は上述した実施の形態1と同様に接着剤による固定が容易に考えられるが、十分な固定強度を確保できれば問題ない。
【0029】
また、実施の形態2の特徴としては、コネクタ9と端子整列体5を予め、アセンブリしておくことができるので、組立性が向上する。形状の制約としては、筐体2とのシール部4はコネクタ壁10の外形よりも大きくする必要がある。
【0030】
なお、
図7は軸シールで筐体2とコネクタ9とをシールしているが、面シールでシールをしても問題ない。シール方法の違いあるいはシール形状によって、筐体2とコネクタ9の位置決め自由度が異なるため、
図7の断面形状から多少異なる形状になる場合がある。
【0031】
また、コネクタ9と端子整列体5のアセンブリは次のようにして組み立てられる。まず、端子整列体5の端子ガイド穴5aを金属端子14の端子先端部14bから差し込む。さらに端子整列体5の端子ガイド穴5aを金属端子14の端子基部14aに差し込む。これにより、端子整列体5の端子挿通穴5bを金属端子14の端子先端部14bを挿通させて、コネクタ9と端子整列体5のアセンブリが一体的に組み立てられる。
【0032】
コネクタ9の金属端子14に端子整列体5が挿通されると、端子整列体5より突出した金属端子14の端子先端部14bに電子回路基板7のスルーホール7aを嵌合させた後、はんだ付けにて固定する。これにより電気配線部品構造体1が組み立てられる。
【0033】
この実施の形態2においても上述した実施の形態1と同様の効果が得られ、部品点数を削減することができ、電気配線部品構造体1の低背化を図ることができる。また、磁性材で構成された端子整列体5を使用すれば、2部品を1部品にすることができ、構造物の配置スペースの削減、あるいは、磁性材の取り付けの手間、アセンブリ時の固定をする必要がなく、低コストを図ることができる。
【0034】
実施の形態3.
次に、本願の実施の形態3を
図8および
図9に基づいて説明するが、各図において、同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
図8は実施形態3による電気配線部品構造体の側面図である。
図9は実施形態3による電気配線部品構造体の
図8のC-C線における断面図である。
【0035】
図8に示す通り、実施の形態3の特徴は電子回路基板7に端子整列体5を固定するところである。アセンブリ方法は、筐体2とコネクタ9がアセンブリされた状態で、電子回路基板7と端子整列体5を固定したアセンブリを筐体2に対して固定する。
【0036】
電子回路基板7と端子整列体5が固定されているので、振動発生時、電子回路基板7と端子整列体5のアセンブリが共振するリスクが上がるため、端子整列体5と筐体2とのクリアランスを無くし、接触させることで伝悉皆基板が固定される箇所が増えて共振を抑制できる。
【0037】
電子回路基板7と端子整列体5とのアセンブリはコネクタ9の金属端子14の端子先端部14bに近傍に位置させる。そして、端子整列体5の端子ガイド穴5aを金属端子14の端子先端部14bから差し込む。さらに端子整列体5の端子ガイド穴5aを金属端子14の端子基部14aに差し込む。これにより、端子整列体5の端子挿通穴5bを金属端子14の端子先端部14bを挿通させる。
【0038】
コネクタ9の金属端子14に端子整列体5が挿通されると、金属端子14の端子先端部14bに電子回路基板7のスルーホール7aを挿通させた後、はんだ付けにて固定する。これにより電気配線部品構造体1が組み立てられる。
【0039】
この実施の形態3においても上述した実施の形態1と同様の効果が得られ、部品点数を削減することができ、電気配線部品構造体1の低背化を図ることができる。また、磁性材で構成された端子整列体5を使用すれば、2部品を1部品にすることができ、構造物の配置スペースの削減、あるいは、磁性材の取り付けの手間、アセンブリ時の固定をする必要がなく、低コスト化を図ることができる。
【0040】
実施の形態4.
次に、本願の実施の形態4を
図10から
図16に基づいて説明するが、各図において、同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
図10は実施の形態4による電気配線部品構造体の斜視図である。
図11は実施形態4による電気配線部品構造体の側面図である。
図12は実施形態4による電気配線部品構造体の
図11のD-D線における断面図である。
図13は実施形態4による電気配線部品構造体における端子整列体と磁性体とのアセンブリを示す斜視図である。
図14は実施形態4による電気配線部品構造体における端子整列体と磁性体とのアセンブリを反転させた状態を示す斜視図である。
図15は実施形態4による電気配線部品構造体における端子整列体と磁性体とのアセンブリを示す断面図である。
図16は実施形態4による電気配線部品構造体における端子整列体と磁性体とのアセンブリの取り付け前の状態を示す斜視図である。
【0041】
上述した実施の形態1から実施の形態3はノーマルモードノイズとコモンモードノイズをともに対策する形態であったが、コモンモードノイズのみの対策で十分である場合も多い。そこで、実施の形態4はコモンモードノイズ対策用の形態について記載する。
【0042】
本願の実施の形態4は
図10~12で示すように、上述した実施の形態2の端子整列体5の位置が同じであり、コネクタ9に配置されている形態である。本願の実施の形態4の特徴は樹脂からなる端子整列体5と磁性体13とで構成された端子整列体アセンブリ15としたものである。
【0043】
組立方法は、
図16に示すように、コネクタ9を筐体2に固定する。コネクタ9には端子整列体アセンブリ用位置決め穴12が例えば2か所に設けられている。その後、
図13および
図14に示すように、筐体2内部から、樹脂からなる端子整列体50と磁性体13とで構成された端子整列体アセンブリ15に設けられたコネクタ用位置決めピン11をコネクタ9に設けられた端子整列体アセンブリ用位置決め穴12に一致させて嵌合されて位置決めされる。
【0044】
樹脂からなる端子整列体50と磁性体13とで構成された端子整列体アセンブリ15の位置決め方法は他にも考えられる。実施例のように軸シールで筐体2とコネクタ9をシールする場合は、コネクタ9を筐体2に組み付ける際に、パッキンのコネクタ9と筐体2への噛みこみに注意が必要である。
【0045】
そのため、コネクタ9の樹脂部を筐体2側に延長させ、延長させた樹脂部を筐体2に接触させてコネクタ9の姿勢を所望の状態にしてからコネクタ9を筐体2に組み付ける方式がある。その場合、コネクタ9が筐体2に組み付けた状態では、延長させたコネクタ9の樹脂部は筐体2の穴から筐体内部に飛び出しており、その延長樹脂部に端子整列体50と磁性体13との端子整列体アセンブリ15を位置決めする方法も考えられる。
【0046】
また、樹脂からなる端子整列体50と磁性体13との端子整列体アセンブリ15は事前に樹脂からなる端子整列体50と磁性体13を組み付けしておき、組み付け方法の一例としては、
図13、14に示す磁性体13のインサート成形が考えられるが、端子挿通穴が形成された樹脂を磁性体13に対してアウトサートする方法でもよい。樹脂からなる端子整列体50と磁性体13との端子整列体アセンブリ15と筐体2の固定方法は様々考えることができ、例えば接着剤で固定する方式がある。
【0047】
また、コネクタ9と端子整列体アセンブリ15は次のようにして組み立てられる。まず、樹脂からなる端子整列体50の端子ガイド穴5aを金属端子14の端子先端部14bから差し込む。さらに端子整列体50の端子ガイド穴5aを金属端子14の端子基部14aに差し込む。これにより、端子整列体50の端子挿通穴5bを金属端子14の端子先端部14bに挿通させて、コネクタ9と端子整列体アセンブリ15が一体的に組み立てられる。
【0048】
樹脂からなる端子整列体50と磁性体13との端子整列体アセンブリ15を取り付け後、金属端子14の端子先端部14bは端子整列体アセンブリ15より突出された状態となる。端子整列体アセンブリ15より突出した金属端子14の端子先端部14bに電子回路基板7のスルーホール7aを挿通させた後、はんだ付けにて固定する。また、電子回路基板7に形成された電子回路基板用位置決め穴7bに電子回路基板用位置決めピン8を差し込んで電子回路基板7と位置決めする。
【0049】
また、本願の端子整列体アセンブリ15の端子整列体50の材料は樹脂で構成されており、樹脂からなる端子整列体50と磁性体13とは並列の位置に配置されているので、本願の構造は金属端子14が電子回路基板7に伸びる方向のスペースは従来よりも小さくなる。
【0050】
また、端子整列体の部分は樹脂なので、容易に電子回路基板用位置決めピン8を形成することができ、電子回路基板7に設けた電子回路基板用位置決め穴7bに電子回路基板用位置決めピン8が挿通され、端子整列体と電子回路基板7とで精度よく位置決めできる。したがって、金属端子14を電子回路基板7のスルーホール7aに挿通させる本来の目的が達成でき易くなる。また、
図16は端子整列体アセンブリ15がない状態の構造体の斜視図を示す。
【0051】
この実施の形態4においても上述した実施の形態1と同様の効果が得られ、部品点数を削減することができ、電気配線部品構造体1の低背化を図ることができる。また、樹脂からなる端子整列体50と磁性体13との端子整列体アセンブリ15を使用すれば、2部品を1部品にすることができ、構造物の配置スペースの削減、あるいは、磁性材の取り付けの手間、アセンブリ時の固定をする必要がなく、低コスト化を図ることができる。
【0052】
実施の形態5.
次に、本願の実施の形態5を
図17から
図22に基づいて説明するが、各図において、同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。本願の実施の形態5は上述した実施の形態4と同様にコモンモードノイズ対策用の形態である。
図17は実施形態5による電気配線部品構造体の斜視図である。
図18は実施形態5による電気配線部品構造体の側面図である。
図19は実施形態5による電気配線部品構造体の
図18のE-E線における断面図である。
図20は実施形態5による電気配線部品構造体における端子整列体と磁性体とのアセンブリを示す斜視図である。
図21は実施形態5による電気配線部品構造体における端子整列体と磁性体とのアセンブリを示す断面図である。
図22は実施形態5による電気配線部品構造体における端子整列体と磁性体とのアセンブリの取り付け前の状態を示す斜視図である。
【0053】
本願の実施の形態5において、上述した実施の形態4と異なる部分は、
図20に示すように、磁性体13をインサート樹脂成形し、樹脂からなる端子整列体50と磁性体13とからなる端子整列体アセンブリ16を構成し、端子整列体アセンブリ16は筐体2の筐体壁3により位置決めされている。
【0054】
また、コネクタ9と端子整列体アセンブリ16は次のようにして組み立てられる。まず、端子整列体50の端子ガイド穴5aを金属端子14の端子先端部14bから差し込む。さらに端子整列体50の端子ガイド穴5aを金属端子14の端子基部14aに差し込む。これにより、端子整列体50の端子挿通穴5bを金属端子14の端子先端部14bに挿通させて、コネクタ9と端子整列体アセンブリ16が一体的に組み立てられる。
【0055】
樹脂からなる端子整列体50と磁性体13との端子整列体アセンブリ16を取り付け後、金属端子14の端子先端部14bは端子整列体アセンブリ16より突出された状態となる。端子整列体アセンブリ16より突出した金属端子14の端子先端部14bに電子回路基板7のスルーホール7aを挿通させた後、はんだ付けにて固定する。また、電子回路基板7に形成された電子回路基板用位置決め穴7bに電子回路基板用位置決めピン8を差し込んで電子回路基板7と位置決めする。
【0056】
また、本願の端子整列体アセンブリ16の端子整列体50の材料は樹脂で構成されており、樹脂からなる端子整列体50と磁性体13とは並列の位置に配置されているので、本願の構造は金属端子14が電子回路基板7に伸びる方向のスペースは従来よりも小さくなる。
【0057】
また、端子整列体の部分は樹脂なので、容易に電子回路基板用位置決めピン8を形成することができ、電子回路基板7に設けた電子回路基板用位置決め穴7bに電子回路基板用位置決めピン8が挿通され、端子整列体と電子回路基板7とで精度よく位置決めできる。したがって、金属端子14を電子回路基板7のスルーホール7aに挿通させる本来の目的が達成でき易くなる。また、
図16は端子整列体アセンブリ16がない状態の構造体の斜視図を示す。
【0058】
樹脂面は精度が出易いため、磁性材料を磁性材料の周りを取り囲むように配置することで、樹脂表面を加工無しで筐体壁3との位置決めに利用できる。また、実施の形態4と同様に磁性材料はインサート、アウトサートどちらでもよい。
【0059】
この実施の形態5においても上述した実施の形態1と同様の効果が得られ、部品点数を削減することができ、電気配線部品構造体1の低背化を図ることができる。また、磁性材で構成された端子整列体5を使用すれば、2部品を1部品にすることができ、構造物の配置スペースの削減、あるいは、磁性材の取り付けの手間、アセンブリ時の固定をする必要がなく、低コスト化を図ることができる。
【0060】
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【0061】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0062】
[付記1]
電子部品が搭載され、複数のスルーホールが形成された電子回路基板と、前記スルーホールのそれぞれに挿通される複数の金属端子が設けられたコネクタと、前記電子回路基板と前記コネクタとが収容された筐体と、前記電子回路基板と前記コネクタとの間に配設され、前記コネクタの前記金属端子が挿通されて前記電子回路基板の前記スルーホールに向けてガイドする端子ガイド穴が形成され、電磁ノイズを吸収する磁性材で構成された端子整列体とを備えたことを特徴とする電気配線部品構造体。
[付記2]
前記端子整列体は前記筐体に収容されたことを特徴とする付記1に記載の電気配線部品構造体。
[付記3]
前記端子整列体は前記筐体に形成された筐体壁により位置決めされたことを特徴とする付記2に記載の電気配線部品構造体。
[付記4]
前記端子整列体は前記コネクタに搭載されたことを特徴とする付記1に記載の電気配線部品構造体。
[付記5]
前記端子整列体は前記コネクタに形成されたコネクタ壁により位置決めされたことを特徴とする付記4に記載の電気配線部品構造体。
[付記6]
前記端子整列体は前記電子回路基板に搭載されたことを特徴とする付記1に記載の電気配線部品構造体。
[付記7]
前記端子整列体は前記筐体に当接されて位置決めされたことを特徴とする付記6に記載の電気配線部品構造体。
[付記8]
前記端子ガイド穴の部分の前記端子整列体に面取り部が形成されたことを特徴とする付記1から付記7のいずれか1項に記載の電気配線部品構造体。
[付記9]
前記端子整列体は磁性体と樹脂体とのアセンブリにより構成されたことを特徴とする付記1から付記8のいずれか1項に記載の電気配線部品構造体。
[付記10]
前記樹脂体に、前記コネクタの前記金属端子を前記電子回路基板の前記スルーホールに向けてガイドする端子ガイド穴が形成されたことを特徴とする付記9に記載の電気配線部品構造体。
[付記11]
前記樹脂体は磁性体をインサート成形していることを特徴とする付記9または付記10に記載の電気配線部品構造体。
[付記12]
前記端子整列体にコネクタ用位置決めピンが設けられ、前記コネクタに前記コネクタ用位置決めピンが挿通される端子整列体アセンブリ用位置決め穴が設けられたことを特徴とする付記9から付記11のいずれか1項に記載の電気配線部品構造体。
[付記13]
前記端子整列体に電子回路基板用位置決めピンが設けられ、前記電子回路基板に前記電子回路基板用位置決めピンが挿通される電子回路基板用位置決め穴が設けられたことを特徴とする付記9から付記12のいずれか1項に記載の電気配線部品構造体。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本願は、部品点数を削減することにより低背化を図ることができる電気配線部品構造体の実現に好適である。
【符号の説明】
【0064】
1 電気配線部品構造体、2 筐体、3 筐体壁、4 シール部、5 端子整列体、5a 端子ガイド穴、5b 端子挿通穴、50 端子整列体、6 面取り部、7 電子回路基板、7a スルーホール、7b 電子回路基板用位置決め穴、8 電子回路基板用位置決めピン、9 コネクタ、10 コネクタ壁、11 コネクタ用位置決めピン、12 端子整列体アセンブリ用位置決め穴、13 磁性体、14 金属端子、15 端子整列体アセンブリ、16 端子整列体アセンブリ