(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168871
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】チップ保持装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/10 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
G01N35/10 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085892
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】高野 悠人
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058ED36
2G058HA01
(57)【要約】
【課題】チップを順次送ることで効率化を図りつつ、ピペットをチップに係合させる工程を円滑に行うことができるチップ保持装置を提供する。
【解決手段】ピペット2に係合するチップ3を保持するチップ保持装置10であって、複数のチップ3を整列した状態に保持するとともに、整列したチップ3の中の先頭チップ3xの位置がピペットと係合される係合位置として定義された保持器12と、係合位置にある先頭チップ3xが引き抜かれた後、次の位置の後続チップ3yを先頭チップ3xとして送り係合位置に位置決めするチップ送り部13と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピペットに係合するチップを保持するチップ保持装置であって、
複数のチップを整列した状態に保持する保持溝を備えるとともに、前記保持溝に整列した前記チップの中の先頭チップの位置がピペットと係合される係合位置として定義された保持器と、
前記係合位置にある先頭チップが引き抜かれた後、次の位置の後続チップを前記先頭チップとして送り前記係合位置に位置決めするチップ送り部と、
を備えるチップ保持装置。
【請求項2】
前記チップ送り部は、前記先頭チップよりも上手に位置するチップと係合して前記係合位置の方向に押圧する係合部を備える
請求項1に記載のチップ保持装置。
【請求項3】
前記保持器は、前記先頭チップを前記係合位置に位置決めする位置決め部を備える
請求項1又は2に記載のチップ保持装置。
【請求項4】
前記保持器は、前記チップの軸線方向の位置決めをする支持段部を備える
請求項1に記載のチップ保持装置。
【請求項5】
前記チップ送り部が前記後続チップを前記先頭チップとして前記係合位置に送るための駆動源を更に備える
請求項1に記載のチップ保持装置。
【請求項6】
前記駆動源は、ばねである
請求項5に記載のチップ保持装置。
【請求項7】
前記先頭チップ以外のチップの前記保持器からの引き抜きを抑えるカバーを更に備える
請求項1に記載のチップ保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピペットに係合するチップを複数保持するチップ保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動アクチュエータやロボットアームを利用したピペッティング装置がある(特許文献1参照)。ピペッティング装置は、化学や生物分野をはじめとする研究開発や品質管理の現場等で、ピペットでチップ内に少量の液体を分注したり、又は、必要なだけ吸引することで吸引量を計量する装置である。また、ピペッティング装置は、ピペットにチップを係合した状態で、ラックから引き抜いて、次いで、そのチップを他の場所に移動する装置である。
【0003】
例えば特許文献1において、ピペッティング装置は、ピペットを保持するピペット保持部が設けられたロボットアームと、チップを保持するチップ保持装置としてのラックと、を備えている。ロボットアームは、ピペットを対応するチップに位置合わせすると、その後ピペットを降下してチップの開口に係合する。そして、ピペッティング装置は、分注やラックからの引き抜き等の動作を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種のピペッティング装置では、ラックに保持されたチップを高い確度でピペットに係合させてからラックからチップを引く抜くことが求められる。特許文献1には、複数のチップを直線状に並べるラックが記載されている(特許文献1の
図6参照)。このラックでは、ラックの孔に保持された複数本のチップに対して、各チップに対応するピペットを同時に係合させる。
【0006】
しかしながら、特許文献1のラックにおいて、チップが孔に対してふらつく等して正しい姿勢から変動すると、ピペットがチップに係合することができず、その結果、ラックからチップを引き抜くことができなくなるおそれがある。この点で、特許文献1のようなラックを用いた場合、更なる工程の効率化を図ることが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためのチップ保持装置は、ピペットに係合するチップを保持するチップ保持装置であって、複数のチップを整列した状態に保持する保持溝を備えるとともに、前記保持溝に整列した前記チップの中の先頭チップの位置がピペットと係合される係合位置として定義された保持器と、前記係合位置にある先頭チップが引き抜かれた後、次の位置の後続チップを前記先頭チップとして送り前記係合位置に位置決めするチップ送り部と、を備える。
【0008】
上記構成によれば、ピペットで先頭チップを引き抜いた後、順次、次の後続チップを送ることで、チップを保持器から引き抜く工程を効率化できる。この際、先頭チップは、係合位置に位置決めされることで、高い確度でピペットに係合され、引き抜くことが可能となる。このように、ピペットがチップに係合し損ねることを抑えることで、チップ送りを円滑に行うことができる。
【0009】
上記チップ保持装置において、前記チップ送り部は、前記先頭チップよりも上手に位置するチップと係合して前記係合位置の方向に押圧する係合部を備えるようにしてもよい。上記構成によれば、先頭チップより上手に位置するチップ、例えば最後尾チップをチップ送り部で確実に押圧することができる。これにより、チップ送り部は、順次後続チップを係合位置に送ることができる。
【0010】
上記チップ保持装置において、前記保持器は、前記先頭チップを前記係合位置に位置決めする位置決め部を備えるようにしてもよい。上記構成によれば、係合位置において、先頭チップを高精度に位置決めできる。これにより、ピペットをチップに係合させる確度を高めることができる。
【0011】
上記チップ保持装置において、前記保持器は、前記チップの軸線方向の位置決めをする支持段部を備えるようにしてもよい。上記構成によれば、係合位置において、先頭チップを高精度に位置決めできる。これにより、ピペットをチップに係合させる確度を高めることができる。
【0012】
上記チップ保持装置において、前記チップ送り部が前記後続チップを前記先頭チップとして前記係合位置に送るための駆動源を更に備えるようにしてもよい。上記構成によれば、駆動源を備えることで、保持器に保持されているチップを自動的に順次係合位置に送ることができる。
【0013】
上記チップ保持装置において、前記駆動源は、ばねとしてもよい。上記構成によれば、汎用的なゼンマイばね等のばねを駆動源に利用することができる。
上記チップ保持装置において、前記先頭チップ以外のチップの前記保持器からの引き抜きを抑えるカバーを更に備えるようにしてもよい。上記構成によれば、係合位置において、先頭チップを引く抜く際に、引き抜かれるチップに引きずられて後続チップ等のチップも引き抜かれることを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、チップを順次送り、順次ピペットをチップに係合させて保持器から引き抜くことで、当該工程を効率化できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、第1実施形態における、ピペッティング装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すピペッティング装置に用いられるチップ保持装置の斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すチップ保持装置の分解斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す容器にチップを保持する保持器を装着する状態を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、保持器がチップを保持している状態を示す
図6に示す保持器の断面図である。
【
図8】
図8は、
図5に示す容器にチップを保持する保持器が装着された状態を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8に示す容器にカバーを配置する状態を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、
図2に示す状態からチップ送り部がチップを半分程度送った状態を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、
図10に示す状態から更にチップが送られ最後の1本になった状態を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態であって、特定チップを位置決めする前の状態を示す平面図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態であって、特定チップを位置決めした状態を示す平面図である。
【
図14】
図14は、第3実施形態であって、チップが配置された状態を示す斜視図である。
【
図15】
図15は、第3実施形態であって、チップが配置される前の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明が適用されたチップ保持装置について図面を参照して説明する。
[全体構成]
図1に示すように、チップ保持装置10は、ピペッティング装置1に用いられる。ピペッティング装置1は、化学や生物分野をはじめとする研究開発や品質管理の現場等で、ピペット2でチップ3内に少量の液体を分注したり、又は、必要なだけ吸引して吸引量を計量する装置である。また、ピペッティング装置1は、ピペット2にチップ3を係合させた状態で、チップ保持装置10から引き抜いてチップ3を他の場所に移動する装置である。
【0017】
チップ3は、円錐形状を有した容器であって、円錐部3aと、突出部3bと、チップ開口3cと、を備えている(
図7参照)。チップ3は、円錐部3aの頂点部を底部としている。円錐部の3aの上底に、突出部3bが構成されている。突出部3bは、円錐部3aの上底よりも大径な円筒部である。円錐部3aと突出部3bとの境界部は、外周面に、段差3dを構成している。チップ開口3cは、突出部3b側の上面に構成されている。チップ開口3cは、ピペット2の先端部が係合される開口である。
【0018】
ピペッティング装置1は、ロボットアーム6と、チップ保持装置10と、を備えている。ロボットアーム6は、多関節アームを構成する複数のアーム部7と、ピペット2を保持するピペット保持部8と、を備えている。ピペット保持部8は、1つのアーム部7の先端に設けられている。ロボットアーム6は、制御部9により制御される。制御部9は、ピペット保持部8が保持したピペット2を、チップ保持装置10の係合位置に移動して、先端部を係合位置にあるチップ3の開口に係合させる。そして、制御部9は、制御プログラムに従って、ロボットアーム6を通じて、チップ保持装置10からチップ3を引き抜く。ここで、係合位置は、保持器12が備える保持溝12bの一端部に定義される位置であって、かつ、保持器12に保持された複数のチップ3の中において、先頭に位置する先頭チップ3xの位置である。
【0019】
[チップ保持装置]
図2及び
図3に示すように、チップ保持装置10は、容器11と、保持器12と、チップ送り部13と、を備えている。
【0020】
容器11は、有底筒形状を有している。ここでは、容器11は、有底の円筒形状を有している。容器11は、上面に容器開口11aが構成されている。容器11の内部空間11bは、保持器12に保持されたチップ3が収容される。容器11は、保持器12を支持する支持体である。内部空間11bにおいて、その深さは、保持器12に保持されているチップ3の底部が容器11の底面に当たらない深さを有している。容器11は、載置台4に載置される。
【0021】
[保持器]
図6に示すように、保持器12は、複数のチップ3を保持する。保持器12は、容器開口11aの円弧に対応した円弧形状を有した基体部12aを備えている。例えば、基体部12aは、円環を半割にした円弧形状を有している。基体部12aは、その幅方向の中央に、複数のチップ3を一列に整列された状態で保持する保持溝12bを備えている。
【0022】
保持溝12bは、円弧形状を有し、かつ、連続した貫通溝である。
図7に示すように、保持溝12bは、その底部に、支持段部12cを備えている。支持段部12cの間に構成される貫通溝は、チップ3の円錐部3aが挿通可能で、かつ突出部3bが挿通不能な幅である。保持溝12bにおいて、支持段部12cより上側の部分は、突出部3bの直径に対応した溝幅を備えている。支持段部12cより上側の部分において、保持溝12bを構成する相対する側壁は、チップ3の送りをガイドするガイド壁である。支持段部12cは、突出部3bの段差3dが突き当たる。これにより、各チップ3は、支持段部12cに突出部3bが係合した状態で、保持溝12b内に保持される。各チップ3は、保持溝12bに保持されている状態において、突出部3bが保持溝12bの開口端より上方に突出する。そして、各チップ3は、軸線方向の位置決めがされ、チップ開口3cの高さが揃う。チップ3を保持した保持器12は、容器11に挿入されたとき、下面の縁部が容器開口11aを構成する開口端に支持される。そして、チップ3は、順次係合位置の方向へ移動される。
【0023】
保持溝12bに保持された複数のチップ3の中で、先頭側の一端に位置するチップ3が先頭チップ3xである。また、先頭チップ3xに次ぐ2番目のチップ3が後続チップ3yである。更に、最後尾に位置するチップ3が最後尾チップ3zである。保持溝12bの中で先頭チップ3xの位置は、ピペット2が係合する係合位置である。係合位置は、保持溝12bの中で一方の端部である。係合位置に対応した保持溝12bの端部は、突出部3bの外周面の曲面形状に対応した凹部で構成された位置決め部12dである。位置決め部12dは、先頭チップ3xの突出部3bの外周面が係合することで、確実にピペット2が係合できるようにする。
【0024】
[チップ送り部]
図4及び
図5に示すように、チップ送り部13は、基板14と、送り板15と、駆動源16と、を備えている。基板14は、円環から保持器12の円弧分を除いた円弧形状を有している。基板14は、容器開口11aを構成する開口端に、周回方向に移動してしまわないように位置決めされた状態で支持される。具体的に、基板14及び容器開口11aを構成する開口端の何れ一方は、位置決め突起を備えている。他方は、位置決め凹部を備えている。そして、基板14は、位置決め突起が位置決め凹部が係合することで、容器開口11aを構成する開口端に位置決めされる。勿論、基板14を位置決めする構成はこれに限定されるものではない。例えば基板14は、開口端に一体的に固定されていてもよい。容器開口11aに基板14が配置されることで、基板14の各端部は、保持器12の各端部と突き当たる。これにより、容器開口11aにおいて、基板14は、保持器12が容器開口11aを周回方向に回転してしまわないようにする。基板14が配置されていない領域は、保持器12が挿入される領域となる。
【0025】
駆動源16は、例えば板バネを巻回して構成されたゼンマイばねを備えたゼンマイユニットである。駆動源16は、基板14の内周部に基板14と一体的に設けられる。これにより、駆動源16は、容器11の中央部に配置される。そして、保持器12及び基板14は、駆動源16の周囲に配置される。駆動源16の出力部には、送り板15と一体的なハブ15cが接続される。ハブ15cと一体的な送り板15は、半円板形状を有しており、駆動源16によって、駆動源16の周囲を回転する。ハブ15cは、ゼンマイばねを巻き締める操作を行うためのツマミ15dを備えている。基板14は、固定板である。送り板15は、基板14の上側において、基板14に対して回転する回転板である。
【0026】
送り板15は、基板14の上側に配置され、駆動源16で発生する駆動力によって、駆動源16の周囲を回転する。送り板15は、径方向に延びる2つの端部を備えている。そして、2つの端部のうちで一方の端部は、最後尾チップ3zに突き当たる押圧端部15aである。押圧端部15aは、送り板15が容器開口11a上に配置された状態で、保持器12に保持されたチップの中で最後尾チップ3zの突出部3bに対して対向する。
【0027】
図8に示すように、押圧端部15aは、最後尾チップ3zに係合する係合部15bを備えている。係合部15bは、チップ3における突出部3bの外周面の曲面形状に対応した凹部で構成されている。係合部15bは、剛性面でもよいし、チップ3の外周面と密着するように弾性面で構成されていてもよい。押圧端部15aは、係合部15bが突出部3bに係合した状態で、駆動源16の駆動力によって最後尾チップ3zを係合位置の方向となる矢印D1方向に押圧する。これにより、先頭チップ3xは、最後尾チップ3zと先頭チップ3xとの間のチップ3を介して、位置決め部12dに押圧される。したがって、先頭チップ3xは、位置決め部12dによって係合位置に精度良く位置決めされる。
【0028】
[カバー]
図9に示すように、容器11に収容された保持器12の上側には、カバー17が配置される。カバー17は、円環を半割にした円弧形状を有している。カバー17は、保持器12とほぼ同じ、容器開口11aの円弧に対応した円弧形状を有している。カバー17は、係合位置にある先頭チップ3xを除くチップ3の上側に位置する。係合位置において、先頭チップ3xは、ピペット2と係合して保持溝12bから上方に引き抜かれる。カバー17は、先頭チップ3xが引き抜かれる際に、引きずられて後続チップ3y等の他のチップ3が保持溝12bから引き抜かれないようにする。
【0029】
ところで、保持器12の上側は、送り板15が移動する部分である。そこで、カバー17は、例えば、保持器12との対向面に凹部が設けられ、ここに通路17aが構成されている。具体的に、通路17aは、上壁と、その両側に立設される側壁と、で構成されている。側壁の先端は、保持器12の上面であって、保持溝12bの両側に位置する端面に位置される。また、カバー17には、係合位置の上方を塞がないように保持器12に取り付ける必要がある。そこで、保持器12又はカバー17には、例えば一方に位置決め突起が設けられ、他方に、位置決め凹部が設けられている。そして、カバー17は、位置決め突起と位置決め凹部とを係合させることで、係合位置の上方を塞いでしまわない位置に着脱可能に位置決めされる。勿論、カバー17を位置決めする構成は、これに限定されるものではない。
【0030】
[保持器の取付方法]
保持器12が容器11の内部空間11bに挿入される前工程で、駆動源16は、ツマミ15dでゼンマイばねが巻き締められ、そして、ロック部材によって、巻き締められた状態にロックされている。この状態において、送り板15は、基板14と重なるように位置する。これにより、送り板15は、送り板15が存在しない開口から保持器12を内部空間11bに挿入可能な状態としている。なお、このとき、カバー17は配置されていない。
【0031】
図6に示すように、保持器12の保持溝12bには、所定数のチップ3が挿入される。チップ3は、フルの状態で保持溝12bに挿入されることが好ましい。各チップ3は、保持溝12b内において、突出部3bの段差3dが支持段部12cに支持される。保持溝12bでは、チップ3がフルの状態とされることで、互いに隣り合うチップ3が近接する。これにより、複数のチップは、保持溝12b内において、がたつきが抑制される。なお、チップ3がフル状態の保持器12は、滅菌梱包されたものが開封されたものであってもよい。
【0032】
図6に示すように、このようなチップ3を保持した保持器12は、チップ3の底部を挿入端として容器11の内部空間11bに容器開口11aを通じて挿入される。保持器12が挿入される位置は、基板14が配置されていない部分である。そして、
図8に示すように、保持器12は、容器開口11aを構成する開口端に支持される。保持器12は、基板14が容器開口11aに固定されていることで、容器開口11aを、周回方向である矢印D1方向や反矢印D1方向に移動してしまうことはない。その後、
図9に示すように、保持器12の上側には、カバー17が配置される。
【0033】
駆動源16のロックを解除すると、駆動源16の駆動力によって、送り板15は、矢印D1方向に回転しようとする。これにより、係合部15bは、最後尾チップ3zに係合する。そして、送り板15は、チップ3の列を保持溝12bの係合位置の方向に押圧する。これにより、先頭チップ3xは、後続チップ3yに押されることによって、位置決め部12dに押圧されることで、係合位置に精度よく位置決めされる。
【0034】
[動作]
図1に示すように、チップ保持装置10は、ピペッティング装置1が備える載置台4に載置される。先頭チップ3xを保持溝12bから引き抜く場合、制御部9は、ロボットアーム6を駆動し、ピペット2を係合位置に移動する。係合位置では、先頭チップ3xのチップ開口3cが露出している。先頭チップ3xは、高精度に係合位置に位置決めされているので、高い確度をもってピペット2が先頭チップ3xのチップ開口3cに係合される。そして、先頭チップ3xは、保持溝12bから引き抜かれる。この際、カバー17が設けられているので、引き抜かれる先頭チップ3xに引きずられて後続チップ3y等の他のチップ3が引き抜かれることを防ぐことができる。
【0035】
先頭チップ3xが保持溝12bからピペット2によって引き抜かれると、最後尾チップ3zが送り板15の押圧端部15aよって押圧されていることで、引き抜かれた先頭チップ3xの次に続く後続チップ3yが先頭チップ3xとなって、係合位置に送られる。そして、次の先頭チップ3xは、位置決め部12dに係合する。このような動作が繰り返されることで、チップ保持装置10は、
図10に示すような状態となる。
図10は、チップ3が順次引き抜かれることでフルの状態から半分程度の量に減少した状態を示している。
図10の状態においても、送り板15は、駆動源16によって矢印D1方向に回転し、押圧端部15aで最後尾チップ3zを押圧している。そして、先頭チップ3xは高精度に位置決めされている。
【0036】
図11は、保持溝12bに残るチップ3が最後の1本となった状態を示している。
図11の状態では、最後尾チップ3zが先頭チップ3xとなる。そして、押圧端部15aは、最後尾チップ3zでもある先頭チップ3xを押圧する。これにより、引き抜かれる先頭チップ3xは、最後の1本まで高精度に位置決めされる。また、この状態において、送り板15は、係合位置だけを露出した保持器12とほぼ重なった状態となる。
【0037】
[第1実施形態の効果]
以上のような第1実施形態におけるチップ保持装置10は、以下のように列挙する効果を得ることができる。
【0038】
(1-1)ピペット2で先頭チップ3xを引き抜いた後、順次後続チップ3yを係合位置に送ることで、チップ3を保持器12から引き抜く工程を効率化できる。
(1-2)先頭チップ3xは、係合位置において位置決めされる。したがって、高い確度で先頭チップ3xをピペット2に係合することができる。ピペット2が先頭チップ3xに係合し損ねることを抑えることで、チップ3の送りを円滑に行うことができる。
【0039】
(1-3)係合位置にある先頭チップ3xは、位置決めされることで、姿勢も、ばらつきが抑えられ一定となる。したがって、ロボットアーム6の制御を容易にすることができる。
【0040】
(1-4)先頭チップ3xより上手に位置する最後尾チップ3zを送り板15の係合部15bで確実に押圧することができる。そして、送り板15は、順次後続チップ3yを係合位置に送ることができる。したがって、係合位置にチップ3を円滑に送ることができる。
【0041】
(1-5)係合位置において、先頭チップ3xは、位置決め部12dによって高精度に位置決めされる。これにより、ピペット2を先頭チップ3xに係合させる確度を高めることができる。
【0042】
(1-6)係合位置において、ピペット2の突出部3bの段差3dを保持溝12bの支持段部12cに支持させることで、先頭チップ3xの軸線方向の位置決めを簡易な構成で、高精度に行うことができる。これにより、ピペット2を先頭チップ3xに係合させる確度を高めることができる。
【0043】
(1-7)駆動源16を備えることで、保持器12に保持されているチップ3を自動的に係合位置に順次送ることができる。
(1-8)駆動源16には、ゼンマイばね等の汎用的な部材を利用することができる。
【0044】
(1-9)保持器12は、カバー17で塞がれていることで、係合位置で先頭チップ3xを引く抜く際に、引き抜かれる先頭チップ3xに引きずられて後続チップ3yを含むチップ3までも引き抜かれることを防ぐことができる。
【0045】
[第1実施形態の変形例]
なお、第1実施形態のチップ保持装置10は、更に、以下のように適宜変更して実施することもできる。第1実施形態のチップ保持装置10は、上記実施の形態以外に、例えば以下に示される変形例、及び相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例を組み合わせた形態としてもよい。
【0046】
・カバー17を省略する構成としてもよい。この場合、例えば、保持器12は、チップ3の上端に係合する係合片を備えるとよい。係合片がチップ3の突出部3bに係合することで、先頭チップ3xが引き抜かれる際に、引きずられて後続チップ3y等が引き抜かれることを防ぐことができる。先頭チップ3xが引き抜かれる際に、引きずられて後続チップ3yが引き抜かれないようにするには、先頭チップ3xに次ぐ後続チップ3yの位置に、少なくともチップ3の上端に係合する係合片を設けるようにすればよい。
【0047】
・駆動源としては、ゼンマイばねに限定されるものではない。例えば、コイルバネ、トーションばね等のばねによって、送り板15は、矢印D1方向に付勢されるようにしてもよい。また、送り板15は、ゴム等によって送り板15を矢印D1方向に付勢されるようにしてもよい。更に、駆動源16には、圧縮空気圧や油圧を回転運動に変換するロータリーアクチュエータ等を使用してもよい。
【0048】
・各チップ3の軸線方向の位置決めは、突出部3bの段差3dを支持段部12cに支持させる構成に限定されるものではない。例えば、各チップ3の軸線方向の位置決めは、チップ3における円錐部3aの頂点である底部を保持溝12bの底壁で支持するようにしてもよい。
【0049】
・矢印D1方向に押圧するチップ3は、最後尾チップ3zに限定されるものではない。押圧するチップ3は、先頭チップ3xよりも上手に位置するチップ3であればよい。例えば、先頭チップ3xに次ぐ2番目の後続チップ3yでもよいし、最後尾チップ3zよりも前であって2番目の後続チップ3yよりも後に位置する何れのチップ3であってもよい。このような場合、送り板15は、このような押圧するチップ3を押圧する押圧片を備えることになる。
【0050】
・チップ送り部13において、係合部15b、及び、位置決め部12dの何れか一方、又は、両方を省略してもよい。チップ3は、送り板15により送ることができれば、保持溝12b内で係合位置に送ることが可能だからである。
【0051】
・容器11の形状は、有底筒形状であれば、有底の円筒形状に限定されるものではない。例えば、有底の楕円筒形状であってもよいし、有底の多角柱形状(三角柱、四角柱等)であってもよい。
【0052】
[第2実施形態]
第2実施形態では、保持器12において、保持溝12bの係合位置に位置する位置決め部の構成が第1実施形態の位置決め部12dと異なる。
【0053】
図12及び
図13に示すように、第2実施形態の位置決め部21は、位置決め部材22を備えている。位置決め部材22は、第1レバー部23と、第2レバー部24と、チップ受け部25と、支軸26と、を備えている。位置決め部材22は、第1レバー部23と第2レバー部24とでL字形状を備えている。位置決め部材22は、第1レバー部23と第2レバー部24とが交差する角部に支軸26を備えている。
【0054】
第1レバー部23は、先頭チップ3xを受けるチップ受け部25を備えている。チップ受け部25は、保持溝12b内の係合位置に臨む。チップ受け部25は、チップ3の外周面を構成する曲面形状対応した凹形状を有している。チップ受け部25は、剛性面を有してもよいし、チップ3の外周面と密着するように弾性面を有していてもよい。
【0055】
支軸26は、保持溝12bの外であって、係合位置に近接した位置に設けられている。第2レバー部24は、第1レバー部23に対して例えば直角に延びており、保持溝12b内に臨んでいる。第2レバー部24も、先頭チップ3xを押圧する。
【0056】
保持溝12bは、突出部3bを支持する支持段部12cが上手から係合位置に向って順次降下する傾斜面で構成されている。係合位置が最も低い位置となる。保持溝12bに挿入されているチップ3は、自重によって順次係合位置の方向である矢印D3方向に移動する。第2実施形態において、この傾斜面がチップ3を係合位置の方向に順次送るチップ送り部である。
【0057】
図12に示すように、位置決め部材22は、支軸26を中心に回動可能であり、その重心は、第2レバー部24の方向に寄せており、自重で、矢印D2方向に回動するように構成されている。第2レバー部24は、先頭チップ3xが円滑に係合位置に送られるように、保持溝12bの側壁28より外側に退避している。第1レバー部23に設けられたチップ受け部25は、係合位置において、反矢印D3方向に突出している。
【0058】
図13に示すように、先頭チップ3xは、係合位置に順次矢印D3方向に移動すると、先頭チップ3xは、その外周面がチップ受け部25に当たりそのまま第1レバー部23を押圧する。すると、位置決め部材22は、支軸26を中心に反矢印D2方向に回動する。すると、第2レバー部24は、先頭チップ3xを同方向に押圧する。先頭チップ3xは、第2レバー部24に押されることで、第2レバー部24と対向する保持溝12bの側壁27に押圧される。これにより、先頭チップ3xは、チップ受け部25と第2レバー部24と側壁27の三点(点A、点B、点C)に押圧される。更に、後続チップ3yによっても押される(点D)。これにより、先頭チップ3xは、係合位置において高精度に位置決めされる。
【0059】
先頭チップ3xがピペット2によって引き抜かれると、位置決め部材22は、矢印D2方向に自重で回動し、
図12の状態に戻る。そして、第2レバー部24の位置には、次の先頭チップ3xが移動してくる。すると、次の先頭チップ3xがチップ受け部25を押圧する。すると、位置決め部材22は、支軸26を中心に反矢印D2方向に回動し、
図13に示す状態となる。
【0060】
[第2実施形態の効果]
以上のような第2実施形態におけるチップ保持装置10は、以下のように列挙する効果を得ることができる。
【0061】
(2-1)位置決め部材22は、係合位置において、チップ受け部25(A点)、第2レバー部24(B点)、側壁27(C点)、後続チップ3y(D点)の4点で保持溝12bの端部に押される。これにより、先頭チップ3xは、係合位置において、高精度に位置決めできる。したがって、高い確度で先頭チップ3xをピペット2に係合することができる。ピペット2が先頭チップ3xに係合し損ねることを抑えることで、チップ3の送りを円滑に行うことができる。
【0062】
(2-2)チップ送り部は、保持溝12bにおいて、支持段部12cが上手から係合位置に向って順次降下する傾斜面がチップ送り部13である。これによりチップ送り部13の構成を簡素化できる。すなわち、ゼンマイばね等の駆動源16が不要となることで、構成を簡素化できる。
【0063】
[第2実施形態の変形例]
なお、第2実施形態のチップ保持装置10は、更に、以下のように適宜変更して実施することもできる。第2実施形態のチップ保持装置10は、上記実施の形態以外に、例えば以下に示される変形例、及び相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例を組み合わせた形態としてもよい。
【0064】
・位置決め部材22は、矢印D2方向に、ばね等の付勢部材に付勢する構成としてもよい。これにより、確実に位置決め部材22を支軸26を中心に矢印D2方向に回動することができる。
【0065】
・保持溝12bにおいて、チップ3は、支持面を係合位置に向って順次降下する傾斜面で構成し、自重で係合位置に送られる構成としたが、これに限定されるものではない。第1実施形態に示すように、保持溝12b内のチップ3は、送り板15によって順次送られるようにしてもよい。この場合、保持溝12bの支持面は、係合位置に向って順次降下する傾斜面ではなく、例えば水平面で構成してもよい。
【0066】
・第2実施形態のチップ保持装置10においては、載置台4に構成された設置面を傾斜面にしてもよい。この場合、チップ保持装置10は、係合位置が傾斜した傾斜面の下側に位置するように設置される。これにより、チップ3は、自重で係合位置の方向に移動し易くなる。また、第2レバー部24は、
図12の状態において、付勢部材を用いるまでもなく、矢印D2方向に回動した状態になり易くなる。
【0067】
・保持溝12bには、最後尾チップ3zの更に後位置におもり部材を配置するようにしてもよい。例えば、おもり部材は、保持溝12bに挿入可能な形状を有している。これにより、チップ3は、おもり部材の重量によって係合位置に送り易くなる。
【0068】
[第3実施形態]
第3実施形態では、チップ保持装置30は、4チャンネルのピペット2に対応している。すなわち、
図14及び
図15に示すように、チップ保持装置30は、ベース31と、保持器32と、チップ送り部33と、を備えている。ベース31は、一例として、矩形板であって、保持器を32を支持する支持開口を備えている。ベース31は、支持開口の周囲で保持器32を支持する。
【0069】
[保持器]
保持器32は、矩形箱形状を有しており、周囲には、支持開口の周囲と係合する支持段部32aを備えている。また、保持器32は、上面が開口されている。保持器32は、チップ3を直線状に支持する保持溝36を複数備えている。複数の保持溝36は、互いに平行に設けられた直線溝である。各保持溝36は、例えば第1実施形態における保持溝12bと同じ構成を有し、相対する側壁は、チップ3の移動をガイドするガイド壁である。また、各保持溝36は、支持段部12cや位置決め部12dを備えている。
【0070】
各保持溝36に保持された複数のチップ3の中で、先頭側の一端に位置するチップ3が先頭チップ3xであり、先頭チップ3xに次ぐ2番目のチップ3は後続チップ3yであり、最後尾に位置するチップ3が最後尾チップ3zである。各保持溝36の中で先頭チップ3xの位置は、ピペット2が係合する係合位置である。係合位置は、各保持溝36の中で一方の端部である。係合位置に対応した各保持溝36の端部は、突出部3bの外周面の曲面形状に対応した凹部で構成された位置決め部12dである。位置決め部12dは、先頭チップ3xの突出部3bの外周面が係合することで、確実にピペット2が係合できるようにする。
【0071】
[チップ送り部]
チップ送り部33は、送り部材37と、駆動源38と、を備えている。駆動源38は、例えば板バネを巻回して構成されたゼンマイばねを備えたゼンマイユニットである。又はコイルバネである。駆動源38は、ベース31の縁部に配置される。
【0072】
送り部材37は、保持器の上側に配置され、駆動源38で発生する駆動力によって、送り部材37を各チップ3の送り方向となる矢印D4方向に移動される。例えば、ベース31において、駆動源38は、保持溝36の係合位置側の一端側に配置され、送り部材37は、他端側に配置される。そして、駆動源38は、送り部材37を矢印D4方向に引っ張るように構成されている。
【0073】
送り部材37は、一面が最後尾チップ3zを押圧する押圧部であり、各保持溝36に対応して、最後尾チップ3zに係合する係合部37aを備えている。係合部37aは、チップ3における突出部3bの外周面の曲面形状に対応した凹部で構成されている。
【0074】
送り部材37は、駆動源38の駆動力によって、最後尾チップ3zに係合部37aが係合した状態で、最後尾チップ3zを常時、係合位置の方向となる矢印D4方向に押圧している。これにより、先頭チップ3xは、最後尾チップ3zと先頭チップ3xとの間のチップ3を介して、位置決め部12dに押圧される。先頭チップ3xは、係合位置に精度良く位置決めされる。
【0075】
[保持器の取付方法]
保持器32にチップ3が挿入される前工程やベース31に保持器32が取り付けられる前工程において、駆動源38は、駆動源38の駆動力に抗して反矢印D4方向に移動され、各保持溝36の他端部側に位置されている。そして、送り部材37は、ロック部材によってロックされている。これにより、ベース31には、保持器32が取付可能である。また、ベース31に保持器32が取り付けられている場合には、各保持溝36に対してチップ3を挿入することが可能である。
【0076】
駆動源38のロックを解除すると、駆動源38の駆動力によって、送り部材37は、矢印D4方向に移動しようとする。これにより、係合部37aは、最後尾チップ3zに係合する。そして、送り部材37は、チップ3の列を各保持溝36の係合位置の方向に押圧する。これにより、先頭チップ3xは、後続チップ3yに押されることによって、位置決め部12dに押圧される。これにより、先頭チップ3xは、係合位置に精度よく位置決めされる。
【0077】
[動作]
第3実施形態でのロボットアーム6は、4チャンネルのピペット2を備えている。各保持溝36から先頭チップ3xを引き抜く場合、制御部9は、ロボットアーム6を駆動し、ピペット2を係合位置に移動する。先頭チップ3xは、高精度に係合位置に位置決めされているので、高い確度をもってピペット2が先頭チップ3xのチップ開口3cに係合される。そして、先頭チップ3xは、各保持溝36から引き抜かれる。
【0078】
先頭チップ3xが各保持溝36からピペット2によって引き抜かれると、最後尾チップ3zが送り部材37に押されていることで、引き抜かれた先頭チップ3xの次に続く後続チップ3yが先頭チップ3xとなって、係合位置に送られる。そして、次の先頭チップ3xは、位置決め部12dに係合する。このような動作が繰り返されることで、チップ保持装置10は、後続チップ3yが順次、先頭チップ3xとして係合位置に送られる。
【0079】
[第3実施形態の効果]
以上のような第3実施形態におけるチップ保持装置30は、以下のように列挙する効果を得ることができる。
【0080】
(3-1)マルチチャンネル(本実施形態では4チャンネル)のピペット2に対応したチップ保持装置30を提供することができる。そして、各保持溝36の後続チップ3yを先頭チップ3xとして係合位置に送り、係合位置において位置決めすることができる。したがって、高い確度で各先頭チップ3xをピペット2に係合することができる。各ピペット2が各先頭チップ3xに係合し損ねることを抑えることで、各保持溝36においてチップ3の送りを円滑に行うことができる。例えば4チャンネルの先頭チップ3xの中の1つの先頭チップ3xだけピペット2が係合しない状態の発生を抑えることができる。
【0081】
(3-2)各先頭チップ3xより上手に位置する各最後尾チップ3zを送り部材37の係合部37aで確実に押圧することができる。そして、送り部材37は、順次後続チップ3yを係合位置に送ることができる。したがって、係合位置にチップ3を円滑に送ることができる。
【0082】
(3-3)係合位置において、各保持溝36の位置決め部12dによって先頭チップ3xを高精度に位置決めできる。これにより、ピペット2を先頭チップ3xに係合させる確度を高めることができる。
【0083】
[第3実施形態の変形例]
なお、第3実施形態のチップ保持装置30は、更に、以下のように適宜変更して実施することもできる。第3実施形態のチップ保持装置10は、上記実施の形態以外に、例えば以下に示される変形例、及び相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例を組み合わせた形態としてもよい。
【0084】
・保持器32におけるチップ3を保持する保持溝36の数は、4本に限定されるものではなく、3本でも、5本以上であってもよい。また、保持溝36は、1本であってもよい。
【0085】
・保持器32にも、保持器32の上側に、送り部材37の通路を確保しながらチップ3を覆うカバー17を設けてもよい。この場合も、カバー17は、各保持溝36の係合位置の上方は塞がないように構成される。
【0086】
・チップ保持装置30において、保持溝36は複数列設けられているが、ピペット2は、4チャンネルのピペット2で構成されていなくてもよい。すなわち、ピペット2は、3チャンネル以下であってもよく、2チャンネルや1チャンネルであってもよい。このような場合、4チャンネルの保持溝36の全ての先頭チップ3xが同時にピペット2に係合しないことになる。
【0087】
[変形例]
なお、第1実施形態~第3実施形態は、更に、以下のように適宜変更して実施することもできる。チップ保持装置10は、上記各実施の形態以外に、例えば以下に示される変形例、及び相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例を組み合わせた形態としてもよい。
【0088】
・第1実施形態及び第2実施形態における保持溝12bは、波線であってもよい。第3実施形態においても、各保持溝36は、蛇行していてもよい。すなわち、保持溝12b及び各保持溝36は、連続した溝であればよい。
【0089】
・第1実施形態及び第2実施形態において、円弧状に延びる保持溝12bにおいて、係合位置は、保持溝12bの一端部に定義されていなくてもよい。例えば、第1実施形態及び第2実施形態において、保持溝12bの一端部と他端部との中間位置を係合位置と定義してもよい。
【0090】
第1実施形態の場合、係合位置から一端部の方向に並ぶチップ3の中で最後尾チップ3zが係合位置の方向に押圧されることになる。また、係合位置から他端部の方向に並ぶチップ3の中で最後尾チップ3zが係合位置の方向に押圧されることになる。第2実施形態の場合、係合位置が傾斜面の中で最も低い位置となる。このような構成であれば、チップ3は順次係合位置に自重で順次送られることになる。
【0091】
また、第3実施形態において、直線溝で構成された保持溝の中程を係合位置としてもよい。この場合も、係合位置から一端部の方向に並ぶチップ3の中で最後尾チップ3zが係合位置の方向に押圧されることになる。また、係合位置から他端部の方向に並ぶチップ3の中で最後尾チップ3zが係合位置の方向に押圧されることになる。
【符号の説明】
【0092】
1…ピペッティング装置
2…ピペット
3…チップ
3a…円錐部
3b…突出部
3c…チップ開口
3d…段差
3x…先頭チップ
3y…順次後続チップ
3y…後続チップ
3z…最後尾チップ
10…チップ保持装置
11…容器
11a…容器開口
11b…内部空間
12…保持器
12b…保持溝
12c…支持段部
12d…位置決め部
14…基板
15…送り板
15a…押圧端部
15b…係合部
15c…ハブ
15d…ツマミ
16…駆動源
17…カバー
17a…通路