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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016888
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
A63F7/02 334
A63F7/02 312A
A63F7/02 311C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119162
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】稲田 浩之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 和也
(72)【発明者】
【氏名】酒井 貴彬
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BC34
2C088DA07
(57)【要約】
【課題】糸などの紐形状の部材を用いたゴトを適切に防止することができる遊技機を提供すること。
【解決手段】パチンコ遊技機では、遊技球が流下可能な遊技領域を有する遊技盤2と、発射装置から発射された遊技球を遊技領域に案内する案内路と、基端部において揺動可能に案内路に設けられ、遊技領域から案内路に遊技球が戻ることを防止する球戻り防止板27と、球戻り防止板27の揺動軸29の延びる方向での一方の方向に配設され、遊技球に固定された糸を切断する糸切カッタ36とが配設されている。そして、球戻り防止板27が、先端部において糸切カッタ36に向って傾斜する傾斜部37を有している。これにより、遊技球に固着されている糸を傾斜部37に沿って誘導し、糸などの紐形状の部材を用いたゴトを適切に防止することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下可能な遊技領域を有する遊技盤と、
発射装置から発射された遊技球を前記遊技領域に案内する案内路と、
基端部において揺動可能に前記案内路に設けられ、前記遊技領域から前記案内路に遊技球が戻ることを防止する球戻り防止板と、
前記球戻り防止板の揺動軸の延びる方向での一方の方向に配設され、前記案内路を経由して前記遊技領域に入り込む紐形状の部材を切断する切断部材と、
を備え、
前記球戻り防止板が、先端部において前記切断部材に向って傾斜する傾斜部を有することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記傾斜部が、前記球戻り防止板の先端部の全域において前記切断部材に向って傾斜することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記切断部材が、前記球戻り防止板と刃先を対向させた状態のカッタを有し、前記傾斜部によって前記カッタと前記球戻り防止板との間に誘導された前記紐形状の部材を切断することを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記球戻り防止板が、先端部において前記切断部材に向って傾斜する傾斜部と、前記傾斜部から連続し前記傾斜部と反対の方向に傾斜する逆傾斜部と、前記傾斜部と前記逆傾斜部との間に形成されたスリットとを備えることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項5】
前記球戻り防止板の揺動軸の延びる方向での他方の方向に配設され、前記案内路を経由して前記遊技領域に入り込む紐形状の部材を切断する第2の切断部材を更に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の遊技機。









【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機などの遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機などの遊技機には、糸などの紐形状の部材が固着されている遊技球等のゴトに対応するべく遊技球に固着されている紐形状の部材を切断するための切断部材が配設されているものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2018-064926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようにパチンコ遊技機では、紐形状の部材を用いたゴトを適切に防止することが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、上記の要望を満たすために創出されたものであって、紐形状の部材を用いたゴトを適切に防止することができる遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するため、本発明の遊技機は、遊技球が流下可能な遊技領域を有する遊技盤と、発射装置から発射された遊技球を前記遊技領域に案内する案内路と、基端部において揺動可能に前記案内路に設けられ、前記遊技領域から前記案内路に遊技球が戻ることを防止する球戻り防止板と、前記球戻り防止板の揺動軸の延びる方向での一方の方向に配設され、前記案内路を経由して前記遊技領域に入り込む紐形状の部材を切断する切断部材と、を備え、前記球戻り防止板が、先端部において前記切断部材に向って傾斜する傾斜部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の遊技機では、遊技球が流下可能な遊技領域を有する遊技盤と、発射装置から発射された遊技球を遊技領域に案内する案内路と、基端部において揺動可能に案内路に設けられ、遊技領域から案内路に遊技球が戻ることを防止する球戻り防止板と、球戻り防止板の揺動軸の延びる方向での一方の方向に配設され、案内路を経由して遊技領域に入り込む紐形状の部材を切断する切断部材とが配設されている。そして、球戻り防止板が、先端部において切断部材に向って傾斜する傾斜部を有している。これにより、紐形状の部材を傾斜部に沿って誘導し、紐形状の部材を用いたゴトを適切に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るパチンコ遊技機の正面図である。
図2図1に示すパチンコ遊技機に設けられた球戻り防止板、糸切カッタ等の拡大図である。
図3図2のAA線の断面図である。
図4図1に示すパチンコ遊技機に設けられた表示器類の拡大図である。
図5図1に示すパチンコ遊技機に設けられた主制御基板および周辺機器の電気的構成を示すブロック図である。
図6図1に示すパチンコ遊技機に設けられたサブ制御基板および周辺機器の電気的構成を示すブロック図である。
図7】2個の糸切カッタが配設された球戻り防止板を示す拡大断面図である。
図8】V字型の先端部を有する球戻り防止板を示す拡大断面図である。
図9】2個の糸切カッタが配設された球戻り防止板を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の各実施形態では、本発明の遊技機としてパチンコ遊技機を例に挙げて説明する。
【0010】
本発明の実施形態に係るパチンコ遊技機について図を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、パチンコ遊技機の各部の方向を説明する場合は、そのパチンコ遊技機と対向して遊技を行う遊技者から見た方向を基準とする。具体的には、パチンコ遊技機の各部の左右方向および上下方向は、遊技者から見た左右方向および上下方向とする。また、遊技者に近づく方向を前方とし、遊技者から遠ざかる方向を後方とする。
【0011】
[パチンコ遊技機の主要構成]
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、遊技機枠16を備える。遊技機枠16は、前方側から順に、前面枠18、内枠(図示せず)、外枠(図示せず)によって構成される。前面枠18は、ハンドル4と、打球供給皿(上皿ともいう)24と、余剰球受皿(下皿ともいう)25と、演出ボタン9と、演出レバー6と、スピーカ8と、左サイドランプ23aと、右サイドランプ23bとを備えている。
【0012】
ハンドル4は、前面枠18のうち右下、つまり、パチンコ遊技機1と対向して遊技を行う遊技者が右手で握ることができる位置に設けられている。ハンドル4は、タッチスイッチ92(図5)と、発射レバー4aと、発射停止ボタン4bとを備えている。タッチスイッチ92は、遊技者がハンドル4に触れたことを示す信号を出力するものであり、ハンドル4を握った遊技者の右手が触れる部分に配置されている。発射レバー4aは、遊技球の発射強度を調整するためのものであり、ハンドル4に回動可能に設けられている。発射停止ボタン4bは、遊技球が発射されているときに遊技球の発射を停止するためのものであり、ハンドル4を握った右手の親指により操作可能な位置に設けられて居る。打球供給皿(上皿ともいう)24は、前面枠18のうち中央下側に設けられている。打球供給皿24は、発射装置90(図5)に供給する遊技球を貯留するためのものである。打球供給皿24は、貸球払出装置80(図5)および賞球払出装置400(図5)から払出された遊技球を貯留する。余剰球受皿(下皿ともいう)25は、前面枠18のうち打球供給皿24の下方に設けられている。余剰球受皿25は、打球供給皿24の貯留可能数を超えた遊技球を貯留する。
【0013】
演出ボタン9は、前面枠18のうち打球供給皿24の上方を覆う部分に設けられている。換言すると、演出ボタン9は、前面枠18のうち、パチンコ遊技機1と対向する遊技者が右手または左手で押圧操作可能な位置に設けられている。本実施形態では、演出ボタン9はプッシュオン式のボタンスイッチである。演出ボタン9には、演出ボタンランプ9c(図6)と、演出ボタン振動モータ9b(図6)とが内蔵されている。演出ボタンランプ9cは、演出ボタン9の押圧操作が有効な期間に演出ボタン9が押圧操作されたときに点灯または点滅する。演出ボタン9の表面は透光性材料によって形成されており、演出ボタンランプ9cが発した光を遊技者が視認できるように工夫されている。演出ボタン振動モータ9bは、演出ボタン9を振動させるものであり、演出ボタン9の押圧操作が有効な期間において所定のタイミングで振動する。本実施形態では、演出ボタンランプ9cはLEDである。
【0014】
演出ボタン9には、押圧操作された演出ボタン9を押圧操作前の位置に復帰させるためのバネなどの弾性部材(図示せず)が内蔵されており、演出ボタン9は、押圧操作状態が解除されると、上記弾性部材の復元力によって押圧操作前の状態に復帰する。遊技者が、演出ボタン9の押圧操作が有効な期間に演出ボタン9を押圧操作すると、特定の演出が行われる。以下、演出ボタン9の操作を契機として行われる特定の演出のことをボタン演出という。
【0015】
前面枠18のうち余剰球受皿25の左方、つまり、前面枠18のうち下側の左端寄りには、演出レバー6が設けられている。換言すると、演出レバー6は、前面枠18のうち、パチンコ遊技機1と対向した遊技者が左手で操作可能な位置に設けられている。つまり、演出レバー6は、前面枠18のうち、パチンコ遊技機1と対向した遊技者が左手で操作可能な位置に設けられており、演出ボタン9は、前面枠18のうち、遊技者が左手で演出レバー6を操作している状態で、右手で押圧操作可能な位置に設けられている。
演出レバー6は、左手で掴むことができる棒状に形成されており、右回転または左回転の回転操作の他、後方への押し込み操作が可能である。また、演出レバー6には、演出レバー振動モータ6f(図6)が設けられている。演出レバー振動モータ6fは、演出レバー6を振動させるものであり、演出レバー6の操作が有効な期間において所定のタイミングで振動する。遊技者が、演出レバー6の操作が有効な期間に演出レバー6を操作すると、特定の演出が行われる。以下、演出レバー6の操作を契機として行われる特定の演出のことをレバー演出という。
【0016】
また、前面枠18のうち、左側には左サイドランプ23aが設けられており、右側には右サイドランプ23bが設けられている。左サイドランプ23aおよび右サイドランプ23bが設けられている部分の前面枠18は透光性を有し、その透光性を有する部分の内側には複数のLEDが配置されている。各LEDは、それぞれ複数色を発光可能であり、演出内容に応じて点灯または点滅し、さらに発光色を変化させる。スピーカ8は、前面枠18のうち上部の左右の隅部にそれぞれ設けられており、音楽、効果音および報知音などの音を演出内容に応じて出力する。
【0017】
また、パチンコ遊技機1は、遊技盤2と、ガラス板5と、演出表示装置7とを備える。遊技盤2は、パチンコ遊技機1の略中央、つまり、遊技者の顔と略正対する位置に配置されている。演出表示装置7は、遊技盤2の後側に配置されており、その画面が遊技盤2の略中央から露出している。遊技盤2は、固定入賞装置10と、第1大入賞装置30と、第2大入賞装置33と、ゲート12と、普通可変入賞装置(電チューともいう)20と、一般入賞口13と、表示器類50と、センター装飾体14と、レール部材17とを備える。なお、遊技盤2が本発明の遊技盤の一例である。
【0018】
遊技盤2の盤面には、遊技球が流下(転動)する遊技領域3が形成されている。遊技領域3は、演出表示装置7の画面の左方に形成された左遊技領域3Aと、演出表示装置7の画面の右方に形成された右遊技領域3Bとを有する。なお、遊技領域3が本発明の遊技領域の一例である。遊技盤2の盤面には、遊技球の流下方向を変化させるための複数の遊技釘(図示せず)が打ち込まれている。遊技盤2の盤面の前方は、透明のガラス板5によって覆われている。また、図1には示さないが、遊技盤2の複数箇所には、LEDが設けられている。それら各LEDを総称して盤ランプ(図6において符号2aで示す)という。盤ランプ2aを構成する各LEDは、複数色を発光可能であり、演出内容に応じて点灯または点滅し、さらに発光色を変化させる。つまり、パチンコ遊技機1は、遊技制御中に演出内容に応じて左サイドランプ23a、右サイドランプ23bおよび盤ランプ2aを点灯または点滅させ、各スピーカ8から音を出力する。
【0019】
固定入賞装置10は、遊技盤2のうち下側の略中央に配置されている。固定入賞装置10は、遊技球が1個ずつ入賞可能な第1始動口11を有する。第1始動口11は常時開口しており、遊技球が第1始動口11に入賞する確率は略変動しない。ゲート12は、右遊技領域3Bに配置されており、右遊技領域3Bを流下する遊技球が通過可能に構成されている。普通可変入賞装置20は、右遊技領域3Bのうちゲート12の下方に配置されている。普通可変入賞装置20は、可動部材21を備える。可動部材21は、基端を回動軸にして回動可能に構成されており、可動部材21が開閉動作することにより、第2始動口22が開閉する。可動部材21が開作動すると、第2始動口22が開口され、遊技球が第2始動口22に1個ずつ入賞し易い状態になる。また、可動部材21が閉作動すると、第2始動口22が閉口され、遊技球が第2始動口22に入賞することができない状態になる。
【0020】
第1大入賞装置30は、遊技盤2のうち固定入賞装置10の右方に配置されており、第2大入賞装置33は、第1大入賞装置30の上側に配置されている。第1大入賞装置30は、第1大入賞口32を開閉する第1開閉部材31を備えており、第2大入賞装置33は、第2大入賞口35を開閉する第2開閉部材34を備える。第1大入賞口32および第2大入賞口35は、それぞれ同時に複数の遊技球が入賞可能な大きさに形成されている。本実施形態では、第1開閉部材31および第2開閉部材34は、それぞれ左右方向に長い板状に形成されており、左右の下端を回動軸にして回動可能に構成されている。以下、第1大入賞口32および第2大入賞口35に共通の事項を説明する場合は、単に大入賞口という。
【0021】
第2大入賞装置33の内部には、第2大入賞口35に入賞した遊技球が通過可能な領域である特定領域(図示せず)および非特定領域(図示せず)が形成されている。また、第2大入賞装置33の内部には、第2大入賞口35に入賞した遊技球を特定領域または非特定領域に振り分ける振分部材(図示せず)と、この振分部材を駆動する振分部材ソレノイド35d(図5)とが設けられている。
【0022】
また、表示器類50は、遊技盤2のうち遊技領域3の外側であって第1大入賞装置30の下方に設けられている。図4に示すように、表示器類50は、第1特別図柄(第1特図ともいう)を変動表示する第1特別図柄表示器51と、第2特別図柄(第2特図ともいう)を変動表示する第2特別図柄表示器52と、普通図柄(普図ともいう)を変動表示する普通図柄表示器53とを備える。さらに、表示器類50は、第1特別図柄表示器51の作動保留の記憶数を表示する第1特図保留表示器51aと、第2特別図柄表示器52の作動保留の記憶数を表示する第2特図保留表示器52aと、普通図柄表示器53の作動保留の記憶数を表示する普図保留表示器53aとを備える。以下、第1特別図柄および第2特別図柄に共通の事項を説明する場合は、単に特別図柄という。
【0023】
本実施形態では、第1特別図柄表示器51および第2特別図柄表示器52は、それぞれ8個のLEDから構成されている。点灯したLED(□)および消灯したLED(■)がそれぞれ特別図柄を表しており、LEDの点灯箇所が所定方向(たとえば、左から右)へ流れる状態が特別図柄の変動表示を表している。
【0024】
また、本実施形態では、普通図柄表示器53は、2個のLEDから構成されている。点灯したLED(○)および消灯したLED(●)が普通図柄を表しており、各LEDが交互に点灯する状態が普通図柄の変動表示を表している。また、遊技球がゲート12を通過すると普通図柄の抽選が実行され、普通図柄表示器53が普通図柄を変動表示する。そして、普通図柄表示器53は、普通図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、普通図柄の抽選結果に対応する普通図柄を確定表示する。普通図柄表示器53が確定表示した普通図柄が、当たりを示す普通図柄であった場合は、普通可変入賞装置20が作動して可動部材21が開閉し、第2始動口22が開閉する。
【0025】
遊技球が第1始動口11に入賞すると大当たり抽選が実行され、第1特別図柄表示器51が第1特別図柄を変動表示する。そして、第1特別図柄表示器51は、第1特別図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、大当たり抽選の結果に対応する第1特別図柄を確定表示する。ここで、確定表示された第1特別図柄が、大当たりを示す図柄であった場合は、大当たりが発生し、第1大入賞装置30が作動して第1開閉部材31が開閉し、第1大入賞口32が開閉する。また、遊技球が第2始動口22に入賞すると大当たり抽選が実行され、第2特別図柄表示器52が第2特別図柄を変動表示する。そして、第2特別図柄表示器52は、第2特別図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、大当たり抽選の結果に対応する第2特別図柄を確定表示する。ここで、確定表示された第2特別図柄が、大当たりを示す図柄であった場合は、大当たりが発生し、第2大入賞装置33が作動して第2開閉部材34が開閉し、第2大入賞口35が開閉する。
【0026】
以下、大入賞口が開口してから閉口するまでに要する期間を大入賞口の開口期間といい、大入賞口が開口してから次回開口するまでの期間をラウンドという。また、最初のラウンドから最終ラウンドが終了するまでの遊技を大当たり遊技という。大当たり抽選において大当たりが抽選された場合は、大当たりの種類が抽選される。大当たりの種類には、開閉する大入賞口(第1大入賞口32および第2大入賞口35の一方または両方)、大入賞口の開口期間、実行可能な最大ラウンド数などが決められている。
【0027】
パチンコ遊技機1には、大当たりの抽選において大当たりが抽選される確率(以下、大当たり確率という)として、通常の確率(以下、通常確率という)と、通常の確率よりも高い確率(以下、高確率という)とが設定されている。以下、大当たり確率が通常確率の遊技状態を通常遊技状態といい、大当たり確率が高確率の遊技状態を確変遊技状態という。パチンコ遊技機1では、大当たり遊技中に第2大入賞口35に入賞した遊技球が、前述した特定領域を通過すると、大当たり遊技が終了した後の遊技状態が、確変遊技状態に移行する。つまり、本実施形態のパチンコ遊技機1は、いわゆるV確機と呼ばれる機種である。
【0028】
一般入賞口13は、遊技盤2のうち固定入賞装置10の左方に配置されている。レール部材17は、遊技盤2の周囲に沿って配置されている。レール部材17は、発射装置90(図5)によって発射された遊技球を遊技領域3に案内する案内路26を区画しており、発射装置90によって発射された遊技球が案内路26に沿って遊技領域3に案内される。また、案内路26を区画するレール部材17の先端部には、球戻り防止板27が配設されている。詳しくは、図2及び図3に示すように、レール部材17の先端部にベース28が固定されており、そのベース28に球戻り防止板27が揺動軸29を中心に揺動可能に配設されている。揺動軸29は、遊技盤2に対して概して垂直方向に延び出しており、球戻り防止板27は、図2に示す所定の角度で揺動軸29により支持されている。球戻り防止板27は、概して矩形の板形状であり、揺動軸29により所定の角度で支持されることで、案内路26を塞いでいる。ただし、球戻り防止板27は案内路26を完全に塞いではおらず、球戻り防止板27の先端より上方に遊技球の直径より小さな隙間がある。また、球戻り防止板27は、弾性力等に依拠して所定の角度が維持されるように揺動軸29により支持されている。このため、遊技球が発射装置90により発射されると、球戻り防止板27に接触し、揺動軸29を中心に揺動する。これにより、遊技球が球戻り防止板27の先端の上方の隙間を通って遊技領域3に発射される。そして、遊技球が球戻り防止板27の先端の上方の隙間を通ると、球戻り防止板27が所定の角度に復元し、案内路26を塞ぐ。これにより、球戻り防止板27が、遊技領域3に発射された遊技球が遊技領域3から案内路26に戻ることを防止する。なお、発射装置90が本発明の発射装置の一例である。また、案内路26が本発明の案内路の一例である。また、球戻り防止板27が本発明の球戻り防止板の一例である。また、揺動軸29が本発明の揺動軸の一例である。
【0029】
また、球戻り防止板27の揺動軸29の延びる方向でのガラス板5の側の側面には、糸切カッタ36が配設されている。糸切カッタ36は刃先を上方に向けた姿勢で球戻り防止板27の側面に固定されており、糸切カッタ36の刃先は球戻り防止板27の側面を向いている。このため、糸切カッタ36の刃先と球戻り防止板27の側面とで概してV字型の溝を区画している。そして、遊技球に糸が固着されている場合に、遊技球が球戻り防止板27の先端の上方の隙間を通った後に、遊技球に固着されている糸が、糸切カッタ36の刃先と球戻り防止板27の側面との間に入り込んで糸切カッタ36により切断される。つまり、遊技者がゴトを目的として、糸が固着された遊技球を遊技領域3に進入させるために、糸が固着された遊技球を発射装置90により発射する場合がある。このような場合に、糸が固着された遊技球が案内路26において球戻り防止板27の先端の上方の隙間を通った後に、遊技球に固着されている糸が、球戻り防止板27の先端からガラス板5の方向に垂れ下がって糸切カッタ36により切断される。これにより、糸が固着された遊技球によるゴト、つまり、糸などの紐形状の部材を用いたゴトを適切に防止することができる。ちなみに、糸などの紐形状の部材は遊技球に付いていればよく、固着,付着,貼着,固定,接着,粘着などの種々の方法により紐形状の部材は遊技球に付いている。なお、糸切カッタ36が本発明の切断部材の一例である。
【0030】
ただし、従来のパチンコ遊技機では、糸が固着された遊技球が案内路26において球戻り防止板27の先端の上方の隙間を通った後に、遊技球に固着されている糸が、球戻り防止板27の先端から遊技盤2の方向に垂れ下がる場合があった。このような場合には、遊技球に固着されている糸は糸切カッタ36により切断されず、糸が固着された遊技球によるゴトを防止することができない。このようなことに鑑みて、パチンコ遊技機1では、球戻り防止板27の先端部に糸切カッタ36に向って傾斜する傾斜部37が形成されている。傾斜部37は、球戻り防止板27の先端部の全域において糸切カッタ36に向って傾斜している。このため、糸が固着された遊技球が案内路26において球戻り防止板27の先端の上方の隙間を通った後に、遊技球に固着されている糸が、球戻り防止板27の傾斜部37によって糸切カッタ36の刃先と球戻り防止板27の側面との間に向って誘導されて、糸切カッタ36により切断される。つまり、遊技球に固着されている糸が、球戻り防止板27の傾斜部37に沿ってガラス板5の方向に垂れ下がって、糸切カッタ36により切断される。このように、球戻り防止板27の先端に傾斜部37を形成することで、糸などの紐形状の部材を用いたゴトを適切に防止することができる。なお、傾斜部37が本発明の傾斜部の一例である。
【0031】
また、遊技盤2の下部中央には、どこにも入賞しなかった遊技球を排出するためのアウト口19が開口している。センター装飾体14は、遊技盤2のうち上部に配置されている。センター装飾体14は透光性を有し、その内側には、演出内容に応じて点灯・点滅する複数のLEDが設けられている。
また、パチンコ遊技機1は、可動体15を備える。可動体15は、センター装飾体14の後方に配置されている。図1は、可動体15がセンター装飾体14に略隠れた状態を示す。可動体15は、演出内容に応じて所定のタイミングで下方に降下し、遊技者から視認可能な状態に変位する。
【0032】
演出表示装置7は、演出画像、メッセージ画像、デモンストレーション画像などの動画像および静止画像を表示する。遊技者は、それらの画像をパチンコ遊技機1の前方から見ながら遊技を行う。演出表示装置7は、演出画像として、演出図柄を特別図柄の変動表示と同期して変動表示する。本実施形態では、演出図柄は、1~9の算用数字を表した図柄である。なお,演出図柄には、アルファベットや特別なキャラクタなど、数字以外を表した図柄を含めてもよいし、数字以外を表した図柄と組み合わせてもよい。本実施形態では、演出表示装置7が演出図柄を表示する領域として、左から順に、左演出図柄表示領域、中演出図柄表示領域、右演出図柄表示領域が設定されている。左演出図柄表示領域では左演出図柄9Lが、中演出図柄表示領域では中演出図柄9Cが、右演出図柄表示領域では右演出図柄9Rがそれぞれ変動表示される。
【0033】
本実施形態では、各演出図柄の主な変動態様は、演出図柄が表す数字が昇順となるように画面の上から下に移動する変動態様、つまり、縦方向にスクロールする変動態様である。なお、画面の左右の一方から他方へ移動する横スクロール方式、同じ表示位置にて変動する方式などを用いることもできる。また、演出表示装置7は、演出画像として各演出図柄の背景に背景画像を表示する。たとえば、背景画像は、テレビドラマや映画などをアニメ化した動画像あるいは実写動画像、さらには、アニメーションなどである。本実施形態では、演出表示装置7は、液晶表示装置である。なお、演出表示装置7として、有機EL表示装置、ドットマトリクスLEDを使った表示装置などを用いることもできる。
【0034】
演出表示装置7は、各演出図柄を特別図柄の変動表示と同期して変動表示し、特別図柄が確定表示されると同時に各演出図柄を確定表示する。ここで、確定表示とは、上下に揺れたり、再変動したりすることなく、完全に停止した表示状態のことである。
【0035】
以下、大当たり抽選の結果が大当たりであったことを表す演出図柄を大当たり図柄といい、大当たり抽選の結果がハズレであったことを表す演出図柄をハズレ図柄という。本実施形態では、大当たり図柄は、各演出図柄が同じ数字を表す演出図柄で揃った状態、いわゆる、ぞろ目の状態である。たとえば、図1に示すように、確定表示された左演出図柄9L、中演出図柄9Cおよび右演出図柄9Rがそれぞれ「7」で揃った状態である。また、ハズレ演出図柄は、各演出図柄が表す数字が1つ以上異なる状態、つまり、ぞろ目ではない状態の図柄である。たとえば、確定表示された左演出図柄9Lが「7」、中演出図柄9Cが「6」、右演出図柄9Rが「7」の状態である。
【0036】
以下、演出表示装置7が特別図柄と同期して表示する演出図柄および背景画像から成る画像を変動パターンという。
【0037】
[パチンコ遊技機の主な電気的構成]
次に、パチンコ遊技機1の主な電気的構成について図5および図6を参照しつつ説明する。
パチンコ遊技機1は、主制御基板60(図5)と、払出制御基板73(図5)と、サブ制御基板100(図6)と、画像制御基板200(図6)とを備えている。
【0038】
図5に示すように、主制御基板60には、遊技制御用ワンチップマイコン(以下、遊技制御用マイコンという)61が実装されている。遊技制御用マイコン61は、メインCPU62と、ROM63と、RAM64と、入出力回路65とを備えている。メインCPU62は、入賞の検出、大当たり抽選、各種乱数の更新などを実行する。ROM63には、メインCPU62が実行するコンピュータプログラム、大当たり判定テーブル(図示せず)、大当たり種別判定テーブル(図示せず)などの各種のテーブルが記憶されている。遊技制御用マイコン61は、大当たり抽選に使用する大当たり乱数など、各種の抽選に使用する乱数を発生する。大当たり判定テーブルには、大当たり乱数が遊技状態(通常遊技状態および確変遊技状態)と対応付けて記憶されている。メインCPU62は、大当たり抽選を行うときに取得した大当たり乱数が大当たり判定テーブルに記憶されている大当たり乱数と一致したときに大当たりと判定する。
【0039】
RAM64は、メインCPU62がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリなどとして使用される。また、RAM64には、第1特図保留記憶部64aと、第2特図保留記憶部64bと、普図保留記憶部64cとが設けられている。第1特図保留記憶部64aは、遊技球が第1始動口11(図1)に入賞したことに起因してメインCPU62が取得した大当たり乱数などが記憶される。第1特別図柄表示器51(図4)が第1特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第1始動口11(図1)に入賞したときは、その入賞に起因する第1特別図柄の変動表示は一旦保留(作動保留)され、その入賞に起因して取得された大当たり乱数などは第1特図保留記憶部64a(図5)に記憶される。第1特別図柄の保留された変動表示は、現在行われている第1特別図柄の変動表示が終了した次に行われる。本実施形態では、第1特図保留記憶部64aは、計4つの保留を行うための記憶領域を有し、第1特別図柄の作動保留の記憶数は最大4個である。
【0040】
第2特図保留記憶部64bは、遊技球が第2始動口22(図1)に入賞したことに起因してメインCPU62が取得した大当たり乱数などが記憶される。第2特別図柄表示器52(図4)が第2特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第2始動口22(図1)に入賞したときは、その入賞に起因する第2特別図柄の変動表示は一旦保留(作動保留)され、その入賞に起因して取得された大当たり乱数などは第2特図保留記憶部64b(図5)に記憶される。第2特別図柄の保留された変動表示は、現在行われている第2特別図柄の変動表示が終了した次に行われる。本実施形態では、第2特図保留記憶部64bは、計4つの保留を行うための記憶領域を有し、第2特別図柄の作動保留の記憶数は最大4個である。
【0041】
普図保留記憶部64cは、遊技球がゲート12(図1)を通過したことに起因してメインCPU62が取得した普通当たり乱数(普通図柄が当たりか否かを抽選するための乱数)が記憶される。普通図柄表示器53が普通図柄を変動表示しているときに遊技球がゲート12を通過したときは、その通過に起因する普通図柄の変動表示は一旦保留(作動保留)され、その通過に起因して取得された普通当たり乱数は普図保留記憶部64cに記憶される。普通図柄の保留された変動表示は、現在行われている普通図柄の変動表示が終了した次に行われる。本実施形態では、普図保留記憶部64cは、計4つの保留を行うための記憶領域を有し、普通図柄の作動保留の記憶数は最大4個である。
【0042】
また、主制御基板60には、RAMクリアスイッチ66が搭載されている。パチンコ遊技機1は、RAMクリアスイッチ66が押下された状態で起動すると、RAM64およびサブ制御基板100のRAM120(図6)を初期化する。また、主制御基板60には、表示器類50が電気的に接続されている。さらに、主制御基板60には、中継基板74を介して第1始動口センサ11aと、第2始動口センサ22aと、ゲートセンサ12aと、第1大入賞口センサ32aと、第2大入賞口センサ35aと、特定領域センサ35bと、非特定領域センサ35cと、一般入賞口センサ13aと、電チューソレノイド20aと、第1大入賞口ソレノイド30aと、第2大入賞口ソレノイド33aと、振分部材ソレノイド35dとが電気的に接続されている。
【0043】
第1始動口センサ11aは、第1始動口11(図1)の直下に設けられており、遊技球が第1始動口11に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。第2始動口センサ22aは、第2始動口22(図1)の直下に設けられており、遊技球が第2始動口22に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。ゲートセンサ12aは、ゲート12(図1)のうち遊技球の通過領域に設けられており、遊技球がゲート12を通過したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。第1大入賞口センサ32aは、第1大入賞口32(図1)の直下に設けられており、遊技球が第1大入賞口32に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。第2大入賞口センサ35aは、第2大入賞口35(図1)の直下に設けられており、遊技球が第2大入賞口35に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。特定領域センサ35bは、第2大入賞口35(図1)の内部の特定領域内に設けられており、遊技球が特定領域を通過したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。非特定領域センサ35cは、第2大入賞口35(図1)の内部の非特定領域に設けられており、遊技球が非特定領域を通過したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。一般入賞口センサ13aは、一般入賞口13(図1)の直下に設けられており、遊技球が一般入賞口13に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。
【0044】
電チューソレノイド20aは、普通可変入賞装置20の可動部材21(図1)を開閉駆動する。第1大入賞口ソレノイド30aは、第1大入賞装置30の第1開閉部材31(図1)を開閉駆動する。第2大入賞口ソレノイド33aは、第2大入賞装置33の第2開閉部材34(図1)を開閉駆動する。振分部材ソレノイド35dは、第2大入賞装置33の内部に設けられた振分部材を駆動する。
【0045】
また、主制御基板60には、払出制御基板73を介して貸球払出装置80と、カードユニット76と、賞球払出装置400とが電気的に接続されている。カードユニット76は、パチンコ遊技機1に隣接して設けられており、プリペイドカードに対して残高の読取りや書き込みなどを行う。貸球払出装置80は、球貸モータ81と、球貸センサ82とを備えている。球貸モータ81は、貸球としての遊技球を払出す部材を駆動し、球貸センサ82は、その部材によって遊技球が払出されたことを示す信号を、払出制御基板73を介して主制御基板60へ出力する。遊技制御用マイコン61は、払出制御基板73から出力される信号に基づいて、貸球払出装置80が払出した貸球数を計数する。カードユニット76に挿入されたプリペイドカードに、払出可能な最小残高以上の残高が記録されているときに、球貸ボタン(図示せず)が操作されると、貸球払出装置80が作動し、最小単位個数の貸球が打球供給皿24に払出される。
【0046】
賞球払出装置400は、賞球モータ401と、賞球センサ402とを備えている。賞球モータ401は、賞球としての遊技球を払出す部材を駆動し、賞球センサ402は、その部材によって遊技球が払出されたことを示す信号を払出制御基板73を介して主制御基板60へ出力する。遊技制御用マイコン61は、払出制御基板73から出力される信号に基づいて、賞球払出装置400が払出した賞球数を計数する。
【0047】
また、主制御基板60には、発射制御回路75を介して発射装置90が電気的に接続されている。発射装置90は、発射モータ91と、タッチスイッチ92と、発射ボリューム93とを備えている。発射モータ91は、遊技球を打撃して発射する打撃槌(図示せず)を駆動する。タッチスイッチ92は、遊技者がハンドル4を握ったことに対応する信号を出力する。発射ボリューム93は、発射レバー4a(図1)の回転量に応じて、上記打撃槌が遊技球を打撃する強度を調節する。
【0048】
また、パチンコ遊技機1は、電源基板70を備えている。電源基板70は、主制御基板60および払出制御基板73に電力を供給する。また、電源基板70は、払出制御基板73に電気的に接続された各装置に対して、払出制御基板73を介して電力を供給する。また、電源基板70は、中継基板74に電気的に接続された各センサおよびソレノイドに対して、主制御基板60から中継基板74を介して電力を供給する。また、電源基板70は、主制御基板60に電気的に接続された表示器類50に対して、主制御基板60を介して電力を供給する。
電源基板70には、バックアップ電源回路71が設けられている。バックアップ電源回路71は、パチンコ遊技機1に対して外部から電力が供給されていない場合に、主制御基板60のRAM64などに対して情報の保持に必要な電力を供給する。電源基板70には、電源基板70へ電力を供給する主電源をオンオフするための電源スイッチ72が電気的に接続されている。
【0049】
主制御基板60は、サブ制御基板100(図5)に対して各種コマンドを送信する。主制御基板60は、コマンドをサブ制御基板100へ送信することはできるが、サブ制御基板100は、主制御基板60へコマンドを送信することができない。つまり、主制御基板60とサブ制御基板100との通信は、主制御基板60からサブ制御基板100へ送信することのみが可能な単方向通信となっている。
【0050】
図6に示すように、サブ制御基板100には、演出制御用ワンチップマイコン(以下、演出制御用マイコンという)101が実装されている。演出制御用マイコン101は、サブCPU102と、ROM110と、RAM120と、入出力回路103とを備えている。サブCPU102は、遊技に伴って演出を制御する。ROM110には、サブCPU102が演出を制御するためのコンピュータプログラム、複数種類の変動パターンが設定された変動パターンテーブル(図示せず)などの各種のテーブルが記憶されている。RAM120は、サブCPU102がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリとして使用される。入出力回路103は、サブ制御基板100に接続された各基板などとの間でデータの送信または受信を行う。
【0051】
画像制御基板200には、画像制御用CPU202と、VDP201(Video Display Processor)と、制御用ROM203と、制御用RAM204と、CGROM(Character Generator Read Only Memory)205と、VRAM(Video Random Access Memory)206とが実装されている。画像制御用CPU202は、変動パターンなどの演出画像を表示するよう演出表示装置7を制御する。制御用ROM203には、画像制御用CPU202が演出表示装置7を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。制御用RAM204は、画像制御用CPU202がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリとして使用される。CGROM205には、演出表示装置7が変動パターンなどの演出画像を表示するための画像データが記憶されている。VDP201は、画像制御用CPU202によって作成されるディスプレイリストに従って、CGROM205から画像データを読み出し、その読出した画像データをVRAM206内の展開領域に展開する。そして、VDP201は、VRAM206内に展開した画像データを合成し、その合成した画像データをVRAM206内のフレームバッファに記憶する。そして、VDP201は、VRAM206内のフレームバッファに記憶した画像データをRGB信号に変換して演出表示装置7に出力する。これにより、演出表示装置7は、変動パターンなどの演出画像を表示する。
【0052】
サブ制御基板100には、ランプ制御基板79を介して左サイドランプ23a、右サイドランプ23bおよび盤ランプ2aが電気的に接続されている。演出制御用マイコン101は、ROM110に記憶されているデータを用いて各ランプの発光態様を決める発光パターンデータを作成し、その発光パターンデータをランプ制御基板79に送信する。そして、ランプ制御基板79は、受信した発光パターンデータに従って各ランプの発光制御を行う。
【0053】
ランプ制御基板79には、中継基板77を介して可動体15が電気的に接続されている。可動体15は、可動体15を動作させるための装置(図示せず)が接続されており、その装置には、その装置を駆動するための可動体モータ(図示せず)が接続されている。演出制御用マイコン101は、ROM110に記憶されているデータを用いて可動体15の動作態様を決める動作パターンデータを作成し、その動作パターンデータをランプ制御基板79に送信する。そして、動作パターンデータを受信したランプ制御基板79は、その動作パターンに従って中継基板77を介して上記可動体モータを駆動し、可動体15の動作制御を行う。
【0054】
サブ制御基板100には、音声制御基板78を介して各スピーカ8が電気的に接続されている。音声制御基板78には、音声制御用CPU(図示せず)と、音声データROM(図示せず)と、音声合成回路(図示せず)と、アンプ(図示せず)とが搭載されている。音声データROMには、各スピーカ8が音楽や効果音などの音を出力するための音声データが記憶されている。音声制御用CPUは、主制御基板60から受信したコマンドに基づいて音声データROMから音声データを読出し、その読出した音声データを音声合成回路に出力する。音声合成回路は、入力した音声データを合成するとともに、その合成した合成音声データをアナログの音声信号に変換してアンプに出力する。アンプは、入力した音声信号を増幅して各スピーカ8に出力する。そして、各スピーカ8は、入力した音声信号により示される音を出力する。
【0055】
また、サブ制御基板100には、演出ボタン検出スイッチ9aと、演出レバー押込検出スイッチ6gと、演出レバー回転検出スイッチ6hとが電気的に接続されている。演出ボタン検出スイッチ9aは、演出ボタン9が押圧操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力する。演出制御用マイコン101は、演出ボタン検出スイッチ9aから入力した信号に基づいて、ボタン演出を実行する。演出レバー押込検出スイッチ6gは、演出レバー6が押込操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力する。演出制御用マイコン101は、演出レバー押込検出スイッチ6gから入力した信号に基づいて、演出レバー6が押込操作されたときに行うレバー演出を実行する。演出レバー回転検出スイッチ6hは、演出レバー6が回転操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力する。演出制御用マイコン101は、演出レバー回転検出スイッチ6hから入力した信号に基づいて、演出レバー6が回転操作されたときに行うレバー演出を実行する。
【0056】
さらに、サブ制御基板100には、モータ制御回路190を介して、演出ボタン振動モータ9bと、演出レバー振動モータ6fとが電気的に接続されている。演出ボタン振動モータ9bは、演出ボタン9を振動させる部材であり、演出ボタン9の内部に収容されている。演出レバー振動モータ6fは、演出レバー6を振動させる部材であり、演出レバー6と接する部位または演出レバー6の内部に設けられている。ROM110には、演出ボタン振動モータ9bの動作態様を決める動作パターンデータと、演出レバー振動モータ6fの動作態様を決める動作パターンデータとが記憶されている。演出制御用マイコン101は、演出ボタン9を振動させる演出タイミングになったときに、ROM110から動作パターンデータを読出し、その読出した動作パターンデータをモータ制御回路190に送信する。そして、モータ制御回路190は、受信した動作パターンデータに基づいて演出ボタン振動モータ9bを駆動制御する。また、演出制御用マイコン101は、演出レバー6を振動させる演出タイミングになったときに、ROM110から動作パターンデータを読出し、その読出した動作パターンデータをモータ制御回路190に送信する。そして、モータ制御回路190は、受信した動作パターンデータに基づいて演出レバー振動モータ6fを駆動制御する。
【0057】
また、上記実施形態では、球戻り防止板27の揺動軸29の延びる方向でのガラス板5の側の側面に、糸切カッタ36が配設されているが、図7に示すように、球戻り防止板27の揺動軸29の延びる方向での遊技盤2の側の側面に、第2の糸切カッタ38が配設されてもよい。つまり、球戻り防止板27の揺動軸29の延びる方向でのガラス板5の側の側面に、第1の糸切カッタ36が配設され、球戻り防止板27の揺動軸29の延びる方向での遊技盤2の側の側面に、第2の糸切カッタ38が配設されてもよい。このように、球戻り防止板27の揺動軸29の延びる方向での両側面に、糸切カッタ36,38が配設されることで、糸が固着された遊技球が案内路26において球戻り防止板27の先端の上方の隙間を通った後に、遊技球に固着されている糸が、球戻り防止板27の先端から遊技盤2の方向に垂れ下がった場合であっても、糸切カッタ38により切断される。これにより、糸などの紐形状の部材を用いたゴトを確実に防止することができる。なお、糸切カッタ38が本発明の第2の切断部材の一例である。
【0058】
また、上記実施形態では、球戻り防止板27の先端の全域において糸切カッタ36に向って傾斜する傾斜部37が形成されているが、球戻り防止板27の先端の一部において糸切カッタ36に向って傾斜する傾斜部が形成されてもよい。具体的には、球戻り防止板27の代わりに、図8に示す球戻り防止板55がレール部材17の先端部に配設されてもよい。球戻り防止板55の先端部には、球戻り防止板55の揺動軸56の延びる方向において、遊技盤2の側の縁から中央に渡って糸切カッタ36に向って傾斜する傾斜部57と、ガラス板5の側の縁から中央に渡って傾斜部57と反対の方向に傾斜する逆傾斜部58とが形成されている。つまり、球戻り防止板55の先端部に、球戻り防止板55の揺動軸56の延びる方向において、V字型の溝が形成されている。そして、傾斜部57と逆傾斜部58との間に、球戻り防止板55の基端に向って延びるスリット59が形成されている。このように、球戻り防止板55の先端部に傾斜部57と逆傾斜部58とスリット59が形成されることで、糸が固着された遊技球が案内路26において球戻り防止板55の先端の上方の隙間を通った後に、遊技球に固着されている糸が、傾斜部57若しくは逆傾斜部58によってスリット59に向って誘導される。そして、遊技球に固着されている糸がスリット59に入り込み、糸に固着されている遊技球を遊技者が操作することができなくなる。これにより、糸切カッタ36によって遊技球に固着されている糸を切断することができなかった場合においても、糸などの紐形状の部材を用いたゴトを適切に防止することができる。なお、球戻り防止板55が本発明の球戻り防止板の一例である。また、傾斜部57が本発明の傾斜部の一例である。また、逆傾斜部58が本発明の逆傾斜部の一例である。また、スリット59が本発明のスリットの一例である。
【0059】
また、上記実施形態では、球戻り防止板27,55には、糸切カッタ36に向って傾斜する傾斜部37,57が形成されているが、図9に示すように、傾斜部が形成されていない球戻り防止板65を採用することも可能である。ただし、遊技球に固着されている糸を切断するべく、球戻り防止板65の揺動軸66の延びる方向でのガラス板5の側の側面に、第1の糸切カッタ67が配設され、球戻り防止板65の揺動軸66の延びる方向での遊技盤2の側の側面に、第2の糸切カッタ68が配設されることが望ましい。つまり、球戻り防止板65の揺動軸66の延びる方向での両側面に、糸切カッタ67,68が配設されることが望ましい。これにより、遊技球に固着されている糸が球戻り防止板65のガラス板5の側と遊技盤2の側とのいずれの側に垂れ下がった場合であっても、遊技球に固着されている糸を切断し、糸が固着された遊技球によるゴトを適切に防止することができる。
【0060】
[実施形態の効果]
(1)上述した実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技球が流下可能な遊技領域3を有する遊技盤2と、発射装置90から発射された遊技球を遊技領域3に案内する案内路26と、基端部において揺動可能に案内路26に設けられ、遊技領域3から案内路26に遊技球が戻ることを防止する球戻り防止板27,55と、球戻り防止板27,55の揺動軸29,56の延びる方向での一方の方向に配設され、遊技球に固定された糸を切断する糸切カッタ36とを備える。そして、球戻り防止板27,55が、先端部において糸切カッタ36に向って傾斜する傾斜部37,57を有している。これにより、遊技球に固着されている糸を傾斜部37,57に沿って誘導し、糸などの紐形状の部材を用いたゴトを適切に防止することができる。
【0061】
(2)また、上述した実施形態のパチンコ遊技機1では、球戻り防止板27の先端部の全域において傾斜部37が形成されている。これにより、遊技球に固着されている糸を糸切カッタ36に向って誘導することで、その糸を糸切カッタ36により切断し、糸などの紐形状の部材を用いたゴトを適切に防止することができる。
【0062】
(3)また、上述した実施形態のパチンコ遊技機1は、球戻り防止板55が、先端部において糸切カッタ36に向って傾斜する傾斜部57と、傾斜部57から連続し傾斜部57と反対の方向に傾斜する逆傾斜部58と、傾斜部57と逆傾斜部58との間に形成されたスリット59とを備える。これにより、遊技球に固着されている糸をスリット59に向って誘導して、その糸がスリット59に入り込むことで、糸などの紐形状の部材を用いたゴトを適切に防止することができる。
【0063】
(4)また、上述した実施形態のパチンコ遊技機1は、球戻り防止板27の揺動軸29の延びる方向での一方の方向に配設される糸切カッタ36と、揺動軸29の延びる方向での他方の方向に配設される糸切カッタ38とを備える。これにより、遊技球に固着されている糸が球戻り防止板27のガラス板5の側と遊技盤2の側とのいずれの側に垂れ下がった場合であっても、遊技球に固着されている糸を切断し、糸などの紐形状の部材を用いたゴトを確実に防止することができる。
【0064】
〈他の実施形態〉
(1)上述した実施形態のパチンコ遊技機1では、傾斜部37,57が糸切カッタ36に向かう直線的な傾斜面を有しているが、糸切カッタ36に向かう傾斜面であれば、湾曲面,段差面など種々の形状の傾斜面を有していてもよい。
【0065】
(2)上述した実施形態のパチンコ遊技機1では、糸切カッタ36,38が球戻り防止板27,55に配設されているが、揺動軸29,56の延びる方向であればベース28,レール部材17等に配設されていてもよい。
【0066】
(3)また、上述した実施形態のパチンコ遊技機1では、糸切カッタ36が球戻り防止板27のガラス板5の側にのみ配設される場合に、傾斜部37はガラス板5に向うほど下降するように傾斜している。一方で、糸切カッタが球戻り防止板27の遊技盤2の側にのみ配設される場合に、傾斜部37は遊技盤2に向うほど下降するように傾斜する。
【0067】
(4)また、上述した実施形態のパチンコ遊技機1では、遊技球に固着された糸が糸切カッタ36により切断されているが、遊技球に固着されたピアノ線,紐形状のゴム等の種々の紐形状の部材が糸切カッタ36により切断されてもよい。
【0068】
(5)また、上述した実施形態のパチンコ遊技機1では、糸が遊技球に固着されて、その遊技球が発射装置90により遊技領域3に向けて発射された場合に、その糸が糸切カッタ36により切断されているが、遊技球でなく、発射装置90により発射可能な部材に糸が固着されて、その部材に固着されている糸が糸切カッタ36により切断されてもよい。
【0069】
(6)また、上述した実施形態のパチンコ遊技機1では、遊技球に固着されている糸が糸切カッタ36により切断されているが、摩擦,熱などにより切断されてもよい。
【0070】
(7)本発明は、大当たり抽選のときに、大当たり遊技終了後の遊技状態が確変遊技状態に移行することが約束された大当たり(いわゆる確変大当たり)であるか、あるいは、確変遊技状態に移行しない大当たり(いわゆる通常大当たり)であるかを抽選するパチンコ遊技機にも適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 パチンコ遊技機
2 遊技盤
3 遊技領域
26 案内路
27 球戻り防止板
29 揺動軸
36 糸切カッタ
37 傾斜部
38 糸切カッタ
55 球戻り防止板
56 揺動軸
57 傾斜部
58 逆傾斜部
59 スリット
90 発射装置
































図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9