(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168883
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】木部材連結構造とそれを備える木質耐震壁
(51)【国際特許分類】
E04B 1/58 20060101AFI20241128BHJP
E04H 9/02 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
E04B1/58 600A
E04H9/02 321B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085913
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000150615
【氏名又は名称】株式会社長谷工コーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】504170849
【氏名又は名称】株式会社トーネジ
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】太田 雄介
(72)【発明者】
【氏名】福波 珠恵
(72)【発明者】
【氏名】浮田 紳二
(72)【発明者】
【氏名】岡部 昭
【テーマコード(参考)】
2E125
2E139
【Fターム(参考)】
2E125AA03
2E125AA13
2E125AA54
2E125AC01
2E125AE16
2E125AG14
2E125AG45
2E125BB23
2E125BE07
2E125CA05
2E139AA01
2E139AC19
2E139AC22
2E139BA05
2E139BD22
(57)【要約】
【課題】部品だけでなく木部材も再利用可能であり、かつ変形性能が高い木部材連結構造とそれを備える木質耐震壁を提供する。
【解決手段】部品5~10が全て金属製である。ガセットプレート10は、被接合部材2に固定され、木部材3の端面3aに平行に延びる木部材側フランジ部16を有する。無頭ラグスクリューボルト5は、周面に設けられた木用雄ねじ52と、一端面54に設けられた雌ねじ51と、を有し、木部材3の先孔4の底側に他端面側からねじ込まれ先孔4の中央部から底4bまでの範囲に埋め込まれる。金属棒6は、直線状に延びる棒軸部65の両端部にナット用雄ねじ62と対ボルト用雄ねじ64を有する。対ボルト用雄ねじ64は雌ねじ51に螺合する。連結具7は、木部材側フランジ部16に着脱可能に連結する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木部材と被接合部材を接合する木部材連結構造であって、
前記被接合部材に固定され前記木部材の端面に平行に延びる木部材側フランジ部を有するガセットプレートと、
軸部の周面に設けられた木用雄ねじと、一端面から軸方向に設けられた雌ねじと、を有し、前記木部材の端面に開口する先孔の底側に前記軸部の他端面側からねじ込まれ該先孔の長手方向における中央部から底までの範囲に埋め込まれる金属製の無頭ラグスクリューボルトと、
一端部に設けられたナット用雄ねじと、他端部に設けられ前記雌ねじに螺合可能な対ボルト用雄ねじと、前記ナット用雄ねじと該対ボルト用雄ねじとの間で直線状に延びる棒状の棒軸部と、を有する金属製の金属棒と、
前記ナット用雄ねじを前記木部材側フランジ部に着脱可能に連結する金属製の連結具と、を備える、木部材連結構造。
【請求項2】
内径が前記金属棒の最大径より大きい中空部を有し、外径が前記先孔の内径より小さい中空円筒形の金属製の金属管、を備え、
前記木部材側フランジ部は、前記金属棒を通す溝を有し、
前記連結具は、前記溝に挿し込まれた前記ナット用雄ねじに螺合し該木部材側フランジ部を前記金属棒の軸方向に挟む複数のナットを有し、
前記金属管は、前記中空部に前記金属棒を通した状態で前記無頭ラグスクリューボルトより開口側の前記先孔内で前記棒軸部を囲む、請求項1に記載の木部材連結構造。
【請求項3】
内径が前記金属棒の最大径より大きい中空部を有し、外径が前記先孔の内径より小さい中空円筒形の金属製の金属管、を備え、
前記木部材側フランジ部は、前記金属棒を通す穴を有し、
前記連結具は、内部に雌ねじを有し一端部が前記ナット用雄ねじに螺合する長ナットと、前記穴に挿し込まれ該穴を通り抜けた軸が前記長ナットの他端部に螺合する頭付ボルトと、を有し、
前記金属管は、前記中空部に前記金属棒を通した状態で前記無頭ラグスクリューボルトより開口側の前記先孔内で前記棒軸部を囲み、
前記長ナットと前記頭付ボルトの頭部とは、前記木部材側フランジ部を前記金属棒の軸方向に挟む、請求項1に記載の木部材連結構造。
【請求項4】
前記木部材側フランジ部は、前記金属棒を通す溝又は穴を有し、
前記連結具は、前記溝又は穴よりも前記被接合部材側のみに、該木部材側フランジ部に接し前記ナット用雄ねじに螺合するナット、を有する、請求項1に記載の木部材連結構造。
【請求項5】
前記金属棒の強度は、前記無頭ラグスクリューボルトの前記木部材への定着強度より小さい、請求項1に記載の木部材連結構造。
【請求項6】
前記金属管の軸方向の長さは、前記先孔にねじ込まれた前記無頭ラグスクリューボルトの前記一端面から前記連結具までの距離より短い、請求項2又は請求項3に記載の木部材連結構造。
【請求項7】
一の前記木部材に連結する全ての前記ガセットプレートの前記木部材側フランジ部が有する全ての溝は、互いに平行に前記木部材が移動可能な方向に延び、開口を同じ方向へ向けて有する、請求項1に記載の木部材連結構造。
【請求項8】
前記先孔は、その開口側端部に、前記木部材側フランジ部と前記木部材との間にある前記連結具の外径よりも内径が大きく、前記先孔の前記中央部から前記底までの範囲よりも前記内径が大きい拡大部を有する、請求項1に記載の木部材連結構造。
【請求項9】
請求項1に記載の木部材連結構造を備える木質耐震壁であって、
面一に正面視における横方向に並ぶ複数の木質パネルから構成される木質系厚板面材と、
前記木質系厚板面材の四周を取り囲む鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の柱梁フレームと、
前記柱梁フレームの内側に固定される複数の前記ガセットプレートと、
各木質パネルの四隅から該木質パネルの中心側へ向けて斜めに配置され前記ガセットプレートと各木質パネルとを接続する前記木部材連結構造と、を備え、
前記木部材は、前記木質パネルであり、
前記被接合部材は、前記柱梁フレームである、木質耐震壁。
【請求項10】
前記木質パネルは、その上面又は下面と側面とに交差する斜面を有する切欠部を前記四隅に有し、
前記先孔が開口する前記木部材の前記端面は、前記斜面である、請求項9に記載の木質耐震壁。
【請求項11】
前記木部材は、CLT又はLVLから構成される、請求項1に記載の木部材連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木部材と被接合部材とを接合する木部材連結構造とそれを備える木質耐震壁に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンニュートラルの実現や地球温暖化防止に貢献するため、近年、建築物への木材活用が求められている。その一環として、鉄筋コンクリート造とCLT(直交集成板)やLVL(単板積層材)等の木部材とを接合するための連結構造として、GIR(Glued-in Rod)やGIUA(Glue in unbonded anchor)が知られている。これらの連結構造については、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
図1は、従来の連結構造であるGIR200とGIUA300の部分断面図である。
図1(A)には、GIR200を記載している。この図において、200はGIR、2は被接合部材、3は木部材、231は木部材3が破壊されたことによって生じた亀裂、4は先孔、400はエポキシ樹脂、260は鋼棒である。
GIR200は、木部材3に開けた先孔4に鋼棒260を挿入し、先孔4の全体にエポキシ樹脂400(接着剤)を注入する連結構造である。GIR200では、エポキシ樹脂400によって、鋼棒260の先孔内にある部分の全体と木部材3とが強固に接着する。GIR200は、一般的な鋼棒挿入接着接合として知られている。
【0004】
図1(B)にはGIUA300を記載している。この図において300はGIUA、360はGIUA300で使う鋼棒、370はアンボンド部、2は被接合部材、3は木部材、4は先孔、400はエポキシ樹脂である。
GIUA300は、先孔4にエポキシ樹脂400を充填して鋼棒360と木部材3を接着しつつ、先孔4の開口側にアンボンド部370を有する連結構造である。アンボンド部370とは、鋼棒360が、エポキシ樹脂400によって木部材3に固定されていない範囲である。この図では、鋼棒360をテープで巻いてエポキシ樹脂400が直接鋼棒360に触れないようにすることによって、アンボンド部370を形成している。
【0005】
図2は、金属製の接合具を使用した従来の連結構造500の部分断面図である。
図2(A)は、被接合部材2と連結しているときの連結構造500の部分断面図であり、
図2(B)は長ボルト560が折れたときの連結構造500の部分断面図である。
図2(C)は
図2(B)のL部分の拡大図である。なお、
図2(B)は、長ボルト560の太さと工具Tの大きさを、後述する
図5と同じ縮尺で記載している。
【0006】
金属製の接合具による連結構造500は、例えば、特許文献2に開示されている。
特許文献2の連結構造500は、接合金具に当接する端面554が木部材3の端面3aに合うように木部材3の中にねじ込まれたスクリュー部材550に螺合させることによって、長ボルト560を木部材3に固定している。具体的には、スクリュー部材550は、接合金具に当接する端面554から全長の中央部付近まで軸線方向に中空孔552が設けられており、その中空孔552の底に雌ねじ551が切削された構造をしている。この雌ねじ551に長ボルト560の先端部563の雄ねじ564を螺合させることにより、長ボルト560を木部材3に固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-188326号公報
【特許文献2】特開2007-77611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図1(A)に示すように、GIR200は、先孔内の鋼棒260の全体と木部材3とがエポキシ樹脂400で強固に結合しているため、変形性能が低い。そのためGIR200を使用した建物は、大きな力が加わると鋼棒260より先に木部材3が破壊されてしまうため、大地震時に必要とする構造耐力を大きくしなければならず、その結果、構造部材を大きくせざるを得なかった。
これに対して
図1(B)に示したGIUA300は、鋼棒360と木部材3とを接着させないアンボンド部370を設けることで、大変形まで木部材3を損傷させずに鋼棒360が伸び縮みさせ、エネルギーを吸収する。これによりGIUA300では、GIR200で課題となっていた変形性能を大きくすることができた。
【0009】
しかし、GIR200やGIUA300で必須な素材であるエポキシ樹脂400は、再利用できない素材であるため、GIR200やGIUA300は環境負荷が大きくなってしまう。
その上、GIR200やGIUA300は鋼棒260,360と木部材3がエポキシ樹脂400でしっかりと結合しているため、木部材3を破壊しなければ鋼棒260,360を取り出せない。したがって大地震等によって鋼棒260,360が損傷したときに木部材3が無傷であったとしても、鋼棒260,360だけを取り換えて木部材3はそのまま損傷前と同じ部材として再利用する、という運用ができず、木部材3は廃材になっていた。
【0010】
一方、
図2の特許文献2の連結構造500は、エポキシ樹脂を使わずに金属製の接合具だけで木部材3を接合するため、一見、再利用可能であるかのように見えるが、実際にはそうではない。
図2(B)のように長ボルト560の軸部565が折れた場合、スクリュー部材550の中空孔552に長ボルト560の先端側が残ってしまう。長ボルト560は先端部563が中空孔552の底に螺合しているので、長ボルト560の軸部565を回転しなければ外すことができない。しかし中空孔552の内面と長ボルト560の軸部565の側面との間には、あまり隙間566が無いため、隙間566にペンチ等の工具Tが入らず、折れた長ボルト560を取り除くことができない。
さらにスクリュー部材550の中空孔552が、折れた長ボルト560で塞がっているため、スクリュー部材550を抜く工具をスクリュー部材550に取り付けられない。そのためスクリュー部材550を木部材3から抜くには、木部材3を破壊するしかない。したがって、長ボルト560しか損傷していなくても、結局、長ボルト560を抜くには木部材3を破壊するしか無いため、修繕するには長ボルト560が固定された木部材3ごと新しい物に取り換えるしかなかった。
【0011】
その上、仮になんとかスクリュー部材550を木部材3から外せたとしても、スクリュー部材550のねじ山が螺合によって木部材3に強固に噛み合っているので、スクリュー部材550を無理に抜くことで先孔の内面が摩耗し、傷んでしまう。そのような摩耗した先孔に別の新しいスクリュー部材550をねじ込んでも、強度に不安が残る。
したがって、スクリュー部材550や木部材3に損傷が無くても、長ボルト560が折れれば、結局、木部材3ごと連結構造500を全て取り換えることになってしまっていた。そのため木部材3を修繕後にそのまま損傷前と同じ用途で同じ部材として再利用することはできず、取り外した木部材3を廃材として処理するしかなかった。
【0012】
このような事情に鑑み、環境負荷をさらに低減するため、GIUA300と比べて変形性能を大きいままに維持しつつ、再利用可能な素材からなる部品だけで構成され、さらに木部材自体も再利用できるような新たな連結構造の開発が求められていた。
【0013】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち本発明の目的は、部品だけでなく木部材も再利用可能であり、かつ変形性能が高い木部材連結構造とそれを備える木質耐震壁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、木部材と被接合部材を接合する木部材連結構造であって、
前記被接合部材に固定され前記木部材の端面に平行に延びる木部材側フランジ部を有するガセットプレートと、
軸部の周面に設けられた木用雄ねじと、一端面から軸方向に設けられた雌ねじと、を有し、前記木部材の端面に開口する先孔の底側に前記軸部の他端面側からねじ込まれ該先孔の長手方向における中央部から底までの範囲に埋め込まれる金属製の無頭ラグスクリューボルトと、
一端部に設けられたナット用雄ねじと、他端部に設けられ前記雌ねじに螺合可能な対ボルト用雄ねじと、前記ナット用雄ねじと該対ボルト用雄ねじとの間で直線状に延びる棒状の棒軸部と、を有する金属製の金属棒と、
前記ナット用雄ねじを前記木部材側フランジ部に着脱可能に連結する金属製の連結具と、を備える、木部材連結構造が提供される。
【0015】
また本発明によれば、上述した木部材連結構造を備える木質耐震壁であって、
面一に正面視における横方向に並ぶ複数の木質パネルから構成される木質系厚板面材と、
前記木質系厚板面材の四周を取り囲む鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の柱梁フレームと、
前記柱梁フレームの内側に固定される複数の前記ガセットプレートと、
各木質パネルの四隅から該木質パネルの中心側へ向けて斜めに配置され前記ガセットプレートと各木質パネルとを接続する前記木部材連結構造と、を備え、
前記木部材は、前記木質パネルであり、
前記被接合部材は、前記柱梁フレームである、木質耐震壁が提供される。
【発明の効果】
【0016】
上述した本発明によれば、被接合部材に固定されたガセットプレートと無頭ラグスクリューボルトとに金属棒の両端部が連結し、金属棒の棒軸部の周面は周囲の部品に固定されていない構造となっている。したがって、本発明の木部材連結構造は、大地震等で大きな力がかかったときに棒軸部がその軸方向に伸縮できるので、エネルギーを吸収することができる。これにより本発明の木部材連結構造は、大きな変形性能を有することができる。
【0017】
また金属棒は、木部材にねじ込まれた無頭ラグスクリューボルトに螺合するによって間接的に木部材に接続している。したがって、金属棒を逆方向に回転するだけで、木部材を傷つけることなく簡単に金属棒を木部材から取り外し、新しい金属棒に交換することができる。
【0018】
その上、木部材連結構造は、無頭ラグスクリューボルトが先孔の長手方向における中央部から底までの範囲に埋め込まれているので、金属棒の棒軸部の周囲にある空隙が広い。したがって本発明では、棒軸部が仮に折れたとしても、その広い空隙に工具が入るので、折れた棒軸部を工具で把持し、軸周りに回転させ、無頭ラグスクリューボルトとの螺合を解除して先孔から取り出すことができる。したがって木部材連結構造は、金属棒が棒軸部で折れたとしても、木部材を破壊することなく容易に先孔から金属棒を取り出すことができる。
また木部材を破壊せずに金属棒を交換できるため、修繕前に使用していた無頭ラグスクリューボルトや木部材を引き続き同じ部品として修繕後も使用し続けることができる。したがって木部材連結構造は、修繕後も、木部材を再利用することができる。
【0019】
また木部材連結構造が備える部品の全てが金属製なので、それらの部品を金属の素材として再利用することができる。
したがって木部材連結構造は、それを構成する部品である無頭ラグスクリューボルト、金属棒、連結具、及びガセットプレートだけでなく木部材も再利用可能であるため、環境負荷が低い建造物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】従来の連結構造であるGIRとGIUAの部分断面図である。
【
図2】金属製の接合具を使用した従来の連結構造の部分断面図である
【
図3】第1実施形態の木部材連結構造の正面断面図である。
【
図4】第1実施形態の木部材連結構造の連結方法の説明図である。
【
図5】金属棒が折れた第1実施形態の木部材連結構造の修繕工程の説明図である。
【
図6】室内側から見たときの木質耐震壁の正面図である。
【
図9】第1実施例の木質耐震壁の抵抗機構の説明図である。
【
図11】木質耐震壁が第2実施例であるときの
図6のU部分の拡大矢視図である。
【
図12】木質耐震壁に第2実施形態の木部材連結構造を使用しているときの
図6のM部分の拡大矢視図である。
【
図13】第3実施形態の木部材連結構造の正面断面図である。
【
図14】大きな力がかかったときの第3実施形態の木部材連結構造の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0022】
(第1実施形態)
図3は、第1実施形態の木部材連結構造1の正面断面図である。
この図において、1は木部材連結構造、2は被接合部材、3は木部材、3aは端面、4は先孔、4bは先孔4の底、4cは先孔4の開口、4eは先孔4の拡大部である。また5は無頭ラグスクリューボルト、55はその他端面、6は金属棒、71はナット、8は座金、9は金属管、10はガセットプレートである。
本実施形態の木部材連結構造1は、木部材3と被接合部材2を接合する連結構造である。被接合部材2は、例えば、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、金属製、又は木製の部材のいずれでもよい。
【0023】
木部材3は、無垢の木材、LVL(単板積層材)であってもよく、CLT(直交集成板)やその他の集成材であってもよい。CLTは、ひき板や小角材を並べた層を、板の方向が層ごとに直交するように接着した木質板材である。LVLは、繊維方向を揃えて単板を積層接着した木質板材である。CLTとLVLは、いずれも、耐震性能と耐火性能が高いという特徴がある。
木部材3には、先孔4が設けられている。先孔4は、無頭ラグスクリューボルト5が入る太さに設けられ、木部材3の端面3aに開口し、底4bが閉じた孔である。
【0024】
本実施形態の木部材連結構造1が備える部品5,6,7,9,10は、無頭ラグスクリューボルト5、金属棒6、金属管9、連結具7、及びガセットプレート10であり、全て金属で構成されている。本実施形態の連結具7は、ナット71、及び座金8である。
【0025】
本実施形態の無頭ラグスクリューボルト5は、頭部六角ナットが無く、軸部53の周囲に雄ねじ加工された接合具である。軸部53の一端面54には、雌ねじ51が軸方向に設けられている。雌ねじ51は軸部53と同軸である。無頭ラグスクリューボルト5の軸部53は、先孔4の深さの1/4~3/4の長さである。
無頭ラグスクリューボルト5は、雌ねじ51を後方(すなわち先孔4の開口側)へ向けて、他端面側から先孔4の底側にまでねじ込まれている。無頭ラグスクリューボルト5を木部材3の先孔4にねじ込むと、軸部53周面に設けられた木用雄ねじ52が木の組織と噛み合い、抜けなくなる。これにより無頭ラグスクリューボルト5は、先孔4の長手方向における中央部から底4bまでの範囲に埋め込まれる。「先孔4の長手方向における中央部」とは、開口4cから先孔4の深さの1/4~3/4の範囲である。
【0026】
先孔4の長手方向における中央部から底4bまでの範囲の内径は、無頭ラグスクリューボルト5のねじ谷の外径(谷径寸法)と同じであってもよい。しかし大きな力がかかっても無頭ラグスクリューボルト5が木部材3から抜けないのであれば、先孔4の中央部から底4bまでの範囲の内径は、無頭ラグスクリューボルト5の最大径と木用雄ねじ52の谷径寸法との間の長さであってもよい。
また本実施形態の木部材連結構造1は、特許文献2とは異なり、先孔4の開口付近に木部材3と螺合する部品が無いため、先孔4の開口付近(木部材3の端面3a付近)の内径を中央部から底4bまでの範囲の内径よりも大きくとることができる。したがって、先孔4の開口付近の内径を、図のように、ナット71の外径と同じか、又はナット71の外径より大きく設けることができる。
【0027】
以下、この開口付近にある、中央部から底4bまでの範囲の内径よりも先孔4の内径が大きく設けられた部分を、「拡大部4e」と呼ぶ。拡大部4eは、先孔の開口側端部に設けられており、木部材側フランジ部16と木部材3との間にある連結具7の外径よりも内径が大きく、先孔4の中央部から底4bまでの範囲よりも内径が大きい部分である。先孔4の開口付近に拡大部4eがあることにより、大地震等による大きな力によって棒軸部65が撓んだときに、ナット71が木部材3に当たるのを防ぐことができる。なお、大地震等による大きな力が木部材連結構造1にかかったときにナット71が届く範囲より深い位置にまで拡大部4eが設けられていてもよい。
【0028】
金属棒6は、無頭ラグスクリューボルト5よりも細い金属製の棒状部材である。金属棒6は、一端部61に設けられたナット用雄ねじ62と、他端部63に設けられた対ボルト用雄ねじ64と、ナット用雄ねじ62と対ボルト用雄ねじ64との間で直線状に延びる棒状の棒軸部65と、を有する。これらの雄ねじ62,64は、いずれも転造加工で形成されている。対ボルト用雄ねじ64を無頭ラグスクリューボルト5の雌ねじ51に螺合させることによって、金属棒6と無頭ラグスクリューボルト5をねじで嵌め合わせることができる。無頭ラグスクリューボルト5の雌ねじ51が無頭ラグスクリューボルト5の軸部53と同軸に設けられているため、金属棒6を無頭ラグスクリューボルト5の雌ねじ51に螺合させるだけで、金属棒6と無頭ラグスクリューボルト5を同軸に連結することができる。これにより図のように無頭ラグスクリューボルト5が、先孔4の奥底のような人から直接見えない場所にあったとしても、対ボルト用雄ねじ64を無頭ラグスクリューボルト5にねじ留めするだけで、常に同軸に連結させることができる。
また金属棒6の一端部61にあるナット用雄ねじ62には、連結具7が螺合する。
【0029】
先孔4は無頭ラグスクリューボルト5が入る太さであり、金属棒6が無頭ラグスクリューボルト5よりも細いため、金属棒6は、先孔4の内径よりも細い。
また金属棒6の強度は、無頭ラグスクリューボルト5の木部材3への定着強度より小さく設定されている。金属棒6の強度は、金属棒6の素材の強度と、金属棒6の太さを変更することによって増減させることができる。金属棒6の素材は、鋼材であることが好ましいが、ステンレス鋼製やその他の金属製であってもよい。
【0030】
また金属棒6は、伸び能力があるように製造される。例えば金属棒6の素材は、引張強度に優れた建築構造用圧延棒鋼(例えばSNR490B)であることが好ましい。金属棒6のナット用雄ねじ62と対ボルト用雄ねじ64は、ねじ部と棒軸部65との引張強度における差が小さく、棒軸部65が十分塑性変形するまで各部の破断が起きない転造ねじであることが好ましい。金属棒6は、ナット用雄ねじ62と対ボルト用雄ねじ64のねじ山の構成や太さ、素材等がABRアンカーと同じものであってもよい。金属棒6の長さは、ABRアンカーの規格の物よりも短いことが好ましい。
【0031】
ガセットプレート10は、被接合部材2に固定される鋼等の金属製の金具である。ガセットプレート10は、頭付きスタッド44やボルト45によって被接合部材2に固定されることが好ましい。
またガセットプレート10は、ウェブ部14、被接合部材側フランジ部15、木部材側フランジ部16を有し、後述するリブ部17を有していても、有していなくてもよい。
【0032】
被接合部材側フランジ部15は、被接合部材2に沿って延びるフランジである。
木部材側フランジ部16は、木部材3の端面3aに平行に延びるフランジである。
そしてウェブ部14は、被接合部材側フランジ部15と木部材側フランジ部16の間で延びる板状の部位である。
【0033】
木部材側フランジ部16は、ウェブ部14の端部であって、木部材3の端面3aに対面する位置に設けられている。
木部材側フランジ部16には、金属棒6を挿し込み連結するための溝18又は金属棒6を通すための穴19が設けられている。
【0034】
例えば木部材側フランジ部16の溝18は、木部材3を移動させることができる方向へ向けて延び、その方向へ開口する。例えば
図3の例では、木部材側フランジ部16の溝18が、紙面の手前へ向けて開口している。この構成により、第1実施形態の木部材連結構造1は、ナット71を緩めて溝18に沿って紙面の手前へ向けて木部材3を移動させることによって、木部材3を被接合部材2から外すことができる。
【0035】
また例えば
図3の木部材側フランジ部16が穴19を有し、木部材3をこの図の下側へ動かせる場合には、上2つのナット71B,71Cを取り外し、その後、木部材3ごと図の下側へ木部材3を動かすことによって、木部材3を被接合部材2から外してもよい。
【0036】
連結具7は、ガセットプレート10の木部材側フランジ部16と金属棒6のナット用雄ねじ62とを着脱可能に連結する部品である。
第1実施形態の木部材連結構造1は、ナット用雄ねじ62に螺合して金属棒6を被接合部材2に連結する連結具7として、例えばナット71、及び座金8を有する。例えばこの図の例の木部材連結構造1は、溝18や穴19に通した金属棒6のナット用雄ねじ62に複数のナット71が螺合しており、その複数のナット71で木部材側フランジ部16を両側から挟む構造となっている。これによって連結具7は、間接的に金属棒6を被接合部材2に結合させる。
【0037】
ナット71と座金8は、いずれも、炭素鋼製やステンレス鋼製であることが好ましい。例えばナット71は、金属棒6の軸方向における被接合部材2の前に1つ、後ろに2つ配置されることが好ましい。以下の説明において、被接合部材2よりも金属棒6の軸方向における前側(すなわち木部材側)に配置されるナット71を前ナット71Aと呼ぶ。また金属棒6の軸方向における被接合部材2よりも後方に配置される2つのナット71のうち、座金8に隣接するナット71を後ナット71Bと呼ぶ。後ナット71Bに隣接し、金属棒6の一番後端側に配置されるナット71は、端ナット71Cと呼ぶ。
【0038】
例えば先にナット用雄ねじ62に前ナット71Aを螺合し、前ナット71Aを回転してナット用雄ねじ62内における棒軸部側へ移動させる。金属棒6の前ナット71Aよりも後端側の部分を、ガセットプレート10に設けられた溝18に挿し込み、溝18の向こう側に突き出したナット用雄ねじ62に座金8、後ナット71B、端ナット71Cを付ける。そのまま各ナット71を移動させ、後ナット71B及び座金8と前ナット71Aで被接合部材2を金属棒6の軸方向に挟む。これにより、木部材連結構造1の連結具7は、金属棒6を被接合部材2に連結することができる。
なお、金属棒6と被接合部材2の連結が完了したとき、金属管9の他端面92が直近の前ナット71Aに接していないことが好ましい。
【0039】
金属管9は、内径が金属棒6の最大径より大きい中空部91を有する中空円筒形の金属製の管である。金属管9の外径は、先孔4の内径よりも小さく設けられている。また、金属管9の中空部91の内径は、金属棒6のナット用雄ねじ62の外径よりも大きく設けられている。
金属管9の素材は、金属棒6や無頭ラグスクリューボルト5ほど強度のある金属素材でなくてもよい。つまり金属管9の素材は、大地震等で木部材連結構造1に大きな力がかかったときに、金属棒6の座屈を防ぐことができるだけの強度を確保できる素材であればよい。金属管9の素材は、例えばSS400(一般構造用圧延鋼材)であってもよい。
【0040】
金属管9を金属棒6に取り付ける際は、先に無頭ラグスクリューボルト5の雌ねじ51に金属棒6の対ボルト用雄ねじ64を螺合し、その後、金属棒6の一端部61を、金属管9の中空部91に通し、そのまま金属管9を先孔4に挿入する。そうすることで、金属管9は、中空部91に金属棒6を通した状態で、無頭ラグスクリューボルト5よりも開口側(金属棒6の軸方向における後方側)の先孔内で、棒軸部65を囲む。金属管9を設けることにより、棒軸部65の周囲にある空隙66が狭くなり、金属棒6の軸方向に交差する方向に棒軸部65が動ける範囲が狭まるので、金属棒6の一端部61が他端部63へ向けて押されたときに棒軸部65が座屈するのを防ぐことができる。
【0041】
金属管9は、先孔4に入れたときに、他端面92が先孔4の開口4cよりも奥に入っていることが好ましい。さらに金属管9は、先孔4に入れたときに、他端面92が拡大部4eよりも底側にあることが好ましい。
つまり、金属管9の軸方向の長さは、先孔4にねじ込まれた無頭ラグスクリューボルト5の一端面54(後端面)から連結具7までの距離よりも短いことが好ましい。さらに金属管9の軸方向の長さは、大地震等によってナット用雄ねじ62が他端部63へ向けて大きな力で押されて金属棒6が撓んだときの無頭ラグスクリューボルト5の一端面54から連結具7までの最短距離よりも短いことが最も好ましい。
これによって被接合部材2から無頭ラグスクリューボルト5に金属管9を介して大きな力がかかるのを防ぐことができる。
【0042】
本実施形態の木部材連結構造1は、金属棒6の両端部が被接合部材2と無頭ラグスクリューボルト5に連結し、その間の棒軸部65の周面は金属管9の中空部91に通っているだけで何にも固定されていない構造となっている。したがって、木部材連結構造1は、大地震等で大きな力がかかったときに棒軸部65が伸縮するので、エネルギーを吸収することができる。これにより、本実施形態の木部材連結構造1は、大きな変形性能を有することができる。
【0043】
また本実施形態の金属棒6は、無頭ラグスクリューボルト5の木部材3への定着強度より強度が小さいため、木部材連結構造1に大きな力が加わった際に、まず金属棒6が伸縮し変形することで、力を吸収し、木部材3の損傷を抑えることが可能になる。つまり大きな力が加わったときに、木部材3が破壊される前に金属棒6が伸縮、変形し、ひいては木部材連結構造1の中で最初に損傷する。
したがって、木部材連結構造1に大きな力が加わっても木部材3が破壊されずに済むので、変形した金属棒6を新しいものに取り換えるだけで、容易に木部材連結構造1を修繕することができる。
【0044】
その上、金属棒6は、木部材3にねじ込まれた無頭ラグスクリューボルト5に螺合するによって、無頭ラグスクリューボルト5を介して間接的に木部材3に接続している。これにより、木部材3を傷つけることなく簡単に金属棒6を木部材3から取り外し、新しい金属棒6に交換することができる。したがって、金属棒6の交換が容易なので、木部材3を破壊することなく容易に木部材連結構造1を修繕することができる。
【0045】
また木部材連結構造1が備える部品は金属棒6を含めて全て金属製なので、変形した金属棒6を金属の素材として再利用することができる。したがって、木部材連結構造1は、環境負荷が低い建造物を提供することができる。
さらに本実施形態の無頭ラグスクリューボルト5は、先孔4の深さに対する全長が特許文献2のスクリュー部材550よりも短いので、雄ねじ加工を施す範囲がスクリュー部材550よりも狭くて済み、素材となる金属も少なくて済む。その上、本実施形態の木部材連結構造1は、金属管9に雄ねじ加工等の特別な加工を施したり、金属管9を特別な材料で製造したりせずに、金属棒6の座屈を防ぐ効果を得ることができる。したがって木部材連結構造1は、特許文献2の連結構造500よりも製造費用を抑えることができる。
【0046】
次に、本実施形態の木部材連結構造の連結方法について説明する。
図4は、第1実施形態の木部材連結構造の連結方法の説明図である。
図4は、(A)から(D)にかけて工程が進行する。この図において、1は木部材連結構造、3は木部材、3aは端面、4は先孔、4bは先孔4の底、4cは先孔4の開口、5は無頭ラグスクリューボルト、6は金属棒、9は金属管である。
【0047】
まず
図4(A)に示すように、木部材3の端面3aに、先孔4を開ける。先孔4の内径は、無頭ラグスクリューボルト5の木用雄ねじ52の谷径寸法と同じであってもよく、無頭ラグスクリューボルト5の木用雄ねじ52の最大径と谷径の間の寸法であってもよい。
【0048】
次に
図4(B)に示すように、無頭ラグスクリューボルト5の一端面54を後方へ向けて、無頭ラグスクリューボルト5を先孔4の奥にまでねじ込む。
次いで
図4(C)に示すように金属棒6を先孔4に挿し込み、対ボルト用雄ねじ64を無頭ラグスクリューボルト5の雌ねじ51に螺合させる。
【0049】
次に
図4(D)のように金属棒6の一端部61から金属管9の中空部91に金属棒6を通す。金属管9は内径が金属棒6より太く、外径が先孔4より細いので、そのまま先孔4の中に挿入され、無頭ラグスクリューボルト5の前方に収まる。
その後ナット71Bをナット用雄ねじ62に螺合させ、金属棒6を被接合部材2に結合させる。
【0050】
なお、木部材連結構造1を木部材3に設ける工程は、これに限らない。例えば、木部材3に先孔4を開け、木部材3の外で無頭ラグスクリューボルト5に金属棒6を螺合させ、金属棒6に金属管9を通す。そして金属棒6と金属管9に組み合わさった状態のままの無頭ラグスクリューボルト5を先孔4にねじ込んでもよい。
【0051】
本実施形態の木部材連結構造1は、無頭ラグスクリューボルト5と金属管9が別々の部品であるため、金属棒6が折れた場合に、金属棒6だけを先孔4から取り出すことができる可能性が従来の特許文献2の連結構造500よりも高い。これについて、
図5で説明する。
図5は、金属棒6が折れた第1実施形態の木部材連結構造1の修繕工程の説明図である。この図において、3は木部材、4は先孔、4aは先孔4の内壁面、4cは先孔4の開口、5は無頭ラグスクリューボルト、6は金属棒、9は金属管、Tは工具である。
【0052】
図5(A)は、金属棒6が折れた第1実施形態の木部材連結構造1の部分断面図である。
図5(B)は折れた金属棒6を無頭ラグスクリューボルト5から抜く工程を表している。
図5(C)は折れた金属棒6を抜いた後の無頭ラグスクリューボルト5に新しい金属棒6を挿入する工程を表している。また、
図5(D)は
図5(A)のV-V断面図であり、
図5(E)は
図5(B)のW-W断面図である。
なお従来の連結構造500と比較しやすいように、
図5は、
図2(B)と同じ太さの金属棒6の太さを使用した場合を例として記載している。また
図5は、金属棒6の太さと工具Tの大きさを、
図2(B)と同じ縮尺で記載している。また
図5(B)は、金属棒6が折れた木部材3の端面3aからの距離が
図2(B)と同じ場合を例として記載している。
【0053】
本実施形態の金属棒6の強度は、無頭ラグスクリューボルト5の木部材3への定着強度より小さく設定されている。これにより、大地震等によって木部材連結構造1に大きな力がかかった場合、金属棒6が損傷しても、無頭ラグスクリューボルト5と木部材3は損傷を受けないことが想定される。
このような場合、損傷した金属棒6を新しいものに交換さえすれば、無頭ラグスクリューボルト5と木部材3は継続してそのまま使い続けることができる。
【0054】
例えば
図5(A)のように棒軸部65が折れたとする。
図5(D)に示すように先孔4に金属管9が入ったままであるときの棒軸部65の周囲にある空隙66は、工具Tの先端を挿し込めない程に狭い。
しかし本実施形態の木部材連結構造1は、無頭ラグスクリューボルト5と金属管9が別々の部品として構成されている。金属管9は、金属棒6に中空部91を通して先孔4に挿し込まれているだけで、隣接する他の部品5,7,9,10や先孔4の内壁面4aに固定されていない。この構成によって、木部材連結構造1は、金属管9の後端をつまんで簡単に先孔4から金属管9を取り出すことができる。
【0055】
これにより先孔4の内壁面4aと棒軸部65との間に、隙間4dができる。言い換えると金属管9を取り外すことによって、
図5(E)に示すように棒軸部65の周囲にある空隙66が大きくなり、棒軸部65の周囲に金属管9を取り外す前よりも広い空間を確保することができる。
【0056】
したがって
図5(B)のように、棒軸部65の周囲の空間が広い分、深く工具Tを先孔4に入れることができる。また棒軸部65の周囲に広めに空間(隙間4d)を確保できるので、この隙間4dに工具Tの先端を入れることができる。これにより、折れた棒軸部65を工具Tで把持し、軸周りに回転させることによって、無頭ラグスクリューボルト5から金属棒6を取り外すことができる。
さらに無頭ラグスクリューボルト5が先孔4の中央部から底までの範囲にだけ埋め込まれていることで、先孔4の開口付近に拡大部4eを設けられるので、先孔4の開口付近の内径が大きい分、工具Tをより深く先孔4に入れることができる。したがって本実施形態の木部材連結構造1は、先孔4の深い位置で金属棒6が折れた場合に折れた金属棒6を取り外せる確率を高くすることができる。
【0057】
その後、
図5(C)に示すように、新しい金属棒6を元のように無頭ラグスクリューボルト5と被接合部材2を連結させることによって、木部材連結構造1を修繕することができる。また木部材3や無頭ラグスクリューボルト5を破壊せずに折れた金属棒6を取り出すことができるため、修繕後も、修繕前と同一の木部材3や無頭ラグスクリューボルト5をそのまま継続して使用することができる。したがって木部材3を廃材にする必要もなく、修繕後に再利用することができる。また、折れた金属棒6は金属製なので、金属素材として再利用することができる。
したがって本実施形態の木部材連結構造1は、木部材3も含めて全ての部品を再利用することができる。
【0058】
(第1実施例)
次に、第1実施形態の木部材連結構造1の実施例について説明する。第1実施例は、第1実施形態の木部材連結構造1を使用した木質耐震壁100である。
図6は、室内側から見たときの木質耐震壁100の正面図である。この図において、1は木部材連結構造、20は柱梁フレーム、21は柱、22は梁、10はガセットプレート、31は木質系厚板面材、32A,32B,32Cはそれぞれ幅が異なる木質パネル、100は木質耐震壁を表している。なお、木質パネル32A,32B,32Cをまとめて呼ぶときは、木質パネル32と記載する。
図6は、集合住宅に耐力壁として使用された木質耐震壁100を例示している。木質耐震壁100は、隣戸間を区画する戸境壁や、住戸内に存在する間仕切り壁であってもよい。
【0059】
柱梁フレーム20は、集合住宅の架構を構成する鉄筋コンクリート造(以下、RC造)又は鉄骨鉄筋コンクリート造(以下、SRC造)の柱21と梁22である。
【0060】
本実施例の木質耐震壁100は、木質系厚板面材31の四周をRC造又はSRC造の柱21と梁22で取り囲む構成となっていることを特徴とする。耐火性能の高いRC造又はSRC造の柱梁フレーム20で木質系厚板面材31の四周を取り囲むことにより、火災時に木質系厚板面材31が消失しても柱21と梁22で建物の構造を保ち、倒壊を防ぐことができる。それにより木質耐震壁100は、木質系厚板面材31が耐火材41で被覆されていなくても主要構造部としての耐火性能を十分に保有するので、木質系厚板面材31を木現しで使用することができる。
【0061】
木質系厚板面材31は、CLT又はLVLから構成された複数の木質パネル32から構成されている。この木質パネル32の一つ一つが、本実施形態の木部材連結構造1においての木部材3に該当する。
複数の木質パネル32は、室内側から見たときの正面視における横方向に面一に並ぶことによって、1つの木質系厚板面材31を構成する。この図では、4枚の木質パネル32が横並びで隣接している。例えば木質系厚板面材31がCLTであり、室内側の表面に露出した板の方向が図のように上下方向である場合、隣接する木質パネル32同士の境目がCLT内のひき板の境目に紛れる。これにより木質系厚板面材31は、1枚の大版のCLTによって構成されているように見える。
【0062】
1つの木質パネル32は、人力で取り付けることができる重さ(例えば150kg以下)となる大きさ(例えば幅1,200mm、高さ2,400mm、厚さ100mm)に設けられている。
木質パネル32の幅は一定でなくてもよい。例えばこの図の場合、3種類の幅の木質パネル32が用いられている。下の階の中央にある幅広の木質パネル32Aは、1,575mmの幅に設けられており、上階でその真上に位置する幅が小さい木質パネル32Bは、787.5mmの幅に設けられている。幅広の木質パネル32Aの幅は、幅が小さい木質パネル32Bのちょうど2倍の大きさに設けられている。その他の木質パネル32の幅は、均一であり、幅1,000mmとなっている。
【0063】
各木質パネル32の正面視における四隅には、斜めに切断された切欠部36が設けられている。
木質パネル32の上下の梁22の仮想中心線Aと、木質パネル32の両側面35に沿って延びる仮想鉛直線Bが4ヶ所で交差し、仮想の長方形を成す。以下、この仮想の長方形の対角線を説明上、仮想対角線Dと呼ぶ。木部材連結構造1は、金属棒6と無頭ラグスクリューボルト5がこの仮想対角線Dに沿って延びるように、又は仮想対角線Dと平行に延びるように木質パネル32の四隅に設けられている。これにより木部材連結構造1の金属棒6は、木質パネル32の四隅の切欠部36から仮想対角線Dの交点である木質パネル32の中心Cへ向けて、斜めに延びるように設けられている。
【0064】
したがって図の幅広の木質パネル32Aと幅が小さい木質パネル32Bのように、木質パネル32の幅が変われば、仮想対角線Dの角度も変わるため、先孔4が設けられる角度は、木質パネル32の幅よってそれぞれ異なることになる。
また
図6には、上の階の木質パネル32Bの2つと下の階の木質パネル32Aのように、上の階と下の階で仮想鉛直線Bが揃う場合を例示している。しかしこれに限らず、上の階と下の階の仮想鉛直線Bは揃わなくてもよい。
【0065】
図7は、
図6のM部分の拡大矢視図である。この図は、先孔4の中が見えるように、正面に平行な平面で木質パネル32を縦に切断している。また、
図8は、
図7の矢視図である。
図8(A)はN-N矢視図、
図8(B)はP-P矢視図、
図8(C)はQ-Q矢視図である。なお、
図8(A)においては、木質パネル32の記載を省略している。
図7と
図8において、1は木部材連結構造、4は先孔、4bは先孔4の底、4cは先孔4の開口、5は無頭ラグスクリューボルト、52はその木用雄ねじ、53は無頭ラグスクリューボルト5の軸部、71Aは前ナット、71Bは後ナット、71Cは端ナットである。また
図7と
図8において、6は金属棒、21は柱、22は梁、10はガセットプレート、14はウェブ部、17はリブ部、16は木部材側フランジ部、18は溝、18aは溝の開口、32は木質パネル、100は木質耐震壁である。なお、以下の説明において、木質パネル32の正面視における中心Cへ向かう方向を「先孔4の底側」又は「中心側」と呼び、中心Cから離れる方向を「先孔4の開口側」又は「仮想対角線Dの外側」と呼ぶ。
【0066】
図7に示すように木質パネル32の四隅には、上面34又は下面と側面35とに交差する平面を有する切欠部36が設けられている。以下、この平面を斜面33と呼ぶ。木質パネル32の切欠部36が斜面33を有することにより、1つの切欠部36に複数の木部材連結構造1を横並びで設けることができる。これにより後述する分力F2,F3を複数の木部材連結構造1に分散することができる。
さらに斜面33は、各木質パネル32の仮想対角線Dに直交する平面であることが好ましい。斜面33が各木質パネル32の仮想対角線Dに直交する平面であることにより、その斜面33に設けられた木部材連結構造1にかかる分力F2,F3を均等に配分することができる。
【0067】
木質パネル32は、柱梁フレーム20と柱梁フレーム20に隣接する四周(
図7においては上面34と側面35)との間に隙間43を隔てて固定されている。この隙間43は、地震発生時に木質パネル32が柱梁フレーム20に干渉しない距離に設定されている。
【0068】
木質パネル32の四隅には、切欠部36に開口する先孔4が設けられている。先孔4は、切欠部36から仮想対角線Dに沿って又は仮想対角線Dに平行に延びている。これにより、先孔4の中に挿入される無頭ラグスクリューボルト5、金属棒6、および金属管9も、仮想対角線Dに沿って又は仮想対角線Dに平行に配置される。
図7の例では、3つの木部材連結構造1が仮想対角線Dに平行に、木質パネル32の四隅に埋め込まれている。なお、1つの切欠部36に設けられる木部材連結構造1は1つでもよく、複数設けられていてもよい。
【0069】
RC造又はSRC造の柱梁フレーム20の内側には、ガセットプレート10が固定されている。ガセットプレート10は、鋼の金具であり、ウェブ部14、被接合部材側フランジ部15、木部材側フランジ部16、及びリブ部17を有する。
ウェブ部14は、柱梁フレーム20の側面に沿って延びた被接合部材側フランジ部15と、木質パネル32の斜面33に対して平行に延びる木部材側フランジ部16との間で切欠部36の形状に合わせて板状に延びる部材である。
柱21と梁22が成す角に位置するガセットプレート10の被接合部材側フランジ部15は、直角を成し、柱梁フレーム20に取り付けられたときに柱21と梁22の両方に沿わせて、複数の頭付きスタッド44で固定される。柱21に接しない場所に固定されるガセットプレート10の被接合部材側フランジ部15は直線状の形態をしており、
図7のように上部又は下部の梁22に沿わせて複数の頭付きスタッド44で固定される。
【0070】
また木部材側フランジ部16は、ウェブ部14の端部であって、木質パネル32の斜面33に対面する位置に設けられている。木部材側フランジ部16は、仮想対角線Dに直交して延びており、木部材連結構造1の金属棒6を入れる溝18を有する。
図8(A)に示すように溝18は、柱梁フレーム20にガセットプレート10を取り付けたときの室内側(
図7の正面視における正面側)へ向けて開口する。この図の場合、一の木質パネル32の四隅に連結する全てのガセットプレート10が有する全ての溝18は、その開口18aから、正面視における正面側から背面側へ向けて互いに平行に延びる。つまり、一の木質パネル32の四隅に連結する全てのガセットプレート10が有する全ての溝18は、木質パネル32が移動可能な方向に延び、同じ方向へ開口18aを向ける。
この構成により、四隅に木部材連結構造1が埋め込まれた状態の木質パネル32を、その厚さ方向Xに移動させることで、金属棒6のナット用雄ねじ62の側面を木部材側フランジ部16の溝18に沿って移動させ、柱梁フレーム20から脱着することができる。したがって、柱梁フレーム20、木質パネル32、ガセットプレート10、木部材連結構造1のいずれも破壊することなく、容易に柱梁フレーム20から木質パネル32を外すことができる。
【0071】
またリブ部17は、木部材側フランジ部16から被接合部材側フランジ部15まで柱状又は板状に延びる。本実施例のリブ部17は、
図7のように仮想対角線Dに平行に、又は木部材側フランジ部16から垂直に、木部材側フランジ部16から被接合部材側フランジ部15まで真っ直ぐに延びる。リブ部17は、この図の前後方向の厚みが木部材側フランジ部16と同じであることが好ましい。リブ部17のこの構造により、溝18と溝18の間の木部材側フランジ部16を、強固に支持することができる。
なお、ガセットプレート10の形状は、
図7に記載したものに限らない。例えば、
図6に記載したように、2枚の木質パネル32の間に位置するガセットプレート10は、対面する2つの木質パネル32のそれぞれの斜面33に沿う形状と角度の木部材側フランジ部16を両脇用に2つ有している。
【0072】
木質耐震壁100はガセットプレート10と金属棒6を連結するナット71を備える。金属棒6のナット用雄ねじ62をガセットプレート10の溝18に嵌め、木部材側フランジ部16の上下をナット71で挟むことにより、金属棒6のナット用雄ねじ62をガセットプレート10に連結する。これにより木質パネル32がガセットプレート10に接続される。
【0073】
図9は、第1実施例の木質耐震壁100の抵抗機構の説明図である。この図では、説明が分かりやすいように柱梁フレーム20の歪みを実際よりも誇張して記載している。また、この図の白い矢印は、地震等によって柱梁フレーム20にかかる水平力F1と、水平力F1によって生じる回転力とを表している。その力に対して木質耐震壁100に生じる抵抗力R1,R2は、黒い矢印で表している。なお、この図において、Dは仮想対角線、Cは仮想対角線Dの交点である木質パネル32の中心を表している。
以下に、木質耐震壁100の抵抗機構について、図の一番左の木質パネル32を例にして詳しく説明する。
【0074】
集合住宅に地震が発生したとき、柱梁フレーム20の上側の梁22と下側の梁22には、逆向きの水平力F1がかかる。例えば図のように上側の梁22に左から右へ向かう水平力F1がかかり、下側の梁22には右から左へ向かう水平力F1がかかる(白の直線矢印)。木部材連結構造1は、直列に螺合した金属棒6と無頭ラグスクリューボルト5が仮想対角線Dに平行に延び、金属棒6の一端部61がガセットプレート10に連結しているので、梁22にかかった力はガセットプレート10から金属棒6に伝わる。これにより梁22に加わった水平力F1の一部は、仮想対角線Dに平行な分力(F2,F3)と仮想対角線Dに垂直な分力(図示しない)に分解される。
【0075】
例えば図の一番左上の木質パネル32の四隅にある木部材連結構造1の場合、上の梁22にかかる左から右へ向かう水平力F1の一部が分解したことによって生じた、仮想対角線Dに平行な分力F2がガセットプレート10を木質パネル32の中心Cへ向けて押す。この図では1つのガセットプレート10には3つの木部材連結構造1が連結している。木部材側フランジ部16の3つの溝18には、各木部材連結構造1の金属棒6が挿し込まれている。この図においては、木部材側フランジ部16の溝18に、紙面に垂直な方向における手前から紙面の奥へ向けて金属棒6の側面が挿し込まれている。各木部材連結構造1は、金属棒6に螺合する複数のナット71で木部材側フランジ部16の両面を挟むことにより、木部材側フランジ部16に固定されている。これにより木部材側フランジ部16の動きに、金属棒6の一端部62が追従して動く。
【0076】
この構成により水平力F1の分解によって生じた、仮想対角線Dに平行な分力F2は、木部材側フランジ部16から前ナット71Aへ伝わり、金属棒6の一端部61を木質パネル32の中心Cへ向けて押す。棒軸部65は、金属管9の中空部91に通っているだけで周面が固定されていないため、金属棒6が軸方向に動くことができる。ただし棒軸部65の周囲には金属管9の側壁があるので、棒軸部65が曲がる範囲は金属管9の内径によって限定される。したがって、木部材連結構造1は、棒軸部65が金属管9の中空部91の中で撓むことによって分力F2を吸収することができる。
また金属管9が棒軸部65を囲むので、金属棒6は棒軸部65が座屈する程曲がることは出来ない。したがって木部材連結構造1は、金属管9を有することにより、棒軸部65の座屈を防ぐことができる。
【0077】
さらに棒軸部65には、分力F2に抵抗する抵抗力R1が生じる。抵抗力R1
は、木部材側フランジ部16を金属棒6の軸方向後端側へ押し返す。これにより、上側の梁22を左から右へ押す水平力F1に抵抗することができる。
【0078】
次にこの図において、同じ木質パネル32の右上の四隅にある木部材連結構造1について説明する。この木部材連結構造1は、右上から左下へ延びる仮想対角線Dに沿って金属棒6と無頭ラグスクリューボルト5が延びている。そのため上側の梁22に左から右へ押す水平力F1がかかると、ガセットプレート10が木質パネル32から離れる方向に力がかかる。つまりこの水平力F1から分解されて生じた仮想対角線Dに平行な分力F3は、ガセットプレート10の木部材側フランジ部16を仮想対角線Dの外側へ引っ張る。これによって金属棒6の一端部61がナット71を介して仮想対角線Dの外側へ引っ張られる。金属棒6の他端部63は木質パネル32にしっかりとねじ込まれた無頭ラグスクリューボルト5に螺合し、棒軸部65の周面は何にも拘束されていないため、金属棒6の一端部61にかかる引張力によって棒軸部65が伸び、分力F3の一部を吸収する。また伸びた金属棒6が弾性力によって元に戻ろうとするので、ガセットプレート10を中心側へ向けて引っ張る抵抗力R2が生じる。木部材連結構造1は、この抵抗力R2によってガセットプレート10の木部材側フランジ部16を中心側へ引っ張るので、上側の梁22を左から右へ押す水平力F1に抵抗することができる。
【0079】
このように本実施例の木質耐震壁100は、柱梁フレーム20から伝達された水平力F1を、ガセットプレート10とナット71を介して金属管9に伝搬させ、棒軸部65の弾性力で抵抗し、より大きな力に対しては塑性変形することによって力を吸収する。その上、木質パネル自体が耐震性能に優れたCLT又はLVLによって構成されている。さらに木部材連結構造1は、木質パネル32の四隅から仮想対角線Dに沿って又は仮想対角線Dに平行に斜めに金属棒6を延ばし、棒軸部65が弾性力によって伸縮する。
したがって木質耐震壁100は、柱梁フレーム20にかかる水平力F1に抵抗することができる。またさらに大きな力がかかったときには、棒軸部65が塑性変形し、力を吸収する。
【0080】
また、木質耐震壁100は、木質パネル32の四隅から中心Cへ向けて斜めに木部材連結構造1を配置するので、鋼板挿入ドリフトピン接合と埋込みボルト接合で接続するよりも少ない接続金物で大きな耐力と高い変形性能を得ることができる。
【0081】
その上、ガセットプレート10の木部材側フランジ部16の溝18が室内側に開口し、複数の溝18が正面視における背面側へ向けて平行に延びるので、あと施工が可能である。つまり仮想対角線Dの外側に位置するナット71と座金8を金属棒6のナット用雄ねじ62から外し、木質パネル32を木部材連結構造1ごと室内側へ動かせば、木質パネル32を柱梁フレーム20から外すことができる。
【0082】
また、複数の木質パネル32を合わせて1つの木質系厚板面材31を構成するので、1枚あたりの木質パネル32の重量が人力で取り付けることができる重さと大きさ(横幅)になるように任意の大きさに設けることができる。そのため、台車などに載せて玄関から木質パネル32を運び入れることができ、また古い木質パネル32を運び出すことができる。したがって、本実施例の木質耐震壁100は、木質パネル32を持ち上げるのに大型の揚重機が必要ないので、竣工後であっても、木質耐震壁100を更新することができる。これにより、例えば火事などによって木質パネル32を取り換える必要が生じた場合に、傷んだ木質パネル32を新しい木質パネル32に取り換えることができる。また、耐震改修工事を行うときに、普通の壁があった柱梁フレーム20にガセットプレート10と木質パネル32を接続することで、新たな耐力壁として木質耐震壁100を設置することができる。
【0083】
図10は、
図6のS-S矢視図である。この図において、1は木部材連結構造、100は木質耐震壁、20は柱梁フレーム、21は柱、22は梁、32は木質パネル、33は斜面、41は耐火材、42は吸音材を表している。またこの図において10はガセットプレート、14はウェブ部、16は木部材側フランジ部、17はリブ部、18は溝、5は無頭ラグスクリューボルト、6は金属棒、65は棒軸部、9は金属管を表している。
集合住宅では、隣戸間を区画する戸境壁を耐力壁とすることが多い。この図の木質耐震壁100は隣接する住戸間に設けられた戸境壁である。一般に、主要構造部である壁に木質系厚板面材31を使用する場合、建物の用途や規模又は地域によっては、一定の耐火性能を必要とする。その上、木質耐震壁100を戸境壁として使用する場合には、主要構造部としての耐火性能に加え、隣戸への延焼を防ぐための耐火性能と、遮音性能をも必要とする。
【0084】
この図に示したように、本実施例の木質耐震壁100を戸境壁として使用するときの断面構造は、木質系厚板面材31、耐火材41、吸音材42、耐火材41、木質系厚板面材31の順に並ぶ積層構造となっている。
つまり、柱梁フレーム20の内側には、住戸の一番室内側に一対の木質系厚板面材31が1枚ずつ配置され、それぞれ木質系厚板面材31の裏側に沿うように一対の木質系厚板面材31の間に一対の耐火材41が配置される。その一対の耐火材41の間には、吸音材42が配置される。なお、この図では、吸音材42しか図示されていないが、吸音材42が配置される位置(例えばこの図の吸音材42の奥側)には、下地材も配置されている。この構成により、木質耐震壁100は、上述した積層構造となっている。
【0085】
耐火材41は、例えば、石膏ボードであってもよい。また、吸音材42は、例えばグラスウールボードであってもよい。もしくは、吸音材42を配置する代わりに、遮音を目的とした隙間を空気層として配置してもよい。
耐火材41と吸音材42の四周は、柱梁フレーム20の内側に密着する。これにより、隣接する2つの住戸は、耐火材41と吸音材42で完全に隔てられている。
【0086】
このように本実施例の木質耐震壁100は、2枚の木質系厚板面材31の間に耐火材41と吸音材42を備えるため、耐火性能と遮音性能を確保しつつ、木質系厚板面材31を木現しで使用することができる。
つまり、例えば図の右側の住戸で火災が発生した場合、図の右側の木質系厚板面材31が焼失したとしても、右側の耐火材41、吸音材42、左側の耐火材41、及び木質系厚板面材31は燃えずに残る。
【0087】
したがって木質系厚板面材31を木現しで使用しても、木質系厚板面材31の内側に貼られた耐火材41で隣戸への延焼を防ぐことができるため、木質耐震壁100を戸境壁に使用することができる。
また、右側の木質系厚板面材31が焼失しても、左側の木質系厚板面材31は燃えずに残るため、耐力的には、木質耐震壁100が耐力壁としての耐震性能を維持することができる。したがって、復旧工事で右側の木質系厚板面材31を更新するまでの間も、燃え残った木質耐震壁100が耐力壁として機能することができる。
【0088】
このように、木質耐震壁100を戸境壁に使用することによって、木質系厚板面材31を木現しで使用したとしても、戸境壁の耐火性能、遮音性能、及び耐震性能を高く維持することができる。
【0089】
(第2実施例)
次に、第1実施形態の木部材連結構造1の実施例として、第2実施例の木質耐震壁100について説明する。
図11は、木質耐震壁100が第2実施例であるときの
図6のU部分の拡大矢視図である。この図は、先孔4の中が見えるように、正面に平行な平面で木質パネル32を縦に切断している。
図11において、1は木部材連結構造、4は先孔、4bは先孔4の底、4cは先孔4の開口、5は無頭ラグスクリューボルト、52はその木用雄ねじ、53は無頭ラグスクリューボルト5の軸部、71Aは前ナット、71Bは後ナット、71Cは端ナットである。また
図11において、6は金属棒、21は柱、22は梁、10はガセットプレート、14はウェブ部、17はリブ部、16は木部材側フランジ部、18は溝、32は木質パネル、100は木質耐震壁である。
【0090】
第2実施例は、ガセットプレート10のリブ部17の形状と、ガセットプレート10を柱梁フレーム20に固定する固定具とが、第1実施例とは異なる。
第2実施例のリブ部17は、第1実施例とは異なり、木部材側フランジ部16から被接合部材側フランジ部15まで延びる途中で折れ曲がる。具体的には、リブ部17の木部材側フランジ部16に近い部分は、木部材側フランジ部16の溝18や穴19が無い部位から木部材側フランジ部16に垂直に延びる。そして途中で折れ曲がり、リブ部17の被接合部材側フランジ部15に近い部分となる。リブ部17の被接合部材側フランジ部15に近い部分は、被接合部材側フランジ部15に垂直に延びる。被接合部材側フランジ部15のリブ部17とリブ部17の間には、ボルト45を貫通させる穴15aが設けられている。
【0091】
リブ部17のこのような形状によって、リブ部17が被接合部材側フランジ部15の穴15aやその周囲を避けて延びるので、穴15aから突き出たボルト45がリブ部17に当たらない。また、穴15aから突き出たボルト45とリブ部17の被接合部材側フランジ部15に近い部分とが平行に延びるので、ボルト45とリブ部17の間の空間を広く取ることができる。これによりボルト45にナット46を取り付ける作業でリブ部17が妨げになるおそれが無い。
その他の第2実施例の構成、使用方法、及び効果は、第1実施例のそれらと同様である。
【0092】
(第3実施例)
木部材連結構造1は、柱の両端部の連結や梁の主筋に使用してもよい。第3実施例のその他の構成と効果は、第1実施例又は第2実施例と同様である。
【0093】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の木部材連結構造1について説明する。
図12は、木質耐震壁100に第2実施形態の木部材連結構造1を使用しているときの
図6のM部分の拡大矢視図である。この図において、1は木部材連結構造、2は被接合部材、3は木部材、3aは端面、4は先孔、4bは先孔4の底、4cは先孔4の開口、5は無頭ラグスクリューボルト、6は金属棒、7は連結具、9は金属管、10はガセットプレートである。
【0094】
第2実施形態の連結具7は、長ナット72、頭付ボルト73、座金8、及びガセットプレート10である。
第2実施形態の木部材連結構造1には、木部材側フランジ部16に穴19が設けられたガセットプレート10を用いる。木部材連結構造1に穴19が設けられたガセットプレート10は、溝18が設けられたガセットプレート10よりも頑丈なため、リブ部17が無くてもよい。リブ部17が無い分、ガセットプレート10を軽量化でき、製造費用を削減することができる。しかしこれに限らず、第2実施形態のガセットプレート10は、穴19と共にリブ部17が設けられたものであってもよい。
【0095】
長ナット72は、内部に雌ねじが切られており、第1実施形態の前ナット71Aよりも軸方向の長さが長いナットである。長ナット72の一端部72aには、金属棒6のナット用雄ねじ62が螺合する。
長ナット72の軸方向の長さが第1実施形態の前ナット71Aよりも長い分、先孔4の拡大部4eの深さは、図のように第1実施形態よりも深く設けられていてもよい。これにより修繕工程で、第1実施形態よりも、先孔4のより深くにまで工具Tを届かすことができるという効果を得ることができる。
【0096】
また長ナット72が第1実施形態の前ナット71Aよりも長い分、金属棒6や金属管9が第1実施形態のそれらよりも短くてもよい。
もちろん、第1実施形態と同じ長さの金属棒6や金属管9を第2実施形態の木部材連結構造1に使用し、長ナット72が第1実施形態の前ナット71Aよりも長い分、先孔4を深く設けてもよい。
【0097】
頭付ボルト73は、例えば引張強度が490N/mm2以上、1,000N/mm2未満の高張力鋼や1,000N/mm2以上の超高張力鋼によって製造されたハイテンションボルトであってもよい。もしくは、頭付ボルト73は、中ボルトであってもよい。頭付ボルト73は、軸73bが、ガセットプレート10の穴19に挿し込まれる。穴19を通り抜けた先にある頭付ボルト73の軸73bは、長ナット72の他端部72bに螺合する。
【0098】
この構成により第2実施形態の木部材連結構造1は、長ナット72の他端部72bと頭付ボルト73の頭部73aとで、ガセットプレート10の木部材側フランジ部16を金属棒6の軸方向に挟む。
これにより第2実施形態の木部材連結構造1は、第1実施形態と同様に、ガセットプレート10の木部材側フランジ部16を先孔4の底側へ向けて押す力を第1実施形態の前ナット71Aの代わりに長ナット72を介して金属棒6に伝えることができる。これによって第2実施形態の棒軸部65にも、分力F2に抵抗する抵抗力R1が生じ、その抵抗力R1で木部材側フランジ部16を押し返す。
【0099】
また木部材3から離れる方向へ向かう引張力がガセットプレート10にかかったときには、木部材側フランジ部16が頭付ボルト73の頭部73aを木部材3から離れる方向へ引っ張る。この引張力は、頭付ボルト73の軸73bと長ナット72から金属棒6の一端部61に伝わり、棒軸部65が伸びる。これにより伸びた金属棒6が弾性力によって元に戻ろうとするので、ガセットプレート10を先孔4の底側へ向けて引っ張る抵抗力R2が生じる。
したがって、第2実施形態の木部材連結構造1も、第1実施形態と同様に高い変形性能を有することができる。
【0100】
また第2実施形態の木部材連結構造1は、頭付ボルト73を外し、木部材3をガセットプレート10の木部材側フランジ部16に平行に移動させることによって被接合部材2から木部材3を取り外すことができる。つまり例えば
図12の場合、図に載っていないガセットプレート10も含めて木質パネル32の四隅にある木部材側フランジ部16の全てに平行な方向は、紙面に垂直な方向である。この方向へ向けて木質パネル32を移動させることによって、柱梁フレーム20に木質パネル32を着脱することができる。
その他の第2実施形態の構成、連結方法、修繕工程、及び効果と、第2実施形態の第1実施例~第3実施例における構成と効果は、第1実施形態のそれらと同様である。
【0101】
(第3実施形態)
図13は、第3実施形態の木部材連結構造1の正面断面図である。この図において、1は木部材連結構造、2は被接合部材、3は木部材、3aは端面、4は先孔、4bは先孔4の底、4cは先孔4の開口、5は無頭ラグスクリューボルト、55はその他端面である。また、6は金属棒、71はナット、8は座金、9は金属管、10はガセットプレートである。本実施形態のガセットプレート10は、溝18と穴19のどちらを有するものであってもよい。
第3実施形態の木部材連結構造1は、前ナット71Aと金属管9が無い点が、第1実施形態とは異なる。つまり第3実施形態の木部材連結構造1は、ガセットプレート10が有する溝18や穴19よりも被接合部材側のみに、ナット用雄ねじ62に螺合するナット71を有する。ナット71は、木部材側フランジ部16に接するように取り付けられている。
本実施形態の先孔4には、拡大部4eが無くてもよいが、拡大部4eを設けてもよい。
【0102】
図14は、大きな力がかかったときの第3実施形態の木部材連結構造1の正面断面図である。
図14(A)は、木部材3から離れる方向へ向かう引張力がガセットプレート10にかかったときの図である。
本実施形態の木部材連結構造1は、木部材側フランジ部16の被接合部材側にのみナット71B,71Cを有し、ガセットプレート10と木部材3の間にナット71Aを有さない。この構成によりガセットプレート10が木部材3から離れる方向へ向かう引張力が、後ナット71Bと端ナット71Cを介して金属棒6に伝わり棒軸部65が伸びる。これにより伸びた金属棒6に弾性力によって元に戻ろうとする抵抗力R2が生じ、金属棒6がガセットプレート10を先孔4の底側へ向けて引っ張る。
したがって、第3実施形態の木部材連結構造1は、第1実施形態や第2実施形態ほど高くはないものの、GIR200よりも高い変形性能を有することができる。
【0103】
図14(B)は、木部材3へ向けて押す力がガセットプレート10にかかったときの第3実施形態の木部材連結構造1の正面断面図である。
一方、本実施形態の木部材連結構造1には前ナット71Aが無いので、ガセットプレート10を木部材3へ向けて押す力は金属棒6に伝わらない。ガセットプレート10を木部材3へ向けて押す力がガセットプレート10にかかると、後ナット71Bと端ナット71Cが木部材側フランジ部16を離れ、伸びた金属棒6の一端部61が木部材側フランジ部16から突き出る。金属棒6の一端部61が木部材側フランジ部16の動きに追従しないため、木部材3へ向けて押す力が金属棒6にかかっても棒軸部65が湾曲しない。したがって、ガセットプレート10に木部材3へ向けて押す力がかかっても、金属棒6が座屈しないため、第3実施形態の木部材連結構造1には金属管9を設ける必要がない。
【0104】
このように、第3実施形態の木部材連結構造1は、前ナット71Aと金属管9がない分、第1実施形態と第2実施形態の木部材連結構造1よりも製造費用を抑えることができる。
【0105】
また第1実施形態について
図5で説明したように、仮に第3実施形態の金属棒6が折れた場合、金属棒6の棒軸部65の周囲には、第1実施形態の木部材連結構造1で金属管9を引き抜いた後(
図5(B))と同じ幅の空隙66がある。したがって第3実施形態の金属棒6の棒軸部65の周囲にある空隙66も広いため、工具Tを奥深くまで挿入できる。
その上、無頭ラグスクリューボルト5が木部材3の組織に連結するのは、先孔4の長手方向における中央部から底4bまでの部分に限られるので、先孔4の開口付近の内径は、木部材連結構造1の性能に影響しない。したがって工具Tが奥まで入るように先孔4に拡大部4eを設けて開口付近の内径を広げ、折れた金属棒6を取り出してもよい。
したがって本実施形態の木部材連結構造1も、金属棒6が棒軸部65で折れたとしても、木部材3を破壊することなく容易に金属棒6を交換でき、修繕前に使用していた無頭ラグスクリューボルト5や木部材3を修繕後に再利用できる。
【0106】
第3実施形態の木部材連結構造1は、第1実施形態のように、ガセットプレート10が溝18を有するものであり、後ナット71Bと端ナット71Cを外してから溝18に沿って木部材3を移動させることによって、被接合部材2から木部材3を取り外してもよい。
もしくは
図3における金属棒6の上に十分な空間があり、金属棒6が被接合部材側フランジ部15や被接合部材2に当たらないのであれば、別の方法で被接合部材2から木部材3を外してもよい。例えば、ナット71B,71Cを取り外し、金属棒6を回転させて無頭ラグスクリューボルト5との螺合を外し、ガセットプレート10の溝18又は穴19から金属棒6を引き抜くことによって、被接合部材2から木部材3を外してもよい。
その他の第3実施形態の構成、連結方法、修繕工程、及び効果と、第3実施形態の第1実施例~第3実施例における構成と効果は、第1実施形態のそれらと同様である。
【0107】
上述した本発明によれば、金属棒6の両端部が被接合部材2と無頭ラグスクリューボルト5に連結し、その間の棒軸部65の周面は金属管9の中空部91に通っているだけで何にも固定されていない構造となっている。したがって、本発明の木部材連結構造1は、大地震等で大きな力がかかったときに棒軸部65がその軸方向に伸縮できるので、エネルギーを吸収することができる。これにより、本発明の木部材連結構造1は、大きな変形性能を有することができる。
【0108】
また金属棒6は、木部材3にねじ込まれた無頭ラグスクリューボルト5に螺合するによって間接的に木部材3に接続している。したがって、金属棒6を逆方向に回すだけで、木部材3を傷つけることなく簡単に金属棒6を木部材3から取り外し、新しい金属棒6に交換することができる。
【0109】
その上、第1実施形態と第2実施形態の木部材連結構造1は、無頭ラグスクリューボルト5と金属管9が別々の部品として構成されているため、簡単に先孔4から金属管9を取り出すことができる。それにより棒軸部65の周囲にある空隙66を広げることができるので、その空隙66に工具Tを入れて折れた棒軸部65を把持し、軸周りに回転させ、無頭ラグスクリューボルト5との螺合を解除して先孔4から取り出すことができる。また第3実施形態の木部材連結構造1も、棒軸部65の周囲にある空隙66を広く保っているので、空隙66に工具Tを入れて、容易に折れた棒軸部65を取り出すことができる。
したがって本発明の木部材連結構造1は、金属棒6が棒軸部65で折れたとしても、木部材3を破壊することなく容易に先孔4から金属棒6を取り出すことができる。
また木部材3を破壊せずに金属棒6を交換できるため、修繕前に使用していた無頭ラグスクリューボルト5や木部材3を修繕後も引き続き同じ部品として使用し続けることができる。したがって木部材連結構造1は、修繕後も、木部材3を再利用することができる。
【0110】
また木部材連結構造1が備える部品5,6,7,9,10が全て金属製であり、エポキシ樹脂400を使用しないので、全ての部品を金属の素材として再利用することができる。
したがって木部材連結構造1は、全ての部品5,6,7,9,10も木部材3も再利用可能であるため、環境負荷が低い建造物を提供することができる。
【0111】
なお本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0112】
1 木部材連結構造、
2 被接合部材、
3 木部材、3a 端面、
4 先孔、4a 内壁面、4b 底、4c 開口、4d 隙間、4e 拡大部、
5 無頭ラグスクリューボルト、51 雌ねじ、52 木用雄ねじ、53 軸部、54 一端面、55 他端面、
6 金属棒、61 一端部、62 ナット用雄ねじ、63 他端部、64 対ボルト用雄ねじ、65 棒軸部、66 棒軸部の周囲にある空隙、
7 連結具、71 ナット、71A 前ナット、71B 後ナット、71C 端ナット、
72 長ナット、72a 長ナットの一端部、72b 長ナットの他端部、
73 頭付ボルト、73a 頭付ボルトの頭部、
73b 頭付ボルトの軸、
8 座金、
9 金属管、91 中空部、92 他端面、93 一端面、
10 ガセットプレート、14 ウェブ部、
15 被接合部材側フランジ部、
15a 被接合部材側フランジ部に設けられた穴、
16 木部材側フランジ部、
17 リブ部、18 溝、18a 溝の開口、19 穴、
20 柱梁フレーム、21 柱、22 梁、
31 木質系厚板面材、
32 木質パネル、
32A 幅が1,575mmの木質パネル、
32B 幅が787.5mmの木質パネル、
32C 幅が1,000mmの木質パネル、
33 斜面、34 上面、35 側面、36 切欠部、
41 耐火材、42 吸音材、
43 柱梁フレームと木質パネルの間の隙間、
44 頭付きスタッド、45 ボルト、46 ナット、
100 木質耐震壁、
200 GIR、231 亀裂、260 鋼棒、
300 GIUA、360 鋼棒、370 アンボンド部、
400 エポキシ樹脂、
500 金属製の接合具を使用した従来の連結構造、
550 スクリュー部材、551 雌ねじ、552 中空孔、554 端面、
560 長ボルト、563 先端部、564 雄ねじ、565 軸部、
566 スクリュー部材の中空孔の内面と長ボルトの軸部の側面との間の隙間、
A 梁の仮想中心線、
B 仮想鉛直線、
C 仮想対角線の交点である木質パネルの中心、
D 仮想対角線、
F1 梁を水平に押す水平力、
F2,F3 水平力の仮想対角線Dに平行な分力、
R1,R2 水平力に対して木質耐震壁に生じる抵抗力、
T 工具、
X 木質パネルの厚さ方向