(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168886
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】染毛料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20241128BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20241128BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A61K8/49
A61Q5/06
A61K8/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085917
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】502439647
【氏名又は名称】株式会社ダリヤ
(72)【発明者】
【氏名】横山 亮太
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AC122
4C083AC302
4C083AC432
4C083AC482
4C083AC532
4C083AC552
4C083AC642
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC692
4C083AC711
4C083AC712
4C083AC782
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD132
4C083AD452
4C083BB05
4C083BB07
4C083CC36
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD38
4C083EE07
4C083EE26
(57)【要約】
【課題】起泡性が良好で、肌染着性が低く、洗浄性、染毛性および経時的染毛性に優れた染毛料組成物を提供する。
【解決手段】(A)塩基性青75または塩基性青124から選ばれる1種以上
(B)両性界面活性剤
(C)アニオン性界面活性剤
を含有し、前記(B)成分の含有量が1~10質量%であり、前記(C)成分の含有量が0.1~1.4質量%であり、pHが4.0~6.0の範囲である染毛料組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)塩基性青75または塩基性青124から選ばれる1種以上
(B)両性界面活性剤
(C)アニオン性界面活性剤
を含有し、前記(B)成分の含有量が1~10質量%であり、前記(C)成分の含有量が0.1~1.4質量%であり、pHが4.0~6.0の範囲である染毛料組成物。
【請求項2】
前記(B)成分が、ベタイン型両性界面活性剤またはアミノ酸型両性界面活性剤から選ばれる1種以上である請求項1に記載の染毛料組成物。
【請求項3】
前記(C)成分が、N-アシルメチルアラニン型アニオン性界面活性剤または硫酸塩型アニオン性界面活性剤から選ばれる1種以上である請求項1に記載の染毛料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染毛料組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は特定の塩基性染料を含有する染毛料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアカラーリング剤は、酸化染料を用いる酸化染毛剤等の永久染毛剤、毛髪を明るくする脱色剤、直接染料を用いる半永久染毛料、毛髪を一時的に着色する一時染毛料に大別される。これらのうち、酸化染料を含有する酸化染毛剤等の永久染毛剤は、優れた染毛性を発揮できることから汎用されている一方で、一般的に酸化剤およびアルカリ剤を含有するため、毛髪や頭皮に対する負荷が大きいというデメリットがある。
【0003】
これに対して半永久染毛料は、塩基性染料や酸性染料、HC染料等の直接染料を含有した染毛料組成物であり、その一種として染毛性とトリートメント性を同時に示すカラートリートメントや染毛性と洗浄性を同時に示すカラーシャンプーなどがあり、毛髪や頭皮に対する負荷が小さいというメリットがある。この中でもカラーシャンプーは、洗浄剤として単に毛髪や頭皮の汚れを除去するという機能だけでなく、日常的な毛髪の洗浄を行いながら、塩基性染料やHC染料等の直接染料を毛髪に徐々に吸着させ、毛髪に染色性を付与という利便性もある。
【0004】
近年のファッションカラーのトレンドにおいて、原色系の派手な髪色だけでなく、トーンが暗い色や灰系統色等のようなくすんだ髪色まで幅広く人気が高まりつつある中で、日常の洗髪を繰り返したことによる染毛色の褪色に対する補色にも関心が集まっており、この補色を行う手段としてカラーシャンプー等の染毛料組成物がよく使用されている。そして、酸化染毛剤と比較して、酸化剤やアルカリ剤等を含有しないため毛髪および頭皮へのダメージを軽減することができ、多用できるというメリットからも、近年需要が増える傾向にある。特に、トーンが暗い色や灰系統色のようなくすんだ髪色、青系統色等は褪色過程において、ブリーチ等で明るくした毛髪自体のメラニン色素由来の黄味が露呈されて色調が乱れやすいことから、カラーシャンプー等の染毛料組成物が補色のために使用される傾向に強い。
【0005】
このようなカラーシャンプーとして特許文献1では、塩基性青124およびその他塩基性染料、HC染料を組み合わせて含有した染毛料組成物で、毛髪に対する十分な染色性を有するにもかかわらず、皮膚への染着性は抑えられた染毛料組成物を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1における染毛料組成物は、カラーシャンプーにおける青色塩基性染料の経時的安定性に懸念があることに伴い、経時的染毛性に課題があった。また、起泡性および洗浄性は検討されておらず、肌染着性および染毛性においてもまだ改善の余地があった。特に塩基性青75に関しては、肌染着性および染毛性において課題が残っていた。
【0008】
したがって本発明は、起泡性が良好で、肌染着性が低く、洗浄性、染毛性および経時的染毛性に優れた染毛料組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は鋭意検討した結果、
(A)塩基性青75または塩基性青124から選ばれる1種以上
(B)両性界面活性剤
(C)アニオン性界面活性剤
を含有し、前記(B)成分の含有量が1~10質量%であり、前記(C)成分の含有量が0.1~1.4質量%であり、pHが4.0~6.0の範囲である染毛料組成物
が、上記の課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、起泡性が良好で、肌染着性が低く、洗浄性、染毛性および経時的染毛性に優れた染毛料組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明において含有量を示す単位は、特に明記しない限り全て質量%である。
【0013】
本発明において洗浄性とは、頭皮の汚れを洗い落とす程度を意味する。
【0014】
本発明において経時的染毛性とは、調製直後の染毛料組成物の染毛性に対して、染毛料組成物を40℃で一定期間保存した時点における染毛性の経時的な保持性を意味する。
【0015】
本発明の染毛料組成物は(A)塩基性青75または塩基性青124から選ばれる1種以上を必須の塩基性染料として含有する。この前記(A)成分およびその他の任意の直接染料の一種または二種以上を任意の割合で組み合わせることにより、灰系統色や青系統色でカラーリングした毛髪の褪色に対する補色、および褪色過程で露呈する黄味を抑制する染毛料組成物を調製するのに有用である。
【0016】
本発明は、染毛性および経時的染毛性の観点から、(A)塩基性青75または塩基性青124から選ばれる1種以上を含有する。
【0017】
[(A)成分:塩基性青124]
本発明で用いられる塩基性青124は、下記の「化1」に示す化学構造をもつ青色系の塩基性染料である。
【化1】
【0018】
[(A)成分:塩基性青75]
本発明で用いられる塩基性青75は、下記の「化2」に示す化学構造をもつ青色系の塩基性染料である。
【化2】
【0019】
本発明は、起泡性および洗浄性の観点から、(B)両性界面活性剤を含有する。
【0020】
本発明で用いられる前記(B)成分としては、特に限定されないが、例えば、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤が挙げられ、これらから選ばれる少なくとも一種以上を含有する。
【0021】
前記アミノ酸型両性界面活性剤の具体例としては、特に限定されないが、例えば、N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ウンデシルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシエチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシエトキシエチル-N’-カルボキシエチルエチレンジアミン二ナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシメトキシエチル-N’-カルボキシメチルエチレンジアミン二ナトリウム、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、パーム油脂肪酸アシル-N-カルボキシエチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等のグリシン型両性界面活性剤、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸トリエタノールアミン等のアミノプロピオン酸型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0022】
前記ベタイン型両性界面活性剤の具体例としては、特に限定されないが、例えば、ヤシ油アルキルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルベタインナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン等のアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0023】
本発明で用いられる前記(B)成分のうち、好ましくはラウリン酸アミドプロピルベタイン、N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウムまたは2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインから選ばれる一種以上がよい。
【0024】
本発明で用いられる前記(B)成分の含有量は、好ましくは1~10%、より好ましくは2~10%、さらに好ましくは4~10%がよい。前記(B)成分の含有量が1%未満の場合、起泡性および洗浄性が十分に得られない。前記(B)成分の含有量が10%を超える場合、それ以上の起泡性および洗浄性の向上は期待できない。
【0025】
本発明は、起泡性の観点から、(C)アニオン性界面活性剤を含有する。
【0026】
本発明で用いられる前記(C)成分としては、特に限定されないが、例えば、硫酸塩型アニオン性界面活性剤およびN-アシルメチルアラニン型アニオン性界面活性剤が挙げられ、これらから選ばれる少なくとも一種以上を含有する。
【0027】
前記硫酸塩型アニオン性界面活性剤の具体例としては、特に限定されないが、例えば、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等が挙げられる。
【0028】
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の具体例としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンミリスチル硫酸、ポリオキシエチレンセチルエーテル硫酸、およびこれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩等)等が挙げられる。
【0029】
前記N-アシルメチルアラニン型アニオン性界面活性剤の具体例としては、特に限定されないが、例えば、N-ラウロイルメチルアラニン、N-ヤシ油脂肪酸メチルアラニン、N-ミリストイルメチルアラニン、N-ステアロイルメチルアラニン、N-パルミトイルメチルアラニン、およびこれらの塩( ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩等)等が挙げられる。
【0030】
本発明で用いられる前記(C)成分のうち、好ましくはラウロイルメチル-β-アラニンナトリウムまたはポリオキシエチレンアルキル(12,13)エーテル硫酸ナトリウム(3E.O.)から選ばれる一種以上がよい。
【0031】
本発明で用いられる前記(C)成分の含有量は、好ましくは0.1~1.4%、より好ましくは0.1~1.2%、さらに好ましくは0.2~0.8%がよい。前記(C)成分の含有量が0.1%未満の場合、起泡性が十分に得られない。前記(C)成分の含有量が1.4%を超える場合、染毛性および経時的染毛性が悪くなる。
【0032】
本発明は、起泡性、肌染着性、洗浄性、染毛性および経時的染毛性の観点から、pHは、20℃の条件下で好ましくはpH4.0~6.0であり、より好ましくはpH4.5~5.5がよい。pHが4未満の場合、起泡性、洗浄性および染毛性が悪くなる。pHが6を超える場合、肌染着性および経時的染毛性が悪くなる。
【0033】
本発明における染毛料組成物の20℃条件下におけるpHは、常法にて調製して得られた染毛料組成物をサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g充填し、20℃条件下で24時間放置した後に、ガラス電極式水素イオン濃度指示計(F-71、堀場製作所製)にて原液のpHを測定し得られるものである。
【0034】
本発明における染毛料組成物は、直接染料として、前記(A)成分以外の塩基性染料またはHC染料、またはその両方を含有することができる。これらの直接染料の一種または二種以上を任意の割合で組み合わせることにより、多様なカラーバリエーションが調製可能となる。
【0035】
前記(A)成分以外の塩基性染料の具体例としては、特に限定されないが、例えば、赤色213号、赤色214号、塩基性青3、塩基性青6、塩基性青7、塩基性青26、塩基性青41、塩基性青77、塩基性茶4、塩基性茶16、塩基性茶17、塩基性緑1、塩基性緑4、塩基性橙1、塩基性橙2、塩基性橙31、塩基性赤1、塩基性赤2、塩基性赤22、塩基性赤46、塩基性赤51、塩基性赤76、塩基性紫1、塩基性紫2、塩基性紫3、塩基性紫10、塩基性紫16、塩基性黄11、塩基性黄28、塩基性黄87等が挙げられ、これらから選ばれる少なくとも一種以上を含有することができる。
【0036】
前記HC染料の具体例としては、特に限定されないが、例えば、2-アミノ-6-クロロ-4ニトロフェノ-ル、2-アミノ-3-ニトロフェノ-ル、4-アミノ-3-ニトロフェノ-ル、3-メチルアミノ-4-ニトロフェノキシエタノ-ル、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール、HC青2、HC青6、HC青9、HC青11、HC青12、HC青13、HC青15、HC青16、HC橙1、HC橙2、HC橙3、HC赤1、HC赤3、HC赤8、HC赤11、HC赤13、HC紫1、HC紫2、HC黄2、HC黄4、HC黄5、HC黄6、HC黄11、HC黄14、HC黄15等が挙げられ、これらから選ばれる少なくとも一種以上を含有することができる。
【0037】
本発明における染毛料組成物は、泡質(泡のキメ細かさ)の観点から、ノニオン性界面活性剤を含有することができる。
【0038】
前記ノニオン性界面活性剤の具体例としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン(硬化)ヒマシ油、脂肪酸アルカノールアミド、脂肪酸アルキロールアミド等が挙げられ、これらから選ばれる少なくとも一種以上を含有することができる。
【0039】
本発明の染毛料組成物は前記必須成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で通常の化粧料、医薬部外品、医薬品等に用いられる各種成分、例えば、塩基性染料およびHC染料以外の直接染料、高分子化合物、油性成分、前記(B)成分、前記(C)成分および前記ノニオン性界面活性剤以外の界面活性剤、保湿剤、増粘剤、薬効成分、蛋白誘導体、加水分解蛋白、アミノ酸類、金属封鎖剤、酸化防止剤、植物性抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、防腐剤、色素、顔料、粉体、pH調整剤、紫外線吸収剤、香料等から選ばれる少なくとも一種以上を含有することができる。ただし、これら例示に限定されるものではない。
【0040】
本発明の染毛料組成物の剤型は、液状、ゲル状、泡状等の剤型で毛髪に適用され、泡立てて用いられる。
【0041】
本発明における染毛料組成物の20℃の条件下における粘度は、特に限定されないが、容器からの出しやすさおよび塗布性の観点から、好ましくは10~30,000mPa・sがよい。
【0042】
本発明における染毛料組成物の20℃の条件下における粘度は、常法にて調製して得られた染毛料組成物をサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g充填し、20℃条件下で24時間静置した後に、B型粘度計(モデル:デジタル粘度計TVB-10M、東機産業株式会社製)により、500mPa・s未満の場合はM2号ローターを用いて回転速度60rpmで1分間、500mPa・s以上2,000mPa・s未満の場合はM3号ローターを用いて回転速度60rpmで1分間、2,000mPa・s以上10,000mPa・s未満の場合はM4号ローターを用いて回転速度60rpmで1分間、10,000mPa・s以上30,000mPa・s未満の場合はM4号ローターを用いて回転速度12rpmで1分間、回転させた後に測定したものである。
【0043】
本発明に用いられる染毛料組成物は、特に限定されないが、ボトル容器、ポンプ容器、ポリ容器、アルミチューブ容器、エアゾール容器、ノンエアゾールフォーマー容器、パウチ容器、ジャー容器等の各種容器に充填され、使用時まで保存される。
【0044】
本発明に用いられる染毛料組成物は、複数種を任意の割合で混合することにより、染毛色を用時調整可能である。
【実施例0045】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。なお、各表に記載の含有量を表す数値の単位は、特に指定のない限り質量%である。
【0046】
本明細書に示す評価試験において、「起泡性」、「肌染着性」、「洗浄性」、「染毛性」および「経時的染毛性」について下記の方法で評価した。
【0047】
「起泡性」
各実施例、各比較例に係る染毛料組成物5gを、40℃のぬるま湯で適度に濡らしたウィッグ(人毛黒毛100%、ビューラックス社製、型番:クイーン・カットNo.775N;毛髪の長さを25cmにカット)に塗布し、1分間両手で揉み込んだ。このときの起泡性を、下記の基準で専門のパネラー15名が官能にて評価した。
<評価基準>
◎:15人中12人以上が、泡立ちが良好と評価した。
〇:15人中8人以上11人以下が、泡立ちが良好と評価した。
×:15人中7人以下が、泡立ちが良好と評価した。
【0048】
「肌染着性」
各実施例、各比較例に係る染毛料組成物5gを、40℃のぬるま湯で適度に濡らしたウィッグ(人毛黒毛100%、ビューラックス社製、型番:クイーン・カットNo.775N;毛髪の長さを25cmにカット)に塗布し、1分間両手で揉み込んだ。次に、両手に付着した泡を40℃のぬるま湯で流した後に、石鹸を使用して30秒間洗浄した。以上の工程の後、手における肌染着性を下記の基準で専門のパネラー15名が目視にて評価した。
<評価基準>
◎:15人中12人以上が、肌染着が気にならないと評価した。
〇:15人中8人以上11人以下が、肌染着が気にならないと評価した。
×:15人中7人以下が、肌染着が気にならないと評価した。
【0049】
「洗浄性」
40℃のぬるま湯で適度に濡らした専門のパネラーの頭髪に、各実施例、各比較例に係る染毛料組成物5gを塗布し、1分間両手で揉み込んで馴染ませた。5分間放置した後、40℃のぬるま湯で十分洗い流し、タオルドライ後にドライヤーを用いて頭髪を乾燥させ、下記の基準で専門のパネラー15名が官能にて評価した。
<評価基準>
◎:15人中12人以上が、洗浄性に満足であると評価した。
〇:15人中8人以上11人以下が、洗浄性に満足であると評価した。
△:15人中5人以上7人以下が、洗浄性に満足であると評価した。
×:15人中4人以下が、洗浄性に満足であると評価した。
【0050】
「染毛性」
各実施例、各比較例に係る染毛料組成物0.5gをそれぞれ、40℃のぬるま湯で適度に濡らした明るさ13レベル相当(NPO法人日本ヘアカラー協会が制定した、毛髪の明度を4~15の12段階に分けたレベルスケール)の毛束(品番:BR-2-A、株式会社ビューラックス製;10cm、1g)に対し塗布し、1分間手で泡立たせて馴染ませた。5分間放置した後、40℃のぬるま湯で十分洗い流し、タオルドライ後にドライヤーを用いて毛束を乾燥させ評価用毛束とし、下記の基準で専門のパネラー1名が目視にて評価した。
<評価基準>
◎:十分に染色されていると評価した。
〇:染色がやや薄いと評価した。
×:染色が非常に薄いと評価した。
【0051】
「経時的染毛性」
各実施例、各比較例に係る染毛料組成物を、サンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g入れ、40℃の恒温槽中で3ヶ月間保存した。1ヶ月後、2ヵ月後および3ヵ月後に保存した各染毛料組成物を25℃に戻し、0.5gをそれぞれ40℃のぬるま湯で十分洗浄した明るさ13レベル相当(NPO法人日本ヘアカラー協会が制定した、毛髪の明度を4~15の12段階に分けたレベルスケール)の毛束(品番:BR-2-A、株式会社ビューラックス製;10cm、1g)に対し塗布し、1分間手で泡立たせて馴染ませた。5分間放置した後、40℃のぬるま湯で十分洗い流し、タオルドライ後にドライヤーを用いて毛束を乾燥させ評価用毛束とした。これらの評価用毛束と、調製直後の染毛料組成物を同様に染毛した評価用毛束とを比較して、下記の基準で専門のパネラー1名が目視にて評価した。
<評価基準>
◎:保存期間3ヶ月で、染毛性が同等であると評価した。
〇:保存期間2ヶ月までは染毛性が同等であるが、保存期間3ヶ月では褪色していると評価した。
△:保存期間1ヶ月までは染毛性が同等であるが、保存期間2ヶ月では褪色していると評価した。
×:保存期間1ヶ月で、褪色していると評価した。
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
表1~表4に示す実施例1から実施例33において、「起泡性」、「肌染着性」、「洗浄性」、「染毛性」および「経時的染毛性」に関してそれぞれ良好な結果が得られた。
【0057】
以下に当該組成物の処方例を挙げる。以下の実施例34、実施例35に示す染毛料組成物より、「起泡性」、「肌染着性」、「洗浄性」、「染毛性」および「経時的染毛性」に関してそれぞれ良好な結果が得られた。
【0058】
<実施例34>
(染毛料組成物)
成分 含有量(%)
(A)塩基性青124 0.025
塩基性紫2 0.010
HC青16 0.070
(B)ラウリン酸アミドプロピルベタイン 6.000
(C)ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム 0.600
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) 0.500
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 1.000
塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)
プロピル]ヒドロキシエチルセルロース 0.050
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体液 0.080
1,3-ブチレングリコール 2.000
パラオキシ安息香酸メチル 0.300
エデト酸二ナトリウム 0.300
クエン酸 0.200
香料 0.400
加水分解シルク(※1) 0.001
アルガニアスピノサ核油 0.001
ホホバ油 0.001
アボカド油 0.001
精製水 88.461
合計 100.000
粘度(20℃) 21mPa・s
pH(20℃) 5.0
※1:Promois SILK-1000(株式会社成和化成製)
【0059】
<実施例35>
(染毛料組成物)
成分 含有量(%)
(A)塩基性青75 0.035
塩基性紫2 0.010
塩基性茶16 0.030
(B)ラウリン酸アミドプロピルベタイン 6.000
(C)ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム 0.600
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) 0.500
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 1.000
塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)
プロピル]ヒドロキシエチルセルロース 0.050
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体液 0.080
1,3-ブチレングリコール 2.000
パラオキシ安息香酸メチル 0.300
エデト酸二ナトリウム 0.300
クエン酸 0.200
香料 0.400
加水分解シルク(※1) 0.001
アルガニアスピノサ核油 0.001
ホホバ油 0.001
アボカド油 0.001
精製水 88.491
合計 100.000
粘度(20℃) 22mPa・s
pH(20℃) 5.0
本発明によれば特定の塩基性染料を含有する染毛料組成物に関して、起泡性が良好で、肌染着性が低く、洗浄性、染毛性および経時的染毛性に優れた染毛料組成物を提供する。