(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168898
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】情報処理装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/015 20230101AFI20241128BHJP
G06Q 10/20 20230101ALI20241128BHJP
【FI】
G06Q30/015
G06Q10/20
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085934
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲黒▼田 大貴
(72)【発明者】
【氏名】磯野 泰彦
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB05
5L049BB05
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】
保守コストを低減させ得る情報処理装置及び方法を提案する。
【解決手段】
新規の問合せと同一又は類似する過去事例を抽出し、新規の問合せと同一又は類似する過去事例を抽出できた場合に、機器に付随して顧客に提供されたドキュメントの改善の要否を判定し、ドキュメントの改善が必要であると判定した場合に、ドキュメントの改善を担当者に要求するようにし、ドキュメントの改善の要否の判定を、新規の問合せと同じ又は類似する問合せを受けた回数と、当該新規の問合せの問合せ元の問合せ回数及び当該問合せ元の機器の稼働年数と、当該新規の問合せの問合せ元が過去にドキュメントの改善が必要な問合せをした顧客であるか否かとのうちの少なくとも1つの情報に基づいてするようにした。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器に対する顧客からの過去の問合せの内容及び当該問合せに対する解決策を過去事例として記憶し、新規の問合せがあった場合に、当該新規の問合せと内容が同一又は類似する前記過去事例を抽出し、抽出した前記過去事例の前記解決策を当該新規の問合せの解決策として提示する情報処理装置において、
前記新規の問合せと同一又は類似する前記過去事例を抽出する類似事例抽出部と、
前記類似事例抽出部が前記新規の問合せと同一又は類似する前記過去事例を抽出できた場合に、前記機器に付随して前記顧客に提供されたドキュメントの改善の要否を判定し、前記ドキュメントの改善が必要であると判定した場合に、前記ドキュメントの改善を担当者に要求する改善要否判定部と
を備え、
前記改善要否判定部は、
前記新規の問合せと同じ又は類似する問合せを受けた回数と、当該新規の問合せの問合せ元の問合せ回数及び当該問合せ元の前記機器の稼働年数と、当該新規の問合せの問合せ元が過去にドキュメントの改善が必要な問合せをした顧客であるか否かとのうちの少なくとも1つの情報に基づいて前記ドキュメントの改善の要否を判定する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記改善要否判定部が前記ドキュメントの改善が必要であると判定した場合に、当該ドキュメントの改善案を作成する改善案作成部をさらに備え、
前記改善案作成部は、
前記新規の問合せ及び当該新規の問合せに対する前記解決策の各内容と、当該ドキュメントの内容との類似度合に応じた前記改善案を作成する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記改善案作成部は、
前記新規の問合せ及び当該新規の問合せに対する前記解決策の各内容と、当該ドキュメントの内容との類似度合を類似度として算出し、
算出した前記類似度が第1の閾値以上の場合には、当該ドキュメント内の該当箇所の記載内容を目立たせるべき旨の前記改善案を作成し、
算出した前記類似度が前記第1の閾値未満で第2の閾値以上の場合には、当該ドキュメント内の該当箇所を理解し易く書き換えるべき旨の前記改善案を作成し、
算出した前記類似度が前記第2の閾値未満の場合には、当該ドキュメント内の該当箇所に必要な説明を追記すべき旨の前記改善案を作成する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記新規の問合せを行った前記顧客が使用している前記機器と同一又は類似する構成を有する機器を使用している他の顧客を類似顧客として抽出する類似顧客抽出部と、
前記類似顧客抽出部が抽出した各前記類似顧客に対して、それぞれ当該類似顧客が使用している前記機器の構成に応じた警告通知を作成して送信する顧客別通知内容作成部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記類似顧客抽出部は、
前記新規の問合せを行った前記顧客以外の前記顧客ごとに、当該顧客が使用している前記機器と、前記新規の問合せを行った前記顧客が使用している機器とに重複して実装されたソフトウェアの数が多いほど、また重複するソフトウェアのバージョンが近いほど高くなるように定義されたスコアをそれぞれ算出し、算出した前記スコアに基づいて、前記新規の問合せを行った前記顧客以外の各前記顧客の中から前記類似顧客を抽出する
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記類似顧客抽出部が抽出した前記類似顧客ごとに、当該類似顧客が使用している前記機器の構成と、前記新規の問合せを行った前記顧客が使用している前記機器の構成との類似度を判定し、判定結果に基づいて、前記警告通知を送付する優先度をそれぞれ判定する顧客別通知プライオリティ判定部をさらに備え、
前記顧客別通知内容作成部は、
前記顧客別通知プライオリティ判定部の判定結果に基づいて、前記優先度に応じた内容の前記警告通知を前記類似顧客ごとにそれぞれ作成する
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
機器に対する顧客からの過去の問合せの内容及び当該問合せに対する解決策を過去事例として記憶し、新規の問合せがあった場合に、当該新規の問合せと内容が同一又は類似する前記過去事例を抽出し、抽出した前記過去事例の前記解決策を当該新規の問合せの解決策として提示する情報処理装置により実行される情報処理方法であって、
前記新規の問合せと同一又は類似する前記過去事例を抽出する第1のステップと、
前記新規の問合せと同一又は類似する前記過去事例を抽出できた場合に、前記機器に付随して前記顧客に提供されたドキュメントの改善の要否を判定し、前記ドキュメントの改善が必要であると判定した場合に、前記ドキュメントの改善を担当者に要求する第2のステップと
を備え、
前記第2のステップにおいて、前記情報処理装置は、
前記新規の問合せと同じ又は類似する問合せを受けた回数と、当該新規の問合せの問合せ元の問合せ回数及び当該問合せ元の前記機器の稼働年数と、当該新規の問合せの問合せ元が過去にドキュメントの改善が必要な問合せをした顧客であるか否かとのうちの少なくとも1つの情報に基づいて前記ドキュメントの改善の要否を判定する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
前記情報処理装置が、前記ドキュメントの改善が必要であると前記第2のステップで判定した場合に、当該ドキュメントの改善案を作成する第3のステップをさらに備え、
前記第3のステップにおいて、前記情報処理装置は、
前記新規の問合せ及び当該新規の問合せに対する前記解決策の各内容と、当該ドキュメントの内容との類似度合に応じた前記改善案を作成する
ことを特徴とする請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記第3のステップにおいて、前記情報処理装置は、
前記新規の問合せ及び当該新規の問合せに対する前記解決策の各内容と、当該ドキュメントの内容との類似度合を類似度として算出し、
算出した前記類似度が第1の閾値以上の場合には、当該ドキュメント内の該当箇所の記載内容を目立たせるべき旨の前記改善案を作成し、算出した前記類似度が前記第1の閾値未満で第2の閾値以上の場合には、当該ドキュメント内の該当箇所を理解し易く書き換えるべき旨の前記改善案を作成し、算出した前記類似度が前記第2の閾値未満の場合には、当該ドキュメント内の該当箇所に必要な説明を追記すべき旨の前記改善案を作成する
ことを特徴とする請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記新規の問合せを行った前記顧客が使用している前記機器と同一又は類似する構成を有する機器を使用している他の顧客を類似顧客として抽出する第3のステップと、
抽出した各前記類似顧客に対して、それぞれ当該類似顧客が使用している前記機器の構成に応じた警告通知を作成して送信する第4のステップと
を備えることを特徴とする請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記第3のステップにおいて、前記情報処理装置は、
前記新規の問合せを行った前記顧客以外の前記顧客ごとに、当該顧客が使用している前記機器と、前記新規の問合せを行った前記顧客が使用している機器とに重複して実装されたソフトウェアの数が多いほど、また重複するソフトウェアのバージョンが近いほど高くなるように定義されたスコアをそれぞれ算出し、算出した前記スコアに基づいて、前記新規の問合せを行った前記顧客以外の各前記顧客の中から前記類似顧客を抽出する
ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記第4のステップにおいて、前記情報処理装置は、
抽出した前記類似顧客ごとに、当該類似顧客が使用している前記機器の構成と、前記新規の問合せを行った前記顧客が使用している前記機器の構成との類似度を判定し、判定結果に基づいて、前記警告通知を送付する優先度をそれぞれ判定し、
判定結果に基づいて、前記優先度に応じた内容の前記警告通知を前記類似顧客ごとにそれぞれ作成する
ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理装置及び方法に関し、機器に対する顧客からの問合せの解決策をその顧客に提示する情報処理装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータ機器などの保守業務において、「機器の使い方が分からない」、「環境変数の設定方法が分からない」といった顧客からの問合せメールに対する対応は、技術者が問合せ内容を分析し、解決策をその顧客に返信する形で行われている。
【0003】
この際、顧客及び技術者間でのメールのやり取りは、問題が解決するまで何度も繰り返される。また、技術者は、問題の解決後、マニュアルやリリースノートなどの機器に付随して顧客に提供される提供物(以下、ドキュメントとする)の内容を改善すべきか否かを検討し、必要があればかかるドキュメントの改善も行っている。
【0004】
しかしながら、近年、メインフレームなどの歴史が古いソフトウェア製品の技術者が減少しており、これに伴い技術者一人当たりが担当すべき保守対象製品の数が増加しつつある。このため保守業務の現場では、技術者の負担を減らすための何らかの取り組みが急務とされている。
【0005】
このような状況に鑑み、近年では、顧客からの問合せ内容に応じて類似の過去事例を検索し、類似の過去事例がある問合せに対しては、その過去事例での解決策を問合せ元に自動返信するシステム(以下、これを自動返信システムと呼ぶ)が提案され、実用化されている(例えば、特許文献1)。そしてこのような自動返信システムを導入することによって、技術者が対応すべき問合せの数を低減させ、技術者の負荷を低減できるという効果を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、かかる自動返信システムを導入した場合、多くの問合せに対して技術者が対応しなくなるため、個々の問合せの内容をリアルタイムで分析できないという問題があった。このため、例えば、マニュアル等のドキュメントの内容に誤りがあったり、記載が分かり難いといったドキュメントの不備があったとしてもその不備が長期間に渡って放置され、最終的には技術者が問合せに対応せざるを得ない事態が頻発するおそれがあるという問題があった。
【0008】
従って、上述のような自動返信システムにおいて、担当者に対してかかるドキュメントを改善するきっかけを適切なタイミングで与えることができれば、ドキュメントの不備に起因する担当者が対応すべき案件数を減少させることができ、この結果として保守コストを低減させることができるものと考えられる。
【0009】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、保守コストを低減させ得る情報処理装置及び方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するため本発明においては、機器に対する顧客からの過去の問合せの内容及び当該問合せに対する解決策を過去事例として記憶し、新規の問合せがあった場合に、当該新規の問合せと内容が同一又は類似する前記過去事例を抽出し、抽出した前記過去事例の前記解決策を当該新規の問合せの解決策として提示する情報処理装置において、前記新規の問合せと同一又は類似する前記過去事例を抽出する類似事例抽出部と、前記類似事例抽出部が前記新規の問合せと同一又は類似する前記過去事例を抽出できた場合に、前記機器に付随して前記顧客に提供されたドキュメントの改善の要否を判定し、前記ドキュメントの改善が必要であると判定した場合に、前記ドキュメントの改善を担当者に要求する改善要否判定部とを設け、前記改善要否判定部は、前記新規の問合せと同じ又は類似する問合せを受けた回数と、当該新規の問合せの問合せ元の問合せ回数及び当該問合せ元の前記機器の稼働年数と、当該新規の問合せの問合せ元が過去にドキュメントの改善が必要な問合せをした顧客であるか否かとのうちの少なくとも1つの情報に基づいて前記ドキュメントの改善の要否を判定するようにした。
【0011】
また本発明においては、機器に対する顧客からの過去の問合せの内容及び当該問合せに対する解決策を過去事例として記憶し、新規の問合せがあった場合に、当該新規の問合せと内容が同一又は類似する前記過去事例を抽出し、抽出した前記過去事例の前記解決策を当該新規の問合せの解決策として提示する情報処理装置により実行される情報処理方法であって、前記新規の問合せと同一又は類似する前記過去事例を抽出する第1のステップと、前記新規の問合せと同一又は類似する前記過去事例を抽出できた場合に、前記機器に付随して前記顧客に提供されたドキュメントの改善の要否を判定し、前記ドキュメントの改善が必要であると判定した場合に、前記ドキュメントの改善を担当者に要求する第2のステップとを設け、前記第2のステップにおいて、前記情報処理装置は、前記新規の問合せと同じ又は類似する問合せを受けた回数と、当該新規の問合せの問合せ元の問合せ回数及び当該問合せ元の前記機器の稼働年数と、当該新規の問合せの問合せ元が過去にドキュメントの改善が必要な問合せをした顧客であるか否かとのうちの少なくとも1つの情報に基づいて前記ドキュメントの改善の要否を判定するようにした。
【0012】
本発明の情報処理装置及び方法によれば、かかるドキュメントを改善するきっかけを適切なタイミングで担当者に与えることができ、ドキュメントの不具合に起因する担当者が対応すべき案件数を減少させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、保守コストを低減させ得る情報処理装置及び方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施の形態による自動応答システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】問合せデータベースの構成例を示す図表である。
【
図3】システム構成データベースの構成例を示す図表である。
【
図4】ドキュメントデータベースの構成例を示す図表である。
【
図5】問合せ顧客データベースの構成例を示す図表である。
【
図6】ドキュメント改善支援処理の一連の流れを示すブロック図である。
【
図7】類似顧客リスト情報の構成例を示す図表である。
【
図8】ドキュメント改善要否判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図9A】ドキュメント改善案作成処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図9B】ドキュメント改善案作成処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図10A】類似顧客抽出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図10B】類似顧客抽出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図11A】顧客別通知プライオリティ判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図11B】顧客別通知プライオリティ判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図12A】顧客別通知内容作成処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図12B】顧客別通知内容作成処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図13A】問合せ顧客作成処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図13B】問合せ顧客作成処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0016】
(1)本実施の形態による自動応答システムの構成
図1において、1は全体として本実施の形態による自動応答システムを示す。この自動応答システム1は、ネットワーク2を介して相互に接続された第1及び第2のクライアント3,4と、自動応答サーバ5及びファイルサーバ6とを備えて構成される。
【0017】
第1のクライアント3は、サポート対象機器を利用する顧客が利用する通信端末装置であり、パーソナルコンピュータ装置やタブレットなどの電子メールの送受信が可能な汎用のコンピュータ装置から構成される。
【0018】
また第2のクライアント4は、後述のように顧客から与えられたサポート対象の機器(以下、これをサポート対象機器と呼ぶ)に関する問合せと内容が同一又は類似する過去事例(以下、これを類似事例と呼ぶ)を自動応答サーバ5が検出できなかったときに、自動応答サーバ5に代わってその問合せに応答するエンジニアが使用する通信端末装置である。第2のクライアント4は、第1のクライアント3と同様に、パーソナルコンピュータ装置やタブレットなどの電子メールの送受信が可能な汎用のコンピュータ装置から構成される。
【0019】
自動応答サーバ5は、第1のクライアント3から与えられた上述の問合せに応じて類似事例を検索し、類似事例を検出できた問合せについては、その類似事例での解決策を問合せ元に自動応答し、類似事例を検出できなかった問合せについては、その問合せをエンジニアに通知する機能を有するサーバ装置である。この自動応答サーバ5は、CPU(Central Processing Unit)10、メモリ11、記憶装置12、ネットワークアダプタ13、入力装置14及び表示装置15を備えて構成される。
【0020】
CPU10は、自動応答サーバ5全体の動作制御を司るプロセッサである。またメモリ11は、例えば不揮発性の半導体メモリから構成され、CPU10のワーキングメモリとして利用される。記憶装置12は、ハードディスク装置やSSD(Solid State Drive)などの大容量の不揮発性の記憶装置から構成され、各種プログラムや長期間保存が必要なデータなどを記憶保持するために利用される。
【0021】
記憶装置12に格納されたプログラムが自動応答サーバ5の起動時や必要時に記憶装置12からメモリ11に読み出され、メモリ11に読み出されたプログラムをCPU10が実行することにより、後述のような自動応答サーバ5全体としての各種処理が実行される。
【0022】
ネットワークアダプタ13は、自動応答サーバ5をネットワーク2に接続するためのアダプタであり、例えばNIC(Network Interface Card)やネットワークカード又はLAN(Local Area Network)カードなどから構成される。
【0023】
入力装置14は、例えばキーボードやマウスなどから構成され、自動応答サーバ5に対して各種の情報や操作を入力するために利用される。また表示装置15は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどから構成され、必要な情報を表示するために利用される。なお、入力装置14及び表示装置15に代えて、これらが一体化したタッチパネルを適用するようにしてもよい。
【0024】
ファイルサーバ6は、図示しないCPU、メモリ、記憶装置及びネットワークアダプタを備えた汎用のサーバ装置から構成される。ファイルサーバ6は、自動応答サーバ5からの要求に応じて、要求されたデータをネットワーク2を介して自動応答サーバ5に送信する。
【0025】
(2)本実施の形態によるドキュメント改善支援機能
次に、本実施の形態による自動応答サーバ5に搭載されたドキュメント改善支援機能について説明する。このドキュメント改善支援機能は、上述のようにサポート対象機器に関する顧客からの技術的な問合せの類似事例を検出できた場合(つまり自動応答する場合)に、そのサポート対象機器に付随して顧客に提供されたマニュアルやリリースノートなどのドキュメントの内容を改善する必要があるか否かを判定し、改善する必要があると判定した場合に、その旨及びそのドキュメントの改善案をエンジニアに通知する機能である。
【0026】
なお、サポート対象機器に関する顧客からの技術的な問合せの内容は、サポート対象機器に実装されたソフトウェアに関するものであるものとし、以下においては、そのようなソフトウェアを「問合せに関連するソフトウェア」と呼ぶものとする。またマニュアルやリリースノートなどのドキュメントは、ソフトウェアごとにそれぞれ作成されるものとし、以下においては、あるソフトウェアについて作成されたドキュメントを、その「ソフトウェアに対応するドキュメント」と呼ぶものとする。
【0027】
また自動応答サーバ5は、かかる問合せを行った顧客が使用しているサポート対象機器と構成が同一又は類似し、かつ、かかる問合せに関連するソフトウェアが実装されたサポート対象機器)を使用している他の顧客を類似顧客として抽出する。そして自動応答サーバ5は、これらの類似顧客に対してサポート対象機器の類似度合に応じた内容の警告通知をそれぞれ送付する。この際、この警告通知には、少なくともかかる問合せの内容と、その問合せに対する自動応答サーバの回答の内容とが含まれており、これにより類似顧客から同様の問合せが与えられるのを防止することができる。
【0028】
このような本実施の形態のドキュメント改善支援機能を実現するための手段として、自動応答サーバ5の記憶装置12には、
図1に示すように、制御部20、自動起票・登録部21、類似事例抽出部22、自動応答部23、問合せ情報通知部24及び問合せ顧客データベース作成部25が格納され、ファイルサーバ6には、問合せデータベース26、システム構成データベース27、ドキュメントデータベース28、問合せ顧客データベース29及び定義ファイル30が格納されている。
【0029】
制御部20は、かかるドキュメント改善支援機能に関する一部の制御処理を実行する機能を有するプログラムである。
【0030】
また自動起票・登録部21は、顧客からサポート対象機器に関する技術的な問合せの電子メール(以下、これを問合せメールと呼ぶ)が新規に自動応答サーバ5に与えられた場合や、その問合せに対する回答の電子メール(以下、これを回答メールと呼ぶ)が自動応答サーバ5やエンジニアからその顧客に送信された場合に、その問合せメールや回答メールの内容に応じた所定形式のメール情報を作成し、作成したメール情報をファイルサーバ6が保持する問合せデータベース26に登録する機能を有するプログラムである。
【0031】
類似事例抽出部22は、新規の問合せメール(以下、これを新規問合せメールと呼ぶ)と問合せの内容が同一又は類似する過去事例や、その問合せに対する回答の内容が同一又は類似する過去事例を、その問合せの類似事例として問合せデータベース26上で検索して抽出する機能を有するプログラムである。
【0032】
実際上、類似事例抽出部22は、形態素解析及びTF-IDF(Term Frequency-Inverse Document Frequency)などの手法を用いて、新規問合せメールの本文と、問合せデータベース26に登録された過去の問合せメールや回答メールの本文のメール情報とからそれぞれ重要度の高いすべての単語をキーワードとしてそれぞれ抽出する。そして類似事例抽出部22は、問合せメール又は回答メールから抽出されたキーワードのうち、新規問合せメールから抽出されたキーワードと重複する個数をTとして、次式
【数1】
により、新規問合せメールの本文から抽出されたキーワードの総数に対するT(問合せメール又は回答メールから抽出されたキーワードのうち、新規問合せメールから抽出されたキーワードと重複する個数)の割合を算出し、算出した割合が予め定められた閾値以上である問合せメールや回答メールの事例を、新規問合せメールの類似事例として抽出する。
【0033】
自動応答部23は、類似事例抽出部22が類似事例を抽出できた場合に、問合せデータベース26に登録されているその類似事例のメール情報に基づいて回答メールを作成し、作成した回答メールを問合せ元の顧客に送信する機能を有するプログラムである。なお、類似事例抽出部22が類似事例を抽出できなかった場合には、制御部20が新規問合せメール及びその旨の通知を第2のクライアント4に送信するようにして、その新規問合せメールによる問合せの応答をエンジニアに依頼する。
【0034】
一方、問合せ情報通知部24は、ドキュメント改善要否判定部40、ドキュメント改善案作成部41、類似顧客抽出部42、顧客別通知プライオリティ判定部43、顧客別通知内容作成部44及び問合せ顧客データベース作成部45を備えて構成される。
【0035】
ドキュメント改善要否判定部40は、かかる新規問合せメールの類似事例を類似事例抽出部22が抽出できた場合に、その問合せに関連するソフトウェアについて記載されたドキュメントの内容を改善すべきか否かを判定する機能を有するプログラムである。
【0036】
本実施の形態の場合、ドキュメント改善要否判定部40は、そのときの問合せが以下の(A)~(C)のいずれかの判定条件を満たす場合に、かかるソフトウェアに対応するドキュメントの内容を改善する必要があると判定するものとする。
【0037】
(A)その問合せと同一又は類似する問合せが過去にα件以上あった場合
(B)稼働年数がβ年以上で問合せ回数がγ回以上の顧客からの問合せである場合
(C)過去にドキュメントの改善が必要な問合せをした顧客からの問合せである場合
【0038】
ここで、(A)は、ドキュメントの記載が顧客に理解できない記載となっている可能性があるという理由によるものであり、(B)は、ベテランの担当者が理解し難い場合には他の顧客にも理解し難い可能性があるという理由によるものである。また(C)は、過去に適切な問合せを行った顧客からの問合せについては、対応するドキュメントの改善の要否を判定する価値があるという理由によるものである。なお(A)における「α」と、(B)における「β」及び「γ」とは、いずれも予め定義された閾値である。
【0039】
ドキュメント改善案作成部41は、ドキュメント改善要否判定部40がドキュメントの内容を改善すべきと判定した場合に、新規問合せメール及びその新規問合せメールに対する回答メールの各内容と、そのドキュメントの内容とから当該ドキュメントの改善案を作成してエンジニアに提案する機能を有するプログラムである。なお、ここでの「改善案」とは、ドキュメントを改善する際のアドバイス程度の提案を指す。
【0040】
実際上、ドキュメント改善案作成部41は、新規問合せメール及びその新規問合せメールに対する回答メールの本文から重要度の高いすべての単語(キーワード)をキーワード群としてそれぞれ抽出し、抽出したキーワード群と、新規問合せメールによる問合せに対応する各ドキュメント(かかる問合せに関連するソフトウェアについて記載された各ドキュメント)の内容との類似度合を類似度としてそれぞれ算出する。
【0041】
この場合における類似度は、例えば、新規問合せメール及びその新規問合せメールに対する回答メールの本文に含まれるキーワードを第1のキーワード群として抽出すると共に、かかる各ドキュメントに含まれるキーワードを第2のキーワード群として抽出し、第1のキーワード群及び第2のキーワード群に含まれるキーワードの総数に対する、第1及び第2のキーワード群間で重複するキーワードの数の割合として算出することができる。
【0042】
そしてドキュメント改善案作成部41は、算出した類似度が例えば70%以上のドキュメントについては、そのドキュメント内に問合せに関連する記載はあるもののユーザが気付きにくい表記になっているものとして、「記載箇所の移動や字体変更等、文書構成を変更して目立たせる」といった、そのドキュメント内の該当箇所の記載内容を目立たせるべき旨の改善案を作成してエンジニアに通知する。
【0043】
またドキュメント改善案作成部41は、類似度が例えば30%以上で70%未満のドキュメントについては、そのドキュメント内に問合せに関連する記載はあるものの記載内容の意味が分かり難い表記になっているものとして、「文章を分かり易く書き換えたり、箇条書き等に書き方を変更する」といった、そのドキュメント内の該当箇所を理解し易く書き換えるべき旨の改善案を作成してエンジニアに通知する。
【0044】
さらにドキュメント改善案作成部41は、類似度が例えば30%未満のドキュメントについては、そのドキュメント内に問合せに関する説明がないとして、「説明を新規追記」といった、そのドキュメント内の該当箇所に必要な説明を追記すべき旨の改善案を作成してエンジニアに通知する。
【0045】
類似顧客抽出部42は、かかる新規問合せメールの送信元(問合せ元)の顧客(以下、これを新規問合せ顧客と呼ぶ)が使用しているサポート対象機器と同一又は類似する構成を有するサポート対象機器を使用している顧客(類似顧客)を抽出する機能を有するプログラムである。
【0046】
実際上、類似顧客抽出部42は、新規問合せ顧客が使用しているサポート対象機器の構成と、新規問合せ顧客以外の各顧客がそれぞれ使用しているサポート対象機器の構成とを順次比較し、重複するソフトウェアの数が多いほど、また重複するソフトウェアのバージョンが近いほど高くなるように定義されたスコア(以下、これをシステムスコアと呼ぶ)を新規問合せ顧客以外の顧客ごとにそれぞれ算出する。
【0047】
そして類似顧客抽出部42は、上述のようにして算出したシステムスコアの値が予め定義された閾値以上の顧客であり、かつ新規問合せ顧客からの問合せに関連するソフトウェアが実装されたサポート対象機器を使用している顧客を類似顧客として抽出する。ただし、類似顧客抽出部42が、新規問合せ顧客からの問合せに関連するソフトウェアが実装されたサポート対象機器を使用しており、かつシステムスコアが上位所定数の顧客を類似顧客として抽出するようにしてもよい。
【0048】
顧客別通知プライオリティ判定部43は、類似顧客抽出部42が抽出した類似顧客ごとに、その類似顧客が使用しているサポート対象機器の構成と、新規問合せ顧客が使用しているサポート対象機器の構成との類似度を判定し、判定結果に基づいて、警告通知を送付する優先度(以下、これを通知プライオリティと呼ぶ)を類似顧客ごとにそれぞれ判定する機能を有するプログラムである。
【0049】
実際上、顧客別通知プライオリティ判定部43は、新規問合せ顧客が使用しているサポート対象機器に実装された、新規の問合せに関連するソフトウェアのバージョン及びそのソフトウェアについて設定された各パラメータの設定値と、各類似顧客がそれぞれ使用しているサポート対象機器に実装されたそのソフトウェアのバージョン及びそのソフトウェアについて設定された設定値とをそれぞれ比較する。
【0050】
そして顧客別通知プライオリティ判定部43は、使用しているサポート対象機器におけるかかるバージョンと各パラメータの設定値との双方が新規問合せ顧客のそれらと一致する類似顧客については、通知プライオリティを「重要」と判定する。また顧客別通知プライオリティ判定部は、かかるバージョンと各パラメータの設定値とのうちの一方のみが新規問合せ顧客のそれと一致する類似顧客については通知プライオリティを「注意」と判定する。
【0051】
顧客別通知内容作成部44は、類似顧客ごとに、その類似顧客の通知プライオリティに応じた内容の警告通知を作成してその類似顧客に送付する機能を有するプログラムである。
【0052】
実際上、顧客別通知内容作成部44は、通知プライオリティが「重要」と判定された類似顧客に対しては、新規問合せメールによる問合せ内容と、その問合せに対する自動応答サーバ5の回答メールの内容とを文面とする警告通知を作成してその類似顧客に送付する。
【0053】
また顧客別通知内容作成部44は、通知プライオリティが「注意」と判定された類似顧客に対しては、新規問合せメールによる問合せ内容と、その問合せに対する自動応答サーバ5の回答メールの内容とに加えて、かかるソフトウェアのバージョンやパラメータの設定を変更すると問題が発生する旨のメッセージを追加した通知を作成してその類似顧客に送付する。
【0054】
問合せ顧客データベース作成部45は、
図5について後述する問合せ顧客データベース29を作成する機能を有するプログラムである。問合せ顧客データベース作成部45は、顧客ごとに、その顧客が上述の(C)の判定条件を満たすか否かを判定し、判定結果に基づいて問合せ顧客データベース29を作成する。
【0055】
他方、問合せデータベース26は、それまでに顧客と自動応答サーバ5やエンジニアとの間でやり取りされたすべての電子メール(問合せメール及び回答メール)のメール情報が格納されるデータベースである。
【0056】
問合せデータベース26は、
図2に示すように、登録番号欄26A、管理番号欄26B、顧客欄26C、件名欄26D、差出人アドレス欄26E、宛先アドレス欄26F、日付欄26G及び本文欄26Hを備えたテーブル構造を有する。問合せデータベース26では、
図2の1つのレコード(行)が、それまでに顧客と自動応答サーバ5やエンジニアとの間でやり取りされた1件の問合せメール又は回答メール(以下、適宜、これらを電子メールと呼ぶ)のメール情報に対応する。
【0057】
そして登録番号欄26Aには、対応する電子メールに対して付与された、問合せデータベース26内でその電子メールに固有の登録番号が格納される。この登録番号としては、「1」から始まる連番を適用することができる。
【0058】
また管理番号欄26Bには、対応する電子メールが問合せメールである場合には、その問合せメールに対して付与されたその問合せメールに固有の管理番号が格納され、対応する電子メールが回答メールである場合には、その回答メールに対応する問合せメールの管理番号が格納される。
【0059】
なお、1つの問合せメールから派生して複数回の問合せメール及び回答メールがやり取りされた場合には、最初の問合せメールに対して付与された管理番号と同じ管理番号がこれ以降の回答メール及び問合せメールに対してもそれぞれ付与される。
【0060】
顧客欄26Cには、対応する電子メールが問合せメールの場合には差出人、その電子メールが回答メールである場合には宛先の顧客(会社や公官庁)の顧客名が格納され、件名欄26Dには、その電子メールの件名が格納される。
【0061】
さらに差出人アドレス欄26Eには、その電子メールの差出人(顧客の担当者、自動応答サーバ5又はエンジニア)のメールアドレス(差出人アドレス)が格納され、宛先アドレス欄26Fには、その電子メールの宛先のメールアドレス(宛先アドレス)が格納される。また日付欄26Gには、その電子メールが送信された日時が格納され、本文欄26Hには、その電子メールの本文が格納される。
【0062】
従って、
図2の例の場合、登録番号として「1」、管理番号として「0001」がそれぞれ付与された電子メールは、「環境変数の確認」を件名、「sample.xxx@a.com」を差出人アドレス、「sample.zzz@hatachi.com」を宛先アドレスとして、「2019/4/1 9:41」に「A社」の担当者が送信してきた問合せメールであり、その本文の内容は「A社のxxです。ソフトウェア1の環境変数・・・」であったことが示されている。
【0063】
システム構成データベース27は、各顧客がそれぞれ使用するサポート対象機器の構成情報が格納されたデータベースである。システム構成データベース27は、
図3に示すように、登録番号欄27A、顧客欄27B、連絡先欄27C、稼働年数欄27D、構成ソフトウェア群欄27E、バージョン欄27F及びパラメータ欄27Gを備えたテーブル構造を有する。システム構成データベース27では、1つの登録番号欄27Aに対応するレコード(行)が1つのサポート対象機器に対応する。
【0064】
そして登録番号欄27Aには、対応するサポート対象機器に対して付与された、システム構成データベース27内でそのサポート対象機器に固有の登録番号が格納される。この登録番号としては、「1」から始まる連番を適用することができる。
【0065】
また顧客欄27Bには、そのサポート対象機器を使用する顧客の顧客名が格納される。さらに連絡先欄27Cには、その顧客の連絡先のメールアドレス(例えば、その顧客における担当者のメールアドレス)が格納され、稼働年数欄27Dには、そのサポート対象機器の稼働年数が格納される。
【0066】
構成ソフトウェア群欄27E、バージョン欄27F及びパラメータ欄27Gは、対応するサポート対象機器に実装された各ソフトウェアにそれぞれ対応させて小欄27Hにそれぞれ区分されている。
【0067】
そして構成ソフトウェア群欄27Eの各小欄27Hには、それぞれ対応するサポート対象機器に実装された対応するソフトウェアの名称が格納される。またバージョン欄27Fの各小欄27Hには、それぞれ対応するソフトウェアのバージョンが格納され、パラメータ欄27Gの各小欄27Hには、それぞれ対応するソフトウェアについて設定されたすべてのパラメータの設定値が格納される。
【0068】
従って、
図3の例の場合、例えば、「1」という機器番号が付与されたサポート対象機器は、「A社」が使用している稼働年数が「15年」の機器であり、「A社」におけるそのサポート対象機器の担当者の連絡先は「xx@A.com」であることが示されている。
【0069】
また
図3では、このサポート対象機器には、少なくともバージョンが「7.6」の「OS1」というソフトウェアと、バージョンが「12.6」の「ソフトウェア1」というソフトウェアと、バージョンが「12.0」の「ソフトウェア2」というソフトウェアと、バージョンが「12.0」の「ソフトウェア3」というソフトウェアとが実装されていることが示されている。
【0070】
さらに
図3では、これらのソフトウェアのうちの「ソフトウェア1」というソフトウェアについては、「prm」というパラメータと、「rec」という最大リトライ回数のパラメータと、「rei」というリトライ間隔のパラメータと、「env」という環境変数のパラメータとについて設定値が設定されていることが示されている。
【0071】
ドキュメントデータベース28は、各サポート対象機器にそれぞれ付随して顧客に提供されるマニュアルやリリースノートなどのドキュメントに関する情報が格納されたデータベースである。このドキュメントデータベース28は、
図4に示すように、登録番号欄28A、ドキュメント名欄28B、種別欄28C、ソフトウェア名欄28D、バージョン欄28E、本文欄28F及び日付欄28Gを備えたテーブル構造を有する。ドキュメントデータベース28では、
図4の1つのレコード(行)が、いずれかのサポート対象機器に付随して顧客に提供された1つのドキュメントに対応する。
【0072】
そして登録番号欄28Aには、対応するドキュメントに付与された、そのドキュメントに固有のドキュメントデータベース28内での登録番号が格納される。この登録番号としては、「1」から始まる連番を適用することができる。またドキュメント名欄28Bには、対応するドキュメントの名称(ドキュメント名)が格納され、種別欄28Cには、対応するドキュメントの種別が格納される。
【0073】
さらにソフトウェア名欄28Dには、対応するドキュメントに説明等が記載されたソフトウェアのソフトウェア名が格納され、バージョン欄28Eには、そのドキュメントが、対応するソフトウェアのどのバージョンに対応するかを表す数値(対応するバージョンの値)が格納される。また本文欄28Fには、対応するドキュメントの本文のデータが格納され、日付欄28Gには、そのドキュメントが発行された日付が格納される。
【0074】
従って、
図4の例の場合、登録番号が「1」のドキュメントは、「ソフトウェア1」というソフトウェアの「1.0」というバージョンについて記載された「マニュアル」で、その名称は「ソフトウェア1基本ガイド」であり、「2000/4/1」に発行されたものであることが示されている。
【0075】
問合せ顧客データベース29は、顧客の担当者ごとに、その担当者が過去にドキュメントの改善が必要となる問合せ(ドキュメント改善の切っ掛けとなる問合せ)をしたか否かを管理するために利用されるデータベースである。この問合せ顧客データベース29は、
図5に示すように、登録番号欄29A、連絡先欄29B及び改善フラグ欄29Cを備えたテーブル構造を有する。問合せ顧客データベース29では、
図5の1つのレコード(行)が、1つの顧客の一人の担当者に対応する。
【0076】
そして登録番号欄29Aには、対応する担当者に付与された、その担当者に固有の問合せ顧客データベース29内での登録番号が格納される。この登録番号としては、「1」から始まる連番を適用することができる。
【0077】
また連絡先欄29Bには、対応する担当者のメールアドレスが格納され、改善フラグ欄29Cには、その担当者が過去にドキュメントの改善が必要となる問合せをしたか否かを表すフラグ(改善フラグ)が格納される。
図5の例の場合、その担当者が過去にドキュメントの改善が必要となる問合せをした場合には改善フラグが「True」に設定され、そうでない場合には改善フラグが「False」に設定されている。
【0078】
従って、
図5の例の場合、登録番号「1」の担当者の連絡先は「sample.xxx@a.com」であり、その担当者は過去にドキュメントの改善が必要となる問合せをした(改善フラグが「True」)であることが示されている。
【0079】
定義ファイル30は、予め定義された各種の閾値が格納されたファイルである。
【0080】
(3)各種処理の流れ
(3-1)全体の処理の流れ
次に、上述のドキュメント改善支援機能に関連して自動応答サーバ5で実行される各種処理の流れについて説明する。
【0081】
図6は、自動応答サーバ5が第1のクライアント3からの新規問合せメールを受信した場合に自動応答サーバ5内で実行される一連の処理(以下、これをドキュメント改善支援処理と呼ぶ)の流れを示す。この
図6に示すように、自動応答サーバ5が第1のクライアント3からの新規問合せメールを受信すると、まず、制御部20が、その新規問合せメールをメモリ11(
図1)に格納すると共に自動起票・登録部21に引き渡す(S1)。
【0082】
自動起票・登録部21は、制御部20から新規問合せメールが引き渡されると、その新規問合せメールのメール情報を問合せデータベース26に登録し(S2)、その後、類似事例抽出部22を呼び出す(S3)。
【0083】
類似事例抽出部22は、自動起票・登録部21により呼び出されると、その新規問合せメールと内容が同一又は類似する過去事例(類似事例)を問合せデータベース26上で検索する(S4)。そして類似事例抽出部22は、かかる類似事例を検出できなかった場合には、その旨の通知と共にその新規問合せメールをエンジニアに送付する。この結果、その新規問合せメールに対する応答がそのエンジニアにより行われる。
【0084】
これに対して類似事例抽出部22は、かかる類似事例を検出できた場合には、その類似事例の問合せメールや回答メールのメール情報を問合せデータベース26から抽出し(S5)、抽出したこれらのメール情報を類似事例情報50としてメモリ11に格納する(S6)。なお、類似事例情報50の構成は問合せデータベース26と同様であるため、類似事例情報50の構成に関する詳細な説明は省略する。そして類似事例抽出部22は、この後、自動応答部23を呼び出す(S7)。
【0085】
自動応答部23は、類似事例抽出部22により呼び出されると、メモリ11に格納された類似事例情報50を読み出し(S8)、読み出した類似事例情報50を参照して回答メールを作成し、作成した回答メールを新規問合せメールの送信元(問合せ元)に送信する。
【0086】
また自動応答部23は、このときの回答メールの本文の内容を応答内容情報51としてメモリ11に格納し(S9)、この後、問合せ情報通知部24のドキュメント改善要否判定部40を呼び出す(S10)。なお、この呼び出しは、制御部20が行うようにしてもよい。
【0087】
ドキュメント改善要否判定部40は、自動応答部23から呼び出されると、問合せデータベース26、システム構成データベース27、ドキュメントデータベース28及び問合せ顧客データベース29と、メモリ11とから必要な情報を収集する(S11)。
【0088】
具体的に、ドキュメント改善要否判定部40は、問合せデータベース26から新規問合せメールのメール情報を取得し、システム構成データベース27から新規問合せ顧客が使用しているサポート対象機器の構成情報を取得する。
【0089】
またドキュメント改善要否判定部40は、ドキュメントデータベース28から新規問合せメールにおいて問合せされたソフトウェアに関連するドキュメントを取得し、問合せ顧客データベース29から新規問合せ顧客の改善フラグの値を取得する。さらにドキュメント改善要否判定部40は、ステップS6で類似事例抽出部22がメモリ11に格納した類似事例情報50を取得する。
【0090】
そしてドキュメント改善要否判定部40は、ステップS11で収集した各情報に基づいて、ステップS11で取得したドキュメント(以下、これを対象ドキュメントと呼ぶ)を改善する必要があるか否かを判断する。またドキュメント改善要否判定部40は、この判断で対象ドキュメントを改善する必要があると判定した場合には、ドキュメント改善案作成部41を呼び出す(S12)。
【0091】
ドキュメント改善案作成部41は、ドキュメント改善要否判定部40により呼び出されると、ステップS9で自動応答部23がメモリ11に格納した応答内容情報51を取得すると共に、ドキュメントデータベース28から対象ドキュメントのデータを読み出す(S13)。
【0092】
またドキュメント改善案作成部41は、ステップS13で取得した応答内容情報51及び対象ドキュメントのデータに基づいて、対応する問合せメール及び回答メールの本文の内容と、対象ドキュメントの記載内容との類似度をドキュメントごとにそれぞれ算出する。そしてドキュメント改善案作成部41は、算出結果に基づいて対象ドキュメントを改善すべき理由と、改善案とを作成し、作成した改善案をドキュメント改善案情報52としてメモリ11に格納する(S14)。
【0093】
またドキュメント改善案作成部41は、このドキュメント改善案情報52と、対象ドキュメントにおける類似度が上位のドキュメントのデータとをエンジニアに送付する。
【0094】
さらにドキュメント改善案作成部41は、ステップS14で作成した対象ドキュメントを改善すべき理由が「説明されていない」であった(類似度が0~30%以下であった)場合には、類似顧客抽出部42を呼び出す(S15)。
【0095】
類似顧客抽出部42は、ドキュメント改善案作成部41により呼び出されると、かかる新規問合せ顧客が使用しているサポート対象機器の構成情報をシステム構成データベース27から読み出す(S16)。
【0096】
また類似顧客抽出部42は、ステップS16で構成情報を読み出した新規問合せ顧客が使用しているサポート対象機器と同一又は類似の構成を有するサポート対象機器をシステム構成データベース27上で検索し、検出した各サポート対象機器の構成情報と、これらのサポート対象機器をそれぞれ使用する各顧客(類似顧客)の顧客情報とを登録した
図7に示すような類似顧客リスト情報53を作成する。
【0097】
この
図7に示すように、類似顧客リスト情報53は、登録番号欄53A、顧客欄53B、連絡先欄53C、システムスコア(「system_score」)欄53D、構成ソフトウェア群欄53E、バージョン欄53F、パラメータ欄53G、通知プライオリティ欄53H及び差分欄53Iを備えたテーブル構造を有する。類似顧客リスト情報53では、後述する登録番号に対応する1つのレコード(行)が一人の類似顧客に対応する。
【0098】
そして登録番号欄53Aには、対応する類似顧客に対して付与された、類似顧客リスト情報53においてその類似顧客に固有の登録番号が格納され、顧客欄53Bには、対応する類似顧客の顧客名が格納される。
【0099】
また連絡先欄53Cには対応する類似顧客における担当者のメールアドレスが格納され、システムスコア欄53Dには、その類似顧客が使用しているサポート対象機器について算出された新規問合せ顧客が使用しているサポート対象機器との類似度が格納される。
【0100】
構成ソフトウェア群欄53E、バージョン欄53F、パラメータ欄53G、通知プライオリティ欄53H及び差分欄53Iは、対応する類似顧客が使用しているサポート対象機器に実装された各ソフトウェアにそれぞれ対応させて小欄53Jに区分されている。
【0101】
そして構成ソフトウェア群欄53Eの各小欄53Jには、対応するソフトウェアのソフトウェア名がそれぞれ格納され、バージョン欄53Fの各小欄53Jには、そのソフトウェアのバージョンがそれぞれ格納される。またパラメータ欄53Gの各小欄53Jには、対応するソフトウェアについて設定された各種パラメータの設定値がそれぞれ格納され、通知プライオリティ欄53Hの各小欄53Jには、対応するソフトウェアについて通知プライオリティが設定された場合のその通知プライオリティが格納される。
【0102】
さらに差分欄53Iの各小欄53Jには、新規問合せ顧客が使用しているサポート対象機器に実装された対応するソフトウェアと、対応する類似顧客が使用しているサポート対象機器に実装された対応するソフトウェアとの間の差分が格納される。
【0103】
かかる差分としては、バージョンと、パラメータの設定値とがあり、差分がバージョンの場合には「バージョン」という情報が差分欄53Iの対応する小欄53Jに格納され、差分がパラメータの設定値の場合には「パラメータ」という情報が差分欄53Iの対応する小欄53Jに格納される。
【0104】
そして類似顧客抽出部42は、作成した類似顧客リスト情報53をメモリ11に格納し(S17)、この後、顧客別通知プライオリティ判定部43を呼び出す(S18)。
【0105】
顧客別通知プライオリティ判定部43は、類似顧客抽出部42に呼び出されると、メモリ11に格納されたドキュメント改善案情報52及び類似顧客リスト情報53を読み込む。そして顧客別通知プライオリティ判定部43は、読み込んだドキュメント改善案情報52に基づいて、類似顧客リスト情報53に登録されている各類似顧客に対する通知プライオリティをそれぞれ判定し、判定結果を類似顧客リスト情報53に順次格納する(S19)。
【0106】
具体的に、顧客別通知プライオリティ判定部43は、新規問合せ顧客が使用しているサポート対象機器に実装されたソフトウェアと同じソフトウェアが実装されると共に、これらのソフトウェアのバージョンと、各種パラメータの設定とが完全に一致するサポート対象機器を使用している類似顧客については、その通知プライオリティを「重要」と判定し、類似顧客リスト情報53におけるその類似顧客のそのソフトウェアに対応する通知プライオリティ欄53Hの小欄53Jに「重要」を格納する。
【0107】
また顧客別通知プライオリティ判定部43は、かかる新規問合せ顧客が使用しているサポート対象機器に実装されたソフトウェアと同じソフトウェアが実装されると共に、これらのソフトウェアのバージョンと、各種パラメータの設定とが完全には一致していないサポート対象機器を使用している類似顧客については、その通知プライオリティを「注意」と判定し、類似顧客リスト情報53におけるその類似顧客のそのソフトウェアに対応する通知プライオリティ欄53Hの小欄53Jに「注意」を格納する。
【0108】
さらに顧客別通知プライオリティ判定部43は、通知プライオリティが「重要」や「注意」に該当しないソフトウェアについては通知プライオリティを設定しない。従って、この場合に顧客別通知プライオリティ判定部43は、類似顧客リスト情報53におけるそのソフトウェアに対応する通知プライオリティ欄53Hの小欄53Jに何も格納しない。
【0109】
そして、顧客別通知プライオリティ判定部43は、上述のようにして類似顧客リスト情報53に登録されている各類似顧客がそれぞれ使用しているサポート対象機器に実装された必要なソフトウェアに対する通知プライオリティの判定を完了すると、顧客別通知内容作成部44を呼び出す(S20)。
【0110】
顧客別通知内容作成部44は、顧客別通知プライオリティ判定部43に呼び出されると、類似顧客リスト情報53を読み込み(S21A)、使用しているサポート対象機器に実装されているいずれかのソフトウェアの通知プライオリティが「重要」や「注意」に設定された類似顧客に対する警告通知の通知内容(文面)を作成し(S21B)、作成した通知内容を含む警告通知を顧客別通知内容情報54として対応する類似顧客にそれぞれ送信する(S22)。
【0111】
例えば、顧客別通知内容作成部44は、使用しているサポート対象機器に実装されているいずれかのソフトウェアの通知プライオリティが「重要」に設定された類似顧客に対する警告通知については、新規問合せメールの内容と、その新規問合せメールに対して自動応答サーバ5が自動応答した回答メールの内容とを含む文面を通知内容として作成し、作成した通知内容の警告通知をその類似顧客に送信する。
【0112】
また顧客別通知内容作成部44は、使用しているサポート対象機器に実装されているいずれかのソフトウェアの通知プライオリティが「注意」に設定された類似顧客に対する警告通知については、上述の文面に加えて、その文面の冒頭に「パラメータ○○を××に変えた場合に、下記の事象が起きる可能性があります」といった、その類似顧客が利用するサポート対象機器と、新規問合せ顧客が利用するサポート対象機器(新規問合せ顧客使用機器)との差分に基づく注意を含む文面を通知内容として作成し、作成した通知内容の警告通知をその類似顧客に送信する。
【0113】
他方、制御部20は、任意のタイミングでエンジニアから与えられる問合せ顧客データベース29の作成指示に従って、問合せ顧客データベース作成部45を呼び出す(S23)。
【0114】
そして問合せ顧客データベース作成部45は、制御部20により呼び出されると、問合せデータベース26から過去に問合せを行った各顧客(以下、これらの顧客を問合せ顧客と呼ぶ)に関する必要な情報を収集する(S24)。
【0115】
具体的に、問合せ顧客データベース作成部45は、各問合せ顧客の顧客名及び差出人アドレスなどの顧客情報と、その問合せ顧客が過去に問合せを行った際の問合せメールの本文の内容とを問合せデータベース26から読み出す。また問合せ顧客データベース作成部45は、これらの問合せ顧客が使用しているサポート対象機器に実装されているすべてのソフトウェアのソフトウェア名、バージョン及びパラメータ設定値をシステム構成データベース27からそれぞれ読み出す。さらに問合せ顧客データベース作成部45は、これらのソフトウェアにそれぞれ対応するマニュアルやリリースノートなどのドキュメントをドキュメントデータベース28から読み出す。
【0116】
そして問合せ顧客データベース作成部45は、ステップS24で収集した各問合せ顧客の連絡先を問合せ顧客データベース29の連絡先欄29B(
図5)にそれぞれ格納する。また問合せ顧客データベース作成部45は、ステップS24で収集した各情報に基づいて、問合せ顧客の中から過去にドキュメントの改善が必要な問合せを行った顧客をすべて特定する。さらに問合せ顧客データベース作成部45は、問合せ顧客データベース29におけるこれら特定した各顧客の改善フラグ欄29C(
図5)に格納されている改善フラグをそれぞれ「True」に設定し、これ以外の問合せ顧客の改善フラグ欄29Cに格納されている改善フラグをそれぞれ「False」に設定する(S25)。
【0117】
(3-2)ドキュメント改善要否判定処理
図8は、
図6について上述したドキュメント改善支援処理のステップS10で自動応答部23により呼び出されたドキュメント改善要否判定部40により実行されるドキュメント改善要否判定処理の流れを示す。ドキュメント改善要否判定部40は、この
図8に示す処理手順に従って、新規問合せメールで問い合せられたソフトウェアについて記載されたドキュメントの改善の要否を判定する。
【0118】
実際上、ドキュメント改善要否判定部40は、自動応答部23により呼び出されると、この
図8に示すドキュメント改善要否判定処理を開始し、まず、上述のように類似事例抽出部22がメモリ11(
図1)に格納した類似事例情報50を読み出す(S30)。またドキュメント改善要否判定部40は、ファイルサーバ6(
図1)に格納されている定義ファイル30から、予め定義された閾値α,β,γの値をそれぞれ読み出す(S31)。
【0119】
続いて、ドキュメント改善要否判定部40は、類似事例抽出部22が抽出した類似事例の数がα個未満であるか否かを判断する(S32)。そしてドキュメント改善要否判定部40は、この判断で否定結果を得ると、新規問合せメールで問い合せられたソフトウェアについて記載されたドキュメントの改善が必要であると判断して、ドキュメント改善案作成部41を呼び出す(S33)。そしてドキュメント改善要否判定部40は、この後、このドキュメント要否判断処理を終了する。
【0120】
これに対して、ドキュメント改善要否判定部40は、ステップS32の判断で肯定結果を得ると、新規問合せメールをメモリ11から読み出し、読み出した新規問合せメールから問合せ元のメールアドレス(新規問合せ顧客のメールアドレス)を抽出する(S34)。
【0121】
続いて、ドキュメント改善要否判定部40は、新規問合せ顧客が使用しているサポート対象機器の稼働年数を取得する(S35)。具体的に、ドキュメント改善要否判定部40は、システム構成データベース27(
図3)のレコードのうち、ステップS34で抽出したメールアドレスが連絡先欄27C(
図3)に格納されているレコードを検索し、ヒットしたレコードの稼働年数欄27D(
図3)に格納された稼働年数を取得する。
【0122】
次いで、ドキュメント改善要否判定部40は、新規問合せ顧客が過去に行った問合せの回数を問合せデータベース26上でカウントする(S36)。具体的に、ドキュメント改善要否判定部40は、問合せデータベース26のレコードのうち、差出人アドレス欄26E(
図2)に格納された差出人のメールアドレスがステップS34で抽出した新規問合せ顧客のメールアドレスと一致するレコードをすべて検索し、そのようなレコードの総数をカウントする。
【0123】
さらにドキュメント改善要否判定部40は、ステップS35で取得した稼働年数が閾値β以上で、かつ、ステップS36でカウントした過去の問合せ回数が閾値γ以上であるか否かを判断する(S37)。そしてドキュメント改善要否判定部40は、この判断で肯定結果を得ると、ステップS33を上述と同様に処理し、この後、このドキュメント改善要否判定処理を終了する。
【0124】
これに対してドキュメント改善要否判定部40は、ステップS37の判断で否定結果を得ると、問合せ顧客データベース29に格納されている新規問合せ顧客の改善フラグの値を確認する(S38)。
【0125】
具体的に、ドキュメント改善要否判定部40は、問合せ顧客データベース29のレコードの中から連絡先欄29B(
図5)にステップS34で取得した新規問合せ顧客のメールアドレスが格納されたレコードを検索し、ヒットしたレコードの改善フラグ欄29C(
図5)に格納されている改善フラグの値を確認する。
【0126】
そしてドキュメント改善要否判定部40は、確認したかかる改善フラグの値が「True」であるか否かを判断する(S39)。そしてドキュメント改善要否判定部40は、この判断で否定結果を得るとこのドキュメント改善要否判定処理を終了する。
【0127】
これに対してドキュメント改善要否判定部40は、ステップS39の判断で肯定結果を得ると、ステップS33を上述と同様に処理し、この後、このドキュメント改善要否判定処理を終了する。
【0128】
(3-3)ドキュメント改善案作成処理
図9A及び
図9Bは、
図6について上述したドキュメント改善支援処理のステップS12でドキュメント改善要否判定部40により呼び出されたドキュメント改善案作成部41により実行されるドキュメント改善案作成処理の流れを示す。ドキュメント改善案作成部41は、この
図9A及び
図9Bに示す処理手順に従って、新規問合せメールで問い合せられたソフトウェアについて記載された各ドキュメントの改善案を作成する。
【0129】
実際上、ドキュメント改善案作成部41は、ドキュメント改善要否判定部40により呼び出されると、この
図9A及び
図9Bに示すドキュメント改善案作成処理を開始し、まず、「document_name」というパラメータと、「score」というパラメータとをリセット(初期化)する(S40)。
【0130】
続いて、ドキュメント改善案作成部41は、新規問合せメールと、この新規問合せメールに対応する応答内容情報51(
図6)とをメモリ11(
図1)から読み出し(S41)、読み出した新規問合せメールの本文と、応答内容情報51とから、形態素解析及びTF-IDFなどの手法を用いて、すべての重要なキーワードを重要キーワード群MKとして抽出する(S42)。
【0131】
次いで、ドキュメント改善案作成部41は、新規問合せメールで問い合せられたソフトウェアについて記載された各ドキュメントの中からステップS44以降が未処理のドキュメントを1つ選択する(S43)。
【0132】
またドキュメント改善案作成部41は、選択したドキュメント(以下、これを選択ドキュメントと呼ぶ)のデータをドキュメントデータベースから読み出し、読み出したデータに基づき、ステップS42と同様にして、選択ドキュメントからすべての重要なキーワードを重要キーワード群DKとして抽出する(S44)。
【0133】
この後、ドキュメント改善案作成部41は、ステップS42で抽出した重要キーワード群MKと、ステップS44で抽出した重要キーワード群DKとの間で重複するキーワードの個数がこれまでで最大か否かを判断する(S45)。そしてドキュメント改善案作成部41は、この判断で否定結果を得るとステップS48に進む。
【0134】
これに対して、ドキュメント改善案作成部41は、ステップS45の判断で肯定結果を得ると「document_name」というパラメータの値を現在の選択ドキュメントのドキュメント名に設定する(S46)。またドキュメント改善案作成部41は、「score」というパラメータの値を、ステップS42で抽出した重要キーワード群MK及び重要キーワード群DKにおける重要キーワードの総数に対する、重要キーワード群MK及び重要キーワード群DK間で重複する重要キーワードの個数の割合に設定する(S47)。
【0135】
具体的に、ドキュメント改善案作成部41は、ステップS42で抽出した重要キーワード群MKと、ステップS44で抽出した重要キーワード群DKとの間で重複するキーワードの個数を「重複個数」として、次式
【数2】
により「score」を求め、算出結果を「score」の値として設定する。
【0136】
続いて、ドキュメント改善案作成部41は、新規問合せメールで問い合せられたソフトウェアについて記載されたすべてのドキュメントについてステップS44~ステップS47の処理を実行し終えたか否かを判断する(S48)。
【0137】
そしてドキュメント改善案作成部41は、この判断で否定結果を得るとステップS43に戻り、この後、ステップS43で選択するドキュメントをステップS44~ステップS47の処理が未処理の他のドキュメントに順次切り替えながらステップS43~ステップS48の処理を繰り返す。
【0138】
この繰返し処理により、新規問合せメールで問い合せられたソフトウェアについて記載されたすべてのドキュメントの中からステップS42で抽出した重要キーワード群MKと、ステップS44で抽出した重要キーワード群DKとの間で重複するキーワードの個数が最大のドキュメントのドキュメント名が「document_name」というパラメータの値に最終的に設定される。また、そのドキュメントについてステップS47で算出された「score」の値が最終的な「score」の値として設定される。
【0139】
そしてドキュメント改善案作成部41は、やがて新規問合せメールで問い合せられたソフトウェアについて記載されたすべてのドキュメントについてステップS44~ステップS47の処理を実行し終えることによりステップS48で肯定結果を得ると、「score」というパラメータの現在の値が「0.3」以下であるか否かを判断する(S49)。そしてドキュメント改善案作成部41は、この判断で否定結果を得るとステップS54に進む。
【0140】
これに対して、ドキュメント改善案作成部41は、ステップS49の判断で肯定結果を得ると、ドキュメントを改善すべき理由を表す「reason」というパラメータの値を「説明していない」に設定すると共に(S50)、エンジニアに提案するドキュメントの改善案の内容を表す「handle」というパラメータの値を「説明を新規追加」に設定する(S51)。
【0141】
そしてドキュメント改善案作成部41は、この後、現在の「document_name」、「score」、「reason」及び「handle」の各パラメータの値をドキュメント改善案情報52(
図6)としてメモリ11に書き込むと共に、このドキュメント改善案情報52をエンジニアに通知する(S52)。さらにドキュメント改善案作成部41は、類似顧客抽出部42を呼び出し(S53)、この後、このドキュメント改善案作成処理を終了する。
【0142】
これに対してドキュメント改善案作成部41は、ステップS49の判断で否定結果を得ると、「score」というパラメータの現在の値が「0.7」未満であるか否かを判断する(S54)。そしてドキュメント改善案作成部41は、この判断で肯定結果を得ると、「reason」というパラメータの値を「意味が分かり難い」に設定すると共に(S55)、「handle」というパラメータの値を「文章の書換えや箇条書きへの変更が必要」に設定し(S56)、この後ステップS59に進む。
【0143】
またドキュメント改善案作成部41は、ステップS54の判断で否定結果を得ると、「reason」というパラメータの値を「気付き難い」に設定すると共に(S57)、「handle」というパラメータの値を「表示を強調する等目立たせる」に設定する(S58)。
【0144】
そしてドキュメント改善案作成部41は、この後、現在の「document_name」、「score」、「reason」及び「handle」の各パラメータの値をドキュメント改善案情報52(
図6)としてメモリ11に書き込むと共に、このドキュメント改善案情報52をエンジニアに通知し(S59)、この後、このドキュメント改善案作成処理を終了する。
【0145】
(3-4)類似顧客抽出処理
一方、
図10A及び
図10Bは、
図6について上述したドキュメント改善支援処理のステップS15でドキュメント改善案作成部41により呼び出された類似顧客抽出部42により実行される類似顧客抽出処理の流れを示す。類似顧客抽出部42は、この
図10A及び
図10Bに示す処理手順に従って、新規問合せ顧客が使用しているサポート対象機器と構成が同一又は類似するサポート対象機器を使用している顧客を類似顧客として抽出する。
【0146】
実際上、類似顧客抽出部42は、ドキュメント改善案作成部41により呼び出されると、この
図10A及び
図10Bに示す類似顧客抽出処理を開始し、まず、新規問合せメールのデータからその送信元である新規問合せ顧客のメールアドレスを取得する(S60)。
【0147】
続いて、類似顧客抽出部42は、ファイルサーバ6(
図1)に格納された定義ファイル30(
図1)から、予め定義された閾値δの値を読み出す(S61)。さらに類似顧客抽出部42は、新規問合せ顧客が使用しているサポート対象機器に実装されているすべてのソフトウェアのソフトウェア名及びバージョンをシステム構成データベース27(
図3)から抽出する(S62)。
【0148】
具体的に、類似顧客抽出部42は、システム構成データベース27のレコードの中から、ステップS60で取得した新規問合せ顧客のメールアドレスが連絡先欄27C(
図3)に格納されているレコードを検索する。そして類似顧客抽出部42は、この検索により検出したレコードの構成ソフトウェア群欄27Eに格納されているすべてのソフトウェアのソフトウェア名と、バージョン欄27F(
図3)に格納されているこれらソフトウェアのバージョンとを読み出す。
【0149】
次いで、類似顧客抽出部42は、システム構成データベース27のレコードの中から、新規問合せ顧客に対応するレコード以外のレコードであって、ステップS64以降が未処理のレコードを1つ選択し(S63)、そのレコード(以下、これを選択レコードと呼ぶ)のデータを読み出す(S64)。
【0150】
さらに類似顧客抽出部42は、ステップS64で読み出したデータに基づいて、選択レコードに対応するサポート対象機器と、新規問合せ顧客が使用しているサポート対象機器との双方に実装されているソフトウェアの数(ソフトウェアの重複数)をカウントする(S65)。
【0151】
具体的に、類似顧客抽出部42は、選択レコードの構成ソフトウェア群欄27E(
図3)に格納されている各ソフトウェアと、ステップS62で取得したソフトウェア群とを比較することで、かかるソフトウェアの重複数をカウントする。
【0152】
この後、類似顧客抽出部42は、システムスコア(「system_score」)というパラメータの値をステップS65でカウントした重複数に設定する(S66)。
【0153】
続いて、類似顧客抽出部42は、選択レコードに対応するサポート対象機器と、新規問合せ顧客が使用しているサポート対象機器との双方に実装されているソフトウェア(以下、これらを重複ソフトウェアと呼ぶ)の中から1つのソフトウェアを選択する(S67)。
【0154】
また類似顧客抽出部42は、ステップS67で選択した重複ソフトウェア(以下、これを選択重複ソフトウェアと呼ぶ)について、新規問合せ顧客が使用しているサポート対象機器に実装された選択重複ソフトウェアのバージョンと、選択レコードに対応するサポート対象機器に実装された選択重複ソフトウェアのバージョンとをそれぞれ抽出する(S68)。
【0155】
具体的に、類似顧客抽出部42は、新規問合せ顧客が使用しているサポート対象機器に実装された選択重複ソフトウェアのバージョンについては、ステップS62で取得した各ソフトウェアのバージョンの中から選択重複ソフトウェアのバージョンを抽出する。また選択サポート対象機器に実装された選択重複ソフトウェアのバージョンについては、ステップS64で読み出した選択レコードのデータから選択重複ソフトウェアのバージョンを抽出する。
【0156】
次いで、類似顧客抽出部42は、システム構成データベース27(
図3)に登録されている選択重複ソフトウェアのバージョンの種類をカウントし(S69)、次式
【数3】
により、バージョンスコア(「ver_score」)というパラメータの値を算出する。
【0157】
具体的に、類似顧客抽出部42は、新規問合せ顧客が使用しているサポート対象機器に実装された選択重複ソフトウェアのバージョンから選択レコードに対応するサポート対象機器に実装された選択重複ソフトウェアのバージョンを減算した結果の絶対値をステップS69でカウントした選択重複ソフトウェアのバージョンの総数で除算するようにしてバージョンスコア(「ver_score」)を算出する(S70)。
【0158】
さらに類似顧客抽出部42は、次式
【数4】
のように、ステップS66で算出したシステムスコアの値にステップS70で算出したバージョンスコアの値を加算するようにして総合的なシステムスコアの値を算出し(S71)、この後、新規問合せ顧客が使用しているサポート対象機器と、選択レコードに対応するサポート対象機器との双方に実装されているすべての重複ソフトウェアについてステップS68~ステップS71の処理を実行し終えたか否かを判断する(S72)。
【0159】
類似顧客抽出部42は、この判断で否定結果を得るとステップS67に戻り、この後、ステップS67で選択する重複ソフトウェアをステップS68~ステップS71が未処理の他の重複ソフトウェアに順次切り替えながらステップS67~ステップS72の処理を繰り返す。この繰返し処理により、各重複ソフトウェアの最終的なシステムスコアがそれぞれ算出される。
【0160】
そして類似顧客抽出部42は、やがてすべての重複ソフトウェアについてステップS68~ステップS71の処理を実行し終えることによりステップS72で肯定結果を得ると、最終的なシステムスコアの値がステップS61で取得した閾値δ以上であるか否かを判断する(S73)。そして類似顧客抽出部42は、この判断で否定結果を得るとステップS75に進む。
【0161】
これに対して、類似顧客抽出部42は、ステップS73の判断で肯定結果を得ると、そのときの選択レコードの情報と、選択レコードについてステップS71で算出した最終的なシステムスコアとを類似顧客リスト情報53(
図7)に追加登録する(S74)。
【0162】
具体的に、類似顧客抽出部42は、類似顧客リスト情報53に新たなレコードを追加し、そのレコードの顧客欄53B、連絡先欄53C、構成ソフトウェア群欄53E、バージョン欄53F及びパラメータ欄53Gに、それぞれ選択レコードの
図3について上述した顧客欄27B、連絡先欄27C、構成ソフトウェア群欄27E、バージョン欄27F又はパラメータ欄27Gに格納されている情報を格納する。また類似顧客抽出部42は、ステップS71で算出した最終的なシステムスコアを、類似顧客リスト情報53のかかる新たなレコードのシステムスコア欄53Dに格納する。
【0163】
この後、類似顧客抽出部42は、システム構成データベース27のレコードのうち、新規問合せ顧客に対応するレコード以外のすべてのレコードについてステップS64~ステップS74の処理を実行し終えたか否かを判断する(S75)。
【0164】
そして類似顧客抽出部42は、この判断で否定結果を得るとステップS63に戻り、この後、ステップS63で選択する顧客をステップS64~ステップS74が未処理で上述の条件を満たすレコードに順次切り替えながらステップS63~ステップS74の処理を繰り返す。
【0165】
そして類似顧客抽出部42は、やがて新規問合せ顧客に対応するレコード以外のすべてのレコードについてステップS64~ステップS74の処理を実行し終えることによりステップS75で肯定結果を得ると、この類似顧客抽出処理を終了する。
【0166】
(3-5)顧客別通知プライオリティ判定処理
図11A及び
図11Bは、
図6について上述したドキュメント改善支援処理のステップS18で類似顧客抽出部42により呼び出された顧客別通知プライオリティ判定部43により実行される顧客別通知プライオリティ判定処理の流れを示す。顧客別通知プライオリティ判定部43は、この
図11A及び
図11Bに示す処理手順に従って、各類似顧客に対する通知プライオリティをそれぞれ判定する。
【0167】
実際上、顧客別通知プライオリティ判定部43は、類似顧客抽出部42により呼び出されると、この
図11A及び
図11Bに示す顧客別通知プライオリティ判定処理を開始し、まず、メモリ11に格納されている新規問合せメールを読み出し、当該新規問合せメールの送信元である新規問合せ顧客のメールアドレスを取得する(S80)。
【0168】
続いて、顧客別通知プライオリティ判定部43は、
図6について上述したドキュメント改善支援処理のステップS14でドキュメント改善案作成部41が作成してメモリ11に格納したドキュメント改善案情報52に含まれるドキュメント名(「document_name」)を読み込む(S81)。このドキュメント名のドキュメントが今回の改善対象となっているドキュメントである。
【0169】
また顧客別通知プライオリティ判定部43は、ドキュメントデータベース28(
図4)のレコードの中からステップS81で読込んだドキュメント名がドキュメント名欄28B(
図4)に格納されたレコードを検索し、ヒットしたレコードのソフトウェア名欄28Dに格納されているソフトウェア名を抽出する(S82)。このソフトウェア名のソフトウェアが、今回の改善対象となっているドキュメントに関連するソフトウェア(以下、これを対象ソフトウェアと呼ぶ)である。
【0170】
そして顧客別通知プライオリティ判定部43は、新規問合せ顧客が使用しているサポート対象機器に実装されている対象ソフトウェアのバージョンと、その対象ソフトウェアについて設定された各種パラメータの設定値とをシステム構成データベース27(
図3)から抽出する(S83)。
【0171】
具体的に、顧客別通知プライオリティ判定部43は、システム構成データベース27の各レコードのうち、ステップS82で抽出したソフトウェア名が構成ソフトウェア群欄27E(
図3)の小欄27H(
図3)に格納され、かつ、ステップS80で取得した新規問合せ顧客のメールアドレスが連絡先欄27C(
図3)の小欄27Hに格納されたレコードをシステム構成データベース27上で検索する。
【0172】
そして顧客別通知プライオリティ判定部43は、この検索でヒットしたレコードにおけるバージョン欄27F(
図3)の対応する小欄27Hから対象ソフトウェアのバージョンを抽出すると共に、そのレコードのパラメータ欄27Gの対応する小欄27Hに格納されている各パラメータの設定値を取得する。このようにして取得したバージョン及び各パラメータの設定値が、新規問合せ顧客が使用しているサポート対象機器に実装された対象ソフトウェアのバージョンと、その対象ソフトウェアについて設定されている各パラメータの設定値である。
【0173】
次いで、顧客別通知プライオリティ判定部43は、類似顧客抽出部42により作成されてメモリ11に格納された類似顧客リスト情報53(
図7)からステップS85以降が未処理の1レコード分の情報を読み込む(S84)。
【0174】
また顧客別通知プライオリティ判定部43は、読み込んだレコード内の構成ソフトウェア群欄53E(
図7)に、ステップS82で抽出した対象ソフトウェアのソフトウェア名が格納されているか否かを判断する(S85)。
【0175】
この判断で否定結果を得ることは、ステップS84で読み込んだレコードに対応する類似顧客が使用しているサポート対象機器に対象ソフトウェアが実装されていないことを意味する。かくして、このとき顧客別通知プライオリティ判定部43は、ステップS93に進む。
【0176】
これに対して、ステップS85の判断で肯定結果を得ることは、ステップS84で読み込んだレコードに対応する類似顧客が使用しているサポート対象機器に対象ソフトウェアが実装されていることを意味する。
【0177】
かくして、このとき顧客別通知プライオリティ判定部43は、対応する類似顧客が使用しているサポート対象機器に実装されている対象ソフトウェアのバージョン及びその対象ソフトウェアについて設定された各パラメータの設定値と、新規問合せ顧客が使用しているサポート対象機器に実装された対象ソフトウェアのバージョン及び当該対象ソフトウェアについて設定された各パラメータの設定値とそれぞれ一致するか否かを判断する(S86)。
【0178】
具体的に、顧客別通知プライオリティ判定部43は、ステップS84で情報を読み出したレコードのバージョン欄53F(
図7)に格納されている対象ソフトウェアのバージョンと、そのレコードのパラメータ欄53G(
図7)に格納されている対象ソフトウェアについて設定された各パラメータの設定値との双方が、ステップS83で取得したバージョン及び各パラメータの設定値とそれぞれ一致するか否かを判断する。
【0179】
そして顧客別通知プライオリティ判定部43は、この判断で肯定結果を得ると、メモリ11に格納されている類似顧客リスト情報53におけるステップS84で情報を読み込んだレコードの通知プライオリティ欄53H(
図7)に「重要」という情報を格納し(S87)、この後、ステップS93に進む。
【0180】
これに対して、顧客別通知プライオリティ判定部43は、ステップS86の判断で否定結果を得ると、ステップS84で情報を読み出したレコードのバージョン欄53Fに格納されている対象ソフトウェアのバージョンが、ステップS83で取得した新規問合せ顧客が使用しているサポート対象機器に実装された対象ソフトウェアのバージョンと不一致であるか否かを判断する(S88)。
【0181】
そして顧客別通知プライオリティ判定部43は、この判断で否定結果を得るとステップS90に進む。また顧客別通知プライオリティ判定部43は、ステップS88の判断で肯定結果を得ると、メモリ11に格納されている類似顧客リスト情報53におけるステップS84で情報を読み込んだレコードの差分欄53I(
図7)に「バージョン」という情報を格納する(S89)。
【0182】
続いて、顧客別通知プライオリティ判定部43は、ステップS84で情報を読み出したレコードのパラメータ欄53Gに格納されている対象ソフトウェアについて設定された各パラメータの設定値の少なくとも1つが、ステップS83で取得した新規問合せ顧客が使用しているサポート対象機器において対象ソフトウェアについて設定された各パラメータの設定値と不一致であるか否かを判断する(S90)。
【0183】
そして顧客別通知プライオリティ判定部43は、この判断で否定結果を得るとステップS92に進む。また顧客別通知プライオリティ判定部43は、ステップS90の判断で肯定結果を得ると、メモリ11に格納されている類似顧客リスト情報53におけるステップS84で情報を読み込んだレコードの差分欄53Iに「パラメータ」という情報を格納すると共に(S91)、そのレコードの通知プライオリティ欄53Hに「注意」という情報を格納する(S92)。
【0184】
さらに顧客別通知プライオリティ判定部43は、類似顧客リスト情報53のすべてのレコードについてステップS85以降の処理を実行し終えたか否かを判断する(S93)。そして顧客別通知プライオリティ判定部43は、この判断で否定結果を得るとステップS84に戻り、この後、ステップS84で選択するレコードをステップS85以降が未処理の他のレコードに順次切り替えながらステップS84~ステップS93の処理を繰り返す。
【0185】
そして顧客別通知プライオリティ判定部43は、やがて類似顧客リスト情報53のすべてのレコードについてステップS85以降の処理を実行し終えることによりステップS93で肯定結果を得ると、この顧客別通知プライオリティ判定処理を終了する。
【0186】
(3-6)顧客別通知内容作成処理
図12A及び
図12Bは、
図6について上述したドキュメント改善支援処理のステップS20で顧客別通知プライオリティ判定部43により呼び出された顧客別通知内容作成部44により実行される顧客別通知内容作成処理の流れを示す。顧客別通知内容作成部44は、この
図12A及び
図12Bに示す処理手順に従って、対象となる類似顧客に対して送付する通知の通知内容を通知プライオリティ別にそれぞれ作成する。
【0187】
実際上、顧客別通知内容作成部44は、顧客別通知プライオリティ判定部43により呼び出されると、この
図12A及び
図12Bに示す顧客別通知内容作成処理を開始し、まず、新規問合せメールの本文の内容及び新規問合せ顧客のメールアドレスと、当該新規問合せメールに対する自動応答部23からの回答メールの本文の内容である応答内容情報51(
図6)とをメモリ11から読み込む(S100)。
【0188】
続いて、顧客別通知内容作成部44は、メモリ11に格納されている類似顧客リスト情報53(
図7)からステップS102以降が未処理の1レコード分の情報を読み込み(S101)、さらにステップS101で読み込んだレコードの情報から、ステップS103以降が未処理の1つのソフトウェアに関連する情報(バージョン、パラメータの設定値、通知プライオリティ及び差分の各情報)を抽出する(S102)。
【0189】
次いで、顧客別通知内容作成部44は、ステップS102で関連する情報を抽出したソフトウェア(以下、これを抽出ソフトウェアと呼ぶ)に関して、通知プライオリティが「重要」であるか否かを判断する(S103)。
【0190】
そして顧客別通知内容作成部44は、この判断で肯定結果を得ると、ステップS100で読み込んだ新規問合せメールの本文の内容及び応答内容情報51の内容を、ステップS101で読み込んだレコードの連絡先欄53C(
図7)に格納されている対応する類似顧客のメールアドレス宛てに送信する(S104)。そして顧客別通知内容作成部44は、この後、ステップS113に進む。
【0191】
一方、顧客別通知内容作成部44は、ステップS103の判断で否定結果を得ると、ステップS102で抽出した情報に基づいて、抽出ソフトウェアの通知プライオリティが「注意」であるか否かを判断する(S105)。そして顧客別通知内容作成部44は、この判断で否定結果を得るとステップS113に進む。
【0192】
これに対して、顧客別通知内容作成部44は、ステップS105の判断で肯定結果を得ると、ステップS102で抽出した情報に基づいて、差分が「バージョン」であるか否かを判断する(S106)。そして顧客別通知内容作成部44は、この判断で否定結果を得るとステップS109に進む。
【0193】
これに対して、顧客別通知内容作成部44は、ステップS106の判断で肯定結果を得ると、新規問合せ顧客のサポート対象機器に実装された抽出ソフトウェアのバージョンを取得する(S107)。
【0194】
具体的に、顧客別通知内容作成部44は、システム構成データベース27(
図3)を参照して、連絡先欄27C(
図3)にステップS100で読み込んだ新規問合せ顧客のメールアドレスが格納され、かつ、構成ソフトウェア群欄27Eに抽出ソフトウェアのソフトウェア名が記載されたレコードを特定し、そのレコードのバージョン欄27Fに格納されているバージョンを読み出すことにより取得する。
【0195】
続いて、顧客別通知内容作成部44は、対応する類似顧客(ステップS101で情報を読み込んだレコードに対応する類似顧客)に対する通知の通知内容に、抽出ソフトウェアのバージョンの変更に関する注意を促す文章を追加する(S108)。
【0196】
具体的に、顧客別通知内容作成部44は、かかる類似顧客への通知内容に、「○○のバージョンを××に変更すると、下記の事象が発生する可能性があります。」といった文章を追加する。なお、ここでの「○○」は、抽出ソフトウェアのソフトウェア名であり、「××」は、新規問合せ顧客のサポート対象機器に実装されている抽出ソフトウェアのバージョンである。
【0197】
次いで、顧客別通知内容作成部44は、ステップS102で抽出した情報に基づいて、類似顧客リスト情報53の抽出ソフトウェアに対応する差分欄53Iに「パラメータ」が格納されているか否かを判断する(S109)。そして顧客別通知内容作成部44は、この判断で否定結果を得るとステップS111に進む。
【0198】
これに対して、顧客別通知内容作成部44は、ステップS109の判断で肯定結果を得ると、新規問合せ顧客が使用しているサポート対象機器で設定された抽出ソフトウェアの各パラメータの設定値を取得する(S110)。
【0199】
具体的に、顧客別通知内容作成部44は、システム構成データベース27(
図3)を参照して、連絡先欄27C(
図3)にステップS100で読み込んだ新規問合せ顧客のメールアドレスが格納され、かつ、構成ソフトウェア群欄27Eに抽出ソフトウェアのソフトウェア名が記載されたレコードを特定し、そのレコードのパラメータ欄27Gに格納されている各パラメータの設定値を読み出すことにより取得する。
【0200】
続いて、顧客別通知内容作成部44は、対応する類似顧客(ステップS101で情報を読み込んだレコードに対応する類似顧客)に対する通知の通知内容に、抽出ソフトウェアのパラメータの設定値の変更に関する注意を促す文章を追加する(S111)。
【0201】
具体的に、顧客別通知内容作成部44は、かかる類似顧客への通知内容に、「○○の××パラメータの設定値を△△に変更すると、下記の事象が発生する可能性があります。」という文章を追加する。なお、ここでの「○○」は、抽出ソフトウェアのソフトウェア名であり、「××」は、新規問合せ顧客のサポート対象機器に実装されている抽出ソフトウェアのパラメータのうちの対応するパラメータの名称である。また「△△」は、新規問合せ顧客が使用するサポート対象機器におけるそのパラメータの設定値である。
【0202】
次いで、顧客別通知内容作成部44は、ステップS100で読み込んだ新規問合せメールの本文の内容及び応答内容情報51の内容と、ステップS108及び又はステップS111で追加した文章とを、ステップS101で読み込んだレコードの連絡先欄53C(
図7)に格納されている対応する類似顧客のメールアドレス宛てに送信する(S112)。
【0203】
この後、顧客別通知内容作成部44は、ステップS101で情報を読み込んだレコードの構成ソフトウェア群欄53E(
図7)にソフトウェア名が登録されたすべてのソフトウェアについてステップS103~ステップS112の処理を実行し終えたか否かを判断する(S113)。
【0204】
そして顧客別通知内容作成部44は、この判断で否定結果を得るとステップS102に戻り、この後、ステップS102で選択するソフトウェアをステップS103以降が未処理の他のソフトウェアに順次切り替えながらステップS102~ステップS113の処理を繰り返す。
【0205】
そして顧客別通知内容作成部44は、やがてステップS101で情報を読み込んだレコードの構成ソフトウェア群欄53E(
図7)にソフトウェア名が登録されたすべてのソフトウェアについてステップS103~ステップS112の処理を実行し終えることによりステップS113で肯定結果を得ると、類似顧客リスト情報53のすべてのレコードについてステップS102以降の処理を実行し終えたか否かを判断する(S114)。
【0206】
そして顧客別通知内容作成部44は、この判断で否定結果を得るとステップS101に戻り、この後、ステップS101で選択する類似顧客リスト情報53のレコードを、ステップS102以降が未処理の他のレコードに順次切り替えながらステップS101~ステップS114の処理を繰り返す。
【0207】
そして顧客別通知内容作成部44は、やがて類似顧客リスト情報53のすべてのレコードについてステップS102以降の処理を実行し終えることによりステップS114で肯定結果を得ると、この顧客別通知内容作成処理を終了する。
【0208】
(3-7)問合せ顧客データベース作成処理
図13A及び
図13Bは、ドキュメント改善支援機能に関連して自動応答サーバ5で実行される各種処理のうちの問合せ顧客データベース作成部45(
図1)により実行される問合せ顧客データベース作成処理の流れを示す。問合せ顧客データベース作成部45は、この
図13A及び
図13Bに示す処理手順に従って、最新の問合せ顧客データベース29(
図5)を作成する。
【0209】
実際上、本実施の形態の場合、制御部20(
図1)は定期的に問合せ顧客データベース作成部45を呼び出す。そして問合せ顧客データベース作成部45は、制御部20により呼び出されるとこの
図13A及び
図13Bに示す問合せ顧客データベース作成処理を開始する。
【0210】
そして問合せ顧客データベース作成部45は、まず、ファイルサーバ6(
図1)に保持された定義ファイル30(
図1)から閾値ε及び閾値ζを読み込み(S120)、その後、問合せデータベース26(
図2)の各レコードの差出人アドレス欄26E(
図2)にそれぞれ格納された差出人アドレスをすべて読み込む(S121)。
【0211】
続いて、問合せ顧客データベース作成部45は、ステップS121で読込んだすべての差出人アドレスの中から重複する差出人アドレスを排除する重複排除処理を実行する(S122)。また問合せ顧客データベース作成部45は、ステップS122で重複排除処理を施した差出人アドレスの中からステップS124以降が未処理の差出人アドレスを1つ選択する(S123)。
【0212】
そして問合せ顧客データベース作成部45は、ステップS123で選択した差出人アドレス(以下、これを選択差出人アドレスと呼ぶ)を検索キーとしてシステム構成データベース27(
図3)を検索することにより、選択差出人アドレスに対応する顧客が使用しているサポート対象機器の構成ソフトウェア群を抽出する(S124)。
【0213】
具体的に、問合せ顧客データベース作成部45は、システム構成データベース27の各レコードのうち、連絡先欄27C(
図3)に選択差出人アドレスが格納されたレコードを検索し、そのレコードの構成ソフトウェア群欄27E(
図3)に格納されているすべてのソフトウェアのソフトウェア名を抽出する。
【0214】
次いで、問合せ顧客データベース作成部45は、ステップS124でソフトウェア名を抽出した各ソフトウェアにそれぞれ関連するドキュメントをドキュメントデータベース28(
図4)からすべて取得する(S125)。
【0215】
さらに問合せ顧客データベース作成部45は、問合せデータベース26から、選択差出人アドレスが差出人アドレス又は宛先アドレスである電子メール(問合せメール又は回答メール)を抽出する(S126)。ここでは、問合せ顧客データベース作成部45は、問合せデータベース26のレコードの中から差出人アドレス欄26E(
図2)又は宛先アドレス欄26F(
図2)に選択差出人アドレスが格納されているレコードを抽出する。
【0216】
続いて、問合せ顧客データベース作成部45は、後述のステップS134で用いるカウンタ(以下、これを重複個数計数用カウンタと呼ぶ)をリセット(「0」にセット)し(S127)、この後、ステップS125で取得したドキュメントの中からステップS129以降が未処理のドキュメントを1つ選択する(S128)。
【0217】
次いで、問合せ顧客データベース作成部45は、ステップS128で選択したドキュメント(以下、これを選択ドキュメントと呼ぶ)の本文のデータをドキュメントデータベース28から読み込む(S129)。また問合せ顧客データベース作成部45は、読み込んだ選択ドキュメントの本文のデータに基づいて、形態素解析及びTF-IDFなどの手法を用いて、かかる選択ドキュメントからすべての重要キーワードを重要キーワード群RKとして抽出する(S130)。
【0218】
さらに問合せ顧客データベース作成部45は、ステップS126で抽出した電子メール(レコード)の中からステップS132以降が未処理の電子メール(レコード)を1つ選択し(S131)、選択した電子メール(以下、これを選択電子メールと呼ぶ)の本文から重要キーワード群MKを抽出する(S132)。
【0219】
具体的に、問合せ顧客データベース作成部45は、問合せデータベース26における選択電子メールに対応するレコードの本文欄26H(
図2)に格納された選択電子メールの本文のデータに基づいて、形態素解析及びTF-IDFなどの手法を用いて、かかる本文からすべての重要キーワードを重要キーワード群MKとして抽出する。
【0220】
続いて、問合せ顧客データベース作成部45は、ステップS130で抽出した重要キーワード群RKと、ステップS132で抽出した重要キーワード群MKとを比較して、重複する重要キーワード(重要キーワード群RK及び重要キーワード群MKの双方に存在する重要キーワード)の個数を求め、その個数(以下、これを重複個数と呼ぶ)がステップS120で取得した閾値ε以上であるか否かを判断する(S133)。
【0221】
そして問合せ顧客データベース作成部45は、この判断で否定結果を得るとステップS135に進む。また問合せ顧客データベース作成部45は、ステップS133の判断で肯定結果を得ると上述の重複個数計数用カウンタのカウント値を1だけ増加(インクリメント)させる(S134)。
【0222】
さらに問合せ顧客データベース作成部45は、ステップS126で抽出したすべての電子メール(レコード)に対するステップS127~ステップS134の処理を実行し終えたか否かを判断する(S135)。そして問合せ顧客データベース作成部45は、この判断で否定結果を得るとステップS131に戻り、この後、ステップS131で選択する電子メール(レコード)をステップS132~ステップS134が未処理の他のメール(レコード)に順次切り替えながらステップS131~ステップS135の処理を繰り返す。
【0223】
そして問合せ顧客データベース作成部45は、やがてステップS126で抽出したすべての電子メール(レコード)に対するステップS132~ステップS134の処理を実行し終えることによりステップS135で肯定結果を得ると、ステップS125で取得したすべてのドキュメントについてステップS129~ステップS135の処理を実行し終えたか否かを判断する(S136)。
【0224】
そして問合せ顧客データベース作成部45は、この判断で否定結果を得るとステップS128に戻り、この後、ステップS128で選択するドキュメントをステップS129~ステップS135が未処理の他のドキュメントに順次切り替えながらステップS128~ステップS136の処理を繰り返す。
【0225】
そして問合せ顧客データベース作成部45は、やがてステップS125で取得したすべてのドキュメントに対するステップS129~ステップS135の処理を実行し終えることによりステップS136で肯定結果を得ると、かかる重複個数計数用カウンタのカウント値がステップS120で読み出した閾値ζ以上であるか否かを判断する(S137)。
【0226】
そして問合せ顧客データベース作成部45は、この判断で否定結果を得ると、問合せ顧客データベース29にそのときの選択差出人アドレスを登録し、その改善フラグを「False」に設定する(S138)。より正確には、問合せ顧客データベース作成部45は、問合せ顧客データベース29の未使用のレコードを確保し、そのレコードの連絡先欄29B(
図5)に選択差出人アドレスを格納すると共に、そのレコードの改善フラグ欄29C(
図5)に格納された改善フラグを「False」に設定する。
【0227】
これに対して、問合せ顧客データベース作成部45は、ステップS137の判断で肯定結果を得ると、問合せ顧客データベース29にそのときの選択差出人アドレスを登録し、その改善フラグを「True」に設定する(S139)。より正確には、問合せ顧客データベース作成部45は、問合せ顧客データベース29の未使用のレコードを確保し、そのレコードの連絡先欄29Bに選択差出人アドレスを格納すると共に、そのレコードの改善フラグ欄29Cに格納された改善フラグを「True」に設定する。
【0228】
続いて、問合せ顧客データベース作成部45は、ステップS121で取得し、ステップS122で重複排除を施した後のすべての差出人アドレスについてステップS123~ステップS139の処理を実行し終えたか否かを判断する(S140)。そして問合せ顧客データベース作成部45は、この判断で否定結果を得るとステップS123に戻り、この後、ステップS123で選択する差出人アドレスをステップS124以降の処理が未処理の他の差出人アドレスに順次切り替えながらステップS123~ステップS140の処理を繰り返す。
【0229】
そして問合せ顧客データベース作成部45は、やがてステップS121で取得し、ステップS122で重複排除を施した後のすべての差出人アドレスについてステップS124~ステップS139の処理を実行し終えることによりステップS140で肯定結果を得ると、この問合わせ顧客データベース作成処理を終了する。
【0230】
(4)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態の自動応答システム1では、自動応答サーバ5が、顧客からの新規問合せに対して自動応答した場合に、その新規問合せと同一又は類似する問合せが過去にα件以上あった場合、その新規問合せが稼働年数がβ年以上で問合せ回数がγ回以上の顧客からの問合せである場合、その新規問合せが過去にドキュメントの改善が必要な問合せをした顧客からの問合せである場合のいずれかの場合に、対応するドキュメントの改善が必要であると判定し、その理由とそのドキュメントの改善案とをエンジニアに提示する。
【0231】
従って、本自動応答システム1によれば、ドキュメントを改善するきっかけを適切なタイミングでエンジニアに与えることができ、ドキュメントの不具合に起因する担当者が対応すべき案件数を減少させることができるため、自動応答システム1における保守コストを低減させることができる。
【0232】
(5)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、制御部20、自動起票・登録部21、類似事例抽出部22、自動応答部23及び問合せ顧客データベース作成部25と、問合せ情報通知部24を構成するドキュメント改善要否判定部40、ドキュメント改善案作成部41、類似顧客抽出部42、顧客別通知プライオリティ判定部43、顧客別通知内容作成部44及び問合せ顧客データベース作成部45とを1台の自動応答サーバ5内に配置するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、これらを分散型コンピューティングシステムを構成する複数のコンピュータ装置に分散させて配置するようにしてもよい。
【0233】
また上述の実施の形態においては、ドキュメント改善要否判定部40が、(A)新規問合せと同一又は類似する問合せが過去にα件以上あった場合、(B)その新規問合せが稼働年数がβ年以上で問合せ回数がγ回以上の顧客からの問合せである場合、(C)その新規問合せが過去にドキュメントの改善が必要な問合せをした顧客からの問合せである場合のいずれかの判定条件を満たす場合に、対応するドキュメントの改善が必要であると判定するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、(C)の判定条件を省略して、(A)又は(B)の判定条件を満たす場合に、対応するドキュメントの改善が必要であると判定するようにしてもよい。また(C)の判定条件に加えて又は代えて他の判定条件を適用するようにしてもよい。
【0234】
さらに上述の実施の形態においては、ドキュメント改善案作成部41が、上述の(2)式で算出された「score」の値に基づいてエンジニアに提示する改善案の内容を3段階で切り替えるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、かかる「score」の値に基づいて、かかる改善案の内容を2段階又は4段階以上の段階で切り替えるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0235】
本発明は、機器に対する顧客からの問合せに対する解決策を自動応答する種々の構成の情報処理装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0236】
1……ドキュメント改善支援システム、3,4……クライアント、5……自動応答サーバ、6……ファイルサーバ、10……CPU、20……制御部、21……自動起票・登録部、22……類似事例抽出部、23……自動応答部、24……問合せ情報通知部、25……問合せ顧客データベース作成部、26……問合せデータベース、27……システム構成データベース、28……ドキュメントデータベース、29……問合せ顧客データベース、30……定義ファイル、40……ドキュメント改善要否判定部、41……ドキュメント改善案作成部、42……類似顧客抽出部、43……顧客別通知プライオリティ判定部、44……顧客別通知内容作成部、45……問合せ顧客データベース作成部、50……類似事例情報、51……応答内容情報、52……ドキュメント改善案情報、53……類似顧客リスト情報、54……顧客別通知内容情報。