(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016890
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】チャイルドシートのスライドカバー
(51)【国際特許分類】
B60N 2/28 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
B60N2/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119165
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】391021226
【氏名又は名称】株式会社カーメイト
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】田村 尚之
(72)【発明者】
【氏名】岡 拓孝
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087CE07
3B087CE09
(57)【要約】
【課題】シートのスライド操作の際、指挟まり又は異物の混入を防止できるチャイルドシートのスライドカバーを提供する。
【解決手段】本発明のチャイルドシートのスライドカバー50は、乳幼児が着座するシート12と、車両シートに取り付けてシートが直線状に移動するスライド操作を可能に支持するベース14を備えたチャイルドシートのスライドカバーであって、
前記シート12がスライドする前記ベース14の溝を覆うと共に、前記シート12に連結したカバー本体52を備えことを特徴としている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳幼児が着座するシートと、車両シートに取り付けて前記シートが直線状に移動するスライド操作を可能に支持するベースを備えたチャイルドシートのスライドカバーであって、
前記シートがスライドする前記ベースの溝を覆うと共に、前記シートに連結したカバー本体を備えことを特徴とするチャイルドシートのスライドカバー。
【請求項2】
請求項1に記載されたチャイルドシートのスライドカバーであって、
前記カバー本体は、前記シートのフランジ付き回転軸のフランジに当接する下段に前記溝のスライドレールに嵌って摺動するベースロック凸部を有するベースロック部を備えたことを特徴とするチャイルドシートのスライドカバー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたチャイルドシートのスライドカバーであって、
前記カバー本体は、前記シートのフランジ付き回転軸の回転軸に当接する上段に前記シートの環状溝に嵌って摺動するシートロックツメを有するシートロック部を備えたことを特徴とするチャイルドシートのスライドカバー。
【請求項4】
請求項3に記載されたチャイルドシートのスライドカバーであって、
前記環状溝は、前記回転軸と同心円状に形成し、前記シートロックツメは、前記環状溝に嵌る円弧状に形成したことを特徴とするチャイルドシートのスライドカバー。
【請求項5】
請求項3に記載されたチャイルドシートのスライドカバーであって、
前記環状溝の溝形状は、断面視で山型に形成し、
前記シートロックツメは、前記環状溝に嵌る上向きのクサビ型に形成し、前記カバー本体から対向する前記環状溝に向けて弾性体で付勢されて、前記カバー本体の主面から突出していることを特徴とするチャイルドシートのスライドカバー。
【請求項6】
請求項2に記載されたチャイルドシートのスライドカバーであって、
前記スライドレールは、両端に、外側面がレールの外側の上部から内側の下方に向けて傾斜し、内側面が垂直に形成したストッパーを備えたことを特徴とするチャイルドシートのスライドカバーを提供することにある。
【請求項7】
請求項3に記載されたチャイルドシートのスライドカバーであって、
前記カバー本体には、前記シートロックツメを反付勢方向に押下できる解除手段を備えたことを特徴とするチャイルドシートのスライドカバー。
【請求項8】
請求項2に記載されたチャイルドシートのスライドカバーであって、
前記ベースロック凸部は、前記カバー本体から対向する前記スライドレールに向けて弾性体で付勢されて、前記カバー本体の主面から突出し、
前記カバー本体の下段には、前記ベースロック凸部と一体型に形成して反付勢方向に押下できる解除手段を備えたことを特徴とするチャイルドシートのスライドカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両シートに取り付けたベースに対して、乳幼児が着座するシートが回転、スライド(例えば車両のドア側となる左右方向など)、着脱するチャイルドシートのスライドカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
乳幼児を車両に乗せて運転するときは必ずチャイルドシートを使用することが法令で義務付けられている。
従来、種々のチャイルドシートが提案されている。特許文献1に開示のチャイルドシートは、シートと、シートを回転、スライド、リクライニング可能に支持するベースを備えている。これにより乳幼児をシートに固定したり、車両からシートを取り外したりする作業を容易に行うことができる。
しかしながら特許文献1に開示の技術は、シートをスライド操作する際に使用者がシートとベースの間に指を挟むおそれがある。また異物がベースのスライドする溝に挟まって、スライド操作の妨げとなるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0182914号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、シートのスライド操作において、使用者が指を挟むことがなく安全に使用でき、スライドする溝に異物が混入することを防止できるチャイルドシートのスライドカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、 乳幼児が着座するシートと、車両シートに取り付けて前記シートが直線状に移動するスライド操作を可能に支持するベースを備えたチャイルドシートのスライドカバーであって、
前記シートがスライドする前記ベースの溝を覆うと共に、前記シートに連結したカバー本体を備えことを特徴とするチャイルドシートのスライドカバーを提供することにある。
上記第1の手段によれば、シートがスライドする際にスライドカバーが追従してスライドする溝を塞いで、使用者の指挟まりを防止して安全に使用できる。またスライドする溝に異物が混入してスライド操作を妨げることがなくなる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための第2の手段として、第1の手段において、
前記カバー本体は、前記シートのフランジ付き回転軸のフランジに当接する下段に前記溝のスライドレールに嵌って摺動するベースロック凸部を有するベースロック部を備えたことを特徴とするチャイルドシートのスライドカバーを提供することにある。
上記第2の手段によれば、シートがスライドする際にスライドカバーが追従してスライドする溝を塞いで、使用者の指挟まりを防止して安全に使用できる。またスライドする溝に異物が混入してスライド操作を妨げることがなくなる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための第3の手段として、第1又は第2の手段において、
前記カバー本体は、前記シートのフランジ付き回転軸の回転軸に当接する上段に前記シートの環状溝に嵌って摺動するシートロックツメを有するシートロック部を備えたことを特徴とするチャイルドシートのスライドカバーを提供することにある。
上記第3の手段によれば、シートがスライドする際にスライドカバーが追従してスライドする溝を塞いで、使用者の指挟まりを防止して安全に使用できる。またスライドする溝に異物が混入してスライド操作を妨げることがなくなる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための第4の手段として、第3の手段において、前記環状溝は、前記回転軸と同心円状に形成し、前記シートロックツメは、前記環状溝に嵌る円弧状に形成したことを特徴とするチャイルドシートのスライドカバーを提供することにある。
上記第4の手段によれば、シートの回転動作の際、カバー本体でスライドする溝を覆ったままシートを自由回転させることができる。またカバー本体とシートの連結を維持したままシートを自由回転させることができる。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するための第5の手段として、第3の手段において、前記環状溝の溝形状は、断面視で山型に形成し、
前記シートロックツメは、前記環状溝に嵌る上向きのクサビ型に形成し、前記カバー本体から対向する前記環状溝に向けて弾性体で付勢されて、前記カバー本体の主面から突出していることを特徴とするチャイルドシートのスライドカバーを提供することにある。
上記第5の手段によれば、シートを取り外すときに、取り外す側と反対側のカバー本体を取り忘れてもベースから取り外すことができる。またシートの下端部に外側から当たるときにシートロックツメの傾斜面で反付勢方向に引っ込んでシートの下面に潜り込むことができる。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するための第6の手段として、第2の手段において、前記スライドレールは、両端に、外側面がレールの外側の上部から内側の下方に向けて傾斜し、内側面が垂直に形成したストッパーを備えたことを特徴とするチャイルドシートのスライドカバーを提供することにある。
上記第6の手段によれば、スライドカバーの取り付けの際、ストッパーにベースロック凸部が接触すると反付勢方向に押し戻されて下段の主面まで引っ込んでカバー本体を溝に差し込むことができる。またシートに連結したカバー本体がスライド操作の際にスライドレールから外れることがない。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するための第7の手段として、第3の手段において、前記カバー本体には、前記シートロックツメを反付勢方向に押下できる解除手段を備えたことを特徴とするチャイルドシートのスライドカバーを提供することにある。
上記第7の手段によれば、ボタン操作で容易にカバー本体をシートから取り外すことができる。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するための第8の手段として、第2の手段において、前記ベースロック凸部は、前記カバー本体から対向する前記スライドレールに向けて弾性体で付勢されて、前記カバー本体の主面から突出し、
前記カバー本体の下段には、前記ベースロック凸部と一体型に形成して反付勢方向に押下できる解除手段を備えたことを特徴とするチャイルドシートのスライドカバーを提供することにある。
上記第8の手段によればまたボタン操作で容易にカバー本体をスライドレールから取り外すことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、シートがスライドする際にスライドカバーが追従してスライドする溝を塞いで、使用者の指挟まりを防止して安全に使用できる。またスライドする溝に異物が混入してスライド操作を妨げることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明のチャイルドシートのスライドカバーの斜視図である。
【
図2】本発明のチャイルドシートのスライドカバーの底面図である。
【
図3】本発明のチャイルドシートのスライドカバーの側面図である。
【
図8】チャイルドシートの着脱及びスライドの説明図である。
【
図9】本発明のスライドカバーの取り付け方法の説明
図1である。
【
図12】本発明のスライドカバーの取り付け方法の説明
図2である。
【
図15】本発明のスライドカバーの取り付け方法の説明
図3である。
【
図18】本発明のスライドカバーの取り付け方法の説明
図4である。
【
図21】本発明のスライドカバーの取り付け方法の説明
図5である。
【
図22】チャイルドシートのスライドの説明
図1である。
【
図25】チャイルドシートのスライドの説明
図2である。
【
図28】チャイルドシートの回転の説明
図1である。
【
図29】チャイルドシートの回転軸を通る前後方向の側面断面図である。
【
図30】シートとシートロックツメを下方から見た斜視図である。
【
図31】チャイルドシートの90°回転の説明図である。
【
図32】チャイルドシートの回転軸を通る前後方向の側面断面図である。
【
図33】シートとシートロックツメを下方から見た斜視図である。
【
図34】チャイルドシートの180°回転の説明図である。
【
図35】チャイルドシートの回転軸を通る前後方向の側面断面図である。
【
図36】シートとシートロックツメを下方から見た斜視図である。
【
図37】スライドしたチャイルドシートの回転の説明図である。
【
図38】本発明のスライドカバーの取り外し方法の説明
図1である。
【
図41】本発明のスライドカバーの取り外し方法の説明
図2である。
【
図44】本発明のスライドカバーの取り外し方法の説明
図3である。
【
図47】本発明のスライドカバーの取り外し方法の説明
図4である。
【
図50】本発明のスライドカバーの取り外し方法の説明
図5である。
【
図53】本発明のスライドカバーの取り外し方法の説明
図6である。
【
図56】一方のスライドカバーを外し忘れたシートの取り外し方法の説明
図1である。
【
図59】一方のスライドカバーを外し忘れたシートの取り外し方法の説明
図2である。
【
図62】一方のスライドカバーを外し忘れたシートの取り外し方法の説明
図3である。
【
図65】一方のスライドカバーを外し忘れたシートの取り外し方法の説明
図4である。
【
図68】一方のスライドカバーを外し忘れたシートの取り外し方法の説明
図5である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のチャイルドシートのスライドカバー(以下単にスライドカバーということあり)の実施形態について、図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
本実施形態で前後方向(前方・後方)とは、車両のフロント・リア方向を示し、左右方向、水平方向とは車両の左右ドア間、換言すると車両の前後方向と直交する方向を示している。
図8はチャイルドシートの着脱及びスライドの説明図である。本発明のスライドカバーを取り付ける対象となるチャイルドシート10は、車両シートに取り付けたベース14に対して、乳幼児が着座するシート12が回転、スライド、着脱する機能を有している。
チャイルドシート10のシート12は、下面にフランジ付き回転軸40を有し、フランジ付き回転軸40は、下面からベース14の上面に配置したT溝20に向けて進退移動する凸部32とロックピン39を備えている(
図4参照)。
シート12がスライドする溝となるベース14のT溝20は、ベース14の前後方向の断面形状がT字型の溝であり、ベース14上面の水平方向に沿って形成されている(
図6参照)。T溝20の中心となるシート12の中央位置には凹部22を設けている。また上面にロックピン39が嵌るピン穴26を設けている(
図29参照)。ロックピン39及びピン穴26は凸部32及び凹部22よりも直径が小さく、凸部32がピン穴26に嵌らないように設定している。
【0016】
フランジ付き回転軸40はT溝20に嵌りシート12をフランジ付き回転軸及び凸部32の軸回りで自由に回転させることができる。また、フランジ付き回転軸40の下面から突出し、シート12の前方側に設けたロックピン39は、シート12に設けた操作部材34のレバー操作により、フランジ付き回転軸40下面から突き出た状態と、先端がフランジ付き回転軸40の主面と一致する引っ込んだ状態に変えることができる。ロックピン39が嵌るT溝20上面のピン穴26は、凹部22を通る前後方向に2つ設けている。シート12の前方側に設けたロックピン39がベース14上面に2つ設けたピン穴26に嵌る位置は、シート12が正面(
図29参照)、背面(
図35参照)に向く位置となる。
このようなチャイルドシート10は、操作部材34のレバー操作により凸部32を後退させてシート12をベース14の側面のT溝に嵌め合わせてスライドさせることができる。シート12はベース14の中央位置の凹部22で凸部32が付勢方向に突出して固定できる。またシート12の回転は、シート12の操作部材34のレバー操作によりロックピン39を後退させて回転させて、レバー操作を開放してロックピン39の突き出しによりシート12の任意向き(正面、背面)で固定できる。
【0017】
(スライドカバー)
図1は、本発明のチャイルドシートのスライドカバーの斜視図である。
図2は、本発明のチャイルドシートのスライドカバーの底面図である。
図3は、本発明のチャイルドシートのスライドカバーの側面図である。
本発明のスライドカバー50は、乳幼児が着座するシート12と、車両シートに取り付けてシート12が直線状に移動するスライド操作を可能に支持するベース14を備えたチャイルドシート10のスライドカバー50であって、
ベース14のT溝20に嵌って溝を覆い、間に挟んだシート12に連結してT溝20をスライドするシート12に追従する一対のカバー本体52を備え、
カバー本体52は、シート12のフランジ付き回転軸40のフランジに当接する下段54にT溝20のスライドレール80に嵌って摺動するベースロック凸部62を有するベースロック部60と、フランジ付き回転軸40の回転軸に当接する上段56にシート12の環状溝90に嵌って摺動するシートロックツメ72を有するシートロック部70を備えている。
(カバー本体52)
カバー本体52は、長手方向の断面視で凸型に形成し、ベース12のT溝20に嵌る部材である。カバー本体52は上段56と下段54があり、上段56はシート12のフランジ付き回転軸40の回転軸と対向し、対向面を軸の周面に沿って湾曲させている。また下段54はフランジ付き回転軸40のフランジと対向し、対向面をフランジ面に沿って湾曲させている。
【0018】
(シートロック部70)
カバー本体52の上段56には、シート12と連結するシートロック部70を配置している。
シートロック部70は、シートロックツメ72と解除手段となるシートロック部70のリリースボタン74を有している。シートロック部70は上段56の内部で弾性体(不図示)によって対向するシート12の下面に向けて主面からシートロックツメ72が突出するように付勢されている。
シートロックツメ72は断面形状が上向きのクサビ型に形成されている。
図4はシートを下方から見た斜視図である。
図5は
図4のA-A断面の一部拡大図である。図示のようにシート12の下面から下向きに突出しているフランジ付き回転軸40の外周には環状溝90を配置している。環状溝90は、フランジ付き回転軸40と同心円状に形成した溝である。環状溝90の溝形状は、断面視で山形に形成し、シートロックツメ72が嵌る形状に形成している。
リリースボタン74は、シートロックツメ72と一体型に形成し、弾性体の付勢方向と反対方向に押下することにより、シートロックツメ72の上段56主面からの突出量を0にするボタンである。なおリリースボタン74はシートロックツメ72と別体の部材で構成して、弾性体の付勢方向と反対方向に押下することにより、シートロックツメ72の上段56主面からの突出量を0にするように構成しても良い。
【0019】
(ベースロック部60)
カバー本体52の下段54には、ベース14と連結するベースロック部60を配置している。
ベースロック部60は、ベースロック凸部62と解除手段となるベースロック部60のリリースボタン64を有している。ベースロック部60は下段54の内部で弾性体(不図示)によって対向するベース14のT溝20のフランジに向けて主面からベースロック凸部62が突出するように付勢されている。
ベースロック凸部62は断面形状が矩形に形成されている。
図6はベースを下方から見た斜視図である。
図7は
図6のB-B断面図である。図示のようにベース14のT溝20のフランジの下面にはスライドレール80がT溝20の長手方向に沿って直線状に形成されている。ベースの前後方向のスライドレール80の断面形状はベースロック凸部62が嵌るコ字型に形成され、両端にストッパー82を設けている。ストッパー82は、スライドレール80の外側面は外側の上方から内側の下方に向けて傾斜させ、内側面は垂直にして、ベースの左右方向の断面視で上向きの末広がり状に形成している。T溝20のフランジはベース14の前後方向に2つあり、2つのフランジのそれぞれにスライドレール80を配置している。
リリースボタン64は、ベースロック凸部62と一体型に形成し、弾性体の付勢方向と反対方向に押下することにより、ベースロック凸部62の下段54主面からの突出量を0にするボタンである。
このようなベースロック部60は、2つのスライドレール80にそれぞれ設けている。
【0020】
(スライドカバーの取り付け方法)
スライドカバー50の取り付け方法について以下説明する。
図9は本発明のスライドカバーの取り付け方法の説明
図1である。
図10は
図9のC-C断面図である(以下C-C断面図はシート接続断面図ということあり)。
図11は
図9のD-D断面図である(以下D-D断面図はベース接続断面図ということあり)。
図12は本発明のスライドカバーの取り付け方法の説明
図2である。
図13は
図12のシート接続断面図である。
図14は
図12のベース接続断面図である。
図15は本発明のスライドカバーの取り付け方法の説明
図3である。
図16は
図15のシート接続断面図である。
図17は
図15のベース接続断面図である。
図18は本発明のスライドカバーの取り付け方法の説明
図4である。
図19は
図18のシート接続断面図である。
図20は
図18のベース接続断面図である。
図21は本発明のスライドカバーの取り付け方法の説明
図5である。
【0021】
中央位置にシート12を取り付けたベース14のT溝20の左右側面のいずれか一方からスライドカバー50を差し込む(
図9-11参照、同図中は左側面からを示す)。
スライドレール80の端部で外側面が上方から下方に傾斜させたストッパー82にベースロック凸部62が接触すると反付勢方向に押し戻されて下段54の主面まで引っ込んでカバー本体52をT溝20に差し込むことができる。(
図12-14参照)。
スライドレール80のストッパー82を通過したベースロック凸部62は、カバー本体52の下段54の主面から突出してスライドレール80に嵌る。また上向きのクサビ型のシートロックツメ72の側面は、シート12下面の垂直の側面に接触すると反付勢方向に押し下げられる(
図15-17参照)。
シートロックツメ72が環状溝90に達すると付勢方向に突出して溝内に嵌る。このとき、カバー本体52の上段56がシート12のフランジ付き回転軸40の回転軸に当接し、下段54がフランジに当接して、シート12の左側面にスライドカバー50を取り付けることができる(
図18-20参照)。
ついでベース14のT溝20の右側面からも同様にスライドカバー50を差し込んで取り付ける(
図21参照)。これにより、ベース14の中央位置に配置したシート12の左右側面とT溝20の間にスライドカバー50が隙間なく配置できる。
【0022】
(スライド動作)
スライドカバー50のスライド動作について以下説明する。
図22はチャイルドシートのスライドの説明
図1である。
図23は
図22のシート接続断面図である。
図24は
図22のベース接続断面図である。
図25はチャイルドシートのスライドの説明
図2である。
図26は
図25のシート接続断面図である。
図27は
図25のベース接続断面図である。
ベース14の中央位置に配置したシート12の左右側面のT溝20にはスライドカバー50を取り付けてある(
図22-24参照)。
シート12を左方向にスライドさせると、シート12のスライドに従動してシート12に連結したスライドカバー50もスライドする。このときシート12の左側のスライドカバー50はシート12に押されてスライドし、シート12の右側のスライドカバー50はシートロック部70のシートロックツメ72がシート12の環状溝90に連結しているためシート12に牽かれてスライドする。ベースロック凸部62がスライドレール80のストッパー82まで移動すると垂直の内側面を有するストッパー82でスライドが制限されて止まりシート12が外れることがない(
図25-27参照)。
【0023】
(回転動作)
スライドカバーの回転動作について以下説明する。
図28はチャイルドシートの回転の説明
図1である。
図29はチャイルドシートの回転軸を通る前後方向の側面断面図である。
図30はシートとシートロックツメを下方から見た斜視図である。
図31はチャイルドシートの90°回転の説明図である。
図32はチャイルドシートの回転軸を通る前後方向の側面断面図である。
図33はシートとシートロックツメを下方から見た斜視図である。
図34はチャイルドシートの180°回転の説明図である。
図35はチャイルドシートの回転軸を通る前後方向の側面断面図である。
図36はシートとシートロックツメを下方から見た斜視図である。
ベース14の中央位置に配置したシート12の左右側面のT溝20にはスライドカバー50を取り付けてある。シートのロックピン39はベース14前方のピン穴26に嵌り、シート12が前向きに配置されている、シートロックツメ72は環状溝90に嵌りシート12にスライドカバー50が連結されている(
図28-30参照)。
【0024】
シート12を回転させる場合(一例として左回り)、シート12の操作部材34のレバー操作によりロックピン39を後退させて左回りに回転させる。このときシートロックツメ72は、環状溝90の溝に沿った円弧状に形成しているため、シートロックツメ72が環状溝90に嵌った状態でシートを自由回転させることができる。またシート12は中央位置で回転するためスライドすることがなく、スライドカバー50もスライドすることなくシート12の両側面側に連結して停止した状態を維持できる(
図31-33はシートが左回りに90°回転した状態を示す)。なお回転中にレバー操作を開放しても、ロックピン39はT溝20の底面に当たった状態でシート12下面から突出することはない。
シート12が180°回転すると、ロックピン39がベース14後方のピン穴26に嵌りシート12を背面向きで固定できる(
図34-36参照)。
このようにシート12の回転時は、円弧状のシートロックツメ72の形状により、環状溝90に嵌った状態を維持しながら、シートロックツメ72が干渉することなくシート12を360°自由回転させることができる。
【0025】
(スライドと回転動作)
スライドしたシート12が回転動作する際のスライドカバー50について以下説明する。
図37はスライドしたチャイルドシートの回転の説明図である。
図示のようにベース14の中央位置からスライド移動したシート12にはスライドカバー50が追従し、移動先でも操作部材34のレバー操作によりシート12を自由回転させることができる。これにより、乳幼児の乗車又は降車時にシート12を使用者に接近させて使用者に乳幼児を対面させることができ、乗車時に乳幼児の向きを変えることなくそのまま乗車させることができ、降車時にそのまま抱きかかえることができ、使用者の負担を大幅に軽減することができる。
【0026】
【0027】
ベース14の中央位置に固定したシート12は左右側面にスライドカバー50が連結してシート12とT溝20の隙間を覆っている(
図38-40参照)。ベース14からシート12を取り外すときには、まずスライドカバー50を取り外す。以下、シート12の左側面に連結したスライドカバー50の取り外し方法について説明する。
カバー本体52の上段56のシートロック部70のリリースボタン74を押下してシートロックツメ72を反付勢方向に押し下げて、環状溝90との連結を解除する(
図41-43参照)。このとき、ベースロック部60は、T溝20のシート12下面に隠れている。
シートロック部70のリリースボタン74を押下したままカバー本体52をベース14のT溝20の外側に引き出す(
図44-46参照)。
ベースロック部材60のベースロック凸部62がスライドレール80のストッパー82に接触するまでカバー本体52を引き出すと、シート12の下面に隠れていたベースロック部60のリリースボタン64が露出する(
図47-49参照)。
カバー本体52の下段54のベースロック部60のリリースボタン64を押下してベースロックツメ62を反付勢方向に押し下げて、スライドレール80との連結を解除する(
図50-52参照)。
シート12及びT溝20との連結が解除されたカバー本体52はベース14のT溝20から取り外せる(
図53-55参照)。シート12の右側面に連結したスライドカバー50も同様の操作で取り外す。スライドカバー50を取り外した後は、ベース14の中央位置からシート12を左右側面のいずれか一方にスライドさせてから取り外すことができる。
【0028】
(一方のスライドカバーを外し忘れたシートの取り外し方法)
本発明のスライドカバー50は、左右一対のうち、一方のカバーを取り外した後、他方のカバーを外し忘れてもシート12を取り外すことができる。
図56は一方のスライドカバーを外し忘れたシートの取り外し方法の説明
図1である。
図57は
図56のシート接続断面図である。
図58は
図56のベース接続断面図である。
図59は一方のスライドカバーを外し忘れたシートの取り外し方法の説明
図2である。
図60は
図59のシート接続断面図である。
図61は
図59のベース接続断面図である。
図62は一方のスライドカバーを外し忘れたシートの取り外し方法の説明
図3である。
図63は
図62のシート接続断面図である。
図64は
図62のベース接続断面図である。
図65は一方のスライドカバーを外し忘れたシートの取り外し方法の説明
図4である。
図66は
図65のシート接続断面図である。
図67は
図65のベース接続断面図である。
図68は一方のスライドカバーを外し忘れたシートの取り外し方法の説明
図5である。
図69は
図68のシート接続断面図である。
図70は
図68のベース接続断面図である。
【0029】
図56-58は、シート12の左右側面に連結するスライドカバー50のうち左側面のスライドカバー50を取り外し、右側面のスライドカバー50がシート12に連結した状態を示している。通常、取り外す側(同図は左側面を示す)のスライドカバー50は使用者側にあり、取り外しは容易に行えるが、シート12の後方(右側面)のカバーはシート12に隠れた状態であり、外し忘れるケースが多い。またこのカバーを取り外すには車両の反対側のドアから操作しなければならず、煩雑な作業となる。
シート12の操作部材34のレバー操作により、凸部32を後退させて凹部22との連結を解除して、スライドカバー50を取り外した左側面へシート12をスライドさせる(
図59-61参照)。このときシートロックツメ72と環状溝90の連結により、外し忘れたスライドカバー50もシート12に追従してスライドする。
シート12及びスライドカバー50は、ベースロック凸部62がスライドレール80の端部までスライドするとストッパー82により停止する(
図62-64参照)。
【0030】
さらにシート12をスライドさせると、シートロックツメ72の上向きの付勢力(張力)よりも、シート12をスライドさせる力が上回り、環状溝90の溝斜面に沿ってクサビ型のシートロックツメ72が下降してスライドカバー50とシート12の連結が解除される(
図65-67参照)。
スライドカバー50との連結が解除されたシート12は、ベースのT溝20から取り外せる(
図68-70参照)。外し忘れたスライドカバー50は、ベース14上に残ったままとなり、逆の手順でシート12をベース14に取り付けることもできる。
このような本発明のスライドカバーによれば、シートがスライドする際にスライドカバーが追従してスライドする溝を塞いで、使用者の指挟まりを防止して安全に使用できる。またスライドする溝に異物が混入してスライド操作を妨げることがなくなる。
また左右一対のうち、一方のカバーを取り外した後、他方のカバーを外し忘れてもシート12を取り外すことができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
また、本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【符号の説明】
【0031】
10 チャイルドシート
12 シート
14 ベース
20 T溝
22 凹部
26 ピン穴
32 凸部
34 操作部材
39 ロックピン
40 フランジ付き回転軸
50 スライドカバー
52 カバー本体
54 下段
56 上段
60 ベースロック部
62 ベースロック凸部
64 リリースボタン
70 シートロック部
72 シートロックツメ
74 リリースボタン
80 スライドレール
82 ストッパー
90 環状溝