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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168900
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】車両用空調装置
(51)【国際特許分類】
   B61D 27/00 20060101AFI20241128BHJP
   B03C 3/28 20060101ALI20241128BHJP
   A61L 9/16 20060101ALI20241128BHJP
   B60H 3/06 20060101ALI20241128BHJP
   F24F 8/192 20210101ALI20241128BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20241128BHJP
【FI】
B61D27/00 T
B03C3/28
A61L9/16 Z
B61D27/00 M
B60H3/06 611Z
F24F8/192
F24F8/108 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085939
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】山口 諒
(72)【発明者】
【氏名】浦田 一広
(72)【発明者】
【氏名】永瀧 拓己
(72)【発明者】
【氏名】本田 大裕
【テーマコード(参考)】
3L211
4C180
4D054
【Fターム(参考)】
3L211AA20
3L211BA09
3L211BA54
3L211DA75
4C180AA07
4C180AA16
4C180DD09
4C180DD20
4C180HH05
4C180MM07
4D054AA16
4D054BC15
4D054BC16
4D054EA22
4D054EA24
(57)【要約】
【課題】フィルタのメンテナンスの周期を延ばすことができ、フィルタのメンテナンスの効率を向上することができる車両用空調装置を提供する。
【解決手段】車室PRに通じる吸気口210及び排気口220を有する筐体200と、吸気口210から排気口220へ向かう気流を形成する室内ファン140と、気流が通過する位置に配置された室内熱交換器120と、塵埃を捕集する帯電フィルタ50と、帯電フィルタ50を収容するフィルタ収容部60と、フィルタ収容部60と帯電フィルタ50の間を気密する気密部材53と、筐体200の内部空間Saを開放する機室メンテナンス部80と、フィルタ収容部60を開放するフィルタメンテナンス部70と、を備え、フィルタ収容部60は室内熱交換器120よりも気流の上流に位置し、フィルタメンテナンス部70は気密部材53と共にフィルタ収容部60に収容された帯電フィルタ50が外部に露出する位置に設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室に通じる吸気口及び排気口を有する筐体と、
前記筐体の内部空間に、前記吸気口から前記排気口へ向かう気流を形成する室内ファンと、
前記筐体の内部空間において、前記気流が通過する位置に配置された室内熱交換器と、
前記気流に含まれている塵埃を捕集する帯電フィルタと、
前記帯電フィルタを収容するフィルタ収容部と、
前記フィルタ収容部と前記帯電フィルタの間を気密する気密部材と、
前記内部空間を前記筐体の外部へ開放可能にする機室メンテナンス部と、
前記フィルタ収容部を前記筐体の外部へ開放可能にするフィルタメンテナンス部と、を備え、
前記フィルタ収容部は、前記気流の前記室内熱交換器よりも上流の位置に配置され、
前記フィルタメンテナンス部は、前記フィルタ収容部を開放した状態で、前記気密部材と共に前記フィルタ収容部に収容された状態にある前記帯電フィルタが前記筐体の外部に露出する位置に設けられている、
車両用空調装置。
【請求項2】
前記帯電フィルタは、
摩擦により帯電したフィルタ部と、前記フィルタ部の外周を囲い前記フィルタ部に接着されたフレーム部と、を有し、
前記気密部材は、
前記帯電フィルタが前記フィルタ収容部に収容された状態で、前記フィルタ収容部に対向する前記フレーム部の外側面に設けられている、
請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
プレフィルタをさらに備え、
前記プレフィルタは、前記気流の前記帯電フィルタよりも上流の位置に配置され、
前記フィルタメンテナンス部は、前記フィルタ収容部を開放させた状態で、前記帯電フィルタと前記プレフィルタを前記フィルタ収容部に着脱可能にする、
請求項1又は2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記フィルタ収容部に、前記帯電フィルタが少なくとも2以上収容され、
2以上の前記帯電フィルタは、それぞれ目付量が異なる、
請求項1又は2に記載の車両用空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び特許文献2に開示されているように、空気に含まれている塵埃を除去するフィルタを備えた空調装置が知られている。フィルタは、冷凍サイクルを構成する空調機と共に空調装置の内部に収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-103960号公報
【特許文献2】特開2006-90570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両用空調装置は、塵埃が多く含まれている車室の空気を空調するものである。車両用空調装置は、車室から内部に取り入れた空気の気流の流速を速くすることにより、車室への調和空気の供給量を多くしている。
【0005】
特許文献1及び特許文献2に開示されたフィルタを車両用空調装置に適用した場合、フィルタを通過する空気の流量が多くなる。そのため、塵埃によりフィルタの目詰まりが短期間で生じうる。従って、フィルタのメンテナンスの周期が短くなる。
【0006】
また、フィルタのメンテナンスをするときにはその都度、車両用空調装置の全体を大きく開放して内部に収容された空調機を避けて行う必要がある。その結果、フィルタのメンテナンスの効率が悪化する懸念がある。
【0007】
本開示の目的は、フィルタのメンテナンスの周期を延ばすことができ、フィルタのメンテナンスの効率を向上することができる車両用空調装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示に係る車両用空調装置は、
車室に通じる吸気口及び排気口を有する筐体と、
前記筐体の内部空間に、前記吸気口から前記排気口へ向かう気流を形成する室内ファンと、
前記筐体の内部空間において、前記気流が通過する位置に配置された室内熱交換器と、
前記気流に含まれている塵埃を捕集する帯電フィルタと、
前記帯電フィルタを収容するフィルタ収容部と、
前記フィルタ収容部と前記帯電フィルタの間を気密する気密部材と、
前記内部空間を前記筐体の外部へ開放可能にする機室メンテナンス部と、
前記フィルタ収容部を前記筐体の外部へ開放可能にするフィルタメンテナンス部と、を備え、
前記フィルタ収容部は、前記気流の前記室内熱交換器よりも上流の位置に配置され、
前記フィルタメンテナンス部は、前記フィルタ収容部を開放した状態で、前記気密部材と共に前記フィルタ収容部に収容された状態にある前記帯電フィルタが前記筐体の外部に露出する位置に設けられている。
【発明の効果】
【0009】
上記構成によれば、帯電フィルタが車室の空気に含まれる塵埃を電気的に引き寄せて捕集する。そのため、塵埃を物理的に濾過する帯電していないフィルタよりもフィルタの繊維間を低密度にすることができる。従って、短期間で目詰まりが生じにくい。その結果、フィルタのメンテナンスの周期が延びる。また、帯電フィルタをメンテナンスするときに、フィルタメンテナンス部から帯電フィルタを収容しているフィルタ収容部へ直接アクセスできる。そのため、装置を大きく開放する必要がない。従って、帯電フィルタのメンテナンスの効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1に係る車両用空調装置の設置の態様を示した斜視図
図2】実施形態1に係る車両用空調装置の構成を示した図1のI-I線の位置における断面図
図3】実施形態1に係る車両用空調装置の構成を部分的に拡大した図1のII-II線の位置における断面図
図4】実施形態1に係る帯電フィルタの斜視図
図5】実施形態1に係る帯電フィルタのフィルタ部を形成している不織布の模式的な正面図
図6】実施形態1に係るフィルタ収容部に帯電フィルタが収容されている状態を示した斜視図
図7】実施形態1に係るフィルタ収容部に帯電フィルタが収容されている状態を部分的に拡大した図6のIII-III線の位置における断面図
図8】実施形態1に係る機器メンテナンス部の開閉状態を示した図1のII-II線の位置における模式的断面図
図9】実施形態1に係るフィルタメンテナンス部の開閉状態を示した図1のII-II線の位置における模式的断面図
図10】実施形態2に係るフィルタメンテナンス部の開閉状態を部分的に拡大した図1のII-II線の位置における断面図
図11】実施形態3に係る車両用空調装置の構成を示した図1のI-I線の位置における断面図
図12】実施形態3に係る機器メンテナンス部の開閉状態を部分的に拡大した図1のI-I線の位置における模式的断面図
図13】実施形態3に係る車両用空調装置の構成を部分的に拡大した底面図
図14】実施形態3に係るフィルタメンテナンス部の開閉状態を部分的に拡大した図1のI-I線の位置における模式的断面図
図15】実施形態3に係るフィルタメンテナンス部の図14に示す開状態において、フィルタメンテナンス部からフィルタ収容部に収容された状態の帯電フィルタが外部へ露出していることを示した模式図
図16】(a)は、実施形態4に係る帯電フィルタの第1帯電フィルタ要素及び第2帯電フィルタ要素それぞれが分かれている状態を示した正面図、(b)は、実施形態4に係る帯電フィルタの第1帯電フィルタ要素及び第2帯電フィルタ要素が接合している状態を示した正面図
図17】実施形態4に係る帯電フィルタの第1帯電フィルタ要素及び第2帯電フィルタ要素が接合している状態を示した斜視図
図18】(a)は、実施形態5に係るフィルタ収容部に帯電フィルタを収容される前の状態を示した図6のIII-III線の位置における模式的断面図、(b)は、実施形態5に係るフィルタ収容部に帯電フィルタが収容された後の状態を示した図6のIII-III線の位置における模式的断面図
図19】実施形態6に係る車両用空調装置の構成を示した図1のI-I線の位置における断面図
図20】(a)は、実施形態7に係るフィルタ収容部に帯電フィルタ及びプレフィルタが収容される前の状態を示した図6のIII-III線の位置における模式的断面図、(b)は、実施形態7に係るフィルタ収容部に帯電フィルタが収容された後の状態を示した図6のIII-III線の位置における模式的断面図
図21】実施形態8に係るフィルタ収容部の構成を示した模式的平面図
図22】実施形態9に係るフィルタ収容部に帯電フィルタが収容されている状態を部分的に拡大した図6のIII-III線の位置における断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、上記車両が鉄道車両である場合を例に挙げて、実施形態に係る車両用空調装置について説明する。図中、同一又は対応する部分に同一の符号を付す。
【0012】
[実施形態1]
図1に示すように、本実施形態に係る車両用空調装置800は、鉄道車両900の屋根部分RFに搭載されている。鉄道車両900は、人が乗るために画定された車室PRを内部に有している。車室PRは、乗客を収容するための客室である。
【0013】
図2に示すように、車両用空調装置800は、車室PRの空気である内気PAを取り入れて空気調和した調和空気CAを車室PRに供給する。車両用空調装置800は、冷凍サイクルを構成する空調機100と、空調機100を収容する筐体200と、を備えている。
【0014】
空調機100は、冷媒を圧縮する図示しない圧縮機と、圧縮された冷媒を凝縮する室外熱交換器110と、凝縮された冷媒を膨張する図示しない膨張機と、膨張された冷媒を蒸発する室内熱交換器120と、を有している。空調機100は、内部の冷媒の流れを逆転することにより、室内熱交換器120を凝縮器として機能させ、室外熱交換器110を蒸発器として機能させることもできる。
【0015】
また、空調機100は、室外熱交換器110に当たる気流を形成する室外ファン130を有している。室外ファン130が形成する気流によって、鉄道車両900の外部EXの空気である外気OAと室外熱交換器110との間の熱交換が促進される。熱交換がされた外気OAは、暖房又は冷房された排気になる。
【0016】
また、空調機100は、室内熱交換器120に当たる気流を形成する室内ファン140を有している。室内ファン140が形成する気流によって、内気PAと室内熱交換器120との間の熱交換が促進される。熱交換がされた内気PAは、冷房又は暖房された調和空気CAになる。
【0017】
筐体200の内部空間は、仕切壁150により室内機室Saと室外機室Sbとに画定されている。
【0018】
室内機室Saには、室内熱交換器120及び室内ファン140が収容されている。室内機室Saは、筐体200に形成された吸気口210及び排気口220により車室PRと連通している。吸気口210からは、車室PRの内気PAが室内機室Saに取り入れられる。排気口220からは、室内機室Saの調和空気CAが車室PRへ吹き出す。
【0019】
また、室内機室Saは、筐体200に形成された新鮮気導入口230及び新鮮気吹出口240により鉄道車両900の外部EXと連通している。新鮮気導入口230からは、鉄道車両900の外部EXの外気OAが室内機室Saに導入される。室内機室Saに導入された外気OAは、内気PAと混合される。新鮮気吹出口240からは、車室PRから室内機室Saに取り入れられた内気PAの一部が、鉄道車両900の外部EXへ吹き出す。
【0020】
室外機室Sbには、図示しない圧縮機、図示しない膨張機、室外熱交換器110、及び室外ファン130が収容されている。室外機室Sbは、筐体200に形成された外気取入口250及び外気排出口260により鉄道車両900の外部EXと連通している。外気取入口250からは、外気OAが室外機室Sbへ取入れられる。外気排出口260からは、室外機室Sbの排気が鉄道車両900の外部EXへ吹き出す。
【0021】
また、鉄道車両900において、室内機室Saと車室PRとの間には、吸気ダクト30の吸気ダクト空間Scと給気ダクト40の給気ダクト空間Sdが画定されている。吸気ダクト30及び給気ダクト40それぞれは、車室PRに通じるリターン口300及び吹出口400を有している。
【0022】
吸気ダクト30は、吸気口210に接続されている。吸気ダクト空間Scは、リターン口300により車室PRに連通すると共に吸気口210により室内機室に連通している。吸気ダクト空間Scは、リターン口300から取り込まれた車室PRの内気PAを吸気口210へ案内する。吸気ダクト空間Scを案内されてきた内気PAは、吸気口210から室内機室Saへ吸気される。
【0023】
給気ダクト40は、筐体200の排気口220に接続されている。給気ダクト空間Sdは、排気口220により室内機室に連通すると共に吹出口400により車室PRに連通している。給気ダクト空間Sdは、排気口220から流れ出る調和空気CAを車室PRへ案内する。給気ダクト空間Sdを案内されてきた調和空気CAは、吹出口400から車室PRへ吹き出す。
【0024】
即ち、吸気ダクト空間Sc、室内機室Sa、及び給気ダクト空間Sdには、室内ファン140により、内気PAがリターン口300から吹出口400へ向かって流れる気流が形成されている。内気PAには、車室PRに漂う塵埃が含まれている。塵埃には、例えばウイルスや菌などの粒子半径が10μm以下の浮遊粒子状物質が含まれている。
【0025】
一般的な車両用空調装置は、車室PRを衛生的な環境に保つために内気PAに含まれている塵埃を物理的に濾過する帯電していないフィルタを装備している。フィルタは、フィルタ面を格子状に覆うフィルタ押さえ部を有する枠体に固定されている。フィルタ押さえ部は、フィルタが気流により撓むことを抑制する。
【0026】
帯電していないフィルタは、内気PAの気流が通過する位置に配置される。また、帯電していないフィルタは、塵埃の捕集効率と機械的な強度を高めるために目付量が大きく形成されている。フィルタの目付量は、例えば140~260g/m2である。
【0027】
このような帯電していないフィルタを気流が通過するときに、フィルタ押さえ部が気流を遮る。そのため、リターン口300から吹出口400へ向かう気流に圧力損失が生じうる。その結果、車両用空調装置800の空調能力が低下する可能性がある。
【0028】
また、内気PAに含まれる浮遊粒子状物質よりも粒子半径が大きい塵埃により帯電していないフィルタには短期間で目詰まりが生じうる。一方で、帯電していないフィルタは、目付量を小さくすると低密度になり、浮遊粒子状物質を濾過することができない。従って、塵埃の捕集効率が悪化する。また、目詰まりが生じたフィルタを交換するメンテナンスの周期が短くなる。
【0029】
また、フィルタのメンテナンスをするときにはその都度、車両用空調装置800の筐体200を大きく開放して室内機室Saを筐体200の外部へ露出する必要がある。そして、室内機室Saに収容された空調機100を避けてメンテナンスを行う必要がある。その結果、フィルタのメンテナンスの効率が悪化する懸念がある。
【0030】
そこで、本実施形態に係る車両用空調装置800は、従来の帯電していないフィルタに比べて、低圧力損失で高い捕集効果を長期的に維持することができる帯電フィルタ50を備えている。また、帯電フィルタ50のメンテナンスの効率を向上することができるフィルタ収容部60及びフィルタメンテナンス部70を備えている。以下、それらについて述べる。
【0031】
図3に示すように、室内機室Saが位置している筐体200の下側壁201には、排気口220、第1吸気口211及び第2吸気口212が形成されている。排気口220の上方には、室内ファン140が設けられている。
【0032】
室内熱交換器120は、互いに対向して配置された第1室内熱交換器121と第2室内熱交換器122を有している。第1室内熱交換器121は、室内ファン140と第1吸気口211の間に配置されている。第2室内熱交換器122は、室内ファン140と第2吸気口212の間に配置されている。
【0033】
吸気ダクト30は、鉄道車両900の幅方向に離間して配置された第1吸気ダクト31及び第2吸気ダクト32を有している。第1吸気ダクト31及び第2吸気ダクト32それぞれは、第1吸気口211及び第2吸気口212に接続されている。
【0034】
第1吸気ダクト空間Sc1及び第2吸気ダクト空間Sc2それぞれは、第1リターン口301及び第2リターン口302により車室PRに連通している。第1吸気ダクト31と第2吸気ダクト32の間には、給気ダクト40が配置されている。
【0035】
第1吸気ダクト空間Sc1、室内機室Sa及び給気ダクト空間Sdには、室内ファン140により、第1リターン口301から吹出口400へ向かって内気PAが流れる気流が形成されている。また、第2吸気ダクト空間Sc2、室内機室Sa及び給気ダクト空間Sdには、第2リターン口302から吹出口400へ向かって内気PAが流れる気流が形成されている。
【0036】
気流が通過する位置には、内気PAに含まれる塵埃を電気的に捕集する帯電フィルタ50がフィルタ収容部60に収容された状態で配置されている。
【0037】
帯電フィルタ50は、第1帯電フィルタ501及び第2帯電フィルタ502を有している。また、フィルタ収容部60は、第1帯電フィルタ501及び第2帯電フィルタ502それぞれを収容する第1フィルタ収容部601及び第2フィルタ収容部602を有している。
【0038】
第1フィルタ収容部601、第2フィルタ収容部602、第1帯電フィルタ501及び第2帯電フィルタ502それぞれは、第1吸気口211及び第2吸気口212を閉塞する位置に配置されている。第1帯電フィルタ501及び第2帯電フィルタ502のフィルタ面それぞれは、気流の流れ方向に直交している。
【0039】
また、第1フィルタ収容部601及び第2フィルタ収容部602、第1帯電フィルタ501及び第2帯電フィルタ502それぞれは、気流の第1室内熱交換器121及び第2室内熱交換器122よりも上流の位置に配置されている。
【0040】
また、フィルタメンテナンス部70は、第1フィルタ収容部601及び第2フィルタ収容部602それぞれを筐体200の外部へ開放可能にする第1フィルタメンテナンス部701及び第2フィルタメンテナンス部702を有している。第1フィルタメンテナンス部701及び第2フィルタメンテナンス部702それぞれは、第1フィルタ収容部601及び第2フィルタ収容部602を一体的に備えている。
【0041】
第1フィルタメンテナンス部701及び第2フィルタメンテナンス部702それぞれは、第1フィルタ収容部601及び第2フィルタ収容部602に収容された状態にある第1帯電フィルタ501及び第2帯電フィルタ502が筐体200の外部に露出する位置に設けられている。即ち、第1フィルタメンテナンス部701及び第2フィルタメンテナンス部702は、第1吸気口211及び第2吸気口212を閉塞する位置に配置されている。
【0042】
次に、帯電フィルタ50の具体的な構成について説明する。
図4に示すように、帯電フィルタ50は、摩擦により帯電したフィルタ部51と、フィルタ部51の外周を囲い接着されたフレーム部52と、を有している。
【0043】
フィルタ部51は、帯電している不織布により正面視で矩形状且つプリーツ形状に形成されている。フィルタ部51の不織布は、図示しない導電性ブラシにより予め摩擦されて帯電している。摩擦により帯電しているフィルタ部51は、内気PAに含まれている塵埃を電気的に引き寄せて捕集する。そのため、内気PAに含まれている10μm以下の浮遊粒子状物質を効果的に捕集することができる。フィルタ部51は、気流が通過するフィルタ面51aと気流が流れる方向に平行な外周面と、を有している。
【0044】
フィルタ部51を形成している不織布の目付量は、物理的に塵埃を濾過する帯電していないフィルタの不織布に比べて小さい。フィルタ部51を形成している不織布の目付量は、例えば65~75g/m2である。従って、フィルタ部51は、帯電していないフィルタよりも塵埃による目詰まりが短期間で生じにくい。その結果、帯電フィルタ50のメンテナンスの周期を延ばすことができる。
【0045】
即ち、帯電フィルタ50は、帯電していないフィルタよりも目を粗くしても、電気的に塵埃を引き寄せる。そのため、帯電していないフィルタと同等以上の塵埃の捕集が可能である。このように、帯電フィルタ50は、目を粗くすることにより目詰まりが生じにくくする効果と、帯電により電気的に塵埃を引き寄せて捕捉効率を向上する効果を両立する。
【0046】
また、フィルタ部51は、格子状に延びる補強部材51bをフィルタ面51aに有している。図5に示すように、補強部材51bは、プリーツ形状に形成される前のシート状の不織布51cの正面視した布面に格子状に延びているネットである。これにより、帯電していない従来のフィルタを形成している不織布の厚みよりも、フィルタ部51を形成している不織布51cの厚みを薄くすることができる。さらに、フィルタ部51の機械的な強度が向上する。
【0047】
フレーム部52は、フィルタ部51の形状を保持する部分である。フレーム部52は、帯電した不織布により正面視で矩形枠状に形成されている。詳細には、フレーム部52は、互いに平行に延びている第1板52a及び第2板52bと、互いに平行に延びている第3板52c及び第4板52dを有している。フレーム部52の厚みは、フィルタ部51の厚みと同じである。フレーム部52は、フィルタ部51の外周面に気密状に接着されて、フィルタ部51に一体的に固定されている。フレーム部52の各板52a-52dの板面とフレーム部52内のフィルタ部51のフィルタ面51aが露出している面であるフレーム部52の開口面は、互いに直交している。
【0048】
このフレーム部52により、帯電フィルタ50の機械的な強度が向上する。また、フィルタ部51は、補強部材51bを有している。即ち、フレーム部52と補強部材51bにより、内気PAがフィルタ部51を通過するときに、フィルタ部51が撓むことを抑制することができる。また、帯電フィルタ50のフィルタ面51aがフレーム部52により覆われない。従って、フィルタ部51を通過する気流の圧力損失が低くなる。さらに、フィルタ部51とフレーム部52の間が溶着されて気密されている。そのため、フィルタ部51とフレーム部52の間から気流が抜け出ない。
【0049】
また、帯電フィルタ50のフレーム部52の第1板52a及び第2板52bそれぞれの外側面520a及び520bには、フィルタ収容部60と帯電フィルタ50の間に配置される気密部材53が設けられている。気密部材53は、フレーム部52の厚さDの中央部分、且つフレーム部52の幅Wの方向へ延在して外側面520a及び520bに設けられている。気密部材53は、樹脂製のパッキンである。
【0050】
図7に示すように、気密部材53が設けられているフレーム部52の外側面520a及び520bは、後述するフィルタ収容部60における互いに平行な第1ガイドレール621及び第2ガイドレール622それぞれの内側面621b及び622bが対向する面である。
【0051】
気密部材53は、帯電フィルタ50がフィルタ収容部60に収容された状態で、フレーム部52とフィルタ収容部60との間に弾性的に挟み込まれて配置されている。そのため、フィルタ収容部60と帯電フィルタ50の間が気密される。従って、帯電フィルタ50とフィルタ収容部60の間から気流が抜け出ない。
【0052】
次に、フィルタ収容部60の構成を説明する。
図6に示すように、フィルタ収容部60は、方形板状の基台プレート61と、帯電フィルタ50を収容して固定するフィルタ固定部材62とを有している。フィルタ固定部材62は、基台プレート61上で隣接して2つ設けられている。
【0053】
基台プレート61は、第1吸気口211及び第2吸気口212の開口面と同じ面積の長方形の板材で形成されている。
【0054】
フィルタ固定部材62は、互いに平行に延びている一対の第1ガイドレール621及び第2ガイドレール622である。第1ガイドレール621及び第2ガイドレール622は、基台プレート61の板面に離間して延在している。第1ガイドレール621と第2ガイドレール622の間の距離は、図4に示す帯電フィルタ50の高さHと同じである。
【0055】
図6及び図7に示すように、第1ガイドレール621及び第2ガイドレール622それぞれは、帯電フィルタ50のフレーム部52の厚さ方向の面に当接する第1フランジ621a及び第2フランジ622aを上端部に有している。
【0056】
第1フランジ621a及び第2フランジ622aそれぞれは、互いに内方へ突出して形成されている。基台プレート61の板面から第1フランジ621a及び第2フランジ622aそれぞれの底面までの距離は、図4に示す帯電フィルタ50の厚さDと同じである。即ち、第1ガイドレール621及び第2ガイドレール622それぞれは、基台プレート61の板面と第1フランジ621a及び第2フランジ622aにより、帯電フィルタ50の両端部が差し込まれる溝部分を形成している。
【0057】
また、第1ガイドレール621と第2ガイドレール622それぞれの長さは、図4に示す帯電フィルタ50の幅Dの少なくとも2倍以上である。第1ガイドレール621と第2ガイドレール622の間には、2つの帯電フィルタ50がそれらガイドレール621及び622の延在方向に並んで配置されている。
【0058】
第1ガイドレール621及び第2ガイドレール622それぞれの延在方向の一端部には、帯電フィルタ50がそれらガイドレール621及び622の間に差し込まれるフィルタ挿入口63が形成されている。フィルタ挿入口63から差し込まれた帯電フィルタ50は、第1ガイドレール621及び第2ガイドレール622の間で、それらの延在方向に移動可能である。
【0059】
第1ガイドレール621及び第2ガイドレール622それぞれの延在方向の他端部には、それらの間で移動する帯電フィルタ50の角部が当接するフィルタ規制部641及び642が形成されている。これにより、第1ガイドレール621及び第2ガイドレール622の間の帯電フィルタ50の位置決めができる。
【0060】
また、基台プレート61は、気流が通過するための通気口61aを有している。通気口61aは、第1ガイドレール621と第2ガイドレール622の間に配置された帯電フィルタ50のフィルタ部51が位置する部分に形成されている。通気口61aの開口面の面積は、フレーム部52の開口面の面積と同じである。通気口61aの開口縁の板面には、帯電フィルタ50のフレーム部52が当接している。
【0061】
また、フィルタ収容部60は、基台プレート61をフィルタ固定部材62よりも気流の上流側に配置している。基台プレート61の通気口61aは、気流の流れ方向に直交して配置されている。即ち、第1フィルタメンテナンス部701及び第2フィルタメンテナンス部702それぞれの基台プレート61は、第1吸気口211及び第2吸気口212において、車室PRが位置する側に配置される。
【0062】
次に、フィルタメンテナンス部70について説明する。
図2に示すように、車両用空調装置800には、機室メンテナンス部80とフィルタメンテナンス部70とが別々に設けられている。
【0063】
機室メンテナンス部80は、例えば室内機室Saに収容された室内ファン140、第1室内熱交換器121及び第2室内熱交換器122の清掃作業や交換作業などの空調機100のメンテナンスをするときに開放される部分である。
【0064】
機室メンテナンス部80は、車両用空調装置800の屋根部分である上側壁202に形成されている。図3及び図8に示すように、機室メンテナンス部80は、室内機室Saに通じる機器メンテナンス開口81を開閉する大型のメインハッチ82を備えている。
【0065】
機器メンテナンス開口81は、筐体200の室内機室Saが位置している上側壁202の大部分に形成されている。メインハッチ82は、機器メンテナンス開口81の一側縁部を中心に上下方向へ回動可能に設けられている。
【0066】
空調機100のメンテナンスをしないとき、メインハッチ82は機器メンテナンス開口81を気密状に閉塞している。なお、メインハッチ82と機器メンテナンス開口81の開口縁部の間には、図示しない気密部材が設けられている。
【0067】
空調機100のメンテナンスをするとき、メインハッチ82が一側縁部を中心に上方へ回動することにより機器メンテナンス開口81が開放される。開放された機器メンテナンス開口81からは、室内機室Saに収容された空調機100が外部に露出する。
【0068】
これにより、機器メンテナンス開口81から室内機室Saに収容されている空調機100である室内ファン140、第1室内熱交換器121及び第2室内熱交換器122へ容易にアクセスすることができる。従って、空調機100のメンテナンスを行うことができる。
【0069】
フィルタメンテナンス部70は、例えば帯電フィルタ50及び気密部材53のフィルタ収容部60への収容状態の確認作業、帯電フィルタ50の交換作業、帯電フィルタの清掃作業などの帯電フィルタ50のメンテナンスをするときに開放される部分である。
【0070】
図9に示すように、フィルタメンテナンス部70は、第1帯電フィルタ501をメンテナンスするときに開放される第1フィルタメンテナンス部701と、第2帯電フィルタ502をメンテナンスするときに開放される第2フィルタメンテナンス部702を有している。
【0071】
第1フィルタメンテナンス部701及び第2フィルタメンテナンス部702それぞれは、第1吸気口211及び第2吸気口212を開閉する第1フィルタ収容部601及び第2フィルタ収容部602を備えている。
【0072】
第1フィルタメンテナンス部701の第1フィルタ収容部601は、第1吸気口211の一側縁部を中心に、第1吸気口211と第1リターン口301との間の第1吸気ダクト空間Sc1で上下方向へ回動可能に設けられている。
【0073】
詳細には、第1フィルタ収容部601は、フィルタ挿入口63が位置する基台プレート61の端部とは逆の端部で、第1吸気口211の一側縁部を中心に回動可能に設けられている。基台プレート61の板面は、第1フィルタ収容部601が第1吸気口211の一側縁部を中心に回動したときの接線方向に向いている。
【0074】
また、第2フィルタメンテナンス部702の第2フィルタ収容部602は、第2吸気口212の一側縁部を中心に、第2吸気口212と第2リターン口302との間の第2吸気ダクト空間Sc2で上下方向へ回動可能に設けられている。
【0075】
詳細には、第2フィルタ収容部602は、フィルタ挿入口63が位置する基台プレート61の端部とは逆の端部で、第2吸気口212の一側縁部を中心に回動可能に設けられている。基台プレート61の板面は、第2フィルタ収容部602が第2吸気口212の一側縁部を中心に回動したときの接線方向に向いている。
【0076】
第1帯電フィルタ501及び第2帯電フィルタ502のメンテナンスをしないときには、それらフィルタ501及び502を収容している第1フィルタ収容部601及び第2フィルタ収容部602それぞれが、第1吸気口211及び第2吸気口212を閉塞している。
【0077】
第1フィルタ収容部601及び第2フィルタ収容部602それぞれが第1吸気口211及び第2吸気口212を閉塞する位置にあるとき、それらフィルタ収容部601及び602の基台プレート61は気流のフィルタ固定部材62より上流に位置している。従って、第1帯電フィルタ501及び第2帯電フィルタ502が第1吸気口211及び第2吸気口212から車室PRに露出しない。
【0078】
第1帯電フィルタ501及び第2帯電フィルタ502のメンテナンスをするときには、それらフィルタ501及び502を収容している第1フィルタ収容部601及び第2フィルタ収容部602それぞれを、第1吸気口211及び第2吸気口212の一側縁部を中心に下方に回動する。
【0079】
第1吸気口211及び第2吸気口212の一側縁部を中心に下方に回動した第1フィルタ収容部601及び第2フィルタ収容部602それぞれは、第1吸気口211及び第2吸気口212の一側縁部からその下方の第1吸気ダクト空間Sc1及び第2吸気ダクト空間Sc2へ垂れ下がる。
【0080】
垂れ下がった第1フィルタ収容部601及び第2フィルタ収容部602それぞれは、第1リターン口301及び第2リターン口302から車室PRに開放されて露出する。即ち、第1フィルタ収容部601及び第2フィルタ収容部602それぞれに収容された状態にある第1帯電フィルタ501及び第2帯電フィルタ502が、筐体200の外部へ露出する。
【0081】
これにより、帯電フィルタ50がフィルタ収容部60に収容されている状態、且つ気密部材53がフィルタ収容部60と帯電フィルタ50との間を気密している状態を視認することができる。また、第1フィルタ収容部601及び第2フィルタ収容部602からそれらに収容された第1帯電フィルタ501及び第2帯電フィルタ502へ容易にアクセスすることができる。即ち、第1フィルタ収容部601及び第2フィルタ収容部602のメンテナンスをするときに、機室メンテナンス部80を開放する必要がない。また、フィルタ挿入口63が車室PRに向いているため、帯電フィルタ50の交換がしやすい。従って、帯電フィルタ50のメンテナンスの効率が向上する。
【0082】
[実施形態2]
図9には、フィルタメンテナンス部70が、第1吸気口211及び第2吸気口212それぞれを開閉する第1フィルタ収容部601及び第2フィルタ収容部602である構成を例示した。しかし、フィルタメンテナンス部70の構成は、これに限定されることはない。以下、それらの具体例を述べる。
【0083】
図10に示すように、本実施形態の第1フィルタメンテナンス部701及び第2フィルタメンテナンス部702それぞれは、第1リターン口301及び第2リターン口302を開閉する第1フィルタ収容部601及び第2フィルタ収容部602を備えている。
【0084】
第1フィルタ収容部601及び第2フィルタ収容部602それぞれは、第1リターン口301及び第2リターン口302それぞれの一側縁部を中心に上下方向に回動可能に設けられている。
【0085】
第1フィルタ収容部601及び第2フィルタ収容部602それぞれが第1リターン口301及び第2リターン口302それぞれの一側縁部を中心に下方に回動した後、それらフィルタ収容部601及び602は、第1リターン口301及び第2リターン口302の一側縁部からその下方の車室PRへ垂れ下がる。即ち、第1フィルタ収容部601及び第2フィルタ収容部602それぞれが、筐体200の外部である車室PRに全体的に露出する。
【0086】
以上のように、本実施形態においても、実施形態1と同様に、機室メンテナンス部80を開放することなく、第1フィルタ収容部601及び第2フィルタ収容部602にアクセスすることができる。そのため、それらフィルタ収容部601及び602へのアクセスがさらに容易になる。その結果、第1帯電フィルタ501及び第2帯電フィルタ502のメンテナンスの効率がさらに向上する。
【0087】
[実施形態3]
図2には、鉄道車両900の屋根部分RFに搭載された車両用空調装置800に、帯電フィルタ50、フィルタ収容部60、フィルタメンテナンス部70が設けられた構成を例示した。しかし、帯電フィルタ50、フィルタ収容部60、フィルタメンテナンス部70が設けられる車両用空調装置800はこれに限定されることはない。以下、それらの具体例を述べる。
【0088】
図11に示すように、本実施形態の車両用空調装置800は、鉄道車両900の床下部分UFに搭載されている。筐体200は、鉄道車両900の床下部分UFから垂下した状態で設けられている。筐体200の室内機室Saには、室内熱交換器120、室内ファン140及び送気ファン160が収容されている。送気ファン160は、新鮮気導入口230の位置に配置されている。
【0089】
帯電フィルタ50は、フィルタ収容部60に収容された状態で、内気PAがリターン口300から吹出口400へ向かって流れる気流が通過する位置に配置されている。
【0090】
フィルタ収容部60は、室内機室Saに収容され、気流の室内熱交換器120及び室内ファン140よりも上流の位置している。フィルタ収容部60は、室内ファン140と送気ファン160の間に位置、且つ室内ファン140に隣接して配置されている。
【0091】
図12に示すように、機室メンテナンス部80の機器メンテナンス開口81は、筐体200の室内機室Saが位置している下側壁201の大部分に形成されている。メインハッチ82には、室内機室Saに通じるフィルタメンテナンス開口71及び新鮮気吹出口240が形成されている。メインハッチ82は、機器メンテナンス開口81の一側縁部を中心に上下方向へ回動可能に設けられている。
【0092】
図13に示すように、機室メンテナンス部80は、フィルタメンテナンス部70を有している。フィルタメンテナンス部70は、機室メンテナンス部80が閉塞された状態で、メインハッチ82のフィルタ収容部60が位置している部分に形成されている。
【0093】
図14に示すように、フィルタメンテナンス部70は、メインハッチ82のフィルタメンテナンス開口71を開閉するサブハッチ72を有している。サブハッチ72は、フィルタメンテナンス開口71の一側縁部を中心に回動可能に設けられている。なお、サブハッチ72とフィルタメンテナンス開口71の開口縁部の間には、図示しない気密部材が設けられている。
【0094】
空調機100のメンテナンスをするときには、メインハッチ82を下方に回動して機器メンテナンス開口81を開放する。開放された機器メンテナンス開口81からは、室内機室Saに収容された空調機100が外部に露出する。
【0095】
これにより、機器メンテナンス開口81から室内機室Saに収容されている室内熱交換器120、室内ファン140及び送気ファン160へ容易にアクセスすることができる。従って、空調機100のメンテナンスを行うことができる。
【0096】
また、帯電フィルタ50のメンテナンスをするとき、サブハッチ72が下方に回動することによりフィルタメンテナンス開口71が開放される。開放されたフィルタメンテナンス開口71は、フィルタ収容部60が配置されている室内機室Saの下方を部分的に筐体200の外部へ開放する。
【0097】
即ち、図15に示すように、フィルタ収容部60に収容された状態にある帯電フィルタ50が、フィルタメンテナンス部70から筐体200の外部へ露出する。これにより、帯電フィルタ50がフィルタ収容部60の第1ガイドレール621及び第2ガイドレール622の間に収容されている状態、且つ気密部材53がフィルタ収容部60と帯電フィルタ50との間を気密している状態を視認することができる。
【0098】
また、機室メンテナンス部80を開放することがなく、フィルタメンテナンス部70からフィルタ収容部60へ容易にアクセスすることができる。従って、帯電フィルタ50のメンテナンスの効率が向上する。
【0099】
[実施形態4]
図4には、帯電フィルタ50がフィルタ部51とフレーム部52とにより形成されている構成を例示した。しかし、帯電フィルタ50の構成は、これに限定されることはない。以下、その具体例を述べる。
【0100】
図16(a)及び図16(b)に示すように、本実施形態の帯電フィルタ50は、第1帯電フィルタ要素510及び第2帯電フィルタ要素520を有している。第1帯電フィルタ要素510及び第2帯電フィルタ要素520それぞれは、同一の形状、同一の大きさ、及び同一の目付量で形成されている。
【0101】
第1帯電フィルタ要素510は、正面視で矩形状の第1フィルタ要素部511と、第1フィルタ要素部511の3つの外周側面に接着された正面視でコ字状の第1フレーム要素部512と、を有している。即ち、第1帯電フィルタ要素510は、第1フレーム要素部512が設けられていない一側面511aを有している。
【0102】
また、第2帯電フィルタ要素520は、正面視で矩形状の第2フィルタ要素部521と、第2フィルタ要素部521の3つの外周面に接着された正面視でコ字状の第2フレーム要素部522と、を有している。即ち、第2帯電フィルタ要素520は、第2フレーム要素部522が設けられていない一側面521aを有している。
【0103】
図17に示すように、帯電フィルタ50は、第1帯電フィルタ要素510及び第2帯電フィルタ要素520の互いの一側面511a及び521aを当接して樹脂で接着して形成されている。換言すれば、第1帯電フィルタ要素510と第2帯電フィルタ要素520との接合部分、即ち帯電フィルタ50の幅D方向の中央部分には、硬化した樹脂製の要素固定部530が延在して形成されている。
【0104】
要素固定部530は、第1フィルタ要素部511と第2フィルタ要素部521とをその境目部分で帯電フィルタ50の形状を保持する役割を果たす。これにより、帯電フィルタ50の機械的な強度がさらに向上する。また、これらの第1フィルタ要素部511と第2フィルタ要素部521により、帯電フィルタ50の大きさを変更することができる。
【0105】
[実施形態5]
図7には、フィルタ収容部60のフィルタ固定部材62が一対の第1ガイドレール621及び第2ガイドレール622である構成を例示した。しかし、フィルタ収容部60の構成はこれに限定されることはない。以下、その具体例を述べる。
【0106】
図18(a)及び図18(b)に示すように、本実施形態のフィルタ収容部60のフィルタ固定部材62は、一対の第1固定プレート623及び第2固定プレート624である。第1固定プレート623及び第2固定プレート624それぞれは、金属製の帯板である。第1固定プレート623及び第2固定プレート624それぞれは、基台プレート61の板面で、互いに平行且つ離間して延在している。
【0107】
第1固定プレート623及び第2固定プレート624の間の距離は、図4に示した帯電フィルタ50の高さHよりもやや短い。また、基台プレート61の板面から第1固定プレート623及び第2固定プレート624それぞれの上端までの距離、即ち帯板の幅は、図4に示した帯電フィルタ50の厚さDと同じである。
【0108】
第1固定プレート623及び第2固定プレート624それぞれの上端部は、それら固定プレート623及び624の間に基台プレート61に向けて帯電フィルタ50が押し込まれるフィルタ挿入口63を形成している。
【0109】
フィルタ挿入口63から差し込まれた帯電フィルタ50は、第1固定プレート623及び第2固定プレート624の間で弾性的に挟み込まれて配置される。さらに、帯電フィルタ50のフレーム部52に設けた気密部材53が、フィルタ収容部60とフレーム部52とに密着する。
【0110】
これにより、フィルタ収容部60と帯電フィルタ50の間が気密される。従って、フィルタ収容部60と帯電フィルタ50の間から気流が抜け出ない。以上のように、本実施形態のフィルタ収容部60においても、帯電フィルタ50が気密を維持して収容される。
【0111】
[実施形態6]
車室PRの内気PAには、塵埃以外にも水分や有機物質が含まれている。これらの水分や有機物質が帯電フィルタ50に付着すると、帯電フィルタ50の帯電性が消失して捕集効果が低下する。また、浮遊粒子状物質よりも粒子半径の大きい塵埃が多いと、帯電フィルタ50が早期に目詰まりを起こしやすくなる。そこで、本実施形態では、帯電フィルタ50のフィルタ寿命を延ばすことができる構成をさらに備えている。以下、その具体例を述べる。
【0112】
図19に示すように、本実施形態の車両用空調装置800は、プレフィルタ54をさらに備えている。プレフィルタ54は、気流の帯電フィルタ50よりも上流に位置している。
【0113】
プレフィルタ54は、内気PAに含まれている有機物質、水分、及び浮遊粒子状物質よりも粒子半径の大きい塵埃を除去する活性炭フィルタである。プレフィルタ54は、活性炭を含む不織布によりプリーツ形状に形成されている。プレフィルタ54の目付量は、帯電フィルタ50の目付量よりも小さい。
【0114】
また、フィルタ収容部60は、帯電フィルタ50を収容する帯電フィルタ収容部64と、プレフィルタ54を収容するプレフィルタ収容部65を有している。
【0115】
プレフィルタ収容部65は、室内機室Saに収容され、気流の帯電フィルタ収容部64より上流に位置している。帯電フィルタ収容部64と送気ファン160の間に位置、且つ帯電フィルタ収容部64に隣接して配置されている。
【0116】
これにより、プレフィルタ54は、気流がプレフィルタ54を通過するときに、内気PAに含まれている有機物質及び水分を捕捉する。また、有機物質及び水分が除去された気流が帯電フィルタ50を通過するときに、帯電フィルタ50が内気PAに含まれている塵埃を捕集する。
【0117】
従って、プレフィルタ54よりも下流に位置している帯電フィルタ50が、有機物質及び水分により侵されることがない。その結果、帯電フィルタ50の塵埃の捕集効率を維持することができる。その結果、帯電フィルタ50の寿命が延びる。
【0118】
また、気流がプレフィルタ54及び帯電フィルタ50により順次浄化される。その結果、空調機100がより清潔な調和空気CAを生成することができる。
【0119】
また、帯電フィルタ50及びプレフィルタ54をメンテナンスするときには、フィルタメンテナンス部70から帯電フィルタ収容部64とこれに隣接しているプレフィルタ収容部65のそれぞれにアクセスすることができる。換言すれば、機室メンテナンス部80を開放する必要がない。従って、帯電フィルタ50及びプレフィルタ54それぞれのメンテナンスの効率が向上する。
【0120】
[実施形態7]
図19には、帯電フィルタ50及びプレフィルタ54それぞれが、隣接して別々に設けられた帯電フィルタ収容部64とプレフィルタ収容部65に収容されている構成を例示した。しかし、プレフィルタ54は、帯電フィルタ50に一体化されて1つのフィルタ収容部60に収容されていてもよい。以下、その具体例を述べる。
【0121】
図20(a)プレフィルタ54は、薄手のシート状に形成されている。プレフィルタ54は、帯電フィルタ50のフィルタ部51の基台プレート61側のフィルタ面51aを覆うと共にフレーム部52の外周に接着されている。
【0122】
また、図20(b)に示すように、フィルタ収容部60には、基台プレート61側にプレフィルタ54が配置されると共にフィルタ固定部材62側に帯電フィルタ50が配置されている。なお、フィルタ収容部60は、実施形態5と同様に、基台プレート61と、一対の第1固定プレート623及び第2固定プレート624を有している。
【0123】
以上、本実施形態においても、実施形態6と同様に、気流が順次、プレフィルタ54と帯電フィルタ50を通過する。従って、帯電フィルタ50の塵埃の捕集効率を維持することができる。さらに、プレフィルタ54を収容するプレフィルタ収容部65を別に設ける必要がない。従って、プレフィルタ54の設置場所の省スペース化と低コスト化をすることができる。
【0124】
[実施形態8]
図6には、フィルタ収容部60が、基台プレート61と、一対の第1ガイドレール621及び第2ガイドレール622を有している構成を例示した。しかし、フィルタ収容部60の構成はこれに限定されない。以下、その具体例を述べる。
【0125】
図21に示すように、本実施形態のフィルタ収容部60は、実施形態1の基台プレート61を有していない。即ち、フィルタ収容部60は、フィルタ固定部材62である互いに平行に延びている一対の第1ガイドレール621及び第2ガイドレール622を有している。
【0126】
第1ガイドレール621及び第2ガイドレール622は、室内機室Saで離間して配置されている。第1ガイドレール621及び第2ガイドレール622それぞれは、それらの延在方向を内気PAの気流の流れ方向に直交した状態で配置されている。
【0127】
また、帯電フィルタ50及びプレフィルタ54は、スライドプレート66の板面に立設されている。スライドプレート66は、平面視で矩形状の金属製の帯板である。
【0128】
帯電フィルタ50及びプレフィルタ54それぞれは、スライドプレート66の幅方向の中央部分で、スライドプレート66の板面に直交して設けられている。帯電フィルタ50及びプレフィルタ54それぞれのフィルタ面51a及び54aは、第1ガイドレール621及び第2ガイドレール622それぞれに平行である。
【0129】
また、第1ガイドレール621及び第2ガイドレール622は、スライドプレート66の幅方向の両端部を支持している。第1ガイドレール621及び第2ガイドレール622に両端部を支持されたスライドプレート66は、それらガイドレール621及び622の延在方向に移動可能である。
【0130】
第1ガイドレール621及び第2ガイドレール622の間に配置された帯電フィルタ50及びプレフィルタ54は、それぞれのフィルタ面を気流の流れ方向に直交した状態で配置されている。
【0131】
以上のように、本実施形態においても、気流が順次、プレフィルタ54と帯電フィルタ50を通過する。従って、帯電フィルタ50の塵埃の捕集効率を維持することができ、帯電フィルタ50の寿命を延ばすことができる。
【0132】
また、フィルタ収容部60が、基台プレート61を省略した一対の第1ガイドレール621及び第2ガイドレール622であるため、フィルタ収容部60の構造を簡素化することができる。従って、フィルタ収容部60の室内機室Saへの設置が容易になる。
【0133】
[実施形態9]
図7には、1つのフィルタ収容部に1つの帯電フィルタが収容されている構成を例示した。しかし、フィルタ収容部に収容される帯電フィルタの数はこれに限定されない。以下、その具体例を述べる。
【0134】
図22に示すように、本実施形態の帯電フィルタ50は、気流の上流に位置している上流側帯電フィルタ55と、気流の下流に位置している下流側帯電フィルタ56を有している。上流側帯電フィルタ55及び下流側帯電フィルタ56それぞれは、フィルタ収容部60に互いのフィルタ面55a及び56aを対向した状態で、隣接して収容されている。
【0135】
上流側帯電フィルタ55及び下流側帯電フィルタ56それぞれは、上流側フィルタ部551及び下流側フィルタ部561と、それらフィルタ部551及び561それぞれの外周を囲い接着された上流側フレーム部552及び下流側フレーム部562と、を有している。
【0136】
上流側帯電フィルタ55及び下流側帯電フィルタ56それぞれは、同一の形状及び同一の大きさで形成されている。また、上流側帯電フィルタ55及び下流側帯電フィルタ56それぞれは、目付量が異なる。詳細には、下流側フィルタ部561を形成している不織布の目付量は、上流側フィルタ部551を形成している不織布の目付量よりも小さい。例えば、上流側フィルタ部551の目付量を65~75g/m2とした場合、下流側フィルタ部561の目付量はそれよりも小さい。
【0137】
本実施形態によれば、気流が上流側帯電フィルタ55及び下流側帯電フィルタ56を通順次過するときに、上流側帯電フィルタ55及び下流側帯電フィルタ56が塵埃の粒子半径に応じたさえぎり効果による塵埃の捕集を行う。即ち、上流側帯電フィルタ55及び下流側帯電フィルタ56それぞれが、気流が通過するに従って目付量に応じた塵埃の捕集を段階的に行う。その結果、帯電フィルタ50による塵埃の捕集効率がさらに向上する。
【0138】
以上、実施形態について説明した。本開示はこれに限られず、以下に述べる変形も可能である。
【0139】
図2には、帯電フィルタ50及びフィルタ収容部60が、内気PAがリターン口300から吹出口400に向かう気流に位置している構成を例示した。しかし、帯電フィルタ50及びフィルタ収容部60が配置される位置はこれに限定されることはない。帯電フィルタ50及びフィルタ収容部60は、例えば外気OAが新鮮気導入口230から吹出口400へ向かう気流、内気PAがリターン口300から新鮮気吹出口240へ向かう気流、外気OAが室外機室Sbの外気取入口250から外気排出口260へ向かう気流に位置していてもよい。即ち、帯電フィルタ50を外気OAに含まれる塵埃を捕集する位置に配置してもよい。
【0140】
また、帯電フィルタ50及びフィルタ収容部60は、室内熱交換器120よりも気流の下流に位置していてもよい。しかし、室内熱交換器120及び室内ファン140が塵埃に曝されることで汚損することを抑制する観点より、帯電フィルタ50及びフィルタ収容部60は、気流の室内熱交換器120よりも上流に位置していることが好ましい。
【0141】
図4には、帯電フィルタ50のフィルタ部51がプリーツ状である構成を例示した。しかし、帯電フィルタ50が、内気PAに含まれている塵埃を電気的に捕集することができるものであれば、形状は任意である。フィルタ部51の形状は、例えば、フィルタ面51aが平坦なシート状、複数の凹凸がフィルタ面51aに形成されたエンボス状、フィルタ面51aに複数の孔を形成した不織布を重合したハニカム状、フィルタ面51aが細かい波形面に形成されたコルゲート状であってもよい。
【0142】
また、帯電フィルタ50のフィルタ部51は、電気的に塵埃の捕集を行うものであれば摩擦により帯電するものに限定されることはない。フィルタ部51は、例えば帯電粒子を不織布の繊維に付着するものや不織布の繊維を分極させるものであってもよい。また、フレーム部52の素材は、フレーム部52がフィルタ部51の形状を保持することがでれば限定されることはない。フレーム部52の素材は、例えば樹脂板、紙板、金属板、木製板であってもよい。
【0143】
図6には、気密部材53が、樹脂製の帯板状のパッキンであり、フレーム部52の外側面520a及び520bにおいて、その厚さDの中央部分、且つフレーム部52の幅Wの方向へ延在している構成を例示した。しかし、気密部材53は、帯電フィルタ50とフィルタ収容部60の間を気密することができれば、素材、形状、及び位置は任意の構成である。
【0144】
気密部材53の素材は、例えば金属板や紙であってもよい。また、気密部材53は、外側面520a及び520bにおいて、例えば平面視で波形状又は二重の平行線状など、フレーム部52の幅Wの方向へ延びていてもよい。また、気密部材53は、例えばフレーム部52の各板52a-52dの外側面の全体に設けられていてもよいし、外側面520a及び520bの一部分でフレーム部52の幅Wの方向へ延在して設けられていてもよい。
【0145】
図8には、機室メンテナンス部80が機器メンテナンス開口81の一側縁部を中心に上下方向へ回動可能に設けられたメインハッチ82を有している構成を例示したが、室内機室Saを筐体200の外部EXへ開放及び外部EXから閉塞することができればこれに限定されることはない。機室メンテナンス部80は、例えば機器メンテナンス開口81に取り外し可能なカバーを有していてもよいし、機器メンテナンス開口81の開口面に平行にスライドするスライドカバーを有していてもよい。また、機室メンテナンス部80は、室内機室Saと共に室外機室Sbを開放可能にするものであってよい。
【0146】
図12には、フィルタメンテナンス部70及び機室メンテナンス部80それぞれが、筐体200の下側壁201に設けられている構成を例示した。しかし、フィルタメンテナンス部70はフィルタ収容部60を筐体200の外部EXへ開放する位置に、また、機室メンテナンス部80は室内機室Saを筐体200の外部EXへ開放する位置に形成されていればそれらが設けられる位置が限定されることはない。フィルタメンテナンス部70及び機室メンテナンス部80は、例えば筐体200の後側壁、左側壁、右側壁に形成されていてもよい。
【0147】
図16(a)及び図16(b)には、帯電フィルタ50が、同一の形状、同一の大きさ、且つ同一の目付量で形成された2つの第1帯電フィルタ要素510及び第2帯電フィルタ要素520が接合されている構成を例示した。しかし、第1帯電フィルタ要素510及び第2帯電フィルタ要素520それぞれの形状、大きさ、目付量、数は、それらフィルタ要素510及び520により形成される帯電フィルタ50が電気的に塵埃を捕集できるものであれば任意の構成である。
【0148】
また、図17には、第1帯電フィルタ要素510と第2帯電フィルタ要素520を接合している要素固定部530が硬化した樹脂である構成を例示した。しかし、要素固定部530は、帯電フィルタ50の機械的な強度が向上し、且つ第1帯電フィルタ要素510及び第2帯電フィルタ要素520を接合できるものであれば任意の構成である。
【0149】
図20には、薄手のシート状に形成されたプレフィルタ54が、帯電フィルタ50のフィルタ部51のフィルタ面51aを全体的に覆うと共にフレーム部52の外周に接着されている構成を例示した。しかし、プレフィルタ54は、帯電フィルタ50のフィルタ面51aを全体的に覆う部分が気流の帯電フィルタ50のフィルタ面51aよりも上流に位置していればよい。
【0150】
プレフィルタ54は、例えばフレーム部52の外周とフィルタ収容部60との間で挟み込まれた状態でフィルタ収容部60に収容されていてもよいし、帯電フィルタ50の上流側のフィルタ面51aを覆う部分のみに張設されていてもよい。
【0151】
図22には、1つのフィルタ収容部60に収容された帯電フィルタ50が、それぞれ同一の厚みで目付量が異なる上流側帯電フィルタ55及び下流側帯電フィルタ56の2つである構成を例示した。しかし、数や厚み、目付量は、帯電フィルタ50が1つのフィルタ収容部60に収容することができ且つ塵埃を電機的に捕集することができるものであれば任意の構成である。
【0152】
帯電フィルタ50は、上流側帯電フィルタ55及び下流側帯電フィルタ56以外にも、例えば、上流側帯電フィルタ55と下流側帯電フィルタ56の間に配置される中流側フィルタを有していてもよいし、上流側帯電フィルタ55の厚みが下流側帯電フィルタ56の厚みよりも大きくてもよい。また、下流側フィルタ部561の目付量が、上流側フィルタ部551の目付量よりも大きくてもよい。さらに、帯電フィルタ50は、上流側フィルタ部551及び下流側フィルタ部561それぞれの外周面に1つのフレーム部52を接着して、それらフィルタ部551及び561を一体化して形成されていてもよい。
【0153】
また、上記実施形態において、鉄道車両900とは、電車に限らず、新幹線、モノレール、その他の、軌道に沿って進行する車両を含む概念とする。また、車両用空調装置800が設置される車両は、鉄道車両900に限られず、バスその他の自動車であってもよい。
【0154】
以下、本開示の諸態様を付記する。
【0155】
(付記1)
車室に通じる吸気口及び排気口を有する筐体と、
前記筐体の内部空間に、前記吸気口から前記排気口へ向かう気流を形成する室内ファンと、
前記筐体の内部空間において、前記気流が通過する位置に配置された室内熱交換器と、
前記気流に含まれている塵埃を捕集する帯電フィルタと、
前記帯電フィルタを収容するフィルタ収容部と、
前記フィルタ収容部と前記帯電フィルタの間を気密する気密部材と、
前記内部空間を前記筐体の外部へ開放可能にする機室メンテナンス部と、
前記フィルタ収容部を前記筐体の外部へ開放可能にするフィルタメンテナンス部と、を備え、
前記フィルタ収容部は、前記気流の前記室内熱交換器よりも上流の位置に配置され、
前記フィルタメンテナンス部は、前記フィルタ収容部を開放した状態で、前記気密部材と共に前記フィルタ収容部に収容された状態にある前記帯電フィルタが前記筐体の外部に露出する位置に設けられている、
車両用空調装置。
【0156】
(付記2)
前記帯電フィルタは、
摩擦により帯電したフィルタ部と、前記フィルタ部の外周を囲い前記フィルタ部に接着されたフレーム部と、を有し、
前記気密部材は、
前記帯電フィルタが前記フィルタ収容部に収容された状態で、前記フィルタ収容部に対向する前記フレーム部の外側面に設けられている、
付記1に記載の車両用空調装置。
【0157】
(付記3)
プレフィルタをさらに備え、
前記プレフィルタは、前記気流の前記帯電フィルタよりも上流の位置に配置され、
前記フィルタメンテナンス部は、前記フィルタ収容部を開放させた状態で、前記帯電フィルタと前記プレフィルタを前記フィルタ収容部に着脱可能にする、
付記1又は2に記載の車両用空調装置。
【0158】
(付記4)
前記フィルタ収容部に、前記帯電フィルタが少なくとも2以上収容され、
2以上の前記帯電フィルタは、それぞれ目付量が異なる、
付記1~3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【符号の説明】
【0159】
100…空調機、110…室外熱交換器、120…室内熱交換器、121…第1室内熱交換器、122…第2室内熱交換器、130…室外ファン、140…室内ファン、150…仕切壁、200…筐体、201…下側壁、202…上側壁、210…吸気口、211…第1吸気口、212…第2吸気口、220…排気口、新鮮気導入口…230、新鮮気吹出口…240、250…外気取入口、260…外気排出口、30…吸気ダクト、300…リターン口、301…第1リターン口、302…第2リターン口、31…第1吸気ダクト、32…第2吸気ダクト、40…給気ダクト、400…吹出口、50…帯電フィルタ、51…フィルタ部、51a…フィルタ面、51b…補強部材、51c…不織布、52…フレーム部、52a…第1板、52b…第2板、52c…第3板、52d…第4板、520a,520b…外側面、53…気密部材、54…プレフィルタ、55…上流側帯電フィルタ、56…下流側帯電フィルタ、501…第1帯電フィルタ、502…第2帯電フィルタ、510…第1帯電フィルタ要素、511…第1フィルタ要素部、511a…一側面、512…第1フレーム要素部、520…第2帯電フィルタ要素、521…第2フィルタ要素部、521a…一側面、522…第2フレーム要素部、530…要素固定部、551…上流側フィルタ部、552…上流側フレーム部、561…下流側フィルタ部、562…下流側フレーム部、60…フィルタ収容部、61…基台プレート、61a…通気口、62…フィルタ固定部材、63…フィルタ挿入口、64…帯電フィルタ収容部、65…プレフィルタ収容部、66…スライドプレート、601…第1フィルタ収容部、602…第2フィルタ収容部、621…第1ガイドレール、621a…第1フランジ、内側面621b、622…第2ガイドレール、622a…第2フランジ、内側面622b、623…第1固定プレート、624…第2固定プレート、641,642…フィルタ規制部、701…第1フィルタメンテナンス部、702…第2フィルタメンテナンス部、800…車両用空調装置、900…鉄道車両(車両)、CA…調和空気、OA…外気、PA…内気、RF…屋根部分、UF…床下部分、EX…外部、PR…車室、Sa…室内機室(内部空間)、Sb…室外機室、Sc…吸気ダクト空間、Sc1…第1吸気ダクト空間、Sc2…第2吸気ダクト空間、Sd…給気ダクト空間
図1
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