(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168903
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】洗濯乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/52 20200101AFI20241128BHJP
D06F 58/02 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
D06F58/52
D06F58/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085947
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】金田 隆二
(72)【発明者】
【氏名】前田 一成
【テーマコード(参考)】
3B166
3B167
【Fターム(参考)】
3B166AA02
3B166AA05
3B166AB23
3B166AB30
3B166AB32
3B166AE01
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3B167BA23
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3B167KA42
3B167KA43
3B167KA73
3B167KB04
3B167LC20
3B167LD16
3B167LE06
3B167LF06
3B167LG04
(57)【要約】
【課題】ヘルムホルツ共鳴器を利用して、乾燥工程での騒音を効果的に低減させることができ得る洗濯乾燥機を提供する。
【解決手段】洗濯乾燥機1は、筐体10内に配置された外槽20と、外槽20内に回転可能に配置され、洗濯物が収容されるドラム23と、外槽20に接続された循環風路110と、外槽20と循環風路110との間で空気を循環させる送風ファン120と、循環風路110を流れる空気を加熱する加熱器132と、循環風路110の近傍に配置され、循環風路11で生じる音を低減させるための減音装置200と、制御部と、を備える。減音装置200は、ヘルムホルツ共鳴器210と、ヘルムホルツ共鳴器210の共鳴周波数を変更するための変更機構220と、を含む。制御部は、送風ファン120の回転数に応じて共鳴周波数が変更されるように、変更機構220を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に配置された外槽と、
前記外槽内に回転可能に配置され、洗濯物が収容される内槽と、
前記外槽に接続された循環風路と、
前記外槽と前記循環風路との間で空気を循環させる送風ファンと、
前記循環風路を流れる空気を加熱する加熱器と、
前記循環風路の近傍に配置され、前記循環風路で生じる音を低減させるための減音装置と、
制御部と、を備え、
前記減音装置は、
ヘルムホルツ共鳴器と、
前記ヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数を変更するための変更機構と、を含み、
前記制御部は、前記送風ファンの回転数に応じて前記共鳴周波数が変更されるように、前記変更機構を制御する、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯乾燥機において、
前記ヘルムホルツ共鳴器は、
空洞の胴体部と、
前記胴体部から延びる筒状の首部と、を含み、
前記首部の開口は、前記循環風路の内部に繋がり、
前記変更機構は、前記首部の開口面積、前記首部の長さ、または、前記胴体部の体積を変更する、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項3】
請求項2に記載の洗濯乾燥機において、
前記変更機構は、
前記首部の開口を閉塞する閉塞部材と、
前記開口面積が変化するように前記閉塞部材を移動させる移動装置と、を含み、
前記制御部は、前記移動装置を制御する、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項4】
請求項2に記載の洗濯乾燥機において、
前記変更機構は、
長さが変化するように伸縮可能な前記首部と、
前記首部を伸縮させる伸縮装置と、を含み、
前記制御部は、前記伸縮装置を制御する、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項5】
請求項2に記載の洗濯乾燥機において、
前記変更機構は、
体積が変化するように伸縮可能な前記胴体部と、
前記胴体部を伸縮させる伸縮装置と、を含み、
前記制御部は、前記伸縮装置を制御する、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一項に記載の洗濯乾燥機において、
前記制御部は、
乾燥工程において、前記送風ファンを第1回転数で回転させた後に前記第1回転数よりも高い第2回転数で回転させ、
前記送風ファンが前記第1回転数で回転するときには前記ヘルムホルツ共鳴器が前記第1回転数に対応する第1共鳴周波数を有し、前記送風ファンが前記第2回転数で回転するときには前記ヘルムホルツ共鳴器が前記第2回転数に対応する第2共鳴周波数を有するように、前記変更機構を制御する、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯物の洗濯から乾燥までを行うことができる洗濯乾燥機では、乾燥工程に長い時間が掛かりやすく、乾燥工程での騒音低減の要求が高い。乾燥工程では、送風ファンの回転により生起した風が風路を流れる際に発生する音が、騒音の主たる原因となる。よって、風路で生じる騒音を低減することにより、乾燥工程での騒音を抑制することが可能となる。
【0003】
以下の特許文献1には、脱水工程中に生じる騒音を低減させるために、外槽等を弾性支持した外枠の内側にヘルムホルツの共鳴器が配置された洗濯機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
洗濯乾燥機の乾燥工程での騒音の低減に、上記特許文献1の洗濯機が備えるようなヘルムホルツ共鳴器を利用することが考えられる。
【0006】
風路で生じる音は、様々な周波数成分により構成されており、その周波数スペクトルにおいて、音圧がピークとなる周波数が存在する。よって、共鳴周波数(共振周波数)が、音圧がピークとなる周波数と一致するように、ヘルムホルツ共鳴器が構成される。ヘルムホルツ共鳴器の共鳴作用によって音圧がピークとなる周波数とその付近の周波数が打ち消され、それら周波数の音圧が低減する結果、騒音が低減する。
【0007】
洗濯乾燥機では、乾燥工程において、送風ファンが設定された複数の回転数で回転し得る。たとえば、洗濯乾燥機が外槽と風路との間で風が循環するような構成を有する場合、風が冷たい間は、多量の風が洗濯物に当てられても洗濯物が乾燥しにくい。このため、乾燥工程での総合的な消費電力が低減できるように、乾燥工程の開始初期は送風ファンの回転数が低く抑えられ、循環する風が加熱器の熱により適度に温まった後に送風ファンの回転数が高くされる。このように、送風ファンの回転数が変化する場合には、風路内での風の流速、流量等に変化が生じるため、それに応じて、風路で生じる音の周波数スペクトルに変化が生じ、音圧がピークとなる周波数に変化が生じ得る。
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に示されたヘルムホルツ共鳴器では、音圧がピークとなる周波数の変化に応じて共鳴周波数を変化させることができないため、乾燥工程での騒音を効果的に低減させることが難しい。
【0009】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、ヘルムホルツ共鳴器を利用して、乾燥工程での騒音を効果的に低減させることができ得る洗濯乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の主たる態様に係る洗濯乾燥機は、筐体内に配置された外槽と、前記外槽内に回転可能に配置され、洗濯物が収容される内槽と、前記外槽に接続された循環風路と、前記外槽と前記循環風路との間で空気を循環させる送風ファンと、前記循環風路を流れる空気を加熱する加熱器と、前記循環風路の近傍に配置され、前記循環風路で生じる音を低減させるための減音装置と、制御部と、を備える。ここで、前記減音装置は、ヘルムホルツ共鳴器と、前記ヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数を変更するための変更機構と、を含む。前記制御部は、前記送風ファンの回転数に応じて前記共鳴周波数が変更されるように、前記変更機構を制御する。
【0011】
本態様に係る洗濯乾燥機によれば、送風ファンの回転数が変化することにより循環風路で生じる音の周波数スペクトルが変化しても、それに応じてヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数を変更できる。これにより、ヘルムホルツ共鳴器を利用して、乾燥工程での循環風路からの騒音を効果的に低減することができる。
【0012】
本態様に係る洗濯乾燥機において、前記ヘルムホルツ共鳴器は、空洞の胴体部と、前記胴体部から延びる筒状の首部と、を含むような構成とされ得る。この場合、前記首部の開口は、前記循環風路の内部に繋がる。前記変更機構は、前記首部の開口面積、前記首部の長さ、または、前記胴体部の体積を変更するような構成とされ得る。
【0013】
この構成によれば、ヘルムホルツ共鳴器の首部の開口面積、首部の長さ、または、胴体部の体積を変更することにより、共鳴周波数を変更することができる。
【0014】
上記のように、変更機構が、前記首部の開口面積、前記首部の長さ、または、前記胴体部の体積を変更するような構成とされた場合、前記変更機構は、前記首部の開口を閉塞する閉塞部材と、前記開口面積が変化するように前記閉塞部材を移動させる移動装置と、を含むような構成とされ得る。この場合、前記制御部は、前記移動装置を制御するような構成とされ得る。
【0015】
このような構成とされれば、閉塞部材による首部の開口の閉塞量を変化させることにより、首部の開口面積を変化させることができ、その結果、ヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数を変化させることができる。
【0016】
上記のように、変更機構が、前記首部の開口面積、前記首部の長さ、または、前記胴体部の体積を変更するような構成とされた場合、前記変更機構は、長さが変化するように伸縮可能な前記首部と、前記首部を伸縮させる伸縮装置と、を含むような構成とされ得る。この場合、前記制御部は、前記伸縮装置を制御するような構成とされ得る。
【0017】
このような構成とされれば、首部を伸縮させることにより、首部の長さを変化させることができ、その結果、ヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数を変化させることができる。
【0018】
上記のように、変更機構が、前記首部の開口面積、前記首部の長さ、または、前記胴体部の体積を変更するような構成とされた場合、前記変更機構は、体積が変化するように伸縮可能な前記胴体部と、前記胴体部を伸縮させる伸縮装置と、を含むような構成とされ得る。この場合、前記制御部は、前記伸縮装置を制御するような構成とされ得る。
【0019】
このような構成とされれば、胴体部を伸縮させることにより、胴体部の体積を変化させることができ、その結果、ヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数を変化させることができる。
【0020】
本態様に係る洗濯乾燥機において、前記制御部は、乾燥工程において、前記送風ファンを第1回転数で回転させた後に前記第1回転数よりも高い第2回転数で回転させ、前記送風ファンが前記第1回転数で回転するときには前記ヘルムホルツ共鳴器が前記第1回転数に対応する第1共鳴周波数を有し、前記送風ファンが前記第2回転数で回転するときには前記ヘルムホルツ共鳴器が前記第2回転数に対応する第2共鳴周波数を有するように、前記変更機構を制御するような構成とされ得る。
【0021】
たとえば、第1共鳴周波数は、送風ファンが第1回転数で回転したときに循環風路で生じる音の周波数スペクトルの中で音圧がピークとなる周波数に一致(ほぼ一致を含む)させることができる。また、第2共鳴周波数は、送風ファンが第2回転数で回転したときに循環風路で生じる音の周波数スペクトルの中で音圧がピークとなる周波数に一致(ほぼ一致を含む)させることができる。
【0022】
上記の構成によれば、乾燥工程において、循環風路と外槽の間で循環する風が冷たい間は送風ファンを第1回転数で回転させ、風が適度に温まった後に送風ファンを第2回転数で回転させるような制御が行われた場合に、第1回転数による循環風路からの騒音と第2回転数による循環風路からの騒音とを的確に低減させることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ヘルムホルツ共鳴器を利用して、乾燥工程での騒音を効果的に低減させることができ得る洗濯乾燥機を提供できる。
【0024】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る、洗濯機乾燥機の構成を示す側面断面図である。
【
図2】
図2(a)および(b)は、実施の形態に係る、減音装置の側面断面図である。
【
図3】
図3(a)は、実施の形態に係る、減音装置の正面図であり、
図3(b)は、実施の形態に係る、ヘルムホルツ共鳴器の斜視図である。
【
図4】
図4(a)は、実施の形態に係る、変更機構の背面図であり、
図4(b)は、実施の形態に係る、保持部材の背面断面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る、洗濯乾燥機の構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る、循環風路から出る騒音の周波数スペクトルの一例を模式的に示す図である。
【
図7】
図7は、実施の形態に係る、乾燥工程における制御部の制御動作を示すフローチャートである。
【
図8】
図8(a)および(b)は、変更例1に係る、減音装置の側面図である。
【
図9】
図9は、変更例1に係る、減音装置の正面図である。
【
図10】
図10(a)および(b)は、変更例2に係る、減音装置の側面図であり、
図10(c)は、変更例2に係る、減音装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の洗濯乾燥機の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0027】
図1は、洗濯乾燥機1の構成を示す側面断面図である。
【0028】
本実施の形態の洗濯乾燥機1は、いわゆるドラム式の洗濯乾燥機である。洗濯乾燥機1は、方形状の筐体10を備える。筐体10の前面には、洗濯物が投入される円形の投入口11が形成される。投入口11は、開閉自在なドア12により覆われる。
【0029】
筐体10内には、外槽20が配置される。外槽20は、複数のダンパー21とスプリング22とにより弾性的に支持される。外槽20内には、洗濯物が収容されるドラム23が回転可能に配置される。ドラム23は、水平軸周りに回転する。ドラム23は、前面に円形の開口部23aを有する。外槽20は、ドラム23の開口部23aの前方に円形の開口部20aを有する。開口部23aを通じてドラム23内に洗濯物が出し入れされる。ドラム23は、本発明の「内槽」に相当する。
【0030】
外槽20は、ドラム23の開口部23aの前方に円形の開口部20aを有する。外槽20の開口部20aの周縁部と筐体10の投入口11の周縁部が、弾性材料からなる環状のドアパッキン24により連結される。閉じられたドア12の周面がドアパッキン24に接触し、投入口11とドア12との間が水封される。
【0031】
ドラム23の内周面には、多数の脱水孔23bが形成される。また、ドラム23の内周面には、周方向に等しい間隔で、ほぼ三角柱形状を有する3つのバッフル25が設けられる。
【0032】
外槽20の後方には、ドラム23を回転させるためのトルクを発生させる駆動モータ30が配置される。駆動モータ30は、たとえば、アウターロータ型のDCブラシレスモータである。駆動モータ30は、洗い工程、すすぎ工程および乾燥工程時には、ドラム23内の洗濯物に加わる遠心力が重力より小さく、洗濯物がタンブリングする回転数でドラム23を回転させる。一方、駆動モータ30は、脱水工程時には、ドラム23内の洗濯物に加わる遠心力が重力よりはるかに大きく、洗濯物がドラム23の内周面に張り付く回転数でドラム23を回転させる。
【0033】
外槽20の底部には、排水口部20bが形成される。排水口部20bには、当該排水口部20bを開閉する排水バルブ41が設けられる。排水バルブ41は、たとえば、バルブと、バルブを開閉させるトルクモータとを含む。排水バルブ41は、排水ホース42に接続される。排水バルブ41と排水ホース42は、外槽20内から排水を行う排水部40を構成する。排水バルブ41が開放されると、外槽20内に溜められた水が排水口部20bおよび排水ホース42を通じて機外に排出される。排水ホース42の途中には、リント等の異物を捕獲する排水フィルタ43が配置される。
【0034】
筐体10内の上部には、給水部50が配置される。給水部50は、給水バルブ51と、給水路52とを含む。給水路52は、一端が給水バルブ51に接続され、他端が外槽20の背面に設けられた注水口20cに接続される。給水バルブ51が開放されると、水道栓からの水道水が給水路52を流れて注水口20cから外槽20内に供給される。
【0035】
なお、給水部50は、液体洗剤や液体柔軟剤を外槽20内に自動投入する自動投入装置を含んでもよい。自動投入装置は、たとえば、液体洗剤や液体柔軟剤が貯められる液剤タンクと、液剤タンク内の液体洗剤や液体柔軟剤を給水路52内に送り出すポンプとを含む。この場合、給水路52内へ排出された液体洗剤や液体柔軟剤が給水路52を流れる水により外槽20内へ送られる。
【0036】
筐体10内の上部には、ドラム23内の洗濯物を乾燥させるための乾燥装置100が配置される。乾燥装置100は、循環風路110と、送風ファン120と、冷却器131と、加熱器132と、を備える。
【0037】
循環風路110は、外槽20に接続され、導出ダクト111と、送風ファン120が配置されるファンケーシング112と、冷却器131および加熱器132が配置されるハウジング113と、導入ダクト114とを含む。循環風路110は、筐体10内において、外槽20の上方に配置される。
【0038】
導出ダクト111は、一端が外槽20の背面に設けられた排気口20dに接続され、他端がファンケーシング112の吸込口に接続される。排気口20dは、外槽20の周面後部に設けられてもよい。
【0039】
ハウジング113は、前後方向に長い箱状を有し、外槽20の上方であって、ファンケーシング112の前方に配置される。ハウジング113は、後端がファンケーシング112の吐出口に接続される。導入ダクト114は、ハウジング113の前端から延びて、ドアパッキン24の前上部に設けられた放出口20eに接続される。放出口20eは、ドラム23の内部に向けられている。
【0040】
送風ファン120は、たとえば、遠心ファンであり、ファンケーシング112内に収容されたファン121と、ファン121を回転駆動するためのファンモータ122とを含む。送風ファン120は、外槽20と循環風路110との間で空気(風)を循環させる。排気口20dを通じて外槽20内から排出された空気は、導出ダクト111、ファンケーシング112、ハウジング113、導入ダクト114の順に循環風路110内を流れ、放出口20eから外槽20内、即ちドラム23内に放出される。
【0041】
冷却器131および加熱器132は、熱交換器であり、それぞれ、ハウジング113内の上流側および下流側に配置される。冷却器131および加熱器132は、ヒートポンプ装置に含まれる。ヒートポンプ装置には、冷却器131および加熱器132とともに冷熱回路を構成するコンプレッサ、減圧器等が含まれる。
【0042】
コンプレッサの動作により、冷却器131の内部には低温の冷媒が流れ、加熱器132の内部には高温の冷媒が流れる。冷却器131は、循環風路110内を流れる空気を、低温の冷媒との間の熱交換により冷却して、空気の除湿を行う。加熱器132は、循環風路110内を流れる除湿後の空気を、高温の冷媒との間の熱交換により加熱する。
【0043】
なお、冷却器131は、水冷式の熱交換器等であってもよく、加熱器132は、半導体ヒータ等であってもよい。
【0044】
乾燥装置100は、第1温度センサ141および第2温度センサ142を備える。第1温度センサ141は、循環風路110内における送風ファン120の上流の位置、即ち、導出ダクト111内に配置され、外槽20内から排出された空気(風)の温度を、出口温度として検出する。第2温度センサ142は、循環風路110内における加熱器132の下流の位置、即ち、導入ダクト114内に配置され、加熱器132を通過した後の外槽20内に導入される空気(風)の温度を、入口温度として検出する。
【0045】
筐体10内には、循環風路110の近傍に、循環風路110で生じる音を低減させるための減音装置200が配置される。乾燥工程において、送風ファン120の回転により生起した風が循環風路110を流れると、当該風の流れにより生じる音が、騒音として循環風路110から出る。循環風路110からの騒音が、乾燥工程の際に洗濯乾燥機1から発せられる主要な騒音となる。
【0046】
循環風路110で生じる騒音の大きさは、循環風路110の各部分での風の流れの状況により、各部分で異なり得る。よって、循環風路110において最も大きな騒音が出る部分が、予め試験等を行って騒音を測定することにより特定され、当該特定された部分に減音装置200が配置される。
【0047】
たとえば、本実施の形態では、循環風路110における、導入ダクト114の入口端部114aの近傍に、減音装置200が配置されている。導入ダクト114の流路断面積は、ハウジング113の流路断面積よりも小さくなっており、導入ダクト114に風が流入した際、風速が高まる。さらに、導入ダクト114の入口端部114aにおいて循環風路110が下方に大きく屈曲しており、当該屈曲部分で風の流れが乱れやすい。このため、導入ダクト114の入口端部114aにおいて大きな騒音が生じやすいと考えられる。
【0048】
図2(a)および(b)は、減音装置200の側面断面図である。
図3(a)は、減音装置200の正面図であり、
図3(b)は、ヘルムホルツ共鳴器210の斜視図である。
図4(a)は、変更機構220の背面図であり、
図4(b)は、保持部材250の背面断面図である。
図2(a)には、ヘルムホルツ共鳴器210の首部212の開口212aが全開した状態の減音装置200が示されており、
図2(b)には、ヘルムホルツ共鳴器210の首部212の開口212aの一部が閉塞部材230で閉塞された状態の減音装置200が示されている。
【0049】
減音装置200は、ヘルムホルツ共鳴を発生させるヘルムホルツ共鳴器210と、ヘルムホルツ共鳴器210の共鳴周波数を変更するための変更機構220とを備える。
【0050】
ヘルムホルツ共鳴器210は、空洞の胴体部211と、胴体部211から延びる首部212とを含む。胴体部211は方形の箱状を有し、首部212は方形の筒状を有する。首部212の内部は、胴体部211の内部に繋がっている。
【0051】
ヘルムホルツ共鳴器210の共鳴周波数fは、胴体部211の体積(内容積)V、首部212の長さL、首部212の開口面積Sによって決まり、これら体積V、長さLおよび開口面積Sと音速Cとを用いて、以下の共鳴周波数fの演算式により求めることができる。
【0052】
【0053】
変更機構220は、首部212の開口面積Sを変更することにより、ヘルムホルツ共鳴器210の共鳴周波数fを変更する。このため、変更機構220は、首部212の開口212aを閉塞する閉塞部材230と、首部212の開口面積Sが変化するように閉塞部材230を移動させる移動装置240とを含む。
【0054】
閉塞部材230は、方形の平板状に形成され、首部212の開口212aよりも大きなサイズを有する。
【0055】
移動装置240は、閉塞部材230をスライド移動可能に保持する保持部材250と、閉塞部材230を移動させるための動力源である移動モータ260と、移動モータ260の回転運動を直線運動に変換して閉塞部材230に伝達するラックピニオン機構270とを含む。
【0056】
保持部材250には、方形の板状を有する。保持部材250には、上部に方形状の開口部251が形成される。開口部251は、ヘルムホルツ共鳴器210の首部212の開口212aと同じ形状およびサイズを有する。さらに、保持部材250の内部には、開口部251から下方に延びて下面を貫通するスライド孔252が形成される。スライド孔252は、閉塞部材230と同じ左右と前後のサイズを有する。スライド孔252の上下のサイズは、閉塞部材230の上下のサイズよりも小さい。閉塞部材230が、スライド孔252に、上下方向にスライド移動可能に挿入される。
【0057】
保持部材250の前面には、開口部251の周囲に、前方に突出する方形枠状の前部接続口253が形成される。さらに、保持部材250の後面には、開口部251の周囲に、後方に突出する方形枠状の後部接続口254が形成される。
【0058】
保持部材250は、循環風路110の導入ダクト114の後面に固定される。保持部材250の前部接続口253が導入ダクト114の接続口114bに接続される。さらに、ヘルムホルツ共鳴器210の首部212が、保持部材250の後部接続口254に接続される。これにより、首部212の開口212aが保持部材250の開口部251を介して循環風路110の内部に繋がり、ヘルムホルツ共鳴器210の内部が循環風路110の内部に繋がる。
【0059】
移動モータ260は、ステッピングモータであり、保持部材250の下方に配置される。移動モータ260には、ブラケット280が取り付けられる。移動モータ260は、ブラケット280を介して導入ダクト114の後面に固定される。
【0060】
ラックピニオン機構270は、ラック271とピニオン272とにより構成される。ラック271は、閉塞部材230の移動方向、即ち上下方向に延びるように、閉塞部材230の後面の下部に固定される。ピニオン272は、移動モータ260の回転軸261に固定されるとともにラック271と噛み合う。
【0061】
図2(a)に示すように、閉塞部材230が基準位置にあるとき、ヘルムホルツ共鳴器210の首部212の開口212aが全開している。閉塞部材230の上端縁が保持部材250の開口部251の下端縁に一致する。閉塞部材230が基準位置にあることが、図示しないフォトセンサ等の位置センサにより検出される。
【0062】
閉塞部材230が基準位置にある状態から移動モータ260およびピニオン272が正回転(移動モータ260を正面に見て右回転)すると、閉塞部材230が上方向、即ち首部212の開口212aに近づく方向にスライド移動する。これにより、
図2(b)に示すように、首部212の開口212aの一部が閉塞部材230によって塞がれる。
【0063】
閉塞部材230による開口212aの閉塞量に応じて、首部212の開口面積Sが変化する。開口面積Sが小さくなるほど共鳴周波数fが小さくなる。首部212の開口面積Sは、基準位置からの閉塞部材230の移動量、即ち、当該移動量に相当する基準位置からの移動モータ260の回転角度で規定することができる。
【0064】
図5は、洗濯乾燥機1の構成を示すブロック図である。
【0065】
洗濯乾燥機1は、上述した構成に加え、制御部301と、記憶部302と、操作部303と、表示部304と、水位センサ305と、第1モータ駆動部306と、給水駆動部307と、排水駆動部308と、ファン駆動部309と、コンプレッサ駆動部310と、第2モータ駆動部311とを備える。
【0066】
操作部303は、電源の投入および遮断を行う電源ボタンと、洗濯運転、洗濯乾燥運転等の運転に係る複数の運転コースの中から任意の運転コースを選択するためのコース選択ボタンと、運転を開始させるためのスタートボタンとを含む。操作部303は、ユーザに操作された操作ボタンに応じた入力信号を制御部301に出力する。
【0067】
表示部304は、LED等の発光素子や液晶パネル等のディスプレイを含み、制御部301からの制御信号に従って、選択されたコースの表示、洗濯運転の進行状況の表示、異常の報知などを行う。
【0068】
水位センサ305は、外槽20内の水位を検出し、水位に応じた水位信号を制御部301に出力する。
【0069】
第1温度センサ141および第2温度センサ142は、それぞれ、検出した出口温度および入口温度に応じた温度信号を制御部301に出力する。
【0070】
第1モータ駆動部306は、制御部301からの制御信号に従って、駆動モータ30を駆動する。第1モータ駆動部306は、設定された回転数で駆動モータ30が回転するよう、駆動電力を調整する。
【0071】
給水駆動部307は、制御部301からの制御信号に従って、給水バルブ51を駆動する。排水駆動部308は、制御部301からの制御信号に従って、排水バルブ41を駆動する。
【0072】
ファン駆動部309は、制御部301からの制御信号に従って、送風ファン120のファンモータ122を駆動する。ファン駆動部309は、設定された回転数でファンモータ122が回転するよう、駆動電力を調整する。
【0073】
コンプレッサ駆動部310は、制御部301からの制御信号に従って、コンプレッサ133を駆動し、冷却器131および加熱器132を動作させる。第2モータ駆動部311は、制御部301からの制御信号に従って、移動装置240の移動モータ260を駆動する。
【0074】
記憶部302は、EEPROM、RAM等を含む。記憶部302には、各種コースの運転を実行するためのプログラムが記憶される。また、記憶部302には、これらプログラムの実行に用いられる各種パラメータや各種制御フラグが記憶される。
【0075】
制御部301は、CPU等を含み、操作部303、水位センサ305、第1温度センサ141、第2温度センサ142等からの各信号に基づいて、記憶部302に記憶されたプログラムに従い、表示部304、第1モータ駆動部306、給水駆動部307、排水駆動部308、ファン駆動部309、コンプレッサ駆動部310、第2モータ駆動部311等を制御する。
【0076】
さて、洗濯乾燥機1では、ユーザによる操作部303の操作に基づき、制御部301による制御の下、各種の運転コースの洗濯乾燥運転、洗濯運転および乾燥運転が行われる。洗濯乾燥運転では、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程、最終脱水工程および乾燥工程が順番に行われる。洗濯運転では、洗い工程から最終脱水工程までが行われ、乾燥工程が行われない。乾燥運転では、乾燥工程のみが行われる。運転コースによっては、すすぎ工程と中間脱水工程とが2回以上行われる場合がある。
【0077】
洗い工程では、ドラム23内に収容された洗濯物の負荷量に応じた洗い水位まで、外槽20内に洗剤を含む水が溜められ、その水の中に浸された洗濯物が、ドラム23の正回転および逆回転が繰り返されることにより、ドラム23内でタンブリングする。洗濯物の内部まで洗剤を含む水が浸透し、洗剤の力とタンブリングによる機械力とにより洗濯物の汚れが落とされる。
【0078】
すすぎ工程では、外槽20内にすすぎ水位まで水が溜められた状態でドラム23が正回転および逆回転し、ドラム23内で洗濯物がタンブリングする。これにより、洗濯物に含まれた洗剤が水とともに排出され、洗濯物がすすがれる。
【0079】
中間脱水工程および最終脱水工程では、駆動モータ30が一方向に高速回転し、ドラム23が、ドラム23内の洗濯物に作用する遠心力が重力よりはるかに大きくなる回転数で一方向に回転する。遠心力の作用により、洗濯物が、ドラム23の周面壁に押し付けられ、脱水される。
【0080】
乾燥工程では、送風ファン120の動作により外槽20と循環風路110との間で空気、即ち風が循環し、加熱器132の動作により外槽20に導入される風が加熱されて温風となる。さらに、ドラム23が正回転および逆回転し、ドラム23内で洗濯物がタンブリングする。
【0081】
放出口20eからドラム23内に放出された温風がタンブリングする洗濯物に当たり、洗濯物が乾燥する。洗濯物から水分を奪った温風は、排気口20dから循環風路110へ戻る。循環風路110内において、温風は、加熱器132で加熱される前に冷却器131を通過して、冷却器131により除湿される。
【0082】
上述の通り、本実施の形態の洗濯乾燥機1には、乾燥工程での騒音を低減するために、循環風路110の近傍に、ヘルムホルツ共鳴器210を含み、当該ヘルムホルツ共鳴器210の共鳴周波数fを変更可能な減音装置200が備えられている。
【0083】
図6は、循環風路110で生じる音の周波数スペクトルの一例を模式的に示す図である。
【0084】
図6に示すように、循環風路110で生じる音は、様々な周波数成分により構成されており、その周波数スペクトルにおいて、音圧がピークとなる周波数が存在する。ヘルムホルツ共鳴器210の共鳴周波数fを音圧がピークとなる周波数と一致(ほぼ一致を含む)させると、当該周波数とその付近の周波数が共鳴作用によって打ち消されて、それら周波数の音圧が低減する。その結果、循環風路110からの騒音を低減させることができる。以下、便宜上、音圧がピークとなる周波数を、「ピーク周波数」と称する。
【0085】
乾燥工程において、外槽20と循環風路110との間で循環する風が冷たい間は、多量の風が洗濯物に当てられても洗濯物が乾燥しにくい。このため、洗濯乾燥機1では、乾燥工程での総合的な消費電力が低減できるように、乾燥工程の開始初期に送風ファン120の回転数が低く抑えられ、循環する風が加熱器132の熱により適度に温まった後に送風ファン120の回転数が高くされる。即ち、送風ファン120の回転数は、開始当初、第1回転数(たとえば、3000rpm)に設定され、風が高温となった後、第1回転数よりも高い第2回転数(たとえば、5000rpm)に設定される。
【0086】
このように、送風ファン120の回転数が変化する場合には、循環風路110内での風の流速、流量等に変化が生じるため、それに応じて、循環風路110で生じる音の周波数スペクトルに変化が生じ、ピーク周波数に変化が生じ得る。
【0087】
本実施の形態では、減音装置200が配置される位置において、送風ファン120が第1回転数および第2回転数で回転したときに循環風路110で生じる各音の周波数スペクトルが周波数測定器を用いて測定され、第1回転数でのピーク周波数および第2回転数でのピーク周波数が特定される。そして、第1回転数でのピーク周波数が、送風ファン120が第1回転数で回転するときのヘルムホルツ共鳴器210の共鳴周波数f、即ち第1回転数に対応する第1共鳴周波数に決定される。同様に、第2回転数でのピーク周波数が、送風ファン120が第2回転数で回転するときの共鳴周波数f、即ち第2回転数に対応する第2共鳴周波数に決定される。
【0088】
ヘルムホルツ共鳴器210の共鳴周波数fが第1共鳴周波数になる首部212の開口面積Sが、上述した共鳴周波数fの演算式を用いて求められる。そして、求められた開口面積Sとなるように首部212の開口212aを閉塞部材230により閉塞するための基準位置からの移動モータ260の回転角度が、第1共鳴周波数、即ち第1回転数に対応する第1回転角度として設定される。同様な方法により、第2共鳴周波数、即ち第2回転数に対応する第2回転角度が設定される。これら第1回転角度および第2回転角度は、記憶部302に記憶される。
【0089】
なお、ヘルムホルツ共鳴器210が第1共鳴周波数または第2共鳴周波数を有するときの首部212の開口面積Sが、首部212の開口212aが全開しているときの開口面積Sである場合、第1回転角度または第2回転角度は0に設定される。この場合、移動モータ260が基準位置から回転しない。
【0090】
図7は、乾燥工程における制御部301の制御動作を示すフローチャートである。
【0091】
図7を参照して、乾燥工程が開始されると、制御部301は、減音装置200において、変更機構220(移動装置240)を制御し、ヘルムホルツ共鳴器210の共鳴周波数fを第1共鳴周波数に設定する(S1)。即ち、制御部301は、基準位置から移動モータ260を第1回転角度だけ正回転させる。これにより、閉塞部材230が、基準位置からスライド移動して、第1共鳴周波数に対応する開口面積Sとなるように、首部212の開口212aの一部を閉塞する。
【0092】
次に、制御部301は、送風ファン120を始動させて第1回転数で回転させる(S2)。また、制御部301は、コンプレッサ133を作動させることにより、冷却器131および加熱器132を作動させる(S3)。さらに、制御部301は、駆動モータ30を始動させて、ドラム23を、当該ドラム23内の洗濯物がタンブリングする回転数(たとえば、45rpm)で回転させる(S4)。ドラム23は、所定時間毎に回転方向を変更されてもよい。
【0093】
送風ファン120の回転により、循環風路110と外槽20との間を、空気、即ち風が加熱器132により加熱されつつ循環する。乾燥工程の開始初期には、加熱器132から循環風に伝えられた熱が外槽20、ドラム23および循環風路110を温めるために消費される。このため、循環風自体の温度は上昇しにくい。外槽20、ドラム23および循環風路110が温まってくると、循環風の温度が次第に上昇する。
【0094】
送風ファン120が第1回転数で回転している間、導入ダクト114の入口端部114aの部分において、循環風路110での最も大きな騒音が発生する。発生した騒音は、そのピーク周波数が、入口端部114aの近傍に配置されたヘルムホルツ共鳴器210の第1共鳴周波数に一致する。これにより、ピーク周波数やその付近の周波数が打ち消されて騒音が低減される。
【0095】
制御部301は、循環風が適度に温まったか否かを判定する(S5)。たとえば、制御部301は、外槽20内から排出された循環風の温度を第1温度センサ141により検出し、当該温度が所定温度に達したときに循環風が適度に温まったと判定する。制御部301は、送風ファン120および加熱器132が動作を開始してから所定時間が経過したときに循環風が適度に温まったと判定するようにしてもよい。
【0096】
制御部301は、循環風が適度に温まったと判定すると(S5:YES)。送風ファン120の回転数を第2回転数に上昇させる(S6)。これにより、循環風の風量が増加する。多量の高温の循環風がドラム23内の洗濯物に当てられることにより、洗濯物が乾燥しやすくなる。
【0097】
さらに、制御部301は、減音装置200において、変更機構220(移動装置240)を制御し、ヘルムホルツ共鳴器210の共鳴周波数fを第2共鳴周波数に変更する(S7)。即ち、制御部301は、第2回転角度と第1回転角度との間の差分の回転角度を求めて、差分の回転角度だけ移動モータ260を回転させる。差分の回転角度が正の値であれば、移動モータ260が正回転して、閉塞量が多くなる方向に閉塞部材230が移動し、差分の回転角度が負の値であれば、移動モータ260が逆回転して、閉塞量が少なくなる方向に閉塞部材230が移動する。これにより、閉塞部材230が、第2共鳴周波数に対応する開口面積Sとなるように、首部212の開口212aの一部を閉塞する。
【0098】
送風ファン120の回転数が第2回転数に変更されることにより、導入ダクト114の入口端部114aの部分で発生する騒音は、そのピーク周波数が変化する。変化後のピーク周波数は、変更された第2共鳴周波数に一致する。これにより、ピーク周波数やその付近の周波数が打ち消されて騒音が低減される。
【0099】
制御部301は、乾燥の終了が可能になったか否かを判定する(S8)。たとえば、制御部301は、第1温度センサ141により検出された出口温度と第2温度センサ142により検出された入口温度とに基づいてドラム23内の衣類の乾燥率を判定し、衣類が十分に乾燥したと見做すことができる所定の乾燥率(たとえば、100%)に達したときに乾燥の終了が可能になった判定する。
【0100】
第1温度センサ141により検出される出口温度、即ち外槽20内から排出される温風の温度は、ドラム23内の衣類に水分が十分に含まれており、当該水分と温風との間で十分な熱交換が行われている間は、ほぼ一定の温度となる。その後、ドラム出口温度は、衣類の乾燥が進んで含まれる水分が少なくなり、当該水分と温風との間で熱交換が行われにくくなると上昇し始める。一方、第2温度センサ142により検出される入口温度、即ち外槽20内に導入される温風の温度は、出口温度よりも高く、ほぼ一定の温度となる。よって、衣類の乾燥がある程度進行した後は、衣類の乾燥率が高くなるにしたがって、入口温度と出口温度との温度差が小さくなる。
【0101】
所定の乾燥率に達したときの入口温度と出口温度との温度差が、予め実験等を行うことにより求められ、乾燥終了を判定するための規定値に設定される。制御部301は、入口温度と出口温度との温度差が規定値に達すると、所定の乾燥率に達したため、乾燥の終了が可能になった判定する。
【0102】
なお、制御部301は、送風ファン120および加熱器132が動作を開始してから、所定の乾燥時間が経過したときに、乾燥の終了が可能になった判定するようにしてもよい。
【0103】
制御部301は、乾燥の終了が可能になったと判定すると(S8:YES)、ドラム23、コンプレッサ133および送風ファン120を停止させる(S9)。これにより、乾燥工程が終了する。
【0104】
乾燥工程が終了すると、制御部301は、移動モータ260を第2回転角度だけ逆回転させて、閉塞部材230を基準位置に戻す。
【0105】
なお、ヘルムホルツ共鳴器210の共鳴周波数fを第1共鳴周波数に設定するタイミングは、送風ファン120を始動する前に限られず、送風ファン120を始動した後であってもよい。さらに、ヘルムホルツ共鳴器210の共鳴周波数fを第2共鳴周波数に変更するタイミングは、送風ファン120の回転数を第2回転数に上昇させた後に限られず、循環風が適度に温まった後、送風ファン120の回転数を第2回転数に上昇させる前であってもよい。
【0106】
さらに、乾燥工程が終了後、閉塞部材230が基準位置に戻されるのではなく、閉塞部材230が第2共鳴周波数に対応する位置に留められてもよい。この場合、次回の乾燥工程においてヘルムホルツ共鳴器210の共鳴周波数fが第1共鳴周波数に設定される際に、制御部301が、第1回転角度と第2回転角度との間の差分の回転角度を求めて当該差分の回転角度だけ移動モータ260を正回転または逆回転させる。これにより、閉塞部材230が、第1共鳴周波数に対応する開口面積Sとなるように、首部212の開口212aの一部を閉塞する。
【0107】
<実施の形態の効果>
本実施の形態によれば、洗濯乾燥機1は、循環風路110の近傍に配置され、循環風路110で生じる音を低減させるための減音装置200と、制御部301とを備える。減音装置200は、ヘルムホルツ共鳴器210と、ヘルムホルツ共鳴器210の共鳴周波数fを変更する変更機構220とを含む。制御部301は、送風ファン120の回転数に応じて共鳴周波数fが変更されるように、変更機構220を制御する。
【0108】
この構成によれば、送風ファン120の回転数が変化することにより循環風路110で生じる音の周波数スペクトルが変化しても、それに応じてヘルムホルツ共鳴器210の共鳴周波数fを変更できる。これにより、ヘルムホルツ共鳴器210を利用して、乾燥工程での循環風路110からの騒音を効果的に低減することができる。
【0109】
さらに、本実施の形態によれば、ヘルムホルツ共鳴器210は、空洞の胴体部211と、胴体部211から延びる筒状の首部212とを含み、首部212の開口212aが、循環風路110の内部に繋がる。そして、変更機構220は、首部212の開口面積Sを変更する。
【0110】
この構成によれば、ヘルムホルツ共鳴器210の首部212の開口面積Sを変更することにより、共鳴周波数fを変更することができる。
【0111】
さらに、本実施の形態によれば、変更機構220は、首部212の開口212aを閉塞する閉塞部材230と、開口面積Sが変化するように閉塞部材230を移動させる移動装置240とを含み、制御部301は、移動装置240を制御する。
【0112】
この構成によれば、閉塞部材230による首部212の開口212aの閉塞量を変化させることにより、首部212の開口面積Sを変化させることができ、その結果、ヘルムホルツ共鳴器210の共鳴周波数fを変化させることができる。さらに、ヘルムホルツ共鳴器210は、胴体部211や首部212を伸縮可能な構造とされないため、簡素な構造となる。
【0113】
さらに、本実施の形態によれば、制御部301は、乾燥工程において、送風ファン120を第1回転数で回転させた後に第1回転数よりも高い第2回転数で回転させ、送風ファン120が第1回転数で回転するときにはヘルムホルツ共鳴器210が第1回転数に対応する第1共鳴周波数を有し、送風ファン120が第2回転数で回転するときにはヘルムホルツ共鳴器210が第2回転数に対応する第2共鳴周波数を有するように、変更機構220を制御する。第1共鳴周波数は、第1回転数のときに循環風路110で生じる音におけるピーク周波数に一致(ほぼ一致を含む)させることができ、第2共鳴周波数は、第2回転数のときに循環風路110で生じる音のピーク周波数に一致(ほぼ一致を含む)させることができる。
【0114】
この構成によれば、乾燥工程において、循環風路110と外槽20の間で循環する風が冷たい間は送風ファン120を第1回転数で回転させ、風が適度に温まった後に送風ファン120を第2回転数で回転させるような制御が行われた場合に、第1回転数による循環風路110からの騒音と第2回転数による循環風路110からの騒音とを的確に低減させることが可能となる。
【0115】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態等によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0116】
<変更例1>
図8(a)および(b)は、変更例1に係る、減音装置400の側面図である。
図9は、変更例1に係る、減音装置400の正面図である。
図8(a)には、ヘルムホルツ共鳴器410の首部412が最も伸びた状態の減音装置400が示されており、
図8(b)には、ヘルムホルツ共鳴器410の首部412が最も縮んだ状態の減音装置400が示されている。
【0117】
洗濯乾燥機1において、循環風路110の近傍に、上記実施の形態の減音装置200に替えて、本変更例の減音装置400を配置することができる。
【0118】
減音装置400は、ヘルムホルツ共鳴器410と、変更機構420とを備える。
【0119】
ヘルムホルツ共鳴器410は、空洞の胴体部411と、胴体部411から延びる首部412とを含む。胴体部411は、ほぼ円柱の箱状を有する。首部412は、胴体部411と一体に形成された円筒状の第1筒部412aと、第1筒部412aの外周に嵌まり込む円筒状の第2筒部412bとにより構成される。第1筒部412aは、第2筒部412bに対して、第1筒部412aの軸線方向に移動可能である。首部412は、第1筒部412aが第2筒部412bに対して移動することにより、首部412の長さLが変化するように伸縮可能である。首部412の内部は、胴体部411の内部に繋がっている。
【0120】
首部412の第2筒部412bが、循環風路110の導入ダクト114に接続されている。これにより、首部412の開口412cが循環風路110の内部と繋がっており、ヘルムホルツ共鳴器410の内部が循環風路110の内部に繋がっている。
【0121】
変更機構420は、首部212の長さLを変更することにより、ヘルムホルツ共鳴器410の共鳴周波数fを変更する。伸縮可能な首部412が、変更機構420に含まれる。さらに、変更機構420は、首部412を伸縮させる伸縮装置430を含む。
【0122】
伸縮装置430は、第2筒部412bを移動させて首部412を伸縮させるための動力源である伸縮モータ440と、伸縮モータ440の回転運動を直線運動に変換して胴体部411に伝達するラックピニオン機構450とを含む。
【0123】
伸縮モータ440は、ステッピングモータであり、胴体部411の下方に配置される。伸縮モータ440は、第2モータ駆動部311により駆動される。ラックピニオン機構450は、ラック451とピニオン452とにより構成される。ラック451は、胴体部411および第1筒部412aの移動方向、即ち前後方向に延びるように、胴体部411の外周面の下側に設けられる。ピニオン452は、伸縮モータ440の回転軸441に固定されるとともにラック451と噛み合う。
【0124】
伸縮モータ440は、モータ用ブラケット(図示せず)を介してハウジング113の下面に固定される。
【0125】
図8(a)に示すように、胴体部411が第2筒部412bから最も離れるように位置しているとき、ヘルムホルツ共鳴器410の首部412の長さLが最も長くなる。この状態から伸縮モータ440およびピニオン452が正回転(伸縮モータ440を正面に見て右回転)すると、胴体部411が第2筒部412bに近づくように移動して、第1筒部412aが、当該第1筒部412aと第2筒部412bとの重なり量が多くなるように移動する。これにより、
図8(b)に示すように、首部212の長さLが短くなる。
【0126】
たとえば、首部412の長さLが最も長くなる胴体部411および第1筒部412aの位置が基準位置とされる。胴体部411および第1筒部412aが基準位置にあることが、図示しない位置センサにより検出される。
【0127】
ヘルムホルツ共鳴器410の共鳴周波数fは、首部412の長さLが大きくなるほど小さくなる。首部212の長さLは、基準位置からの胴体部411および第1筒部412aの移動量、即ち、当該移動量に相当する基準位置からの伸縮モータ440の回転角度で規定することができる。
【0128】
本変更例では、ヘルムホルツ共鳴器410の共鳴周波数fが第1共鳴周波数になる首部412の長さLが、上述した共鳴周波数fの演算式を用いて求められる。そして、求められた首部412の長さLとなるように胴体部411および第1筒部412aを位置させるときの基準位置からの伸縮モータ440の回転角度が、第1共鳴周波数、即ち第1回転数に対応する第1回転角度として設定される。同様な方法により、第2共鳴周波数、即ち第2回転数に対応する第2回転角度が設定される。これら第1回転角度および第2回転角度は、記憶部302に記憶される。
【0129】
本変更例においても、上記実施の形態と同様、制御部301が、
図7に示す乾燥工程のための制御処理を実行する。制御部301は、ステップS1において、変更機構420(伸縮装置430)を制御し、ヘルムホルツ共鳴器410の共鳴周波数fを第1共鳴周波数に設定する際、基準位置から伸縮モータ440を第1回転角度だけ正回転させる。これにより、基準位置にある胴体部411および第1筒部412aが、首部412の長さLが第1共鳴周波数に対応する長さとなる位置まで移動する。
【0130】
さらに、制御部301は、ステップS7において、ヘルムホルツ共鳴器410の共鳴周波数fを第2共鳴周波数に変更する際、第2回転角度と第1回転角度との間の差分の回転角度を求めて、差分の回転角度だけ伸縮モータ440を正回転または逆回転させる。これにより、胴体部411および第1筒部412aが、首部412の長さLが第2共鳴周波数に対応する長さとなる位置まで移動する。
【0131】
以上、本変更例の構成によれば、ヘルムホルツ共鳴器410の首部412の長さLを変更することにより、共鳴周波数fを変更することができる。
【0132】
さらに、本変更例の構成によれば、首部412を伸縮させることにより、首部412の長さLを変化させることができ、その結果、ヘルムホルツ共鳴器410の共鳴周波数fを変化させることができる。
【0133】
<変更例2>
図10(a)および(b)は、変更例2に係る、減音装置500の側面図であり、
図10(c)は、変更例2に係る、減音装置500の正面図である。
図10(a)には、ヘルムホルツ共鳴器510の胴体部511が最も伸びた状態の減音装置500が示されており、
図10(b)には、ヘルムホルツ共鳴器510の胴体部511が最も縮んだ状態の減音装置500が示されている。
【0134】
洗濯乾燥機1において、循環風路110の近傍に、上記実施の形態の減音装置200に替えて、本変更例の減音装置500を配置することができる。
【0135】
減音装置500は、ヘルムホルツ共鳴器510と、変更機構520とを備える。
【0136】
ヘルムホルツ共鳴器510は、空洞の胴体部511と、胴体部511から延びる首部512とを含む。胴体部511は、前筒部511aと後筒部511bとの間に蛇腹部511cが設けられた、ほぼ円柱の箱状を有する。胴体部511は、少なくとも蛇腹部511cが弾性材料により形成される。胴体部511は、蛇腹部511cが伸縮することにより、その体積Vが変化するように伸縮可能である。首部512は、円筒状を有し、前筒部511aと一体に形成される。首部512の内部は、胴体部511の内部に繋がっている。
【0137】
首部512が、循環風路110の導入ダクト114に接続されている。これにより、首部512の開口512aが循環風路110の内部と繋がっており、ヘルムホルツ共鳴器510の内部が循環風路110の内部に繋がっている。
【0138】
変更機構520は、胴体部511の体積Vを変更することにより、ヘルムホルツ共鳴器510の共鳴周波数fを変更する。伸縮可能な胴体部511が、変更機構520に含まれる。さらに、変更機構520は、胴体部511を伸縮させる伸縮装置530を含む。
【0139】
伸縮装置530は、胴体部511を伸縮させるための動力源である伸縮モータ540と、楕円形の板状のカム550とを含む。
【0140】
伸縮モータ540は、ステッピングモータであり、胴体部511の後方に配置される。伸縮モータ540は、第2モータ駆動部311により駆動される。カム550は、伸縮モータ540の回転軸541に固定されるとともに胴体部511の後筒部511bに接触する。
【0141】
ヘルムホルツ共鳴器510は、胴体部511の前筒部511aが共鳴器用ブラケット(図示せず)介して循環風路110のハウジング113の下面に固定される。伸縮モータ540は、モータ用ブラケット(図示せず)を介してハウジング113の下面に固定される。
【0142】
図10(a)に示すように、蛇腹部511cが自然長の状態にあり、カム550が上下方向に長い状態にあるとき、胴体部511が最も長くなり、胴体部511の体積Vが最も大きくなる。この状態から伸縮モータ540およびカム550が回転し、カム550が前後方向に長い状態になると、胴体部511の後筒部511bがカム550により前方へ押されて、蛇腹部511cが縮む。これにより、
図10(b)に示すように、胴体部511が短くなって、胴体部511の体積Vが小さくなる。このとき、蛇腹部511cには、当該蛇腹部511cが伸びる方向に弾性力が生じる。
【0143】
たとえば、上下方向に長い状態にあるときのカム550の位置が基準位置とされる。カム550が基準位置にあることが、図示しない位置センサにより検出される。
【0144】
ヘルムホルツ共鳴器510の共鳴周波数fは、胴体部511の体積Vが大きくなるほど小さくなる。胴体部511の体積Vは、基準位置からのカム550の回転角度、即ち伸縮モータ440の回転角度で規定することができる。
【0145】
本変更例では、ヘルムホルツ共鳴器510の共鳴周波数fが第1共鳴周波数になる胴体部511の体積Vが、上述した共鳴周波数fの演算式を用いて求められる。そして、求められた体積Vとなるように胴体部511が伸縮するときの基準位置からの伸縮モータ540の回転角度が、第1共鳴周波数、即ち第1回転数に対応する第1回転角度として設定される。同様な方法により、第2共鳴周波数、即ち第2回転数に対応する第2回転角度が設定される。これら第1回転角度および第2回転角度は、記憶部302に記憶される。
【0146】
本変更例においても、上記実施の形態と同様、制御部301が、
図7に示す乾燥工程のための制御処理を実行する。制御部301は、ステップS1において、変更機構520(伸縮装置530)を制御し、ヘルムホルツ共鳴器510の共鳴周波数fを第1共鳴周波数に設定する際、基準位置から伸縮モータ540を第1回転角度だけ正回転させる。これにより、第1共鳴周波数に対応する体積Vとなるように、胴体部511の長さが変化する。
【0147】
さらに、制御部301は、ステップS7において、ヘルムホルツ共鳴器510の共鳴周波数fを第2共鳴周波数に変更する際、第2回転角度と第1回転角度との間の差分の回転角度を求めて、差分の回転角度だけ伸縮モータ540を正回転または逆回転させる。これにより、第2共鳴周波数に対応する体積Vとなるように、胴体部511の長さが変化する。
【0148】
以上、本変更例の構成によれば、ヘルムホルツ共鳴器510の胴体部511の体積Vを変更することにより、共鳴周波数fを変更することができる。
【0149】
さらに、本変更例の構成によれば、胴体部511を伸縮させることにより、胴体部511の体積Vを変化させることができ、その結果、ヘルムホルツ共鳴器510の共鳴周波数fを変化させることができる。
【0150】
<その他の変更例>
上記実施の形態において、洗濯乾燥機1が、銀イオンなど抗菌効果のある成分を含んだミストをドラム23内に噴霧する噴霧装置を備えてもよい。この場合、乾燥工程において、乾燥した洗濯物に噴霧装置からミストが噴霧される際、送風ファン120の回転数が、第2回転数から当該第2回転数よりも低い第3回転数に低下する。この際に、制御部301により、減音装置200において、ヘルムホルツ共鳴器210の共鳴周波数fが、第3回転数で送風ファン120が回転したときに循環風路110で生じる音のピーク周波数等を打ち消すことができる第3共鳴周波数に設定されるとよい。なお、第3回転数は、第1回転数と同じ回転数でもよく、この場合、第3共鳴周波数は、第1共鳴周波数と同じ周波数になる。
【0151】
さらに、上記実施の形態では、循環風路110における、最も大きな騒音が出る部分、たとえば、導入ダクト114の入口端部114aの近傍に、減音装置200が配置されている。しかしながら、循環風路110における、大きな騒音が出る複数の部分の近傍に、それぞれ、減音装置200が配置されてもよい。
【0152】
さらに、上記実施の形態および上記変更例1,2では、ヘルムホルツ共鳴器210,410,510の共鳴周波数fが第1共鳴周波数および第2共鳴周波数になる首部212の開口面積S、首部412の長さLおよび胴体部511の体積Vが、共鳴周波数fの演算式を用いて求められる。しかしながら、予め試験等において、開口面積Sや首部412の長さL、胴体部511の体積Vの調整を行い、実際に第1回転数や第2回転数でピーク周波数の音圧が低下したときの開口面積Sや首部412の長さL、胴体部511の体積Vが、共鳴周波数fが第1共鳴周波数や第2共鳴周波数となる首部212の開口面積Sや首部412の長さL、胴体部511の体積Vに決められてもよい。
【0153】
さらに、上記変更例1では、ヘルムホルツ共鳴器410が、第1筒部412aの外周に嵌め込まれた第2筒部412bを移動させることにより伸縮可能な首部412を備えている。しかしながら、ヘルムホルツ共鳴器410において、上記変更例2のヘルムホルツ共鳴器510の胴体部511を伸縮させる構成と同様に、蛇腹部が設けられることにより首部412が伸縮可能となるような構成が採られてもよい。
【0154】
さらに、ヘルムホルツ共鳴器410の首部412の長さLを変える変更機構の構成は上記変更例1の構成に限られない。首部412は、必ずしも直線状でなく、屈曲していてもよい。よって、たとえば、変更機構に、ピストンバルブ式トランペットにおける管の長さを変える方式と同様な方式が採られてもよい。この場合、ピストンバルブを、適宜のアクチュエータにより動かすようにするとよい。さらに、変更機構に、ロータリバルブ式トランペットにおける管の長さを変える方式と同様な方式が採られてもよい。この場合、ロータリバルブを、適宜のアクチュエータにより動かすようにするとよい。
【0155】
さらに、上記変更例2では、ヘルムホルツ共鳴器510が、蛇腹部511cが設けられることにより伸縮可能な胴体部511を備えている。しかしながら、ヘルムホルツ共鳴器510が、上記変更例1のヘルムホルツ共鳴器410の首部412を伸縮させる構成と同様に、首部を有する前筒部と後筒部とが前後方向に重ね合され、その重なり量が変えられることにより伸縮可能な胴体部を備えてもよい。この場合、伸縮装置は、前筒部および後筒部のうち一方を移動させるため、ラックピニオン機構と伸縮モータとにより構成されるとよい。
【0156】
さらに、上記変更例2では、ヘルムホルツ共鳴器510の胴体部511が、首部512が延びる方向において伸縮可能とされている。しかしながら、胴体部511が、首部512が延びる方向と垂直な方向に伸縮可能とされてもよい。
【0157】
さらに、洗濯乾燥機1において、循環風路110の近傍に、ヘルムホルツ共鳴器の首部の開口面積S、首部の長さLおよび胴体部の体積Vの中の2つまたは全てを変更可能な変更機構を備える減圧装置が配置されてもよい。この場合、変更機構において、上記実施の形態、上記変更例1,2に示す構成を、適宜組み合わせることができる。
【0158】
さらに、上記実施の形態では、乾燥装置100が筐体10内の上部に配置されている。しかしながら、乾燥装置100が筐体10内の下部に配置されてもよい。
【0159】
さらに、上記実施の形態では、洗濯乾燥機1は、横軸型のドラム23を備えるドラム式の洗濯乾燥機である。しかしながら、本発明は、外槽内に、内槽として、パルセータを有する縦軸型の洗濯脱水槽を備える、いわゆる縦型の洗濯乾燥機に適用することもできる。
【0160】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0161】
10 筐体
20 外槽
23 ドラム(内槽)
110 循環風路
120 送風ファン
132 加熱器
200 減音装置
210 ヘルムホルツ共鳴器
211 胴体部
212 首部
212a 開口
220 変更機構
230 閉塞部材
240 移動装置
301 制御部
400 減音装置
410 ヘルムホルツ共鳴器
411 胴体部
412 首部
420 変更機構
430 伸縮装置
500 減音装置
510 ヘルムホルツ共鳴器
511 胴体部
512 首部
520 変更機構
530 伸縮装置