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特開2024-168905容器詰め炭酸飲料およびその製造方法、ならびにガス抜け抑制方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168905
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】容器詰め炭酸飲料およびその製造方法、ならびにガス抜け抑制方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/00 20060101AFI20241128BHJP
   A23L 2/38 20210101ALI20241128BHJP
   A23L 2/54 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A23L2/00 T
A23L2/38 A
A23L2/54
A23L2/54 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085950
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】596126465
【氏名又は名称】アサヒ飲料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】加藤 洋嗣
(72)【発明者】
【氏名】虻川 慧
(72)【発明者】
【氏名】末元 雄介
【テーマコード(参考)】
4B117
【Fターム(参考)】
4B117LC14
4B117LC15
4B117LG05
4B117LK04
4B117LK06
4B117LK11
4B117LL06
4B117LP11
4B117LP18
(57)【要約】
【課題】炭酸飲料のガス抜けを抑制できる技術を提供する。
【解決手段】本発明の容器詰め炭酸飲料は、β-カリオフィレンを0.5ppm以上含有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
β-カリオフィレンを0.5ppm以上含有する、容器詰め炭酸飲料。
【請求項2】
リナロールを0.1ppm以上含有し、硬度が20mg/L以上である、容器詰め炭酸飲料。
【請求項3】
硬度が20mg/L以上である、請求項1に記載の容器詰め炭酸飲料。
【請求項4】
糖、果汁、乳化剤および乳の中から選ばれる1種または2種以上を含まない、請求項1または2に記載の容器詰め炭酸飲料。
【請求項5】
ガスボリュームが1.5ガスボリューム以上、5.5ガスボリューム以下である、請求項1または2に記載の容器詰め炭酸飲料。
【請求項6】
β-カリオフィレンの含有量が0.5ppm以上となるように調製する工程を含む、容器詰め炭酸飲料の製造方法。
【請求項7】
リナロールの含有量が0.1ppm以上となるように調製する工程と、
硬度が20mg/L以上となるように調製する工程と、を順不同に含む、容器詰め炭酸飲料の製造方法。
【請求項8】
容器詰め炭酸飲料のガス抜け抑制方法であって、
β-カリオフィレンの含有量が0.5ppm以上となるように調製する工程を含む、ガス抜け抑制方法。
【請求項9】
容器詰め炭酸飲料のガス抜け抑制方法であって、
リナロールの含有量が0.1ppm以上となるように調製する工程と、
硬度が20mg/L以上となるように調製する工程と、を順不同に含む、ガス抜け抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器詰め炭酸飲料およびその製造方法、ならびにガス抜け抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭酸飲料は、一般的に、消費者が喫飲した際に当該飲料中に含まれている炭酸ガスによる独特の炭酸感を味わうことができる嗜好性飲料として知られている。従来の炭酸飲料においては、開封してからの時間経過に伴って、飲料中に溶解している炭酸ガスが徐々に抜けていくことにより、上述した独特の炭酸感が低減してしまうという不都合があった。
【0003】
独特の炭酸感が低減してしまうという上述した不都合が生じることを抑制すべく、これまでに、炭酸ガスのガス抜けを抑制することに着目した技術が種々報告されている。
【0004】
例えば、特許文献1(特開2017-12016号公報)には、リモネン、リナロール、ゲラニオールおよびシトラールの各含有量を特定するとともに、所定の乳化剤を用いることで、ガス抜け抑制、泡立ち抑制および呈味の経時安定性を改善した炭酸飲料が開示されている。
【0005】
また、特許文献2(特開2018-191570号公報)には、β‐カリオフィレン0.2μg/Lとゲラニルアセテートとを含む炭酸飲料により、フローラルな香りおよび柑橘的な香りが得られたことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-12016号公報
【特許文献2】特開2018-191570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、特許文献1に開示される技術とは異なる手段により容器詰め炭酸飲料のガス抜けを抑制することを課題とし、検討を行ったところ、飲料中の硬度によってガス抜けの速度に違いがあることを判明した。そこで、さらに検討を進め、飲料の硬度とリナロール濃度を同時に制御することが課題解決の点から有効であることを見出した。
また、特許文献2は炭酸飲料のガス抜けについて何ら検討されたものではなく、上記課題を解決する点で改善の余地があった。これに対し、本件発明者は、新たにβ‐カリオフィレン濃度を制御することが有効であることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、以下の容器詰め炭酸飲料およびその製造方法、ならびにガス抜け抑制方法が提供される。
【0009】
[1] β-カリオフィレンを0.5ppm以上含有する、容器詰め炭酸飲料。
[2] リナロールを0.1ppm以上含有し、硬度が20mg/L以上である、容器詰め炭酸飲料。
[3] 硬度が20mg/L以上である、[1]に記載の容器詰め炭酸飲料。
[4] 糖、果汁、乳化剤および乳の中から選ばれる1種または2種以上を含まない、[1]乃至[3]いずれか一つに記載の容器詰め炭酸飲料。
[5] ガスボリュームが1.5ガスボリューム以上、5.5ガスボリューム以下である、[1]乃至[4]いずれか一つに記載の容器詰め炭酸飲料。
[6] β-カリオフィレンの含有量が0.5ppm以上となるように調製する工程を含む、容器詰め炭酸飲料の製造方法。
[7] リナロールの含有量が0.1ppm以上となるように調製する工程と、
硬度が20mg/L以上となるように調製する工程と、を順不同に含む、容器詰め炭酸飲料の製造方法。
[8] 容器詰め炭酸飲料のガス抜け抑制方法であって、
β-カリオフィレンの含有量が0.5ppm以上となるように調製する工程を含む、ガス抜け抑制方法。
[9] 容器詰め炭酸飲料のガス抜け抑制方法であって、
リナロールの含有量が0.1ppm以上となるように調製する工程と、
硬度が20mg/L以上となるように調製する工程と、を順不同に含む、ガス抜け抑制方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、炭酸飲料のガス抜けを抑制できる技術を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。なお、本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。
【0012】
本明細書において、飲料のpH、糖度、酸度等の物性は、炭酸ガスが除去され、液温20℃での飲料における物性を表す。
【0013】
<容器詰め炭酸飲料>
本実施形態の容器詰め炭酸飲料(以下、「飲料」とも称する。)は、β-カリオフィレンを0.5ppm以上含有する飲料、または、リナロールを0.1ppm以上含有し、硬度が20mg/L以上である飲料の少なくとも一方である。これにより、容器を開栓した後の炭酸ガスのガス抜けを低減できる。なかでも、開栓後初期段階(30分から60分程度)でのガス抜けを効果的に抑制できる。
かかる理由の詳細は明らかではないが、β-カリオフィレンおよびリナロールが炭酸飲料中に分散することで、炭酸ガスが合一して泡を形成することを抑制していると推測される。
【0014】
以下、本実施形態の飲料に含まれる各成分について説明する。
【0015】
[β-カリオフィレン]
β-カリオフィレンは、CAS登録番号87-44-5の有機化合物である。
β-カリオフィレンの含有量は、0.5ppm以上であり、好ましくは1ppm以上であり、より好ましくは2ppm以上であり、さらに好ましくは20ppm以上である。β-カリオフィレンの含有量を、上記下限値以上とすることにより、飲料としての飲みやすさを保持しつつ、ガス抜けを低減できる。
一方、β-カリオフィレンの含有量は、好ましくは1000ppm以下であり、より好ましくは700ppm以下であり、さらに好ましくは500ppm以下である。β-カリオフィレンの含有量を、上記上限値以下とすることにより、飲料としての飲みやすさを保持しつつ、ガス抜けを低減できる。
【0016】
[リナロール]
リナロールは、CAS登録番号78-70-6の有機化合物であり、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オールとも称する。
リナロールの含有量は、0.1ppm以上であり、好ましくは1ppm以上であり、より好ましくは2ppm以上であり、さらに好ましくは20ppm以上である。リナロールの含有量を、上記下限値以上とすることにより、飲料としての飲みやすさを保持しつつ、ガス抜けを低減できる。
一方、リナロールの含有量は、好ましくは1000ppm以下であり、より好ましくは700ppm以下であり、より好ましくは500ppm以下である。リナロールの含有量を、上記上限値以下とすることにより、飲料としての飲みやすさを保持しつつ、ガス抜けを低減できる。
本実施形態の飲料は、リナロールを0.1ppm以上含む場合、硬度は20度以上である。硬度の詳細については後述する。
【0017】
本実施形態の飲料に含まれるβ-カリオフィレンおよびリナロールの各濃度は、GC/MS分析により測定することができる。
飲料に含まれるβ-カリオフィレンおよびリナロールは、それぞれを単体または混合物として添加される。
【0018】
[炭酸ガス]
また、本実施形態の飲料は、炭酸ガスを含有する。飲料の炭酸ガス圧(20℃)は、1.5~5.5ガスボリュームであることが好ましく、3.5~5.0ガスボリュームであることがより好ましい。
炭酸ガスを飲料中に含有させる方法は特に限定されず、当業者が適宜設定できる。炭酸ガスを飲料中に含有させる方法は特に限定されず、当業者が適宜設定できる。
なお、本実施形態において、飲料のpH、酸度、糖度等の物性は、炭酸ガスを公知の方法で除去した状態を意図する。
【0019】
[その他の成分]
本実施形態の飲料においては、本発明の効果が奏される限り、上記以外の他の成分を含んでもよい。具体的には、甘味料、酸味料、香料、果汁、乳、ビタミン、着色料、食塩、ミネラル、酸化防止剤、乳化剤、保存料、調味料、エキス類、pH調整剤、品質安定化剤、および増粘剤などの飲料に通常配合される公知の成分を含有することができる。
ただし、炭酸ガス抜けをより効果的に抑制する点から、本実施形態の飲料は、糖、果汁、乳化剤および乳の中から選ばれる1種または2種以上を含まないことが好ましい。
【0020】
(甘味料)
上記の甘味料としては、例えば、果糖、ショ糖、ブドウ糖、果糖ブドウ糖液糖、グラニュー糖、乳糖、および麦芽糖等の糖類;キシリトール、およびD-ソルビトール等の低甘味度甘味料;甘草抽出物、ラカンカ抽出物、ステビア、ソーマチン、グリチルリチン、グリチルリチン酸二ナトリウム、サッカリン、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、アリテーム、およびネオテーム等の高甘味度甘味料などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0021】
(酸味料)
上記の酸味料としては、例えば、クエン酸、アジピン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、酢酸、フィチン酸、アスコルビン酸、およびリン酸ならびにそれらの塩類等が挙げられる。
【0022】
次に、本実施形態の飲料の物性、特性などについて説明する。
【0023】
[硬度]
硬度とは、飲料中に含まれるミネラル成分のうち、カルシウムとマグネシウムの合計含有量の指標であり、いわゆるアメリカ硬度と呼ばれる値である。具体的には、以下の式により算出された数値を指す。すなわち、飲料に含まれるミネラル成分量を炭酸カルシウムの相当量として換算した値、すなわち炭酸カルシウム換算値として表した数値である。
【0024】
硬度(mg/L)={飲料中に含まれるカルシウム量(mg/L)×2.5}+{飲料中に含まれるマグネシウム量(mg/L)×4.1}
【0025】
ここで、本発明者は、飲料の硬度が20mg/L以上であると、硬度0mg/Lの飲料よりもガス抜けしやすいことを知見した。かかる理由としては、ミネラル成分を核として、飲料中に溶け込んでいる炭酸ガスが吸着、合一し、泡を形成するため、泡の浮上速度が高まりガス抜けを促進すると推測される。
【0026】
本実施形態の飲料の硬度は、好ましくは20mg/L以上であり、より好ましくは50mg/L以上であり、さらに好ましくは100mg/L以上であり、ことさらに好ましくは300mg/L以上であり、より一層ことさらに好ましくは500mg/L以上である。飲料の硬度を上記下限値以上とすることにより、より顕著にガス抜け効果を得ることができる。
一方、本実施形態の飲料の硬度は、飲みやすさを保持する点から、好ましくは2000mg/L以下であり、より好ましくは1500mg/L以下であり、さらに好ましくは1000mg/L以下である。飲料の硬度を上記上限値以下とすることにより、ガス抜けを抑制しつつ、飲みやすさを保持できる。
【0027】
[糖度(Brix値)]
本実施形態の飲料(20℃)の糖度(Brix値)は、飲料の嗜好性に応じて適宜設定できるが、例えば、糖度0~20°が好ましく、糖度0~10°がより好ましい。
糖度(Brix値)は、たとえば、デジタル屈折計Rx-5000α(アタゴ社製)を用いて、20℃における糖用屈折計の示度を測定することができる。
また、糖度は、例えば、上記の甘味料、果汁、その他の各種成分の含有量により調整することができる。
【0028】
[酸度]
本実施形態の飲料の酸度は、0.00g/100ml以上、0.50g/100ml以下であることが好ましく、0.08g/100ml以上、0.35g/100ml以下であることがより好ましい。酸度を、上記下限値以上とすることにより、おいしさが得られるようになる。一方、酸度を、上記上限値以下とすることにより、過度な酸味を抑制し、おいしさを両立できる。
酸度は、100ml中に含まれる酸量をクエン酸に換算した場合のグラム数(無水クエン酸g/100ml)で表すことができる。酸度もまた、JAS規格の酸度測定法で定められた方法、具体的には0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液をアルカリ溶液として使用した中和滴定法(定量式)により測定できる。
【0029】
[pH]
本実施形態の飲料の20℃におけるpHは、2.8~4.5であることが好ましく、3.1~4.2であることがより好ましく、3.3~4.0であることがさらに好ましい。これにより、おいしさを良好に保持できる。
なお、pHの測定は、市販のpH測定器を用いるなどして行うことができる。pHの調整は、例えば、特定酸の量を変えることや、pH調整剤を用いることなどにより行うことができる。
【0030】
[アルコール]
また、本実施形態の飲料は、非アルコール飲料であることが好ましい。非アルコール飲料とは、アルコールを実質的に含有しない飲料をいい、具体的にはエタノールなどのアルコールの含有量が1.0体積/体積%未満である飲料を意味する。
【0031】
[飲料の種類]
本実施形態の飲料は、希釈されずにそのまま飲用される飲料であることが好ましい。なかでも、容器を開封しそのまま飲用できる、いわゆるレディ・トゥ・ドリンク(Ready To Drink;RTD)であることが好適である。
【0032】
[容器]
本実施形態の飲料に用いられる容器は、ガラス、紙、プラスチック(ポリエチレンテレフタレート等)、アルミ、およびスチール等の単体もしくはこれらの複合材料または積層材料からなる密封容器が挙げられる。ヒートシール、栓または蓋などの公知の方法により密封される。容器の種類は、特に限定されるものではないが、たとえば、ペットボトル、アルミ缶、スチール缶、紙パック、チルドカップ、瓶等が挙げられる。
容器の容量としては、特に限定されないが、100~2000gが好ましく、飲み切りやすい点からは、100~500gがより好ましい。
【0033】
容器詰めされた飲料の加熱滅菌処理の方法は、特に限定されないが、日本国内においては食品衛生法の規定に従って、加熱滅菌処理される。具体的には、高温で短時間殺菌した後、無菌条件下で殺菌処理された保存容器に充填する方法(UHT殺菌法)や、調合液を缶等の保存容器に充填した後、レトルト処理を行うレトルト殺菌法などが挙げられる。
【0034】
[販売温度]
本実施形態の飲料は、常温用またはコールド用とすることが好ましい。コールド用とは、飲料の液温を常温よりも低くしたものであり、4~15℃程度に冷却したものを意図する。
【0035】
<容器詰め炭酸飲料の製造方法>
本実施形態の容器詰め炭酸飲料の製造方法は、一例として、リナロールの含有量が0.1ppm以上となるように調製する工程と、硬度が20mg/L以上となるように調製する工程と、を順不同に含む。
または、本実施形態の容器詰め炭酸飲料の製造方法は、他の例として、β-カリオフィレンの含有量が0.5ppm以上となるように調製する工程を含む。
【0036】
これにより、炭酸ガス抜けが抑制された容器詰め炭酸飲料が得られる。容器詰め炭酸飲料の成分、物性などの詳細は、上記と同様である。
【0037】
<ガス抜け抑制方法>
本実施形態の容器詰め炭酸飲料のガス抜け抑制方法は、一例として、リナロールの含有量が0.1ppm以上となるように調製する工程と、硬度が20mg/L以上となるように調製する工程と、を順不同に含む。
または、本実施形態の容器詰め炭酸飲料のガス抜け抑制方法は、他の例として、β-カリオフィレンの含有量が0.5ppm以上となるように調製する工程を含む。
【0038】
これにより、容器詰め炭酸飲料のガス抜けを効果的に抑制できる。容器詰め炭酸飲料の成分、物性などの詳細は、上記と同様である。
【0039】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例0040】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0041】
[飲料中の香気成分の定量]
飲料中のリナロール、β-カリオフィレンの濃度(ppbまたはppm)は、GC/MSを用いて測定した。
具体的には、ゲステル社製MPSを用いるMVM(Multi Volatile Method)法により、以下に示す条件で測定を行った。検量線は標準添加法にて作成し、内部標準物質としてシクロヘキサノールを用いた。
装置:GC:Agilent Technologies社製 7890B
MS:Agilent Technologies社製 5977B MSD
HS:Gerstel社製MPS
TUBE:Tenax TA、CarbopackB/X
カラム:DB-WAX UI 0.25mm×30m×0.25μm
定量イオン:リナロール m/z=93
β-カリオフィレン m/z=133
シクロヘキサノール(内標) m/z=82
温度条件:40℃(2分保持)→8℃/分昇温→240℃(10分保持)
キャリアガス流量:He 1ml/分
注入法:スプリットレス
イオン源温度:230℃
【0042】
[飲料の調製]
硬度25mg/Lの水に、表1,2に示す含有量となるように、リナロール(表1)、β‐カリオフィレン(表2)をそれぞれ単独添加し、炭酸ガスを溶解させてPETボトルに充填して、密封し、各容器詰め炭酸飲料(サンプル;試験区No.1~No.8)を調製した。
各飲料は、硬度25mg/L、4.5ガスボリュームであった。
【0043】
[ガス抜け評価]
以下の手順で、開栓後の各容器詰め炭酸飲料中の炭酸ガス残存割合(%)を算出した。評価対象は、5つとし、その平均値をとった。
(手順)
1.開栓前の容器詰め炭酸飲料(サンプル)を、1つの試験区につき10本調製し、液温を20℃に調整する。
2.開栓前のサンプル平均重量(W1)(g)を測定する。
3.サンプルを超音波処理し、20℃恒温で1時間静置する。
4.5本のサンプルを開栓し、直ちに閉栓した後、破壊式全圧を測定し、サンプル中の総炭酸ガス量をそれぞれ測定し、その平均値(W3)(g)を算出する。
5.残りの5本のサンプルを開栓し、開栓した状態で30分放置し、30分経過時点で直ちに閉栓する。
6.閉栓後のサンプル平均重量(W2)(g)を測定する。
7.開栓前後のサンプル平均重量の差分(W1-W2)を、総炭酸ガス量から差し引いた値(W3-(W1-W2))を炭酸ガス残存量(W4)(g)とする。
8.炭酸ガス残存量(W4)を総炭酸ガス量(W3)で除して、開栓後の各容器詰め炭酸飲料中の炭酸ガス残存割合((W4/W3)×100(%))を算出する。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】