(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168908
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】真空ポンプ、磁気軸受装置及びロータ
(51)【国際特許分類】
F04D 19/04 20060101AFI20241128BHJP
F04D 29/66 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
F04D19/04 A
F04D29/66 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085955
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】508275939
【氏名又は名称】エドワーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】川島 敏明
【テーマコード(参考)】
3H130
3H131
【Fターム(参考)】
3H130AA12
3H130AB13
3H130AB28
3H130AB52
3H130AB68
3H130AB69
3H130AC02
3H130BA13G
3H130BA73C
3H130BA73D
3H130BA73G
3H130BA74C
3H130BA74D
3H130BA74G
3H130BA95C
3H130BA95D
3H130BA95G
3H130BA97C
3H130BA97D
3H130BA97G
3H130DA02Z
3H130DB10X
3H130DD01X
3H130DE03X
3H130DF01X
3H130EA08D
3H130EA08E
3H130EA08G
3H130ED05D
3H130ED05E
3H130ED05G
3H131AA02
3H131BA07
3H131BA14
3H131CA13
(57)【要約】
【課題】ロータに対する僅かな調整で、ロータの振れや振動を軽減することができる、真空ポンプ、磁気軸受装置及びロータを提供する。
【解決手段】上側径方向電磁石104と軸方向電磁石106が発生する磁力による発生モーメントが、次式を満たす真空ポンプ。
式 MR+MA>MD
ただし、MR:上側径方向電磁石104の磁力によるモーメント、MA:軸方向電磁石106が発生する磁力によるモーメント、MD:ロータの不釣り合いによって生じる回転体103の重心周りのモーメント、とする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを排気するロータの回転軸方向が非鉛直の状態で配置される真空ポンプであって、
前記ロータのラジアル方向の変位を検出するラジアル方向変位検出手段と、
前記ロータを前記ラジアル方向に磁力で非接触支持し、前記ロータの前記回転軸方向において前記ロータの重心より排気側に2つ設けられている能動型ラジアル方向磁力発生手段と、
前記ロータの前記回転軸方向において、前記能動型ラジアル方向磁力発生手段よりも排気側に設けられているアキシャル方向磁力発生手段と、
を備え、
前記能動型ラジアル方向磁力発生手段と前記アキシャル方向磁力発生手段により、前記ロータの制御軸回りの傾きを拘束する磁気軸受装置を備えた真空ポンプであって、
前記能動型ラジアル方向磁力発生手段が発生する磁力によるモーメントが、次式を
満たすことを特徴とする真空ポンプ。
式 MR+MA>MD
ただし、
MR:前記能動型ラジアル方向磁力発生手段が発生する磁力によるモーメント、
MA:前記アキシャル方向磁力発生手段が発生する磁力によるモーメント、
MD:前記ロータの不釣り合いによって生じる前記ロータの重心周りのモーメント、
とする。
【請求項2】
前記ロータの前記重心から前記能動型ラジアル方向磁力発生手段までの前記回転軸方向の距離と前記重心から前記アキシャル方向磁力発生手段までの前記回転軸方向の距離の比が、1:5から1:10の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ。
【請求項3】
請求項1に記載の真空ポンプに用いられる、ことを特徴とする磁気軸受装置。
【請求項4】
請求項1に記載の真空ポンプに用いられる、ことを特徴とするロータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ポンプ、及び真空ポンプに用いられる磁気軸受装置、ロータに関するものであり、特に、ロータの振れや振動を制御する真空ポンプ、磁気軸受装置及びロータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
真空ポンプを用いて廃棄処理を行い、内部を真空に保つ装置として、半導体装置、液晶製造装置、電子顕微鏡、表面分析装置及び微細加工装置等が知られている。このような装置に用いられる真空ポンプは、回転翼が固定翼に対して相対的に回転することにより、装置内の気体が外部に排気されて装置内が真空に保たれる(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1には、ロータの5自由度の内、3自由度を能動的に制御拘束し、残りの2自由度を受動的に拘束する磁気軸受を備えた真空ポンプが開示されている。このような真空ポンプでは、ロータ上部のラジアル方向の平衡点からの変位を計測する変位センサと、変位センサの計測値に基づいてロータを平衡点に引き戻す能動ラジアル軸受と、ロータをラジアル方向に指示する受動ラジアル軸受と、を備えている。そして、能動ラジアル軸受と受動ラジアル軸受とは、ガスの排気方向においてロータの重心を挟んで反対側に配置されている。
【0004】
特許文献1の真空ポンプでは、ロータが平衡点からラジアル方向に変位した場合に、能動ラジアル軸受がロータの上部に上部復元力を作用させると、受動ラジアル軸受が、ロータのアーマチャディスクに作用させる磁気抵抗に起因してロータの下側に作用する下部復元力がロータの姿勢に応じた傾斜力によって相殺されるため、軸受の共通点でのロータの振れと振動が減衰しにくいという問題があった。
【0005】
特許文献2は、特許文献1の問題を解決するためになされた構造であって、ガスを排気するロータをラジアル方向に磁力で非接触支持するラジアル方向磁力発生手段(上側ラジアル軸受)と、ロータのラジアル方向の変位を検出するラジアル方向変位検出手段(下側ラジアル軸受)と、を有する磁気軸受装置を備え、さらにラジアル方向磁力発生手段(上側ラジアル軸受)が、ガスの排気方向において、ロータの重心より排気側に2つ設けられているとともに、ラジアル方向変位手段(下側ラジアル軸受)が、ガスの排気方向において、ロータの重心の位置から排気側に設けられた構造としている。
【0006】
特許文献2の真空ポンプでは、ロータが平衡点からラジアル方向に変位した際に、ラジアル方向磁力発生手段(上側ラジアル軸受)がロータの下部に作用させる復元力と、ロータの姿勢に起因する傾斜力とが同じ向きに生じるようにし、ロータの下部に作用する並行力が傾斜力に減衰されることなく、ロータの振れや振動を効果的に制振できるようにしている。しかし、特許文献2の真空ポンプでは、上側のラジアル方向磁力発生手段(上側ラジアル軸受)がロータの下部に作用させる復元力は調整可能であるが、真空ポンプのサイズの制限により、その範囲は僅かである。また、下側のラジアル方向変位検出手段(下側ラジアル軸受)がロータの下部に作用させる復元力も調整可能であるが、その調整範囲もわずかである。更に、真空ポンプの取付姿勢によってもその調整範囲は影響を受ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭59-83828号公報
【特許文献2】特許第6927735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、特許文献2の真空ポンプでは、ロータが平衡点からラジアル方向に変位した際に、ラジアル方向磁力発生手段(上側ラジアル軸受)がロータの下部に作用させる復元力と、ロータの姿勢に起因する傾斜力とが同じ向きに生じるため、ロータの下部に作用する並行力が傾斜力に減衰されることなく、ロータの振れや振動を効果的に制振することができる。しかし、上側のラジアル方向磁力発生手段(上側ラジアル軸受)と下側のラジアル方向変位検出手段(下側ラジアル軸受)がロータの下部にそれぞれ作用させて行う復元力の調整の範囲はそれぞれ僅かである。また、下側のラジアル方向変位検出手段(下側ラジアル軸受)がロータの下部に作用させる復元力も調整可能ではあるが、その調整範囲もわずかであるという問題があった。更に、真空ポンプの取付姿勢によって、その調整範囲が更に限定されるという問題があった。
【0009】
そこで、ロータに対する僅かな調整で、ロータの振れや振動を軽減することができる、真空ポンプ、磁気軸受装置及びロータを提供するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載の発明は、ガスを排気するロータの回転軸方向が非鉛直の状態で配置される真空ポンプであって、前記ロータのラジアル方向の変位を検出するラジアル方向変位検出手段と、前記ロータを前記ラジアル方向に磁力で非接触支持し、前記ロータの前記回転軸方向において前記ロータの重心より排気側に2つ設けられている能動型ラジアル方向磁力発生手段と、前記ロータの前記回転軸方向において、前記能動型ラジアル方向磁力発生手段よりも排気側に設けられているアキシャル方向磁力発生手段と、を備え、前記能動型ラジアル方向磁力発生手段と前記アキシャル方向磁力発生手段により、前記ロータの制御軸回りの傾きを拘束する磁気軸受装置を備えた真空ポンプであって、前記能動型ラジアル方向磁力発生手段が発生する磁力によるモーメントが、次式を満たす真空ポンプを提供する。
式 MR+MA>MD
ただし、
MR:前記能動型ラジアル方向磁力発生手段の磁力が発生するモーメント、
MA:前記アキシャル方向磁力発生手段が発生する磁力が発生するモーメント、
MD:前記ロータの不釣り合いによって生じる前記ロータの重心周りのモーメント、
とする。
【0011】
この構成によれば、真空ポンプの取り付け姿勢が非鉛直状態、すなわち水平や傾斜(傾いて取り付けられた状態)も含む非鉛直状態で設置され、ガスを排気するロータの回転軸方向が平衡点からラジアル方向に変位した際に、能動型ラジアル方向磁力発生手段がロータの下部に作用させる復元力となる磁力のモーメントとアキシャル方向磁力発生手段がロータの姿勢に起因する傾斜力となる磁力のモーメントとが同じ向きに生じる。そして、ロータの不釣り合いによって生じるロータの重心周りのモーメントに対して、能動型ラジアル方向磁力発生手段とアキシャル方向磁力発生手段による、ロータの制御軸回りの傾きを拘束する為のモーメントを十分に設定している。そのため、ロータの振れや振動を効率的に制振することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の真空ポンプの構成において、前記ロータの前記重心から前記能動型ラジアル方向磁力発生手段までの前記回転軸方向の距離と前記重心から前記アキシャル方向磁力発生手段までの前記回転軸方向の距離の比が、1:5から1:10の範囲内である、真空ポンプを提供する。
【0013】
この構成によれば、ロータの重心から能動型ラジアル方向磁力発生手段までの回転軸方向の距離と重心からアキシャル方向磁力発生手段までの回転軸方向の距離の比を、1:5から1:10の範囲内で設定することにより、ロータの下部に作用する復元力が傾斜力に減衰されることなく、ロータの振れや振動を更に効率的に制振することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の真空ポンプに用いられる磁気軸受装置を提供する。
【0015】
この構成によれば、ロータが平衡点から変位した際に、ラジアル方向磁力発生手段がロータの下部に作用させる復元力となる磁力のモーメントとアキシャル方向磁力発生手段がロータの姿勢に起因する傾斜力となる磁力のモーメントとが同じ向きに生じる磁気軸受装置を有した真空ポンプが得られるため、ロータの下部に作用する並行力が傾斜力に減衰されることなく、ロータの振れや振動を効率的に制振する真空ポンプが得られる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の真空ポンプに用いられるロータを提供する。
【0017】
この構成によれば、ロータが平衡点から変位した際に、ラジアル方向磁力発生手段がロータの下部に作用させる復元力となる磁力のモーメントとアキシャル方向磁力発生手段がロータの姿勢に起因する傾斜力となる磁力のモーメントとが同じ向きに生じるロータを有する真空ポンプが得られるため、ロータの下部に作用する並行力が傾斜力に減衰されることなく、ロータの振れや振動を効率的に制振する真空ポンプが得られる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ロータが平衡点から変位した際に、ラジアル方向磁力発生手段がロータの下部に作用させる復元力となる磁力モーメントとアキシャル方向磁力発生手段がロータの姿勢に起因する傾斜力となる磁力のモーメントとが同じ向きに生じるため、ロータの下部に作用する並行力が傾斜力に減衰されることなく、ロータの振れや振動を効率的に制振することができる。さらに、ロータの下部に作用する復元力が傾斜力で減衰されないため、ロータの部品精度が緩和され、且つ、真空ポンプ組立時の微調整に要する時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態である真空ポンプの一実施例として示すターボ分子ポンプの縦断面図である。
【
図2】同上実施例のターボ分子ポンプにおけるアンプ回路の一例を示す図である。
【
図3】同上実施例のターボ分子ポンプにおけるアンプ回路で検出した電流指令値が検出値より大きい場合の一制御例を示すタイムチャートである。
【
図4】同上実施例のターボ分子ポンプにおけるアンプ回路で検出した電流指令値が検出値より小さい場合の一制御例を示すタイムチャートである。
【
図5】同上実施例のターボ分子ポンプにおける回転体の重心と位置関係を模式的に示す図である。
【
図6】同上実施例のターボ分子ポンプにおける回転体のモーメントの釣り合い関係を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、ロータに対する僅かな調整で、ロータの振れや振動を軽減することができる、真空ポンプ、磁気軸受装置及びロータを提供するという目的を達成するために、ガスを排気するロータの回転軸方向が非鉛直の状態で配置される真空ポンプであって、前記ロータのラジアル方向の変位を検出するラジアル方向変位検出手段と、前記ロータを前記ラジアル方向に磁力で非接触支持し、前記ロータの回転軸方向において前記ロータの重心より排気側に2つ設けられている能動型ラジアル方向磁力発生手段と、前記ロータの回転軸方向において、前記ラジアル方向磁力発生手段よりも排気側に設けられているアキシャル方向磁力発生手段と、を備え、前記能動型ラジアル方向磁力発生手段と前記アキシャル方向磁力発生手段により、前記ロータの軸の傾きを拘束する磁気軸受装置を備えた真空ポンプであって、前記ラジアル方向磁力発生手段が発生する磁力によるモーメントが、次式を満たす、構成としたことにより実現した。
式 MR+MA>MD
ただし、MR:前記能動型ラジアル方向磁力発生手段の磁力が発生するモーメント、MA:前記アキシャル方向磁力発生手段が発生する磁力が発生するモーメント、MD:前記ロータの不釣り合いによって生じる前記ロータの重心周りのモーメント、とする。
【実施例0021】
以下、本発明の実施形態に係る一実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例において、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0022】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0023】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、構成要素の断面構造を分かり易くするために、一部の構成要素のハッチングを省略することがある。
【0024】
また、以下の説明において、上下や左右等の方向を示す表現は、絶対的なものではなく、本発明の真空ポンプであるターボ分子ポンプの各部が描かれている姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。また、実施例の説明の全体を通じて同じ要素には同じ符号を付している。
【0025】
このターボ分子ポンプ100の縦断面図を
図1に示す。
図1において、ターボ分子ポンプ100は、円筒状の外筒127の上端に吸気口101が形成されている。そして、外筒127の内方には、ガスを吸引排気するためのタービンブレードである複数の回転翼102(102a、102b、102c・・・)を周部に放射状かつ多段に形成した回転体103(「ロータ」ともいう)が備えられている。この回転体103の中心にはロータ軸113(回転軸)が取り付けられている。回転体103に一体化されたロータ軸113は、磁気軸受により空中に浮上支持かつ位置制御されている。回転体103は、一般的に、アルミニウム又はアルミニウム合金などの金属によって構成されている。
【0026】
磁気軸受は、上側径方向(上側ラジアル方向)電磁石104と軸方向(アキシャル方向)電磁石106とにより、径方向に2軸、軸方向に1軸の3軸制御を実現している。なお、以下では、径方向(特に半径方向)を「ラジアル方向」と称し、軸方向を「アキシャル方向」と称する場合がある。
【0027】
上側径方向電磁石104は、4個の電磁石(図示略)がX軸とY軸とに対をなして2つ配置されている。軸方向電磁石106は、2つの電磁石(上方向アキシャル電磁石106A、下方向アキシャル電磁石106B)を組み合わせて構成されている。
【0028】
上側径方向電磁石104の内部には、4個の上側径方向センサ(図示略)が備えられている。上側径方向センサは変位センサである。上側径方向センサは、回転体103の径方向変位を検出し、制御装置200に送るように構成されている。上側径方向センサとしては、例えば、インダクタンス型変位センサや、静電容量センサ等を採用できる。
【0029】
制御装置200においては、例えばPID調節機能を有する補償回路が、上側径方向センサ(図示略)によって検出された位置信号に基づいて、上側径方向電磁石104の励磁制御指令信号を生成し、
図2に示すアンプ回路150(後述する)が、この励磁制御指令信号に基づいて、上側径方向電磁石104を励磁制御することで、ロータ軸113の上側の径方向位置が調整される。
【0030】
そして、このロータ軸113は、高透磁率材(鉄、ステンレスなど)などにより形成され、上側径方向電磁石104の磁力により吸引されるようになっている。かかる調整は、X軸方向とY軸方向とにそれぞれ独立して行われる。
【0031】
さらに、軸方向電磁石106が、ロータ軸113の下部に備えた円板状の金属ディスク(「アーマチャディスク」などともいう)111を上下に挟んで配置されている。金属ディスク111は、鉄などの高透磁率材で構成されている。ロータ軸113の軸方向変位を検出するために軸方向センサ109が備えられ、その軸方向位置信号が制御装置200に送られるように構成されている。
【0032】
そして、制御装置200において、例えばPID調節機能を有する補償回路が、軸方向センサ109によって検出された軸方向位置信号に基づいて、軸方向電磁石106のコイルの励磁制御指令信号を生成し、アンプ回路150が、これらの励磁制御指令信号に基づいて、軸方向電磁石を励磁制御することで、金属ディスク111を上方及び下方に吸引し、ロータ軸113の軸方向位置が調整される。本実施形態において、軸方向電磁石106のコイルは、上方向アキシャル電磁石106Aのコイル部213A、及び、下方向アキシャル電磁石106Bのコイル部213Bである。
【0033】
このように、制御装置200は、この軸方向電磁石106が金属ディスク111に及ぼす磁力を適当に調節し、ロータ軸113を軸方向に磁気浮上させ、空間に非接触で保持するようになっている。なお、これら上側径方向電磁石104、及び軸方向電磁石106を励磁制御するアンプ回路150については、後述する
【0034】
一方、モータ121は、ロータ軸113を取り囲むように周状に配置された複数の磁極を備えている。各磁極は、ロータ軸113との間に作用する電磁力を介してロータ軸113を回転駆動するように、制御装置200によって制御されている。また、モータ121には図示しない例えばホール素子、レゾルバ、エンコーダなどの回転速度センサが組み込まれており、この回転速度センサの検出信号によりロータ軸113の回転速度が検出されるようになっている。
【0035】
回転翼102(102a、102b、102c・・・)とわずかの空隙を隔てて複数枚の固定翼123(123a、123b、123c・・・)が配設されている。回転翼102(102a、102b、102c・・・)は、それぞれ排気ガスの分子を衝突により下方向に移送するため、ロータ軸113の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜して形成されている。固定翼123(123a、123b、123c・・・)は、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス、銅などの金属、又はこれらの金属を成分として含む合金などの金属によって構成されている。
【0036】
また、固定翼123も、同様にロータ軸113の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜して形成され、かつ外筒127の内方に向けて回転翼102の段と互い違いに配設されている。そして、固定翼123の外周端は、複数の段積みされた固定翼スペーサ(符号省略)の間に嵌挿された状態で支持されている。
【0037】
固定翼スペーサはリング状の部材であり、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス、銅などの金属、又はこれらの金属を成分として含む合金などの金属によって構成されている。固定翼スペーサの外周には、わずかの空隙を隔てて外筒127が固定されている。外筒127の底部にはベース部129が配設されている。ベース部129には排気口133が形成され、外部に連通されている。チャンバ(真空チャンバ)側から吸気口101に入ってベース部129に移送されてきた排気ガスは、排気口133へと送られる。
【0038】
ベース部129は、ターボ分子ポンプ100の基底部を構成する円盤状の部材であり、一般には鉄、アルミニウム、ステンレスなどの金属によって構成されている。ベース部129はターボ分子ポンプ100を物理的に保持すると共に、熱の伝導路の機能も兼ね備えているので、鉄、アルミニウムや銅などの剛性があり、熱伝導率も高い金属が使用されるのが望ましい。
【0039】
かかる構成において、回転翼102がロータ軸113と共にモータ121により回転駆動されると、回転翼102と固定翼123の作用により、吸気口101を通じてチャンバから排気ガスが吸気される。回転翼102の回転速度は通常20000rpm~90000rpmであり、回転翼102の先端での周速度は200m/s~400m/sに達する。吸気口101から吸気された排気ガスは、回転翼102と固定翼123の間を通り、ベース部129へ移送される。このとき、排気ガスが回転翼102に接触する際に生ずる摩擦熱や、モータ121で発生した熱の伝導などにより、回転翼102の温度は上昇するが、この熱は、輻射又は排気ガスの気体分子などによる伝導により固定翼123側に伝達される。
【0040】
固定翼123の外周端を支持する固定翼スペーサは、外周部で互いに接合しており、固定翼123が回転翼102から受け取った熱や排気ガスが固定翼123に接触する際に生ずる摩擦熱などを外部へと伝達する。
【0041】
また、ターボ分子ポンプ100の用途によっては、吸気口101から吸引されたガスが上側径方向電磁石104、上側径方向センサ(図示略)、モータ121、軸方向電磁石106、軸方向センサ109などで構成される電装部に侵入することのないよう、電装部は周囲をステータコラム122で覆われ、このステータコラム122内はパージガスにて所定圧に保たれる場合もある。
【0042】
この場合には、ベース部129には図示しない配管が配設され、この配管を通じてパージガスが導入される。導入されたパージガスは、保護ベアリング120とロータ軸113間、モータ121のロータとステータ間、ステータコラム122と回転翼102の内周側円筒部の間の隙間を通じて排気口133へ送出される。
【0043】
ここに、ターボ分子ポンプ100は、機種の特定と、個々に調整された固有のパラメータ(例えば、機種に対応する諸特性)に基づいた制御を要する。この制御パラメータを格納するために、上記ターボ分子ポンプ100は、その本体内に電子回路部141を備えている。電子回路部141は、EEP-ROM等の半導体メモリ及びそのアクセスのための半導体素子等の電子部品、それらの実装用の基板(図示略)等から構成される。この電子回路部141は、ターボ分子ポンプ100の下部を構成するベース部129の例えば中央付近の図示しない回転速度センサの下部に収容され、気密性の底蓋145によって閉じられている。
【0044】
ところで、半導体の製造工程では、チャンバに導入されるプロセスガスの中には、その圧力が所定値よりも高くなり、或いは、その温度が所定値よりも低くなると、固体となる性質を有するものがある。ターボ分子ポンプ100内部では、排気ガスの圧力は、吸気口101で最も低く排気口133で最も高い。プロセスガスが吸気口101から排気口133へ移送される途中で、その圧力が所定値よりも高くなったり、その温度が所定値よりも低くなったりすると、プロセスガスは、固体状となり、ターボ分子ポンプ100内部に付着して堆積する。
【0045】
例えば、Alエッチング装置にプロセスガスとしてSiCl4が使用された場合、低真空(760[torr]~10-2[torr])かつ、低温(約20[℃])のとき、固体生成物(例えばAlCl3)が析出し、ターボ分子ポンプ100内部に付着堆積することが蒸気圧曲線からわかる。これにより、ターボ分子ポンプ100内部にプロセスガスの析出物が堆積すると、この堆積物がポンプ流路を狭め、ターボ分子ポンプ100の性能を低下させる原因となる。
【0046】
そのため、この問題を解決するために、従来はベース部129等の外周に図示しないヒータや環状の水冷管(図示略)を巻着させ、かつ例えばベース部129に図示しない温度センサ(例えばサーミスタ)を埋め込み、この温度センサの信号に基づいてベース部129の温度を一定の高い温度(設定温度)に保つようにヒータの加熱や水冷管(図示略)による冷却の制御(以下TMSという。TMS;Temperature Management System)が行われている。
【0047】
次に、このように構成されるターボ分子ポンプ100に関して、その上側径方向電磁石104、及び軸方向電磁石106を励磁制御するアンプ回路150について説明する。このアンプ回路150の回路図を
図2に示す。
【0048】
図2において、上側径方向電磁石104等を構成する電磁石巻線151は、その一端がトランジスタ161を介して電源171の正極171aに接続されており、また、その他端が電流検出回路181及びトランジスタ162を介して電源171の負極171bに接続されている。そして、トランジスタ161、162は、いわゆるパワーMOSFETとなっており、そのソース-ドレイン間にダイオードが接続された構造を有している。
【0049】
このとき、トランジスタ161は、そのダイオードのカソード端子161aが正極171aに接続されるとともに、アノード端子161bが電磁石巻線151の一端と接続されるようになっている。また、トランジスタ162は、そのダイオードのカソード端子162aが電流検出回路181に接続されるとともに、アノード端子162bが負極171bと接続されるようになっている。
【0050】
一方、電流回生用のダイオード165は、そのカソード端子165aが電磁石巻線151の一端に接続されるとともに、そのアノード端子165bが負極171bに接続されるようになっている。また、これと同様に、電流回生用のダイオード166は、そのカソード端子166aが正極171aに接続されるとともに、そのアノード端子166bが電流検出回路181を介して電磁石巻線151の他端に接続されるようになっている。そして、電流検出回路181は、例えばホールセンサ式電流センサや電気抵抗素子で構成されている。
【0051】
以上のように構成されるアンプ回路150は、一つの電磁石に対応されるものである。そのため、磁気軸受が3軸制御で、電磁石104、106が合計6個ある場合には、電磁石のそれぞれについて同様のアンプ回路150が構成され、電源171に対して6個のアンプ回路150が並列に接続されるようになっている。
【0052】
さらに、アンプ制御回路191は、例えば、制御装置200の図示しないディジタル・シグナル・プロセッサ部(以下、DSP部という)によって構成され、このアンプ制御回路191は、トランジスタ161、162のon/offを切り替えるようになっている。
【0053】
アンプ制御回路191は、電流検出回路181が検出した電流値(この電流値を反映した信号を電流検出信号191cという)と所定の電流指令値とを比較するようになっている。そして、この比較結果に基づき、PWM制御による1周期である制御サイクルTs内に発生させるパルス幅の大きさ(パルス幅時間Tp1、Tp2)を決めるようになっている。その結果、このパルス幅を有するゲート駆動信号191a、191bを、アンプ制御回路191からトランジスタ161、162のゲート端子に出力するようになっている。
【0054】
なお、回転体103の回転速度の加速運転中に共振点を通過する際や定速運転中に外乱が発生した際等に、高速かつ強い力での回転体103の位置制御をする必要がある。そのため、電磁石巻線151に流れる電流の急激な増加(あるいは減少)ができるように、電源171としては、例えば50V程度の電圧が使用されるようになっている。また、電源171の正極171aと負極171bとの間には、電源171の安定化のために、通常コンデンサが接続されている(図示略)。
【0055】
かかる構成において、トランジスタ161、162の両方をonにすると、電磁石巻線151に流れる電流(以下、電磁石電流iLという)が増加し、両方をoffにすると、電磁石電流iLが減少する。
【0056】
また、トランジスタ161、162の一方をonにし他方をoffにすると、いわゆるフライホイール電流が保持される。そして、このようにアンプ回路150にフライホイール電流を流すことで、アンプ回路150におけるヒステリシス損を減少させ、回路全体としての消費電力を低く抑えることができる。また、このようにトランジスタ161、162を制御することにより、ターボ分子ポンプ100に生じる高調波等の高周波ノイズを低減することができる。さらに、このフライホイール電流を電流検出回路181で測定することで電磁石巻線151を流れる電磁石電流iLが検出可能となる。
【0057】
すなわち、検出した電流値が電流指令値より小さい場合には、
図4に示すように制御サイクルTs(例えば100μs)中で1回だけ、パルス幅時間Tp1に相当する時間分だけトランジスタ161、162の両方をonにする。そのため、この期間中の電磁石電流iLは、正極171aから負極171bへ、トランジスタ161、162を介して流し得る電流値iLmax(図示せず)に向かって増加する。
【0058】
一方、検出した電流値が電流指令値より大きい場合には、
図3に示すように制御サイクルTs中で1回だけパルス幅時間Tp2に相当する時間分だけトランジスタ161、162の両方をoffにする。そのため、この期間中の電磁石電流iLは、負極171bから正極171aへ、ダイオード165、166を介して回生し得る電流値iLmin(図示せず)に向かって減少する。
【0059】
そして、いずれの場合にも、パルス幅時間Tp1、Tp2の経過後は、トランジスタ161、162のどちらか1個をonにする。そのため、この期間中は、アンプ回路150にフライホイール電流が保持される。
【0060】
次に、能動型のラジアル方向磁力発生手段である上側径方向電磁石104とアキシャル方向磁力発生手段である軸方向電磁石106の作用について、図面に基づいて説明する。
【0061】
図5は、ターボ分子ポンプ100において回転体103を平衡点に引き戻す様子を模式的に示す図である。
図5におけるターボ分子ポンプ100では、ターボ分子ポンプ100の取り付け姿勢が非鉛直状態、すなわち水平状態で設置され、ガスを排気する回転体103の回転軸が略水平に配置されている状態を示している。
【0062】
また、回転体103を、回転軸に対するラジアル方向(径方向)に磁力で能動的に非接触支持する能動型ラジアル方向磁力発生手段としての上側径方向電磁石104と、回転軸に対するアキシャル方向(回転軸方向)に受動的に非接触支持するアキシャル方向磁力発生手段としての軸方向電磁石106が、それぞれ回転体103の重心CGより下方(排気側)に配置されている。なお、図示しないが、上側径方向電磁石104は、回転体103の重心CGより排気側に2つ設けられ、回転体103の上部箇所をラジアル方向(
図1の矢印A-A方向)においてX、Yの2方向に支持している。また、上側径方向電磁石104の内部には、回転体103のラジアル方向の変位を検出するラジアル方向変位検出手段(不図示)が設けられている。
【0063】
一方、アキシャル方向磁力発生手段は、上方向アキシャル電磁石106Aと下方向アキシャル電磁石106Bを組み合わせて回転体103の回転軸方向下側を受動的に非接触支持している軸方向電磁石106と、軸方向電磁石106の下側に配置されて、軸方向電磁石106にアキシャル方向磁力を発生させる軸方向センサ109とでなり、軸方向センサ109からの信号を、制御装置200を介して電磁石106に送り、軸方向電磁石106にアキシャル方向磁力を発生させる。
【0064】
なお、上側径方向電磁石104と軸方向電磁石106には、常に回転体103の荷重Mgが掛かっている。そして、回転体103の回転、非回転に拘わらず、回転体103が平衡点からラジアル方向Rに振れた場合、回転体103の振れや振動を効率的に制振する支持力の関係は、重心回りのモーメントによる釣り合い関係が成り立つ必要がある。
【0065】
ターボ分子ポンプ100の取り付け姿勢が鉛直状態のときは、回転体の荷重Mg(重力)と上側径方向電磁石104での支持力F1と軸方向電磁石106の支持力F2による力のつり合いを考慮する必要が無かったが、
図5に示すように、ガスを排気する方向に沿って回転体103が水平に設置されている状態において、回転体103に作用する上側径方向電磁石104による支持力F1と軸方向電磁石106による支持力F2が鉛直方向で釣り合う必要がある。なお、水平状態で説明しているのは、上側径方向電磁石104と軸方向電磁石106における負荷が多くなり、大きな支持力を発生する必要があるためである。
次に、重心CG周りのモーメントと、上述の鉛直方向の力が釣り合った、平衡点から、回転体103がラジアル方向Rに振れると、回転体103の上部には、
図6に示すように上側径方向電磁石104により回転体103を平衡点に引き戻そうとする上部モーメントMRが作用する。一方、回転体103の下部には、軸方向電磁石106(上方向アキシャル電磁石106Aと下方向アキシャル電磁石106B)の磁気抵抗に起因する下部モーメントMAが、回転体103に対して同じ向きに作用させることにより、平衡点に戻すことが可能となる。
【0066】
なお、回転体103の荷重Mg、ラジアル方向磁力発生手段である上側径方向電磁石(能動ラジアル軸受)104の支持力F1、アキシャル方向磁力発生手段である下側の軸方向電磁石(受動ラジアル軸受)106の支持力F2とした場合に、支持力F1、F2における鉛直方向の釣り合い式は、次式(1)で求められる。
Mg-F1-F2=0 ・・・(1)
【0067】
一方、上側径方向電磁石104の支持力F1と軸方向電磁石106の支持力F2による回転体103に生じる重心CG回り(制御軸回り)の傾きを拘束するモーメント式は、次式(2)で求められる。
F1×L1+F2×L2=0 ・・・(2)
式(1)および式(2)より、次式(3)、(4)が導かれる。
F1=(L2/(L2―L1))×Mg ・・・(3)
F2=-(L1/(L2―L1))×Mg ・・・(4)
つまり、水平な姿勢における鉛直方向のつり合いと重心CG周りのモーメントのつり合いを満たし、F2の力をなるべく必要としない為には、距離L1を小さくした方が良い。
L1=0のとき、F1=Mg、F2=0となる。
すなわち、重心CGをラジアル方向磁力発生手段である上側径方向電磁石(能動ラジアル軸受)104の支持力F1の発生位置に近づけた方が良い。
【0068】
また、回転体103の不釣り合いによる振れや振動をより効率的に制振するには、ラジアル方向磁力発生手段である上側径方向電磁石104が発生する磁力による発生モーメントの大きさとアキシャル方向磁力発生手段である軸方向電磁石106が発生する磁力による発生モーメントの大きさは、次式(5)を満たす必要がある。
MR+MA>MD ・・・(5)
ここで、MRとMAは次式(6)および(7)で表される。
MR=F1×L1 ・・・(6)
MA=F2×L2 ・・・(7)
一方で、下部モーメントMAに頼らないようにする為には、上部モーメントを大きくする必要があり、距離L1を大きくした方が優位となる。つまり、前述の静的な状態における、つり合いの関係とは逆に、回転体103の不釣り合いによる振れや振動をより効率的に制振するには、重心CGをラジアル方向磁力発生手段である上側径方向電磁石(能動ラジアル軸受)104の支持力F1の発生位置から、吸気口側へ遠ざけた方が良い。
よって、ターボ分子ポンプ100の取り付け姿勢が非鉛直状態となる場合は、重心CGから上側の能動ラジアル軸受である上側径方向電磁石104までの距離L1と、重心CGから受動ラジアル軸受である軸方向電磁石106までの距離L2の関係は、限定される。
上側径方向電磁石(能動ラジアル軸受)104や下側の軸方向電磁石(受動ラジアル軸受)106による支持力F1、F2を大きくする為には、大型化する必要があるが、特に、寸法の制約等により、アキシャル方向磁力発生手段である下側の軸方向電磁石(受動ラジアル軸受)106の支持力F2をあまり見込めない場合は、その範囲の限定が顕著となる。
【0069】
重心CGから上側の能動ラジアル軸受である上側径方向電磁石104までの距離L1と、重心CGから受動ラジアル軸受である軸方向電磁石106までの距離L2とは、L1:L2=1:5~1:10の範囲に設定されるのが好ましい。より好ましくは、L1:L2=1:7~1:10の範囲に設定されるのが好ましい。距離L2が距離L1の10倍より大きい場合には、上側径方向電磁石104が重心CGに接近し過ぎるため、上側径方向電磁石104による下部復元力の制御が困難になりがちである。
【0070】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変や組み合わせを成すことができ、そして、本発明が該改変や該組み合わせされたものに及ぶことは当然である。