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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168910
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】支持ユニット
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/04 20060101AFI20241128BHJP
   E21D 11/08 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
E21D11/04 A
E21D11/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085957
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000205557
【氏名又は名称】アイエスケー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(74)【代理人】
【識別番号】100142376
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】須貝 文彦
(72)【発明者】
【氏名】橋本 博英
【テーマコード(参考)】
2D155
【Fターム(参考)】
2D155BA01
2D155BB01
2D155CA01
2D155EB00
2D155GC04
(57)【要約】
【課題】設置の手間を簡略化する。
【解決手段】支持ユニット10は、ベースボルト20を備える。ベースボルト20は、頭部40と、雄ねじ部42とを有する。支持ユニット10は、突出体26をさらに備える。突出体26は、荷重支持部60と、突出基部62とを有している。突出基部62は荷重支持部60に連なる。ベースボルト20の頭部40のうちベースボルト20の雄ねじ部42が配置される側から見た裏側には受入穴50が形成されている。突出体26の突出基部62は受入穴50へ進入可能である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースボルトを備え、
前記ベースボルトが、
頭部と、
雄ねじ部とを有している支持ユニットであって、
突出体をさらに備え、
前記突出体が、
荷重支持部と、
前記荷重支持部に連なる突出基部とを有しており、
前記ベースボルトの前記頭部のうち前記ベースボルトの前記雄ねじ部が配置される側から見た裏側には受入穴が形成されており、
前記突出体の前記突出基部が前記受入穴へ進入可能であることを特徴とする支持ユニット。
【請求項2】
前記荷重支持部が、
前記突出体の前記突出基部に連なる柱状部と、
前記柱状部を介して前記突出体の前記突出基部に連なり前記柱状部よりも外径が大きい大径部とを有していることを特徴とする請求項1に記載の支持ユニット。
【請求項3】
前記柱状部に凹凸が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の支持ユニット。
【請求項4】
前記荷重支持部から張り出すように前記荷重支持部に固定される突出側張出材をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の支持ユニット。
【請求項5】
前記ベースボルトの前記頭部の前記受入穴を取外し可能に覆う被覆体をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の支持ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続凹部に充填される充填材を支持するための支持ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1はコンクリートセグメントにおける接続凹部の閉塞構造を開示する。この閉塞構造において、接続凹部の開口周縁が略矩形状に形成される。この周縁の相対向する2組の辺部のうちの一方の組の辺部に係合部が設けられる。接続凹部の底部側に向けて広がるアンダーカット状の切欠きが形成される。これにより係合部が設けられることとなる。この閉塞構造において、盤状の閉塞蓋は開口に配されてからセグメント内面に沿って略90度回転させられる。閉塞蓋の周部が係合部に係合された状態では、閉塞蓋の表面がセグメント内面と略面一である。特許文献1に開示された閉塞構造は、コンクリートセグメントの接続凹部を容易かつ短時間で閉塞できる。特許文献1に開示された閉塞構造は、充填材が落下するおそれを解消し得る。
【0003】
特許文献2は、接続凹部の閉塞部材を開示する。この閉塞部材は、取付基部と、回転部と、長穴と、支持軸と、蓋体とを備える。取付基部は、ボルト又はナットに取付けられる。そのボルト又はナットは接続凹部内側面に位置する。接続凹部は構築物等に備えられる。回転部は、取付基部に対し回動自在に取り付けられる。回転部は、ボルトおよびナットの軸線方向と略同方向を軸線方向とする。長穴は、回転部に設けられる。長穴は、軸線方向と略同方向を長手方向とする。支持軸は、その両端部に雄ねじ部を有する。支持軸は、それら両端部のうち一方の端部が長穴を貫通して長手方向にスライド自在とされる。支持軸は、ナット部材で固定される。支持軸の両端部のうち他方の端部は、軸線方向と略直交して接続凹部の開口近傍の略中央へ延出する。蓋体は、接続凹部の開口を塞ぐ。蓋体は、略中央に孔部を備える。支持軸の他方の端部が孔部を貫通する。蓋体は、他方の端部に螺着されるナット部材にて固定される。特許文献2に開示された閉塞部材は、セグメントの端縁部分に形成されている接続凹部を容易かつ正確に塞ぐ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-305595号公報
【特許文献2】特開2007-113247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された閉塞構造には、接続凹部の開口周縁を形成することが困難という問題点がある。その開口周縁が適切に形成されなければ、その開口周縁の係合部に閉塞蓋の周部を係合させることも困難となる。すなわち、特許文献1に開示された閉塞構造には、コンクリートセグメントへの設置が困難という問題点がある。特許文献2に開示された閉塞部材には、設置に手間がかかるという問題点がある。本発明は、このような問題を解決するものである。本発明の目的は、設置の手間を簡略化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
図面に基づき本発明の支持ユニットが説明される。なおこの欄で図中の符号を使用したのは発明の内容の理解を助けるためであって内容を図示した範囲に限定する意図ではない。
【0007】
上述された課題を解決するために、本発明のある局面に従うと、支持ユニット10,12は、ベースボルト20を備える。ベースボルト20は、頭部40と、雄ねじ部42とを有する。支持ユニット10,12は、突出体26,80をさらに備える。突出体26,80は、荷重支持部60,82と、突出基部62とを有している。突出基部62は荷重支持部60,82に連なる。ベースボルト20の頭部40のうちベースボルト20の雄ねじ部42が配置される側から見た裏側には受入穴50が形成されている。突出体26,80の突出基部62は受入穴50へ進入可能である。
【0008】
突出体26,80の突出基部62が受入穴50へ進入すると突出体26,80の荷重支持部60,82は接続凹部120,122内に配置されることとなる。これにより、その荷重支持部60,82は充填材140を支持可能となる。本実施形態にかかる支持ユニット10,12は、接続凹部120,122内に配置されるベースボルト20によって設置可能となる。これにより、接続凹部120,122内に充填される充填材140を支持するための物の設置の手間が簡略化される。
【0009】
また、上述された荷重支持部60が柱状部70と大径部72とを有していることが望ましい。柱状部70は、突出体26の突出基部62に連なる。大径部72は、柱状部70を介して突出体26の突出基部62に連なる。大径部72は、柱状部70よりも外径が大きい。
【0010】
大径部72の外径が柱状部70の外径よりも大きいと、大径部72の外径が柱状部70の外径以下の場合に比べて、荷重支持部60における充填材140への接触面積が大きくなる。接触面積が大きくなると、経年劣化により充填材140が脆化した際にその充填材140が接続凹部120内から落下し難くなる。
【0011】
もしくは、上述された柱状部70に凹凸が形成されていることが望ましい。柱状部70に凹凸が形成されていると、柱状部70の表面が平滑な場合に比べて、充填材140への接触面積が大きくなる。接触面積が大きくなると、経年劣化により充填材140が脆化した際にその充填材140が接続凹部120,122内から落下し難くなる。
【0012】
また、上述された支持ユニット10が、突出側張出材28をさらに備えることが望ましい。突出側張出材28は荷重支持部60から張り出すように荷重支持部60に固定される。これにより、支持ユニット10が突出側張出材28を備えない場合に比べて、充填材140に対する上述された支持ユニット10の接触面積が大きくなる。接触面積が大きくなると、経年劣化により充填材140が脆化した際にその充填材140が接続凹部120,122内から落下し難くなる。
【0013】
また、上述された支持ユニット10,12が、被覆体36をさらに備えることが望ましい。被覆体36は、ベースボルト20の頭部40の受入穴50を取外し可能に覆う。ベースボルト20の頭部40の受入穴50を被覆体36が取外し可能に覆うと、被覆体36が取外されるまで受入穴50の内部に粉塵その他の異物が進入する可能性を軽減できる。その可能性が軽減されると、突出体26,80の突出基部62の受入穴50への進入がその異物に起因して妨げられる可能性を軽減できる。その結果、設置の手間が簡略化される。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、設置の手間を簡略化し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のある実施形態にかかる一次覆工の概念図である。
図2】本発明のある実施形態にかかるコンクリートセグメントの連結箇所が示された図である。
図3】本発明のある実施形態にかかる支持ユニットの構成が示される図である。
図4】本発明のある実施形態にかかるベースボルトおよびこれに一端が進入した突出体の図である。
図5】本発明のある変形例にかかる突出体の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明が図面に基づき詳細に説明される。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付される。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0017】
[構成の説明]
図1は、本実施形態にかかる一次覆工の概念図である。図示されないシールドマシンによってこの一次覆工が組み立てられる。図1に示された一次覆工は多数のコンクリートセグメント100,100,100,100が連結されたものである。
【0018】
図2は、本実施形態にかかるコンクリートセグメント100,100,100,100の連結箇所が示された図である。本実施形態にかかるコンクリートセグメント100,100,100,100それぞれに複数の周方向接続凹部120,120と複数の軸方向接続凹部122,122とが形成されている。それらの周方向接続凹部120,120と軸方向接続凹部122,122とを介して本実施形態にかかるコンクリートセグメント100,100の対は互いに接続される。その接続のための構成は後述される。本実施形態にかかる一次覆工の完成時、周方向接続凹部120,120内と軸方向接続凹部122,122内とには周知のモルタル140が充填される。
【0019】
図3は、本実施形態にかかる支持ユニット10の構成が示される図である。図4は、本実施形態にかかるベースボルト20およびこれに一端が進入した突出体26の図である。図3において、ベース側張出材32,32の対のうち一方の向きは他方の向きと異なる。これにより、図3において、張出材固定ナット34,34の対の一方の一部がベース側張出材32,32の対のうち一方によって遮られている。その遮られた部分は図3において破線により示されている。図4において、ベースボルト20の一部は切り欠かれている。図3および図4に基づいて、本実施形態にかかる支持ユニット10の構成が説明される。
【0020】
本実施形態にかかる支持ユニット10は、周方向接続凹部120,120内に設置される。本実施形態にかかる支持ユニット10は、ベースボルト20,20の対と、接続ナット22,22の対と、4枚の座金24,24,24,24と、突出体26,26の対と、突出側張出材28と、張出材固定材30,30の対と、ベース側張出材32,32の対と、張出材固定ナット34,34の対とを備える。
【0021】
本実施形態にかかるコンクリートセグメント100の周方向接続凹部120には図示されない貫通孔が形成されている。本実施形態にかかるコンクリートセグメント100,100の対の接続にあたり、ベースボルト20は互いに接する周方向接続凹部120,120の貫通孔を貫通する。接続ナット22は、それらの貫通孔を貫通したベースボルト20に螺合される。それらの貫通孔を貫通したベースボルト20と接続ナット22との螺合に伴い、コンクリートセグメント100,100の対は接続される。あるコンクリートセグメント100に接続されたコンクリートセグメント100が他のコンクリートセグメント100にも接続されることで、複数のコンクリートセグメント100,100,100が連結される。
【0022】
1本のベースボルト20が2枚の座金24,24を貫通する。それら2枚の座金24,24は、上述された互いに接する周方向接続凹部120,120の一方の内部と他方の内部とに配置される。これにより、それら2枚の座金24,24は、周方向接続凹部120,120の内周面にそれぞれ接することとなる。
【0023】
突出体26はベースボルト20に連なる。突出側張出材28は、突出体26,26の対の間に渡されるように配置される。突出側張出材28は、後述される突出体26の荷重支持部60と共に上述されたモルタル140から荷重を受ける。本実施形態の場合、突出体26は周知の六角ボルトからなる。本実施形態の場合、突出側張出材28は周知の寸切りボルトからなる。張出材固定材30,30の対は、突出側張出材28を突出体26,26の対の一方の先端と他方の先端とに固定する。本実施形態の場合、張出材固定材30は周知の線材からなる。その線材である張出材固定材30が突出体26と突出側張出材28との交差箇所に巻き付けられることで突出側張出材28は突出体26に固定される。ベース側張出材32は、張出材固定ナット34によってベースボルト20に固定される。そのための具体的な構成は後述される。
【0024】
本実施形態にかかるベースボルト20は、頭部40と、雄ねじ部42とを有する。頭部40のうち次に述べられる面に受入穴50が形成されている。その面は、頭部40のうち雄ねじ部42が配置される側から見た裏側である。なお、本実施形態の場合、受入穴50の内周面には雌ねじが形成されている。
【0025】
本実施形態にかかる突出体26は、荷重支持部60と、突出基部62とを有する。荷重支持部60は、上述されたモルタル140から荷重を受ける。突出基部62は、荷重支持部60に連なる。上述されたように、本実施形態の場合、突出体26は周知の六角ボルトからなる。したがって、本実施形態の場合、荷重支持部60と突出基部62とは一体となっている。荷重支持部60は、上述されたモルタル140から荷重を受ける。突出基部62には雄ねじが形成されている。その雄ねじは、ベースボルト20の頭部40の受入穴50に形成された雌ねじに螺合可能である。これにより、突出基部62はベースボルト20の頭部40に進入可能となる。
【0026】
本実施形態にかかる荷重支持部60は、柱状部70と大径部72とを有している。柱状部70は、突出基部62に直接連なる。大径部72は、柱状部70を介して突出基部62に連なる。大径部72は、柱状部70よりも外径が大きい。
【0027】
本実施形態の場合、柱状部70には雄ねじが形成されている。上述されたように、本実施形態の場合、突出体26は周知の六角ボルトからなる。したがって、柱状部70の雄ねじは突出基部62の雄ねじと一体となっている。柱状部70の雄ねじは上述されたモルタル140と接触する凹凸として作用する。
【0028】
本実施形態の場合、ベース側張出材32は、並列支持部90,90の対と、貫通孔形成基部92とを有する。本実施形態の場合、並列支持部90,90の対と、貫通孔形成基部92とは一体となっている。並列支持部90,90の対は互いに沿うように拡がる。本実施形態の場合、並列支持部90は板状である。並列支持部90,90の対はそれぞれ上述されたモルタル140から荷重を受ける。貫通孔形成基部92から並列支持部90,90の対が突出する。本実施形態の場合、貫通孔形成基部92も板状である。貫通孔形成基部92には図示されない孔が形成されている。ベースボルト20の雄ねじ部42はその孔を貫通する。貫通孔形成基部92の図示されない孔を貫通した雄ねじ部42へ張出材固定ナット34が螺合する。これにより、貫通孔形成基部92は接続ナット22と張出材固定ナット34とによって挟まれることとなる。貫通孔形成基部92が接続ナット22と張出材固定ナット34とによって挟まれることにより、ベース側張出材32はベースボルト20に固定されることとなる。このように固定されることから、本実施形態にかかるベース側張出材32,32はベースボルト20の中心を軸として自在に向きを変え得る。このように向きを変え得ることから、本実施形態にかかるベース側張出材32,32は固化したモルタル140を支持してその脱落を防止するという用途に適した方向を向くよう配置し得る。
【0029】
なお、本実施形態にかかる支持ユニット10は、被覆体36,36の対をさらに備える。本実施形態にかかる支持ユニット10を構成する各部材は使用直前まで互いに接続されていない。したがって、その使用直前までベースボルト20の頭部40の受入穴50には突出体26の突出基部62が進入していない。その進入まで、被覆体36はベースボルト20の頭部40の受入穴50を取外し可能に覆う。このように被覆体36が受入穴50を覆うことで、受入穴50の内部に粉塵その他の異物が進入する可能性は軽減される。その可能性が軽減されるので、突出体26の受入穴50への進入がその異物に起因して妨げられる可能性は軽減される。
【0030】
次に、本実施形態にかかる支持ユニット12の構成が説明される。本実施形態にかかる支持ユニット12は、軸方向接続凹部122,122内に設置される。
【0031】
本実施形態にかかる支持ユニット12は、ベースボルト20と、接続ナット22と、座金24,24の対と、突出体26と、被覆体36とを備える。本実施形態にかかる支持ユニット12を構成する各部材は本実施形態にかかる支持ユニット10を構成する各部材と同一である。したがって、ここではその詳細な説明は繰り返されない。
【0032】
[使用方法の説明]
本実施形態にかかる支持ユニット10は、次に述べられる手順で使用される。すなわち、シールド工その他の作業員は、本実施形態にかかる支持ユニット10のベースボルト20,20それぞれに、座金24,24を1枚ずつ貫通させておく。次いで、作業員は、次に述べられるコンクリートセグメント100の周方向接続凹部120の図示されない貫通孔のうち本実施形態にかかるベースボルト20,20の貫通が予定されていないものすべてに周知のボルトを貫通させる。そのコンクリートセグメント100は、既に設置済のコンクリートセグメント100の隣へエレクタによって新たに設置されたものである。本実施形態の場合、それらコンクリートセグメント100の周方向接続凹部120,120には貫通孔が複数個設けられている。作業員は、それらの貫通孔のうち2個を本実施形態にかかる支持ユニット10のベースボルト20,20に貫通させる。残る貫通孔を上述された周知のボルトが貫通する。それら周知のボルトは、その貫通に伴い、既に設置済のコンクリートセグメント100の周方向接続凹部120の図示されない貫通孔も貫通する。周知のボルトの貫通の後、作業員は、それらのボルトへ周知のナットを螺合させる。
【0033】
次いで、作業員は、それら周方向接続凹部120の貫通孔のうち本実施形態にかかるベースボルト20,20の貫通が予定されているものにそれらベースボルト20,20を貫通させる。これに伴い、ベースボルト20,20は、既に設置済のコンクリートセグメント100の周方向接続凹部120の図示されない貫通孔も貫通する。ベースボルト20,20がそれらの貫通孔を貫通すると、作業員は、それらのベースボルト20,20それぞれに本実施形態にかかる支持ユニット10を構成する残りの座金24,24を1枚ずつ貫通させる。残りの座金24,24が貫通すると、作業員はそれらのベースボルト20,20それぞれに接続ナット22,22を螺合させる。
【0034】
接続ナット22,22が螺合させられると、作業員は、それらのベースボルト20,20それぞれの雄ねじ部42,42にベース側張出材32の貫通孔形成基部92に形成されている孔を貫通させる。それらの雄ねじ部42,42が貫通孔形成基部92に形成されている孔をそれぞれ貫通すると、作業員はそれらの雄ねじ部42,42それぞれへ張出材固定ナット34,34を1個ずつ螺合させる。言うまでもないことであるが、その螺合の際、ベース側張出材32の向きは次に述べられる問題の生じない向きとされることが望ましい。その問題とは、ベース側張出材32がコンクリートセグメント100の内周面から突出するという問題、および、周方向接続凹部120の内部へのモルタル140の充填がベース側張出材32によって妨げられるという問題である。
【0035】
張出材固定ナット34,34が螺合させられると、作業員は、ベースボルト20の頭部40からこれを覆っていた被覆体36を取り外す。被覆体36が取り外されると、作業員は、露出した頭部40の受入穴50の雌ねじに突出体26の突出基部62の雄ねじを螺合させる。これにより本実施形態にかかる支持ユニット10のベースボルト20,20の対それぞれに突出体26が接続されることとなる。
【0036】
本実施形態にかかる支持ユニット10のベースボルト20,20の対それぞれに突出体26が接続されると、作業員は、それら突出体26,26の対の間に突出側張出材28を渡してその突出側張出材28の両端を突出体26,26の先端に固定する。その固定は突出体26と突出側張出材28との交差箇所に張出材固定材30が巻き付けられることによる。その固定によって本実施形態にかかる支持ユニット10の設置が完了する。また、これにより、既に設置済のコンクリートセグメント100とエレクタによって新たに設置されたコンクリートセグメント100との周方向接続凹部120,120間の接続が完了する。
【0037】
周方向接続凹部120,120間の接続が完了すると、作業員はそれらの周方向接続凹部120,120に周知のモルタル140を充填する。そのモルタル140が固化すると、そのモルタル140は本実施形態にかかる支持ユニット10の突出体26,26の対と突出側張出材28とベース側張出材32,32の対とによって支持されることとなる。
【0038】
本実施形態にかかる支持ユニット12は、次に述べられる点を除けば本実施形態にかかる支持ユニット10と同様の手順で使用される。その点とは、突出側張出材28の両端が突出体26,26の先端に固定される点およびベース側張出材32がベースボルト20に固定される点である。すなわち、本実施形態にかかる支持ユニット12の使用にあたっては、突出側張出材28は突出体26の先端に固定されない。したがって、張出材固定材30は用いられない。ベース側張出材32はベースボルト20に固定されない。したがって、張出材固定ナット34はベースボルト20に螺合されない。これらの点を除けば本実施形態にかかる支持ユニット12は本実施形態にかかる支持ユニット10と同様の手順で使用されることから、本実施形態にかかる支持ユニット12の使用手順の詳細な説明はここでは繰り返されない。
【0039】
[効果の説明]
本実施形態にかかる突出体26の突出基部62が受入穴50へ進入すると突出体26の荷重支持部60は周方向接続凹部120内又は軸方向接続凹部122内に配置されることとなる。これにより、その荷重支持部60はモルタル140を支持可能となる。本実施形態にかかる支持ユニット10,12は、周方向接続凹部120,120同士の接続および軸方向接続凹部122,122同士の接続に用いられるベースボルト20によって設置可能となる。これにより、周方向接続凹部120内又は軸方向接続凹部122内に充填されるモルタル140を支持するための物の設置の手間が簡略化される。
【0040】
〈変形例の説明〉
上述された支持ユニット10,12は、本発明の技術的思想を具体化するために例示したものである。上述された支持ユニット10,12は、本発明の技術的思想の範囲内において種々の変更を加え得るものである。
【0041】
図5は、ある変形例にかかる突出体80の外観図である。この変形例にかかる突出体80は、荷重支持部82と、突出基部62とを有する。上述されたものと同様に、この荷重支持部82も、モルタル140から荷重を受ける。この荷重支持部82にも凹凸が形成されている。この凹凸は鉄筋コンクリートの鉄筋に形成されているものと同様の凹凸である。上述された支持ユニット10,12は、この突出体80を備えていてもよい。さらに、荷重支持部の表面の形態は特に限定されない。
【0042】
また、上述された接続ナット22は、周方向接続凹部120内または軸方向接続凹部122内に設置されるものに限定されない。例えば、接続ナット22は、いわゆる袋ナット式の継手の一部として上述されたコンクリートセグメント100に埋設されているものであってもよい。
【0043】
また、上述された支持ユニット10,12は、いずれも、接続ナット22と座金24と被覆体36とのうちいずれかを備えていなくてもよい。例えば、ベースボルト20は、接続ナット22に代え、任意の部材に形成された雌ねじと螺合するものであってもよい。ベースボルト20は、雌ねじと螺合するのではなく、上述されたコンクリートセグメント100に埋設されている周知のインサート金具に挿入され固定されるものであってもよい。
【0044】
また、上述されたベース側張出材32の形態は特に限定されない。例えば並列支持部90に孔が形成されていてもよい。そのような孔が形成されていると、上述されたモルタル140がその孔の中へ進入することとなるので、ベース側張出材32はモルタル140と一体化しやすくなる。また、ベース側張出材32の形態が特に限定されないので、上述された支持ユニット10は、張出材固定ナット34を備えていなくてもよい。上述されたベース側張出材32の形態の例には、次に述べられるものがある。それらは、一端に雌ねじが形成された棒状、雄ねじ部42が進入するとその雄ねじ部42を抜けないように保持する周知の部材と同様の形態、周知の線材によって雄ねじ部42への固定が可能な金網状といったものである。上述されたベース側張出材32の形態はこれらの組み合わせであってもよい。例えば、上述されたベース側張出材32の形態は、一端に雌ねじが形成された棒状の部材と金網状の部材と周知の線材とを有するものであってもよい。その場合、一端に雌ねじが形成された棒状の部材を雄ねじ部42に螺合させ、その棒状の部材と接続ナット22とへ金網状の部材をその線材によって固定してもよい。
【0045】
上述された支持ユニット10,12は、いずれも、周方向接続凹部120内および軸方向接続凹部122内のいずれに設置されてもよい。また、上述された支持ユニット10が用いられるのは、周方向接続凹部120および軸方向接続凹部122を共に有するものに限定されない。例えば、周方向接続凹部120または軸方向接続凹部122の一方に代えていわゆる片側インサートを有するセグメントに用いられてもよい。その場合、上述された支持ユニット10,12は、周方向接続凹部120または軸方向接続凹部122のうち他方に用いられてもよい。
【0046】
上述された支持ユニット10,12の設置にあたっては、互いに接続される周方向接続凹部120,120のいずれに突出体26が配置されてもよい。したがって、互いに接続される周方向接続凹部120,120に複数の支持ユニット10,12が設置される場合、次に述べられる設置であってもよい。その設置とは、それらの支持ユニット10,12の一部が備える突出体26がそれらの周方向接続凹部120,120の一方に配置されるものである。この場合、それらの支持ユニット10,12の残りが備える突出体26がそれらの周方向接続凹部120,120の他方に配置されることとなる。
【0047】
また、上述された支持ユニット10は、2本以上の突出側張出材28を備えていてもよい。それら2本以上の突出側張出材28が各々張出材固定材30によって突出体26に固定されることは言うまでもない。また、上述された支持ユニット12において、突出体26には、突出側張出材28が片持ち梁状に固定されてもよい。
【0048】
また、上述された突出体26,80の突出基部62が受入穴50に接続されるための具体的な構成は特に限定されない。例えば、突出基部62は受入穴50の中へ単に進入しているだけでもよい。
【0049】
周方向接続凹部120内又は軸方向接続凹部122内に充填される充填材ひいては上述された支持ユニット10,12が支持する充填材はモルタル140に限定されない。
【符号の説明】
【0050】
10,12…支持ユニット
20…ベースボルト
22…接続ナット
24…座金
26,80…突出体
28…突出側張出材
30…張出材固定材
32…ベース側張出材
34…張出材固定ナット
36…被覆体
40…頭部
42…雄ねじ部
50…受入穴
60,82…荷重支持部
62…突出基部
70…柱状部
72…大径部
90…並列支持部
92…貫通孔形成基部
100…コンクリートセグメント
120…周方向接続凹部
122…軸方向接続凹部
140…モルタル
図1
図2
図3
図4
図5