(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168914
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】調光ガラス制御システム
(51)【国際特許分類】
E06B 9/24 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
E06B9/24 C
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085961
(22)【出願日】2023-05-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】523196600
【氏名又は名称】株式会社スポットライフ
(74)【代理人】
【識別番号】100153268
【弁理士】
【氏名又は名称】吉原 朋重
(72)【発明者】
【氏名】鎌形 俊裕
(72)【発明者】
【氏名】小濱 俊介
(57)【要約】
【課題】
明るさに基づいて調光ガラスのON・OFF制御を行う場合、頻繁に切替制御が行われるチャタリング及びそれに伴う関連機器の短寿命化を防止する。
【解決手段】
調光ガラス部付近の明るさの計測結果と調光ガラス部の透明・不透明を切り替えるための明るさ閾値とを比較する比較手段と、計測結果が明るさ閾値より大の場合、調光ガラス部に対し、不透明に状態変化するように指示を行い、計測結果が明るさ閾値より小の場合、調光ガラス部に対し、透明に状態変化するように指示を行う指示手段と、調光ガラス部に対し、不透明に状態変化するように指示を行う場合、明るさ閾値を所定値だけ引き下げ、調光ガラス部に対し、透明に状態変化するように指示を行う場合、明るさ閾値を所定値だけ引き上げる閾値変更手段と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ON・OFF制御により透明・不透明と状態変化する調光フィルムを板ガラスで挟み込んでなる調光ガラス部と、前記調光ガラス部付近に設置され、前記調光ガラス部付近の明るさを計測するセンサー部と、前記センサー部の計測結果に基づいて、前記調光ガラス部に対しON・OFF制御を行うコントローラー部と、を含む調光ガラス制御システムであって、
前記コントローラー部が、
前記計測結果と前記調光ガラス部の透明・不透明を切り替えるための明るさ閾値とを比較する比較手段と、
前記計測結果が前記明るさ閾値より大の場合、前記調光ガラス部に対し、不透明に状態変化するように指示を行い、前記計測結果が前記明るさ閾値より小の場合、前記調光ガラス部に対し、透明に状態変化するように指示を行う指示手段と、
前記調光ガラス部に対し、不透明に状態変化するように指示を行う場合、前記明るさ閾値を所定値だけ引き下げ、前記調光ガラス部に対し、透明に状態変化するように指示を行う場合、前記明るさ閾値を所定値だけ引き上げる閾値変更手段と、を有することを特徴とする調光ガラス制御システム。
【請求項2】
前記コントローラー部が、
ユーザーによる前記調光ガラス部の透明・不透明を切り替える明るさを変更する操作を受け付ける変更受付手段と、
前記操作を受け付けたとき、変更後の前記明るさに対応する前記センサー部の前記計測結果が前記明るさ閾値と等しくなるように前記計測結果の大きさを調整する調整手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載の調光ガラス制御システム。
【請求項3】
前記センサー部を垂直な面に設置する場合、前記センサー部の備える明るさセンサー面が斜め上方を向いていることを特徴とする請求項1に記載の調光ガラス制御システム。
【請求項4】
ON・OFF制御により透明・不透明と状態変化する調光フィルムを板ガラスで挟み込んでなる調光ガラス部と、前記調光ガラス部付近に設置され、前記調光ガラス部付近の明るさを計測するセンサー部と、を含む調光ガラス制御システムにおける、前記センサー部の計測結果に基づいて、前記調光ガラス部に対しON・OFF制御を行うコントローラー部であって、
前記計測結果と前記調光ガラス部の透明・不透明を切り替えるための明るさ閾値とを比較する比較手段と、
前記計測結果が前記明るさ閾値より大の場合、前記調光ガラス部に対し、不透明に状態変化するように指示を行い、前記計測結果が前記明るさ閾値より小の場合、前記調光ガラス部に対し、透明に状態変化するように指示を行う指示手段と、
前記調光ガラス部に対し、不透明に状態変化するように指示を行う場合、前記明るさ閾値を所定値だけ引き下げ、前記調光ガラス部に対し、透明に状態変化するように指示を行う場合、前記明るさ閾値を所定値だけ引き上げる閾値変更手段と、を有することを特徴とするコントローラー部。
【請求項5】
ユーザーによる前記調光ガラス部の透明・不透明を切り替える明るさを変更する操作を受け付ける変更受付手段と、
前記操作を受け付けたとき、変更後の前記明るさに対応する前記センサー部の前記計測結果が前記明るさ閾値と等しくなるように前記計測結果の大きさを調整する調整手段と、を有することを特徴とする請求項4に記載のコントローラー部。
【請求項6】
ON・OFF制御により透明・不透明と状態変化する調光フィルムを板ガラスで挟み込んでなる調光ガラス部と、前記調光ガラス部付近に設置され、前記調光ガラス部付近の明るさを計測するセンサー部と、前記センサー部の計測結果に基づいて、前記調光ガラス部に対しON・OFF制御を行うコントローラー部と、を含む調光ガラス制御システムにおける調光ガラス制御方法であって、
前記コントローラー部において、
比較手段が、前記計測結果と前記調光ガラス部の透明・不透明を切り替えるための明るさ閾値とを比較するステップと、
指示手段が、前記計測結果が前記明るさ閾値より大の場合、前記調光ガラス部に対し、不透明に状態変化するように指示を行い、前記計測結果が前記明るさ閾値より小の場合、前記調光ガラス部に対し、透明に状態変化するように指示を行うステップと、
閾値変更手段が、前記調光ガラス部に対し、不透明に状態変化するように指示を行う場合、前記明るさ閾値を所定値だけ引き下げ、前記調光ガラス部に対し、透明に状態変化するように指示を行う場合、前記明るさ閾値を所定値だけ引き上げるステップと、を含むことを特徴とする調光ガラス制御方法。
【請求項7】
前記コントローラー部において、
変更受付手段が、ユーザーによる前記調光ガラス部の透明・不透明を切り替える明るさを変更する操作を受け付けるステップと、
調整手段が、前記操作を受け付けたとき、変更後の前記明るさに対応する前記センサー部の前記計測結果が前記明るさ閾値と等しくなるように前記計測結果の大きさを調整するステップと、を含むことを特徴とする請求項6に記載の調光ガラス制御方法。
【請求項8】
ON・OFF制御により透明・不透明と状態変化する調光フィルムを板ガラスで挟み込んでなる調光ガラス部と、前記調光ガラス部付近に設置され、前記調光ガラス部付近の明るさを計測するセンサー部と、を含む調光ガラス制御システムにおける、前記センサー部の計測結果に基づいて、前記調光ガラス部に対しON・OFF制御を行うコントローラー部において行われる制御方法であって、
比較手段が、前記計測結果と前記調光ガラス部の透明・不透明を切り替えるための明るさ閾値とを比較するステップと、
指示手段が、前記計測結果が前記明るさ閾値より大の場合、前記調光ガラス部に対し、不透明に状態変化するように指示を行い、前記計測結果が前記明るさ閾値より小の場合、前記調光ガラス部に対し、透明に状態変化するように指示を行うステップと、
閾値変更手段が、前記調光ガラス部に対し、不透明に状態変化するように指示を行う場合、前記明るさ閾値を所定値だけ引き下げ、前記調光ガラス部に対し、透明に状態変化するように指示を行う場合、前記明るさ閾値を所定値だけ引き上げるステップと、を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項9】
変更受付手段が、ユーザーによる前記調光ガラス部の透明・不透明を切り替える明るさを変更する操作を受け付けるステップと、
調整手段が、前記操作を受け付けたとき、変更後の前記明るさに対応する前記センサー部の前記計測結果が前記明るさ閾値と等しくなるように前記計測結果の大きさを調整するステップと、を含むことを特徴とする請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
コンピューターに、請求項8又は9に記載の方法を実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
調光ガラスの透明・不透明の制御を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
建物に設置される透明なガラスや窓は、内外部問わず見通しが良く、室内を広く感じさせてくれる。一方、人には他人に見られたくないというニーズがあり、透明なガラスや窓では、プライバシーが保護されないと感じさせられる場面もある。他方、カーテンやブラインドは、透明なガラスや窓の長所を承継し、その短所も解決している。
しかし、そのカーテンやブラインドであっても、設置場所を取ってしまいデッドスペースを生んでしまう、開閉の操作が面倒である等の短所もある。
【0003】
その様な背景下、ON・OFF制御により透明・不透明となり、ガラスや窓と共に利用可能な調光フィルム(調光ガラス)が開発されている。例えば、特許文献1では、建物内に存在する複数のセンサから得られるセンサ情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記センサ情報に基づいて、前記建物の一部の開口部に設置された調光フィルムの透過率を制御する制御部と、を備える調光制御装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術においては、室外(太陽光)の明るさに基づいて、窓ガラスの透明・不透明を変化させる制御システムに転用する場合、明るさの揺らぎによって、切替動作が頻繁に起こり、関連機器の短寿命化を招いてしまうという問題点があった。
【0006】
そこで本発明では、上記問題点を鑑み、明るさに基づいて調光ガラスのON・OFF制御を行う場合、頻繁に切替制御が行われるチャタリング及びそれに伴う関連機器の短寿命化を防止する調光ガラス制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示する調光ガラス制御システムの一形態は、ON・OFF制御により透明・不透明と状態変化する調光フィルムを板ガラスで挟み込んでなる調光ガラス部と、前記調光ガラス部付近に設置され、前記調光ガラス部付近の明るさを計測するセンサー部と、前記センサー部の計測結果に基づいて、前記調光ガラス部に対しON・OFF制御を行うコントローラー部と、を含む調光ガラス制御システムであって、前記コントローラー部が、前記計測結果と前記調光ガラス部の透明・不透明を切り替えるための明るさ閾値とを比較する比較手段と、前記計測結果が前記明るさ閾値より大の場合、前記調光ガラス部に対し、不透明に状態変化するように指示を行い、前記計測結果が前記明るさ閾値より小の場合、前記調光ガラス部に対し、透明に状態変化するように指示を行う指示手段と、前記調光ガラス部に対し、不透明に状態変化するように指示を行う場合、前記明るさ閾値を所定値だけ引き下げ、前記調光ガラス部に対し、透明に状態変化するように指示を行う場合、前記明るさ閾値を所定値だけ引き上げる閾値変更手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
開示する調光ガラス制御システムは、明るさに基づいて調光ガラスのON・OFF制御を行う場合、頻繁に切替制御が行われるチャタリング及びそれに伴う関連機器の短寿命化を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態に係る調光ガラス制御システムの全体概要を説明する図である。
【
図2】本実施の形態に係る調光ガラス部の概要を説明する図である。
【
図3】本実施の形態に係るセンサー部の概要を説明する図である。
【
図4】本実施の形態に係る調光ガラス制御システムの機能ブロック図である。
【
図5】本実施の形態に係る比較手段、指示手段及び閾値変更手段の処理を説明するための図である。
【
図6】本実施の形態に係る変更受付手段及び調整手段の処理を説明するための図である。
【
図7】本実施の形態に係るコントローラー部のハードウエア構成例を示す図である。
【
図8】本実施の形態に係る調光ガラス制御システムによる明るさが増す時の処理例の流れを示すフローチャートである。
【
図9】本実施の形態に係る調光ガラス制御システムによる明るさが減少する時の処理例の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について説明する。
(本実施の形態に係る調光ガラス制御システムの動作原理)
【0011】
図1乃至6を用いて、本実施の形態に係る調光ガラス制御システム(以下、単に「本システム」という。)100の動作原理について説明する。
図1は、本システム100の全体概要を説明する図であり、
図2及び3は、本システム100の構成要素である調光ガラス部110及びセンサー部120それぞれの模式図であり、
図4は、本システム100の機能ブロック図である。
【0012】
図1で示すように、本システム100は、調光ガラス部110、センサー部120、コントローラー部130を有し、調光ガラス部110とコントローラー部130とが接続され、センサー部120とコントローラー部130とが接続される。
【0013】
図2で示すように、調光ガラス部110は、電気信号のON・OFF制御により透明な状態と不透明な状態とが切り替わる調光フィルム210を板ガラス220で挟み込んで構成される。調光フィルム210は、電気信号のON・OFF制御によって透明・不透明が切替われば良く、ON・OFFのどちらが透明又は不透明なのかは、どちらでも良く、限定されない。調光フィルム210は、後述するように、コントローラー部130からのON・OFF指示に基づいて、透明・不透明が切り替わる仕組みである。調光ガラス部110は、明るさが基準値280を下回る(暗い)とき、外部からの光を透過させる透明な状態230となり、明るさが基準値280を上回る(明るい)とき、外部からの光を遮断する不透明な状態240となる。
【0014】
図1及び3で示すように、センサー部120は、調光ガラス部110付近に設置され、調光ガラス部110付近の明るさを計測し、その計測結果260をコントローラー部130に通知する。従って、センサー部120は、コントローラー部130に接続される。センサー部120は、明るさを計測するためのセンサー面250を備える。
【0015】
センサー部120を垂直な面(壁面等)に設置するとき、明るさセンサー面250が斜め上方を向いていることが好適である。これは、太陽光を効率良く受光するためであり、また、本システム100に関しユーザーの体感に合わせた制御を行うためである。
なお、センサー部120が計測する明るさは、例えば、照度(ルクス)、光度(カンデラ)、光束(ルーメン)等であり、これらに限定するものではない。
コントローラー部130は、センサー部120の計測結果260に基づいて、調光ガラス部110に対しON・OFF制御を行う。
図4で示すように、コントローラー部130は、比較手段140、指示手段150、閾値変更手段160、変更受付手段170、調整手段180を有する。
【0016】
比較手段140は、計測結果260と、調光ガラス部110の透明・不透明を切り替える明るさの基準となる明るさ閾値270と、を比較する。計測結果260及び明るさ閾値270の単位は、明るさセンサー面250が測定した計測結果を表す電気信号(電圧等)のように、明るさを表す情報であれば良く、その単位は特に限定されない。
【0017】
指示手段150は、計測結果260が明るさ閾値270より大のとき、調光ガラス部110に対し、不透明に状態変化するように指示を行う。このとき、調光ガラス部110は、指示手段150による状態変化の指示に従い、透明な状態230から不透明な状態240へと変化する。
【0018】
指示手段150は、計測結果260が明るさ閾値270より小のとき、調光ガラス部110に対し、透明に状態変化するように指示を行う。このとき、調光ガラス部110は、指示手段150による状態変化の指示に従い、不透明な状態240から透明な状態230へと変化する。
【0019】
閾値変更手段160は、調光ガラス部110に対し不透明な状態240に変化するように指示を行うとき、明るさ閾値270を所定値だけ引き下げる。また、閾値変更手段160は、調光ガラス部110に対し透明な状態230に変化するように指示を行うとき、明るさ閾値270を所定値だけ引き上げる。
【0020】
図5で示すように、センサー部120が計測する明るさ(例えば、太陽光の強度)は、「暗」から「明」に変化する場合も、「明」から「暗」に変化する場合も、直線的に変化するわけではない。センサー部120が計測する明るさは、短時間のうちに上下の振動を繰り返しながら、全体傾向として「暗」から「明」に変化し、また、「明」から「暗」に変化する。
【0021】
そのような背景下、閾値変更手段160による処理が無い場合、指示手段150による調光ガラス部110のON・OFF制御は、短時間のうちに何回も行われることになる。
図5(1)のセンサー部120が計測する明るさが「暗」から「明」に変化する例、(2)の「明」から「暗」に変化する例何れの場合も、5回のON・OFF切替制御が行われることとなる。
【0022】
一方、閾値変更手段160による明るさ閾値270の変更幅を明るさの計測値の振動幅に応じ適切に設定する場合、指示手段150による調光ガラス部110のON・OFF制御の回数は、上記の場合よりも減少する可能性が高い。
図5で示すように、閾値変更手段160による明るさ閾値270の変更幅を適切に設定すると、(1)のセンサー部120が計測する明るさが「暗」から「明」に変化する例、(2)の「明」から「暗」に変化する例何れの場合も、ON・OFF切替制御が1回で済むようになる。
【0023】
このように、閾値変更手段160による処理は、頻繁に調光ガラス部110に対する切替制御が行われるチャタリングと呼ばれる現象を防止する。また、チャタリングと呼ばれる事象は、調光フィルム210や関連機器の短寿命化を招くが、閾値変更手段160による処理は、そのような事態を防止する。
【0024】
変更受付手段170は、調光ガラス部110の透明・不透明を切り替える明るさ280を変更するユーザー操作を受け付ける。
図6で示すように、例えば、ユーザーに中央のダイヤルを操作してもらい、ダイヤルに付いた矢印が指す場所に応じ、変更受付手段170が、明るさ280を受け付ける形態としても良い。
【0025】
調整手段180は、変更受付手段170によってユーザー操作を受け付けたとき、変更後の明るさ280に対応するセンサー部120の計測結果260が、明るさ閾値270と等しくなるように、計測結果260の大きさを調整する。つまり、調整手段180による処理は、変更受付手段170によって明るさ280の変更が受け付けられた場合でも、明るさ閾値270の大きさを変更させることなく、比較手段140による処理を行うことができるようにするものである。調整手段180による処理は、電子回路特有のものであり、明るさ閾値270(に対応する電圧)の変化によるヒステリシス回路におけるヒステリシス幅の変化に基づく意図せぬ切替制御の発生や操作違和感を防止するためのものである。
【0026】
上記のような動作原理に基づいて、本システム100は、例えば、室外(太陽光)等における明るさに基づいて調光ガラスのON・OFF制御を行う場合、頻繁に切替制御が行われるチャタリング及びそれに伴う関連機器の短寿命化を防止する。
(本実施の形態に係るコントローラー部のハードウエア構成)
【0027】
図7を用いて、コントローラー部130のハードウエア構成例について説明する。
図7は、コントローラー部130のハードウエア構成の一例を示す図である。
図7で示すように、コントローラー部130は、CPU(Central Processing Unit)410、ROM(Read-Only Memory)420、RAM(Random Access Memory)430、補助記憶装置440、通信I/F450、入力装置460、表示装置470、記録媒体I/F480を有する。
【0028】
CPU410は、ROM420に記憶されたプログラムを実行する装置であり、RAM430に展開(ロード)されたデータを、プログラムの命令に従って演算処理し、コントローラー部130全体を制御する。ROM420は、CPU410が実行するプログラムやデータを記憶している。RAM430は、CPU410でROM420に記憶されたプログラムを実行する際に、実行するプログラムやデータが展開(ロード)され、演算の間、演算データを一時的に保持する。
【0029】
補助記憶装置440は、基本ソフトウエアであるOS(Operating System)や本実施の形態に係るアプリケーションプログラムなどを、関連するデータとともに記憶する装置である。補助記憶装置440は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどである。
【0030】
通信I/F450は、有線・無線LAN(Local Area Network)、インターネットなどの通信ネットワークに接続し、通信機能を提供する他装置110、120とデータの授受を行うためのインターフェースである。
【0031】
入力装置460は、キーボードなどコントローラー部130にデータ入力を行うための装置である。表示装置(出力装置)470は、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成される装置であり、コントローラー部130が有する機能をユーザーが利用する際や各種設定を行う際のユーザーインターフェースとして機能する装置である。記憶媒体I/F480は、CD-ROM、DVD-ROM、USBメモリなどの記憶媒体490とデータの送受信を行うためのインターフェースである。
【0032】
コントローラー部130が有する各手段は、CPU410が、ROM420又は補助記憶装置440に記憶された各手段に対応するプログラムを実行することにより実現される形態としても良い。また、コントローラー部130が有する各手段は、当該各手段に関する処理をハードウエア(電子回路等)として実現される形態としても良い。また、通信I/F450を介して外部サーバー装置から本発明に係るプログラムを読み込ませたり、記憶媒体I/F480を介して記憶媒体490から本発明に係るプログラムを読み込ませたりして、コントローラー部130に当該プログラムを実行させる形態としても良い。
(本実施の形態に係る調光ガラス制御システムによる処理例)
(1)センサー部120の計測する明るさが「暗」から「明」に変化する時の処理例
【0033】
図8を用いて、本システム100による処理例であって、センサー部120の計測する明るさが「暗」から「明」に変化する時の処理例について説明する。
図8は、明るさが「暗」から「明」に変化する時の処理例の流れを示すフローチャートである。
【0034】
S10で調光ガラス部110付近に設置されるセンサー部120が、調光ガラス部110付近の明るさを計測し、その計測結果260をコントローラー部130に通知する。
【0035】
S20で比較手段140が、S10において通知された計測結果260と、明るさ閾値270と、を比較する。計測結果260及び明るさ閾値270の単位は、明るさセンサー面250が測定した計測結果を表す電気信号(電圧等)のように、明るさを表す情報であれば良く、その単位は特に限定されない。
【0036】
S30で計測結果260が明るさ閾値270より大きい場合(S30でYesの場合)、S40で指示手段150が、調光ガラス部110に対し、不透明に状態変化するように指示を行う。このとき、調光ガラス部110は、指示手段150による状態変化の指示に従い、透明な状態230から不透明な状態240へと変化する。
【0037】
S50で閾値変更手段160が、明るさ閾値270を所定値だけ引き下げる。なお、明るさ閾値270の引き下げ幅は、センサー部120による計測値の振動幅に応じ適切に設定する。
【0038】
閾値変更手段160による処理は、頻繁に調光ガラス部110に対する切替制御が行われるチャタリングと呼ばれる現象を防止する。また、チャタリングと呼ばれる事象は、調光フィルム210や周辺機器の短寿命化を招くが、閾値変更手段160による処理は、そのような事態を防止する。
【0039】
上記のような処理を行うことによって、本システム100は、例えば、室外(太陽光)等の明るさに基づいて調光ガラスのON・OFF制御を行う場合、頻繁に切替制御が行われるチャタリング及びそれに伴う関連機器の短寿命化を防止する。
(2)センサー部120の計測する明るさが「明」から「暗」に変化する時の処理例
【0040】
図9を用いて、本システム100による処理例であって、センサー部120の計測する明るさが「明」から「暗」に変化する時の処理例について説明する。
図9は、明るさが「明」から「暗」に変化する時の処理例の流れを示すフローチャートである。
【0041】
S110で調光ガラス部110付近に設置されるセンサー部120が、調光ガラス部110付近の明るさを計測し、その計測結果260をコントローラー部130に通知する。
【0042】
S120で比較手段140が、S110において通知された計測結果260と、明るさ閾値270と、を比較する。計測結果260及び明るさ閾値270の単位は、明るさセンサー面250が測定した計測結果を表す電気信号(電圧等)のように、明るさを表す情報であれば良く、その単位は特に限定されない。
【0043】
S130で計測結果260が明るさ閾値270より小さい場合(S130でYesの場合)、S140で指示手段150が、調光ガラス部110に対し、透明に状態変化するように指示を行う。このとき、調光ガラス部110は、指示手段150による状態変化の指示に従い、不透明な状態240から透明な状態230へと変化する。
【0044】
S150で閾値変更手段160が、明るさ閾値270を所定値だけ引き上げる。なお、明るさ閾値270の引き上げ幅は、センサー部120による計測値の振動幅に応じ適切に設定する。
【0045】
閾値変更手段160による処理は、頻繁に調光ガラス部110に対する切替制御が行われるチャタリングと呼ばれる現象を防止する。また、チャタリングと呼ばれる事象は、調光フィルム210や周辺機器の短寿命化を招くが、閾値変更手段160による処理は、そのような事態を防止する。
【0046】
上記のような処理を行うことによって、本システム100は、例えば、室外(太陽光)の明るさに基づいて調光ガラスのON・OFF制御を行う場合、頻繁に切替制御が行われるチャタリング及びそれに伴う関連機器の短寿命化を防止する。
【0047】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0048】
100 調光ガラス制御システム
110 調光ガラス部
120 センサー部
130 コントローラー部
140 比較手段
150 指示手段
160 閾値変更手段
170 変更受付手段
180 調整手段
210 調光フィルム
220 板ガラス
230 透明な状態
240 不透明な状態
250 明るさセンサー面
260 センサー部の計測結果
270 明るさ閾値
280 調光ガラス部の透明・不透明を切り替える明るさ
410 CPU
420 ROM
430 RAM
440 補助記憶装置
450 通信インターフェース
460 入力装置
470 出力装置
480 記憶媒体インターフェース
490 記憶媒体