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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168925
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20241128BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20241128BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H01L29/78 301X
H01L29/78 301G
H01L29/78 301D
H01L29/06 301F
H01L29/44 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085987
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176658
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 謙一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100186761
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 勇太
(72)【発明者】
【氏名】寺田 力
【テーマコード(参考)】
4M104
5F140
【Fターム(参考)】
4M104AA01
4M104BB01
4M104FF10
5F140AA25
5F140AB06
5F140AB08
5F140AC21
5F140AC22
5F140BA01
5F140BA16
5F140BD04
5F140BF04
5F140BF51
5F140BF54
5F140BG27
5F140BG28
5F140BH02
5F140BH04
5F140CB01
5F140CD08
5F140CD09
(57)【要約】
【課題】フィールドプレートの抵抗ばらつきを抑制可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】
半導体装置は、半導体基板と、半導体基板上に位置する半導体層と、ドレイン領域と、ソース/ゲート領域と、半導体層上に位置する絶縁層と、絶縁層上に位置すると共に、電流経路を形成するフィールドプレートと、を備え、フィールドプレートは、最内周部、最外周部、最内周部と最外周部との間に位置すると共に平面視における第1方向に隣り合う第1直線部分および第2直線部分、ならびに、第1直線部分と第2直線部分とを接続する第1接続部分を有し、最内周部と、最外周部と、第1直線部分と、第2直線部分と、第1接続部分とは、電流経路の一部であり、第1直線部分と第2直線部分とのそれぞれは、平面視にて、第1方向に交差する第2方向に延在する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型を有する半導体基板と、
前記半導体基板上に位置すると共に第2導電型を有する半導体層と、
前記半導体層内に位置すると共に前記第2導電型を有するドレイン領域と、
前記第2導電型を有するソース領域、および、前記ソース領域に電気的に接続されると共に前記第1導電型を有するゲート領域が設けられるソース/ゲート領域であって、前記ドレイン領域から離間すると共に前記ドレイン領域の周囲に位置する前記ソース/ゲート領域と、
前記ドレイン領域と前記ソース/ゲート領域との間であって、前記半導体層上に位置する絶縁層と、
前記絶縁層上に位置すると共に、電流経路を形成するフィールドプレートと、
を備え、
前記フィールドプレートは、前記ドレイン領域に電気的に接続される最内周部、グランドに電気的に接続される最外周部、前記最内周部と前記最外周部との間に位置すると共に平面視における第1方向に隣り合う第1直線部分および第2直線部分、ならびに、前記第1直線部分と前記第2直線部分とを接続する第1接続部分を有し、
前記最内周部と、前記最外周部と、前記第1直線部分と、前記第2直線部分と、前記第1接続部分とは、前記電流経路の一部であり、
前記第1直線部分と前記第2直線部分とのそれぞれは、平面視にて、前記第1方向に交差する第2方向に延在し、
前記第1接続部分は、前記第1方向に延在する、
半導体装置。
【請求項2】
前記最内周部と、前記最外周部と、前記第1直線部分と、前記第2直線部分とのそれぞれは、前記ドレイン領域を中心とする仮想の同心長円上に配置される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記フィールドプレートは、前記最内周部、前記最外周部、前記第1直線部分、前記第2直線部分および前記第1接続部分から離間していると共に、前記第2方向に隣り合う第1曲線部分および第2曲線部分をさらに有し、
前記第1直線部分と前記第1曲線部分は、前記同心長円に含まれる第1仮想長円上に位置し、
前記第2直線部分と前記第2曲線部分は、前記同心長円に含まれる第2仮想長円上に位置する、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1曲線部分の幅と、前記第2曲線部分の幅とのそれぞれは、前記第2方向において前記第1直線部分および前記第2直線部分から遠ざかるほど大きい、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記フィールドプレートは、前記最内周部、前記最外周部、前記第1直線部分、前記第2直線部分および前記第1接続部分から離間していると共に、前記第2方向に隣り合う第3曲線部分および第4曲線部分をさらに有し、
前記第3曲線部分および前記第4曲線部分は、前記第2方向において、前記最内周部を挟んで前記第1曲線部分および前記第2曲線部分の反対側に位置し、
前記第3曲線部分は、前記第1仮想長円上に位置し、
前記第4曲線部分は、前記第2仮想長円上に位置する、請求項3または4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1接続部分は、前記第2方向における前記第1直線部分の一端に接続される、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記最内周部は、前記第1方向において前記第1直線部分に隣り合う第3直線部分を有し、
前記フィールドプレートは、前記第1直線部分と前記第3直線部分とを接続する第2接続部分をさらに有し、
前記第2接続部分は、前記第2方向における前記第1直線部分の他端に接続される、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記最内周部と、前記最外周部との少なくとも一方は、平面視にて長円形状を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記最内周部と、前記最外周部との少なくとも一方は、互いに離間する直線部分および曲線部分を有し、
前記直線部分と前記曲線部分とは、前記フィールドプレート上に位置する導電部材を介して電気的に接続される、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記フィールドプレートは、ポリシリコンを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体層は、前記ゲート領域に接触すると共に前記第1導電型を有するゲートウェル領域と、前記ソース領域に接触すると共に前記第2導電型を有するソースウェル領域と、をさらに有し、
前記ソースウェル領域は、前記ゲートウェル領域よりも前記ドレイン領域に向かって張り出す張り出し部を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
平面視にて、前記最外周部は、前記張り出し部よりも前記ドレイン領域の近くに位置する、請求項11に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、JFET(Junction Field Effect Transistor:接合型電界効果トランジスタ)を備える半導体装置が開示されている。この半導体装置は、p型の半導体基板と、半導体基板上に形成されるn型の半導体層と、n型の半導体領域の表面領域に形成されるn型のドレイン領域と、ドレイン領域と間隔を空けて半導体領域の表面領域に形成される複数のn型のソース領域と、ソース領域の間の半導体領域に形成されるp型のゲート領域と、ドレイン領域とソース領域との間の半導体領域上に配置され、ドレイン領域およびグランドに電気的に接続される平面視螺旋形状の抵抗性のフィールドプレートとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-208420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一側面に係る目的は、フィールドプレートの抵抗ばらつきを抑制可能な半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る半導体装置は、第1導電型を有する半導体基板と、前記半導体基板上に位置すると共に第2導電型を有する半導体層と、前記半導体層内に位置すると共に前記第2導電型を有するドレイン領域と、前記第2導電型を有するソース領域、および、前記ソース領域に電気的に接続されると共に前記第1導電型を有するゲート領域が設けられるソース/ゲート領域であって、前記ドレイン領域から離間すると共に前記ドレイン領域の周囲に位置する前記ソース/ゲート領域と、前記ドレイン領域と前記ソース/ゲート領域との間であって、前記半導体層上に位置する絶縁層と、前記絶縁層上に位置すると共に、電流経路を形成するフィールドプレートと、を備え、前記フィールドプレートは、前記ドレイン領域に電気的に接続される最内周部、グランドに電気的に接続される最外周部、前記最内周部と前記最外周部との間に位置すると共に平面視における第1方向に隣り合う第1直線部分および第2直線部分、ならびに、前記第1直線部分と前記第2直線部分とを接続する第1接続部分を有し、前記最内周部と、前記最外周部と、前記第1直線部分と、前記第2直線部分と、前記第1接続部分とは、前記電流経路の一部であり、前記第1直線部分と前記第2直線部分とのそれぞれは、平面視にて、前記第1方向に交差する第2方向に延在し、前記第1接続部分は、前記第1方向に延在する。
【0006】
上記半導体装置は、フィールドプレートの抵抗ばらつきを抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る半導体装置のチップを示す平面図である。
図2図2は、図1に示されるII-II線に沿った概略断面図である。
図3図3は、図2に示される一点鎖線IIIにより囲まれた部分の拡大図である。
図4図4は、図2に示されるIV-IV線に沿った断面図である。
図5図5は、図4の要部拡大図である。
図6図6(a)は、図4の破線VIaによって囲まれた部分の拡大図であり、図6(b)は、図4の破線VIbによって囲まれた部分の拡大図である。
図7図7は、図4の要部拡大図である。
図8図8は、図7に示されるVIII-VIII線に沿った概略断面図である。
図9図9は、図7に示されるIX-IX線に沿った概略断面図である。
図10図10は、比較例に係るFET構造に含まれるフィールドプレートを示す概略平面図である。
図11図11は、変形例に係るフィールドプレートを示す概略平面図である。
図12図12は、最外周部の直線部分と曲線部分との電気的接続を説明するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下では、本開示の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。以下の説明において、同一要素または同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。本明細書における「同一」およびそれに類似する単語は、「完全同一」のみに限定されない。また、図面は、実施形態を概念的に説明するためのものであるから、表される各構成要素の寸法やそれらの比は実際のものとは異なる場合もある。
【0009】
図1は、実施形態に係る半導体装置のチップを示す平面図である。図1に示されるように、半導体装置100は、直方体形状を有するシリコン製のチップ101(半導体チップ)を含む。チップ101は、一対の主面である第1主面102および第2主面103と、第1主面102および第2主面103を接続する第1側面104A、第2側面104B、第3側面104C及び第4側面104Dを有している。以下では、平面視における第1側面104A及び第2側面104Bの延在方向を第1方向Xとし、平面視における第3側面104C及び第4側面104Dの延在方向を第2方向Yとし、第1主面102および第2主面103の法線方向を第3方向Zとする。第2方向Yは、平面視にて第1方向Xに交差する方向であり、第3方向Zは、チップ101の厚さ方向に相当する。
【0010】
第1主面102および第2主面103は、第3方向Zから見て四角形状に形成されているが、これに限られない。本実施形態では、第1主面102は上面であり、第2主面103は底面である。このため、第3方向Zにおいて第1主面102の近くに位置する構成は半導体装置100の天面側(上方)に位置する構成に相当し、第3方向Zにおいて第2主面103の近くにある構成は半導体装置100の底面側(下方)に位置する構成に相当する。
【0011】
半導体装置100は、第1主面102に区画される複数のデバイス領域105を含む。複数のデバイス領域105の個数および配置は任意である。複数のデバイス領域105のそれぞれは、チップ101の内外の領域を利用して形成される機能デバイスを含む。機能デバイスは、例えば、半導体スイッチングデバイス、半導体整流デバイスおよび受動デバイスのうちの少なくとも1つを含む。機能デバイスは、半導体スイッチングデバイス、半導体整流デバイスおよび受動デバイスのうちの少なくとも2つが組み合わされる回路網を含んでもよい。
【0012】
半導体スイッチングデバイスは、例えば、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)、BJT(BipolarJunction Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Junction Transistor)およびJFETのうちの少なくとも1つを含む。半導体整流デバイスは、pn接合ダイオード、pin接合ダイオード、ツェナダイオード、ショットキーバリアダイオードおよびファストリカバリーダイオードのうちの少なくとも1つを含んでもよい。受動デバイスは、抵抗、コンデンサ、インダクタおよびヒューズのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0013】
複数のデバイス領域105のうち少なくとも1つは、FET構造106(トランジスタ構造)を含む。FET構造106に印加されるドレイン・ゲート間電圧Vdgは、例えば500V以上1500V以下である。以下に説明するように、本実施形態では、FET構造106は、JFET構造を有している。以下、FET構造106の構造について説明する。
【0014】
図2は、図1に示されるII-II線に沿った概略断面図である。図3は、図2に示される一点鎖線IIIにより囲まれた部分の拡大図である。図4は、図2に示されるIV-IV線に沿った断面図である。図5は、図4の要部拡大図である。図6(a)は、図4の破線VIaによって囲まれた部分の拡大図であり、図6(b)は、図4の破線VIbによって囲まれた部分の拡大図である。図7は、図4の要部拡大図である。図8は、図7に示されるVIII-VIII線に沿った概略断面図である。図9は、図7に示されるIX-IX線に沿った概略断面図である。
【0015】
図2などに示されるように、FET構造106は、第1導電型を有する半導体基板2と、半導体基板2上に位置すると共に第2導電型を有する半導体層3とを含む。本実施形態では、第1導電型はp型であり、第2導電型はn型である。
【0016】
半導体基板2は、高抵抗シリコン基板である。半導体基板2のp型不純物濃度は、比較的低い値に設定される。本実施形態では、半導体基板2のp型不純物濃度は、例えば1.0×1013cm-3以上1.0×1014cm-3以下である。
【0017】
半導体層3は、半導体基板2上に形成されるエピタキシャル層である。半導体層3のn型不純物濃度は、例えば1.0×1015cm-3以上1.0×1016cm-3以下である。半導体層3の厚さは、例えば、1μm以上10μm以下である。半導体層3内には、第2導電型を有するドレイン領域4が位置する。
【0018】
ドレイン領域4は、FET構造106のドレインとして機能する領域であり、平面視にて長円環形状を呈する。ドレイン領域4のn型不純物濃度は、半導体層3のn型不純物濃度よりも高い。ドレイン領域4のn型不純物濃度は、例えば1.0×1019cm-3以上1.0×1020cm-3以下である。半導体層3内においてドレイン領域4よりも下方には、ドレイン領域4に接触するn型のドレイン側ウェル領域5が形成されている。
【0019】
ドレイン側ウェル領域5は、ドレイン領域4の底部および側部を被覆する領域であり、平面視にてドレイン領域4を囲う長円環形状を呈する。ドレイン側ウェル領域5のn型不純物濃度は、半導体層3のn型不純物濃度よりも高く、ドレイン領域4のn型不純物濃度よりも低い。ドレイン側ウェル領域5のn型不純物濃度は、例えば1.0×1016cm-3以上1.0×1017cm-3以下である。ドレイン側ウェル領域5よりも下方には、n型のドレインバッファ領域6が形成されている。
【0020】
ドレインバッファ領域6は、半導体基板2に対してpn接合を形成する領域であり、半導体基板2と半導体層3との境界を横切るように半導体基板2内および半導体層3内に位置する。ドレインバッファ領域6と半導体基板2とがpn接合部を形成することによって、半導体装置100の耐圧が高められている。ドレインバッファ領域6は、平面視において長円形状を呈する。ドレインバッファ領域6の周縁は、平面視にて、ドレイン領域4の外周縁よりも外側に位置する。ドレインバッファ領域6のn型不純物濃度は、ドレイン側ウェル領域5のn型不純物濃度よりも高く、ドレイン領域4のn型不純物濃度よりも低い。ドレインバッファ領域6のn型不純物濃度は、例えば1.0×1018cm-3以上1.0×1019cm-3以下である。
【0021】
図7図9に示されるように、半導体層3には、n型のソース領域7およびp型のゲート領域8を含むソース/ゲート領域9が形成されている。n型のソース領域7およびp型のゲート領域8とは、互いに電気的に接続されると共に、間隔を空けて交互に配列されている。このため、半導体層3には、複数のソース領域7と、複数のゲート領域8とが設けられる。本実施形態では、ソース/ゲート領域9は、平面視にて、ドレイン領域4から離間すると共にドレイン領域4の周囲に位置する長円環形状を呈する。
【0022】
ソース領域7は、電気的に浮遊状態とされており、平面視にて四角形状を呈する。ソース領域7のn型不純物濃度は、ドレイン領域4のn型不純物濃度と略同一である。ゲート領域8は、グランド(GND)に電気的に接続されており、平面視にて四角形状を呈する。ゲート領域8のp型不純物濃度は、半導体基板2のp型不純物濃度よりも高い。ゲート領域8のp型不純物濃度は、例えば1.0×1019cm-3以上1.0×1020cm-3以下である。
【0023】
ソース/ゲート領域9は、n型のソース側ウェル領域10と、p型のゲート側ウェル領域11とを含む。半導体層3には、複数のソース側ウェル領域10が設けられる。ソース側ウェル領域10は、半導体層3内であってソース領域7の下方に位置する。ゲート側ウェル領域11は、半導体基板2内および半導体層3内であってゲート領域8の下方に位置する。
【0024】
ソース側ウェル領域10は、ソース領域7に接触すると共にソース領域7の底部および側部を被覆する領域である。複数のソース側ウェル領域10は、間欠的に形成されている。平面視において、各ソース側ウェル領域10は、対応するソース領域7を取り囲む。ソース側ウェル領域10は、平面視において四角形状を呈し、ゲート側ウェル領域11よりもドレイン領域4に向かって張り出す張り出し部10aを有する。ソース側ウェル領域10の底部は、半導体層3内に位置している。ソース側ウェル領域10のn型不純物濃度は、ドレイン側ウェル領域5のn型不純物濃度と略同一である。したがって、ソース側ウェル領域10のn型不純物濃度は、ソース領域7のn型不純物濃度よりも低い。
【0025】
ゲート側ウェル領域11は、ゲート領域8に接触すると共にゲート領域8の底部および側部を被覆する領域である。ゲート側ウェル領域11は、ソース側ウェル領域10の張り出し部10a以外の側部及び底部と接するように半導体層3に形成されている。ゲート側ウェル領域11とソース側ウェル領域10との接触部は、pn接合部を形成している。ゲート側ウェル領域11は、互いに隣り合う2つのソース側ウェル領域10の間に位置する第1領域11aと、隣り合う第1領域11aを接続する第2領域11bと、第1領域11aおよび第2領域11bの下方に位置する第3領域11cとを含む。
【0026】
本実施形態では、第1領域11aのp型不純物濃度と、第2領域11bのp型不純物濃度とのそれぞれは、同一である。第3領域11cのp型不純物濃度は、第1領域11aのp型不純物濃度と、第2領域11bのp型不純物濃度よりも高い。第1領域11aおよび第2領域11bのp型不純物濃度は、例えば1.0×1017cm-3以上1.0×1018cm-3以下である。第3領域11cのp型不純物濃度は、例えば1.0×1018cm-3以上1.0×1019cm-3以下である。
【0027】
第1領域11aは、ゲート領域8の底部および側部を被覆する領域である。第1領域11aの底部は、半導体層3内に位置しており、平面視にて四角形状を呈する。第2領域11bは、第1領域11aを挟んでドレイン領域4の反対側に位置する領域である。第2領域11bの底部は、半導体層3内に位置しており、平面視にて長円環形状を呈する。第3領域11cは、半導体基板2と半導体層3との境界を横切るように半導体基板2内および半導体層3内に形成される領域であり、平面視にて長円環形状を呈する。第3領域11cは、第1領域11aの底部と、第2領域11bの底部と、各ソース側ウェル領域10の底部の一部とに接する。第3領域11cの底部は、半導体基板2内に位置しているが、これに限られない。
【0028】
半導体層3を介してドレイン領域4とソース領域7との間を流れる電流は、ソース/ゲート領域9に所定の制御電圧を印加することによって制御される。より詳細には、ソース領域7に所定の制御電圧が印加されると、ソース側ウェル領域10とゲート側ウェル領域11とが形成するpn接合部から空乏層が拡がる。これにより、ソース領域7およびソース側ウェル領域10が空乏化される。これにより、ドレイン領域4とソース領域7との間の電流経路が閉ざされるため、ドレイン領域4とソース領域7との間に電流が流れなくなる。一方、ソース領域7に対する制御電圧の印加が解除されると、ソース領域7およびソース側ウェル領域10の空乏化が解除される。これにより、ドレイン領域4とソース領域7との間の電流経路が開かれるため、ドレイン領域4とソース領域7との間に電流が流れるようになる。このようにしてFET構造106では、ドレイン領域4およびソース領域7間を流れる電流が制御される。
【0029】
図2図3および図8図9に示されるように、ドレイン領域4およびソース/ゲート領域9を選択的に露出させる絶縁層の一例としてのLOCOS(Local Oxidation Of Silicon)膜12が半導体層3上に位置する。LOCOS膜12は、平面視にてドレイン領域4とソース/ゲート領域9との間に位置する。LOCOS膜12の厚さは、例えば5000Å以上15000Å以下である。
【0030】
LOCOS膜12は、平面視にて長円形状を呈すると共にドレイン領域4に取り囲まれた領域を被覆する内側LOCOS膜13、および、平面視にて長円環形状を呈すると共にドレイン領域4とソース/ゲート領域9との間の領域を被覆する外側LOCOS膜14を有する。外側LOCOS膜14は、ソース側ウェル領域10の張り出し部10aの一端部と、ゲート側ウェル領域11の一端部とを被覆する。本実施形態では、当該各一端部は、半導体層3の上方であって、ドレイン領域4に最も近くに位置する端部に相当する。
【0031】
半導体層3において、外側LOCOS膜14に重なる領域が、ドリフト領域15に相当する。ドリフト領域15の長さは、例えば80μm以上200μm以下である。ドリフト領域15の長さは、FET構造106のチャネル長さに相当する。半導体層3において外側LOCOS膜14と接する部分には、p型のリサーフ層16が形成されている。リサーフ層16は、半導体層3のドリフト領域15に対してpn接合部を形成している。平面視にて、リサーフ層16は、外側LOCOS膜14の平面形状に沿った長円環形状を呈する。リサーフ層16のp型不純物濃度は、半導体基板2のp型不純物濃度よりも高い。リサーフ層16のp型不純物濃度は、例えば1.0×1015cm-3以上1.0×1016cm-3以下である。
【0032】
外側LOCOS膜14上には、電流経路CPを形成する抵抗性のフィールドプレート20が位置する。フィールドプレート20は、半導体層3等における電界の乱れの抑制機能、局所的な電界集中の抑制機能、高電圧のドレイン・ゲート間電圧Vdgのモニタ機能などを有している。フィールドプレート20は、平面視にてドレイン領域4とソース/ゲート領域9との間に配置される。フィールドプレート20は、ドレイン領域4とグランドと間において所定の抵抗値を有する抵抗体として機能する。このため、フィールドプレート20は、ドレイン領域4とグランドとの間の電流経路CPを形成する。フィールドプレート20の抵抗値は、例えば20MΩ以上100MΩ以下である。フィールドプレート20は、例えば不純物添加によって導電性が付与されるポリシリコンを含む。ポリシリコンに添加される不純物は、リン、ボロンなどである。ポリシリコンに添加される不純物の量(不純物濃度)を調整することによって、フィールドプレート20の抵抗値を調整できる。フィールドプレート20の一部における不純物濃度は、フィールドプレート20の他部における不純物濃度より高くてもよい。フィールドプレート20は、最内周部201、最外周部202、及び、中間部203を有する。
【0033】
最内周部201は、ドレイン領域4に電気的に接続される部分であり、フィールドプレート20においてドレイン領域4に最も近い。このため平面視にて、フィールドプレート20の最内周部201より内側には、フィールドプレート20が存在しない。最内周部201は、フィールドプレート20によって形成される電流経路CPの一部を構成する。図6(a),(b)に示されるように、最内周部201の幅W1は、最外周部202の幅W2よりも大きいが、これに限られない。最内周部201は、平面視にて長円形状を呈する。最内周部201は、互いに離間すると共に第2方向Yに沿って延在する直線部分201a,201bと、直線部分201a,201bの一端に接続されると共に円弧形状を有する曲線部分201cと、直線部分201a,201bの他端に接続されると共に円弧形状を有する曲線部分201dとを有する。図示しないが、直線部分201a,201bのそれぞれは、第1方向Xにおいてドレイン領域4とソース/ゲート領域9との間に位置する。曲線部分201cの一部と、曲線部分201dの一部とのそれぞれは、第2方向Yにおいてドレイン領域4よりも外側に位置する。このため、直線部分201a,201bの全体と、曲線部分201cの他部と、曲線部分201dの他部とは、FET構造106にて電流が流れる領域(動作領域)に重なる。
【0034】
最外周部202は、ソース/ゲート領域9及びグランドに電気的に接続される部分であり、フィールドプレート20においてソース/ゲート領域9に最も近い。このため、フィールドプレート20の最外周部202より外側には、フィールドプレート20が存在しない。図4及び図7に示されるように、平面視にて、最外周部202は、張り出し部10aよりもドレイン領域の4の近くに位置する。最外周部202は、最内周部201と同様に、フィールドプレート20によって形成される電流経路CPの一部を構成する。最外周部202は、平面視にて長円形状を呈する。最外周部202は、互いに離間すると共に第2方向Yに沿って延在する直線部分202a,202bと、直線部分202a,202bの一端に接続される曲線部分202cと、直線部分202a,202bの他端に接続される曲線部分202dとを有する。図示しないが、直線部分202a,202bのそれぞれは、ドレイン領域4とソース/ゲート領域9との間に位置する。曲線部分202cの少なくとも一部と、曲線部分202dの少なくとも一部とのそれぞれは、第2方向Yにおいてドレイン領域4よりも外側に位置し、円弧形状を呈する。
【0035】
最内周部201は仮想長円VC1上に位置し、最外周部202は仮想長円VC2上に位置する。仮想長円VC1,VC2は、ドレイン領域4を中心とする同心長円の一部である。このため、最内周部201と最外周部202とは、ドレイン領域4を中心とする仮想の同心長円上に配置される。
【0036】
中間部203は、フィールドプレート20における主要部であり、最内周部201と最外周部202との間に位置する。中間部203は、電流経路CPを形成する経路部分210と、経路部分210から離間すると共に第2方向Yにおいて経路部分210よりも外側に位置する非経路部分220とを有する。経路部分210は、第1方向Xにおいて直線部分201a,202aの間に位置する第1部分と、第1方向Xにおいて直線部分201b,202bの間に位置する第2部分とを有する。第1部分と第2部分とは、互いに実質的に同一形状を有する。非経路部分220は、第2方向Yにおいて曲線部分201c,202cの間に位置する第3部分と、第2方向Yにおいて曲線部分201d,202dの間に位置する第4部分とを有する。第3部分と第4部分とは、互いに実質的に同一形状を有する。このため、以下では、第1部分に相当する経路部分210の構造と、第3部分に相当する非経路部分220の構造とについて主に説明する。
【0037】
経路部分210は、第2方向Yに沿って延在すると共に互いに離間する複数の直線部分211と、第1方向Xに隣り合う2つの直線部分211同士を接続する複数の第1接続部分212と、経路部分210において最内周部201の最も近くに位置する第2接続部分213と、経路部分210において最外周部202の最も近くに位置する第3接続部分214とを有する。複数の直線部分211と、複数の第1接続部分212と、第2接続部分213と、第3接続部分214とのそれぞれは、平面視にて帯形状を呈し、電流経路CPの一部を構成する。複数の直線部分211は、第1方向Xにおいて間欠的に配置される。隣り合う2つの直線部分211同士の間隔は、略一定である。また、各直線部分211の幅も、略一定である。以下では、複数の直線部分211のうち、最内周部201の最も近くに位置する部分を第1直線部分211aと呼称し、第1方向Xにおいて第1直線部分211aの隣に位置する部分を第2直線部分211bと呼称し、最外周部202における直線部分202aの最も近くに位置する部分を最外直線部分211cと呼称する。第1直線部分211aは、第1方向Xにおいて最内周部201の直線部分201a(第3直線部分)の隣に位置する。
【0038】
本実施形態では、経路部分210が平面視にて蛇腹形状(ジグザグ形状)を呈するように、複数の直線部分211と、複数の第1接続部分212と、第2接続部分213と、第3接続部分214とが互いに配置される。具体的には、第2方向Yにおける第1直線部分211aの一端と、第2方向Yにおける第2直線部分211bの一端とは、第1方向Xに延在する複数の第1接続部分212の1つを介して互いに接続される。このとき、第1直線部分211aと第1接続部分212の1つとがなす角度、および、第2直線部分211bと第1接続部分212の1つとがなす角度のそれぞれは、直角もしくは実質的に直角である。第2方向Yにおける第1直線部分211aの他端と、最内周部201の直線部分201aとは、第1方向Xに延在する第2接続部分213を介して互いに接続される。このとき、第1直線部分211aと第2接続部分213とがなす角度、および、直線部分201aと第2接続部分213とがなす角度のそれぞれは、直角もしくは実質的に直角である。第2方向Yにおける第2直線部分211bの他端と、第2直線部分211bに隣り合う別の直線部分211とは、複数の第1接続部分212の別の1つを介して互いに接続される。このとき、第2直線部分211bと第1接続部分212の別の1つとがなす角度、および、別の直線部分211と第1接続部分212の別の1つとがなす角度のそれぞれは、直角もしくは実質的に直角である。同様に、第2方向Yにおける最外直線部分211cの一端と、最外周部202の直線部分202aとは、第1方向Xに延在する第3接続部分214を介して互いに接続される。このとき、最外直線部分211cと第3接続部分214とがなす角度、および、直線部分202aと第3接続部分214とがなす角度のそれぞれは、直角もしくは実質的に直角である。一例では、経路部分210においては、平面視にて曲線が設けられず、直線のみにて構成され得る。
【0039】
図4及び図5に示されるように、非経路部分220は、互いに離間すると共に第2方向Yに沿って配置される複数の曲線部分221を有する。複数の曲線部分221のそれぞれは、最内周部201、最外周部202、及び経路部分210(すなわち、複数の直線部分211、複数の第1接続部分212、第2接続部分213、及び第3接続部分214)から離間している。複数の曲線部分221のそれぞれは、円弧形状を有しており、同心円上に設けられる。複数の曲線部分221は、第2方向Yにおいて間欠的に配置される。第2方向Yにおいて隣り合う2つの曲線部分221同士は、後述する層間絶縁膜33を介して互いに容量結合し得る。容量差の均一化の観点から、第2方向Yにおいて隣り合う2つの曲線部分221同士の間隔は、略一定である。当該間隔を精度よく均一に維持する観点から、各曲線部分221の幅W3は、第2方向Yにおいて経路部分210から遠ざかるほど大きくてもよい。以下では、複数の曲線部分221のうち、最内周部201の最も近くに位置する部分を第1曲線部分221aと呼称し、第2方向Yにおいて第1曲線部分221aの隣に位置する部分を第2曲線部分221bと呼称する。第1曲線部分221aは、第2方向Yにおいて最内周部201の曲線部分201cに隣り合う。第1曲線部分221aは、曲線部分201cと容量結合する。複数の曲線部分221のうち第1曲線部分221aに近い部分ほど、電位が高い若しくは低い。
【0040】
図4に示されるように、第1曲線部分221aは、第1直線部分211aと共に仮想長円VC3上(第1仮想長円上)に位置する。また、第2曲線部分221bは、第2直線部分211bと共に仮想長円VC4上(第2仮想長円上)に位置する。仮想長円VC3,VC4は、仮想長円VC1,VC2と同様に、ドレイン領域4を中心とする同心長円の一部である。このため、経路部分210における複数の直線部分211と、非経路部分220における複数の曲線部分221とのそれぞれは、ドレイン領域4を中心とする仮想の同心長円上に配置される。
【0041】
上述したように、経路部分210における上記第1部分と上記第2部分とは、互いに実質的に同一形状を有し、非経路部分220における上記第3部分と上記第4部分とは、互いに実質的に同一形状を有する。このため、上記第2部分に含まれる各直線部分も、上述した仮想の同心長円上に配置され、上記第4部分に含まれる各曲線部分も、上述した仮想の同心長円上に配置される。例えば、上記第2部分に含まれる複数の直線部分のうち、第1方向Xにおいて最内周部201を挟んで第1直線部分211a及び第2直線部分211bの反対側に位置する2つの直線部分は、仮想長円VC1,VC2上にそれぞれ位置する。同様に、上記第4部分に含まれる複数の曲線部分のうち、第2方向Yにおいて最内周部201を挟んで第1曲線部分221a及び第2曲線部分221bの反対側に位置する2つの曲線部分は、仮想長円VC1,VC2上にそれぞれ位置する。
【0042】
外側LOCOS膜14上であって、平面視にて、ソース/ゲート領域9とフィールドプレート20との間には、グランドに電気的に接続される最外周グランド導電体膜21が配置されている。最外周グランド導電体膜21は、平面視にてフィールドプレート20を取り囲む環形状を有する。最外周グランド導電体膜21は、ゲート領域8に電気的に接続されていると共に、フィールドプレート20とは物理的な接続はない。すなわち、最外周グランド導電体膜21は、フィールドプレート20から分離している。
【0043】
図7に示されるように、最外周グランド導電体膜21は、平面視にて、ソース側ウェル領域10の張り出し部10aを横切ると共に、張り出し部10aと重なっている。最外周グランド導電体膜21は、不純物が添加されるポリシリコンを含む。最外周グランド導電体膜21の不純物濃度は、例えば、最内周部201の不純物濃度および最外周部202の不純物濃度と同一であるが、これに限られない。
【0044】
外側LOCOS膜14上であって、平面視にてフィールドプレート20と最外周グランド導電体膜21との間には、グランドに電気的に接続される第2のグランド導電体膜50が配置されている。ゲート領域8、最外周部202、および最外周グランド導電体膜21に加えて、第2のグランド導電体膜50は、同電位(グランド電位)に設定される。第2のグランド導電体膜50が設けられることによって、半導体装置100の耐圧向上が実現し得る。
【0045】
第2のグランド導電体膜50は、平面視にて、フィールドプレート20を取り囲む長円環形状を呈する。第2のグランド導電体膜50は、平面視において張り出し部10aを横切っており、張り出し部10aと重なっている。本実施形態では、第2のグランド導電体膜50は、最外周グランド導電体膜21の内周に沿って当該最外周グランド導電体膜21と一体的に形成されている。
【0046】
このような構成において、半導体層3とソース側ウェル領域10の張り出し部10aとの境界は、平面視において、第2のグランド導電体膜50の内周縁とフィールドプレート20の最外周部202との間の領域に配置されている。したがって、フィールドプレート20の最外周部202は、半導体層3とソース側ウェル領域10の張り出し部10aとの境界よりもドレイン領域4側に配置されている。
【0047】
半導体層3上には、ドレイン領域4に電気的に接続されるドレインメタル30と、ゲート領域8に電気的に接続されるゲートメタル31と、ソース領域7に電気的に接続されるソースメタル32とが配置されている。なお、半導体層3上には、層間絶縁膜33が複数積層されており、ドレインメタル30の少なくとも一部、ゲートメタル31の少なくとも一部、および、ソースメタル32の少なくとも一部のそれぞれは、層間絶縁膜33内に選択的に形成されている。
【0048】
ドレインメタル30は、ドレイン領域4上に配置される第1ドレインメタル34と、第1ドレインメタル34上に配置される第2ドレインメタル35とを含む。第1ドレインメタル34は、ドレイン領域4およびフィールドプレート20の最内周部201に重なる。第1ドレインメタル34は、第1コンタクト36を介してドレイン領域4に電気的に接続され、第2コンタクト37を介して、最内周部201に電気的に接続されている。第2ドレインメタル35は、第3コンタクト38を介して第1ドレインメタル34に電気的に接続されている。
【0049】
ゲートメタル31は、ゲート領域8上に配置される第1ゲートメタル39と、第1ゲートメタル39上に配置される第2ゲートメタル40とを含む。第1ゲートメタル39は、ゲート領域8、最外周グランド導電体膜21およびフィールドプレート20の最外周部202と重なる。第1ゲートメタル39は、第4コンタクト41を介してゲート領域8に電気的に接続され、第5コンタクト42を介して最外周グランド導電体膜21に電気的に接続され、第6コンタクト43を介して最外周部202に電気的に接続されている。第2ゲートメタル40は、例えばグランド電位を供給するためのグランド電極(図示せず)に電気的に接続されている。第2ゲートメタル40は、第7コンタクト44を介して第1ゲートメタル39に電気的に接続されている。これにより、ゲート領域8、フィールドプレート20の最外周部202および最外周グランド導電体膜21が同電位(グランド電位)とされている。本実施形態では、ゲートメタル31の第1ゲートメタル39が、ゲート領域8、最外周部202および最外周グランド導電体膜21を互いに電気的に接続させる接続部材として機能する。このため、ゲート領域8、最外周部202および最外周グランド導電体膜21が、ゲートメタル31を介して同電位(グランド電位)になっている。
【0050】
ソースメタル32は、ソース領域7上に配置される第1ソースメタル45と、第1ソースメタル45上に配置される第2ソースメタル46とを含む。第1ソースメタル45は、ソース領域7に重なる。第1ソースメタル45は、第8コンタクト47を介してソース領域7に電気的に接続されている。第2ソースメタル46は、第9コンタクト48を介して第1ソースメタル45に電気的に接続されている。第2ソースメタル46は、定常時においては電気的に浮遊状態とされている。所定の制御電圧が第2ソースメタル46に印加されることによって、ドレイン領域4とソース領域7との間の電流の流れが制御される。
【0051】
以上に説明した本実施形態に係る半導体装置100によって奏される作用効果について、以下に説明する比較例を参照しながら説明する。図10は、比較例に係るFET構造に含まれるフィールドプレートを示す概略平面図である。図10に示されるように、比較例に係る半導体装置のFET構造に含まれるフィールドプレート120は、平面視において螺旋状に複数回巻回された形状を呈する。フィールドプレート120は、電気経路に沿って直線部分1211と曲線部分1221とが交互に連続的に設けられる。よって、フィールドプレート120では、直線部分1211と曲線部分1221の両方によって電流経路が形成される。ここで、曲線部分1221を流れる電流の経路は、直線部分1211を流れる電流の経路と比較して一様ではない傾向がある。このため、曲線部分1221の実際の電気抵抗は、直線部分1211の電気抵抗よりもばらつく傾向がある。フィールドプレート120には多数の曲線部分1221が含まれるため、曲線部分1221の電気抵抗のばらつきは、半導体装置の用途によっては無視できないものとなる。
【0052】
これに対して本実施形態によれば、FET構造106に含まれるフィールドプレート20において、最内周部201と最外周部202との間に位置する中間部203の経路部分210は、第2方向Yに延在する複数の直線部分211と、第1方向Xにおいて隣り合う2つの直線部分211同士を接続する複数の第1接続部分212とを有する。加えて、第1接続部分212は、第1方向Xに延在する。このため、フィールドプレート20によって形成される電気経路のうち、電気抵抗がばらつきにくい部分が占める割合が、上記比較例と比べて大きくなる。したがって、本実施形態に係る半導体装置100によれば、フィールドプレート20の抵抗ばらつきを抑制可能である。
【0053】
一例では、最内周部201と、最外周部202と、複数の直線部分211とのそれぞれは、ドレイン領域4を中心とする仮想の同心長円状に配置されてもよい。この場合、例えば最内周部201と第1直線部分211aとの容量結合、最外周部202と最外直線部分211cとの容量結合、及び、複数の直線部分211内での容量結合のばらつきが抑制される。
【0054】
一例では、フィールドプレート20は、最内周部201、最外周部202、および経路部分210から離間していると共に、第2方向Yに隣り合う複数の曲線部分221を有する。これにより、フィールドプレート20の耐圧が良好に向上するので、フィールドプレート20の機能が良好に発揮される。
【0055】
一例では、複数の曲線部分221の幅W3は、第2方向Yにおいて直線部分211から遠ざかるほど大きくてもよい。この場合、複数の曲線部分221において隣り合う2つの曲線部分221同士の間隔を良好に維持できる。これにより、隣り合う2つの曲線部分221の容量結合がばらつきにくくなる。
【0056】
一例では、第1接続部分212は、第2方向Yにおける第1直線部分211aの一端に接続されてもよい。この場合、経路部分210が設けられる領域を効率的に活用できる。
【0057】
以下では、図11及び図12を参照しながら上記実施形態の変形例について説明する。変形例の説明において上述した実施形態と重複する記載は省略し、異なる部分を記載する。つまり、技術的に可能な範囲において、変形例に上述した実施形態の記載を適宜用いてもよい。
【0058】
図11は、変形例に係るフィールドプレートを示す概略平面図である。図12は、最外周部の直線部分と曲線部分との電気的接続を説明するための模式断面図である。図11に示されるように、フィールドプレート20Aに含まれる最外周部202Aでは、直線部分202a,202bと、曲線部分202c,202dとが、互いに物理的に離間している。ここで図12に示されるように、直線部分202aと曲線部分202cとは、フィールドプレート20A上に位置する導電部材60を介して電気的に接続される。導電部材60は、直線部分202a上に位置すると共に直線部分202aに接するコンタクト61と、曲線部分202c上に位置すると共に曲線部分202cに接するコンタクト62と、コンタクト61,62に接するブリッジメタル63とを有する。コンタクト61,62は、第1コンタクト36、第2コンタクト37などと同時に形成される導電部分である。ブリッジメタル63は、第1ゲートメタル39などと同時に形成される導電部分である。図示しないが、最外周部202Aでは、直線部分202aと曲線部分202d、直線部分202bと曲線部分202c、及び、直線部分202bと曲線部分202dが、導電部材60と同様の配線を介して電気的に接続される。これにより、最外周部202Aの全体の電位が良好に安定する。
【0059】
以上に説明した変形例においても、上記実施形態と同様の作用効果が発揮される。なお、上記実施形態及び上記変形例では、最内周部201が、最外周部202Aと同様の構成を有してもよい。具体例としては、最内周部201では、直線部分201a,201bと、曲線部分201c,201dとが、互いに物理的に離間し、かつ、配線などを介して互いに電気的に接続されてもよい。
【0060】
以上、本開示の実施形態および変形例について説明したが、本開示は、さらに他の形態で実施することもできる。
【0061】
上記実施形態および上記変形例では、半導体層上にLOCOS膜が形成される例について説明した。しかし、LOCOS膜の下方に、STI(Shallow Trench Isolation)が形成されてもよい。STIは、半導体層を掘り下げて形成されるトレンチと、トレンチに埋設される絶縁体(酸化シリコン、窒化シリコン等)とを含む。
【0062】
上記実施形態および上記変形例において、各種半導体領域の導電型が反転される構成が採用されてもよい。つまり、p型の部分がn型とされ、n型の部分がp型とされてもよい。
【0063】
上記実施形態および上記変形例において、半導体装置100は、例えば、自動車(電気自動車を含む)、電車、産業用ロボット、空気調節装置、空気圧縮機、扇風機、掃除機、乾燥機、冷蔵庫等の動力源として利用される電動モータを駆動するインバータ回路に用いられるパワーモジュールに適用できる。また、半導体装置100は、太陽電池、風力発電機その他の発電装置等のインバータ回路に用いられるパワーモジュールにも適用できる。あるいは、半導体装置100は、アナログ制御電源、デジタル制御電源等を構成する回路モジュールにも適用できる。
【0064】
以上、本開示の一側面に係る実施形態及び変形例について詳細に説明してきたが、これらは本開示の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本開示はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本開示の範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定される。
【0065】
以下、この明細書および図面の記載から抽出される特徴例が示される。
【0066】
[A1]第1導電型を有する半導体基板と、
前記半導体基板上に位置すると共に第2導電型を有する半導体層と、
前記半導体層内に位置すると共に前記第2導電型を有するドレイン領域と、
前記第2導電型を有するソース領域、および、前記ソース領域に電気的に接続されると共に前記第1導電型を有するゲート領域が設けられるソース/ゲート領域であって、前記ドレイン領域から離間すると共に前記ドレイン領域の周囲に位置する前記ソース/ゲート領域と、
前記ドレイン領域と前記ソース/ゲート領域との間であって、前記半導体層上に位置する絶縁層と、
前記絶縁層上に位置すると共に、電流経路を形成するフィールドプレートと、
を備え、
前記フィールドプレートは、前記ドレイン領域に電気的に接続される最内周部、グランドに電気的に接続される最外周部、前記最内周部と前記最外周部との間に位置すると共に平面視における第1方向に隣り合う第1直線部分および第2直線部分、ならびに、前記第1直線部分と前記第2直線部分とを接続する第1接続部分を有し、
前記最内周部と、前記最外周部と、前記第1直線部分と、前記第2直線部分と、前記第1接続部分とは、前記電流経路の一部であり、
前記第1直線部分と前記第2直線部分とのそれぞれは、平面視にて、前記第1方向に交差する第2方向に延在し、
前記第1接続部分は、前記第1方向に延在する、
半導体装置。
【0067】
[A2]前記最内周部と、前記最外周部と、前記第1直線部分と、前記第2直線部分とのそれぞれは、前記ドレイン領域を中心とする仮想の同心長円上に配置される、[A1]に記載の半導体装置。
【0068】
[A3]前記フィールドプレートは、前記最内周部、前記最外周部、前記第1直線部分、前記第2直線部分および前記第1接続部分から離間していると共に、前記第2方向に隣り合う第1曲線部分および第2曲線部分をさらに有し、
前記第1直線部分と前記第1曲線部分は、前記同心長円に含まれる第1仮想長円上に位置し、
前記第2直線部分と前記第2曲線部分は、前記同心長円に含まれる第2仮想長円上に位置する、[A2]に記載の半導体装置。
【0069】
[A4]前記第1曲線部分の幅と、前記第2曲線部分の幅とのそれぞれは、前記第2方向において前記第1直線部分および前記第2直線部分から遠ざかるほど大きい、[A3]に記載の半導体装置。
【0070】
[A5]前記フィールドプレートは、前記最内周部、前記最外周部、前記第1直線部分、前記第2直線部分および前記第1接続部分から離間していると共に、前記第2方向に隣り合う第3曲線部分および第4曲線部分をさらに有し、
前記第3曲線部分および前記第4曲線部分は、前記第2方向において、前記最内周部を挟んで前記第1曲線部分および前記第2曲線部分の反対側に位置し、
前記第3曲線部分は、前記第1仮想長円上に位置し、
前記第4曲線部分は、前記第2仮想長円上に位置する、[A3]または[A4]に記載の半導体装置。
【0071】
[A6]前記第1接続部分は、前記第2方向における前記第1直線部分の一端に接続される、[A1]~[A5]のいずれかに記載の半導体装置。
【0072】
[A7]前記最内周部は、前記第1方向において前記第1直線部分に隣り合う第3直線部分を有し、
前記フィールドプレートは、前記第1直線部分と前記第3直線部分とを接続する第2接続部分をさらに有し、
前記第2接続部分は、前記第2方向における前記第1直線部分の他端に接続される、[A6]に記載の半導体装置。
【0073】
[A8]前記最内周部と、前記最外周部との少なくとも一方は、平面視にて長円形状を有する、[A1]~[A7]のいずれかに記載の半導体装置。
【0074】
[A9]前記最内周部と、前記最外周部との少なくとも一方は、互いに離間する直線部分および曲線部分を有し、
前記直線部分と前記曲線部分とは、前記フィールドプレート上に位置する導電部材を介して電気的に接続される、[A1]~[A8]のいずれかに記載の半導体装置。
【0075】
[A10]前記フィールドプレートは、ポリシリコンを含む、[A1]~[A9]のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0076】
[A11]前記半導体層は、前記ゲート領域に接触すると共に前記第1導電型を有するゲートウェル領域と、前記ソース領域に接触すると共に前記第2導電型を有するソースウェル領域と、をさらに有し、
前記ソースウェル領域は、前記ゲートウェル領域よりも前記ドレイン領域に向かって張り出す張り出し部を有する、[A1]~[A10]のいずれかに記載の半導体装置。
【0077】
[A12]平面視にて、前記最外周部は、前記張り出し部よりも前記ドレイン領域の近くに位置する、[A11]に記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0078】
100…半導体装置、2…半導体基板、3…半導体層、4…ドレイン領域、7…ソース領域、8…ゲート領域、9…ソース/ゲート領域、10a…張り出し部、20,20A…フィールドプレート、60…導電部材、201…最内周部、201a…直線部分(第3直線部分)、201b,202a,202b,211…直線部分、201c,201d,202c,202d,221…曲線部分、202,202A…最外周部、211a…第1直線部分、211b…第2直線部分、212…第1接続部分、213…第2接続部分、221a…第1曲線部分、221b…第2曲線部分、CP…電流経路、W1,W2,W3…幅。

図1
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図12