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特開2024-168947制御システム、作業機械、及び制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168947
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】制御システム、作業機械、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
E02F9/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086027
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 浩将
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 善広
(72)【発明者】
【氏名】谷口 優太
(72)【発明者】
【氏名】村上 健太郎
(57)【要約】
【課題】電動ファンの回転数の過度な上昇を抑制すること。
【解決手段】冷却対象を冷却する電動ファンを備える作業機械のための制御システムは、電動ファンを回転させるための電流を電動ファンに供給する電流供給装置と、少なくとも2つのプロセッサを有するコントローラと、を備える。コントローラは、電動ファンを目標回転数で回転させるための回転数指令を出力し、電動ファンを目標回転数で回転させるために電流供給装置から電動ファンに供給する電流値を決定し、回転数指令に基づいて、電動ファンの回転数を制御し、電流値に基づいて、電流供給装置を制御する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却対象を冷却する電動ファンを備える作業機械のための制御システムであって、
前記電動ファンを回転させるための電流を前記電動ファンに供給する電流供給装置と、
少なくとも2つのプロセッサを有するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記電動ファンを目標回転数で回転させるための回転数指令を出力し、
前記電動ファンを目標回転数で回転させるために前記電流供給装置から前記電動ファンに供給する電流値を決定し、
前記回転数指令に基づいて、前記電動ファンの回転数を制御し、
前記電流値に基づいて、前記電流供給装置を制御する、
制御システム。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記電動ファンに前記電流値の電流を供給するための電流値指令を出力し、
前記電流値指令に基づいて、前記電流供給装置を制御する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記冷却対象の温度を検出する温度センサを備え、
前記コントローラは、前記温度センサの検出値に基づいて、前記目標回転数を決定する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記冷却対象の温度と前記冷却対象を目標温度にするための前記電動ファンの回転数との関係を示す第1相関データを記憶し、
前記温度センサの検出値と前記第1相関データとに基づいて、前記目標回転数を決定する、
請求項3に記載の制御システム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記目標回転数と前記電流値との関係を示す第2相関データを記憶し、
前記目標回転数と前記第2相関データとに基づいて、前記電流値を決定する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項6】
前記作業機械は、電動モータと、前記電動モータにより駆動される油圧ポンプと、を有し、
前記冷却対象は、前記電動モータを含む、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項7】
請求項1に記載の制御システムを備える、
作業機械。
【請求項8】
冷却対象を冷却する電動ファンを備える作業機械のための制御システムであって、
前記電動ファンを回転させるための電流を前記電動ファンに供給する電流供給装置と、
前記電動ファンの回転数を制御するための第1コントローラと、
前記電流供給装置を制御するための第2コントローラと、
メインコントローラと、を備え、
前記メインコントローラは、
前記電動ファンを目標回転数で回転させるための回転数指令を前記第1コントローラに出力し、
前記電動ファンを目標回転数で回転させるための電流値指令を前記第2コントローラに出力する、
制御システム。
【請求項9】
冷却対象を冷却する電動ファンと、少なくとも2つのプロセッサを有するコントローラとを備える作業機械のための制御方法であって、
前記電動ファンを目標回転数で回転させるための回転数指令を生成することと、
前記電動ファンを目標回転数で回転させるために電流供給装置から前記電動ファンに供給する電流値を決定することと、
前記電流値に基づいて、前記電流供給装置を制御することと、
生成した前記回転数指令を出力することと、
前記回転数指令に基づいて、前記電動ファンを制御すること、を含む、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御システム、作業機械、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような、バッテリ装置に外気を吹き付けて冷却する電動ファンを備える建設機械が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-051065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば異常の発生により、電動ファンが目標回転数を上回る回転数で回転すると、電動ファンの消費電力量が増加したり、騒音が発生したりする可能性がある。
【0005】
本開示は、電動ファンの回転数の過度な上昇を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、冷却対象を冷却する電動ファンを備える作業機械のための制御システムが提供される。制御システムは、電動ファンを回転させるための電流を電動ファンに供給する電流供給装置と、少なくとも2つのプロセッサを有するコントローラと、を備える。コントローラは、電動ファンを目標回転数で回転させるための回転数指令を出力し、電動ファンを目標回転数で回転させるために電流供給装置から電動ファンに供給する電流値を決定し、回転数指令に基づいて、電動ファンの回転数を制御し、電流値に基づいて、電流供給装置を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電動ファンの回転数の過度な上昇が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る作業機械を模式的に示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る作業機械を示すブロック図である。
図3図3は、第1実施形態に係る作業機械の制御システムを示すブロック図である。
図4図4は、第1実施形態に係る第1相関データの一例を示す図である。
図5図5は、第1実施形態に係る第2相関データの一例を示す図である。
図6図6は、第1実施形態に係る作業機械の制御方法を示すフローチャートである。
図7図7は、第1実施形態に係るコンピュータシステムを示すブロック図である。
図8図8は、第2実施形態に係る作業機械の制御システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する各実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
〔第1実施形態〕
第1実施形態について説明する。
【0011】
[作業機械]
図1は、実施形態に係る作業機械1を模式的に示す図である。実施形態において、作業機械1は、バッテリ2を駆動源とする電動作業機械である。バッテリ2は、作業機械1に搭載される。実施形態において、作業機械1は、電動ショベルである。作業機械1は、履帯を有する下部走行体3と、下部走行体3に支持される上部旋回体4と、上部旋回体4に支持される作業機5とを有する。作業機5は、上部旋回体4に連結されるブームと、ブームに連結されるアームと、アームに連結されるバケットとを含む。
【0012】
バッテリ2は、二次電池を含む。作業機械1の作業現場において、バッテリ2は、充電装置6により充電される。実施形態において、バッテリ2は、充電式のリチウムイオン電池を含む。充電装置6は、ケーブル7を介して作業機械1に接続される。作業機械1に充電ポート8が設けられる。ケーブル7は、充電ポート8に着脱される。充電装置6から出力された電力は、ケーブル7及び充電ポート8を介してバッテリ2に入力される。バッテリ2は、充電装置6から出力された電力により充電される。
【0013】
図2は、実施形態に係る作業機械1を示すブロック図である。作業機械1は、バッテリ2と、充電ポート8と、電源分配ユニット9と、インバータ10と、メインモータ11と、油圧ポンプ12と、DC/DCコンバータ13と、電動ファン14とを有する。
【0014】
電源分配ユニット9(PDU:Power Distribution Unit)は、バッテリ2からの電力を分配する。インバータ10は、電源分配ユニット9からの電力をメインモータ11に供給する。インバータ10は、電源分配ユニット9から出力された直流電圧を交流電圧に変換してメインモータ11へ出力する。メインモータ11は、電動モータである。メインモータ11は、インバータ10からの電力により駆動する。油圧ポンプ12は、メインモータ11により駆動される。油圧ポンプ12は、作動油を吐出する。油圧ポンプ12から吐出された作動油は、作業機械1の油圧アクチュエータに供給される。作業機械1の油圧アクチュエータは、下部走行体3の履帯を回転させる走行油圧モータ、上部旋回体4を旋回させる旋回油圧モータ、及び作業機5を動作させる油圧シリンダを含む。
【0015】
DC/DCコンバータ13は、電源分配ユニット9から出力されたバッテリ2の電圧を所定の電圧に変換する。実施形態において、DC/DCコンバータ13は、バッテリ2の電圧を所定の降圧比で降圧する。電動ファン14は、DC/DCコンバータ13から出力された電力に基づいて駆動する。
【0016】
電動ファン14は、作業機械1の冷却対象を冷却するための気流を生成する。実施形態において、バッテリ2、インバータ10、メインモータ11、及びDC/DCコンバータ13のそれぞれは、液冷式熱交換器により冷却される。液冷式熱交換器は、水冷式熱交換器でもよいし、油冷式熱交換器でもよい。冷却対象は、バッテリ2、インバータ10、メインモータ11、及びDC/DCコンバータ13のそれぞれを冷却するための液冷式熱交換器を含む。バッテリ2、インバータ10、メインモータ11、及びDC/DCコンバータ13のそれぞれは、水冷式熱交換器(ラジエータ)により冷却されてもよい。電動ファン14は、液冷式熱交換器を冷却するための気流を生成する。電動ファン14は、ファン用モータ14Aと、ファン用モータ14Aが発生する回転力により回転するファン14Bとを有する。ファン用モータ14Aは、電動モータである。
【0017】
電動ファン14のファン用モータ14Aは、DC/DCコンバータ13から供給される電流に基づいて回転する。DC/DCコンバータ13は、電動ファン14のファン用モータ14Aを回転させるための電流をファン用モータ14Aに供給する電流供給装置として機能する。
【0018】
[制御システム]
図3は、実施形態に係る作業機械1の制御システム20を示すブロック図である。制御システム20は、温度センサ22と、DC/DCコンバータ13と、電動ファン14と、メインコントローラ30と、第1コントローラ40と、第2コントローラ50とを有する。
【0019】
温度センサ22は、冷却対象の温度を検出する。上述のように、バッテリ2、インバータ10、メインモータ11、及びDC/DCコンバータ13のような作業機械1のコンポーネントが液冷式熱交換器により冷却される。実施形態において、温度センサ22は、液冷式熱交換器の冷却液の温度を検出する。温度センサ22の検出値は、温度センサ22からメインコントローラ30に送信される。
【0020】
第1コントローラ40は、少なくとも一つのプロセッサと、プロセッサが実行するコンピュータプログラムを記憶するメインメモリとを有する。第1コントローラ40は、電動ファン14のファン用モータ14Aを制御する。第2コントローラ50は、少なくとも一つのプロセッサと、プロセッサが実行するコンピュータプログラムを記憶するメインメモリとを有する。第2コントローラ50は、DC/DCコンバータ13を制御する。
【0021】
メインコントローラ30は、少なくとも一つのプロセッサと、プロセッサが実行するコンピュータプログラムを記憶するメインメモリとを有する。メインコントローラ30は、電動ファン14を目標回転数で回転させるための回転数指令を第1コントローラ40に出力する。メインコントローラ30は、電動ファン14を目標回転数で回転させるための電流値指令を第2コントローラ50に出力する。
【0022】
第1コントローラ40は、メインコントローラ30からの回転数指令に基づいて、電動ファン14が目標回転数で回転するように、電動ファン14のファン用モータ14Aを制御する。実施形態において、第1コントローラ40は、電動ファン14のファン用モータ14AをPWM(Pulse Width Modulation)制御する。
【0023】
第2コントローラ50は、メインコントローラ30からの電流値指令に基づいて、電動ファン14の目標回転数に対応する電流値の電流が電動ファン14のファン用モータ14Aに供給されるように、DC/DCコンバータ13を制御する。
【0024】
メインコントローラ30は、目標回転数決定部31と、回転数指令生成部32と、電流値指令生成部33と、第1相関データ記憶部34と、第2相関データ記憶部35とを有する。
【0025】
目標回転数決定部31は、温度センサ22の検出値に基づいて、電動ファン14の目標回転数を決定する。第1相関データ記憶部34は、冷却対象の温度と冷却対象を目標温度にするための電動ファン14の回転数との関係を示す第1相関データを予め記憶する。第1相関データは、例えば予備実験又はシミュレーションにより予め求められ、第1相関データ記憶部34に記憶される。目標回転数決定部31は、温度センサ22の検出値と第1相関データとに基づいて、電動ファン14の目標回転数を決定する。
【0026】
図4は、実施形態に係る第1相関データの一例を示す図である。図4に示すように、冷却対象の温度が高いほど、冷却対象が目標温度まで冷却されるように、電動ファン14の回転数が高くなるように、第1相関データが設定される。
【0027】
回転数指令生成部32は、電動ファン14を目標回転数で回転させるための回転数指令を生成する。回転数指令生成部32は、回転数指令を第1コントローラ40に出力する。第1コントローラ40は、回転数指令生成部32からの回転数指令に基づいて、電動ファン14が目標回転数で回転するように、電動ファン14をPWM制御する。
【0028】
電流値指令生成部33は、電動ファン14を目標回転数で回転させるためにDC/DCコンバータ13から電動ファン14に供給する電流の電流値を決定する。電流値指令生成部33は、DC/DCコンバータ13から電動ファン14に電流値の電流を供給させるための電流値指令を生成する。電流値指令生成部33は、電流値指令を第2コントローラ50に出力する。第2コントローラ50は、電流値指令生成部33からの電流値指令に基づいて、電動ファン14の目標回転数に対応する電流値の電流が電動ファン14のファン用モータ14Aに供給されるように、DC/DCコンバータ13を制御する。
【0029】
第2相関データ記憶部35は、電動ファン14の目標回転数と電動ファン14に供給される電流値との関係を示す第2相関データを予め記憶する。第2相関データは、例えば予備実験又はシミュレーションにより予め求められ、第2相関データ記憶部35に記憶される。電流値指令生成部33は、電動ファン14の目標回転数と第2相関データとに基づいて、DC/DCコンバータ13から電動ファン14に供給する電流の電流値を決定する。
【0030】
図5は、実施形態に係る第2相関データの一例を示す図である。図5に示すように、電動ファン14の目標回転数が高いほど、電動ファン14のファン用モータ14Aに供給する電流の電流値が高くなるように、第2相関データが設定される。
【0031】
実施形態において、第2コントローラ50は、DC/DCコンバータ13から電動ファン14に供給される電流の電流値が、電流値指令により規定される電流値(上限電流値)を上回らないように、電動ファン14に供給される電流を制御する。例えば、第1コントローラ40の異常、又はメインコントローラ30と第1コントローラ40との間の通信異常が生じても、第2コントローラ50により電動ファン14に供給される電流値が制限されるので、電動ファン14の実際の回転数が目標回転数を上回ることが抑制される。すなわち、電動ファン14の回転数の過度な上昇が抑制される。
【0032】
なお、DC/DCコンバータ13から電動ファン14のみならず、作業機械1に搭載されている他の電気機器(補器)にも電流が供給される場合、DC/DCコンバータ13から送出される電流の電流値は、他の電気機器の消費電流を考慮して決定されてもよい。
【0033】
図6は、実施形態に係る作業機械1の制御方法示すフローチャートである。目標回転数決定部31は、温度センサ22の検出値と第1相関データとに基づいて、電動ファン14の目標回転数を決定する(ステップS1)。
【0034】
回転数指令生成部32は、ステップS1において決定された目標回転数で電動ファン14を回転させるための回転数指令を生成する(ステップS2)。
【0035】
電流値指令生成部33は、ステップS1において決定された目標回転数と第2相関データとに基づいて、ステップS1において決定された目標回転数で電動ファン14を回転させるためにDC/DCコンバータ13から電動ファン14に供給する電流の電流値を決定する。電流値指令生成部33は、電動ファン14に決定した電流値の電流を供給するための電流値指令を生成する(ステップS3)。
【0036】
回転数指令生成部32は、ステップS3において生成した回転数指令を第1コントローラ40に出力する(ステップS4)。
【0037】
電流値指令生成部33は、ステップS4において生成した電流値指令を第2コントローラ50に出力する(ステップS5)。
【0038】
第1コントローラ40は、回転数指令生成部32から出力された回転数指令に基づいて、電動ファン14の回転数を制御する(ステップS6)。
【0039】
第2コントローラ50は、電流値指令生成部33から出力された電流値指令に基づいて、電動ファン14に供給する電流値を制御する(ステップS7)。
【0040】
図7は、実施形態に係るコンピュータシステム1000を示すブロック図である。メインコントローラ30、第1コントローラ40、及び第2コントローラ50のそれぞれは、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。メインコントローラ30、第1コントローラ40、及び第2コントローラ50のそれぞれの機能は、コンピュータプログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、コンピュータプログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、コンピュータプログラムに従って上述の処理を実行する。なお、コンピュータプログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0041】
[効果]
以上説明したように、冷却対象を冷却する電動ファン14を備える作業機械1のための制御システム20は、電動ファン14を回転させるための電流を電動ファン14に供給するDC/DCコンバータ13と、電動ファン14の回転数を制御するための第1コントローラ40と、DC/DCコンバータ13を制御するための第2コントローラ50と、メインコントローラ30と、を備える。メインコントローラ30は、電動ファン14を目標回転数で回転させるための回転数指令を第1コントローラ40に出力し、電動ファン14を目標回転数で回転させるための電流値指令を第2コントローラ50に出力する。
【0042】
実施形態によれば、例えば、第1コントローラ40の異常、又はメインコントローラ30と第1コントローラ40との間の通信異常が発生しても、第2コントローラ50により制御されるDC/DCコンバータ13から電動ファン14に供給される電流値により電動ファン14の回転数が決定される。すなわち、電動ファン14の回転数が第1コントローラ40と第2コントローラ50とにより冗長制御される。例えば、第1コントローラ40の異常、又はメインコントローラ30と第1コントローラ40との間の通信異常が発生しても、第2コントローラ50により電動ファン14に供給される電流値が制限されるので、電動ファン14の実際の回転数が目標回転数を上回ることが抑制される。すなわち、電動ファン14の回転数の過度な上昇が抑制される。
【0043】
〔第2実施形態〕
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の第1実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0044】
上述の第1実施形態において、制御システム20は、メインコントローラ30と、第1コントローラ40と、第2コントローラ50とを有することとした。メインコントローラ30と第1コントローラ40と第2コントローラ50とは、別々のハードウエアでもよいし、1つのハードウエアでもよい。例えば、メインコントローラ30と第1コントローラ40と第2コントローラ50とが、少なくとも2つのプロセッサを有する1つのコントローラでもよい。
【0045】
図8は、実施形態に係る作業機械1の制御システム200を示すブロック図である。制御システム200は、第1プロセッサ301及び第2プロセッサ302を有するコントローラ300を備える。第1プロセッサ301は、目標回転数決定部31と、回転数指令生成部32と、電流値指令生成部33とを有する。第1プロセッサ301は、電動ファン14を目標回転数で回転させるための回転数指令を出力し、電動ファン14を目標回転数で回転させるためにDC/DCコンバータ13から電動ファン14に供給する電流値を決定し、決定した電流値に基づいて、DC/DCコンバータ13を制御する。第1プロセッサ301は、電動ファン14に電流値の電流を供給するための電流値指令を出力し、電流値指令に基づいて、DC/DCコンバータ13を制御する。第2プロセッサ302は、第1プロセッサ301からの回転数指令に基づいて、電動ファン14の回転数を制御する。
【0046】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、電動ファン14の冷却対象は、液冷式熱交換器の冷却液であることとした。液冷式熱交換器は、水冷式熱交換器(ラジエータ)でもよいし、油冷式熱交換器(オイルクーラ)でもよい。液冷式熱交換器がラジエータである場合、電動ファン14の冷却対象は、ラジエータの冷却水である。また、液冷式熱交換器により冷却される作業機械1のコンポーネントは、バッテリ2、インバータ10、メインモータ11、及びDC/DCコンバータ13に限定されない。液冷式熱交換器がオイルクーラである場合、オイルクーラは、作業機械1の油圧システムの作動油を冷却してもよい。
【0047】
冷却対象が複数存在する場合、目標回転数決定部31は、複数の冷却対象のそれぞれの温度の最高値に基づいて、電動ファン14の目標回転数を決定してもよい。例えば、冷却対象として、ラジエータ、オイルクーラ、及びエアコンディショナのコンデンサが作業機械1に搭載される場合、複数の冷却対象のそれぞれの温度と電動ファン14の回転数との関係を示す第1相関データが第1相関データ記憶部34に記憶されてもよい。冷却対象の温度が低いほど電動ファン14の目標回転数が低くなり、冷却対象の温度が高いほど電動ファン14の目標回転数が高くなるように、第1相関データが定められてもよい。冷却対象の温度と第1相関データとに基づいて、ラジエータを冷却するための電動ファン14の目標回転数が第1回転数に決定され、オイルクーラを冷却するための電動ファン14の目標回転数が第2回転数に決定され、コンデンサを冷却するための電動ファン14の目標回転数が第3回転数に決定され、例えば第1回転数が第2回転数及び第3回転数よりも高い場合、目標回転数決定部31は、電動ファン14の目標回転数を第1回転数に決定してもよい。
【0048】
上述の実施形態において、作業機械1は、ショベルであることとしたが、これに限らなくてもよく、ブルドーザ、ホイールローダ、ダンプ、フォークリフト等であってもよい。
【0049】
上述の実施形態において、作業機械1の駆動源がメインモータ11であることとした。すなわち、作業機械1は、電動式作業機械であることとしたが、これに限らない。例えば、作業機械1の駆動源はエンジンであってもよく、電動ファン14の冷却対象は、エンジンでもよいし、エンジンを冷却するラジエータでもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…作業機械、2…バッテリ、3…下部走行体、4…上部旋回体、5…作業機、6…充電装置、7…ケーブル、8…充電ポート、9…電源分配ユニット、10…インバータ、11…メインモータ、12…油圧ポンプ、13…DC/DCコンバータ、14…電動ファン、14A…ファン用モータ、14B…ファン、20…制御システム、22…温度センサ、30…メインコントローラ、31…目標回転数決定部、32…回転数指令生成部、33…電流値指令生成部、34…第1相関データ記憶部、35…第2相関データ記憶部、40…第1コントローラ、50…第2コントローラ、200…制御システム、300…コントローラ、301…第1プロセッサ、302…第2プロセッサ、1000…コンピュータシステム、1001…プロセッサ、1002…メインメモリ、1003…ストレージ、1004…インターフェース。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8