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特開2024-168951実績推定による評価プログラム、装置及び方法、並びに選定プログラム、装置、システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168951
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】実績推定による評価プログラム、装置及び方法、並びに選定プログラム、装置、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/64 20180101AFI20241128BHJP
   F24F 140/00 20180101ALN20241128BHJP
【FI】
F24F11/64
F24F140:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086039
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141313
【弁理士】
【氏名又は名称】辰巳 富彦
(72)【発明者】
【氏名】渡部 志保
(72)【発明者】
【氏名】泉 裕太
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 尊士
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260BA41
3L260BA71
3L260BA75
3L260CB61
3L260DA15
3L260EA03
3L260EA19
3L260EA28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】所定の期間の少なくとも一部の期間において評価のための実測情報が取得されなくても、機器又は機器セットをより適切に評価することができる評価プログラムを提供する。
【解決手段】本評価プログラムは、機器又は機器セットの実績又は実験結果に係る値を含む取得された実績情報と、機器又は機器セットの構成、能力又は仕様に係る取得された機器情報とを用いて、機器又は機器セットに対する評価に係る評価情報を推定する評価決定手段としてコンピュータを機能させる。また上記の実績情報は、少なくとも一部の期間での実績又は実験結果に係る値が、この少なくとも一部の期間に係る推定条件を用いた推定処理による推定値となっている。さらに評価決定手段は、実績情報、機器情報、及び推定した評価情報のうちの少なくとも1つに対し、推定処理に関係する情報に基づき決定された補正情報を反映させて、評価結果としての評価情報を決定することも好ましい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器又は機器セットの実績又は実験結果に係る値を含む取得された実績情報と、当該機器又は機器セットの構成、能力又は仕様に係る取得された機器情報とを用いて、当該機器又は機器セットに対する評価に係る評価情報を推定する評価決定手段としてコンピュータを機能させ、
当該実績情報は、所定の期間における少なくとも一部の期間での当該実績又は実験結果に係る値が、当該少なくとも一部の期間に係る推定条件を用いた推定処理による推定値となっている、
評価プログラム。
【請求項2】
前記評価決定手段は、当該実績情報、当該機器情報、及び推定した当該評価情報のうちの少なくとも1つに対し、当該推定処理に関係する情報に基づき決定された補正情報を反映させて、評価結果としての評価情報を決定する、請求項1に記載の評価プログラム。
【請求項3】
当該推定処理に関係する情報に基づき、当該実績情報、当該機器情報、及び当該評価情報のうちの少なくとも1つについての補正情報を決定する補正決定手段としてコンピュータを更に機能させ、
前記評価決定手段は、取得された当該実績情報、又は取得された当該実績情報に対し当該補正情報を反映させた実績情報、又は取得された当該実績情報及び当該補正情報と、取得された当該機器情報、又は取得された当該機器情報に対し当該補正情報を反映させた機器情報、又は取得された当該機器情報及び当該補正情報とを用いて、当該評価情報を推定し、推定した当該評価情報を、又は当該評価情報に当該補正情報が決定されているならば、推定した当該評価情報に対し当該補正情報を反映させた評価情報を、当該評価結果としての評価情報に決定する、
請求項2に記載の評価プログラム。
【請求項4】
前記補正決定手段は、当該少なくとも一部の期間に係る情報、当該少なくとも一部の期間に係る当該機器若しくは機器セット又は関係する空間の用途又は使用態様に係る情報、及び、当該推定処理における推定の確からしさ又は実際との乖離の度合いに係る情報のうちの少なくとも1つに基づき、当該実績情報、当該機器情報、及び当該評価情報のうちの少なくとも1つについての当該補正情報を決定する、請求項3に記載の評価プログラム。
【請求項5】
前記補正決定手段は、時系列情報となっている取得された当該実績情報のうちの当該推定値に係る情報部分に対し、一定の係数若しくは時系列に係る時間の関数である係数を掛けた時系列情報又は所定の変換式による変換処理を施した時系列情報を、当該実績情報、当該機器情報、及び当該評価情報のうちの少なくとも1つについての当該補正情報とする、請求項3に記載の評価プログラム。
【請求項6】
前記補正決定手段は、当該実績情報及び当該機器情報のうちの少なくとも1つに係る設定された、想定される又は推定される経時変化分に基づき、当該実績情報、当該機器情報、及び当該評価情報のうちの少なくとも1つについての当該補正情報を決定する、請求項3から5のいずれか1項に記載の評価プログラム。
【請求項7】
前記補正決定手段は、当該実績情報についての当該補正情報として、取得された当該実績情報のうちの当該推定値に係る情報部分に対する当該補正情報、又は取得された当該実績情報の全体に対する当該補正情報を決定する、請求項3から5のいずれか1項に記載の評価プログラム。
【請求項8】
当該機器又は機器セットは空調機器又は空調機器セットであって、当該機器情報は、当該空調機器又は空調機器セットに係る能力情報を含み、当該実績情報は、当該空調機器又は空調機器セットに係る空調負荷情報、運転周波数情報、及び運転回転数情報のうちの少なくとも1つを含み、当該評価情報は、当該空調機器又は空調機器セットに係る消費電力情報、コスト情報、未処理負荷情報、実績温度情報、及び実績湿度情報のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の評価プログラム。
【請求項9】
当該機器又は機器セットの稼働、運用又は設定に係る、取得された当該少なくとも一部の期間での機器稼働情報と、当該機器又は機器セットに関係する空間の稼働、運用又は設定に係る、取得された当該少なくとも一部の期間での空間運用情報と、当該空間の構成、性能又は仕様に係る、取得された当該少なくとも一部の期間での空間構成情報と、当該機器又は機器セットに関係する環境に係る、取得された当該少なくとも一部の期間での環境情報とのうちの少なくとも1つを当該推定条件として、当該少なくとも一部の期間での実績又は実験結果に係る値を推定し、当該少なくとも一部の期間に係る実績情報の部分であって、実績又は実験結果に係る値が推定値となっている実績情報の部分を生成する実績推定手段としてコンピュータを更に機能させる、請求項1から5のいずれか1項に記載の評価プログラム。
【請求項10】
当該機器稼働情報、当該空間運用情報、当該空間構成情報、及び当該環境情報のうちの少なくとも1つに係る設定された、想定される又は推定される変動分の大きさに基づき、当該実績情報、当該機器情報、及び当該評価情報のうちの少なくとも1つについての当該補正情報を決定する補正決定手段としてコンピュータを更に機能させる、請求項9に記載の評価プログラム。
【請求項11】
当該機器又は機器セットは空調機器又は空調機器セットであり、
前記実績推定手段は、少なくとも当該環境情報としての外気温度情報を当該推定条件として、当該少なくとも一部の期間での実績又は実験結果に係る値を推定し、
前記補正決定手段は、当該少なくとも一部の期間の長さ及び種別のうちの少なくとも1つに基づき、当該実績情報についての当該補正情報を決定し、当該空調機器又は空調機器セットの所定の能力における基準時からの経時的劣化分又はメンテナンス後の経時的劣化分に基づき、当該機器情報についての当該補正情報を決定する、
請求項9に記載の評価プログラム。
【請求項12】
機器又は機器セットの実績又は実験結果に係る値を含む取得された実績情報と、当該機器又は機器セットの構成、能力又は仕様に係る取得された機器情報とを用いて、当該機器又は機器セットに対する評価に係る評価情報を推定する評価決定手段と、
選定の候補である複数の機器又は機器セットに係る当該機器情報である複数の候補機器情報に対し、当該機器又は機器セットについて決定された当該評価結果としての評価情報を含む値、又は当該評価結果としての評価情報を用いて導出される情報を含む値を目的変数とした選定処理を実施し、選定すべき当該機器又は機器セットに係る当該機器情報である選定機器情報を決定する機器選定手段と
としてコンピュータを機能させ、
当該実績情報は、所定の期間における少なくとも一部の期間での当該実績又は実験結果に係る値が、当該少なくとも一部の期間に係る推定条件を用いた推定処理による推定値となっている、
選定プログラム。
【請求項13】
前記評価決定手段は、当該実績情報、当該機器情報、及び推定した当該評価情報のうちの少なくとも1つに対し、当該推定処理に関係する情報に基づき決定された補正情報を反映させて、評価結果としての評価情報を決定する、請求項12に記載の評価プログラム。
【請求項14】
当該選定処理は、設定された制約条件を用いて複数の当該候補機器情報から当該選定機器情報を決定する処理であり、
前記機器選定手段は、決定された当該補正情報、及び当該評価情報の推定処理における推定の確からしさ若しくは実際との乖離の度合いに係る情報のうちの少なくとも1つを反映させた当該制約条件を設定し、当該少なくとも1つの反映された当該制約条件を用いた当該選定処理を実施する、
請求項12又は13に記載の選定プログラム。
【請求項15】
前記機器選定手段は、当該選定処理によって選定された当該候補機器情報に対し、決定された当該補正情報、及び当該評価情報の推定処理における推定の確からしさ若しくは実際との乖離の度合いに係る情報のうちの少なくとも1つを反映させた情報を、当該選定機器情報に決定する、請求項12又は13に記載の選定プログラム。
【請求項16】
機器又は機器セットの実績又は実験結果に係る値を含む取得された実績情報と、当該機器又は機器セットの構成、能力又は仕様に係る取得された機器情報とを用いて、当該機器又は機器セットに対する評価に係る評価情報を推定する評価決定手段を有し、
当該実績情報は、所定の期間における少なくとも一部の期間での当該実績又は実験結果に係る値が、当該少なくとも一部の期間に係る推定条件を用いた推定処理による推定値となっている、
評価装置。
【請求項17】
機器又は機器セットの実績又は実験結果に係る値を含む取得された実績情報と、当該機器又は機器セットの構成、能力又は仕様に係る取得された機器情報とを用いて、当該機器又は機器セットに対する評価に係る評価情報を推定する評価決定手段と、
選定の候補である複数の機器又は機器セットに係る当該機器情報である複数の候補機器情報に対し、当該機器又は機器セットについて決定された当該評価結果としての評価情報を含む値、又は当該評価結果としての評価情報を用いて導出される情報を含む値を目的変数とした選定処理を実施し、選定すべき当該機器又は機器セットに係る当該機器情報である選定機器情報を決定する機器選定手段と
を有し、
当該実績情報は、所定の期間における少なくとも一部の期間での当該実績又は実験結果に係る値が、当該少なくとも一部の期間に係る推定条件を用いた推定処理による推定値となっている、
選定装置。
【請求項18】
機器又は機器セットの実績又は実験結果に係る値を含む取得された実績情報と、当該機器又は機器セットの構成、能力又は仕様に係る取得された機器情報とを用いて、当該機器又は機器セットに対する評価に係る評価情報を推定する評価決定手段と、
選定の候補である複数の機器又は機器セットに係る当該機器情報である複数の候補機器情報に対し、当該機器又は機器セットについて決定された当該評価結果としての評価情報を含む値、又は当該評価結果としての評価情報を用いて導出される情報を含む値を目的変数とした選定処理を実施し、選定すべき当該機器又は機器セットに係る当該機器情報である選定機器情報を決定する機器選定手段と
を有し、
当該実績情報は、所定の期間における少なくとも一部の期間での当該実績又は実験結果に係る値が、当該少なくとも一部の期間に係る推定条件を用いた推定処理による推定値となっている、
選定システム。
【請求項19】
機器又は機器セットの実績又は実験結果に係る値を含む実績情報であって、所定の期間における少なくとも一部の期間での当該実績又は実験結果に係る値が、当該少なくとも一部の期間に係る推定条件を用いた推定処理による推定値となっている実績情報を取得するステップと、
取得された当該実績情報と、当該機器又は機器セット構成、能力又は仕様に係る取得された機器情報とを用いて、当該機器又は機器セットに対する評価に係る評価情報を推定するステップと
を有する、コンピュータによって実施される評価方法。
【請求項20】
選定の候補である機器又は機器セットの実績又は実験結果に係る値を含む取得された実績情報と、当該機器又は機器セットの構成、能力又は仕様に係る取得された機器情報とを用いて、当該機器又は機器セットに対する評価に係る評価情報を推定するステップと、
選定の候補である複数の当該機器又は機器セットに係る当該機器情報である複数の候補機器情報に対し、当該機器又は機器セットについて決定された当該評価結果としての評価情報を含む値、又は当該評価結果としての評価情報を用いて導出される情報を含む値を目的変数とした選定処理を実施し、選定すべき当該機器又は機器セットに係る当該機器情報である選定機器情報を決定するステップと
を有し、
当該実績情報は、所定の期間における少なくとも一部の期間での当該実績又は実験結果に係る値が、当該少なくとも一部の期間に係る推定条件を用いた推定処理による推定値となっている、
コンピュータによって実施される選定方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機器又は機器セットを評価する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ある使用条件の下で、機器又は機器セットのコストやパフォーマンスを適切に評価することは、例えばより好適な機器又は機器セットを選定するに当たり、非常に重要となっている。
【0003】
このような評価技術を含む機器選定技術として、例えば特許文献1には、部屋の特性にあった冷暖房機器を選定する冷暖房機器選定支援システムが開示されている。このシステムでは、冷暖房機器の使用に関する実績情報と、冷暖房機器が設置された各部屋の熱の出入りに関わる部屋情報とに基づき、各部屋における冷暖房時に必要な熱量を算出し、この算出結果に基づいて、市販の複数の冷暖房機器の中から各部屋に適した冷暖房機器を選定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-027433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上、特許文献1に開示されたように従来、所定期間における取得された運転実績データを用いて、機器又は機器セットの評価や選定が行われてきた。
【0006】
例えば、評価・選定対象が空調機器又は空調機器セットである場合、夏季と冬季では空調動作が異なり、また、外気温度、外気湿度や、日射量等の推移に合わせて空調負荷も大きく変化する。さらに、物件の用途、季節や、使用者の生活状況等によって例えば深夜も空調が実施されることも有り得る。したがって、このような空調機器又は空調機器セットを評価するに当たっては、通年の(春夏秋冬の全日における)運転実績データの取得されることが望ましい。また、設置環境・状況の変化の影響を受け得る他の多くの機器又は機器セットにおいても、同じく通年の運転実績データは取得しておきたいところである。
【0007】
しかしながら現実には、所定の期間、例えば1年間、にわたっての実測された運転実績データが取得できない場合も少なくない。この場合、存在する例えば数か月分の運転実績データを用いて機器又は機器セットの評価を行わざるをえない。その結果、機器又は機器セットの評価を実際に即した形で適切に行うことが困難となり、評価結果の信頼性が低下してしまう可能性も生じる。またこれにより、例えば不適切な機器又は機器セットを選定してしまう事態も生じ得る。
【0008】
本開示は、上記の点を鑑み、所定の期間の少なくとも一部の期間において評価のための実測情報が取得されなくても、機器又は機器セットをより適切に評価することができる評価プログラム、装置及び方法を提供することを目的とする。また、この評価結果を用いて、機器又は機器セットを選定することができる選定プログラム、装置、システム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示によれば、
機器又は機器セットの実績又は実験結果に係る値を含む取得された実績情報と、機器又は機器セットの構成、能力又は仕様に係る取得された機器情報とを用いて、機器又は機器セットに対する評価に係る評価情報を推定する評価決定手段としてコンピュータを機能させ、
実績情報は、所定の期間における少なくとも一部の期間での実績又は実験結果に係る値が、少なくとも一部の期間に係る推定条件を用いた推定処理による推定値となっている、
評価プログラムが提供される。
【0010】
本開示によれば、また、
機器又は機器セットの実績又は実験結果に係る値を含む取得された実績情報と、機器又は機器セットの構成、能力又は仕様に係る取得された機器情報とを用いて、機器又は機器セットに対する評価に係る評価情報を推定する評価決定手段と、
選定の候補である複数の機器又は機器セットに係る機器情報である複数の候補機器情報に対し、機器又は機器セットについて決定された評価結果としての評価情報を含む値、又は評価結果としての評価情報を用いて導出される情報を含む値を目的変数とした選定処理を実施し、選定すべき機器又は機器セットに係る機器情報である選定機器情報を決定する機器選定手段と
としてコンピュータを機能させ、
実績情報は、所定の期間における少なくとも一部の期間での実績又は実験結果に係る値が、少なくとも一部の期間に係る推定条件を用いた推定処理による推定値となっている、
選定プログラムが提供される。
【0011】
本開示によれば、さらに、
機器又は機器セットの実績又は実験結果に係る値を含む取得された実績情報と、機器又は機器セットの構成、能力又は仕様に係る取得された機器情報とを用いて、機器又は機器セットに対する評価に係る評価情報を推定する評価決定手段を有し、
実績情報は、所定の期間における少なくとも一部の期間での実績又は実験結果に係る値が、少なくとも一部の期間に係る推定条件を用いた推定処理による推定値となっている、
評価装置が提供される。
【0012】
本開示によれば、また、
機器又は機器セットの実績又は実験結果に係る値を含む取得された実績情報と、機器又は機器セットの構成、能力又は仕様に係る取得された機器情報とを用いて、機器又は機器セットに対する評価に係る評価情報を推定する評価決定手段と、
選定の候補である複数の機器又は機器セットに係る機器情報である複数の候補機器情報に対し、機器又は機器セットについて決定された評価結果としての評価情報を含む値、又は評価結果としての評価情報を用いて導出される情報を含む値を目的変数とした選定処理を実施し、選定すべき機器又は機器セットに係る機器情報である選定機器情報を決定する機器選定手段と
を有し、
実績情報は、所定の期間における少なくとも一部の期間での実績又は実験結果に係る値が、少なくとも一部の期間に係る推定条件を用いた推定処理による推定値となっている、
選定装置、又は選定システムが提供される。
【0013】
本開示によれば、さらに、機器又は機器セットの実績又は実験結果に係る値を含む実績情報であって、所定の期間における少なくとも一部の期間での実績又は実験結果に係る値が、少なくとも一部の期間に係る推定条件を用いた推定処理による推定値となっている実績情報を取得するステップと、
取得された実績情報と、機器又は機器セットの構成、能力又は仕様に係る取得された機器情報とを用いて、機器又は機器セットに対する評価に係る評価情報を推定するステップと
を有する、コンピュータによって実施される評価方法が提供される。
【0014】
本開示によれば、さらにまた、
選定の候補である機器又は機器セットの実績又は実験結果に係る値を含む取得された実績情報と、機器又は機器セットの構成、能力又は仕様に係る取得された機器情報とを用いて、機器又は機器セットに対する評価に係る評価情報を推定するステップと、
選定の候補である複数の機器又は機器セットに係る機器情報である複数の候補機器情報に対し、機器又は機器セットについて決定された評価結果としての評価情報を含む値、又は評価結果としての評価情報を用いて導出される情報を含む値を目的変数とした選定処理を実施し、選定すべき機器又は機器セットに係る機器情報である選定機器情報を決定するステップと
を有し、
実績情報は、所定の期間における少なくとも一部の期間での実績又は実験結果に係る値が、少なくとも一部の期間に係る推定条件を用いた推定処理による推定値となっている、
コンピュータによって実施される選定方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示による評価装置及び選定装置の一実施形態における機能構成を示す機能ブロック図である。
図2】空調機器セットの一例を説明するための模式図である。
図3】本開示による評価方法及び選定方法の一実施形態におけるフローを説明するための模式図である。
図4】本開示に係る補正情報決定処理についての種々の実施形態を説明するための模式図である。
図5】本開示に係る補正情報決定処理についての種々の実施形態を説明するための模式図である。
図6】本開示に係る補正情報決定処理についての種々の実施形態を説明するための模式図である。
図7】本開示に係る機器選定処理についての種々の実施形態を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
[評価装置・システム,選定装置・システム]
図1は、本開示による評価装置及び選定装置の一実施形態における機能構成を示す機能ブロック図である。
【0018】
図1に示したサーバ1は、本開示による評価装置及び選定装置の一実施形態であって、
(A1)評価対象である機器又は機器セットの取得された「実績情報Q」及び「機器情報P」を用いて、この評価対象に対する評価に係る「評価情報R」を推定する評価決定部114
を有している。また上記の「実績情報Q」は、
(A2)所定の期間(例えば1年間)における「少なくとも一部の期間」(例えば6~8月の夏季)での実績又は実験結果に係る値(実績情報Qの値)が、この「少なくとも一部の期間」に係る推定条件を用いた推定処理による推定値となっている。
【0019】
具体的に、本実施形態のサーバ1が取り扱う「実績情報Q」は、実測された実績情報である「実測実績情報QMEA」と、推定された実績情報である「推定実績情報QESTI」とを含む(Q={QMEA, QESTI})。これにより、「少なくとも一部の期間」での評価のための実測情報、本実施形態では「実測実績情報QMEA」が取得されなくても、「少なくとも一部の期間」での「推定実績情報QESTI」を取得し使用することによって、機器又は機器セットをより適切に評価することができる。ちなみに後に詳細に説明するが、「推定実績情報QESTI」は、本実施形態において実績推定部112によって生成される。ただし「推定実績情報QESTI」は、可能であればサーバ1の外部から取得されたものであってもよい。
【0020】
ここで「実績情報Q」(実測実績情報QMEA及び推定実績情報QESTI)は、対象となる機器又は機器セットの実績又は実験結果に係る情報である。このうち「実測実績情報QMEA」は本実施形態において、下記(a)の実測実績データ、及び下記(b)の実測実績データとなっている。
【0021】
(a)少なくとも1つの現場(本実施形態では複数(多数)の現場)に設置された(既設の)機器又は機器セット群2の実測された実績データを収集し管理する機器情報管理サーバ3から、通信インタフェース部101及び通信制御部121を介して取得され、実測実績情報保存部102に保存・管理された実測実績データ
(b)この後説明する選定処理の候補となる複数の機器又は機器セットの予め測定された実績データであって、同じく実測実績情報保存部102に保存・管理された実測実績データ
なお「実測実績情報QMEA」は、例えば実験室における実機の測定結果としての実機実験データとすることも可能である。
【0022】
また「機器情報P」は、対象となる機器又は機器セットの構成、能力又は仕様に係る情報であって、本実施形態では、機器情報保存部103に保存・管理されている。さらに「評価情報R」は、本実施形態において、対象となる機器又は機器セットのコスト又はパフォーマンスに係る情報である。この「評価情報R」の推定は、後に詳述するが、各種シミュレーション、若しくは深層学習(Deep Learning)等の機械学習、又はこれらの組合せによって実施することができる。
【0023】
また本実施形態において、(B)評価決定部114は「実績情報Q(={QMEA, QESTI})」、「機器情報P」、及び推定した「評価情報R」のうちの少なくとも1つに対し、「推定処理に関係する情報」に基づき決定された「補正情報」(ΔCORQ, ΔCORP, ΔCORR)を反映させて、評価結果としての評価情報(以下、「評価結果情報」と略称することも有り)(R, R+ΔCORR)を決定する。ここで「推定処理に関係する情報」は、後に詳細に説明するが、推定実績情報QESTI自体、推定期間情報、用途・使用態様情報や、信頼性スコア等である。
【0024】
このように、本実施形態のサーバ1は、「機器情報P」に対し「補正情報ΔCORP」を反映させたり、「実績情報Q」に対し「補正情報ΔCORQ」を反映させたり、推定した「評価情報R」に対し「補正情報ΔCORR」を反映させたりして、機器又は機器セットの評価結果としての「評価結果情報(R, R+ΔCORR)」を決定できる。言い換えればサーバ1は、実績情報Qに含まれる推定部分が機器評価に及ぼし得る影響を考慮して、機器又は機器セットを評価することができる。
【0025】
例えば、能力(機器情報)Pの機器について、1年間の毎日での昼間(8~19時)における実測された(所定の処理に係る)処理量、言い換えれば昼間における実測実績情報QMEA、が得られている場合を考える。この場合、同1年間の毎日での夜間(0~8時,19~24時)における処理量を推定して夜間における推定実績情報QESTIを生成する(又は外部の推定手段から推定実績情報QESTIを取得する)。この生成した(取得された)推定実績情報QESTIと実測実績情報QMEAとを合わせた実績情報Qによって、この機器のより好適な評価情報Rを推定することができる。
【0026】
また、推定実績情報QESTIの推定処理における推定期間の長さ(1年×13時間/24時間)や推定期間の種別(夜間)等から補正情報ΔCORQ及びΔCORRを決定し、補正情報ΔCORQを反映させた処理量(Q+ΔCORQ)及び能力Pから消費電力(評価情報)Rを推定することも可能となる。さらに、補正情報ΔCORRを用いて評価結果情報としての消費電力(R+ΔCORR)を決定することもできる。このように決定された消費電力(R+ΔCORR)は、処理量の推定部分が評価条件や評価結果に生じさせ得る誤差(影響)を吸収・補償するマージンを、この評価条件や評価結果に対し付与した、より好適な評価結果となっている。
【0027】
なお、上記(A2)における実績情報Qの推定処理に係る「少なくとも一部の期間」は、例えばある1年間(1~12月)における夏季(6~8月)のように、所定の期間における1つの期間であってもよい。また、3~5月及び9~11月や、夜間のように、所定の期間における複数の期間であってもよい。さらに、例えばある1年間における毎日の6時間毎の実測実績情報Qが得られていて、これに対し同1年間における毎日の(6時間毎を除く)1時間毎の推定実績情報QESTIを取得(推定)した場合を考える。この場合、「少なくとも一部の期間」は、例えば同1年間の毎日における4つの5時間であると解釈し、これにより、この「少なくとも一部の期間」の長さを例えば5/6年間に設定してもよい。
【0028】
また本実施形態において、サーバ1は、
(C)選定の候補である複数の機器又は機器セット(以下、候補機器・セットと略称することも有り)に係る機器情報である複数の「候補機器情報Pc」に対し、「選定処理」を実施し、選定すべき機器又は機器セットに係る機器情報である「選定機器情報Ps」を決定する機器選定部115
を更に有している。ここで「選定処理」は、各候補機器・セットについて決定された「評価結果情報(R, R+ΔCORR)」を含む値、又は「評価結果情報(R, R+ΔCORR)」を用いて導出される情報を含む値を「目的変数」(選定処理で最適化する目的関数の値)とした処理である。
【0029】
このように、サーバ1は本実施形態において、実績情報Qの推定部分が機器評価に及ぼし得る影響を考慮した「評価結果情報(R, R+ΔCORR)」を用いて、機器又は機器セットを選定することもできる。なお上記の選定処理は、後に詳細に説明するが、例えば局所探索法やベイズ最適化といったようなブラックボックス最適化手法によって実施してもよい。
【0030】
また、上記(A1)、(A2)や(B)の評価決定部114と、上記(C)の機器選定部115とはそれぞれ、互いに通信可能な2つの装置の機能構成部であってもよい。この場合、評価決定部114を含む装置は、本開示による評価装置の一実施形態と捉えられる。また、これら2つの装置は、本開示による選定システムの一実施形態を構成している。さらに、この後詳細に説明する、図1に示された候補設定部111、実績推定部112、及び補正決定部113のうちの少なくとも1つが、評価決定部114を含む評価装置とは別の装置の機能構成部であるような実施形態をとることも可能である。例えば互いに通信可能な、候補設定部111を含む候補設定サーバと、実績推定部112及び補正決定部113を含む実績推定・補正決定サーバと、評価決定部114を含む評価サーバとの全体をもって、本開示による評価システムの一実施形態としてもよい。また、さらに機器選定部115を含む機器設定サーバも取り入れて、全体で本開示による選定システムの一実施形態を構成することも可能である。
【0031】
以下、サーバ1の各機能構成部について詳細に説明する。この説明に係る実施形態において、多数の現場に設置された機器又は機器セット群2を含め、評価対象となる(例えば選定の候補である)機器又は機器セットは、空調機器又は空調機器セット(以下、空調機器・セットと略称することも有り)とする。ここで空調機器は、室内機、室外機や、換気装置等である。さらに、チラー、冷凍機、冷却塔、ボイラー、AHU(Air Handling Unit)、FCU(Fan Coil Unit)、RTU(Roof Top Unit)や、外調機等とすることもできる。また、空調機器セットは、これらの装置の組合せであり、装置同士が接続されている場合、その接続構成も含む。
【0032】
1つの例として空調機器セットは、図2に示したように、2台の室外機Ea及びEbと、6台の室内機Ia~Ifと、2台の換気装置Va及びVbとの組合せとすることができる。本例では、室外機Ea及びEbはそれぞれ、3台の室内機Ia~Ic及び3台の室内機Id~Ifと冷媒配管Pa及びPbによって接続されている。室内機Ia及びIbは、空調対象空間である部屋Raに設置され、室外機Eaと連動して部屋Raの空気調和処理を実施する。また室内機Ic及びIdは、空調対象空間である部屋Rbに設置され、それぞれ室外機Ea及びEbと連動して部屋Rbの空気調和処理を実施する。さらに室内機Ie及びIfは、空調対象空間である部屋Rcに設置され、室外機Ebと連動して部屋Rcの空気調和処理を実施する。また、換気装置Vaは、部屋Ra用として設置され、部屋Raの換気を行う。一方、換気装置Vbは、部屋Rb及び部屋Rcの共用として設置され、部屋Rb及び部屋Rcの換気を行う。本例のような空調機器セットの「機器情報P」は、これらの装置(Ea,Eb,Ia~If,Va,Vb)の間に存在する接続構成の情報(例えばPa及びPbの配管情報)を含むものであってもよい。
【0033】
いずれにしても「機器情報P」は、以下の説明に係る実施形態において、空調機器や空調機器セットにおける最大出力や、最大運転回転数(最大運転周波数)等の空調能力情報を含む情報とすることができる。また、設置位置、設置態様や、接続関係等の構成情報や、仕様情報を含むことも好ましい。さらに「実績情報Q」は、空調機器や空調機器セットにおける空調負荷及び運転回転数(運転周波数)のうちの少なくとも1つを含む情報であってもよい。また「評価情報R」は、空調機器や空調機器セットにおける消費電力、コスト、未処理負荷、実績温度、及び実績湿度のうちの少なくとも1つを含む情報とすることができる。
【0034】
ちなみに本開示に係る機器又は機器セットは、当然ではあるが、以上述べたような空調機器又は空調機器セット(空調機器・セット)に限定されるものではない。例えば、その能力や仕様(機器情報)を数値として規定でき、目的である所定の処理に係る処理量(実績情報)を測定可能であって、そのパフォーマンスやコスト(評価情報)を数値で表現可能な機器又は機器セットならば、本開示に係る評価対象や選定対象とすることができる。例えば、装置、部品、デバイス又は機能材料等の製造・生産装置(システム)、調光装置(システム)や、インターネット関連設備(システム)等は、本開示に係る評価対象や選定対象に該当し得る。
【0035】
[装置機能構成,評価・選定プログラム]
図1の機能ブロック図によれば、本開示による評価装置及び選定装置の一実施形態としてのサーバ1は、通信インタフェース部101と、実測実績情報保存部102と、機器情報保存部103と、機器稼働情報保存部104と、空間運用情報保存部105と、空間構成情報保存部106と、環境情報保存部107と、プロセッサ・メモリ(メモリ機能を備えた演算処理系)とを有する。
【0036】
このプロセッサ・メモリは、本開示による評価プログラムの一実施形態を包含する選定プログラムの一実施形態を保存している。またプロセッサ・メモリは、コンピュータ機能を有していて、この選定プログラム(評価プログラム)を実行することによって、機器選定処理(機器評価処理)を実施する。なおこのことから分かるように、本開示による選定装置(評価装置)は、機器選定(機器評価)専用装置であってもよいが、本開示による選定プログラム(評価プログラム)を搭載した、クラウドサーバ、非クラウドサーバ、パーソナル・コンピュータ(PC)、携帯型コンピュータや、各種通信端末とすることもできる。
【0037】
さらに、上記のプロセッサ・メモリは本実施形態において、候補設定部111と、実績推定部112と、補正決定部113と、評価決定部114と、機器選定部115と、通信制御部121として機能する。これらの機能構成部は、プロセッサ・メモリに保存された(評価プログラムを包含する)選定プログラムの実行によって具現する機能と捉えることができる。ちなみに、実績推定部112、補正決定部113、及び評価決定部114は、(選定プログラムに包含された)評価プログラムの実行によって具現する機能構成部である。また、図1におけるサーバ1の機能構成部間を矢印で接続して示した処理の流れは、本開示による評価方法及び選定方法の一実施形態としても理解される。
【0038】
<候補設定手段>
同じく図1の機能ブロック図において、本実施形態の候補設定部111は、その中から目的の空調機器・セットが選定される、複数の候補となる空調機器・セット(以下、候補空調機器・セットと略称することも有り)を設定する。また、これら候補空調機器・セットの機器情報である候補機器情報Pcを決定する。具体的に候補設定部111は、機器情報保存部103に予め登録された多数の空調機器(の機器情報P)から、この後選定される可能性があると判断される(例えば空調能力が所定範囲内の)空調機器を選んで候補空調機器にしてもよい。また、予め登録された多数の空調機器や空調機器セット(の機器情報P)から適宜選んだものを用いて、この後選定される可能性があると判断される(例えば各機器の空調能力又はその合計が所定範囲内となる)空調機器セットを構成し、これを候補空調機器セットにしてもよい。
【0039】
いずれにしても本実施形態の候補設定部111は、選定される可能性のある多数の候補空調機器・セットを設定する。また候補設定部111は、各候補空調機器・セットの機器情報である候補機器情報Pcを決定しておき、候補機器情報Pcの紐づけられた候補空調機器・セットの情報を、機器情報保存部103に保存・管理させる。
【0040】
<実績推定手段>
同じく図1の機能ブロック図において、本実施形態の実績推定部112は、評価対象である(既設の又は選定候補の)空調機器・セットにおける「推定期間TESTI」での実績又は実験結果に係る値を推定する。すわわち、実績推定部112は本実施形態において、「推定期間TESTI」での実績情報である推定実績情報QESTIを生成する。ここで「推定期間TESTI」は、上記(A2)の「少なくとも一部の期間」のことであり、実測実績情報QMEAの存在しない期間となっている。
【0041】
具体的に実績推定部112は、下記(a)~(d)のうちの少なくとも1つを推定条件として、推定期間TESTIでの実績又は実験結果に係る値を推定し、推定期間TESTIでの(実績又は実験結果に係る値が推定値となっている実績情報の部分である)推定実績情報QESTIを生成する。
【0042】
(a)評価対象である空調機器・セットにおける、取得された(本実施形態では機器稼働情報保存部104から読み出された)推定期間TESTIでの「機器稼働情報A」
(b)評価対象である空調機器・セットに関係する空間、本実施形態では空調対象空間に係る、取得された(本実施形態では空間運用情報保存部105から読み出された)推定期間TESTIでの「空間運用情報B」
(c)評価対象である空調機器・セットに関係する空間、本実施形態では空調対象空間に係る、取得された(本実施形態では空間構成情報保存部106から読み出された)推定期間TESTIでの「空間構成情報C」
(d)評価対象である空調機器・セットに関係する環境、本実施形態では空調対象空間の周囲の外気を含む環境に係る、取得された(本実施形態では環境情報保存部107から読み出された)推定期間TESTIでの「環境情報D」
なお本実施形態では基本的に、より実際に即した推定値を得るべく、上記(a)~(d)の全てを用いて、推定期間TESTIでの実績又は実験結果に係る値を推定する。
【0043】
ここで上記(a)の「機器稼働情報A」は、空調機器・セットの稼働、運用若しくは設定に係る情報であって、本実施形態において機器稼働情報保存部104に予め登録され、保存・管理されている。具体的に、「機器稼働情報A」は例えば、所定期間(例えば1年間)における単位時間毎(例えば毎日の1時間毎)の情報であって、空調機器・セットについての以下に挙げた情報(a1)~(a3)のうちの少なくとも1つとすることができる。
(a1)稼働スケジュール情報(空調機器・セットをその単位時間(1時間)に起動させるか停止させるか、言い換えれば所定期間(1年間)のうちその単位時間(1時間)で起動させるかの情報や、予冷余熱の起動・停止の情報)、
(a2)環境目標設定情報(空調機器・セットにおけるその単位時間(1時間)での設定温度、設定湿度や、設定換気量等の情報)
(a3)保守情報(空調機器・セットのメンテナンスをその単位時間(1時間)に行うか否か、言い換えれば所定期間(1年間)のうちどの単位時間(1時間)でメンテナンスを行うかの情報)
【0044】
また上記(b)の「空間運用情報B」は、空調機器・セットに関係する空間、本実施形態では空調対象空間の稼働、運用若しくは設定に係る情報であって、本実施形態において空間運用情報保存部105に予め登録され、保存・管理されている。具体的に、「空間運用情報B」は例えば、所定期間(例えば1年間)における単位時間毎(例えば毎日の1時間毎)の情報であって、以下に挙げた情報(b1)~(b3)のうちの少なくとも1つとすることができる。
(b1)空調対象空間に設置されている設備機器(日射遮蔽機器、照明機器や、発熱機器等)についての運用スケジュール情報(各設備機器をその単位時間(1時間)に動作させるか否か、言い換えれば所定期間(1年間)のうちどの単位時間(1時間)で動作させるかの情報)
(b2)空調対象空間に設置されている設備機器(日射遮蔽機器、照明機器や、発熱機器等)についての保守情報(各設備機器のメンテナンスをその単位時間(1時間)に行うか否か、言い換えれば所定期間(1年間)のうちどの単位時間(1時間)でメンテナンスを行うかの情報)
(b3)空調対象空間の構成要素、本実施形態では壁材等の建築部材についての保守情報(各建築部材のメンテナンスをその単位時間(1時間)に行うか否か、言い換えれば所定期間(1年間)のうちどの単位時間(1時間)でメンテナンスを行うかの情報)等
さらに「空間運用情報B」は、(人間を含む)発熱体の種別、数及び発熱の程度に係る情報を含んでいてもよい。
【0045】
また上記(c)の「空間構成情報C」は、空調機器・セットに関係する空間、本実施形態では空調対象空間の構成、性能若しくは仕様に係る情報であって、本実施形態において空間構成情報保存部106に予め登録され、保存・管理されている。具体的に、「空間構成情報C」は例えば、空調対象空間の構成要素、例えば壁材等の建築部材における配置、形状、性能や仕様についての情報や、空調対象空間の区画割りの情報等のうちの少なくとも1つとすることができる。また例えば、空調対象空間である部屋の用途又は使用態様に係る情報を含んでいてもよい。ちなみに、空調機器セットが例えば複数の部屋を空調対象空間とする場合、「空間構成情報C」は、これらの部屋全てについての情報とすることも好ましい。また、「空間構成情報C」も、所定期間(例えば1年間)における単位時間毎(例えば毎日の1時間毎)の情報とすることができる。例えば、所定期間(1年間)内に空調対象空間の内装や区画が変更され得る場合、所定期間(1年間)における単位時間毎(毎日の1時間毎)の内装や区画に係る情報を含むことも好ましい。
【0046】
また上記(d)の「環境情報D」は、空調機器・セットに関係する環境に係る情報である。具体的に例えば、所定期間(例えば1年間)における単位時間毎(例えば毎日の1時間毎)の、空調対象空間の周囲の外気温度、外気湿度、日射量や、風速等のうちの少なくとも1つの情報とすることができる。この場合、「環境情報D」は例えば、外部の気象情報管理サーバ4から通信インタフェース部101及び通信制御部121を介して取得され、環境情報保存部107に保存・管理されていてもよい。また、「環境情報D」は、空調対象空間に隣接する空間(例えば隣室や隣棟)における空調対象空間の温度や湿度に影響し得る事象(例えば隣室の温度)の情報を含んでいてもよい。
【0047】
(空調実績モデル,空調実績シミュレーション)
以下、推定実績情報QESTIの具体的な生成(推定)手法について説明する。実績推定部112は、
(i)多層パーセプトロン(MultiLayer Perceptron,MLP)といったようなニューラルネットワーク(Neural Network)アルゴリズム等の機械学習アルゴリズムによって構築された学習済みの空調実績モデルによって、
(ii)構築された空調対象空間の物理モデルに対する空調実績シミュレーションによって、又は
(iii)空調実績に係る機械学習モデル(例えば空調実績誤差推定モデル)と空調実績シミュレーションとの組合せによって、
推定実績情報QESTIを生成する。この推定実績情報QESTIは本実施形態では、所定期間(例えば1年間)における推定期間TESTI(例えば6~8月の夏季)での単位時間毎(例えば毎日の1時間毎)の「実績又は実験結果に係る値」の推定値となっている。ちなみに推定期間TESTIの各時間(日時)tにおける推定実績情報QESTI(t)は、本実施形態において、その時間(日時)tでの後述する目的変数やシミュレーション条件を用いて導出される。
【0048】
このうち、空調実績モデルは、「機器稼働情報A」と、「空間運用情報B」と、「空間構成情報C」と、「環境情報D」とのうちの少なくとも1つ、本実施形態では全てを説明変数とし、実績情報Q(推定実績情報QESTI)を目的変数とした学習済みの機械学習モデルとすることができる。
【0049】
一方、空調実績シミュレーションは、本実施形態において動的熱負荷(空調負荷)シミュレーションであって、例えばEnergyPLus(登録商標)等の公知のシミュレーションソフトウェアを用いて実施することができる。この場合、空調対象空間についての構築された物理モデル(簡易な熱収支式モデルや、シミュレーションソフトウェアに備えられたモデル等)に対し、動的負荷(空調負荷)シミュレーションを行って、推定期間TESTIでの「実績又は実験結果に係る値」の時系列推定値を算出する。具体的には、「機器稼働情報A」と、「空間運用情報B」と、「空間構成情報C」と、「環境情報D」とを、物理モデル構築に用いたりシミュレーション条件に設定したりして、シミュレーション結果(QESTI)を導出する。
【0050】
さらに実績推定部112は、上述したように、空調実績に係る機械学習モデルと空調実績シミュレーションとを組み合わせて用いて、例えば特許文献:特開2022-044555号公報に開示された手法を用いて推定実績情報QESTIを生成してもよい。具体的には、空調実績シミュレーションの結果(Q)に対し、(シミュレーション条件下での結果の誤差を学習した)空調実績誤差推定モデルによって推定された空調実績誤差を用いた補正を実施し、補正後の結果(Q')を算出して、この結果(Q')を推定実績情報QESTIとする。これにより、シミュレーション条件の不足や、シミュレーション条件の実際からの乖離に起因する空調実績シミュレーションの誤差を抑制し、より精度の高い推定実績情報QESTIを得ることが可能となる。
【0051】
なお、「機器稼働情報A」、「空間運用情報B」、「空間構成情報C」及び「環境情報D」については、実測実績情報QMEAの存在しない推定期間TESTIを含め、所定の期間(例えば1年間)にわたる情報が得られていることも好ましい。また、これらの情報(A, B, C, D)は、対応する(同じ空調機器・セット、空調対象空間や、環境に係る)実測実績情報QMEAと紐づけられて保存・管理されていることも好ましい。言い換えれば、推定期間TESTI以外の期間でのこれらの情報(A, B, C, D)は、まさに実測実績情報QMEAに係る空調機器・セット、空調対象空間や環境についての情報であることも好ましい。これにより、実測実績情報QMEAにより即した精度のより高い、推定期間TESTIでの推定実績情報QESTIを生成することもできる。また、例えば推定期間TESTI以外の期間において生成した推定実績情報QESTIと対応する実測実績情報QMEAとの差分に基づき、推定期間TESTIにおいて生成した推定実績情報QESTIを補正し、最終的により精度の高い推定実績情報QESTIを得ることも可能となる。ただし勿論、推定期間TESTIにわたる情報(A, B, C, D)さえ取得されれば、目的である推定期間TESTIでの推定実績情報QESTIは生成可能である。
【0052】
<補正決定手段>
同じく図1の機能ブロック図において、本実施形態の補正決定部113は、実績推定部112での「推定処理に関係する情報」に基づき、実績情報Q(={QMEA, QESTI})、機器情報P、及び評価情報Rのうちの少なくとも1つについての補正情報(ΔCORQ, ΔCORP, ΔCORR)を決定する。
【0053】
ここで「推定処理に関係する情報」は、実績推定部112での実績推定処理(推定実績情報QESTIの生成処理)における、以下に挙げた(ア)~(ウ)の少なくとも1つとすることができる。
(ア)推定期間TESTIに係る情報(例えば期間の長さや、夏季・冬季・中間季といった期間の種別の情報)
(イ)推定期間TESTIに係る空調機器・セット又は空調対象空間の用途又は使用態様に係る情報
(ウ)この推定処理における推定の確からしさ又は実際との乖離の度合いに係る情報
なお、この「推定処理に関係する情報」を、(後に図4を用いて説明するように)推定実績情報QESTI自体とすることも可能である。
【0054】
例えば、推定期間TESTIが長いほど推定実績情報QESTIの推定誤差も大きくなり得るとし、予め設定された「推定期間TESTIの単調増加関数」の値(推定期間TESTIが長いほど大きくなる値)を、実績情報Qに対する補正のための補正情報ΔCORQとしてもよい。また、推定期間TESTIの長さの代わりに、所定の期間(例えば1年間)における推定期間TESTIの長さの割合を用いることも可能である。さらにこの後の機器評価処理において、このような推定実績情報QESTIの推定誤差を機器情報Pに吸収・補償させるべく、同様の「推定期間TESTIの単調増加関数」の値のマイナス値(-1を掛けた値)を、補正情報ΔCORPとしてもよい。ここでマイナス値を用いるのは、後の機器評価処理において、例えば処理すべき空調負荷(実績情報)がΔCORQだけ増加する事態に対し、説明関数やシミュレーション条件である空調能力(機器情報)を減らす(より空調能力が低いとする)ことで対応するためである。
【0055】
さらにこの後の機器評価処理において、推定実績情報QESTIの推定誤差を評価情報Rに吸収・補償させるべく、同様の「推定期間TESTIの単調増加関数」の値を、補正情報ΔCORRとしてもよい。ここでマイナス値ではなく「推定期間TESTIの単調増加関数」の値をそのまま用いるのは、後の機器評価処理において、例えば処理すべき空調負荷がΔCORQだけ増加する事態に対し、消費電力に対し上乗せを行う(評価を厳しくする)ことで対応するためである。
【0056】
さらに、推定期間TESTIが、夏季(6~8月)か、冬季(12~2月)か、又は中間季(春季及び秋季)かに応じて、予め個別に設定しておいた期間種別値を、実績情報Qに対する補正のための補正情報ΔCORQとすることができる。またこの後の機器評価処理において、推定実績情報QESTIに対する推定期間TESTIの種別の影響を機器情報Pや評価情報Rに吸収・補償させるべく、同様の期間種別値を、補正情報ΔCORPや補正情報ΔCORRとしてもよい。例えば、日射量、壁材の断熱負荷や、湿度等の空調運転に影響する負荷が夏季と冬季とで大きく異なり、夏季の推定誤差の方が冬季よりも大きくなる傾向にあることが判明している又は予想される場合、夏季の期間種別値を冬季よりも大きな値とすることもできる。
【0057】
また、推定期間TESTIにおける空調対象空間が、会社のオフィスか、学校の教室か、商業スペースか、又はその他の用途(使用態様)空間かに応じて、予め個別に設定しておいた用途(使用態様)値を、実績情報Qに対する補正のための補正情報ΔCORQとしてもよい。またこの後の機器評価処理において、このような推定実績情報QESTIに対する用途や使用態様の影響を機器情報Pや評価情報Rに吸収・補償させるべく、同様の用途(使用態様)値を、補正情報ΔCORPや補正情報ΔCORRとしてもよい。例えば、オフィスの推定誤差の方が商業スペースよりも大きくなる傾向にあることが判明している又は予想される場合、オフィスの用途(使用態様)値を商業スペースよりも大きな値としてもよい。ちなみに、オフィスでは平日のみ空調運転を行っていて空調運転を行う時間帯もばらつく傾向にあるのに対し、商業スペースでは毎日概ね同じ時間帯で空調運転を行う傾向にある。したがって、一般的にオフィスの推定誤差の方が大きくなることは、十分に予想される。
【0058】
さらに、実績推定処理に用いた空調実績モデルの出力から算定される又は空調実績シミュレーションソフトウェアの一機能として出力される信頼性スコアを用いて、補正情報ΔCORQを決定することもできる。具体的には、実績情報Qに対する補正のための補正情報ΔCORQを、予め設定された「信頼性スコアの単調増加関数」の値(信頼性スコアが低いほど大きくなる値)としてもよい。また、この後の機器評価処理において、推定実績情報QESTIに対する実績推定処理の信頼性の影響を機器情報Pや評価情報Rに吸収・補償させるべく、同様の「信頼性スコアの単調増加関数」の値を、補正情報ΔCORPや補正情報ΔCORRとしてもよい。さらに、推定期間TESTI以外の期間における上述した空調実績モデルの出力(Q)やシミュレーション結果(Q)を得て、このような出力値(Q)や結果値(Q)と実測実績情報QMEAとの差分(実際との乖離の度合い)を、信頼性スコアの代わりに用いることも可能である。
【0059】
また、以上に説明した、「推定期間TESTIの単調増加関数」の値と、期間種別値と、用途(使用態様)値と、信頼性スコアとのうちの少なくとも2つ(例えば全て)を用いた値、例えばこれら全ての(所定の重み付け)和を、補正情報(ΔCORQ, ΔCORP, ΔCORR)とすることも可能である。
【0060】
さらに例えば、以上説明したように決定した補正情報ΔCORQ(>0)が、具体的に空調負荷補正分である場合、補正決定部113は、
(a)この空調負荷補正分ΔCORQに相当する室外機(の圧縮機)の運転回転数の増分のマイナス値(-1を掛けた値)を、最大運転回転数(機器情報)Pの補正分(補正情報)ΔCORP(<0)としてもよく、
(b)この空調負荷補正分ΔCORQに相当する消費電力の増分及び未処理負荷の増分を、消費電力及び未処理負荷(評価情報)Rの補正分(補正情報)ΔCORR(>0)としてもよい。
【0061】
また補正決定部113は、補正情報ΔCORQ、上記(a)の補正情報ΔCORP、及び上記(b)のΔCORRのうち少なくとも1つ、例えば全部、を決定することも可能である。いずれにしても、後に説明する評価決定部114は、例えば、このように決定された補正情報(ΔCORP, ΔCORQ, ΔCORR)分に応じて変動した消費電力及び未処理負荷(評価結果情報)(R, R+ΔCORR)を決定する。その結果、同じく後に説明する機器選定部115は、この変動した消費電力や未処理負荷にも対応可能な、言い換えれば上記の運転回転数の増分にも対応可能な空調能力Pを有する空調機器・セットを選定することができる。ちなみに、上記(a)の補正情報ΔCORP(<0)が決定された場合、評価決定部114は、最大運転回転数(機器情報)Pが補正情報ΔCORP分だけ低下したより厳しい条件で、消費電力及び未処理負荷(評価結果情報)Rを決定する。
【0062】
いずれにしても、以上に述べたものを含む補正情報決定処理に係る種々の実施形態について、後に図4~6を用いて詳細に説明する。
【0063】
なお、本実施形態の補正決定部113は、補正情報(ΔCORQ, ΔCORP, ΔCORR)として、取得された実績情報Q(={QMEA, QESTI})のうちの推定値に係る情報部分である推定実績情報QESTIに対する補正情報を決定する。したがって、例えば補正情報ΔCORQを反映させた実績情報(Q+ΔCORQ)は、推定期間TESTIにおいてQESTI+ΔCORQであって、それ以外の期間においてQMEAである情報{QMEA, QESTICORQ}となる。しかしながら、例えば補正情報の内容によって、補正情報を実績情報Q全体に及ぼすことも好ましいと判断されるならば、補正決定部113は、補正情報(ΔCORQ, ΔCORP, ΔCORR)として、取得された実績情報Q(={QMEA, QESTI})全体に対する補正情報を決定してもよい。この場合、例えば補正情報ΔCORQを反映させた実績情報(Q+ΔCORQ)は、情報{QMEACORQ, QESTICORQ}となる。
【0064】
また本実施形態において、情報(Q, P, R)の補正情報は、元の値に対する差分(ΔCORQ, ΔCORP, ΔCORR)となっているが、例えば補正情報としての倍率(αQ, αP, αR)の形をとっていてもよい。この場合、補正情報を反映した情報(Q+ΔCORQ, P+ΔCORP, R+ΔCORR)は、情報(Q×αQ, P×αP, R×αR)に書き換えられることになる。
【0065】
<評価決定手段>
同じく図1の機能ブロック図において、本実施形態の評価決定部114は、評価対象である(既設の又は選定対象の)空調機器・セットにおける、下記(a)の情報と、下記(b)の情報とを用いて評価情報Rを推定する。
(a)取得された実績情報Q(本実施形態では実測実績情報保存部102から読み出した実測実績情報QMEA、及びこの実測実績情報QMEAに紐づけられた情報(A, B, C, D)から生成された推定実績情報QESTI)、又は実績情報Qに対し補正情報ΔCORQが決定されているならば、取得された実績情報Qに対し補正情報ΔCORQを反映させた実績情報(Q+ΔCORQ)、若しくは取得された実績情報Q及び補正情報ΔCORQ
(b)取得された(本実施形態では機器情報保存部103から読み出した)機器情報P、又は機器情報Pに対し補正情報ΔCORPが決定されているならば、取得された機器情報Pに対し補正情報ΔCORPを反映させた機器情報(P+ΔCORP)、若しくは取得された機器情報P及び補正情報ΔCORP
また評価決定部114は、推定した評価情報Rを、又は評価情報Rに補正情報ΔCORRが決定されているならば、推定した評価情報Rに対し補正情報ΔCORRを反映させた評価情報(R+ΔCORR)を、評価結果情報(R, R+ΔCORR)に決定する。
【0066】
(空調評価モデル,空調評価シミュレーション)
以下、実績情報(Q, Q+ΔCORQ)及び機器情報(P, P+ΔCORP)を用いた評価情報Rの具体的な推定手法について説明する。評価決定部114は、
(i)例えば多層パーセプトロンといったようなニューラルネットワークアルゴリズム等の機械学習アルゴリズムによって構築された学習済みの空調評価モデルによって、
(ii)構築された空調機器・セットの物理モデルに対する空調評価シミュレーションによって、又は
(iii)空調評価に係る機械学習モデル(例えば空調評価誤差推定モデル)と空調評価シミュレーションとの組合せによって、
評価情報R、本実施形態では所定期間(例えば1年間)における単位時間毎(例えば毎日の1時間毎)の評価情報Rを推定する。ここで本実施形態において、各時間(日時)tの評価情報R(t)は、その時間(日時)tでの後述する目的変数やシミュレーション条件を用いて導出される。
【0067】
このうち、空調評価モデルは学習済みの機械学習モデルである。、具体的に空調評価モデルは、実績情報(Q+ΔCORQ)(補正情報ΔCORQが決定されていない場合、ΔCORQ=0)と、機器情報(P+ΔCORP)(補正情報ΔCORPが決定されていない場合、ΔCORP=0)とを説明変数とし、評価情報Rを目的変数とする。また空調評価モデルの別形態として、実績情報Q及び補正情報ΔCORQ(補正情報ΔCORQが決定されていない場合、ΔCORQ=0)と、機器情報P及び補正情報ΔCORP(補正情報ΔCORPが決定されていない場合、ΔCORP=0)とを説明変数とし、評価情報Rを目的変数とした学習済みの機械学習モデルを採用してもよい。
【0068】
一方、空調評価シミュレーションは、例えば評価情報Rとして消費電力を用いるならば、消費電力シミュレーションであって、例えばEnergyPLus(登録商標)等の公知のシミュレーションソフトウェアを用いて実施することができる。この場合、実績情報(Q+ΔCORQ)(補正情報ΔCORQが決定されていない場合、ΔCORQ=0)と、機器情報(P+ΔCORP)(補正情報ΔCORPが決定されていない場合、ΔCORP=0)とを、物理モデル構築に用いたりシミュレーション条件に設定したりして、シミュレーション結果(R)を算出してもよい。
【0069】
さらに評価決定部114は、上述したように、空調評価に係る機械学習モデルと空調評価シミュレーションとを組み合わせて用いて、例えば特許文献:特開2022-044555号公報に開示された手法を用いて、評価情報Rを推定してもよい。具体的には、空調評価シミュレーションによるシミュレーション結果(R)に対し、(シミュレーション条件下での結果の誤差を学習した)空調評価誤差推定モデルによって推定された空調評価誤差を用いた補正を実施して、補正後のシミュレーション結果(R')を算出し、これを評価情報Rの推定結果としてもよい。これにより、シミュレーション条件の不足やシミュレーション条件の実際からの乖離に起因する空調評価シミュレーションの誤差を抑制し、より精度の高い評価情報推定値を得ることも可能となる。
【0070】
<機器選定手段>
同じく図1の機能ブロック図において、本実施形態の機器選定部115は、「複数の候補機器情報Pc」に対し「選定処理」を実施し、選定すべき空調機器又は空調機器セット(以下、選定空調機器・セットと略称することも有り)に係る機器情報Pである選定機器情報Psを決定する。ここで「複数の候補機器情報Pc」は、候補設定部111によって設定された候補空調機器・セットに係る機器情報である。また「選定処理」は、各候補空調機器・セットについて、評価決定部114で決定された評価結果情報(R, R+ΔCORR)を含む値、又は評価結果情報(R, R+ΔCORR)を用いて導出される情報を含む値を「目的変数」(選定処理で最適化する目的関数の値)とした処理である。
【0071】
具体的に機器選定部115は、本実施形態において、
(a)候補空調機器・セットのトータルコストと、
(b)候補空調機器・セットの環境に係る指標であるPMV(Predicted Mean Vote, 予想平均温冷感申告)に係る制約条件値と、
(c)候補空調機器・セットにおける未処理負荷に係る制約条件値と
の和、本実施形態では所定の重み付け和を「目的変数」とする。次いで機器選定部115は、典型的なブラックボックス最適化手法である局所探索法、又はベイズ最適化によって、この「目的変数」を最小化すると判断される候補機器情報Pcを、選定機器情報Psに決定する。なお本実施形態において、各候補空調機器・セットに対し設定された「目的変数」は、候補空調機器・セットの候補機器情報Pcに紐づけられて、機器情報保存部103で保存・管理される。
【0072】
ここで、上記(a)の候補空調機器・セットのトータルコストは、(a1)候補空調機器・セットの稼働により消費される電力の料金と、(a2)空調対象空間に設置される設備機器の導入費用と、(a3)空調対象空間に設置される設備機器の保守費用と、(a4)空調対象空間の構成要素としての建築部材の導入費用と、(a5)空調対象空間の構成要素としての建築部材の保守費用と、の和とすることができる。このようなトータルコストが小さいほど、「目的変数」はより小さくなる。
【0073】
このうち上記(a1)の電力の料金は、本実施形態において評価決定部114で決定された評価結果情報(R, R+ΔCORR)に含まれる消費電力と、電力会社から取得された電力料金テーブルとを用いて算出される。また上記(a2)の設備機器の導入費用及び上記(a4)の建築部材の導入費用は、候補空調機器・セットに係る空間構成情報Cに予め紐づけられ、空間構成情報保存部106に保存・管理された情報である。さらに上記(a3)の設備機器の保守費用及び上記(a4)の建築部材の保守費用は、候補空調機器・セットに係る空間運用情報Bに予め紐づけられ、空間運用情報保存部105に保存・管理された情報となっている。
【0074】
また、上記(b)のPMVは、人がどのぐらい快適かを表す温熱快適性指標であって、ISO国際規格の指標である。具体的にPMVは、
(b1)候補空調機器・セットに係る機器稼働情報Aに予め紐づけられ、機器稼働情報保存部104に保存・管理された設定温度及び設定湿度と、
(b2)候補空調機器・セットに係る空間運用情報B(又は環境情報D)に予め(想定値・仮定値として)紐づけられ、空間運用情報保存部105(又は環境情報保存部107)に保存・管理された放射量、風速、活動量、及び着衣量と
を用いて算出される。このPMVに係る制約条件値は、PMVが所定の好適範囲から大きく外れるほど、より大きな値となるように設定される。したがって、PMVが所定の好適範囲から大きく外れるほど、「目的変数」もより大きくなる。
【0075】
さらに、上記(c)の未処理負荷は、本実施形態において評価決定部114で決定された評価結果情報(R, R+ΔCORR)に含まれる情報となっている。この未処理負荷に係る制約条件値は、未処理負荷が所定の基準値よりも小さくなるほど、より小さな値となるように設定される。したがって、未処理負荷が所定の基準値よりも小さくなるほど、「目的変数」もより小さくなる。
【0076】
以上説明した上記(a)~(c)をもって「目的変数」を設定した場合、機器選定部115は、PMV及び未処理負荷といった制約条件をできる限り満たしつつ、トータルコストが極力小さく抑えられた選定空調機器・セット(の選定機器情報Ps)を決定できる。ただし「目的変数」は、勿論これに限定されるものではなく、例えば候補空調機器・セットの消費電力のみ、未処理負荷に係る制約条件値のみ、消費電力及びPMVに係る制約条件値、消費電力及び未処理負荷に係る制約条件値、又は未処理負荷に係る制約条件値及びPMVに係る制約条件値、に設定されることも可能である。
【0077】
(局所探索法)
以下、局所探索法を用いた機器選定処理の一実施形態について説明する。本実施形態では、局所探索法によって、候補機器情報Pcの関数であって候補機器情報Pcに紐づけられた「目的変数」値をとる目的関数の最小値を求める。次いで、この最小値(と判断される値)に係る候補機器情報Pcを選定機器情報Psとする。言い換えると、候補機器情報Pcの軸と「目的変数」の軸とで張られた座標空間において、未知の目的関数の最小値を見つけ出す処理を行う。なお各候補機器情報Pcは、互いに‘近い’関係にあるほど、候補機器情報Pcの軸上において互いにより‘近傍’(より近接した位置)となるように配置されている。
【0078】
具体的には最初に、第1回目の初期化としてランダムに1つの候補機器情報Pcを選び出し、この候補機器情報Pcに紐づけられた「目的変数」値に対応する(上記の座標空間内の)座標点を、「元座標点」とする。次に、この元座標点に係る候補機器情報Pcに対し所定条件を満たすだけの‘近傍’となる候補機器情報Pcを探索する。ここで、この近傍探索により見つけられた候補機器情報Pcに紐づけられた「目的変数」値が、元座標点に係る「目的変数」値よりも小さいならば、この新たに見つけられた候補機器情報Pcに対応する座標点を「新座標点」とする。一方、「目的変数」値が元座標点に係る「目的変数」値以上であるならば、この元座標点をそのまま新座標点とする。
【0079】
さらに、上記のようにして得られた新座標点を次の元座標点に設定して、この設定された元座標点から改めて新座標点を決定する近傍探索処理を、所定の近傍探索回数T1を上限として、新座標点が元座標点と変わらなくなるまで繰り返し実施する。ここで最終的に得られた(元座標点と変わらない)新座標点を、座標点P(1)とする。
【0080】
次いで、以上に述べたような新座標点を決定する処理を(この第1の処理を含めて)所定の初期化回数T2だけ繰り返し実施し、T2個の座標点P(1)~P(T2)を決定する。最後に、これらの座標点P(1)~P(T2)のうち対応する「目的変数」値が最も小さい座標点P(N)を決定し、この座標点P(N)に係る候補機器情報Pcを選定機器情報Psとする。言い換えれば、この座標点P(N)に係る候補機器情報Pcに係る候補空調機器・セットを、選定空調機器・セットに決定する。
【0081】
(ベイズ最適化)
次に、ベイズ最適化を用いた機器選定処理の一実施形態について説明する。本実施形態では、ベイズ最適化によって、候補機器情報Pcの関数であって候補機器情報Pcに紐づけられた「目的変数」値をとる目的関数を推定する。次いで、推定した目的関数の最小値を選定機器情報Psとする。言い換えると、候補機器情報Pcの軸と「目的変数」の軸とで張られた座標空間において、未知の目的関数(のグラフ)を推定し、その最小値を決定する処理を行う。なお上述したように、各候補機器情報Pcは、互いに‘近い’関係にあるほど、候補機器情報Pcの軸上において互いにより‘近傍’(より近接した位置)となるように配置されている。
【0082】
具体的には最初に、第1回目の探索処理として、ランダムに複数の候補機器情報Pcを選び出し、これらの候補機器情報Pcに紐づけられた「目的変数」値に対応する(上記の座標空間内における)複数の座標点を「基準座標点」とする。次に、これらの基準座標点に基づき、(2つのデータ間における他のデータの存在確率を見積もる)ガウス過程を用いて、目的関数の期待値(を表す座標空間内の期待値曲線)と、目的関数の標準偏差(を示す座標空間内の標準偏差等高線)とを推定する。次に、推定した期待値及び標準偏差から、「目的変数」値が最小となる可能性の最も高い座標点を決定し、これを新たな基準座標点とする。
【0083】
次いで上記のように、すでに得られた基準座標点を用いて新たな基準座標点を決定する処理を、(この第1回目の処理を含めて)所定の探索回数Sだけくり返し実施し、その度に新たな基準座標点を決定する。ちなみに処理の繰り返しの実施は、推定される期待値から構成される関数を、真の(目標である)目的関数に近づけていくものとなっている。最後に、決定された全ての基準座標点のうち対応する「目的変数」値が最も小さい基準座標点を決定し、この基準座標点に係る候補機器情報Pcを選定機器情報Psとする。言い換えれば、この基準座標点に係る候補機器情報Pcに係る候補空調機器・セットを、選定空調機器・セットに決定する。
【0084】
以上、局所探索法及びベイズ最適化を用いた機器選定処理を説明した。しかしながら当然とはなるが、本機器選定処理において、上記とは異なる手順による局所探索法やベイズ最適化を用いてもよく、また、他のブラックボックス最適化手法を用いることも可能である。ちなみに、局所探索法は一般に、ベイズ最適化と比べて、最適解(選定機器情報Ps)に到達するまでの探索回数はより多くなるが、各探索回における計算コストはより低く抑えることができる。したがって、例えば評価決定部114において所定の計算コスト内で、十分な数の選定空調機器・セットの評価情報Rが決定されている場合、トータルの計算コストを抑えるべく、機器選定部115は、局所探索法を用いて機器選定処理を実施することも好ましい。
【0085】
以下、以上に述べた機器選定処理における、設定された補正情報(ΔCORQ, ΔCORP, ΔCORR)の取り扱い・意義について説明する。例えば、
(a)夏季が推定実績情報QESTIとなっている取得された実績情報Q(={QMEA, QESTI})において、夏季での実績推定処理に係る信頼性スコアが基準値よりも低いことから、より大きい補正情報ΔCORQを決定し、
(b)この補正情報ΔCORQが反映された実績情報(Q+ΔCORQ)の下での、各候補機器情報Pcに対応する評価結果情報(例えば消費電力)Rを決定し、さらに、
(c)この評価結果情報Rを含む値を目的変数として複数の候補機器情報Pcから選定機器情報Psを決定する
場合を考える。この場合1つの例とはなるが、夏季の推定実績情報QESTIの信頼性が低いことから生じる可能性がある「夏季における処理すべき空調負荷が補正情報ΔCORQ(>0)分だけ増大する状況」を見越して、処理すべき空調負荷(冷房負荷)に相応の補正分(ΔCORQ)をとってもよい。これにより、各候補空調機器・セットにおける、この補正分込みの空調負荷を処理した場合の推定される消費電力を勘案して、空調負荷の増大を見込んだ好適な空調機器・セットを選定することもできる。
【0086】
また例えば、
(a)夏季での実績推定処理に係る信頼性スコアが基準値よりも低い上記の場合において、取得された空調負荷(実績情報)Q(={QMEA, QESTI})の下での、各候補機器情報Pcに対応する消費電力(評価情報)Rを推定し、
(b)生じる可能性がある「夏季における処理すべき空調負荷が増大する状況」を見越して、この評価情報Rに対し、この空調負荷の増大分(上記のΔCORQ)に相当する(消費電力の)補正情報ΔCORR(>0)を反映させた評価結果情報(R+ΔCORR)を決定し、さらに、
(c)この評価結果情報(R+ΔCORR)を含む値を目的変数として複数の候補機器情報Pcから選定機器情報Psを決定する
ことも好ましい。これにより、各候補空調機器・セットの消費電力が、本来推定される消費電力よりも所定分(ΔCORR)だけ大きくなる状況を見越し、この消費電力の増大に対応する余裕のある好適な空調機器・セットを選定することも可能となる。
【0087】
さらに例えば、
(a)夏季での実績推定処理に係る信頼性スコアが基準値よりも低い上記の場合において、生じる可能性がある「夏季における処理すべき空調負荷が増大する状況」を見越して、各候補機器情報(空調能力)Pcに対し、決定された補正情報(空調能力の低下分:負の補正情報)ΔCORPを反映させた候補機器情報(Pc+ΔCORP)を決定し、
(b)取得された空調負荷(実績情報)Q(={QMEA, QESTI})の下での、各候補機器情報(Pc+ΔCORP)に対応する消費電力(評価結果情報)Rを決定し、
(c)この消費電力(評価結果情報)Rを目的変数として複数の候補機器情報Pcから選定機器情報Psを決定する
ことも好ましい。これは、夏季における処理すべき空調負荷の増大に対し、説明関数やシミュレーション条件である空調能力(機器情報)を減らす(より空調能力の低いものとして扱う)ことで対応したものである。これにより、空調負荷の増大に対応する余裕のある好適な空調機器・セットを選定することも可能となる。
【0088】
またさらに例えば、
(a)夏季での実績推定処理に係る信頼性スコアが基準値よりも低い上記の場合において、生じる可能性がある「夏季における処理すべき空調負荷が増大する状況」を見越して、各候補機器情報(空調能力)Pcに対し、決定された補正情報(例えばより高いグレード(規格)の空調機器・セットにおける空調能力の向上分)ΔCORPを反映させた候補機器情報(Pc+ΔCORP)を決定し、
(b)取得された空調負荷(実績情報)Q(={QMEA, QESTI})の下での、各候補機器情報(Pc+ΔCORP)に対応する消費電力(評価結果情報)Rを決定し、
(c)この消費電力(評価結果情報)Rを目的変数として複数の候補機器情報(Pc+ΔCORP)から選定機器情報(Ps+ΔCORP)を決定する
ことも好ましい。これは、夏季における処理すべき空調負荷の増大に対し、よりグレード(規格)の高い空調機器・セットを選定し易くすることで対応したものである。これにより、空調負荷の増大に対応する余裕のある好適な空調機器・セットを選定することも可能となる。ちなみにこの場合、補正情報ΔCORPは、機器情報(P+ΔCORP)に相当する(例えば上位機種となる)候補空調機器・セットが存在するように設定されることになる。
【0089】
同じく図1の機能ブロック図において、機器選定部115で選定された選定空調機器・セットの機器情報Pである選定機器情報Psは、例えば通信制御部121及び通信インタフェース部101を介し、機器選定要求元である端末5へ送信されてもよい。また、評価決定部114で決定された、評価対象である空調機器・セットの評価結果情報(R, R+ΔCORR)も、例えば、通信制御部121及び通信インタフェース部101を介し、機器評価要求元である端末5へ送信されてもよい。
【0090】
さらに端末5は、サーバ1へ送信する機器選定要求や機器評価要求に、機器評価処理の際の条件の一部となる実測実績情報QMEAを含めてもよい。また、実績推定用の、ひいては補正情報決定用の実測実績情報QMEAに対応する機器稼働情報A、空間運用情報B、空間構成情報Cや、環境情報Dを含めてもよい。この場合、サーバ1は、受信した機器選定要求や機器評価要求に含まれるこれらの情報を用いて、要求内容に沿った機器選定処理や機器評価処理を実施することも可能となる。
【0091】
[評価・選定方法]
図3は、本開示による評価方法及び選定方法の一実施形態におけるフローを説明するための模式図である。以下、図3を用いて本実施形態におけるフローの各ステップを簡潔に説明する。ちなみに下記のステップ全体をもって本実施形態の選定方法が構成され、ステップS201~S204をもって本実施形態の評価方法が構成される。また、下記の各ステップの内容は、あくまで1つの実施形態における内容であって、本開示による評価方法及び選定方法の内容を限定するものではない。
【0092】
(ステップS1)機器選定部115は、複数の候補空調機器・セット(の候補機器情報Pc)を取り込む。
(ステップS2)機器選定部115は、機器評価ユニット(実績推定部112、補正決定部113及び評価決定部114)に対し、各候補空調機器・セット(の候補機器情報Pc)の機器評価処理を要求する(評価要求を出力する)。またその後、機器評価ユニットから、各候補空調機器・セット(の候補機器情報Pc)の評価結果情報(例えば消費電力)(R, R+ΔCORR)を受け取る。
【0093】
(ステップS3)機器選定部115は、受け取った評価結果情報(例えば消費電力)を用いて導出される情報(例えばトータルコスト)を含む値を目的変数として、局所探索法により、取り込んだ候補空調機器・セットに対する機器選定処理を行い、選定空調機器・セット(の選定機器情報Ps)を決定する。
【0094】
(ステップS201)実績推定部112は、受け取った評価要求の候補空調機器・セットに係る、候補機器情報Pcに紐づけられた機器稼働情報A、空間運用情報B、空間構成情報Cや、環境情報Dを用い、学習済みの多層パーセプトロンによって推定期間TESTIでの実績情報(例えば空調負荷)を推定する(推定実績情報QESTIを生成する)。
(ステップS202)補正決定部113は、ステップS201の実績推定処理における推定期間情報、機器用途・使用態様情報や、信頼性スコア等に基づき、補正情報(ΔCORQ, ΔCORP, ΔCORR)を決定する。
【0095】
(ステップS203)評価決定部114は、受け取った評価要求の候補空調機器・セットに係る実測実績情報QMEAと、ステップS201で生成された(同候補空調機器・セットに係る)推定実績情報QESTIとから構成された実績情報(例えば空調負荷)Q(={QMEA, QESTI})を受け取る。
なお図3に例示された実績情報Q(={QMEA, QESTI})においては、所定の期間が1~12月の1年間であって、推定期間TESTIである6~8月の実績情報は推定値QESTIであり、それ以外の期間(1~5月及び9~12月)の実績情報は実測値QMEAとなっている。
【0096】
(ステップS204)評価決定部114は、受け取った(評価要求の候補空調機器・セットに係る)実績情報(例えば空調負荷)Q(={QMEA, QESTI})、さらには決定された補正情報(ΔCORQ, ΔCORP, ΔCORR)を用い、学習済みの多層パーセプトロンによって、評価情報(例えば消費電力)を推定する。評価決定部114はさらに、候補空調機器・セットの評価結果情報(例えば消費電力)(R, R+ΔCORR)を決定し、決定した評価結果情報(例えば消費電力)(R, R+ΔCORR)を、評価要求に対する応答として機器選定部115へ出力する。
【0097】
[補正情報決定処理に係る種々の実施形態]
図4図5及び図6は、本開示に係る補正情報決定処理についての種々の実施形態を説明するための模式図である。
【0098】
図4によれば、実績推定部112で生成された推定実績情報QESTIは、所定の期間(例えば1年間)のうちの推定期間TESTI(例えば6~8月)における単位時間毎(例えば毎日の1時間毎)の時系列情報であって、時間(日時)tの関数となっている。本実施形態の補正決定部113は、
(a)この推定実績情報QESTI(t)に対し、一定の係数Cconを掛けた時系列情報、
(b)この推定実績情報QESTI(t)に対し、時間(日時)tの関数である係数c(t)を掛けた時系列情報、又は
(c)この推定実績情報QESTI(t)に対し、所定の変換式F(t)による変換処理を施した時系列情報
を、実績情報Q、機器情報P、及び評価情報Rのうちの少なくとも1つについての補正情報(ΔCORQ(t), ΔCORP(t), ΔCORR(t))とする。
【0099】
なお本実施形態では、補正情報ΔCORQ(t)を決定した場合、この補正情報ΔCORQ(t)は、推定期間TESTIでの実績情報Qである推定実績情報QESTIに対する補正情報となっている。また補正情報ΔCORP(t)を決定した場合、この補正情報ΔCORP(t)は、推定期間TESTIでの機器情報Pに対する補正情報となっている。さらに補正情報ΔCORR(t)を決定した場合、この補正情報ΔCORR(t)は、推定期間TESTIでの評価情報Rに対する補正情報となっている。ただし上述したように、決定した補正情報(ΔCORQ(t), ΔCORP(t), ΔCORR(t))を、所定の期間(例えば1年間)にわたっての情報(Q, P, R)についての補正情報とすることも可能である。この場合、得られた実績情報Q(={QMEA, QESTI})に対し係数Cconや係数c(t)を掛けたり変換式F(t)による変換処理を施したりして、補正情報(ΔCORQ(t), ΔCORP(t), ΔCORR(t))を生成してもよい。
【0100】
また補正決定部113は、実績推定部112での実績推定処理における、以下の(ア)~(ウ)のうちの少なくとも1つに基づき、(a)係数Ccon、(b)係数c(t)、又は(c)変換式F(t)を決定して、補正情報(ΔCORQ(t), ΔCORP(t), ΔCORR(t))を生成することも好ましい。
(ア)推定期間TESTIに係る情報(例えば期間の長さや夏季・冬季といった期間の種別の情報)
(イ)推定期間TESTIに係る空調機器・セット又は空調対象空間の用途又は使用態様に係る情報
(ウ)この実績推定処理における推定の確からしさ又は実際との乖離の度合いに係る情報
【0101】
例えば補正決定部113は、実績推定処理における推定期間が長いほど、より大きくなり得る推定誤差を補正でカバーすべく、より(絶対値の)大きな係数Cconや係数c(t)を決定してもよい。また、変換後のQ(t)値(の絶対値)がより増大する変換式F(t)を決定してもよい。さらに、推定期間TESTIにおける空調対象空間が、会社のオフィスか、学校の教室か、商業スペースか、又はその他の用途(使用態様)空間かに応じて、予め個別に設定しておいた係数Ccon、係数c(t)や変換式F(t)を採用してもよい。
【0102】
また、実績推定処理に用いた空調実績モデルや空調実績シミュレーションソフトウェアから得られる信頼性スコアが低いほど、より大きいとみなされる推定誤差を補正でカバーすべく、より(絶対値の)大きな係数Cconや係数c(t)を決定してもよい。また、信頼性スコアが低いほど、変換後のQ(t)値(の絶対値)がより増大する変換式F(t)を決定してもよい。さらに、推定期間TESTI以外の期間における上述した空調実績モデルの出力(Q)やシミュレーション結果(Q)を得て、このような出力値(Q)や結果値(Q)と実測実績情報QMEAとの差分(実際との乖離の度合い)を、信頼性スコアの代わりに用いることも可能である。
【0103】
また補正決定部113は、機器稼働情報A、空間運用情報B、空間構成情報C、及び環境情報Dのうちの少なくとも1つに係る変動分(ΔA(t), ΔB(t), ΔC(t), ΔD(t))の大きさに基づき、(a)係数Ccon、(b)係数c(t)、又は(c)変換式F(t)を決定し、補正情報(ΔCORQ(t), ΔCORP(t), ΔCORR(t))を生成してもよい。例えば補正決定部113は、変動分(ΔA(t), ΔB(t), ΔC(t), ΔD(t))が大きいほど、より大きくなり得る推定誤差を補正でカバーすべく、より(絶対値の)大きな係数Cconや係数c(t)を決定してもよい。また、変動分(ΔA(t), ΔB(t), ΔC(t), ΔD(t))が大きいほど、変換後のΔQ(t)値(の絶対値)がより増大する変換式F(t)を決定してもよい。
【0104】
具体的には例えば、推定期間TESTIとしての夏季(6~8月)における取得された外気温度(環境情報)D(t)に対し、外気温度がそれよりも平均してΔD(t)(℃)だけ高い状況を前提とした機器評価を行う場合を考える。この場合、ΔD(t)(℃)をより大きな値とするほど、推定誤差は増大すると見込まれるので、(後の機器評価における推定誤差の補償のための)より大きな補正情報を確保すべく、より(絶対値の)大きな係数Cconや係数c(t)を決定してもよい。また、ΔD(t)(℃)をより大きな値とするほど、変換後の値(の絶対値)がより増大する変換式F(t)を決定することも好ましい。
【0105】
さらに例えば、空調対象空間である1つのビルディングにおける設備機器の運用(空間運用情報B)の変動することが予想される場合を考える。この場合、予想された変動分ΔB(t)がより大きな値であるほど、より(絶対値の)大きな係数Cconや係数c(t)を決定してもよい。また、予想された変動分ΔB(t)がより大きな値であるほど、変換後の値(の絶対値)がより増大する変換式F(t)を決定することも好ましい。これにより、このビルディングでの運用の変動により後の機器評価における推定誤差が増大することを見込んで、評価情報Rのより大きな補正情報ΔCORR(t)を生成することも可能となる。
【0106】
なお補正決定部113は、上述した(ア)推定期間TESTIに係る情報、(イ)用途又は使用態様に係る情報、及び(ウ)推定の確からしさ又は実際との乖離の度合いに係る情報のうちの少なくとも1つと、上述した変動分(ΔA(t), ΔB(t), ΔC(t), ΔD(t))の大きさとの両方に基づき、補正情報(ΔCORQ(t), ΔCORP(t), ΔCORR(t))を決定することも好ましい。また他の簡易な実施態様とはなるが、上記の係数Ccon、係数c(t)や、変換式F(t)は、予め決められた(例えば経験に基づき適宜設定された)所定のものとすることも可能である。この場合、補正情報(ΔCORQ(t), ΔCORP(t), ΔCORR(t))は、推定実績情報QESTIのみに基づき決定されることになる。
【0107】
次に、図5を用いて補正情報決定処理の他の実施形態について説明する。本実施形態では、評価対象の空調機器・セットにおける機器情報(例えば空調能力)Pの所定期間(例えば5年間)における経時変化分Dp(の実測値、設定値、想定値又は推定値)が得られている。また、評価対象の空調機器・セットにおける実績情報(例えば空調負荷)Qの所定期間(例えば5年間)における経時変化分Dq(の実測値、設定値、想定値又は推定値)が得られている。
【0108】
本実施形態の補正決定部113は、得られた経時変化分Dp及び経時変化分Dqのうちの少なくとも1つに基づき、実績情報Q、機器情報P、及び評価情報Rのうちの少なくとも1つについての補正情報(ΔCORQ(t), ΔCORP(t), ΔCORR(t))を決定する。例えば、実測された空調負荷(実績情報)Q(t)における(空調負荷が減少する方向の)経時変化分Dqが得られている場合、この経時変化分Dqが大きいほど、後の機器評価においてこの経時変化分を補償できるより大きな(処理すべき空調負荷の)補正情報ΔCORQ(t)を決定することも好ましい。また、この空調負荷の経時変化分Dqを空調機器・セットの能力増強によってカバーすることを想定し、より大きな(空調能力の)補正情報ΔCORP(t)を決定することも可能である。
【0109】
なお補正決定部113は、以上に述べた経時変化分Dpや経時変化分Dqに合わせて、図4を用いて説明した(ア)推定期間TESTIに係る情報、(イ)用途又は使用態様に係る情報、及び(ウ)推定の確からしさ又は実際との乖離の度合いに係る情報のうちの少なくとも1つや、変動分(ΔA(t), ΔB(t), ΔC(t), ΔD(t))の大きさにも基づいて、補正情報(ΔCORQ(t), ΔCORP(t), ΔCORR(t))を決定してもよい。
【0110】
次に図6を用いて、以上に述べた補正情報の決定を含む、空調機器・セットについての具体的な(典型的な)補正情報決定処理を説明する。図6に示された具体例(典型例)では、(ア)実績推定部112は、評価対象の空調機器・セットに係る少なくとも外気温度(環境情報)D(t)を用いた実績推定処理によって推定実績情報QESTI(t)を生成する。(イ)次いで、補正決定部113は、この実績推定処理の推定期間TESTIの長さ及び種別のうちの少なくとも1つに基づき、空調負荷の補正情報ΔCORQ(t)を決定する。(ウ)さらに補正決定部113は、評価対象の空調機器・セットの空調能力における基準時(例えば機器使用開始時)からの又はメンテナンス後の経時劣化分Dpに基づき、空調能力の補正情報ΔCORP(t)を決定する。
【0111】
これにより、例えば推定期間TESTIとしての夏季(6~8月)よりも暑い夏季(例えば猛暑の予想される今後5年間の夏季)を前提とした機器評価のための、より好適な空調負荷の補正情報ΔCORQ(t)を決定することができる。またこれに合わせて、評価対象の空調機器・セットにおいて(例えば今後5年間で)見込まれる最大出力の経年劣化も考慮した機器評価のための、より好適な最大出力の補正情報ΔCORP(t)を決定することも可能となる。
【0112】
[機器選定処理に係る種々の実施形態]
図7は、本開示に係る機器選定処理についての種々の実施形態を説明するための模式図である。
【0113】
図7に示された実施形態において、機器選定部115は、設定された「制約条件」を用いて、複数の候補機器情報Pcから選定機器情報Psを決定する「機器選定処理」を実施する。ここで「機器選定処理」及び「制約条件」は、上述したように本実施形態においてそれぞれ、「局所探索法又はベイズ最適化による選定処理」並びに「(トータルコストとともに目的変数を構成する)PMVに係る制約条件値、及び未処理負荷に係る制約条件値のうちの少なくとも1つ」となっている。
【0114】
機器選定部115は本実施形態において、
(a)決定された補正情報(ΔCORQ(t), ΔCORP(t), ΔCORR(t))、及び
(b)評価決定部114での評価情報Rの推定処理における推定の確からしさ若しくは実際との乖離の度合いに係る情報
のうちの少なくとも1つを反映させた制約条件である「PMVに係る制約条件値、及び未処理負荷に係る制約条件値のうちの少なくとも1つ」を設定する。次いで機器選定部115は、このような「制約条件値」(制約条件)を用いた局所探索法又はベイズ最適化による選定処理を実施する。
【0115】
このような機器選定処理として例えば、猛暑の予想される夏季を前提とした機器評価のための空調負荷の補正情報ΔCORQが決定された場合を考える。この場合、この空調負荷の補正情報ΔCORQが大きいほど、PMVに係る制約条件値や未処理負荷に係る制約条件値をより大きい値に設定してもよい(制約条件をより厳しくしてもよい)。これにより、増大することが予想される空調負荷分を処理可能な余裕を有する空調機器・セットを選定することも可能となる。
【0116】
また例えば、消費電力(評価情報)Rの推定処理に用いた空調評価モデルや空調評価シミュレーションソフトウェアから得られる信頼性スコアが低いほど、PMVに係る制約条件値や未処理負荷に係る制約条件値をより大きい値に設定してもよい(制約条件をより厳しくしてもよい)。これにより、実際には(消費電力を含む)トータルコストがより大きい可能性のあることを見越して、その分の埋め合わせが可能な余裕を有する空調機器・セットを選定することも可能となる。
【0117】
さらに、機器選定部115は本実施形態において、局所探索法又はベイズ最適化による機器選定処理によって選定された候補機器情報Pcに対し、
(a)決定された補正情報(ΔCORQ(t), ΔCORP(t), ΔCORR(t))、及び
(b)評価決定部114での評価情報Rの推定処理における推定の確からしさ若しくは実際との乖離の度合いに係る情報
のうちの少なくとも1つを反映させた情報を、選定機器情報Psに決定してもよい。
【0118】
このような機器選定処理として、例えば上記と同じく猛暑の予想される夏季を前提とした機器評価のための空調負荷の補正情報ΔCORQが決定された場合を考える。この場合、この空調負荷の補正情報ΔCORQが大きいほど、選定された候補空調機器・セットの空調能力Pcと比較して、より大きな空調能力を有する候補空調機器・セットを選び直し、選び直した候補空調機器・セットの空調能力Pcを選定機器情報Psに決定してもよい。これにより、増大することが予想される空調負荷分を処理可能な余裕を有する空調機器・セットを最終的に選定するこことも可能となる。
【0119】
また例えば、上記の信頼性スコアが低いほど、選定された候補空調機器・セットの空調能力Pcと比較してより大きな空調能力を有する候補空調機器・セットを選び直し、選び直した候補空調機器・セットの空調能力Pcを選定機器情報Psに決定してもよい。これにより、実際には消費電力が推定値を超えてしまい、その結果トータルコストがより大きくなる可能性もあることを見越して、その分の埋め合わせが可能な余裕を有する空調機器・セットを最終的に選定することも可能となる。
【0120】
以上詳細に説明したように、本開示によれば、所定の期間の少なくとも一部の期間において評価のための実測情報が取得されなくても、実測実績情報QMEAと、この少なくとも一部の期間についての推定実績情報QESTIとを含む実績情報Qを用いることによって、機器又は機器セットをより適切に評価できる。また、この評価結果を用いて、複数の候補の中から機器又は機器セットを選定することも可能となる。
【0121】
さらに、本開示の1つの実施形態を具現した場合とはなるが、実績情報Q(={QMEA, QESTI})、機器情報P、及び推定した評価情報Rのうちの少なくとも1つに対し、推定処理に関係する情報(例えば、推定された実績情報自体、推定期間情報、用途・使用態様情報や、信頼性スコア等)に基づき決定された補正情報(ΔCORQ, ΔCORP, ΔCORR)を反映させて、評価結果としての評価情報(評価結果情報)(R, R+ΔCORR)を決定してもよい。これにより、実績情報Qに含まれる推定部分が機器評価に及ぼし得る影響を考慮して、機器又は機器セットの評価結果(評価結果情報(R, R+ΔCORR))を決定できる。
【0122】
さらに例えば、本開示の1つの実施形態を適切に具現した場合とはなるが、納入先に設置された機器セットの運転実績データを収集し、さらに、この機器セットにおける取得できなかった期間の運転実績データを推定し、収集した運転実績データと推定した運転実績データとを合わせた運転実績データを用いて機器評価処理や機器選定処理を実施してもよい。これにより、適切かつ効果的な機器セットの更新提案や改善提案を行うことも可能となる。
【0123】
なお、以上に述べた実施形態は全て、本開示を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本開示は、他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。したがって、本開示の範囲は、特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定される。
【符号の説明】
【0124】
1 サーバ(評価装置、選定装置)
101 通信インタフェース部
102 実測実績情報保存部
103 機器情報保存部
104 機器稼働情報保存部
105 空間運用情報保存部
106 空間構成情報保存部
107 環境情報保存部
111 候補設定部
112 実績推定部
113 補正決定部
114 評価決定部
115 機器選定部
121 通信制御部
2 機器・機器セット群
3 機器情報管理サーバ
4 気象情報管理サーバ
5 端末
Ea、Eb 室外機
Ia、Ib、Ic、Id、Ie、If 室内機
Pa、Pb 冷媒配管
Ra、Rb 部屋(空調対象空間)
Va、Vb 換気装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7