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特開2024-168953IP再送信装置、IP受信装置、IP再送信方法およびEWS情報取得方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168953
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】IP再送信装置、IP受信装置、IP再送信方法およびEWS情報取得方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/235 20110101AFI20241128BHJP
   H04N 21/434 20110101ALI20241128BHJP
   H04N 21/222 20110101ALI20241128BHJP
   H04H 20/24 20080101ALI20241128BHJP
   H04H 60/82 20080101ALI20241128BHJP
【FI】
H04N21/235
H04N21/434
H04N21/222
H04H20/24
H04H60/82
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086041
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】山田 正寿
(72)【発明者】
【氏名】岩本 昌也
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164FA05
5C164MA06S
5C164SA11P
5C164SB06P
5C164UB10S
5C164UB11P
(57)【要約】
【課題】IP再送信システムにおけるEWS情報の伝送の信頼性を向上させる。
【解決手段】IP再送信装置は、放送波を受信する受信部と、前記受信部により受信された前記放送波から、前記コンテンツを含むTSパケットを取得するTS取得部と、前記放送波に含まれる、緊急警報放送に関するEWS情報を取得するEWS取得部と、前記TS取得部により取得された前記TSパケットの一部または全部がペイロードに格納されたIPパケットであって、前記EWS取得部により取得された前記EWS情報が、前記IPパケットにおける前記ペイロードとは異なるフィールドに格納された前記IPパケットを生成する生成部と、前記生成部により生成された前記IPパケットを送信する送信部とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送の放送波を受信し、受信した前記放送波に含まれるコンテンツをIPパケットに含めて再送信するIP再送信装置であって、
前記放送波を受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記放送波から、前記コンテンツを含むTSパケットを取得するTS取得部と、
前記放送波に含まれる、緊急警報放送に関するEWS情報を取得するEWS取得部と、
前記TS取得部により取得された前記TSパケットの一部または全部がペイロードに格納されたIPパケットであって、前記EWS取得部により取得された前記EWS情報が、前記IPパケットにおける前記ペイロードとは異なるフィールドに格納された前記IPパケットを生成する生成部と、
前記生成部により生成された前記IPパケットを送信する送信部とを備える、IP再送信装置。
【請求項2】
前記EWS取得部は、前記放送波に含まれるTMCC情報から前記EWS情報を取得する、請求項1に記載のIP再送信装置。
【請求項3】
前記EWS取得部は、前記TSパケットから前記EWS情報を取得する、請求項1に記載のIP再送信装置。
【請求項4】
前記EWS取得部は、前記放送波に含まれるTMCC情報から前記EWS情報である第1のEWS情報を取得し、前記TSパケットから前記EWS情報である第2のEWS情報を取得し、
前記生成部は、前記第1のEWS情報と前記第2のEWS情報とが統合された前記EWS情報である統合EWS情報が、前記フィールドに格納された前記IPパケットを生成する、請求項1に記載のIP再送信装置。
【請求項5】
前記送信部は、前記EWS取得部が前記TSパケットから前記EWS情報を取得する周期よりも短い周期で、前記EWS情報が格納された前記IPパケットを送信する、請求項3または請求項4に記載のIP再送信装置。
【請求項6】
コンテンツを含むIPパケットを受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記IPパケットのペイロードから、前記コンテンツを含むTSパケットを取得するTS取得部と、
前記IPパケットにおける前記ペイロードとは異なるフィールドから、緊急警報放送に関するEWS情報を取得するEWS取得部とを備える、IP受信装置。
【請求項7】
デジタル放送の放送波を受信し、受信した前記放送波に含まれるコンテンツをIPパケットに含めて再送信するIP再送信装置、におけるIP再送信方法であって、
前記放送波を受信するステップと、
受信した前記放送波から、前記コンテンツを含むTSパケットを取得するステップと、
前記放送波に含まれる、緊急警報放送に関するEWS情報を取得するステップと、
取得した前記TSパケットの一部または全部がペイロードに格納されたIPパケットであって、取得した前記EWS情報が、前記IPパケットにおける前記ペイロードとは異なるフィールドに格納された前記IPパケットを生成するステップと、
生成した前記IPパケットを送信するステップとを含む、IP再送信方法。
【請求項8】
IP受信装置におけるEWS情報取得方法であって、
コンテンツを含むIPパケットを受信するステップと、
受信した前記IPパケットのペイロードから、前記コンテンツを含むTSパケットを取得するステップと、
前記IPパケットにおける前記ペイロードとは異なるフィールドから、緊急警報放送に関するEWS情報を取得するステップとを含む、EWS情報取得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、IP再送信装置、IP受信装置、IP再送信方法およびEWS情報取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放送されるコンテンツをIPパケットに含めて再送信するIP再送信システムが開発されている。
【0003】
たとえば、特許文献1(特開2020-10199号公報)には、以下のようなIP再送信装置が開示されている。すなわち、IP再送信装置は、アンテナから受信した複数チャンネルのデジタル放送信号を、IPマルチキャスト網を介して複数の受信機へ再送信するIP再送信システムにおいて用いられるIP再送信装置であって、前記デジタル放送信号からSI情報を取り出して、ヘッダ情報の一部にSI識別値が付与されたパケットに前記SI情報を格納し、該パケットを放送ストリームとともに、或いは放送ストリームとは別に前記IPマルチキャスト網へ送出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-10199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
IP再送信システムでは、災害発生時に、STB(Set Top Box)等の受信機が設置されたユーザ宅において緊急警報放送に関するコンテンツを再生するために、緊急警報放送に関するEWS(Emergency Warning Signal)情報が受信機へ伝送される。特許文献1に記載の技術を超えて、IP再送信システムにおけるEWS情報の伝送の信頼性を向上させることが望まれる。
【0006】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、IP再送信システムにおけるEWS情報の伝送の信頼性を向上させることが可能なIP再送信装置、IP受信装置、IP再送信方法およびEWS情報取得方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のIP再送信装置は、デジタル放送の放送波を受信し、受信した前記放送波に含まれるコンテンツをIPパケットに含めて再送信するIP再送信装置であって、前記放送波を受信する受信部と、前記受信部により受信された前記放送波から、前記コンテンツを含むTSパケットを取得するTS取得部と、前記放送波に含まれる、緊急警報放送に関するEWS情報を取得するEWS取得部と、前記TS取得部により取得された前記TSパケットの一部または全部がペイロードに格納されたIPパケットであって、前記EWS取得部により取得された前記EWS情報が、前記IPパケットにおける前記ペイロードとは異なるフィールドに格納された前記IPパケットを生成する生成部と、前記生成部により生成された前記IPパケットを送信する送信部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、IP再送信システムにおけるEWS情報の伝送の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の実施の形態に係るIP再送信システムの構成を示す図である。
図2図2は、本開示の実施の形態に係るIP再送信装置の構成を示す図である。
図3図3は、本開示の実施の形態に係るIP再送信装置における生成部により送信されるIPパケットPtsの一例を示す図である。
図4図4は、本開示の実施の形態に係るSTBの構成を示す図である。
図5図5は、本開示の実施の形態に係るトランスモジュレータの構成を示す図である。
図6図6は、本開示の実施の形態に係るIP再送信装置がIPパケットPtsの送信を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図7図7は、本開示の実施の形態に係るトランスモジュレータが放送信号の送信を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図8図8は、本開示の実施の形態に係るIP再送信システムにおけるEWS情報の伝送処理のシーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0011】
(1)本開示の実施の形態に係るIP再送信装置は、デジタル放送の放送波を受信し、受信した前記放送波に含まれるコンテンツをIPパケットに含めて再送信するIP再送信装置であって、前記放送波を受信する受信部と、前記受信部により受信された前記放送波から、前記コンテンツを含むTSパケットを取得するTS取得部と、前記放送波に含まれる、緊急警報放送に関するEWS情報を取得するEWS取得部と、前記TS取得部により取得された前記TSパケットの一部または全部がペイロードに格納されたIPパケットであって、前記EWS取得部により取得された前記EWS情報が、前記IPパケットにおける前記ペイロードとは異なるフィールドに格納された前記IPパケットを生成する生成部と、前記生成部により生成された前記IPパケットを送信する送信部とを備える。
【0012】
このように、TSパケットが格納されたIPパケットにEWS情報を格納して送信する構成により、IPTVFJ(IPTV Forum Japan)において定められた、IP再送信システムにおけるEWS送出装置によるEWS情報のIP伝送に加えて、映像情報および音声情報等のコンテンツとともにEWS情報をIP伝送することができるので、EWS情報の伝送経路を冗長化することができる。また、たとえば、IPTVFJにおいて定められたEWS情報の伝送周期よりも短い周期でEWS情報を伝送することができるので、IP再送信装置により送信されたコンテンツを放送信号に含めてさらに再送信するシステムにおいて、EWS情報の伝送遅延を抑制することができる。したがって、IP再送信システムにおけるEWS情報の伝送の信頼性を向上させることができる。
【0013】
(2)上記(1)において、前記EWS取得部は、前記放送波に含まれるTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)情報から前記EWS情報を取得してもよい。
【0014】
このような構成により、たとえば、放送波に対して復調処理を行うことなくEWS情報を取得し、取得したEWS情報をIPパケットに格納して送信することができるので、TSパケットから取得されるEWS情報をIPパケットに格納して送信する構成と比べて、最新のEWS情報をより早期に送信することができる。
【0015】
(3)上記(1)または(2)において、前記EWS取得部は、前記TSパケットから前記EWS情報を取得してもよい。
【0016】
ARIB(Association of Radio Industries and Businesses)の規格に従い、TSパケットに含めて伝送されるEWS情報は、TMCC情報に含めて伝送されるEWS情報よりも先に更新されるところ、上記のような構成により、TMCC情報から取得されるEWS情報をIPパケットに格納して送信する構成と比べて、緊急警報放送のオンおよびオフの切り替わりに対してより高い応答性を有するEWS情報を送信することができる。
【0017】
(4)上記(1)において、前記EWS取得部は、前記放送波に含まれるTMCC情報から前記EWS情報である第1のEWS情報を取得してもよく、前記TSパケットから前記EWS情報である第2のEWS情報を取得してもよく、前記生成部は、前記第1のEWS情報と前記第2のEWS情報とが統合された前記EWS情報である統合EWS情報が、前記フィールドに格納された前記IPパケットを生成してもよい。
【0018】
このような構成により、第1のEWS情報および第2のEWS情報のいずれか一方をIPパケットに格納して送信する構成と比べて、最新のEWS情報をより早期に送信することができるとともに、緊急警報放送のオンおよびオフの切り替わりに対してより高い応答性を有する統合EWS情報を送信することができる。
【0019】
(5)上記(3)または(4)において、前記送信部は、前記EWS取得部が前記TSパケットから前記EWS情報を取得する周期よりも短い周期で、前記EWS情報が格納された前記IPパケットを送信してもよい。
【0020】
このような構成により、IP再送信システムにおけるPMT(Program Map Table)の伝送周期よりも短い周期でEWS情報を伝送することができるので、IP再送信装置により送信されたコンテンツを放送信号に含めて再送信するシステムにおいて、EWS情報の伝送遅延を抑制することができる。
【0021】
(6)本開示の実施の形態に係るIP受信装置は、コンテンツを含むIPパケットを受信する受信部と、前記受信部により受信された前記IPパケットのペイロードから、前記コンテンツを含むTSパケットを取得するTS取得部と、前記IPパケットにおける前記ペイロードとは異なるフィールドから、緊急警報放送に関するEWS情報を取得するEWS取得部とを備える。
【0022】
このように、TSパケットが格納されたIPパケットからEWS情報を取得する構成により、IPTVFJにおいて定められた、IP再送信システムにおけるEWS送出装置によりIP伝送されたEWS情報に加えて、IP再送信された映像情報および音声情報等のコンテンツとともにEWS情報を取得することができるので、EWS情報の取得経路を冗長化することができる。また、たとえば、IPTVFJにおいて定められたEWS送出装置によるEWS情報の伝送周期よりも短い周期で伝送されたEWS情報を取得することができるので、IP再送信装置により送信されたコンテンツを放送信号に含めてさらに再送信するシステムにおいて、EWS情報の伝送遅延を抑制することができる。したがって、IP再送信システムにおけるEWS情報の伝送の信頼性を向上させることができる。
【0023】
(7)本開示の実施の形態に係るIP再送信方法は、デジタル放送の放送波を受信し、受信した前記放送波に含まれるコンテンツをIPパケットに含めて再送信するIP再送信装置、におけるIP再送信方法であって、前記放送波を受信するステップと、受信した前記放送波から、前記コンテンツを含むTSパケットを取得するステップと、前記放送波に含まれる、緊急警報放送に関するEWS情報を取得するステップと、取得した前記TSパケットの一部または全部がペイロードに格納されたIPパケットであって、取得した前記EWS情報が、前記IPパケットにおける前記ペイロードとは異なるフィールドに格納された前記IPパケットを生成するステップと、生成した前記IPパケットを送信するステップとを含む。
【0024】
このように、TSパケットが格納されたIPパケットにEWS情報を格納して送信する方法により、IPTVFJにおいて定められた、IP再送信システムにおけるEWS送出装置によるEWS情報のIP伝送に加えて、映像情報および音声情報等のコンテンツとともにEWS情報をIP伝送することができるので、EWS情報の伝送経路を冗長化することができる。また、たとえば、IPTVFJにおいて定められたEWS情報の伝送周期よりも短い周期でEWS情報を伝送することができるので、IP再送信装置により送信されたコンテンツを放送信号に含めてさらに再送信するシステムにおいて、EWS情報の伝送遅延を抑制することができる。したがって、IP再送信システムにおけるEWS情報の伝送の信頼性を向上させることができる。
【0025】
(8)本開示の実施の形態に係るEWS情報取得方法は、IP受信装置におけるEWS情報取得方法であって、コンテンツを含むIPパケットを受信するステップと、受信した前記IPパケットのペイロードから、前記コンテンツを含むTSパケットを取得するステップと、前記IPパケットにおける前記ペイロードとは異なるフィールドから、緊急警報放送に関するEWS情報を取得するステップとを含む。
【0026】
このように、TSパケットが格納されたIPパケットからEWS情報を取得する方法により、IPTVFJにおいて定められた、IP再送信システムにおけるEWS送出装置によりIP伝送されたEWS情報に加えて、IP再送信された映像情報および音声情報等のコンテンツとともにEWS情報を取得することができるので、EWS情報の取得経路を冗長化することができる。また、たとえば、IPTVFJにおいて定められたEWS送出装置によるEWS情報の伝送周期よりも短い周期で伝送されたEWS情報を取得することができるので、IP再送信装置により送信されたコンテンツを放送信号に含めてさらに再送信するシステムにおいて、EWS情報の伝送遅延を抑制することができる。したがって、IP再送信システムにおけるEWS情報の伝送の信頼性を向上させることができる。
【0027】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0028】
[構成および基本動作]
<IP再送信システム401>
図1は、本開示の実施の形態に係るIP再送信システムの構成を示す図である。図1を参照して、IP再送信システム401は、複数のIP再送信装置101と、スイッチ装置111,121,131と、SI送出装置112と、EWS送出装置122と、トランスモジュレータ201と、STB301,302とを備える。トランスモジュレータ201およびSTB301は、IP受信装置の一例である。IP再送信装置101、SI送出装置112およびEWS送出装置122は、たとえばケーブルテレビ局の局舎に設けられる。SI送出装置112およびEWS送出装置122は、同一の筐体に設けられてもよい。STB301,302は、ユーザ宅に設けられる。
【0029】
IP再送信装置101は、アンテナ経由で、地上デジタル放送、BSデジタル放送または高度BSデジタル放送の放送波を受信する。IP再送信装置101は、受信した放送波に含まれるコンテンツをIPパケットに含めて再送信する。当該コンテンツは、たとえば、音声情報、映像情報、PSI(Program Specific Information)情報、SI(Service Information)情報、字幕情報およびEWS情報等を含む。
【0030】
より詳細には、複数のIP再送信装置101の各々には、たとえば互いに異なる1つのチャンネルが割り当てられている。IP再送信装置101は、受信した放送波から、当該IP再送信装置101に割り当てられているチャンネルに属するコンテンツが複数に分割された情報を含む複数のTSパケットを取得する。IP再送信装置101は、取得したTSパケットの一部または全部がペイロードに格納されたIPパケットPtsを生成し、生成したIPパケットPtsをスイッチ装置131およびIP網141経由でトランスモジュレータ201およびSTB301へ送信する。
【0031】
また、IP再送信装置101は、受信した放送波に含まれるSI情報を取得し、取得したSI情報がペイロードに格納されたIPパケットPsiを生成する。IP再送信装置101は、生成したIPパケットPsiをスイッチ装置111経由でSI送出装置112へ送信する。
【0032】
また、IP再送信装置101は、受信した放送波に含まれる、緊急警報放送に関するEWS情報E1を取得し、取得したEWS情報E1に基づく後述するEWS情報E2がペイロードに格納されたIPパケットPewsを生成する。IP再送信装置101は、生成したIPパケットPewsをスイッチ装置121経由でEWS送出装置122へ送信する。
【0033】
SI送出装置112は、各IP再送信装置101からIPパケットPsiを受信し、受信した各IPパケットPsiからSI情報を取得する。SI送出装置112は、取得した複数のSI情報を集約することにより集約SI情報を生成し、生成した集約SI情報がペイロードに格納されたIPパケットPSをスイッチ装置131およびIP網141経由でSTB301へ送信する。
【0034】
EWS送出装置122は、各IP再送信装置101からIPパケットPewsを受信し、受信した各IPパケットPewsからEWS情報E2を取得する。EWS送出装置122は、取得した複数のEWS情報E2を集約することにより集約EWS情報を生成し、生成した集約EWS情報がペイロードに格納されたIPパケットPEをスイッチ装置131およびIP網141経由でトランスモジュレータ201およびSTB301へ送信する。
【0035】
STB301は、スイッチ装置131およびIP網141経由でIP再送信装置101からIPパケットPtsを受信する。STB301は、受信したIPパケットPtsからコンテンツを取得し、取得したコンテンツを図示しない表示装置において再生する。
【0036】
また、STB301は、スイッチ装置131およびIP網141経由でSI送出装置112からIPパケットPSを受信する。STB301は、受信したIPパケットPSから集約SI情報を取得し、取得した集約SI情報に基づいて、たとえば番組表を作成する。
【0037】
また、STB301は、スイッチ装置131およびIP網141経由でEWS送出装置122からIPパケットPEを受信する。STB301は、受信したIPパケットPEから集約EWS情報を取得し、取得した集約EWS情報に基づいて、当該STB301が設置された地域において緊急警報放送が実施されていることを検知した場合、緊急警報放送に関するコンテンツを図示しない表示装置において再生する。
【0038】
トランスモジュレータ201は、スイッチ装置131およびIP網141経由でIP再送信装置101からIPパケットPtsを受信する。また、トランスモジュレータ201は、スイッチ装置131およびIP網141経由でEWS送出装置122からIPパケットPEを受信する。トランスモジュレータ201は、受信したIPパケットPts,PEからコンテンツおよび集約EWS情報を取得し、取得したコンテンツおよび集約EWS情報を含むRF(Radio Frequency)帯の放送信号をケーブルテレビ網151経由でSTB302へ送信する。
【0039】
STB302は、ケーブルテレビ網151経由でトランスモジュレータ201から放送信号を受信する。STB302は、受信した放送信号からコンテンツを取得し、取得したコンテンツを図示しない表示装置において再生する。また、STB302は、受信した放送信号から集約EWS情報を取得し、取得した集約EWS情報に基づいて、当該STB302が設置された地域において緊急警報放送が実施されていることを検知した場合、緊急警報放送に関するコンテンツを図示しない表示装置において再生する。
【0040】
[課題]
IP再送信システム401において、コンテンツの受信機であるSTB301,302へのEWS情報の伝送の信頼性を向上させることが可能な技術が望まれる。
【0041】
ここで、IP再送信システム401では、EWS送出装置122は、IPTVFJの規格に従い、100ミリ秒周期でIPパケットPEを送信する。
【0042】
しかしながら、たとえばEWS送出装置122が故障した場合、STB301,302における集約EWS情報の到来が途絶えてしまう。また、トランスモジュレータ201経由で集約EWS情報を受信するSTB302では、トランスモジュレータ201における処理遅延等により、集約EWS情報の到来が遅延する場合がある。
【0043】
そこで、本開示の実施の形態に係るIP再送信システム401は、以下のような構成により、上記の課題を解決する。
【0044】
<IP再送信装置101>
図2は、本開示の実施の形態に係るIP再送信装置の構成を示す図である。図2を参照して、IP再送信装置101は、チューナ11と、SI取得部12と、SI処理部13と、SI送信部14と、TS処理部15と、生成部16と、TS送信部17と、EWS取得部18と、EWS処理部19と、EWS送信部20と備える。EWS取得部18は、検知部18Aと、解析部18Bとを含む。チューナ11は、受信部の一例であり、かつTS取得部の一例である。TS送信部17は、送信部の一例である。チューナ11、SI取得部12、SI処理部13、SI送信部14、TS処理部15、生成部16、TS送信部17、EWS取得部18、EWS処理部19およびEWS送信部20の一部または全部は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。
【0045】
チューナ11は、アンテナ経由で放送波を受信する。チューナ11は、受信した放送波からTMCC情報を取得し、取得したTMCC情報をEWS取得部18における検知部18Aへ出力する。
【0046】
また、チューナ11は、受信した放送波から、コンテンツを含むTSパケットを取得する。より詳細には、チューナ11は、受信した放送波に対して復調処理を行うことにより、コンテンツを含むストリームを生成する。チューナ11は、生成したストリームが分割されたデータをそれぞれ含む複数のTSパケットを生成し、生成したTSパケットをSI取得部12、TS処理部15およびEWS取得部18における解析部18Bへ出力する。
【0047】
チューナ11は、復調処理を行うことなく放送波からTMCC情報を取得することができるので、放送波に含まれるTSパケットを出力するよりも前に、当該放送波に含まれるTMCC情報を出力することができる。
【0048】
(IPパケットPsiの送信)
SI取得部12は、チューナ11からTSパケットを受けて、受けたTSパケットのうちのSI情報を含むTSパケットをSI処理部13へ出力する。SI情報には、NIT(Network Information Table)、BIT(Broadcaster Information Table)、SDT(Service Description Table)、EIT(Event Information Table)、およびCDT(Common Data Table)等の情報がある。
【0049】
より詳細には、SI取得部12は、チューナ11から受けたTSパケットのうちの、PIDが「0x0000」であるTSパケットからPAT(Program Association Table)を取得する。ここで、「0x」で始まる数字は、「0x」以降の数字が16進数で表されていることを意味する。SI取得部12は、取得したPATが示すSI情報のPIDと、チューナ11から受けた各TSパケットのPIDとを照合することにより、受けたTSパケットのうちのSI情報を含むTSパケットを抽出する。SI取得部12は、抽出したTSパケットをSI処理部13へ出力する。
【0050】
SI処理部13は、SI取得部12からTSパケットを受けて、受けたTSパケットがペイロードに格納されたIPパケットPsiを生成する。SI処理部13は、生成したIPパケットPsiをSI送信部14へ出力する。
【0051】
SI送信部14は、SI処理部13からIPパケットPsiを受けるたびに、受けたIPパケットPsiをフレームに含めてスイッチ装置111経由でSI送出装置112へ送信する。
【0052】
(IPパケットPewsの送信)
EWS取得部18は、放送波に含まれる、緊急警報放送に関するEWS情報E1を取得する。
【0053】
たとえば、EWS取得部18は、放送波に含まれるTMCC情報から、EWS情報E1であるEWS情報E1aを取得する。EWS情報E1aは、第1のEWS情報の一例である。より詳細には、TMCC情報は、緊急警報放送が実施されているか否かを示すフラグであるEWS情報E1aを含む。EWS情報E1aは、緊急警報放送がオンのときに「1」となり、緊急警報放送がオフのときに「ゼロ」となる1ビットの情報である。
【0054】
EWS取得部18における検知部18Aは、チューナ11からTMCC情報を受けて、受けたTMCC情報からEWS情報E1aを取得する。検知部18Aは、取得したEWS情報E1aをEWS処理部19へ出力する。
【0055】
たとえば、EWS取得部18は、TSパケットから、EWS情報E1であるEWS情報E1bを取得する。EWS情報E1bは、第2のEWS情報の一例である。より詳細には、EWS取得部18における解析部18Bは、チューナ11から受けたTSパケットのうちの、PIDが「0x0000」であるTSパケットからPATを取得する。解析部18Bは、取得したPATが示すPMTのPIDと、チューナ11から受けた各TSパケットのPIDとを照合することにより、受けたTSパケットのうちのPMTを含むTSパケットを抽出する。
【0056】
PMTは、緊急警報放送が実施されているか否かを示すEWS情報E1bと、緊急警報放送の対象地域を示すエリアコードEcとを含む。たとえば、PMTは、数十ミリ秒周期でIP再送信装置101に到来する。
【0057】
解析部18Bは、PMTを含むTSパケットを数十ミリ秒周期で抽出し、抽出したTSパケットに含まれるPMTからEWS情報E1bおよびエリアコードEcを取得する。解析部18Bは、取得したEWS情報E1bおよびエリアコードEcをEWS処理部19へ出力する。
【0058】
EWS処理部19は、検知部18Aから受けたEWS情報E1b、ならびに解析部18Bから受けたEWS情報E1aおよびエリアコードEcに基づいて、EWS情報E2を生成する。一例として、EWS処理部19は、EWS情報E1aとEWS情報E1bとが統合されたEWS情報E1であるEWS情報E1mrgを生成する。より詳細には、EWS処理部19は、EWS情報E1a,E1bの少なくともいずれか一方が、緊急警報放送が実施されていることを示す場合、緊急警報放送が実施されていることを示すEWS情報E1mrgを生成する一方で、EWS情報E1a,E1bの両方が、緊急警報放送が実施されていないことを示す場合、緊急警報放送が実施されていないことを示すEWS情報E1mrgを生成する。EWS情報E1mrgは、緊急警報放送が実施されているか否かを示す1ビットの情報である。EWS情報E1mrgは、統合EWS情報の一例である。
【0059】
たとえば、地上デジタル放送を受信するIP再送信装置101におけるEWS処理部19は、EWS情報E1mrgおよびエリアコードEcを含むEWS情報E2を生成する。また、たとえば、BSデジタル放送または高度BSデジタル放送を受信するIP再送信装置101におけるEWS処理部19は、EWS情報E1mrgを含む一方で、エリアコードEcを含まないEWS情報E2を生成する。なお、EWS処理部19は、EWS情報E1mrgの代わりに、EWS情報E1aまたはEWS情報E1bを含むEWS情報E2を生成してもよい。
【0060】
ここで、ARIBの規格に従い、PMTに含めて伝送されるEWS情報E1bは、TMCC情報に含めて伝送されるEWS情報E1aよりも先に更新される。したがって、IP再送信システム401では、緊急警報放送が開始される場合、緊急警報放送が実施されていることを示すEWS情報E1bを含むPMTは、緊急警報放送が実施されていることを示すEWS情報E1aを含むTMCC情報よりも先にIP再送信装置101に到来する。また、IP再送信システム401では、緊急警報放送が終了される場合、緊急警報放送が実施されていないことを示すEWS情報E1bを含むPMTは、緊急警報放送が実施されていないことを示すEWS情報E1aを含むTMCC情報よりも先にIP再送信装置101に到来する。すなわち、EWS情報E1bは、EWS情報E1aよりも、緊急警報放送のオンおよびオフの切り替わりに対する応答性が高い。したがって、EWS処理部19は、TMCC情報から取得されたEWS情報E1aよりも、PMTから取得されたEWS情報E1bを含むEWS情報E2を生成する方が好ましい。
【0061】
EWS処理部19は、生成したEWS情報E2がペイロードに格納されたIPパケットPewsを生成する。EWS処理部19は、生成したIPパケットPewsをEWS送信部20へ出力する。また、EWS処理部19は、EWS情報E1a,E1b,E1mrgを生成部16へ出力する。
【0062】
EWS送信部20は、EWS処理部19からIPパケットPewsを受けるたびに、受けたIPパケットPewsをフレームに含めてIP網141へ送信する。
【0063】
上述したように、IP再送信システム401では、EWS送出装置122は、IPTVFJの規格に従い、100ミリ秒周期でIPパケットPEを送信する必要がある。EWS処理部19は、EWS送出装置122による100ミリ秒周期でのIPパケットPEの送信を可能とするために、100ミリ秒よりも短い周期、たとえば数十ミリ秒周期でIPパケットPewsを生成する。そして、EWS送信部20は、EWS処理部19からIPパケットPewsを受けるたびに、受けたIPパケットPewsをフレームに含めてスイッチ装置121経由でEWS送出装置122へ送信する。
【0064】
(IPパケットPtsの送信)
TS処理部15は、チューナ11からTSパケットを受けるたびに、受けたTSパケットにタイムスタンプを付与することによりTTS(Time-stamped TS)パケットを生成する。そして、TS処理部15は、生成順に配列された7つのTTSパケットを含むパケット群を生成する。TS処理部15は、パケット群を生成するたびに、生成したパケット群を生成部16へ出力する。
【0065】
なお、TS処理部15は、チューナ11から受けた複数のTSパケットのうちの一部のTSパケットにタイムスタンプを付与することによりTTSパケットを生成する一方で、残りのTSパケットを破棄してもよい。この場合、たとえば、TS処理部15は、チューナ11から受けた複数のTSパケットのうちの、映像情報および音声情報等のコンテンツが含まれるTSパケットを選択し、選択したTSパケットにタイムスタンプを付与することによりTTSパケットを生成する。そして、TS処理部15は、生成順に配列された7つのTTSパケットを含むパケット群を生成部16へ出力する。
【0066】
また、TS処理部15は、チューナ11から受けたTSパケットのペイロードに含まれるデータの一部を含むTTSパケットを生成部16へ出力してもよい。この場合、たとえば、TS処理部15は、チューナ11から受けたTSパケットのペイロードに含まれるデータのうちの、映像情報および音声情報等のコンテンツを取得し、取得したコンテンツを含むTTSパケットを生成する。あるいは、TS処理部15は、チューナ11から受けたTSパケットのペイロードに含まれるデータのうちのコンテンツ以外のデータを除去し、コンテンツ以外のデータが除去されたTSパケットにタイムスタンプを付与することによりTTSパケットを生成する。そして、TS処理部15は、生成順に配列された7つのTTSパケットを含むパケット群を生成部16へ出力する。
【0067】
図3は、本開示の実施の形態に係るIP再送信装置における生成部により送信されるIPパケットPtsの一例を示す図である。図3を参照して、IPパケットPtsは、IPv6ヘッダ、UDP(User Datagram Protocol)ヘッダ、RTP(Real-time Transport Protocol)ヘッダおよびペイロードを含む。
【0068】
IPv6ヘッダは、Version、Traffic Class、Flow Label、Payload Length、Next Header、Hop Limit、送信元IPアドレスおよび宛先IPアドレスのフィールドを含む。
【0069】
UDPヘッダは、送信元ポート番号、宛先ポート番号、LengthおよびChecksumのフィールドを含む。
【0070】
RTPヘッダは、Version、Padding、Extension、CSIC(Contributing Source Identifiers Count)、Marker、Payload Type、シーケンス番号、RTPタイムスタンプ、およびSSRC(Synchronization Source)のフィールドを含む。
【0071】
生成部16は、チューナ11により取得されたTSパケットの一部または全部がペイロードに格納されたIPパケットPtsであって、EWS取得部18により取得されたEWS情報E1が、IPパケットPtsにおけるペイロードとは異なるフィールドに格納されたIPパケットPtsを生成する。
【0072】
より詳細には、生成部16は、TS処理部15から7つのTTSパケットを含むパケット群を受けるたびに、受けたパケット群がペイロードに格納され、かつEWS処理部19から受けた最新のEWS情報E1がSSRCのフィールドに格納されたIPパケットPtsを生成する。
【0073】
たとえば、生成部16は、EWS情報E1aとEWS情報E1bとが統合されたEWS情報E1mrgが、SSRCのフィールドに格納されたIPパケットPtsを生成する。より詳細には、生成部16は、EWS処理部19から受けた最新のEWS情報E1mrgがSSRCのフィールドに格納されたIPパケットPtsを生成する。一例として、生成部16は、SSRCのフィールドにおける1byte目のbit7の位置に、1ビットのEWS情報E1mrgが格納されたIPパケットPtsを生成する。
【0074】
たとえば、生成部16は、数百マイクロ秒周期でIPパケットPtsを生成し、生成したIPパケットPtsをTS送信部17へ出力する。
【0075】
TS送信部17は、生成部16により生成されたIPパケットPtsを送信する。より詳細には、TS送信部17は、生成部16からIPパケットPtsを受けるたびに、受けたIPパケットPtsをフレームに含めてスイッチ装置131およびIP網141経由でトランスモジュレータ201およびSTB301へ送信する。
【0076】
たとえば、TS送信部17は、解析部18BがTSパケットからEWS情報E1bを取得する周期よりも短い周期で、EWS情報E1が格納されたIPパケットPtsを送信する。より詳細には、上述したように解析部18Bが数十ミリ秒周期でPMTからEWS情報E1bを取得するのに対して、TS送信部17は、数百マイクロ秒周期で生成部16からIPパケットPtsを受けて、受けたIPパケットPtsを送信する。
【0077】
<STB301>
図4は、本開示の実施の形態に係るSTBの構成を示す図である。図4を参照して、STB301は、受信部31と、取得部32と、処理部33とを備える。取得部32は、TS取得部の一例であり、かつEWS取得部の一例である。受信部31、取得部32および処理部33の一部または全部は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。
【0078】
受信部31は、コンテンツを含むIPパケットPtsを受信する。より詳細には、受信部31は、スイッチ装置131およびIP網141経由でIP再送信装置101からIPパケットPtsを受信する。受信部31は、受信したIPパケットPtsを取得部32へ出力する。
【0079】
また、受信部31は、スイッチ装置131およびIP網141経由でSI送出装置112からIPパケットPSを受信する。受信部31は、受信したIPパケットPSを取得部32へ出力する。
【0080】
また、受信部31は、スイッチ装置131およびIP網141経由でEWS送出装置122からIPパケットPEを受信する。受信部31は、受信したIPパケットPEを取得部32へ出力する。
【0081】
取得部32は、受信部により受信されたIPパケットPtsのペイロードから、コンテンツを含むTSパケットを取得し、IPパケットPtsにおけるペイロードとは異なるフィールドからEWS情報E1を取得する。より詳細には、取得部32は、受信部31からIPパケットPtsを受けて、受けたIPパケットPtsのペイロードから7つのTTSパケットを取得し、当該IPパケットPtsのSSRCのフィールドからEWS情報E1mrgを取得する。取得部32は、取得したTTSパケットおよびEWS情報E1mrgを処理部33へ出力する。
【0082】
また、取得部32は、受信部31からIPパケットPSを受けて、受けたIPパケットPSのペイロードから集約SI情報を取得する。取得部32は、取得した集約SI情報を処理部33へ出力する。
【0083】
また、取得部32は、受信部31からIPパケットPEを受けて、受けたIPパケットPEのペイロードから集約EWS情報を取得する。取得部32は、取得した集約EWS情報を処理部33へ出力する。
【0084】
処理部33は、取得部32からTTSパケットを受けて、受けたTTSパケットからコンテンツを取得する。処理部33は、取得したコンテンツを図示しない表示装置において再生する。
【0085】
また、処理部33は、取得部32から集約SI情報を受けて、受けた集約SI情報に基づいて、たとえば番組表を作成する。
【0086】
また、処理部33は、取得部32からEWS情報E1mrgを受けて、受けたEWS情報E1mrgに基づいて、緊急警報放送が実施されているか否かを判断する。処理部33は、緊急警報放送が実施されていると判断した場合、TTSパケットから取得したコンテンツの再生を終了し、緊急警報放送に関するコンテンツの再生を開始する。その後、処理部33は、取得部32から受けた新たなEWS情報E1mrgに基づいて、緊急警報放送が終了したと判断した場合、緊急警報放送に関するコンテンツの再生を終了し、TTSパケットから取得したコンテンツの再生を再開する。
【0087】
なお、処理部33は、取得部32から受けた集約EWS情報にさらに基づいて、緊急警報放送が実施されているか否かを判断してもよい。また、処理部33は、TTSパケットに含まれるEWS情報にさらに基づいて、緊急警報放送が実施されているか否かを判断してもよい。この場合、処理部33は、EWS情報E1mrg、集約EWS情報、およびTTSパケットに含まれるEWS情報のうちの少なくともいずれか1つが、緊急警報放送が実施されていることを示す内容に切り替わった場合、緊急警報放送が実施されていると判断し、緊急警報放送に関するコンテンツの再生を開始する。そして、処理部33は、EWS情報E1mrg、集約EWS情報、およびTTSパケットに含まれるEWS情報のうちの少なくともいずれか1つが、緊急警報放送が実施されていないことを示す内容に切り替わった場合、緊急警報放送が実施されていないと判断し、緊急警報放送に関するコンテンツの再生を終了する。
【0088】
<トランスモジュレータ201>
図5は、本開示の実施の形態に係るトランスモジュレータの構成を示す図である。図5を参照して、トランスモジュレータ201は、受信部21と、取得部22と、TSMF(Transport Stream Multiplexing Frame)処理部23と、変調部24と、出力部25とを備える。取得部22は、TS取得部の一例であり、かつEWS取得部の一例である。受信部21、取得部22、TSMF処理部23、変調部24および出力部25の一部または全部は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。
【0089】
受信部21は、コンテンツを含むIPパケットPtsを受信する。より詳細には、受信部21は、スイッチ装置131およびIP網141経由でIP再送信装置101からIPパケットPtsを受信する。受信部21は、受信したIPパケットPtsを取得部22へ出力する。
【0090】
また、受信部21は、スイッチ装置131およびIP網141経由でEWS送出装置122からIPパケットPEを受信する。受信部21は、受信したIPパケットPEを取得部22へ出力する。
【0091】
取得部22は、受信部により受信されたIPパケットPtsのペイロードから、コンテンツを含むTSパケットを取得し、IPパケットPtsにおけるペイロードとは異なるフィールドからEWS情報E1を取得する。より詳細には、取得部22は、受信部21からIPパケットPtsを受けて、受けたIPパケットPtsのペイロードから7つのTTSパケットを取得し、当該IPパケットPtsのSSRCのフィールドからEWS情報E1mrgを取得する。取得部22は、取得したTTSパケットのタイムスタンプを除去することによりTSパケットを生成し、生成したTSパケットおよび取得したEWS情報E1mrgをTSMF処理部23へ出力する。
【0092】
また、取得部22は、受信部21からIPパケットPEを受けて、受けたIPパケットPEのペイロードから集約EWS情報を取得する。取得部22は、取得した集約EWS情報をTSMF処理部23へ出力する。
【0093】
TSMF処理部23は、取得部22からTSパケットおよびEWS情報E1mrgを受けて、受けたTSパケットおよびEWS情報E1mrgを含むTSMF多重フレームを生成する。なお、TSMF処理部23は、EWS情報E1mrgの代わりに、集約EWS情報を含むTSMF多重フレームを生成してもよい。TSMF処理部23は、生成したTSMF多重フレームを変調部24へ出力する。
【0094】
変調部24は、TSMF処理部23から受けたTSMF多重フレームを、64QAM(Quadrature Amplitude Modulation)および256QAM等の所定の変調方式により変調することにより放送信号を生成し、生成した放送信号を出力部25へ出力する。
【0095】
出力部25は、変調部24から受けた放送信号をケーブルテレビ網151経由でSTB302へ送信する。
【0096】
STB302は、ケーブルテレビ網151経由でトランスモジュレータ201から放送信号を受信し、受信した放送信号からTSパケットおよびEWS情報E1mrgを取得する。STB302は、取得したTSパケットに含まれるコンテンツを図示しない表示装置において再生する。また、STB302は、取得したEWS情報E1mrgに基づいて、緊急警報放送が実施されていることを検知した場合、緊急警報放送に関するコンテンツを図示しない表示装置において再生する。
【0097】
なお、STB302は、TSパケットに含まれるEWS情報にさらに基づいて、緊急警報放送が実施されているか否かを判断してもよい。この場合、STB302は、EWS情報E1mrg、およびTSパケットに含まれるEWS情報の少なくともいずれか一方が、緊急警報放送が実施されていることを示す内容に切り替わった場合、緊急警報放送が実施されていると判断し、緊急警報放送に関するコンテンツの再生を開始する。そして、STB302は、EWS情報E1mrg、およびTSパケットに含まれるEWS情報の少なくともいずれか一方が、緊急警報放送が実施されていないことを示す内容に切り替わった場合、緊急警報放送が実施されていないと判断し、緊急警報放送に関するコンテンツの再生を終了する。
【0098】
[動作の流れ]
図6は、本開示の実施の形態に係るIP再送信装置がIPパケットPtsの送信を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【0099】
図6を参照して、まず、IP再送信装置101は、アンテナ経由で放送波を受信する(ステップS11)。
【0100】
次に、IP再送信装置101は、受信した放送波に含まれるTMCC情報からEWS情報E1aを取得する(ステップS12)。
【0101】
次に、IP再送信装置101は、放送波から、コンテンツを含むTSパケットを取得する(ステップS13)。
【0102】
次に、IP再送信装置101は、取得したTSパケットのうちのPMTを含むTSパケットを抽出し、抽出したTSパケットに含まれるPMTからEWS情報E1bを取得する(ステップS14)。
【0103】
次に、IP再送信装置101は、7つのTTSパケットがペイロードに格納され、かつEWS情報E1aとEWS情報E1bとが統合されたEWS情報E1mrgがSSRCのフィールドに格納されたIPパケットPtsを生成する(ステップS15)。
【0104】
次に、IP再送信装置101は、生成したIPパケットPtsを送信する(ステップS16)。
【0105】
図7は、本開示の実施の形態に係るトランスモジュレータが放送信号の送信を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【0106】
図7を参照して、まず、トランスモジュレータ201は、スイッチ装置131およびIP網141経由でIP再送信装置101からIPパケットPtsを受信する(ステップS21)。
【0107】
次に、トランスモジュレータ201は、受信したIPパケットPtsのペイロードから7つのTTSパケットを取得し、当該IPパケットPtsのSSRCのフィールドからEWS情報E1mrgを取得する(ステップS22)。
【0108】
次に、トランスモジュレータ201は、取得したTTSパケットのタイムスタンプを除去することによりTSパケットを生成し、TSパケットおよびEWS情報E1mrgを含むTSMF多重フレームを生成する(ステップS23)。
【0109】
次に、トランスモジュレータ201は、TSMF多重フレームを変調することにより放送信号を生成する(ステップS24)。
【0110】
次に、トランスモジュレータ201は、生成した放送信号をケーブルテレビ網151経由でSTB302へ送信する(ステップS25)。
【0111】
図8は、本開示の実施の形態に係るIP再送信システムにおけるEWS情報の伝送処理のシーケンスの一例を示す図である。
【0112】
図8を参照して、まず、IP再送信装置101は、アンテナ経由で放送波を受信する(ステップS31)。
【0113】
次に、IP再送信装置101は、受信した放送波から、コンテンツを含むTSパケットおよびEWS情報E1a,E1bを取得する(ステップS32)。
【0114】
次に、IP再送信装置101は、7つのTTSパケットがペイロードに格納され、かつEWS情報E1aとEWS情報E1bとが統合されたEWS情報E1mrgがSSRCのフィールドに格納されたIPパケットPtsを生成する(ステップS33)。
【0115】
次に、IP再送信装置101は、生成したIPパケットPtsをスイッチ装置131およびIP網141経由でトランスモジュレータ201およびSTB301へ送信する(ステップS34)。
【0116】
次に、STB301およびトランスモジュレータ201は、スイッチ装置131およびIP網141経由でIP再送信装置101からIPパケットPtsを受信し、受信したIPパケットPtsのペイロードからTTSパケットを取得し、IPパケットPtsにおけるSSRCのフィールドからEWS情報E1mrgを取得する(ステップS35)。
【0117】
次に、STB301は、取得したEWS情報E1mrgに基づいて、緊急警報放送が実施されているか否かを判断する。たとえば、STB301は、緊急警報放送が実施されていると判断した場合、緊急警報放送に関するコンテンツの再生を開始する(ステップS36)。
【0118】
次に、トランスモジュレータ201は、TSパケットおよびEWS情報E1mrgを含むTSMF多重フレームを生成し、生成したTSMF多重フレームを変調することにより放送信号を生成する(ステップS37)。
【0119】
次に、トランスモジュレータ201は、生成した放送信号をケーブルテレビ網151経由でSTB302へ出力する(ステップS38)。
【0120】
次に、STB302は、ケーブルテレビ網151経由でトランスモジュレータ201から放送信号を受信し、受信した放送信号からTSパケットおよびEWS情報E1mrgを取得する(ステップS39)。
【0121】
次に、STB302は、取得したEWS情報E1mrgに基づいて、緊急警報放送が実施されているか否かを判断する。たとえば、STB302は、緊急警報放送が実施されていると判断した場合、緊急警報放送に関するコンテンツの再生を開始する(ステップS40)。
【0122】
なお、本開示の実施の形態に係るIP再送信装置101では、EWS取得部18は、放送波に含まれるTMCC情報からEWS情報E1aを取得し、TSパケットからEWS情報E1bを取得する構成であるとしたが、これに限定するものではない。EWS取得部18は、EWS情報E1a,E1bのいずれか一方の取得を行わない構成であってもよい。
【0123】
また、本開示の実施の形態に係るIP再送信装置101では、生成部16は、SSRCのフィールドにEWS情報E1mrgが格納されたIPパケットPtsを生成する構成であるとしたが、これに限定するものではない。生成部16は、SSRCとは異なるフィールドにEWS情報E1mrgが格納されたIPパケットPtsを生成する構成であってもよい。
【0124】
また、本開示の実施の形態に係るIP再送信装置101では、生成部16は、EWS情報E1mrgが格納されたIPパケットPtsを生成する構成であるとしたが、これに限定するものではない。生成部16は、EWS情報E1mrgの代わりに、EWS情報E1aまたはEWS情報E1bが格納されたIPパケットPtsを生成する構成であってもよい。
【0125】
また、本開示の実施の形態に係るIP再送信装置101では、TS送信部17は、解析部18BがTSパケットからEWS情報E1bを取得する周期よりも短い周期で、EWS情報E1が格納されたIPパケットPtsを送信する構成であるとしたが、これに限定するものではない。TS送信部17は、解析部18BがTSパケットからEWS情報E1bを取得する周期以上の周期で、EWS情報E1が格納されたIPパケットPtsを送信する構成であってもよい。このような構成であっても、少なくとも、IP再送信システム401におけるEWS情報の冗長化を実現することができるので、EWS送出装置122が故障した場合においても、STB301,302へのEWS情報の伝送を行うことができる。したがって、IP再送信システム401におけるEWS情報E1の伝送の信頼性を向上させることができる。
【0126】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0127】
上述の実施形態の各処理(各機能)は、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。上記処理回路は、上記1または複数のプロセッサに加え、1または複数のメモリ、各種アナログ回路、各種デジタル回路が組み合わされた集積回路等で構成されてもよい。上記1または複数のメモリは、上記各処理を上記1または複数のプロセッサに実行させるプログラム(命令)を格納する。上記1または複数のプロセッサは、上記1または複数のメモリから読み出した上記プログラムに従い上記各処理を実行してもよいし、予め上記各処理を実行するように設計された論理回路に従って上記各処理を実行してもよい。上記プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)等、コンピュータの制御に適合する種々のプロセッサであってよい。なお、物理的に分離した上記複数のプロセッサが互いに協働して上記各処理を実行してもよい。たとえば、物理的に分離した複数のコンピュータのそれぞれに搭載された上記プロセッサがLAN(Local Area Network)、WAN (Wide Area Network)、およびインターネット等のネットワークを介して互いに協働して上記各処理を実行してもよい。上記プログラムは、外部のサーバ装置等から上記ネットワークを介して上記メモリにインストールされても構わないし、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、および半導体メモリ等の記録媒体に格納された状態で流通し、上記記録媒体から上記メモリにインストールされても構わない。
【0128】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
デジタル放送の放送波を受信し、受信した前記放送波に含まれるコンテンツをIPパケットに含めて再送信するIP再送信装置であって、
前記放送波を受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記放送波から、前記コンテンツを含むTSパケットを取得するTS取得部と、
前記放送波に含まれる、緊急警報放送に関するEWS情報を取得するEWS取得部と、
前記TS取得部により取得された前記TSパケットの一部または全部がペイロードに格納されたIPパケットであって、前記EWS取得部により取得された前記EWS情報が、前記IPパケットにおける前記ペイロードとは異なるフィールドに格納された前記IPパケットを生成する生成部と、
前記生成部により生成された前記IPパケットを送信する送信部とを備え、
前記生成部は、前記EWS情報がSSRCフィールドに格納された前記IPパケットを生成する、IP再送信装置。
【0129】
[付記2]
デジタル放送の放送波を受信し、受信した前記放送波に含まれるコンテンツをIPパケットに含めて再送信するIP再送信装置であって、
処理回路を備え、
前記処理回路は、
前記放送波を受信し、
受信した前記放送波から、前記コンテンツを含むTSパケットを取得し、
前記放送波に含まれる、緊急警報放送に関するEWS情報を取得し、
取得した前記TSパケットの一部または全部がペイロードに格納されたIPパケットであって、取得した前記EWS情報が、前記IPパケットにおける前記ペイロードとは異なるフィールドに格納された前記IPパケットを生成し、
生成した前記IPパケットを送信する、IP再送信装置。
【符号の説明】
【0130】
11 チューナ
12 SI取得部
13 SI処理部
14 SI送信部
15 TS処理部
16 生成部
17 TS送信部
18 EWS取得部
18A 検知部
18B 解析部
19 EWS処理部
20 EWS送信部
21 受信部
22 取得部
23 TSMF処理部
24 変調部
25 送信部
31 受信部
32 取得部
33 処理部
111,121,131 スイッチ装置
112 SI送出装置
122 EWS送出装置
101 IP再送信装置
141 IP網
151 ケーブルテレビ網
201 トランスモジュレータ
301,302 STB
401 IP再送信システム
Pts,PS,PE IPパケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8