(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168960
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20241128BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20241128BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G05D1/02 P
G05D1/02 G
B65G1/00 501C
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086054
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】田中 芳孝
(72)【発明者】
【氏名】小川 大介
(72)【発明者】
【氏名】橋口 健信
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 彰
(72)【発明者】
【氏名】川波 絢佳
(72)【発明者】
【氏名】上田 俊人
(72)【発明者】
【氏名】位田 章太
【テーマコード(参考)】
3F022
5F131
5H301
【Fターム(参考)】
3F022AA08
3F022EE05
3F022JJ11
3F022LL12
3F022MM11
3F022MM15
3F022NN31
3F022NN42
3F022PP06
5F131AA02
5F131AA10
5F131CA32
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5F131DC02
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5F131DD24
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5F131DD74
5F131GA14
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5H301FF11
5H301KK02
5H301KK08
5H301KK18
(57)【要約】
【課題】物品搬送設備全体として搬送効率を向上させる。
【解決手段】領域制御装置は、搬送車1が分岐箇所Idの通過後に合流箇所Ijを通過して分岐合流領域Zを通過しようとする場合に、占有対象地点P及び補助占有対象地点Psの内、走行予定路Rfにある中で分岐箇所Idに最も近いもの、及び、非走行予定路Rnにある中で分岐箇所Idに最も近いものを、搬送車1に占有させる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送車と、
前記搬送車が走行する走行経路と、
前記走行経路が分岐する分岐箇所及び前記走行経路が合流する合流箇所を含む、予め定められた分岐合流領域において、前記搬送車の制御を行う領域制御装置と、を備えた物品搬送設備であって、
少なくとも、前記合流箇所よりも下流側に、前記搬送車による占有の対象となる占有対象地点が設けられ、
前記走行経路における前記分岐箇所と前記合流箇所との間に、前記搬送車によって補助的に占有される対象となる補助占有対象地点が設けられ、
前記領域制御装置は、前記搬送車が前記分岐箇所の通過後に前記合流箇所を通過して前記分岐合流領域を通過しようとする場合に、前記占有対象地点及び前記補助占有対象地点の内、前記分岐箇所から分岐すると共に前記搬送車が前記分岐箇所の通過後に走行しようとする走行予定路にある中で前記分岐箇所に最も近い対象地点、及び、前記走行予定路とは異なる側に前記分岐箇所から分岐する非走行予定路にある中で前記分岐箇所に最も近い対象地点を、前記搬送車に占有させる、物品搬送設備。
【請求項2】
前記占有対象地点には、当該占有対象地点の位置情報を保持する位置情報保持体が設置され、
前記補助占有対象地点は、当該補助占有対象地点の位置を示す情報として設定され、
前記搬送車は、前記占有対象地点の前記位置情報保持体を読み取り可能に構成されると共に、自らの現在位置に基づいて前記補助占有対象地点を認識可能に構成されている、請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記搬送車は、前記走行予定路に前記補助占有対象地点と前記占有対象地点とがある場合には、自らが通過する順番に、前記補助占有対象地点及び前記占有対象地点の占有を前記領域制御装置に要求すると共に、自らが通過した順番に、前記補助占有対象地点及び前記占有対象地点の占有の解除を前記領域制御装置に要求する、請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記搬送車は、前記走行予定路に前記補助占有対象地点と前記占有対象地点とが記載の順に配置され、且つ、前記非走行予定路に前記補助占有対象地点と前記占有対象地点とが記載の順に配置されている場合には、前記走行予定路の前記補助占有対象地点の通過以後に、前記走行予定路及び前記非走行予定路それぞれの前記補助占有対象地点の占有の解除を前記領域制御装置に要求する、請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記搬送車は、自らが占有している前記補助占有対象地点よりも下流側の前記占有対象地点が他の搬送車に占有されている場合には当該補助占有対象地点において停止する、請求項1から4のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する搬送車と、前記搬送車が走行する走行経路と、予め定められた分岐合流領域において前記搬送車の制御を行う領域制御装置と、を備えた物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような物品搬送設備の一例が、搬送台車システムとして、特開2006-313463号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示された符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に開示されたシステムでは、搬送車(5)の走行経路が交差する交差箇所にロックポイントを設け、このようなロックポイントが設けられたゾーン(以下、「交差ゾーン」という)を単位として、ロックポイントにおける搬送車(5)の通行の認否を判断している。
【0004】
搬送車(5)は、ロックポイントが設けられた交差ゾーンへの進入前に、ゾーンコントローラ(11)に対して、他の搬送車(5)の当該交差ゾーンへの進入の排斥を求めるブロッキング要求を行う。ゾーンコントローラ(11)は、ブロッキング要求を行った搬送車(5)に対して当該交差ゾーンの通行を許可する場合は、ブロッキング許可を行い、他の搬送車(5)を排斥する。このような構成により、交差ゾーンにおける搬送車(5)同士の干渉を回避することができる。ゾーンコントローラ(11)は、搬送車(5)の通行後は、当該交差ゾーンにおけるブロッキングを解除して、他の搬送車(5)を受け入れ可能な状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、交差ゾーンでは、複数の搬送車(5)同士によってゾーンの取り合いが行われる。ゾーンを占有した搬送車(5)のみが通行を許容され、それ以外の搬送車(5)の通行は規制される。このように、交差ゾーンにおいて、搬送車(5)は、他の搬送車(5)との関係で生じる制約を受けることになる。しかしながら、制約が大き過ぎると、搬送車(5)の走行が必要以上に妨げられ、ひいては、設備全体として搬送効率が低下し得る。
【0007】
上記実状に鑑みて、物品搬送設備全体として搬送効率を向上させることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
物品を搬送する搬送車と、
前記搬送車が走行する走行経路と、
前記走行経路が分岐する分岐箇所及び前記走行経路が合流する合流箇所を含む、予め定められた分岐合流領域において、前記搬送車の制御を行う領域制御装置と、を備えた物品搬送設備であって、
少なくとも、前記合流箇所よりも下流側に、前記搬送車による占有の対象となる占有対象地点が設けられ、
前記走行経路における前記分岐箇所と前記合流箇所との間に、前記搬送車によって補助的に占有される対象となる補助占有対象地点が設けられ、
前記領域制御装置は、前記搬送車が前記分岐箇所の通過後に前記合流箇所を通過して前記分岐合流領域を通過しようとする場合に、前記占有対象地点及び前記補助占有対象地点の内、前記分岐箇所から分岐すると共に前記搬送車が前記分岐箇所の通過後に走行しようとする走行予定路にある中で前記分岐箇所に最も近い対象地点、及び、前記走行予定路とは異なる側に前記分岐箇所から分岐する非走行予定路にある中で前記分岐箇所に最も近い対象地点を、前記搬送車に占有させる。
【0009】
本構成によれば、領域制御装置は、分岐合流領域を通過しようとする搬送車に対して、互いに分岐箇所から分岐する走行予定路及び非走行予定路のそれぞれにおいて、分岐箇所に最も近い占有対象地点又は補助占有地点を占有させる。これにより、分岐合流領域において搬送車が占有するゾーンを小さくすることができ、他の搬送車が分岐合流領域を通過しようとする場合に当該他の搬送車が占有可能なゾーンを確保し易い。従って、複数の搬送車による分岐合流領域の同時通過を実現し易くすることができる。以上のように、本構成によれば、走行経路が交差するゾーンにおける搬送車の走行の自由度を高くでき、物品搬送設備全体として搬送効率を向上させることが可能となる。
【0010】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図5】複数の搬送車による占有対象地点又は補助占有対象地点の取り合いを示す図
【
図6】搬送車による、占有対象地点又は補助占有対象地点の占有と占有解除とのタイミングを示す図
【
図7】補助占有対象地点において搬送車が停止する場合を示す図
【
図8】補助占有対象地点の占有解除のタイミングを示す図
【
図9】その他の実施形態における、走行経路のレイアウトを示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、物品搬送設備の実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1及び
図2に示すように、物品搬送設備100は、物品を搬送する搬送車1と、搬送車1が走行する走行経路Rと、走行経路Rが分岐する分岐箇所Id及び走行経路Rが合流する合流箇所Ijを含む、予め定められた分岐合流領域Z(
図5参照)において、搬送車1の制御を行う領域制御装置Czと、を備えている。
【0014】
詳細な図示は省略するが、本実施形態では、走行経路Rは、複数の制御領域に区分されている。物品搬送設備100は、制御領域の数に応じた領域制御装置Czを備えている。本実施形態では、各領域制御装置Czは、自らが担当する制御領域において、搬送車1の制御を行うように構成されている。領域制御装置Czが担当する制御領域は、単数であっても複数であってもよい。例えば、1つの領域制御装置Czが、複数の制御領域において搬送車1の制御を行うように構成されていてもよい。
【0015】
本実施形態では、物品搬送設備100は、上位制御装置Ctを備えている。上位制御装置Ctは、複数の領域制御装置Czを制御するように構成されている。搬送車1と複数の領域制御装置Czと上位制御装置Ctとは、互いに通信可能に構成されている。
【0016】
本実施形態では、物品搬送設備100は、搬送車1を複数備えている。複数の搬送車1のそれぞれは、上位制御装置Ctから与えられた搬送指令に基づいて自らのタスクを実行するように構成されている。本例では、搬送車1は、天井付近を走行する天井搬送車として構成されている。但し、搬送車1は、例えば、床面に沿って走行する床面搬送車として構成されていてもよい。
【0017】
物品搬送設備100で取り扱われる物品としては、様々なものがある。例えば、物品搬送設備100が半導体製造工場に用いられる場合には、ウェハを収容するウェハ収容容器(いわゆるFOUP:Front Opening Unified Pod)や、レチクルを収容するレチクル収容容器(いわゆるレチクルポッド)などが、物品とされる。この場合、搬送車1は、ウェハ収容容器やレチクル収容容器などの物品を、走行経路Rに沿って各工程間に亘って搬送する。
【0018】
上位制御装置Ct及び領域制御装置Czは、例えば、マイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ等の周辺回路等を備えている。そして、これらのハードウェアとコンピュータ等のプロセッサ上で実行されるプログラムとの協働により、各処理または各機能が実現される。物品搬送設備100は、これら上位制御装置Ct及び領域制御装置Czを少なくとも含む制御系を備えている。この制御系は、上位制御装置Ct及び領域制御装置Cz以外にも、他の制御装置を含んでいてもよい。なお、上位制御装置Ctと領域制御装置Czとは、同一のハードウェアを用いて実現されるソフトウェアなどであってもよい。
【0019】
上位制御装置Ctは、複数の搬送車1および複数の領域制御装置Czを制御するように構成されている。例えば、上位制御装置Ctは、各搬送車1に対して、物品の搬送元と搬送先とを指定した搬送指令を行うように構成されている。上位制御装置Ctは、各搬送車1と通信可能に構成されており、搬送車1から当該搬送車1の現在位置情報を受け取ることにより、搬送車1の現在位置を把握可能となっている。また、上位制御装置Ctは、各領域制御装置Czと通信可能に構成されており、各領域制御装置Czから各制御領域に関する状況報告(交通状況などの報告)を受けることにより、各制御領域の状況を把握可能となっている。
【0020】
各領域制御装置Czは、自らが担当する制御領域において、当該制御領域を走行する搬送車1の制御を行うように構成されている。領域制御装置Czによる搬送車1の制御は以下のように行われる。
【0021】
図3に示すように、走行経路Rの各所には、搬送車1による占有の対象となる占有対象地点Pが設けられている。
図3には、1つの占有対象地点Pが例示されている。領域制御装置Czは、占有対象地点Pを各搬送車1に選択的に占有させることで、各搬送車1の制御を行うように構成されている。本実施形態では、占有対象地点Pには、当該占有対象地点Pの位置情報を保持する位置情報保持体2が設置されている。搬送車1は、占有対象地点Pの位置情報保持体2を読み取り可能に構成されている。搬送車1は、位置情報保持体2を読み取る読取装置を備えており、位置情報保持体2から位置情報を読み取ることにより、自らの現在位置を把握可能となっている。位置情報保持体2として、1次元コード、2次元コード、無線タグ等が例示される。
【0022】
図3(a)及び(b)に示すように、領域制御装置Czは、搬送車1の要求に応じて、占有対象地点Pを当該搬送車1に占有させる。占有対象地点Pが占有された旨の情報は、領域制御装置Czから搬送車1に送信される。この情報を受信した搬送車1は、自らが占有している占有対象地点Pを通過することが可能となる。一方で、占有対象地点Pを占有している搬送車1以外の他の搬送車1は、原則、当該占有対象地点Pを占有することができない。そのため、他の搬送車1は、占有対象地点Pを通過することができない。
【0023】
図3(c)に示すように、本実施形態では、領域制御装置Czは、搬送車1の要求に応じて、当該搬送車1による占有対象地点Pの占有を解除する。本例では、搬送車1は、自らが占有している占有対象地点Pを通過した以後に、当該占有対象地点Pの占有の解除を領域制御装置Czに要求する。
【0024】
図3(d)に示すように、領域制御装置Czは、占有対象地点Pの占有の解除の要求を搬送車1から受けた場合には、当該占有対象地点Pの占有を解除する。これにより、領域制御装置Czは、他の搬送車1を占有対象地点Pに受け入れ可能な状態となる。なお、領域制御装置Czは、搬送車1の要求により占有対象地点Pの占有を解除した後は、占有対象地点Pの占有を解除した旨を当該搬送車1に対して通知する。
【0025】
領域制御装置Czは、このようにして、搬送車1に占有対象地点Pを占有させると共に他の搬送車1による占有対象地点Pの占有を排斥することにより、自らが担当する制御領域の分岐合流領域Z(
図5参照)において複数の搬送車1を互いに干渉しないように走行させる。詳細は後述する。
【0026】
ここで、
図4の比較例を参照して、分岐合流領域Zにおける制御の課題について説明する。
【0027】
図4は、分岐合流領域Zにおける走行経路Rのレイアウトの一例を示している。分岐合流領域Zは、走行経路Rが分岐する分岐箇所Id及び走行経路Rが合流する合流箇所Ijを含む領域である。
【0028】
分岐合流領域Zには、互いに交差しないように延在する第1経路R1及び第2経路R2と、第1経路R1と第2経路R2とを接続する第1接続経路Rc1と、第1接続経路Rc1とは異なる箇所において第1経路R1と第2経路R2とを接続する第2接続経路Rc2と、が設けられている。
【0029】
第1経路R1における搬送車1の走行方向と、第2経路R2における搬送車1の走行方向とは、互いに反対方向に設定されている。
【0030】
第1接続経路Rc1は、第1分岐箇所Id1(分岐箇所Id)において第1経路R1から分岐している。第1接続経路Rc1は、第2合流箇所Ij2(合流箇所Ij)において第2経路R2に合流している。
【0031】
第2接続経路Rc2は、第2分岐箇所Id2(分岐箇所Id)において第2経路R2から分岐している。第2接続経路Rc2は、第1合流箇所Ij1(合流箇所Ij)において第1経路R1に合流している。
【0032】
少なくとも、合流箇所Ijよりも下流側に、搬送車1による占有の対象となる占有対象地点Pが設けられている。本実施形態では、占有対象地点Pは、分岐箇所Idよりも上流側及び合流箇所Ijよりも下流側のそれぞれに設けられている。
図4に示す例では、第1分岐箇所Id1よりも上流側、第1合流箇所Ij1よりも下流側、第2分岐箇所Id2よりも上流側、及び、第2合流箇所Ij2よりも下流側のそれぞれに、占有対象地点Pが設けられている。なお、「上流側」及び「下流側」は、搬送車1の走行方向を基準として定義される。
【0033】
図4では、搬送車1として、搬送車A、搬送車B、及び搬送車Cが、分岐合流領域Zを走行する場合を例示している。
【0034】
搬送車Aは、第1経路R1から第1接続経路Rc1を通って第2経路R2に向かおうとする場合には、第1接続経路Rc1と第2経路R2とが合流する第2合流箇所Ij2よりも下流側にある占有対象地点Pの占有を、領域制御装置Czに要求する。これは、搬送車Aが、自らが走行しようとする走行予定路Rfを走行するための占有である。
【0035】
これに加えて、搬送車Aは、第1経路R1を直進した場合に通過する占有対象地点P、すなわち本例では、第1合流箇所Ij1よりも下流側にある占有対象地点Pの占有を、領域制御装置Czに要求する。これにより、第1経路R1を直進しようとしている後続の搬送車Bを、少なくとも、第1分岐箇所Id1よりも上流側にある占有対象地点Pで停止させておくことができる。すなわち、先行の搬送車Aによる占有対象地点Pの占有によって後続の搬送車Bは次の行き先が定まらないため、搬送車Bは次に進むことができず停止する。このような構成により、第1経路R1又は第1接続経路Rc1にいる先行の搬送車Aに対して、第1経路R1を直進しようとする後続の搬送車Bが追突することを回避できる。
【0036】
このように、第1経路R1を複数の搬送車A、Bが走行している場合、先行の搬送車Aは、後続の搬送車Bが追突するのを回避するため、自らが走行しようとする走行予定路Rfにある占有対象地点Pに加えて、走行予定路Rfとは異なる側に分岐する非走行予定路Rnにある占有対象地点Pも占有する。
【0037】
上記の場合、搬送車Aが占有している第1合流箇所Ij1の下流側にある占有対象地点Pは、第2経路R2から第2接続経路Rc2を通って第1経路R1に向かおうとする搬送車Cが、走行のために占有すべき占有対象地点Pでもある。しかしながら、この占有対象地点Pは搬送車Aによって占有されているため、搬送車Cは、次に進むことができず停止する。このように、第1接続経路Rc1を走行しようとする搬送車Aと、第2接続経路Rc2を走行しようとする搬送車Cとは、互いに干渉する可能性が低いにもかかわらず、何れかの搬送車1(
図4の例では搬送車A)による占有対象地点Pの占有によって、他方の搬送車1(
図4の例では搬送車C)の走行が妨げられることになる。これが、分岐合流領域Zにおける制御の課題である。
【0038】
図5は、本開示に係る物品搬送設備100での分岐合流領域Zにおける走行経路Rのレイアウトの一例を示している。走行経路Rのレイアウトは、
図4に示すものと同様である。
【0039】
図5に示すように、走行経路Rにおける分岐箇所Idと合流箇所Ijとの間に、搬送車1によって補助的に占有される対象となる補助占有対象地点Psが設けられている。本例では、第1経路R1における第1分岐箇所Id1と第1合流箇所Ij1との間に、少なくとも1つの補助占有対象地点Psが設けられている。また、第2経路R2における第2分岐箇所Id2と第2合流箇所Ij2との間に、少なくとも1つの補助占有対象地点Psが設けられている。第1経路R1及び第2経路R2のそれぞれに、複数の補助占有対象地点Psが設けられていてもよい。占有対象地点Pと補助占有対象地点Psとは、搬送車1による占有対象となる対象地点である。すなわち、対象地点には、占有対象地点Pと補助占有対象地点Psとが含まれる。占有対象地点Pは、搬送車1による占有の対象となる地点であり、補助占有対象地点Psは、搬送車1によって補助的に占有される対象となる地点である。
【0040】
領域制御装置Czは、搬送車1が分岐箇所Idの通過後に合流箇所Ijを通過して分岐合流領域Zを通過しようとする場合に、占有対象地点P及び補助占有対象地点Psの内、分岐箇所Idから分岐すると共に搬送車1が分岐箇所Idの通過後に走行しようとする走行予定路Rfにある中で分岐箇所Idに最も近い対象地点、及び、走行予定路Rfとは異なる側に分岐箇所Idから分岐する非走行予定路Rnにある中で分岐箇所Idに最も近い対象地点を、搬送車1に占有させる。
【0041】
図5に示す例では、領域制御装置Czは、搬送車Aの走行予定路Rfa(搬送車Aにとっての走行予定路Rf)にある占有対象地点P、及び、搬送車Aの非走行予定路Rna(搬送車Aにとっての非走行予定路Rna)にある補助占有対象地点Psの双方を、搬送車Aに占有させる。これにより、搬送車Aへの追突を回避するため後続の搬送車Bを停止させておくことが可能であると共に、第2経路R2から第2接続経路Rc2を通って第1経路R1に向かおうとする搬送車Cのために第1合流箇所Ij1よりも下流側の占有対象地点Pを非占有状態とすることができる。従って、搬送車Cは、搬送車Aによる占有対象地点Pの占有の影響を受けることなく、自らの走行予定経路Rfc(搬送車Cにとっての走行予定路Rf)にある占有対象地点Pを占有することができる。すなわち、本構成により、分岐合流領域Zにおいて搬送車1が占有するゾーンを小さくすることができ、他の搬送車1が分岐合流領域Zを通過しようとする場合に当該他の搬送車1が占有可能なゾーンを確保し易い。従って、複数の搬送車1による分岐合流領域Zの同時通過を実現し易い。
【0042】
本実施形態では、補助占有対象地点Psは、当該補助占有対象地点Psの位置を示す情報として設定されている。本例では、補助占有対象地点Psは、現実には存在せず、マップデータ上のみで存在する要素である。走行経路Rの環境等に起因して配置位置に制約がある占有対象地点Pに比べて、単なる情報として設定される補助占有対象地点Psの配置位置の制約は小さい。従って、配置位置の制約が小さい補助占有対象地点Psを用いることで、分岐合流領域Zにおいて搬送車1が占有するゾーンを小さくすることに寄与し易い。
【0043】
搬送車1は、走行経路Rのマップデータを予め保有しており、或いは、当該マップデータを上位制御装置Ct又は領域制御装置Czから受け取る。従って、搬送車1は、走行経路Rに設定された各補助占有対象地点Psの位置を把握可能となっている。例えば、搬送車1は、特定の占有対象地点Pの位置情報保持体2を読み取ったときの既知の位置からの自らの走行距離、或いは、GPS(Global Positioning System)やビーコンを用いて特定される自らの現在位置に基づいて、補助占有対象地点Psと自らとの相対位置を検出するように構成される。すなわち、搬送車1は、自らの現在位置に基づいて補助占有対象地点Psを認識可能に構成されている。
【0044】
図6に示すように、本実施形態では、搬送車1は、走行予定路Rfに補助占有対象地点Psと占有対象地点Pとがある場合には、自らが通過する順番に、時期をずらして、補助占有対象地点Ps及び占有対象地点Pの占有を領域制御装置Czに要求すると共に、自らが通過した順番に、時期をずらして、補助占有対象地点Ps点及び占有対象地点Pの占有の解除を領域制御装置Czに要求する。本実施形態では、搬送車1は、補助占有対象地点Ps又は占有対象地点Pを通過する毎に、当該通過した補助占有対象地点Ps又は占有対象地点Pの占有の解除を領域制御装置Czに要求する。搬送車1は、補助占有対象地点Ps又は占有対象地点Pの通過以後、好ましくは、通過直後に、当該通過した補助占有対象地点Ps又は占有対象地点Pの占有の解除を領域制御装置Czに要求する。このような構成により、分岐合流領域Zにおいて、搬送車1は、自らの走行に合わせて段階的にゾーンを占有し、また、段階的にゾーンの占有を解除することができる。そのため、分岐合流領域Zにおいて、他の搬送車1が占有可能なゾーンを確保し易くなる。
【0045】
図6は、搬送車Aが、第1経路R1を直進する場合を示している。この場合、搬送車Aの走行予定路Rfaは、第1経路R1である。搬送車Aは、自らの走行予定路Rfaである第1経路R1を走行する場合、まず第1経路R1にある補助占有対象地点Psを通過し、その後、第1合流箇所Ij1よりも下流側にある占有対象地点Pを通過することになる。
【0046】
図6(a)に示すように、搬送車Aは、第1経路R1にある補助占有対象地点Psの占有を領域制御装置Czに要求する。領域制御装置Czは、当該補助占有対象地点Psを搬送車Aに占有させる。なお、搬送車Aは、後続の他の搬送車1が追突するのを回避するため、非走行予定路Rnaにある占有対象地点P(第2合流箇所Ij2よりも下流側にある占有対象地点P)の占有も要求し、領域制御装置Czは当該占有対象地点Pを搬送車Aに占有させている。
【0047】
図6(b)に示すように、搬送車Aは、第1経路R1にある補助占有対象地点Psを通過した以後に当該補助占有対象地点Psの占有の解除を領域制御装置Czに要求する。領域制御装置Czは、当該補助占有対象地点Psの占有を解除する。それ以前に、搬送車Aは、第1合流箇所Ij1よりも下流側にある占有対象地点Pの占有を領域制御装置Czに要求している。領域制御装置Czは、当該占有対象地点Pを搬送車Aに占有させている。詳細な図示は省略するが、搬送車Aは、第1合流箇所Ij1よりも下流側にある占有対象地点Pを通過した以後に当該占有対象地点Pの占有の解除を領域制御装置Czに要求する。領域制御装置Czは、当該占有対象地点Pの占有を解除する。なお、
図6(b)に示す例では、搬送車Aは、第1経路R1にある補助占有対象地点Psを通過した以後に、非走行予定路Rnaにある占有対象地点Pの占有の解除も要求しており、領域制御装置Czは、当該占有対象地点Pの占有を解除している。
【0048】
本実施形態では、搬送車1は、自らが占有している補助占有対象地点Psよりも下流側の占有対象地点Pが他の搬送車1に占有されていない場合には当該補助占有対象地点Psを通過する。
【0049】
図6(b)に示す例では、第1合流箇所Ij1よりも下流側にある占有対象地点Pは、第2経路R2から第2接続経路Rc2を通って第1経路R1に向かおうとする搬送車Cが走行のために占有すべき占有対象地点Pでもある。しかしながら、当該占有対象地点Pは、搬送車Aによって先に占有されており、搬送車Cによっては占有されていない状態である。従って、搬送車Aは、第1経路R1にある補助占有対象地点Psで停止することなく、当該補助占有対象地点Psを通過し、第1合流箇所Ij1よりも下流側にある占有対象地点Pに向けて走行を継続する。
【0050】
本実施形態では、搬送車1は、自らが占有している補助占有対象地点Psよりも下流側の占有対象地点Pが他の搬送車1に占有されている場合には当該補助占有対象地点Psにおいて停止する。
【0051】
図7には、第1接続経路Rc1及び第2接続経路Rc2のそれぞれに、補助占有対象地点Psが設けられている例が示されている。
図7に示す例では、各接続経路Rc1、Rc2に、1つの補助占有対象地点Psが設けられているが、複数の補助占有対象地点Psが設けられていてもよい。
図7に示すように、第2合流箇所Ij2よりも下流側にある占有対象地点Pは、第1経路R1から第1接続経路Rc1を通って第2経路R2に向かおうとする搬送車Aと、第2経路R2を直進しようとする搬送車Cとのそれぞれが、占有すべき占有対象地点Pである。図示の例では、当該占有対象地点Pは、搬送車Cによって先に占有されている。すなわち、搬送車Aは、走行予定路Rfaである第1接続経路Rc1にある補助占有対象地点Psよりも下流側の占有対象地点Pが他の搬送車Cに占有されているため、当該補助占有対象地点Psにおいて停止する。そして、搬送車Aは、搬送車Cによる当該占有対象地点Pの占有が解除された後に、この占有対象地点Pの占有を領域制御装置Czに要求する。搬送車Aは、占有対象地点Pを占有できた場合には、当該占有対象地点Pに向けて走行を開始する。
【0052】
図8には、第1経路R1、第2経路R2、第1接続経路Rc1、及び第2接続経路Rc2のそれぞれに、補助占有対象地点Psが設けられている例が示されている。
図8に示す例では、第1経路R1、第2経路R2、第1接続経路Rc1、及び第2接続経路Rc2のそれぞれに、1つの補助占有対象地点Psが設けられているが、複数の補助占有対象地点Psが設けられていてもよい。
【0053】
本実施形態では、搬送車1は、走行予定路Rfに補助占有対象地点Psと占有対象地点Pとが記載の順に配置され、且つ、非走行予定路Rnに補助占有対象地点Psと占有対象地点Pとが記載の順に配置されている場合には、走行予定路Rfの補助占有対象地点Psの通過以後に、走行予定路Rf及び非走行予定路Rnそれぞれの補助占有対象地点Psの占有の解除を領域制御装置Czに要求する。
【0054】
図8に示す例では、搬送車Aは、第1経路R1から第1接続経路Rc1を通って第2経路R2に走行しようとしている。すなわちこの例において、第1分岐箇所Id1よりも下流側の第1接続経路Rc1と第2経路R2とに亘る部分が、搬送車Aの走行予定路Rfaである。そして、第1分岐箇所Id1よりも下流側の第1経路R1の部分が、搬送車Aの非走行予定路Rnaである。搬送車Aは、自らの走行予定路Rfaに補助占有対象地点Psと占有対象地点Pとが記載の順に配置され、且つ、非走行予定路Rnに補助占有対象地点Psと占有対象地点Pとが記載の順に配置されている場合には、走行予定路Rfaの補助占有対象地点Psの通過以後に、走行予定路Rfa及び非走行予定路Rnaそれぞれの補助占有対象地点Psの占有の解除を領域制御装置Czに要求する。本例では、搬送車Aは、走行予定路Rfaにある補助占有対象地点Psの通過と同時に、又は、通過の直後に、走行予定路Rfaにある補助占有対象地点Ps及び非走行予定路Rnaにある補助占有対象地点Psの占有の解除を領域制御装置Czに要求する。これにより、搬送車Aの非走行予定路Rnaにある補助占有対象地点Psの占有を早期に解除することができ、搬送車Aに後続する搬送車Bが当該非走行予定路Rnaを走行可能な状態を早期に実現することができる。
【0055】
以上説明した物品搬送設備100によれば、分岐合流領域Zにおいて搬送車1が占有するゾーンを小さくすることができ、他の搬送車1が分岐合流領域Zを通過しようとする場合に当該他の搬送車1が占有可能なゾーンを確保し易い。従って、走行経路Rが交差するゾーンにおける搬送車1の走行の自由度を高くでき、物品搬送設備100全体として搬送効率を向上させることが可能となる。
【0056】
〔その他の実施形態〕
次に、その他の実施形態について説明する。
【0057】
(1)上記の実施形態では、分岐合流領域Zには、互いに交差しないように延在する第1経路R1及び第2経路R2と、第1経路R1と第2経路R2とを接続する第1接続経路Rc1と、第1接続経路Rc1とは異なる箇所において第1経路R1と第2経路R2とを接続する第2接続経路Rc2と、が設けられている例について説明した。このような分岐合流領域Zは、例えば
図9に示すように、複数のベイを繋ぐベイ間にも存在し得る。
図9に示す例では、第1経路R1、第2経路R2、第1接続経路Rc1、及び第2接続経路Rc2のそれぞれに、補助占有対象地点Psが設けられている。但し、これに限らず、補助占有対象地点Psが設けられる位置は、走行経路Rにおける分岐箇所Idと合流箇所Ijとの間であれば、任意に設定することができる。
【0058】
(2)上記の実施形態では、補助占有対象地点Psが、当該補助占有対象地点Psの位置を示す情報として設定されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、補助占有対象地点Psには、占有対象地点Pと同様に、当該補助占有対象地点Psの位置情報を保持する位置情報保持体2が設置されていてもよい。
【0059】
(3)上記の実施形態では、搬送車1は、走行予定路Rfに補助占有対象地点Psと占有対象地点Pとがある場合には、自らが通過する順番に、時期をずらして、補助占有対象地点Ps及び占有対象地点Pの占有を領域制御装置Czに要求する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、搬送車1は、補助占有対象地点Ps及び占有対象地点Pの占有を、同時期に領域制御装置Czに要求してもよい。
【0060】
(4)上記の実施形態では、搬送車1は、自らが通過した順番に、時期をずらして、補助占有対象地点Ps点及び占有対象地点Pの占有の解除を領域制御装置Czに要求する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、搬送車1は、補助占有対象地点Ps及び占有対象地点Pの占有の解除を、同時期に領域制御装置Czに要求してもよい。
【0061】
(5)上記の実施形態では、搬送車1は、走行予定路Rfの補助占有対象地点Psの通過以後に、走行予定路Rf及び非走行予定路Rnそれぞれの補助占有対象地点Psの占有の解除を領域制御装置Czに要求する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、搬送車1は、走行予定路Rfの補助占有対象地点Psを通過する前に、非走行予定路Rnの補助占有対象地点Psの占有の解除を領域制御装置Czに要求してもよい。この場合、搬送車1が占有の解除を要求するタイミングは、当該搬送車1に後続する他の搬送車1が追突することを回避可能なタイミングであるとよい。具体的には、搬送車1とこれに後続する他の搬送車1との車間距離が十分に開いたタイミングで、搬送車1は占有の解除を要求するとよい。
【0062】
(6)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0063】
〔本実施形態のまとめ〕
以下、本実施形態のまとめについて説明する。
【0064】
物品を搬送する搬送車と、
前記搬送車が走行する走行経路と、
前記走行経路が分岐する分岐箇所及び前記走行経路が合流する合流箇所を含む、予め定められた分岐合流領域において、前記搬送車の制御を行う領域制御装置と、を備えた物品搬送設備であって、
少なくとも、前記合流箇所よりも下流側に、前記搬送車による占有の対象となる占有対象地点が設けられ、
前記走行経路における前記分岐箇所と前記合流箇所との間に、前記搬送車によって補助的に占有される対象となる補助占有対象地点が設けられ、
前記領域制御装置は、前記搬送車が前記分岐箇所の通過後に前記合流箇所を通過して前記分岐合流領域を通過しようとする場合に、前記占有対象地点及び前記補助占有対象地点の内、前記分岐箇所から分岐すると共に前記搬送車が前記分岐箇所の通過後に走行しようとする走行予定路にある中で前記分岐箇所に最も近い対象地点、及び、前記走行予定路とは異なる側に前記分岐箇所から分岐する非走行予定路にある中で前記分岐箇所に最も近い対象地点を、前記搬送車に占有させる。
【0065】
本構成によれば、領域制御装置は、分岐合流領域を通過しようとする搬送車に対して、互いに分岐箇所から分岐する走行予定路及び非走行予定路のそれぞれにおいて、分岐箇所に最も近い占有対象地点又は補助占有地点を占有させる。これにより、分岐合流領域において搬送車が占有するゾーンを小さくすることができ、他の搬送車が分岐合流領域を通過しようとする場合に当該他の搬送車が占有可能なゾーンを確保し易い。従って、複数の搬送車による分岐合流領域の同時通過を実現し易くすることができる。以上のように、本構成によれば、走行経路が交差するゾーンにおける搬送車の走行の自由度を高くでき、物品搬送設備全体として搬送効率を向上させることが可能となる。
【0066】
前記占有対象地点には、当該占有対象地点の位置情報を保持する位置情報保持体が設置され、
前記補助占有対象地点は、当該補助占有対象地点の位置を示す情報として設定され、
前記搬送車は、前記占有対象地点の前記位置情報保持体を読み取り可能に構成されると共に、自らの現在位置に基づいて前記補助占有対象地点を認識可能に構成されている、と好適である。
【0067】
本構成によれば、補助占有対象地点が、当該補助占有対象地点の位置を示す情報として設定されている。これにより、補助占有地点を、例えば、現実には存在せず、マップデータ上のみで存在する要素とすることができる。走行経路の環境等に起因して配置位置に制約がある占有対象地点に比べて、単なる情報として設定される補助占有地点の配置位置の制約は小さい。従って、配置位置の制約が小さい補助占有地点を用いることで、分岐合流領域において搬送車が占有するゾーンを小さくすることに寄与し易い。
【0068】
前記搬送車は、前記走行予定路に前記補助占有対象地点と前記占有対象地点とがある場合には、自らが通過する順番に、前記補助占有対象地点及び前記占有対象地点の占有を前記領域制御装置に要求すると共に、自らが通過した順番に、前記補助占有対象地点及び前記占有対象地点の占有の解除を前記領域制御装置に要求する、と好適である。
【0069】
本構成によれば、分岐合流領域において、搬送車は、自らの走行に合わせて段階的にゾーンを占有し、また、段階的にゾーンの占有を解除することができる。従って、他の搬送車が占有可能なゾーンを確保し易い。
【0070】
前記搬送車は、前記走行予定路に前記補助占有対象地点と前記占有対象地点とが記載の順に配置され、且つ、前記非走行予定路に前記補助占有対象地点と前記占有対象地点とが記載の順に配置されている場合には、前記走行予定路の前記補助占有対象地点の通過以後に、前記走行予定路及び前記非走行予定路それぞれの前記補助占有対象地点の占有の解除を前記領域制御装置に要求する、と好適である。
【0071】
本構成によれば、搬送車の非走行予定路にある補助占有対象地点の占有を早期に解除することができ、当該非走行予定路を他の搬送車が走行可能な状態を早期に実現することができる。
【0072】
前記搬送車は、自らが占有している前記補助占有対象地点よりも下流側の前記占有対象地点が他の搬送車に占有されている場合には当該補助占有対象地点において停止する、と好適である。
【0073】
本構成によれば、搬送車は、自らの走行予定路の先を走行しようとする他の搬送車の存否にかかわらず、自らの走行予定路にある補助占有対象地点まで進んでおくことができる。従って、本構成によれば、複数の搬送車による分岐合流領域の走行を円滑にし易い。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本開示に係る技術は、物品を搬送する搬送車と、前記搬送車が走行する走行経路と、予め定められた分岐合流領域において前記搬送車の制御を行う領域制御装置と、を備えた物品搬送設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0075】
100 :物品搬送設備
1 :搬送車
2 :位置情報保持体
Cz :領域制御装置
R :走行経路
Z :分岐合流領域
Id :分岐箇所
Ij :合流箇所
P :占有対象地点
Ps :補助占有対象地点
Rf :走行予定路
Rn :非走行予定路