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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168961
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】発電装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/116 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
H02K7/116
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086056
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】磯野 宏
【テーマコード(参考)】
5H607
【Fターム(参考)】
5H607BB02
5H607BB05
5H607BB14
5H607CC09
5H607DD03
5H607DD08
5H607DD19
5H607EE05
5H607EE07
5H607EE24
5H607EE31
5H607FF21
5H607FF26
5H607FF27
5H607FF29
5H607FF30
5H607GG01
5H607GG08
5H607JJ05
(57)【要約】
【課題】設置面積を小さく抑え易く、設置作業の簡易化を図り易い発電装置を提供する。
【解決手段】発電装置100は、柱状の支持部材1と、当該支持部材1を径方向R1の外側から囲む筒状に形成されていると共に、支持部材1に対して回転自在に支持され、駆動力源からの駆動力によって回転する筒状回転部材2と、当該筒状回転部材2と一体的に回転する第1ギヤ31と、支持部材1の軸心である第1軸心X1に交差する方向に沿う第2軸心X2回りに回転自在に支持され、第1ギヤ31に噛み合う第2ギヤ32と、発電機4と、第2ギヤ32の回転を増速して発電機4に伝達する増速機5と、第1ギヤ31、第2ギヤ32、及び増速機5を収容するケース9と、を備え、発電機4は、ケース9に支持され、ケース9は、支持部材1が貫通する第1貫通孔9aと、支持部材1及び筒状回転部材2が貫通する第2貫通孔9bと、を備え、支持部材1に支持されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状の支持部材と、
前記支持部材の軸心である第1軸心に直交する方向を径方向として、前記支持部材を前記径方向の外側から囲む筒状に形成されていると共に、前記支持部材に対して回転自在に支持され、駆動力源からの駆動力によって回転する筒状回転部材と、
前記筒状回転部材と一体的に回転する第1ギヤと、
前記第1軸心に交差する方向に沿う第2軸心回りに回転自在に支持され、前記第1ギヤに噛み合う第2ギヤと、
発電機と、
前記第2ギヤの回転を増速して前記発電機に伝達する増速機と、
前記第1ギヤ、前記第2ギヤ、及び前記増速機を収容するケースと、を備え、
前記発電機は、前記ケースに支持され、
前記ケースは、前記支持部材が貫通する第1貫通孔と、前記支持部材及び前記筒状回転部材が貫通する第2貫通孔と、を備え、前記支持部材に支持されている、発電装置。
【請求項2】
前記第1軸心に沿う方向を第1軸方向として、前記支持部材は、前記第1軸方向の一方側である第1側を向く段差面を備え、
前記ケースにおける前記第1貫通孔を形成する部分は、前記段差面に対して前記第1側から接するように配置され、
前記支持部材は、前記第1貫通孔に嵌合し、
前記第2貫通孔の内周面と、前記筒状回転部材の外周面との前記径方向の間に、軸受が配置されている、請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記発電機を制御するインバータを更に備え、
前記発電機は、前記第2軸心上に配置されたロータを備え、
前記増速機は、前記第2軸心上に配置されて前記第2ギヤからの駆動力が伝達される第3ギヤと、前記ロータと一体的に回転する第4ギヤと、前記第3ギヤに噛み合う第5ギヤと、前記第5ギヤと一体的に回転すると共に前記第4ギヤに噛み合う第6ギヤと、を備え、
前記第2軸心に沿う方向を第2軸方向として、前記インバータが前記第2軸方向に沿う第2軸方向視で前記第6ギヤと重複するように配置されている、請求項1又は2に記載の発電装置。
【請求項4】
前記第2軸心上における前記支持部材を挟んで前記第2ギヤとは反対側に配置され、前記第2軸心回りに回転自在に支持されて、前記第1ギヤに噛み合う第7ギヤと、
前記第2ギヤ及び前記第7ギヤを貫通するように配置され、前記増速機に駆動連結された伝動軸と、
第1ワンウェイクラッチと、
第2ワンウェイクラッチと、を更に備え、
前記第2軸心回りの回転の向きのうちの一方側を第1回転側、他方側を第2回転側として、
前記第1ワンウェイクラッチは、前記第2ギヤと前記伝動軸との間に配置され、前記伝動軸に対する前記第2ギヤの前記第1回転側の相対回転を許容し、前記第2回転側の相対回転を規制し、
前記第2ワンウェイクラッチは、前記第7ギヤと前記伝動軸との間に配置され、前記伝動軸に対する前記第7ギヤの前記第1回転側の相対回転を許容し、前記第2回転側の相対回転を規制する、請求項1又は2に記載の発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、支持部材(6)と、当該支持部材(6)に対して回転自在に支持され、駆動力源(8)からの駆動力によって回転する回転部材(2)と、当該回転部材(2)と一体的に回転するロータを有する発電機(3)と、を備えた発電装置(1)が開示されている。なお、背景技術の説明において括弧内に示す符号は、特許文献1のものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-53304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発電装置(1)では、発電機(3)が地面に設置され、発電機(3)から上方に回転部材(2)が延在している。そして、支持部材(6)が、回転部材(2)及び発電機(3)の周囲を囲む枠状に形成されている。
【0005】
このような構成では、発電装置(1)の設置面積を大きく確保する必要がある。また、支持部材(6)の内側に回転部材(2)及び発電機(3)が配置されているため、発電装置(1)の設置作業が煩雑になり易い。
【0006】
そこで、設置面積を小さく抑え易く、設置作業の簡易化を図り易い発電装置の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑みた、発電装置の特徴構成は、
柱状の支持部材と、
前記支持部材の軸心である第1軸心に直交する方向を径方向として、前記支持部材を前記径方向の外側から囲む筒状に形成されていると共に、前記支持部材に対して回転自在に支持され、駆動力源からの駆動力によって回転する筒状回転部材と、
前記筒状回転部材と一体的に回転する第1ギヤと、
前記第1軸心に交差する方向に沿う第2軸心回りに回転自在に支持され、前記第1ギヤに噛み合う第2ギヤと、
発電機と、
前記第2ギヤの回転を増速して前記発電機に伝達する増速機と、
前記第1ギヤ、前記第2ギヤ、及び前記増速機を収容するケースと、を備え、
前記発電機は、前記ケースに支持され、
前記ケースは、前記支持部材が貫通する第1貫通孔と、前記支持部材及び前記筒状回転部材が貫通する第2貫通孔と、を備え、前記支持部材に支持されている点にある。
【0008】
この特徴構成によれば、第1ギヤ、第2ギヤ、及び増速機がケースに収容されていると共に、発電機がケースに支持されている。そして、柱状の支持部材にケースが支持されている。これにより、第1ギヤ、第2ギヤ、及び増速機、並びに発電機を支持するための部材を支持部材とは別に設ける必要がないため、発電装置の設置面積を小さく抑え易い。
また、ケースを支持部材に対して取り付けることで、第1ギヤ、第2ギヤ、及び増速機、並びに発電機を支持部材に対して支持させることができる。これにより、発電装置の設置作業の簡易化を図り易い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る発電装置の断面図
図2】第1の実施形態に係る発電装置のスケルトン図
図3】ブレーキの断面図
図4】第2の実施形態に係る発電装置の断面図
図5】第2の実施形態に係る発電装置のスケルトン図
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.第1の実施形態
以下では、第1の実施形態に係る発電装置100について、図1から図3を参照して説明する。
【0011】
図1及び図2に示すように、発電装置100は、支持部材1と、筒状回転部材2と、第1ギヤ31と、第2ギヤ32と、発電機4と、増速機5と、ケース9(図1参照)と、を備えている。
【0012】
支持部材1は、柱状(例えば、円柱状、角柱状等)に形成されている。本実施形態では、支持部材1は、円柱状に形成されている。以下の説明では、支持部材1の軸心である第1軸心X1に直交する方向を「第1径方向R1」とする。また、第1軸心X1に沿う方向を「第1軸方向L1」とする。そして、第1軸方向L1の一方側を「第1側L11」とし、第1軸方向L1の他方側を「第2側L12」とする。なお、本実施形態では、第1軸方向L1は、鉛直方向である。そして、第1側L11が鉛直方向の上側であり、第2側L12が鉛直方向の下側である。本実施形態では、第1径方向R1が「径方向」に相当する。
【0013】
支持部材1の第2側L12の端部は、所定の箇所(例えば、地面、海底等)に固定されている。
【0014】
筒状回転部材2は、支持部材1を第1径方向R1の外側から囲む筒状に形成されている。本実施形態では、筒状回転部材2は、第1軸心X1を軸心とする筒状に形成されている。つまり、本実施形態では、筒状回転部材2は、支持部材1と同軸上に配置されている。また、本実施形態では、筒状回転部材2は、当該筒状回転部材2の第1側L11及び第2側L12の双方の端部が開放した筒状に形成されている。なお、筒状回転部材2は、当該筒状回転部材2の第1側L11及び第2側L12のいずれか一方の端部が閉塞した筒状(有底筒状)に形成されていても良い。
【0015】
筒状回転部材2は、支持部材1に対して回転自在に支持されている。本実施形態では、筒状回転部材2は、当該筒状回転部材2の内周面と支持部材1の外周面との第1径方向R1の間に配置された第2軸受B2を介して、支持部材1に対して回転自在に支持されている。第2軸受B2は、支持部材1に対して、筒状回転部材2を回転自在に第1径方向R1に支持するラジアル軸受である。
【0016】
また、筒状回転部材2は、駆動力源D(図2参照)からの駆動力によって回転する。駆動力源Dは、流体の運動エネルギーを回転エネルギーに変換するように構成されている。例えば、駆動力源Dとして、風力タービン、水力タービン、蒸気タービン、ガスタービン等を用いることができる。つまり、発電装置100は、風力発電、水力発電、火力発電等に用いることができる。
【0017】
第1ギヤ31は、筒状回転部材2と一体的に回転するギヤである。本実施形態では、第1ギヤ31は、筒状回転部材2の外周面から第1径方向R1の外側に突出した状態で、筒状回転部材2に連結されている。また、第1ギヤ31は、第1軸心X1回りに回転自在に支持されている。
【0018】
第2ギヤ32は、第1ギヤ31に噛み合うギヤである。本実施形態では、第2ギヤ32は、第1ギヤ31よりも小径に形成されている。そのため、本実施形態では、第1ギヤ31に伝達された回転は、第1ギヤ31と第2ギヤ32との間で増速される。
【0019】
第2ギヤ32は、第1軸心X1に交差する方向に沿う第2軸心X2回りに回転自在に支持されている。つまり、第2ギヤ32及び第1ギヤ31は、傘歯車、ねじ歯車等である。本実施形態では、第2軸心X2は、第1軸心X1に直交するように配置されている。以下の説明では、第2軸心X2に直交する方向を「第2径方向R2」とする。また、第2軸心X2に沿う方向を「第2軸方向L2」とする。そして、第2軸方向L2の一方側を「第3側L21」とし、第2軸方向L2の他方側を「第4側L22」とする。
【0020】
発電機4は、筒状回転部材2の側から伝達される駆動力により発電を行うように構成されている。発電機4は、ケース9に支持されている。
【0021】
本実施形態では、発電機4は、ステータ41及びロータ42を備えた回転電機である。回転電機は、バッテリやキャパシタ等の蓄電装置(図示を省略)との間で電力の授受を行うように、当該蓄電装置と電気的に接続されている。回転電機は、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能とを有している。そのため、本実施形態では、発電機4は、筒状回転部材2の側から伝達される駆動力により発電を行うことに加えて、発電装置100の起動時等に、蓄電装置から電力の供給を受けて力行し、駆動力源Dに駆動力を伝達することも行う。
【0022】
ステータ41及びロータ42は、第2軸心X2上に配置されている。ステータ41は、非回転部材(ここでは、ケース9)に固定されている。ロータ42は、ステータ41に対して回転自在に支持されている。本実施形態では、ロータ42は、ステータ41に対して第2径方向R2の内側に配置されている。
【0023】
本実施形態では、ロータ42は、ロータ軸43と一体的に回転するように連結されている。ロータ軸43は、第2軸心X2上に配置されている。ロータ軸43は、第2軸方向L2に沿って延在するように形成されている。
【0024】
増速機5は、第2ギヤ32の回転を増速して発電機4に伝達するように構成されている。本実施形態では、増速機5は、第3ギヤ51と、第4ギヤ52と、第5ギヤ53と、第6ギヤ54と、を備えている。
【0025】
第3ギヤ51は、第2ギヤ32からの駆動力が伝達されるギヤである。第3ギヤ51は、第2軸心X2上に配置されている。本実施形態では、第3ギヤ51は、第2ギヤ32と一体的に回転するように連結されている。
【0026】
第4ギヤ52は、発電機4のロータ42と一体的に回転するギヤである。本実施形態では、第4ギヤ52は、第2軸心X2上に配置されている。そして、第4ギヤ52は、ロータ軸43と一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、第4ギヤ52は、第3ギヤ51よりも小径に形成されている。また、第4ギヤ52は、ロータ42よりも第3側L21であって、第3ギヤ51よりも第4側L22に配置されている。
【0027】
第5ギヤ53は、第3ギヤ51に噛み合うギヤである。本実施形態では、第5ギヤ53は、第3ギヤ51よりも小径に形成されている。また、第5ギヤ53は、第1軸心X1及び第2軸心X2とは異なる第3軸心X3上に配置されている。本実施形態では、第3軸心X3は、第2軸心X2に対して平行に配置されている。
【0028】
第6ギヤ54は、第4ギヤ52に噛み合うギヤである。第6ギヤ54は、第5ギヤ53と一体的に回転するように連結されている。第6ギヤ54は、第3軸心X3上に配置されている。本実施形態では、第6ギヤ54は、第4ギヤ52及び第5ギヤ53よりも大径に形成されている。
【0029】
第5ギヤ53の歯数は、第3ギヤ51の歯数よりも少ない。そして、第4ギヤ52の歯数は、第5ギヤ53と一体的に回転する第6ギヤ54の歯数よりも少ない。そのため、第2ギヤ32から第3ギヤ51に伝達された回転は、第3ギヤ51と第5ギヤ53との間で増速されて、第6ギヤ54に伝達される。そして、第6ギヤ54の回転は、第6ギヤ54と第4ギヤ52との間で増速されて、ロータ42に伝達される。
【0030】
図1に示すように、ケース9は、第1ギヤ31、第2ギヤ32、及び増速機5を収容するように形成されている。本実施形態では、ケース9は、第1ギヤ31及び第2ギヤ32を収容する第1収容部91と、増速機5を収容する第2収容部92と、発電機4を収容する第3収容部93と、を備えている。
【0031】
ケース9は、第1貫通孔9aと、第2貫通孔9bと、を備えている。第1貫通孔9aは、支持部材1が貫通する貫通孔である。第1貫通孔9aは、第1軸心X1上に配置されている。第2貫通孔9bは、支持部材1及び筒状回転部材2が貫通する貫通孔である。本実施形態では、第2貫通孔9bは、第1軸心X1上に配置されている。つまり、本実施形態では、第2貫通孔9bは、第1貫通孔9aと同軸上に配置されている。
【0032】
本実施形態では、第1収容部91は、第1径方向R1に沿って延在するように形成された、第1壁部911及び第2壁部912を備えている。第1壁部911は、ケース9における第1貫通孔9aを形成する部分である第1貫通孔形成部913を備えている。第2壁部912は、ケース9における第2貫通孔9bを形成する部分である第2貫通孔形成部914を備えている。本実施形態では、第1壁部911は、第2壁部912よりも第2側L12に配置されている。そのため、本実施形態では、第1貫通孔9aは、第2貫通孔9bよりも第2側L12に配置されている。
【0033】
本実施形態では、筒状回転部材2は、第2貫通孔9bから第1側L11に突出するように配置されている。そして、筒状回転部材2の第1側L11の端部に、駆動力源Dが連結されている(図2参照)。
【0034】
本実施形態では、支持部材1は、第1側L11を向く段差面1aを備えている。そして、第1貫通孔形成部913が、段差面1aに対して第1側L11から接するように配置されている。
【0035】
本実施形態では、支持部材1は、第1貫通孔9aに嵌合している。つまり、本実施形態では、支持部材1の外周面と第1貫通孔9aの内周面とが互いに密着するように形成されている。このように、ケース9は、支持部材1に支持されている。
【0036】
本実施形態では、第2貫通孔9bの内周面と、筒状回転部材2の外周面との第1径方向R1の間に、第1軸受B1が配置されている。第1軸受B1は、ケース9の第2貫通孔形成部914に対して、筒状回転部材2を回転自在に第1径方向R1に支持するラジアル軸受である。本実施形態では、第1軸受B1が「軸受」に相当する。
【0037】
また、本実施形態では、第1軸受B1に対して第1側L11に、第2貫通孔9bの内周面と筒状回転部材2の外周面との間を密閉するシール部材Sが設けられている。
【0038】
本実施形態では、筒状回転部材2の第2側L12を向く面と、ケース9の第1貫通孔形成部913の第1側L11を向く面との第1軸方向L1の間に、第3軸受B3が配置されている。第3軸受B3は、ケース9の第1貫通孔形成部913に対して、筒状回転部材2を回転自在に第1軸方向L1に支持するスラスト軸受である。
【0039】
以上のように、発電装置100は、
柱状の支持部材1と、
支持部材1を第1径方向R1の外側から囲む筒状に形成されていると共に、支持部材1に対して回転自在に支持され、駆動力源Dからの駆動力によって回転する筒状回転部材2と、
筒状回転部材2と一体的に回転する第1ギヤ31と、
支持部材1の軸心である第1軸心X1に交差する方向に沿う第2軸心X2回りに回転自在に支持され、第1ギヤ31に噛み合う第2ギヤ32と、
発電機4と、
第2ギヤ32の回転を増速して発電機4に伝達する増速機5と、
第1ギヤ31、第2ギヤ32、及び増速機5を収容するケース9と、を備え、
発電機4は、ケース9に支持され、
ケース9は、支持部材1が貫通する第1貫通孔9aと、支持部材1及び筒状回転部材2が貫通する第2貫通孔9bと、を備え、支持部材1に支持されている。
【0040】
この構成によれば、第1ギヤ31、第2ギヤ32、及び増速機5がケース9に収容されていると共に、発電機4がケース9に支持されている。そして、柱状の支持部材1にケース9が支持されている。これにより、第1ギヤ31、第2ギヤ32、及び増速機5、並びに発電機4を支持するための部材を支持部材1とは別に設ける必要がないため、発電装置100の設置面積を小さく抑え易い。
また、ケース9を支持部材1に対して取り付けることで、第1ギヤ31、第2ギヤ32、及び増速機5、並びに発電機4を支持部材1に対して支持させることができる。これにより、発電装置100の設置作業の簡易化を図り易い。
【0041】
また、本実施形態では、支持部材1は、第1軸方向L1の一方側である第1側L11を向く段差面1aを備え、
ケース9における第1貫通孔9aを形成する部分は、段差面1aに対して第1側L11から接するように配置され、
支持部材1は、第1貫通孔9aに嵌合し、
第2貫通孔9bの内周面と、筒状回転部材2の外周面との第1径方向R1の間に、第1軸受B1が配置されている。
【0042】
この構成によれば、柱状の支持部材1がケース9の第1貫通孔9a及び第2貫通孔9bを貫通した状態で、ケース9、及び当該ケース9に支持された発電機4を支持部材1によって適切に支持することができる。
また、本構成によれば、筒状回転部材2がケース9の第2貫通孔9bを貫通した状態で、支持部材1及びケース9によって筒状回転部材2を回転自在に支持することができる。
【0043】
図1に示すように、本実施形態では、発電装置100は、発電機4を制御するインバータ10を更に備えている。インバータ10は、第2軸方向L2に沿う第2軸方向視で、第6ギヤ54と重複するように配置されている。本実施形態では、インバータ10は、第2軸方向L2に沿う第2軸方向視で、第6ギヤ54に加えて、第5ギヤ53とも重複するように配置されている。また、インバータ10は、第2径方向R2に沿う第2径方向視で、ステータ41及びロータ42の双方と重複するように配置されている。ここで、2つの要素の配置に関して、「特定方向視で重複する」とは、その視線方向に平行な仮想直線を当該仮想直線と直交する各方向に移動させた場合に、当該仮想直線が2つの要素の双方に交わる領域が少なくとも一部に存在することを指す。
【0044】
このように、本実施形態では、発電装置100は、発電機4を制御するインバータ10を更に備え、
発電機4は、第2軸心X2上に配置されたロータ42を備え、
増速機5は、第2軸心X2上に配置されて第2ギヤ32からの駆動力が伝達される第3ギヤ51と、ロータ42と一体的に回転する第4ギヤ52と、第3ギヤ51に噛み合う第5ギヤ53と、第5ギヤ53と一体的に回転すると共に第4ギヤ52に噛み合う第6ギヤ54と、を備え、
インバータ10が第2軸方向L2に沿う第2軸方向視で第6ギヤ54と重複するように配置されている。
【0045】
この構成によれば、発電機4のロータ42と第2ギヤ32とが同軸上に配置されている。これにより、発電機4のロータ42と第2ギヤ32とが別軸上に配置された構成に比べて、軸数を少なく抑えることができるため、発電装置100の小型化を図り易い。
また、本構成によれば、インバータ10が、第2軸心X2とは別軸上に配置された第6ギヤ54と第2軸方向視で重複するように配置されている。これにより、インバータ10が第6ギヤ54と第2軸方向視で重複しないように配置された構成に比べて、発電装置100の小型化を図り易い。
【0046】
図1に示すように、本実施形態では、発電装置100は、ロータ42の回転を減速させるためのブレーキ6を更に備えている。ブレーキ6は、摩擦係合式の係合装置である。ここで、摩擦係合式の係合装置は、一対の摩擦係合部材の係合圧に応じて、係合の状態(係合状態/解放状態)を制御可能に構成されている。摩擦係合式の係合装置において、係合状態は、「直結係合状態」と「スリップ係合状態」とを含む。直結係合状態は、一対の摩擦係合部材が差回転なく係合している状態である。また、スリップ係合状態は、一対の摩擦係合部材が差回転を有して係合している状態である。
【0047】
図3に示すように、ブレーキ6は、第1摩擦係合部材61と、第2摩擦係合部材62と、第1支持部材63と、第2支持部材64と、押圧装置65と、を備えている。
【0048】
第1摩擦係合部材61と第2摩擦係合部材62とは、第2軸心X2上に配置されている。第1摩擦係合部材61と第2摩擦係合部材62とは、互いに第2軸方向L2に対向するように配置されている。本実施形態では、第1摩擦係合部材61及び第2摩擦係合部材62は、複数枚ずつ設けられており、これらが第2軸方向L2に沿って交互に配置されている。第1摩擦係合部材61及び第2摩擦係合部材62は、いずれか一方をフリクションプレートとし、他方をセパレートプレートとすることができる。
【0049】
第1支持部材63は、第1摩擦係合部材61の相対回転を規制した状態で、第1摩擦係合部材61を支持する部材である。本実施形態では、第1支持部材63は、第2軸心X2を軸心とする筒状に形成されている。そして、第1支持部材63は、第1摩擦係合部材61の外周部を支持している。
【0050】
第1支持部材63は、ロータ42と一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、第1支持部材63は、連結軸631を介して、ロータ軸43と一体的に回転するように連結されている。連結軸631は、第2軸心X2上に配置されている。連結軸631は、第2軸方向L2に沿って延在するように形成されている。
【0051】
第2支持部材64は、第2摩擦係合部材62の相対回転を規制した状態で、第2摩擦係合部材62を支持する部材である。第2支持部材64は、ケース9に固定されている。本実施形態では、第2支持部材64は、第2軸心X2を軸心とする筒状に形成されている。そして、第2支持部材64は、第2摩擦係合部材62の内周部を支持している。また、本実施形態では、第2支持部材64は、ケース9が備える支持壁部94に固定されている。支持壁部94は、第2径方向R2に沿って延在するように形成されている。そして、支持壁部94は、第1摩擦係合部材61及び第2摩擦係合部材62を第4側L22から覆うように配置されている。図3に示す例では、第2支持部材64は、支持壁部94から第3側L21に突出するように、支持壁部94と一体的に形成されている。
【0052】
押圧装置65は、第1摩擦係合部材61及び第2摩擦係合部材62を第2軸方向L2に押圧する装置である。本実施形態では、押圧装置65は、第1摩擦係合部材61及び第2摩擦係合部材62に押圧力を作用させる押圧部材66と、駆動モータ67と、当該駆動モータ67の回転駆動力を第2軸方向L2の駆動力に変換して押圧部材66に伝達するねじ式の直動変換機構68と、を備えている。
【0053】
押圧部材66は、第2軸方向L2に沿う第2軸方向視で、第1摩擦係合部材61及び第2摩擦係合部材62と重複する位置に配置されている。本実施形態では、押圧部材66は、第1支持部材63に対して第2径方向R2の内側であって、連結軸631に対して第4側L22に配置されている。また、本実施形態では、押圧部材66は、第2径方向R2に沿って延在する板状に形成されている。
【0054】
駆動モータ67は、押圧部材66を駆動するための回転駆動力を発生させるモータである。本実施形態では、駆動モータ67は、第1支持部材63に対して第2径方向R2の外側であって、第2径方向R2に沿う第2径方向視で第1支持部材63と重複する位置に配置されている。
【0055】
本実施形態では、直動変換機構68は、ねじ軸部材681と、ナット部材682と、連結部材683と、減速機構69と、を備えている。
【0056】
ねじ軸部材681は、第2軸方向L2に沿って延在するように形成されている。ナット部材682は、ねじ軸部材681を第2径方向R2の外側から覆う環状に形成されている。ねじ軸部材681とナット部材682とは、互いに螺合するように構成されている。具体的には、ねじ軸部材681の外周部には、雄ねじが形成され、ナット部材682の内周部には、ねじ軸部材681の雄ねじに螺合する雌ねじが形成されている。そのため、ナット部材682は、ねじ軸部材681が回転することにより、当該回転方向と雄ねじ及び雌ねじの向きとに応じて第2軸方向L2に沿う直線運動を行う。本実施形態では、ねじ軸部材681及びナット部材682は、第2軸心X2上に配置されている。
【0057】
ナット部材682は、ケース9に対して相対回転不能であって第2軸方向L2に移動自在に支持されている。本実施形態では、ナット部材682は、ケース9に固定された第2支持部材64に対して第2径方向R2の内側に配置されている。そして、ナット部材682は、当該ナット部材682と第2支持部材64との第2径方向R2の間に配置された環状の回り止め部材68aを介して、第2支持部材64に対して相対回転不能であって第2軸方向L2に相対移動自在に連結されている。図3に示す例では、ナット部材682の外周部には、第2軸方向L2に延在する複数のスプライン歯が周方向に分散して形成されている。そして、回り止め部材68aの内周部には、ナット部材682の外周部に形成された複数のスプライン歯に係合する複数のスプライン歯が、第2軸方向L2に延在するように周方向に分散して形成されている。また、第2支持部材64の内周部には、第2軸方向L2に延在する複数のスプライン歯が周方向に分散して形成されている。そして、回り止め部材68aの外周部には、第2支持部材64の内周部に形成された複数のスプライン歯に係合する複数のスプライン歯が、第2軸方向L2に延在するように周方向に分散して形成されている。
【0058】
また、ナット部材682は、押圧部材66と一体的に第2軸方向L2に移動するように連結されている。図3に示す例では、ナット部材682は、押圧部材66と一体的に形成されている。そのため、ねじ軸部材681の回転に伴い、ナット部材682を介して押圧部材66が第2軸方向L2に移動する。
【0059】
連結部材683は、ねじ軸部材681と減速機構69とを連結している。本実施形態では、連結部材683は、ねじ軸部材681から第4側L22に延在する筒状に形成されている。
【0060】
減速機構69は、駆動モータ67の回転を減速するように構成されている。本実施形態では、減速機構69は、第1減速ギヤ691と、第2減速ギヤ692と、第3減速ギヤ693と、第4減速ギヤ694と、を備えている。
【0061】
第1減速ギヤ691は、駆動モータ67の出力軸と一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、第1減速ギヤ691は、駆動モータ67に対して第4側L22に配置されている。
【0062】
第2減速ギヤ692は、第1減速ギヤ691に噛み合っている。第2減速ギヤ692は、第1減速ギヤ691よりも大径に形成されている。
【0063】
第3減速ギヤ693は、第2減速ギヤ692と一体的に回転するように連結されている。第3減速ギヤ693は、第2減速ギヤ692よりも小径に形成されている。本実施形態では、第3減速ギヤ693は、第2減速ギヤ692に対して第3側L21に配置されている。
【0064】
第4減速ギヤ694は、第3減速ギヤ693に噛み合っている。第4減速ギヤ694は、第3減速ギヤ693よりも大径に形成されている。本実施形態では、第4減速ギヤ694は、第2軸心X2上に配置されている。
【0065】
第2減速ギヤ692の歯数は、第1減速ギヤ691の歯数よりも多い。そして、第4減速ギヤ694の歯数は、第2減速ギヤ692と一体的に回転する第3減速ギヤ693の歯数よりも多い。そのため、駆動モータ67から第1減速ギヤ691に伝達された回転は、第1減速ギヤ691と第2減速ギヤ692との間で減速されて、第3減速ギヤ693に伝達される。そして、第3減速ギヤ693の回転は、第3減速ギヤ693と第4減速ギヤ694との間で減速される。
【0066】
本実施形態では、連結部材683は、ねじ軸部材681と第4減速ギヤ694とを連結している。具体的には、第4減速ギヤ694から第3側L21に延在するギヤ連結部695が、連結部材683に対して第2径方向R2の内側に配置された状態で、連結部材683と一体的に回転するように連結されている。図3に示す例では、連結部材683の内周部には、第2軸方向L2に延在する複数のスプライン歯が周方向に分散して形成されている。そして、ギヤ連結部695の外周部には、連結部材683の内周部に形成された複数のスプライン歯に係合する複数のスプライン歯が、第2軸方向L2に延在するように周方向に分散して形成されている。
【0067】
本実施形態では、直動変換機構68は、第1摩擦係合部材61及び第2摩擦係合部材62に対して第2径方向R2の内側であって、第2径方向R2に沿う第2径方向視で第1摩擦係合部材61及び第2摩擦係合部材62と重複する位置に配置されている。図3に示す例では、直動変換機構68のねじ軸部材681、ナット部材682、及び連結部材683が、第1摩擦係合部材61及び第2摩擦係合部材62に対して第2径方向R2の内側であって、第2径方向R2に沿う第2径方向視で第1摩擦係合部材61及び第2摩擦係合部材62と重複する位置に配置されている。
【0068】
ブレーキ6において、押圧部材66が第4側L22へ移動して第1摩擦係合部材61及び第2摩擦係合部材62を押圧した場合、ケース9の支持壁部94により、第1摩擦係合部材61及び第2摩擦係合部材62の第4側L22への移動が規制される。そして、押圧部材66の第4側L22への移動に伴って、第1摩擦係合部材61と第2摩擦係合部材62とが互いに係合され、ブレーキ6が係合状態となる。
【0069】
こうして、ブレーキ6をスリップ係合状態とすることで、ロータ42の回転を減速させることができる。更に、ブレーキ6を直結係合状態とすることで、ロータ42の回転を停止させることができる。これにより、発電機4の発電を停止したい場合には、ブレーキ6を係合状態とすることにより、ロータ42の回転を適切に減速させて、発電機4の発電を停止させることができる。したがって、例えば、駆動力源Dとして風力タービンを用いた場合には、強風時に風力タービンの回転を停止させることで風力タービンの破損を防止することができる。
【0070】
一方、押圧部材66が第3側L21へ移動して押圧部材66による第1摩擦係合部材61及び第2摩擦係合部材62の押圧が解除されると、第1摩擦係合部材61と第2摩擦係合部材62とが、互いに差回転なく相対回転可能な状態となって、ブレーキ6が解放状態となる。ブレーキ6が解放状態となった場合、ロータ42が減速することなく回転可能となる。
【0071】
2.第2の実施形態
以下では、第2の実施形態に係る発電装置100について、図4及び図5を参照して説明する。本実施形態では、第1ギヤ31と増速機5との間の動力伝達経路の構成が、上記第1の実施形態のものとは異なっている。以下では、上記第1の実施形態との相違点を中心として説明する。なお、特に説明しない点については、上記第1の実施形態と同様とする。
【0072】
図4及び図5に示すように、本実施形態では、発電装置100は、第7ギヤ7と、伝動軸8と、第1ワンウェイクラッチW1と、第2ワンウェイクラッチW2と、を更に備えている。
【0073】
第7ギヤ7は、第1ギヤ31に噛み合うギヤである。第7ギヤ7は、第2軸心X2上における支持部材1を挟んで第2ギヤ32とは反対側に配置されている。つまり、第2ギヤ32が支持部材1に対して第4側L22に配置され、第7ギヤ7が支持部材1に対して第3側L21に配置されている。第7ギヤ7は、第2軸心X2回りに回転自在に支持されている。つまり、第7ギヤ7は、第2ギヤ32と同様に、傘歯車、ねじ歯車等である。
【0074】
伝動軸8は、増速機5に駆動連結されている。本実施形態では、伝動軸8は、増速機5の第3ギヤ51と一体的に回転するように連結されている。ここで、本願において「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が1つ又は2つ以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等が含まれる。なお、伝動部材として、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置、例えば、摩擦係合装置、噛み合い式係合装置等が含まれていても良い。
【0075】
伝動軸8は、第2軸方向L2に沿って延在するように形成されている。伝動軸8は、第2軸心X2上に配置されている。そして、伝動軸8は、第2ギヤ32及び第7ギヤ7を貫通するように配置されている。本実施形態では、支持部材1は、第2軸方向L2に貫通する貫通孔1bを備えている。そして、伝動軸8は、貫通孔1bを貫通するように配置されている。
【0076】
以下の説明では、第2軸心X2回りの回転の向きのうちの一方側を「第1回転側C1」、他方側を「第2回転側C2」とする。
【0077】
第1ワンウェイクラッチW1は、第2ギヤ32と伝動軸8との間に配置されている。第1ワンウェイクラッチW1は、伝動軸8に対する第2ギヤ32の第1回転側C1の相対回転を許容し、第2回転側C2の相対回転を規制するように構成されている。
【0078】
第2ワンウェイクラッチW2は、第7ギヤ7と伝動軸8との間に配置されている。第2ワンウェイクラッチW2は、伝動軸8に対する第7ギヤ7の第1回転側C1の相対回転を許容し、第2回転側C2の相対回転を規制するように構成されている。
【0079】
本実施形態では、筒状回転部材2が回転方向の一方側に回転した場合、第2ギヤ32が第1回転側C1に回転し、第7ギヤ7が第2回転側C2に回転する。このとき、伝動軸8に対する第2ギヤ32の第1回転側C1の相対回転が第1ワンウェイクラッチW1により許容され、伝動軸8に対する第7ギヤ7の第2回転側C2の相対回転が第2ワンウェイクラッチW2により規制される。その結果、伝動軸8が第2回転側C2に回転する。
【0080】
一方、筒状回転部材2が回転方向の他方側に回転した場合、第2ギヤ32が第2回転側C2に回転し、第7ギヤ7が第1回転側C1に回転する。このとき、伝動軸8に対する第2ギヤ32の第2回転側C2の相対回転が第1ワンウェイクラッチW1により規制され、伝動軸8に対する第7ギヤ7の第1回転側C1の相対回転が第2ワンウェイクラッチW2により許容される。その結果、伝動軸8が第2回転側C2に回転する。
【0081】
このように、本実施形態では、発電装置100は、
第2軸心X2上における支持部材1を挟んで第2ギヤ32とは反対側に配置され、第2軸心X2回りに回転自在に支持されて、第1ギヤ31に噛み合う第7ギヤ7と、
第2ギヤ32及び第7ギヤ7を貫通するように配置され、増速機5に駆動連結された伝動軸8と、
第1ワンウェイクラッチW1と、
第2ワンウェイクラッチW2と、を更に備え、
第1ワンウェイクラッチW1は、第2ギヤ32と伝動軸8との間に配置され、伝動軸8に対する第2ギヤ32の第1回転側C1の相対回転を許容し、第2回転側C2の相対回転を規制し、
第2ワンウェイクラッチW2は、第7ギヤ7と伝動軸8との間に配置され、伝動軸8に対する第7ギヤ7の第1回転側C1の相対回転を許容し、第2回転側C2の相対回転を規制する。
【0082】
この構成によれば、筒状回転部材2がいずれの方向に回転する場合であっても、伝動軸8が一方向に回転するように、第2ギヤ32及び第7ギヤ7のいずれか一方から伝動軸8に駆動力を伝達することができる。これにより、筒状回転部材2の回転方向によらず、発電機4のロータ42を一方向のみに回転させることができる。したがって、効率的に発電を行うことができる。
【0083】
図4に示すように、本実施形態では、第1壁部911は、第2壁部912よりも第1側L11に配置されている。そのため、本実施形態では、第1貫通孔9aは、第2貫通孔9bよりも第1側L11に配置されている。
【0084】
本実施形態では、筒状回転部材2は、第2貫通孔9bから第2側L12に突出するように配置されている。そして、筒状回転部材2の第2側L12の端部に、駆動力源Dが連結されている(図5参照)。
【0085】
本実施形態では、支持部材1は、ボルト部11と、当該ボルト部11に螺合するナット部12と、を備えている。ボルト部11は、第1貫通孔形成部913が段差面1aに対して第1側L11から接するように配置された状態で、第1貫通孔9aから第1側L11に突出するように形成されている。ナット部12は、第1貫通孔9aから第1側L11に突出したボルト部11に螺合されることで、第1貫通孔形成部913に対して第1側L11から当接する。こうして、支持部材1がケース9に対して固定される。
【0086】
3.その他の実施形態
(1)上記の実施形態では、第1軸方向L1が鉛直方向である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第1軸方向L1が鉛直方向に交差する方向(例えば、水平方向)であってもよい。
【0087】
(2)上記の実施形態では、筒状回転部材2が支持部材1と同軸上に配置された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、筒状回転部材2が支持部材1に対して偏心して配置されていても良い。
【0088】
(3)上記の実施形態では、第2貫通孔9bが第1貫通孔9aと同軸上に配置された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、上記のように、筒状回転部材2が支持部材1に対して偏心して配置された構成では、第2貫通孔9bが第1貫通孔9aに対して偏心して配置されていても良い。
【0089】
(4)上記の実施形態では、第2軸心X2が第1軸心X1に直交するように配置された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第2軸心X2が第1軸心X1に対して直交しないように交差していても良い。また、第1軸心X1と第2軸心X2とは、それらの仮想延長線同士が互いに1点で交わるように交差していても良いし、立体交差していても良い。
【0090】
(5)上記の実施形態では、増速機5が第3ギヤ51、第4ギヤ52、第5ギヤ53、及び第6ギヤ54を備え、第2ギヤ32から第3ギヤ51に伝達された回転が第3ギヤ51と第5ギヤ53との間で増速されると共に、第6ギヤ54と第4ギヤ52との間で増速されてロータ42に伝達される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、増速機5が遊星歯車機構により構成されていても良い。
【0091】
(6)上記の実施形態では、ケース9が発電機4を収容する第3収容部93を備えた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、ケース9が第3収容部93を備えず、発電機4がケース9の外部に配置されていても良い。
【0092】
(7)上記の実施形態では、支持部材1が第2軸方向L2に貫通する貫通孔1bを備え、伝動軸8が貫通孔1bを貫通するように配置された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、支持部材1が貫通孔1bを備えず、伝動軸8が支持部材1に対して立体交差するように配置されていても良い。
【0093】
(8)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。したがって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本開示に係る技術は、発電装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0095】
100:発電装置、1:支持部材、1a:段差面、2:筒状回転部材、31:第1ギヤ、32:第2ギヤ、4:発電機、42:ロータ、5:増速機、51:第3ギヤ、52:第4ギヤ、53:第5ギヤ、54:第6ギヤ、7:第7ギヤ、8:伝動軸、9:ケース、9a:第1貫通孔、9b:第2貫通孔、10:インバータ、B1:第1軸受(軸受)、W1:第1ワンウェイクラッチ、W2:第2ワンウェイクラッチ、X1:第1軸心、X2:第2軸心、L1:第1軸方向、L11:第1側、L2:第2軸方向、R1:第1径方向(径方向)、C1:第1回転側、C2:第2回転側
図1
図2
図3
図4
図5