(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168962
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】農用走行車両における複数タンク内資材の混合排出供給方法及び混合排出供給装置
(51)【国際特許分類】
A01C 21/00 20060101AFI20241128BHJP
A01C 15/00 20060101ALI20241128BHJP
A01C 23/04 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A01C21/00 B
A01C15/00 J
A01C23/04 B
A01C23/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086058
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大橋 寛成
【テーマコード(参考)】
2B052
【Fターム(参考)】
2B052BA06
2B052BB02
2B052BC07
2B052BC08
2B052BC09
2B052BC16
2B052DB03
2B052DC05
2B052DD03
2B052EA03
2B052EA10
2B052EB03
2B052ED03
2B052FA04
(57)【要約】
【課題】1台の車両に複数の資材タンクを設置し複数のタンク内資材を混合し同時に圃場などに供給する、農用走行車両における複数タンク内資材の混合排出供給方法と混合排出供給装置を提供する。
【解決手段】走行車両3の機体に、液体状の第1資材を収容可能な第1タンク15と、粉粒体状又はペースト肥料などの第2資材を収容可能な第2タンク16を設け、該第2タンク16に設けられる第2供給パイプ27の下流端を、前記第1タンク15と資材を排出供給するポンプ17とを連結する第1供給パイプ25の中途部に合流部26を設けて連結することにより、農用走行車両における複数タンク内資材の混合排出供給方法と混合排出供給装置にした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農用の走行車両(3)に、水などの液体状の第1資材を収容可能な第1タンク(15)と、粉粒体状の肥料又は薬剤又は土壌改良剤又はペースト肥料などの第2資材を収容可能な第2タンク(16)とを設け、該第2タンク(16)に設けられる第2供給パイプ(27)の下流端を、前記第1タンク(15)と資材を排出供給するホース(19)を有するポンプ(17)を連結する第1供給パイプ(25)の中途部に合流部(26)を設けて連結することにより、前記第2資材を第2供給パイプ(27)から合流部(26)を介し、第1供給パイプ(25)内を搬送方向に流動する第1資材に合流させ、第2資材と第1資材を混合した状態でポンプ(17)に送り圃場に排出供給する方法にしたことを特徴とする農用の走行車両における複数タンク内資材の混合排出供給方法。
【請求項2】
農用の走行車両(3)の機体に、ペースト肥料又は水などの液体状の第1資材を収容可能な第1タンク(15)と、粉粒体状の肥料又は薬剤又は土壌改良剤又はペースト肥料などの第2資材を収容可能な第2タンク(16)を設け、該第2タンク(16)に設けられる第2供給パイプ(27)の下流端を、前記第1タンク(15)と資材を排出供給するホース(19)を有するポンプ(17)とを連結する第1供給パイプ(25)の中途部に合流部(26)を設けて連結し、第1資材と第2資材とを第1供給パイプ(25、25a)内で混合させることを特徴とする農用の走行車両における複数タンク内資材の混合排出供給装置。
【請求項3】
前記第1供給パイプ(25)と連結するポンプ(17)を、資材繰出し方向が下向きになる上下方向に向けて機体に取付支持することを特徴とする請求項2に記載の農用の走行車両における複数タンク内資材の混合排出供給装置。
【請求項4】
前記第1タンク(15)と第2タンク(16)とポンプ(17)に至る供給パイプ手段の適所に、搬送資材の管内の圧を抜く気圧バルブ(23)を設けることを特徴とする請求項2又は3に記載の農用の走行車両における複数タンク内資材の混合排出供給装置。
【請求項5】
前記ホース(19)の先端に設けられる吐出パイプ(20)に、その吐出口(20a)を閉じ姿勢と開き姿勢とに切換え可能な蓋部(21a)と、該蓋部(21a)を口閉じ方向に付勢する付勢部(21b)と、該付勢部(21b)を吐出パイプ(20)側に取付け可能な取付部(21c)とからなる資材漏れ防止手段(21)を設ける請求項2又は3又は4に記載の農用の走行車両における複数タンク内資材の混合排出供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農用走行車両における複数タンク内資材の混合排出供給方法及び混合排出供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農用走行車両の幅方向に複数の植付部を並べて配置した植付装置を前記走行機体の後方に昇降自在に連結し、且つ前記走行機体と植付装置の前後方向での間部分にフロートを配設した移植機は、前記走行機体の前部にペースト肥料を収容するタンクを配置し、機体腹部に取付けられた複数の排出パイプを有するねじポンプによって繰出したペースト肥料を圃場(地面)に排出供給するように構成したものが公知である。(例えば、特許文献1)
一方、特許文献1のものと同様な構成からなる移植機に対し、走行機体の後部側に粒状肥料を収容するタンク(ホッパー)を配置し、該タンクの底部側に取付けられる複数の排出パイプを有する繰り出し部の繰り出し回転体(回転式ポンプ)によって繰出した粒状肥料を、ブロアの送風によりホース(排出パイプ)を通って地面に排出供給するように構成したものが公知である。(例えば、特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000ー23522号公報
【特許文献2】特開2020ー39322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1、2に示される農用走行車両としての移植機は、いずれも各機体に搭載するタンクにペースト肥料と粒状肥料を個別に収容して圃場に排出供給する専用の施肥装置を備えるため、作業者の用途や必要に応じ異なる肥料(農用資材)に変更することが容易にできなかった。
従って、現在の肥料(粒状)から別タイプの肥料(ペースト)などに変更したい場合に、例えば、それぞれの施肥装置を購入し、使用したい肥料に応じて走行機体(農用走行車両)に施肥装置を付替える必要があり、付替え交換の手間(時間)と費用が嵩むという問題がある。
そして、これが困難な場合には、望む肥料を排出供給可能な専用の施肥装置を備える移植機を別途に複数台購入しなければ、別タイプの肥料を使うことができない無駄があった。
一方、このような無駄を解消するために、移植機の走行機体にペースト肥料又は水などの液体状の農用資材を収容可能な第1タンク(ペーストタンク)を設け、該第1タンクとは別に粒状肥料又は粉状薬剤又は土壌改良剤など粒粉状の農用資材を収容可能な第2タンクを設置する方式を考える必要がある。
然し、この場合に各タンクに前記特許文献1や特許文献2に示される構造のポンプユニットや配管構造をそのまま併用すると、資材を個別に圃場に排出供給する配管構造になるため構造が複雑化すると共に、各タンク内の両資材を混合して詰まりなくスムーズに地面に排出供給する構成が煩雑になり、簡潔安価で高性能に行う方法と手段が求められる。
そこで、このような課題を解決するうえで、本発明は、農用走行車両における複数タンク内資材の混合排出供給方法及び混合排出供給装置を創出するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明は、第1に、農用の走行車両3に、水などの液体状の第1資材を収容可能な第1タンク15と、粉粒体状の肥料又は薬剤又は土壌改良剤又はペースト肥料などの第2資材を収容可能な第2タンク16とを設け、該第2タンク16に設けられる第2供給パイプ27の下流端を、前記第1タンク15と資材を排出供給するホース19を有するポンプ17を連結する第1供給パイプ25の中途部に合流部26を設けて連結することにより、前記第2資材を第2供給パイプ27から合流部26を介し、第1供給パイプ25内を搬送方向に流動する第1資材に合流させ、第2資材と第1資材を混合した状態でポンプ17に送り圃場に排出供給する方法にしたことを特徴としている。
第2に、農用の走行車両3の機体に、ペースト肥料又は水などの液体状の第1資材を収容可能な第1タンク15と、粉粒体状の肥料又は薬剤又は土壌改良剤又はペースト肥料などの第2資材を収容可能な第2タンク16を設け、該第2タンク16に設けられる第2供給パイプ27の下流端を、前記第1タンク15と資材を排出供給するホース19を有するポンプ17とを連結する第1供給パイプ25の中途部に合流部26を設けて連結し、第1資材と第2資材とを第1供給パイプ25、25a内で混合させることを特徴としている。
第3に、前記第1供給パイプ25と連結するポンプ17を、資材繰出し方向が下向きになる上下方向に向けて機体に取付支持することを特徴としている。
第4に、前記第1タンク15と第2タンク16とポンプ17に至る供給パイプ手段との適所に、搬送資材の管内の圧を抜く気圧バルブ23を設けることを特徴としている。
第5に、前記ホース19の先端に設けられる吐出パイプ20に、その吐出口20aを閉じ姿勢と開き姿勢とに切換え可能な蓋部21aと、該蓋部21aを口閉じ方向に付勢する付勢部21bと、該付勢部21bを吐出パイプ20側に取付け可能な取付部21cとからなる資材漏れ防止手段21を設けることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に係る発明によれば、農用の走行車両3に、水などの液体状の第1資材を収容可能な第1タンク15と、粉粒体状の肥料又は薬剤又は土壌改良剤又はペースト肥料などの第2資材を収容可能な第2タンク16とを設け、該第2タンク16に設けられる第2供給パイプ27の下流端を、前記第1タンク15と資材を排出供給するホース19を有するポンプ17を連結する第1供給パイプ25の中途部に合流部26を設けて連結することにより、前記第2資材を第2供給パイプ27から合流部26を介し、第1供給パイプ25内を搬送方向に流動する第1資材に合流させ、第2資材と第1資材を混合した状態でポンプ17に送り圃場に排出供給する方法にしたことにより、
前記第1タンク15と第2タンク16を共に走行車両3に搭載し、第1タンク15内の第1資材と第2タンク16内の第2資材とを、合流部26を介して合流して圃場に排出供給することができるので、複数台の走行車両3を必要とすることなく1台の車両によって複数の資材を混合して同時に圃場に供給することができる。
そして、前記第1資材と第2資材とを、第1供給パイプ25内で予め混合した混合状態でポンプ17に送り、さらに均等な混合促進をしながらホース19によって圃場に排出供給するので、複数資材の圃場供給作業を能率よく省力的に行うことができる。
さらに、第1供給パイプ25内で液体状の第1資材と合流して混合される粉粒体状の第2資材は、ポンプ17で撹拌されて均等な一定速搬送が促進されるので、混合資材の搬送性を高め混合資材をホース19の吐出口20aから詰まりなくスムーズに吐出することができる。
請求項2に係る発明によれば、農用の走行車両3の機体に、ペースト肥料又は水などの液体状の第1資材を収容可能な第1タンク15と、粉粒体状の肥料又は薬剤又は土壌改良剤又はペースト肥料などの第2資材を収容可能な第2タンク16を設け、該第2タンク16に設けられる第2供給パイプ27の下流端を、前記第1タンク15と資材を排出供給するホース19を有するポンプ17とを連結する第1供給パイプ25の中途部に合流部26を設けて連結し、第1資材と第2資材とを第1供給パイプ25、25a内で混合させることを特徴とする農用走行車両における複数タンク内資材の混合排出供給装置にすることにより、
複数台の走行車両3を必要とすることなく1台の車両によって複数資材を圃場に供給することができる。
また前記第1資材と第2資材とを、第1供給パイプ25内で混合した状態でポンプ17に送りさらに均質的に混合しながら圃場に同時供給できるので、複数資材の圃場供給作業を省力的且つ低コストに行うことができる。
請求項3に係る発明によれば、前記第1供給パイプ25と連結するポンプ17を、資材繰出し方向が下向きになる上下方向に向けて機体に取付支持することにより、
第1資材に混合した粒粉状資材の搬送性と滞留防止を向上させてホース19から詰まりなくスムーズに排出供給することができると共に、機体の小型化を図ることができる。
請求項4に係る発明によれば、前記第1タンク15と第2タンク16とポンプ17に至る供給パイプ手段との少なくとも一か所に、資材搬送時にパイプ内の圧を抜く気圧バルブ23を設けることにより、
前記第1タンク15又は第2タンク16又は供給パイプ手段内で資材の停滞や詰まり等の資材搬送異常を生じたとき、気圧バルブ23が大気を導入して正常圧にし、ポンプ17のポンプ動作の安定化と資材詰まりを防止し資材搬送をスムーズにすることができる。
請求項5に係る発明によれば、前記ホース19の先端に設けられる吐出パイプ20に、その吐出口20aを閉じ姿勢と開き姿勢とに切換え可能な蓋部21aと、該蓋部21aを口閉じ方向に付勢する付勢部21bと、該付勢部21bを吐出パイプ20側に取付け可能な取付部21cとからなる資材漏れ防止手段21を設けることにより、
前記吐出パイプ20に設けられる資材漏れ防止手段21は、施肥作業等において、ポンプ17の停止に伴う資材の搬送停止状態で、蓋部21aが付勢部21bの付勢力によって口閉じ姿勢にするので、吐出口20aからの資材漏れを防いで資材の無駄な損失を防ぐと共に、徒に周囲を汚すことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明を適用した移植機の全体側面図である。
【
図2】本発明を適用した移植機の全体平面図である。
【
図3】複数タンク内資材の混合排出供給方法と混合排出供給装置の構成を模式的に示す模式図である。
【
図5】吐出パイプの資材漏れ防止手段を一部断面をして示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1、
図2に示す移植機1は、前輪2及び後輪2aを備えて走行操作される農用の走行車両3に対し、その走行機体5の前部にボンネット6で覆われるエンジンを搭載し、その後方に運転座席等を有する運転席7を備え、走行機体5の後部にリンク装置9及び油圧装置により植付装置10を昇降自在に連結して構成している。
植付装置10は、苗のせ台11、該苗のせ台11上の苗を掻取って田面に植付ける複数のプランタケース12及び圃場面を滑走して均平にする複数のフロート13を備えている。
【0009】
上記走行機体5は前記ボンネット6の左右側に、ペースト肥料や水及び薬液やジェル体などの液体(流動体)を収容可能な第1タンク15を配設し、その上方に予備苗台11aを設けている。
一方、粒状肥料や薬剤などの粉粒体又はペースト肥料や水などの各種農用資材を収容できる第2タンク16は、走行機体5から運転席7の座席シート7aの背後高さ位置に構成される支持部材5aに着脱可能に取付支持している。
そして、
図3において2点鎖線で示す第3タンク16aは、必要により第2タンク16に隣接するなど機体適所に設置可能な増設用のタンクであり、第2タンク16と同様な各種の資材を収容するようにしてもよい。
尚、第2タンク16と第3タンク16aとは、走行機体5側はもとより植付装置10側の支持部材に取付支持することができる。
【0010】
実施形態の移植機1は、第1タンク15に収容されるペースト肥料や水などの液状流体を資材として繰り出し圃場に供給する所定数のポンプ17を、ポンプユニット18を構成するように纏めて配設している。
各ポンプ17は
図3、
図4で後述する構成によるねじ型ポンプであり、機体に立設されるポンプ駆動部17aと資材供給室17bを介し上下方向の縦向き並列状に配置されて回転駆動され、各タンクから
図3にて示す供給パイプ手段を介して送られる各資材を、資材供給室17bに溜めた状態で各ポンプ17に均等に送り込み下向きの吐出口から吐出する。
【0011】
そして、各ポンプ17の吐出口から下向き連結されるホース19は、植付装置10側に向けて配策され、その先端を各フロート13側に設けられる図示しない取付部材を介し、フロート13の底面側から走行方向後方に向けて延設され、ホース先端部に圃場への資材排出供給部になる吐出パイプ20を設けている。
図1、
図2に示すポンプユニット18のホース配置は在来の土中施肥タイプのものと同様であり、各吐出パイプ20を植付けた苗の条列の間に資材を所望の深さに吐出供給することができる。そして、実施形態の吐出パイプ20は、
図5で後述する本発明に係る資材漏れ防止手段21を備えている。
【0012】
次に、
図3、
図4、
図5を参照し、各タンクと前記供給パイプ手段及びポンプ17並びに資材漏れ防止手段21の構成と複数タンク内資材の混合排出供給方法について説明する。
まず、第1タンク15と第2タンク16と必要によって増設される第3タンク16aは、いずれも上方から開閉自在に密閉する蓋部を有して資材を収容するタンク部に対し、底部に排出バルブ手段22と上部に気圧バルブ(圧抜きバルブ)23とを設け、ポンプユニット18に対し各資材の供給(搬送)コントロールを行い易くしている。
【0013】
排出バルブ手段22は、手動による切換えが可能であり、一方オペレータが運転席7側から例えば施肥作業を操作するレバー動作に連動し、所定タンクからの収容資材の排出(繰出し)を制御できると共に、図示しない供給パイプ手段の状況検知信号による適正制御をするように構成することもできる。
気圧バルブ23は、各タンクに設けるほか、供給パイプ手段の適所に適数設けることができ、各タンク内又は各パイプ内で資材詰まり等のトラブルになる前の気圧変化(負圧)を感知したとき、大気をタンク内又はパイプ内に取入れて正常気圧にし、ポンプ17のポンプ動作の安定化と資材詰まりの解消を促し流動移動を速やかにして資材搬送をスムーズにする。
【0014】
そして、第1タンク15は、排出バルブ手段22と前記ポンプ17の資材供給室17bの中央部とを連結する第1供給パイプ25を備えていると共に、該第1供給パイプ25の中途部に第1の合流部26と必要により設置される第2の合流部26aを設けている。
このタンク内には主として、ペースト肥料又は水又はジェル体など液体が収容されてその繰出しを可能にしている。
【0015】
第2タンク16は、排出バルブ手段22と前記第1供給パイプ25の合流部26とを連結する第2供給パイプ27を備えていると共に、タンク内資材の繰出しを促進する在来方式のファン又はポンプなどの繰出し手段22aを設置してもよい。
このタンク内には主として、粒状又は粉状の粉粒体状の肥料又は薬剤又は除草剤又は石灰類又はゼオライトなどの土壌改良剤などと、ペースト肥料又は水などの流動資材を収容できてその収容繰出しを可能にしている。
【0016】
第3タンク16aは、排出バルブ手段22と前記第1供給パイプ25の合流部26aとを連結する第3供給パイプ28を備えている。
このタンク内には主として、前記第2タンク16内に収容されるものと同様な資材が収容されその繰出しを可能にしている。
そして、上記第1供給パイプ25と第2供給パイプ27と第3供給パイプ28には、前記気圧バルブ23と同様なバルブ(図示せず)を必要箇所に少なくとも1か所に設置している。
【0017】
以上のように構成される供給パイプ手段は、前記第1供給パイプ25の合流部26と資材供給室17bとを連結する下流第1供給パイプ25aの上流側に、前記各ホース19に通ずる公知構造のインジケータ30に設けた資材(混合資材)の戻しパイプ30aを、一方向返流型の戻しバルブ30bを介して連結している。
【0018】
これにより、前記インジケータ30は、複数のホース19の中で特定のホース19を条止め操作した場合などにおいて、該条止めされたホース19から送られる資材を前記戻しパイプ30aと戻しバルブ30bを介し下流第1供給パイプ25a内に戻すようにリターン動作をする。尚、戻し資材は合流部26側に戻すように配策してもよい。
そして、下流第1供給パイプ25aは、上記戻しバルブ30bと資材供給室17bとの間にパイプ内の資材を外部放出可能にする開閉バルブ31bを有する資材放出パイプ31を設け、且つ下流第1供給パイプ25aの最下流側に開閉バルブ31cを設けている。
【0019】
上記構成による供給パイプ手段は、開閉バルブ31cを閉じ、開閉バルブ31bを開き開閉蓋31aを開くと、供給パイプ手段内の資材及び各タンク内に供給される洗浄用水などを資材放出パイプ31から排出することができるので、植付作業を終了したとき、また圃場に対する各種資材排出供給作業(ポンプ作業)を終了したとき、又はタンク内資材を異なる資材に変更するとき、又は走行車両3を長期格納する際に行うパイプ内清掃を能率よく簡単に行うことができる。
そして、資材供給室17bとポンプ17やホース19などを洗う際には、開閉バルブ31bを閉じた状態から開けた状態で所望タンク内に入れた水による清掃を行うことができる。
【0020】
ポンプ17は
図4に示すように、前記資材供給室17bのケース底部32側に各固設されるポンプケース33内に公知構造による、ねじ状に形成される金属製のロータ35が駆動シャフト36に偏心状に装着され、該ロータ35が筒状に形成された弾性体からなるステータ37の貫通孔に挿入され、ステータ37の内面に沿ってロータ35をポンプ駆動部17a側から偏心回転させることで、流動する資材を吐出しホース19に送り出し圃場に排出供給する。
尚、供給タンクである第1供給タンク15、第2供給タンク16、第3供給タンク16aから各吐出パイプ20・・・までの農用資材の搬送経路は、農用資材を可及的に縦向き搬送することが好ましく、真横向きの搬送経路がないことが粉粒体状の肥料又は薬剤又は土壌改良剤又はペースト肥料などの第2資材の滞留や詰まりを防止するという利点がある。
【0021】
そして、図示例のポンプユニット18は、ポンプ17を従来のものが横向きに設置しているのに対し上下方向の縦向きに設置していることにより、ホース19も縦向き方向の配管姿勢になるため、ポンプ17に対する資材の供給とポンプ吐出動作を重力を利用してスムーズにすることができる。さらに、ポンプ作業終了時のポンプユニット18内の資材残留を無くせるため残留トラブル防止をすると共に、ホース19の長さをより短くできるのでホース19類の配管構造もシンプルで安価にしながらユニットの内部清掃も行い易くする利点がある。
【0022】
尚、ポンプ17は鉛直方向に限ることなく前傾斜姿勢にしてもよく、この場合も後方の植付装置に対しホース長さをより短くしながらシンプルな配管構造することができる。
そして、実施形態の供給パイプ手段に使用するポンプ17の上流側に配設される各供給パイプは内径を30ミリから50ミリほどにすること、及びホース19は内径を5ミリから15ミリほどにする。この場合には供給パイプ側での各資材の供給及び合流並びにポンプ17への搬送性とホース19からの混合資材の排出供給を適正且つスムーズにすることができる。つまり、粒状資材に付着している粉類が多い場合でも径大なパイプ内での停滞や詰まりをなくし搬送性を良好にすることができる。
【0023】
一方、図示例のポンプ17は、前記ステータ37の入口部に向けて資材を撹拌する羽根状の送込み体38を駆動シャフト36側に固設している。
これによるポンプ17は、その入口部で停滞又は詰まりを生じようとする資材を送込み体38がステータ37内に確実に送るので、ロータ35によって各ポンプ17のホース19から資材を均等且つスムーズに吐出することを可能にする。
尚、送込み体38は羽根を回転させる構造に限ることなく、上下の軸方向に往復移動する撹拌体にすることができる。
【0024】
また図示例のポンプ17は、中空状の箱体の資材供給室17bに対し並列状に取付ける構成にしたが、これにかぎることなく各ポンプ17に供給パイプ手段に個別につながる配管本体に直接的に設けられる各資材供給室に一体的に設ける構成にしてもよい。
尚、複数タンク内資材の混合排出供給方法と混合排出供給装置の構成を模式的に表す
図3では、第1供給パイプ25の中途を屈曲させて示したが、該第1供給パイプ25は上下方向にストレートなパイプ路が、側面視で縦向き又は傾斜する上下方向のポンプ17に対し直線的に連結することが望ましい。この場合には第1タンク15とポンプ17とを直線的に連結するので、混合資材の搬送性を高め粒状肥料などの詰まりをより防止することができる。
【0025】
次に、
図5を参照し前記各ホース19の先端側に設けられる吐出パイプ20に対する前記資材漏れ防止手段21について説明する。
図示例の資材漏れ防止手段21は、吐出パイプ20の吐出口20aを実線で示す閉じ姿勢と2点鎖線で示す開き姿勢とに切換え可能に設けられる板状の蓋部21aと、該蓋部21aを口閉じ方向に付勢する付勢部21bと、該付勢部21bを吐出パイプ20側に固設される取付部21cとから構成している。
そして、図示例の吐出パイプ20は、先端側を経大にすること並びに上下方向に長い楕円形断面にすることが望ましく、この場合には、ペースト肥料などに粒状資材を混合した混合資材を吐出口20aから吐出する際の詰まり生じさせることなく送出できる利点がある。
尚、吐出パイプ20の吐出口20aは、2点鎖線に示すように側面視で上向き斜めに開口してもよい。
【0026】
この構成による資材漏れ防止手段21は植付け施肥作業において、当該作業を一時的に停止し植付装置10を上昇させながら行う旋回走行や路上走行など移動走行をする際に、吐出口20aから徒な資材漏れを懸念することなく能率よく快適に行うことができる。
即ち、ポンプ17の停止に伴う資材の流動停止状態では、蓋部21aが付勢部21bの付勢力によって口閉じ姿勢になり、吐出口20aからの資材漏れを防いで資材の無駄な損失を防ぐと共に、周囲を徒に汚すことがない。
【0027】
そして、植付け施肥作業が再開されポンプ17が再駆動されて資材が再流動すると、蓋部21aは資材の搬送圧力により取付部21c側を支点に付勢部21bの付勢力に抗し上方回動するので、資材の吐出を妨げることなく圃場へスムーズに排出供給する。
このとき吐出口20aの断面形状を有して筋状に繰り出されようとする資材は、閉じ片21aに接当し蓋形状に沿って周囲に分散(撹拌)する態様で分散施肥が行われるため、吐出パイプ20により地中に形成される筋状溝内への施肥効率を高め作物の育成を効果的にする利点がある。
【0028】
尚、ここでは植付け施肥作業時にペースト肥料に各種の資材を合流する混合資材を地中施肥(地中供給)を行う作業態様例について説明したが、田畑に限ることなく牧草地や開墾地など多様な地面に対し、各ホース19の吐出パイプ20から施肥作業や薬剤などの資材を地表散布作業(地表供給)する際にも、前記資材漏れ防止手段21は使用することができ、また蓋部21aの形状によって多様な資材を能率よく拡散供給することができる。
【0029】
つまり、吐出パイプ20の吐出端形状は平面視において扇状にすると、左右方向に広い吐出口20aから混合資材をより広い範囲に効率よく拡散供給することができる。
図示例の資材漏れ防止手段21は、土付着を低減する上で各部を弾力性を有するバネプレート又はゴム板などで一体的に形成するシンプルな構造を示したが、これに限ることなくコイルバネと取付けピンなどからなる蝶番型の付勢取付構造、また蝶番型の蓋に重錘部を設けた蓋自重に抗して開閉する構造にしてもよい。
【0030】
次に、以上のように構成される移植機1による各種作業と使用態様について説明する。
本発明は、自走操作自在な農用走行車両3に、ペースト肥料又は水などの液体状の第1資材を収容可能な第1タンク15と、粒状肥料又は粉状薬剤又は土壌改良剤又はペースト肥料などの第2資材を収容可能な第2タンク16とを設け、該第2タンク16に設けられる第2供給パイプ27の下流端を、前記第1タンク15とホース19を有するポンプ17を連結する第1供給パイプ25の下流側に合流部26を設けて連結することにより、前記第2資材を第2供給パイプ27から合流部26を介し、第1供給パイプ25内を排出方向に流動する第1資材に合流させることにより、第2資材と第1資材を混合状態でポンプ17に送り圃場に排出供給する方法にしている。
【0031】
従って、第1タンク15内の第1資材と第2タンク16内の第2資材を下流第1供給パイプ25a内である合流部26で合流し、合流部26の下流側の第1供給パイプ25とポンプ17により混合して圃場に排出供給するため、1台の走行車両によって複数の資材を混合して同時に圃場に供給することができるので、複数台の農用走行車両3を必要とすることがない。
そして、前記第1資材と第2資材とを下流第1供給パイプ25a内である合流部26で合流した合流資材は、第1供給パイプ25の下流側内で均等な混合が促進された状態でポンプ17に送り、該ポンプ17内でさらに均等な混合が促進され、ホース19によって圃場に排出供給するので、複数資材の圃場供給作業を安価な構成で能率よく省力的に行うことができる。
尚、液体状の第1資材と合流部26で合流される粉粒体状の第2資材は、ポンプ17内で撹拌されて均等な混合が促進されるため、混合資材の搬送性を高め混合資材をホース19の吐出口20aから詰まりなくスムーズに吐出することができる。
【0032】
従って、このように使用できる本発明によれば、第1タンク15と第2タンク16に対し、第1資材と第2資材とを所望の組合せと量によって収容すると共に、各資材が所期の効能を発揮する所定の混合量に設定することにより、各種の資材混合排出供給作業を1台の走行車両3によって、次に説明する使用例1~5に示すように多様に行うことができる。
尚、第3タンク16aは必要により、第1タンク15と第2タンク16に収容するものと各同資材を増量する目的で使用できるほか、薬剤や作物育成材など少量添加を要する副資材の予備タンクとしても利用することができるので、ここでは詳細説明を省略する。
【0033】
まず、使用例1は、第1タンク15と第2タンク16にペースト肥料を収容する。この場合は、第2タンク16がペースト肥料の増量用タンクになるので大量のペースト肥料を保持することができる。従って、肥料補給作業の回数を少なくした高能率な施肥作業ができ、大型の田畑などでの使用に好適化できる。
【0034】
使用例2は、第1タンク15にペースト肥料を収容し、第2タンク16に水を収容する。この場合は、第1タンク15に収容したペースト肥料に第2タンク16に収容した水を切換バルブ22を調整し適正量ずつ混合する。これによりペースト肥料を水で希釈しながら増量化しペースト肥料の搬送性を高めて排出供給でき、長時間にわたり廉価な施肥作業を可能にしながら施肥効果を適正に奏することができる。
さらに、水によって希釈されて適正濃度で使用されるペースト肥料など第1資材は、可及的に高濃度に製造したタイプを使用でき、この場合には第1タンク15に収容したペースト肥料の補給作業回数を少なくし、安価な第1タンク15の水の補給によって長時間にわたる施肥作業などを低コストで能率よく行うことができる利点がある。
【0035】
使用例3は、第1タンク15にペースト肥料を収容し、第2タンク16に粉粒体状資材として該ペースト肥料より遅効性の粒状肥料を収容する。この場合は、ペースト肥料が施肥効果を奏した後で混合している粒状肥料が施肥効果を奏するので、長期間にわたる緩やかな施肥と施肥適期を調整し易くすることができ、作物の健康的な成長促進を図ることができる。
【0036】
使用例4は、第1タンク15にペースト肥料を収容し、第2タンク16に粉粒体状資材として薬剤や成長材など所望の副資材を収容する。この場合は、ペースト肥料の施肥効果と同時に微量に混合している副資材の作用効果を共に奏するので、作物の健全な成長を省力的に促すことができる。
【0037】
使用例5は、第1タンク15に水を収容し、第2タンク16に粉粒体状又は液体状の副資材としての除草剤や殺虫剤又は作物育成剤などを収容する。例えば、この副資材を粉粒体状の除草剤にする場合には、除草剤が適量に混入された除草水を田畑や開墾地に対し、無駄なく効果的に地中又は地表に能率よく供給することができる。
つまり、この除草資材と水を合流混合する複数タンク内資材の混合排出供給装置を備える走行車両3は、適宜方式の対地作業機としてのロータリー耕耘装置などを装着する場合には、該耕耘装置によって耕耘される耕起土壌に対し同時に除草剤供給作業を能率よく効果的に行うことができる。
【0038】
さらに、第2タンク16に粉粒体又は液体状の土壌改良剤を収容する場合には、該土壌改良剤を耕起土壌に対し同時に供給できるので田畑はもとより開墾地開拓作業等も能率よく効果的に行うことができる。
このほか、対地作業機が例えばトレンチャーなどの深掘り作業機である場合には、ゴボウやイモ類を深い溝を掘削しながら収穫する作業に合せ、同時に当該深い溝底に対する施肥や土壌改良などの作業を効率よく確実に行うことができる。
【0039】
以上のように本発明によれば、農用走行車両に複数のタンクを搭載し前記した供給パイプ手段を介しタンク内の各資材を混合排出供給する多様な方法によって、求められる用途に応じ1台の走行車両によって混合資材を安価に能率よく排出供給することができると共に、新規的な使用展開と作業展開を可能にすることができる
新規的な使用展開としては、例えば、水によって希釈し適正濃度にして使用する高濃度のペースト肥料や希釈用として開発される各種の第2資材は、可及的高濃度のものとして開発製造をすることで、該高濃度資材を第2タンク16に効率よく多量に収容し該高濃度資材の補給回数を少なくしながら、専ら第1タンク15内の水の補給をするだけで長時間作業を安価に省力化することができるなど、新規的な作業形態の創出を可能にする。
【符号の説明】
【0040】
1 移植機(乗用田植機)
3 走行車両
5 走行機体
15 第1タンク
16 第2タンク
17 ポンプ
19 ホース
20 吐出パイプ
20a 吐出口
21 資材漏れ防止手段
21a 蓋部
21b 付勢部
21c 取付部
23 気圧バルブ
25 第1供給パイプ
26 合流部
27 第2供給パイプ