(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168966
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/17 20060101AFI20241128BHJP
B41J 2/18 20060101ALI20241128BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B41J2/17 101
B41J2/18
B41J2/175 501
B41J2/175 201
B41J2/17 203
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086063
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】藤田 俊貴
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA26
2C056EC15
2C056EC18
2C056FA13
2C056JC13
2C056KB10
2C056KB16
2C056KB25
(57)【要約】
【課題】インクジェットヘッドを含む流路でインクを循環させる場合にフィルターに溜まる汚染物を除去することを目的とする。
【解決手段】インクジェット記録装置は、液体タンク33とインクジェットヘッド12とに接続された供給流路34及び回収流路35と、供給流路34に設けられた供給ポンプ36と、液体タンク33と供給ポンプ36との間の供給流路34に設けられた三方コック41と、三方コック41に接続された廃液タンク40と、インクジェットヘッド12、又は、三方コック41とインクジェットヘッド12との間の供給流路45、に設けられたフィルターと、を備え、制御部2は、フィルターから汚染物を除去する汚染物除去動作時に、インクジェットヘッド12と廃液タンク40とを連通させるように三方コック41を制御するとともに、インクジェットヘッド12から廃液タンク40に液体を流すように供給ポンプ36を駆動する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留する液体タンクと、
インクジェットヘッドと、
前記液体タンクと前記インクジェットヘッドとに接続された供給流路と、
前記液体タンクと前記インクジェットヘッドとに接続された回収流路と、
前記供給流路に設けられた供給ポンプと、
前記液体タンクと前記供給ポンプとの間の前記供給流路に設けられた三方コックと、
前記三方コックに接続された廃液タンクと、
前記インクジェットヘッド、又は、前記三方コックと前記インクジェットヘッドとの間の前記供給流路、に設けられたフィルターと、
前記供給ポンプと前記三方コックとを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
液体を循環させる循環動作時に、前記液体タンクと前記インクジェットヘッドとを連通させるように前記三方コックを制御するとともに、前記液体タンクから前記インクジェットヘッドに液体を流すように前記供給ポンプを駆動し、
前記フィルターから汚染物を除去する汚染物除去動作時に、前記インクジェットヘッドと前記廃液タンクとを連通させるように前記三方コックを制御するとともに、前記インクジェットヘッドから前記廃液タンクに液体を流すように前記供給ポンプを駆動することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記回収流路に回収ポンプが設けられ、
前記制御部は、前記汚染物除去動作時に、前記液体タンクから前記インクジェットヘッドに液体を流すように前記回収ポンプを駆動することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記循環動作時に、前記インクジェットヘッドから前記液体タンクに液体を流すように前記回収ポンプを駆動することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置においては、画像形成ジョブが実行されていない期間にインクジェットヘッドのノズル内のインクから水分が蒸発し、インクの粘度上昇によって、吐出速度が低下したり、ノズルが目詰まりしたりすることが考えられる。そこで、従来、インクジェットヘッドを含む流路でインクを循環させる技術が検討されている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-50301号公報
【特許文献2】特開2019-64088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インクジェットヘッドを含む流路には、インクに含まれる気泡や不純物を除去するフィルターが設けられている。インクを循環させる場合、インクの流量が多くなるため、フィルターに溜まる気泡や不純物が増えて流路抵抗が増大し、吐出不良が発生しやすくなるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、インクジェットヘッドを含む流路でインクを循環させる場合にフィルターに溜まる汚染物を除去することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るインクジェット記録装置1は、液体を貯留する液体タンクと、インクジェットヘッドと、前記液体タンクと前記インクジェットヘッドとに接続された供給流路と、前記液体タンクと前記インクジェットヘッドとに接続された回収流路と、前記供給流路に設けられた供給ポンプと、前記液体タンクと前記供給ポンプとの間の前記供給流路に設けられた三方コックと、前記三方コックに接続された廃液タンクと、前記インクジェットヘッド、又は、前記三方コックと前記インクジェットヘッドとの間の前記供給流路、に設けられたフィルターと、前記供給ポンプと前記三方コックとを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、液体を循環させる循環動作時に、前記液体タンクと前記インクジェットヘッドとを連通させるように前記三方コックを制御するとともに、前記液体タンクから前記インクジェットヘッドに液体を流すように前記供給ポンプを駆動し、前記フィルターから汚染物を除去する汚染物除去動作時に、前記インクジェットヘッドと前記廃液タンクとを連通させるように前記三方コックを制御するとともに、前記インクジェットヘッドから前記廃液タンクに液体を流すように前記供給ポンプを駆動する。
【0007】
前記インクジェット記録装置は、前記回収流路に回収ポンプが設けられ、前記制御部は、前記汚染物除去動作時に、前記液体タンクから前記インクジェットヘッドに液体を流すように前記回収ポンプを駆動してもよい。
【0008】
前記制御部は、前記循環動作時に、前記インクジェットヘッドから前記液体タンクに液体を流すように前記回収ポンプを駆動してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、インクジェットヘッドを含む流路でインクを循環させる場合にフィルターに溜まる汚染物を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の内部構成を模式的に示す正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る流路の構成を模式的に示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る流路の構成を模式的に示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るインクジェットヘッドの構成を示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るノズルプレートの構成を示す断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る循環動作時のインクの流れを示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る汚染物除去動作時のインクの流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置1について説明する。
【0012】
図1は、インクジェット記録装置1の内部構成を模式的に示す正面図である。
図2、3は、流路30の構成を模式的に示す図である。
図4は、インクジェットヘッド12の構成を示す断面図である。
図5は、ノズルプレート12Pの構成を示す断面図である。
図6は、インクジェット記録装置1の電気的構成を示すブロック図である。以下、
図1における紙面手前側をインクジェット記録装置1の正面側(前側)とし、左右の向きはインクジェット記録装置1を正面から見た方向を基準として説明する。各図において、U、Lo、L、R、Fr、Rrは、それぞれ上、下、左、右、前、後を示す。
【0013】
インクジェット記録装置1(
図1参照)は、直方体状の本体ハウジング3を備える。本体ハウジング3内の下部には、普通紙、コート紙等の枚葉のシートSが収容される給紙カセット4と、給紙カセット4からシートSを送り出す給紙ローラー5が設けられている。給紙カセット4の上方には、シートSを吸着してY方向に搬送する搬送ユニット7が設けられている。搬送ユニット7の上方には、インクを吐出して画像を形成する作像ユニット6が設けられている。本体ハウジング3の(左)(右)上部には、画像が形成されたシートSを排出する排出ローラー8と、排出されたシートSが積載される排出トレイ9が設けられている。
【0014】
本体ハウジング3の内部には、給紙ローラー5から搬送ユニット7と作像ユニット6との間隙を経て排出ローラー8に至る搬送路10が設けられている。搬送路10は、シートSを通過させる間隙を空けて互いに対向する板状部材を主体として形成されている。搬送路10には、シートSを挟持して搬送する搬送ローラー17が設けられている。作像ユニット6よりも搬送方向Y上流側には、レジストローラー18が設けられている。
【0015】
搬送ユニット7は、無端の搬送ベルト21と、支持板23と、吸引部24と、を備える。搬送ベルト21は、多数の通気孔(図示省略)を有し、駆動ローラー25と従動ローラー22に巻き掛けられている。支持板23は、多数の通気孔を有し、上面が搬送ベルト21の内面に接触している。吸引部24は、支持板23の通気孔と搬送ベルト21の通気孔を介して空気を吸引することでシートSを搬送ベルト21に吸着させる。モーターと減速ギアとを含む駆動部(図示省略)により駆動ローラー25が反時計回り方向に駆動されることで搬送ベルト21が反時計回り方向に回転し、搬送ベルト21に吸着されたシートSがY方向に搬送される。
【0016】
作像ユニット6(
図1参照)は、ヘッドユニット11Y、11Bk、11C、11M(ヘッドユニット11と総称する)を備える。ヘッドユニット11は、1つ以上のインクジェットヘッド12(
図2参照)、例えば、千鳥に配置された3つのインクジェットヘッド12を備える。ヘッドユニット11Y、11Bk、11C、11Mには、それぞれイエロー、ブラック、シアン、マゼンタのインクが充填されたインクコンテナ20Y、20Bk、20C、20M(インクコンテナ20と総称する)が流路30(
図2参照)を介して接続されている。
【0017】
図2では、1色のインクに対応する流路30が図示されているが、本実施形態では4色のインクを用いるため、実際には4系統の流路30が設けられている。また、
図2では、1つのインクジェットヘッド12が図示されているが、実際には1つのヘッドユニット11に属する複数のインクジェットヘッド12が1つのインクコンテナ20に接続されている。
【0018】
制御部2(
図1参照)は、演算部と記憶部とを備える(図示省略)。演算部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。記憶部は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の記憶媒体を含む。演算部は、記憶部に記憶されている制御プログラムを読み出して実行することで各種処理を実施する。なお、制御部2は、ソフトウェアを用いない集積回路によって実現されてもよい。
【0019】
本体ハウジング3の上部には、表示操作部19が設けられている(
図1参照)。表示操作部19は、表示パネルと、表示パネルに積層されたタッチパネルと、キーパッドと、を備える(図示省略)。制御部2は、インクジェット記録装置1の操作メニューやステータス等を表す画面を表示パネルに表示させ、タッチパネル及びキーパッドで検知された操作に応じてインクジェット記録装置1の各部を制御する。
【0020】
インクジェット記録装置1の基本的な画像形成動作は、次のとおりである。表示操作部19や外部のコンピューター等からインクジェット記録装置1に画像形成ジョブが入力されると、給紙ローラー5が給紙カセット4から搬送路10にシートSを送り出し、回転が停止されたレジストローラー18がシートSの斜行を補正する。レジストローラー18が所定のタイミングで搬送ユニット7にシートSを送り出すと、搬送ユニット7が搬送ベルト21にシートSを吸着してY方向に搬送する。ノズル12Nからインクが吐出され、シートSに画像が形成される。排出ローラー8は、画像が形成されたシートSを排出トレイ9に排出する。
【0021】
次に、本実施形態の特徴的な構成について説明する。本実施形態に係るインクジェット記録装置1は、液体を貯留する液体タンク33と、インクジェットヘッド12と、液体タンク33とインクジェットヘッド12とに接続された供給流路34と、液体タンク33とインクジェットヘッド12とに接続された回収流路35と、供給流路34に設けられた供給ポンプ36と、液体タンク33と供給ポンプ36との間の供給流路34に設けられた三方コック41と、三方コック41に接続された廃液タンク40と、インクジェットヘッド12、又は、三方コック41とインクジェットヘッド12との間の供給流路45、に設けられたフィルター14Bと、供給ポンプ36と三方コック41とを制御する制御部2と、を備え、制御部2は、液体を循環させる循環動作時に、液体タンク33とインクジェットヘッド12とを連通させるように三方コック41を制御するとともに、液体タンク33からインクジェットヘッド12に液体を流すように供給ポンプ36を駆動し、フィルター14Bから汚染物を除去する汚染物除去動作時に、インクジェットヘッド12と廃液タンク40とを連通させるように三方コック41を制御するとともに、インクジェットヘッド12から廃液タンク40に液体を流すように供給ポンプ36を駆動する。
具体的には、以下のとおりである。
【0022】
[インクジェットヘッド]
インクジェットヘッド12(
図4参照)は、前後方向を長手方向とする直方体状の筐体12Hと、筐体12Hの底部に設けられたノズルプレート12Pと、を備える。ノズルプレート12Pには、供給ソケット12S1と、回収ソケット12S2と、が接続されている。ノズルプレート12P(
図5参照)は、供給ソケット12S1から回収ソケット12S2に至る共通流路12Cと、前後方向に並ぶ多数のノズル12Nと、共通流路12Cから分岐して各ノズル12Nに至る分岐流路12Bと、各ノズル12Nから共通流路12Cに合流する合流流路12Jと、を備えている。分岐流路12B、合流流路12Jには、それぞれフィルター14B、フィルター14Jが設けられている。フィルター14B、14Jは、気泡や不純物などの汚染物をインクから除去する。
【0023】
ノズル12Nの吐出口12Aは、ノズルプレート12Pの下面であるノズル面12Fに設けられている。振動板12Vは、分岐流路12Bの内壁の一部を兼ねている。振動板12Vには加圧素子12Zが設けられている。加圧素子12Zとしては、圧電素子、静電アクチュエーター、ヒーター等が用いられる。加圧素子12Zには、加圧素子12Zを駆動する駆動回路12Dが接続されている。
【0024】
[流路]
流路30(
図2参照)には、液体タンク33が設けられている。液体タンク33は、例えば、インクを貯留するインクタンクである。インクは、例えば、顔料を水に分散させた水系顔料インクである。液体タンク33には、補給流路32を介してインクコンテナ20が接続されている。補給流路32には、インクコンテナ20から液体タンク33へインクを補給する補給ポンプ31が設けられている。
【0025】
液体タンク33とインクジェットヘッド12との間には、供給流路34と回収流路35とが設けられている。供給流路34の一端部は、液体タンク33に接続され、供給流路34の他端部は、供給ソケット12S1に接続されている。回収流路35の一端部は、回収ソケット12S2に接続され、回収流路35の他端部は、液体タンク33に接続されている。液体タンク33と供給流路34とインクジェットヘッド12と回収流路35とにより、環状の流路30が構成されている。供給流路34には、供給ポンプ36が設けられている。回収流路35には、回収ポンプ37が設けられている。供給ポンプ36と回収ポンプ37は、いずれも、正回転と逆回転が可能である。
【0026】
[三方コック、廃液タンク]
液体タンク33と供給ポンプ36との間の供給流路30には、三方コック41が設けられている。三方コック41には、廃液流路42を介して廃液タンク40が接続されている。三方コック41は、第1状態と第2状態とに切り替え可能である。第1状態では、三方コック41は、液体タンク33とインクジェットヘッド12とを連通させ、廃液流路42を閉鎖する。第2状態では、三方コック41は、インクジェットヘッド12と廃液タンク40とを連通させ、液体タンク33側の供給流路34を閉鎖する。
【0027】
図7は、循環動作時のインクの流れを示す図である。制御部2は、所定のタイミングで循環動作を実行する。循環動作は、例えば、定期的に実行されてもよく、画像形成が行われない期間が所定期間以上継続した場合に実行されてもよい。また、画像形成と並行して循環動作が行われてもよい。
【0028】
循環動作時(
図2、7参照)において、制御部2は、三方コック41を第1状態に切り替えるとともに、供給ポンプ36と回収ポンプ37を正回転させる。すると、液体タンク33から順に供給流路34、供給ソケット12S1(
図4参照)、共通流路12C、分岐流路12B、合流流路12J、共通流路12C、回収ソケット12S2、回収流路35を経て液体タンク33へとインクが循環する。循環動作により、ノズル12N付近でのインクの粘度上昇が抑制される。
【0029】
循環動作時に、フィルター14B、14Jは、循環するインクから気泡や不純物等の汚染物を除去する。フィルター14Bは、フィルター14Jよりもインクの循環方向上流側に設けられているため、フィルター14Jよりも汚染物が溜まりやすい。顔料インクの場合、顔料等の成分が凝集したものが不純物としてフィルター14Bに溜まる傾向がある。
【0030】
図8は、汚染物除去動作時のインクの流れを示す図である。制御部2は、所定のタイミングで汚染物除去動作を実行する。汚染物除去動作は、例えば、定期的に実行されてもよく、画像形成が行われない期間が所定期間以上継続した場合に実行されてもよい。
【0031】
汚染物除去動作時(
図3、8参照)において、制御部2は、三方コック41を第2状態に切り替えるとともに、供給ポンプ36と回収ポンプ37を逆回転させる。すると、液体タンク33から順に回収流路35、回収ソケット12S2、共通流路12C、合流流路12J、分岐流路12B、供給ソケット12S1、供給流路34、三方コック41を経て廃液タンク40へとインクが逆流する。フィルター14Bに溜まっていた汚染物は、逆流するインクによって押し流され、廃液タンク40に排出される。
【0032】
以上説明した本実施形態に係るインクジェット記録装置1によれば、液体を貯留する液体タンク33と、インクジェットヘッド12と、液体タンク33とインクジェットヘッド12とに接続された供給流路34と、液体タンク33とインクジェットヘッド12とに接続された回収流路35と、供給流路34に設けられた供給ポンプ36と、液体タンク33と供給ポンプ36との間の供給流路34に設けられた三方コック41と、三方コック41に接続された廃液タンク40と、インクジェットヘッド12、又は、三方コック41とインクジェットヘッド12との間の供給流路45、に設けられたフィルター14Bと、供給ポンプ36と三方コック41とを制御する制御部2と、を備え、制御部2は、液体を循環させる循環動作時に、液体タンク33とインクジェットヘッド12とを連通させるように三方コック41を制御するとともに、液体タンク33からインクジェットヘッド12に液体を流すように供給ポンプ36を駆動し、フィルター14Bから汚染物を除去する汚染物除去動作時に、インクジェットヘッド12と廃液タンク40とを連通させるように三方コック41を制御するとともに、インクジェットヘッド12から廃液タンク40に液体を流すように供給ポンプ36を駆動する。
【0033】
この構成によれば、インクジェットヘッド12を含む流路30でインクを循環させる場合にフィルター14Bに溜まる汚染物を除去することができる。また、液体が顔料インクの場合、顔料等が凝集したものが汚染物としてフィルター14Bに溜まる傾向があるため、本実施形態に係るインクジェット記録装置1は、顔料インクを用いる場合に顕著な効果を発揮する。
【0034】
なお、上記実施形態において、汚染物除去動作時に供給ポンプ36を駆動せずに回収ポンプ37のみを駆動したと仮定すると、インクジェットヘッド12内部の流体抵抗によりインクジェットヘッド12内部の圧力が高まって、ノズル12Nからインクが漏出するおそれがある。一方、汚染物除去動作時に回収ポンプ37を駆動せずに供給ポンプ36のみを駆動した場合、インクジェットヘッド12内部の圧力が高まることはないから、ノズル12Nからインクが漏出するおそれはない。よって、汚染物除去動作時には、少なくとも供給ポンプ36を駆動することが望ましい。換言すれば、インクジェット記録装置1は、回収ポンプ37を備えていなくてもよい。
【0035】
また、本実施形態に係るインクジェット記録装置1によれば、回収流路35に回収ポンプ37が設けられ、制御部2は、汚染物除去動作時に、液体タンク33からインクジェットヘッド12に液体を流すように回収ポンプ37を駆動する。この構成によれば、回収ポンプ37を備えない場合と比べて、汚染物除去動作時の液体輸送能力を高めることができる。
【0036】
また、本実施形態に係るインクジェット記録装置1によれば、制御部2は、循環動作時に、インクジェットヘッド12から液体タンク33に液体を流すように回収ポンプ37を駆動する。この構成によれば、回収ポンプ37を駆動しない場合と比べて循環動作時の液体輸送能力を高めることができる。
【0037】
なお、循環動作時に回収ポンプ37を駆動せずに供給ポンプ36のみを駆動したと仮定すると、インクジェットヘッド12内部の流体抵抗によりインクジェットヘッド12内部の圧力が高まって、ノズル12Nからインクが漏出するおそれがある。一方、循環動作時に供給ポンプ36と回収ポンプ37を駆動した場合、回収ポンプ37によってインクジェットヘッド12からインクが引き出されるため、インクジェットヘッド12内部の圧力が高まることはなく、ノズル12Nからインクが漏出するおそれはない。このことからも、循環動作時に供給ポンプ36と回収ポンプ37の両方を駆動することが望ましい。
【0038】
上記実施形態は以下のように変形されてもよい。
【0039】
上記実施形態では、インクジェットヘッド12の分岐流路12Bに設けられたフィルター14Bから汚染物が除去される例が示されたが、分岐流路12Bよりもインク供給方向上流側の共通流路12C、又は、三方コック41とインクジェットヘッド12との間の供給流路34にフィルター14Bが設けられていてもよい。この場合も、フィルター14Bから汚染物を除去することができる。あるいは、フィルター14Bは、設けられていなくてもよい。この場合には、フィルター14Jに溜まった汚染物が除去される。
【0040】
上記実施形態では、インクジェット記録装置1に本発明を適用した例が示されたが、インク以外の液体を吐出するインクジェット方式の液体吐出装置に本発明が適用されてもよい。例えば、シートSの下地処理を行うための処理液、電気回路の形成に用いられる導体を分散した液体、有機EL(Electro-Luminescence)パネルの製造に用いられる発光材料、捺染の染料、3Dプリンターによる立体物の形成に用いられる液化した樹脂やセラミックスなど、を吐出する液体吐出装置に本発明が適用されてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 インクジェット記録装置
2 制御部
12 インクジェットヘッド
14B フィルター
33 液体タンク
34 供給流路
35 回収流路
36 供給ポンプ
37 回収ポンプ
41 三方コック
40 廃液タンク