(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168973
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】コミュニケーション端末
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
G06F3/01 560
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086113
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】笹崎 康則
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA22
5E555AA61
5E555BA01
5E555BB01
5E555BC04
5E555BD07
5E555CA17
5E555CA41
5E555DA13
5E555DA24
5E555DC35
5E555DC37
5E555FA00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】意思疎通における心理的負荷の少ないコミュニケーション端末を提供する。
【解決手段】コミュニケーションシステムSYにおいて、ユーザ間のコミュニケーションに供される複数の端末(D1、D2)は、ユーザの操作を入力する入力部(13、23)と、振動部(14、24)と、他の端末と通信する通信部(16、26)と、制御部(17、27)と、を備える。制御部(17、27)は、入力部(13、23)に操作が入力されたとき、操作の操作パターンに対応する振動要求を生成した後、通信部(16、26)を介して生成した振動要求を他の端末に送信する。制御部(17、27)は、通信部(16、26)が他の端末から振動要求を受信したとき、受信した振動要求に対応する振動パターンで振動部(14、24)を振動させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ間のコミュニケーションに供される複数の端末の一つであって、
前記ユーザの操作を入力する入力部と、振動部と、他の端末と通信する通信部と、制御部と、を備え、
前記制御部は、前記入力部に前記操作が入力されたとき、前記入力部に入力された前記操作の操作パターンに対応する振動要求を生成した後、前記通信部を介して生成した前記振動要求を前記他の端末に送信し、
前記制御部は、前記通信部が前記他の端末から前記振動要求を受信したとき、受信した前記振動要求に対応する振動パターンで前記振動部を振動させる、
コミュニケーション端末。
【請求項2】
前記制御部に制御されて発光する通知部を備え、
前記制御部は、前記振動パターンを前記通知部の発光パターンにより通知する、
請求項1に記載のコミュニケーション端末。
【請求項3】
前記振動パターンは複数のカテゴリに分類され、
前記制御部は、前記発光パターンの発光色を前記カテゴリに応じて変更する、
請求項2に記載のコミュニケーション端末。
【請求項4】
前記制御部は、前記通信部が前記他の端末から前記振動要求を受信してから、所定時間内に新たな前記操作の入力がない場合に、前記通知部による前記振動パターンの通知をさせる、
請求項2または請求項3に記載のコミュニケーション端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遠隔地のユーザ間でのコミュニケーションを支援するコミュニケーション端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、遠隔地のユーザ間でのコミュニケーションを支援する手段として、特許文献1に開示されるような電子メールなどのメッセージ通信が広く利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メッセージ通信を利用したユーザ間でのコミュニケーションにおいては、メッセージ文の推敲に煩わしさを感じて受信したメッセージへの返信を躊躇するユーザも少なからず存在する。このようなユーザの中には、メッセージを送信したユーザとのコミュニケーションを拒否しているわけではなく、何らかの意思は伝えたいがどのようなメッセージで伝えればよいか思いを巡らすことが大きい心理的負荷であると感じる者も多い。
【0005】
本開示は、上述した事情から、意思疎通における心理的負荷の少ないコミュニケーション端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコミュニケーション端末は、
ユーザ間のコミュニケーションに供される複数の端末の一つであって、
前記ユーザの操作を入力する入力部と、振動部と、他の端末と通信する通信部と、制御部と、を備え、
前記制御部は、前記入力部に前記操作が入力されたとき、前記入力部に入力された前記操作の操作パターンに対応する振動要求を生成した後、前記通信部を介して生成した前記振動要求を前記他の端末に送信し、
前記制御部は、前記通信部が前記他の端末から前記振動要求を受信したとき、受信した前記振動要求に対応する振動パターンで前記振動部を振動させる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、意思疎通における心理的負荷の少ないコミュニケーション端末を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】コミュニケーションシステムのシステム構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態を以下に説明する。
【0010】
本開示のコミュニケーションシステムSYは、
図1に示すように、コミュニケーション端末D1とコミュニケーション端末D2の複数の端末から構成され、端末を所持する各ユーザ同士のコミュニケーションを支援する。
【0011】
コミュニケーションシステムSYを構成するコミュニケーション端末D1とコミュニケーション端末D2の構成を
図2に基づいて説明する。
【0012】
コミュニケーション端末D1は、電源部11、電源スイッチ12、入力部13、振動部14、通知部15、通信部16、制御部17を備える。
【0013】
コミュニケーション端末D2の構成は、コミュニケーション端末D1と同様であり、電源部21、電源スイッチ22、入力部23、振動部24、通知部25、通信部26、制御部27を備える。
【0014】
コミュニケーション端末D1が備える内機(電源部11、電源スイッチ12、入力部13、振動部14、通知部15、通信部16、制御部17)を以下に説明する。尚、コミュニケーション端末D2が備える内機(電源部21、電源スイッチ22、入力部23、振動部24、通知部25、通信部26、制御部27)は、コミュニケーション端末D1の内機と同様であるため説明を省略する。
【0015】
電源部11は、コミュニケーション端末D1の主電源であり、例えば、乾電池や充電池などである。
【0016】
電源スイッチ12は、電源部11の電源供給のオン/オフを切り替えるスイッチである。電源スイッチ12がオンされると、電源部11からコミュニケーション端末D1の内機(入力部13、振動部14、通知部15、通信部16、制御部17)に電源が供給される。電源スイッチ12がオフされると、電源部11からの電源供給が遮断される。
【0017】
入力部13は、ユーザからの操作を入力するインターフェースである。入力部13は、例えば、プッシュスイッチ、タッチセンサなどである。
【0018】
振動部14は、制御部17に制御されて振動するバイブレータである。振動部14は、例えば、偏心錘を備えた振動モータであり、モータの回転により生じる振動によりコミュニケーション端末D1の筐体を振動させる。
【0019】
通知部15は、制御部17に制御されて所定の発光パターンで光輝して情報を通知するインジケータである。通知部15は、例えば、LEDなどの光源素子であり、光源素子が発光することによりコミュニケーション端末D1の筐体の所定箇所が光輝する。
【0020】
通信部16は、他の端末(コミュニケーション端末D2)と所定のプロトコルで無線通信を行う通信モジュールである。通信部16は、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)などの種々の無線通信プロトコルで通信を行う。通信部16は、他の端末とP2P(Peer to Peer)モデルでの通信をしてもよいし、クライアントサーバモデルでの通信により他の端末と相互に通信してもよい。
【0021】
制御部17は、コミュニケーション端末D1の動作を制御するコントローラである。制御部17は、例えば、RAM、ROM、CPUを内蔵したマイクロコントローラICである。
【0022】
制御部17は、入力部13にユーザからの所定の操作パターンの操作が入力されると、操作パターンに対応する振動要求を生成する。制御部17は、通信部16を介して生成された振動要求を他の端末(コミュニケーション端末D2)に送信する。
【0023】
制御部17は、他の端末(コミュニケーション端末D2)から送信された振動要求を通信部16が受信すると、受信した振動要求に対応する振動パターンで振動部14を振動させる。
【0024】
制御部17は、振動部14に振動させる振動パターンに対応する発光パターンで通知部15に点滅させることにより、通知部15に振動パターンを通知させる。言い換えると、制御部17は、受信した振動要求に対応する振動パターンを通知部15に通知させる。
【0025】
起動から終了までの一連の制御部17の制御フローを
図3に基づいて説明する。
【0026】
(起動及び終了)
制御部17は、条件C1(電源スイッチ12がオン)を満たすと、電源部11から電源が供給されて起動し、稼働状態Sに移行する。また、稼働状態Sにある制御部17は、条件C9(電源スイッチ12がオフ)を満たすと、電源部11からの電源供給が停止されて、終了する。
【0027】
(稼働状態S)
稼働状態Sは、初期状態S1、通信確立待ち状態S2、スタンバイ状態3、意思疎通状態S4、履歴通知状態S5の状態を備える。制御部17は、電源が供給されて起動すると、まず稼働状態Sのうち初期状態S1に移行する。
【0028】
(初期状態S1)
制御部17は、初期状態S1のとき、通知部15を消灯させて待機する。制御部17は、初期状態S1のとき、条件C2(入力部13にユーザから通信確立開始の操作が入力される)を満たすと、通信確立待ち状態S2に移行する。
【0029】
(通信確立待ち状態S2)
制御部17は、通信確立待ち状態S2のとき、他の端末(コミュニケーション端末D2)との通信確立を試みる。また、制御部17は、通信確立待ち状態S2であることを、通知部15を第1色(例えば、橙色)で点滅させて通知する。制御部17は、条件C3(所定時間内に他の端末との通信確立ができない)を満たすと、初期状態S1に移行する。制御部17は、条件C4(所定時間内に他の端末との通信確立が成功する)を満たすと、スタンバイ状態S3に移行する。
【0030】
(スタンバイ状態S3)
制御部17は、スタンバイ状態S3のとき、待機する。また、制御部17は、スタンバイ状態S3であることを、通知部15を第1色で点灯させて通知する。制御部17は、条件C5(入力部13にユーザからの所定の操作パターンの操作が入力される、または、他の端末からの振動要求を通信部16が受信する)を満たすと、意思疎通状態S4に移行する。
【0031】
(意思疎通状態S4)
制御部17は、意思疎通状態S4のとき、以下の(1)と(2)の動作を行う。また、制御部17は、意思疎通状態S4であることを、通知部15を第2色(例えば、白色)で点灯させて通知する。
(1)入力部13に入力された操作パターンに対応する振動要求を他の端末に送信する。
(2)通信部16が受信した他の端末からの振動要求に対応する振動パターンで振動部14を振動させる。
【0032】
制御部17は、意思疎通状態S4のとき、条件C6(自端末から他の端末に振動要求を送信してから、所定時間内に他の端末からの振動要求を受信しない)を満たした場合、スタンバイ状態S3に移行する。
【0033】
また、制御部17は、意思疎通状態S4のとき、条件C7(他の端末からの振動要求を受信してから、所定時間内に自端末から他の端末に振動要求を送信しない)を満たした場合、履歴通知状態S5に移行する。
【0034】
(履歴通知状態S5)
制御部17は、履歴通知状態S5のとき、受信した他の端末からの振動要求のうち最新の振動要求に対応する発光パターンを第2色で通知部15に点滅させる。
【0035】
制御部17は、履歴通知状態S5のとき、条件C8(入力部13にユーザからの所定の操作が入力される)を満たした場合、スタンバイ状態S3に移行する。
【0036】
以上が起動から終了までの一連の制御部17の制御フローである。
【0037】
本開示のコミュニケーションシステムSYの利用例をいくつか挙げる。
【0038】
(利用例1)
利用例1は、コミュニケーション端末D1を持つ親が公園のベンチで待ち、コミュニケーション端末D2を持つ子供が公園で遊んでいるシーンを想定したものである。
【0039】
公園のベンチで待つ親は、子供に対し遊びをやめて親の元に帰ってくることを伝えるため、コミュニケーション端末D1から振動要求をコミュニケーション端末D2に送信する。例えば、このとき親は、コミュニケーション端末D1から「トン・トン・トン」という3つの連続した振動パターンの振動要求をコミュニケーション端末D2に送信する。
【0040】
一方で、公園で遊ぶ子供は、コミュニケーション端末D2が振動することによって、親の元に帰ってくるように要求されたことを認識し、それを了解したことを親に伝えるため、コミュニケーション端末D2から振動要求をコミュニケーション端末D1に送信する。例えば、このとき子は、コミュニケーション端末D2から「トン」という1つの振動パターンの振動要求をコミュニケーション端末D1に送信する。
【0041】
(利用例2)
利用例2は、コミュニケーション端末D1を持つ母親と、コミュニケーション端末D2を持つ娘が、互いに遠方に住んでいるシーンを想定したものである。母親は、娘に対し元気にしているか返事がほしいことを伝えるため、コミュニケーション端末D1から振動要求をコミュニケーション端末D2に送信する。一方で、娘は、母親に対し元気にしていることを母親に伝えるため、コミュニケーション端末D2から振動要求をコミュニケーション端末D1に送信する。
【0042】
これらのコミュニケーションシーンにおいて、振動を送り合うという簡素なコミュニケーションによって成り立つため、意思疎通における心理的負荷が少ない。
【0043】
以上が、本開示のコミュニケーションシステムSYの構成である。本開示のコミュニケーションシステムSYは、以下の変更をしてもよい。
【0044】
制御部17は、履歴通知状態S5のときに、振動部14に振動させる振動パターンに対応する発光パターンで通知部15に点滅させることにより、通知部15に振動パターンを通知したが、これに限らない。例えば、制御部17は、意思疎通状態S4のときに、振動パターンに対応する発光パターンで通知部15に点滅させてもよい。
【0045】
制御部17は、振動パターンを通知部15の同じ色の発光パターンにより通知したが、これに限らない。制御部17は、振動パターンを複数のカテゴリに分類し、カテゴリ毎に異なる色の発光色の発光パターンで通知してもよい。例えば、「トン・トン・トン」という3つの連続した振動パターンを緊急度の高いカテゴリAに分類し対応する発光色を赤色とし、「トン・トン」という2つの連続した振動パターンを緊急度が中程度のカテゴリBに分類し対応する発光色を黄色とし、「トン」という1つの振動パターンを緊急度が低いカテゴリCに分類し対応する発光色を青色とする。
【符号の説明】
【0046】
SY …コミュニケーションシステム
D1,D2 …コミュニケーション端末
11,22 …電源部
12,22 …電源スイッチ
13,23 …入力部
14,24 …振動部
15,25 …通知部
16,26 …通信部
17,27 …制御部
S …稼働状態
S1 …初期状態
S2 …通信確立待ち状態
S3 …スタンバイ状態
S4 …意思疎通状態
S5 …履歴通知状態