(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168976
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】多関節ロボット、多関節ロボットの制御方法、ロボットシステム、及び、物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B25J 9/06 20060101AFI20241128BHJP
B25J 19/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B25J9/06 B
B25J19/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086117
(22)【出願日】2023-05-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1:令和4年10月24日 ローレルバンクマシン株式会社のウェブサイト https://www.lbm.co.jp/news/2022/1024/ 2:令和4年10月31日 アペルザTVのウェブサイト https://tv.aperza.com/watch/829 3:令和4年10月31日 PR TIMESのウェブサイト https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000105949.html 4:令和4年10月31日 @Pressのウェブサイト https://www.atpress.ne.jp/news/332637 5:令和4年11月8日~13日 JIMTOF2022(第31回日本国際工作機械見本市) 東京ビッグサイト(東京都江東区有明3-11-1) 6:令和4年11月25日 アペルザカタログのウェブサイト https://rd.tr.aperza.com/v1/tmc?a=ntxO7uPnkyk9hYnCUVQInACaE5m7MPV%2F3zdASCJy1TAo6LqYlmtDnUMBT9TeTbPUxhzZML8KK043NmajLjvh33CHB4kQHk4ZgWsIz2mHUdw%3D&b=&url_id=5&test=on 7:令和5年4月27日 ローレルバンクマシン株式会社のウェブサイト https://www.lbm.co.jp/news/2023/0426/ 8:令和5年4月27日 PR TIMESのウェブサイト https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000105949.html 9:令和5年5月10日~12日 未来ものつくり国際EXPO インデックス大阪(大阪市住之江区南港北1-5-102)
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】繁田 知秀
(72)【発明者】
【氏名】田中 亮
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS12
3C707CT05
3C707CV02
3C707CV08
3C707CW02
3C707CW08
3C707CX01
3C707CY03
3C707CY06
3C707CY10
3C707CY12
3C707CY31
3C707DS01
3C707HS27
3C707HT20
3C707KV01
(57)【要約】
【課題】ロボットの姿勢が変化しても、電力をモータに確実に供給する。
【解決手段】ロボット10は、方向De1に沿って関節機構JEr3を移動させる関節機構JEp1と、方向De2に沿ってリンクLK2を関節機構JEr3に対して移動させる関節機構JEp2と、関節機構JEr3、JEp1及びJEp2をそれぞれ駆動するモータMOr3、MOp1及びMOp2に電力を供給するためのケーブルCBLと、リンクLK1及びLK2にそれぞれ固定された固定支持部Sf1及びSF2と、モータMOr3の位置の変化に応じて、方向De1に沿って移動する移動支持部Sm1、及び、方向De2に沿って移動する移動支持部Sm2と、を有する。ケーブルCBLのうち、モータMOp1及びMOr3間の部分が固定支持部Sf1及び移動支持部Sm1により支持され、モータMOr3及びMOp2間の部分が固定支持部Sf2及び移動支持部Sm2により支持される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
先端部と、
第1リンク及び第2リンクを含み、前記基部と前記先端部を接続する複数のリンクと、
前記第1リンクと前記第2リンクを接続し、前記第1リンクが延在する第1方向とのなす角度が所定の角度より大きい軸を第1回転軸として前記第2リンクを前記第1リンクに対して回転させる第1駆動機構と、
前記第1方向に沿って、前記第1駆動機構を前記第1リンクに対して相対的に移動させる第1移動機構と、
前記第2リンクが延在する第2方向に沿って、前記第2リンクを前記第1駆動機構に対して相対的に移動させる第2移動機構と、
前記第1駆動機構と一緒に移動し、前記第1駆動機構を駆動する第1モータと、
前記第1移動機構を駆動する第2モータと、
前記第2移動機構を駆動する第3モータと、
前記第1モータ、前記第2モータ及び前記第3モータに電力を供給するためのケーブルと、
前記第1リンクに固定され、前記ケーブルを支持する第1固定支持部と、
前記第2モータに対する前記第1モータの位置の変化に応じて前記第1方向に沿って移動し、前記ケーブルを支持する第1移動支持部と、
前記第2リンクに固定され、前記ケーブルを支持する第2固定支持部と、
前記第3モータに対する前記第1モータの位置の変化に応じて前記第2方向に沿って移動し、前記ケーブルを支持する第2移動支持部と、
を備え、
前記ケーブルのうち、前記第2モータと前記第1モータとの間の部分が、前記第1固定支持部及び前記第1移動支持部により支持され、
前記ケーブルのうち、前記第1モータと前記第3モータとの間の部分が、前記第2固定支持部及び前記第2移動支持部により支持される、
ことを特徴とする多関節ロボット。
【請求項2】
前記基部の底面に垂直な方向とのなす角度が前記所定の角度以下の軸を第2回転軸として、前記基部の少なくとも一部分を回転させる第2駆動機構と、
前記基部と前記第1リンクを接続し、前記基部の底面に垂直な方向とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第3回転軸として前記第1リンクを回転させる第3駆動機構と、
前記第2リンクと前記先端部を接続し、前記先端部を前記第2リンクに対して回転させる第4駆動機構と、
前記ケーブルを介して電力が供給され、前記第2駆動機構を駆動する第4モータと、
前記ケーブルを介して電力が供給され、前記第3駆動機構を駆動する第5モータと、
前記ケーブルを介して電力が供給され、前記第4駆動機構を駆動する第6モータと、
をさらに備え、
前記ケーブルは、
前記第4モータ、前記第5モータ、前記第2モータ、前記第1モータ、前記第3モータ及び前記第6モータに、前記第4モータ、前記第5モータ、前記第2モータ、前記第1モータ、前記第3モータ及び前記第6モータの順に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の多関節ロボット。
【請求項3】
第7モータ及び第8モータをさらに備え、
前記第4駆動機構は、
前記第2方向とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第4回転軸として、前記先端部を前記第2リンクに対して回転させ、
前記先端部は、
前記第2リンクに接続される第1部分と、
前記第1部分に接続される第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分を接続し、前記第4回転軸とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第5回転軸として、前記第2部分を前記第1部分に対して回転させる第5駆動機構と、
前記第5回転軸とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第6回転軸として、前記先端部のうちエンドエフェクタが取り付けられる部分を回転させる第6駆動機構と、
を含み、
前記第7モータは、
前記ケーブルを介して電力が供給され、前記第5駆動機構を駆動し、
前記第8モータは、
前記ケーブルを介して電力が供給され、前記第6駆動機構を駆動し、
前記ケーブルは、
前記第4モータ、前記第5モータ、前記第2モータ、前記第1モータ、前記第3モータ、前記第6モータ、前記第7モータ及び前記第8モータに、前記第4モータ、前記第5モータ、前記第2モータ、前記第1モータ、前記第3モータ、前記第6モータ、前記第7モータ及び前記第8モータの順に接続される、
ことを特徴とする請求項2に記載の多関節ロボット。
【請求項4】
第7モータ及び第8モータをさらに備え、
前記第4駆動機構は、
前記第2方向とのなす角度が前記所定の角度以下の軸を第4回転軸として、前記先端部を前記第2リンクに対して回転させ、
前記先端部は、
前記第2リンクに接続される第1部分と、
前記第1部分に接続される第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分を接続し、前記第4回転軸とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第5回転軸として、前記第2部分を前記第1部分に対して回転させる第5駆動機構と、
前記第5回転軸とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第6回転軸として、前記先端部のうちエンドエフェクタが取り付けられる部分を回転させる第6駆動機構と、
を含み、
前記第7モータは、
前記ケーブルを介して電力が供給され、前記第5駆動機構を駆動し、
前記第8モータは、
前記ケーブルを介して電力が供給され、前記第6駆動機構を駆動し、
前記ケーブルは、
前記第4モータ、前記第5モータ、前記第2モータ、前記第1モータ、前記第3モータ、前記第6モータ、前記第7モータ及び前記第8モータに、前記第4モータ、前記第5モータ、前記第2モータ、前記第1モータ、前記第3モータ、前記第6モータ、前記第7モータ及び前記第8モータの順に接続される、
ことを特徴とする請求項2に記載の多関節ロボット。
【請求項5】
前記第1リンクに固定され、前記第1移動支持部を支持し、前記第1方向に沿って伸縮する第1弾性部材と、
前記第2リンクに固定され、前記第2移動支持部を支持し、前記第2方向に沿って伸縮する第2弾性部材と、
をさらに備え、
前記第1固定支持部は、
前記第1リンクに固定された滑車であり、
前記第2固定支持部は、
前記第2リンクに固定された滑車であり、
前記第1移動支持部は、
前記第1弾性部材により懸架された滑車であり、
前記第2移動支持部は、
前記第2弾性部材により懸架された滑車である、
ことを特徴とする請求項1に記載の多関節ロボット。
【請求項6】
前記第1固定支持部は、
前記第1リンクの2つの端部のうちの前記基部に近い端部に固定され、
前記第1移動支持部は、
前記第1リンクの前記2つの端部のうちの前記基部から遠い端部から、前記第1弾性部材により吊り下げられ、
前記第2固定支持部は、
前記第2リンクの2つの端部のうちの前記先端部から遠い端部に固定され、
前記第2移動支持部は、
前記第2リンクの前記2つの端部のうちの前記先端部に近い端部から、前記第2弾性部材により吊り下げられている、
ことを特徴とする請求項5に記載の多関節ロボット。
【請求項7】
請求項1に記載の多関節ロボットの制御方法であって、
前記多関節ロボットの動作を制御する制御装置は、
前記第1モータ、前記第2モータ及び前記第3モータを制御することにより、前記多関節ロボットの動作を制御する、
ことを特徴とする多関節ロボットの制御方法。
【請求項8】
請求項1に記載の多関節ロボットと、
前記先端部に取り付けられたエンドエフェクタと、
前記多関節ロボット及び前記エンドエフェクタの動作を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記第1モータ、前記第2モータ及び前記第3モータに前記ケーブルを介して電力を供給し、前記第1モータ、前記第2モータ及び前記第3モータを制御することにより、前記多関節ロボットの動作を制御する、
ことを特徴とするロボットシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のロボットシステムにより、部品を組み付ける、又は、部品を取り除く、
ことを特徴とする物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多関節ロボット、多関節ロボットの制御方法、ロボットシステム、及び、物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人と同様の動作を行うロボットとして、多関節ロボットが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、多関節ロボットの各関節を駆動するモータには、例えば、ロボットの基部からロボットの筐体の内部又は筐体に沿って配置された有線ケーブルを用いて、電力供給装置から電力が供給される。多関節ロボットでは、ロボットの姿勢が様々に変化するため、ロボットの姿勢が変化しても、電力をモータに確実に供給できるようにケーブルを配置する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の好適な態様に係る多関節ロボットは、基部と、先端部と、第1リンク及び第2リンクを含み、前記基部と前記先端部を接続する複数のリンクと、前記第1リンクと前記第2リンクを接続し、前記第1リンクが延在する第1方向とのなす角度が所定の角度より大きい軸を第1回転軸として前記第2リンクを前記第1リンクに対して回転させる第1駆動機構と、前記第1方向に沿って、前記第1駆動機構を前記第1リンクに対して相対的に移動させる第1移動機構と、前記第2リンクが延在する第2方向に沿って、前記第2リンクを前記第1駆動機構に対して相対的に移動させる第2移動機構と、前記第1駆動機構と一緒に移動し、前記第1駆動機構を駆動する第1モータと、前記第1移動機構を駆動する第2モータと、前記第2移動機構を駆動する第3モータと、前記第1モータ、前記第2モータ及び前記第3モータに電力を供給するためのケーブルと、前記第1リンクに固定され、前記ケーブルを支持する第1固定支持部と、前記第2モータに対する前記第1モータの位置の変化に応じて前記第1方向に沿って移動し、前記ケーブルを支持する第1移動支持部と、前記第2リンクに固定され、前記ケーブルを支持する第2固定支持部と、前記第3モータに対する前記第1モータの位置の変化に応じて前記第2方向に沿って移動し、前記ケーブルを支持する第2移動支持部と、を備え、前記ケーブルのうち、前記第2モータと前記第1モータとの間の部分が、前記第1固定支持部及び前記第1移動支持部により支持され、前記ケーブルのうち、前記第1モータと前記第3モータとの間の部分が、前記第2固定支持部及び前記第2移動支持部により支持される。
【0006】
本発明の好適な態様に係る多関節ロボットの制御方法は、上述の多関節ロボットの制御方法であって、前記多関節ロボットの動作を制御する制御装置は、前記第1モータ、前記第2モータ及び前記第3モータを制御することにより、前記多関節ロボットの動作を制御する。
【0007】
本発明の好適な態様に係るロボットシステムは、上述の多関節ロボットと、前記先端部に取り付けられたエンドエフェクタと、前記多関節ロボット及び前記エンドエフェクタの動作を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記第1モータ、前記第2モータ及び前記第3モータに前記ケーブルを介して電力を供給し、前記第1モータ、前記第2モータ及び前記第3モータを制御することにより、前記多関節ロボットの動作を制御する。
【0008】
本発明の好適な態様に係る物品の製造方法は、上述のロボットシステムにより、部品を組み付ける、又は、部品を取り除く。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ロボットの姿勢が変化しても、電力をモータに確実に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係るロボットシステムの概要を説明するための説明図である。
【
図2】関節機構の一例を説明するための説明図である。
【
図3】
図1に示したロボットコントローラのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】ケーブルの配置の概要を説明するための説明図である。
【
図5】2つのリンクの一方におけるケーブルの配置を説明するための説明図である。
【
図6】2つのリンクの他方におけるケーブルの配置を説明するための説明図である。
【
図7】2つのリンクの各々の延在方向に沿って移動可能な関節機構を駆動するモータの周辺の配置を説明するための説明図である。
【
図8】第1変形例に係る先端部の一例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0012】
[1.実施形態]
先ず、
図1を参照しながら、実施形態に係るロボットシステム1の概要の一例について説明する。なお、
図1では、ロボット10の構成が模式的に示されている。
【0013】
図1は、実施形態に係るロボットシステム1の概要を説明するための説明図である。
【0014】
ロボットシステム1は、例えば、ロボット10と、ロボット10に着脱可能に取り付けられるエンドエフェクタ20と、ロボット10及びエンドエフェクタ20の動作を制御するロボットコントローラ30とを有する。ロボット10は、「多関節ロボット」の一例であり、ロボットコントローラ30は、「制御装置」の一例である。
【0015】
ロボット10及びロボットコントローラ30は、例えば、ケーブルCBLを用いた接続により、互いに通信可能に接続されている。例えば、ロボット10を駆動するための電力、及び、ロボット10を制御するための制御信号が、ロボットコントローラ30からケーブルCBLを介してロボット10に供給される。なお、ロボット10とロボットコントローラ30との接続は、有線及び無線の両方を用いた接続であってもよい。例えば、ロボットコントローラ30からケーブルCBLを介してロボット10に電力が供給され、ロボットコントローラ30からロボット10に無線通信により制御信号が供給されてもよい。本実施形態では、電力及び制御信号がロボットコントローラ30からケーブルCBLを介してロボット10に供給される場合を想定する。また、ロボットコントローラ30は、ロボット10に取り付けられたエンドエフェクタ20と通信可能である。ロボットコントローラ30としては、他の装置と通信可能な任意の情報処理装置を採用することができる。なお、ロボットコントローラ30の構成は、後述する
図3において説明される。
【0016】
ロボット10は、例えば、農場、工場及び倉庫等での作業に用いられる多関節ロボットである。具体的には、ロボット10は、回転関節に対応する6つの関節機構JEr(JEr1、JEr2、JEr3、JEr4、JEr5及びJEr6)を有する6軸多関節ロボットに、直動関節に対応する2つの関節機構JEp(JEp1及びJEp2)を追加した8軸多関節ロボットである。例えば、ロボット10は、6つの関節機構JErと、2つの関節機構JEpと、ボディ部BDPと、2つのリンクLK(LK1及びLK2)と、先端部TP1とを有する。なお、
図1に示す例では、関節機構JEr1は、ボディ部BDPに含まれ、関節機構JEr5及びJEr6は、先端部TP1に含まれる。また、関節機構JEp1は、リンクLK1に設けられ、関節機構JEp2は、リンクLK2に設けられる。以下では、関節機構JEr及びJEpは、特に区別せずに、関節機構JEとも称される。例えば、ロボット10は、複数の関節機構JEを駆動する複数のモータMO(
図2参照)をさらに有する。
図1では、図を見やすくするために、複数の関節機構JEを駆動する複数のモータMO、複数のモータMOの各々に設けられる減速機及びエンコーダ等の記載を省略している。
【0017】
ボディ部BDPは、「基部」の一例である。また、リンクLK1は、「第1リンク」の一例であり、リンクLK2は、「第2リンク」の一例である。従って、リンクLK1及びLK2は、「複数のリンク」に該当する。例えば、リンクLK1及びLK2は、ボディ部BDPと先端部TP1を接続する。
【0018】
ここで、例えば、部材の接続は、2つの部材が直接的に接続される場合と、2つの部材が間接的に接続される場合との両方を含む。2つの部材が直接的に接続されるとは、2つの部材が互いに接触する状態、及び、2つの部材が互いに接触する状態と同視できる状態を含む。2つの部材が互いに接触する状態と同視できる状態とは、例えば、2つの部材の一方が他方に接着剤等により固定される状態である。また、2つの部材が間接的に接続されるとは、2つの部材の間に他の部材が配置されることを意味する。
【0019】
関節機構JEr1は、「第2駆動機構」の一例であり、関節機構JEr2は、「第3駆動機構」の一例である。関節機構JEr3は、「第1駆動機構」の一例であり、関節機構JEr4は、「第4駆動機構」の一例である。また、関節機構JEr5は、「第5駆動機構」の一例であり、関節機構JEr6は、「第6駆動機構」の一例である。また、関節機構JEp1は、「第1移動機構」の一例であり、関節機構JEp2は、「第2移動機構」の一例である。
【0020】
ボディ部BDPは、例えば、床等の所定の場所に固定される土台部BDPbaと、関節機構JEr2に接続される関節機構JEr1とを含む。関節機構JEr1は、ボディ部BDPの底面BDPbtに垂直な軸Ax1を回転軸として、ボディ部BDPの一部分を回転させる。例えば、関節機構JEr1は、関節機構JEr1のうち、関節機構JEr2と接続される部分を含む外壁を、軸Ax1を回転軸として土台部BDPbaに対して回転させる。すなわち、関節機構JEr1は、軸Ax1を回転軸として、関節機構JEr2をボディ部BDPに対して回転させる。なお、軸Ax1は、「第2回転軸」の一例である。
【0021】
ここで、「垂直」は、厳密な垂直だけではなく、実質的な垂直(例えば、誤差範囲内の垂直)も含む。同様に、後述する「平行」は、厳密な平行だけではなく、実質的な平行(例えば、誤差範囲内の平行)も含む。
図1の回転方向Dr1は、ボディ部BDPの一部分が軸Ax1を回転軸として回転する場合のボディ部BDPの一部分の回転方向を示す。
【0022】
関節機構JEr2は、ボディ部BDPとリンクLK1を接続し、ボディ部BDPの底面BDPbtに平行な軸Ax2を回転軸としてリンクLK1をボディ部BDPに対して回転させる。
図1の回転方向Dr2は、リンクLK1が軸Ax2を回転軸として回転する場合のリンクLK1の回転方向を示す。なお、軸Ax2は、「第3回転軸」の一例である。
【0023】
リンクLK1は、例えば、中空であり、長尺に形成される。また、リンクLK1は、リンクLK1が延在する方向De1に延在する開口Hlk1を有する。なお、方向De1は、「第1方向」の一例である。
【0024】
開口Hlk1は、例えば、リンクLK1のうち、リンクLK2に対向する部分を含む面に形成される。リンクLK1の内部には、関節機構JEr3の一部及び関節機構JEp1が設けられる。例えば、関節機構JEr3の一部は、リンクLK1の内部に位置し、関節機構JEr3の他の部分は、開口Hlk1からリンクLK1の外部に出ている。なお、関節機構JEr3のうち、リンクLK1の外部に出ている部分、又は、リンクLK1の外部に出ている部分の一部は、後述するリンクLK2の開口Hlk2を通り、リンクLK2の内部に位置する。
【0025】
なお、リンクLK1は、関節機構JEr1により、軸Ax1を回転軸としてボディ部BDPに対して回転し、関節機構JEr2により、軸Ax2を回転軸としてボディ部BDPに対して回転する。
【0026】
関節機構JEr3は、リンクLK1とリンクLK2を接続し、リンクLK1が延在する方向De1に垂直な軸Ax3を回転軸としてリンクLK2をリンクLK1に対して回転させる。
図1の回転方向Dr3は、リンクLK2が軸Ax3を回転軸として回転する場合のリンクLK2の回転方向を示す。なお、軸Ax3は、「第1回転軸」の一例である。
【0027】
関節機構JEp1は、方向De1に沿って、関節機構JEr3をリンクLK1に対して相対的に移動させる。関節機構JEr3が方向De1に沿って移動することにより、リンクLK2は、方向De1に沿って、リンクLK1に対して相対的に移動する。なお、
図1に示す例では、関節機構JEp1が関節機構JEr3を方向De1に沿って移動させる場合、リンクLK1の開口Hlk1の部分が、関節機構JEr3の移動可能な移動領域ARmv1に該当する。
【0028】
リンクLK2は、例えば、中空であり、長尺に形成される。また、リンクLK2は、リンクLK2が延在する方向De2に延在する開口Hlk2を有する。なお、方向De2は、「第2方向」の一例である。
【0029】
開口Hlk2は、例えば、リンクLK2のうち、リンクLK1に対向する部分を含む面に形成される。リンクLK2の内部には、関節機構JEr3の一部及び関節機構JEp2が設けられる。例えば、関節機構JEr3の一部は、リンクLK2の内部に位置し、関節機構JEr3の他の部分は、開口Hlk2からリンクLK2の外部に出ている。
【0030】
関節機構JEp2は、リンクLK2が延在する方向De2に沿って、リンクLK2を関節機構JEr3に対して相対的に移動させる。これにより、リンクLK2は、方向De2に沿って、関節機構JEr3に対して相対的に移動する。すなわち、リンクLK2は、方向De2に沿って、リンクLK1に対して相対的に移動する。
【0031】
このように、リンクLK2は、関節機構JEp1により、方向De1に沿って、リンクLK1に対して相対的に移動し、関節機構JEp2により、方向De2に沿って、リンクLK1に対して相対的に移動する。
【0032】
ここで、リンクLK2が関節機構JEr3に対して相対的に移動することは、関節機構JEr3がリンクLK2に対して相対的に移動することとも換言できる。従って、関節機構JEp2は、方向De2に沿って関節機構JEr3をリンクLK2に対して相対的に移動させる関節機構JEとも捉えられる。
図1に示す例では、関節機構JEp2が関節機構JEr3を方向De2に沿って移動させる場合、リンクLK2の開口Hlk2の部分が、関節機構JEr3の移動可能な移動領域ARmv2に該当する。
【0033】
関節機構JEr4は、リンクLK2と先端部TP1を接続し、方向De2に垂直な軸Ax4を回転軸として、先端部TP1をリンクLK2に対して回転させる。
図1の回転方向Dr4は、先端部TP1が軸Ax4を回転軸として回転する場合の先端部TP1の回転方向を示す。なお、軸Ax4は、「第4回転軸」の一例である。
【0034】
先端部TP1には、例えば、物品を把持するエンドエフェクタ20が取り付けられる。例えば、先端部TP1の端面TP1sfにエンドエフェクタ20が取り付けられる。先端部TP1は、リンクLK2に接続される第1部分TP11と、第1部分TP11に接続される第2部分TP12と、関節機構JEr5と、関節機構JEr6とを含む。第1部分TP11は、例えば、関節機構JEr4を介してリンクLK2に接続される。従って、第1部分TP11は、軸Ax4を回転軸としてリンクLK2に対して回転する。
【0035】
関節機構JEr5は、第1部分TP11と第2部分TP12を接続し、軸Ax4に垂直な軸Ax5を回転軸として、第2部分TP12を第1部分TP11に対して回転させる。
図1の回転方向Dr5は、第2部分TP12が軸Ax5を回転軸として回転する場合の第2部分TP12の回転方向を示す。なお、軸Ax5は、「第5回転軸」の一例である。
【0036】
関節機構JEr6は、軸Ax5に垂直な軸Ax6を回転軸として、先端部TP1の少なくとも一部分を回転させる。
図1に示す例では、関節機構JEr6は、軸Ax6を回転軸として、先端部TP1の端面TP1sfを回転させる。すなわち、関節機構JEr6は、軸Ax6を回転軸として、先端部TP1のうち、エンドエフェクタ20が取り付けられる部分(端面TP1sf)を回転させる。
図1の回転方向Dr6は、端面TP1sfが軸Ax6を回転軸として回転する場合の端面TP1sfの回転方向を示す。なお、軸Ax6は、「第6回転軸」の一例である。
【0037】
図1に示す例では、関節機構JEr6の表面が端面TP1sfに該当する。なお、関節機構JEr6が第2部分TP12に含まれる構成等では、第2部分TP12の端面が端面TP1sfであってもよい。
【0038】
また、エンドエフェクタ20により行われる作業は、物品の把持に限定されない。エンドエフェクタ20としては、ロボット10の作業目的に応じて適切な部品(例えば、ロボットハンド及びロボットフィンガー等)を適用することができる。すなわち、各種作業に適したエンドエフェクタ20が先端部TP1に取り付けられる。
【0039】
ここで、本実施形態では、特定の方向とのなす角度が所定の角度より大きい軸を回転軸とした回転を、特定の方向とのなす角度が所定の角度以下の軸を回転軸とした回転と区別して、「旋回」と称する場合がある。所定の角度は、例えば、45°であってもよい。なお、所定の角度は、45°に限定されない。
【0040】
例えば、軸Ax1及びAx2の各々を回転軸とする回転では、ボディ部BDPの底面BDPbtに垂直な方向Dv1が特定の方向に該当する。この場合、軸Ax1は、ボディ部BDPの底面BDPbtに垂直な方向Dv1とのなす角度が所定の角度以下の軸に該当し、軸Ax2は、方向Dv1とのなす角度が所定の角度より大きい軸に該当する。従って、軸Ax2を回転軸とするリンクLK1の回転は、旋回に該当する。なお、本実施形態では、ボディ部BDPが底面BDPbtに垂直な方向Dv1に沿って延在しているため、ボディ部BDPが延在する方向Debを特定の方向としてもよい。
【0041】
また、軸Ax3を回転軸とする回転では、リンクLK1が延在する方向De1が特定の方向に該当し、軸Ax4を回転軸とする回転では、リンクLK2が延在する方向De2が特定の方向に該当する。この場合、軸Ax3は、リンクLK1が延在する方向De1とのなす角度が所定の角度より大きい軸に該当し、軸Ax4は、リンクLK2が延在する方向De2とのなす角度が所定の角度より大きい軸に該当する。従って、軸Ax3を回転軸とするリンクLK2の回転、及び、軸Ax4を回転軸とする第1部分TP11の回転は、旋回に該当する。
【0042】
また、軸Ax5を回転軸とする回転では、方向De11が特定の方向に該当し、軸Ax6を回転軸とする回転では、方向De12が特定の方向に該当する。方向De11は、第1部分TP11の端部のうち、関節機構JEr5が接続される所定の端部の反対側の端部から所定の端部に向かう方向である。なお、方向De11は、第1部分TP11が延在する方向と捉えられてもよい。また、方向De12は、第2部分TP12の端部のうち、関節機構JEr6が接続される所定の端部(端面TP1sfを含む端部)の反対側の端部から所定の端部に向かう方向である。なお、方向De12は、第2部分TP12が延在する方向と捉えられてもよい。
【0043】
方向De11が特定の方向である場合、軸Ax5は、方向De11とのなす角度が所定の角度以下の軸に該当する。また、方向De12が特定の方向である場合、軸Ax6は、方向De12とのなす角度が所定の角度以下の軸に該当する。なお、本実施形態では、方向De11が軸Ax4に垂直な方向であり、方向De12が軸Ax5に垂直な方向である場合を想定する。この場合、方向De11とのなす角度が所定の角度以下の軸Ax5は、軸Ax4とのなす角度が所定の角度より大きい軸に該当し、方向De12とのなす角度が所定の角度以下の軸Ax6は、軸Ax5とのなす角度が所定の角度より大きい軸に該当する。
【0044】
このように、本実施形態では、ロボット10の複数の部分(ボディ部BDP、リンクLK1、リンクLK2及び先端部TP1等)の各々が軸Ax1、Ax2、Ax3、Ax4、Ax5及びAx6の各々を回転軸として回転可能である。これにより、本実施形態では、ロボット10は、人と同様の動作を実行できる。
【0045】
例えば、関節機構JEr2と関節機構JEr3との間のリンクLK1が上腕に相当し、関節機構JEr3と関節機構JEr4との間のリンクLK2が前腕に相当する。そして、ロボット10は、関節機構JEr1により、人の腰のねじりを模した動作を行うことができ、関節機構JEr2により、肩の旋回を模した動作を行うことができる。また、ロボット10は、関節機構JEr3により、肘の旋回を模した動作を行うことができ、関節機構JEr4により、手首の旋回を模した動作を行うことができる。また、ロボット10は、関節機構JEr5により、手首のねじりを模した動作を行うことができ、関節機構JEr6により、指先のねじりを模した動作を行うことができる。
【0046】
さらに、本実施形態では、リンクLK1内に設けられた関節機構JEp1により、リンクLK1が延在する方向De1に沿って、リンクLK2をリンクLK1に対して相対的に移動させることができる。また、本実施形態では、リンクLK2内に設けられた関節機構JEp2により、リンクLK2が延在する方向De2に沿って、リンクLK2をリンクLK1に対して相対的に移動させることができる。従って、本実施形態では、関節機構JEp1及びJEp2により、ロボット10の先端部TP1をボディ部BDPの周辺に容易に移動させることができる。また、本実施形態では、関節機構JEp1及びJEp2により、先端部TP1(より詳細には、端面TP1sf)が到達可能な領域を広くすることができるため、ロボット10に取り付けられるエンドエフェクタ20が到達可能な領域を広くすることができる。
【0047】
なお、ロボットシステム1の構成は、
図1に示す例に限定されない。例えば、ロボットコントローラ30は、ロボット10に内蔵されてもよい。また、
図1では、ロボット10が床等の所定の場所に固定される場合を想定したが、ロボット10は、所定の場所に固定されずに、ロボット10自体が移動可能であってもよい。また、ボディ部BDPの土台部BDPbaは、床等の所定の場所に関節機構JEr1を介して固定されてもよい。この場合、ボディ部BDPは、関節機構JEr1を含まずに定義されてもよい。土台部BDPbaが所定の場所に関節機構JEr1を介して固定される構成では、関節機構JEr1は、軸Ax1を回転軸として、土台部BDPbaを回転させてもよい。また、土台部BDPbaが所定の場所に関節機構JEr1を介して固定される構成では、土台部BDPbaが関節機構JEr2と接続されてもよい。
【0048】
次に、
図2を参照しながら、関節機構JEp1及びJEp2の一例について説明する。
【0049】
図2は、関節機構JEの一例を説明するための説明図である。
図2では、関節機構JEp1及びJEp2と関節機構JEr3とを中心に説明する。なお、
図2では、関節機構JEp1及びJEp2等の構成が模式的に示されている。また、
図2では、図を見やすくするために、モータMO(MOr1、MOr2、MOr3、MOr4、MOr5、MOr6、MOp1及びMOp2)に電力を供給するためのケーブルCBLの記載を省略している。
【0050】
本実施形態では、関節機構JEr3を駆動するモータMOr3が関節機構JEr3と一体的に移動する場合を想定する。すなわち、モータMOr3は、関節機構JEr3と一緒に移動する。例えば、モータMOr3は、関節機構JEr3に固定されてもよい。モータMOr3は、「第1モータ」の一例である。先ず、関節機構JEp1について説明する。
【0051】
関節機構JEp1、及び、関節機構JEp1を駆動するモータMOp1は、リンクLK1の内部に配置される。例えば、モータMOp1は、リンクLK1の2つの端部LK1ed(LK1ed1及びLK1ed2)のうち、ボディ部BDPに近い端部LK1ed1において、リンクLK1の内部に取り付けられている。モータMOp1は、「第2モータ」の一例である。なお、端部LK1ed2は、リンクLK1の2つの端部LK1edのうち、ボディ部BDPから遠い端部LK1edである。
【0052】
関節機構JEp1は、例えば、方向De1に沿って延在するねじ部JEp11と、ナットJEp12と、接続部JEp13と、レールJEp14とを含む。
【0053】
ねじ部JEp11の一端は、モータMOp1に取り付けられる。例えば、ねじ部JEp11は、ねじ部JEp11の中心軸(方向De1に沿う中心軸)がモータMOp1の回転軸と一致するようにモータMOp1に取り付けられ、ナットJEp12に挿通される。そして、ねじ部JEp11は、モータMOp1の回転に伴い、方向De1に沿う中心軸を回転軸として回転する。
【0054】
接続部JEp13は、例えば、方向De1に沿って移動可能にレールJEp14に接続されるスライダー部JEp13aと、ナットJEp12及びモータMOr3を支持する支持部JEp13bとを含む。例えば、ナットJEp12は、ねじ部JEp11と一緒に回転しないように、支持部JEp13bに固定されている。また、モータMOr3は、モータMOr3自体が回転しないように、支持部JEp13bに固定されている。
【0055】
なお、スライダー部JEp13aと支持部JEp13bとは、厳密に区別されなくてもよい。例えば、スライダー部JEp13aにモータMOr3が固定されてもよい。また、ナットJEp12は、支持部JEp13bを介さずにモータMOr3に固定されてもよい。すなわち、ナットJEp12は、関節機構JEr3に対するナットJEp12の相対的な位置が変化しないように、接続部JEp13等に接続されていればよい。このように、ナットJEp12は、接続部JEp13等を介して関節機構JEr3に接続される。
【0056】
レールJEp14は、方向De1に沿って延在し、互いに平行に配置された2つの棒状部材JEp14a及びJEp14bを含む。棒状部材JEp14a及びJEp14bとスライダー部JEp13aとの各々の形状は、棒状部材JEp14a及びJEp14bがスライダー部JEp13aを移動可能に支持できれば、特に限定されない。すなわち、レールJEp14の形状は、接続部JEp13を移動可能に支持できれば、特に限定されない。レールJEp14は、例えば、軸Ax2に沿う方向において、開口Hlk1とねじ部JEp11との間に配置され、リンクLK1の内部に取り付けられている。なお、レールJEp14は、関節機構JEr3の一部が開口Hlk1から出ている状態で、関節機構JEr3が方向De1に沿って移動可能であれば、軸Ax2に沿う方向において、開口Hlk1とねじ部JEp11との間に配置されなくてもよい。
【0057】
ナットJEp12は、ねじ部JEp11と一緒に回転しないように接続部JEp13に固定されているため、ねじ部JEp11の回転に伴い、方向De1に沿って、ねじ部JEp11に対して相対的に移動する。ナットJEp12は、上述したように、関節機構JEr3に対する相対的な位置が変化しないように、接続部JEp13等に固定されている。すなわち、関節機構JEr3は、ナットJEp12と一緒に、方向De1に沿って移動する。例えば、関節機構JEr3は、ナットJEp12の移動に伴い、リンクLK1に対して相対的に移動する。このように、関節機構JEp1は、関節機構JEr3を移動可能に支持する。関節機構JEr3の移動領域ARmv1(移動範囲)は、リンクLK1の端部LK1ed2よりも端部LK1ed1に近い領域から、端部LK1ed1よりも端部LK1ed2に近い領域まで移動可能であることが好ましい。これにより、リンクLK1の実質的な長さ(制御上の長さ)を、リンクLK1の半分以下の長さから半分以上の長さとすることが可能となる。リンクLK1の実質的な長さは、例えば、端部LK1ed1(例えば、リンクLK1と軸Ax2との交点)から関節機構JEr3(より正確には、軸Ax3)までの方向De1に沿う長さである。
【0058】
ここで、ナットJEp12の移動方向、すなわち、関節機構JEr3の移動方向は、モータMOp1の回転方向を切り替えることにより、方向De1と方向De1の反対方向との間で切り替わる。例えば、モータMOp1の回転が第1の回転方向の回転である場合、ナットJEp12は、方向De1に移動し、モータMOp1の回転が第1の回転方向の回転に対して逆回転となる第2の回転方向の回転である場合、ナットJEp12は、方向De1の反対方向に移動する。次に、関節機構JEp2について説明する。
【0059】
関節機構JEp2、及び、関節機構JEp2を駆動するモータMOp2は、リンクLK2の内部に配置される。例えば、モータMOp2は、リンクLK2の2つの端部LK2ed(LK2ed1及びLK2ed2)のうち、先端部TP1から遠い端部LK2ed1において、リンクLK2の内部に取り付けられている。モータMOp2は、「第3モータ」の一例である。なお、端部LK2ed2は、リンクLK2の2つの端部LK2edのうち、先端部TP1に近い端部LK2edである。
【0060】
関節機構JEp2は、例えば、方向De2に沿って延在するねじ部JEp21と、ナットJEp22と、接続部JEp23と、レールJEp24とを含む。
【0061】
ねじ部JEp21の一端は、モータMOp2に取り付けられる。例えば、ねじ部JEp21は、ねじ部JEp21の中心軸(方向De2に沿う中心軸)がモータMOp2の回転軸と一致するようにモータMOp2に取り付けられ、ナットJEp22に挿通される。そして、ねじ部JEp21は、モータMOp2の回転に伴い、方向De2に沿う中心軸を回転軸として回転する。
【0062】
接続部JEp23は、例えば、レールJEp24に対して方向De2に沿って相対的に移動可能に接続されるスライダー部JEp23aと、ナットJEp22及び関節機構JEr3を支持する支持部JEp23bとを含む。例えば、ナットJEp22は、ねじ部JEp21と一緒に回転しないように、支持部JEp23bに固定されている。また、支持部JEp23bは、モータMOr3の回転に伴い、軸Ax3(
図2には図示せず)を回転軸として回転するように、関節機構JEr3に接続されている。すなわち、関節機構JEr3は、モータMOr3の回転に伴い、軸Ax3を回転軸として支持部JEp23bを回転させる。
【0063】
なお、スライダー部JEp23aと支持部JEp23bとは、厳密に区別されなくてもよい。例えば、スライダー部JEp23aに関節機構JEr3が接続されてもよい。また、ナットJEp22は、スライダー部JEp23aに固定されてもよい。すなわち、ナットJEp22は、関節機構JEr3に対する相対的な位置が変化しないように、接続部JEp23等に接続されていればよい。このように、ナットJEp22は、接続部JEp23等を介して関節機構JEr3に接続される。
【0064】
レールJEp24は、方向De2に沿って延在し、互いに平行に配置された2つの棒状部材JEp24a及びJEp24bを含む。棒状部材JEp24a及びJEp24bとスライダー部JEp23aとの各々の形状は、棒状部材JEp24a及びJEp24bがスライダー部JEp23aを移動可能に支持できれば、特に限定されない。すなわち、レールJEp24の形状は、接続部JEp23を移動可能に支持できれば、特に限定されない。レールJEp24は、例えば、軸Ax2に沿う方向において、開口Hlk2とねじ部JEp21との間に配置され、リンクLK2の内部に取り付けられている。なお、レールJEp24は、関節機構JEr3の一部が開口Hlk2から出ている状態で、関節機構JEr3が方向De2に沿って移動可能であれば、軸Ax2に沿う方向において、開口Hlk2とねじ部JEp21との間に配置されなくてもよい。
【0065】
ナットJEp22は、ねじ部JEp21と一緒に回転しないように接続部JEp23に固定されているため、ねじ部JEp21の回転に伴い、方向De2に沿って、ねじ部JEp21に対して相対的に移動する。ナットJEp22は、上述したように、関節機構JEr3に対する相対的な位置が変化しないように、接続部JEp23等に固定されている。また、関節機構JEr3は、ねじ部JEp11が回転していない場合、すなわち、モータMOp1が回転していない場合、関節機構JEp1により、リンクLK1に対する関節機構JEr3の相対的な位置が変化しないように支持される。このため、リンクLK2は、ナットJEp22がねじ部JEp21に対して相対的に移動することにより、方向De2に沿って、関節機構JEr3に対して相対的に移動する。このように、関節機構JEp2は、リンクLK2を移動可能に支持する。関節機構JEr3の移動領域ARmv2(移動範囲)は、リンクLK2の端部LK2ed2よりも端部LK2ed1に近い領域から、端部LK2ed1よりも端部LK2ed2に近い領域まで移動可能であることが好ましい。これにより、リンクLK2の実質的な長さ(制御上の長さ)を、リンクLK2の半分以下の長さから半分以上の長さとすることが可能となる。リンクLK2の実質的な長さは、例えば、関節機構JEr3(より正確には、軸Ax3)から端部LK2ed2(例えば、リンクLK2と軸Ax4との交点)までの方向De2に沿う長さである。
【0066】
なお、関節機構JEr3は、ねじ部JEp21が回転していない場合、すなわち、モータMOp2が回転していない場合、関節機構JEp2により、リンクLK2に対する相対的な位置が変化しないように支持される。関節機構JEr3は、リンクLK1との相対的な位置にかかわらず、リンクLK1に対してリンクLK2を旋回可能である。また、関節機構JEr3は、リンクLK2との相対的な位置にかかわらず、リンクLK1に対してリンクLK2を旋回可能である。
【0067】
ここで、ねじ部JEp21に対するナットJEp22の移動方向、すなわち、リンクLK2の移動方向は、モータMOp2の回転方向を切り替えることにより、方向De2と方向De2の反対方向との間で切り替わる。例えば、モータMOp2の回転が第1の回転方向の回転である場合、リンクLK2は、方向De2の反対方向に移動し、モータMOp2の回転が第1の回転方向の回転に対して逆回転となる第2の回転方向の回転である場合、リンクLK2は、方向De2に移動する。
【0068】
なお、関節機構JEpの構成は、
図2に示す例に限定されない。例えば、関節機構JEp1の要素として、ねじ部JEp11とナットJEp12との間に複数のボールが存在するボールねじが採用されてもよい。同様に、関節機構JEp2の要素として、ねじ部JEp21とナットJEp22との間に複数のボールが存在するボールねじが採用されてもよい。
【0069】
また、例えば、モータMOr3の一部がリンクLK1の内部に位置し、モータMOr3の他の部分が開口Hlk1からリンクLK1の外部に位置し、関節機構JEr3の全体がリンクLK2の内部に位置してもよい。また、例えば、関節機構JEr3は、モータMOr3を収納する収納部を有してもよい。すなわち、モータMOr3は、関節機構JEr3内に設けられてもよい。あるいは、モータMOr3は、関節機構JEr3の一要素として捉えられてもよい。同様に、モータMOp1は、関節機構JEp1の一要素として捉えられてもよいし、モータMOp2は、関節機構JEp2の一要素として捉えられてもよい。
【0070】
次に、関節機構JEr1、JEr2、JEr4、JEr5及びJEr6について、簡単に説明する。
【0071】
関節機構JEr1は、例えば、回転部JEr11と、回転部JEr11を収納する筐体JEr12とを有する。回転部JEr11は、関節機構JEr1を駆動するモータMOr1の回転に伴い、軸Ax1を回転軸として回転する。例えば、回転部JEr11は、軸Ax1を回転軸として土台部BDPbaに対して回転可能に、モータMOr1に取り付けられている。また、筐体JEr12は、回転部JEr11と一緒に、軸Ax1を回転軸として土台部BDPbaに対して回転する。例えば、筐体JEr12は、軸Ax1を回転軸として土台部BDPbaに対して回転可能に、土台部BDPbaに接続される。さらに、筐体JEr12は、関節機構JEr2に接続される。これにより、関節機構JEr2は、回転部JEr11の回転に伴い、軸Ax1を回転軸として土台部BDPbaに対して回転する。
【0072】
なお、モータMOr1は、関節機構JEr1の一要素として捉えられてもよい。また、筐体JEr12が土台部BDPbaに固定され、関節機構JEr2が、軸Ax1を回転軸として筐体JEr12に対して回転可能に、回転部JEr11に取り付けられてもよい。この場合、筐体JEr12は、土台部BDPbaの一要素として捉えられてもよい。モータMOr1は、「第4モータ」の一例である。
【0073】
関節機構JEr2は、例えば、回転部JEr21と、関節機構JEr2を駆動するモータMOr2を収納する筐体JEr22とを有する。回転部JEr21は、モータMOr2の回転に伴い、軸Ax2を回転軸として回転する。例えば、回転部JEr21は、軸Ax2を回転軸として筐体JEr22に対して回転可能に、モータMOr2に取り付けられている。さらに、回転部JEr21は、リンクLK1に接続される。また、リンクLK1は、筐体JEr22に対して回転可能に筐体JEr22に接続される。これにより、リンクLK1は、回転部JEr21の回転に伴い、軸Ax2を回転軸として筐体JEr22に対して回転する。また、筐体JEr22の内部には、モータMOr2が取り付けられている。
【0074】
なお、モータMOr2は、関節機構JEr2の一要素として捉えられてもよい。また、
図2に示す例では、回転部JEr21の一部がリンクLK1の内部に位置し、回転部JEr21の他の部分が筐体JEr22の内部に位置しているが、回転部JEr21の全体がリンクLK1の内部又は筐体JEr22の内部に位置してもよい。モータMOr2は、「第5モータ」の一例である。
【0075】
関節機構JEr4は、例えば、回転部JEr41と、回転部JEr41を収納する筐体JEr42とを有する。回転部JEr41は、関節機構JEr4を駆動するモータMOr4の回転に伴い、軸Ax4を回転軸として回転する。例えば、回転部JEr41は、軸Ax4を回転軸としてリンクLK2に対して回転可能に、モータMOr4に取り付けられている。なお、モータMOr4は、リンクLK2の内部に取り付けられている。
【0076】
また、筐体JEr42は、回転部JEr41と一緒に、軸Ax4を回転軸としてリンクLK2に対して回転する。例えば、筐体JEr42は、軸Ax4を回転軸としてリンクLK2に対して回転可能に、リンクLK2に接続される。さらに、筐体JEr42は、第1部分TP11に接続される。これにより、第1部分TP11は、回転部JEr41の回転に伴い、筐体JEr42と一緒に、軸Ax4を回転軸として回転する。
【0077】
なお、モータMOr4は、関節機構JEr4の一要素として捉えられてもよい。また、
図2に示す例では、回転部JEr41の全体が筐体JEr42の内部に位置しているが、回転部JEr41の全体がリンクLK2の内部に位置してもよい。あるいは、回転部JEr41の一部が筐体JEr42の内部に位置し、回転部JEr41の他の部分がリンクLK2の内部に位置してもよい。モータMOr4は、「第6モータ」の一例である。
【0078】
関節機構JEr5は、例えば、回転部JEr51と、回転部JEr51の一部を収納する筐体JEr52とを有する。回転部JEr51は、関節機構JEr5を駆動するモータMOr5の回転に伴い、軸Ax5を回転軸として回転する。例えば、回転部JEr51は、軸Ax5を回転軸として第1部分TP11に対して回転可能に、モータMOr5に取り付けられている。なお、モータMOr5は、関節機構JEr4の筐体JEr42の内部に取り付けられている。
【0079】
また、筐体JEr52は、回転部JEr51と一緒に、軸Ax5を回転軸として第1部分TP11に対して回転する。例えば、筐体JEr52は、軸Ax5を回転軸として第1部分TP11に対して回転可能に、第1部分TP11に接続される。さらに、筐体JEr52は、第2部分TP12に接続される。これにより、第2部分TP12は、回転部JEr51の回転に伴い、筐体JEr52と一緒に、軸Ax5を回転軸として回転する。
【0080】
なお、モータMOr5は、関節機構JEr5の一要素として捉えられてもよい。また、
図2に示す例では、回転部JEr51の一部が筐体JEr52の内部に位置し、回転部JEr51の他の部分が第1部分TP11の内部に位置しているが、回転部JEr51の全体が筐体JEr52の内部又は第1部分TP11の内部に位置してもよい。モータMOr5は、「第7モータ」の一例である。
【0081】
関節機構JEr6は、例えば、回転部JEr61と、回転部JEr61の一部を収納する筐体JEr62とを有する。回転部JEr61は、関節機構JEr6を駆動するモータMOr6の回転に伴い、軸Ax6を回転軸として回転する。例えば、回転部JEr61は、軸Ax6を回転軸として第2部分TP12に対して回転可能に、モータMOr6に取り付けられている。また、筐体JEr62は、回転部JEr61と一緒に、軸Ax6を回転軸として第2部分TP12に対して回転する。例えば、筐体JEr62は、軸Ax6を回転軸として第2部分TP12に対して回転可能に、第2部分TP12に接続される。また、筐体JEr62は、端面TP1sfを含む。例えば、端面TP1sfは、回転部JEr61の回転に伴い、軸Ax6を回転軸として第2部分TP12に対して回転する。
【0082】
なお、モータMOr6は、関節機構JEr6の一要素として捉えられてもよい。また、筐体JEr62が第2部分TP12に固定され、エンドエフェクタ20が、筐体JEr62に対して回転可能に、回転部JEr61の表面に取り付けられてもよい。この場合、回転部JEr61の表面が端面TP1sfに該当する。また、筐体JEr62が第2部分TP12に固定される場合、筐体JEr62は、第2部分TP12の一要素として捉えられてもよい。モータMOr6は、「第8モータ」の一例である。
【0083】
また、複数の関節機構JErは、
図2に示す例に限定されない。例えば、複数の関節機構JErの各々は、既知の多関節ロボットの各関節に対応する機構と同様の構成であってもよい。
【0084】
また、
図2に示すロボット10の状態(姿勢)は、ロボット10の初期姿勢であり、本実施形態におけるロボット10の特徴を表す状態の1つである。初期姿勢は、ロボット10が動作を開始する際の最初の姿勢、又は、ロボット10がある特定の作業を行った後に一旦待機する際に遷移する姿勢である。初期姿勢は、待機状態、待機姿勢又はホームポジションとも呼ばれる。
図2に示す待機状態は、方向De1及びDe2が軸Ax1に平行な起立状態の1つである。
【0085】
例えば、待機状態は、方向De1及びDe2が軸Ax1に平行であり、かつ、リンクLK2の端部LK2ed1が、リンクLK1の端部LK1ed2よりも端部LK1ed1の近くに位置する状態である。待機状態では、好ましくは、関節機構JEr3は、移動領域ARmv1の両端部を除く中間領域ARmd1に位置し、かつ、移動領域ARmv2の両端部を除く中間領域ARmd2に位置する。例えば、ロボット10を
図2に示す待機状態で待機させた場合、リンクLK1に対する関節機構JEr3の位置の最大移動量は、移動領域ARmv1の方向De1に沿う長さの約半分である。また、リンクLK2に対する関節機構JEr3の位置の最大移動量は、移動領域ARmv2の方向De2に沿う長さの約半分である。従って、本実施形態では、ロボット10を
図2に示す待機状態で待機させることにより、ロボット10の状態を待機状態から他の状態に遷移させる状態遷移に要する時間が長くなることを抑制することができる。
【0086】
また、本実施形態では、リンクLK1及びLK2の状態を待機状態にすることにより、ロボット10の状態をコンパクトにすることができ、ロボット10の持ち運びを容易にすることができる。このため、本実施形態では、ロボット10を工場に設置する場合の設置作業、又は、工場における機器変更等によるロボット10の設置の変更作業等を容易にすることができる。
【0087】
また、
図2に示す待機状態等の起立状態では、上述したように、リンクLK1及びLK2が軸Ax1に沿って延在するように、リンクLK1及びLK2の姿勢が維持される。この場合、リンクLK1及びLK2の姿勢が、リンクLK1及びLK2の一方又は両方が軸Ax1と交差する方向に沿って延在するような姿勢である場合に比べて、軸Ax1を回転軸としてロボット10を回転させる場合の慣性力を、小さくすることができる。
【0088】
従って、本実施形態では、リンクLK1及びLK2の状態を起立状態にすることにより、ロボットアーム(リンクLK1及びLK2)の物理的長さ及び重量に起因する慣性力を小さくすることができる。これにより、本実施形態では、ロボット10を精密に制御することができる。例えば、本実施形態では、ロボット10の動作を停止した際の振動(制振性)による影響を小さくすることができる。従って、本実施形態では、ロボット10が所定の作業を行う場合のロボット10のトータルの動作時間の短縮、及び、動作精度の向上等を実現することができる。
【0089】
なお、軸Ax1を回転軸としてロボット10を回転させる場合の慣性力を小さくするリンクLK1及びLK2の状態は、リンクLK1及びLK2が軸Ax1に沿って延在するような姿勢(起立状態)であれば、
図2に示す待機状態に限定されない。例えば、
図2に示す待機状態とは異なる起立状態は、方向De1及びDe2が軸Ax1に平行であり、リンクLK2の端部LK2ed1が、リンクLK1の端部LK1ed1よりも端部LK1ed2の近くに位置する状態であってもよい。この場合、リンクLK1及びLK2が軸Ax1に沿って延在し、かつ、先端部TP1がリンクLK1から遠ざかるように、リンクLK2が位置する。すなわち、本実施形態では、ロボット10の状態を起立状態にすることにより、軸Ax1を回転軸としてロボット10を回転させる場合の慣性力を小さくすることができる。但し、ロボット10は、先端部TP1がリンクLK1に近い状態の方が、先端部TP1がリンクLK1から遠い状態よりも、安定する。
【0090】
ここで、本実施形態では、上述したように、モータMOr3が関節機構JEr3と一緒に沿って移動するため、モータMOp1からモータMOr3までの距離、及び、モータMOp2からモータMOr3までの距離は、ロボット10の姿勢に応じて変化する。このため、本実施形態では、ロボット10の姿勢が変化(遷移)しても、電力をモータに確実に供給できるように、ケーブルCBLが配置されている。なお、ケーブルCBLの配置については、
図4以降に説明する。
【0091】
次に、
図3を参照しながら、ロボットコントローラ30のハードウェア構成について説明する。
【0092】
図3は、
図1に示したロボットコントローラ30のハードウェア構成の一例を示す図である。なお、
図3では、説明を分かり易くするために、ロボット10が有する複数のモータMO、及び、エンドエフェクタ20も図示されている。
【0093】
ロボットコントローラ30は、電力供給装置31と、ロボットコントローラ30の各部を制御する処理装置32と、各種情報を記憶するメモリ33と、通信装置34と、作業者等による操作を受け付ける操作装置35と、表示装置36と、ドライバ回路37とを有する。なお、ロボットコントローラ30は、単体の装置として実現されるほか、相互に別体で構成された複数の装置でも実現される。例えば、電力供給装置31、処理装置32とは別体の装置であってもよい。
【0094】
電力供給装置31は、図示しない商用電源から電力の供給を受け、複数のモータMO(MOr1、MOr2、MOr3、MOr4、MOr5、MOr6、MOp1及びMOp2)の各々に供給する電源電圧、及び、エンドエフェクタ20に供給する電源電圧を生成する。本実施形態では、複数のモータMO、及び、エンドエフェクタ20に含まれる図示しないモータが、直流電源で動作するDC(Direct Current)モータである場合を想定する。この場合、電力供給装置31は、DCモータに供給する直流電源を、商用電源から受ける交流電源を用いて生成する。なお、複数のモータMO、及び、エンドエフェクタ20に含まれるモータは、DCモータに限定されない。例えば、複数のモータMO及び、エンドエフェクタ20に含まれるモータの一部又は全部は、交流電源で動作するAC(Alternating Current)モータであってもよい。この場合、電力供給装置31は、ACモータに供給する交流電源を、商用電源から受ける交流電源を用いて生成する。
【0095】
各モータMOは、電力供給装置31により生成された電源電圧を、配線Lpmを介して受ける。例えば、各モータMOは、電源電圧が供給される端子P1、制御信号が入力される端子P2、及び、制御信号を出力する端子P3を含むコネクタCTを有する。そして、配線LPmは、各モータMOの端子P1に接続される。また、エンドエフェクタ20は、電力供給装置31により生成された電源電圧を、配線Lpeを介して受ける。本実施形態では、配線Lpm及びLpeと、後述する配線Lcm及びLceとがケーブルCBLに含まれる場合を想定する。すなわち、本実施形態では、複数のモータMOの各々にケーブルCBLを介して電力が供給される。
【0096】
メモリ33は、例えば、処理装置32の作業領域として機能するRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリと、制御プログラムPGr等の各種情報を記憶するEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性メモリとの、一方又は両方を含む。なお、メモリ33は、ロボットコントローラ30に着脱可能であってもよい。具体的には、メモリ33は、ロボットコントローラ30に着脱されるメモリカード等の記憶媒体であってもよい。また、メモリ33は、例えば、ロボットコントローラ30とネットワーク等を介して通信可能に接続された記憶装置(例えば、オンラインストレージ)であってもよい。あるいは、メモリ33は、処理装置32に含まれてもよい。
【0097】
図3に示すメモリ33は、制御プログラムPGrを記憶している。本実施形態では、制御プログラムPGrは、例えば、ロボットコントローラ30がロボット10の動作を制御するためのアプリケーションプログラムを含む。但し、制御プログラムPGrは、例えば、処理装置32がロボットコントローラ30の各部を制御するためのオペレーティングロボットシステムプログラムを含んでもよい。
【0098】
処理装置32は、ロボットコントローラ30の全体を制御するプロセッサであり、例えば、1又は複数のCPU(Central Processing Unit)を含んで構成される。処理装置32は、例えば、メモリ33に記憶された制御プログラムPGrを実行し、制御プログラムPGrに従って動作することで、ロボット10の動作を制御する。なお、制御プログラムPGrは、ネットワーク等を介して他の装置から送信されてもよい。
【0099】
また、例えば、処理装置32が複数のCPUを含んで構成される場合、処理装置32の機能の一部又は全部は、これら複数のCPUが制御プログラムPGr等のプログラムに従って協働して動作することで実現されてもよい。また、処理装置32は、1又は複数のCPUに加え、又は、1又は複数のCPUのうち一部又は全部に代えて、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、又は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを含んで構成されるものであってもよい。この場合、処理装置32の機能の一部又は全部は、DSP等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0100】
通信装置34は、ロボットコントローラ30の外部に存在する外部装置と通信を行うためのハードウェアである。例えば、通信装置34は、近距離無線通信によって外部装置と通信する機能を有する。なお、通信装置34は、移動体通信網又はネットワークを介して外部装置と通信する機能をさらに有してもよい。
【0101】
操作装置35は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、スイッチ、ボタン及びセンサ等)である。例えば、操作装置35は、作業者の操作を受け付け、操作に応じた操作情報を処理装置32に出力する。なお、例えば、表示装置36の表示面に対する接触を検出するタッチパネルが、操作装置35として採用されてもよい。
【0102】
表示装置36は、外部への出力を実施するディスプレイ等の出力デバイスである。表示装置36は、例えば、処理装置32による制御のもとで、画像を表示する。なお、操作装置35及び表示装置36は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0103】
ドライバ回路37は、処理装置32による制御のもとで、ロボット10を駆動するための制御信号をロボット10に出力するハードウェアである。例えば、ドライバ回路37は、処理装置32による制御のもとで、複数のモータMOの各々を駆動する制御信号を、配線Lcmを介して、複数のモータMOの各々に供給する。例えば、配線Lcmは、配線Lcm1、Lcm2、Lcm3、Lcm4、Lcm5、Lcm6、Lcm7及びLcm8を含む。配線Lcm1は、ロボットコントローラ30とモータMOr1の端子P2とを接続する。配線Lcm2は、モータMOr1の端子P3とモータMOr2の端子P2とを接続する。配線Lcm3は、モータMOr2の端子P3とモータMOp1の端子P2とを接続する。配線Lcm4は、モータMOp1の端子P3とモータMOr3の端子P2とを接続する。配線Lcm5は、モータMOr3の端子P3とモータMOp2の端子P2とを接続する。配線Lcm6は、モータMOp2の端子P3とモータMOr4の端子P2とを接続する。配線Lcm7は、モータMOr4の端子P3とモータMOr5の端子P2とを接続する。配線Lcm8は、モータMOr5の端子P3とモータMOr6の端子P2とを接続する。このように、複数のモータMOは、ケーブルCBLにより、モータMOr1、モータMOr2、モータMOp1、モータMOr3、モータMOp2、モータMOr4、モータMOr5及びモータMOr6の順にカスケード接続される。また、ドライバ回路37は、処理装置32による制御のもとで、エンドエフェクタ20を駆動する制御信号を、配線Lceを介して、エンドエフェクタ20に供給する。
【0104】
このように、ロボットコントローラ30は、モータMOr1、MOr2、MOr3、MOr4、MOr5、MOr6、MOp1及びMOp2を制御することにより、ロボット10の動作を制御する。
【0105】
なお、ロボットコントローラ30の構成は、
図3に示す例に限定されない。例えば、操作装置35及び表示装置36は、ロボットコントローラ30から省かれてもよい。
【0106】
次に、
図4を参照しながら、ケーブルCBLの配置の概要について説明する。
【0107】
図4は、ケーブルCBLの配置の概要を説明するための説明図である。
【0108】
ケーブルCBLは、
図3において説明したように、ロボットコントローラ30と、複数のモータMO及びエンドエフェクタ20とを接続する。例えば、ケーブルCBLは、複数のモータMOに、モータMOr1、モータMOr2、モータMOp1、モータMOr3、モータMOp2、モータMOr4、モータMOr5及びモータMOr6の順に接続さる。
【0109】
本実施形態では、モータMOr1、MOr2、MOr3、MOr4、MOr5及びMOr6の各々が中空の構造である場合を想定する。例えば、ケーブルCBLは、ロボットコントローラ30からモータMOr1及びMOr2の内部(中空の部分)を通ってモータMOp1まで配置され、モータMOp1からモータMOr3の内部(中空の部分)を通ってモータMOp2まで配置される。さらに、ケーブルCBLは、モータMOp2からモータMOr4、MOr5及びMOr6の内部(中空の部分)を通ってエンドエフェクタ20まで配置される。
【0110】
以下では、モータMOr1、MOr2、MOr3、MOr4、MOr5及びMOr6の各々における中空部分の2つの開口のうち、コネクタCTから遠い開口をケーブルCBLの出口EXと称する場合がある。
【0111】
なお、本実施形態では、ロボット10は、固定支持部Sf1と移動支持部Sm1と弾性部材EL1と固定支持部Sf2と移動支持部Sm2と弾性部材EL1とをさらに有する。なお、固定支持部Sf1は、「第1固定支持部」の一例であり、移動支持部Sm1は、「第1移動支持部」の一例であり、弾性部材EL1は、「第1弾性部材」の一例である。また、固定支持部Sf2は、「第2固定支持部」の一例であり、移動支持部Sm2は、「第2移動支持部」の一例であり、弾性部材EL2は、「第2弾性部材」の一例である。
【0112】
固定支持部Sf1は、リンクLK1に固定される。移動支持部Sm1は、方向De1に沿って伸縮する弾性部材EL1により、モータMOp1に対するモータMOr3の位置の変化に応じて方向De1に沿って移動可能に支持される。弾性部材EL1は、一端がリンクLK1に固定され、他端が移動支持部Sm1に接続される。そして、固定支持部Sf1及び移動支持部Sm1は、ケーブルCBLのうち、モータMOp1とモータMOr3との間の部分であるケーブルCBLaを支持する。これにより、本実施形態では、モータMOp1に対するモータMOr3の位置の変化に伴い、モータMOp1のコネクタCTとモータMOr3のコネクタCTとの距離が変化した場合においても、ケーブルCBLaが弛むことを抑制するこができる。
【0113】
固定支持部Sf2は、リンクLK2に固定される。移動支持部Sm2は、方向De2に沿って伸縮する弾性部材EL2により、モータMOp2に対するモータMOr3の位置の変化に応じて方向De2に沿って移動可能に支持される。弾性部材EL2は、一端がリンクLK2に固定され、他端が移動支持部Sm2に接続される。そして、固定支持部Sf2及び移動支持部Sm2は、ケーブルCBLのうち、モータMOp2とモータMOr3との間の部分であるケーブルCBLbを支持する。これにより、本実施形態では、モータMOp2に対するモータMOr3の位置の変化に伴い、モータMOp2のコネクタCTとモータMOr3におけるケーブルCBLの出口EXとの距離が変化した場合においても、ケーブルCBLbが弛むことを抑制するこができる。
【0114】
なお、モータMOr1におけるケーブルCBLの出口EXとモータMOr2のコネクタCTとの距離、モータMOr2におけるケーブルCBLの出口EXとモータMOp1のコネクタCTとの距離は、一定の距離又はほぼ一定の距離に維持される。但し、モータMOr1におけるケーブルCBLの出口EXに対するモータMOr2のコネクタCTの相対的な位置は、モータMOr1の回転に伴い関節機構JEr2が回転するため、モータMOr1の回転に伴い変化する。同様に、モータMOr2におけるケーブルCBLの出口EXに対するモータMOp1のコネクタCTの相対的な位置は、モータMOr2の回転に伴いリンクLK1が旋回するため、モータMOr2の回転に伴い変化する。このため、モータMOr1とモータMOr2とは、モータMOr1及びMOr2間の距離に対して若干の余裕を持たせた長さのケーブルCBLにより接続される。モータMOr2とモータMOp1とは、モータMOr2及びMOp1間の距離に対して若干の余裕を持たせた長さのケーブルCBLにより接続される。
【0115】
また、モータMOp2のコネクタCTとモータMOr4のコネクタCTとの距離は、変動しない。このため、モータMOp2とモータMOr4とは、モータMOp2のコネクタCTとモータMOr4のコネクタCTとの距離に対応する長さのケーブルCBLにより接続される。なお、モータMOp2とモータMOr4とは、モータMOp2のコネクタCTとモータMOr4のコネクタCTとの距離に対して若干の余裕を持たせた長さのケーブルCBLにより接続されてもよい。
【0116】
また、モータMOr4におけるケーブルCBLの出口EXとモータMOr5のコネクタCTとの距離、及び、モータMOr5におけるケーブルCBLの出口EXとモータMOr6のコネクタCTとの距離は、一定の距離又はほぼ一定の距離に維持される。但し、モータMOr4におけるケーブルCBLの出口EXに対するモータMOr5のコネクタCTの相対的な位置は、モータMOr4の回転に伴い先端部TP1の第1部分TP11が旋回するため、モータMOr4の回転に伴い変化する。同様に、モータMOr5におけるケーブルCBLの出口EXに対するモータMOr6のコネクタCTの相対的な位置は、モータMOr5の回転に伴い先端部TP1の第2部分TP12が回転するため、モータMOr5の回転に伴い変化する。このため、モータMOr4とモータMOr5とは、モータMOr4及びMOr5間の距離に対して若干の余裕を持たせた長さのケーブルCBLにより接続される。モータMOr5とモータMOr6とは、モータMOr5及びMOr6間の距離に対して若干の余裕を持たせた長さのケーブルCBLにより接続される。
【0117】
このように、本実施形態では、複数のモータMOは、ボディ部BDPから先端部TP1に向かうロボット10内の経路において、ボディ部BDPから順に数えた並びの複数の関節機構JEをそれぞれ駆動するモータMOの順に、ケーブルCBLにより接続される。これにより、本実施形態では、ケーブルCBLの配置が煩雑になることを抑制することができる。例えば、ケーブルCBLの配置が煩雑である構成では、ロボット10の変化可能な姿勢がケーブルCBLにより制限されるおそれ、あるいは、ロボット10の姿勢が変化する場合にケーブルCBLに過度の張力が発生するおそれがある。ケーブルCBLに過度の張力が発生した場合、ケーブルCBLが損傷するおそれがある。本実施形態では、ケーブルCBLの配置が煩雑になることを抑制することができるため、ロボット10の変化可能な姿勢がケーブルCBLにより制限されること、及び、ケーブルCBLに過度の張力が発生することを抑制することができる。
【0118】
次に、
図5を参照しながら、リンクLK1におけるケーブルCBLaの配置について説明する。
【0119】
図5は、リンクLK1におけるケーブルCBLaの配置を説明するための説明図である。なお、
図5では、ケーブルCBLaの配置を分かり易くするために、リンクLK1の外装の記載を省略している。さらに、
図5(b)及び
図5(c)では、移動支持部Sm1とモータMOr3との位置関係を分かり易くするために、後述するフレームFM12の記載を省略している。
【0120】
図5(b)では、モータMOr3は、リンクLK1の端部LK1ed2よりも端部LK1ed1の近くに位置する。例えば、モータMOr3は、方向De1に沿って移動する場合の移動範囲において、モータMOp1との距離が最小になる位置に位置する。また、
図5(c)では、モータMOr3は、リンクLK1の端部LK1ed1よりも端部LK1ed2の近くに位置する。例えば、モータMOr3は、方向De1に沿って移動する場合の移動範囲において、モータMOp1との距離が最大になる位置に位置する。また、
図5の方向Dax3は、モータMOr3の回転軸である軸Ax3に沿う方向のうち、リンクLK1からリンクLK2に向かう方向である。
【0121】
リンクLK1は、例えば、方向De1に沿って延在するフレームFM10、FM11及びFM12を有する。フレームFM10には、例えば、モータMOr3が取り付けられる。
図5に示す例では、フレームFM10は、方向Dax3において、フレームFM11とモータMOr3との間に位置する。
【0122】
フレームFM11は、
図5(b)に示すように、フレームFM10に対向する面を含み、方向De1に沿って延在する板部FM11aと、板部FM11aの方向De1に沿う2つの縁部のうちの一方から方向Dax3の反対方向に突出する板部FM11bとを含む。例えば、フレームFM11は、方向Dax3において、板部FM11aがフレームFM12とフレームFM10との間に位置するように、配置される。なお、
図5示す例では、フレームFM11及びFM12を方向Dax3に見た場合、フレームFM11の板部FM11bは、フレームFM12の外側に位置するが、フレームFM12の内側に位置してもよい。
【0123】
以下では、フレームFM10、FM11及びFM12の各々の端部のうち、リンクLK1の端部LK1ed1に対応する端部を端部LK1ed1と称し、リンクLK1の端部LK1ed2に対応する端部を端部LK1ed2と称する場合がある。例えば、フレームFM11の端部のうち、方向De1の反対方向の端部をフレームFM11の端部LK1ed1と称し、方向De1の端部をフレームFM11の端部LK1ed2と称する場合がある。
【0124】
ケーブルCBLa、固定支持部Sf1、及び、移動支持部Sm1は、例えば、フレームFM11の板部FM11aとフレームFM12とに挟まれた領域に配置される。
【0125】
ここで、本実施形態では、固定支持部Sf1が、リンクLK1に固定された滑車(所謂、定滑車)であり、移動支持部Sm1が、弾性部材EL1により懸架され、方向De1に沿って移動可能な滑車(所謂、動滑車)である場合を想定する。例えば、固定支持部Sf1は、ケーブルCBLaが掛けられる円盤Sf11と、円盤Sf11を回転可能に支持する円盤支持部Sf12とを含む。円盤支持部Sf12は、例えば、フレームFM11の板部FM11aの端部LK1ed1に固定される。
【0126】
また、移動支持部Sm1は、ケーブルCBLaが掛けられる円盤Sm11と、弾性部材EL1に接続され、円盤Sm11を回転可能に支持する円盤支持部Sm12とを含む。弾性部材EL1は、例えば、方向De1に沿って伸縮するばね部材である。例えば、弾性部材EL1の一端は、フレームFM11の板部FM11aの端部LK1ed2にねじSC1により接続され、弾性部材EL1の他端は、円盤支持部Sm12に接続される。なお、弾性部材EL1と板部FM11aとの接続方法は、ねじSC1に限定されない。例えば、弾性部材EL1は、接着剤により板部FM11aに接続されてもよいし、溶接により板部FM11aに接続されてもよい。
【0127】
図5(b)及び
図5(c)に示すように、モータMOp1とモータMOr3との間のケーブルCBLaは、モータMOp1から移動支持部Sm1及び固定支持部Sf1を経由してモータMOr3に接続される。例えば、固定支持部Sf1は、フレームFM11の板部FM11aの端部LK1ed1に固定されている。
【0128】
また、移動支持部Sm1は、フレームFM11に設けられたスリットSL1a及びSL1bと、フレームFM12に設けられたスリットSL1c及びSL1dとに沿って移動可能である。スリットSL1a、SL1b、SL1c及びSL1dは、移動支持部Sm1が方向De1に沿う方向以外の方向に移動しないように、移動支持部Sm1の移動方向を制限する。
【0129】
例えば、スリットSL1aは、フレームFM11の板部FM11aを貫通する開口であり、方向De1に沿って延在する。また、スリットSL1bは、フレームFM11の板部FM11bを貫通する開口であり、方向De1に沿って延在する。スリットSL1cは、フレームFM12のうち、フレームFM11の板部FM11aに対向する部分を貫通する開口であり、方向De1に沿って延在する。スリットSL1dは、フレームFM12のうち、フレームFM11の板部FM11bに対向する部分を貫通する開口であり、方向De1に沿って延在する。そして、例えば、スリットSL1a及びSL1cには、移動支持部Sm1の円盤支持部Sm12のうち、円盤Sm11の回転軸に対応する部分が挿通される。また、スリットSL1b及びSL1dには、移動支持部Sm1の一部が挿通される。
【0130】
また、移動支持部Sm1は、上述したように、弾性部材EL1により、フレームFM11の板部FM11aの端部LK1ed2から吊り下げられている。従って、移動支持部Sm1には、弾性部材EL1の弾性力等による方向De1の力が常に加わっている。このため、移動支持部Sm1は、モータMOp1に対するモータMOr3の位置が変化した場合、ケーブルCBLaによる方向De1の反対方向の力、及び、弾性部材EL1の弾性力による方向De1の力等の移動支持部Sm1に加わる力が均衡する位置に移動する。
【0131】
例えば、
図5(b)に示すように、モータMOr3がリンクLK1の端部LK1ed2よりも端部LK1ed1の近くに位置する場合、モータMOr3がリンクLK1の端部LK1ed2に位置する場合に比べて、固定支持部Sf1からモータMOr3までの距離は、短くなる。この場合、ケーブルCBLaのうち、固定支持部Sf1からモータMOr3までの部分の長さが短くなるため、モータMOp1から固定支持部Sf1までの部分の長さが長くなる。このため、ケーブルCBLaによる方向De1の反対方向の力、及び、弾性部材EL1の弾性力による方向De1の力等の移動支持部Sm1に加わる力は、リンクLK1の端部LK1ed1よりも端部LK1ed2に近い位置で均衡する。従って、モータMOr3がリンクLK1の端部LK1ed2よりも端部LK1ed1の近くに位置する場合、移動支持部Sm1は、リンクLK1の端部LK1ed1よりも端部LK1ed2の近くに位置する。例えば、
図5(b)に示す状態は、移動支持部Sm1を懸架する弾性部材EL1の伸びが最小となる状態である。
【0132】
また、
図5(c)に示すように、モータMOr3がリンクLK1の端部LK1ed2に位置する場合、モータMOr3がリンクLK1の端部LK1ed2よりも端部LK1ed1の近くに位置する場合に比べて、固定支持部Sf1からモータMOr3までの距離は、長くなる。この場合、ケーブルCBLaのうち、固定支持部Sf1からモータMOr3までの部分の長さが長くなるため、モータMOp1から固定支持部Sf1までの部分の長さが短くなる。このため、ケーブルCBLaによる方向De1の反対方向の力、及び、弾性部材EL1の弾性力による方向De1の力等の移動支持部Sm1に加わる力は、リンクLK1の端部LK1ed2よりも端部LK1ed1に近い位置で均衡する。従って、モータMOr3がリンクLK1の端部LK1ed2に位置する場合、移動支持部Sm1は、リンクLK1の端部LK1ed2よりも端部LK1ed1の近くに位置する。例えば、
図5(c)に示す状態は、移動支持部Sm1を懸架する弾性部材EL1の伸びが最大となる状態である。また、モータMOp1及びMOr3間を接続するケーブルCBLaの長さは、例えば、固定支持部Sf1からモータMOr3までの距離が最大になる状態を基準にして決定される。これにより、本実施形態では、ケーブルCBLaに過度の張力が発生することを抑制することができる。
【0133】
このように、本実施形態では、モータMOp1に対するモータMOr3の位置の変化に応じて移動支持部Sm1が方向De1に沿って移動するため、ケーブルCBLaが弛むことを抑制するこができる。また、本実施形態では、移動支持部Sm1の円盤Sm11は、モータMOr3の位置にかかわらず、固定支持部Sf1の円盤Sf11よりも方向De1(弾性部材EL1の弾性力により円盤Sf11に加わる力の方向)に位置する。このため、本実施形態では、例えば、モータMOr3の位置が変化した場合においても、ケーブルCBLaが移動支持部Sm1の円盤Sm11から外れることを抑制することができる。
【0134】
また、本実施形態では、モータMOr3の位置にかかわらず、ケーブルCBLaは、固定支持部Sf1の円盤Sf11よりも方向De1の位置で、フレームFM10を通る。このため、本実施形態では、ケーブルCBLaがフレームFM10を通る部分において折り曲がる方向は、モータMOr3の位置にかかわらず、一定の方向に維持される。これにより、本実施形態では、ケーブルCBLaがフレームFM10を通る部分において折り曲がる方向がモータMOr3の位置によって変化する場合に比べて、ケーブルCBLaが損傷することを抑制することができる。
【0135】
また、
図5には特に図示していないが、本実施形態では、ケーブルCBLaのうち、フレームFM11の板部FM11aとフレームFM12とに挟まれた領域に配置された部分は、チューブにより覆われている。これにより、本実施形態では、固定支持部Sf1の円盤Sf11及び移動支持部Sm1の円盤Sm11に掛かるケーブルCBLaが損傷することを抑制しつつ、円盤Sf11及びSm11に掛かるケーブルCBLaをスムーズに滑らせることができる。なお、ケーブルCBLaは、チューブにより覆われていなくてもよい。
【0136】
次に、
図6を参照しながら、リンクLK2におけるケーブルCBLbの配置について説明する。
【0137】
図6は、リンクLK2におけるケーブルCBLbの配置を説明するための説明図である。なお、
図6では、ケーブルCBLbの配置を分かり易くするために、リンクLK2の外装の記載を省略している。さらに、
図6(b)及び
図6(c)では、移動支持部Sm2とモータMOr3との位置関係を分かり易くするために、後述するフレームFM22の記載を省略している。また、
図6の方向Dc2は、例えば、方向De2及び方向Dax3に直交する方向である。但し、方向Dc2は、方向De2及び方向Dax3に直交する方向に限定されない。例えば、方向Dc2は、方向De2及び方向Dax3に交差する方向であればよい。
【0138】
図6(b)では、モータMOr3は、リンクLK2の端部LK2ed2よりも端部LK2ed1の近くに位置する。例えば、モータMOr3は、方向De2に沿って移動する場合の移動範囲において、モータMOp2との距離が最小になる位置に位置する。また、
図6(c)では、モータMOr3は、リンクLK2の端部LK2ed1よりも端部LK2ed2の近くに位置する。例えば、モータMOr3は、方向De2に沿って移動する場合の移動範囲において、モータMOp2との距離が最大になる位置に位置する。
【0139】
リンクLK2は、例えば、方向De2に沿って延在するフレームFM20、FM21及びFM22を有する。フレームFM20には、例えば、モータMOr3が取り付けられる。すなわち、モータMOr3は、フレームFM20及び
図5に示したフレームFM10に取り付けられる。
図6に示す例では、フレームFM20は、方向Dax3において、フレームFM21及びFM22と、モータMOr3との間に位置する。また、フレームFM21及びFM22は、フレームFM20の方向De2に沿う2つの縁部のうちの一方(
図6に示す例では、方向Dc2の縁部)に接続される。
【0140】
フレームFM21は、
図6(b)に示すように、方向De2及び方向Dax3に平行な面を含み、方向De2に沿って延在する板部FM21aと、板部FM21aの方向De2に沿う2つの縁部のうちの方向Dax3の縁部から方向Dc2に突出する板部FM21bとを含む。例えば、フレームFM21及びFM22は、板部FM21aとフレームFM22との間にケーブルCBLbを配置するスペースが確保されるように、方向Dc2に沿って配置される。また、
図6示す例では、フレームFM21及びFM22を方向Dc2から見た場合、フレームFM21の板部FM21bは、フレームFM22の外側に位置するが、フレームFM22の内側に位置してもよい。
【0141】
以下では、フレームFM20、FM21及びFM22の各々の端部のうち、リンクLK2の端部LK2ed1に対応する端部を端部LK2ed1と称し、リンクLK2の端部LK2ed2に対応する端部を端部LK2ed2と称する場合がある。例えば、フレームFM21の端部のうち、方向De2の反対方向の端部をフレームFM21の端部LK2ed1と称し、方向De2の端部をフレームFM21の端部LK2ed2と称する場合がある。
【0142】
ケーブルCBLb、固定支持部Sf2、及び、移動支持部Sm2は、例えば、フレームFM21の板部FM21aとフレームFM22とに挟まれた領域に配置される。
【0143】
ここで、本実施形態では、固定支持部Sf2が、リンクLK2に固定された滑車(所謂、定滑車)であり、移動支持部Sm2が、弾性部材EL2により懸架され、方向De2に沿って移動可能な滑車(所謂、動滑車)である場合を想定する。例えば、固定支持部Sf2は、ケーブルCBLbが掛けられる円盤Sf21と、円盤Sf21を回転可能に支持する円盤支持部Sf22とを含む。円盤支持部Sf22は、例えば、フレームFM21の板部FM21aの端部LK2ed1に固定される。
【0144】
また、移動支持部Sm2は、ケーブルCBLbが掛けられる円盤Sm21と、弾性部材EL2に接続され、円盤Sm21を回転可能に支持する円盤支持部Sm22とを含む。弾性部材EL2は、例えば、方向De2に沿って伸縮するばね部材である。例えば、弾性部材EL2の一端は、フレームFM21の板部FM21aの端部LK2ed2にねじSC2により接続され、弾性部材EL2の他端は、円盤支持部Sm22に接続される。なお、弾性部材EL2と板部FM21aとの接続方法は、ねじSC2に限定されない。例えば、弾性部材EL2は、接着剤により板部FM21aに接続されてもよいし、溶接により板部FM21aに接続されてもよい。
【0145】
図6(b)及び
図6(c)に示すように、モータMOp2とモータMOr3との間のケーブルCBLbは、モータMOr3から固定支持部Sf2及び移動支持部Sm2を経由してモータMOp2に接続される。例えば、固定支持部Sf2は、フレームFM21の板部FM21aの端部LK2ed1に固定されている。
【0146】
また、移動支持部Sm2は、フレームFM21に設けられたスリットSL2a及びSL2bと、フレームFM22に設けられたスリットSL2c及びSL2dと、に沿って移動可能である。例えば、スリットSL2a、SL2b、SL2c及びSL2dは、移動支持部Sm2が方向De2に沿う方向以外の方向に移動しないように、移動支持部Sm2の移動方向を制限する。
【0147】
例えば、スリットSL2aは、フレームFM21の板部FM21aを貫通する開口であり、方向De2に沿って延在する。また、スリットSL2bは、フレームFM21の板部FM21bを貫通する開口であり、方向De2に沿って延在する。スリットSL2cは、フレームFM22のうち、フレームFM21の板部FM21aに対向する部分を貫通する開口であり、方向De2に沿って延在する。スリットSL2dは、フレームFM22のうち、フレームFM21の板部FM21bに対向する部分を貫通する開口であり、方向De2に沿って延在する。そして、例えば、スリットSL1a及びSL1cには、移動支持部Sm2の円盤支持部Sm22のうち、円盤Sm21の回転軸に対応する部分が挿通される。また、スリットSL2b及びSL2dには、移動支持部Sm2の一部が挿通される。
【0148】
また、移動支持部Sm2は、上述したように、弾性部材EL2により、フレームFM21の板部FM21aの端部LK2ed2から吊り下げられている。従って、移動支持部Sm2には、弾性部材EL2の弾性力等による方向De2の力が常に加わっている。このため、移動支持部Sm2は、モータMOp2に対するモータMOr3の位置が変化した場合、ケーブルCBLbによる方向De2の反対方向の力、及び、弾性部材EL2の弾性力による方向De2の力等の移動支持部Sm2に加わる力が均衡する位置に移動する。
【0149】
例えば、
図6(b)に示すように、モータMOr3がリンクLK2の端部LK2ed1に位置する場合、モータMOr3がリンクLK2の端部LK2ed1よりも端部LK2ed2の近くに位置する場合に比べて、モータMOr3から固定支持部Sf2までの距離は、短くなる。この場合、ケーブルCBLbのうち、モータMOr3から固定支持部Sf2までの部分の長さが短くなるため、固定支持部Sf2からモータMOp2までの部分の長さが長くなる。このため、ケーブルCBLbによる方向De2の反対方向の力、及び、弾性部材EL2の弾性力による方向De2の力等の移動支持部Sm2に加わる力は、リンクLK2の端部LK2ed1よりも端部LK2ed2に近い位置で均衡する。従って、モータMOr3がリンクLK2の端部LK2ed1に位置する場合、移動支持部Sm2は、リンクLK2の端部LK2ed1よりも端部LK2ed2の近くに位置する。例えば、
図6(b)に示す状態は、移動支持部Sm2を懸架する弾性部材EL2の伸びが最小となる状態である。
【0150】
また、
図6(c)に示すように、モータMOr3がリンクLK2の端部LK2ed1よりも端部LK2ed2の近くに位置する場合、モータMOr3がリンクLK2の端部LK2ed1に位置する場合に比べて、モータMOr3から固定支持部Sf2までの距離は、長くなる。この場合、ケーブルCBLbのうち、モータMOr3から固定支持部Sf2までの部分の長さが長くなるため、固定支持部Sf2からモータMOp2までの部分の長さが短くなる。このため、ケーブルCBLbによる方向De2の反対方向の力、及び、弾性部材EL2の弾性力による方向De2の力等の移動支持部Sm2に加わる力は、リンクLK2の端部LK2ed2よりも端部LK2ed1に近い位置で均衡する。従って、モータMOr3がリンクLK2の端部LK2ed1よりも端部LK2ed2の近くに位置する場合、移動支持部Sm2は、リンクLK2の端部LK2ed2よりも端部LK2ed1の近くに位置する。例えば、
図6(c)に示す状態は、移動支持部Sm2を懸架する弾性部材EL2の伸びが最大となる状態である。また、モータMOp2及びMOr3間を接続するケーブルCBLbの長さは、例えば、固定支持部Sf2からモータMOr3までの距離が最大になる状態を基準にして決定される。これにより、本実施形態では、ケーブルCBLbに過度の張力が発生することを抑制することができる。
【0151】
このように、本実施形態では、モータMOp2に対するモータMOr3の位置の変化に応じて移動支持部Sm2が方向De2に沿って移動するため、ケーブルCBLbが弛むことを抑制するこができる。また、本実施形態では、移動支持部Sm2の円盤Sm21は、モータMOr3の位置にかかわらず、固定支持部Sf2の円盤Sf21よりも方向De2(弾性部材EL2の弾性力により円盤Sf21に加わる力の方向)に位置する。このため、本実施形態では、例えば、モータMOr3の位置が変化した場合においても、ケーブルCBLbが移動支持部Sm2の円盤Sm21から外れることを抑制することができる。
【0152】
また、本実施形態では、モータMOr3の位置にかかわらず、ケーブルCBLbは、固定支持部Sf2の円盤Sf21よりも方向De2の位置で、フレームFM20を通る。このため、本実施形態では、ケーブルCBLbがフレームFM20を通る部分において折り曲がる方向は、モータMOr3の位置にかかわらず、一定の方向に維持される。これにより、本実施形態では、ケーブルCBLbがフレームFM20を通る部分において折り曲がる方向がモータMOr3の位置によって変化する場合に比べて、ケーブルCBLbが損傷することを抑制することができる。
【0153】
また、
図6には特に図示していないが、本実施形態では、ケーブルCBLbのうち、フレームFM21の板部FM21aとフレームFM22とに挟まれた領域に配置された部分は、チューブにより覆われている。これにより、本実施形態では、固定支持部Sf2の円盤Sf21及び移動支持部Sm2の円盤Sm21に掛かるケーブルCBLbが損傷することを抑制しつつ、円盤Sf21及びSm21に掛かるケーブルCBLbをスムーズに滑らせることができる。なお、ケーブルCBLbは、チューブにより覆われていなくてもよい。
【0154】
図5及び
図6において説明したように、本実施形態では、モータMOp1に対するモータMOr3の位置、及び、モータMOp2に対するモータMOr3の位置の一方又は両方が変化した場合においても、ケーブルCBLが弛むことを抑制するこができる。従って、本実施形態では、ロボット10の姿勢が変化(遷移)し、ボディ部BDPから各モータMOまでの距離が大きく変化した場合においても、電源及び制御信号を各モータMOに確実に供給することができる。
【0155】
また、ケーブルCBLは、モータMOr3において固定され、モータMOr3から見てリンクLK1の方向の配置とリンクLK2の方向の配置とは、ほぼ対称な構造となっている。この場合、ケーブルCBLの張力によりモータMOr3に加わる力は、ケーブルCBLaの張力によりリンクLK1の方向にモータMOr3を引っ張る力、及び、ケーブルCBLbの張力によりリンクLK2の方向にモータMOr3を引っ張る力となる。このため、本実施形態では、ケーブルCBLの配置は、モータMOr3に対してバランスが非常によい配置となる。
【0156】
次に、
図7を参照しながら、リンクLK2におけるケーブルCBLbの配置のうち、関節機構JEr3を駆動するモータMOr3の周辺の配置について説明する。
【0157】
図7は、関節機構JEr3を駆動するモータMOr3の周辺の配置を説明するための説明図である。
【0158】
モータMOr3の中空部を通り、モータMOp2(
図7には図示せず)に接続されるケーブルCBLbは、モータMOr3よりも方向De2の位置において、フレームFM21とフレームFM22(
図7には図示せず)との間の空間に導かれる。また、ケーブルCBLのうち、モータMOp2とモータMOr4との間の部分であるケーブルCBLcは、例えば、フレームFM20の方向De2に沿う2つの縁部のうちの方向Dc2の反対方向の縁部(フレームFM21が接続されていない縁部)に沿って配置される。なお、モータMOp2のコネクタCTとモータMOr4のコネクタCTとの距離は、
図4において説明したように、変動しない。このため、モータMOp2とモータMOr4とを接続するケーブルCBLcは、例えば、フレームFM20の方向Dc2の反対方向の縁部に固定される。これにより、本実施形態では、ケーブルCBLcが弛むことを抑制するこができる。
【0159】
なお、ケーブルCBLの配置等は、
図5、
図6及び
図7に示す例に限定されない。例えば、弾性部材EL1及びEL2は、移動支持部Sm1及びSm2を移動可能に支持できれば、ばね部材に限定されない。また、例えば、弾性部材EL1及びEL2の代わりに、アクチュエータにより、移動支持部Sm1及びSm2の各々の位置を移動させてもよい。
【0160】
また、本実施形態では、1つの固定支持部Sf1と1つの移動支持部Sm1によりケーブルCBLaを支持しているが、固定支持部Sf1及び移動支持部Sm1の各々の数は1つに限定されない。例えば、モータMOp1に対するモータMOr3の位置が変化した場合においてもケーブルCBLaが弛むことを抑制することができれば、固定支持部Sf1及び移動支持部Sm1の一方又は両方は、2つ以上であってもよい。また、例えば、固定支持部Sf1は、省かれてもよい。固定支持部Sf1が省かれる構成では、ケーブルCBLaが移動支持部Sm1の円盤Sm11から外れることを防止するカバー等の部材が円盤Sm11に設けられることが好ましい。
【0161】
固定支持部Sf1及び移動支持部Sm1と同様に、固定支持部Sf2及び移動支持部Sm2の一方又は両方は、2つ以上であってもよい。また、例えば、固定支持部Sf2は、省かれてもよい。固定支持部Sf2が省かれる構成では、ケーブルCBLbが移動支持部Sm2の円盤Sm21から外れることを防止するカバー等の部材が円盤Sm21に設けられることが好ましい。
【0162】
また、移動支持部Sm1及びSm2は、ケーブルCBLをスムーズに滑らせながら懸架できる構成であれば、滑車に限定されない。同様に、固定支持部Sf1及びSf2は、ケーブルCBLをスムーズに滑らせることができる構成であれば、滑車に限定されない。
【0163】
以上、本実施形態では、ロボット10は、ボディ部BDPと、先端部TP1と、リンクLK1及びリンクLK2を含み、ボディ部BDPと先端部TP1を接続する複数のリンクLKと、リンクLK1とリンクLK2を接続し、リンクLK1が延在する方向De1とのなす角度が所定の角度より大きい軸Ax3を第1回転軸としてリンクLK2をリンクLK1に対して回転させる関節機構JEr3と、方向De1に沿って、関節機構JEr3をリンクLK1に対して相対的に移動させる関節機構JEp1と、リンクLK2が延在する方向De2に沿って、リンクLK2を関節機構JEr3に対して相対的に移動させる関節機構JEp2と、関節機構JEr3と一緒に移動し、関節機構JEr3を駆動するモータMOr3と、関節機構JEp1を駆動するモータMOp1と、関節機構JEp2を駆動するモータMOp2と、モータMOr3、モータMOp1及びモータMOp2に電力を供給するためのケーブルCBLと、リンクLK1に固定され、ケーブルCBLを支持する固定支持部Sf1と、モータMOp1に対するモータMOr3の位置の変化に応じて方向De1に沿って移動し、ケーブルCBLを支持する移動支持部Sm1と、リンクLK2に固定され、ケーブルCBLを支持する固定支持部Sf2と、モータMOp2に対するモータMOr3の位置の変化に応じて方向De2に沿って移動し、ケーブルCBLを支持する移動支持部Sm2と、を有する。ケーブルCBLのうち、モータMOp1とモータMOr3との間の部分(ケーブルCBLa)が、固定支持部Sf1及び移動支持部Sm1により支持される。ケーブルCBLのうち、モータMOr3とモータMOp2との間の部分(ケーブルCBLb)が、固定支持部Sf2及び移動支持部Sm2により支持される。
【0164】
このように、本実施形態では、モータMOp1とモータMOr3との間の部分のケーブルCBLaは、モータMOp1に対するモータMOr3の位置の変化に応じて方向De1に沿って移動する移動支持部Sm1により、支持される。また、本実施形態では、モータMOr3とモータMOp2との間の部分のケーブルCBLbは、モータMOp2に対するモータMOr3の位置の変化に応じて方向De2に沿って移動する移動支持部Sm2により、支持される。これにより、本実施形態では、モータMOp1に対するモータMOr3の位置、及び、モータMOp2に対するモータMOr3の位置の一方又は両方が変化した場合においても、ケーブルCBLが弛むことを抑制するこができる。このため、本実施形態では、ロボット10の姿勢が変化しても、電力をモータMO(MOr3、MOp1及びMOp2)に確実に供給することができる。
【0165】
また、本実施形態では、ロボット10は、ボディ部BDPの底面に垂直な方向とのなす角度が所定の角度以下の軸Ax1を第2回転軸として、ボディ部BDPの少なくとも一部分を回転させる関節機構JEr1と、ボディ部BDPとリンクLK1を接続し、ボディ部BDPの底面に垂直な方向とのなす角度が所定の角度より大きい軸Ax2を第3回転軸としてリンクLK1を回転させる関節機構JEr2と、リンクLK2と先端部TP1を接続し、先端部TP1をリンクLK2に対して回転させる関節機構JEr4と、ケーブルCBLを介して電力が供給され、関節機構JEr1を駆動するモータMOr1と、ケーブルCBLを介して電力が供給され、関節機構JEr2を駆動するモータMOr2と、ケーブルCBLを介して電力が供給され、関節機構JEr4を駆動するモータMOr4と、をさらに有する。ケーブルCBLは、モータMOr1、モータMOr2、モータMOp1、モータMOr3、モータMOp2及びモータMOr4に、モータMOr1、モータMOr2、モータMOp1、モータMOr3、モータMOp2及びモータMOr4の順に接続される。
【0166】
このように、本実施形態では、複数のモータMO(MOr1、MOr2、MOp1、MOr3、MOp2及びMOr4)は、ボディ部BDPから先端部TP1に向かうロボット10内の経路において、ボディ部BDPから順に数えた並びの複数の関節機構JEをそれぞれ駆動するモータMOの順に、ケーブルCBLにより接続される。これにより、本実施形態では、ケーブルCBLの配置が煩雑になることを抑制することができる。
【0167】
また、本実施形態では、ロボット10は、モータMOr5及びモータMOr6をさらに有する。関節機構JEr4は、方向De2とのなす角度が所定の角度より大きい軸Ax4を第4回転軸として、先端部TP1をリンクLK2に対して回転させる。先端部TP1は、リンクLK2に接続される第1部分TP11と、第1部分TP11に接続される第2部分TP12と、第1部分TP11と第2部分TP12を接続し、第4回転軸(軸Ax4)とのなす角度が所定の角度より大きい軸Ax5を第5回転軸として、第2部分TP12を第1部分TP11に対して回転させる関節機構JEr5と、第5回転軸(軸Ax5)とのなす角度が所定の角度より大きい軸Ax6を第6回転軸として、先端部TP1のうちエンドエフェクタ20が取り付けられる部分(例えば、端面TP1sf)を回転させる関節機構JEr6と、を含む。モータMOr5は、ケーブルCBLを介して電力が供給され、関節機構JEr5を駆動する。モータMOr6は、ケーブルCBLを介して電力が供給され、関節機構JEr6を駆動する。ケーブルCBLは、モータMOr1、モータMOr2、モータMOp1、モータMOr3、モータMOp2、モータMOr4、モータMOr5及びモータMOr6に、モータMOr1、モータMOr2、モータMOp1、モータMOr3、モータMOp2、モータMOr4、モータMOr5及びモータMOr6の順に接続される。
【0168】
このように、本実施形態では、複数のモータMO(MOr1、MOr2、MOp1、MOr3、MOp2、MOr4、MOr5及びMOr6)は、ボディ部BDPから先端部TP1に向かうロボット10内の経路において、ボディ部BDPから順に数えた並びの複数の関節機構JEをそれぞれ駆動するモータMOの順に、ケーブルCBLにより接続される。これにより、本実施形態では、ケーブルCBLの配置が煩雑になることを抑制することができる。
【0169】
また、本実施形態では、ロボット10は、リンクLK1に固定され、移動支持部Sm1を支持し、方向De1に沿って伸縮する弾性部材EL1と、リンクLK2に固定され、移動支持部Sm2を支持し、方向De2に沿って伸縮する弾性部材EL2と、をさらに有する。固定支持部Sf1は、リンクLK1に固定された滑車である。固定支持部Sf2は、リンクLK2に固定された滑車である。移動支持部Sm1は、弾性部材EL1により懸架された滑車である。移動支持部Sm2は、弾性部材EL2により懸架された滑車である。
【0170】
このように、本実施形態では、移動支持部Sm1は、弾性部材EL1により方向De1に沿って移動可能に支持される滑車であり、移動支持部Sm2は、弾性部材EL2により方向De2に沿って移動可能に支持される滑車である。これにより、本実施形態では、モータMOp1に対するモータMOr3の位置、及び、モータMOp2に対するモータMOr3の位置の一方又は両方が変化した場合に、ケーブルCBLをスムーズに滑らせることができる。この結果、本実施形態では、ロボット10の姿勢が変化しても、電力をモータMOに確実に供給することができる。
【0171】
また、本実施形態では、固定支持部Sf1は、リンクLK1の2つの端部LK1edのうちのボディ部BDPに近い端部LK1ed1に固定される。移動支持部Sm1は、リンクLK1の2つの端部LK1edのうちのボディ部BDPから遠い端部LK1ed2から、弾性部材EL1により吊り下げられる。固定支持部Sf2は、リンクLK2の2つの端部LK2edのうちの先端部TP1から遠い端部LK2ed1に固定される。移動支持部Sm2は、リンクLK2の2つの端部LK2edのうちの先端部TP1に近い端部LK2ed1から、弾性部材EL2により吊り下げられている。
【0172】
このように、本実施形態では、移動支持部Sm1は、弾性部材EL1の弾性力により固定支持部Sf1から遠ざかる方向に力が加わるように配置される。これにより、本実施形態では、モータMOp1に対するモータMOr3の位置の変化に応じて移動支持部Sm1を方向De1に沿って容易に移動させることができる。また、本実施形態では、移動支持部Sm2は、弾性部材EL2の弾性力により固定支持部Sf2から遠ざかる方向に力が加わるように配置される。これにより、本実施形態では、モータMOp2に対するモータMOr3の位置の変化に応じて移動支持部Sm2を方向De2に沿って容易に移動させることができる。
【0173】
また、本実施形態では、ロボットコントローラ30は、モータMOr3、モータMOp1及びモータMOp2を制御することにより、ロボット10の動作を制御する。このように、本実施形態では、ロボットコントローラ30により、ロボット10の動作を容易に制御することができる。
【0174】
また、本実施形態では、ロボットシステム1は、ロボット10と、先端部TP1に取り付けられたエンドエフェクタ20と、ロボット10及びエンドエフェクタ20の動作を制御するロボットコントローラ30と、を有する。ロボットコントローラ30は、モータMOr3、モータMOp1及びモータMOp2にケーブルCBLを介して電力を供給し、モータMOr3、モータMOp1及びモータMOp2を制御することにより、ロボット10の動作を制御する。このように、本実施形態では、ロボットコントローラ30は、ケーブルCBLを介して電力をモータMO(MOr3、MOp1及びMOp2)に確実に供給することができる。
【0175】
また、本実施形態では、部品を組み付ける、又は、部品を取り除くことを含む物品の製造方法にロボットシステム1が用いられてもよい。この場合、部品を組み付ける、又は、部品を取り除く作業を効率よく実行することができる。
【0176】
[2.変形例]
本発明は、以上に例示した実施形態に限定されない。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を併合してもよい。
【0177】
[第1変形例]
上述した実施形態では、関節機構JEr4が、リンクLK2が延在する方向De2に垂直な軸Ax4を回転軸として、先端部TP1をリンクLK2に対して回転させる場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、関節機構JEr4は、リンクLK2が延在する方向De2とのなす角度が所定の角度以下の軸を回転軸として、先端部TP1をリンクLK2に対して回転させてもよい。
【0178】
図8は、第1変形例に係る先端部TP1Aの一例を説明するための説明図である。
図1から
図7において説明した要素と同様の要素については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0179】
例えば、本変形例に係るロボット10は、
図1に示したリンクLK2、関節機構JEr4及び先端部TP1の代わりにリンクLK2A、関節機構JEr4A及び先端部TP1Aを有することを除いて、
図1に示したロボット10と同様である。リンクLK2Aは、関節機構JEr4の代わりに関節機構JEr4Aが接続されることを除いて、リンクLK2と同様である。なお、リンクLK2Aは、「第2リンク」の他の例であり、関節機構JEr4Aは、「第4駆動機構」の他の例である。
【0180】
関節機構JEr4Aは、リンクLK2Aと先端部TP1Aを接続し、方向De2に平行な軸Ax4Aを回転軸として、先端部TP1AをリンクLK2Aに対して回転させる。
図8の回転方向Dr4は、軸Ax4Aを回転軸として回転する場合の先端部TP1Aの回転方向を示す。なお、軸Ax4Aは、「第4回転軸」の他の例であり、リンクLK2Aが延在する方向De2とのなす角度が所定の角度以下の軸に該当する。
【0181】
先端部TP1Aにおいても、
図1に示した先端部TP1と同様に、エンドエフェクタ20が端面TP1sfに取り付けられる。先端部TP1Aは、リンクLK2Aに接続される第1部分TP11Aと、第1部分TP11Aに接続される第2部分TP12Aと、関節機構JEr5Aと、関節機構JEr6とを含む。第1部分TP11Aは、例えば、関節機構JEr4Aを介してリンクLK2Aに接続される。従って、第1部分TP11Aは、軸Ax4Aを回転軸としてリンクLK2Aに対して回転する。
【0182】
関節機構JEr5Aは、第1部分TP11Aと第2部分TP12Aを接続し、軸Ax4Aに垂直な軸Ax5を回転軸として、第2部分TP12Aを第1部分TP11Aに対して回転させる。
図1の回転方向Dr5は、軸Ax5を回転軸として回転する場合の第2部分TP12Aの回転方向を示す。
【0183】
関節機構JEr6は、
図1に示した関節機構JEr6と同様である。例えば、関節機構JEr6は、軸Ax5に垂直な軸Ax6を回転軸として、先端部TP1Aの少なくとも一部分(例えば、端面TP1sf)を回転させる。
図8に示す例では、
図1に示した関節機構JEr6と同様に、関節機構JEr6の表面が端面TP1sfに該当する。なお、関節機構JEr6が第2部分TP12Aに含まれる構成等では、第2部分TP12Aの端面が端面TP1sfであってもよい。
【0184】
なお、
図8では図示を省略しているが、モータMOr4は、関節機構JEr4の代わりに関節機構JEr4Aを駆動し、モータMOr5は、関節機構JEr5の代わりに関節機構JEr5Aを駆動する。
【0185】
以上、本変形例では、関節機構JEr4Aは、方向De2とのなす角度が所定の角度以下の軸Ax4Aを第4回転軸として、先端部TP1AをリンクLK2Aに対して回転させる。先端部TP1Aは、リンクLK2Aに接続される第1部分TP11Aと、第1部分TP11Aに接続される第2部分TP12Aと、第1部分TP11Aと第2部分TP12Aを接続し、第4回転軸(軸Ax4A)とのなす角度が所定の角度より大きい軸Ax5を第5回転軸として、第2部分TP12Aを第1部分TP11Aに対して回転させる関節機構JEr5Aと、第5回転軸(軸Ax5)とのなす角度が所定の角度より大きい軸Ax6を第6回転軸として、先端部TP1Aのうちエンドエフェクタ20が取り付けられる部分(例えば、端面TP1sf)を回転させる関節機構JEr6と、を含む。モータMOr5は、ケーブルCBLを介して電力が供給され、関節機構JEr5Aを駆動する。モータMOr6は、ケーブルCBLを介して電力が供給され、関節機構JEr6を駆動する。ケーブルCBLは、モータMOr1、モータMOr2、モータMOp1、モータMOr3、モータMOp2、モータMOr4、モータMOr5及びモータMOr6に、モータMOr1、モータMOr2、モータMOp1、モータMOr3、モータMOp2、モータMOr4、モータMOr5及びモータMOr6の順に接続される。
【0186】
本変形例においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。例えば、本変形例においても、複数のモータMO(MOr1、MOr2、MOp1、MOr3、MOp2、MOr4、MOr5及びMOr6)は、ボディ部BDPから先端部TP1Aに向かうロボット10内の経路において、ボディ部BDPから順に数えた並びの複数の関節機構JEをそれぞれ駆動するモータMOの順に、ケーブルCBLにより接続される。これにより、本実施形態では、ケーブルCBLの配置が煩雑になることを抑制することができる。
【0187】
[第2変形例]
上述した実施形態及び変形例では、垂直6軸多関節ロボットに2つの関節機構JEp1及びJEp2を追加した構成をロボット10として例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、ロボット10は、7軸以上の多関節ロボットに2つの関節機構JEp1及びJEp2を追加した構成であってもよい。具体的には、ボディ部BDPと関節機構JEr2との間に、リンクLK1及びLK2とは異なる1以上のリンクLKが配置されてもよい。あるいは、関節機構JEr4と先端部TP1との間に、リンクLK1及びLK2とは異なる1以上のリンクLKが配置されてもよい。すなわち、ロボット10は、ボディ部BDPと先端部TP1を接続する3以上のリンクLKを有してもよい。この場合、ロボット10が有する3以上のリンクLKは、リンクLK1及びLK2を含む複数のリンクLKに該当する。
【0188】
以上、本変形例においても、上述した実施形態及び変形例と同様の効果を得ることができる。
【0189】
[3.応用例]
上述した実施形態及び変形例において説明したロボット10を含むロボットシステム1は、部品を組み付ける、又は、部品を取り除くことを含む物品の製造方法に用いられてもよい。
【0190】
[4.その他]
上述した実施形態において簡単に説明した「旋回」と他の回転との区別について、いくつかの例を挙げて説明する。
【0191】
図9は、旋回の一例を説明するための説明図である。
図9では、長手方向を把握可能な2つのリンクLKi及びLKjの接続を例にして、旋回と他の回転との区別について説明する。
図9の延在方向Deiは、リンクLKiが延在する方向を示し、延在方向Dejは、リンクLKjが延在する方向を示す。また、
図9の関節機構JEriは、リンクLKiとリンクLKjを接続し、軸Axiを回転軸として、リンクLKjをリンクLKiに対して回転させる。
【0192】
図9に示す例では、リンクLKiの延在方向Dei(特定の方向)と軸Axiとのなす角度θが所定の角度より大きい場合、当該軸Axiを回転軸とした回転は、「旋回」に該当する。すなわち、リンクLKiの延在方向Deiと軸Axiとのなす角度θが所定の角度以下の場合、当該軸Axiを回転軸とした回転は、旋回以外の回転(旋回と区別される他の回転)に該当する。
図9に示す「回転」は、旋回以外の回転を示す。また、所定の角度は特に限定されないが、
図9では、所定の角度が45°である場合を想定する。延在方向Deiと軸Axiとのなす角度θは、延在方向Deiに対する軸Axiの角度として把握される複数の角度(例えば、互いに交差する2つの直線では4つの角度、又は、平行な2つの直線では0°及び180°)のうち、0°以上90°以下の角度である。
【0193】
第1パターンでは、リンクLKiの延在方向Deiと軸Axiとのなす角度θは、90°であり、所定の角度(45°)よりも大きい。従って、第1パターンでは、軸Axiを回転軸としたリンクLKjの回転は、旋回である。また、第1パターンでは、リンクLKjの延在方向Dejは、軸Axiに垂直である。なお、第1パターンでは、リンクLKjが軸Axiを回転軸として回転(旋回)した場合、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、変化する。
【0194】
第2パターンでは、リンクLKiの延在方向Deiと軸Axiとのなす角度θは、0°であり、所定の角度(45°)以下である。従って、第2パターンでは、軸Axiを回転軸としたリンクLKjの回転は、旋回以外の回転である。また、第2パターンでは、リンクLKjの延在方向Dejは、リンクLKiの延在方向Dei及び軸Axiに平行である。すなわち、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、0°である。なお、第2パターンでは、リンクLKjが軸Axiを回転軸として回転しても、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、0°に維持され、常に一定である。
【0195】
第3パターンでは、リンクLKiの延在方向Deiと軸Axiとのなす角度θは、0°であり、所定の角度(45°)以下である。従って、第3パターンでは、軸Axiを回転軸としたリンクLKjの回転は、旋回以外の回転である。また、第3パターンでは、リンクLKjの延在方向Dejは、リンクLKiの延在方向Dei及び軸Axiに垂直である。すなわち、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、90°である。なお、第3パターンでは、リンクLKjが軸Axiを回転軸として回転しても、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、90°に維持され、常に一定である。
【0196】
第4パターンでは、リンクLKiの延在方向Deiと軸Axiとのなす角度θは、10°であり、所定の角度(45°)以下である。従って、第4パターンでは、軸Axiを回転軸としたリンクLKjの回転は、旋回以外の回転である。また、第4パターンでは、リンクLKjの延在方向Dejは、軸Axiに平行であり、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、10°である。なお、第4パターンでは、リンクLKjが軸Axiを回転軸として回転しても、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、10°に維持され、常に一定である。
【0197】
第5パターンでは、リンクLKiの延在方向Deiと軸Axiとのなす角度θは、70°であり、所定の角度(45°)よりも大きい。従って、第5パターンでは、軸Axiを回転軸としたリンクLKjの回転は、旋回である。また、第5パターンでは、リンクLKjの延在方向Dejは、軸Axiに垂直である。なお、第5パターンでは、リンクLKjが軸Axiを回転軸として回転(旋回)した場合、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、変化する。
【0198】
第6パターンでは、リンクLKiの延在方向Deiと軸Axiとのなす角度θは、10°であり、所定の角度(45°)以下である。従って、第6パターンでは、軸Axiを回転軸としたリンクLKjの回転は、旋回以外の回転である。また、第6パターンでは、リンクLKjの延在方向Dejは、軸Axiに垂直である。なお、第6パターンでは、リンクLKjが軸Axiを回転軸として回転した場合、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、変化する。
【0199】
第7パターンでは、リンクLKiの延在方向Deiと軸Axiとのなす角度θは、70°であり、所定の角度(45°)よりも大きい。従って、第7パターンでは、軸Axiを回転軸としたリンクLKjの回転は、旋回である。また、第7パターンでは、リンクLKjの延在方向Dejは、軸Axiに平行であり、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、70°である。なお、第7パターンでは、リンクLKjが軸Axiを回転軸として回転しても、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、70°に維持され、常に一定である。
【0200】
このように、上述した実施形態及び変形例では、リンクLKiに対するリンクLKjの回転のうち、リンクLKiの延在方向Deiとのなす角度が所定の角度より大きい軸Axiを回転軸とした回転が、旋回とも称される。但し、「旋回」の定義は、上述の例に限定されない。例えば、リンクLKiの延在方向Deiとのなす角度が所定の角度より大きい軸Axiを回転軸とした回転を旋回とする上述の定義を第1定義とした場合、第1定義の代わりに、下記の第2定義又は第3定義が採用されてもよい。
【0201】
第2定義では、リンクLKiに対するリンクLKjの回転により、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度が変化する場合、当該回転が旋回に該当する。従って、第2定義では、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度が、回転しても常に一定の場合、当該回転は、旋回以外の回転に該当する。例えば、第2定義では、
図9に示した第1パターン、第5パターン及び第6パターンは、旋回に該当し、第2パターン、第3パターン、第4パターン及び第7パターンは、旋回以外の回転に該当する。
【0202】
第3定義では、回転するリンクLKjの延在方向DejとリンクLKjの回転軸(軸Axi)とのなす角度が所定の角度より大きい場合、当該回転が旋回に該当する。従って、第3定義では、リンクLKjの延在方向DejとリンクLKjの回転軸(軸Axi)とのなす角度が所定の角度以下の場合、当該回転は、旋回以外の回転に該当する。例えば、第3定義では、
図9に示した第1パターン、第3パターン、第5パターン及び第6パターンは、旋回に該当し、第2パターン、第4パターン及び第7パターンは、旋回以外の回転に該当する。
【0203】
また、上述の第1定義、第2定義及び第3定義とは別に、互いに隣接する2つの関節機構JErのそれぞれの回転軸の関係に着目して、2つの関節機構JErによる2つの回転の相対関係を定義してもよい。具体的には、2つの回転軸のなす角度が所定の角度以下である場合(典型的には、平行の場合)、2つの回転を同種の回転とし、2つの回転軸のなす角度が所定の角度よりも大きい場合(典型的には、直交する場合)、2つの回転を異種の回転としてもよい。なお、同種の回転とは、2つの回転とも旋回、又は、2つの回転とも旋回以外の回転であり、異種の回転とは、2つの回転の一方が旋回で他方が旋回以外の回転である。2つの回転の相対関係の定義が用いられる場合、相対関係の起点となる回転は、例えば、上述の第1定義、第2定義及び第3定義のいずれかに基づいて決められてもよい。
図9に示した第1パターンは、第1定義、第2定義及び第3定義のいずれにおいても、旋回に該当し、第2パターンは、第1定義、第2定義及び第3定義のいずれにおいても、旋回以外の回転に該当する。従って、第1パターン又は第2パターンを、相対関係の起点となる回転とすることが好ましい。
【0204】
また、上述の第1定義、第2定義及び第3定義の2以上の定義を組み合わせた定義が用いられてもよい。この場合、例えば、組み合わせる2以上の定義の全てで旋回に該当する回転のみを旋回としてもよいし、組み合わせる2以上の定義の少なくとも1つで旋回に該当する回転を旋回としてもよい。
【符号の説明】
【0205】
1…ロボットシステム、10…ロボット、20…エンドエフェクタ、30…ロボットコントローラ、31…電力供給装置、32…処理装置、33…メモリ、34…通信装置、35…操作装置、36…表示装置、37…ドライバ回路、ARmv1、ARmv2…移動領域、Ax1、Ax2、Ax3、Ax4、Ax4A、Ax5、Ax6、Axi…軸、BDP…ボディ部、BDPbt…底面、BDPba…土台部、CBL、CBLa、CBLb、CBLc…ケーブル、EL1、EL2…弾性部材、FM10、FM11、FM12、FM20、FM21、FM22…フレーム、JEr1、JEr2、JEr3、JEr4、JEr4A、JEr5、JEr6、JEri、JEp1、JEp2…関節機構、JEp11、JEp21…ねじ部、JEp12、JEp22…ナット、JEp13、JEp23…接続部、JEp13a、JEp23a…スライダー部、JEp13b、JEp23b…支持部、JEp14、JEp24…レール、JEp14a、JEp14b、JEp24a、JEp24b…棒状部材、JEr11、JEr21、JEr41、JEr51、JEr61…回転部、JEr12、JEr22、JEr42、JEr52、JEr62…筐体、Lce、Lcm、Lcm1、Lcm2、Lcm3、Lcm4、Lcm5、Lcm6、Lcm7、Lcm8、Lpe、Lpm…配線、LK1、LK2、LK2A、LKi、LKj…リンク、MOr1、MOr2、MOr3、MOr4、MOr5、MOr6、MOp1、MOp2…モータ、Sm1、Sm2…移動支持部、Sm11、Sm21…円盤、Sm12、Sm22…円盤支持部、Sf1、Sf2…固定支持部、Sf11、Sf21…円盤、Sf12、Sf22…円盤支持部。