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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168987
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 69/03 20060101AFI20241128BHJP
   A01B 63/10 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A01D69/03
A01B63/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086142
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】城下 哲也
(72)【発明者】
【氏名】西村 聡一郎
(72)【発明者】
【氏名】杉田 泰行
(72)【発明者】
【氏名】平井 大輔
【テーマコード(参考)】
2B076
2B304
【Fターム(参考)】
2B076DA05
2B076DA10
2B076DA15
2B076DA16
2B304KA07
2B304KA16
2B304KA17
2B304LA13
2B304MA02
2B304MB02
2B304PD02
2B304PD09
2B304PD16
2B304PD25
2B304PD27
2B304PD32
2B304PD34
2B304QB24
(57)【要約】
【課題】刈取装置用の昇降シリンダへのオイルの給油を中止した場合に、排出オーガが上昇を防止することができるコンバインを提供する。
【解決手段】第1制御弁(54)の下流側に配置された第2制御弁(42)を第1管路(55)で接続し、第2制御弁(42)と、第2制御弁(42)の下流側に配置された第3制御弁(49)を第2管路(43A)で接続し、第2制御弁(42)と第1昇降シリンダ(66)を第3管路(60)で接続し、第3制御弁(49)と第2昇降シリンダ(47)を第4管路(43B)で、第3制御弁(49)と第3管路(60)を第5管路(49A)で接続し、第2制御弁(42)から第3管路(60)にオイルが給油されている場合には、第3制御弁(49)で第2管路(43A)と第4管路(43B)の連通を遮断し、第2制御弁(42)から第3管路(60)にオイルが給油されていない場合には、第3制御弁(49)によって第2管路(43A)と第4管路(43B)を連通させる。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレーム(1)の前側に穀稈を刈取る刈取装置(3)と、該刈取装置(3)の後方左側に穀稈を脱穀する脱穀装置(4)と、前記刈取装置(3)の後方右側に作業者が搭乗する操縦部(5)と、該操縦部(5)の後側に脱穀された穀粒を貯留するグレンタンク(7)と、該グレンタンク(7)に貯留された穀粒を外部に排出する排出オーガ(8)を設けたコンバインにおいて、
前記刈取装置(3)を昇降させる第1昇降シリンダ(66)と、前記排出オーガ(8)の横排出部(8B)を昇降させる第2昇降シリンダ(47)を設け、
前記第1昇降シリンダ(66)と第2昇降シリンダ(47)に給油するオイルを貯留するオイルタンク(30)の下流側に配置された絞り弁を備えた第1制御弁(54)と、該第1制御弁(54)の下流側に配置された第2制御弁(42)を第1管路(55)で接続し、
前記第2制御弁(42)と、該第2制御弁(42)の下流側に配置された第3制御弁(49)を第2管路(43A)で接続し、
前記第2制御弁(42)と第1昇降シリンダ(66)を第3管路(60)で接続し、
前記第3制御弁(49)と第2昇降シリンダ(47)を第4管路(43B)で、前記第3制御弁(49)と第3管路(60)を第5管路(49A)で接続し、
前記第2制御弁(42)から第3管路(60)にオイルが給油されている場合には、前記第3制御弁(49)で第2管路(43A)と第4管路(43B)の連通を遮断し、
前記第2制御弁(42)から第3管路(60)にオイルが給油されていない場合には、前記第3制御弁(49)によって第2管路(43A)と第4管路(43B)を連通させることを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記第2制御弁(42)は4ポート3位置方向制御弁で、前記第3制御弁(49)は2ポート2位置方向制御弁である請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
機体フレーム(1)の前側に穀稈を刈取る刈取装置(3)と、該刈取装置(3)の後方左側に穀稈を脱穀する脱穀装置(4)と、前記刈取装置(3)の後方右側に作業者が搭乗する操縦部(5)と、該操縦部(5)の後側に脱穀された穀粒を貯留するグレンタンク(7)と、該グレンタンク(7)に貯留された穀粒を外部に排出する排出オーガ(8)を設けたコンバインにおいて、
前記刈取装置(3)を昇降させる第1昇降シリンダ(66)と、前記排出オーガ(8)の横排出部(8B)を昇降させる第2昇降シリンダ(47)を設け、
前記第1昇降シリンダ(66)と第2昇降シリンダ(47)に給油するオイルを貯留するオイルタンク(30)の下流側に配置された絞り弁を備えた第1制御弁(54)と、該第1制御弁(54)の下流側に配置された第2制御弁(56)を第1管路(55)で接続し、
前記第2制御弁(56)と、該第2制御弁(56)の下流側に配置された第3制御弁(58)を第2管路(43A)で接続し、
前記第2制御弁(56)と第1昇降シリンダ(66)を第3管路(60)で接続し、
前記第3制御弁(58)と第2昇降シリンダ(47)を第4管路(43B)で接続し、
前記第2制御弁(56)から第3管路(60)にオイルが給油されている場合には、前記第3制御弁(58)で第2管路(43A)と第4管路(43B)の連通を遮断し、
前記第2制御弁(56)から第3管路(60)にオイルが給油されていない場合には、前記第3制御弁(58)によって第2管路(43A)と第4管路(43B)を連通させることを特徴とするコンバイン。
【請求項4】
前記第2制御弁(56)は4ポート2位置方向制御弁で、前記第3制御弁(58)は4ポート2位置方向制御弁である請求項3記載のコンバイン。
【請求項5】
前記第2制御弁(42,56)から第3管路(60)へのオイルの給油を中止するよりも前に、前記第1制御弁(54)の絞り弁から第1管路(55)に給油されるオイルを減少させる請求項1又は3記載のコンバイン。
【請求項6】
前記第1制御弁(54)の絞り弁のオリフィスの流径を、前記操縦部(5)の流径レバー(23)で操作可能な構成とした請求項5記載のコンバイン。
【請求項7】
前記第4管路(43B)に絞り弁を備えた第4制御弁(48)を配置し、
前記第1昇降シリンダ(66)から排油されるオイルの流量を調整可能な構成とした請求項1又は3記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場の穀稈を収穫する刈取装置と、脱穀処理された穀粒を外部に排出する排出オーガを備えたコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
オイルタンクから制御弁に給油されたオイルを、制御弁を切替えて、制御弁の下流に設けられた刈取装置を昇降させる刈取装置用の昇降シリンダと排出オーガを昇降させる排出オーガ用の昇降シリンダに排油する技術が知られている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-119642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、制御弁を切替えて刈取装置用の昇降シリンダへのオイルの排油を中止した場合に発生するサージ圧によって、オイルが排出オーガ用の昇降シリンダに排油されて排出オーガが上昇するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、刈取装置用の昇降シリンダへのオイルの給油を中止した場合に、排出オーガが上昇を防止することができるコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
すなわち、請求項1記載の発明は、機体フレーム(1)の前側に穀稈を刈取る刈取装置(3)と、該刈取装置(3)の後方左側に穀稈を脱穀する脱穀装置(4)と、前記刈取装置(3)の後方右側に作業者が搭乗する操縦部(5)と、該操縦部(5)の後側に脱穀された穀粒を貯留するグレンタンク(7)と、該グレンタンク(7)に貯留された穀粒を外部に排出する排出オーガ(8)を設けたコンバインにおいて、
前記刈取装置(3)を昇降させる第1昇降シリンダ(66)と、前記排出オーガ(8)の横排出部(8B)を昇降させる第2昇降シリンダ(47)を設け、前記第1昇降シリンダ(66)と第2昇降シリンダ(47)に給油するオイルを貯留するオイルタンク(30)の下流側に配置された絞り弁を備えた第1制御弁(54)と、該第1制御弁(54)の下流側に配置された第2制御弁(42)を第1管路(55)で接続し、前記第2制御弁(42)と、該第2制御弁(42)の下流側に配置された第3制御弁(49)を第2管路(43A)で接続し、前記第2制御弁(42)と第1昇降シリンダ(66)を第3管路(60)で接続し、前記第3制御弁(49)と第2昇降シリンダ(47)を第4管路(43B)で、前記第3制御弁(49)と第3管路(60)を第5管路(49A)で接続し、前記第2制御弁(42)から第3管路(60)にオイルが給油されている場合には、前記第3制御弁(49)で第2管路(43A)と第4管路(43B)の連通を遮断し、前記第2制御弁(42)から第3管路(60)にオイルが給油されていない場合には、前記第3制御弁(49)によって第2管路(43A)と第4管路(43B)を連通させることを特徴とするコンバインである。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記第2制御弁(42)は4ポート3位置方向制御弁で、前記第3制御弁(49)は2ポート2位置方向制御弁である請求項1記載のコンバインである。
【0008】
請求項3記載の発明は、機体フレーム(1)の前側に穀稈を刈取る刈取装置(3)と、該刈取装置(3)の後方左側に穀稈を脱穀する脱穀装置(4)と、前記刈取装置(3)の後方右側に作業者が搭乗する操縦部(5)と、該操縦部(5)の後側に脱穀された穀粒を貯留するグレンタンク(7)と、該グレンタンク(7)に貯留された穀粒を外部に排出する排出オーガ(8)を設けたコンバインにおいて、
前記刈取装置(3)を昇降させる第1昇降シリンダ(66)と、前記排出オーガ(8)の横排出部(8B)を昇降させる第2昇降シリンダ(47)を設け、前記第1昇降シリンダ(66)と第2昇降シリンダ(47)に給油するオイルを貯留するオイルタンク(30)の下流側に配置された絞り弁を備えた第1制御弁(54)と、該第1制御弁(54)の下流側に配置された第2制御弁(56)を第1管路(55)で接続し、前記第2制御弁(56)と、該第2制御弁(56)の下流側に配置された第3制御弁(58)を第2管路(43A)で接続し、前記第2制御弁(56)と第1昇降シリンダ(66)を第3管路(60)で接続し、前記第3制御弁(58)と第2昇降シリンダ(47)を第4管路(43B)で接続し、前記第2制御弁(56)から第3管路(60)にオイルが給油されている場合には、前記第3制御弁(58)で第2管路(43A)と第4管路(43B)の連通を遮断し、前記第2制御弁(56)から第3管路(60)にオイルが給油されていない場合には、前記第3制御弁(58)によって第2管路(43A)と第4管路(43B)を連通させることを特徴とするコンバインである。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記第2制御弁(56)は4ポート2位置方向制御弁で、前記第3制御弁(58)は4ポート2位置方向制御弁である請求項3記載のコンバインである。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記第2制御弁(42,56)から第3管路(60)へのオイルの給油を中止するよりも前に、前記第1制御弁(54)の絞り弁から第1管路(55)に給油されるオイルを減少させる請求項1又は3記載のコンバインである。
【0011】
請求項6記載の発明は、前記第1制御弁(54)の絞り弁のオリフィスの流径を、前記操縦部(5)の流径レバー(23)で操作可能な構成とした請求項5記載のコンバインである。
【0012】
請求項7記載の発明は、前記第4管路(43B)に絞り弁を備えた第4制御弁(48)を配置し、前記第1昇降シリンダ(66)から排油されるオイルの流量を調整可能な構成とした請求項1又は3記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、刈取装置(3)を昇降させる第1昇降シリンダ(66)と、排出オーガ(8)の横排出部(8B)を昇降させる第2昇降シリンダ(47)を設け、第1昇降シリンダ(66)と第2昇降シリンダ(47)に給油するオイルを貯留するオイルタンク(30)の下流側に配置された絞り弁を備えた第1制御弁(54)と、第1制御弁(54)の下流側に配置された第2制御弁(42)を第1管路(55)で接続し、第2制御弁(42)と、第2制御弁(42)の下流側に配置された第3制御弁(49)を第2管路(43A)で接続し、第2制御弁(42)と第1昇降シリンダ(66)を第3管路(60)で接続し、第3制御弁(49)と第2昇降シリンダ(47)を第4管路(43B)で、第3制御弁(49)と第3管路(60)を第5管路(49A)で接続し、第2制御弁(42)から第3管路(60)にオイルが給油されている場合には、第3制御弁(49)で第2管路(43A)と第4管路(43B)の連通を遮断し、第2制御弁(42)から第3管路(60)にオイルが給油されていない場合には、第3制御弁(49)によって第2管路(43A)と第4管路(43B)を連通させるので、第2制御弁(42)を切替えた直後に第3管路(60)に残存するオイルで第3制御弁(49)を介して第2管路(43A)と第4管路(43B)の連通を遮断して、第4管路(43B)を介して第2昇降シリンダ(47)に給油されるオイルを抑制して排出オーガ(8)の横排出部(8B)の上昇を防止することができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、第2制御弁(42)は4ポート3位置方向制御弁で、第3制御弁(49)は2ポート2位置方向制御弁であるので、第4管路(43B)を介して第2昇降シリンダ(47)に給油されるオイルをより抑制して排出オーガ(8)の横排出部(8B)の上昇をより防止することができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、刈取装置(3)を昇降させる第1昇降シリンダ(66)と、排出オーガ(8)の横排出部(8B)を昇降させる第2昇降シリンダ(47)を設け、第1昇降シリンダ(66)と第2昇降シリンダ(47)に給油するオイルを貯留するオイルタンク(30)の下流側に配置された絞り弁を備えた第1制御弁(54)と、第1制御弁(54)の下流側に配置された第2制御弁(56)を第1管路(55)で接続し、第2制御弁(56)と、第2制御弁(56)の下流側に配置された第3制御弁(58)を第2管路(43A)で接続し、第2制御弁(56)と第1昇降シリンダ(66)を第3管路(60)で接続し、第3制御弁(58)と第2昇降シリンダ(47)を第4管路(43B)で接続し、第2制御弁(56)から第3管路(60)にオイルが給油されている場合には、第3制御弁(58)で第2管路(43A)と第4管路(43B)の連通を遮断し、第2制御弁(56)から第3管路(60)にオイルが給油されていない場合には、第3制御弁(58)によって第2管路(43A)と第4管路(43B)を連通させるので、第3制御弁(58)で第2管路(43A)と第4管路(43B)の連通を遮断して、第4管路(43B)を介して第2昇降シリンダ(47)に給油されるオイルを抑制して排出オーガ(8)の横排出部(8B)の上昇を防止することができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、請求項3記載の発明による効果に加えて、第2制御弁(56)は4ポート2位置方向制御弁で、第3制御弁(58)は4ポート2位置方向制御弁であるので、第4管路(43B)を介して第2昇降シリンダ(47)に給油されるオイルを抑制して排出オーガ(8)の横排出部(8B)の上昇を防止することができる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、請求項1又は3記載の発明による効果に加えて、第2制御弁(42,56)から第3管路(60)へのオイルの給油を中止するよりも前に、第1制御弁(54)の絞り弁から第1管路(55)に給油されるオイルを減少させるので、第2制御弁(42)を切替える前に、第2制御弁(42)から第3管路(60)に給油されるオイルを少なくして第2制御弁(42,56)に加わるサージ圧(オイルハンマ)の影響を低減することができる。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の発明による効果に加えて、第1制御弁(54)の絞り弁のオリフィスの流径を、操縦部(5)の流径レバー(23)で操作可能な構成としたので、第2制御弁(42)から第3管路(60)に給油されるオイルの流量を調整でき、第2制御弁(42,56)に加わるサージ圧(オイルハンマ)の影響をより低減することができる。
【0019】
請求項7記載の発明によれば、請求項1又は3記載の発明による効果に加えて、第4管路(43B)に絞り弁を備えた第4制御弁(48)を配置し、第1昇降シリンダ(66)から排油されるオイルの流量を調整可能な構成としたので、排出オーガ(8)の横排出部(8B)の急な下降を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】コンバインの正面図である。
図2】コンバインの平面図である。
図3】コンバインの左側面図である。
図4】操縦部の説明図である。
図5】第1実施形態の排出オーガ装置の上昇を防止する油圧回路の説明図である。
図6】排出オーガ装置の急な下降を防止する油圧回路の説明図である。
図7】制御弁からオイルをステップ状に排油する説明図である。
図8】制御弁からオイルをランプ状に排油する説明図である。
図9】制御弁からオイルをステップ状の後にランプ状に排油する説明図である。
図10】第2実施形態の排出オーガ装置の上昇を防止する油圧回路の説明図である。
図11】第3実施形態の排出オーガ装置の上昇を防止する油圧回路の説明図である。
図12】無段変速装置の油圧回路の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1~3に示すように、コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を刈取る刈取装置3が設けられ、刈取装置3の後方左側に刈取られた穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取装置3の後方右側に作業者が搭乗する操縦部5が設けられている。
【0022】
操縦部5の下側には、エンジンを搭載するエンジンルーム6が設けられ、操縦部5の後側には、脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられ、グレンタンク7の後側には、穀粒を外部に排出する上下方向に延在する揚穀部8Aと前後方向に延在する横排出部8Bからなる排出オーガ8が設けられている。また、操縦部5は、キャビン9によって囲繞され、刈取装置3の後部には、刈取られた穀稈を脱穀装置4に搬送する搬送装置10が設けられている。
【0023】
図4に示すように、操縦部5の操縦席の前側のフロントパネル20には、走行装置2の走行速度等を表示するタッチパネル式のモニタ21が設けられ、モニタ21の右側には、走行装置2を左右方向に旋回や刈取装置3を上下方向に昇降させる操作レバー22が設けられ、モニタ21の左側には、後述する制御弁(請求項の「第1制御弁」)54の可変絞り弁のオリフィスの流径を増減する流径レバーと流径スイッチ24が設けられている。なお、操作レバー22の姿勢は、操作レバー22の基部に装着されたポテンションメータ等の角度センサによって測定されている。
【0024】
操縦部5の操縦席の左側のサイドパネル25には、エンジンの出力回転の増減速と回転方向の切替えを行う無段変速装置70を操作する主変速レバー26が設けられ、主変速レバー26の後側には、無段変速装置70の出力回転の増減速を行うトランスミッションを操作する副変速レバー27が設けられている。なお、主変速レバー26の姿勢は、主変速レバー26の基部に装着されたポテンションメータ等の角度センサによって測定され、副変速レバー27の姿勢は、副変速レバー27の基部に装着されたポテンションメータ等の角度センサによって測定されている。
【0025】
<第1実施形態の油圧回路>
図5に示すように、オイルタンク30に貯留されたオイルは、ポンプ31で昇圧されたて管路32に給油された後に、フィルタ33で異物が除去される。フィルタ33から排油されたオイルは、リリーフ弁40を介して管路41に給油されると共に、制御弁50を介して管路51に給油される。
【0026】
管路41に給油されたオイルは、制御弁(請求項の「第2制御弁」)42を介して管路43に給油され、管路43に給油されたオイルは、制御弁44を介して管路45に給油される。管路45に給油されたオイルは、チェック弁と絞り弁が並設された絞り弁46を介して排出オーガ8の横排出部8Bを昇降させる排出オーガ用の昇降シリンダ(請求項の「第2昇降シリンダ」)47に給油される。
【0027】
図6に示すように、絞り弁46に替えて管路43に制御弁(請求項の「第4制御弁」)48を設けることができる。制御弁48は、2ポート2位置方向制御弁が使用されている。ソレノイドが消磁された場合には、管路43における制御弁42と制御弁48を接続する管路(請求項の「第2管路」)43Aと、制御弁48と制御弁44を接続する管路(請求項の「第4管路」)43Bが連通する。一方、ソレノイドが励磁された場合には、管路43Aと管路43Bが絞り弁を介して連通は遮断される。これにより、横排出部8Bを下降させる場合には、制御弁44と制御弁48のソレノイドを励磁させて、昇降シリンダ47から管路45に排油されるオイルの排油量を少なくして横排出部8Bの急な下降を抑制することができる。
【0028】
管路51に給油されたオイルは、制御弁52を介して管路53に給油され、管路53に給油されたオイルは、制御弁54を介して管路(請求項の「第1管路」)55に給油される。
【0029】
管路55に給油されたオイルは、制御弁42を介して管路(請求項の「第3管路」)60に給油され、管路60に給油されたオイルは、制御弁61を介して管路62に給油される。
【0030】
管路62に給油されたオイルは、制御弁63を介して管路64に給油され、管路64に給油されたオイルは、絞り弁65を介して刈取装置3を昇降させる刈取装置用の昇降シリンダ(請求項の「第1昇降シリンダ」)66に給油される。
【0031】
オイルタンク30に貯留されたオイルは、無段変速装置70にチャージポンプ71を介して給油されている。また、制御弁52から管路80に排油されたオイルは、分流弁81を介してと左管路82Lと右管路82Rに給油される。
【0032】
左管路82Lに給油されオイルは、左制御弁83Lを介して左管路84Lに給油され、左管路84Lに給油されたオイルは、左チェック弁85Lと左絞り弁86Lを介して機体フレーム1の左部を昇降させる左ローリングシリンダ87Lに給油される。
【0033】
右管路82Rに給油されオイルは、右制御弁83Rを介して右管路84Rに給油され、右管路84Rに給油されたオイルは、右チェック弁85Rと右絞り弁86Rを介して機体フレーム1の右部を昇降させる右ローリングシリンダ87Rに給油される。なお、コントローラ6Aは、機体フレーム1に装着されたジャイロ(図面省略)を測定値に基づいて左制御弁83Lと右制御弁83Rのソレノイドの励磁と消磁を行う。
【0034】
左制御弁83Lから管路90に排油されたオイルは、制御弁91を介して管路92に給油され、管路92に給油されたオイルは、チェック弁93を介して機体フレーム1の前後部を昇降させるピッチングシリンダ94に給油される。
【0035】
制御弁42には、4ポート3位置方向制御弁が使用されている。左右のソレノイドが消磁された場合には、管路55、管路60、及び管路43が管路41に連通して、管路55、管路60、及び管路43内のオイルが管路41を介してオイルタンク30に排油される。
【0036】
左側のソレノイドが励磁された場合には、管路55と管路60が連通すると共に管路43と管路41が連通して、管路43内のオイルが管路41を介してオイルタンク30に排油され、右側のソレノイドが励磁された場合には、管路55と管路43が連通すると共に管路60と管路41が連通して、管路60内のオイルが管路41を介してオイルタンク30に排油される。
【0037】
制御弁54には、2ポート2位置方向制御弁が使用されている。右側のソレノイドが消磁された場合には、制御弁54の絞り弁を介して管路53と管路55が連通し、右側のソレノイドが励磁された場合には、制御弁54のオリフィスの流径を可変可能な可変絞り弁を介して管路53と管路55が連通される。なお、可変絞り弁のオリフィスの流径は、絞り弁のオリフィスの流径よりも大きく形成され、右側のソレノイドが励磁された場合には、制御弁54から12[L/min]のオイルが排油され、右側のソレノイドが消磁された場合には、制御弁54から0.5[L/min] のオイルが排油される。
【0038】
操縦部5の操縦席の後側に配置されたコントローラ5Aは、制御弁42の左側のソレノイドを励磁から消磁に切替える前に、制御弁54のソレノイドを励磁から消磁に切替える。これにより、刈取装置3の上昇を停止した場合に発生する排出オーガ8の横排出部8Bの上昇を抑制することができる。すなわち、制御弁42を介して管路60に給油されるオイルを少なくして、左側のソレノイドを励磁から消磁に切替えた場合にオイルの流入方向の変化等によって発生する圧力変動であるサージ圧を低減して、昇降シリンダ47に流入するオイルを抑制して横排出部8Bの上昇を防止することができる。なお、制御弁42の左側のソレノイドを励磁から消磁に切替える10~30[msec]前に、制御弁54のソレノイドを励磁から消磁に切替えるのが好ましい。
【0039】
図7に示すように、コントローラ5Aは、流径レバー23が稼働領域の50%以上に回転した場合に、制御弁54の可変絞り弁のオリフィスの流径をステップ状に広げて制御弁54から排油されるオイルを0.5[L/min]から 12[L/min]にステップ状に増加させることができる。これにより、昇降シリンダ66を介して刈取装置3を速やかに昇降させることができる。
【0040】
図8に示すように、コントローラ5Aは、流径レバー23が稼働領域の50%以上に回転した場合に、制御弁54の可変絞り弁のオリフィスの流径を流径レバー23の稼働量に応じてランプ状に広げて制御弁54から排油されるオイルを0.5[L/min]から 12[L/min]にランプ状に増加させることができる。これにより、昇降シリンダ66を介して刈取装置3を緩やかに昇降させて、刈取装置3に加わる反力を低減することができる。
【0041】
図9に示すように、コントローラ5Aは、流径スイッチ24の入力された場合には、制御弁54の可変絞り弁のオリフィスの流径をステップ状に広げた後に、流径レバー23の稼働量に応じてランプ状に広げて制御弁54から排油されるオイルを0.5[L/min]から 12[L/min]にランプ状に増加させることができる。これにより、昇降シリンダ66を介して刈取装置3を初期には速やかに、且つ、その後は緩やかに昇降させて、刈取装置3に加わる反力を低減することができる。昇降させることができる。
【0042】
操縦部5に設けられたリモートスイッチ(図示省略)を操作して、昇降シリンダ66を駆動することもできるが、エンジンの出力回転を刈取装置3に伝動する刈取クラッチが接続されている場合には昇降シリンダ66の駆動が規制するのが好ましい。
【0043】
<第2実施形態の油圧回路>
図10に示すように、第2実施形態は、管路43に制御弁(請求項の「第3制御弁」)49を設け、管路60と制御弁を管路(請求項の「第5管路」)49Aで連通している。制御弁42の左側のソレノイドが消磁されて管路55と管路60が連通していない場合には、管路49Aにオイルが給油されずパイロット圧は発生しない。一方、制御弁42の左側のソレノイドが励磁されて管路55と管路60が連通している場合には、管路49Aにオイルが給油されてパイロット圧が発生する。
【0044】
制御弁49は、2ポート2位置方向制御弁が使用されている。パイロット圧が発生していない場合には、管路43における制御弁42と制御弁49を接続する管路43Aと、制御弁49と制御弁44を接続する管路43Bが連通する。一方、パイロット圧が発生する場合には、管路43Aと管路43Bが連通は遮断される。これにより、刈取装置3の上昇を停止した直後に発生する排出オーガ8の横排出部8Bの上昇を抑制することができる。すなわち、制御弁42の左側のソレノイドを励磁から消磁に切替えた直後に管路60内に残存するオイルによるパイロット圧を発生させて管路43Aと管路43Bの連通を遮断して、制御弁42を介して管路43Bに流入するオイルを防止して、昇降シリンダ47に流入するオイルを抑制して横排出部8Bの上昇をより防止することができる。
【0045】
<第3実施形態の油圧回路>
図11に示すように、第3実施形態は、制御弁42に替えて制御弁(請求項の「第2制御弁」)56と制御弁(請求項の「第3制御弁」)58を直列に設け、制御弁56と制御弁58を管路43Aで接続し、制御弁58と管路41を管路59で接続している。
【0046】
制御弁56は、4ポート2位置方向制御弁が使用されている。ソレノイドが消磁された場合には、管路55と管路43Aが連通し、ソレノイドが励磁された場合には、管路55と管路60が連通する。なお、刈取装置3を上昇させる場合には、制御弁56のソレノイドを励磁させて、制御弁63等を介して昇降シリンダ66にオイルを給油する。
【0047】
制御弁58は、4ポート2位置方向制御弁が使用されている。ソレノイドが消磁された場合には、管路43Aと管路59が連通し、ソレノイドが励磁された場合には、管路43Aと管路43Bが連通する。なお、横排出部8Bを上昇させる場合には、制御弁56のソレノイドを消磁させ、制御弁58のソレノイドを励磁させて、制御弁44等を介して昇降シリンダ47にオイルを給油する。
【0048】
制御弁56のソレノイドを消磁させて刈取装置3の上昇を停止した場合には、コントローラ5Aは、制御弁58のソレノイドを消磁させて管路43Aと管路43Bの連通を遮断する。これにより、昇降シリンダ47に流入するオイルを抑制して横排出部8Bの上昇をより防止することができる。
【0049】
制御弁56のソレノイドを消磁させた場合には、管路60と管路41が連通して、昇降シリンダ66内のオイルはオイルタンク30に排油される。また、制御弁58のソレノイドを消磁させた場合には、管路43と管路59が連通して、昇降シリンダ47内のオイルは管路41を介してオイルタンク30に排油される。
【0050】
<無段変速装置内の油圧回路>
図12に示すように、チャージポンプ71から排油されたオイルは、管路72等を介して無段変速装置用のHSTポンプ73に給油され、その後に、HSTポンプ73で昇圧されて前進用の管路74Aや後進用の管路74Bを介して無段変速装置用のHSTモータ75に給油されて、HSTモータ75を回転させる。
【0051】
制御弁76と管路74Aは管路77Aで接続され、制御弁76と管路74Bは管路77Bで接続されている。また、制御弁76と管路72は管路76Aで接続されている。
【0052】
制御弁76は、2ポート2位置方向制御弁が使用されている。チャージポンプ71が駆動していない、すなわち、エンジンが停止している場合には、管路72を介して管路76Aにオイルが給油されずパイロット圧は発生しない。一方、チャージポンプ71が駆動している、すなわち、エンジンが駆動している場合には、管路72を介して管路76Aにオイルが給油されてパイロット圧が発生する。
【0053】
パイロット圧が発生していない場合には、管路77Aと管路77Bが連通する。これにより、管路74Aと管路74Bを連通させて、管路74Aと管路74Bに給油されたオイル圧を均等圧にすることができる。また、パイロット圧が発生している場合には、管路77Aと管路77Bの連通が遮断される。これにより、主変速レバー26を操作してHSTポンプ73から排油される排油方向、すなわち、HSTポンプ73からオイルを排油する管路74A又は管路74Bを選択して、走行装置2を前進又は後進させることができる。
【0054】
制御弁76と管路72よりもオイル圧が高い管路32を管路76Aで接続することもできる。これにより、制御弁76の切替えを確実に行うことができる。また、制御弁76をソレノイド仕様に変更してコントローラ6Aで切替えることもできる。
【0055】
走行安全性を向上させるために、走行装置2の左右一対のクローラのブレーキ状態をモニタ21に表示するのが好ましい。また、最適な走行経路を選択するために所定の走行距離毎に消費された消費燃料をモニタ21に表示するのが好ましい。
【符号の説明】
【0056】
1 機体フレーム
3 刈取装置
4 脱穀装置
5 操縦部
7 グレンタンク
8 排出オーガ
8B 横排出部
23 流径レバー
30 オイルタンク
42 制御弁(第2制御弁)
43A 管路(第2管路)
43B 管路(第4管路)
47 昇降シリンダ(第2昇降シリンダ)
48 制御弁(第4制御弁)
49 制御弁(第3制御弁)
49A 管路(第5管路)
54 制御弁(第1制御弁)
55 管路(第1管路)
56 制御弁(第2制御弁)
58 制御弁(第3制御弁)
60 管路(第3管路)
66 昇降シリンダ(第1昇降シリンダ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12