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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168990
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】医用画像診断装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
A61B5/055 370
A61B5/055 366
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086148
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 真
(72)【発明者】
【氏名】大武 史康
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AB39
4C096AD18
4C096BB32
4C096EB01
4C096EB08
4C096FC20
(57)【要約】
【課題】天板に載置させた状態で被検体の撮像を行う医用画像診断装置において、天板に載置させる被検体の状態が撮像に好適な状態になるように案内することである。
【解決手段】実施形態の医用画像診断装置は、被検体が載置された天板を移動させて、前記被検体を架台装置内に導入させた状態で撮像を行う医用画像診断装置であって、被検体載置案内部を持つ。被検体載置案内部は、前記被検体の体格に関する被検体情報に基づいて模した前記被検体を表す人体モデルを、前記天板を表す天板モデル上に配置し、前記天板モデル上で前記人体モデルを移動させることにより、前記被検体の撮像部位を撮像する際に前記天板に前記被検体を載置させる位置および方向を決定し、決定した前記被検体を載置させる位置および方向を表す載置情報を提示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体が載置された天板を移動させて、前記被検体を架台装置内に導入させた状態で撮像を行う医用画像診断装置であって、
前記被検体の体格に関する被検体情報に基づいて模した前記被検体を表す人体モデルを、前記天板を表す天板モデル上に配置し、前記天板モデル上で前記人体モデルを移動させることにより、前記被検体の撮像部位を撮像する際に前記天板に前記被検体を載置させる位置および方向を決定し、決定した前記被検体を載置させる位置および方向を表す載置情報を提示する被検体載置案内部、
を備える医用画像診断装置。
【請求項2】
前記被検体載置案内部は、
前記被検体情報に基づいて、前記人体モデルを生成する人体モデル生成部と、
前記天板モデル上に配置した前記人体モデルの位置および方向に基づいて、前記被検体を載置させる位置および方向を決定する載置位置決定部と、
前記載置情報を提示する載置位置提示部と、
請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記載置位置決定部は、前記撮像部位が前記架台装置内の中心の位置となるように、前記被検体を載置させる位置および方向を決定する、
請求項2に記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記載置位置決定部は、前記人体モデルの全体の領域が前記天板モデルの領域内となるように、前記被検体を載置させる位置および方向を決定する、
請求項3に記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記載置位置決定部は、前記人体モデルの位置と、前記天板モデルの領域内の第1領域の位置との間の距離が所定の範囲内となるように、前記被検体を載置させる位置および方向を決定する、
請求項4に記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
前記載置位置決定部は、前記天板の移動可能距離と、前記架台装置における中心の位置までの距離とに基づいて求められる前記撮像部位の移動可能範囲内に、前記撮像部位を移動させることができるか否かを確認した結果に基づいて、前記被検体を載置させる位置および方向を決定する、
請求項5に記載の医用画像診断装置。
【請求項7】
前記被検体載置案内部は、前記天板モデル上に前記人体モデルを重畳した表示画像を表示装置に表示させることにより、前記載置情報を提示する、
請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載の医用画像診断装置。
【請求項8】
被検体が載置された天板を移動させて、前記被検体を架台装置内に導入させた状態で撮像を行う医用画像診断装置のコンピュータに、
前記被検体の体格に関する被検体情報に基づいて模した前記被検体を表す人体モデルを、前記天板を表す天板モデル上に配置させ、前記天板モデル上で前記人体モデルを移動させることにより、前記被検体の撮像部位を撮像させる際に前記天板に前記被検体を載置させる位置および方向を決定させ、
決定させた前記被検体を載置させる位置および方向を表す載置情報を提示させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用画像診断装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像による診断を行う医用画像診断装置として、磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置が利用されている。磁気共鳴画像装置(以下、「MRI装置」という)は、強い磁場の中で照射したRF(Radio Frequency)パルスにより励起されるMR信号をRFコイルで受信することによって、被検体の断層画像を撮像する装置である。
【0003】
MRI装置によって被検体の断層画像を撮像する場合、寝台装置の天板に被検体を載置させ、磁場を発生させる構成要素を備える架台装置の内部、つまり、架台装置のボアの中に、天板ごと被検体を移動させる。このとき、MRI検査の実施者(医師や技師など)は、被検体の撮像対象の部位が発生される磁場の中で好適な位置となるように、つまり、撮像に好適な位置となるように、天板を移動させる。
【0004】
近年、MRI装置において、被検体を模式的に表した人体モデルを表示装置に表示させることによって、天板に被検体を載置させる際の位置や方向、被検体の姿勢(体勢)などをMRI検査の実施者に示すものがある。しかしながら、従来のMRI装置において表示装置に表示させる人体モデルは、予め生成しておいた一様なものである。このため、従来のMRI装置では、被検体の撮像対象の部位を磁場の中の好適な位置に導くことができないこともあり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-010508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題は、天板に載置させた状態で被検体の撮像を行う医用画像診断装置において、天板に載置させる被検体の状態が撮像に好適な状態になるように案内することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の医用画像診断装置は、被検体が載置された天板を移動させて、前記被検体を架台装置内に導入させた状態で撮像を行う医用画像診断装置であって、被検体載置案内部を持つ。被検体載置案内部は、前記被検体の体格に関する被検体情報に基づいて模した前記被検体を表す人体モデルを、前記天板を表す天板モデル上に配置し、前記天板モデル上で前記人体モデルを移動させることにより、前記被検体の撮像部位を撮像する際に前記天板に前記被検体を載置させる位置および方向を決定し、決定した前記被検体を載置させる位置および方向を表す載置情報を提示する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る医用画像診断装置の構成の一例を示す図。
図2】実施形態に係る医用画像診断装置が被検体の天板への載置方法を案内する際に表示させる表示画面の一例を示す図。
図3】実施形態に係る医用画像診断装置が備える被検体載置案内機能の機能構成の一例を示す図。
図4】実施形態に係る医用画像診断装置が備える被検体載置案内機能によって生成する人体モデルの一例を模式的に示す図。
図5】実施形態に係る医用画像診断装置が備える被検体載置案内機能が天板に載置させる被検体の位置を決定する方法の一例(その1)を模式的に示す図。
図6】実施形態に係る医用画像診断装置が備える被検体載置案内機能が天板に載置させる被検体の位置を決定する方法の一例(その2)を模式的に示す図。
図7】実施形態に係る医用画像診断装置が備える架台装置における天板の移動範囲の一例を模式的に示す図。
図8】実施形態に係る医用画像診断装置が備える被検体載置案内機能が架台装置に導入させる際の被検体の方向を決定する方法の一例を模式的に示す図。
図9】実施形態に係る医用画像診断装置が備える被検体載置案内機能における処理の流れの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、実施形態の医用画像診断装置およびプログラムについて説明する。以下の説明においては、実施形態に係る医用画像診断装置が、磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置(以下、「MRI装置」という)である場合を例に挙げて説明する。
【0010】
MRI装置は、被検体(例えば、人体)に強い磁場を与えた状態でRF(Radio Frequency)パルスを照射し、核磁気共鳴現象によって被検体の体内の水素原子核から発生する電磁波をRFコイルによって受信し、受信した電磁波に基づく核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance)信号(以下、「MR信号」という)から再構成することによって、被検体の断層画像(以下、「MR画像」という)を撮像する医用画像診断装置である。MRI装置は、被検体に装着したRFコイルで受信した電磁波に基づくMR信号を再構成することによって、被検体のMR画像を撮像することもできる。MRI装置は、被検体のMR画像を表示することにより、MRI検査の実施者(医師や技師など)は、被検体に病変があるか否かなどを目視で確認することができる。
【0011】
図1は、実施形態に係る医用画像診断装置(MRI装置)の構成の一例を示す図である。MRI装置1は、例えば、架台装置10と、寝台装置20と、制御装置30と、コンソール装置40と、を備える。本実施形態では、制御装置30およびコンソール装置40が、架台装置10とは別体であるものとして説明するが、架台装置10に制御装置30およびコンソール装置40の各構成要素の一部または全部が含まれてもよい。MRI装置1は、「医用画像診断装置」の一例である。
【0012】
架台装置10は、例えば、静磁場磁石12と、傾斜磁場コイル14と、RFコイル16と、を備える。さらに、架台装置10では、RFコイル16の一部の構成要素として、例えば、被検体Pに装着可能なRFコイル18を備える。
【0013】
静磁場磁石12は、中空の略円筒形状に形成された磁石である。静磁場磁石12は、内部の空間に一様な静磁場を発生させる。静磁場磁石12は、例えば、永久磁石や超伝導磁石などである。静磁場磁石12が超伝導磁石である場合、不図示の静磁場電源からの電源の供給を受けて、静磁場を発生させる。
【0014】
傾斜磁場コイル14は、中空の略円筒形状に形成されたコイルである。傾斜磁場コイル14は、静磁場磁石12の内側に配置される。傾斜磁場コイル14は、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸の各軸に対応する三つのコイルが組み合わされて形成されている。各軸の方向に対応した三つのコイルのそれぞれは、傾斜磁場電源32から個別に電流の供給を受けて、被検体Pが導入されたMRI装置1の撮像空間内(つまり、ボア内)に、X軸、Y軸、Z軸の各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生させる。本実施形態では、架台装置10の中心軸または寝台装置20の天板24の長手方向をY軸方向、Y軸方向に直交し、MRI装置1が設置される部屋の床面に対して水平である軸をX軸方向、Y軸方向に直交し、床面に対して垂直である方向をZ軸方向とそれぞれ定義する。そして、本実施形態では、Y軸方向を、静磁場と同じ方向とする。
【0015】
ここで、傾斜磁場コイル14が発生させるX軸、Y軸、Z軸の各軸に沿った傾斜磁場は、例えば、スライス選択用傾斜磁場、位相エンコード用傾斜磁場、およびリードアウト用傾斜磁場のそれぞれに対応する。スライス選択用傾斜磁場は、MRI装置1において任意の撮像断面を決めるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場は、MRI装置1における空間的位置に応じてMR信号の位相を変化させるために利用される。リードアウト用傾斜磁場は、MRI装置1における空間的位置に応じてMR信号の周波数を変化させるために利用される。
【0016】
RFコイル16は、架台装置10内に収められ、撮像空間内で被検体Pを取り囲むように構成された全身用コイルである。RFコイル16は、送信回路33からRFパルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。RFコイル16は、高周波磁場の影響によって被検体Pから発せられるMR信号を受信する。RFコイル16は、MR信号を受信すると、受信したMR信号を受信回路34に出力する。RFコイル16は、RFパルスの送信とMR信号の受信とを、それぞれ異なるRFコイルの構成によって行ってもよいし、同じRFコイルの構成、つまり、送受信兼用の構成で行ってもよい。RFコイル16は、例えば、複数のコイルエレメントで構成されたコイルアレイであってもよい。
【0017】
RFコイル18は、被検体Pに装着される局所コイルである。RFコイル18は、被検体Pの撮像対象の部位(以下、「撮像部位」という)ごとに、種々の形状のものがある。図1には、被検体Pの胴体に装着されるRFコイル18の一例を示している。RFコイル18は、RFコイル16により発生された高周波磁場の影響によって被検体Pから発せられるMR信号を受信する。RFコイル18は、MR信号を受信すると、受信したMR信号を受信回路34に出力する。このとき、RFコイル18は、天板24に配置されたコイルポート26に接続されたコイルケーブル18cを介して、受信したMR信号を受信回路34に出力する。RFコイル18も、例えば、複数のコイルエレメントで構成されたコイルアレイであってもよい。
【0018】
寝台装置20は、撮像対象の被検体Pを載置させた天板24を移動させることによって、被検体Pを架台装置10の内部、つまり、架台装置10のボアの中に導入させる装置である。言い換えれば、寝台装置20は、被検体Pの撮像部位が、静磁場磁石12、傾斜磁場コイル14、およびRFコイル16の空洞内、すなわち、撮像口内に発生される磁場の中で撮像に好適な位置となるように、天板24を移動させる装置である。寝台装置20は、例えば、基台22と、天板24と、を備える。
【0019】
基台22は、寝台制御回路35により出力された制御信号に応じて稼働する不図示の寝台駆動装置の動作によって、被検体Pが載置された天板24を、水平方向(X軸方向およびY軸方向)、あるいは鉛直方向(Z軸方向)に移動させる。基台22は、天板24を移動可能に支持する筐体を含む。不図示の寝台駆動装置は、例えば、モータやアクチュエータを含む。不図示の寝台駆動装置は、天板24だけでなく、基台22自体を天板24の長手方向(Y軸方向)に移動させてもよい。不図示の寝台駆動装置は、架台装置10がY軸方向に移動可能な構成である場合、架台装置10を移動させて、被検体Pが架台装置10の内部に導入されるように動作するものであってもよい。不図示の寝台駆動装置は、架台装置10と、天板24および基台22との双方が移動可能な構成である場合、架台装置10、天板24、および基台22のそれぞれを移動させて、被検体Pが架台装置10の内部に導入されるように動作するものであってもよい。
【0020】
天板24は、被検体Pが載置される板状の部材である。天板24には、被検体Pに装着されたRFコイル18のコイルケーブル18cが接続されるコイルポート26が配置されている。天板24には、例えば、四隅に、コイルポート26が配置されている。
【0021】
制御装置30は、コンソール装置40からの制御に応じて、架台装置10および寝台装置20の動作を制御する。制御装置30は、例えば、シーケンス制御回路31と、傾斜磁場電源32と、送信回路33と、受信回路34と、寝台制御回路35と、を備える。制御装置30は、架台装置10内に設けられてもよいし、コンソール装置40内に設けられてもよい。
【0022】
シーケンス制御回路31は、コンソール装置40により設定されたシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源32、送信回路33、および受信回路34を駆動することによって、被検体Pの撮像を実行するシーケンサである。シーケンス制御回路31は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを有する処理回路であってもよい。シーケンス情報は、MRI装置1において被検体Pを撮像する撮像処理を行うための手順が予め定義された情報である。シーケンス情報には、例えば、被検体Pを撮像する際の傾斜磁場電源32、送信回路33、および受信回路34の動作やその動作タイミング(以下、「イベント」という)が時系列に示されている。より具体的には、シーケンス情報には、傾斜磁場電源32により傾斜磁場コイル14に供給させる電流の大きさや電流を供給させるタイミング、送信回路33によりRFコイル16に送信(供給)させるRFパルスの強さやRFパルスを供給させるタイミング、受信回路34にRFコイル16やRFコイル18により出力されたMR信号を受信(検出)させるタイミングなどが、イベントとして示されている。シーケンス制御回路31は、所定のクロック信号に基づくタイミングでシーケンス情報に示されたイベントを順番に実行することによって、傾斜磁場電源32、送信回路33、および受信回路34を駆動させ、受信回路34がMR信号を受信すると、受信したMR信号(より具体的には、受信回路34が受信したMR信号を表すデータ(以下、「MRデータ」という)をコンソール装置40へ転送する。クロック信号は、例えば、クロック発振器を含む不図示のクロック発生回路によって発生される、MRI装置1において被検体Pを撮像する動作の基準とするタイミングを表す。クロック信号は、制御装置30が備えるそれぞれの構成要素に供給される。シーケンス制御回路31がクロック信号に基づくタイミングでイベントを順番に実行することによって、傾斜磁場電源32、送信回路33、および受信回路34のそれぞれは、同期して動作することになる。
【0023】
傾斜磁場電源32は、傾斜磁場コイル14において各軸の方向に対応した三つのコイルのそれぞれに対して、個別に電流を供給する。
【0024】
送信回路33は、RFコイル16にRFパルスを供給する。送信回路33がRFコイル16に供給するRFパルスは、対象とする原子核の種類および磁場の強度によって決まるラーモア周波数に対応するパルスである。
【0025】
受信回路34は、RFコイル16やRFコイル18により出力されたMR信号を検出し、検出したMR信号を表すMRデータを生成する。受信回路34は、例えば、MR信号をデジタルデータに変換することによってMRデータを生成する。受信回路34は、生成したMRデータをシーケンス制御回路31に出力する。シーケンス制御回路31は、受信回路34により出力されたMRデータをコンソール装置40へ転送する。
【0026】
寝台制御回路35は、コンソール装置40からの制御に応じて、基台22および被検体Pが載置された天板24を移動させる制御信号を、寝台装置20が備える不図示の寝台駆動装置に出力する。寝台制御回路35は、架台装置10内に設けられてもよいし、寝台装置20内に設けられてもよい。この場合、寝台制御回路35は、寝台制御回路35が設けられた装置が備える不図示の入力インターフェースを医師や技師などのMRI装置1の操作者やMRI検査の実施者(以下、「MRI検査の実施者」という)が操作したことによって不図示の入力インターフェースから入力される入力信号に応じた制御信号を、寝台装置20が備える不図示の寝台駆動装置に出力する。
【0027】
コンソール装置40は、MRI装置1の全体を制御したり、MRデータを収集したりする。コンソール装置40は、例えば、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路50と、を備える。
【0028】
メモリ41は、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)、光ディスクなどにより実現される。メモリ41は、例えば、シーケンス制御回路31により出力されたMRデータ、MRデータに基づいて生成される再構成画像(MR画像)などのデータを記憶する。これらのデータは、メモリ41ではなく(あるいはメモリ41に加えて)、MRI装置1が通信可能な外部メモリに記憶されてもよい。外部メモリは、例えば、NAS(Network Attached Storage)や、外部メモリを管理するクラウドサーバが読み書きの要求を受け付けることで、クラウドサーバによって制御されるものである。外部メモリは、例えば、PACS(Picture Archiving and Communication Systems)と称されるシステムにより実現される。PACSとは、各種画像診断装置によって撮像された画像などを体系的に記憶する医用画像管理システムである。
【0029】
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路50によって生成された画像や、MRI検査の実施者による各種操作を受け付けるGUI(Graphical User Interface)画像などを表示する。ディスプレイ42は、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどである。ディスプレイ42は、架台装置10に設けられてもよい。ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置40の本体部と無線通信可能な表示装置(例えば、タブレット端末)であってもよい。
【0030】
入力インターフェース43は、MRI検査の実施者による各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作の内容を示す電気信号を処理回路50に出力する。例えば、入力インターフェース43は、MRデータを収集する際の収集条件、MRデータを生成する際の生成条件、再構成画像を再構成する際の再構成条件、再構成画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件などの入力操作を受け付ける。入力インターフェース43は、例えば、マウスやキーボード、タッチパネル、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、カメラ、赤外線センサ、マイクなどにより実現される。入力インターフェース43がタッチパネルである場合、ディスプレイ42は、入力インターフェース43と一体として形成されてよい。入力インターフェース43は、架台装置10に設けられてもよい。入力インターフェース43は、コンソール装置40の本体部と無線通信可能な表示装置(例えば、タブレット端末)により実現されてもよい。本明細書において入力インターフェース43は、上述したマウスやキーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、コンソール装置40とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路50へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース43の例に含まれる。
【0031】
処理回路50は、MRI装置1の全体の動作を制御する。処理回路50は、シーケンス制御回路31にシーケンス情報を設定する。処理回路50は、例えば、被検体載置案内機能51、取得機能52、再構成処理機能53、画像処理機能54、出力制御機能55などを実行する。処理回路50は、例えば、コンピュータ装置に備えられるハードウェアプロセッサが記憶装置(記憶回路)であるメモリ41に記憶されたプログラム(ソフトウェア)を実行することにより、これらの機能を実現するものである。
【0032】
ハードウェアプロセッサとは、例えば、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)または複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))などの回路(circuitry)を意味する。メモリ41にプログラムを記憶させる代わりに、ハードウェアプロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、ハードウェアプロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。ハードウェアプロセッサは、単一の回路として構成されるものに限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのハードウェアプロセッサとして構成され、各機能を実現するようにしてもよい。複数の構成要素を1つのハードウェアプロセッサに統合して各機能を実現するようにしてもよい。複数の構成要素を1つの専用のLSIに組み込んで各機能を実現するようにしてもよい。ここで、プログラム(ソフトウェア)は、予めROMやRAM、HDD、フラッシュメモリなどのメモリ41を構成する記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がコンソール装置40に備えるドライブ装置に装着されることで、コンソール装置40に備える記憶装置にインストールされてもよい。プログラム(ソフトウェア)は、他のコンピュータ装置からネットワークを介して予めダウンロードされて、コンソール装置40に備える記憶装置にインストールされてもよい。
【0033】
コンソール装置40または処理回路50が備える各構成要素は、分散化されて複数のハードウェアにより実現されてもよい。処理回路50は、コンソール装置40が備える構成ではなく、コンソール装置40と通信可能な処理装置によって実現されてもよい。処理装置は、例えば、一つのMRI装置と接続されたワークステーション、あるいは複数のMRI装置に接続され、以下に説明する処理回路50と同等の処理を一括して実行する装置(例えば、クラウドサーバ)である。すわなち、本実施形態の構成を、MRI装置と、他の処理装置とがネットワークを介して接続されたMRI検査システム(医用診断システム)として実現することも可能である。
【0034】
被検体載置案内機能51は、MRI検査の実施者が被検体Pを撮像する際の天板24への被検体Pの載置方法を案内する。より具体的には、被検体載置案内機能51は、被検体Pの撮像部位が、架台装置10の撮像口(ボア)内に発生される磁場の中で撮像に好適な位置となるように、天板24に被検体Pを載置させる際の位置や方向、被検体Pの姿勢(体勢)などを、MRI検査の実施者に提示(案内)する。このとき、被検体載置案内機能51は、例えば、撮像対象の被検体Pの身長や体重など、被検体Pの体格に関する情報(以下、「被検体情報」という)に基づいて、被検体Pを模式的に表した人体モデルを生成する。被検体載置案内機能51が生成する人体モデルは、撮像する被検体Pの撮像部位に応じて形態を変更することができるものである。例えば、被検体Pの撮像部位が関節ある場合、手を上げた状態や、関節部を曲げた状態にして、撮像をするために必要な形態(姿勢)を表すことができるものである。
【0035】
被検体載置案内機能51が人体モデルを生成するために用いる被検体情報には、例えば、被検体Pの性別に関する情報や、体脂肪率、肥満度などの被検体Pの身体的な特徴を表す情報を含んでもよい。被検体載置案内機能51は、例えば、電子カルテシステムなど、被検体Pの診断や検査に関する種々の情報を記憶するデータベースシステムから、被検体Pに関する情報を被検体情報として取得し、取得した被検体情報に基づいて、被検体Pの人体モデルを生成する。被検体情報は、例えば、被検体Pの全身を撮像した画像の情報であってもよい。例えば、MRI装置1や、コンピュータ断層撮影(Computed Tomography:CT)装置などによって以前に被検体Pの全身を撮像(撮影)するような検査などが行われていた場合、被検体載置案内機能51は、これらの各種の医用画像のデータを管理する医用画像管理システム(PACS:Picture Archiving and Communication Systems)から被検体Pの全身の画像を被検体情報として取得し、取得した被検体情報に基づいて、被検体Pの人体モデルを生成してもよい。例えば、MRI装置1が設置された検査室や、MRI装置1の架台装置10に、被検体Pの全身を撮像することができるカメラ(監視カメラ)などの撮像装置が設置(配置)されている場合、被検体載置案内機能51は、この撮像装置が撮像した被検体Pの全身の画像(動画像であってもよい)を被検体情報として、被検体Pの人体モデルを生成してもよい。被検体情報は、上述したような被検体Pの体格(身長や体重など、性別などを含んでもよい)に関する情報や、画像(動画像であってもよい)の情報に限定されず、被検体載置案内機能51が人体モデルを生成するために用いることができる被検体Pの身体的な特徴を表す情報であれば、いかなる情報であってもよい。
【0036】
被検体載置案内機能51は、生成した被検体Pの人体モデルをメモリ41に記憶させてもよい。このとき、被検体載置案内機能51は、生成した人体モデルと、人体モデルを生成するために用いた被検体情報とを関連付けて、メモリ41に記憶させる。被検体載置案内機能51は、メモリ41に以前に生成した被検体Pの人体モデルを記憶させている場合、記憶されている被検体Pの人体モデルを、今回生成した人体モデルとしてもよい。
【0037】
そして、被検体載置案内機能51は、生成した被検体Pの人体モデルと、被検体Pの撮像部位の情報とに基づいて、被検体Pの撮像部位が磁場の中で撮像に好適な位置となるように、天板24に載置させる被検体Pの位置や、方向、体勢などを決定する。被検体PにRFコイル18が装着されている場合、被検体載置案内機能51は、天板24に載置させる被検体Pの位置や、方向、体勢などに加えて、RFコイル18のコイルケーブル18cを接続するコイルポート26の位置を決定してもよい。被検体Pの撮像部位の情報は、例えば、MRI検査の実施者が入力インターフェース43を操作することによって入力される情報である。被検体Pの撮像部位の情報には、被検体Pを撮像する際の撮像条件などの情報を含んでもよい。被検体載置案内機能51は、例えば、電子カルテシステムなどの情報から今回の撮像対象の被検体Pの撮像部位(撮像条件などを含んでもよい)を特定してもよい。
【0038】
被検体載置案内機能51は、決定した被検体Pの位置や、方向、体勢など(コイルポート26の位置を含む)を表す画像(以下、「載置画像」という)をディスプレイ42に表示させることにより、天板24への被検体Pの載置方法をMRI検査の実施者に提示(案内)する。載置画像は、天板24に被検体Pが載置されている状態を表した画像である。被検体載置案内機能51は、決定した被検体Pの位置や、方向、体勢など(コイルポート26の位置を含む)の情報や、載置画像を、メモリ41に記憶させてもよい。被検体載置案内機能51は、「被検体載置案内部」の一例である。載置画像は、「載置情報」および「表示画像」の一例である。
【0039】
ここで、天板24上の被検体Pの位置や、方向、体勢などを表す載置画像の一例について説明する。図2は、実施形態に係る医用画像診断装置(MRI装置1)が被検体Pの天板24への載置方法を案内する際に表示させる表示画面の一例を示す図である。図2には、表示画面IMの右側の情報表示領域Ia内に、被検体Pの位置や、方向、体勢などを案内するための画像(載置画像)を表示させている場合の一例を示している。より具体的には、情報表示領域Ia内に、二つのコイルポート26が配置されたコイルポート領域26a~コイルポート領域26dが四隅に配置されている天板24を表した天板モデルMTの上に被検体Pの人体モデルMHを重畳することによって、天板24に被検体Pが載置されている状態を示している。天板モデルMTは、天板24の画像であってもよいし、天板24を模式的に表したものであってもよい。図2に示した一例は、天板24の上に、被検体Pを仰向けに載置させるように案内する場合の一例である。以下の説明においては、情報表示領域Ia内に表示させた、天板モデルMTと人体モデルMHとを合わせた画像を「載置画像」という。コイルポート領域26a~コイルポート領域26dは、「天板モデルの領域内の第1領域」の一例である。
【0040】
図1に戻り、取得機能52は、シーケンス制御回路31により転送されたMRデータを取得する。MRデータは、受信回路34によってMR信号がデジタルデータに変換されたものである。
【0041】
再構成処理機能53は、取得機能52によって取得されたMRデータに対して、所定の再構成処理を行って再構成画像を生成する。再構成処理機能53は、例えば、MRデータを、スライス選択用傾斜磁場、位相エンコード用傾斜磁場、およびリードアウト用傾斜磁場に対応する二次元や三次元に配置した後、フーリエ変換などを用いた再構成処理を行って再構成画像を生成する。再構成処理機能53は、生成した再構成画像をメモリ41に記憶させる。
【0042】
画像処理機能54は、入力インターフェース43により受け付けられた入力操作に基づいて、メモリ41に記憶された再構成画像を公知の方法により、三次元画像や任意断面の断面像データに変換する。画像処理機能54は、変換した断面像データを、MR画像としてメモリ41に記憶させる。
【0043】
出力制御機能55は、例えば、ディスプレイ42における表示態様を制御する。出力制御機能55は、被検体載置案内機能51により生成されてメモリ41に記憶された載置画像をディスプレイ42に出力して表示させる。これにより、MRI検査の実施者は、ディスプレイ42に表示された載置画像に基づいて、天板24に載置させる被検体Pに対して位置や、方向、体勢など(コイルポート26の位置を含む)を指示し、被検体Pの撮像部位が、架台装置10の撮像口(ボア)内に発生される磁場の中で撮像に好適な位置となるようにさせることができる。出力制御機能55は、画像処理機能54により生成されてメモリ41に記憶されたMR画像をディスプレイ42に出力して表示させる。これにより、MRI検査の実施者は、ディスプレイ42に表示されたMR画像を目視で確認し、被検体Pに病変があるか否かなどの診断や検査をすることができる。出力制御機能55は、コンソール装置40の本体部とネットワークを介して接続された、例えば、タブレット端末に載置画像やMR画像を送信して、表示装置に表示させてもよい。出力制御機能55は、MRI検査の実施者による各種操作を受け付けるためのGUI画像などを表示させてもよい。
【0044】
次に、被検体載置案内機能51において、被検体Pを撮像する際の天板24への被検体Pの載置方法を案内する機能を実現するための構成および動作について説明する。図3は、実施形態に係る医用画像診断装置(MRI装置1)が備える被検体載置案内機能51の機能構成の一例を示す図である。被検体載置案内機能51は、例えば、被検体情報取得機能512、人体モデル生成機能514、載置位置決定機能516、載置位置提示機能518などを実行する。
【0045】
被検体情報取得機能512は、今回の撮像対象の被検体Pの被検体情報を取得する。被検体情報取得機能512は、取得した被検体情報を人体モデル生成機能514に出力する。さらに、被検体情報取得機能512は、例えば、入力インターフェース43によってMRI検査の実施者から入力された、今回の撮像対象の被検体Pの撮像部位の情報を取得する。被検体情報取得機能512は、取得した撮像部位の情報を載置位置決定機能516に出力する。以下の説明においては、被検体情報に、被検体Pの撮像部位の情報が含まれているものとする。この場合、被検体情報取得機能512は、取得した被検体情報を、人体モデル生成機能514と載置位置決定機能516とのそれぞれに出力する。
【0046】
人体モデル生成機能514は、被検体情報取得機能512により出力された被検体情報に基づいて、被検体情報が表す今回の撮像対象の被検体Pの人体モデルMHを生成する。人体モデル生成機能514は、生成した被検体Pの人体モデルMHを、載置位置決定機能516と載置位置提示機能518とのそれぞれに出力する。人体モデル生成機能514は、生成した被検体Pの人体モデルMHをメモリ41に記憶させてもよい。人体モデル生成機能514は、「人体モデル生成部」の一例である。
【0047】
ここで、人体モデル生成機能514が生成する人体モデルMHの一例について説明する。図4は、実施形態に係る医用画像診断装置(MRI装置1)が備える被検体載置案内機能51(人体モデル生成機能514)によって生成する人体モデルMHの一例を示す図である。図4には、被検体Pの体格が大きい場合と小さい場合とのそれぞれの場合において、人体モデル生成機能514が生成するそれぞれの人体モデルMHの一例と、生成した人体モデルMHを天板モデルMTに重畳して表したそれぞれの載置画像の一例を示している。より具体的には、図4の(a-1)に示したように被検体P-1の体格が大きい場合(例えば、被検体P-1が大人である場合)、人体モデル生成機能514は、被検体情報取得機能512により出力された被検体P-1の被検体情報に基づいて、図4の(a-2)に示したような人体モデルMH-1を生成する。これにより、例えば、図2に示した表示画面IMには、図4の(a-3)に示したように人体モデルMH-1を天板モデルMTに重畳することによって、体格が大きい被検体P-1が天板24に載置されている状態を表す載置画像が、情報表示領域Ia内に表示される。一方、図4の(b-1)に示したように被検体P-2の体格が小さい場合(例えば、被検体P-2が小人である場合)、人体モデル生成機能514は、被検体情報取得機能512により出力された被検体P-2の被検体情報に基づいて、図4の(b-2)に示したような人体モデルMH-2を生成する。これにより、例えば、図2に示した表示画面IMには、図4の(b-3)に示したように人体モデルMH-2を天板モデルMTに重畳することによって、体格が小さい被検体P-2が天板24に載置されている状態を表す載置画像が、情報表示領域Ia内に表示される。
【0048】
図3に戻り、載置位置決定機能516は、被検体情報取得機能512により出力された被検体情報(より具体的には、被検体Pの撮像部位の情報)に基づいて、人体モデル生成機能514により出力された人体モデルMHの天板モデルMT上の位置や、方向、体勢などを決定することにより、天板24に載置させる被検体Pの位置や、方向、体勢などを決定する。このとき、載置位置決定機能516は、人体モデルMHを天板モデルMT上に配置し、例えば、予め定めた規則に従って、天板モデルMT上で人体モデルMHを移動させる処理を行う。そして、載置位置決定機能516は、移動させる処理を行った人体モデルMHの天板モデルMT上の位置関係に基づいて、被検体Pの撮像部位が、架台装置10の撮像口(ボア)内に発生される磁場の中心の位置(以下、「磁場中心」という)となるように、人体モデルMHにおいて撮像部位に対応する箇所(以下、「撮像箇所」という)の位置や、方向、体勢などを決定する。載置位置決定機能516における天板モデルMT上への人体モデルMHの配置は、例えば、天板モデルMTを表す画像上に人体モデルMHを表す画像を重畳することによって行ってもよい。この場合、載置位置決定機能516は、人体モデルMHの画像を天板モデルMTの画像に重畳させる際の位置や、方向、体勢を変更することにより、天板モデルMT上で人体モデルMHを移動させる処理を行ってもよい。磁場中心は、架台装置10の撮像口(ボア)内に発生される磁場の均一性が高く、RFコイル16がMR信号を受信する際の感度も高い位置である。さらに、載置位置決定機能516は、MRI装置1において、RFコイル18を用いて被検体Pの撮像を行う場合、RFコイル18のコイルケーブル18cを接続するコイルポート26の位置も決定する。このとき、載置位置決定機能516は、決定した位置、方向、および体勢に基づいて人体モデルMHを天板モデルMT上に配置したときに、人体モデルMHとの距離が短い位置のコイルポート26を、コイルケーブル18cを接続するコイルポート26に決定する。載置位置決定機能516は、決定した人体モデルMHの天板モデルMT上の位置や、方向、体勢など(コイルポート26の位置を含む)を表す情報(以下、「位置情報」という)を、載置位置提示機能518に出力する。載置位置決定機能516は、決定した位置情報を、メモリ41に記憶させてもよい。載置位置決定機能516は、「載置位置決定部」の一例である。磁場中心は、「架台装置内の中心の位置」の一例である。
【0049】
ここで、載置位置決定機能516において天板モデルMT上の人体モデルMHの位置や、方向、体勢などを決定する方法の一例について説明する。以下の説明においては、説明を容易にするため、載置位置決定機能516が決定する天板モデルMT上の人体モデルMHの位置や、方向、体勢などをまとめて、「人体モデルMHの位置」という。以下の説明においては、撮像部位(つまり、撮像箇所)が、被検体Pの左肩であるものとする。
【0050】
図5および図6は、実施形態に係る医用画像診断装置(MRI装置1)が備える被検体載置案内機能51が天板24に載置させる被検体Pの位置を決定する方法の一例を模式的に示す図である。図5には、天板モデルMT上に人体モデルMHを配置する際のX軸方向の位置を決定することにより、天板24に載置させる被検体Pの位置を決定する方法の一例を模式的に示している。図6には、天板モデルMT上に人体モデルMHを配置する際のY軸方向の位置を決定することにより、天板24に載置させる被検体Pの位置を決定する方法の一例を模式的に示している。図6は、天板24に被検体Pを載置させた状態でRFコイル18のコイルケーブル18cを接続するコイルポート26の位置を決定する方法の一例でもある。
【0051】
まず、図5を用いて、被検体載置案内機能51が、天板24に載置させる被検体PのX軸方向の位置を決定する方法の一例について説明する。載置位置決定機能516におけるX軸方向の被検体Pの位置の決定方法では、天板24をX軸方向に二等分した中心線に沿った位置をX軸方向の磁場中心とし、人体モデルMHの撮像箇所が天板モデルMTにおけるX軸方向の磁場中心上の位置となるように、撮像箇所のX軸方向の位置を決定する。X軸方向の磁場中心は、架台装置10の撮像口(ボア)内に発生される磁場の均一性が高く、RFコイル16がMR信号を受信する際の感度も高い位置であれば、天板24をX軸方向に二等分した位置でなくてもよい。図5では、人体モデルMHの撮像箇所IPの位置が、天板モデルMTにおけるX軸方向の長さxを二等分した中心線Xc上になるように、人体モデルMHのX軸方向の位置を決定している。より具体的には、図5の(a)では、体格が大きい被検体P-1の人体モデルMH-1における撮像箇所IP-1が、天板モデルMTにおけるX軸方向の中心線Xc上になるように、人体モデルMH-1のX軸方向の位置を決定している。図5の(b)では、体格が小さい被検体P-2の人体モデルMH-2における撮像箇所IP-2が、天板モデルMTにおけるX軸方向の中心線Xc上になるように、人体モデルMH-2のX軸方向の位置を決定している。
【0052】
ところで、図5の(a)に示した一例では、人体モデルMH-1の一部(右手から前腕部の部分)が天板モデルMTの領域外となっている。このため、載置位置決定機能516は、図5の(c)に示したように、人体モデルMH-1をZ軸周りに回転させて、人体モデルMH-1における撮像箇所IP-1がX軸方向の中心線Xc上になり、かつ、人体モデルMH-1の全体が天板モデルMTの領域内となるように、人体モデルMH-1のX軸方向の位置、およびZ軸周りの回転方向を決定している。ただし、人体モデルMH-1をZ軸周りに回転させても、人体モデルMH-1の全体が天板モデルMTの領域内とならないことも考えられる。この場合、載置位置決定機能516は、被検体Pの体勢を仰向けから横向きに変えるように、人体モデルMH-1をY軸周りに回転させて、人体モデルMH-1の全体が天板モデルMTの領域内となるようにしてもよい。
【0053】
続いて、図6を用いて、被検体載置案内機能51が、天板24に載置させる被検体PのY軸方向の位置を決定する方法の一例について説明する。載置位置決定機能516におけるY軸方向の被検体Pの位置の決定方法では、天板24を移動させることができるY軸方向の位置をY軸方向の磁場中心とし、人体モデルMHの撮像箇所IPがY軸方向の磁場中心上の位置となるように、撮像箇所IPのY軸方向の位置を決定する。Y軸方向の磁場中心は、例えば、架台装置10におけるY軸方向の長さを二等分する中心線に沿った位置である。Y軸方向の磁場中心も、架台装置10の撮像口(ボア)内に発生される磁場の均一性が高く、RFコイル16がMR信号を受信する際の感度も高い位置であれば、架台装置10におけるY軸方向の長さを二等分する位置でなくてもよい。図6では、人体モデルMHの撮像箇所IPの位置が、磁場中心線Mc上になるように、人体モデルMHのY軸方向の位置を決定している。図6の(a)では、図5の(b)に示した体格が小さい被検体P-2の人体モデルMH-2におけるX軸方向の位置を決定した状態において、天板モデルMTの端部(つまり、天板24の端部)から撮像箇所IP-2までの間のY軸方向の長さyの位置が磁場中心線Mc-a上となるように、人体モデルMH-2のY軸方向の位置を決定している。
【0054】
しかし、図6の(a)では、不図示のRFコイル18のコイルケーブル18cの長さ(以下、「長さLc」という)を考慮すると、コイルケーブル18cの長さLcが足りず、いずれのコイルポート26にもコイルケーブル18cを接続することができないこともあり得る。このため、載置位置決定機能516は、いずれかのコイルポート26にコイルケーブル18cを接続することができるように、人体モデルMHのY軸方向の位置を決定する。つまり、載置位置決定機能516は、いずれかのコイルポート26と撮像箇所IPとの間の距離が、コイルケーブル18cの長さLcの範囲内となる(ほぼ等しくなる)ように、人体モデルMHのY軸方向の位置を決定する。より具体的には、載置位置決定機能516は、天板モデルMTにおけるX軸方向の長さxと、天板モデルMTの端部から現在(図6の(a)の状態)の撮像箇所IP-2までの間のY軸方向の長さyと、現在の撮像箇所IP-2からY軸方向に人体モデルMH-2を移動させた場合のY軸方向の長さΔyとに基づいて、下式(1)を満足するように、人体モデルMH-2のY軸方向の位置を決定する。言い換えれば、載置位置決定機能516は、下式(1)を満足する位置のコイルポート26を、コイルケーブル18cを接続するコイルポート26に決定する。
【0055】
Lc≒x+y+Δy ・・・(1)
【0056】
コイルポート26と撮像箇所IPとの間の距離は、「人体モデルの位置と、天板モデルの領域内の第1領域の位置との間の距離」の一例であり、コイルケーブル18cの長さLcの範囲は、「所定の範囲」の一例である。
【0057】
このとき、載置位置決定機能516は、コイルケーブル18cが被検体Pに触れないように、つまり、コイルケーブル18cが人体モデルMHの領域内を通ることがないように、人体モデルMHのY軸方向の位置を決定する。さらに、載置位置決定機能516は、コイルケーブル18cによってループが形成されてしまうことがないように、人体モデルMHのY軸方向の位置を決定する。ところで、RFコイル18は、被検体Pに複数装着されることも考えられる。この場合、載置位置決定機能516は、それぞれのRFコイル18のコイルケーブル18c同士が重なってしまうことがないように、人体モデルMHのY軸方向の位置を決定する。このように、載置位置決定機能516は、コイルケーブル18cの被検体Pへの接触や、コイルケーブル18cのループ、コイルケーブル18c同士の重なりなどがあることによって、例えば、コイルケーブル18cを流れる電流に起因した意図していない発熱などが起こってしまう要因を回避するように、人体モデルMHのY軸方向の位置を決定する。
【0058】
図6の(b)では、図6の(a)に示した人体モデルMH-2におけるY軸方向の位置を、Y軸方向の長さΔyだけ移動させる(図6の紙面の上側に移動させる)ことにより、撮像箇所IP-2の位置が磁場中心線Mc-b上になり、かつ、上式(1)を満足するように、人体モデルMH-2のY軸方向の位置を決定している。この場合、図6の(b)に示したコイルポート領域26b内に配置されたいずれか一方のコイルポート26を、コイルケーブル18cを接続するコイルポート26とし、被検体Pに装着されているRFコイル18のコイルケーブル18cを、このコイルポート26に容易に接続することができる。
【0059】
このようにして、載置位置決定機能516は、人体モデルMHの撮像箇所IPが磁場中心上の位置となるように、撮像箇所IPの位置、つまり、人体モデルMHの位置を決定することによって、天板24に載置させる被検体Pの位置や、方向、体勢などを決定する。載置位置決定機能516は、上述したX軸方向およびY軸方向における人体モデルMHの位置の決定方法と同様の考え方に基づいてZ軸方向における人体モデルMHの位置を決定することによって、天板24に載置させる被検体PのZ軸方向の位置を決定してもよい。
【0060】
ところで、MRI装置1では、MR画像の撮像中に被検体Pに閉塞感を与えないようにすることが好適であると考えられる。言い換えれば、被検体Pの頭側がボアの外側に近い方が好適であると考えられる。このため、載置位置決定機能516は、MRI装置1において被検体Pを架台装置10の撮像口(ボア)内に導入させる際に、足側から導入させることができるか否かを判定する。つまり、載置位置決定機能516は、架台装置10の撮像口(ボア)内に、被検体Pの頭側から導入させる(ヘッドファースト)か、被検体Pの足側から導入させる(フットファースト)かを決定する。言い換えれば、載置位置決定機能516は、天板24に載置させる被検体PのZ軸周りの方向を決定する。このため、載置位置決定機能516は、人体モデルMHの位置を決定する際に、架台装置10のボアの中に被検体Pを導入させることができる範囲、つまり、被検体Pを載置させた状態の天板24を移動させることができる範囲を考慮する。
【0061】
まず、架台装置10において天板24を移動させることができる範囲の一例について説明する。図7は、実施形態に係る医用画像診断装置(MRI装置1)が備える架台装置10における天板24の移動範囲の一例を模式的に示す図である。図7には、磁場中心線Mcと、磁場中心距離Lmと、ストローク長Lsと、天板移動可能距離Lpとのそれぞれの関係を示している。磁場中心線Mcは、架台装置10におけるY軸方向の長さを二等分する中心線であり、架台装置10のY軸周りにおける磁場中心の位置を表している。磁場中心線Mcは、架台装置10の撮像口(ボア)内に発生される磁場の均一性が高く、RFコイル16がMR信号を受信する際の感度も高い位置であれば、架台装置10におけるY軸方向の長さを二等分する位置でなくてもよい。磁場中心距離Lmは、架台装置10の端部から磁場中心線Mcまでの距離である。ストローク長Lsは、天板24を最大に移動させたときの両端の間の長さ、言い換えれば、天板24の仮想的な最大の長さである。天板移動可能距離Lpは、架台装置10の端部から、天板24を最大に移動させたときの距離である。載置位置決定機能516は、これらの長さ(距離)に基づいて、被検体Pの撮像部位を磁場中心まで移動させることができる移動可能範囲Maを把握する。より具体的には、載置位置決定機能516は、下式(2)によって、移動可能範囲Maを把握する。
【0062】
Ma=Lp-Lm ・・・(2)
【0063】
天板移動可能距離Lpは、「天板の移動可能距離」の一例であり、磁場中心距離Lmは、「架台装置における中心の位置までの距離」の一例である。移動可能範囲Maは、「撮像部位の移動可能範囲」の一例である。
【0064】
続いて、載置位置決定機能516が被検体Pを架台装置10の撮像口(ボア)内に導入させる際に、足側から導入させることができるか否かを判定する方法の一例について説明する。図8は、実施形態に係る医用画像診断装置(MRI装置1)が備える被検体載置案内機能51が架台装置10に導入させる際の被検体Pの方向を決定する方法の一例を模式的に示す図である。載置位置決定機能516における被検体Pの方向の判定方法では、天板モデルMT上に人体モデルMHを配置した状態で、撮像箇所IPの位置を移動可能範囲Ma内にすることができるか否かを確認する。そして、載置位置決定機能516は、この確認結果に基づいて、架台装置10に導入させる際の被検体Pの方向を判定する。図8では、天板モデルMT上に被検体Pを足側から導入させるように人体モデルMHを配置した状態で、撮像箇所IPの位置を移動可能範囲Ma内にすることができるか否かを確認している。より具体的には、図8の(a)では、図5の(b)に示した体格が小さい被検体P-2の人体モデルMH-2におけるX軸方向の位置を決定した状態において、撮像箇所IP-2の位置を移動可能範囲Ma内にすることができるか否かを確認している。図8の(a)では、撮像箇所IP-2の位置を移動可能範囲Ma内にすることができるため、載置位置決定機能516は、被検体Pを足側から架台装置10に導入させることができると判定する。図8の(b)では、図5の(c)に示した体格が大きい被検体P-1の人体モデルMH-1におけるX軸方向の位置を決定した状態において、撮像箇所IP-1の位置を移動可能範囲Ma内にすることができるか否かを確認している。図8の(b)では、撮像箇所IP-1の位置を移動可能範囲Ma内にすることができないため、載置位置決定機能516は、被検体Pを足側から架台装置10に導入させることができないと判定する。
【0065】
このようにして、載置位置決定機能516は、人体モデルMHの撮像箇所IPを移動可能範囲Ma内にすることができるか否かを確認することによって、天板24に載置させる被検体PのZ軸周りの方向を決定する。載置位置決定機能516は、決定した被検体PのZ軸周りの方向を位置情報に含めて、載置位置提示機能518に出力する。
【0066】
図3に戻り、載置位置提示機能518は、載置位置決定機能516により出力された位置情報に基づいて、人体モデル生成機能514により出力された人体モデルMHを天板モデルMTに重畳した載置画像を生成する。載置位置提示機能518は、生成した載置画像をメモリ41に記憶させる。これにより、MRI装置1では、出力制御機能55が、載置位置提示機能518により生成されてメモリ41に記憶された載置画像をディスプレイ42に出力して表示させて、載置画像をMRI検査の実施者に提示(案内)する。載置位置提示機能518は、生成した載置画像をディスプレイ42に出力して表示させることにより、載置画像をMRI検査の実施者に提示(案内)してもよい。載置位置提示機能518は、「載置位置提示部」の一例である。
【0067】
次に、被検体載置案内機能51において、被検体Pを撮像する際の天板24への被検体Pの載置方法を案内する動作について説明する。図9は、実施形態に係る医用画像診断装置(MRI装置1)が備える被検体載置案内機能51における処理の流れの一例を示すフローチャートである。被検体載置案内機能51は、例えば、MRI検査の実施者が被検体Pの診断や検査を開始するために被検体Pを天板24に載置させる際に、MRI検査の実施者からの指示に応じて、天板24に載置させる被検体Pの位置や、方向、体勢など(コイルポート26の位置を含む)に関する情報(載置画像)を提示(案内)するようにしてもよい。
【0068】
MRI装置1(処理回路50が備える被検体載置案内機能51)において、天板24に載置させる被検体Pの位置や、方向、体勢など(コイルポート26の位置を含む)を提示する処理を開始すると、被検体情報取得機能512は、今回の撮像対象の被検体Pの被検体情報(被検体Pの撮像部位の情報を含む)を取得する(ステップS100)。被検体情報取得機能512は、取得した被検体情報を、人体モデル生成機能514と載置位置決定機能516とのそれぞれに出力する。
【0069】
人体モデル生成機能514は、被検体情報取得機能512により出力された被検体情報に基づいて、今回の撮像対象の被検体Pの人体モデルMHを生成する(ステップS102)。人体モデル生成機能514は、生成した人体モデルMHを、載置位置決定機能516と載置位置提示機能518とのそれぞれに出力する。
【0070】
載置位置決定機能516は、被検体情報取得機能512により出力された被検体情報(被検体Pの撮像部位の情報)に基づいて、人体モデル生成機能514により出力された人体モデルMHを天板モデルMT上に配置し、人体モデルMHの天板モデルMT上の位置や、方向、体勢など(コイルポート26の位置を含む)を決定する(ステップS104)。載置位置決定機能516は、決定した人体モデルMHの天板モデルMT上の位置や、方向、体勢など(コイルポート26の位置を含む)を表す位置情報を、載置位置提示機能518に出力する。
【0071】
載置位置提示機能518は、載置位置決定機能516により出力された位置情報に基づいて、人体モデル生成機能514により出力された人体モデルMHを天板モデルMTに重畳した載置画像を生成する(ステップS106)。載置位置提示機能518は、生成した載置画像をメモリ41に記憶させる。
【0072】
出力制御機能55は、被検体載置案内機能51(載置位置提示機能518)により生成されてメモリ41に記憶された載置画像をディスプレイ42に出力して表示させて、載置画像をMRI検査の実施者に提示(案内)する(ステップS108)。そして、MRI装置1(処理回路50が備える被検体載置案内機能51)は、本フローチャートの処理を終了する。
【0073】
このような構成および処理によって、MRI装置1が備える処理回路50内の被検体載置案内機能51は、被検体Pの体格に関する情報である被検体情報に基づいて人体モデルMHを生成し、生成した人体モデルMHを天板モデルMT上に配置することによって、天板24に載置させる被検体Pの位置や、方向、体勢など(コイルポート26の位置を含む)を決定する。そして、被検体載置案内機能51は、決定した被検体Pの位置や、方向、体勢など(コイルポート26の位置を含む)を表す載置画像を生成して、メモリ41に記憶させる。これにより、MRI装置1では、出力制御機能55によって、メモリ41に記憶された載置画像がディスプレイ42に出力されて表示され、MRI検査の実施者に提示(案内)される。
【0074】
これにより、MRI検査の実施者は、ディスプレイ42に表示された載置画像に基づいて、天板24に載置させる被検体Pに対して位置や、方向、体勢などを指示する(必要に応じて被検体Pに装着されたRFコイル18のコイルケーブル18cを決定されたコイルポート26に接続する)ことができる。このことにより、MRI検査の実施者は、被検体Pの撮像部位が、架台装置10の撮像口(ボア)内に発生される磁場の中で撮像に好適な位置となった状態で、MRI装置1によりMR画像を撮像し、被検体Pに病変があるか否かなどの診断や検査をすることができる。MRI装置1において、被検体載置案内機能51が載置画像によって被検体Pの位置や、方向、体勢など(コイルポート26の位置を含む)をMRI検査の実施者に提示(案内)した後に行うMR画像を撮像するための動作や処理は、既存のMRI装置における動作や処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0075】
上記に述べたとおり、実施形態の医用画像診断装置であるMRI装置1では、被検体載置案内機能51によって、被検体Pの体格に関する情報である被検体情報に基づいて人体モデルMHを生成し、生成した人体モデルMHを天板モデルMT上に配置することによって、天板24に載置させる被検体Pの位置や、方向、体勢など(コイルポート26の位置を含む)を決定する。そして、実施形態のMRI装置1では、被検体載置案内機能51によって、決定した被検体Pの位置や、方向、体勢など(コイルポート26の位置を含む)を表す載置画像を生成して、メモリ41に記憶させる。これにより、実施形態のMRI装置1では、出力制御機能55によって、メモリ41に記憶された載置画像がディスプレイ42に出力されて表示され、被検体Pを天板24に載置させる際の位置や、方向、体勢など(コイルポート26の位置を含む)が、MRI検査の実施者に提示(案内)される。これにより、実施形態のMRI装置1では、被検体Pの撮像部位を、架台装置10の撮像口(ボア)内に発生される磁場の中で撮像に好適な位置にさせて、MR画像を撮像することができる。さらに、実施形態のMRI装置1では、RFコイル18を用いて被検体Pの撮像を行う場合においても、RFコイル18のコイルケーブル18cの引き回しや接続するコイルポート26の位置を好適にして、MR画像を撮像することができる。言い換えれば、実施形態のMRI装置1では、例えば、異なるタイミングで同じ被検体PのMR画像を撮像する場合や、異なるMRI検査の実施者が同じ被検体PのMR画像を撮像する場合でも、天板24に載置させる被検体Pの位置や、方向、体勢、コイルケーブル18cの状態などを同じ状態にして、より好適なMR画像を撮像することができる。
【0076】
しかも、実施形態のMRI装置1では、MRI検査の実施者が被検体Pの診断や検査を開始するために被検体Pを天板24に載置させる際に、天板24に載置させる被検体Pの位置や、方向、体勢、コイルケーブル18cの状態などを表す載置画像を、MRI検査の実施者に提示(案内)する。このため、実施形態のMRI装置1では、被検体Pを天板24に載置させた後(例えば、被検体Pが天板24に一旦横になった後)に被検体Pの位置や、方向、体勢などを変更させる必要がなく、診断や検査を受ける被検体Pが体勢など変更する際の負担も軽減させることができる。これにより、実施形態のMRI装置1では、被検体Pの診断や検査を、より円滑に行うことができる。
【0077】
上述した実施形態では、人体モデル生成機能514が、被検体情報取得機能512により出力された被検体情報に基づいて、今回の撮像対象の被検体Pの人体モデルMHを生成する場合について説明したが、上述したように、人体モデル生成機能514は、生成した被検体Pの人体モデルMHをメモリ41に記憶させこともできる。この場合、人体モデル生成機能514は、同じ被検体Pの人体モデルMHを再度生成する必要がなく、以前に生成した被検体Pの人体モデルMHをメモリ41に記憶されている複数の人体モデルMHの中から選択すればよくなるため、人体モデルMHの生成に要する処理の負荷を軽減させることができる。ここで、メモリ41に記憶されている複数の人体モデルMHの中から選択する人体モデルMHは、人体モデル生成機能514が以前に生成した、今回の撮像対象の被検体Pの人体モデルMHに限定されない。例えば、人体モデル生成機能514は、今回の撮像対象の被検体Pの被検体情報と同様の被検体情報が関連付けられた、他の被検体の人体モデルを選択してもよい。この場合、人体モデル生成機能514は、今回の撮像対象の被検体Pの人体モデルMHの生成を一度も行わなくてもよくなり、今回の撮像対象の被検体Pの人体モデルMHの生成に要する処理の負荷をさらに軽減させることができる。さらに、人体モデル生成機能514が選択する人体モデルMHは、人体モデル生成機能514が以前に生成した人体モデルMHに限定されない。例えば、MRI装置1とは異なる他のコンピュータ装置によって、想定される複数の被検体の人体モデル(多くの被検体の人体モデル)を、様々な身長、体重、性別などの組み合わせで予め生成してメモリ41に記憶させておき、人体モデル生成機能514は、メモリ41に予め記憶されている人体モデルの中から、今回の撮像対象の被検体Pに対応する人体モデルを選択するようにしてもよい。この場合、人体モデル生成機能514は、今回の撮像対象の被検体Pの人体モデルMHのみならず、いずれの被検体の人体モデルの生成も行わなくてもよくなり、人体モデルMHの生成に要する処理の負荷をさらに軽減させることができる。
【0078】
これらの場合における人体モデル生成機能514や被検体載置案内機能51の動作や処理などは、上述した実施形態のMRI装置1が備える処理回路50内の被検体載置案内機能51の動作や処理などに基づいて、容易に考えることができる。従って、メモリ41に記憶されている複数の人体モデルMHの中から今回の撮像対象の被検体Pに対応する人体モデルを選択する場合の人体モデル生成機能514や被検体載置案内機能51の動作や処理などに関する詳細な説明は省略する。
【0079】
上述した実施形態では、医用画像診断装置が磁気共鳴画像装置(MRI装置)である場合を例に挙げて説明したが、これはあくまで一例であり、医用画像診断装置は、天板に載置された被検体を架台装置の内部に導入させることによって診断や検査を行う医用画像診断装置であれば、MRI装置に限定されない。例えば、医用画像診断装置は、X線を照射しながらCT検査を行うX線コンピュータ断層撮影装置(X線CT装置)であってもよい。この場合、例えば、X線CT装置による診断や検査の準備段階で行うスキャン(いわゆる、プレスキャン)において、好適にX線を照射する位置(範囲)やタイミングを決定することができるように、人体モデルを用いて天板に載置させる被検体の位置や、方向、体勢などを決定することができる。この場合における医用画像診断装置の構成や、動作、処理は、上述した実施形態の医用画像診断装置(MRI装置1)の構成や、動作、処理と等価なものになるようにすればよい。従って、MRI装置以外の医用画像診断装置の構成や、動作、処理に関する詳細な説明は省略する。
【0080】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
被検体が載置された天板を移動させて、前記被検体を架台装置内に導入させた状態で撮像を行う医用画像診断装置に処理回路(processing circuitry)を備え、
前記処理回路は、
前記被検体の体格に関する被検体情報に基づいて模した前記被検体を表す人体モデルを、前記天板を表す天板モデル上に配置させ、前記天板モデル上で前記人体モデルを移動させることにより、前記被検体の撮像部位を撮像させる際に前記天板に前記被検体を載置させる位置および方向を決定し、
決定した前記被検体を載置させる位置および方向を表す載置情報を提示する、
医用画像診断装置。
【0081】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、被検体(P)が載置された天板(24)を移動させて、前記被検体を架台装置(10)内に導入させた状態で撮像を行う医用画像診断装置(MRI装置1)であって、前記被検体の体格に関する被検体情報に基づいて模した前記被検体を表す人体モデル(MH)を、前記天板を表す天板モデル(MT)上に配置し、前記天板モデル上で前記人体モデルを移動させることにより、前記被検体の撮像部位(IP)を撮像する際に前記天板に前記被検体を載置させる位置および方向を決定し、決定した前記被検体を載置させる位置および方向を表す載置情報(載置画像)を提示する被検体載置案内部(51)を備えることにより、天板に載置させた状態で被検体の撮像を行う医用画像診断装置において、天板に載置させる被検体の状態が撮像に好適な状態になるように案内することができる。
【0082】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0083】
1・・・MRI装置、10・・・架台装置、12・・・静磁場磁石、14・・・傾斜磁場コイル、16・・・RFコイル、18・・・RFコイル、18c・・・コイルケーブル、20・・・寝台装置、22・・・基台、24・・・天板、26・・・コイルポート、30・・・制御装置、31・・・シーケンス制御回路、32・・・傾斜磁場電源、33・・・送信回路、34・・・受信回路、35・・・寝台制御回路、40・・・コンソール装置、41・・・メモリ、42・・・ディスプレイ、43・・・入力インターフェース、50・・・処理回路、51・・・被検体載置案内機能、512・・・被検体情報取得機能、514・・・人体モデル生成機能、516・・・載置位置決定機能、518・・・載置位置提示機能、52・・・取得機能、53・・・再構成処理機能、54・・・画像処理機能、55・・・出力制御機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9