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  • 特開-バーナーおよび燃焼器 図1
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  • 特開-バーナーおよび燃焼器 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169002
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】バーナーおよび燃焼器
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/28 20060101AFI20241128BHJP
   F23D 14/58 20060101ALI20241128BHJP
   F23R 3/08 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
F23R3/28 B
F23D14/58 Z
F23R3/28 F
F23R3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086164
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芦田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】クロニガー ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】堀川 敦史
【テーマコード(参考)】
3K017
【Fターム(参考)】
3K017CA05
3K017CB01
3K017CD02
3K017CF02
3K017CF03
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で逆火を抑制することができるバーナーを提供する。
【解決手段】バーナー3は、主燃焼用空気とガス燃料の混合気が流れる流路40を形成する筒体4を含む。筒体4は、下流側に向かって縮径し、流路面積が最小となる縮小部41を有する。バーナー3は、筒体4内に配置された、前記主燃焼用空気中に前記ガス燃料を噴射する燃料噴射器8をさらに含んでもよい。この場合、縮小部41は燃料噴射器8よりも下流側に位置してもよい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主燃焼用空気とガス燃料の混合気が流れる流路を形成する筒体を備え、
前記筒体は、下流側に向かって縮径し、流路面積が最小となる縮小部を有する、バーナー。
【請求項2】
前記筒体内に配置された、前記主燃焼用空気中に前記ガス燃料を噴射する燃料噴射器をさらに備え、
前記縮小部は前記燃料噴射器よりも下流側に位置する、請求項1に記載のバーナー。
【請求項3】
前記筒体よりも前方にある空間内で前記ガス燃料を噴射する燃料噴射器をさらに備える、請求項1に記載のバーナー。
【請求項4】
前記筒体の径方向において前記燃料噴射器と前記筒体との間に配置された、前記主燃焼用空気または前記混合気を前記筒体の軸方向の流れに整える整流板をさらに備える、請求項2に記載のバーナー。
【請求項5】
前記筒体内に配置された、前記混合気を前記筒体の軸方向の流れに整える整流板をさらに備える、請求項3に記載のバーナー。
【請求項6】
前記燃料噴射器は筒状であり、径方向内向きに開口する複数の内側噴射孔および径方向外向きに開口する複数の外側噴射孔を有し、
前記整流板は環状の外側整流板であり、前記主燃焼用空気が前記複数の外側噴射孔を横断するように前記燃料噴射器の外側面に沿って流れることを許容する複数の外側ガイド溝を有し、
前記筒体内の中心に配置されたランスと、
前記筒体の径方向において前記ランスと前記燃料噴射器との間に配置された、前記主燃焼用空気が前記複数の内側噴射孔を横断するように前記燃料噴射器の内側面に沿って流れることを許容する複数の内側ガイド溝を有する環状の内側整流板と、
をさらに備える、請求項4に記載のバーナー。
【請求項7】
前記筒体は第1筒体であり、
前記第1筒体の外側に配置された第2筒体であって、前記第1筒体よりも下流側に、パイロット燃料を噴射するパイロットバーナーを有する第2筒体と、
前記第2筒体の外側に配置された、下流側に向かって拡径し、前記第2筒体の下流側の燃焼ゾーンを囲繞する第3筒体と、をさらに備え、
前記第1筒体と前記第2筒体の間を通ってパイロット燃焼用空気が前記パイロットバーナーへ供給され、
前記第3筒体を保護する保護空気が前記第3筒体に沿って流れるように前記第2筒体と前記第3筒体の間を通って前記燃焼ゾーンへ供給される、請求項1乃至6の何れか一項に記載のバーナー。
【請求項8】
前記第3筒体は内壁および外壁を有し、前記保護空気の一部は前記内壁と前記外壁の間を流れた後に前記前記第2筒体と前記第3筒体の間を通って前記燃焼ゾーンへ供給される、請求項7に記載のバーナー。
【請求項9】
前記ガス燃料は水素である、請求項1乃至6の何れか一項に記載のバーナー。
【請求項10】
請求項1乃至6の何れか一項に記載のバーナーを複数備える燃焼器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、火炎を生成するためのバーナー、および前記バーナーを含む燃焼器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、火炎を生成するためにガス燃料と空気の混合気を噴射するバーナーが知られている。例えば、特許文献1には、ガスタービンに用いられる、複数のバーナーを含む燃焼器が開示されている。
【0003】
具体的に、特許文献1では、各バーナーが、1つの混合流路と、前記混合流路の周囲に配置された4つの燃料ノズルを含む。混合流路はストレートな穴で構成されており、燃料ノズルは混合流路の上流端近傍で、混合流路に流入した空気中にガス燃料を噴射する。ガス燃料と空気の混合気はバーナーの下流側で点火され、これにより火炎が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-173191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のバーナーは予混合燃焼であるため、NOxの排出量が少ない。また、特許文献1のバーナーでは、混合流路の出口からの逆火を防ぐための構成が採用されている。これに対し、さらに簡易な構成で逆火を抑制することが望まれる。
【0006】
そこで、本開示は、簡易な構成で逆火を抑制することができるバーナー、および前記バーナーを含む燃焼器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、一つの側面から、主燃焼用空気とガス燃料の混合気が流れる流路を形成する筒体を備え、前記筒体は、下流側に向かって縮径し、流路面積が最小となる縮小部を有する、バーナーを提供する。
【0008】
本開示は、別の側面から、上記のバーナーを複数備える燃焼器を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、簡易な構成で逆火を抑制することができるバーナー、および前記バーナーを含む燃焼器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るバーナーを含む燃焼器の断面図である。
図2】前記バーナーを部分的に断面で示した斜視図である。
図3】前記バーナーの中間部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図2に一実施形態に係るバーナー3を示し、図1に複数のバーナー3を含む燃焼器1を示す。例えば、燃焼器1は、ガスタービンやボイラなどに用いられる。
【0012】
燃焼器1は、外筒11と、外筒11内に収容された内筒12と、外筒11および内筒12の一方の開口を閉塞するエンドプレート13を含む。以下、説明の便宜上、外筒11および内筒12の軸方向のうちのエンドプレート13側を前方、その反対側を後方という。
【0013】
内筒12と外筒11の間には、後方に向かって開口する筒状流路が形成されている。この筒状流路に、後方から空気が供給される。例えば、筒状流路に供給される空気は圧縮空気である。
【0014】
内筒12内には、当該内筒12内の空間を前方の空気室15と後方の燃焼室16とに仕切る隔壁14が設けられている。さらに、空気室15には、当該空気室15をプレ整流空間15aとポスト整流空間15bとに仕切る整流板18が設けられている。内筒12におけるプレ整流空間15aに面する部分には複数の開口が設けられており、これらの開口を通じて前記筒状流路からプレ整流空間15aへ空気が流入する。整流板18には複数の貫通穴が設けられており、整流板18は、プレ整流空間15aに流入した空気を内筒12の軸方向に沿う均一な流れに整える。このため、ポスト整流空間15bには、内筒12の軸方向に沿う均一な流れの空気が流入する。
【0015】
ポスト整流空間15bには、複数のバーナー3が配置されている。つまり、プレ整流空間15aはバーナー3の前方にある。バーナー3は燃焼室16内で火炎を生成するためのものである。例えば、バーナー3は内筒12の中心線を中心とする少なくとも1つの円周上に等角度間隔で配置される。各バーナー3は前後方向に延びており、各バーナー3の後端部が隔壁14を貫通している。図例では各バーナー3の後端面が隔壁14の後面よりも後方に位置しているが、各バーナー3の後端面は隔壁14の後面と面一であってもよい。あるいは、各バーナー3は必ずしも隔壁14を貫通する必要はなく、各バーナー3の後端面が隔壁14の前面に接合されてもよい。
【0016】
各バーナー3は、内部で主燃焼用空気とガス燃料の混合気を形成し、前記混合気を燃焼室16に噴射する。ポスト整流空間15bに流入した空気の一部が主燃焼用空気として各バーナー3内に流入する。ガス燃料は、例えば、天然ガスまたは水素である。
【0017】
本実施形態では、ポスト整流空間15bに流入した空気の一部がパイロット燃焼用空気および保護空気としても各バーナー3内に流入する。パイロット燃焼用空気および保護空気については後述にて説明する。
【0018】
全てのバーナー3には、ガス燃料供給路21を通じてガス燃料が供給されるとともに、パイロット燃料供給路22を通じてパイロット燃料が供給される。パイロット燃料はガス燃料と同じであってもよいし、異なってもよい。
【0019】
燃焼器1は、燃焼室16内で各バーナー3から噴射される混合気に点火する点火装置17を含む。点火装置17は、内筒12および外筒11を貫通している。点火装置17で混合気が点火されることにより燃焼室16内で火炎が生成される。本実施形態では、各バーナー3内へ炎が伝わることによってバーナー3内でも火炎が生成される。なお、点火装置17は周方向に点在するように複数設けられてもよい。
【0020】
次に、図2を参照して、各バーナー3の構造を詳細に説明する。バーナー3は、同軸上に配置された、第1筒体4、第2筒体5および第3筒体6を含む。第1筒体4、第2筒体5および第3筒体6の軸方向は前後方向である。第2筒体5は第1筒体4の外側に配置され、第3筒体6は第2筒体5の外側に配置されており、第1筒体4、第2筒体5および第3筒体6は部分的に重なり合っている。また、バーナー3は、第1筒体4内に配置された筒状の燃料噴射器8と、第1筒体4の中心に配置されたランス7を含む。
【0021】
燃料噴射器8は、第1筒体4の前端部内で主燃焼用空気中にガス燃料を噴射する。第1筒体4は、ランス7との間に主燃焼用空気とガス燃料の混合気が流れる混合気流路40を形成する。
【0022】
より詳しくは、ランス7は、第1筒体4よりも前方の位置から第1筒体4の長さの略2/3の位置まで延びており、後方に向かって先細りとなっている。なお、ランス7の長さは上記に限定されず、適宜変更可能である。
【0023】
燃料噴射器8は、ランス7に貫通されている。本実施形態では、燃料噴射器8が第1筒体4から前方に張り出している。燃料噴射器8はランス7の前部と重なり合うように前後方向に延びており、第1筒体4の径方向から見たときに燃料噴射器8の後部が第1筒体4の前端部と重なり合っている。
【0024】
ランス7と燃料噴射器8との間には、ポスト整流空間15bに流入した空気の一部である主燃焼用空気が流れる内側空気流路が形成されており、燃料噴射器8と第1筒体4の前端部との間には、ポスト整流空間15bに流入した空気の一部である主燃焼用空気が流れる外側空気流路が形成されている。
【0025】
燃料噴射器8は、径方向内向きに開口する複数の内側噴射孔81と、径方向外向きに開口する複数の外側噴射孔82を有する。例えば、内側噴射孔81は周方向に等角度間隔で並んでおり、外側噴射孔82は周方向に等角度間隔で並んでいる。内側噴射孔81からのガス燃料の噴射により内側空気流路を流れる主燃焼用空気とガス燃料の混合気が形成され、外側噴射孔82からのガス燃料の噴射により外側空気流路を流れる主燃焼用空気とガス燃料の混合気が形成される。
【0026】
各内側噴射孔81の開口方向は、燃料噴射器8の軸方向と直交する方向と平行であってもよいし、燃料噴射器8の軸方向と直交する方向に対して前方または後方に傾いてもよい。同様に、各外側噴射孔82の開口方向は、燃料噴射器8の軸方向と直交する方向と平行であってもよいし、燃料噴射器8の軸方向と直交する方向に対して前方または後方に傾いてもよい。
【0027】
燃料噴射器8の内部には、内側噴射孔81および外側噴射孔82と連通する環状のバッファ室83が形成されているとともに、ガス燃料供給路21から供給されるガス燃料をバッファ室83へ導入する複数の導入路84が形成されている。なお、導入路84が省略されて、ガス燃料供給路21からバッファ室83へガス燃料が直接供給されてもよい。
【0028】
第1筒体4の径方向においてランス7と燃料噴射器8との間には環状の内側整流板9Aが配置されており、第1筒体4の径方向において燃料噴射器8と第1筒体4の前端部との間には環状の外側整流板9Bが配置されている。
【0029】
内側整流板9Aは、径方向外向きに開口するとともに前記開口が燃料噴射器8の内周面で閉塞された複数の内側ガイド溝91を有する。内側ガイド溝91の数は燃料噴射器8の内側噴射孔81の数と同じであり、前後方向から見たときに、各内側噴射孔81は対応する内側ガイド溝91の中央に位置する。
【0030】
本実施形態では、内側整流板9Aが内側噴射孔81よりも前方に位置する。このため、内側ガイド溝91は、内側空気流路を流れる主燃焼用空気が内側噴射孔81を横断するように燃料噴射器8の内側面に沿って流れることを許容する役割を果たす。つまり、内側整流板9Aは、主燃焼用空気を第1筒体4の軸方向の流れに整える。ただし、内側整流板9Aは、内側噴射孔81よりも後方に位置し、内側噴射孔81からのガス燃料の噴射により形成された混合気を第1筒体4の軸方向の流れに整えてもよい。
【0031】
同様に、外側整流板9Bは、径方向内向きに開口するとともに前記開口が燃料噴射器8の外周面で閉塞された複数の外側ガイド溝92を有する。外側ガイド溝92の数は燃料噴射器8の外側噴射孔82の数と同じであり、前後方向から見たときに、各外側噴射孔82は対応する外側ガイド溝92の中央に位置する。
【0032】
本実施形態では、外側整流板9Bが外側噴射孔82よりも前方に位置する。このため、外側ガイド溝92は、外側空気流路を流れる主燃焼用空気が外側噴射孔82を横断するように燃料噴射器8の外側面に沿って流れることを許容する役割を果たす。つまり、外側整流板9Bは、主燃焼用空気を第1筒体4の軸方向の流れに整える。ただし、外側整流板9Bは、外側噴射孔82よりも後方に位置し、外側噴射孔82からのガス燃料の噴射により形成された混合気を第1筒体4の軸方向の流れに整えてもよい。
【0033】
第1筒体4は、下流側に向かって、換言すれば後方に向かって縮径し、ランス7よりも下流側に混合気流路40の流路面積が最小となる縮小部41を有する。つまり、縮小部41は、燃料噴射器8よりも下流側に位置する。縮小部41は、第1筒体4の直径が最小となる部分でもある。
【0034】
例えば、燃料噴射器8に隣接する位置での混合気流路40の流路面積をD1、縮小部41での混合気流路40の流路面積をD2としたとき、D2はD1の0.2倍以上0.8倍以下である。なお、燃料噴射器8に隣接する位置でのランス7の直径をDi、第1筒体4の内径をDoとしたとき、D1=π×(Do/2-Di/2)である。また、縮小部41での混合気の流速は、例えば、20m/s以上、60m/s以下である。
【0035】
第2筒体5は、第1筒体4の略中央から第1筒体4よりも少し後方の位置まで延びており、後方に向かって縮径している。第2筒体5は、第1筒体4よりも下流側に、パイロット燃料を噴射するパイロットバーナー51を有する。パイロットバーナー51は、周方向に等角度間隔で並ぶ複数の噴射孔で構成される。本実施形態では、パイロットバーナー51が径方向内向きにパイロット燃料を噴射する。ただし、パイロットバーナー51は第1筒体4の軸方向にパイロット燃料を噴射してもよい。
【0036】
第2筒体5には、パイロットバーナー51を構成する複数の噴射孔と連通する筒状の内部流路52が形成されている。この内部流路52へ、パイロット燃料供給路22から供給されるパイロット燃料が後述する導入路33を通じて導入される。
【0037】
第1筒体4と第2筒体5の間には、筒状流路50が形成されている。第2筒体5の前端部は、図3に示すように、第1筒体4の外周面に取り付けられた複数のサポート31によって支持されている。サポート31は周方向に点在しており、サポート31同士の間を通じて筒状流路50がポスト整流空間15bに開口している。このため、ポスト整流空間15bに流入した空気の一部がパイロット燃焼用空気として筒状流路50に流入する。
【0038】
パイロット燃焼用空気は筒状流路50を通ってパイロットバーナー51へ供給される。パイロットバーナー51からのパイロット燃料の噴射により、パイロット燃料とパイロット燃焼用空気の混合気が形成される。この混合気の燃焼により生成される火炎は、主燃焼用空気とガス燃料の混合気の燃焼により生成される火炎を安定させる役割を果たす。
【0039】
第3筒体6は、第2筒体5の前端よりも少し後方の位置から、第2筒体5から離れた位置まで延びている。第3筒体6は、第2筒体5と重なり合う領域では下流側に向かって縮径するが、それよりも後方の領域では下流側に向かって拡径している。第3筒体6は、第2筒体5の下流側の燃焼ゾーン30を囲繞する。
【0040】
第3筒体6と第2筒体5の間には、筒状流路60が形成されている。ポスト整流空間15bに流入した空気の一部が第3筒体6を保護する保護空気として第3筒体6を通過して筒状流路60に流入する。保護空気は、第3筒体6の内周面に沿って流れるように筒状流路60を通って燃焼ゾーン30へ供給される。
【0041】
第3筒体6の前端部は、リング32を介して第2筒体5に取り付けられている。リング32は、上述した筒状流路60を前方から閉塞する。本実施形態では、リング32が第3筒体6に一体的に設けられている。ただし、リング32は第3筒体6と別体であってもよい。
【0042】
本実施形態では、リング32および第2筒体5における内部流路52の外側に位置する部分に、これらを貫通するように複数の導入路33が形成されている。上述したように導入路33を通じてパイロット燃料供給路22から内部流路52へパイロット燃料が供給される。例えば、導入路33は周方向に等角度間隔で並んでいる。
【0043】
第3筒体6は、上述した筒状流路60および燃焼ゾーン30に面する内壁61と、内壁61との間に内部流路64を形成する外壁62と、内部流路64を後方から閉塞する後端部63を含む。内壁61と外壁62の前端はリング32に接合されている。
【0044】
外壁62における燃焼ゾーン30の外側に位置する部分には、複数の貫通孔65が設けられている。例えば、貫通孔65は、前後方向に並ぶ複数の列のそれぞれで、周方向に等角度間隔で並んでいる。一方、内壁61の前端部には、複数の貫通孔66が設けられている。例えば、貫通孔66は、周方向に等角度間隔で並んでいる。このため、ポスト整流空間15bに流入した空気の一部は保護空気として貫通孔65を通じて内部流路64に流入し、内部流路64を後方から前方に向かって流れた後に、貫通孔66を通じて筒状流路60に流入する。その後、保護空気は上述したように筒状流路60を通って燃焼ゾーン30へ供給される。
【0045】
以上説明したように、本実施形態のバーナー3では、予混合燃焼であるので、NOxの排出量が少ない。また、第1筒体4の縮小部41で混合気の流速が最大となるので、第1筒体4が縮小部41を有するという簡易な構成で縮小部41よりも上流側への逆火を抑制することができる。
【0046】
しかも、本実施形態では、縮小部41が燃料噴射器8よりも下流側に位置するので、燃料噴射器8までの逆火が抑制される。このため、燃料噴射器8の焼損を抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態では内側整流板9Aおよび外側整流板9Bによって主燃焼用空気が第1筒体4の軸方向の流れに整えられるので、縮小部41での混合気の流れが一様になる。さらには、内側整流板9Aが内側ガイド溝91を有し、外側整流板9Bが外側ガイド溝92を有するので、縮小部41よりも上流側への逆火が生じたときには、内側噴射孔81および外側噴射孔82付近でMMX(Micro-mix)燃焼となる。MMX燃焼は、微小な火炎を形成してガス燃料を噴射後すぐ燃焼させるという燃焼方式の、予混合が殆どない拡散燃焼である。このため、内側整流板9A、燃料噴射器8、外側整流板9Bおよび第1筒体4の焼損を回避することができる。
【0048】
ところで、第3筒体6内の燃焼ゾーン30では、混合気が燃焼されて火炎が生成されるが、第3筒体6が無い場合には、第2筒体5の下流側で火炎の周囲に循環渦が形成されるために第2筒体5内への逆火が生じ易い。これに対し、本実施形態のように第3筒体6によって第2筒体5の下流側の燃焼ゾーン30が囲繞されていれば、第3筒体6内ではそのような循環渦が形成され難いため、第2筒体5内への逆火を抑制することができる。しかも、火炎を覆うように第2筒体5と第3筒体6の間の筒状流路60を通って保護空気が供給されるため、逆火の抑制効果を高めることができる。さらに、保護空気は第3筒体6の内周面に沿って流れるため、火炎が第3筒体6に接することも抑制される。
【0049】
また、保護空気は第3筒体6の内壁61と外壁62の間の内部流路64を流れた後に筒状流路60に流入するため、保護空気によって第3筒体6を冷却することができる。
【0050】
なお、燃焼速度の速い水素では逆火が生じ易いため、本開示はガス燃料が水素である場合に特に有用である。
【0051】
<変形例>
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0052】
例えば、第1筒体4の前端部内でガス燃料を噴射する燃料噴射器8の代わりに、プレ整流空間15a内でガス燃料を噴射する燃料噴射器が採用されてもよい。この場合、プレ整流空間15a内で形成された混合気が第1筒体4内に流入する。また、プレ整流空間15a内でガス燃料を噴射する燃料噴射器が採用される場合、第1筒体4内には何も配置されなくてもよい。ただし、第1筒体4内に、混合気を第1筒体4の軸方向の流れに整える整流板が配置されていれば、縮小部41での混合気の流れが一様になる。
【0053】
また、第1筒体4の前端部内でガス燃料を噴射する燃料噴射器8が採用されるか、プレ整流空間15a内でガス燃料を噴射する燃料噴射器が採用されるかに拘わらず、第2筒体5および第3筒体6が省略されてもよい。
【0054】
また、燃焼器1では、第1筒体4の中心に、バーナー3で取り囲まれるようにパイロットバーナーを配置し、前記パイロットバーナーから燃焼室16に、パイロット燃料とパイロット燃焼用空気の混合気を噴射してもよい。
【0055】
<まとめ>
第1の態様として、本開示は、一つの側面から、主燃焼用空気とガス燃料の混合気が流れる流路を形成する筒体を備え、前記筒体は、下流側に向かって縮径し、流路面積が最小となる縮小部を有する、バーナーを提供する。
【0056】
上記の構成によれば、予混合燃焼であるので、NOxの排出量が少ない。また、縮小部で混合気の流速が最大となるので、筒体が縮小部を有するという簡易な構成で縮小部よりも上流側への逆火を抑制することができる。
【0057】
第2の態様として、第1の態様において、上記のバーナーは、前記筒体内に配置された、前記主燃焼用空気中に前記ガス燃料を噴射する燃料噴射器をさらに備え、前記縮小部は前記燃料噴射器よりも下流側に位置してもよい。この構成によれば、燃料噴射器までの逆火が抑制されるため、燃料噴射器の焼損を抑制することができる。
【0058】
第3の態様として、第1の態様において、例えば、上記のバーナーは、前記筒体よりも前方にある空間内で前記ガス燃料を噴射する燃料噴射器をさらに備えてもよい。
【0059】
第4の態様として、第2の態様において、上記のバーナーは、前記筒体の径方向において前記燃料噴射器と前記筒体との間に配置された、前記主燃焼用空気または前記混合気を前記筒体の軸方向の流れに整える整流板をさらに備えてもよい。この構成によれば、縮小部での混合気の流れが一様になる。
【0060】
第5の態様として、第3の態様において、上記のバーナーは、前記筒体内に配置された、前記混合気を前記筒体の軸方向の流れに整える整流板をさらに備えてもよい。この構成によれば、縮小部での混合気の流れが一様になる。
【0061】
第6の態様として、第4の態様において、前記燃料噴射器は筒状であり、径方向内向きに開口する複数の内側噴射孔および径方向外向きに開口する複数の外側噴射孔を有し、前記整流板は環状の外側整流板であり、前記主燃焼用空気が前記複数の外側噴射孔を横断するように前記燃料噴射器の外側面に沿って流れることを許容する複数の外側ガイド溝を有し、上記のバーナーは、前記筒体内の中心に配置されたランスと、前記筒体の径方向において前記ランスと前記燃料噴射器との間に配置された、前記主燃焼用空気が前記複数の内側噴射孔を横断するように前記燃料噴射器の内側面に沿って流れることを許容する複数の内側ガイド溝を有する環状の内側整流板と、をさらに備えてもよい。この構成によれば、縮小部よりも上流側への逆火が生じたときには、内側噴射孔および外側噴射孔付近でMMX(Micro-mix)燃焼となるため、内側整流板、燃料噴射器、外側整流板および筒体の焼損を回避することができる。
【0062】
第7の態様として、第1乃至第5の態様の何れかにおいて、前記筒体は第1筒体であり、上記のバーナーは、前記第1筒体の外側に配置された第2筒体であって、前記第1筒体よりも下流側に、パイロット燃料を噴射するパイロットバーナーを有する第2筒体と、前記第2筒体の外側に配置された、下流側に向かって拡径し、前記第2筒体の下流側の燃焼ゾーンを囲繞する第3筒体と、をさらに備え、前記第1筒体と前記第2筒体の間を通ってパイロット燃焼用空気が前記パイロットバーナーへ供給され、前記第3筒体を保護する保護空気が前記第3筒体に沿って流れるように前記第2筒体と前記第3筒体の間を通って前記燃焼ゾーンへ供給されてもよい。第3筒体内の燃焼ゾーンでは、混合気が燃焼されて火炎が生成される。第3筒体が無い場合には、第2筒体の下流側で火炎の周囲に循環渦が形成されるために第2筒体内への逆火が生じ易い。これに対し、前記構成のように第3筒体によって第2筒体の下流側の燃焼ゾーンが囲繞されていれば、第3筒体内ではそのような循環渦が形成され難いため、第2筒体内への逆火を抑制することができる。しかも、火炎を覆うように第2筒体と第3筒体の間を通って保護空気が供給されるため、逆火の抑制効果を高めることができる。さらに、保護空気は第3筒体に沿って流れるため、火炎が第3筒体に接することも抑制される。
【0063】
第8の態様として、第7の態様において、前記第3筒体は内壁および外壁を有し、前記保護空気の一部は前記内壁と前記外壁の間を流れた後に前記前記第2筒体と前記第3筒体の間を通って前記燃焼ゾーンへ供給されてもよい。この構成によれば、内壁と外壁の間を流れる保護空気によって第3筒体を冷却することができる。
【0064】
第9の態様として、第1乃至第8の態様の何れかにおいて、前記ガス燃料は水素であってもよい。この構成によれば、燃焼速度の速い水素では逆火が生じ易いため、ガス燃料が水素である場合に特に有用である。
【0065】
第10の態様として、本開示は、別の側面から、第1乃至9の態様の何れかのバーナーを複数備える燃焼器を提供する。
【符号の説明】
【0066】
1 燃焼器
3 バーナー
30 燃焼ゾーン
4 第1筒体
40 混合気流路
41 縮小部
5 第2筒体
50 筒状流路
51 パイロットバーナー
6 第3筒体
60 筒状流路
61 内壁
62 外壁
7 ランス
8 燃料噴射器
81 内側噴射孔
82 外側噴射孔
9A 内側整流板
9B 外側整流板
91 内側ガイド溝
92 外側ガイド溝
図1
図2
図3