(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169010
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】センサモジュール、およびセンサモジュールを備えるセンサ装置と表示装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20241128BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G06F3/041 470
G06F3/044 124
G06F3/041 580
G06F3/041 430
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086176
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】中西 貴之
(57)【要約】
【課題】近接する入力手段の位置を正確に特定することが可能な非接触式センサモジュールを提供すること。
【解決手段】センサモジュールは、複数のセンサ電極、複数の第1の端子と複数の第2の端子、複数のセンサ配線、および複数の第1のアクティブシールド配線を備える。複数のセンサ電極は、第1行から第n行と第1列から第m列を有するマトリクス状に配列される。複数の第1の端子と複数の第2の端子は、複数のセンサ素子を包含するセンサ領域を囲むフレーム領域の第m行側に配列される。複数のセンサ配線は、複数のセンサ電極を対応する複数の第1の端子に電気的に接続する。複数の第1のアクティブシールド配線は、複数のセンサ電極から電気的に独立し、第2の端子から列方向に延伸する。複数の第1のアクティブシールド配線は、互いに隣り合う第1のアクティブシールド配線によって複数のセンサ配線の各々が行方向において挟まれるように配置される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1行から第n行と第1列から第m列を有するマトリクス状に配列された複数のセンサ電極、
前記複数のセンサ素子を包含するセンサ領域を囲むフレーム領域の前記第m行側に配列された複数の第1の端子と複数の第2の端子、
前記複数のセンサ電極を対応する前記複数の第1の端子に電気的に接続する複数のセンサ配線、および
前記複数のセンサ電極から電気的に独立し、前記第2の端子から列方向に延伸する複数の第1のアクティブシールド配線を備え、
前記複数の第1のアクティブシールド配線は、互いに隣り合う前記第1のアクティブシールド配線によって前記複数のセンサ配線の各々が行方向において挟まれるように配置され、
mとnは、それぞれ独立に2以上の整数である、センサモジュール。
【請求項2】
前記複数のセンサ配線と前記複数の第1のアクティブシールド配線は、互いに交互する、請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項3】
前記複数の第1のアクティブシールド配線の少なくとも一部は、前記センサ領域を横断する、請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項4】
前記複数のセンサ電極の各々は、互いに隣り合う前記第1のアクティブシールド配線に前記列方向において挟まれる、請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項5】
前記複数のセンサ配線と前記複数の第1のアクティブシールド配線は、互いに同相のパルス状交流電圧が印加されるように構成される、請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項6】
前記複数のセンサ電極、前記複数のセンサ配線、および前記複数の第1のアクティブシールド配線は、互いに同一層内に存在する、請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項7】
対応する前記複数のセンサ電極にそれぞれ電気的に接続され、対応する前記複数のセンサ電極から前記第1行側の前記フレーム領域へ延伸する複数の補助配線をさらに備え、
前記複数の補助配線の各々は、互いに隣り合う前記第1のアクティブシールド配線に前記行方向において挟まれる、請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項8】
前記複数のセンサ電極、前記複数のセンサ配線、前記複数の第1のアクティブシールド配線、および前記複数の補助配線は、互いに同一層内に存在する、請求項7に記載のセンサモジュール。
【請求項9】
前記複数の第1のアクティブシールド配線と前記複数の補助配線は、前記行方向において互いに交互する、請求項7に記載のセンサモジュール。
【請求項10】
対応する前記複数のセンサ電極にそれぞれ電気的に接続され、対応する前記複数のセンサ電極から前記第1行側の前記フレーム領域へ延伸する複数の補助配線、および
前記第1行側の前記フレーム領域から延伸する複数の第2のアクティブシールド配線をさらに備え、
前記複数の補助配線の各々は、互いに隣り合う前記第2のアクティブシールド配線によって前記行方向において挟まれる、請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項11】
前記複数の第2のアクティブシールド配線は、前記第1行側の前記フレーム領域において互いに電気的に接続される、請求項10に記載のセンサモジュール。
【請求項12】
前記第1列から前記第m列の各々において前記第1行側の前記フレーム領域に位置するダミー電極、および
対応する前記ダミー電極に接続され、前記列方向に延伸する複数のダミー配線をさらに備える、請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項13】
前記複数のダミー配線電極の少なくとも一つは、前記センサ領域を横切る、請求項12に記載のセンサモジュール。
【請求項14】
前記第1列から前記第n列の各々において、前記複数の第1のアクティブシールド配線の一つは、前記列方向において前記ダミー電極と前記第1行の前記センサ電極に挟まれる、請求項12に記載のセンサモジュール。
【請求項15】
前記第1行から前記第m行の各々において、前記フレーム領域に位置し、前記複数のセンサ電極を挟む一対のダミー電極、
対応する前記ダミー電極にそれぞれ電気的に接続され、対応する前記ダミー電極から前記列方向に延伸する複数のダミー配線、および
前記ダミー電極から電気的に独立する複数のダミー配線をさらに備え、
前記複数のダミー配線と前記複数のダミー配線は、前記行方向において互いに交互する、請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項16】
対応する前記ダミー電極にそれぞれ電気的に接続され、対応する前記ダミー電極から前記ダミー配線の延伸方向に対して逆方向に延伸する複数のフレーム補助配線をさらに備え、
前記複数のフレーム補助配線と前記複数のダミー配線は、前記行方向において互いに交互する、請求項15に記載のセンサモジュール。
【請求項17】
請求項1に記載のセンサモジュール、
前記複数の端子と電気的に接続されるコネクタ、および
前記コネクタ上に搭載され、前記複数のセンサ電極の電位変動を検知するように構成される制御回路を備える、センサ装置。
【請求項18】
複数の画素を有する表示モジュール、および
前記表示モジュール上に配置された請求項17に記載のセンサ装置を備える表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態の一つは、センサモジュール、およびセンサモジュールを備えるセンサ装置と表示装置に関する。例えば、本発明の実施形態の一つは、非接触式センサモジュール、および非接触式センサモジュールを備えるセンサ装置と表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報端末に情報を入力するためのインターフェースの一つとして、タッチセンサモジュールが広く用いられている。現在主流のタッチセンサモジュールは、人の指や手がタッチセンサモジュールに直接接触した位置を特定する。これに対し、近年、人の指や掌、あるいはタッチペンなどの入力用治具(以下、これらを入力手段とも記す。)をタッチセンサモジュールに接触させず、タッチセンサモジュールの近傍に位置させるだけで情報入力が可能な非接触式センサ(ホバーセンサ)モジュールが開発されている(特許文献1から3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0049486号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2013/0342498号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2014/0049508号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態の一つは、新しい構造を有する非接触式センサモジュール、および当該非接触式センサモジュールを備えるセンサ装置と表示装置を提供することを課題の一つとする。あるいは、本発明の実施形態の一つは、近接する入力手段の位置を正確に特定することが可能な非接触式センサモジュール、および当該非接触式センサモジュールを備えるセンサ装置と表示装置を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態の一つは、センサモジュールである。このセンサモジュールは、複数のセンサ電極、複数の第1の端子と複数の第2の端子、複数のセンサ配線、および複数の第1のアクティブシールド配線を備える。複数のセンサ電極は、第1行から第n行と第1列から第m列を有するマトリクス状に配列される。複数の第1の端子と複数の第2の端子は、複数のセンサ素子を包含するセンサ領域を囲むフレーム領域の第m行側に配列される。複数のセンサ配線は、複数のセンサ電極を対応する複数の第1の端子に電気的に接続する。複数の第1のアクティブシールド配線は、複数のセンサ電極から電気的に独立し、第2の端子から列方向に延伸する。複数の第1のアクティブシールド配線は、互いに隣り合う第1のアクティブシールド配線によって複数のセンサ配線の各々が行方向において挟まれるように配置される。mとnは、それぞれ独立に2以上の整数である。
【0006】
本発明の実施形態の一つは、センサ装置である。このセンサ装置は、上記センサモジュール、複数の端子と電気的に接続されるコネクタ、およびコネクタ上に搭載され、複数のセンサ電極の電位変動を検知するように構成される制御回路を備える。
【0007】
本発明の実施形態の一つは、表示装置である。この表示装置は、複数の素子を有する表示モジュール、および表示モジュール上に位置する上記センサモジュールを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るセンサモジュールの模式的斜視図。
【
図2】本発明の実施形態に係るセンサモジュールの模式的上面図。
【
図3】本発明の実施形態に係るセンサモジュールに設けられるセンサ配線の一部の模式的上面図。
【
図4】本発明の実施形態に係るセンサモジュールの一部の模式的上面図。
【
図5】本発明の実施形態に係るセンサモジュールに設けられるセンサ配線、第1のアクティブシールド配線、および絶縁領域の一部の模式的上面図。
【
図6A】本発明の実施形態に係るセンサモジュールの一部の模式的端面図。
【
図6B】本発明の実施形態に係るセンサモジュールの一部の模式的端面図。
【
図6C】本発明の実施形態に係るセンサモジュールの一部の模式的端面図。
【
図7】本発明の実施形態に係るセンサモジュールの一部の模式的上面図。
【
図8】本発明の実施形態に係るセンサモジュールの一部の模式的上面図。
【
図9】本発明の実施形態に係るセンサモジュールの一部の模式的上面図。
【
図10】本発明の実施形態に係るセンサモジュールの一部の模式的上面図。
【
図11】本発明の実施形態に係るセンサモジュールの一部の模式的上面図。
【
図12】本発明の実施形態に係る表示装置の模式的展開斜視図。
【
図13】本発明の実施形態に係る表示装置の模式的上面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について、図面などを参照しつつ説明する。ただし、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0010】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状などについて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。同一、あるいは類似する複数の構造を総じて表す際にはこの符号が用いられ、これらを個々に表す際には符号の後にハイフンと自然数が加えられる。また、一つの構造の一部を示す際には、符号の後に小文字のアルファベットを付すことがある。
【0011】
本明細書および請求項において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0012】
本明細書および請求項において、「ある構造体が他の構造体から露出する」という表現は、ある構造体の一部が他の構造体によって覆われていない態様を意味し、この他の構造体によって覆われていない部分は、さらに別の構造体によって覆われる態様も含む。また、この表現で表される態様は、ある構造体が他の構造体と接していない態様も含む。
【0013】
本発明の実施形態において、複数の膜が同一の工程で同時に形成された場合、これらの膜は同一の層構造、同一の材料、同一の組成を有する。したがって、これら複数の膜は同一層内に存在しているものと定義する。
【0014】
以下、本発明の実施形態の一つであるセンサモジュールの構造、およびセンサモジュールを備えるセンサ装置と表示装置について説明する。
【0015】
1.センサモジュールの全体構造
センサモジュール100の模式的斜視図と上面図をそれぞれ
図1と
図2に示す。センサモジュール100は所謂非接触式センサモジュールであり、指や掌、先端に樹脂が配置されたタッチペンなどの入力手段がセンサモジュール100に接触したときのみならず、入力手段がセンサモジュール100に接することなく近傍(例えば、センサモジュール100の最外表面から5mm以内、10mm以内、または20mm以内の範囲)に配置された際にも入力手段を検出し、センサモジュール100上における入力手段の位置を特定する機能を備える。
【0016】
図1に示すように、センサモジュール100は、互いに対向する第1の基板102と第2の基板104を備え、第1の基板102と第2の基板104の間に複数のセンサ電極130が設けられる。
図2に示すように、複数のセンサ電極130は、第1行から第m行と第1列から第n列を有するマトリクス状に配置される(mとnは、それぞれ独立に2以上の整数)。
図2に示された例では、4行5列のマトリクス状に配置された20のセンサ電極130がセンサモジュール100に設けられている。センサ電極130の数(すなわち、mとn)や大きさ、形状は、センサモジュール100の大きさ、センサモジュール100に要求される検出精度などに応じて適宜設定すればよい。ここで、すべてのセンサ電極130を囲む矩形の最小領域(
図2において鎖線で囲まれた領域)をセンサ領域150と呼び、センサ領域150を囲む領域をフレーム領域と呼ぶ。
【0017】
後述するように、第1の基板102上には、
図2には示されない種々の配線(センサ配線や第1のアクティブシールド配線など)が設けられ、これらの配線の端部は端子(第1の端子134、第2の端子142)を形成する、または端子に接続される。複数の第1の端子134と複数の第2の端子142は、センサ領域150の一方の側のフレーム領域(例えば、フレーム領域の第m行側)に配列される。
【0018】
複数の第1の端子134と複数の第2の端子142には、フレキシブル印刷回路(FPC)基板などの第1のコネクタ110が電気的に接続され、第1のコネクタ110は図示しない外部回路に接続される。第1のコネクタ110には、複数のセンサ電極130の電位変動を検知するように構成される制御回路112が搭載され、制御回路112とセンサモジュール100によって本発明の実施形態の一つであるセンサ装置が構成される。
【0019】
制御回路112は、電源回路114、検出器116、演算素子118、インターフェース120などによって構成することができる。電源回路114は、外部回路から供給される電源をパルス状の交流電圧に変換し、この交流電圧を第1の端子134とセンサ配線を介して各センサ電極130に供給する。検出器116はアナログフロントエンド(AFE:Analog Front End)とも呼ばれ、センサ電極130の容量の変化を電位変動として検出し、この電位変動をデジタル化して検出信号に変換する。演算素子118には検出器116によって生成された検出信号が入力され、この検出信号に基づき、演算素子118によって入力手段の位置を表す座標が生成される。検出器116と演算素子118は、一つの集積回路(IC)チップとして構成してもよい。インターフェース120は外部回路との接続に用いられ、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)やシリアル・ペリフェラル・インタフェース(SPI)などの規格に基づいて構成される。
【0020】
以下、センサモジュールの各構成について詳述する。
【0021】
2.第1の基板と第2の基板
第1の基板102と第2の基板104は、絶縁性材料を含む。例えば、第1の基板102と第2の基板104は、ガラスや石英、ポリイミドやポリアミド、ポリカーボネートなどの高分子材料などで構成される。第1の基板102と第2の基板104は可視光を透過するように構成されていてもよく、あるいは可視光を透過しないように構成されてもよい。センサモジュール100を後述する表示装置で用いる場合には、センサモジュール100を表示モジュール上に配置されるユーザインタフェースとして活用し、表示モジュール上の表示を利用して情報入力を行うことができる。この場合、表示モジュール上の表示を視認できるよう、第1の基板102と第2の基板104は可視光を透過するように構成される。
【0022】
3.センサ電極
センサ電極130は、例えばインジウム-スズ酸化物(ITO)やインジウム-亜鉛酸化物(IZO)などの可視光を透過する導電性酸化物、あるいは、モリブデンやタングステン、タンタル、アルミニウム、銅などの金属(0価の金属)を含む。センサ電極130は、単層構造を有してもよく、積層構造を有してもよい。例えば、センサ電極130は、導電性酸化物を含む層と金属を含む層が積層した構造を備えてもよい。好ましくは、高い導電性が実現できるよう、金属を含むようにセンサ電極130が構成される。金属を含むセンサ電極130の場合、
図3に示すように、格子状に配置されたフレーム130bによって囲まれた領域である開口130aを複数有するメッシュ形状を有するようにセンサ電極130を構成することが好ましい。これにより、高い導電性を維持しつつ、可視光に対して高い透過性を有するセンサモジュール100を構成することができる。開口130aの面積は、例えば4×10
3μm
2以上5×10
4μm
2以下に設定すればよい。
【0023】
4.センサ配線と第1のアクティブシールド配線
図4にセンサモジュール100の模式的上面図を示す。この図に示すように、各センサ電極130には、対応するセンサ配線132が設けられる。すなわち、センサモジュール100にはセンサ電極130と同数の複数のセンサ配線132が設けられ、一つのセンサ配線132は一つのセンサ電極130と電気的に接続され、第1の端子134を形成する、または第1の端子134に接続される。これにより、センサ電極130が第1の端子134と電気的に接続される。また、各センサ配線132は、対応するセンサ電極130を、他のセンサ電極130を介することなく、対応する第1の端子134に接続する。換言すると、一つのセンサ配線132は、複数のセンサ電極130とは接続されず、同様に、一つのセンサ電極130は、複数のセンサ配線132と接続されない。複数のセンサ配線132には、制御回路112からパルス状交流電圧が印加される。
【0024】
また、各センサ配線132は、他のセンサ配線132に接続されるセンサ電極130と第1の基板102の法線方向において重ならないように設けられる。換言すると、各センサ配線132は、少なくとも当該センサ配線132に接続されるセンサ電極130を除くすべてのセンサ電極130から完全に露出するように配置される。これにより、各センサ配線132は、当該センサ配線132が接続されるセンサ電極130以外のセンサ電極130と容量(寄生容量)を形成することが抑制される。
【0025】
さらに、センサモジュール100には、複数の第1のアクティブシールド配線140が設けられる。複数の第1のアクティブシールド配線140は、すべてのセンサ電極130とセンサ配線132から物理的に離隔し、電気的に独立する。第1のアクティブシールド配線140の端部は、フレーム領域に位置する第2の端子142を有する、または第2の端子142と接続される。第1のアクティブシールド配線140には、センサ配線132と同相のパルス状交流電圧が第2の端子142介して制御回路112から供給される。ただし、すべての第1のアクティブシールド配線140は、第1の基板102上または第1のコネクタ110上で電気的に接続され、常時等電位となる。なお、第1のアクティブシールド配線140は入力手段の座標の特定には寄与しないので、検出器116と接続されなくてもよい。
【0026】
図4に示すように、第1のアクティブシールド配線140の各々は、全体として第2の端子142からその反対側(第1行側)に向かって列方向(
図4におけるy方向)に延伸する。第1のアクティブシールド配線140は、少なくとも一部がセンサ領域150を横断するように配置してもよい。すなわち、第2の端子142に対して反対側の端部が、第2の端子142が設けられる側とは反対側(第1行側)のフレーム領域に位置してもよい。ここで、各センサ配線132は、互いに隣り合う第1のアクティブシールド配線140によって行方向(
図4におけるx方向)において挟まれる。より具体的には、一つのセンサ電極130と電気的に接続されるセンサ配線132は、互いに隣り合う二つの第1のアクティブシールド配線140に行方向において挟まれる。換言すると、列方向で隣り合う二つのセンサ電極130に接続される二つのセンサ配線132は、一つの第1のアクティブシールド配線140を介して隣り合う。したがって、各センサ電極130が一つのセンサ配線132を有する場合、複数のセンサ配線132と複数の第1のアクティブシールド配線140は、行方向において交互する。
【0027】
また、各センサ電極130は、行方向で隣り合う第1のアクティブシールド配線140によって列方向において挟まれる。したがって、複数の第1のアクティブシールド配線140の一部は、列方向で隣り合うセンサ電極130の間の領域を延伸する。
【0028】
隣接するセンサ配線132と第1のアクティブシールド配線140間の距離(ギャップ)や、隣接する第1のアクティブシールド配線140間の距離は、および隣接する第1のアクティブシールド配線140とセンサ電極130間の一定であることが好ましい。このため、センサ電極130のレイアウトによっては、一部の第1のアクティブシールド配線140の幅(行または列方向の距離)は、行によって変化してもよい。
図4に示す例では、一部の第1のアクティブシールド配線140の幅は、第2の端子142からの距離が増大するに従って段階的に増大する。
【0029】
センサ電極130と同様、センサ配線132と第1のアクティブシールド配線140も上述した可視光を透過する導電性酸化物または0価の金属を含むように形成することができる。センサ配線132と第1のアクティブシールド配線140も単層構造を有してもよく、あるいは、導電性酸化物を含む層と金属を含む層が積層した構造を備えてもよい。センサ電極130と同様、好ましくは、高い導電性が実現できるよう、金属を含むようにセンサ配線132と第1のアクティブシールド配線140が構成される。この場合、
図5に示すように、それぞれ格子状に配置されたフレーム132b、140bによって形成される開口132a、140aを複数有するメッシュ形状でセンサ配線132と第1のアクティブシールド配線140を構成することが好ましい。これにより、高い導電性を維持しつつ、可視光に対して高い透過性を有するセンサモジュール100を構成することができる。開口132a、140a面積も、例えば4×10
3μm
2以上5×10
4μm
2以下に設定すればよい。好ましくは、同一または実質的に同一のメッシュパターンを有するようにセンサ電極130、センサ配線132、および第1のアクティブシールド配線140が構成される。すなわち、センサ電極130のメッシュの開口130aの形状、大きさ、およびピッチがセンサ配線132と第1のアクティブシールド配線140のメッシュの開口132a、140aの形状、大きさ、およびピッチとそれぞれ同一または実質的に同一であることが好ましい。センサ配線132、センサ電極130、第1のアクティブシールド配線140に同一のメッシュ形状を付与することで、モアレの発生を防ぐことができる。
【0030】
さらに、
図5に示すように、絶縁領域、すなわち、互いに電気的に接続されないセンサ電極130とセンサ配線132の間、隣り合うセンサ配線132と第1のアクティブシールド配線140の間、隣り合うセンサ電極130と第1のアクティブシールド配線140の間などにも、0価の金属を含むダミーパターン144を設けることが好ましい。ダミーパターン144には、センサ配線132、センサ電極130、または第1のアクティブシールド配線140のメッシュ形状を構成するフレーム132b、130b、140bと同様の形状を有する導電膜144aが複数配列され、かつ、これらが電気的に絶縁される。各導電膜144aは、
図5に示すように屈曲したV字形状を有してもよく、あるいは直線的な細線片状でもよい。各導電膜144aの直線部の延伸方向は、フレーム132b、130b、または140bの延伸方向と平行でもよい。このため、当該絶縁領域においてもセンサ配線132やセンサ電極130、第1のアクティブシールド配線140と同様の光学特性を付与することができる。その結果、センサ領域150の全体に亘ってモアレの発生を防止することができる。
【0031】
図4の鎖線A-A´に沿った端面の模式図を
図6Aから
図6Cに示す。これらの図に示すように、センサ電極130、センサ配線132、および第1のアクティブシールド配線140は、直接、または図示しない絶縁性のアンダーコートを介して第1の基板102上に設けられる。センサ電極130、センサ配線132、および第1のアクティブシールド配線140上には、一つまたは複数の保護膜108が設けられ、保護膜108と第2の基板104が接着層124によって固定される。
図6Aには、酸化ケイ素や窒化ケイ素などのケイ素含有無機化合物を含む第1の保護膜108-1、およびエポキシ樹脂やアクリル樹脂、シリコーン樹脂などの高分子を含む第2の保護膜108-2が積層された保護膜108が一つの例として示されている。
【0032】
図6Aに示すように、センサ電極130、センサ配線132、および第1のアクティブシールド配線140のすべてを同一層内に形成してもよい。すなわち、同一の組成を有するセンサ電極130、センサ配線132、および第1のアクティブシールド配線140を同一の工程で形成してもよい。あるいは、第1のアクティブシールド配線140、センサ電極130、およびセンサ配線132の一つを異なる層に形成してもよい。例えば、
図6Bに示すように、同一の組成を有するセンサ電極130と第1のアクティブシールド配線140を同一の工程で形成し、センサ電極130と第1のアクティブシールド配線140を覆う第1の保護膜108-1上にセンサ配線132を設けてもよい。この場合には、第1の保護膜108-1に設けられる開口(図示しない)を介してセンサ電極130とセンサ配線132が電気的に接続される。センサ配線132の組成は、センサ電極130と第1のアクティブシールド配線140の組成と同一でもよく、異なってもよい。あるいは、
図6Cに示すように、同一の組成を有するセンサ電極130とセンサ配線132を同一の工程で形成し、センサ電極130とセンサ配線132を覆う第1の保護膜108-1上に第1のアクティブシールド配線140を設けてもよい。第1のアクティブシールド配線140の組成は、センサ電極130とセンサ配線132の組成と同一でもよく、異なってもよい。
【0033】
なお、任意の構成として、第1の基板102側からの電磁波の影響などを防止するためのノイズシールド層106を第1の基板102の下に配置してもよい。ノイズシールド層106は、導電性を有するITOやIZOなどの透光性酸化物、あるいは金属を含む。後者の場合には、可視光の透過を許容するよう、複数の開口を有するメッシュ状の金属膜をノイズシールド層106として用いればよい。ノイズシールド層106は、複数のセンサ電極130と重なるように設けられる。ノイズシールド層106には、FPC基板などの第2のコネクタ122が電気的に接続され(
図1参照。)、センサ電極130に印加される電位と同相のパルス状交流電圧が印加される。このため、ノイズシールド層106はセンサ電極130と常時等電位となる。ノイズシールド層106を設けることで、例えば、センサモジュール100が表示モジュール上に配置された表示装置が搭載された電子機器においてセンサモジュール100を操作する際、表示装置や電子機器などが発する電磁波の影響を効果的に防止することができる。その結果、センサモジュール100の誤作動の防止や入力手段のより正確な特定が可能となる。
【0034】
上述したように、センサ電極130にはセンサ配線132を介して同相のパルス状交流電圧が印加される。入力手段がセンサ電極130に近づくまたは接触すると、入力手段とセンサ電極130の間に仮想的な容量素子が形成され、その結果、各センサ電極130の電位が変動する。この電位変動は検出器116によって検出・デジタル変換されてセンサ値として取得され、演算素子118において、各センサ電極130の位置(座標)とそのセンサ値に基づいて入力手段が近接または接触した位置の座標が特定される。このように、センサモジュール100は、静電容量式(自己容量式)の非接触センサとして機能する。
【0035】
しかしながら、入力手段がセンサモジュール100に近づくと、入力手段に最も近い1つまたは複数のセンサ電極130(以下、検出センサ電極)間における容量が形成されるが、当該容量の発生により検出センサ電極の電位が変化し、これによってこれら検出センサ電極と当該検出センサ電極を包囲するセンサ電極(周辺センサ電極)との間にも電位差が生じ、この結果、検出センサ電極と周辺センサ電極との間にも意図しない容量(寄生容量)が形成されてしまう。センサ配線132間でも同様の現象が生じる。その結果、かかる寄生容量に起因したセンサ電極やセンサ配線132の電位変動がセンサ電極130の電位変動として検知され、列方向で隣り合うセンサ電極130のセンサ値に影響を及ぼす。このことは、入力手段の検出位置の正確な特定に悪影響を与える。
【0036】
しかしながら、上述したように、センサモジュール100では、各センサ配線132は、互いに行方向で隣り合う二つの第1のアクティブシールド配線140によって行方向で挟まれる。さらに、各センサ電極130も、互いに行方向で隣り合う二つのシールド配線によって列方向で挟まれる。このため、センサ配線132と第1のアクティブシールド配線140の間、およびセンサ電極130と第1のアクティブシールド配線140の間には寄生容量は形成されるものの、隣り合うセンサ配線132の間やセンサ電極130の間に形成される寄生容量を大幅に削減することができる。その結果、入力手段が近接または接触するセンサ電極130に対して列方向に位置するセンサ電極130のセンサ値に対する影響を低減することができ、入力手段の正確な特定が可能となる。
【0037】
5.変形例
(1)変形例1
上述した例では、各センサ電極130には一つのセンサ配線132が接続されるが、各センサ電極130に複数のセンサ配線132を接続してもよい。例えば
図7に示すように、一つのセンサ電極130に対して二つのセンサ配線132-1、132-2を接続してもよい。センサ配線132-1、132-2は、フレーム領域でそれぞれ第1の端子134を形成してもよく、あるいは、図示しないが、フレーム領域で二つのセンサ配線132-1、132-2が統合されて一つの第1の端子134を形成してもよい。各センサ電極130に複数のセンサ配線132を接続することにより、一部のセンサ配線132が断線した場合でも制御回路112とセンサ電極130との接続が可能となるため、高い信頼性をセンサモジュール100に与えることができる。
【0038】
(2)変形例2
上述したように、センサモジュール100では、センサ電極130が複数列複数行に配置される。これらのセンサ電極130に接続されるセンサ配線132がセンサ領域150の一方の側(第m行側)のフレーム領域に向かって延伸し、第1の基板102の端部で第1の端子134を形成する。したがって、第1の端子134に近いほどセンサ配線132の密度が高い。このため、例えば、第1の端子134から遠い第1行のセンサ電極130上に入力手段が近接する場合には、第1行のセンサ電極130とそれに接続されるセンサ配線132の電位だけが変動するので、入力手段の正確な座標が特定できる。しかしながら、第1の端子134に近い行、例えば第m行に位置するセンサ電極130に入力手段が近接すると、入力手段は高密度に配置されるセンサ配線132にも近づき得るので、当該センサ電極130の電位変動が生じるだけでなく、同一列の他のセンサ電極130に接続されるセンサ配線132にも仮想的な容量素子が形成され得る。その結果、第m行以外の行のセンサ電極130の電位も変動を受け、入力手段の正確な座標を特定できなくなることがある。
【0039】
このため、
図8に示すように、各センサ電極130に対し、センサ配線132とは異なる補助配線136を設けてもよい。具体的には、複数のセンサ電極130にそれぞれ対応する複数の補助配線136を設ける。一つの補助配線136は、一つのセンサ電極130と選択的に接続され、第1の端子134に対して反対側(第1行側)の方向へ延伸する。補助配線136は、それが接続されるセンサ電極130を除き、他の導電性の構成要素と接続されない。したがって、補助配線136にも接続されるセンサ電極130と同じ電圧が印加される。センサ配線132と同様に、各補助配線136は、少なくともそれに接続されるセンサ電極130を除くすべてのセンサ電極130と重ならない。すなわち、各補助配線136は、少なくともそれに接続されるセンサ電極130を除くすべてのセンサ電極130から露出される。各補助配線136も、センサ電極130やセンサ配線132、第1のアクティブシールド配線140と同一層内に存在するように形成してもよい。好ましくは、補助配線136のセンサ電極130に対して反対側の端部がフレーム領域に位置するように補助配線136を設ける。これにより、センサ領域150の端部に入力手段が近接しても、補助配線136と入力手段との間で形成される仮想的な容量が確保される。このため、センサ領域150の他の領域(例えば中心付近)と同様の検出精度を維持することができる。
【0040】
各補助配線136も導電性を有する透光性酸化物または金属を含むように構成することができる。後者の場合には、センサ電極130と同様にメッシュ形状を備えるように補助配線136を構成することで、可視光に対する高い透過性を付与しつつ、モアレの発生を防ぐことができる。
【0041】
第1のアクティブシールド配線140は、互いに隣り合う第1のアクティブシールド配線140によって各補助配線136が行方向で挟まれるように配置される。また、複数の第1のアクティブシールド配線140と複数の補助配線136は、行方向において互いに交互する。この配置により、互いに隣り合う補助配線136間の寄生容量が大幅に削減されるため、入力手段が近接または接触するセンサ電極130に対して列方向に位置するセンサ電極130への影響を低減することができる。
【0042】
このように補助配線136を設けることで、配線の密度、すなわち、センサ配線132と補助配線136の面積の和が列方向においてがほぼ一定となる。このため、例えば第1の端子134に近い位置に入力手段が近接した場合、その座標に最も近い行のセンサ電極130に最も大きな電位変動が生じるとともに、この行のセンサ電極130の近くに配置されるセンサ配線132、およびこれらに接続される他の行のセンサ電極130にも副次的な電位変動が生じる。同様に、第1の端子134から離れた位置に入力手段が近接した場合、その座標に最も近い行のセンサ電極130に最も大きな電位変動が生じるとともに、他の行のセンサ電極130に接続される補助配線136に副次的な電位変動が生じ、その結果、これらの行のセンサ電極130にも副次的な電位変動が生じる。すなわち、入力手段の座標に依存することなく、入力手段に近接するセンサ電極130における大きな電位変動を検知しつつ、そのセンサ電極130が配置された列の他のセンサ電極130に対してほぼ同じ副次的電位変動を引き起こすことができる。その結果、副次的電位変動の入力手段の座標依存性が解消され、入力手段の座標を正確に特定することができる。
【0043】
また、センサ配線132はその幅がセンサ電極130と比較して小さいものの、パルス状交流電圧が印可されることによってセンサ電極としても機能することとなる。また、センサ配線132は、第1の端子134から離れるに従って長くなるのに対し、補助配線136は第1の端子134から離れるに従って短くなる。このため、センサ電極130(検出器116に接続されるセンサ電極)の一部として機能するセンサ配線132と補助配線136の面積は行間でほぼ同じとなり、検出器116からの距離の差によって生じる容量差が低減される。なお、検出器116からから最も遠い位置にあるセンサ電極130については、補助配線136を設けなくてもよい。
【0044】
(3)変形例3
上述した例では、第1のアクティブシールド配線140は列方向に隣り合うセンサ電極130の間の領域を延伸するため、各センサ電極130は、隣り合う第1のアクティブシールド配線140に列方向において挟まれる。しかしながら、センサモジュール100の構成はこれに限られず、
図9に示すように、列方向で隣り合うセンサ電極130の間において第1のアクティブシールド配線140は分断されてもよい。この場合、フレーム領域に引回し配線146を設け、第1の行側のフレーム領域からセンサ領域150に延伸する複数の第2のアクティブシールド配線148を引回し配線146に接続すればよい。複数の第2のアクティブシールド配線148は、引回し配線146によって互いに電気的に接続され、制御回路112から第1のアクティブシールド配線と同相のパルス状交流電圧が印加される。複数の第2のアクティブシールド配線148は、各補助配線136が互いに隣り合う第2のアクティブシールド配線148によって行方向において挟まれるように配置される。
【0045】
この構成では、列方向で隣り合うセンサ電極130間には寄生容量が発生し得る。しかしながら、隣り合うセンサ電極130間の距離は隣り合うセンサ配線132間の距離よりも大きいため、列方向で隣り合うセンサ電極130間には寄生容量の影響は小さい。このため、上記他の例と同様、隣り合うセンサ配線132間において大きな寄生容量削減効果が得られるため、入力手段の位置を正確に特定することができる。
【0046】
(4)変形例4
非接触式センサは、従来の接触式センサと比較し、外部からの電気的影響を受け易い。この影響は、特にセンサ領域150の外周に近い位置に配置されるセンサ電極130において顕著である。この影響を低減するために、
図10に示すように、センサ領域150の周辺であるフレーム領域に、センサ領域150を囲むように複数のダミー電極を配置してもよい。
【0047】
具体的には、各列に一つの第1のダミー電極160を設けることができる。各列において、第1のダミー電極160は、センサ領域150を基準として第1の端子134と第2の端子142の反対側(第1行側)のフレーム領域に配置される。第1のダミー電極160の各々にも、センサ電極130と同相のパルス状交流電圧が印加される。したがって、第1のダミー電極160を複数の第1のアクティブシールド配線140と電気的に接続してもよい。第1のダミー電極160に対する電圧の供給は、第1行のセンサ電極130と第1行側のフレーム領域の間を延伸する第1のアクティブシールド配線140を用いて行ってもよく、あるいは、
図11に示すように、第1のアクティブシールド配線140から独立したダミー配線162を用いて行ってもよい。複数のダミー配線162の少なくとも一部は、センサ領域150を横断する。第1のダミー電極160は入力手段の座標の特定には寄与しないので、検出器116と接続されなくてもよい。隣接する第1のアクティブシールド配線140と補助配線136間の距離、隣接する補助配線136とダミー配線162間の距離、および隣接する第1のアクティブシールド配線140とダミー配線162間の距離も一定になるよう、ダミー配線162の幅もその端子164からの距離に応じて変化させてもよい。
【0048】
あるいは、第1のダミー電極160とともに、または第1のダミー電極160に替えて、各行に一対の第2のダミー電極170を配置してもよい(
図10)。一対の第2のダミー電極170は、各行においてすべてのセンサ電極130を挟むように配置される。第2のダミー電極170の各々には、ダミー配線172が接続され、列方向に延伸して端子174を形成する、または端子174に接続される。第2のダミー電極170には、端子174を介し、センサ電極130と同相のパルス状の交流電圧が印加される。したがって、第2のダミー電極170を複数の第1のアクティブシールド配線140と電気的に接続してもよい。第2のダミー電極170も入力手段の座標の特定には寄与しないので、検出器116と接続されなくてもよい。
【0049】
また、任意の構成として、センサ配線132と同様に、第2のダミー電極170に接続されるダミー配線172間の寄生容量を低減するための複数のフレームシールド配線176を設けてもよい。具体的には、第1の端子134と第2の端子142が配列される側から列方向に延伸し、列方向で隣り合う第2のダミー電極170の間を延伸するフレームシールド配線176を設けてもよい。各フレームシールド配線176は、互いに隣り合う第2のダミー電極170によって列方向で挟まれるように設けることができる。図示しないが、フレームシールド配線176は、互いに隣り合うフレームシールド配線176が各第2のダミー電極170を列方向で挟むように設けてもよい。フレームシールド配線176に対しても、センサ配線132と同相のパルス状交流電圧が印加されるが、フレームシールド配線176も入力手段の座標の特定には寄与しないので、フレームシールド配線176は検出器116と接続されなくてもよい。
【0050】
さらなる任意の構成として、第2のダミー電極170にもセンサ電極130に接続される補助配線136と同様の補助配線178を接続してもよい。補助配線178は、すべての第2のダミー電極170に設けてもよく、第1行に位置する第2のダミー電極170には設けなくてもよい。補助配線178とフレームシールド配線176は、行方向において互いに交互するように配置される。
【0051】
この変形例では、センサ領域150の外側に第1のダミー電極160および/または第2のダミー電極170が設けられ、センサ電極130と同じ電位が供給されるので、センサ電極130と第1のダミー電極160および/またはセンサ電極130と第2のダミー電極170間での電位差がなくなり、特にセンサ領域150周辺でのノイズの発生が抑制される。このため、センサ領域150の端部に入力手段が近接しても、入力手段とセンサ領域150間で均一に電界が発生し、この電界のうちセンサ電極130と重なる電界が容量変化として検出されるため、ばらつきの無い検出が可能となる。また、センサ領域150の外側と入力手段との容量形成を抑制することができるため、検出精度の低下を招かない。
【0052】
また、第1のダミー電極160および/または第2のダミー電極170は、それぞれ複数設けられる。単一のダミー電極をセンサ領域150の外側に設置する場合、センサ領域150の端部に入力手段が近接すると、その影響がセンサ領域150の外周全体に及ぶ。しかしながら、複数の第1のダミー電極160および/または複数の第2のダミー電極170を設けることで、入力手段がセンサ領域150の端部に近接した場合に生じるセンサ電極130の電位変動量の低下を局所的な領域に留めることができるため、センサ領域150の端部においても検出精度を維持することができ、より正確に入力手段の座標を特定することができる。
【0053】
6.表示装置
図12の模式的展開図に示すように、上述したセンサモジュール100を含むセンサ装置と表示モジュール200と組み合わせることで、本発明の実施形態の一つに係る表示装置300を提供することができる。表示モジュール200は、映像を表示する機能を有するデバイスであり、アレイ基板202、アレイ基板202上に形成される複数の画素206、アレイ基板202上の対向基板204を基本的な構成として備える。複数の画素206を囲む矩形の最小領域は表示領域208と呼ばれる。各画素206は表示素子を備えており、色情報を提供する最小単位として機能する。表示素子としては、液晶素子をはじめ、有機電界発光素子(OLED)に例示される電界発光素子などを用いることができる。液晶素子を用いる場合には、表示モジュール200には、図示しない光源(バックライト)がさらに設けられる。各画素206は、フレキシブル印刷回路(FPC)基板などのコネクタ210を介して供給される電源と映像信号に従って動作し、映像信号に基づく階調で特定の色の光を提供する。画素206の動作を映像信号に基づいて制御することで、表示領域208上に映像を表示することができる。表示モジュール200とセンサモジュール100は、図示しない接着層などによって互いに固定される。この時、表示モジュール200による電気的影響を防ぐため、上述したノイズシールド層106を表示モジュール200とセンサモジュール100の間に設けることが好ましい。
【0054】
表示モジュール200の大きさには制約はなく、例えば12.1インチ(31cm)サイズと呼ばれる携帯通信端末などに利用される大きさでもよく、コンピュータに接続されるモニタやテレビ、サイネージなどに好適な大きさ(例えば、14.1インチ(36cm)サイズから32インチ(81cm)サイズ)でもよく、さらに大きなサイズであってもよい。
【0055】
表示装置300では、センサモジュール100は、複数のセンサ電極130の各々が複数の画素206と重なるように配置することができる。例えば
図13に示すように、鎖線で示されるセンサ領域150が点線で示される表示領域208の全体と重なるようにセンサモジュール100を配置することができる。センサ領域150と表示領域208は同一の形状を有してもよい。あるいは、センサ領域150は表示領域208よりも小さくてもよい。この場合には、センサ領域150の全体が表示領域208と重なるようにセンサ電極130が配置される。
【0056】
変形例4に示す第1のダミー電極160および/または第2のダミー電極170を設ける場合には、第1のダミー電極160および/または第2のダミー電極170が表示領域208と重ならないように表示装置300を構成することが好ましい。このように表示装置300を構成することにより、表示モジュール200による電気的影響をさらに効果的に遮蔽することができる。
【0057】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態の表示装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0058】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0059】
100:センサモジュール、102:第1の基板、104:第2の基板、106:ノイズシールド層、108:保護膜、108-1:第1の保護膜、108-2:第2の保護膜、110:第1のコネクタ、112:制御回路、114:電源回路、116:検出器、118:演算素子、120:インターフェース、122:第2のコネクタ、124:接着層、130:センサ電極、130a:開口、130b:フレーム、132:センサ配線、132-1:センサ配線、132-2:センサ配線、132a:開口、132b:フレーム、134:第1の端子、136:補助配線、140:第1のアクティブシールド配線、140a:開口、140b:フレーム、142:第2の端子、144:ダミーパターン、144a:導電膜、146:引回し配線、148:第2のアクティブシールド配線、150:センサ領域、160:第1のダミー電極、162:ダミー配線、164:端子、170:第2のダミー電極、172:ダミー配線、174:端子、176:フレームシールド配線、178:補助配線、200:表示モジュール、202:アレイ基板、204:対向基板、206:画素、208:表示領域、210:コネクタ、300:表示装置