(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169011
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】シールドコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/05 20060101AFI20241128BHJP
H01R 24/38 20110101ALI20241128BHJP
【FI】
H01R13/05 Z
H01R24/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086177
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 雅美
(72)【発明者】
【氏名】田中 真二
(72)【発明者】
【氏名】小林 豊
(72)【発明者】
【氏名】康 麗萍
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 優佑
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄之
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB59
5E223AC50
5E223BA12
5E223BA15
5E223CB22
5E223CB26
5E223CB38
5E223CC09
5E223DA42
5E223EB04
5E223EB12
5E223EB23
5E223GA08
5E223GA63
(57)【要約】
【課題】シールド性能の低下を抑制する。
【解決手段】筒状本体部24を有する第1外導体20と、周方向に間隔を空けた状態で筒状本体部24に形成された複数の接点部43,47,56と、複数の接点部43,47,56に対して径方向に接触する円筒形の第2外導体64とを備え、複数の接点部43,47,56は、径方向に弾性変形可能な複数のバネ部41,42に個別に形成された複数の可動接点部43,47と、筒状本体部24に相対変位を規制された状態で形成された固定接点部56とによって構成され、バネ部41,42は、片持ち状に延出した形状をなし、筒状本体部24に連なる基端部41R,42Rと、可動接点部43,47が形成された先端部41F,42Fとを有し、基端部41R,42Rの周方向の幅寸法は、先端部41F,42Fの周方向の幅寸法よりも大きく設定されている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状本体部を有する第1外導体と、
周方向に間隔を空けた状態で前記筒状本体部に形成された複数の接点部と、
前記複数の接点部に対して径方向に接触する円筒形の第2外導体とを備え、
前記複数の接点部は、
径方向に弾性変形可能な複数のバネ部に個別に形成された複数の可動接点部と、
前記筒状本体部に相対変位を規制された状態で形成された固定接点部とによって構成され、
前記バネ部は、片持ち状に延出した形状をなし、前記筒状本体部に連なる基端部と、前記可動接点部が形成された先端部とを有し、
前記基端部の周方向の幅寸法は、前記先端部の周方向の幅寸法よりも大きく設定されているシールドコネクタ。
【請求項2】
前記バネ部は、前記筒状本体部に形成した一対のサイドスリットによって区画されており、
周方向に隣り合う2つの前記バネ部の間に配置される前記サイドスリットの本数は、1本のみであり、
前記基端部の周方向中心と前記先端部の周方向中心とが、周方向において異なる位置に配置され、
前記筒状本体部に形成された複数本の前記サイドスリットのうち、少なくとも1本の前記サイドスリットが屈曲した形状をなしている請求項1に記載のシールドコネクタ。
【請求項3】
前記バネ部が、前記基端部と前記先端部を繋ぐ中間部を有し、
前記サイドスリットのうち前記基端部を区画する基端スリットと、前記サイドスリットのうち前記先端部を区画する先端スリットとが、前記筒状本体部の軸線と平行に延びており、
前記屈曲した形状をなしている少なくとも1本の前記サイドスリットのうち前記中間部を区画する中間スリットが、前記基端スリット及び前記先端スリットに対して鈍角をなして繋がっている請求項2に記載のシールドコネクタ。
【請求項4】
前記筒状本体部は、周方向において2つの前記バネ部の間に配置された弧状支持部を有し、
前記弧状支持部は、
前記筒状本体部の軸線方向において前記基端部と同じ領域に位置する幅狭部と、
前記幅狭部よりも周方向の幅寸法が大きく、前記軸線方向において前記先端部と同じ領域に位置する幅広部と、
前記軸線方向において前記中間部と同じ領域に位置する台形部と、を有し、
前記幅広部及び前記台形部には、前記固定接点部が配置され、
前記幅狭部には、前記幅狭部を径方向へ部分的に突出させた固定側補強部が形成され、
前記固定接点部の少なくとも一部は、周方向において前記固定側補強部の形成領域から外れた領域に配置されている請求項3に記載のシールドコネクタ。
【請求項5】
前記複数の可動接点部と前記固定接点部とが、周方向において等角度を空けて配置されている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシールドコネクタ。
【請求項6】
複数の前記接点部が、前記筒状本体部の軸心を挟んで対向する位置関係となるように配置されている請求項5に記載のシールドコネクタ。
【請求項7】
前記バネ部は、前記筒状本体部に形成した一対のサイドスリットによって区画されており、
前記可動接点部は、前記先端部の幅方向中央部を径方向へ突出させた形状であり、
前記先端部のうち前記サイドスリットに沿った側縁部は、前記可動接点部を叩き出し加工するときに接点用被保持部として機能し、
前記一対のサイドスリットのうち前記先端部を区画する一対の先端スリットが、前記筒状本体部の軸線と平行に延びている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシールドコネクタ。
【請求項8】
前記バネ部は、前記筒状本体部に形成した一対のサイドスリットによって区画されており、
前記基端部には、前記基端部の幅方向中央部を径方向へ突出させた形状の可動側補強部が形成され、
前記基端部のうち前記サイドスリットに沿った側縁部は、前記可動側補強部を叩き出し加工するときに補強用被保持部として機能し、
前記一対のサイドスリットのうち前記基端部を区画する一対の基端スリットが、前記筒状本体部の軸線と平行に延びている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシールドコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シールドコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、同軸コネクタが開示されている。このものは、同軸ケーブルの外部導体に基端部が圧着される円筒状のシェルを有している。シェルの先端部には、軸方向に延びるスリットが周方向に等間隔に並んで形成されている。シェルのうちスリットの間の部位が、弾性変形可能なバネ部として機能する。シェルを接続対象であるリセプタクルに挿入すると、複数のバネ部が、リセプタクルの内面に対して周方向において均等に弾性接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のものは、シェルとリセプタクルとの接触が、複数のバネ部のみによって行われるため、径方向の振動を受けた場合には、シェルとリセプタクルとが径方向に相対変位する。シェルとリセプタクルとが径方向に相対変位すると、バネ部とリセプタクルとの間の接触抵抗が不安定になる。
【0005】
この対策としては、シェルにおける周方向の一部に、弾性変形しない形態の複数の固定接点部を形成することが考えられる。複数の固定接点部をリセプタクルに当接させることによって、リセプタクルに対してシェルが径方向に位置決めされる。しかし、固定接点部を設けると、バネ部の数が少なくなる。バネ部の数が少なくなると、シェルとリセプタクルとの間の接点部の総数が同じであっても、複数の接点部における接触圧の総和量が低下し、シェルとリセプタクルとの間の接触抵抗の総和量が増大する。接触抵抗が増大すると、シールド性能の低下が懸念される。
【0006】
本開示のシールドコネクタは、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、シールド性能の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のシールドコネクタは、
筒状本体部を有する第1外導体と、
周方向に間隔を空けた状態で前記筒状本体部に形成された複数の接点部と、
前記複数の接点部に対して径方向に接触する円筒形の第2外導体とを備え、
前記複数の接点部は、
径方向に弾性変形可能な複数のバネ部に個別に形成された複数の可動接点部と、
前記筒状本体部に相対変位を規制された状態で形成された固定接点部とによって構成され、
前記バネ部は、片持ち状に延出した形状をなし、前記筒状本体部に連なる基端部と、前記可動接点部が形成された先端部とを有し、
前記基端部の周方向の幅寸法は、前記先端部の周方向の幅寸法よりも大きく設定されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、シールド性能の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施例1の第1コネクタを斜め上前方から視た斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す第1コネクタを斜め下前方から視た斜視図である。
【
図3】
図3は、第1コネクタと第2コネクタを嵌合した状態をあわす側断面図である。
【
図7】
図7は、接続状態の第1外導体と第2外導体を接点部において切断した正断面図である。
【
図8】
図8は、接続状態の第1外導体と第2外導体をバネ部の基端部において切断した正断面図である。
【
図9】
図9は、第1外導体を円筒形に成形する前の展開状態をあらわす平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。下記の複数の形態例を、矛盾を生じない範囲で任意に組み合わせたものも、発明を実施するための形態に含まれる。
本開示のシールドコネクタは、
(1)筒状本体部を有する第1外導体と、周方向に間隔を空けた状態で前記筒状本体部に形成された複数の接点部と、前記複数の接点部に対して径方向に接触する円筒形の第2外導体とを備え、前記複数の接点部は、径方向に弾性変形可能な複数のバネ部に個別に形成された複数の可動接点部と、前記筒状本体部に相対変位を規制された状態で形成された固定接点部とによって構成され、前記バネ部は、片持ち状に延出した形状をなし、前記筒状本体部に連なる基端部と、前記可動接点部が形成された先端部とを有し、前記基端部の周方向の幅寸法は、前記先端部の周方向の幅寸法よりも大きく設定されている。本開示のシールドコネクタは、固定接点部を設けないものに比べると、固定接点部を設けたことによってバネ部の総数が減少している。しかし、バネ部の基端部の幅寸法を先端部よりも広くしたことによって、第1外導体と第2外導体との間の接触圧の総和量を充分に確保している。これにより、両外導体間の接触抵抗の総和量が低減されるので、シールド性能の低下を抑制できる。
【0011】
(2)(1)において、前記バネ部は、前記筒状本体部に形成した一対のサイドスリットによって区画されており、周方向に隣り合う2つの前記バネ部の間に配置される前記サイドスリットの本数は、1本のみであり、前記基端部の周方向中心と前記先端部の周方向中心とが、周方向において異なる位置に配置され、前記筒状本体部に形成された複数本の前記サイドスリットのうち、少なくとも1本の前記サイドスリットが屈曲した形状をなしていることが好ましい。この構成によれば、周方向に隣り合うバネ部の間に配置された1本のサイドスリットが屈曲した形状をなし、基端部の周方向中心と先端部の周方向中心とが周方向において異なる位置に配置されているので、サイドスリットのうち周方向に隣り合う先端部の間に位置する領域の幅寸法は、拡大せずに済む。これにより、サイドスリットの開口面積が必要最小の大きさに抑えられるので、サイドスリットを通過する電磁ノイズを低減することができる。
【0012】
(3)(2)において、前記バネ部が、前記基端部と前記先端部を繋ぐ中間部を有し、前記サイドスリットのうち前記基端部を区画する基端スリットと、前記サイドスリットのうち前記先端部を区画する先端スリットとが、前記筒状本体部の軸線と平行に延びており、前記屈曲した形状をなしている少なくとも1本の前記サイドスリットのうち前記中間部を区画する中間スリットが、前記基端スリット及び前記先端スリットに対して鈍角をなして繋がっていることが好ましい。この構成によれば、中間部は、幅寸法が先端側に向かって次第に狭くなる台形をなすので、バネ部が撓んだときにバネ部に生じる応力が基端側から先端側に向かって徐々に変化する。したがって、バネ部に生じる応力が特定の部位に集中することを抑制できる。
【0013】
(4)(3)において、前記筒状本体部は、周方向において2つの前記バネ部の間に配置された弧状支持部を有し、前記弧状支持部は、前記筒状本体部の軸線方向において前記基端部と同じ領域に位置する幅狭部と、前記幅狭部よりも周方向の幅寸法が大きく、前記軸線方向において前記先端部と同じ領域に位置する幅広部と、前記軸線方向において前記中間部と同じ領域に位置する台形部と、を有し、前記幅広部及び前記台形部には、前記固定接点部が配置され、前記幅狭部には、前記幅狭部を径方向へ部分的に突出させた固定側補強部が形成され、前記固定接点部の少なくとも一部は、周方向において前記固定側補強部の形成領域から外れた領域に配置されていることが好ましい。この構成によれば、固定接点部と固定側補強部との間隔が最短となる最短直線経路の向きは、筒状本体部の軸線に対して斜め方向である。これにより、固定接点部と固定側補強部との間の最短直線経路が軸線と平行である場合に比べると、筒状本体部の軸線方向において、固定接点部と固定側補強部とを接近させて配置することができる。
【0014】
(5)(1)~(4)において、前記複数の可動接点部と前記固定接点部とが、周方向において等角度を空けて配置されていることが好ましい。第1外導体と第2外導体との間には、複数の可動接点部と固定接点部を介した複数の導電経路が形成される。上記構成によれば、複数の可動接点部と固定接点部が周方向に等角度を空けて並ぶように配置されているので、複数の導電経路における電流の大きさが均一化される。
【0015】
(6)(5)において、複数の前記接点部が、前記筒状本体部の軸心を挟んで対向する位置関係となるように配置されていることが好ましい。この構成によれば、接点部の径方向における寸法管理を行い易い。
【0016】
(7)(1)~(4)において、前記バネ部は、前記筒状本体部に形成した一対のサイドスリットによって区画されており、前記可動接点部は、前記先端部の幅方向中央部を径方向へ突出させた形状であり、前記先端部のうち前記サイドスリットに沿った側縁部は、前記可動接点部を叩き出し加工するときに接点用被保持部として機能し、前記一対のサイドスリットのうち前記先端部を区画する一対の先端スリットが、前記筒状本体部の軸線と平行に延びていることが好ましい。この構成によれば、接点用被保持部の側縁が軸線と平行をなすので、可動接点部を叩き出し加工する工程において、接点用被保持部を治具によって保持し易い。
【0017】
(8)(1)~(4)において、前記バネ部は、前記筒状本体部に形成した一対のサイドスリットによって区画されており、前記基端部には、前記基端部の幅方向中央部を径方向へ突出させた形状の可動側補強部が形成され、前記基端部のうち前記サイドスリットに沿った側縁部は、前記可動側補強部を叩き出し加工するときに補強用被保持部として機能し、前記一対のサイドスリットのうち前記基端部を区画する一対の基端スリットが、前記筒状本体部の軸線と平行に延びていることが好ましい。この構成によれば、補強用被保持部の側縁が軸線と平行をなすので、可動側補強部を叩き出し加工する工程において、補強用被保持部を治具によって保持し易い。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
[実施例1]
本開示を具体化した実施例1のシールドコネクタを、
図1~
図9を参照して説明する。本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。本実施例1において、前後の方向については、
図1~6,9におけるF方向を前方と定義する。上下の方向については、
図1~3,5,7,8におけるH方向を上方と定義する。左右の方向については、
図1,2,4,6~8におけるR方向を右方と定義する。
【0019】
シールドコネクタは、前後方向に嵌合及び離脱することが可能な第1コネクタ10と第2コネクタ60とを備えている。第1コネクタ10は、全体として前後方向に細長い形状をなす。
図3に示すように、第1コネクタ10は、第1内導体11と、第1誘電体12と、第1外導体20とを組み付けて構成されている。第1内導体11は、筒状をなす雌形の端子である。第1内導体11の後端部には、同軸ケーブル13の芯線14が接続されている。第1内導体11は、第1誘電体12の内部に収容されている。
【0020】
第1外導体20は第1誘電体12の全体を包囲する筒状の部材である。第1外導体20は、筒状をなす金属製のフロント部材21と、筒状をなす金属製のリヤ部材22とを合体させて構成されている。フロント部材21は、円筒形をなす大径部23と、大径部23よりも小径の筒状本体部24とを有する単一部品である。大径部23は、フロント部材21の後端側部位を構成する部位であり、リヤ部材22の前端部に固着されている。リヤ部材22の後端部は、同軸ケーブル13のシールド部材(図示省略)に対して導通可能に固着されている。
【0021】
筒状本体部24は、大径部23から前方へ同軸状に延出した筒状の部位であり、フロント部材21及び第1外導体20の前端側部位を構成する。筒状本体部24は、筒状支持部25と保護部26と接点構成部27とによって構成されている。筒状支持部25は、筒状本体部24の後端部を構成する筒状の部位である。保護部26は、筒状本体部24の前端部を構成する筒状の部位である。第1外導体20(筒状本体部24)を前方から視た正面視において、筒状支持部25と保護部26は円形をなす。
図8に示すように、正面視における筒状本体部24及び筒状支持部25の円の中心を、軸心28と定義する。筒状支持部25と保護部26は、正面視において軸心28を一致させるように配置されている。
【0022】
以下の説明において、軸心28を通り、且つ前後方向(両コネクタ10,60の嵌合方向と平行な方向)に延びる直線を、第1外導体20及び筒状本体部24の軸線と定義する。正面視において軸心28を中心とする円に沿った方向を、周方向と定義する。正面視において軸心28を通る直線に沿った方向を、径方向と定義する。
【0023】
接点構成部27は、軸線方向において筒状支持部25と保護部26との間に位置する部位である。接点構成部27は、後述する固定接点部56と可動接点部43,47を構成する部位である。接点構成部27には、5本のサイドスリット31,32,33と1本のエンドスリット35とが形成されている。サイドスリット31,32,33とエンドスリット35は、筒状本体部24の内周面から外周面まで貫通している。5本のサイドスリット31,32,33は、周方向に間隔を空けて配置され、全体として軸線に沿うように前後方向に延びている。エンドスリット35は、保護部26の後端に沿って周方向に延びており、5本のサイドスリット31,32,33の前端同士を連通させるように配置されている。
【0024】
5本のサイドスリット31,32,33は、1本の第1サイドスリット31と、左右対称な一対の第2サイドスリット32と、左右対称な一対の第3サイドスリット33とによって構成されている。
図7に示すように、正面視において、第1サイドスリット31は、筒状本体部24の最上端に位置し、軸線と平行に直線状に延びている。第1サイドスリット31は、第1基端スリット31Rと、第1基端スリット31Rから前方へ延びる第1中間スリット31Cと、第1中間スリット31Cから前方へ延びる第1先端スリット31Fとによって構成されている。第1基端スリット31Rの後端は筒状支持部25の前端縁に臨んでいる。第1先端スリット31Fの前端はエンドスリット35と連通している。
【0025】
一対の第2サイドスリット32は、第1サイドスリット31に対して左右両側に隣り合うように配置されている。接点構成部27を径方向に視たときに、第2サイドスリット32は僅かに屈曲した形状をなしている。
図9に示すように、第2サイドスリット32は、第2基端スリット32Rと、第2基端スリット32Rから前方へ延びる第2中間スリット32Cと、第2中間スリット32Cから前方へ延びる第2先端スリット32Fとによって構成されている。第2基端スリット32Rの後端は、筒状支持部25の前端縁に臨んでいる。第2先端スリット32Fの前端は、エンドスリット35と連通している。
【0026】
第2基端スリット32Rと第2先端スリット32Fは、筒状本体部24の軸線と平行な直線状をなす。第2中間スリット32Cは、径方向に視たときに、軸線に対して斜め方向の直線状をなす。第2スリットは、第2基端スリット32R及び第2先端スリット32Fに対して180°に近い鈍角をなして繋がっている。第2先端スリット32Fは、第2基端スリット32Rに比べると、第1サイドスリット31に近い位置に配置されている。したがって、第1基端スリット31Rと第2基端スリット32Rの周方向の間隔は、第1先端スリット31Fと第2先端スリット32Fの周方向の間隔よりも大きい。
【0027】
一対の第3サイドスリット33は、第2サイドスリット32を挟んで第1サイドスリット31とは反対側に配置されている。接点構成部27を径方向に視たときに、第3サイドスリット33は、僅かに屈曲した形状をなす。
図9に示すように、第3サイドスリット33は、第3基端スリット33Rと、第3基端スリット33Rから前方へ延びる第3中間スリット33Cと、第3中間スリット33Cから前方へ延びる第3先端スリット33Fとによって構成されている。第3基端スリット33Rの後端は、筒状支持部25の前端縁に臨んでいる。第3先端スリット33Fの前端は、エンドスリット35における周方向の端部と連通している。
【0028】
第3基端スリット33Rと第3先端スリット33Fは、筒状本体部24の軸線と平行な直線状をなす。第3中間スリット33Cは、径方向に視たときに、軸線に対して斜め方向の直線状をなす。第3スリットは、第3基端スリット33R及び第3先端スリット33Fに対して180°に近い鈍角をなして繋がっている。軸線方向に対する第3中間スリット33Cの鋭角側の傾斜角度αは、軸線方向に対する第2中間スリット32Cの鋭角側の傾斜角度βよりも大きい。
【0029】
第3先端スリット33Fは、第3基端スリット33Rに比べると、第1サイドスリット31に近い位置に配置されている。第3先端スリット33Fと第3基端スリット33Rの周方向における位置ずれ量は、第2先端スリット32Fと第2基端スリット32Rの周方向における位置ずれ量よりも大きい。したがって、第2基端スリット32Rと第3基端スリット33Rの周方向の間隔は、第2先端スリット32Fと第3先端スリット33Fの周方向の間隔よりも大きい。
【0030】
接点構成部27のうち第1サイドスリット31と一対の第2サイドスリット32とエンドスリット35とによって区画された部位は、一対の第1バネ部41を構成している。1本の第1サイドスリット31は、一対の第1バネ部41の形成に寄与しているので、2つの第1バネ部41における共用の空間である。一対の第1バネ部41は、筒状支持部25の前端から前方へ片持ち状に延出した形状である。第1バネ部41は、径方向へ変位するように弾性変形し得る部位である。
図7に示すように、正面視において、軸心28を通る上下方向の直線を、対称軸34と定義する。一対の第1バネ部41は、対称軸34に関して左右対称な形状であり、且つ対称軸34に関して左右対称に配置されている。
【0031】
第1バネ部41は、第1基端部41Rと、第1中間部41Cと、第1先端部41Fとを有する。第1基端部41Rは、筒状支持部25の前端縁から前方へ延出した部位である。第1基端部41Rの周方向の幅寸法は、第1基端部41Rの後端から前端まで一定である。第1中間部41Cは、第1基端部41Rの前端から前方へ延出した部位である。第1中間部41Cの幅寸法は、第1中間部41Cの後端から前端に向かって次第に小さくなっている。第1中間部41Cは、台形をなしている。第1先端部41Fは、第1中間部41Cの前端から前方へ延出した部位である。第1先端部41Fの前端部は、先細りの台形をなす。第1先端部41Fのうち前端部よりも方向の領域の幅寸法は、一定である。第1先端部41Fの周方向における最大幅寸法は、第1基端部41Rの幅寸法よりも小さい。第1先端部41Fの周方向中心41FCは、第1基端部41Rの周方向中心41RCよりも第1サイドスリット31側に位置している。
【0032】
一対の第1バネ部41の第1先端部41Fには、夫々、第1可動接点部43が形成されている。第1可動接点部43は、第1バネ部41に叩き出し加工を施すことによって形成された部位であり、第1バネ部41の外周面から径方向外方へ突出している。第1バネ部41が弾性変形すると、第1可動接点部43は、筒状支持部25に対して径方向へ相対変位する。第1先端部41Fのうち第1先端スリット31Fと第2先端スリット32Fに沿った側縁部は、第1可動接点部43を挟むように位置する一対の第1接点用被保持部44として機能する。
【0033】
接点構成部27には、第1可動側補強部45が形成されている。第1可動側補強部45は、第1基端部41Rと筒状支持部25の前端部とに亘る部分に叩き出し加工を施すことによって形成されている。第1可動側補強部45は、径方向外方へ突出している。径方向に視たときの第1可動側補強部45の形状は、長辺を軸線方向に向けた長方形である。第1基端部41Rのうち第1可動側補強部45の長辺、第1基端スリット31R及び第2スリットに沿った側縁部は、一対の第1補強用被保持部46として機能する。
【0034】
接点構成部27のうち第2サイドスリット32と一対の第3サイドスリット33とエンドスリット35とによって区画された部位は、一対の第2バネ部42を構成している。1本の第2サイドスリット32は、第1バネ部41と第2バネ部42の形成に寄与しているので、第1バネ部41と第2バネ部42における共用の空間である。1本の第3サイドスリット33は、第2バネ部42と後述する弧状支持部52の形成に寄与しているので、第2バネ部42と弧状支持部52における共用の空間である。一対の第2バネ部42は、筒状支持部25の前端から前方へ片持ち状に延出した形状である。第2バネ部42は、径方向へ変位するように弾性変形し得る部位である。一対の第2バネ部42は、対称軸34に関して左右対称な形状であり、且つ対称軸34に関して左右対称に配置されている。
【0035】
第2バネ部42は、第2基端部42Rと、第2中間部42Cと、第2先端部42Fとを有する。第2基端部42Rは、筒状支持部25の前端縁から前方へ延出した部位である。第2基端部42Rの幅寸法は、第2基端部42Rの後端から前端まで一定である。第2中間部42Cは、第2基端部42Rの前端から前方へ延出した部位である。第2中間部42Cの幅寸法は、第2中間部42Cの後端から前端に向かって次第に小さくなっている。第2中間部42Cは、台形をなしている。第2先端部42Fは、第2中間部42Cの前端から前方へ延出した部位である。第2先端部42Fの前端部は、先細りの台形をなす。第2先端部42Fのうち前端部よりも方向の領域の幅寸法は、一定である。
【0036】
第2先端部42Fの周方向における最大幅寸法は、第2基端部42Rの幅寸法よりも小さい。第2先端部42Fの周方向中心42FCは、第2基端部42Rの周方向中心42RCよりも第1サイドスリット31及び第2サイドスリット32側に位置している。第2先端部42Fの周方向中心42FCと第2基端部42Rの周方向中心42RCとの周方向の位置ずれ量は、第1先端部41Fの周方向中心41FCと第1基端部41Rの周方向中心41RCとの周方向の位置ずれ量よりも大きい。
【0037】
一対の第2バネ部42の第2先端部42Fには、夫々、第2可動接点部47が形成されている。第2可動接点部47は、第2バネ部42に叩き出し加工を施すことによって形成された部位であり、第2バネ部42の外周面から径方向外方へ突出している。第2バネ部42が弾性変形すると、第2可動接点部47は、弧状支持部52に対して径方向へ相対変位する。第2先端部42Fのうち第2先端スリット32Fと第3先端スリット33Fに沿った側縁部は、第2可動接点部47を挟むように位置する一対の第2接点用被保持部48として機能する。
【0038】
接点構成部27には、第2可動側補強部49が形成されている。第2可動側補強部49は、第2基端部42Rと筒状支持部25の前端部とに亘る部分に叩き出し加工を施すことによって形成されている。第2可動側補強部49は、径方向外方へ突出している。径方向に視たときの第2可動側補強部49の形状は、長辺を軸線方向に向けた長方形である。第2基端部42Rのうち、第2可動側補強部49の長辺、第2基端スリット32R及び第3スリットに沿った側縁部は、一対の第2補強用被保持部50として機能する。
【0039】
接点構成部27のうち一対の第3サイドスリット33の間の部位を、弧状支持部52と定義する。弧状支持部52は、筒状支持部25の前端縁の下端部と、保護部26の後端縁の下端部とを繋ぐ部位である。正面視において、弧状支持部52は円弧形をなす。弧状支持部52の周方向の形成範囲は、60°よりも大きい。
【0040】
弧状支持部52は、幅狭部53と、台形部54と、幅広部55とによって構成されている。幅狭部53は、筒状支持部25の前端縁から前方へ延出した部位である。幅狭部53の幅寸法は、幅狭部53の前端から後端に亘って一定である。軸線方向における幅狭部53の形成領域は、第1基端部41R、第2基端部42R、第1基端スリット31R、第2基端スリット32R及び第3基端スリット33Rと同じ領域である。
【0041】
台形部54は、幅狭部53の前端から前方へ延出した部位である。台形部54を径方向に視た形状は、等脚台形である。台形部54の幅寸法は、台形部54の後端から前端に向かって次第に小さくなっている。軸線方向における台形部54の形成領域は、第1中間部41C、第2中間部42C、第1中間スリット31C、第2中間スリット32C及び第3中間スリット33Cと同じ領域である。
【0042】
幅広部55は、台形部54の前端から前方へ延出した部位である。幅広部55の幅寸法は、幅広部55の前端から後端に至るまで一定である。軸線方向における幅広部55の形成領域は、第1先端部41F、第2先端部42F、第1先端スリット31F、第2先端スリット32F及び第3先端スリット33Fと同じ領域である。
【0043】
弧状支持部52には、対称軸34に関して左右対称な一対の固定接点部56が形成されている。一対の固定接点部56は、周方向において60°の角度をなすように配置されている。固定接点部56は、弧状支持部52に叩き出し加工を施すことによって形成された部位であり、弧状支持部52の外周面から径方向外方へ突出している。固定接点部56は、接点構成部27(筒状本体部24)に対して相対変位しない部位である。固定接点部56は、軸線方向に細長く延びた形状をなす。固定接点部56は、幅広部55と台形部54とに亘って形成されている。
【0044】
接点構成部27には、固定側補強部57が形成されている。固定側補強部57は、幅狭部53と弧状支持部52の前端部とに亘る部分に叩き出し加工を施すことによって形成されている。固定側補強部57は、径方向外方へ突出している。径方向に視たときの固定側補強部57の形状は、長辺を軸線方向に向けた長方形である。
【0045】
上記した一対の固定接点部56の少なくとも一部又は全体は、固定側補強部57の長辺に沿って前後方向に延びる両側縁よりも第3サイドスリット33側の位置に配置されている。
図9に示すように、固定接点部56と固定側補強部57との間隔が最短となる最短直線経路58は、筒状本体部24の軸線に対して斜め方向である。したがって、固定接点部56の後端と固定側補強部57の前端との間の軸線方向における最短距離に比べると、最短直線経路58は長く確保されている。最短直線経路58が長く確保されていることにより、固定接点部56や固定側補強部57を叩き出し加工する際に、治具によって弧状支持部52を支持し易くなっている。
【0046】
第2コネクタ60は、全体として前後方向に細長い形状をなす。
図3に示すように、第2コネクタ60は、第2内導体61と、第2誘電体63と、第2外導体64とを組み付けて構成されている。第2内導体61は、タブ62を有する雄形の端子である。第2内導体61には、同軸ケーブル(図示省略)の芯線(図示省略)が接続されている。第2内導体61は、第2誘電体63の内部に収容されている。
【0047】
第2外導体64は、第2誘電体63の全体を包囲する筒状の部材である。第2外導体64の先端部は、円筒形をなす嵌合部65として機能する。嵌合部65の内径は、第1バネ部41と第2バネ部42が弾性変形していない自由状態において、2つの固定接点部56と4つの可動接点部43,47とのうち少なくとも3つの接点部43,47に外接する仮想円(図示省略)の内径よりも小さい寸法に設定されている。
【0048】
第1コネクタ10と第2コネクタ60を嵌合すると、第1内導体11と第2内導体61が接続されるとともに、第2外導体64の嵌合部65が、第1外導体20の接点構成部27に外嵌される。第1外導体20と第2外導体64が嵌合すると、4つのバネ部41,42が径方向内側へ弾性変形した状態で、6つの接点部(一対の固定接点部56と一対の第1可動接点部43と一対の第2可動接点部47)が嵌合部65の内周面に接触する。このとき、4つのバネ部41,42の弾性復元力によって、嵌合部65から4つのバネ部41,42に対して径方向内向きの反力が作用する。これらの反力によって、6つの接点部43,47,56と嵌合部65とが、所定の接触圧によって接続される。
【0049】
一対の第1可動接点部43は、周方向において60°の角度をなすように配置されている。一対の第2可動接点部47は、周方向に隣り合う第1可動接点部43に対して60°の角度をなし、且つ周方向に隣り合う固定接点部56に対して60°の角度をなすように配置されている。筒状本体部24に形成されている6つの接点部43,47,56は、周方向において、60°の等角度ピッチで配置されている。
【0050】
一方、5本の基端スリット31R,32R,33Rも、6つの接点部43,47,56と同様、周方向において等角度の間隔を空けて配置されている。第1基端スリット31Rと第2基端スリット32Rの間の第1基端部41Rは、第1バネ部41が弾性変形するときの支点となる部位である。第2基端スリット32Rと第3基端スリット33Rの間の第2基端部42Rは、第2バネ部42が弾性変形するときの支点となる部位である。
【0051】
基端スリットの本数(5本)は、接点部の数(6つ)よりも少ないので、第1基端部41Rの幅寸法及び第2基端部42Rの幅寸法は、隣り合う接点部43,47,56間の周長よりも大きい。したがって、基端部41R,42Rの幅寸法が隣り合う接点部間の周長と同じ寸法であるものに比べると、本実施例1のシールドコネクタは、第1バネ部41と第2バネ部42の弾性力が大きいので、第1外導体20と第2外導体64との間の接触圧が大きい。これにより、第1外導体20と第2外導体64との間の接触抵抗が小さく抑えられるので、本実施例1のシールドコネクタは、シールド性能に優れている。
【0052】
本実施例1のシールドコネクタは、筒状本体部24を有する第1外導体20と、筒状本体部24に形成した複数の接点部43,47,56と、第2外導体64とを有する。複数の接点部43,47,56は、径方向に弾性変形可能な複数のバネ部41,42に個別に形成された4つの可動接点部43,47と、筒状本体部24に相対変位を規制された状態で形成された2つの固定接点部56とによって構成されている。複数の接点部43,47,56は、周方向に間隔を空けた状態で配置されている。第2外導体64は、円筒形をなし、複数の接点部43,47,56に対して径方向に接触する。
【0053】
第1バネ部41は、第1基端部41Rと第1先端部41Fとを有する。第1基端部41Rは、筒状支持部25に連なり、筒状支持部25から前方へ片持ち状に延出した形状をなす。第1先端部41Fには、第1可動接点部43が形成されている。第1基端部41Rの幅寸法は、第1先端部41Fの幅寸法よりも大きく設定されている。
【0054】
第2バネ部42は、第2基端部42Rと第2先端部42Fとを有する。第2基端部42Rは、筒状支持部25に連なり、筒状支持部25から前方へ片持ち状に延出した形状をなす。第2先端部42Fには、第2可動接点部47が形成されている。第2基端部42Rの幅寸法は、第2先端部42Fの幅寸法よりも大きく設定されている。
【0055】
本実施例1のシールドコネクタは、接点部の総数が実施例1と同じであって固定接点部56を設けないものに比べると、固定接点部56を設けたことによってバネ部41,42の総数が少なくなっている。しかし、バネ部41,42の基端部41R,42Rの幅寸法を先端部41F,42Fよりも広くしたことによって、第1外導体20と第2外導体64との間の接触圧の総和量を充分に確保している。これにより、両外導体20,64間の接触抵抗の総和量が低減されるので、シールド性能の低下を抑制できる。
【0056】
第1バネ部41は、筒状本体部24に形成した第1サイドスリット31と第2サイドスリット32によって区画されている。第2バネ部42は、第2サイドスリット32と第3サイドスリット33によって区画されている。周方向に隣り合う一対の第1バネ部41の間に配置される第1サイドスリット31の本数は、1本のみである。周方向に隣り合う第1バネ部41と第2バネ部42の間に配置される第2サイドスリット32の本数も、1本のみである。
【0057】
第1基端部41Rの周方向中心41RCと第1先端部41Fの周方向中心41FCは、周方向において異なる位置に配置されている。第2基端部42Rの周方向中心42RCと第2先端部42Fの周方向中心42FCとが、周方向において異なる位置に配置されている。筒状本体部24に形成された5本のサイドスリット31,32,33のうち、4本(少なくとも1本)のサイドスリット32,33が屈曲した形状をなしている。
【0058】
周方向に隣り合う第1バネ部41と第2バネ部42との間に配置された1本の第2サイドスリット32が屈曲した形状をなしている。第1基端部41Rの周方向中心41RCと第1先端部41Fの周方向中心41FCとが周方向において異なる位置に配置されているので、第2サイドスリット32のうち周方向に隣り合う第1先端部41Fと第2先端部42Fとの間に位置する第2先端スリット32Fの幅寸法を、拡大せずに済む。
【0059】
周方向に隣り合う第2バネ部42と弧状支持部52との間に配置された1本の第3サイドスリット33も屈曲した形状をなしている。第2基端部42Rの周方向中心42RCと第2先端部42Fの周方向中心42FCとが周方向において異なる位置に配置されているので、第3サイドスリット33のうち周方向に隣り合う第2先端部42Fと幅広部55との間に位置する第3先端スリット33Fの幅寸法を、拡大せずに済む。これにより、第2サイドスリット32と第3サイドスリット33の開口面積が必要最小の大きさに抑えられるので、第2サイドスリット32と第3を通過する電磁ノイズが低減される。
【0060】
第1バネ部41は、第1基端部41Rと第1先端部41Fとを繋ぐ第1中間部41Cを有する。第2バネ部42は、第2基端部42Rと第2先端部42Fとを繋ぐ第2中間部42Cを有する。第2サイドスリット32のうち第1基端部41Rと第2基端部42Rを区画する第2基端スリット32Rと、第2サイドスリット32のうち第1先端部41Fと第2先端部42Fを区画する第2先端スリット32Fは、筒状本体部24の軸線と平行に延びている。第2サイドスリット32のうち第1中間部41Cと第2中間部42Cを区画する第2中間スリット32Cは、第2基端スリット32R及び第2先端スリット32Fに対して鈍角をなして繋がっている。
【0061】
第3サイドスリット33のうち第2基端部42Rを区画する第3基端スリット33Rと、第3サイドスリット33のうち第2先端部42Fを区画する第3先端スリット33Fは、筒状本体部24の軸線と平行に延びている。第2サイドスリット32のうち第2中間部42Cを区画する第3中間スリット33Cは、第3基端スリット33R及び第3先端スリット33Fに対して鈍角をなして繋がっている。この構成によれば、第1中間部41Cは、幅寸法が先端側(前方)に向かって次第に狭くなる台形をなす。第1バネ部41が撓んだときに第1バネ部41に生じる応力は、第1基端側から第1先端側に向かって徐々に変化する。
【0062】
第2中間部42Cは、幅寸法が先端側(前方)に向かって次第に狭くなる台形をなす。第2バネ部42が撓んだときに第2バネ部42に生じる応力は、第2基端側から第2先端側に向かって徐々に変化する。第1バネ部41と第2バネ部42に生じる応力が特定の部位に集中することを抑制できる。
【0063】
筒状本体部24は、周方向において2つの第2バネ部42の間に配置された弧状支持部52を有する。弧状支持部52は、幅狭部53と幅広部55と台形部54とを有する。幅狭部53は、筒状本体部24の軸線方向において第1基端部41R及び第2基端部42Rと同じ領域に位置する。幅広部55は、幅狭部53よりも周方向の幅寸法が大きく、軸線方向において第1先端部41F及び第2先端部42Fと同じ領域に位置する。台形部54は、軸線方向において第1中間部41C及び第2中間部42Cと同じ領域に位置する。
【0064】
幅広部55及び台形部54には、固定接点部56が配置されている。幅狭部53には、幅狭部53を部分的に突出させた固定側補強部57が形成されている。固定接点部56の少なくとも一部は、固定側補強部57の軸線方向に沿った側縁に対し、周方向において固定側補強部57から離隔する方向へずれた位置に配置されている。この構成によれば、固定接点部56と固定側補強部57との間隔が最短となる最短直線経路58の向きは、筒状本体部24の軸線に対して斜め方向である。これにより、固定接点部56と固定側補強部57との間の最短直線経路58が軸線と平行である場合に比べると、筒状本体部24の軸線方向において、固定接点部56と固定側補強部57とを接近させて配置することができる。
【0065】
4つの可動接点部と2つの固定接点部56は、周方向において等角度を空けて並ぶように配置されている。第1外導体20と第2外導体64との間には、4つの可動接点部と2つの固定接点部56を介した6系統の導電経路(図示省略)が形成される。本実施例1によれば、4つの可動接点部と2つの固定接点部56が周方向に等角度を空けて並ぶように配置されているので、6系統の導電経路における電流の大きさが均一化される。6つの接点部43,47,56は、前記筒状本体部24の軸心28を挟んで対向する位置関係となるように配置されているので、接点の径方向における寸法管理を行い易い。
【0066】
第1バネ部41は、筒状本体部24に形成した第1サイドスリット31と第2サイドスリット32とによって区画されている。第1可動接点部43は、第1先端部41Fの幅方向中央部を突出させた形状である。第1先端部41Fのうち第1サイドスリット31と第2サイドスリット32に沿った側縁部は、第1可動接点部43を叩き出し加工するときに第1接点用被保持部44として機能する。第1サイドスリット31と第2サイドスリット32のうち第1先端部41Fを区画する第1先端スリット31Fと第2先端スリット32Fは、筒状本体部24の軸線と平行に延びている。第1接点用被保持部44の側縁が軸線と平行をなすので、第1可動接点部43を叩き出し加工する工程において、第1接点用被保持部44を治具(図示省略)によって保持し易くなっている。第2バネ部42にも、第1バネ部41と同様の第2接点用被保持部48が形成されている。
【0067】
第1基端部41Rには、第1基端部41Rの幅方向中央部を突出させた形状の第1可動側補強部45が形成されている。第1基端部41Rのうち第1サイドスリット31と第2サイドスリット32に沿った側縁部は、第1可動側補強部45を叩き出し加工するときに第1補強用被保持部46として機能する。第1サイドスリット31と第2サイドスリット32のうち第1基端部41Rを区画する第1基端スリット31Rと第2基端スリット32Rが、筒状本体部24の軸線と平行に延びている。第1補強用被保持部46の側縁が軸線と平行をなすので、第1可動側補強部45を叩き出し加工する工程において、第1補強用被保持部46を治具(図示省略)によって保持し易い。第2バネ部42にも、第1バネ部41と同様の第2補強用被保持部50が形成されている。
【0068】
[他の実施例]
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される。本発明には、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれ、下記の実施形態も含まれる。
周方向に隣り合う2つのバネ部の間に配置されるサイドスリットの数は、2本であってもよい。
中間スリットが、先端スリットと基端スリットに対して直角をなして繋がってしてもよい。
複数の可動接点部及び固定接点部は、周方向において等角度ではない間隔を空けて配置されていてもよい。
先端スリットは、筒状本体部の軸線に対して斜め方向に延びていてもよい。
基端スリットは、筒状本体部の軸線に対して斜め方向に延びていてもよい。
【符号の説明】
【0069】
10…第1コネクタ
11…第1内導体
12…第1誘電体
13…同軸ケーブル
14…芯線
20…第1外導体
21…フロント部材
22…リヤ部材
23…大径部
24…筒状本体部
25…筒状支持部
26…保護部
27…接点構成部
28…軸心
31…第1サイドスリット(サイドスリット)
31C…第1中間スリット(中間スリット)
31F…第1先端スリット(先端スリット)
31R…第1基端スリット(基端スリット)
32…第2サイドスリット(サイドスリット)
32C…第2中間スリット(中間スリット)
32F…第2先端スリット(先端スリット)
32R…第2基端スリット(基端スリット)
33…第3サイドスリット(サイドスリット)
33C…第3中間スリット(中間スリット)
33F…第3先端スリット(先端スリット)
33R…第3基端スリット(基端スリット)
34…対称軸
35…エンドスリット
41…第1バネ部(バネ部)
41C…第1中間部(中間部)
41F…第1先端部(先端部)
41FC…第1先端部の周方向中心
41R…第1基端部(基端部)
41RC…第1基端部の周方向中心
42…第2バネ部(バネ部)
42C…第2中間部(中間部)
42F…第2先端部(先端部)
42FC…第2先端部の周方向中心
42R…第2基端部(基端部)
42RC…第2基端部の周方向中心
43…第1可動接点部(接点部、可動接点部)
44…第1接点用被保持部(接点用被保持部)
45…第1可動側補強部(可動側補強部)
46…第1補強用被保持部(補強用被保持部)
47…第2可動接点部(接点部、可動接点部)
48…第2接点用被保持部(接点用被保持部)
49…第2可動側補強部(可動側補強部)
50…第2補強用被保持部(補強用被保持部)
52…弧状支持部
53…幅狭部
54…台形部
55…幅広部
56…固定接点部(接点部)
57…固定側補強部
58…最短直線経路
60…第2コネクタ
61…第2内導体
62…タブ
63…第2誘電体
64…第2外導体
65…嵌合部
α…軸線方向に対する第3中間スリットの鋭角側の傾斜角度
β…軸線方向に対する第2中間スリットの鋭角側の傾斜角度
【手続補正書】
【提出日】2024-09-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
台形部54は、幅狭部53の前端から前方へ延出した部位である。台形部54を径方向に視た形状は、等脚台形である。台形部54の幅寸法は、台形部54の後端から前端に向かって次第に大きくなっている。軸線方向における台形部54の形成領域は、第1中間部41C、第2中間部42C、第1中間スリット31C、第2中間スリット32C及び第3中間スリット33Cと同じ領域である。