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特開2024-169015画像入力装置および商品認識システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169015
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】画像入力装置および商品認識システム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/00 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
G07G1/00 311D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086183
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 修
【テーマコード(参考)】
3E142
【Fターム(参考)】
3E142BA01
3E142CA12
3E142EA02
3E142GA02
3E142GA50
3E142JA01
(57)【要約】
【課題】商品を認識する際に使用する認識モデルを容易かつ確実に生成することが可能な画像入力装置および商品認識システムを提供する。
【解決手段】コードスキャナ(画像入力装置)は、自身から近距離の領域を撮像して、自身に翳された商品の画像を取得するカメラ(撮像部)と、カメラの撮像範囲を照明する近距離照明(照明部)と、カメラが撮像した画像を、商品を認識するための認識モデルを生成する認識モデル作成装置に対して出力する画像送信部(画像出力部)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身から近距離の領域を撮像して、自身に翳された商品の画像を取得する撮像部と、
前記撮像部の撮像範囲を照明する照明部と、
前記撮像部が撮像した画像を、前記商品を認識するための認識モデルを生成する認識モデル作成装置に対して出力する画像出力部と、を備える、
画像入力装置。
【請求項2】
前記撮像部は、当該撮像部に翳された商品が前記照明部によって照明された際に、前記商品を適正な露出で撮像する感度を有して、
前記照明部は、少なくとも前記撮像部の露光期間内に点灯する、
請求項1に記載の画像入力装置。
【請求項3】
前記撮像部が撮像した画像に写るコードシンボルを認識するコードシンボル認識部を更に備える、
請求項1または請求項2に記載の画像入力装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像入力装置と、
前記画像入力装置から入力された商品の画像を用いて、当該商品を認識するための認識モデルを作成する認識モデル作成装置と、
前記画像入力装置から入力された商品の画像と前記認識モデル作成装置が作成した前記認識モデルとを用いて前記商品を認識する商品認識装置と、
を備える商品認識システム。
【請求項5】
前記商品認識システムは、
商品の認識を行う場合は、前記画像入力装置と前記商品認識装置とを動作させて、商品の認識モデルを作成する場合は、前記画像入力装置と前記認識モデル作成装置とを動作させる、
請求項4に記載の商品認識システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像入力装置および商品認識システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラで撮像された画像の中から、物体と物体に貼付されたバーコードとを検出することによって、当該物体を認識するための認識モデルを作成する処理装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このような従来の処理装置は、専用の載置台に載置された商品を撮像する構成を有しているが、撮像装置の具体的な内容については言及されていない。商品を撮像する際に使用する画像入力装置には、認識対象となる商品のみを鮮明に画像化する機能の実現が望まれていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、商品を認識する際に使用する認識モデルを容易かつ確実に生成することが可能な画像入力装置および商品認識システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の画像入力装置は、撮像部と、照明部と、画像出力部とを備える。撮像部は、近距離を撮像するものであって、自身に翳された商品の画像を撮像する。照明部は、撮像部の撮像範囲を照明する。画像出力部は、撮像部が撮像した画像を、商品を認識するための認識モデルを生成する認識モデル作成装置に対して出力する。
【0006】
また、実施形態の商品認識システムは、画像入力装置と、画像入力装置が入力した商品の画像を用いて、当該商品を認識するための認識モデルを作成する認識モデル作成装置と、画像入力装置から入力された商品の画像と、認識モデル作成装置が生成した認識モデルと、を用いて商品を認識する商品認識装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態の画像入力装置を用いた商品認識システムの機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
図2図2は、コードスキャナに商品が翳された様子を示す図である。
図3図3は、カメラ制御部が行う撮像処理の流れの一例を示すタイミングチャートである。
図4図4は、認識モデル作成装置が作成する認識モデルの一例を示す図である。
図5図5は、商品認識システムが行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態の認識モデル作成装置が行う認識モデル作成処理の流れの一例を示す図である。
図7図7は、実施形態のPOS端末が行う商品登録処理の流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0009】
本発明の実施形態であるコードスキャナ110を備える商品認識システム100について説明する。
【0010】
まず、図1を用いて、実施形態に係る商品認識システム100の機能構成を説明する。図1は、実施形態の画像入力装置を用いた商品認識システムの機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0011】
商品認識システム100は、コードスキャナ110と、POS端末120と、認識モデル作成装置130と、商品認識装置140とを備える。
【0012】
コードスキャナ110は、自身に翳された商品90を撮像する。また、コードスキャナ110は、撮像した商品90の画像にバーコード等のコードシンボルが写っている場合に、当該コードシンボルが含むコード化された情報を読み取る。なお、コードスキャナ110は、本開示における画像入力装置の一例である。
【0013】
コードスキャナ110は、カメラ111と、近距離照明112、113と、カメラ制御部114と、バーコード認識部115と、画像送信部116とを備える。
【0014】
カメラ111は、自身から近距離の領域を撮像して、自身に翳された商品90の画像を取得する。より具体的には、カメラ111は、コードスキャナ110の近傍の、略楕円体状の撮像範囲Pを撮像する。カメラ111は、例えば、CCDカメラやCMOSカメラである。なお、カメラ111はモノクロカメラであってもよいし、カラーカメラであってもよい。カメラ111は、本開示における撮像部の一例である。
【0015】
近距離照明112、113は、カメラ111の近傍に設置されて、カメラ111の撮像範囲Pを含む照明範囲Q,Rを照明する。近距離照明112、113は、例えばLEDである。なお、図1は、2つの近距離照明112,113が設置された例を示すが、近距離照明の数は問わない。近距離照明112、113は、本開示における照明部の一例である。
【0016】
カメラ制御部114は、カメラ111の撮像タイミングと、近距離照明112,113の点灯タイミングとを制御する。具体的には、カメラ制御部114は、カメラ111に対して撮像を行わせる。その際、カメラ制御部114は、カメラ111が撮像を行うタイミングで、近距離照明112,113を点灯させる。また、カメラ制御部114は、コードスキャナ110に商品90が翳されたかを判断する機能を備えてもよい。カメラ制御部114の機能について、詳しくは後述する(図3参照)。
【0017】
バーコード認識部115は、カメラ111が撮像した画像に写ったバーコードが含むコード化された情報(例えば商品コード)を認識する。カメラが撮像した画像に含まれるバーコードの認識は、広く一般に適用されているため、認識方法の説明は省略する。なお、バーコード認識部115の認識対象はバーコードに限定されるものではなく、例えば2次元コードを認識させてもよい。なお、バーコード認識部115は、本開示におけるコードシンボル認識部の一例である。
【0018】
画像送信部116は、カメラ111が撮像した画像を、商品90を認識するための認識モデル132を生成する認識モデル作成装置130と、商品認識装置140と、に送信する。画像送信部116は、本開示における画像出力部の一例である。
【0019】
POS端末120は、バーコード認識部115が認識した商品コード、または、商品認識装置140が認識した商品情報に対応する商品コードに基づいて商品登録を行う。また、POS端末120は、登録された商品に係る決済処理を行う。
【0020】
POS端末120は、商品登録部121と、決済処理部122と、動作指示部123と、動作制御部124と、商品情報記憶部125とを備える。
【0021】
商品登録部121は、コードスキャナ110から入力された商品コード、または、商品認識装置140が認識した商品の商品コードに対応する商品を登録する。
【0022】
決済処理部122は、商品登録部121が登録した商品に係る代金の決済処理を行う。なお、商品に係る代金は、現金払いであってもよいし、電子マネー払いやクレジットカード払いであってもよい。
【0023】
動作指示部123は、POS端末120に対する各種動作指示を行う。また、動作指示部123は、認識モデル作成装置130と商品認識装置140に対する動作指示を行う。
【0024】
動作制御部124は、操作部127でなされた操作指示を取得する。操作指示は、例えば、認識モデル132の作成指示、商品登録の実行指示等である。また、動作制御部124は、商品90の認識を行う場合は、動作指示部123に対して、商品認識装置140とコードスキャナ110とに対する動作指示を出力させる。また、動作制御部124は、商品90の認識モデルを作成する場合は、動作指示部123に対して、認識モデル作成装置130とコードスキャナ110とに対する動作指示を出力させる。
【0025】
商品情報記憶部125は、商品コードに対応する商品情報を記憶する。具体的には、商品情報記憶部125は、商品情報のマスタファイルである商品マスタを記憶する。商品マスタは、商品を一意に特定する商品コードと関連付けて、当該商品の商品名、価格、割引情報等の付加情報などを記憶する。
【0026】
また、POS端末120には、表示部126と、操作部127とが接続されている。
【0027】
表示部126は、POS端末120の各種動作状態を表示する、液晶モニタや有機ELモニタ等の表デバイスである。
【0028】
操作部127は、POS端末120に対する各種操作指示と、認識モデル作成装置130による認識モデル132の作成指示と、認識モデル132を作成する際に、コードスキャナ110に翳される商品名の提示、いわゆる教師情報の提示とを行う。操作部127は、タッチパネルやキーボード等の操作デバイスである。
【0029】
認識モデル作成装置130は、カメラ111が撮像した商品90の画像から、商品90を認識するための認識モデル132を作成する装置である。
【0030】
認識モデル作成装置130は、認識モデル作成部131と、認識モデル132とを備える。
【0031】
認識モデル作成部131は、カメラ111が撮像した商品90の画像と、当該商品90がどのような商品であるかを示す教師情報とから、認識モデル132の作成と強化を行う。より具体的には、認識モデル作成部131は、商品90を様々な方向から撮像した画像を用いて、認識モデル132を強化する学習を行う。
【0032】
認識モデル132は、認識モデル作成部131が作成した、商品90を認識するためのモデルである。認識モデル132は、例えば、多層構造にニューラルネットワークで表現されて、当該ニューラルネットワークの内部に、商品90を認識するための複数の内部信号の入出力関係が記述されている。なお、認識モデル132について、詳細は後述する(図4参照)。
【0033】
商品認識装置140は、認識モデル132を用いて、カメラ111が撮像した商品90を認識する装置である。
【0034】
商品認識装置140は、商品認識部141を備える。
【0035】
商品認識部141は、カメラ111が撮像した、認識対象である商品90の画像を、認識モデル132に入力する。そして、商品認識部141は、認識モデル132が出力する、商品らしさを表す数値に基づいて、カメラ111が撮像した画像が、商品マスタに登録されたいずれの商品であるかを認識する。特に、本実施形態の商品認識システム100は、コードスキャナ110で撮像した商品90の画像に基づいて認識モデル作成装置130が作成した認識モデル132を用いて、商品認識装置140が、同じコードスキャナ110で撮像された未知の商品90を認識する。したがって、商品認識装置140が、別のカメラで撮像された画像に写る商品90を認識する場合と比べて、認識の精度を向上させることができる。
【0036】
なお、図1に示す機能構成は一例であって、各装置が有する機能部位は、異なる装置間で適宜入れ替えられてもよい。
【0037】
次に、図2を用いて、コードスキャナ110によって商品90を撮像する様子を説明する。図2は、コードスキャナに商品が翳された様子を示す図である。
【0038】
図2に示すように、カメラ111は、撮影範囲に翳された商品90、具体的には、図2におけるZ軸方向において、カメラ111に近接した商品90を撮像する。なお、コードスキャナ110のカメラ制御部114は、商品90が翳されたことを検知する機能を備えて、商品90が翳されたときにカメラ111に撮像を行わせるのが望ましい。具体的には、カメラ制御部114は、カメラ111での撮像を繰り返して行わせて、撮像された画像に急激な明るさの変化が観測された場合に、商品90が翳されたと判断して、カメラ111に撮像を行わせる。また、カメラ制御部114は、カメラ111の撮像範囲Pに向けて超音波を送信して、超音波センサが、撮像範囲Pの内部に物体が侵入したことを検知した場合に、カメラ111に撮像を行わせてもよい。
【0039】
なお、カメラ111で撮像した画像に商品90以外の背景が写り込むのを防止するために、カメラ111が備える撮像素子の感度は低く設定される。より具体的には、カメラ111の感度は、撮像範囲Pに翳された商品90が、近距離照明112の照明光または近距離照明113の照明光によって照明された際に、商品90が適正な露出で撮像されるように調整される。また、カメラ111が備える光学系の合焦範囲は、撮像範囲Pの奥行範囲にと合致するように調整される。これによって、カメラ111に撮像された撮像範囲Pの外部は、大きくぼけた状態で画像化されるため、カメラ111に翳された商品90のみが鮮明に画像化される。
【0040】
次に、図3を用いて、カメラ制御部114が行う撮像処理について説明する。図3は、カメラ制御部が行う撮像処理の流れの一例を示すタイミングチャートである。
【0041】
カメラ制御部114は、カメラ111と近距離照明112、近距離照明113に対して、撮像タイミングを指示する撮像指示信号を出力する。撮像指示信号は、正パルス列を含む信号である。
【0042】
カメラ111は、撮像指示信号のパルスの立ち上がりを検出すると、カメラ111のシャッタを開いて撮像を行う。カメラ111のシャッタは、予め設定された露光時間tが経過した後に閉じる。即ち、カメラ111は、露光時間tに亘って、撮像素子に露光を行う。
【0043】
一方、近距離照明112と近距離照明113は、撮像指示信号のパルスの立ち上がりを検出すると、照明を点灯させる。点灯した照明は、予め設定された点灯時間iが経過した際に消灯する。ここで、点灯時間iは、カメラ111の露光時間tよりも短くなるように設定される。このように、近距離照明112と近距離照明113の点灯時間を、カメラ111のシャッタが開いている時間よりも短くすることによって、低消費電力化を図ることができる。
【0044】
次に、図4を用いて、認識モデル作成装置130が作成する認識モデル132の内容を説明する。図4は、認識モデル作成装置が作成する認識モデルの一例を示す図である。
【0045】
図4は、作成された認識モデル132の一部分の構造を示すものである。特に、図4は、カメラ111が撮像した商品90の画像から、商品90が、商品Aであるかを認識するモデルの一例である。
【0046】
認識モデル作成装置130は、カメラ111が撮像した商品90の複数の画像と、商品90が商品Aであることを示す情報、いわゆる教師情報とを与えることによって、商品Aを認識する認識モデルを作成する。
【0047】
図4に示す例は、入力層と中間層と出力層とを有する3層のニューラルネットワークで記述された、商品Aを認識するモデルの一例である。ニューラルネットワークは、人間の神経回路網を模した数理モデルである。なお、ニューラルネットワークの層数は3層に限定されるものではなく、中間層を複数備えたニューラルネットワークであってもよい。
【0048】
入力層を構成する複数のユニットは、カメラ111が撮像した画像から複数の特徴量a,b,…,nをそれぞれ検出する。特徴量a,b,…,nは、商品90を含む画像から検出する予め設定された特徴量である。特徴量a,b,…,nは、具体的には、画像の明るさに係る特徴量、物体の形状に係る特徴量、画像の色に係る特徴量等である。
【0049】
なお、認識モデル132は、複数の商品の認識モデルを備えるが、特徴量a,b,…,nは、全ての商品の認識モデルに対して共通に設定される。
【0050】
入力層における各ユニットの出力には、それぞれ異なる重み係数で重み付けがなされて、中間層に入力される。
【0051】
中間層では、重み付けされた各ユニットの出力の総和が演算される。
【0052】
例えば、中間層を形成する第1のユニットでは、式(1)に基づいて、評価値Eaが算出される。
【0053】
Ea=wa*a+wb*b+…+wn*n…(1)
【0054】
式(1)において、wa,wb,…,wnは、入力層の出力に付される重み係数である。また、式(1)において、a,b,…,nは、入力層で算出された特徴量である。そして、中間層の別のユニットでも、同様にして、評価値Eb,Ec,…,Enが算出される。なお、中間層を形成するユニットによって、重み係数wa,wb,…,wnには、それぞれ異なる値が設定される。
【0055】
中間層で算出されたn個の評価値Ea,Eb,…,Enは、それぞれ異なる重み係数で重み付けがなされて、出力層に出力される。
【0056】
出力層では、式(2)に基づいて、商品Aらしさを表す評価値Kを算出する。
【0057】
K=ua*Ea+ub*Eb+…+un*En…(2)
【0058】
式(2)において、ua,ub,…,unは、中間層の各ユニットの出力に付される重み係数である。また、式(2)における、Ea,Eb,…,Enは、前述した評価値である。
【0059】
認識モデル作成装置130は、カメラ111が撮像した商品90の複数の画像を取得する毎に学習を繰り返す。そして、認識モデル作成装置130は、学習を行う毎に、前述した重み係数wa,wb,…,wnと、重み係数ua,ub,…,unを逐次更新することによって、認識モデルを強化する。
【0060】
次に、図5を用いて、商品認識システム100が行う処理の流れを説明する。図5は、商品認識システムが行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0061】
POS端末120の動作制御部124は、認識モデル132の作成が指示されたかを判定する(ステップS1)。認識モデル132の作成が指示されたと判定される(ステップS1:Yes)とステップS2に進む。一方、認識モデル132の作成が指示されたと判定されない(ステップS1:No)とステップS3に進む。なお、POS端末120の動作制御部124は、操作部127に対する操作指示の内容に基づいて、認識モデル132の作成が指示されたかを判定する。
【0062】
ステップS1において、認識モデル132の作成が指示されたと判定されると、POS端末120の動作制御部124は、コードスキャナ110と認識モデル作成装置130とに対して、認識モデル132の作成処理を行わせる(ステップS2)。認識モデルの作成処理の詳細な流れは後述する(図6参照)。その後、商品認識システム100は、図5の処理を終了する。
【0063】
一方、ステップS1において、認識モデル132の作成が指示されたと判定されないと、POS端末120の動作制御部124は、商品登録の実行が指示されたかを判定する(ステップS3)。商品登録の実行が指示されたと判定される(ステップS3:Yes)とステップS4に進む。一方、商品登録の実行が指示されたと判定されない(ステップS3:No)と、商品認識システム100は、図5の処理を終了する。なお、POS端末120の動作制御部124は、操作部127に対する操作指示の内容に基づいて、商品登録の実行が指示されたかを判定する。
【0064】
ステップS3において、商品登録の実行が指示されたと判定されると、POS端末120は、コードスキャナ110と商品認識装置140と協働して、商品登録処理を行う(ステップS4)。商品登録処理の詳細な流れは後述する(図7参照)。
【0065】
続いて、POS端末120は、登録された商品に係る決済処理を行う(ステップS5)。その後、商品認識システム100は、図5の処理を終了する。
【0066】
次に、図6を用いて、認識モデル作成処理の流れを説明する。図6は、実施形態の認識モデル作成装置が行う認識モデル作成処理の流れの一例を示す図である。
【0067】
認識モデル作成部131は、POS端末120の操作部127から、コードスキャナ110に翳される商品名等の商品識別情報を取得する(ステップS11)。
【0068】
コードスキャナ110のカメラ制御部114は、コードスキャナ110に商品90が翳されたかを判定する(ステップS12)。コードスキャナ110に商品90が翳されたと判定される(ステップS12:Yes)とステップS13に進む。一方、コードスキャナ110に商品90が翳されたと判定されない(ステップS12:No)と、ステップS12の判定を繰り返す。
【0069】
ステップS12において、コードスキャナ110に商品90が翳されたと判定されると、コードスキャナ110のカメラ制御部114は、カメラ111に撮像を行わせる(ステップS13)。なお、このとき、カメラ制御部114は、カメラ111が撮像を行うタイミングで、近距離照明112,113を点灯させる。
【0070】
認識モデル作成装置130の認識モデル作成部131は、ステップS13で撮像された商品90の画像を、その時点において作成されている商品90に対応する商品の認識モデル132に適用させることによって、商品90に対応する商品の認識モデル132を更新する(ステップS14)。
【0071】
POS端末120の動作制御部124は、操作部127から、認識モデル132の作成処理の終了が指示されたかを判定する(ステップS15)。認識モデル132の作成処理の終了が指示されたと判定される(ステップS15:Yes)と、商品認識システム100は、図6の処理を終了する。一方、認識モデル132の作成処理の終了が指示されたと判定されない(ステップS15:No)と、ステップS12に戻って、認識モデル132の作成を繰り返す。
【0072】
次に、図7を用いて、商品登録処理の流れを説明する。図7は、実施形態のPOS端末が行う商品登録処理の流れの一例を示す図である。
【0073】
コードスキャナ110のカメラ制御部114は、コードスキャナ110に商品90が翳されたかを判定する(ステップS21)。コードスキャナ110に商品90が翳されたと判定される(ステップS21:Yes)とステップS22に進む。一方、コードスキャナ110に商品90が翳されたと判定されない(ステップS21:No)と、ステップS21の判定を繰り返す。
【0074】
ステップS21において、コードスキャナ110に商品90が翳されたと判定されると、コードスキャナ110のカメラ制御部114は、カメラ111に撮像を行わせる(ステップS22)。なお、このとき、カメラ制御部114は、カメラ111が撮像を行うタイミングで、近距離照明112,113を点灯させる。
【0075】
コードスキャナ110のバーコード認識部115は、カメラ111が撮像した画像に中からコードシンボルの認識を行う(ステップS23)。
【0076】
続いて、バーコード認識部115は、コードシンボルを認識したかを判定する(ステップS24)。コードシンボルが認識されたと判定される(ステップS24:Yes)とステップS25に進む。一方、コードシンボルが認識されたと判定されない(ステップS24:No)とステップS26に進む。
【0077】
ステップS24において、コードシンボルが認識されたと判定されると、POS端末120の商品登録部121は、認識されたコードシンボルに基づいて、コードスキャナ110に翳された商品90を特定する(ステップS25)。その後、ステップS27に進む。
【0078】
一方、ステップS24において、コードシンボルが認識されたと判定されないと、商品認識装置140の商品認識部141は、認識モデル132に基づいて、コードスキャナ110に翳された商品90を特定する(ステップS26)。その後、ステップS27に進む。
【0079】
ステップS25またはステップS26に続いて、POS端末120の商品登録部121は、認識された商品を登録する(ステップS27)。
【0080】
POS端末120の動作制御部124は、操作部127から、登録終了が指示されたかを判定する(ステップS28)。登録終了が指示されたと判定される(ステップS28:Yes)と、商品認識システム100は、図7の処理を終了する。一方、登録終了が指示されたと判定されない(ステップS28:No)と、ステップS21に戻って、別の商品の登録を繰り返す。
【0081】
以上説明したように、実施形態のコードスキャナ110(画像入力装置)は、自身から近距離の領域を撮像して、自身に翳された商品90の画像を取得するカメラ111(撮像部)と、カメラ111の撮像範囲を照明する近距離照明112、113(照明部)と、カメラ111が撮像した画像を、商品90を認識するための認識モデル132を生成する認識モデル作成装置130に対して出力する画像送信部116(画像出力部)と、を備える。したがって、商品90を認識する際に使用する認識モデル132を容易かつ確実に生成することができる。
【0082】
また、実施形態のコードスキャナ110(画像入力装置)において、カメラ111(撮像部)は、当該カメラ111に翳された商品90が近距離照明112、113(照明部)によって照明された際に、商品90を適正な露出で撮像する感度を有して、近距離照明112、113は、少なくともカメラ111の露光期間内に点灯する。したがって、コードスキャナ110に近接した撮像範囲Pに翳された商品90のみを鮮明に画像化することができるため、認識モデル132の作成に適した画像を得ることができる。
【0083】
また、実施形態のコードスキャナ110(画像入力装置)は、カメラ111(撮像部)が撮像した画像に写るコードシンボルを認識するバーコード認識部115(コードシンボル認識部)を更に備える。したがって、コードスキャナ110を、認識モデル作成装置130での認識モデル132の作成に流用することができる。
【0084】
また、実施形態の商品認識システム100は、コードスキャナ110(画像入力装置)と、コードスキャナ110から入力された商品90の画像を用いて、当該商品90を認識するための認識モデル132を作成する認識モデル作成装置130と、コードスキャナ110から入力された商品90の画像と認識モデル作成装置130が作成した認識モデル132とを用いて、商品90を認識する商品認識装置140と、を備える。したがって、認識モデル132の作成と、当該認識モデル132を用いた商品90の認識とを、同じ装置で実行することができる。これによって、より高い精度で商品90の認識を行うことができる。
【0085】
また、実施形態の商品認識システム100は、商品90の認識を行う場合は、コードスキャナ110(画像入力装置)と商品認識装置140とを動作させて、商品90の認識モデル132を作成する場合は、コードスキャナ110と認識モデル作成装置130とを動作させる。したがって、認識モデル作成装置130による認識モデル132の作成と、商品認識装置140による商品90の認識と、を簡単に切り替えて使用することができる。
【0086】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例示であり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
100 商品認識システム
110 コードスキャナ(画像入力装置)
111 カメラ(撮像部)
112,113 近距離照明(照明部)
114 カメラ制御部
115 バーコード認識部(コードシンボル認識部)
116 画像送信部(画像出力部)
120 POS端末
121 商品登録部
122 決済処理部
123 動作指示部
124 動作制御部
125 商品情報記憶部
130 認識モデル作成装置
131 認識モデル作成部
132 認識モデル
140 商品認識装置
141 商品認識部
P 撮像範囲
Q,R 照明範囲
i 点灯時間
t 露光時間
【先行技術文献】
【特許文献】
【0088】
【特許文献1】国際公開2020/170963号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7