(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169016
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】頭部装着型表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20241128BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20241128BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02F1/1335 505
H04N5/64 511A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086184
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】児玉 拓海
【テーマコード(参考)】
2H199
2H291
【Fターム(参考)】
2H199CA12
2H199CA23
2H199CA25
2H199CA42
2H199CA47
2H199CA48
2H199CA50
2H199CA54
2H199CA86
2H199CA94
2H291FA02X
2H291FA14X
2H291LA21
2H291MA02
(57)【要約】
【課題】液晶パネルを備える頭部装着型表示装置において、ペンタイル画素構造において、映像品位を向上させる。
【解決手段】本発明の頭部装着型表示装置は、第1色のサブ画素及び第2色のサブ画素を有する第1画素と、第1色のサブ画素及び第3色のサブ画素を有し、第1画素と隣り合う第2画素と、を有する第1表示パネルと、第1色のサブ画素及び第2色のサブ画素を有する第3画素と、第1色のサブ画素及び第3色のサブ画素を有し、第3画素と隣り合う第4画素と、を有する第2表示パネルと、第1表示パネルからの第1画像光を投射するための第1光学系と、第2表示パネルからの第2画像光を投射するための第2光学系と、を備える。第1表示パネルにおける表示画素の第1列第1行は、第1画素である。第2表示パネルにおける表示画素の第1列第1行は、第4画素である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1色のサブ画素及び第2色のサブ画素を有する第1画素と、第1色のサブ画素及び第3色のサブ画素を有し、前記第1画素と隣り合う第2画素と、を含む複数の画素が行列状に配置された第1表示パネルと、
第1色のサブ画素及び第2色のサブ画素を有する第3画素と、第1色のサブ画素及び第3色のサブ画素を有し、前記第3画素と隣り合う第4画素と、を含む複数の画素が行列状に配置された第2表示パネルと、
前記第1表示パネルからの第1画像光を投射するための第1光学系と、
前記第2表示パネルからの第2画像光を投射するための第2光学系と、
を備え、
前記第1表示パネルにおける表示画素の第1列第1行は、第1画素であり、
前記第2表示パネルにおける表示画素の第1列第1行は、第4画素である、
頭部装着型表示装置。
【請求項2】
前記第1表示パネル及び前記第2表示パネルは、互いに同じペンタイル画素構造を有する、
請求項1に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項3】
前記第1表示パネル又は前記第2表示パネルは、発光しない冗長画素列又は冗長画素行を有する、
請求項1又は2に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項4】
前記第1表示パネル及び前記第2表示パネルに対し、入射光の光軸に沿った方向からの平面視において、前記第1色のサブ画素は、前記第2色のサブ画素及び第3色のサブ画素よりも小さい、
請求項1又は2に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項5】
前記第2表示パネルにおいて、前段に配置されているカラーフィルター及びサブ画素電極に対応する光学素子は、入射光の進行方向に沿って見て前記カラーフィルターと重なる領域において入射光を集光し、入射光の進行方向に沿って見て前記カラーフィルターと重ならない領域において正のパワーを有する、
請求項1又は2に記載の頭部装着型表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部装着型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、色光から当該色の画像光を生成する光変調装置として液晶パネルを備える頭部装着型表示装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、画素配列構造の画素アレイを備える電気光学装置が開示されている。特許文献1の電気光学装置では、視感度が最も高い第1色のサブ画素と第1色とは異なる第2色のサブ画素と視感度が最も低い第3色のサブ画素とがマトリックス状に配置されている。第1色のサブ画素と第2色のサブ画素とが交互に配列される行と、第1色のサブ画素と第3色のサブ画素とが交互に配列される行とが交互に配列されている。第1色のサブ画素と第2色のサブ画素とが交互に配列される列と、第1色のサブ画素と第3色のサブ画素とが交互に配列される列とが交互に配列されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に開示されている電気光学装置では、単位画素内に赤色/緑色又は青色/緑色の2種類の発光画素、すなわちサブ画素をマトリクス配置している所謂ペンタイル構造が用いられている。ペンタイル構造は、画素内にRGBの3原色に対応するサブ画素を持つ画素に比べて各画素の発光色が1色分少ないことで映像品位が低下する場合があった。前述の映像品位の低下は、例えば携帯端末装置等の映像を直視するときだけではなく、ヘッドマウントディスプレイ等のように光学系を通して映像を視るときにも発生する。そのため、液晶パネル等の電気光学装置を備える頭部装着型表示装置において、映像品位を向上させる対策が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様の頭部装着型表示装置は、第1色のサブ画素及び第2色のサブ画素を有する第1画素と、第1色のサブ画素及び第3色のサブ画素を有し、第1画素と隣り合う第2画素と、を含む複数の画素が行列状に配置された第1表示パネルと、第1色のサブ画素及び第2色のサブ画素を有する第3画素と、第1色のサブ画素及び第3色のサブ画素を有し、第3画素と隣り合う第4画素と、を含む複数の画素が行列状に配置された第2表示パネルと、第1表示パネルからの第1画像光を投射するための第1光学系と、第2表示パネルからの第2画像光を投射するための第2光学系と、を備える。第1表示パネルにおける表示画素の第1列第1行は、第1画素である。第2表示パネルにおける表示画素の第1列第1行は、第4画素である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】観察者が本発明の第1実施形態の頭部装着型表示装置を装着した状態を示す概略図である。
【
図3】
図1の頭部装着型表示装置の左眼用画像表示部の概略図である。
【
図4】
図3の左眼用画像表示部の画像表示パネルの正面図である。
【
図5】
図1の頭部装着型表示装置の右眼用画像表示部の画像表示パネルの正面図である。
【
図6】
図1の頭部装着型表示装置が用いられたときの左眼及び右眼の視聴イメージを説明するための概略図である。
【
図7】第2実施形態の頭部装着型表示装置の右眼用画像表示部の画像表示パネルの正面図である。
【
図8】第2実施形態の頭部装着型表示装置が用いられたときの左眼及び右眼の視聴イメージを説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。各図面では、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を変えている場合がある。
【0009】
[第1実施形態]
先ず、本発明の第1実施形態について、
図1から
図6を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の頭部装着型表示装置100の概略図である。
図2は、頭部装着型表示装置100は、例えば、観察者Mが眼鏡を掛ける感覚で頭部に装着して使用される装置である。
【0010】
頭部装着型表示装置100は、眼鏡に類似した形状を有する表示部111と、観察者Mが手で持つことが可能な程度の形状及び大きさを有する不図示の制御装置と、を備える。表示部111と制御装置とは、有線又は無線で通信可能に接続され、例えば、ケーブル150によって接続されている。具体的には、表示部111を構成する左眼用画像表示部111A及び右眼用画像表示部111Bの各々と制御装置とは、ケーブル150を介して有線で通信可能に接続されている。左眼用画像表示部111A及び右眼用画像表示部111Bの各々と制御装置との間で、画像信号や制御信号が通信される。
【0011】
表示部111は、メインフレーム120と、左眼用画像表示部111Aと、右眼用画像表示部111Bと、を備える。メインフレーム120は、観察者Mが耳に掛けるための一対のテンプル部122A,122Bを備える。メインフレーム120は、左眼用画像表示部111Aと、右眼用画像表示部111Bと、を支持する部材である。
【0012】
右眼用画像表示部111Bと左眼用画像表示部111Aとは、同様の構成を有しており、双方の表示部111内の各構成要素は左右対称に配置されている。そのため、以下では、左眼用画像表示部111Aについて詳細に説明し、右眼用画像表示部111Bの説明を省略する。
【0013】
図示していないが、制御装置は、表示画面部と、操作ボタン部と、を備える。表示画面部は、例えば、観察者Mに提示する各種の情報や指示等を表示する。
【0014】
以下、図面においてXYZ座標系を用いる。X軸は、観察者Mの前後方向に相当する。Y軸は、観察者Mの左右方向に相当する。Z軸は、X軸及びY軸に直交する方向であり、観察者Mの上下方向に相当する。本実施形態において、Y軸に沿って一方側に向く方向を+Y方向とし、他方側に向く方向を-Y方向とする。X軸に沿って一方側に向く方向を+X方向とし、他方側に向く方向を-X方向とする。
【0015】
図3は、左眼用画像表示部111Aの概略図である。
図3に示すように、左眼用画像表示部111Aは、画像表示パネル11と、投射レンズ15と、導光部材20と、を有する。
【0016】
画像表示パネル11は、液晶パネル、有機EL(Electro Luminescence)パネル等の画像表示デバイスによって構成され、本実施形態では例えば、液晶パネルである。画像表示パネル11については、後述する。
【0017】
投射レンズ15は、画像表示パネル11が表示する画像光Gを導光部材20の入射部22に投射する。投射レンズ15は、正のパワーを有し、例えば両凸レンズである。投射レンズ15は、光学ガラス又はプラスチック等のように透光性を有する材料から形成されている。なお、投射レンズ15は、1枚のレンズから構成されている場合に限らず、複数枚のレンズによって構成されていてもよい。
【0018】
導光部材20は、入射部22と、導光体21と、光射出部31と、を有する。
【0019】
入射部22は光透過性を有する材料からなる三角プリズム状の導光部材である。入射部22は、投射レンズ15からの画像光Gが入射する入射面22aと、入射する画像光Gを反射して導光体21内に導く反射面22bと、を有する。反射面22bには、不図示のアルミ蒸着膜が形成されている。反射面22bは、入射する画像光Gを反射し、画像光Gの光路を導光体21側に向ける。画像光Gは、入射部22から導光体21へと入射する。なお、反射面22bには、アルミ蒸着膜に替えて、銀膜や、銀膜と誘電体多層膜との積層膜が形成されていてもよい。銀膜と誘電体多層膜との積層膜によって、反射率を異ならせ、画像光Gの色のバランスがとられていてもよい。
【0020】
導光体21は、光透過性を有する材料からなる板状の導光部材である。導光体21及び入射部22の屈折率は、互いに略等しい。導光体21及び入射部22は、例えば光学ガラスで形成されている。
【0021】
導光体21は、観察者MのY軸に沿って延びる板状部材からなる。具体的には、導光体21は、射出瞳SMの中心を通る光軸AXに対して僅かに傾けて配置されている。射出瞳SMは、観察者Mが頭部装着型表示装置100を装着した際に、観察者Mの眼MEが置かれる位置である。射出瞳SMの中心を通る軸は、光軸AXとして設定されている。導光体21は、観察者Mの-Y方向側に向かって-X方向側に、すなわち顔に近づくように、傾斜している。導光体21は、観察者Mの顔の曲線に沿って形成されている。
【0022】
導光体21は、互いに平行な一対の第1面21a及び第2面21bを有する。第1面21a及び第2面21bは、外界像に関して拡大やフォーカスズレを生じさせない。第1面21a及び第2面21bは、内部を伝播する画像光Gを全反射させる全反射面として作用し、画像光Gを光射出部31に導く。第2面21bは、反射面22bに連続する平面をなす。
【0023】
導光体21に入射する画像光Gは、第1面21aに入射することによって全反射される。画像光Gは、第2面21bに入射して全反射される。画像光Gは、第1面21a及び第2面21b間で1回以上全反射されることで入射部22から離間する方向に伝搬し、光射出部31に到達する。
【0024】
光射出部31は、導光体21の第1面21aに設けられている。光射出部31は、導光体21内を伝搬する画像光Gを射出瞳SMに向けて射出する。射出瞳SMは、導光体21の第1面21a側に位置する。光射出部31は、導光体21の第1面21aに光学的に接着されている。光射出部31は、導光体21の第1面21aに沿ってY方向に延びる板状部材によって構成されている。
【0025】
光射出部31は、透明部材36と、複数のハーフミラー38とを有する。複数のハーフミラー38は、透明部材36内に埋設されている。透明部材36の屈折率は、導光体21の屈折率と略等しい。このことによって、光射出部31と導光体21との界面における画像光Gの反射が低減される。
【0026】
複数のハーフミラー38の長手方向は、Z軸に沿っている。複数のハーフミラー38は、透明部材36内でY軸にいて所定のピッチで配置されている。複数のハーフミラー38は、互いに平行に配置されている。複数のハーフミラー38は、第1面21aに対して同一の傾斜角度をなすように配置されている。各々のハーフミラー38は、導光体21の第1面21aに対して近い側の端部38fが導光体21の第1面21aに対して遠い側の端部38rよりも入射部22側、すなわち-Y方向側に近く配置されるように、傾いた状態で配置されている。
【0027】
光射出部31において、Y軸の-Y方向側の第1端面33及び+Y方向側の第2端面34とハーフミラー38とは、互いに平行に配置されている。光射出部31は、導光体21の第2面21b側から第1面21a側に入射する光を透過し、射出瞳SMに入射させる。観察者Mは、光射出部31及び導光部材20を介して外界像をシースルー光SLとして観察することができる。
【0028】
左眼用画像表示部111Aでは、画像表示パネル11から射出される画像光Gは、投射レンズ15に入射する。投射レンズ15を通る画像光Gは、入射部22の入射面22aから導光部材20に入射した後、反射面22bで反射され、導光体21の内部を通過し、光射出部31に到達する。画像光Gが光射出部31に入射する角度は、入射部22から離れるに従って大きくなる。つまり、光射出部31の入射部22から相対的に遠い+Y方向側の位置には、光軸AXに対して平面視での傾斜角度の大きな画像光Gが入射する。画像光Gは、光射出部31に対して入射部22から相対的に遠い+Y方向側から入射する程、ハーフミラー38によって相対的に小さな角度で反射される。一方、光射出部31の入射部22に相対的に近い-Y方向側では、光軸AXに対して傾斜角度の小さな画像光Gが入射し、ハーフミラー38によって相対的に大きな角度で反射される。
【0029】
光射出部31に入射する画像光Gが設計された所定の角度で屈折及び伝搬することによって、画像光Gが射出瞳SMに向けて取り出し可能な状態となり、最終的に射出瞳SMに位置する観察者Mの眼MEに入射する。光射出部31から射出された画像光Gは、虚像光として観察者Mの眼MEに入射し、虚像光が観察者Mの網膜において結像する。このことによって、観察者Mは虚像による映像を認識することができる。
【0030】
次に、頭部装着型表示装置100が備える画像表示パネル11について、説明する。
図4は、頭部装着型表示装置100の左眼用画像表示部111Aが画像表示パネル11として備える画像表示パネル11Aの概略図である。
図4は、画像表示パネル11Aを画像光Gの光軸AXに沿って正面視した場合の図である。
【0031】
図4に示すように、画像表示パネル11Aは、複数の画素200を有する。複数の画素200は、光軸AXに直交する面において、n行m列のマトリックス状に配置されている。nは、2以上の任意の自然数である。mは、2以上の任意の自然数であり、nに依存しない。光軸AXに直交し、Z軸に直交する軸を、D1軸とする。D1軸において、一方側を+D1側と記載し、他方側を-D1側と記載される場合がある。光軸及びD1軸に直交する軸を、D2軸とする。D2軸において、一方側を+D2側と記載し、他方側を-D2側と記載される場合がある。
【0032】
画像表示パネル11Aの各々の画素200には、赤色の画像光Gを発する赤色サブ画素201Rと、緑色の画像光Gを発する緑色サブ画素201Gと、青色の画像光Gを発する青色サブ画素201Bの少なくとも何れか2色のサブ画素が含まれる。D1軸及びD2軸を含む面内で、各色のサブ画素同士の間には、不図示のブラックマトリックス領域が設けられている。
【0033】
本実施形態では、画像表示パネル11Aの画素200の各色のサブ画素は、例えばペンタイル方式で配置されている。光軸AXにおいて画像表示パネル11Aの投射レンズ15に対向する側とは反対側から見たときに、画像表示パネル11Aの複数の行LE1~LEnのうちで奇数行LE1,LE3,・・・の各行には、-D1側から+D1側に向かって、赤色サブ画素201R及び緑色サブ画素201Gを含む画素200と、青色サブ画素201B及び緑色サブ画素201Gを含む画素200と、が前述の順に交互に配置されている。画像表示パネル11Aの奇数行LEjの赤色サブ画素201Rを含む画素200は、D1軸において、-D1側の赤色サブ画素201Rと+D1側の緑色サブ画素201Gとに区画されている。jは、1以上n以下の奇数を表す。赤色サブ画素201Rを含む画素200において、D1軸における赤色サブ画素201Rの幅は、D1軸における緑色サブ画素201Gの幅よりも大きく、例えばD1軸における緑色サブ画素201Gの幅の2倍である。画像表示パネル11Aの奇数行LEjの青色サブ画素201Bを含む画素200は、D1軸において、-D1側の青色サブ画素201Bと+D1側の緑色サブ画素201Gとに区画されている。青色サブ画素201Bを含む画素200において、D1軸における青色サブ画素201Bの幅は、D1軸における緑色サブ画素201Gの幅よりも大きく、例えばD1軸における緑色サブ画素201Gの幅の2倍である。
【0034】
画像表示パネル11Aの複数の行LE1~LEnのうちで偶数行LE2,LE4,・・・の各行には、-D1側から+D1側に向かって、青色サブ画素201B及び緑色サブ画素201Gを含む画素200と、赤色サブ画素201R及び緑色サブ画素201Gを含む画素200と、が前述の順に交互に配置されている。画像表示パネル11Aの偶数行LEkの青色サブ画素201Bを含む画素200は、D1軸において、-D1側の緑色サブ画素201Gと+D1側の青色サブ画素201Bとに区画されている。青色サブ画素201Bを含む画素200において、D1軸における青色サブ画素201Bの幅は、D1軸における緑色サブ画素201Gの幅よりも大きい。画像表示パネル11Aの偶数行LEkの赤色サブ画素201Rを含む画素200は、D1軸において、-D1側の緑色サブ画素201Gと+D1側の赤色サブ画素201Rとに区画されている。赤色サブ画素201Rを含む画素200において、D1軸における赤色サブ画素201Rの幅は、D1軸における緑色サブ画素201Gの幅よりも大きい。
【0035】
したがって、光軸AXにおいて画像表示パネル11Aの投射レンズ15に対向する側とは反対側から見たときに、画像表示パネル11Aの複数の列RE1~REnのうちで奇数列RE1,RE3,・・・の各列には、+D2側から-D2側に向かって、-D1側の赤色サブ画素201Rと+D1側の緑色サブ画素201Gとを含む画素200と、-D1側の緑色サブ画素201Gと+D1側の青色サブ画素201Bとを含む画素200と、が前述の順に交互に配置されている。画像表示パネル11Aの複数の列RE1~REnのうちで偶数列RE2,RE4,・・・の各列には、+D2側から-D2側に向かって、+D2側から-D2側に向かって、-D1側の青色サブ画素201Bと+D1側の緑色サブ画素201Gとを含む画素200と、-D1側の緑色サブ画素201Gと+D1側の赤色サブ画素201Rとを含む画素200と、が前述の順に交互に配置されている。
【0036】
図5は、頭部装着型表示装置100の右眼用画像表示部111Bが画像表示パネル11として備える画像表示パネル11Bの概略図である。
図5は、画像表示パネル11Bを画像光Gの光軸AXに沿って正面視した場合に対応する図である。
【0037】
画像表示パネル11Bは、画像表示パネル11Aと同様に、複数の画素200を有する。複数の画素200は、光軸AXに直交する面において、n行m列のマトリックス状に配置されている。画像表示パネル11Bの各々の画素200にも、赤色の画像光Gを発する赤色サブ画素201Rと、緑色の画像光Gを発する緑色サブ画素201Gと、青色の画像光Gを発する青色サブ画素201Bの少なくとも何れか2色のサブ画素が含まれる。
【0038】
画像表示パネル11Bにおける複数の画素200の各色のサブ画素の配置パターンは、例えばペンタイル方式で配置され、上述した画像表示パネル11Aにおける複数の画素200の各色のサブ画素の配置パターンと同一である。但し、
図5に示すように、画像表示パネル11Bでは、投射レンズ15に対向する側とは反対側から見たときに、D1軸において最も-D1側の奇数列RE1は、非表示とされ、発光しない冗長画素列に設定されている。すなわち、画像表示パネル11Bの奇数列RE1では、-D1側から+D1側に向かって、画像表示パネル11Aの赤色サブ画素201R及び緑色サブ画素201Gを含む画素200に替わる黒色表示サブ画素201K,202Kを含む画素200と、画像表示パネル11Aの緑色サブ画素201G及び青色サブ画素201Bを含む画素200に替わる黒色表示サブ画素202K,203Kを含む画素200と、が前述の順に交互に配置されている。
【0039】
以上説明した第1実施形態の頭部装着型表示装置100は、第1表示パネルとしての左眼用画像表示部111Aの画像表示パネル11Aと、第2表示パネルとしての右眼用画像表示部111Bの画像表示パネル11Bと、左眼用の光学系と、右眼用の光学系と、を備える。画像表示パネル11Aにおいて、第1画素と、第2画素と、を含む複数の画素200が行列状に配置されている。第1画素は、第1色のサブ画素である緑色サブ画素201G、及び、第2色のサブ画素である赤色サブ画素201Rを有する。第2画素は、緑色サブ画素201G、及び、第3色のサブ画素である青色サブ画素201Bを有する。第2画素は、D1軸及びD2軸で第1画素と隣り合って配置されている。画像表示パネル11Bにおいて、第3画素と、第4画素と、含む複数の画素200が行列状に配置されている。第3画素は、第1色のサブ画素である緑色サブ画素201G、及び、第2色のサブ画素である赤色サブ画素201Rを有する。第4画素は、緑色サブ画素201G、及び、第3色のサブ画素である青色サブ画素201Bを有する。第4画素は、D1軸及びD2軸で第3画素と隣り合って配置されている。左眼用の光学系は、第1光学系に相当し、第1画像光である画像表示パネル11Aからの画像光Gを投射するために設けられている。左眼用の光学系は、例えば、左眼用画像表示部111Aの投射レンズ15と、導光部材20と、を備える。右眼用の光学系は、第2光学系に相当し、第2画像光である画像表示パネル11Bからの画像光Gを投射するために設けられている。右眼用の光学系は、例えば、右眼用画像表示部111Bの図示略の投射レンズと、導光装置と、を備える。画像表示パネル11Aにおける表示画素の第1列第1行には、第1画素及び第2画素が配置されている。画像表示パネル11Bにおける表示画素の第1列第1行には、第1画素に対応する第4画素、及び、第2画素に対応する第3画素が配置されている。画像表示パネル11Bにおける表示画素の第1列第1行とは、画像表示パネル11Bにおける非表示状態の冗長画素行又は冗長画素列を除いた表示状態の画素の第1列第1行を表す。すなわち、表示画素の第1列とは、表示状態の画素200のうちの最も端の列であり、表示画素の第1行とは、表示状態の画素200のうちの最も端の行である。画像表示パネル11Aにおける表示画素の第1列第1行とは1列分又は1行分ずれている。
【0040】
図6は、頭部装着型表示装置100が用いられたときの観察者Mの左眼及び右眼の視聴イメージを説明するための概略図である。第1実施形態の頭部装着型表示装置100では、第1表示パネルである画像表示パネル11A又は第2表示パネルである画像表示パネル11Bの正面視の最も外側の行又は最も外側の列の冗長画素を非表示とする、すなわち黒色表示とすることによって、
図6に示すように、画像表示パネル11Aにおける表示画素の第1列第1行の第1画素と、画像表示パネル11Bにおける表示画素の第1列第1行の第4画素とが観察者Mの脳内で互いに重なり、画像表示パネル11Aにおける表示画素の第1列第1行の第2画素と、画像表示パネル11Bにおける表示画素の第1列第1行の第3画素とが観察者Mの脳内で互いに重なり、視認される。第1実施形態の頭部装着型表示装置100では、左眼と右眼との視差をふまえた画像が画像表示パネル11A,11Bのそれぞれから表示され、第1光学系及び第2光学系を介して、観察者Mに違和感のない画像、映像が視認される。第1実施形態の頭部装着型表示装置100では、画像表示パネル11Aの赤色サブ画素201R及び緑色サブ画素201Gを含む画素200と、画像表示パネル11Bの緑色サブ画素201G及び青色サブ画素201Bを含む画素200と、が互いに重なるように、画像表示パネル11A,11Bの画素200が配置されている。第1実施形態の頭部装着型表示装置100によれば、観察者Mが視認する画像が画素200単位で3原色で発光している状態と同様になり、画像や映像の表示品位を向上させることができる。
【0041】
第1実施形態の頭部装着型表示装置100において、第1表示パネルである画像表示パネル11A、及び第2表示パネルである画像表示パネル11Bは、互いに同じペンタイル画素構造を有する。
【0042】
第1実施形態の頭部装着型表示装置100によれば、第1画素から第4画素までの各々の画素200の赤色サブ画素201R、緑色サブ画素201G、及び青色サブ画素201Bの配置がD1軸及びD2軸に沿って切り替わる。このことによって、観察者Mが視認する画像が画素200単位で3原色で発光している状態を容易に実現し、画像や映像の表示品位を向上させることができる。
【0043】
第1実施形態の頭部装着型表示装置100において、第1表示パネルである画像表示パネル11A、又は、第2表示パネルである画像表示パネル11Bは、発光しない冗長画素列又は冗長画素行を有する。例えば、第1実施形態の頭部装着型表示装置100では、画像表示パネル11Bは、発光しない冗長画素列として奇数列RE1を有する。
【0044】
第1実施形態の頭部装着型表示装置100によれば、観察者Mは、画像表示パネル11Aの奇数列REjの赤色サブ画素201R及び緑色サブ画素201Gを有する画素200と、画像表示パネル11Bの偶数列REkの青色サブ画素201B及び緑色サブ画素201Gを有する画素200とが互いに重なり、視認される。このことによって、第1実施形態の頭部装着型表示装置100における画像や映像の表示品位を向上させることができる。
【0045】
第1実施形態の頭部装着型表示装置100において、画像表示パネル11A,11Bに対し、入射光である画像光Gの光軸AXに沿った方向からの平面視において、第1色のサブ画素である緑色サブ画素201Gは、第2色のサブ画素である赤色サブ画素201R、及び、第3色のサブ画素である青色サブ画素201Bよりも小さい。
【0046】
第1実施形態の頭部装着型表示装置100によれば、赤色サブ画素201R及び青色サブ画素201Bが3原色のうちで視感度が最も高い緑色光を射出する緑色サブ画素201Gよりも大きいため、赤色、緑色、青色の映像の視感度のバランスがとれ、観察者Mが良好なカラーバランスの画像や映像を観察することができる。
【0047】
第1実施形態の頭部装着型表示装置100において、
第2表示パネルである画像表示パネル11Bの前段に配置されている不図示のカラーフィルター及びサブ画素電極に対応する光学素子は、画像光Gの進行方向に沿って見たときにカラーフィルターと重なる領域において画像光Gを集光し、画像光Gの進行方向に沿って見たときにカラーフィルターと重ならない領域において正のパワーを有することが好ましい。
【0048】
第1実施形態の頭部装着型表示装置100によれば、カラーフィルター及びサブ画素電極に対応する光学素子が上述のように正のパワーを有するため、観察者Mの視覚処理において、画像表示パネル11Bの第4画素及び第3画素が画像表示パネル11Aの第1画素及び第2画素と良好に重なる。
【0049】
[第2実施形態]
次いで、本発明の第2実施形態について、
図7及び
図8を用いて説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と共通する構成には対応する第1実施形態の構成と同じ符号を付し、第1実施形態と重複する説明を省略する。第2実施形態では、第1実施形態とは異なる構成や内容について説明する。
【0050】
図示していないが、第2実施形態の頭部装着型表示装置は、第1実施形態の頭部装着型表示装置100と同様の構成を備える。
【0051】
図7は、第2実施形態の頭部装着型表示装置の右眼用画像表示部が画像表示パネルとして備える画像表示パネル11Bの概略図である。
図7は、画像表示パネル11Bを画像光Gの光軸AXに沿って正面視した場合に対応する図である。
図7に示すように、画像表示パネル11Bでは、投射レンズ15に対向する側とは反対側から見たときに、D2軸において最も+D2側の奇数行LE1は、非表示とされ、発光しない冗長画素行に設定されている。すなわち、画像表示パネル11Bの奇数行LE1では、-D1側から+D1側に向かって、画像表示パネル11Aの赤色サブ画素201R及び緑色サブ画素201Gを含む画素200に替わる黒色表示サブ画素201K,202Kを含む画素200と、画像表示パネル11Aの青色サブ画素201B及び緑色サブ画素201Gを含む画素200に替わる黒色表示サブ画素203K,202Kを含む画素200と、が前述の順に交互に配置されている。
【0052】
以上説明した第2実施形態の頭部装着型表示装置は、第1実施形態の頭部装着型表示装置100と同様の構成を備えるので、第1実施形態の頭部装着型表示装置100と同様の作用効果を奏する。
【0053】
また、第2実施形態の頭部装着型表示装置において、第1表示パネルである画像表示パネル11A、及び第2表示パネルである画像表示パネル11Bは、発光しない冗長画素列又は冗長画素行を有する。例えば、第2実施形態の頭部装着型表示装置では、画像表示パネル11Bは、発光しない冗長画素行として奇数行LE1を有する。
【0054】
第2実施形態の頭部装着型表示装置によれば、観察者Mは、画像表示パネル11Aの奇数行LEjの赤色サブ画素201R及び緑色サブ画素201Gを有する画素200と、画像表示パネル11Bの偶数行LEkの青色サブ画素201B及び緑色サブ画素201Gを有する画素200とが互いに重なり、視認される。このことによって、第2実施形態の頭部装着型表示装置においても、画像や映像の表示品位を向上させることができる。
【0055】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【0056】
例えば、上述の実施形態では、第2表示パネルである画像表示パネル11Bのみに冗長画素列又は冗長画素行が設けられているが、画素表示パネル11Bに替えて、画素表示パネル11Aのみに冗長画素列又は冗長画素行が設けられてもよい。また、画素表示パネル11A,11Bの一方の表示パネルでは、1列目や1行目に替えて、m列目やn行目に冗長画素列又は冗長画素行が設けられてもよい。
【0057】
例えば、上述の実施形態では、画像表示パネル11A,11Bにおいて、赤色サブ画素201R、緑色サブ画素201G、及び青色サブ画素201Bがペンタイル方式で配置されているが、これらの各色のサブ画素は、ペンタイル方式以外の例えばストライプ方式、ダイヤモンド配列等で配置されていてもよい。
【0058】
例えば、本発明の頭部装着型表示装置の詳細な構成は、上述の実施形態で説明した構成に限定されない。
【0059】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
(付記1)第1色のサブ画素及び第2色のサブ画素を有する第1画素と、第1色のサブ画素及び第3色のサブ画素を有し、前記第1画素と隣り合う第2画素と、を含む複数の画素が行列状に配置された第1表示パネルと、第1色のサブ画素及び第2色のサブ画素を有する第3画素と、第1色のサブ画素及び第3色のサブ画素を有し、前記第3画素と隣り合う第4画素と、を含む複数の画素が行列状に配置された第2表示パネルと、前記第1表示パネルからの第1画像光を投射するための第1光学系と、前記第2表示パネルからの第2画像光を投射するための第2光学系と、を備え、前記第1表示パネルにおける表示画素の第1列第1行は、第1画素であり、前記第2表示パネルにおける表示画素の第1列第1行は、第4画素である、頭部装着型表示装置。
【0060】
付記1の構成では、第1表示パネルの第1画素と、第2表示パネルの第4画素と、が互いに重なって視認されるように、第1表示パネル及び第2表示パネルの画素が配置されている。付記1の構成により、観察者が視認する画像が画素単位で3原色で発光している状態と同様になり、映像品位を向上させることができる。
【0061】
(付記2)前記第1表示パネル及び前記第2表示パネルは、互いに同じペンタイル画素構造を有する、付記1の頭部装着型表示装置。
【0062】
付記2の構成により、第1表示パネルの第1画素と、第2表示パネルの第4画素と、を容易に、互いに重なって視認されるようにすることができる。
【0063】
(付記3)前記第1表示パネル又は前記第2表示パネルは、発光しない冗長画素列又は冗長画素行を有する、付記1又は付記2の頭部装着型表示装置。
【0064】
付記3の構成では、第1表示パネルの奇数列又は奇数行の画素と、第2表示パネルの偶数列又は偶数行の画素と、が互いに重なって視認されるように、第1表示パネル及び第2表示パネルの画素が配置されている。付記3の構成により、観察者が視認する画像が画素単位で3原色で発光している状態と同様になり、映像品位を向上させることができる。
【0065】
(付記4)前記第1表示パネル及び前記第2表示パネルに対し、入射光の光軸に沿った方向からの平面視において、前記第1色のサブ画素は、前記第2色のサブ画素及び第3色のサブ画素よりも小さい、付記1から付記3の何れかの頭部装着型表示装置。
【0066】
付記4の構成により、第1色のサブ画素から射出される色光の視感度が第2色及び第3色のサブ画素から射出される色光に比べて高い場合に、赤色、緑色、青色の映像の視感度のバランスがとれ、観察者が良好なカラーバランスの画像や映像を観察することができる。
【0067】
(付記5)前記第2表示パネルにおいて、前段に配置されているカラーフィルター及びサブ画素電極に対応する光学素子は、入射光の進行方向に沿って見て前記カラーフィルターと重なる領域において入射光を集光し、入射光の進行方向に沿って見て前記カラーフィルターと重ならない領域において正のパワーを有する、付記1から付記4の何れかの頭部装着型表示装置。
【0068】
付記5の構成により、観察者の視覚処理において、第1表示パネルの第1画素に対して、第2表示パネルの第4画素を良好且つ高精度に重ねて視認することができる。
【符号の説明】
【0069】
11A…画像表示パネル(第1表示パネル)、11B…画像表示パネル(第2表示パネル)、100…頭部装着型表示装置、200…画素、201B…青色サブ画素(第3色のサブ画素)、201G…緑色サブ画素(第1色のサブ画素)、201R…赤色サブ画素(第2色のサブ画素)。