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特開2024-169017均し方法、均し装置、及び、炊飯システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169017
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】均し方法、均し装置、及び、炊飯システム
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/14 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
A47J27/14 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086186
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000116699
【氏名又は名称】株式会社アイホー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐原 義章
(72)【発明者】
【氏名】北山 聖治
【テーマコード(参考)】
4B054
【Fターム(参考)】
4B054AA02
4B054AB01
4B054AC02
4B054CA14
4B054CE05
4B054CE20
(57)【要約】
【課題】容器内で液面下に堆積する粉粒体の堆積層表面を、短い時間で良好に均すことが可能な技術を提供する。
【解決手段】容器内で液面下に堆積する粉粒体の堆積層の表面を均すために、棒状体を、容器内の液面下に横向きで配置する。容器内に配置された棒状体を、液面下の堆積層の高さに応じた位置で、又は、堆積層の表面より下で、液面に沿って棒状体の長手方向と交差する方向に移動させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内で液面下に堆積する粉粒体の堆積層の表面を均すための均し方法であって、
棒状体を、前記容器内の前記液面下に横向きで配置することと、
前記容器内に配置された前記棒状体を、前記液面下の前記堆積層の高さに応じた位置で、前記液面に沿って前記棒状体の長手方向と交差する方向に移動させることと、
を含む均し方法。
【請求項2】
容器内で液面下に堆積する粉粒体の堆積層の表面を均すための均し方法であって、
棒状体を、前記容器内の前記液面下に横向きで配置することと、
前記容器内に配置された前記棒状体を、前記堆積層の表面より下で、前記液面に沿って前記棒状体の長手方向と交差する方向に移動させることと、
を含む均し方法。
【請求項3】
前記棒状体を移動させることは、前記棒状体の上が前記堆積層の平均高さより下に位置するように、前記棒状体を前記液面に沿って前記棒状体の前記長手方向と交差する方向に移動させることを含む請求項1記載の均し方法。
【請求項4】
前記棒状体は、前記長手方向に垂直な断面として正多角形又は円形の断面を有する棒状体である請求項1~請求項3のいずれか一項記載の均し方法。
【請求項5】
前記容器は、収容空間の前記液面に沿う断面が矩形状断面である矩形容器であり、
前記棒状体を配置することは、前記棒状体を前記矩形状断面の第一の辺に沿って配置することを含み、
前記棒状体を移動させることは、前記棒状体を、前記液面に沿って、且つ、前記矩形状断面の前記第一の辺とは直交する第二の辺に沿って、移動させることを含む
請求項1~請求項3のいずれか一項記載の均し方法。
【請求項6】
前記容器は、収容空間の前記液面に沿う断面が円形断面である円形容器であり、
前記棒状体を配置することは、前記棒状体を前記円形断面の径方向に沿って配置することを含み、
前記棒状体を移動させることは、前記棒状体を、前記液面に沿って、且つ、前記円形断面の周方向に沿って、移動させることを含む
請求項1~請求項3のいずれか一項記載の均し方法。
【請求項7】
前記棒状体を前記容器内に配置することは、ロボットアームを制御することによって、前記ロボットアームに取り付けられた前記棒状体を、前記容器内に配置することを含み、
前記棒状体を移動させることは、前記ロボットアームを制御することによって、前記棒状体を前記液面に沿って前記棒状体の前記長手方向と交差する方向に移動させることを含む請求項1~請求項3のいずれか一項記載の均し方法。
【請求項8】
前記粉粒体は、穀類であり、前記容器は、炊飯釜であり、
前記棒状体を配置すること及び前記棒状体を移動させることは、前記炊飯釜の加熱を伴う炊飯工程の前に実行される請求項1~請求項3のいずれか一項記載の均し方法。
【請求項9】
容器内で液面下に堆積する粉粒体の堆積層の表面を均すための均し装置であって、
棒状体と、
前記棒状体を、前記容器内の前記液面下に横向きで配置し、前記容器内に配置された前記棒状体を、前記液面下の前記堆積層の高さに応じた位置で、又は、前記堆積層の表面より下で、前記液面に沿って前記棒状体の長手方向と交差する方向に移動させるように構成される駆動機構と、
を備える均し装置。
【請求項10】
炊飯システムであって、
液体に浸された粉粒体としての穀類を収容する炊飯釜内で、液面下に位置する前記粉粒体の堆積層を均すための棒状の均し部材が取り付けられたロボットアームと、
前記炊飯釜及び前記ロボットアームの少なくとも一方を他方に対して相対移動させることによって、前記ロボットアームの作業エリアに前記炊飯釜を供給するように構成される供給機構と、
前記ロボットアームを制御するように構成されるコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記炊飯釜の加熱を伴う炊飯工程の前、前記作業エリアに前記炊飯釜が供給された状態で、均し工程として、
前記ロボットアームを制御し、前記均し部材を前記炊飯釜内の前記液面下に横向きで配置することと、
前記ロボットアームを制御し、前記炊飯釜内に配置された前記均し部材を、前記液面下の前記堆積層の高さに応じた位置で、又は、前記堆積層の表面より下で、前記液面に沿って前記均し部材の長手方向と交差する方向に移動させることと、
を含む処理を実行する炊飯システム。
【請求項11】
前記ロボットアームには、前記粉粒体を前記炊飯釜内で攪拌するための攪拌部材が取り付けられ、
前記コントローラは、前記均し工程の前に、攪拌工程として、
前記ロボットアームを制御し、前記攪拌部材を前記炊飯釜内の前記液面下に配置することと、
前記ロボットアームを制御し、前記攪拌部材を予め定められた方式で移動させることにより、前記粉粒体を前記炊飯釜内で攪拌することと、
を含む処理を実行するように構成され、
前記攪拌部材及び前記均し部材は、前記均し工程では前記攪拌部材が前記液面下に配置されず、前記攪拌工程では前記均し部材が前記液面下に配置されないように前記ロボットアームに取り付けられる請求項10記載の炊飯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、均し方法、並びに、関連する装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、米を含む穀類の炊飯に際し、ムラを抑えた良好な炊きあがりを実現するために、炊飯釜内で水に浸された穀類の層表面を均すことが行われている。
【0003】
特許文献1には、炊飯釜内で攪拌羽根を用いて、食材層の表面を均すことが記載されている。攪拌羽根は、炊飯釜の中心周りに回転するように設置され、回転により、食材層の攪拌及び均しを実現する。
【0004】
特許文献2には、ロボットアームに取り付けられたへらを用いて、米等の粒状食材の表面を均すことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-116333号公報
【特許文献2】特開2022-180063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、攪拌羽根の回転によって均し作業を実現する場合には、攪拌羽根が、食材層の表面のうち、長円軌道に沿った所定の箇所しか通過しない。さらには、攪拌羽根が、水を左右に切り分けて通過するため、食材層の表面に、わだち状の通過の跡が残る。したがって、攪拌羽根を用いた従来技術では、食材層の表面全体を良好に均すことが難しい。
【0007】
攪拌羽根は、水面から略垂直に配置され、攪拌羽根の移動方向に向く面の面積が大きい。したがって、攪拌羽根に対する液体の抵抗は大きく、攪拌羽根は、水を押し出すように回転移動する。このため、攪拌羽根を用いた従来技術では、作業時間を短時間にするために攪拌羽根の回転速度を高くすると、水面に大きな波が発生するといった欠点もあった。
【0008】
大きな波は、水が炊飯釜を乗り越えて、炊飯釜の外にあふれ出ることにつながる。大きな波の発生は、食材層を平坦化することに悪影響を与える可能性もある。このため、攪拌羽根を用いた均し作業では、攪拌羽根を低速回転させる必要があった。
【0009】
へらとロボットアームとを用いて均し作業を実現する場合には、へらの移動軌跡を柔軟に変更できるため、食材層に残る通過の跡を減らすことができる。しかしながら、へらを用いた従来の均し作業では、へらを、炊飯釜全体に動かすために時間を要していた。
【0010】
さらに、へらは、特許文献1と同様水を押すように移動する。したがって、大きな波を抑えるために、へらを低速移動させる必要がある。このように、上述の技術では、低速動作を強いられることから、均し作業を短い時間で効率的に行うことができなかった。このような非効率な均し作業は、穀類によらず、容器内で液面下に堆積する粉粒体の堆積層表面を均す際、同様に生じ得る。
【0011】
そこで、本開示の一側面によれば、容器内で液面下に堆積する粉粒体の堆積層表面を、短い時間で良好に均すことが可能な技術を提供できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の一側面によれば、容器内で液面下に堆積する粉粒体の堆積層の表面を均すための均し方法が提供される。均し方法は、棒状体を、容器内の液面下に横向きで配置することを含む。均し方法は、容器内に配置された棒状体を、液面下の堆積層の高さに応じた位置で、液面に沿って棒状体の長手方向と交差する方向に移動させることを含む。
【0013】
この方法によれば、棒状体の移動方向を向く面の面積が小さいため、棒状体は、液体を上下に切り分けるように進む。従って、棒状体が高速移動する場合でも、移動によって液面に生じる波は、へら等の大きな面積を有する面部材で液体を押し出す場合と比較して小さく抑えられる。
【0014】
更に、棒状体の通過によって上下に切り分けられた液体は、棒状体の通過後に、元の位置に戻る流れ、いわゆる乱流を生じさせる。この流れは、乱流として下から上への流れ成分を含み、下から上への流れが、粉粒体を液面下で浮遊させるように機能する。浮遊する粉粒体が沈下する際、堆積層表面の凹凸が低減され、堆積層の表面は、均される。
【0015】
従って、上述の均し方法によれば、容器内で液面下に堆積する粉粒体の堆積層表面を、液面における波の発生を小さく抑えて、短い時間で良好に均すことが可能である。
【0016】
本開示の一側面によれば、容器内で液面下に堆積する粉粒体の堆積層の表面を均すための均し方法であって、棒状体を、容器内の液面下に横向きで配置することと、容器内に配置された棒状体を、堆積層の表面より下で、液面に沿って棒状体の長手方向と交差する方向に移動させることと、を含む方法が提供されてもよい。
【0017】
この方法によっても、棒状体は、液体を上下に切り分けるように進む。棒状体は堆積層の表面より下を通るため、棒状体の通過に伴って生じる液体の下から上への流れは、粉粒体をより多く含んだ流れとなり、粉粒体を液面下でより効果的に浮き上がらせるように機能する。従って、容器内で液面下に堆積する粉粒体の堆積層表面を、液面における波の発生を小さく抑えて、短い時間で良好に均すことができる。
【0018】
本開示の一側面によれば、棒状体を移動させることは、棒状体の上が堆積層の平均高さより下に位置するように、棒状体を液面に沿って棒状体の長手方向と交差する方向に移動させることを含み得る。こうした方法によれば、棒状体が移動する際に、粉粒体が液体と共に棒状体の上を通る。従って、粉粒体の浮遊が促進され、均し効果が増大する。
【0019】
本開示の一側面によれば、棒状体は、長手方向に垂直な断面として正多角形又は円形の断面を有する棒状体であり得る。このような断面形状によれば、棒状体の移動時の抵抗を下げることがき、スムーズでより高速な移動を実現することができるため、棒状体が液体を押し出すことによる波の発生をより小さく抑えつつ、棒状体の下流において縦方向への液体の流れを形成して、より短時間で効率的な均しを実現することができる。
【0020】
本開示の一側面によれば、容器は、収容空間の液面に沿う断面が矩形状断面である矩形容器であり得る。この場合、棒状体を配置することは、棒状体を矩形状断面の第一の辺に沿って配置することを含み得る。棒状体を移動させることは、棒状体を、液面に沿って、且つ、矩形状断面の第一の辺とは直交する第二の辺に沿って、移動させることを含み得る。
【0021】
こうした棒状体の移動によって、少ない移動で効率的に、矩形容器内全体の粉粒体に対する良好な均し作業を実現することができる。
【0022】
本開示の一側面によれば、容器は、収容空間の液面に沿う断面が円形断面である円形容器であり得る。この場合、棒状体を配置することは、棒状体を円形断面の径方向に沿って配置することを含み得る。棒状体を移動させることは、棒状体を、液面に沿って、且つ、円形断面の周方向に沿って、移動させることを含み得る。
【0023】
こうした棒状体の移動によって、効率的に、円形容器内の粉粒体に対する良好な均し作業を実現することができる。
【0024】
本開示の一側面によれば、棒状体を容器内に配置することは、ロボットアームを制御することによって、ロボットアームに取り付けられた棒状体を、容器内に配置することを含み得る。棒状体を移動させることは、ロボットアームを制御することによって、棒状体を液面に沿って棒状体の長手方向と交差する方向に移動させることを含み得る。
【0025】
本開示の一側面によれば、粉粒体は、穀類であり得る。容器は、炊飯釜であり得る。棒状体を配置すること及び棒状体を移動させることは、炊飯釜の加熱を伴う炊飯工程の前に実行され得る。穀類の炊飯工程前に、上述の均し方法を実行することによれば、ムラを抑えて穀類を良好に炊き上げることができる。
【0026】
本開示の一側面によれば、容器内で液面下に堆積する粉粒体の堆積層の表面を均すための均し装置が提供されてもよい。均し装置は、棒状体と、駆動機構と、を備え得る。駆動機構は、棒状体を、容器内の液面下に横向きで配置し、容器内に配置された棒状体を、液面下の堆積層の高さに応じた位置で、又は、堆積層の表面より下で、液面に沿って棒状体の長手方向と交差する方向に移動させるように構成され得る。
【0027】
本開示の一側面によれば、炊飯システムが提供されてもよい。炊飯システムは、ロボットアームと、供給機構と、コントローラと、を備え得る。ロボットアームには、液体に浸された粉粒体としての穀類を収容する炊飯釜内で、液面下に位置する粉粒体の堆積層を均すための棒状の均し部材が取り付けられ得る。
【0028】
供給機構は、炊飯釜及びロボットアームの少なくとも一方を他方に対して相対移動させることによって、ロボットアームの作業エリアに炊飯釜を供給するように構成され得る。
【0029】
コントローラは、ロボットアームを制御するように構成され得る。コントローラは、炊飯釜の加熱を伴う炊飯工程の前、作業エリアに炊飯釜が供給された状態で、均し工程として、ロボットアームを制御し、均し部材を炊飯釜内の液面下に横向きで配置することと、ロボットアームを制御し、炊飯釜内に配置された均し部材を、液面下の堆積層の高さに応じた位置で、又は、堆積層の表面より下で、液面に沿って均し部材の長手方向と交差する方向に移動させることと、を含む処理を実行するように構成され得る。
【0030】
本開示の一側面によれば、ロボットアームには、粉粒体を炊飯釜内で攪拌するための攪拌部材が取り付けられてもよい。コントローラは、均し工程の前に、攪拌工程として、ロボットアームを制御し、攪拌部材を炊飯釜内の液面下に配置することと、ロボットアームを制御し、攪拌部材を予め定められた方式で移動させることにより、粉粒体を炊飯釜内で攪拌することと、を含む処理を実行するように構成され得る。
【0031】
本開示の一側面によれば、攪拌部材及び均し部材は、均し工程では攪拌部材が液面下に配置されず、攪拌工程では均し部材が液面下に配置されないようにロボットアームに取り付けられ得る。この炊飯システムによれば、攪拌及び均しを異なる部材を用いて良好に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】炊飯システムの構成を表すブロック図である。
図2】攪拌均し部の構成を表すブロック図である。
図3】均し装置の構成を表す側面図である。
図4】容器の形状を説明する平面図である。
図5】容器の第一の辺に沿う面上での均し具の配置を説明する図である。
図6】容器の第二の辺に沿う面上での均し具の移動を説明する図である。
図7】棒本体の移動に伴って発生する液体の流れを説明する図である。
図8】第二実施形態において攪拌均し部を構成するロボットアーム及び調理具の斜視図である。
図9】コントローラが実行する攪拌均し処理を表すフローチャートである。
図10図10Aは、ロボットアームを用いた攪拌を説明する図であり、図10Bは、ロボットアームを用いた均しを説明する図である。
図11】棒本体が短いときの、均し具の操作方法の例を説明する図である。
図12】容器が円形であるときの、均し具の操作方法の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に本開示の例示的実施形態を、図面を参照しながら説明する。
[第一実施形態]
図1に示す本実施形態の炊飯システム1は、業務用の炊飯システムである。炊飯システム1は、調理用の容器5を搬送するためのベルトコンベヤ10と、ベルトコンベヤ10に沿って配置された投入部20と、攪拌均し部30と、炊飯部50とを備える。ベルトコンベヤ10は、容器5を各部に供給するための供給機構として機能する。炊飯システム1における調理は、投入工程と、攪拌工程と、均し工程と、炊飯工程とを含む。
【0034】
投入工程は、容器5に、調理対象を投入する工程である。容器5は、炊飯釜である。投入工程は、投入部20で実現される。投入部20は、ベルトコンベヤ10を通じて供給される容器5に調理対象を投入するように構成される。
【0035】
容器5には、調理対象として穀類が投入される。穀類の例には、米及び麦が含まれる。投入工程では、調理対象として小片化された野菜類が更に投入され得る。野菜類は、例えば炊き込み御飯を製造するために容器5内に投入される。穀類又は小片化された野菜類は、粉粒体又は粒状食材の一例である。
【0036】
投入工程では更に、水又は調味液が容器5に投入される。水又は調味液は、容器5内で穀類の全体が浸されるように投入される。すなわち、水又は調味液は、その液面が、容器5内で堆積する穀類の堆積層DPの上にあるように、容器5内に投入される。
【0037】
攪拌工程は、容器5に投入された調理対象を攪拌する工程である。攪拌は、穀類と水又は調味液とを、均一に混ぜ合わされるために行われる。調理対象が米と水である場合、混ぜ合わせは、米の各粒を水に対して均一に浸すことに役立つ。
【0038】
攪拌工程は、攪拌均し部30で実現される。攪拌均し部30は、図2に示すように攪拌装置31及び均し装置35を、ベルトコンベヤ10に沿って備える。
【0039】
攪拌装置31は、投入部20より容器5の搬送方向下流に配置される。攪拌装置31は、ベルトコンベヤ10を通じて投入部20から供給される容器5に対して、調理対象を攪拌する処理を実行するように構成される。
【0040】
一例によれば、攪拌装置31は、攪拌羽根を容器5内で回転させることによって、容器5内の調理対象を攪拌するように構成される。別例によれば、攪拌装置31は、へらを容器5内で容器5の底に沿って移動させることによって、調理対象を攪拌するように構成される。攪拌のために、例えばロボットアームが攪拌装置31として設けられる。
【0041】
均し工程は、容器5内で液面下に堆積する穀類の堆積層DPの表面を均す工程である。均し工程では、堆積層DPの表面が、液面に沿って、平坦に広がるように均される。均し工程は、攪拌均し部30で実現される。
【0042】
均し装置35は、攪拌装置31より容器5の搬送方向下流に配置される。均し装置35は、ベルトコンベヤ10を通じて攪拌装置31から供給される容器5に対して、堆積層DPの表面を均す処理を実行するように構成される。均し工程及び均し装置35の詳細については、後述する。
【0043】
炊飯工程は、容器5を加熱して、穀物を炊く工程である。炊飯工程は、炊飯部50で実現される。炊飯部50は、ベルトコンベヤ10を通じて攪拌均し部30から供給される容器5を加熱して、容器5内に調理対象として投入された穀類を炊き上げるように構成される。
【0044】
炊飯システム1は、投入部20、攪拌均し部30、及び炊飯部50を制御するための管理装置60を備える。攪拌装置31及び均し装置35は、図2に示すように管理装置60によって制御される。
【0045】
管理装置60は、コントローラ61と、表示機器類63と、操作機器類65とを備える。コントローラ61は、プロセッサ611と、メモリ613と、通信インタフェース615とを備える。メモリ613は、フラッシュメモリ等の電気的にデータ書換可能な不揮発性メモリを備える。メモリ613は、プロセッサ611により実行されるコンピュータプログラムを記憶する。
【0046】
プロセッサ611は、コンピュータプログラムに従う処理を実行することによって、投入部20、攪拌均し部30、及び炊飯部50を制御する。表示機器類63は、コントローラ61により制御されて、ユーザ向けの各種情報を表示する。表示機器類63は、例えば炊飯システム1の稼働状況及びエラー情報等を表示するために使用される。
【0047】
操作機器類65は、ユーザが操作可能なスイッチ類やタッチパネル等を含み、ユーザからの操作信号を、コントローラ61に入力する。コントローラ61は、ユーザからの操作信号に従って、炊飯システム1の各部を制御する。
【0048】
続いて、均し装置35の構成を、図3を用いて説明する。図3は、均し装置35の構成を側面図で表す。但し、図3では、容器5、及び、容器5が収容する調理対象を、断面図で表す。図3に示す均し装置35は、リニアアクチュエータ351と、回動機構355と、均し具40とを備える。均し具40は、リニアアクチュエータ351に連結される。
【0049】
回動機構355は、リニアアクチュエータ351を回動可能に保持する。具体的には、回動機構355は、リニアアクチュエータ351を、水平姿勢から退避姿勢まで、上下に回転可能に保持する。
【0050】
リニアアクチュエータ351は、均し具40の駆動機構に対応する。リニアアクチュエータ351は、水平姿勢で、均し具40を水平面に沿って直線運動可能に保持する。リニアアクチュエータ351の例には、直動シリンダ機構が含まれる。リニアアクチュエータ351は、コントローラ61により制御されて、均し具40を、水平面に平行な一方向に往復運動させる。
【0051】
容器5は、図4に示すように、調理対象を収容する収容空間の水平面に沿う断面が矩形状である矩形容器として構成される。矩形状の断面の例には、角が丸められた矩形状の断面が含まれる。矩形状の断面は、第一の辺と、第一の辺に直交する第二の辺と、を備える。第一の辺は、例えば短辺であり、第二の辺は、長辺である。
【0052】
容器5は、第二の辺が、リニアアクチュエータ351による均し具40の移動方向に平行に配置されるように、ベルトコンベヤ10に配置され、均し装置35に供給される。容器5が均し装置35の前に供給されたとき、リニアアクチュエータ351は、コントローラ61による回動機構355の制御により、図3に示すように退避姿勢から水平姿勢に切り替えられる。均し動作の後、リニアアクチュエータ351は、水平姿勢から退避姿勢に切り替えられる。水平姿勢は、図3において実線で描かれる姿勢であり、退避姿勢は、図3において破線で描かれる姿勢である。ただし、退避姿勢は、鉛直方向に限られない。
【0053】
図5に示すように、均し具40は、棒本体41と、棒本体41をリニアアクチュエータ351に連結する二本の連結要素45と、を備える。棒本体41は、長手方向(換言すれば軸方向)に垂直な断面が正多角形、特には正六角形の棒状体として構成される。別例によれば、棒本体41は、長手方向に垂直な断面が円形の棒状体として構成されてもよい。ただし、棒本体41の断面形状の例は、上記の形状に限定されず、三角形、長方形、及び楕円形状等の他の形状も含む。
【0054】
棒本体41は、リニアアクチュエータ351が水平姿勢にあるときに、横向き、具体的には水平に配置される。このとき、棒本体41は、図6に示すように、容器5の第一の辺に平行に配置される。
【0055】
すなわち、リニアアクチュエータ351は、容器5が均し装置35の前に供給されたときには、水平姿勢への変化と共に、棒本体41を容器5の第一の辺に平行に且つ水平に配置するように、均し具40を容器5内に配置する。
【0056】
このとき、棒本体41は、容器5の底から所定の高さの位置に横向きで配置される。容器5の容積及び容器5内に投入される調理対象の量は一定であることから、容器5内において、液面下に位置する穀類の堆積層DPの平均高さは、一定であり、棒本体41は、堆積層DPの平均高さに対して一定の位置に配置される。すなわち、棒本体41は、液面下の堆積層DPの高さに応じた位置で、液面に沿って横向きに配置される。
【0057】
具体的には、棒本体41は、容器5内において、液面下における穀類の堆積層DPの平均高さより所定高さ低い位置に、横向きで配置される。図5及び図6における一点鎖線L1は、液面の位置を表し、二点鎖線L2は、堆積層DPの表面の位置を表す。
【0058】
図示されるように、棒本体41は、その最頂部が、液面より下であって、堆積層DPの平均高さより下に配置される。図5及び図6における棒本体41の堆積層DPの表面に対する相対位置は、単なる例示である。例えば、棒本体41は、堆積層DPの高さ方向中間地点に配置されてもよい。
【0059】
均し具40は、このように棒本体41が堆積層DPの平均高さより下で容器5の第一の辺に沿って配置された状態で、リニアアクチュエータ351を通じて、液面に平行に、且つ、容器5の第二の辺に平行に直線運動する。
【0060】
均し具40の直線運動に伴って、棒本体41は、およそ穀類の堆積層DPの表面より下の位置を通過するように水平に直線運動する。均す前の堆積層DPは、上下に凸凹していることから、棒本体41が常に堆積層DPの表面より下を移動するとは限らない。しかしながら、上述した通り、棒本体41は、堆積層DPの平均高さより下を移動する。このとき、棒本体41は、棒本体41の長手方向と交差する方向、具体的には直交する方向に移動する。
【0061】
このため、棒本体41は、堆積層DPを上下に切り分けるように、堆積層DP内を移動する。堆積層DP内で穀類と混在する液体(すなわち、水又は調味液)は、棒本体41の通過に伴って、図7において矢印で示すように棒本体41が通った空間を満たすように移動するために、乱流が生じ、下から上への流れの成分を多く含む縦渦が発生する。
【0062】
この下から上への流れを含む乱流が、穀類を液面下で浮き上がらせ、浮遊させるように機能する。浮遊する穀類が沈下する際、堆積層表面の凹凸が緩和される。均し具40が、容器5における第二の辺の端から端までを移動することにより、堆積層DPの表面は、液面に対して略平行に均される。この乱流による均し効果は、棒本体41の移動速度が速いほど顕著に生じ、棒本体41の移動速度が遅いほど、乱流の発生が小さくなることから、均し効果は低下する。従って、棒本体41の移動速度は、均し効果を考慮して調整されるのが望ましい。
【0063】
本実施形態では、棒本体41が、棒本体41が配置される高さでの容器5の第一の辺の長さに対応した長さに設計される。棒本体41の長さは、例えば、棒本体41の長手方向の端と容器5の側壁との間の隙間が、5ミリメートル程度であるように設計される。5ミリメートルは、米の一粒の大きさと同程度である。
【0064】
このような設計により、棒本体41は、容器5内において第一の辺のほぼ全体に広がる。従って、棒本体41が、単に、容器5の第二の辺に沿って、端から端へ一方向に片道移動する程度で、あるいは、1回又は複数回往復動する程度で、堆積層DPの表面は、およそムラなく均される。
【0065】
更に言えば、棒本体41は穀類の堆積層DPを切るように移動することから、均し装置35は、棒本体41を高速に移動させても、液面に大きな波が生じるのを抑えて、堆積層表面を均すことができる。
【0066】
従って、本実施形態の均し装置35によれば、棒本体41を高速に移動させて、効率的に、穀類の堆積層表面を均すことができる。高速に均すことができることによって、均し工程を短時間で効率的に実現可能である。
【0067】
さらに言えば、本実施形態では、良好な均し作業のために、棒本体41の長手方向に垂直な断面のうち、容器5の高さ方向の断面の長さが20ミリメートル程度に設計される。棒本体41の長手方向に垂直な断面は、直径20ミリメートルの円の内部に収まる正多角形又は円形に設計されるのが望ましい。ただし、棒本体41の断面形状及びサイズは、液面の高さや液面下に堆積する粉粒体のサイズ等の条件により決定されるべきものであり、前記断面長さに限定されるものではない。
【0068】
本実施形態の均し具40を用いた均しでは、穀類が棒本体41の上下を乗り越えることができるので、攪拌羽根やへらのように、穀類が棒本体41の横からすり抜けるように移動するのを抑制することができることも有利である。従来では、均し工程に際して、通過の跡として、わだちのように攪拌羽根やへらの軌跡の左右に穀類が寄ってしまう現象が生じていたが、本実施形態によれば、このような現象の発生を抑制し、表面全体を均一に均すことが可能である。
【0069】
[第二実施形態]
続いて、第二実施形態の炊飯システム1の構成を説明する。但し、第二実施形態の炊飯システム1は、単に、攪拌均し部30の構成が、第一実施形態と異なるだけである。従って、以下では、攪拌均し部30の構成を、選択的に説明する。
【0070】
本実施形態の攪拌均し部30は、図8に示すように、攪拌及び均し用の調理具70と、調理具70が先端部81に取り付けられるロボットアーム80と、から構成される。ロボットアーム80が、先端部81に取り付けられた調理具70を、第一の向きで操作することにより、容器5内の調理対象が攪拌される。ロボットアーム80が、調理具70を第二の向きで操作することにより、容器5内の穀類の堆積層DPが均される。
【0071】
図8に示すように、調理具70は、ロボットアーム80の先端部81に取り付けられる基部71と、攪拌具73と、均し具75とを備える。調理具70において、攪拌具73は、均し具75に対し、およそ直角に配置される。
【0072】
これにより、調理具70が第一の向きにあるときには、攪拌具73が下を向き、均し具75が横を向き、調理具70が第二の向きにあるときには、攪拌具73が横を向き、均し具75が下を向くように、調理具70は構成される。
【0073】
攪拌具73は、具体的にはへらである。均し具75は、第一実施形態の均し具40と同様に構成される。すなわち、均し具75は、棒本体77と、棒本体77を調理具70の本体に連結する二本の連結要素78と、を備える。
【0074】
コントローラ61は、ロボットアーム80を用いた攪拌及び均し工程の実現のために、図9に示す攪拌均し処理を実行する。攪拌均し処理において、コントローラ61は、容器5が上流からロボットアーム80の作業エリアに供給されるまで待機する(S110)。コントローラ61は、容器5が作業エリアに供給されると、ロボットアーム80を制御し、容器5内の調理対象を攪拌するために、調理具70を第一の向きで、容器5内に配置する(S120)。
【0075】
S120での制御を受けて、ロボットアーム80は、図10Aに示すように、攪拌具73を、その先端が、容器5における穀類の堆積層表面より下であって、容器5の底面に接触する位置に、又は、底面に接触しない範囲で底面に近い位置にあるように、容器5内に配置する。このとき、均し具75は、液面より上であって、容器5より上に配置される。
【0076】
その後、コントローラ61は、調理対象が攪拌されるように、ロボットアーム80を制御する(S130)。S130での制御を受けて、ロボットアーム80は、攪拌具73の高さを維持した状態で、容器5の底面に対して、所定の軌跡を描くように予め定められた方式で攪拌具73を水平移動させ、それにより調理対象を攪拌する。具体的には、ロボットアーム80は、8の字を描くように、攪拌具73を水平移動させる。8の字を描くように攪拌具73を水平移動させる動作は、8の字を描く領域をずらしながら、複数回実行され得る。これにより、容器5内の調理対象は、一様に攪拌される。
【0077】
続くS140において、コントローラ61は、調理具70が第二の向きで容器5内に再配置されるように、ロボットアーム80を制御する。この制御を受けて、ロボットアーム80は、調理具70を、一旦容器5から取り出し、その後、調理具70を第二の向きで、容器5内に再配置する。
【0078】
再配置に際して、ロボットアーム80は、図10Bに示すように、均し具75を、その先端に位置する棒本体77が、容器5における穀類の堆積層表面より下であって、容器5の底面より所定高さの位置にあるように、容器5内に配置する。このとき、棒本体77は、容器5の第一の辺に平行に配置される。攪拌具73は、液面より上であって、容器5より上に配置される。
【0079】
続くS150において、コントローラ61は、容器5内の堆積層表面が均されるように、ロボットアーム80を制御する。この制御を受けて、ロボットアーム80は、棒本体77の高さ及び向きを維持した状態で、棒本体77が容器5の第二の辺に沿って直線運動するように、均し具75を、水平移動させる。ロボットアーム80は、棒本体77が容器5の第二の辺における端から端まで一方向に片道移動するように、あるいは、一回又は複数回往復動するように、均し具75を操作することによって、堆積層DPの表面を均す。
【0080】
その後、コントローラ61は、調理具70が容器5から取り出されるように、ロボットアーム80を制御する(S160)。この制御を受けて、ロボットアーム80は、調理具70を上にあげて、容器5から取り出す。容器5は、S160での取り出しが完了するまで、ロボットアーム80の前に留まり、取り出しが完了すると、炊飯部50まで移動する。
【0081】
本実施形態によれば、炊飯工程前の攪拌及び均し工程を、ロボットアーム80を用いて実現することができることから、炊飯システム1を、第一実施形態よりも狭い調理室に構築することが可能である。
【0082】
[その他の実施形態]
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
【0083】
上記実施形態では、均し具40,75の棒本体41,77の長さが、容器5の第一の辺に対応する長さに設計されていることから、均し工程は、図4に示すように、容器5の第二の辺に沿う均し具40,75の単純な直進運動により実現された。
【0084】
これに対し、棒本体41,77が短い場合には、図11に示すように、均し具40,75を、第二の辺に平行な方向に往復動させては、均し具40,75を、第一の辺に沿う方向に移動させる動作の繰返しにより、堆積層表面の全体を均すように、均し工程が実現されてもよい。
【0085】
図11において、第一の辺は、容器5の長辺であり、第二の辺は、容器5の短辺である。図11は、実線矢印で示すように、攪拌均し部30が、均し具40の棒本体41を第二の辺に平行な方向に往復動させた後、均し具40の棒本体41を、第一の辺に平行な方向に移動させて、破線矢印で示すように、均し具40を再度往復動させることを説明する。
【0086】
この他、容器5は、矩形容器に限られない。矩形容器に代えて、図12に示すように、収容空間の液面に沿う断面が円形断面である円形容器6が用いられてもよい。この場合、均し具75の棒本体77は、円形断面の径方向に沿って配置されてもよい。均し具75は、棒本体77が、液面より下且つ堆積層DPより下で、円形断面の周方向に沿って水平移動するように、操作され、それにより均し工程が実現されてもよい。
【0087】
上記実施形態において、均し装置35又はロボットアーム80で実現される均し工程は、人の手作業によって実現されてもよい。上記実施形態では、容器5がベルトコンベヤ10によって搬送されて、ロボットアーム80の前に供給されたが、ロボットアーム80が移動可能に構成されてもよい。すなわち、ロボットアーム80が、静止する容器5の前に移動するように、炊飯システム1は構築されてもよい。
【0088】
ロボットアーム80の前への容器5の供給は、容器5及びロボットアーム80の一方の他方に対する相対移動により実現可能である。同様の思想は、攪拌装置31及び均し装置35に対しても適用することができる。
【0089】
この他、上記実施形態では、均し具40を堆積層DPの表面を均すためだけに用いたが、均し具40は、調理対象の攪拌に流用されてもよい。均し装置35は、攪拌及び均しの両方のために使用されてもよい。攪拌に際して、均し具40は、例えば上下に変動しながら横に移動するように、操作され得る。
【0090】
上記実施形態における1つの構成要素が有する機能は、複数の構成要素に分散して設けられてもよい。複数の構成要素が有する機能は、1つの構成要素に統合されてもよい。上記実施形態の構成の一部は、省略されてもよい。上記実施形態の構成の少なくとも一部は、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換されてもよい。特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【0091】
[本明細書が開示する技術思想]
本明細書には、次の技術思想が開示されていると理解することができる。
[項目1]
容器内で液面下に堆積する粉粒体の堆積層の表面を均すための均し方法であって、
棒状体を、前記容器内の前記液面下に横向きで配置することと、
前記容器内に配置された前記棒状体を、前記液面下の前記堆積層の高さに応じた位置で、前記液面に沿って前記棒状体の長手方向と交差する方向に移動させることと、
を含む均し方法。
[項目2]
容器内で液面下に堆積する粉粒体の堆積層の表面を均すための均し方法であって、
棒状体を、前記容器内の前記液面下に横向きで配置することと、
前記容器内に配置された前記棒状体を、前記堆積層の表面より下で、前記液面に沿って前記棒状体の長手方向と交差する方向に移動させることと、
を含む均し方法。
[項目3]
前記棒状体を移動させることは、前記棒状体の上が前記堆積層の平均高さより下に位置するように、前記棒状体を前記液面に沿って前記棒状体の前記長手方向と交差する方向に移動させることを含む項目1記載の均し方法。
[項目4]
前記棒状体は、前記長手方向に垂直な断面として正多角形又は円形の断面を有する棒状体である項目1~項目3のいずれか一項記載の均し方法。
[項目5]
前記容器は、収容空間の前記液面に沿う断面が矩形状断面である矩形容器であり、
前記棒状体を配置することは、前記棒状体を前記矩形状断面の第一の辺に沿って配置することを含み、
前記棒状体を移動させることは、前記棒状体を、前記液面に沿って、且つ、前記矩形状断面の前記第一の辺とは直交する第二の辺に沿って、移動させることを含む
項目1~項目4のいずれか一項記載の均し方法。
[項目6]
前記容器は、収容空間の前記液面に沿う断面が円形断面である円形容器であり、
前記棒状体を配置することは、前記棒状体を前記円形断面の径方向に沿って配置することを含み、
前記棒状体を移動させることは、前記棒状体を、前記液面に沿って、且つ、前記円形断面の周方向に沿って、移動させることを含む
項目1~項目4のいずれか一項記載の均し方法。
[項目7]
前記棒状体を前記容器内に配置することは、ロボットアームを制御することによって、前記ロボットアームに取り付けられた前記棒状体を、前記容器内に配置することを含み、
前記棒状体を移動させることは、前記ロボットアームを制御することによって、前記棒状体を前記液面に沿って前記棒状体の前記長手方向と交差する方向に移動させることを含む項目1~項目6のいずれか一項記載の均し方法。
[項目8]
前記粉粒体は、穀類であり、前記容器は、炊飯釜であり、
前記棒状体を配置すること及び前記棒状体を移動させることは、前記炊飯釜の加熱を伴う炊飯工程の前に実行される項目1~項目7のいずれか一項記載の均し方法。
[項目9]
容器内で液面下に堆積する粉粒体の堆積層の表面を均すための均し装置であって、
棒状体と、
前記棒状体を、前記容器内の前記液面下に横向きで配置し、前記容器内に配置された前記棒状体を、前記液面下の前記堆積層の高さに応じた位置で、又は、前記堆積層の表面より下で、前記液面に沿って前記棒状体の長手方向と交差する方向に移動させるように構成される駆動機構と、
を備える均し装置。
[項目10]
炊飯システムであって、
液体に浸された粉粒体としての穀類を収容する炊飯釜内で、液面下に位置する前記粉粒体の堆積層を均すための棒状の均し部材が取り付けられたロボットアームと、
前記炊飯釜及び前記ロボットアームの少なくとも一方を他方に対して相対移動させることによって、前記ロボットアームの作業エリアに前記炊飯釜を供給するように構成される供給機構と、
前記ロボットアームを制御するように構成されるコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記炊飯釜の加熱を伴う炊飯工程の前、前記作業エリアに前記炊飯釜が供給された状態で、均し工程として、
前記ロボットアームを制御し、前記均し部材を前記炊飯釜内の前記液面下に横向きで配置することと、
前記ロボットアームを制御し、前記炊飯釜内に配置された前記均し部材を、前記液面下の前記堆積層の高さに応じた位置で、又は、前記堆積層の表面より下で、前記液面に沿って前記均し部材の長手方向と交差する方向に移動させることと、
を含む処理を実行する炊飯システム。
[項目11]
前記ロボットアームには、前記粉粒体を前記炊飯釜内で攪拌するための攪拌部材が取り付けられ、
前記コントローラは、前記均し工程の前に、攪拌工程として、
前記ロボットアームを制御し、前記攪拌部材を前記炊飯釜内の前記液面下に配置することと、
前記ロボットアームを制御し、前記攪拌部材を予め定められた方式で移動させることにより、前記粉粒体を前記炊飯釜内で攪拌することと、
を含む処理を実行するように構成され、
前記攪拌部材及び前記均し部材は、前記均し工程では前記攪拌部材が前記液面下に配置されず、前記攪拌工程では前記均し部材が前記液面下に配置されないように前記ロボットアームに取り付けられる項目10記載の炊飯システム。
【符号の説明】
【0092】
1…炊飯システム、5…容器、10…ベルトコンベヤ、20…投入部、30…攪拌均し部、31…攪拌装置、35…均し装置、40…均し具、41…棒本体、45…連結要素、50…炊飯部、60…管理装置、61…コントローラ、63…表示機器類、65…操作機器類、70…調理具、71…基部、73…攪拌具、75…均し具、77…棒本体、78…連結要素、80…ロボットアーム、81…先端部、351…リニアアクチュエータ、355…回動機構、611…プロセッサ、613…メモリ、615…通信インタフェース。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12