(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169021
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】オプションユニットおよび火災監視システム
(51)【国際特許分類】
G08B 17/10 20060101AFI20241128BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G08B17/10 G
G08B17/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086190
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003476
【氏名又は名称】弁理士法人瑛彩知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】野澤 孝甫
【テーマコード(参考)】
5C085
5G405
【Fターム(参考)】
5C085AA03
5C085AA05
5C085AA07
5C085AA18
5C085CA04
5C085FA09
5C085FA33
5G405AA01
5G405AB02
5G405AB03
5G405AB08
5G405CA05
5G405FA23
(57)【要約】
【課題】煙感知器の機能を拡張するためのオプションユニットを提供する。
【解決手段】本発明に係るオプションユニットは、監視空間に配置されたサンプリング管と、サンプリング管に吸引されたサンプリングエアから煙を検知する煙感知器との間に挿入されるオプションユニットであって、サンプリングエアに含まれるガスを検知するニオイ検知センサと、サンプリングエアに含まれるCO
2を検知するCO
2検知センサと、サンプリングエアから塵埃を除去するろ過器と、サンプリングエアの吸引を強化するファンのうち、少なくともいずれか1つを備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視空間に配置されたサンプリング管と、当該サンプリング管に吸引されたサンプリングエアから煙を検知する煙感知器との間に挿入されるオプションユニットであって、
前記サンプリングエアに含まれるガスを検知するニオイ検知センサと、
前記サンプリングエアに含まれるCO2を検知するCO2検知センサと、
前記サンプリングエアから塵埃を除去するろ過器と、
前記サンプリングエアの吸引を強化するファン
のうち、少なくともいずれか1つを備えるオプションユニット。
【請求項2】
前記ろ過器は、サイクロン集塵機であることを特徴とする、請求項1に記載のオプションユニット。
【請求項3】
監視空間に配置されるサンプリング管と、当該サンプリング管に吸引されたサンプリングエアから煙を検知すると、火災信号を出力する煙感知器との間に挿入されるオプションユニットであって、前記サンプリングエアに含まれるガスまたはCO2を検知すると、火災信号を出力するオプションユニットと、
前記煙感知器と前記オプションユニットの両方から火災信号が出力された場合に、火災移報信号を出力する火災移報手段と
を備える火災監視システム。
【請求項4】
監視空間に配置されるサンプリング管と、当該サンプリング管に吸引されたサンプリングエアから煙を検知すると、火災信号を出力する煙感知器との間に挿入されるオプションユニットであって、前記サンプリングエアに含まれるガスまたはCO2を検知すると、火災信号を出力するオプションユニットと、
前記煙感知器と前記オプションユニットのうち、少なくともいずれか一方から火災信号が出力された場合に、火災移報信号を出力する火災移報手段と
を備える火災監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煙感知器用のオプションユニットと火災監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サンプリング管式煙感知器が知られている(例えば、特許文献1参照)。この煙感知器は、筐体と、筐体内に配設された発光素子および受光素子と、監視区域の空気がサンプリング管を介して供給される筐体内の検煙部と、サンプリング管に設けられたフィルタと、サンプリング管に連通するモータ付きのファンとを備えている。この煙感知器では、発光素子から発光した照射光は、検煙部に存在する煙粒子によって散乱され、その散乱した光を受光素子が受光することにより、火災判別を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような煙感知器について、機能を拡張したいという要請がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、煙感知器の機能を拡張するためのオプションユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明に係るオプションユニットは、監視空間に配置されたサンプリング管と、当該サンプリング管に吸引されたサンプリングエアから煙を検知する煙感知器との間に挿入されるオプションユニットであって、前記サンプリングエアに含まれるガスを検知するニオイ検知センサと、前記サンプリングエアに含まれるCO2を検知するCO2検知センサと、前記サンプリングエアから塵埃を除去するろ過器と、前記サンプリングエアの吸引を強化するファンのうち、少なくともいずれか1つを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、煙感知器の機能を拡張するためのオプションユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施例に係る火災監視システム100の一例を示す。
【
図2】
図2は、第2実施例に係る火災監視システム200の一例を示す。
【
図3】
図3は、第3実施例に係る火災監視システム300の一例を示す。
【
図4】
図4は、第4実施例に係る火災監視システム400の一例を示す。
【
図5】
図5は、第5実施例に係る火災監視システム500の一例を示す。
【
図6】
図6は、第6実施例に係る火災監視システム600の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.第1実施例
本発明の第1実施例について、図面を参照して説明する。
図1は、第1実施例に係る火災監視システム100の一例を示す。
火災監視システム100は、監視空間に配置されるサンプリング管110と、サンプリング管110を介して吸引したサンプリングエアから煙を検知する煙感知器120と、サンプリング管110と煙感知器120の間に挿入されたニオイ検知モジュール130を備える。
【0009】
サンプリング管110は、複数のサンプリング孔111を有し、このサンプリング孔111から監視空間内の空気が吸引される。
【0010】
煙感知器120は、サンプリング管式煙感知器である。この煙感知器120は、筐体121と、筐体121内に配設された直線状の本管122と、本管122から分岐するコ字状のバイパス管123を備える。
【0011】
本管122の上流側端部には、直線状の連結管140の下流側端部が接続されている。この連結管140の上流側端部は、ニオイ検知モジュール130の本管132の下流側端部に接続されている。この連結管140により、煙感知器120の本管122とニオイ検知モジュール130の本管132が連通される。
【0012】
本管122の下流側には吸引ファン124が設けられている。この吸引ファン124は、監視空間の空気を本管122内に導入するために使用される。
【0013】
バイパス管123の上流側にはフィルタ125が配置されている。このフィルタ125は、本管122からバイパス管123に流れ込んだサンプリングエアから塵埃を除去するためのろ過器である。
【0014】
バイパス管123の下流側には煙検知部126が配置されている。この煙検知部126は、フィルタ125を通過したサンプリングエアから煙粒子を検知する。この煙検知部126は、総散乱光検知方式の煙検知器である。
【0015】
この煙検知部126は、暗箱である光学ケース(図示略)を備える。この光学ケースには、レーザ光源等の発光素子と、フォトダイオード等の受光素子が配置されている。このうち、受光素子は、発光素子の光が煙粒子に当たって生じる散乱光を受光するためのものであり、発光素子の光が直接入射しない位置に配置されている。この受光素子は、受光した光に応じた信号を制御基板127に出力する。
【0016】
煙感知器120の筐体121内には制御基板127が格納されている。この制御基板127には、電源回路とマイクロコントローラが搭載されている(いずれも図示略)。このうち、マイクロコントローラは、CPU、RAM、ROM等を備えている。このマイクロコントローラのCPUが、ROMに記憶されているプログラムを実行することで、火災判定部という機能が実現される。
【0017】
この火災判定部は、上記の受光素子から出力される信号を増幅し、増幅した信号を検出レベルに変換し、変換した検出レベルが予め設定されたしきい値以上であるか否かを判定する。火災判定部は、この判定の結果、検出レベルが予め設定されたしきい値以上である場合には、火災と判定する。そして火災判定部は、筐体121正面に配置された表示灯(図示略)を点滅させ、かつ、筐体121内に格納されたスピーカ(図示略)から警報音を出力する。火災判定部は、これにより、周囲の人間に火災の発生を周知する。
【0018】
また火災判定部は、煙感知器120が外部装置(例えば、警報盤)に接続されている場合には、外部装置に対して火災信号を出力する。これにより、外部装置に火災の発生が通知される。
【0019】
次に、ニオイ検知モジュール130について説明する。
ニオイ検知モジュール130は、煙感知器120の機能を拡張するためのオプションユニットである。このモジュールは、サンプリング管110と煙感知器120の間に着脱自在に挿入されて使用される。このモジュールが拡張する機能は、火災検知機能である。
【0020】
ニオイ検知モジュール130は、筐体131と、筐体131内に配設された直線状の本管132と、本管132から分岐するコ字状のバイパス管133を備える。
【0021】
本管132の上流側端部には、サンプリング管110の基端が接続されている。本管132の下流側端部には、連結管140の上流側端部が接続されている。
連結管140の下流側端部は、上述したように、煙感知器120の本管122の上流側端部に接続されている。
そのため、ニオイ検知モジュール130の本管132と連結管140により、サンプリング管110と煙感知器120の本管122が連通される。
【0022】
煙感知器120の本管122には、上述したように、吸引ファン124が設けられている。この吸引ファン124により、監視空間の空気がニオイ検知モジュール130の本管132に導入される。そのため、ニオイ検知モジュール130には吸引ファンを備える必要がない。
【0023】
ニオイ検知モジュール130のバイパス管133にはニオイ検知センサ134が配置されている。このニオイ検知センサ134は、本管132からバイパス管133に流れ込んだサンプリングエアからガス(具体的には、煙や焦げ臭)を検知する。このセンサは、具体的には半導体式ガスセンサ(言い換えると、感ガス素子)であり、検知したガスの濃度に応じた信号を制御基板135に出力する。
【0024】
ニオイ検知モジュール130の筐体131内には制御基板135が格納されている。この制御基板135には、電源回路とマイクロコントローラが搭載されている(いずれも図示略)。このうち、マイクロコントローラは、CPU、RAM、ROM等を備えている。このマイクロコントローラのCPUが、ROMに記憶されているプログラムを実行することで、火災判定部という機能が実現される。
【0025】
この火災判定部は、上記のニオイ検知センサ134から出力される信号を増幅し、増幅した信号を検出レベルに変換し、変換した検出レベルが予め設定されたしきい値以上であるか否かを判定する。火災判定部は、この判定の結果、検出レベルが予め設定されたしきい値以上である場合には、火災と判定する。そして火災判定部は、筐体131正面に配置された表示灯(図示略)を点滅させ、かつ、筐体131内に格納されたスピーカ(図示略)から警報音を出力する。火災判定部は、これにより、周囲の人間に火災の発生を周知する。
【0026】
また火災判定部は、ニオイ検知モジュール130が外部装置(例えば、警報盤)に接続されている場合には、外部装置に対して火災信号を出力する。これにより、外部装置に火災の発生が通知される。
【0027】
以上説明した火災監視システム100では、煙感知器120により火災が検知される。加えて、ニオイ検知モジュール130によっても火災が検知される。そのため、火災の検知漏れが防止される。
加えて、ニオイ検知モジュール130は、上述した通り、サンプリング管110と煙感知器120の間に着脱自在に挿入可能である。そのため、このニオイ検知モジュール130を既設のサンプリング管110と煙感知器120の間に挿入することで、火災の検知性能を向上させることができる。
【0028】
2.第2実施例
本発明の第2実施例について、図面を参照して説明する。
図2は、第2実施例に係る火災監視システム200の一例を示す。
火災監視システム200は、監視空間に配置されるサンプリング管110と、サンプリング管110を介して吸引したサンプリングエアから煙を検知する煙感知器120と、サンプリング管110と煙感知器120の間に挿入されたCO
2検知モジュール210を備える。このシステムの構成要素のうち、サンプリング管110と煙感知器120は第1実施例と共通するため、以下では、第1実施例と共通しないCO
2検知モジュール210についてのみ説明する。
【0029】
CO2検知モジュール210は、煙感知器120の機能を拡張するためのオプションユニットである。このモジュールは、サンプリング管110と煙感知器120の間に着脱自在に挿入されて使用される。このモジュールが拡張する機能は、火災検知機能である。
【0030】
CO2検知モジュール210は、筐体211と、筐体211内に配設された直線状の本管212と、本管212から分岐するコ字状のバイパス管213を備える。
【0031】
本管212の上流側端部には、サンプリング管110の基端が接続されている。本管212の下流側端部には、連結管140の上流側端部が接続されている。
連結管140の下流側端部は、煙感知器120の本管122の上流側端部に接続されている。
そのため、CO2検知モジュール210の本管212と連結管140により、サンプリング管110と煙感知器120の本管122が連通される。
【0032】
煙感知器120の本管122には、上述したように、吸引ファン124が設けられている。この吸引ファン124により、監視空間の空気がCO2検知モジュール210の本管212に導入される。そのため、CO2検知モジュール210には吸引ファンを備える必要がない。
【0033】
CO2検知モジュール210のバイパス管213にはCO2検知センサ214が配置されている。このCO2検知センサ214は、本管212からバイパス管213に流れ込んだサンプリングエアから二酸化炭素を検知する。このセンサは、具体的には非分散型赤外線式(NDIR)の二酸化炭素センサであり、検知した二酸化炭素の濃度に応じた信号を制御基板215に出力する。
【0034】
CO2検知モジュール210の筐体211内には制御基板215が格納されている。この制御基板215には、電源回路とマイクロコントローラが搭載されている(いずれも図示略)。このうち、マイクロコントローラは、CPU、RAM、ROM等を備えている。このマイクロコントローラのCPUが、ROMに記憶されているプログラムを実行することで、火災判定部という機能が実現される。
【0035】
この火災判定部は、上記のCO2検知センサ214から出力される信号を増幅し、増幅した信号を検出レベルに変換し、変換した検出レベルが予め設定されたしきい値以上であるか否かを判定する。火災判定部は、この判定の結果、検出レベルが予め設定されたしきい値以上である場合には、火災と判定する。そして火災判定部は、筐体211正面に配置された表示灯(図示略)を点滅させ、かつ、筐体211内に格納されたスピーカ(図示略)から警報音を出力する。火災判定部は、これにより、周囲の人間に火災の発生を周知する。
【0036】
また火災判定部は、CO2検知モジュール210が外部装置(例えば、警報盤)に接続されている場合には、外部装置に対して火災信号を出力する。これにより、外部装置に火災の発生が通知される。
【0037】
以上説明した火災監視システム200では、煙感知器120により火災が検知される。加えて、CO2検知モジュール210によっても火災が検知される。そのため、火災の検知漏れが防止される。
加えて、CO2検知モジュール210は、上述した通り、サンプリング管110と煙感知器120の間に着脱自在に挿入可能である。そのため、このCO2検知モジュール210を既設のサンプリング管110と煙感知器120の間に挿入することで、火災の検知性能を向上させることができる。
【0038】
3.第3実施例
本発明の第3実施例について、図面を参照して説明する。
図3は、第3実施例に係る火災監視システム300の一例を示す。
火災監視システム300は、監視空間に配置されるサンプリング管110と、サンプリング管110を介して吸引したサンプリングエアから煙を検知する煙感知器120と、サンプリング管110と煙感知器120の間に挿入された塵埃除去モジュール310を備える。このシステムの構成要素のうち、サンプリング管110と煙感知器120は第1実施例と共通するため、以下では、第1実施例と共通しない塵埃除去モジュール310についてのみ説明する。
【0039】
塵埃除去モジュール310は、煙感知器120の機能を拡張するためのオプションユニットである。このモジュールは、サンプリング管110と煙感知器120の間に着脱自在に挿入されて使用される。このモジュールが拡張する機能は、塵埃除去機能である。
【0040】
塵埃除去モジュール310は、筐体311と、筐体311内に収容されたサイクロン集塵機312と、サイクロン集塵機312にサンプリングエアを導入するために筐体311内に配設された導入管313と、サイクロン集塵機312からサンプリングエアを排出するために筐体311内に配設された排出管314を備える。
【0041】
このうち、サイクロン集塵機312は、サンプリングエアから塵埃を除去するためのろ過器であり、下方に向けて縮径する円錐状のサイクロン本体315と、サイクロン本体315の下端開口に接続されたダストボックス316を備える。
【0042】
導入管313は、その上流側端部がサンプリング管110の基端に接続され、その下流側端部がサイクロン本体315の側壁上部に接続されている。
【0043】
排出管314は、その上流側端部がサイクロン本体315の蓋部中央に接続され、その下流側端部が連結管140の上流側端部に接続されている。
連結管140の下流側端部は、煙感知器120の本管122の上流側端部に接続されている。
そのため、塵埃除去モジュール310と連結管140により、サンプリング管110と煙感知器120の本管122が連通される。
【0044】
煙感知器120の本管122には、上述したように、吸引ファン124が設けられている。この吸引ファン124により、監視空間の空気が塵埃除去モジュール310の導入管313に導入される。そのため、塵埃除去モジュール310には吸引ファンを備える必要がない。
【0045】
導入管313に導入された空気(言い換えると、サンプリングエア)は、接線方向にサイクロン本体315に流入し、旋回流となって内部を旋回しながら下降する。その際、サンプリングエアに含まれる塵埃は、当該エアの旋回に伴う遠心力によってサイクロン本体315の内壁に押し付けられ、当該内壁との摩擦によって減速する。減速した塵埃はサイクロン本体315の内壁に沿って降下し、当該本体の下端開口に接続されたダストボックス316に入る。
【0046】
サイクロン本体315の内部を旋回しながら下降したサンプリングエアは、サイクロン本体315の下部において反転し、サイクロン本体315の中心部を上昇する。上昇したサンプリングエアは排出管314を通って連結管140に流入する。
このようにしてサンプリングエアから塵埃が除去される。
【0047】
以上説明した火災監視システム300では、サンプリング管110と煙感知器120の間に塵埃除去モジュール310が挿入されている。挿入された塵埃除去モジュール310は、サンプリング管110から吸引されたサンプリングエアから塵埃を除去する。そのため、煙感知器120には、塵埃が除去されたサンプリングエアが供給されることになる。
このような火災監視システム300であれば、空気が汚れている監視空間(例えば、工場、電気室、半屋外施設など)にも設置して利用することができる。
【0048】
加えて、塵埃除去モジュール310は、上述した通り、サンプリング管110と煙感知器120の間に着脱自在に挿入可能である。そのため、この塵埃除去モジュール310を既設のサンプリング管110と煙感知器120の間に挿入することで、塵埃除去性能を向上させることができる。
【0049】
4.第4実施例
本発明の第4実施例について、図面を参照して説明する。
図4は、第4実施例に係る火災監視システム400の一例を示す。
火災監視システム400は、監視空間に配置されるサンプリング管110と、サンプリング管110を介して吸引したサンプリングエアから煙を検知する煙感知器120と、サンプリング管110と煙感知器120の間に挿入された吸引力強化モジュール410を備える。このシステムの構成要素のうち、サンプリング管110と煙感知器120は第1実施例と共通するため、以下では、第1実施例と共通しない吸引力強化モジュール410についてのみ説明する。
【0050】
吸引力強化モジュール410は、煙感知器120の機能を拡張するためのオプションユニットである。このモジュールは、サンプリング管110と煙感知器120の間に着脱自在に挿入されて使用される。このモジュールが拡張する機能は、サンプリングエアの吸引機能である。
【0051】
吸引力強化モジュール410は、筐体411と、筐体411内に配設された配管412を備える。配管412の上流側端部には、サンプリング管110の基端が接続されている。配管412の下流側端部には、連結管140の上流側端部が接続されている。
連結管140の下流側端部は、煙感知器120の本管122の上流側端部に接続されている。
そのため、吸引力強化モジュール410の配管412と連結管140により、サンプリング管110と煙感知器120の本管122が連通される。
【0052】
煙感知器120の本管122には、上述したように、吸引ファン124が設けられている。この吸引ファン124により、監視空間の空気が吸引力強化モジュール410の配管412に導入される。
加えて吸引力強化モジュール410の配管412には、ブロアファン413が設けられている。このブロアファン413は、監視空間の空気を配管412内に導入し、ひいては煙感知器120の本管122に導入するために使用される。このブロアファン413は、サンプリングエアの吸引を強化する。
【0053】
このブロアファン413には、回転数を監視するための回転計(図示略)が取り付けられている。この回転計は、ブロアファン413の回転数を計測し、計測した回転数を表す信号を制御基板414に出力する。
【0054】
吸引力強化モジュール410の筐体411内には制御基板414が格納されている。この制御基板414には、電源回路とマイクロコントローラが搭載されている(いずれも図示略)。このうち、マイクロコントローラは、CPU、RAM、ROM等を備えている。このマイクロコントローラのCPUが、ROMに記憶されているプログラムを実行することで、異常判定部という機能が実現される。
【0055】
この異常判定部は、上記の回転計から出力される信号を取得し、取得した信号が表す回転数が予め設定されたしきい値以上であるか否かを判定する。異常判定部は、この判定の結果、回転数が予め設定されたしきい値未満である場合には、異常と判定する。そして異常判定部は、筐体411正面に配置された表示灯(図示略)を点滅させ、かつ、筐体411内に格納されたスピーカ(図示略)から警報音を出力する。異常判定部は、これにより、周囲の人間にブロアファン413の異常を周知する。
【0056】
また異常判定部は、吸引力強化モジュール410が外部装置(例えば、警報盤)に接続されている場合には、外部装置に対して異常信号を出力する。これにより、外部装置にブロアファン413の異常が通知される。
【0057】
以上説明した火災監視システム400では、サンプリング管110と煙感知器120の間に吸引力強化モジュール410が挿入されている。挿入された吸引力強化モジュール410は、サンプリングエアの吸引力を強化する。そのため、この吸引力強化モジュール410を挿入することで、サンプリング管110の延長が可能になる。
加えて、吸引力強化モジュール410は、上述した通り、サンプリング管110と煙感知器120の間に着脱自在に挿入可能である。そのため、この吸引力強化モジュール410を既設のサンプリング管110と煙感知器120の間に挿入することで、サンプリングエアの吸引性能を向上させることができる。
【0058】
5.第5実施例
本発明の第5実施例について、図面を参照して説明する。
図5は、第5実施例に係る火災監視システム500の一例を示す。
火災監視システム500は、監視空間に配置されるサンプリング管110と、サンプリング管110を介して吸引したサンプリングエアから煙を検知する煙感知器120と、サンプリング管110と煙感知器120の間に挿入されたニオイ検知モジュール130およびCO
2検知モジュール210と、煙感知器120と各モジュール130、210に接続されたPLC(Programmable Logic Controller)510を備える。このシステムの構成要素のうち、サンプリング管110、煙感知器120およびニオイ検知モジュール130は第1実施例と共通し、CO
2検知モジュール210は第2実施例と共通する。そのため以下では、主にPLC510について説明する。
【0059】
PLC510について説明する前に、各モジュールの接続の仕方について説明する。
本システムでは、ニオイ検知モジュール130の本管132の上流側端部に、サンプリング管110の基端が接続されている。ニオイ検知モジュール130の本管132の下流側端部は、連結管140を介して、CO2検知モジュール210の本管212の上流側端部と接続されている。
CO2検知モジュール210の本管212の下流側端部は、連結管140を介して、煙感知器120の本管122の上流側端部と接続されている。
そのため、ニオイ検知モジュール130、CO2検知モジュール210および連結管140により、サンプリング管110と煙感知器120が連通される。
【0060】
煙感知器120の本管122には、上述したように、吸引ファン124が設けられている。この吸引ファン124により、監視空間の空気がニオイ検知モジュール130とCO2検知モジュール210に導入される。そのため、各モジュール130、210には吸引ファンを備える必要がない。
【0061】
PLC510は、ニオイ検知モジュール130、CO2検知モジュール210および煙感知器120の各制御基板に、信号線520で接続されている。PLC510は、各信号線520を介してニオイ検知モジュール130等から火災信号を受信する。
【0062】
このPLC510は、CPUとメモリを備えている。このPLC510のCPUが、ROMに記憶されているプログラムを実行することで、火災移報部という機能が実現される。
【0063】
火災移報部は、AND演算を実行する。この火災移報部は、具体的には、ニオイ検知モジュール130、CO2検知モジュール210および煙感知器120のすべてから火災信号を受け付けると、火災移報信号を出力する。言い換えると、この火災移報部は、それら3台の防災機器のうち、1台または2台から火災信号を受け付けただけでは、火災報信号を出力しない。
【0064】
PLC510から出力された火災移報信号は、PLC510に接続された外部機器に入力される。PLC510に外部機器として警報盤が接続されている場合には、火災移報信号は警報盤に入力される。火災移報信号が入力された警報盤は、盤面に配置された表示灯を点滅させ、かつ、盤内に格納されたスピーカから警報音を出力する。警報盤は、これにより、周囲の人間に火災の発生を周知する。
【0065】
以上説明した火災監視システム500では、ニオイ検知モジュール130、CO2検知モジュール210、煙感知器120から出力される火災信号はPLC510に入力される。PLC510は、それら3台の防災機器のすべてから火災信号を受け付けてはじめて、火災移報信号を出力する。そのため、PLC510の火災移報の精度は高く、誤報の可能性が低い。
【0066】
なお、上記のPLC510はAND演算を行うようにプログラミングされているが、OR演算を行うようにプログラミングしてもよい。その場合、PLC510の火災移報部は、ニオイ検知モジュール130、CO2検知モジュール210、煙感知器120のいずれか1台から火災信号を受け付けると、火災移報信号を出力する。この場合は、火災移報のトリガは、1台からの火災信号だけでよい。
【0067】
PLC510がOR演算を行った場合、3台の防災機器のうち1台でも火災信号を出力すると火災移報信号が出力される。その結果、早期の火災移報が実現される。
【0068】
6.第6実施例
本発明の第6実施例について、図面を参照して説明する。
図6は、第6実施例に係る火災監視システム600の一例を示す。
火災監視システム600は、監視空間に配置されるサンプリング管110と、サンプリング管110を介して吸引したサンプリングエアから煙を検知する煙感知器120と、サンプリング管110と煙感知器120の間に挿入されたニオイ検知モジュール130、CO
2検知モジュール210、塵埃除去モジュール310および吸引力強化モジュール410を備える。このシステムの構成要素は、第1~第4実施例のいずれかと共通する。そのため以下では、各構成要素の接続の仕方についてのみ説明する。
【0069】
本システムでは、ニオイ検知モジュール130の本管132の上流側端部に、サンプリング管110の基端が接続されている。ニオイ検知モジュール130の本管132の下流側端部は、連結管140を介して、CO2検知モジュール210の本管212の上流側端部と接続されている。CO2検知モジュール210の本管212の下流側端部は、連結管140を介して、塵埃除去モジュール310の導入管313の上流側端部と接続されている。塵埃除去モジュール310の排出管314の下流側端部は、連結管140を介して、吸引力強化モジュール410の配管412の上流側端部と接続されている。吸引力強化モジュール410の配管412の下流側端部は、連結管140を介して、煙感知器120の本管122の上流側端部と接続されている。
【0070】
そのため、サンプリング管110と煙感知器120は、ニオイ検知モジュール130、CO2検知モジュール210、塵埃除去モジュール310、吸引力強化モジュール410および連結管140により連通される。
【0071】
煙感知器120の本管122には、上述したように、吸引ファン124が設けられている。また吸引力強化モジュール410の配管412には、上述したように、ブロアファン413が設けられている。これらのファンにより、監視空間の空気が、各モジュール130、210、310および410と煙感知器120に導入される。そのため、モジュール130、210、310には吸引ファンを備える必要がない。
【0072】
以上説明した火災監視システム600には、煙感知器120に加えて、ニオイ検知モジュール130とCO2検知モジュール210が備わっており、火災の検知性能が向上している。そのため、火災の検知漏れがより防止される。
また本システムには塵埃除去モジュール310が備わっており、塵埃除去性能が向上している。そのため、空気が汚れている監視空間(例えば、工場、電気室、半屋外施設など)にも設置して利用することができる。
また本システムには吸引力強化モジュール410が備わっており、サンプリングエアの吸引性能が向上している。そのため、当該モジュールを備えない場合と比較して、サンプリング管110の延長が可能になる。
【0073】
加えて、各モジュール130、210、310および410は、上述した通り、サンプリング管110と煙感知器120の間に着脱自在に挿入可能である。そのため、各モジュール130、210、310および410を既設のサンプリング管110と煙感知器120の間に挿入することで、煙感知器120の機能を拡張することができる。
【0074】
7.変形例
上記の実施例を下記のように変形してもよい。以下の変形例は互いに組み合わせてもよい。
(1)第1実施例のニオイ検知センサ134は、半導体式のガスセンサに限られず、その他の方式のガスセンサであってもよい。例えばニオイ検知センサ134は、水晶振動子式のガスセンサであってもよい。
【0075】
(2)第2実施例のCO2検知センサ214は、非分散型赤外線式(NDIR)のCO2センサに限られず、その他の方式のCO2センサであってもよい。例えばCO2検知センサ214は、光音響方式のCO2センサであってもよい。
【0076】
(3)第3実施例の塵埃除去モジュール310は、サイクロン集塵機312に代えて、その他の方式のろ過器を備えてもよい。例えば塵埃除去モジュール310は、フィルタを備えてもよい。
【0077】
(4)第4実施例の吸引力強化モジュール410は、ブロアファン413に代えて、その他の形状のファンを備えてもよい。例えば吸引力強化モジュール410は、軸流ファンを備えてもよい。
【0078】
(5)第5実施例のPLC510の機能は、リレー回路を用いて実現してもよい。
【0079】
(6)第5実施例の火災監視システム500には、ニオイ検知モジュール130とCO2検知モジュール210が含まれているが、これら2つのモジュールのうち、一方を省略してもよい。その場合、PLC510は、2つのモジュールのうちの一方と煙感知器120の間でAND演算またはOR演算を行ってよい。
【0080】
(7)第5実施例と第6実施例では複数のモジュールを組み合わせて用いているが、モジュールの組み合わせはこれらの例に限られない。各モジュール130、210、310および410は、利用シーンに応じて適宜組み合わせて用いられてよい。
【0081】
(8)第6実施例では各モジュール130、210、310および410が、それぞれ別体として構成されているが、2以上のモジュールを組み合わせて1つのモジュールとしてもよい。例えば、ニオイ検知モジュール130とCO2検知モジュール210の構成要素(筐体を除く)を、1つの筐体に収容して1つのモジュールとしてもよい。別の例として、塵埃除去モジュール310と吸引力強化モジュール410の構成要素(筐体を除く)を、1つの筐体に収容して1つのモジュールとしてもよい。
【0082】
(9)上記の各実施例では、煙感知器120の一次側(上流側)にオプションユニットが設置されている。しかし、一次側に設置することは必須の要件ではない。塵埃除去モジュール310以外のオプションユニットについては、煙感知器120の二次側(下流側)に設置してもよい。
【0083】
(10)なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0084】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0085】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
なお、上述の実施例は少なくとも特許請求の範囲に記載の構成を開示している。
【符号の説明】
【0086】
100…火災監視システム、110…サンプリング管、111…サンプリング孔、120…煙感知器、121…筐体、122…本管、123…バイパス管、124…吸引ファン、125…フィルタ、126…煙検知部、127…制御基板、130…ニオイ検知モジュール、131…筐体、132…本管、133…バイパス管、134…ニオイ検知センサ、135…制御基板、140…連結管、200…火災監視システム、210…CO2検知モジュール、211…筐体、212…本管、213…バイパス管、214…CO2検知センサ、215…制御基板、300…火災監視システム、310…塵埃除去モジュール、311…筐体、312…サイクロン集塵機、313…導入管、314…排出管、315…サイクロン本体、316…ダストボックス、400…火災監視システム、410…吸引力強化モジュール、411…筐体、412…配管、413…ブロアファン、414…制御基板、500…火災監視システム、510…PLC、520…信号線、600…火災監視システム