(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169042
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】外装ユニット及び外装方法
(51)【国際特許分類】
B23P 21/00 20060101AFI20241128BHJP
H01B 13/012 20060101ALI20241128BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B23P21/00 307G
H01B13/012 Z
H02G3/04 062
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086222
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】仁科 紘至
(72)【発明者】
【氏名】末松 宏貴
(72)【発明者】
【氏名】中島 大雅
(72)【発明者】
【氏名】中田 拓也
【テーマコード(参考)】
3C030
5G357
【Fターム(参考)】
3C030BC16
3C030DA18
3C030DA26
5G357DB03
5G357DD06
5G357DD10
5G357DE03
(57)【要約】
【課題】手作業を抑えつつ、コネクタ付き電線束に対して様々な取付け方で外装材を取り付ける。
【解決手段】外装ユニット1が、コネクタ付き電線束W1を縦置き姿勢で保持する縦置き保持部111を循環移動が可能に保持するとともに、縦置き姿勢で移動中のコネクタ付き電線束W1に対して第1外装材W13を取り付ける第1外装処理を行う第1外装機構11と、第1外装処理が施された外装途中電線束W1aを横置き姿勢で保持する横置き保持部121を循環移動が可能に保持するとともに、横置き姿勢で移動中の外装途中電線束W1aに対して第2外装材W14を取り付ける第2外装処理を行う第2外装機構12と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の電線の束の両端にコネクタが取り付けられたコネクタ付き電線束を鉛直方向に沿った縦置き姿勢で保持する縦置き保持部を、縦置きセット位置及び縦置き取外し位置を経由する循環移動が可能に保持するとともに、前記縦置きセット位置から前記縦置き取外し位置まで前記縦置き姿勢で移動中の前記コネクタ付き電線束に対し、第1外装材を取り付ける第1外装処理を行う第1外装機構と、
前記第1外装処理が施された前記コネクタ付き電線束を水平方向に沿った横置き姿勢で保持する横置き保持部を、横置きセット位置及び横置き取外し位置を経由する循環移動が可能に保持するとともに、前記横置きセット位置から前記横置き取外し位置まで前記横置き姿勢で移動中の前記コネクタ付き電線束に対し、第2外装材を取り付ける第2外装処理を行う第2外装機構と、
を備えたことを特徴とする外装ユニット。
【請求項2】
前記第1外装機構は、複数の前記縦置き保持部を、一列に並んだ状態で循環移動するように保持し、
前記第2外装機構が、複数の前記横置き保持部を、一列に並んだ状態で循環移動するように保持することを特徴とする請求項1に記載の外装ユニット。
【請求項3】
前記縦置きセット位置の前記縦置き保持部に前記コネクタ付き電線束を前記縦置き姿勢でセットする縦置きセット機構と、
前記縦置き取外し位置の前記縦置き保持部から前記第1外装処理が施された前記コネクタ付き電線束を取り外すとともに、前記横置きセット位置の前記横置き保持部に前記横置き姿勢でセットする縦横移送機構と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の外装ユニット。
【請求項4】
前記縦置きセット機構が、前記コネクタ付き電線束をU字状に曲げた状態で両端の前記コネクタを保持する第1電線保持具を介して前記コネクタ付き電線束を保持する機構であって、各前記コネクタを前記第1電線保持具から外しながらU字状の前記コネクタ付き電線束を延ばして前記縦置き保持部にセットするものであり、
前記縦横移送機構が、前記コネクタ付き電線束をU字状に曲げた状態で両端の前記コネクタを保持する第2電線保持具を介して前記コネクタ付き電線束を保持する機構であって、各前記コネクタを前記縦置き保持部から前記第2電線保持具に移し替えて前記コネクタ付き電線束をU字状に曲げた状態で保持して前記横置き保持部まで運び、各前記コネクタを前記第2電線保持具から外しながらU字状の前記コネクタ付き電線束を延ばして前記横置き保持部にセットするものであることを特徴とする請求項3に記載の外装ユニット。
【請求項5】
前記横置き取外し位置の前記横置き保持部から前記コネクタ付き電線束を取り外して、所定の払出し位置へと運ぶ払出し機構を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の外装ユニット。
【請求項6】
前記縦置き保持部が、
前記縦置き姿勢の前記コネクタ付き電線束における上側のコネクタを保持する上側保持部と、
下側のコネクタを保持する下側保持部と、
前記上側保持部及び前記下側保持部のうちの一方を、その相互間隔を調節可能に支持する支持部と、
を備えたものであることを特徴とする請求項1に記載の外装ユニット。
【請求項7】
前記第1外装機構において前記縦置き保持部が移動する縦置き循環ルートが長尺環状のルートであり、長手方向の一端側に前記縦置きセット位置が設けられ、他端側に前記縦置き取外し位置が設けられ、
前記第2外装機構において前記横置き保持部が移動する横置き循環ルートが長尺環状のルートであり、長手方向の一端側に前記横置きセット位置が設けられ、他端側に前記横置き取外し位置が設けられ、
前記縦置き循環ルートの一対の長手ルートのうちの一方である第1縦置き長手ルートにおいて前記第1外装処理が行われるとともに、前記横置き循環ルートの一対の長手ルートのうちの第1横置き長手ルートにおいて前記第2外装処理が行われ、
前記縦置き循環ルートにおける第2縦置き長手ルート及び前記横置き循環ルートにおける第2横置き長手ルートの少なくとも一方において、前記第1外装材及び前記第2外装材のうちの対応する外装材の少なくとも一部が、前記縦置き保持部及び前記横置き保持部のうちの対応する保持部に供給されることを特徴とする請求項1に記載の外装ユニット。
【請求項8】
前記第1外装処理で用いられる前記第1外装材の少なくとも一部は、前記縦置き保持部へのセット前に前記コネクタ付き電線束に通されたチューブ状の先通し部材であり、
前記第1外装処理では、前記先通し部材が、前記コネクタ付き電線束における長さ方向の固定位置に位置合わせされて固定されることを特徴とする請求項1に記載の外装ユニット。
【請求項9】
前記第2外装処理で用いられる前記第2外装材の少なくとも一部は、前記横置き姿勢の前記コネクタ付き電線束が内側にセットされる溝状カバー、及び、当該溝状カバーを覆う蓋状カバー、を有するプロテクタであり、
前記第2外装処理では、前記コネクタ付き電線束が内側にセットされた前記溝状カバーに前記蓋状カバーが押圧取付けされることを特徴とする請求項1に記載の外装ユニット。
【請求項10】
複数本の電線の束の両端にコネクタが取り付けられたコネクタ付き電線束を鉛直方向に沿った縦置き姿勢で保持可能な縦置き保持部を、縦置きセット位置及び縦置き取外し位置を経由する縦置き循環ルートにおける前記縦置きセット位置に位置付けて、前記縦置き保持部に前記コネクタ付き電線束を前記縦置き姿勢でセットする縦置きセット工程と、
前記コネクタ付き電線束がセットされた前記縦置き保持部を前記縦置き循環ルートに沿って循環移動させるとともに、前記縦置きセット位置から前記縦置き取外し位置まで前記縦置き姿勢で移動中の前記コネクタ付き電線束に対し、第1外装材を取り付ける第1外装処理を行う第1外装工程と、
前記コネクタ付き電線束を水平方向に沿った横置き姿勢で保持可能な横置き保持部を、横置きセット位置及び横置き取外し位置を経由する横置き循環ルートにおける前記横置きセット位置に位置付けて、前記縦置き取外し位置の前記縦置き保持部から前記第1外装処理が施された前記コネクタ付き電線束を取り外すとともに、前記横置きセット位置の前記横置き保持部に前記横置き姿勢でセットする縦横移送工程と、
前記コネクタ付き電線束がセットされた前記横置き保持部を前記横置き循環ルートに沿って循環移動させるとともに、前記横置きセット位置から前記横置き取外し位置まで前記横置き姿勢で移動中の前記コネクタ付き電線束に対し、第2外装材を取り付ける第2外装処理を行う第2外装工程と、
を備えたことを特徴とする外装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
コネクタ付き電線束に外装材を取り付ける外装ユニット及び外装方法に関するものとなっている。
【背景技術】
【0002】
従来、端部にコネクタが設けられたワイヤーハーネスの製造等に、布線板上に設置されたコネクタ付き電線束に外装材を取り付けるユニットが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載のユニットは、布線板を循環移動させながら循環ルート上の各作業位置で作業者が外装材の取付けを含む各種作業を行うものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、コネクタ付き電線束の中でも、例えば高電圧の電源用ハーネス等のためのものは、分岐形状を持たず、複数本の電線の束の両端にコネクタが取り付けられたシンプルな形状を有していることが多い。そして、このようなシンプルなコネクタ付き電線束については、外装材の取付けに関し、手作業をなるべく抑えて自動化することが求められている。他方で、外装材の種類によって取付け方が異なる場合がある。このような取付け方の相違に起因し、布線板上のコネクタ付き電線束に対し、ある外装材の取付けに関しては問題なく自動化可能であっても、別の外装材に関しては布線板が邪魔になって手作業でなければ取付けが困難となる場合がある。
【0005】
従って、本発明は、上記のような問題に着目し、手作業を抑えつつ、コネクタ付き電線束に対して様々な取付け方で外装材を取り付けることができる外装ユニット及び外装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、外装ユニットは、複数本の電線の束の両端にコネクタが取り付けられたコネクタ付き電線束を鉛直方向に沿った縦置き姿勢で保持する縦置き保持部を、縦置きセット位置及び縦置き取外し位置を経由する循環移動が可能に保持するとともに、前記縦置きセット位置から前記縦置き取外し位置まで前記縦置き姿勢で移動中の前記コネクタ付き電線束に対し、第1外装材を取り付ける第1外装処理を行う第1外装機構と、前記第1外装処理が施された前記コネクタ付き電線束を水平方向に沿った横置き姿勢で保持する横置き保持部を、横置きセット位置及び横置き取外し位置を経由する循環移動が可能に保持するとともに、前記横置きセット位置から前記横置き取外し位置まで前記横置き姿勢で移動中の前記コネクタ付き電線束に対し、第2外装材を取り付ける第2外装処理を行う第2外装機構と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、上記課題を解決するために、外装方法は、複数本の電線の束の両端にコネクタが取り付けられたコネクタ付き電線束を鉛直方向に沿った縦置き姿勢で保持可能な縦置き保持部を、縦置きセット位置及び縦置き取外し位置を経由する縦置き循環ルートにおける前記縦置きセット位置に位置付けて、前記縦置き保持部に前記コネクタ付き電線束を前記縦置き姿勢でセットする縦置きセット工程と、前記コネクタ付き電線束がセットされた前記縦置き保持部を前記縦置き循環ルートに沿って循環移動させるとともに、前記縦置きセット位置から前記縦置き取外し位置まで前記縦置き姿勢で移動中の前記コネクタ付き電線束に対し、第1外装材を取り付ける第1外装処理を行う第1外装工程と、前記コネクタ付き電線束を水平方向に沿った横置き姿勢で保持可能な横置き保持部を、横置きセット位置及び横置き取外し位置を経由する横置き循環ルートにおける前記横置きセット位置に位置付けて、前記縦置き取外し位置の前記縦置き保持部から前記第1外装処理が施された前記コネクタ付き電線束を取り外すとともに、前記横置きセット位置の前記横置き保持部に前記横置き姿勢でセットする縦横移送工程と、前記コネクタ付き電線束がセットされた前記横置き保持部を前記横置き循環ルートに沿って循環移動させるとともに、前記横置きセット位置から前記横置き取外し位置まで前記横置き姿勢で移動中の前記コネクタ付き電線束に対し、第2外装材を取り付ける第2外装処理を行う第2外装工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記の外装ユニット及び外装方法によれば、手作業を抑えつつ、コネクタ付き電線束に対して様々な取付け方で外装材を取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る外装ユニットを示す模式図である。
【
図2】
図1に示されている第1外装機構、縦置きセット機構、及び縦横移送機構を拡大して示した模式図である。
【
図3】第1外装機構での第1外装処理における処理の流れを
図1及び
図2の図示内容に即して示す模式図である。
【
図4】
図1及び
図2に示されている縦置きセット機構において複数の縦置き保持部が循環移動する様子を示した模式図である。
【
図5】
図1及び
図2に示されている縦置きセット機構及び縦横移送機構それぞれの動作を示した模式図である。
【
図6】
図1に示されている第2外装機構、縦横移送機構、及び払出し機構を拡大して示した模式図である。
【
図7】
図1及び
図2に示されている縦置きセット機構において複数の横置き保持部が循環移動する様子を示した模式図である。
【
図8】
図1及び
図6に示されている縦横移送機構及び払出し機構それぞれの動作を示した模式図である。
【
図9】
図1~
図8に示されている外装ユニットで実行される外装方法の処理の流れを表す模式的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、外装ユニット及び外装方法の一実施形態について説明する。
【0011】
図1は、一実施形態に係る外装ユニットを示す模式図である。
【0012】
本実施形態の外装ユニット1では、一例として、車両等に搭載されて配索される高電圧の電源用ハーネス等に用いられる、分岐形状を持たず、複数本の電線の束W12の両端にコネクタW11が取り付けられたシンプルなコネクタ付き電線束W1が外装対象となる。外装ユニット1は、このようなシンプルなコネクタ付き電線束W1に種々の外装材を取り付ける作業ユニットである。この外装ユニット1では、コネクタ付き電線束W1に、縦置き姿勢での取付けに適した第1外装材W13と、横置き姿勢での取付けに適した第2外装材W14と、が取り付けられ、外装済み電線束W2がアウトプットとして払い出される。そして、外装ユニット1では、このような外装作業が、複数のコネクタ付き電線束W1を対象として順次に実行可能となっている。この外装ユニット1は、第1外装機構11、第2外装機構12、縦置きセット機構13、縦横移送機構14、及び払出し機構15を備えている。
【0013】
図2は、
図1に示されている第1外装機構、縦置きセット機構、及び縦横移送機構を拡大して示した模式図であり、
図3は、第1外装機構での第1外装処理における処理の流れを
図1及び
図2の図示内容に即して示す模式図である。また、
図4は、
図1及び
図2に示されている縦置きセット機構において複数の縦置き保持部が循環移動する様子を示した模式図である。
【0014】
第1外装機構11は、コネクタ付き電線束W1がセットされて第1外装材W13を取り付ける第1外装処理を行う機構であって、複数(本実施形態では6つ)の縦置き保持部111、循環移動レール112、及び機構フレーム113を備えている。
【0015】
縦置き保持部111は、コネクタ付き電線束W1を鉛直方向D11に沿った縦置き姿勢で保持可能な機構であって、上側保持部111a、下側保持部111b、及び支持部111cを備えている。上側保持部111aは、縦置き姿勢のコネクタ付き電線束W1における両端のコネクタW11のうちの上側のコネクタW11aを保持する部位であり、下側保持部111bは、下側のコネクタW11bを保持する部位である。また、支持部111cは、下側保持部111bを、上側保持部111aとの相互間隔を調節可能に支持する部位である。更に、縦置き保持部111は、上側保持部111a及び下側保持部111bによって縦置き姿勢で保持したコネクタ付き電線束W1に対し、第1外装処理を行う不図示の外装機構を備えている。
【0016】
循環移動レール112は、6つの縦置き保持部111を、長尺環状の縦置き循環ルートR11に沿って、一列に並んだ状態で循環移動するように保持する部位である。循環移動レール112は、第1長手レール112a、第2長手レール112b、第1移動レール112c、及び第2移動レール112dを備えている。
【0017】
機構フレーム113は、循環移動レール112及び6つの縦置き保持部111を支持するとともに、循環移動レール112に沿って縦置き保持部111を移動させ、縦置き保持部111を動作させるための駆動機構を備えた部位である。
【0018】
ここで、第1外装機構11では、長尺環状の循環移動レール112における長手方向D12の一端側に、コネクタ付き電線束W1が縦置き姿勢でセットされる縦置きセット位置P11が設けられている。そして、この循環移動レール112における長手方向D12の他端側に、第1外装処理を受けた外装途中電線束W1aが、第2外装機構12への移送のために取り外される縦置き取外し位置P12が設けられている。
【0019】
循環移動レール112における第1長手レール112aは、長尺環状の循環移動レール112における一対の長手ルートのうちの一方である第1縦置き長手ルートR111に沿って縦置きセット位置P11から縦置き取外し位置P12へと延在する。縦置き保持部111は、この第1長手レール112aを縦置きセット位置P11から縦置き取外し位置P12へと移動する際に、移動中のコネクタ付き電線束W1に第1外装処理を施して外装途中電線束W1aを得る。
【0020】
本実施形態における第1外装処理は、
図2及び
図3での図示例では、第1外装材W13として、コルゲートチューブW131、ツイストチューブW132、及びテープ材W133を電線の束W12に取り付ける処理である。ここで、コルゲートチューブW131については、縦置き保持部へ111のセット前にコネクタ付き電線束W1に通された先通し部材となっている。ただし、このセット前の段階では、コルゲートチューブW131は固定されておらず、コネクタ付き電線束W1の長さ方向に移動可能な状態となっている。
図2及び
図3の図示例では、コルゲートチューブW131が2つ設けられており、第1外装処理では、1つのツイストチューブW132の取付けとともに、これら2つのコルゲートチューブW131の固定処理が行われる。まず、鉛直方向D11の上側のコネクタW11の下方隣接位置において、コネクタ付き電線束W1に対し、側方からの取付け方向D131にツイストチューブW132が取り付けられ、テープ材W133によって固定される。次に、上側のコルゲートチューブW131が引上げ方向D133に引き上げられてコネクタ付き電線束W1における長さ方向の固定位置に位置合わせされ、テープ材W133によって固定される。ここでの図示例では、次の作業エリアでは、作業は行われず、その次の作業エリアにおいて、下側のコルゲートチューブW131が引上げ方向D133に引き上げられて固定位置に位置合わせされ、テープ材W133によって固定される。尚、製造対象によっては、全ての作業エリアにおいて何等かの外装作業が行われる場合があり、あるいは、製造対象に応じた非作業エリアが適宜に設定される場合もある。
【0021】
このような第1外装処理が終わって縦置き保持部111が縦置き取外し位置P12に達すると、第1外装処理によって得られた外装途中電線束W1aが縦置き保持部111から取り外される。循環移動レール112における第1移動レール112cは、取外し時には、第1長手レール112aに連続して延在するように縦置き取外し位置P12に位置している。第1外装処理を終えた縦置き保持部111は、第1長手レール112aから縦置き取外し位置P12の第1移動レール112cへと移動し、第1移動レール112c上で外装途中電線束W1aが取り外される。この取外しにより縦置き保持部111が空になると、第1移動レール112cは、その空の状態の縦置き保持部111を載せたまま、第2長手レール112bに連続する位置まで移動する。このときの移動は、長尺環状の循環移動レール112における一対の短手ルートのうちの一方である第1縦置き短手ルートR112に沿って行われる。
【0022】
第2長手レール112bは、循環移動レール112における一対の長手ルートのうちの他方である第2縦置き長手ルートR113に沿って第1移動レール112cと略平行に延在する。第1移動レール112cによって第2長手レール112bの隣接位置まで運ばれた空の縦置き保持部111は、第1移動レール112cから第2長手レール112bに移動し、更に、第2長手レール112bを縦置きセット位置P11側へと移動する。縦置き保持部111が、第2長手レール112bにおける縦置きセット位置P11側の端部に達した段階では、第2移動レール112dが、第2長手レール112aの端部に連続して延在するように位置している。この段階で、縦置き保持部111は第2移動レール112dへと移動する。第2移動レール112dは、縦置き保持部111を載せたまま、第1長手レール112aに連続する縦置きセット位置P11まで移動する。このときの移動は、循環移動レール112における一対の短手ルートのうちの他方である第2縦置き短手ルートR114に沿って行われる。この第2移動レール112dの移動により、空の縦置き保持部111が縦置きセット位置P11に位置付けられて、外装前のコネクタ付き電線束W1のセットを受ける。
【0023】
本実施形態では、
図4に模式的に示されているように、1番から6番の6つの縦置き保持部111が、一列に並んだ状態で循環移動しながら、第1外装処理を受ける。第1外装処理では、第1外装材W13の一部であるツイストチューブW132の取付け及びテープ材W133による固定と、先通しされたコルゲートチューブW131のテープ材W133による固定が行われる。
図4の例では、第1外装処理を終えて外装途中電線束W1aが取り外された1番の縦置き保持部111が、第1移動レール112cによって第1縦置き短手ルートR112に沿って縦置き取外し位置P12から第2長手レール112bまで運ばれる。その後、1番の縦置き保持部111は、第2長手レール112bを第2縦置き長手ルートR113に沿って移動して第2移動レール112dに達する。
【0024】
この間に、1番の縦置き保持部111を第2長手レール112bに受け渡した第1移動レール112cは、第1縦置き短手ルートR112とは逆向きルートR112aに沿って縦置き取外し位置P12まで戻る。そして、1番の縦置き保持部111の動きと並行し、第2移動レール112d上の6番の縦置き保持部111が、縦置きセット位置P11でコネクタ付き電線束W1のセットを受ける。更に、2番~5番の縦置き保持部111が、第1長手レール112aを第1縦置き長手ルートR111に沿って移動しながら、セット済みのコネクタ付き電線束W1に対して第1外装処理を行う。処理済みの縦置き保持部111は、2番から縦置き取外し位置P12の第1移動レール112cへと移動し、この縦置き取外し位置P12で外装途中電線束W1aの取外しを受ける。また、2番の縦置き保持部111の移動に伴い、3番~6番の縦置き保持部111も第1長手レール112aを第1縦置き長手ルートR111に沿って移動する。そして、6番の縦置き保持部111を第1長手レール112aに受け渡した第2移動レール112dは、第2縦置き短手ルートR114とは逆向きルートR114aに沿って第2長手レール112bの隣まで戻る。
【0025】
他方、第2移動レール112d上の1番の縦置き保持部111は、6番の縦置き保持部111の移動によって開いた縦置きセット位置P11へと、第2移動レール112dによって第2縦置き短手ルートR114に沿って運ばれる。以降は、予め指定された数のコネクタ付き電線束W1に対する処理が終了するまで、1番~6番の縦置き保持部111が循環移動しながら処理が繰り返される。
【0026】
そして、縦置きセット位置P11での縦置き保持部111へのコネクタ付き電線束W1のセット、及び、縦置き取外し位置P12での縦置き保持部111からの外装途中電線束W1aの取外し、が縦置きセット機構13及び縦横移送機構14によって行われる。
【0027】
図5は、
図1及び
図2に示されている縦置きセット機構及び縦横移送機構それぞれの動作を示した模式図である。
図5(A)に縦置きセット機構が示され、
図5(B)に縦横移送機構が示されている。
【0028】
縦置きセット機構13は、上述の縦置きセット位置P11の縦置き保持部111にコネクタ付き電線束W1を縦置き姿勢でセットする機構である。また、縦横移送機構14は、上述の縦置き取外し位置P12の縦置き保持部111から第1外装処理が施されたコネクタ付き電線束W1、つまり外装途中電線束W1aを取り外すとともに、第2外装機構12に移送してセットする機構である。
図5(B)には、縦横移送機構14について、外装途中電線束W1aの取外し動作のみが示されている。
【0029】
縦置きセット機構13及び縦横移送機構14は、何れも多関節のロボットアームであって、その先端部に、コネクタ付き電線束W1及び外装途中電線束W1aをU字状に曲げた状態で保持するための電線保持具を備えている。縦置きセット機構13が備える第1電線保持具131は、上側電線保持部131aと下側電線保持部131bを備えている。上側電線保持部131aは、コネクタ付き電線束W1において縦置き姿勢となったときの上側のコネクタW11aを保持する部位であり、下側電線保持部131bは下側のコネクタW11bを保持する部位である。また、縦横移送機構14が備える第2電線保持具141も、第1電線保持具131と同様の上側電線保持部141aと下側電線保持部141bを備えている。
【0030】
縦置きセット機構13によるコネクタ付き電線束W1のセットでは、まず、第1電線保持具131を介してコネクタ付き電線束W1がU字状に曲げた状態で保持される。次に、第1電線保持具131の上側電線保持部131aが縦置き保持部111の上側保持部111aへと上側のコネクタW11aを受け渡す。最後に、第1電線保持具131の下側電線保持部131bが縦置き保持部111の下側保持部111bへと下側のコネクタW11bを受け渡す。
【0031】
ここで、縦置き保持部111では、上述したように、下側保持部111bが支持部111cによって上側保持部111aとの相互間隔を調節可能に支持されている。
図2に示されているように、縦置き保持部111へのコネクタ付き電線束W1のセットの際には、下側保持部111bが次のように動かされる。まず、セット前の段階で、下側保持部111bが短縮方向D141に押し上げられて、上側保持部111aとの相互間隔が、セット対象のコネクタ付き電線束W1の電線長よりも短い間隔に縮められる。その後、縦置きセット機構13によってコネクタ付き電線束W1が第1セット方向D15へと上述のようにセットされると、下側保持部111bによって下側のコネクタW11bが拡張方向D142に、上記の電線長に応じた位置まで引き下げられる。この引下げにより、上側のコネクタW11aと下側のコネクタW11bの相互間隔が拡げられ、それまで弛んでいたコネクタ付き電線束W1が引っ張られて、縦置き姿勢での第1外装処理に適した緊張がコネクタ付き電線束W1に付与される。
【0032】
縦横移送機構14による外装途中電線束W1aの取外しでは、縦横移送機構14によって外装途中電線束W1aが取外し方向D17へと取り外される。このときには、外装途中電線束W1aは、曲げ方向D18へとU字状に曲げられる。この曲げながらの取外しは、
図5(B)に示されているように行われる。まず、縦横移送機構14における第2電線保持具141の上側電線保持部141aが縦置き保持部111の上側保持部111aから上側のコネクタW11aを取り外す。次に、上側のコネクタW11aを保持したまま第2電線保持具141を下側保持部111bの下側のコネクタW11bへと向かわせることで、外装途中電線束W1aがU字状に曲げられる。第2電線保持具141の下側電線保持部141bが下側のコネクタW11bに達すると、下側電線保持部141bが下側保持部111bから下側のコネクタW11bを取り外す。この取外しにより、外装途中電線束W1aは、第2電線保持具141を介し、U字状に曲げられた状態で縦横移送機構14に保持されることとなる。この後は、縦横移送機構14が、外装途中電線束W1aを第2外装機構12へとセットし、この第2外装機構12で第2外装処理が行われることとなる。
【0033】
図6は、
図1に示されている第2外装機構、縦横移送機構、及び払出し機構を拡大して示した模式図であり、
図7は、
図1及び
図2に示されている縦置きセット機構において複数の横置き保持部が循環移動する様子を示した模式図である。
【0034】
第2外装機構12は、第1外装処理が施されたコネクタ付き電線束W1、即ち外装途中電線束W1aがセットされて第2外装材W14を取り付ける第2外装処理を行う機構である。第2外装機構12は、複数(本実施形態では7つ)の横置き保持部121、循環支持台122、2つの部材外装アーム123、及び、1つの部材供給アーム124を備えている。
【0035】
横置き保持部121は、外装途中電線束W1aを水平方向D19に沿った横置き姿勢で保持可能な機構であって、一端側保持部121a、他端側保持部121b、矩形本体部121c、溝状カバー受け部121d、及び蓋状カバー受け部121e、を備えている。一端側保持部121aは、上述の縦置き姿勢のときの上側のコネクタW11aを保持する部位であり、他端側保持部121bは、下側のコネクタW11bを保持する部位である。矩形本体部121cは、一端側保持部121a及び他端側保持部121bが固定されるとともに、これらの相互間の溝状カバー受け部121d及び蓋状カバー受け部121eに、第2外装材W14の一部であるプロテクタW141を構成する溝状カバーW141a及び蓋状カバーW141bが供給されて保持される矩形板状の部位である。
【0036】
循環支持台122は、7つの横置き保持部121を、横置きセット位置P13及び横置き取外し位置P14を経由する長尺環状の横置き循環ルートR12に沿って、一列に並んだ状態で循環移動するように保持する部位である。横置き循環ルートR12は、第1横置き長手ルートR121、第1横置き短手ルートR122、第2横置き長手ルートR123、及び第2横置き短手ルートR124を有する。第1横置き長手ルートR121は、横置きセット位置P13から、横置き取外し位置P14に隣接する終点まで横置き保持部121を移動させるルートである。第1横置き短手ルートR122は、第1横置き長手ルートR121の終点から横置き取外し位置P14まで横置き保持部121を移動させるルートである。第2横置き長手ルートR123は、横置き取外し位置P14から、横置きセット位置P13に隣接する終点まで横置き保持部121を移動させるルートである。そして、第2横置き短手ルートR124は、第2横置き長手ルートR123の終点から横置きセット位置P13まで横置き保持部121を移動させるルートである。循環支持台122には、7つの横置き保持部121をこのような横置き循環ルートR12に沿って移動させる駆動機構が設けられている。
【0037】
図7に示されているように、一の横置き保持部121が横置きセット位置P13に位置する段階では、第1横置き長手ルートR121に沿って4つの横置き保持部121が並んだ状態となる。この段階では、横置きセット位置P13の横置き保持部121は、溝状カバーW141a及び蓋状カバーW141bが溝状カバー受け部121d及び蓋状カバー受け部121eに供給されて保持された状態にある。縦横移送機構14は、第1外装機構11から取り外した外装途中電線束W1aを、両端のコネクタW11が一端側保持部121a及び他端側保持部121bに保持されるとともに中途部分が溝状カバーW141aに収まるように第2セット方向D21へとセットする。このとき、第1横置き長手ルートR121の進行方向に隣接する3つの横置き保持部121は、既に外装途中電線束W1aがセットされた状態にある。横置きセット位置P13から数えて2つ目及び3つ目の横置き保持部121それぞれにおける外装途中電線束W1aには、部材外装アーム123によって第2外装材W14の一部である各種巻付け部材W142の取付けが行われる。2つ目の横置き保持部121の外装途中電線束W1aには、巻付け部材W142のうちのバンドクランプやテープクランプの取付けが行われ、3つ目の横置き保持部121の外装途中電線束W1aには、巻付け部材W142のうちの結束バンドの取付けが行われる。その更に隣の4つ目の横置き保持部121にあって巻付け部材W142が取付け済みの外装途中電線束W1aには、部材外装アーム123によって蓋状カバー受け部121eからピックアップされた蓋状カバーW141bが溝状カバーW141aに取り付けられてプロテクタW141が組み立てられる。このときのプロテクタW141の組立ては、外装途中電線束W1aが内側にセットされた溝状カバーW141aに蓋状カバーW141bが上方からの押圧方向D22(
図6)に押圧取付けされることで行われる。
【0038】
ここで、蓋状カバーW141bの取付けが行われる横置き保持部121は、第1横置き長手ルートR121における終点に位置する。この終点の横置き保持部121は、蓋状カバーW141bの取付け後、他の横置き保持部121に対する第2外装処理の処理中に、第1横置き短手ルートR122を、第1横置き長手ルートR121の終点から横置き取外し位置P14まで移動する。そして、移動先の横置き取外し位置P14において、払出し機構15が、横置き保持部121から外装済み電線束W2を払出し方向D23へと取り外して所定の払出し位置へと運ぶ。このときには、第1横置き長手ルートR121の終点が空いているので、第1横置き長手ルートR121の他の3つの横置き保持部121が、第1横置き長手ルートR121を、横置き保持部121の1つ分、横滑りして移動する。
【0039】
また、横置き取外し位置P14で外装済み電線束W2が取り外される際には、第2横置き長手ルートR123に、横置き取外し位置P14のものを含めて4つの横置き保持部121が並ぶ。このとき、横置き取外し位置P14の2つ隣の横置き保持部121の溝状カバー受け部121d及び蓋状カバー受け部121eに対し、部材供給アーム124が、第2外装処理に対応する溝状カバーW141a及び蓋状カバーW141bを供給して保持させる。そして、この段階では、第1横置き長手ルートR121を3つの横置き保持部121が横滑りして横置きセット位置P13が空いた状態となっている。この横置きセット位置P13へと、第2横置き長手ルートR123の終点の横置き保持部121が第2横置き短手ルートR124を移動する。更に、この移動によって空いた終点へと、他の3つの横置き保持部121が、第2横置き長手ルートR123を、横置き保持部121の1つ分、横滑りして移動する。以降は、予め指定された数の外装済み電線束W2が得られるまで、7つの横置き保持部121が循環移動しながら処理が繰り返される。
【0040】
そして、横置きセット位置P13での横置き保持部121への外装途中電線束W1aのセット、及び、横置き取外し位置P14での横置き保持部121からの外装済み電線束W2の取外し、が縦横移送機構14及び払出し機構15によって行われる。
【0041】
図8は、
図1及び
図6に示されている縦横移送機構及び払出し機構それぞれの動作を示した模式図である。
図8(A)に縦横移送機構が示され、
図8(B)に払出し機構が示されている。
【0042】
縦横移送機構14は、上述したように、第1外装機構11の縦置き取外し位置P12の縦置き保持部111から外装途中電線束W1aを取り外すとともに、第2外装機構12に移送して横置きセット位置P13の横置き保持部121にセットする機構である。また、払出し機構15は、横置き取外し位置P14の横置き保持部121から外装済み電線束W2を取り外して所定の払出し位置へと運ぶ機構である。
図8(A)には、縦横移送機構14について、外装途中電線束W1aのセット動作のみが示され、
図8(B)には、払出し機構15について、外装済み電線束W2の取外し動作のみが示されている。
【0043】
縦横移送機構14及び払出し機構15は、何れも多関節のロボットアームであって、その先端部に、外装途中電線束W1a及び外装済み電線束W2をU字状に曲げた状態で保持するための電線保持具を備えている。縦横移送機構14が備える第2電線保持具141は、上述したように、上側電線保持部141aで縦置き姿勢のときの上側のコネクタW11aを保持し、下側電線保持部141bで下側のコネクタW11bを保持する。第2電線保持具141によるこれら両端のコネクタW11の保持により、縦横移送機構14は、外装途中電線束W1aをU字状に曲げた状態で保持する。この保持状態で、縦横移送機構14は、外装途中電線束W1aを第2外装機構12に移送して横置きセット位置P13の横置き保持部121にセットする。
【0044】
縦横移送機構14による外装途中電線束W1aのセットでは、
図8(A)に示されているように、まず、第2電線保持具141の下側電線保持部141bが横置き保持部121の他端側保持部121bへと下側のコネクタW11bを受け渡す。次に、外装途中電線束W1aを延ばしながら、その途中部分を、横置き保持部121上の溝状カバーW141aの内側に収める。最後に、第2電線保持具141の上側電線保持部141aが横置き保持部121の一端側保持部121aへと上側のコネクタW11aを受け渡す。これら一連の処理により、溝状カバーW141aの内側に一部を収めた状態で外装途中電線束W1aが横置き保持部121にセットされる。
【0045】
払出し機構15による外装済み電線束W2の取外しは、
図8(B)に示されているように、払出し機構15が備える第3電線保持具151を介して外装済み電線束W2をU字状に曲げながら行われる。まず、払出し機構15における第3電線保持具151の他端側電線保持部151bが横置き保持部121の他端側保持部121bから下側のコネクタW11bを取り外す。次に、下側のコネクタW11bを保持したまま第3電線保持具151を一端側保持部121aの上側のコネクタW11aへと向かわせることで、外装済み電線束W2がU字状に曲げられる。第3電線保持具151の一端側電線保持部151aが上側のコネクタW11aに達すると、一端側電線保持部151aが一端側保持部121aから上側のコネクタW11aを取り外す。この取外しにより、外装済み電線束W2は、第3電線保持具151を介し、U字状に曲げられた状態で払出し機構15に保持されることとなる。この後は、払出し機構15が、外装済み電線束W2を払出し位置まで運び、この払出し位置において、外装済み電線束W2が第3電線保持具151から取り外されることとなる。
【0046】
次に、本実施形態の外装ユニット1で実行される外装方法について、ここまでの説明と重複する部分もあるが、以下、これまでの
図1~
図8、及び下記の
図9を参照しながら説明する。
【0047】
図9は、
図1~
図8に示されている外装ユニットで実行される外装方法の処理の流れを表す模式的なフローチャートである。
【0048】
この
図9のフローチャートで表される外装方法の処理は、所定の開始操作を受けてスタートする。処理がスタートすると、まず、第1外装機構11において縦置きセット工程S101が実行される。縦置きセット工程S101では、第1外装機構11における6つの縦置き保持部111のうちの一の縦置き保持部111が縦置き循環ルートR11における縦置きセット位置P11に位置付けられる。その状態で、縦置きセット機構13が、第1電線保持具131を介してU字状に曲げて保持したコネクタ付き電線束W1を、縦置きセット位置P11の縦置き保持部111に縦置き姿勢へと延ばしながらセットする。次に、第1外装工程S102が実行される。第1外装工程S102では、コネクタ付き電線束W1がセットされた縦置き保持部111を縦置き循環ルートR11に沿って循環移動させる。そして、第1外装工程S102では、縦置きセット位置P11から縦置き取外し位置P12まで縦置き姿勢で移動中のコネクタ付き電線束W1に対し、第1外装材W13を取り付ける第1外装処理が行われる。処理済みのコネクタ付き電線束W1を保持した縦置き保持部111が縦置き取外し位置P12に達すると縦横移送工程S103が実行される。
【0049】
縦横移送工程S103では、第2外装機構12における7つの横置き保持部121のうちの一の横置き保持部121が横置き循環ルートR12における横置きセット位置P13に位置付けられる。この位置付けとともに、第1外装機構11における縦置き取外し位置P12の縦置き保持部111から第1外装処理が施された外装途中電線束W1aが取り外される。取り外された外装途中電線束W1aは、横置きセット位置P13の横置き保持部121に横置き姿勢でセットされる。外装途中電線束W1aの取外し及びセットは、上述のように、縦横移送機構14が、第2電線保持具141を介して外装途中電線束W1aを移送途中でU字状に曲げて保持しつつ行われる。
【0050】
続いて、第2外装機構12において、このように移送された外装途中電線束W1aに対する第2外装工程S104が実行される。第2外装工程S104では、外装途中電線束W1aがセットされた横置き保持部121を横置き循環ルートR12に沿って循環移動させる。そして、第2外装工程S104では、横置きセット位置P13から横置き取外し位置P14まで横置き姿勢で移動中の外装途中電線束W1aに対し、第2外装材W14を取り付ける第2外装処理が行われる。処理済みの外装済み電線束W2を保持した横置き保持部121が横置き取外し位置P14に達すると払出し工程S105が実行される。
【0051】
払出し工程S105では、第2外装機構12における横置き取外し位置P14の横置き保持部121から第2外装処理が施された外装済み電線束W2が取り外される。取り外された外装済み電線束W2は、所定の払出し位置まで運ばれて払い出される。外装済み電線束W2の取外し及び払出しは、上述のように、払出し機構15が、第3電線保持具151を介して外装済み電線束W2をU字状に曲げて保持しつつ行われる。
【0052】
この後、外装処理を終了するか、未外装のコネクタ付き電線束W1に対する外装処理を続けるか、を判定する判定工程S106が実行される。外装処理を終了する場合(YES判定)、
図9に示されている外装方法の処理が終了する。他方、未外装のコネクタ付き電線束W1に対する外装処理を続ける場合(NO判定)、縦置きセット工程S101以降の処理が繰り返される。
【0053】
以上に説明した実施形態の外装ユニット1及び外装方法によれば、次のような効果を奏することができる。即ち、本実施形態によれば、第1外装機構11においてコネクタ付き電線束W1が、軸回りの様々な方向からアクセス可能な縦置き姿勢で保持される。この縦置き姿勢での保持により、第1外装機構11では、軸回りの方向からの取付け等に適した外装材を第1外装材W13として取り付ける第1外装処理を行うことができる。また、第2外装機構12では、外装途中電線束W1aが、安定した保持が可能な横置き姿勢で保持される。この横置き姿勢での保持により、第2外装機構12では、押圧取付け等に適した外装材を第2外装材W14として取り付ける第2外装処理を行うことができる。このように、本実施形態によれば、手作業を抑えつつ、コネクタ付き電線束W1に対して様々な取付け方で外装材を取り付けることができる。
【0054】
ここで、本実施形態では、第1外装機構11は、複数の縦置き保持部111を、一列に並んだ状態で循環移動するように保持し、第2外装機構12が、複数の横置き保持部121を、一列に並んだ状態で循環移動するように保持する。この構成によれば、複数の縦置き保持部111及び複数の横置き保持部121を、それぞれ循環移動させることで、複数のコネクタ付き電線束W1に対する外装材の取付けを連続して行うことができので、外装材の取付けの効率化を図ることができる。
【0055】
また、本実施形態では、コネクタ付き電線束W1を縦置き姿勢でセットする縦置きセット機構13と、外装途中電線束W1aを取り外して横置き姿勢でセットする縦横移送機構14と、が設けられている。この構成によれば、第1外装機構11の縦置き保持部111へのコネクタ付き電線束W1のセット、及び、第2外装機構12の横置き保持部121への外装途中電線束W1aの移送についても自動化されることから、手作業を一層抑えることができる。
【0056】
また、本実施形態では、縦置きセット機構13が、第1電線保持具131を介してコネクタ付き電線束W1をU字状に曲げた状態で保持してセットする機構となっている。また、縦横移送機構14が、第2電線保持具141を介して外装途中電線束W1aをU字状に曲げた状態で取り外してセットする機構となっている。この構成によれば、コネクタ付き電線束W1及び外装途中電線束W1aについて、第1電線保持具131及び第2電線保持具141でU字状に曲げた状態で保持しつつセットや取外しを行うことで、各作業をスペースを抑えて効率的に行うことができる。
【0057】
また、本実施形態では、横置き取外し位置P14の横置き保持部121から外装済み電線束W2を取り外して、所定の払出し位置へと運ぶ払出し機構15が設けられている。この構成によれば、第2外装機構12における横置き保持部121からの外装済み電線束W2の払出しについても自動化されることから、手作業を一層抑えることができる。
【0058】
また、本実施形態では、縦置き保持部111が、上側保持部111aと、下側保持部111bと、これらのうちの一方を、他方との相互間隔を調節可能に支持する支持部111cと、を備えている。この構成によれば、上側保持部111a及び下側保持部111bの相互間隔をセット対象のコネクタ付き電線束W1の長さに応じて調節可能となることから、様々な長さのコネクタ付き電線束W1に対する外装材の取付けを行うことができる。
【0059】
また、本実施形態では、第1外装機構11における縦置き循環ルートR11の第1縦置き長手ルートR111において第1外装処理が行われる。また、第2外装機構12における横置き循環ルートR12の第1横置き長手ルートR121において第2外装処理が行われる。また、縦置き循環ルートR11における第2縦置き長手ルートR113及び横置き循環ルートR12における第2横置き長手ルートR123それぞれにおいて、第1外装材W13及び第2外装材W14の少なくとも一部が供給される。この構成によれば、外装処理と外装材供給処理とを同時進行させることで、複数のコネクタ付き電線束W1を対象とした外装材の取付けを効率的に行うことができる。
【0060】
また、本実施形態では、第1外装材W13の一部が、セット前にコネクタ付き電線束W1に通されたチューブ状の先通し部材としてのコルゲートチューブW131となっている。第1外装処理では、コルゲートチューブW131が、コネクタ付き電線束W1における長さ方向の固定位置に位置合わせされて固定される。この構成によれば、コルゲートチューブW131の位置合わせや固定を、第1外装機構11において、軸回りの様々な方向からアクセス可能な縦置き姿勢のコネクタ付き電線束W1に対して効果的に行うことができるので好適である。
【0061】
また、本実施形態では、第2外装処理で用いられる第2外装材W14の一部がプロテクタW141であり、第2外装処理では、外装途中電線束W1aが内側にセットされた溝状カバーW141aに蓋状カバーW141bが押圧取付けされる。この構成によれば、溝状カバーW141aへの蓋状カバーW141bが押圧取付けを、第2外装機構12において、安定した保持が可能な横置き姿勢の外装途中電線束W1aに対して効果的に行うことができるので好適である。
【0062】
尚、以上に説明した実施形態は、外装ユニット及び外装方法の代表的な形態を示したに過ぎない。外装ユニット及び外装方法は、これに限定されるものではなく種々変形して実施することができる。
【0063】
例えば、上述した実施形態では、外装ユニット及び外装方法の一例として、車両等に搭載されて配索されるワイヤーハーネスを構成するコネクタ付き電線束W1に外装処理を行う外装ユニット1及び外装方法が例示されている。しかしながら、外装ユニット及び外装方法は、これに限るものではなく、その具体的な適用対象を問うものではない。
【0064】
また、上述した実施形態では、外装ユニット及び外装方法によって外装処理が施された電線束の一例として、2つのコルゲートチューブW131と、1つのツイストチューブW132がテープ止めされた外装済み電線束W2が例示されている。この外装済み電線束W2では、一方のコルゲートチューブW131と端部のコネクタW11の間にツイストチューブW132が取り付けられている。しかしながら、外装処理が施された電線束は、これに限るものではなく、コルゲートチューブやツイストチューブの取付け数や取付け位置は、何れも任意に設定し得るものである。
【0065】
また、上述した実施形態では、外装ユニット及び外装方法の一例として、
図1に各構成要素の具体的な形状や配置が図示された外装ユニット1と、その外装ユニット1を用いた外装方法が例示されている。しかしながら、外装ユニット及び外装方法は、これに限るものではなく、外装ユニットにおける構成要素の具体的な形状や配置は、これを問うものではない。
【0066】
また、上述した実施形態では、外装ユニット及び外装方法の一例として、第1外装機構11の縦置き保持部111へのコネクタ付き電線束W1のセットが縦置きセット機構13で手作業を介さずに行われる外装ユニット1及び外装方法が例示されている。また、本実施形態では、第1外装機構11から第2外装機構12への外装途中電線束W1aの移送や、第2外装機構12からの外装済み電線束W2の払出しも、縦横移送機構14や払出し機構15によって手作業を介さずに行われる。しかしながら、外装ユニット及び外装方法は、これに限るものではなく、コネクタ付き電線束のセット、外装途中電線束の移送、及び外装済み電線束の払出しが、少なくとも一部について作業者の手作業によって行われることとしてもよい。ただし、縦置きセット機構13、縦横移送機構14、及び払出し機構15を設けることで、手作業を一層抑えることができる点は上述した通りである。
【符号の説明】
【0067】
1 外装ユニット
11 第1外装機構
12 第2外装機構
13 縦置きセット機構
14 縦横移送機構
15 払出し機構
111 縦置き保持部
111a 上側保持部
111b 下側保持部
111c 支持部
112 循環移動レール
112a 第1長手レール
112b 第2長手レール
112c 第1移動レール
112d 第2移動レール
113 第1機構フレーム
121 横置き保持部
121a 一端側保持部
121b 他端側保持部
121c 矩形本体部
121d 溝状カバー受け部
121e 蓋状カバー受け部
122 循環支持台
123 部材外装アーム
124 部材供給アーム
131 第1電線保持具
131a,141a 上側電線保持部
131b,141b 下側電線保持部
141 第2電線保持具
151 第3電線保持具
151a 一端側電線保持部
151b 他端側電線保持部
D11 鉛直方向
D12 長手方向
D15 第1セット方向
D17 取外し方向
D18 曲げ方向
D19 水平方向
D21 第2セット方向
D22 押圧方向
D23 払出し方向
D131 取付け方向
D133 引上げ方向
P11 縦置きセット位置
P12 縦置き取外し位置
P13 横置きセット位置
P14 横置き取外し位置
R11 縦置き循環ルート
R111 第1縦置き長手ルート
R112 第1縦置き短手ルート
R112a,R114a 逆向きルート
R113 第2縦置き長手ルート
R114 第2縦置き短手ルート
R12 横置き循環ルート
R121 第1横置き長手ルート
R122 第1横置き短手ルート
R123 第2横置き長手ルート
R124 第2横置き短手ルート
S101 縦置きセット工程
S102 第1外装工程
S103 縦横移送工程
S104 第2外装工程
S105 払出し工程
S106 判定工程
W1 コネクタ付き電線束
W1a 外装途中電線束
W2 外装済み電線束
W11,W11a,W11b コネクタ
W12 電線の束
W13 第1外装材
W14 第2外装材
W131 コルゲートチューブ
W132 ツイストチューブ
W133 テープ材
W141 プロテクタ
W141a 溝状カバー
W141b 蓋状カバー
W142 巻付け部材