(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169043
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】車両の内部構造
(51)【国際特許分類】
B60K 37/00 20240101AFI20241128BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20241128BHJP
B60H 1/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B60K37/00 Z
B60R11/02 S
B60H1/00 102R
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086223
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳 象斌
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】岡田 元洋
(72)【発明者】
【氏名】加藤 充洋
(72)【発明者】
【氏名】國方 亮
(72)【発明者】
【氏名】望月 大嗣
【テーマコード(参考)】
3D020
3D344
3L211
【Fターム(参考)】
3D020BA10
3D020BB01
3D020BC03
3D020BD05
3D344AA03
3D344AA08
3D344AA14
3D344AB01
3D344AC07
3D344AC13
3D344AD11
3D344AD13
3L211BA52
3L211DA14
(57)【要約】
【課題】インストルメントパネルに取り付けられたスピーカの下方のワイヤハーネスやコネクタへの水の滴下を抑制する。
【解決手段】インストルメントパネル1の内部に配設されたエアコンダクト6に、ワイヤハーネス51およびコネクタ52の上方に対応する位置に配置される被水抑制部63を一体成形する。これにより、ワイヤハーネス51およびコネクタ52に水が滴下されることを抑制することができる。被水抑制部63はエアコンダクト6に一体成形されているため、部品点数の増加や組立作業工数の増加を招くことがなく、また、車体重量の大幅な増加やコストの高騰を招くこともない。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インストルメントパネルに設けられたスピーカ取付開口に嵌め込まれて当該インストルメントパネルに取り付けられたスピーカと、前記インストルメントパネルの内部であって前記スピーカの下方に配設されたワイヤハーネスを含む対象部品とを有する車両の内部構造であって、
前記インストルメントパネルの内部にはエアコンダクトが配設されており、
前記エアコンダクトは、前記スピーカの下方で且つ前記対象部品の上方に対応する位置に配置される被水抑制部が一体成形されて成ることを特徴とする車両の内部構造。
【請求項2】
請求項1記載の車両の内部構造において、
前記被水抑制部は、前記エアコンダクトの側面から突出して前記対象部品の上方を覆うように、水平方向に延在された板部または当該被水抑制部の外縁に向かって下向きに傾斜した板部で成ることを特徴とする車両の内部構造。
【請求項3】
請求項1または2記載の車両の内部構造において、
前記スピーカは、軸心が鉛直方向に対して所定の傾斜角度をもって傾斜して配設されており、
前記被水抑制部は、前記スピーカの下方の領域のうち、当該スピーカの中心の鉛直下方位置よりも前記傾斜方向における下側寄りの領域に配置されていることを特徴とする車両の内部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の内部構造に係る。特に、本発明は、インストルメントパネルの内部に配索されたワイヤハーネス等に対する被水防止対策の改良に関する。尚、一般に、狭義のインストルメントパネルは、運転席の前方の計器ユニットを意味するが、本明細書におけるインストルメントパネルは、車両のキャビンの前部にて車幅方向の一端から他端までの間に配置されている部品(ダッシュボードと呼ばれる部分も含む)を意味するもの(広義のインストルメントパネル)とする。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に開示されているように、車両のインストルメントパネルに、音響装置としてのフロントスピーカ(以下、単にスピーカと呼ぶ)が装着された構成が知られている。具体的には、インストルメントパネルの上面にスピーカ取付開口が設けられ、このスピーカ取付開口にスピーカが嵌め込まれて装着された構成となっている。
【0003】
また、インストルメントパネルの内部には、車両に搭載された各種電装部品に給電を行ったり制御信号を送信したりするためのワイヤハーネスが配設されている。このため、インストルメントパネルの内部であってスピーカの下方にもワイヤハーネスや該ワイヤハーネスが接続されるワイヤハーネスコネクタ(以下、単にコネクタと呼ぶ)が配設される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したようにスピーカの下方にワイヤハーネスやコネクタ(以下、これらを対象部品と呼ぶ場合もある)が配設された構成において、乗員がインストルメントパネル上で水を零してしまった場合(例えば水の入ったコップやペットボトルを倒してしまった場合)、この水がスピーカの内部を通って対象部品に滴下してしまう虞があるため、対象部品に対する被水防止対策が求められている。
【0006】
この対象部品に対する被水防止対策として、対象部品の上側に個別に遮水板を配設したり防滴シートを配設したりすることが考えられる。つまり、新たに遮水板や防滴シートを作製し、それをインストルメントパネルの内部における対象部品の上方に位置させるようにインストルメントパネル等に組み付けるようにするものである。
【0007】
しかしながら、これらの対策は、部品点数の増加、組立作業工数の増加、車体重量の大幅な増加、コストの高騰等といった種々の課題を招くことになってしまう。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、前記の課題(遮水板や防滴シートを配設した場合の課題)を招くことなく、対象部品への水の滴下を抑制することができる車両内部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、インストルメントパネルに設けられたスピーカ取付開口に嵌め込まれて当該インストルメントパネルに取り付けられたスピーカと、前記インストルメントパネルの内部であって前記スピーカの下方に配設されたワイヤハーネスを含む対象部品とを有する車両の内部構造を前提とする。そして、この車両の内部構造は、前記インストルメントパネルの内部にエアコンダクトが配設されており、前記エアコンダクトは、前記スピーカの下方で且つ前記対象部品の上方に対応する位置に配置される被水抑制部が一体成形されて成ることを特徴とする。
【0010】
この特定事項により、仮に乗員がインストルメントパネル上で水を零してしまった場合に、この水がスピーカの内部を通って対象部品(被水を避けたい部品)に向けて滴下する状況になったとしても、対象部品の上方に対応する位置に被水抑制部が存在することにより、対象部品に水が滴下されることは抑制される。前述した如く、個別に遮水板を配設したり防滴シートを配設したりする場合には、新たに遮水板や防滴シートを作製し、それをインストルメントパネルの内部における対象部品の上方に位置させるようにインストルメントパネル等に組み付ける必要がある。これに対し、本解決手段では、対象部品への水の滴下を抑制する被水抑制部が既存のエアコンダクトに一体成形されていることにより、部品点数の増加や組立作業工数の増加を招くことがなく、また、車体重量の大幅な増加やコストの高騰を招くこともない。
【0011】
また、前記被水抑制部は、前記エアコンダクトの側面から突出して前記対象部品の上方を覆うように、水平方向に延在された板部または当該被水抑制部の外縁に向かって下向きに傾斜した板部で成る。
【0012】
これによれば、比較的簡素な構成で、対象部品に水が滴下されることを確実に抑制することができる。
【0013】
また、前記スピーカは、軸心が鉛直方向に対して所定の傾斜角度をもって傾斜して配設されており、前記被水抑制部は、前記スピーカの下方の領域のうち、当該スピーカの中心の鉛直下方位置よりも前記傾斜方向における下側寄りの領域に配置されている。
【0014】
この場合の被水抑制部の配置領域としては、スピーカの中心の鉛直下方位置よりも前記傾斜方向における下側寄りの領域のみであってもよいし、この傾斜方向における下側寄りの領域と上側寄りの領域とを含む領域であってもよい。
【0015】
仮に乗員がインストルメントパネル上で水を零し、その水がスピーカの内部を流れた場合、その水の流れ方向は、スピーカの中心位置よりも当該スピーカの傾斜方向の下側寄りの領域に向かう傾向となる。つまり、この水は、スピーカの中心よりも前記傾斜方向における下側寄りの領域から対象部品に向けて滴下する可能性が高い。本解決手段では、被水抑制部が、スピーカの中心の鉛直下方位置よりも傾斜方向における下側寄りの領域に配置されているため、対象部品に水が滴下する可能性が高い領域の上側を覆うことになる。このため、被水抑制部の大きさを必要最小限に抑えることを可能にしながらも、対象部品に水が滴下されることを抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、インストルメントパネルの内部に配設されたエアコンダクトに、対象部品の上方に対応する位置に配置される被水抑制部を一体成形している。これにより、部品点数の増加や組立作業工数の増加を招くことがなく、また、車体重量の大幅な増加やコストの高騰を招くことなしに、対象部品に水が滴下されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る車両のインストルメントパネルの周辺を車両後方から見た図である。
【
図2】インストルメントパネルの側部の内部構造を車両前方から見た図である。
【
図3】インストルメントパネルの側部の内部構造を下側から見た図である。
【
図5】インストルメントパネル上で水を零した場合の水の流れ経路を説明するための
図2におけるV-V線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、車両のインストルメントパネルにおける車幅方向の両側それぞれにスピーカが配設された構成に対して本発明を適用した場合について説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る車両のインストルメントパネル1の周辺を車両後方から見た図である。また、
図2は、インストルメントパネル1の側部(この
図2に示すものでは車幅方向の右側)の内部構造を車両前方から見た図である。また、
図3は、インストルメントパネル1の側部の内部構造を下側から見た図である。これらの図における矢印UPは上方向を示し、矢印FRは車両前方を示し、矢印RHは車幅方向の右側を示し、矢印LHは車幅方向の左側を示している。
【0020】
図1に示すように、運転席および助手席の前方には、インストルメントパネル1が配設されている。インストルメントパネル1は、運転席および助手席の前方を覆う内装部材であり、例えば、基材、緩衝材、表皮材等を積層して構成されている。このインストルメントパネル1の中央部にはセンタクラスタ2が配設されている。センタクラスタ2には、カーナビゲーション用のディスプレイ21や各種スイッチ類が配設されている。また、インストルメントパネル1における車幅方向の右寄りの位置にはステアリングホイール3が配設されている。更に、インストルメントパネル1における車幅方向の両側には、運転席および助手席それぞれの乗員に向けて空調風を吹き出すための吹き出し口(レジスタ)11,11が設けられている。この吹き出し口11には後述するエアコンダクト6(
図4を参照)の下流端が接続されており、このエアコンダクト6を流れてきた空調風が吹き出し口11,11から乗員に向けて吹き出されることになる。尚、
図1では、インストルメントパネル1における車幅方向の両側に位置する吹き出し口11,11のみを示しているが、インストルメントパネル1にはその他の吹き出し口が設けられている場合もある。その場合、その吹き出し口に対してもエアコンダクト(
図4に示すものとは異なるエアコンダクト)の下流端が接続されることになる。
【0021】
インストルメントパネル1の上面における左右両端近傍の位置には、スピーカ4,4が配設されている。具体的に、インストルメントパネル1の上面における左右両端近傍の位置には上下方向に貫通するスピーカ取付開口が形成されており(より具体的にはインストルメントパネル本体およびスピーカカバーにスピーカ取付開口が形成されており)、このスピーカ取付開口にスピーカ4が嵌め込まれた状態で配設されている。また、インストルメントパネル1の上面は、車両後方に向かって(運転席および助手席に向かって)僅かに下方に傾斜した傾斜面で構成されている。このため、インストルメントパネル1の上面のスピーカ取付開口に嵌め込まれているスピーカ4は、その軸心が鉛直方向に対して車両後方に向かって(運転席および助手席に向かって)僅かに傾斜している。この構成が、本発明でいう「スピーカは、軸心が鉛直方向に対して所定の傾斜角度をもって傾斜して配設されている」構成に相当する。
【0022】
また、
図2および
図3に示すように、インストルメントパネル1の内部には、車両に搭載された各種電装部品に給電を行ったり制御信号を送信したりするためのワイヤハーネス51や、該ワイヤハーネス51が接続されるコネクタ52が配設されている。特に、この
図2および
図3では、スピーカ4の下方に配設されたワイヤハーネス51およびコネクタ52を示している(
図3では、スピーカ4の下方に配設された一方のコネクタ52のみが現れている)。また、特に、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車の場合、ワイヤハーネス51としては、高電圧用のものが使用される場合がある。
【0023】
前述したように、スピーカの下方にワイヤハーネスやコネクタ(本発明でいう対象部品)が配設された構成にあっては、乗員がインストルメントパネル上で水を零してしまった場合(例えば水の入ったコップやペットボトルを倒してしまった場合)、この水がスピーカの内部を通って対象部品に滴下してしまう虞があるため、対象部品に対する被水防止対策が求められている。この対象部品に対する被水防止対策として、対象部品の上側に個別に遮水板を配設したり防滴シートを配設したりすることが考えられる。つまり、新たに遮水板や防滴シートを作製し、それをインストルメントパネルの内部における対象部品の上方に位置させるようにインストルメントパネル等に組み付けるようにするものである。しかしながら、これらの対策は、部品点数の増加、組立作業工数の増加、車体重量の大幅な増加、コストの高騰等といった種々の課題を招くことになってしまう。
【0024】
本実施形態は、エアコンダクト6を有効利用することによって、前記の課題(遮水板や防滴シートを配設した場合の課題)を招くことなく、対象部品への水の滴下を抑制することができるようにしている。
【0025】
次に、本実施形態において特徴とする部材であるエアコンダクト6の構成について説明する。
図4はエアコンダクト6の斜視図である。この
図4に示すエアコンダクト6は、車幅方向の右側に位置するサイドフェイスダクトである。この
図4における矢印UPは上方向を示し、矢印FRは車両前方を示し、矢印RHは車幅方向の右側を示し、矢印LHは車幅方向の左側を示している。
【0026】
エアコンダクト6は、樹脂のブロー成形によって成形されたものであって、ダクト本体部61、複数の取付フランジ部62a,62b,62c,62d、被水抑制部63が一体成形されて成る。
【0027】
ダクト本体部61は、車幅方向に沿って延在する第1延在部61aと、該第1延在部61aにおける車幅方向の外側端に連続して車室内側(車両後側)に向けて延在する第2延在部61bとを備えている。この第2延在部61bの先端部分が車室内に開放されて前記吹き出し口11を成している。これにより、図示しないエアコンユニットによって温度調整および風量調整された空気が第1延在部61aおよび第2延在部61bを経て車室内に向けて供給されるようになっている。
【0028】
複数の取付フランジ部62a,62b,62c,62dとしては、第1延在部61aに一体成形された第1~第3フランジ部62a,62b,62c、第2延在部61bの開放端から下方に延在する第4フランジ部62dを備えている。これらフランジ部62a,62b,62c,62dがインストルメントパネル1やその他の車体部材にネジ止めされることによってエアコンダクト6は支持されている。尚、エアコンダクト6は、
図4で現れている第1~第4フランジ部62a,62b,62c,62d以外のフランジ部も備えており、このフランジ部もインストルメントパネル1やその他の車体部材にネジ止めされている。
【0029】
エアコンダクト6の特徴としては前記被水抑制部63が一体成形されている点にある。この被水抑制部63は、乗員がインストルメントパネル1上で水を零し、その水がスピーカ4の内部を流れた場合に、スピーカ4の内部を通ってワイヤハーネス51およびコネクタ52に向けて滴下する水を受け止めることで(滴下する水を受け止める庇として機能することで)、これらワイヤハーネス51およびコネクタ52が被水してしまうことを抑制するために設けられている。このため、この被水抑制部63は、スピーカ4の下方に位置するワイヤハーネス51およびコネクタ52の上方に対応する位置に配置されている。
【0030】
より具体的には、前述したように、スピーカ4は、その軸心が鉛直方向に対して車両後方に向かって(運転席および助手席に向かって)僅かに傾斜している。
図5は、
図2におけるV-V線に沿った断面図である。この
図5における矢印UPは上方向を示し、矢印FRは車両前方を示し、矢印RRは車両後方を示している。この
図5からも分かるように、スピーカ4は車両前側から車両後側に向けて下方に傾斜した姿勢で配設されている。
【0031】
図3~
図5に示すように、被水抑制部63は、第1延在部61aにおける車両前側を向く面の車幅方向の右側端部分から車両前方に向けて水平方向に延在する板状(本発明でいう板部)で成り、スピーカ4の下方の領域(
図3におけるスピーカ4よりも手前側の領域、
図5におけるスピーカ4よりも下側の領域)のうち、スピーカ4の中心の鉛直下方の領域よりも傾斜方向における下側寄りの領域(車両後側の領域であって、
図3における紙面の下側の領域および
図5における左側の領域)で、且つ車幅方向中央側の領域(
図3における右側の領域)に配設されている。
【0032】
被水抑制部63が、スピーカ4の下方の領域のうち、スピーカ4の中心の鉛直下方の領域よりも傾斜方向における下側寄りの領域に配設されている理由は以下のとおりである。
【0033】
仮に乗員がインストルメントパネル1上で水を零し、その水がスピーカ4の内部を流れた場合、その水の流れ方向は、スピーカ4の中心位置よりも当該スピーカ4の傾斜方向の下側寄りの領域(
図5におけるスピーカ4の左側の領域)に向かう傾向となる。つまり、この水は、スピーカ4の中心の鉛直下方の領域よりも前記傾斜方向における下側寄りの領域からワイヤハーネス51およびコネクタ52に向けて滴下する可能性が高い。
図5における破線の矢印は、スピーカ4から滴下した水の流れ経路を示している。
【0034】
本実施形態では、被水抑制部63を、スピーカ4の下方の領域のうち、スピーカ4の中心の鉛直下方の領域よりも傾斜方向における下側寄りの領域に配設していることにより、ワイヤハーネス51およびコネクタ52に水が滴下する可能性が高い領域の上側を覆うことになる。これにより、被水抑制部63の大きさを必要最小限に抑えながらも、ワイヤハーネス51およびコネクタ52に水が滴下されることを抑制できるようにしている。
図3では、被水抑制部63における水が滴下される位置の一例を図中にDPで示している。
【0035】
以上の説明は、車幅方向の右側に位置するエアコンダクト6についてのものであるが、車幅方向の左側に位置するエアコンダクトにあっては、前記エアコンダクト6と対称な構成となっており、車幅方向の左側に配設されたワイヤハーネスおよびコネクタに水が滴下されることを抑制できる構成となっている。
【0036】
以上説明したように、本実施形態では、部品点数の増加や組立作業工数の増加を招くことがなく、また、車体重量の大幅な増加やコストの高騰を招くことなしに、ワイヤハーネス51およびコネクタ52に水が滴下されることを抑制することができる。
【0037】
-他の実施形態-
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲および該範囲と均等の範囲で包含される全ての変形や応用が可能である。
【0038】
例えば、前記実施形態では、車両のインストルメントパネル1における車幅方向の両側それぞれにスピーカ4,4が配設された構成に対して本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、インストルメントパネルにおける車幅方向の中央部にスピーカが配設された構成に対しても適用が可能である。
【0039】
また、前記実施形態では、
図5に示すように、スピーカ4から滴下した水を被水抑制部63が直接的に受け止めることによってワイヤハーネス51およびコネクタ52に水が滴下しない構成としていた。本発明はこれに限らず、スピーカ4から滴下した水を一旦エアコンダクト6のダクト本体部61の上面で受け止めた後に被水抑制部63に向けて流す構成であってもよい。
【0040】
また、前記実施形態では、被水抑制部63が、エアコンダクト6の第1延在部61aにおける車両前側を向く面の車幅方向の右側端部分から車両前方に向けて水平方向に延在する構成としていた。本発明はこれに限らず、エアコンダクト6の配設位置および形状と、スピーカ4の配設位置および傾斜姿勢と、ワイヤハーネス51およびコネクタ52の配設位置とに応じて、エアコンダクト6における被水抑制部63の位置は適宜設定されることになる。
【0041】
また、前記実施形態では、被水抑制部63を、水平方向に延在する板状のものとして構成されていた。本発明はこれに限らず、被水抑制部63を、その外縁に向かって下向きに傾斜した板状のものとして構成されていてもよい。これによれば、被水抑制部63に滴下した水が被水抑制部63の傾斜に沿って流れることにより、早期に排水することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、インストルメントパネルの内部に配索されたワイヤハーネス等に対する被水を防止することができる車両の内部構造に適用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 インストルメントパネル
4 スピーカ
51 ワイヤハーネス(対象部品)
52 コネクタ(対象部品)
6 エアコンダクト
63 被水抑制部