(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169044
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】画像形成装置、制御方法、及び、制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20241128BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G15/01 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086224
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117651
【弁理士】
【氏名又は名称】高垣 泰志
(72)【発明者】
【氏名】五十里 亮英
(72)【発明者】
【氏名】和澄 利洋
(72)【発明者】
【氏名】加藤 みゆき
【テーマコード(参考)】
2H270
2H300
【Fターム(参考)】
2H270LA18
2H270LA20
2H270LA32
2H270LA45
2H270LD03
2H270LD08
2H270LD14
2H270MB11
2H270MB25
2H270MB27
2H270MC13
2H270MD05
2H270MD13
2H270MH07
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC05
2H270ZC06
2H300EB04
2H300EB07
2H300EB12
2H300EC05
2H300EJ09
2H300GG23
2H300GG25
2H300GG27
2H300HH32
2H300QQ08
2H300QQ10
2H300QQ13
2H300QQ16
2H300RR19
2H300RR31
2H300RR38
2H300RR50
2H300TT03
2H300TT04
2H300TT05
2H300TT06
(57)【要約】
【課題】カラー画像に現れる周期ムラを低減する。
【解決手段】画像形成装置1は、複数の回転部材30のそれぞれを回転させることによって複数色の画像を副走査方向に連続形成する。画像形成装置1は、複数の回転部材30のそれぞれで形成される各色の画像の副走査方向における濃度変化を測定した測定データを取得する取得部52と、測定データに基づき、各色の画像に含まれる周期ムラを検知する周期ムラ検知部53と、回転部材の回転位相を補正する位相補正部55と、を備える。位相補正部55は、2色以上の画像において周期ムラが検知された場合、2色以上の画像における周期ムラが同位相又は逆位相で重ならないように回転部材30の回転位相を補正する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回転部材のそれぞれを回転させることによって複数色の画像を副走査方向に連続形成する画像形成装置であって、
前記複数の回転部材のそれぞれで形成される各色の画像の副走査方向における濃度変化を測定した測定データを取得する取得部と、
前記測定データに基づき、各色の画像に含まれる周期ムラを検知する周期ムラ検知部と、
前記回転部材の回転位相を補正する位相補正部と、
を備え、
前記位相補正部は、2色以上の画像において周期ムラが検知された場合、前記2色以上の画像における周期ムラが同位相又は逆位相で重ならないように前記回転部材の回転位相を補正することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記複数の回転部材のそれぞれで形成される各色の画像の副走査方向における濃度変化を測定する濃度測定部、
を更に備え、
前記取得部は、前記濃度測定部が測定した測定データを取得することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記周期ムラ検知部は、各色の画像の濃度変化の振幅が所定値以上である場合に周期ムラを検知することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記位相補正部は、周期ムラが検知された色の組合せが所定の組合せである場合に前記回転部材の回転位相を補正することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記位相補正部は、前記2色以上の画像における周期ムラの位相差を検出し、前記位相差が所定範囲内である場合に前記回転部材の回転位相を補正することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記位相補正部は、前記2色以上の画像における周期ムラの位相差が前記所定範囲外となるように前記回転部材の回転位相を補正することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記位相補正部は、前記2色以上の画像において周期ムラが検知された場合、少なくとも1つの前記回転部材の駆動開始タイミングを調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記位相補正部は、前記2色以上の画像において周期ムラが検知された場合、少なくとも1つの前記回転部材の回転速度を、シーケンス開始タイミングから描画開始タイミングまでの期間において低下させることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記取得部は、前記測定データを外部装置から取得することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
複数の回転部材のそれぞれを回転させることによって複数色の画像を副走査方向に連続形成する画像形成装置の制御方法であって、
前記複数の回転部材のそれぞれで形成される各色の画像の副走査方向における濃度変化を測定した測定データを取得する取得ステップと、
前記測定データに基づき、各色の画像に含まれる周期ムラを検知する周期ムラ検知ステップと、
前記回転部材の回転位相を補正する位相補正ステップと、
を有し、
前記位相補正ステップは、2色以上の画像において周期ムラが検知された場合、前記2色以上の画像における周期ムラが同位相又は逆位相で重ならないように前記回転部材の回転位相を補正することを特徴とする制御方法。
【請求項11】
前記複数の回転部材のそれぞれで形成される各色の画像の副走査方向における濃度変化を測定する濃度測定ステップ、
を更に有し、
前記取得ステップは、前記濃度測定ステップによって測定された測定データを取得することを特徴とする請求項10に記載の制御方法。
【請求項12】
前記周期ムラ検知ステップは、各色の画像の濃度変化の振幅が所定値以上である場合に周期ムラを検知することを特徴とする請求項10又は11に記載の制御方法。
【請求項13】
前記位相補正ステップは、周期ムラが検知された色の組合せが所定の組合せである場合に前記回転部材の回転位相を補正することを特徴とする請求項10又は11に記載の制御方法。
【請求項14】
前記位相補正ステップは、前記2色以上の画像における周期ムラの位相差を検出し、前記位相差が所定範囲内である場合に前記回転部材の回転位相を補正することを特徴とする請求項10又は11に記載の制御方法。
【請求項15】
前記位相補正ステップは、前記2色以上の画像における周期ムラの位相差が前記所定範囲外となるように前記回転部材の回転位相を補正することを特徴とする請求項14に記載の制御方法。
【請求項16】
前記位相補正ステップは、前記2色以上の画像において周期ムラが検知された場合、少なくとも1つの前記回転部材の駆動開始タイミングを調整することを特徴とする請求項10又は11に記載の制御方法。
【請求項17】
前記位相補正ステップは、前記2色以上の画像において周期ムラが検知された場合、少なくとも1つの前記回転部材の速度を、シーケンス開始タイミングから描画開始タイミングまでの期間において低下させることを特徴とする請求項10又は11に記載の制御方法。
【請求項18】
前記取得ステップは、前記測定データを外部装置から取得することを特徴とする請求項10に記載の制御方法。
【請求項19】
複数の回転部材のそれぞれを回転させることによって複数色の画像を副走査方向に連続形成する画像形成装置において実行される制御プログラムであって、前記画像形成装置に、
前記複数の回転部材のそれぞれで形成される各色の画像の副走査方向における濃度変化を測定した測定データを取得する取得ステップと、
前記測定データに基づき、各色の画像に含まれる周期ムラを検知する周期ムラ検知ステップと、
前記回転部材の回転位相を補正する位相補正ステップと、
を実行させ、
前記位相補正ステップは、2色以上の画像において周期ムラが検知された場合、前記2色以上の画像における周期ムラが同位相又は逆位相で重ならないように前記回転部材の回転位相を補正することを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、制御方法、及び、制御プログラムに関し、特に電子写真方式でカラー画像を形成する画像形成装置の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式でカラー画像を形成する画像形成装置は、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の各色の画像を形成する複数の画像形成ユニットを備えている。それら画像形成ユニットは、感光体や帯電ローラー、現像ローラーといった各種の回転部材を搭載している。画像形成装置は、各画像形成ユニットにおいて、それらの回転部材を回転させることにより、感光体の表面にトナー像を形成する。画像形成装置は、感光体の表面に形成した画像(トナー像)を中間転写体に一次転写する。更に、画像形成装置は、中間転写体に一次転写した画像を印刷用紙などのシートに二次転写し、シートに画像を定着させて出力する。
【0003】
上記のような画像形成装置において、画像形成ユニットに搭載される各種の回転部材の外形は完全な円形になっておらず、多少の歪みや凹凸がある。そのため、回転部材を回転駆動すると、回転部材の外周面の回転速度が一定にならず、速度ムラが発生する。回転部材の速度ムラは、画像の副走査方向における周期的な濃度ムラとなって現れる。以下、このような濃度ムラを「周期ムラ」と呼ぶ。
【0004】
従来、上記周期ムラを補正する技術として、回転部材の回転速度に基づいて画像データの階調を補正する技術が知られている(例えば、特許文献1)。また、この他にも、例えば画像の濃度を測定して周期ムラを検知した場合、予め決められたテーブルに基づいて現像バイアスを補正する技術も知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-72759号公報
【特許文献2】特開2015-90475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術は、単色の画像に現れる周期ムラを目立たないように補正することができる。しかし、上記従来技術では、周期ムラを完全になくすことが困難であり、若干の周期ムラが残ってしまうことは否めない。
【0007】
しかし、単色の画像ではそれほど目立たない周期ムラであっても、複数色の画像が重なった場合に、複数色の画像間で周期ムラが強調されてしまう現象が発生する。すなわち、ある色の濃度が濃い部分と、別の色の濃度が濃い部分とが重なってしまうと、カラー画像において濃度の濃い部分が周期的に現れ顕在化する。また、ある色の濃度が濃い部分と、別の色の濃度が淡い部分とが重なった場合にも、カラー画像において周期ムラが顕在化する。カラー画像における周期ムラの顕在化は、画質劣化の要因であり、解決すべき課題である。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、カラー画像に現れる周期ムラを低減できるようにした画像形成装置、制御方法、及び、制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、複数の回転部材のそれぞれを回転させることによって複数色の画像を副走査方向に連続形成する画像形成装置であって、前記複数の回転部材のそれぞれで形成される各色の画像の副走査方向における濃度変化を測定した測定データを取得する取得部と、前記測定データに基づき、各色の画像に含まれる周期ムラを検知する周期ムラ検知部と、前記回転部材の回転位相を補正する位相補正部と、を備え、前記位相補正部は、2色以上の画像において周期ムラが検知された場合、前記2色以上の画像における周期ムラが同位相又は逆位相で重ならないように前記回転部材の回転位相を補正することを特徴とする構成である。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1の画像形成装置において、前記複数の回転部材のそれぞれで形成される各色の画像の副走査方向における濃度変化を測定する濃度測定部、を更に備え、前記取得部は、前記濃度測定部が測定した測定データを取得することを特徴とする構成である。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、前記周期ムラ検知部は、各色の画像の濃度変化の振幅が所定値以上である場合に周期ムラを検知することを特徴とする構成である。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、前記位相補正部は、周期ムラが検知された色の組合せが所定の組合せである場合に前記回転部材の回転位相を補正することを特徴とする構成である。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、前記位相補正部は、前記2色以上の画像における周期ムラの位相差を検出し、前記位相差が所定範囲内である場合に前記回転部材の回転位相を補正することを特徴とする構成である。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項5の画像形成装置において、前記位相補正部は、前記2色以上の画像における周期ムラの位相差が前記所定範囲外となるように前記回転部材の回転位相を補正することを特徴とする構成である。
【0015】
請求項7に係る発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、前記位相補正部は、前記2色以上の画像において周期ムラが検知された場合、少なくとも1つの前記回転部材の駆動開始タイミングを調整することを特徴とする構成である。
【0016】
請求項8に係る発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、前記位相補正部は、前記2色以上の画像において周期ムラが検知された場合、少なくとも1つの前記回転部材の回転速度を、シーケンス開始タイミングから描画開始タイミングまでの期間において低下させることを特徴とする構成である。
【0017】
請求項9に係る発明は、請求項1の画像形成装置において、前記取得部は、前記測定データを外部装置から取得することを特徴とする構成である。
【0018】
請求項10に係る発明は、複数の回転部材のそれぞれを回転させることによって複数色の画像を副走査方向に連続形成する画像形成装置の制御方法であって、前記複数の回転部材のそれぞれで形成される各色の画像の副走査方向における濃度変化を測定した測定データを取得する取得ステップと、前記測定データに基づき、各色の画像に含まれる周期ムラを検知する周期ムラ検知ステップと、前記回転部材の回転位相を補正する位相補正ステップと、を有し、前記位相補正ステップは、2色以上の画像において周期ムラが検知された場合、前記2色以上の画像における周期ムラが同位相又は逆位相で重ならないように前記回転部材の回転位相を補正することを特徴とする構成である。
【0019】
請求項11に係る発明は、請求項10の制御方法において、前記複数の回転部材のそれぞれで形成される各色の画像の副走査方向における濃度変化を測定する濃度測定ステップ、を更に有し、前記取得ステップは、前記濃度測定ステップによって測定された測定データを取得することを特徴とする構成である。
【0020】
請求項12に係る発明は、請求項10又は11の制御方法において、前記周期ムラ検知ステップは、各色の画像の濃度変化の振幅が所定値以上である場合に周期ムラを検知することを特徴とする構成である。
【0021】
請求項13に係る発明は、請求項10又は11の制御方法において、前記位相補正ステップは、周期ムラが検知された色の組合せが所定の組合せである場合に前記回転部材の回転位相を補正することを特徴とする構成である。
【0022】
請求項14に係る発明は、請求項10又は11の制御方法において、前記位相補正ステップは、前記2色以上の画像における周期ムラの位相差を検出し、前記位相差が所定範囲内である場合に前記回転部材の回転位相を補正することを特徴とする構成である。
【0023】
請求項15に係る発明は、請求項14の制御方法において、前記位相補正ステップは、前記2色以上の画像における周期ムラの位相差が前記所定範囲外となるように前記回転部材の回転位相を補正することを特徴とする構成である。
【0024】
請求項16に係る発明は、請求項10又は11の制御方法において、前記位相補正ステップは、前記2色以上の画像において周期ムラが検知された場合、少なくとも1つの前記回転部材の駆動開始タイミングを調整することを特徴とする構成である。
【0025】
請求項17に係る発明は、請求項10又は11の制御方法において、前記位相補正ステップは、前記2色以上の画像において周期ムラが検知された場合、少なくとも1つの前記回転部材の速度を、シーケンス開始タイミングから描画開始タイミングまでの期間において低下させることを特徴とする構成である。
【0026】
請求項18に係る発明は、請求項10の制御方法において、前記取得ステップは、前記測定データを外部装置から取得することを特徴とする構成である。
【0027】
請求項19に係る発明は、複数の回転部材のそれぞれを回転させることによって複数色の画像を副走査方向に連続形成する画像形成装置において実行される制御プログラムであって、前記画像形成装置に、前記複数の回転部材のそれぞれで形成される各色の画像の副走査方向における濃度変化を測定した測定データを取得する取得ステップと、前記測定データに基づき、各色の画像に含まれる周期ムラを検知する周期ムラ検知ステップと、前記回転部材の回転位相を補正する位相補正ステップと、を実行させ、前記位相補正ステップは、2色以上の画像において周期ムラが検知された場合、前記2色以上の画像における周期ムラが同位相又は逆位相で重ならないように前記回転部材の回転位相を補正することを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、2色以上の画像において周期ムラが検知された場合、2色以上の画像における周期ムラが同位相又は逆位相で重ならないように回転部材の回転位相を補正する。そのため、本発明は、カラー画像に現れる周期ムラを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】画像形成装置の内部の構成例を示す図である。
【
図3】画像形成装置における制御部の構成例を示すブロック図である。
【
図4】各色の画像形成ユニットにおいてパッチ画像が形成されるタイミングを示す図である。
【
図5】中間転写ベルトに転写される各色のパッチ画像を示す図である。
【
図6】各色のパッチ画像の濃度変化を例示する図である。
【
図8】位相差に応じて補正の必要な領域と不要な領域とを示す図である。
【
図9】画像形成装置における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図10】周期ムラ補正処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図11】ジョブ実行処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する要素には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0031】
図1は、本発明の一実施形態である画像形成装置1の内部の構成例を示す図である。画像形成装置1は、印刷ジョブなどのジョブを受信すると、電子写真方式により印刷用紙などのシートに画像形成を行う。また、画像形成装置1は、タンデム方式でカラー画像を形成することができる。
図1に示すように、画像形成装置1は、装置本体の内部に、搬送部2と、画像形成部3と、定着部4と、制御部5とを備えている。搬送部2は、印刷用紙などのシート9を1枚ずつ搬送する。画像形成部3は、搬送部2によって搬送されるシート9に対して画像形成を行う。定着部4は、画像形成部3によってシート9に転写された画像をシート9に定着させる。制御部5は、画像形成装置1の動作を統括的に制御する。
【0032】
搬送部2は、シート収容部10と、ピックアップローラー11と、給紙ローラー12と、搬送路13と、タイミングローラー(レジストローラー)14と、二次転写ローラー15と、排紙ローラー16とを有している。
【0033】
シート収容部10は、複数枚のシート9を積載収容可能なトレイである。シート収容部10は、装置本体の底部に設けられおり、装置本体に対して着脱可能である。例えば、シート収容部10にシート9を補充するとき、シート収容部10を装置本体1aの底部から引き出すことで簡単にシート9を補充することができる。
【0034】
ピックアップローラー11は、シート収容部10に収容されている複数枚のシート9のうちの最上部にあるシート9と接触している。ピックアップローラー11は、所定方向(反時計回り方向)に回転駆動されることにより、少なくとも1枚のシート9を搬送路13に向けて送り出す。給紙ローラー12は、ピックアップローラー11の下流側に設けられる。給紙ローラー12は、ピックアップローラー11から送り出されるシート9を更に下流側の搬送路13へ供給する。給紙ローラー12は、駆動ローラー12aと従動ローラー12bとを備えている。給紙ローラー12は、ピックアップローラー11から送り出されるシート9を駆動ローラー12aと従動ローラー12bとのニップに挟み込むことにより、最上部にある1枚目のシート9と2枚目以降のシート9とを分離するシート分離機能を有している。したがって、ピックアップローラー11によって2枚以上のシート9が送り出された場合であっても、給紙ローラー12は、最上部にある1枚目のシート9だけを下流側の搬送路13へ搬送する。
【0035】
給紙ローラー12によって搬送路13へ供給されるシート9は、搬送路13を矢印F2方向へ搬送される。この搬送路13の所定位置に、タイミングローラー14が設けられている。搬送路13に沿って搬送されるシート9は、その先端がタイミングローラー14のニップ部に到達すると一旦停止する。このとき、シート9の先端をタイミングローラー14のニップに押し付けた状態でシート9にループを形成することにより、シート9の斜行が補正される。
【0036】
タイミングローラー14は、画像形成部3によって形成される画像が二次転写ローラー15の位置に搬送されるタイミングを見計らって回転駆動される。そしてタイミングローラー14は、シート9を二次転写ローラー15に向けて搬送する。シート9は、その二次転写ローラー15の位置を通過する際に、画像形成部3によって形成された画像(トナー像)がシート9の表面に二次転写される。
【0037】
二次転写ローラー15の位置で画像が転写されたシート9は、その後、定着部4に進入する。定着部4は、シート9に対して加熱処理及び加圧処理を施す。これにより、シート9に転写された画像(トナー像)がシート9に定着する。定着部4は、加熱ローラー27と加圧ローラー28とを備えている。また、加熱ローラー27には、熱源であるハロゲンヒーター29が設けられている。このハロゲンヒーター29が点灯することにより、加熱ローラー27の表面が所定の定着温度に加熱される。そして加熱ローラー27及び加圧ローラー28は、画像(トナー像)が転写されたシート9が加熱ローラー27と加圧ローラー28とのニップを通過する際に加熱処理と加圧処理とを施し、画像(トナー像)をシート9に定着させる。したがって、シート9が定着部4を通過することにより、画像が印刷された1枚の印刷物が完成する。画像が定着したシート9は、排紙ローラー16によって排出口17から装置本体の上部に設けられた排紙トレイ18上に排出される。
【0038】
定着部4と排紙ローラー16との間には、シート9に形成された画像の濃度を測定する濃度測定部6が設けられている。濃度測定部6は、例えばイメージスキャナーで構成される。濃度測定部6は、定着部4を通過したシート9が搬送路13に沿って搬送されているときに、画像を読み取り、画像の濃度を測定する。
【0039】
画像形成部3は、無端ベルトによって構成される中間転写ベルト23を有する。中間転写ベルト23は、駆動ローラー25及び従動ローラー24の間を水平方向に掛け渡されている。駆動ローラー25は、二次転写ローラー15に対向する位置に設けられている。従動ローラー24は、駆動ローラー25から水平方向に所定間隔を隔てた位置に設けられている。駆動ローラー25が所定方向に回転駆動されることにより、中間転写ベルト23は、矢印F1方向に循環移動する。画像形成部3は、その中間転写ベルト23に、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の4色のトナー像を順に一次転写する。その結果、中間転写ベルト23の表面上にカラー画像が形成される。画像形成部3は、中間転写ベルト23に形成したカラー画像が二次転写ローラー15に対向する位置を通過する際に、搬送部2によって搬送されるシート9の表面にカラー画像を二次転写させる。
【0040】
画像形成部3は、Y,M,C,Kの各色に対応する複数の露光ユニット21Y,21M,21C,21Kと、各色に対応する複数の画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kと、各画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kに対向して配置される一次転写ローラー22Y,22M,22C,22Kと、各色に対応する複数のトナーボトル26Y,26M,26C,26Kとを備えている。画像形成ユニット20Yは、矢印F1方向に循環移動する中間転写ベルト23の最上流の位置に設けられる。画像形成ユニット20Mは、中間転写ベルト23の上流側から2番目の位置に設けられる。画像形成ユニット20Cは、中間転写ベルト23の上流側から3番目の位置に設けられる。画像形成ユニット20Kは、中間転写ベルト23の上流側から4番目の最下流の位置に設けられる。
【0041】
尚、以下においては、各色の露光ユニット21Y,21M,21C,21Kを総称して露光ユニット21と称す。また、各色の画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kを総称して画像形成ユニット20と称す。また、各色の一次転写ローラー22Y,22M,22C,22Kを総称して一次転写ローラー22と称す。更に、各色のトナーボトル26Y,26M,26C,26Kを総称してトナーボトル26と称す。
【0042】
図2は、1つの画像形成ユニット20を拡大して示す図である。露光ユニット21は、各色に対応する画像形成ユニット20の近傍位置に配置される。本実施形態の露光ユニット21は、画像形成ユニット20の下方位置に設けられている。露光ユニット21は、半導体レーザーやLEDなどの光源を備える。露光ユニット21は、光源を駆動することにより、画像データに基づく走査光を画像形成ユニット20に向けて照射する。
【0043】
画像形成ユニット20は、中間転写ベルト23の下方位置に設けられている。画像形成ユニット20は、矢印R1方向に回転する像担持体(感光体ドラム)31を有する。また、画像形成ユニット20は、像担持体31の周囲に、帯電ローラー32と、現像器33と、クリーニングブレード35とを有する。帯電ローラー32は、像担持体31の表面に接触して回転することにより、像担持体31の表面を所定電荷に帯電させる。露光ユニット21は、帯電ローラー32によって帯電した像担持体31の表面を露光することにより、像担持体31の表面に静電潜像を形成する。現像器33は、像担持体31の表面にトナーとキャリアから成る現像剤を付与することにより、静電潜像をトナーで顕像化し、トナー像を形成する。現像器33は、現像ローラー34を有している。現像ローラー34は、像担持体31の表面に近接した位置で回転することにより、像担持体31の表面に現像剤を付与する。
【0044】
像担持体31に形成されたトナー像は、矢印F1方向に循環移動する中間転写ベルト23と接触する際に、一次転写ローラー22から印加されるバイアス電圧によって像担持体31から中間転写ベルト23に一次転写される。各画像形成ユニット20は、中間転写ベルト23の上流側から順に、各色のトナー像を重畳的に一次転写させていくことにより、中間転写ベルト23の表面にカラー画像を形成する。このカラー画像は、中間転写ベルト23と一体的に矢印F1方向へ循環移動する。そして中間転写ベルト23が二次転写ローラー15と駆動ローラー25との間を通過するときに、カラー画像がタイミングローラー14から送り出されるシート9の表面に接合し、二次転写ローラー15から印加されるバイアス電圧によってシート9の表面に二次転写される。
【0045】
クリーニングブレード35は、中間転写ベルト23に一次転写されずに、像担持体31の表面に残留したトナーを除去する。
【0046】
また、K色の画像形成ユニット20Kと駆動ローラー25との間には、中間転写ベルト23の表面に対向するように濃度測定部7が設けられている。濃度測定部7は、例えば濃度センサーによって構成される。濃度測定部7は、中間転写ベルト23の表面に転写されている画像の濃度を測定する。例えば、濃度測定部7は、中間転写ベルト23の幅方向全域に亘って配置される。そのため、濃度測定部7は、中間転写ベルト23の幅方向の任意の位置で画像の濃度を測定することができる。
【0047】
上記のように構成される画像形成ユニット20は、画像形成を行うための回転部材30として、帯電ローラー32、現像ローラー34、及び、像担持体31を有している。ところが、各画像形成ユニット20に搭載される回転部材30の外形は完全な円形になっておらず、多少の歪みや凹凸がある。そのため、回転部材30を回転駆動すると、回転部材30の外周面の回転速度が一定にならず、速度ムラが発生する。これが周期ムラの原因となっている。本実施形態の画像形成装置1は、周期ムラのある複数色の画像が重なった場合に周期ムラが強調されて顕在化することを防止する機能を有している。以下、このような画像形成装置1について詳しく説明する。
【0048】
図3は、画像形成装置1における制御部5の構成を示すブロック図である。制御部5は、CPU40と、記憶部41とを備えている。CPU40は、記憶部41に記憶されている制御プログラム42を読み出して実行するハードウェアプロセッサーである。記憶部41は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)で構成される不揮発性の記憶デバイスである。記憶部41は、制御プログラム42の他に、参照情報43及び位相補正データ44を記憶する。参照情報43は、記憶部41に予め格納される情報である。位相補正データ44は、周期ムラ補正部45によって生成されるデータである。
【0049】
CPU40は、制御プログラム42を実行することにより、周期ムラ補正部45及びジョブ制御部46として機能する。周期ムラ補正部45は、画像形成装置1においてジョブの実行が開始される前に機能する。周期ムラ補正部45は、複数色の画像が重なった場合に周期ムラが強調されることを防止するための位相補正データ44を生成し、記憶部41に保存する。ジョブ制御部46は、ネットワークを介して印刷ジョブなどのジョブを受信した場合に機能する。ジョブ制御部46は、上述した搬送部2、画像形成部3、及び、定着部を動作させることにより、ユーザーによって指定されたジョブを実行し、シート9にカラー画像を形成する。このとき、ジョブ制御部46は、位相補正データを読み出し、カラー画像における周期ムラを低減させるための処理を実行する。
【0050】
周期ムラ補正部45は、パッチ形成部51と、取得部52と、周期ムラ検知部53と、補正判定部54とを備えている。周期ムラ補正部45は、周期ムラを補正するためのシーケンスを開始すると、パッチ形成部51、取得部52、周期ムラ検知部53、及び、補正判定部54を順に動作させる。
【0051】
パッチ形成部51は、画像形成部3を駆動し、各色の周期ムラを検知するためのパッチ画像を形成する。すなわち、パッチ形成部51は、Y,M,C,K各色の画像形成ユニット20を駆動し、各画像形成ユニット20においてハーフトーン帯状のパッチ画像を形成し、各色のパッチ画像を中間転写ベルト23に転写させる。このとき、パッチ形成部51は、主走査方向(中間転写ベルト23の幅方向)において、各画像形成ユニット20で形成されるパッチ画像の位置をずらす。そのため、各色のパッチ画像は、中間転写ベルト23の幅方向において異なる位置に転写される。また、パッチ形成部51は、中間転写ベルト23において各色のパッチ画像が副走査方向(中間転写ベルト23の移動方向)の同じ位置に転写されるように制御する。
【0052】
図4は、各色の画像形成ユニット20においてパッチ画像61~64が形成されるタイミングを示す図である。パッチ形成部51は、シーケンス開始タイミングT0になると、機能する。パッチ形成部51は、シーケンス開始後、Y色の画像形成ユニット20Yの駆動開始タイミングTdyになると、画像形成ユニット20Yに搭載されている回転部材30を駆動し、回転部材30を回転させる。このとき、パッチ形成部51は、ジョブ実行時のプロセス速度に対応した回転速度で回転部材30を回転させる。その後、パッチ形成部51は、Y色の描画開始タイミングTsyになると、画像形成ユニット20Yの像担持体31に静電潜像を形成し、Y色のトナーで顕像化する画像形成動作を開始する。これにより、画像形成ユニット20YにおいてY色のパッチ画像61が形成される。そしてY色のパッチ画像61は、中間転写ベルト23に転写される。
【0053】
続いて、パッチ形成部51は、M色の画像形成ユニット20Mの駆動開始タイミングTdmになると、画像形成ユニット20Mに搭載されている回転部材30を回転させる。このときの回転速度はジョブ実行時のプロセス速度に対応した回転速度である。その後、パッチ形成部51は、M色の描画開始タイミングTsmになると、画像形成ユニット20Mの像担持体31に静電潜像を形成し、M色のトナーで顕像化する画像形成動作を開始する。これにより、画像形成ユニット20MにおいてM色のパッチ画像62が形成される。そしてM色のパッチ画像62は、中間転写ベルト23に転写される。
【0054】
続いて、パッチ形成部51は、C色の画像形成ユニット20Cの駆動開始タイミングTdcになると、画像形成ユニット20Cに搭載されている回転部材30を回転させる。このときの回転速度もジョブ実行時のプロセス速度に対応した回転速度である。その後、パッチ形成部51は、C色の描画開始タイミングTscになると、画像形成ユニット20Cの像担持体31に静電潜像を形成し、C色のトナーで顕像化する画像形成動作を開始する。これにより、画像形成ユニット20CにおいてC色のパッチ画像63が形成される。そしてC色のパッチ画像63は、中間転写ベルト23に転写される。
【0055】
更に、パッチ形成部51は、K色の画像形成ユニット20Kの駆動開始タイミングTdkになると、画像形成ユニット20Kに搭載されている回転部材30を回転させる。このときの回転速度もジョブ実行時のプロセス速度に対応した回転速度である。その後、パッチ形成部51は、K色の描画開始タイミングTskになると、画像形成ユニット20Kの像担持体31に静電潜像を形成し、K色のトナーで顕像化する画像形成動作を開始する。これにより、画像形成ユニット20KにおいてK色のパッチ画像64が形成される。そしてK色のパッチ画像64は、中間転写ベルト23に転写される。
【0056】
図5は、中間転写ベルト23に転写される各色のパッチ画像61~64を示す図である。
図5に示すように、各色のパッチ画像61~64は、中間転写ベルト23において主走査方向(X方向)の異なる位置に転写される。また、各色のパッチ画像61~64は、副走査方向(Y方向)において同じ位置に転写される。つまり、各色のパッチ画像61~64の描画開始位置P1は、画像の副走査方向(Y方向)において同一位置となっている。これは、通常のジョブ実行時において複数色が重なったカラー画像が形成される場合と同じ処理である。
【0057】
中間転写ベルト23に4色のパッチ画像61~64が形成されると、中間転写ベルト23に対向する濃度測定部7が各色のパッチ画像61~64の濃度を測定する。このとき、濃度測定部7は、各色のパッチ画像61~64の副走査方向における濃度変化を測定する。そして濃度測定部7は、濃度変化を測定した測定データを出力する。このような濃度測定は、濃度測定部7ではなく、濃度測定部6で行うようにしても構わない。例えばパッチ形成部51は、中間転写ベルト23に転写した各色のパッチ画像61~64をシート9に二次転写させる。これにより、濃度測定部6は、シート9に転写された各色のパッチ画像61~64の副走査方向における濃度変化を測定できる。
【0058】
取得部52は、濃度測定部6又は7から出力される測定データを取得する。すなわち、取得部52は、各画像形成ユニット20のそれぞれで形成される各色のパッチ画像61~64の副走査方向における濃度変化を測定した測定データを取得する。
【0059】
図6は、各色のパッチ画像61~64の濃度変化を例示する図である。
図6(a)は、Y色の濃度変化を例示している。例えば、Y色の画像形成ユニット20Yにおいて回転部材30のひとつである現像ローラー34に速度ムラが生じている場合、Y色のパッチ画像61は、副走査方向に周期的な濃度変化を含む。
図6(a)の場合、Y色のパッチ画像61は、振幅Syの濃度変化を有し、描画開始タイミングTsyから濃度が極大ピーク値を示すまでに時間差(位相差)θyを有している。
【0060】
図6(b)は、M色の濃度変化を例示している。例えば、M色の画像形成ユニット20Mにおいて回転部材30のひとつである現像ローラー34に速度ムラが生じている場合、M色のパッチ画像62は、副走査方向に周期的な濃度変化を含む。
図6(b)の場合、M色のパッチ画像62は、振幅Smの濃度変化を有し、描画開始タイミングTsmから濃度が極大ピーク値を示すまでに時間差(位相差)θmを有している。
【0061】
図6(c)は、C色の濃度変化を例示している。例えば、C色の画像形成ユニット20Cにおいて回転部材30のひとつである現像ローラー34に速度ムラが生じている場合、C色のパッチ画像63は、副走査方向に周期的な濃度変化を含む。
図6(c)の場合、C色のパッチ画像63は、振幅Scの濃度変化を有し、描画開始タイミングTscから濃度が極大ピーク値を示すまでに時間差(位相差)θcを有している。
【0062】
図6(d)は、K色の濃度変化を例示している。例えば、K色の画像形成ユニット20Kにおいて回転部材30のひとつである現像ローラー34に速度ムラが生じている場合、K色のパッチ画像64は、副走査方向に周期的な濃度変化を含む。
図6(d)の場合、K色のパッチ画像64は、振幅Skの濃度変化を有し、描画開始タイミングTskから濃度が極大ピーク値を示すまでに時間差(位相差)θkを有している。
【0063】
周期ムラ検知部53は、取得部52によって取得される測定データに基づき、各色のパッチ画像61~64に含まれる周期ムラを検知する。例えば、周期ムラ検知部53は、各色のパッチ画像61~64の濃度変化の振幅Sy,Sm,Sc,Skが所定値以上である場合に周期ムラを検知する。なぜなら、濃度変化の振幅Sy,Sm,Sc,Skが所定値以上である場合、複数色の画像が重なり合うと互いの周期ムラが強調し合い、画質劣化を生じさせる可能性があるからである。反対に、濃度変化の振幅Sy,Sm,Sc,Skが所定値未満である場合、複数色の画像が重なり合っても周期ムラは目立たない。そのため、周期ムラ検知部53は、濃度変化の振幅Sy,Sm,Sc,Skが所定値未満である場合、そのような濃度変化を周期ムラとして検知しない。周期ムラ検知部53は、各色のパッチ画像61~64のうちから周期ムラを検知したパッチ画像の色を補正対象候補色として選択する。
【0064】
補正判定部54は、周期ムラ検知部53による周期ムラの検知結果に基づき、周期ムラの補正が必要であるか否かを判定する。また、補正判定部54は、周期ムラの補正が必要であると判定すると、補正対象色の画像形成ユニット20に含まれる回転部材30を駆動する際に位相補正を行うための位相補正データ44を生成する。
【0065】
補正判定部54は、周期ムラ検知部53によって補正対象候補色として選択された色の数が0又は1である場合、補正不要と判定する。なぜなら、周期ムラが検知された色が1以下である場合、他の色の画像が重なり合っても周期ムラが強調されることがないからである。
【0066】
補正判定部54は、周期ムラ検知部53によって補正対象候補色として選択された色の数が2である場合、補正が必要であるか否かを判定する。具体的には、補正判定部54は、記憶部41に記憶されている参照情報43を読み出し、その参照情報43に基づいて補正が必要であるか否かを判定する。
【0067】
図7は、参照情報43の一例を示す図である。
図7に示すように、参照情報43は、補正対象候補色として選択された2色の組合せに応じて、補正の必要性が定義された情報である。例えば、周期ムラがY色とC色の2色で検知された場合、互いの画像が重なり合うと、それぞれの周期ムラが互いに強調し合い、カラー画像において視覚的に目立つ周期ムラが現れる。そのため、参照情報43は、2色の組合せがY色とC色である場合、補正必要と定義している。また、周期ムラがY色とM色の2色で検知された場合、C色とK色の2色で検知された場合、更にはM色とK色の2色で検知された場合も同様である。そのため、参照情報43は、Y色とM色の組合せ、C色とK色の組合せ、更にはM色とK色の組合せである場合、補正必要と定義している。
【0068】
一方、周期ムラがY色とK色の2色で検知された場合、互いの画像が重なり合ったとしても、それぞれの周期ムラが互いに強調し合うことはなく、カラー画像において視覚的に目立つような周期ムラは現れない。また、周期ムラがM色とC色の2色で検知された場合も同様であり、それぞれの周期ムラが互いに強調し合うことはなく、カラー画像において視覚的に目立つような周期ムラは現れない。そのため、参照情報43は、Y色とK色の組合せ、及び、M色とC色の組合せである場合、補正不要と定義している。
【0069】
補正判定部54は、周期ムラが2色のパッチ画像で検知された場合、上記のような参照情報43に基づき、2色の組合せによって補正が必要であるか否かを判定する。また、補正判定部54は、周期ムラが3色以上のパッチ画像で検知された場合には、補正必要と判定する。
【0070】
補正判定部54は、周期ムラ検知部53の検知結果に基づいて補正必要と判定すると、周期ムラ検知部53によって選択された補正対象候補色を、補正対象色として特定する。そして補正判定部54は、補正対象色のパッチ画像における濃度変化を表す濃度変化式を求める。例えば、
図6に示したY,M,C,K各色の濃度をDy,Dm,Dc,Dkとすると、各色の濃度変化を示す式は、次の数1の式のようになる。尚、数1の式において、ωは周波数である。
【0071】
【0072】
例えば、補正対象色が2色である場合、補正判定部54は、それら2色の濃度変化の位相差Fabを算出する。すなわち、位相差Fabは、次の数2の式で表される。
【0073】
【0074】
ここでまず、補正対象色が2色である場合について説明する。補正対象色が2色である場合、それら2色の極大ピークが重なると、2色の画像に含まれる周期ムラが強調され、画質劣化が生じる可能性がある。また、一方の色の極大ピークと、他方の色の極小ピークとが重なった場合にも、2色の画像に含まれる周期ムラが強調され、画質劣化が生じる可能性がある。つまり、
図8に示すように、上記数式で算出される位相差Fabが、0≦Fab<π/4、3π/4≦Fab<5π/4、及び、7π/4≦Fab<2πの範囲内である場合、周期ムラが強調されることによって画質劣化が生じる可能性がある。そのため、補正判定部54は、2色の位相差Fabが、0≦Fab<π/4、3π/4≦Fab<5π/4、及び、7π/4≦Fab<2πの範囲内である場合、補正必要と判定する。また、補正判定部54は、2色の位相差Fabが上記以外の範囲(π/4≦Fab<3π/4、及び、5π/4≦Fab<7π/4)である場合、補正不要と判定する。
【0075】
続いて、補正判定部54は、補正必要と判定すると、補正対象色である2色のうちの一方の色を基準とし、他方の色の画像形成ユニット20に含まれる回転部材30の回転位相を補正するための位相補正データ44を生成する。すなわち、補正判定部54は、2色の位相差Fabが
図8に示す補正不要領域となる回転部材30の位相補正量を算出する。そして補正判定部54は、回転部材30の位相補正量を含む位相補正データ44を生成する。例えば、位相差Fabが0≦Fab<π/4の範囲内であった場合、補正判定部54は、補正後の位相差Fabがπ/2となるように位相補正量を算出する。また、位相差Fabが3π/4≦Fab<5π/4の範囲内であった場合、補正判定部54は、補正後の位相差Fabが3π/2となるように位相補正量を算出する。更に、位相差Fabが7π/4≦Fab<2πの範囲内であった場合、補正判定部54は、補正後の位相差Fabが5π/2となるように位相補正量を算出する。
【0076】
次に、補正対象色が3色である場合について説明する。補正対象色が3色である場合、補正判定部54は、3色に組合せを判定する。3色の組合せがY色、M色及びC色である場合、補正判定部54は、Y色を基準とし、他のM色及びC色のそれぞれの画像形成ユニット20に含まれる回転部材30の回転位相を補正するための位相補正データ44を生成する。つまり、M色の画像形成ユニット20Mに含まれる回転部材30の位相補正量は、Y色を基準に算出される。また、C色の画像形成ユニット20Cに含まれる回転部材30の位相補正量も、Y色を基準に算出される。この場合、M色の濃度変化の極大ピークとC色の濃度変化の極大ピークとが重なる可能性がある。しかし、
図7に示したように、M色の周期ムラとC色の周期ムラとが重なっても画質劣化は生じず、補正が不要である。そのため、Y色を基準に、M色及びC色の回転部材30の位相補正量を算出するだけで良い。
【0077】
また、3色の組合せがY色、M色及びK色である場合、補正判定部54は、M色を基準とし、他のY色及びK色のそれぞれの画像形成ユニット20に含まれる回転部材30の回転位相を補正するための位相補正データ44を生成する。つまり、Y色の画像形成ユニット20Yに含まれる回転部材30の位相補正量は、M色を基準に算出される。また、K色の画像形成ユニット20Kに含まれる回転部材30の位相補正量も、M色を基準に算出される。この場合、Y色の濃度変化の極大ピークとK色の濃度変化の極大ピークとが重なる可能性がある。しかし、
図7に示したように、Y色の周期ムラとK色の周期ムラとが重なっても画質劣化は生じず、補正が不要である。そのため、M色を基準に、Y色及びK色の回転部材30の位相補正量を算出するだけで良い。
【0078】
また、3色の組合せがY色、C色及びK色である場合、補正判定部54は、C色を基準とし、他のY色及びK色のそれぞれの画像形成ユニット20に含まれる回転部材30の回転位相を補正するための位相補正データ44を生成する。つまり、Y色の画像形成ユニット20Yに含まれる回転部材30の位相補正量は、C色を基準に算出される。また、K色の画像形成ユニット20Kに含まれる回転部材30の位相補正量も、C色を基準に算出される。この場合、Y色の濃度変化の極大ピークとK色の濃度変化の極大ピークとが重なる可能性がある。しかし、
図7に示したように、Y色の周期ムラとK色の周期ムラとが重なっても画質劣化は生じず、補正が不要である。そのため、C色を基準に、Y色及びK色の回転部材30の位相補正量を算出するだけで良い。
【0079】
更に、3色の組合せがM色、C色及びK色である場合、補正判定部54は、K色を基準とし、他のM色及びC色のそれぞれの画像形成ユニット20に含まれる回転部材30の回転位相を補正するための位相補正データ44を生成する。つまり、M色の画像形成ユニット20Mに含まれる回転部材30の位相補正量は、K色を基準に算出される。また、C色の画像形成ユニット20Cに含まれる回転部材30の位相補正量も、K色を基準に算出される。この場合、M色の濃度変化の極大ピークとC色の濃度変化の極大ピークとが重なる可能性がある。しかし、
図7に示したように、M色の周期ムラとC色の周期ムラとが重なっても画質劣化は生じず、補正が不要である。そのため、K色を基準に、M色及びC色の回転部材30の位相補正量を算出するだけで良い。
【0080】
次に、補正対象色が4色である場合について説明する。補正対象色が4色である場合、補正判定部54は、まず、Y色を基準とし、M色及びC色のそれぞれの画像形成ユニット20に含まれる回転部材30の回転位相を補正するための位相補正データ44を生成する。次に、補正判定部54は、M色及びC色のうちの少なくとも一方を基準とし、K色の画像形成ユニット20Kに含まれる回転部材30の回転位相を補正するための位相補正データ44を生成する。この場合、Y色の濃度変化の極大ピークとK色の濃度変化の極大ピークとが重なる可能性がある。しかし、
図7に示したように、Y色の周期ムラとK色の周期ムラとが重なっても画質劣化は生じず、補正が不要である。そのため、Y色とK色との関係を考慮する必要はない。
【0081】
周期ムラ補正部45は、上記のような動作により、記憶部41に位相補正データ44を格納する。位相補正データ44は、ジョブの実行時にジョブ制御部46によって参照され、各色の画像形成ユニット20における回転部材30の位相補正に利用される。
【0082】
ジョブ制御部46は、位相補正部55を備えている。位相補正部55は、位相補正データ44を読み出し、ジョブの実行中において2色以上の画像における周期ムラが同位相又は逆位相で重ならないように回転部材30の回転位相を補正する。ここで、同位相とは、2以上の濃度変化の位相が同一であることを意味している。また、逆位相とは、2以上の濃度変化の位相が半周期ずれていることを意味している。
【0083】
位相補正部55は、各色の画像形成ユニット20に搭載されている回転部材30(例えば、現像ローラー34など)を回転させる。具体的には、位相補正部55は、回転部材30を回転駆動するモーターなどの回転部材駆動部56を制御する。回転部材駆動部56には、回転部材30の回転位置を検知するための位置検出部56aが設けられている。位相補正部55は、位置検出部56aによって検知される回転部材30の回転位置を監視しつつ、回転部材駆動部56を駆動することにより、位相補正を行う。
【0084】
回転部材30の位相補正を行う方法として、例えば、シーケンス開始タイミングT0から各色の描画開始タイミングまでの期間において、補正対象である回転部材30を、ジョブ実行時のプロセス速度に対応した回転速度よりも低速で回転させる方法がある。回転部材30を低速で回転させることにより、回転部材30の位相を遅延させることができる。位相補正部55は、回転部材30の位相の遅延量が位相補正データ44に含まれる位相補正量となるまで回転部材30を低速回転させることにより、位相補正を行う。このような位相補正により、2色以上の画像における周期ムラが同位相又は逆位相で重ならない状態となる。そのため、カラー画像に現れる周期ムラが低減される。
【0085】
また、位相補正部55は、上記とは異なる方法として、回転部材30の駆動開始タイミングを調整する方法を採用しても良い。例えば、位相補正部55は、補正対象である回転部材30の駆動開始タイミングを遅延させることにより、回転部材30の回転を遅らせることができる。このような方法でも、位相補正部55は、適切な位相補正を行うことができる。
【0086】
次に、画像形成装置1における処理手順の一例について説明する。
図9乃至
図11は、画像形成装置1における処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理手順は、制御プログラム42に定められている。CPU40は、制御プログラム42を実行することにより、
図9乃至
図11に示す各ステップの処理を実行する。
図9乃至
図11に示すフローチャートに基づく処理は、画像形成装置1において繰り返し実行される処理である。
【0087】
画像形成装置1は、フローチャートに基づく処理を開始すると、周期ムラ補正処理を実行するか否かを判断する(ステップS1)。例えば、画像形成装置1は、電源投入直後のタイミングのとき、又は、ネットワークを介して印刷ジョブなどのジョブを受信したタイミングのときに周期ムラ補正処理を実行すると判断する。また、画像形成装置1は、ジョブを実行していない状態において定期的又は不定期なタイミングで周期ムラ補正処理を実行すると判断しても良い。
【0088】
画像形成装置1は、周期ムラ補正処理を実行すると判断すると(ステップS1でYES)、周期ムラ補正処理を実行する(ステップS2)。これに対し、周期ムラ補正処理を実行しないと判断した場合(ステップS1でNO)、画像形成装置1は、ステップS2の処理をスキップする。
【0089】
図10は、周期ムラ補正処理(ステップS2)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。画像形成装置1は、周期ムラ補正処理の実行を開始すると、シーケンス開始タイミングT0において周期ムラを補正するためのシーケンスを開始する(ステップS10)。その後、画像形成装置1は、Y,M,C,K各色の画像形成ユニット20を個別に駆動し、パッチ画像61~64を形成する(ステップS11)。各画像形成ユニット20によって順次形成されたパッチ画像61~64は、中間転写ベルト23に順次転写される。そして画像形成装置1は、各色のパッチ画像61~64が濃度測定部7に対向する位置を通過する際に、各パッチ画像61~64の副走査方向における濃度変化を測定する(ステップS12)。画像形成装置1は、濃度変化を測定した測定データに基づき、各パッチ画像61~64に含まれる周期ムラを検知する周期ムラ検知処理を実行する(ステップS13)。このとき、画像形成装置1によって濃度変化の振幅が所定値以上である周期ムラが検知される。
【0090】
画像形成装置1は、複数のパッチ画像61~64のうちの少なくとも1つから周期ムラを検知したか否かを判断する(ステップS14)。周期ムラを検知した場合(ステップS14でYES)、画像形成装置1は、2色以上のパッチ画像から周期ムラを検知したか否かを判断する(ステップS15)。画像形成装置1は、周期ムラを検知していない場合(ステップS14でNO)、又は、1色のパッチ画像のみから周期ムラを検知した場合(ステップS15でNO)、周期ムラ補正処理を終了する。
【0091】
2色以上のパッチ画像から周期ムラを検知した場合(ステップS15でYES)、画像形成装置1は、周期ムラの補正が必要であるか否かを判定する(ステップS16)。例えば、2色のパッチ画像から周期ムラを検知した場合、画像形成装置1は、参照情報43を参照し、周期ムラを検知した2色の組合せによって補正を行うか否かを判定する。また、画像形成装置1は、3色以上のパッチ画像から周期ムラを検知した場合、周期ムラの補正が必要であると判定する。補正が不要であると判定した場合(ステップS16でNO)、画像形成装置1は、周期ムラ補正処理を終了する。
【0092】
周期ムラの補正が必要であると判定した場合(ステップS16でYES)、画像形成装置1は、補正対象色の濃度変化に基づき、補正対象色間の位相差Fabを算出する(ステップS17)。画像形成装置1は、その位相差Fabが所定範囲内であるか否かに基づき、周期ムラの補正が必要であるか否かを再度判定する(ステップS18)。このとき、補正対象色間の位相差Fabが所定範囲外であれば(ステップS18でNO)、画像形成装置1は、補正が不要であると判定し、周期ムラ補正処理を終了する。
【0093】
位相差が所定範囲内である場合、画像形成装置1は、周期ムラの補正が必要であると判定する(ステップS18でYES)。この場合、画像形成装置1は、補正対象色間の位相差Fabが所定範囲外となるように回転部材30の位相補正量を算出し、位相補正データ44を生成する(ステップS19)。そして画像形成装置1は、位相補正データ44を記憶部41に保存する(ステップS20)。以上で、周期ムラ補正処理が終了する。
【0094】
図9のフローチャートに戻る。次に画像形成装置1は、ジョブを実行するか否かを判断する(ステップS3)。例えば、ネットワークを介してジョブを受信している場合、画像形成装置1は、ジョブを実行すると判断する。これに対し、実行すべきジョブが存在しない場合、画像形成装置1は、ジョブを実行しないと判断する。ジョブを実行する場合(ステップS3でYES)、画像形成装置1は、ジョブ実行処理を開始する(ステップS4)。
【0095】
図11は、ジョブ実行処理(ステップS4)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。画像形成装置1は、ジョブ実行処理を開始すると、記憶部41の位相補正データ44を読み出す(ステップS30)。その後、画像形成装置1は、ジョブ実行のためのシーケンス開始タイミングとなるまで待機する(ステップS31)。シーケンス開始タイミングになると(ステップS31でYES)、画像形成装置1は、ジョブ実行のためのシーケンスを開始する(ステップS32)。続いて、画像形成装置1は、各画像形成ユニット20の駆動開始タイミングとなるまで待機する(ステップS33)。画像形成装置1は、補正対象色である画像形成ユニット20の駆動開始タイミングになると(ステップS33でYES)、その画像形成ユニット20に含まれる回転部材30を、プロセス速度に対応する回転速度よりも低速で回転駆動する(ステップS34)。画像形成装置1は、回転部材30の低速駆動を開始すると、位置検出部56aで回転部材30の回転位置を検知する(ステップS35)。画像形成装置1は、その回転位置に基づき、位相補正が完了したか否かを判断する(ステップS36)。位相補正が完了していない場合(ステップS36でNO)、画像形成装置1は、回転部材30の低速回転を継続する。回転部材30の低速回転は、2色以上の画像形成ユニット20における回転部材30の位相差Fabが所定範囲外となるまで継続される。そして位相差Fabが位相補正データ44に含まれる位相補正量に達すると、画像形成装置1は、位相補正が完了した判断する(ステップS36でYES)。位相補正が完了すると、画像形成装置1は、回転部材30の回転速度をプロセス速度に対応する回転速度に復帰させる(ステップS37)。
【0096】
その後、画像形成装置1は、各画像形成ユニット20の描画開始タイミングとなるまで待機する(ステップS38)。画像形成装置1は、描画開始タイミングになると(ステップS38でYES)、描画対象である画像形成ユニット20を駆動し、ジョブの画像データに基づく画像形成を開始する(ステップS39)。これにより、画像形成装置1は、シート9にカラー画像を形成し、出力する。そして画像形成装置1は、ジョブの実行が終了したと判断すると(ステップS40でYES)、ジョブ実行処理を終了する。
【0097】
以上のように本実施形態の画像形成装置1は、複数の回転部材30のそれぞれを回転させることによって複数色の画像を副走査方向に連続形成する。回転部材30は、複数の画像形成ユニット20のそれぞれに搭載設けられている。そして画像形成装置1は、複数の回転部材30のそれぞれで形成される各色の画像の副走査方向における濃度変化を測定し、各色の画像に含まれる周期ムラを検知する。更に、画像形成装置1は、2色以上の画像において周期ムラを検知した場合、2色以上の画像における周期ムラが同位相又は逆位相で重ならないように回転部材30の回転位相を補正する。このような構成を有する画像形成装置1は、2色以上の画像における周期ムラのピークが同位相又は逆位相で重なり合うことを回避することができる。その結果、画像形成装置1は、カラー画像に現れる周期ムラを低減できる。
【0098】
以上、本発明に関する好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態において説明した内容のものに限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0099】
例えば、上記実施形態の画像形成装置1は、濃度測定部6,7を備えており、パッチ画像61~64の濃度変化を装置内部で測定する例を説明した。しかし、これに限られるものではない。例えば、画像形成装置1とは異なる外部装置が、パッチ画像61~64の濃度変化を測定しても構わない。この場合、画像形成装置1はパッチ画像61~64を印刷したシート9を出力する。外部装置は、そのシート9を読み取り、各色のパッチ画像61~64の濃度変化を測定する。画像形成装置1の取得部52は、その外部装置から測定データを取得する。画像形成装置1は、外部装置から測定データを取得する場合であっても、ジョブ実行時にカラー画像に現れる周期ムラを良好に低減できる。
【0100】
また、上記実施形態では特に限定していないが、画像形成ユニット20に含まれる像担持体31、帯電ローラー32及び現像ローラー34のうちのいずれか1つを、周期ムラの補正対象とする回転部材30としても構わない。
【0101】
また、上記実施形態で説明した制御プログラム42は、画像形成装置1の記憶部41に予め記憶されているものに限られない。例えば、制御プログラム42は、それ単体で取引の対象となるものであっても構わない。この場合、制御プログラム42は、インターネットなどのネットワークを介してダウンロード可能な態様で提供されるものであっても良い。また制御プログラム42は、またCD-ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された状態で提供されるものであっても良い。
【符号の説明】
【0102】
1 画像形成装置
6,7 濃度測定部
30 回転部材
31 像担持体(回転部材)
32 帯電ローラー(回転部材)
34 現像ローラー(回転部材)
42 制御プログラム
45 周期ムラ補正部
46 ジョブ制御部
51 パッチ形成部
52 取得部
53 周期ムラ検知部
54 補正判定部
55 位相補正部
56 回転部材駆動部
56a 位置検出部
61,62,63,64 パッチ画像