(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169052
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】画像処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241128BHJP
H04N 1/12 20060101ALI20241128BHJP
B65H 7/14 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H04N1/00 567J
H04N1/12
H04N1/00 L
B65H7/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086233
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100107216
【弁理士】
【氏名又は名称】伊與田 幸穂
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和敏
【テーマコード(参考)】
3F048
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
3F048AA08
3F048AB02
3F048BA05
3F048BA20
3F048BB02
3F048CA03
3F048CC03
3F048DA06
3F048DB04
3F048DC12
3F048EA01
3F048EA15
3F048EB37
5C062AA05
5C062AA35
5C062AA37
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB41
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC11
5C062AC14
5C062AC69
5C062AE01
5C062AF10
5C062AF15
5C072AA01
5C072BA05
5C072CA02
5C072EA05
5C072FB23
5C072FB25
5C072NA01
5C072NA04
5C072RA03
5C072RA04
5C072UA11
5C072UA13
5C072XA01
5C072XA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】搬送中の原稿を読み取っている原稿の搬送を停止した際に読み取りを原稿の最初の部分からやり直す場合に比べ、読み取りを完了するまでの時間を短縮する画像処理システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】画像形成装置において、情報処理部100Bは、1又は複数のプロセッサを有し、1又は複数のプロセッサは、搬送機構により搬送中の原稿から画像を読み取る動作モードにおいて、搬送機構による原稿の読取りが終わる前に搬送機構による原稿の搬送が停止し搬送が再開した場合、搬送を停止している際の原稿の移動を示す情報である移動量(オフセット量S、回転角度θ)を基に、搬送停止の前に読み取った一時停止前原稿画像84及び搬送再開により読み取った一次停止後原稿画像85を用いて原稿の読み取り合成画像70を作成する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数のプロセッサを有し、
前記1又は複数のプロセッサは、
搬送機構により搬送中の原稿から画像を読み取る動作モードにおいて、
前記搬送機構による前記原稿の読取りが終わる前に当該搬送機構による原稿の搬送が停止し当該搬送が再開した場合、当該搬送を停止している際の原稿の移動を示す情報を基に、搬送停止の前に読み取った原稿画像及び搬送再開により読み取った原稿画像を用いて当該原稿の読み取り画像を作成する、
画像処理システム。
【請求項2】
前記原稿の移動を示す情報に、画像読み取りを行う読取り部とは別に設けられた検出部により検出した情報が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記別に設けられた検出部は、前記搬送機構による原稿の搬送を停止するかどうかを判断するために、当該搬送の方向に交差する方向の原稿の位置ずれを検出するものである、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記原稿の移動を示す情報に、前記読取り部により検出した情報が含まれる、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記原稿の移動を示す情報から、前記搬送の停止の際の原稿に対する前記再開の際の原稿の回転量と移動量を求め、求めた当該回転量及び移動量を前記読み取り画像の作成に用いる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記原稿の搬送が停止した場合、前記再開の際に前記画像のうち読取りされない部分が生じないようにする、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記読取りされない部分が生じないようにすることは、
前記搬送再開の際の読み取りが前記搬送停止の原稿の位置よりも搬送方向の前側から開始するようにユーザに対する表示を行うことである、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像処理システム。
【請求項8】
前記読取りされない部分が生じないようにすることは、
前記搬送再開の際の読み取りが前記搬送停止の原稿の位置よりも搬送の方向の前側から開始するように、前記搬送機構が当該搬送の方向とは反対の方向に原稿を搬送することである、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像処理システム。
【請求項9】
前記原稿の搬送が停止した場合、当該搬送を停止している際の原稿の移動を示す情報による移動が予め定められているものである場合、前記動作モードを中止することを表示部に表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項10】
前記原稿の搬送が停止した場合、原稿の存在を検知しない場合に、前記動作モードを中止することを表示部に表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項11】
情報処理装置に、
搬送機構により搬送中の原稿から画像を読み取る動作モードにおいて当該搬送機構による原稿の読取りが終わる前に当該搬送機構による原稿の搬送が停止し当該搬送が再開した場合、当該搬送を停止している際の原稿の移動を示す情報を取得する機能と、
前記取得した情報を基に、搬送停止の前に読み取った原稿画像及び搬送再開により読み取った原稿画像を用いて読み取り画像を作成する機能と、
を実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理システム及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、搬送部により原稿を搬送しながら画像読取部が読み取った原稿の読取画像に基づいて、原稿の斜行量を特定する特定手段と、特定手段により特定された斜行量及び予め設定された閾値に基づいて、原稿を搬送することができるか判定する判定手段と、判定手段により原稿を搬送することができないと判定された場合、原稿の搬送を抑制するように前記搬送部を制御する搬送制御手段と、を備える構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、搬送中の原稿を読み取る構成において、例えば原稿が左右に蛇行する等により原稿ガイドと接触するおそれがある場合に原稿の搬送を停止すると、読み取りを原稿の最初の部分からやり直すことにより読み取り完了までに時間がかかってしまう。
本発明の目的は、搬送中の原稿を読み取っている原稿の搬送を停止した際に読み取りを原稿の最初の部分からやり直す場合に比べ、読み取りを完了するまでの時間を短縮することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、1又は複数のプロセッサを有し、前記1又は複数のプロセッサは、搬送機構により搬送中の原稿から画像を読み取る動作モードにおいて、前記搬送機構による前記原稿の読取りが終わる前に当該搬送機構による原稿の搬送が停止し当該搬送が再開した場合、当該搬送を停止している際の原稿の移動を示す情報を基に、搬送停止の前に読み取った原稿画像及び搬送再開により読み取った原稿画像を用いて当該原稿の読み取り画像を作成する、画像処理システムである。
請求項2に記載の発明は、前記原稿の移動を示す情報に、画像読み取りを行う読取り部とは別に設けられた検出部により検出した情報が含まれる、ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理システムである。
請求項3に記載の発明は、前記別に設けられた検出部は、前記搬送機構による原稿の搬送を停止するかどうかを判断するために、当該搬送の方向に交差する方向の原稿の位置ずれを検出するものである、ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理システムである。
請求項4に記載の発明は、前記原稿の移動を示す情報に、前記読取り部により検出した情報が含まれる、ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理システムである。
請求項5に記載の発明は、前記原稿の移動を示す情報から、前記搬送の停止の際の原稿に対する前記再開の際の原稿の回転量と移動量を求め、求めた当該回転量及び移動量を前記読み取り画像の作成に用いる、ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理システムである。
請求項6に記載の発明は、前記原稿の搬送が停止した場合、前記再開の際に前記画像のうち読取りされない部分が生じないようにする、ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理システムである。
請求項7に記載の発明は、前記読取りされない部分が生じないようにすることは、前記搬送再開の際の読み取りが前記搬送停止の原稿の位置よりも搬送方向の前側から開始するようにユーザに対する表示を行うことである、ことを特徴とする請求項6に記載の画像処理システムである。
請求項8に記載の発明は、前記読取りされない部分が生じないようにすることは、前記搬送再開の際の読み取りが前記搬送停止の原稿の位置よりも搬送の方向の前側から開始するように、前記搬送機構が当該搬送の方向とは反対の方向に原稿を搬送することである、ことを特徴とする請求項6に記載の画像処理システムである。
請求項9に記載の発明は、前記原稿の搬送が停止した場合、当該搬送を停止している際の原稿の移動を示す情報による移動が予め定められているものである場合、前記動作モードを中止することを表示部に表示する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理システムである。
請求項10に記載の発明は、前記原稿の搬送が停止した場合、原稿の存在を検知しない場合に、前記動作モードを中止することを表示部に表示する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理システムである。
請求項11に記載の発明は、情報処理装置に、搬送機構により搬送中の原稿から画像を読み取る動作モードにおいて当該搬送機構による原稿の読取りが終わる前に当該搬送機構による原稿の搬送が停止し当該搬送が再開した場合、当該搬送を停止している際の原稿の移動を示す情報を取得する機能と、前記取得した情報を基に、搬送停止の前に読み取った原稿画像及び搬送再開により読み取った原稿画像を用いて読み取り画像を作成する機能と、を実現させるプログラムである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、搬送中の原稿を読み取っている原稿の搬送を停止した際に読み取りを原稿の最初の部分からやり直す場合に比べ、読み取りを完了するまでの時間を短縮することができる。
請求項2の発明によれば、原稿の移動を示す情報に、画像読み取りを行う読取り部とは別に設けられた検出部により検出した情報が含まれる構成を備えない場合に比べて、制御を簡略化することができる。
請求項3の発明によれば、別に設けられた検出部は、搬送機構による原稿の搬送を停止するかどうかを判断するために、搬送の方向に交差する方向の原稿の位置ずれを検出するものであるという構成を備えない場合に比べて、構成を簡略化することができる。
請求項4の発明によれば、原稿の移動を示す情報に、読取り部により検出した情報が含まれる構成を備えない場合に比べて、原稿の移動を示す情報の精度を向上させることができる。
請求項5の発明によれば、原稿の移動を示す情報から、搬送の停止の際の原稿に対する再開の際の原稿の回転量と移動量を求め、求めた回転量及び移動量を読み取り画像の作成に用いる構成を備えない場合に比べて、制御を簡略化することができる。
請求項6の発明によれば、前記原稿の搬送が停止した場合、前記再開の際に前記画像のうち読取りされない部分が生じないようにする構成を備えない場合に比べて、作成される読み取り画像に対する搬送停止の影響を抑制することができる。
請求項7の発明によれば、読取りされない部分が生じないようにすることは、搬送再開の際の読み取りが搬送停止の原稿の位置よりも搬送方向の前側から開始するようにユーザに対する表示を行うことであるという構成を備えない場合に比べて、搬送再開の際の搬送機構の制御を簡略化することができる。
請求項8の発明によれば、読取りされない部分が生じないようにすることは、搬送再開の際の読み取りが搬送停止の原稿の位置よりも搬送の方向の前側から開始するように、搬送機構が搬送の方向とは反対の方向に原稿を搬送することであるという構成を備えない場合に比べて、搬送再開の際のユーザの負担を軽減することができる。
請求項9の発明によれば、原稿の搬送が停止した場合、搬送を停止している際の原稿の移動を示す情報による移動が予め定められているものである場合、動作モードを中止することを表示部に表示する構成を備えない場合に比べて、使い勝手の向上を図ることができる。
請求項10の発明によれば、原稿の搬送が停止した場合、原稿の存在を検知しない場合に、動作モードを中止することを表示部に表示する構成を備えない場合に比べて、使い勝手の向上を図ることができる。
請求項11の発明によれば、搬送中の原稿を読み取っている原稿の搬送を停止した際に読み取りを原稿の最初の部分からやり直す場合に比べ、読み取りを完了するまでの時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】画像形成装置に設けられた情報処理部、サーバ装置のハードウェアの構成例を示した図である。
【
図3】画像読み取り装置の構成を説明する図であり、(a)はその平面図、(b)は搬送機構の一部を示す。
【
図4】画像読み取り装置の読み取り動作モードを説明する図であり、(a)は、原稿の搬送が停止された場合、(b)は、搬送停止から搬送再開までの間に原稿が移動される場合を示す。
【
図5】搬送が停止している際の原稿の移動を示す情報を説明する図であり、(a)は、
図4(b)に対応する図であり、(b)は移動量と回転角度の算出方法を説明する図である。
【
図6】合成による読み取り画像の作成を説明する図であり、(a)は原稿を示す図であり、(b)は原稿画像を示す図であり、(c)は合成画像を示す図である。
【
図7】本実施の形態における機能構成を説明するブロック図である。
【
図8】スキャンが行われる場合の処理手順を示すフローチャートである。
【
図10】操作受付部の他の表示例を示す図であり、(a)は第2表示例、(b)は第3表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、画像処理システム1の一例を示した図である。
本実施形態の画像処理システム1では、画像形成装置100と、この画像形成装置100に対して通信回線190を介して接続されるサーバ装置200とが設けられている。本実施形態では、画像処理システムの一例としての画像形成装置100において、原稿1Aの読み取りが行われ、読み取り画像1Cが作成される。
さらに、本実施形態の画像処理システム1には、サーバ装置200に接続され、ユーザから操作を受け付けるユーザ端末300が設けられている。
【0009】
ユーザ端末300には、表示装置310が設けられている。ユーザ端末300は、コンピュータにより実現される。ユーザ端末300の形態としては、例えば、PC(Personal Computer)や、スマートフォンや、タブレット端末が挙げられる。
【0010】
画像形成装置100には、記録媒体の一例である用紙への画像の形成を行う画像形成部100Aが設けられている。
画像形成部100Aによる用紙への画像の形成は、例えば、インクジェット方式や電子写真方式を用いて行われる。なお、画像形成部100Aによる用紙への画像の形成は、インクジェット方式や電子写真方式に限らず、他の方式を用いて行ってもよい。
画像形成装置100には、さらに、情報処理部100Bが設けられている。情報処理部100Bは、画像形成装置100について行われる各種の処理を実行するものである。
【0011】
さらにまた、画像形成装置100には、原稿1Aの読み取りを行い読み取り画像1Cを作成し、サーバ装置200に送信する画像読み取り装置130が設けられている。また、画像形成装置100には、各種の操作を受け付けると共に表示を行う操作受付部132と、が設けられている。詳細は後述する。
【0012】
図2は、画像形成装置100に設けられた情報処理部100B、サーバ装置200のハードウェアの構成例を示した図である。画像形成装置100に設けられた情報処理部100B、サーバ装置200は、コンピュータにより実現される。
情報処理部100B、サーバ装置200の各々は、プログラムに従ってデジタル演算処理を実行する演算処理部11と、情報を記憶する2次記憶部12とを有する。
2次記憶部12は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリ、磁気テープ等、既存の情報記憶装置により実現される。
【0013】
演算処理部11には、プロセッサの一例としてのCPU11aが設けられている。
また、演算処理部11には、CPU11aの作業用メモリ等として用いられるRAM11b、CPU11aにより実行されるプログラム等が格納されるROM11cが設けられている。
また、演算処理部11には、書き換え可能に構成され電源供給が途絶えた場合にもデータを保持できる不揮発性メモリ11d、演算処理部11に接続される通信部等の各部を制御するインターフェース部11eが設けられている。
【0014】
不揮発性メモリ11dは、例えば、電池によりバックアップされたSRAMやフラッシュメモリ等で構成される。2次記憶部12には、ファイル等が記憶される他、演算処理部11により実行されるプログラムが記憶される。
本実施形態では、演算処理部11が、ROM11cや2次記憶部12に記憶されたプログラムを読み込むことによって、各処理が実行される。
【0015】
CPU11aによって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で、サーバ装置200、情報処理部100Bへ提供しうる。また、CPU11aによって実行されるプログラムは、インターネットなどの通信手段を用いて、サーバ装置200、情報処理部100Bへ提供してもよい。
【0016】
本明細書において、プロセッサとは、広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
また、プロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は、本実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、変更してもよい。
【0017】
以下で説明する画像処理システム1における処理は、画像形成装置100に設けられたプロセッサの一例としてのCPU11aが行う場合の他、サーバ装置200に設けられたプロセッサの一例としてのCPU11aが行ってもよい。1台のサーバ装置200などの1台の装置により実現してもよいし、複数台の装置により実現してもよい。
本実施形態における「システム」とは、複数の装置によって構成されたもの及び単一の装置によって構成されたものの両方を含む。
【0018】
図1に戻って、画像形成装置100を説明する。
本実施形態では、上記の通り、画像形成装置100には、記録媒体の一例である用紙への画像の形成を行う画像形成部100Aが設けられている。
【0019】
また、画像形成装置100には、原稿1Aの画像を読み取る画像読み取り手段の一例としての画像読み取り装置130が設けられている。
この画像読み取り装置130は、原稿1Aの搬送機構26(
図3参照)を有するいわゆるスキャナであり、搬送機構26により原稿1Aを搬送してスキャンを行う。以下、画像読み取りを「スキャン」ということがある。
画像読み取り装置130には、原稿1Aに照射される光を出射する光源や、この原稿1Aからの反射光を受光するCCDなどの受光部を備える。本実施形態では、この受光部にて受光された反射光に基づき、後述する読み取り画像が生成される。
画像読み取り装置130には、画像の読み取り位置が予め設定されており、画像読み取り装置130は、搬送される原稿1Aのうちのこの読み取り位置にある領域の画像のスキャンをラインで順次行い、スキャンラインデータを読み込む。
また、画像形成装置100は、サーバ装置200(
図1参照)へ情報を送信する情報送信機能を有する。
【0020】
本実施の形態では、画像形成装置100の上部に、画像読み取り装置130が設けられている。画像読み取り装置130は、ユーザによってセットされた原稿1Aの読み取りを行う。
【0021】
さらに、画像形成装置100の各々には、ユーザから操作を受け付ける操作受付部132が設けられている。この操作受付部132は、いわゆるタッチパネルにより構成されている。操作受付部132では、ユーザへの情報の表示が行われるとともに、ユーザが行う操作を受け付ける。
なお、ユーザへの情報の表示と、ユーザの操作の受け付けを、本実施形態のように、1つの操作受付部132で行うのに限らず、操作受付部と情報表示部とを個別に設けてもよい。操作受付部132は、表示部の一例である。
【0022】
本実施の形態では、読み取り対象である原稿1Aが、
図1の符号1Bで示すように、画像読み取り装置130に設置され、読み取り開始操作が行われると、原稿1Aの搬送が開始され画像読み取り装置130により原稿の読み取りが行われる。かかる原稿の読み取りにより、データとしての読み取り画像1Cが作成される。
そして、本実施形態では、この読み取り画像1Cが、サーバ装置200へ送信されて、サーバ装置200に格納される。
【0023】
本実施の形態の画像形成装置100は、A4サイズ(210mm×297mm)やA3サイズ(420mm×297mm)のほかにA3サイズを超える大きさの例えばA0サイズ(841mm×1189mm)や、A0幅10m(841mm×10000mm)といった長尺の用紙に画像形成を行うことが可能であり、また、かかるサイズの用紙の画像を読み取ることが可能である。
【0024】
ここで、画像形成装置100は、読み取り装置130にて搬送機構26(
図3参照)により搬送中の原稿1Aから画像を読み取る動作モードである読み取り動作モードを有する。かかる動作モードにおいて、搬送機構26による原稿1Aの搬送時に原稿1Aが左右方向に蛇行したり搬送方向に対して斜行したりしてガイド部材21、22(
図3参照)に接近するときに原稿1Aの破損防止のために搬送機構26による搬送を一時停止する。しかしながら、かかる一時停止後に原稿1Aを最初の部分からやり直すと、原稿1Aの読み取りが完了するまでの時間がかかってしまう。とりわけ、原稿1Aが上述した長尺のサイズである場合には、時間がかかることによる読み取り作業効率の低下を招くおそれがある。
そこで、本実施の形態では、搬送機構26による搬送が読み取り途中で一時停止した後、原稿1Aの最初の部分からではなく続きの部分から読み取りが再開した場合に原稿1Aの読み取り画像が作成される構成を備えている。以下、具体的に説明する。
【0025】
図3は、画像読み取り装置130の構成を説明する図であり、(a)はその平面図、(b)は搬送機構26の一部を示す。
図3(a)に示すように、画像読み取り装置130は、原稿1Aの搬送方向Yに交差する方向である交差方向Xに離れて設けられた一対のガイド部材21、22と、一対のガイド部材21、22の間に位置して交差方向Xに沿って設けられる受光部23と、を備えている。また、画像読み取り装置130は、一対のガイド部材21、22の間に位置し交差方向Xに離れて設けられた複数の原稿位置センサ24、25を備えている。
受光部23は、画像読み取りを行う読取り部の一例であり、原稿位置センサ24、25は、読取り部とは別に設けられた検出部の一例である。搬送方向Yは、搬送の方向の一例であり、交差方向Xは、搬送の方向に交差する方向の一例である。
【0026】
一対のガイド部材21、22は、搬送面に設けられ、搬送方向に搬送される原稿1Aが通る領域を画定する。ガイド部材21は交差方向Xに関する一端部に位置し、ガイド部材22は他端部に位置する。
受光部23は、光源から発光された光が原稿1Aで反射した反射光を受光することで原稿1Aを読み取るための例えばイメージセンサ等であり、読み取りによるイメージデータを出力するイメージ読取部ということもできる。
【0027】
原稿位置センサ24、25は、光学的に原稿1Aの位置を検出するものであり、原稿1Aが予め定められている位置にあるかどうかを検出する。すなわち、原稿位置センサ24、25は、交差方向Xの原稿1Aの位置ずれを検知する。これにより、情報処理部100B(
図1参照)にて原稿1Aの搬送を一時停止すべきかどうかが判断される。
本実施の形態では、原稿位置センサ24、25は、2つ設けられているが、これに限られず、3つ以上を設けてもよい。
【0028】
図3(b)に示すように、搬送機構26は、回転可能に保持される搬送ローラ26aと、搬送ローラ26aを回転駆動するモータ26bと、を備えている。
搬送ローラ26aは、上下方向Zに変位可能で上の位置と下の位置を選択可能な昇降機構(不図示)を有し、下の位置が選択されると原稿1Aの上面を押圧するニップ状態であり、上の位置では原稿1Aの上面に接触しない非ニップ状態になる。下の位置でモータ26bが動作すると、搬送ローラ26aが回転し、原稿1Aが搬送方向Yに搬送される。
なお、
図3(a)における右手の図形31および左手の図形32は、搬送される原稿1Aにユーザが手を添えることを例示したものである。
【0029】
図4は、画像読み取り装置130が読み取り動作モードである場合を示す図であり、(a)は、原稿1Aの搬送が一時停止された場合、(b)は、搬送停止から搬送再開までの間に原稿1Aが移動される場合を示す。なお、原稿1Aを、説明の便宜上、搬送が一時停止された状態と搬送が再開される状態とで異なる符号を用いて説明する。すなわち、搬送が停止された状態の原稿1Aを原稿4とし、搬送が再開される状態の原稿1Aを原稿5とする。また、
図4(b)では、原稿4を破線で示し、原稿5を実線で示す。
【0030】
図4(a)に示す原稿4は、斜めの状態で搬送され左側のガイド部材22に接近したとして搬送が一時停止した状態である。受光部23によるスキャンを開始してから搬送が一時停止するまでの間に行われた画像読み取り(1回目の部分読み取り)では、読み取り画像1C(
図1参照)の作成に必要な原稿画像が取得されていない。すなわち、原稿4のうち斜線で示す領域41は読み取られているものの、残りの領域42がまだ読み取られていない。
【0031】
なお、かかる搬送の一時停止は、搬送中の原稿1Aの蛇行や斜行を検知した場合に停止する自動停止の場合の他、ユーザがストップボタン(不図示)を操作することにより停止する手動停止の場合であってもよい。
また、本実施の形態では、自動停止のための斜め状態の検知を、上述の原稿位置センサ24、25により行っているが、これに限られず、受光部23で行ってもよく、また、原稿位置センサ24、25および受光部23の両方で行ってもよい。
【0032】
図4(b)では、搬送停止した斜め状態の原稿4(破線参照)を搬送再開する状態に移動した原稿5(実線参照)を示す。すなわち、原稿5は、搬送停止した原稿4の斜め状態(破線参照)を原稿4の長辺4aが搬送方向Yに沿うように直し、さらに、原稿4が搬送停止した位置から搬送方向Yの後ろ側に戻された状態である。
【0033】
なお、原稿4を搬送方向の後ろ側に戻す際、ユーザは、搬送ローラ26a(
図3(b)参照)を原稿4に接触しないように上の位置にして原稿押さえを解除する。また、再開の際には、搬送ローラ26aを下の位置にして原稿押さえを行い、スタートボタン(不図示)を押す。
【0034】
図4(b)に斜線で示す原稿5の領域51は、同図(a)に斜線で示す原稿4の領域41に対応するものであり、また、原稿5の領域52は原稿4の領域42に対応するものである。
原稿5が
図4(b)に示す位置から搬送ローラ26a(
図3(b)参照)により搬送方向Yに搬送されることで、受光部23による読み取りが再開され、原稿5の読み取りが行われる。かかる読み取りは、原稿5の領域52の読み取り(2回目の部分読み取り)である。
このように、
図4(a)に示すスキャンでは原稿4の領域41が読み取られ、同図(b)に示すスキャンでは原稿5の領域52が読み取られる。
【0035】
図5は、搬送が停止している際の原稿の移動を示す情報を説明する図であり、(a)は、
図4(b)に対応する図であり、(b)は移動量と回転角度の算出方法を説明する図である。
図5(a)に示すように、原稿4における基準位置43は、原稿5における基準位置53に変位し、原稿4の基準位置44は原稿5の基準位置54に変位している。
なお、基準位置43、44は、原稿4の場合の原稿位置センサ24、25(
図4(b)参照)の位置であり、基準位置53、54は、原稿5の場合の原稿位置センサ24、25の位置である。
【0036】
原稿位置センサ24、25は、原稿4から原稿5への位置ずれであるユーザによる原稿位置の修正を、センサ位置の原稿移動量として検知する。したがって、検知した原稿移動量の情報を基に、移動量すなわち回転量ないし回転角度(以下、回転角度という)θとオフセット移動量(以下、オフセット量という)Sを求める。求めた回転角度θとオフセット量Sから、一時停止前後の原稿のつなぎ目位置を特定することができる。回転角度θは回転量の一例であり、オフセット量Sは移動量の一例である。
【0037】
このように、原稿位置センサ24、25による基準位置43、44、53、54の情報を用いて、回転角度θとオフセット量Sを求めることができる。すなわち、基準位置43、44を含む線分61と、基準位置53、54を含む線分62の交差角度が回転角度θである。また、基準位置43から基準位置53までの距離をオフセット量Sとする。なお、かかる移動量は、後述の移動量変換部83(
図7参照)により算出されるものであり、搬送を停止している際の原稿の移動を示す情報の一例である。
【0038】
原稿移動量は、原稿位置センサ24、25により検出した情報であるが、受光部23により検出した情報を含んでもよい。かかる場合、受光部23により検出した情報は、読取り部により検出した情報の一例である。
【0039】
図5(b)を用いてより詳細に説明する。
原稿位置センサ24(
図4(b)参照)で検出した基準位置43から基準位置53までの距離をRm=(x1,y1)とする。また、原稿位置センサ25(同図(b)参照)で検出した基準位置44から基準位置54までの距離をLm=(x2,y2)とする。また、原稿位置センサ24、25の間隔すなわち基準位置43と基準位置44との距離をx0とする。
【0040】
原稿位置センサ24すなわち基準位置43を基準原点とすると、オフセット量Sは、
S=Rm=(x1,y1)
で求めることができる。また、回転角度θは、以下のように求めることができる。
方向ベクトル:B+Lm-Rm=(-x0+x2-x1,y2-y1)
θ=arctan((y2-y1)/(x2-x1-x0))
【0041】
図6は、合成された合成画像7の作成を説明する図であり、(a)は原稿4、5を示す図であり、(b)は原稿画像41a、52aを示す図であり、(c)は、合成画像7を示す図である。合成画像7は、読み取り画像1C(
図1参照)である。
図6(a)に示す回転角度θおよびオフセット量Sを求めることができた場合、同図(b)に示すように、一時停止前に読み込んだ原稿4の原稿画像41aと一時停止後に読み込んだ原稿5の原稿画像52aの位置関係が特定されることから、原稿画像41aに対して回転とオフセット移動を行い(矢印6参照)、原稿画像41aと原稿画像52aとの位置を一致させる。
そして、
図6(c)に示すように、位置を一致させた原稿画像41aと原稿画像52aを合成することで、合成画像7を作成する。
【0042】
なお、本実施の形態は、原稿画像41aを原稿画像52aの位置に合致するように回転とオフセット移動を行った後に合成しているが、これに限られず、オフセット量Sに加えて、重複スキャンした部分の原稿画像が一致することを利用して調整した後に合成してもよい。
【0043】
次に、本実施の形態における機能構成を説明する。
図7は、本実施の形態における機能構成を説明するブロック図である。
図7に示す構成例では、画像読み取り装置130は、上述の受光部23と、原稿位置センサ24、25の検知結果から原稿移動量を検出する原稿移動量検出部88と、を備えている。
【0044】
また、情報処理部100Bは、受光部23により生成されたイメージデータを管理する部分画像管理部82と、原稿移動量検出部88の検出結果を移動量に変換する移動量変換部83と、を備えている。
また、情報処理部100Bは、部分画像管理部82により管理される画像を格納する画像格納部84、85と、移動量変換部83により変換された移動量(オフセット量S、回転角度θ)を格納する移動量格納部86と、を備えている。
【0045】
画像格納部84には、一時停止前に読み取った原稿画像(一時停止前原稿画像)が格納され、また、画像格納部85には、一時停止後に読み取った原稿画像(一時停止後原稿画像)が格納される。
移動量格納部86には、移動量変換部83により変換された移動量すなわちオフセット量S及び回転角度θが格納される。
【0046】
また、情報処理部100Bは、画像合成部87および画像格納部70を備えている。
画像合成部87は、画像格納部84、85に格納されている原稿画像と移動量格納部86に格納されている移動量を用いて読み取り画像を合成する。
画像格納部70は、画像合成部87により合成された合成画像7(
図6(c)参照)を格納する。
【0047】
なお、画像形成装置100の情報処理部100Bにて画像処理を行う構成を説明したが、これに限られず、サーバ装置200にて画像処理を行うようにしてもよい。
画像形成装置100の情報処理部100Bまたはサーバ装置200は、情報処理装置の一例である。
【0048】
図8は、スキャンが行われる場合の処理手順を示すフローチャートである。
図8に示す処理例では、原稿1A(
図3参照)が搬送されて受光部23によるスキャンが開始されると(ステップ101)、搬送により原稿の位置がガイド部材21、22(
図4(a)参照)のいずれかに接近しているかどうかを原稿位置センサ24、25の検出結果により判定する(ステップ102)。
【0049】
接近している場合(ステップ102でYes)、原稿搬送を停止してスキャンを一時停止し(ステップ103)、一時停止前の原稿画像を生成する(ステップ104)。生成された原稿画像は、部分画像管理部82(
図7参照)により管理され、画像格納部84(同図参照)に格納される。一時停止した場合、原稿を位置調整してスキャンを再開するように操作受付部132(
図1参照)に表示しても良い。
接近していない場合(ステップ102でNo)、スキャンを継続し、後述のステップ112に進む。
【0050】
原稿移動量検出部88は一時停止した原稿の位置情報を取得する(ステップ105)。かかる位置情報は、上述した基準位置43、44(
図5(a)参照)であり、原稿位置センサ24、25(
図4(a)参照)により取得するが、受光部23により取得しても良い。
【0051】
その後、ユーザによる原稿位置の調整が行われ(ステップ106)、スタートボタン(不図示)の操作等によるスキャン再開の指示が行われると(ステップ107)、原稿移動量検出部88は、修正された原稿の位置情報を取得する(ステップ108)。
ここにいう原稿位置の調整についての案内表示を操作受付部132(
図1参照)で行ってもよい。
【0052】
ここで、ユーザにより調整された原稿位置から原稿が搬送されてスキャンの再開を行う場合の他、原稿の読取りされない部分が生じないように構成してもよい。例えば、原稿を搬送方向Yとは反対の方向Y’(例えば
図3(a)参照)に予め定められている距離を搬送した後に搬送方向Yに搬送するように搬送機構26(
図3(b)参照)を制御する。これにより、搬送停止の位置よりも搬送方向の前側からスキャンが開始されるようになる。
かかる搬送機構26の制御のほかに、原稿の位置を、搬送停止の原稿位置よりも搬送方向の前側から開始するように調整することの表示を、操作受付部132(
図1参照)に行うことで、ユーザに注意喚起してもよい。
反対の方向Y’は、搬送の方向とは反対の方向の一例である。
【0053】
スキャン再開指示後(ステップ107参照)、移動量変換部83(
図7参照)は、一時停止した原稿と位置調整された原稿の位置情報を基に、移動量を算出する(ステップ109)。かかる移動量は、ステップ105の位置情報を始点として、ステップ108の位置情報を終点として算出される。例えば始点を原点とし、終点を原点に対する相対座標値にして算出してもよく、また、始点及び終点を絶対座標値にして算出してもよい。
このように算出される移動量は、上述したように、回転角度θ及びオフセット量S(
図5(a)参照)である。
【0054】
算出した移動量が予め定められている基準値以下であるかどうかを判定する(ステップ110)。移動量が予め定められている基準値を超える場合(ステップ110でNo)、スキャンを中止する(ステップ111)。例えば誤差が大きい場合にスキャンが中止される。かかるスキャンの中止の場合に操作受付部132(
図1参照)によるユーザへの通知を行ってもよい。
ここにいう「移動量が予め定められている基準値を超える場合」は、搬送を停止している際の原稿の移動を示す情報による移動が予め定められているものである場合の一例である。
なお、一時停止後に原稿が位置調整されずに抜き取られた等によって、原稿の位置情報を取得できない場合も、同様にスキャンを中止することが考えられる。
【0055】
その一方で、移動量が予め定められている基準値以下の場合(ステップ110でYes)、原稿搬送が再開されてスキャンラインデータの読み込みが行われ(ステップ112)、スキャンが終了したかどうかを判定する(ステップ113)。かかる判定は、例えば原稿位置センサ24、25による検知結果を基に行われる。
【0056】
スキャンが終了していない場合(ステップ113でNo)、上述したステップ102に戻る。このように、一時停止の回数は、1回に限られず、複数回の場合でもよい。複数回の場合にも、上述した方法により合成画像7(
図6(c)参照)を作成することが可能である。
【0057】
スキャンが終了した場合(ステップ113でYes)、一時停止後の原稿画像を生成する(ステップ114)。なお、ここにいう一時停止後の原稿画像は、一時停止した場合の原稿画像であるが(ステップ102でYes)、一時停止しなかった場合(ステップ102でNo)の場合の原稿画像も含まれる。
【0058】
一時停止後の原稿画像生成(ステップ114)の後に、合成していない一時停止前原稿画像があるかどうかを判定し(ステップ115)、ある場合には(ステップ115でYes)、移動量を考慮して一時停止前の原稿画像(ステップ104参照)と一時停止後の原稿画像(ステップ114参照)とを合成し(ステップ116)、ステップ115に戻る。
【0059】
合成していない一時停止前原稿画像がない場合は(ステップ115でNo)、合成した合成画像7を読み取り画像として画像格納部70(
図7参照)に格納する(ステップ117)。
【0060】
次に、
図8の処理手順における一時停止した場合に操作受付部132(
図1参照)に表示される内容を説明する。
図9は、操作受付部132(
図1参照)の第1表示例を示す図である。
図9に示す第1表示例は、
図8の処理手順における一時停止した場合(ステップ103参照)に操作受付部132に表示されるものであり、「原稿の位置を、停止した位置よりも搬送方向の前側に戻してください。」というユーザに対する表示が行われる。
【0061】
これにより、原稿を搬送方向とは反対の方向に予め定められている距離を搬送した後に搬送方向に搬送する制御を行わなくても、搬送停止の位置よりも搬送方向の前側からスキャンが開始されるようになり、原稿の読取りされない部分が生じる事態を防止することができる。
【0062】
図10は、操作受付部132(
図1参照)の他の表示例を示す図であり、(a)は第2表示例、(b)は第3表示例である。
図10(a)、(b)に示す他の表示例は、いずれも一時停止した場合のスキャンを中止する場合(
図8のステップ111参照)に操作受付部132に表示されるものである。
【0063】
図10(a)に示す第2表示例は、「位置調整した原稿の移動量が大きいことを検知しましたので、スキャンを中止します。」及び「原稿の最初から再度スキャンしてください。」というユーザに対する案内表示が行われる。これにより、原稿の位置調整を行ったユーザが次に行うべき操作が報知されることから、操作性の向上が図られる。
【0064】
図10(b)に示す第3表示例は、「原稿を検知できませんので、スキャンを中止します。」というユーザに対する案内表示が行われる。これにより、原稿を抜き取ったユーザがスキャン中止の操作を行う手間が省略されることから、操作性の向上が図られる。
【0065】
<付記>
(((1)))
1又は複数のプロセッサを有し、
前記1又は複数のプロセッサは、
搬送機構により搬送中の原稿から画像を読み取る動作モードにおいて、
前記搬送機構による前記原稿の読取りが終わる前に当該搬送機構による原稿の搬送が停止し当該搬送が再開した場合、当該搬送を停止している際の原稿の移動を示す情報を基に、搬送停止の前に読み取った原稿画像及び搬送再開により読み取った原稿画像を用いて当該原稿の読み取り画像を作成する、
画像処理システム。
(((2)))
前記画像読取り部の読取り結果を送信する送信手段をさらに備え、
前記原稿の移動を示す情報に、画像読み取りを行う読取り部とは別に設けられた検出部により検出した情報が含まれる、
ことを特徴とする(((1)))
に記載の画像処理システム。
(((3)))
前記別に設けられた検出部は、前記搬送機構による原稿の搬送を停止するかどうかを判断するために、当該搬送の方向に交差する方向の原稿の位置ずれを検出するものである、
ことを特徴とする(((2)))
に記載の画像処理システム。
(((4)))
前記原稿の移動を示す情報に、前記読取り部により検出した情報が含まれる、
ことを特徴とする(((2)))または(((3)))に記載の画像処理システム。
(((5)))
前記原稿の移動を示す情報から、前記搬送の停止の際の原稿に対する前記再開の際の原稿の回転量と移動量を求め、求めた当該回転量及び移動量を前記読み取り画像の作成に用いる、
ことを特徴とする(((1)))乃至(((4)))のいずれか1項に記載の画像処理システム。
(((6)))
前記原稿の搬送が停止した場合、前記再開の際に前記画像のうち読取りされない部分が生じないようにする、
ことを特徴とする(((1)))に記載の画像処理システム。
(((7)))
前記読取りされない部分が生じないようにすることは、
前記搬送再開の際の読み取りが前記搬送停止の原稿の位置よりも搬送方向の前側から開始するようにユーザに対する表示を行うことである、
ことを特徴とする(((6)))に記載の画像処理システム。
(((8)))
前記読取りされない部分が生じないようにすることは、
前記搬送再開の際の読み取りが前記搬送停止の原稿の位置よりも搬送の方向の前側から開始するように、前記搬送機構が当該搬送の方向とは反対の方向に原稿を搬送することである、
ことを特徴とする(((6)))に記載の画像処理システム。
(((9)))
前記原稿の搬送が停止した場合、当該搬送を停止している際の原稿の移動を示す情報による移動が予め定められているものである場合、前記動作モードを中止することを表示部に表示する、
ことを特徴とする(((1)))に記載の画像処理システム。
(((10)))
前記原稿の搬送が停止した場合、原稿の存在を検知しない場合に、前記動作モードを中止することを表示部に表示する、
ことを特徴とする(((1)))の画像処理システム。
(((11)))
情報処理装置に、
搬送機構により搬送中の原稿から画像を読み取る動作モードにおいて当該搬送機構による原稿の読取りが終わる前に当該搬送機構による原稿の搬送が停止し当該搬送が再開した場合、当該搬送を停止している際の原稿の移動を示す情報を取得する機能と、
前記取得した情報を基に、搬送停止の前に読み取った原稿画像及び搬送再開により読み取った原稿画像を用いて読み取り画像を作成する機能と、
を実現させるプログラム。
【0066】
(((1)))の発明によれば、搬送中の原稿を読み取っている原稿の搬送を停止した際に読み取りを原稿の最初の部分からやり直す場合に比べ、読み取りを完了するまでの時間を短縮することができる。
(((2)))の発明によれば、原稿の移動を示す情報に、画像読み取りを行う読取り部とは別に設けられた検出部により検出した情報が含まれる構成を備えない場合に比べて、制御を簡略化することができる。
(((3)))の発明によれば、別に設けられた検出部は、搬送機構による原稿の搬送を停止するかどうかを判断するために、搬送の方向に交差する方向の原稿の位置ずれを検出するものであるという構成を備えない場合に比べて、構成を簡略化することができる。
(((4)))の発明によれば、原稿の移動を示す情報に、読取り部により検出した情報が含まれる構成を備えない場合に比べて、原稿の移動を示す情報の精度を向上させることができる。
(((5)))の発明によれば、原稿の移動を示す情報から、搬送の停止の際の原稿に対する再開の際の原稿の回転量と移動量を求め、求めた回転量及び移動量を読み取り画像の作成に用いる構成を備えない場合に比べて、制御を簡略化することができる。
(((6)))の発明によれば、前記原稿の搬送が停止した場合、前記再開の際に前記画像のうち読取りされない部分が生じないようにする構成を備えない場合に比べて、作成される読み取り画像に対する搬送停止の影響を抑制することができる。
(((7)))の発明によれば、読取りされない部分が生じないようにすることは、搬送再開の際の読み取りが搬送停止の原稿の位置よりも搬送方向の前側から開始するようにユーザに対する表示を行うことであるという構成を備えない場合に比べて、搬送再開の際の搬送機構の制御を簡略化することができる。
(((8)))の発明によれば、読取りされない部分が生じないようにすることは、搬送再開の際の読み取りが搬送停止の原稿の位置よりも搬送の方向の前側から開始するように、搬送機構が搬送の方向とは反対の方向に原稿を搬送することであるという構成を備えない場合に比べて、搬送再開の際のユーザの負担を軽減することができる。
(((9)))の発明によれば、原稿の搬送が停止した場合、搬送を停止している際の原稿の移動を示す情報による移動が予め定められているものである場合、動作モードを中止することを表示部に表示する構成を備えない場合に比べて、使い勝手の向上を図ることができる。
(((10)))の発明によれば、原稿の搬送が停止した場合、原稿の存在を検知しない場合に、動作モードを中止することを表示部に表示する構成を備えない場合に比べて、使い勝手の向上を図ることができる。
(((11)))の発明によれば、搬送中の原稿を読み取っている原稿の搬送を停止した際に読み取りを原稿の最初の部分からやり直す場合に比べ、読み取りを完了するまでの時間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0067】
1…画像処理システム、1A、4、5…原稿、7…合成画像、11a…CPU、23…受光部、24、25…原稿位置センサ、26…搬送機構、41a、52a…原稿画像、100…画像形成装置、130…画像読み取り装置、132…操作受付部、S…オフセット量、X…交差方向、Y…搬送方向、Y’…反対の方向、θ…回転角度