(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169054
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】駆動装置、駆動装置の制御方法、プログラム、および、駆動システム
(51)【国際特許分類】
H02P 8/36 20060101AFI20241128BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241128BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20241128BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H02P8/36
G03G21/00 510
G03G15/00 550
G03G21/16 147
G03G21/16 152
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086235
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井田 奈津世
(72)【発明者】
【氏名】江口 達也
(72)【発明者】
【氏名】小林 雄治
(72)【発明者】
【氏名】江口 博
(72)【発明者】
【氏名】玉田 武司
(72)【発明者】
【氏名】中村 陽暉
【テーマコード(参考)】
2H171
2H270
5H580
【Fターム(参考)】
2H171FA04
2H171FA30
2H171GA08
2H171GA31
2H171JA23
2H171JA27
2H171JA28
2H171JA29
2H171JA32
2H171LA03
2H171LA12
2H171LA18
2H171MA02
2H171MA03
2H171MA12
2H171QA04
2H171QA08
2H171QA24
2H171QA25
2H171QB03
2H171QB14
2H171QB32
2H171QC03
2H171QC22
2H171QC29
2H171SA11
2H171SA14
2H171SA22
2H171SA26
2H171SA31
2H171XA12
2H171XA16
2H270KA59
2H270KA61
2H270KA62
2H270LA01
2H270LA66
2H270LA99
2H270LD05
2H270MF16
2H270NC10
2H270NC20
2H270ND16
2H270NE00
2H270RA27
2H270RB09
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC06
5H580AA05
5H580CA02
5H580CA12
5H580CA16
5H580HH22
5H580HH39
5H580HH40
5H580JJ09
(57)【要約】
【課題】モーターが脱調した場合に、モーターの修理に要する時間を短縮化することが可能な駆動装置を提供する。
【解決手段】駆動装置100Aは、駆動ローラー39(駆動対象物)と、駆動ローラー39を駆動させるモーター60と、モーター60を制御するプロセッサ51(制御部)とを備える。プロセッサ51は、モーター60を駆動させるモーター駆動電流に関する情報であるアナログ電圧(電流情報)を取得し、アナログ電圧に基づいてモーター60の脱調の原因を推定するための処理を実行する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動対象物と、
前記駆動対象物を駆動させるモーターと、
前記モーターを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記モーターを駆動させるモーター駆動電流に関する情報である電流情報を取得し、
前記電流情報に基づいて前記モーターの脱調の原因を推定するための処理を実行する、駆動装置。
【請求項2】
前記駆動装置は、画像形成装置に用いられ、
前記モーターは、ステッピングモーターであり、
前記制御部は、前記電流情報に基づいて、前記ステッピングモーターの前記脱調の原因を推定するための処理を実行する、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記電流情報を解析することにより前記脱調の原因を推定する第1サーバーと通信する通信部をさらに備え、
前記制御部は、前記通信部を通じて、前記電流情報を前記第1サーバーに送信する処理を実行する、請求項1または2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記電流情報を解析するとともに前記脱調の原因を推定する、請求項1または2に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記電流情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記駆動対象物の駆動に関する異常が発生した場合に、前記異常の発生時の所定時間前から前記異常の発生時までの前記電流情報の変化に基づいて、前記脱調の原因を推定する、請求項4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記電流情報は、前記モーター駆動電流に基づく駆動値の情報を含み、
前記制御部は、前記駆動値の変化の大きさと、前記駆動値の変化に要する時間の長さとに基づいて、前記脱調の原因を推定する、請求項5に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記駆動値が、上昇を開始してから第1所定時間以内に、前記駆動値の基準値よりも大きい第1閾値以上となり、かつ、
前記駆動値が前記第1閾値以上となった時点から第2所定時間以内に、前記駆動値が、前記基準値よりも小さい第2閾値以下に低下した場合に、
第1の原因により前記脱調が生じたと推定する、請求項6に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記第1の原因は、前記モーターが駆動する箇所への異物の混入、および、前記モーターの駆動に関連する部品の故障の少なくとも一方を含む、請求項7に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記駆動値が第3閾値よりも小さいピーク値まで上昇した時点から、前記駆動値が第3所定時間以内に第4閾値以下に低下した場合に、第2の原因により前記脱調が生じたと推定する、請求項6に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記第2の原因は、前記モーターの駆動に関連する部品の劣化による故障を含む、請求項9に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記モーターの駆動に関する指令を前記制御部から受信し、前記指令に基づく駆動信号を前記モーターに出力するドライバーと、
前記ドライバーと前記モーターとを接続するコネクターと、をさらに備え、
前記電流情報は、前記モーター駆動電流に基づく駆動値の情報を含み、
前記制御部は、前記駆動値が所定値よりも大きい場合に、前記コネクターにより前記ドライバーと前記モーターとが接続されていると判断する、請求項1または2に記載の駆動装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記脱調の原因を報知する制御を行う、請求項1または2に記載の駆動装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記駆動装置と通信する第2サーバーへの前記原因の登録、前記駆動装置に備えられる表示部への前記原因の表示、前記駆動装置と通信する通信端末への前記原因に関する情報の送信のうち少なくとも1つを行うことにより、前記脱調の原因を報知する、請求項12に記載の駆動装置。
【請求項14】
駆動対象物と、前記駆動対象物を駆動させるモーターとを備える駆動装置の制御方法であって、
前記モーターを駆動させるモーター駆動電流に関する情報である電流情報を取得する工程と、
前記電流情報に基づいて前記モーターの脱調の原因を推定するための処理を実行する工程と、を備える、駆動装置の制御方法。
【請求項15】
請求項14に記載の駆動装置の制御方法における制御をコンピューターに実行させる、プログラム。
【請求項16】
請求項1に記載の駆動装置と、
前記駆動装置と通信するサーバーと、を備え、
前記サーバーは、前記駆動装置から受信した前記電流情報に基づいて、前記モーターの脱調の原因を推定する、駆動システム。
【請求項17】
前記サーバーは、前記駆動装置における駆動対象物の駆動に関する異常が発生した場合に、前記異常の発生時の所定時間前から前記異常の発生時までの前記電流情報の変化に基づいて、前記脱調の原因を推定する、請求項16に記載の駆動システム。
【請求項18】
前記電流情報は、前記モーター駆動電流に基づく駆動値の情報を含み、
前記サーバーは、
前記駆動値の情報を前記駆動装置から受信し、
前記駆動値が、上昇を開始してから第1所定時間以内に、前記駆動値の基準値よりも大きい第1閾値を超え、かつ、
前記駆動値が前記第1閾値を超えた時点から第2所定時間以内に、前記駆動値が、前記基準値よりも小さい第2閾値を下回った場合に、
第1の原因により前記脱調が生じたと推定する、請求項16または17に記載の駆動システム。
【請求項19】
前記電流情報は、前記モーター駆動電流に基づく駆動値の情報を含み、
前記サーバーは、
前記駆動値の情報を前記駆動装置から受信し、
前記駆動値が第3閾値よりも小さいピーク値まで上昇した時点から、前記第1値が第3所定時間以内に第4閾値よりも小さい値まで低下した場合に、第2の原因により前記脱調が生じたと推定する、請求項16または17に記載の駆動システム。
【請求項20】
前記サーバーは、前記脱調の原因を報知する、請求項16または17に記載の駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駆動装置、駆動装置の制御方法、プログラム、および、駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2022-041929号公報(特許文献1)には、複数相のモーター巻線を巻回した固定子と、永久磁石を保持した回転子とを含むモーターを制御するモーター制御装置が開示されている。モーター制御装置は、モーター巻線に流れる電流の振幅の変化に基づいて、モーターの起動時における脱調を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1においては、上記のように、モーターが脱調した場合に上記脱調が検知される。この場合、モーターの修理等を行う作業者により、脱調を改善する作業が行われる。しかしながら、モーターの脱調は、様々な原因により生じ得る。このため、作業者は、モーターに対してどのような修理を行うのが適切かを判断するのに時間を要する場合がある。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、モーターが脱調した場合に、モーターの修理に要する時間を短縮化することが可能な駆動装置、駆動装置の制御方法、プログラム、および、駆動システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の局面に係る駆動装置は、駆動対象物と、駆動対象物を駆動させるモーターと、モーターを制御する制御部と、を備える。制御部は、モーターを駆動させるモーター駆動電流に関する情報である電流情報を取得し、上記電流情報に基づいてモーターの脱調の原因を推定するための処理を実行する。
【0007】
上記第1の局面に係る駆動装置は、好ましくは、画像形成装置に用いられる。また、モーターは、ステッピングモーターである。制御部は、上記電流情報に基づいて、ステッピングモーターの脱調の原因を推定するための処理を実行する。
【0008】
上記第1の局面に係る駆動装置は、好ましくは、上記電流情報を解析することにより脱調の原因を推定する第1サーバーと通信する通信部を備える。制御部は、通信部を通じて、上記電流情報を第1サーバーに送信する処理を実行する。
【0009】
上記第1の局面に係る駆動装置において、好ましくは、制御部は、上記電流情報を解析するとともに脱調の原因を推定する。
【0010】
この場合、好ましくは、上記電流情報を記憶する記憶部を備える。制御部は、駆動対象物の駆動に関する異常が発生した場合に、異常の発生時の所定時間前から異常の発生時までの上記電流情報の変化に基づいて、脱調の原因を推定する。
【0011】
上記電流情報の変化に基づいて脱調の原因を推定する駆動装置において、好ましくは、上記電流情報は、モーター駆動電流に基づく駆動値の情報を含む。制御部は、駆動値の変化の大きさと、駆動値の変化に要する時間の長さとに基づいて、脱調の原因を推定する。
【0012】
この場合、好ましくは、制御部は、駆動値が、上昇を開始してから第1所定時間以内に、駆動値の基準値よりも大きい第1閾値以上となり、かつ、駆動値が第1閾値以上となった時点から第2所定時間以内に、駆動値が、基準値よりも小さい第2閾値以下に低下した場合に、第1の原因により脱調が生じたと推定する。
【0013】
第1の原因により脱調が生じたと推定する駆動装置において、好ましくは、第1の原因は、モーターが駆動する箇所への異物の混入、および、モーターの駆動に関連する部品の故障の少なくとも一方を含む。
【0014】
上記駆動値の情報を取得する駆動装置において、好ましくは、制御部は、駆動値が第3閾値よりも小さいピーク値まで上昇した時点から、駆動値が第3所定時間以内に第4閾値以下に低下した場合に、第2の原因により脱調が生じたと推定する。
【0015】
この場合、好ましくは、第2の原因は、モーターの駆動に関連する部品の劣化による故障を含む。
【0016】
上記第1の局面に係る駆動装置は、好ましくは、モーターの駆動に関する指令を制御部から受信し、指令に基づく駆動信号をモーターに出力するドライバーと、ドライバーとモーターとを接続するコネクターと、を備える。上記電流情報は、モーター駆動電流に基づく駆動値の情報を含む。制御部は、駆動値が所定値よりも大きい場合に、コネクターによりドライバーとモーターとが接続されていると判断する。
【0017】
上記第1の局面に係る駆動装置において、好ましくは、制御部は、脱調の原因を報知する。
【0018】
この場合、制御部は、駆動装置と通信する第2サーバーへの脱調の原因の登録、駆動装置に備えられる表示部への脱調の原因の表示、駆動装置と通信する通信端末への脱調の原因に関する情報の送信のうち少なくとも1つを行うことにより、脱調の原因を報知する。
【0019】
本開示の第2の局面に係る駆動装置の制御方法は、駆動対象物と、駆動対象物を駆動させるモーターとを備える駆動装置の制御方法であって、モーターを駆動させるモーター駆動電流に関する情報である電流情報を取得する工程と、上記電流情報に基づいてモーターの脱調の原因を推定するための処理を実行する工程と、を備える。
【0020】
本開示の第3の局面に係るプログラムは、上記第2の局面に係る駆動方法における制御をコンピュータに実行させる。
【0021】
本開示の第4の局面に係る駆動システムは、上記第1の局面に係る駆動装置と、駆動装置と通信するサーバーと、を備える。サーバーは、駆動装置から受信した上記電流情報に基づいて、モーターの脱調の原因を推定する。
【0022】
上記第4の局面に係る駆動システムにおいて、好ましくは、サーバーは、駆動装置における駆動対象物の駆動に関する異常が発生した場合に、異常の発生時の所定時間前から異常の発生時までの電流情報の変化に基づいて、脱調の原因を推定する。
【0023】
上記第4の局面に係る駆動システムにおいて、好ましくは、上記電流情報は、モーター駆動電流に基づく駆動値の情報を含む。サーバーは、駆動値の情報を駆動装置から受信し、駆動値が、上昇を開始してから第1所定時間以内に、駆動値の基準値よりも大きい第1閾値を超え、かつ、駆動値が第1閾値を超えた時点から第2所定時間以内に、駆動値が、基準値よりも小さい第2閾値を下回った場合に、第1の原因により脱調が生じたと推定する。
【0024】
上記第4の局面に係る駆動システムにおいて、好ましくは、上記電流情報は、モーター駆動電流に基づく駆動値の情報を含む。サーバーは、駆動値の情報を駆動装置から受信し、駆動値が第3閾値よりも小さいピーク値まで上昇した時点から、第1値が第3所定時間以内に第4閾値よりも小さい値まで低下した場合に、第2の原因により脱調が生じたと推定する。
【0025】
上記第4の局面に係る駆動システムにおいて、好ましくは、サーバーは、脱調の原因を報知する。
【発明の効果】
【0026】
本開示によれば、モーターが脱調した場合に、モーターの修理に要する時間を短縮化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】第1実施形態による画像形成装置の内部構造の一例を示す図である。
【
図2】第1実施形態による画像形成装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】第1の脱調の原因に対応するアナログ電圧の変化を示す図である。
【
図4】第2の脱調の原因に対応するアナログ電圧の変化を示す図である。
【
図5】画像形成装置の操作パネルを用いて脱調の原因を報知する例を示す図である。
【
図6】コネクターによるドライバーICとモーターとの接続状態に基づくアナログ電圧を示す図である。
【
図7】第1実施形態による画像形成装置の制御フローを示す第1図である。
【
図8】第1実施形態による画像形成装置の制御フローを示す第2図である。
【
図9】
図8のステップS69の詳細を示す図である。
【
図10】第2実施形態による画像形成装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図11】第2実施形態による画像形成装置の制御フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しつつ、各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0029】
以下の実施の形態では、電源装置が画像形成装置に搭載されている場合について説明する。画像形成装置としては、たとえばMFP、プリンター、複写機、またはファクシミリなどが挙げられる。
【0030】
[第1実施形態]
<画像形成装置の内部構成>
図1は、本開示の第1実施形態による画像形成装置100の内部構造の一例を示す図である。
【0031】
図1を参照して、画像形成装置100について説明する。
図1には、カラープリンターとしての画像形成装置100が示されている。以下では、カラープリンターとしての画像形成装置100について説明するが、画像形成装置100は、カラープリンターに限定されない。たとえば、画像形成装置100は、複合機(MFP:Multi-Functional Peripheral)であってもよい。
【0032】
画像形成装置100は、ブラックのみを用いて画像形成を行なうモノクロ印刷モードと、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックを用いて画像形成を行なうカラー印刷モードとを有する。
【0033】
画像形成装置100は、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kと、中間転写ベルト30と、一次転写ローラー31と、二次転写ローラー33と、カセット37と、従動ローラー38と、駆動ローラー39と、タイミングローラー40と、定着装置43と、電源装置50とを備える。なお、駆動ローラー39は、本開示の「駆動対象物」の一例である。
【0034】
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト30に沿って順に並べられている。画像形成ユニット1Yは、トナーボトル15Yからトナーの供給を受けてイエロー(Y)のトナー像を形成する。画像形成ユニット1Mは、トナーボトル15Mからトナーの供給を受けてマゼンタ(M)のトナー像を形成する。画像形成ユニット1Cは、トナーボトル15Cからトナーの供給を受けてシアン(C)のトナー像を形成する。画像形成ユニット1Kは、トナーボトル15Kからトナーの供給を受けてブラック(BK)のトナー像を形成する。
【0035】
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、それぞれ、中間転写ベルト30に沿って中間転写ベルト30の回転方向の順に配置されている。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、それぞれ、感光体10と、帯電装置11と、露光装置12と、現像装置13と、除電装置16と、クリーニング装置17とを備える。
【0036】
中間転写ベルト30は、従動ローラー38および駆動ローラー39に張架されている。駆動ローラー39は、たとえばモーター60(
図2参照)によって回転駆動される。中間転写ベルト30および従動ローラー38は、駆動ローラー39に連動して回転する。これにより、中間転写ベルト30上のトナー像が二次転写ローラー33に搬送される。
【0037】
カセット37には、用紙Sがセットされる。用紙Sは、カセット37から1枚ずつタイミングローラー40によって搬送経路41に沿って二次転写ローラー33に送られる。タイミングローラー40により、中間転写ベルト30上のトナー像は、用紙Sの適切な位置に転写される。
【0038】
定着装置43は、自身を通過する用紙Sを加圧および加熱する。これにより、用紙S上に形成されているトナー像が用紙Sに定着する。その後、用紙Sは、トレー48に排紙される。
【0039】
電源装置50は、たとえば、画像形成装置100内の各装置(たとえば後述のプロセッサ51、記憶装置52、および、ドライバーIC61等)に対して必要な各種の電圧を供給する。本例においては、電源装置50は、画像形成装置100内の駆動系の装置に対して一例として24Vの電圧を供給する。また、電源装置50は、画像形成装置100内の制御系の装置に対して一例として3.3Vの電圧を供給する。
【0040】
<画像形成装置のハードウェア構成>
図2は、画像形成装置100の主要なハードウェア構成を示す概略的な図である。
図2を参照して、画像形成装置100のハードウェア構成の一例について説明する。
【0041】
図2に示されるように、画像形成装置100に用いられるモーター60の駆動装置100Aは、プロセッサ51と、記憶装置52と、モーター60と、ドライバーIC61と、コネクター62と、電流センサ63と、LPF(Low-Pass Filter)64と、ネットワークインターフェイス70と、操作パネル80とを備える。なお、記憶装置52は、本開示の「記憶部」の一例である。また、ドライバーIC61および操作パネル80は、それぞれ、本開示の「ドライバー」および「表示部」の一例である。また、プロセッサ51は、本開示の「制御部」および「コンピューター」の一例である。
【0042】
プロセッサ51は、たとえばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)などのマイクロプロセッサである。記憶装置52は、RAM(Random Access Memory)などの揮発性記憶装置である。プロセッサ51は、システムプログラムおよび制御プログラムを読み出して記憶装置52に展開して実行することで様々な処理を実現する。記憶装置52には、プロセッサ51に実行されるプログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、および各種パラメーター)が記憶されている。
【0043】
プロセッサ51は、モーター60を制御する。具体的には、プロセッサ51は、モーター60の駆動に関する指令をドライバーIC61に送信する。ドライバーIC61は、上記指令に基づく駆動信号を生成してモーター60に出力する。
【0044】
モーター60は、ステッピングモーターである。モーター60は、ドライバーIC61に入力されるパルス信号によって制御される。モーター60は、上記パルス信号に応じて一定の角度ずつ回転する。なお、
図2に示すモーター60は、2相のステッピングモーターであるが、たとえば3相または5相のステッピングモーターであってもよい。
【0045】
コネクター62は、モーター60とドライバーIC61とを接続する。これにより、モーター60とドライバーIC61とが電気的に接続される。
【0046】
電流センサ63は、モーター60を駆動させるモーター駆動電流Imを検出する。電流センサ63は、シャント抵抗63aと、アンプ63bとを含む。アンプ63bは、シャント抵抗63aにより生じた電位差(電圧降下量)に基づいて、アナログ電流であるモーター駆動電流Imをアナログ電圧に変換する。
【0047】
LPF64は、アンプ63bから出力されるアナログ電圧に含まれる低周波ノイズを除去する。LPF64によりノイズが除去されたアナログ電圧の情報は、記憶装置52に記憶される。なお、以下では、LPF64によりノイズが除去されたアナログ電圧を、単にアナログ電圧と称する。記憶装置52には、過去から現在までの所定期間におけるアナログ電圧の推移の情報が記憶されている。プロセッサ51は、記憶装置52に記憶されたアナログ電圧に関する情報を取得する。なお、上記アナログ電圧は、本開示の「駆動値」および「電流情報」の一例である。
【0048】
ネットワークインターフェイス70には、アンテナ(図示しない)などが接続される。画像形成装置100は、ネットワークインターフェイス70を介して、外部の通信機器との間でデータをやり取りする。外部の通信機器は、たとえば、スマートフォンなどの携帯通信用の端末200、サーバー300などを含む。なお、画像形成装置100、端末200、および、サーバー300により、システム900が構成されている。画像形成装置100は、アンテナを介して制御プログラムをサーバー300からダウンロードできるように構成されてもよい。なお、通信端末200は、たとえば画像形成装置100の修理を行う業者の作業員が所持する端末である。また、サーバー300および端末200は、それぞれ、本開示の「第2サーバー」および「通信端末」の一例である。
【0049】
操作パネル80は、ディスプレイとタッチパネルとにより構成されている。操作パネル80は、たとえば、画像形成装置100に対する印刷操作やスキャン操作などを受け付ける。
【0050】
ここで、従来の画像形成装置(モーターの駆動装置)では、モーターが脱調した場合に脱調が検知される。この場合、モーターの修理等を行う作業者により、脱調を改善する作業が行われる。しかしながら、モーターの脱調は、様々な原因により生じ得る。このため、作業者は、モーターに対してどのような修理を行うのが適切かを判断するのに時間を要する場合がある。
【0051】
そこで、本実施形態では、プロセッサ51は、モーター駆動電流から変換された上記アナログ電圧を解析することにより、モーター60の脱調の原因を推定する。これにより、画像形成装置100を修理する作業者は、自身で脱調の原因を突き止める作業を行うことなく、プロセッサ51により推定された脱調の原因に基づいて修理作業をすることができる。その結果、モーター60の修理に要する時間を短縮化することができる。
【0052】
また、本実施形態では、プロセッサ51は、駆動ローラー39の駆動に関する異常が発生した場合に、上記異常の発生時の所定時間前(たとえば5秒前)から上記異常の発生時までのアナログ電圧の変化に基づいて、モーター60の脱調の原因を推定する。
【0053】
ここで、駆動ローラー39の駆動における異常は、モーター60の脱調に起因する場合が比較的多い。したがって、駆動ローラー39の異常発生時のアナログ電圧の変化に基づいてモーター60の脱調の原因を推定することにより、脱調の原因を容易に特定することができる。
【0054】
また、駆動ローラー39の異常は、たとえば、紙詰まりにより駆動ローラー39の回転が妨げられて用紙Sの搬送が停止される状態を含む。プロセッサ51は、紙詰まりのエラーが検出された時点の所定時間前から上記エラー検出時までのアナログ電圧の変化に基づいて、モーター60の脱調の原因を推定する。
【0055】
また、プロセッサ51は、アナログ電圧の変化の大きさと、アナログ電圧の変化に要する時間の長さとに基づいて、モーター60の脱調の原因を推定する。言い換えると、プロセッサ51は、時間の経過に対するアナログ電圧の変化を示す波形に基づいて、モーター60の脱調の原因を推定する。これにより、アナログ電圧の大きさのみに基づいてモーター60の脱調の原因を推定する場合に比べて、モーター60の脱調の原因を正確に推定することができる。
【0056】
具体的には、プロセッサ51は、異常発生時(たとえば紙詰まり)から所定時間遡った期間における、アナログ電圧の変化の大きさとアナログ電圧の変化に要する時間の長さとに基づいて、モーター60の脱調の原因を推定する。プロセッサ51は、上記期間のアナログ電圧のデータを記憶装置52から取得して、上記推定を行う。
【0057】
<第1の原因による脱調の推定>
図3は、第1の原因によりモーター60が脱調したと推定される場合のアナログ電圧の変化を示す波形である。
【0058】
図3に示すアナログ電圧は、時刻t1において、アナログ電圧の基準値S1から上昇を開始している。また、アナログ電圧は、時刻t2において、アナログ電圧の閾値Aに達している。なお、閾値Aは、上記基準値S1よりも大きい値である。たとえば、閾値Aは、上記基準値S1よりも、上記基準値S1の15%程度大きい値である。なお、上記の15%という数値はあくまで一例である。また、閾値Aは、本開示の「第1閾値」の一例である。
【0059】
アナログ電圧は、閾値Aを超えた後、時刻t3においてピークに達している。アナログ電圧は、ピークに達した後に低下し、時刻t4において閾値Bに達している。閾値Bは、上記基準値S1よりも小さい値である。たとえば、閾値Bは、上記基準値S1よりも、上記基準値S1の20%程度小さい値である。なお、上記の20%という数値はあくまで一例である。また、閾値Bは、本開示の「第2閾値」の一例である。
【0060】
プロセッサ51は、アナログ電圧が上昇を開始してから閾値A以上となるまでに要した時間(t2-t1)が時間T1(たとえば5ms)以内で、かつ、アナログ電圧が閾値A以上となってから閾値B以下まで低下するのに要した時間(t4-t2)が時間T2(たとえば10ms)以内である場合に、第1の原因によりモーター60が脱調したと推定する。すなわち、プロセッサ51は、アナログ電圧が短時間で急峻に上昇した後に短時間で急峻に(上昇値よりも大きく)低下していることを検知した場合に、第1の原因によりモーター60が脱調したと推定する。上記の時間T1および時間T2は、それぞれ、本開示の「第1所定時間」および「第2所定時間」の一例である。
【0061】
上記第1の原因は、モーター60が駆動する箇所への異物の混入、および、モーター60の駆動に関連する部品の故障の少なくとも一方を含む。すなわち、プロセッサ51は、モーター60に関連する部品の経年劣化等ではなく、外的な要因を含む突発的な要因によってモーター60が脱調したと推定する。
【0062】
<第2の原因による脱調の推定>
図4は、第2の原因によりモーター60が脱調したと推定される場合のアナログ電圧の変化を示す波形である。
【0063】
図4に示すアナログ電圧は、時刻t10において、アナログ電圧の基準値S2から上昇を開始している。また、アナログ電圧は、時刻t11において、アナログ電圧の閾値Cに達している。なお、閾値Cは、上記基準値S2よりも大きい値である。たとえば、閾値Cは、上記基準値S2よりも、上記基準値S2の5%程度大きい値である。なお、上記の5%という数値はあくまで一例である。
【0064】
アナログ電圧は、閾値Cを超えた後、時刻t12においてピーク値Pに達している。アナログ電圧は、ピーク値Pに達した後に低下し、時刻t13において閾値Dに達している。閾値Dは、上記ピーク値Pよりも、上記基準値S2の20%程度小さい値である。なお、上記の20%という数値はあくまで一例である。また、閾値Dは、本開示の「第4閾値」の一例である。
【0065】
プロセッサ51は、ピーク値Pが閾値Eよりも小さく、かつ、ピーク値Pから閾値D以下に低下するのに要する時間(t13-t12)が時間T3(たとえば10ms)以内である場合に、第2の原因によりモーター60が脱調したと推定する。上記の時間T3は、本開示の「第3所定時間」の一例である。
【0066】
また、プロセッサ51は、上記の条件に加えて、アナログ電圧が閾値Cよりも大きい値まで上昇していること(ピーク値P>閾値C)の場合に、第2の原因によりモーター60が脱調したと推定してもよい。また、プロセッサ51は、上記の条件に加えて、アナログ電圧が上昇に要した時間(たとえばt12-t10、または、t12-t11)が所定の閾値よりも大きい場合(すなわち、アナログ電圧の上昇率が閾値よりも小さい場合)に、第2の原因によりモーター60が脱調したと推定してもよい。
【0067】
また、閾値Eは、たとえば、上記基準値S2よりも、上記基準値S2の15%程度大きい値であってもよい。すなわち、閾値Eは、
図3に示す閾値Aと略等しい値であってもよい。なお、閾値Eは、本開示の「第3閾値」の一例である。
【0068】
上記第2の原因は、モーター60の駆動に関連する部品の劣化による故障を含む。すなわち、プロセッサ51は、外的な要因を含む突発的な要因ではなく、モーター60に関連する部品の経年劣化等の非突発的な要因により、モーター60が脱調したと推定する。
【0069】
プロセッサ51は、上記第1の原因または上記第2の原因を特定した場合、脱調の原因を報知する制御を行う。具体的には、
図5に示すように、プロセッサ51は、操作パネル80に上記原因を表示する。
図5に示す例では、脱調の原因としてモーター60の駆動部において異物が混入したことが推定される旨が表示されている。
【0070】
また、プロセッサ51は、アナログ電圧に基づいて、コネクター62の接続状態を判断する。具体的には、プロセッサ51は、アナログ電圧が閾値F(
図6参照)よりも大きい場合(
図6の実線参照)に、コネクター62によりドライバーIC61とモーター60とが接続されていると判断する。また、プロセッサ51は、アナログ電圧が閾値F以下の場合(
図6の一点鎖線参照)に、ドライバーIC61とモーター60とがコネクター62により接続されていないと判断する。
【0071】
また、プロセッサ51は、モーター60の動作開始時に、アナログ電圧が閾値Fよりも大きいか否かを判定する。これにより、モーター60が動作を開始して直ぐに、ドライバーIC61とモーター60とがコネクター62により接続されていないことを検知することができる。なお、プロセッサ51は、ドライバーIC61とモーター60とがコネクター62により接続されていないと判断した場合、操作パネル80、サーバー300または端末200等に、上記非接続状態を報知させる。なお、閾値Fは、本開示の「所定値」の一例である。
【0072】
<モーターにおける脱調の原因の推定方法>
次に、
図7および
図8を参照して、モーター60における脱調の原因を推定する方法(駆動装置100Aの制御方法)について説明する。
【0073】
まず、ステップS10において、プロセッサ51は、プリント制御を開始する。具体的には、プロセッサ51は、モーター駆動電流の検出を開始する。
【0074】
ステップS20では、プロセッサ51は、ステップS10において検出されたモーター駆動電流、および、モーター駆動電流に基づいて算出されたアナログ電圧のデータサンプリングを開始する。
【0075】
ステップS30において、プロセッサ51は、ドライバーIC61(
図2参照)にモーター60の駆動に関する指令を送信することによって、モーター60の駆動を開始する。
【0076】
ステップS40において、プロセッサ51は、モーター60とドライバーIC61とがコネクター62(
図2参照)により接続されているか否かを判定する。具体的には、プロセッサ51は、アナログ電圧が閾値F(
図6参照)よりも大きいか否かを判定する。モーター60とドライバーIC61とがコネクター62により接続されている(アナログ電圧>閾値F)の場合(S40においてYes)、処理はステップS60に進む。モーター60とドライバーIC61とがコネクター62により接続されていない(アナログ電圧≦閾値F)の場合(S40においてNo)、処理はステップS50に進む。
【0077】
ステップS50において、プロセッサ51は、モーター60とドライバーIC61とがコネクター62により接続されていないことを報知する制御を行う。たとえば、プロセッサ51は、上記非接続状態を示すメッセージを操作パネル80に表示させる。その後、処理はステップS40に戻る。
【0078】
ステップS60において、プロセッサ51は、紙詰まりのエラーが発生したか否かを判定する。紙詰まりのエラーが発生している場合(S60においてYes)、処理は工程Aに進む。紙詰まりのエラーが発生していない場合(S60においてNo)、処理はステップS70に進む。
【0079】
ステップS70において、プロセッサ51は、プリント制御が終了したか否かを判定する。プリント制御が終了した場合(S70においてYes)、処理は終了する。プリント制御が終了していない場合(S70においてNo)、処理はステップS60に戻る。
【0080】
<工程Aの制御フロー>
図8は、工程Aの制御フローを示す。まず、ステップS61では、プロセッサ51は、紙詰まりのエラー発生時から所定時間遡った期間におけるアナログ電圧のデータを、記憶装置52から取得する。
【0081】
ステップS62において、プロセッサ51は、ステップS61において取得したデータに基づき、アナログ電圧が上昇を開始してから閾値A以上になるまでに要した時間が時間T1(
図3参照)以内か否かを判定する。上記時間が時間T1以内である(S62においてYes)、処理はステップS63に進む。アナログ電圧が時間T1以内に閾値A以上にならなかった場合(S62においてNo)、処理はステップS67に進む。
【0082】
ステップS63において、プロセッサ51は、アナログ電圧が閾値A以上となってから閾値B以下まで低下するのに要した時間が時間T2(
図3参照)以内であるか否かを判定する。上記時間が時間T2以内である場合(S63においてYes)、処理はステップS64に進む。アナログ電圧が時間T2以内に閾値Bまで低下していない場合(S63においてNo)、処理はステップS65に進む。
【0083】
ステップS64において、プロセッサ51は、第1の原因によりモーター60が脱調したと判断する。その後、処理はステップS69に進む。
【0084】
ステップS65において、プロセッサ51は、アナログ電圧が閾値A以上となってから時間T2以内にアナログ電圧が低下しているか否かを判定する。アナログ電圧が低下しているとは、たとえば、アナログ電圧がピーク値に到達した後、上記ピーク値の所定割合(たとえば5%)以上、上記ピーク値から低下していることを意味する。アナログ値が低下している場合(S65においてYes)、処理はステップS63に戻る。処理がステップS63に戻った場合、前回のステップS63に対応する判定期間の次の(直後の)時間T2における判定が行われる。アナログ値が低下していない場合(S65においてNo)、処理はステップS66に進む。
【0085】
ステップS66において、プロセッサ51は、モーター60は脱調していないと判断する。その後、処理は終了する。
【0086】
ステップS67において、プロセッサ51は、アナログ電圧がピーク値P(
図4参照)まで上昇した時点から時間T3以内に閾値D以下に低下したか否かを判定する。アナログ電圧が時間T3以内に閾値D以下に低下した場合(S67においてYes)、処理はステップS68に進む。アナログ電圧が時間T3以内に閾値Dまで低下しなかった場合(S67においてNo)、処理はステップS66に進む。
【0087】
ステップS68において、プロセッサ51は、第2の原因によりモーター60が脱腸したと判断する。その後、処理はステップS69に進む。
【0088】
ステップS69において、プロセッサ51は、推定される脱調の原因を報知する制御を行う。なお、ステップS69は、
図9に示すステップS69a~S69cを含む。なお、ステップS69a~S69cが実行される順番は
図9に示す例に限られない。たとえば、ステップS69a~S69cが同時に行われてもよい。
【0089】
具体的には、
図9に示すように、ステップS69aにおいて、プロセッサ51は、脱調の原因を示すメッセージ(
図5参照)を、操作パネル80に表示させる。また、ステップS69bにおいて、プロセッサ51は、脱調の原因の情報をサーバー300(
図2参照)に登録する処理を行う。また、ステップS69cにおいて、プロセッサ51は、脱調の原因の情報(トラブルコード)を端末200(
図2参照)に送信する処理を行う。その後、プロセッサ51は、処理は終了する。
【0090】
なお、ステップS69a~S69cの処理のうち、1つまたは2つのみが実行されてもよい。
【0091】
以上のように、第1実施形態では、プロセッサ51は、モーター駆動電流に基づくアナログ電圧に基づいて、モーター60の脱調の原因を推定する。これにより、画像形成装置100の修理を行う作業者が、推定された上記原因に基づいて修理作業を行うことができる。その結果、作業者が上記原因を突き止める手間を省くことができる。これにより、モーターの修理に要する時間を短縮化することができるとともに、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0092】
[第2実施形態]
第2実施形態では、画像形成装置100のプロセッサ51がモーター60の脱調の原因を推定する上記第1実施形態とは異なり、外部のサーバー310が上記原因を推定する。上記第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付すとともに繰り返しの説明は行わないものとする。
【0093】
<画像形成装置のハードウェア構成>
図10は、第2実施形態に基づく画像形成装置110に用いられる駆動装置110Aのハードウェア構成の一例を示す図である。第2実施形態では、上記第1実施形態と異なる内容のみ説明を行う。
【0094】
図10を参照して、駆動装置110Aについて説明する。駆動装置110Aは、プロセッサ151と、ネットワークインターフェイス170とを備える。プロセッサ151は、システムプログラムおよび制御プログラムを読み出して記憶装置52に展開して実行することで様々な処理を実現する。なお、プロセッサ151は、本開示の「制御部」および「コンピューター」の一例である。
【0095】
画像形成装置110は、ネットワークインターフェイス170を介して、端末200やサーバー310などと通信する。なお、サーバー310は、端末200と通信可能である。また、画像形成装置110、端末200、および、サーバー310により、システム910が構成されている。また、サーバー310は、本開示の「第1サーバー」および「サーバー」の一例である。また、システム910は、本開示の「駆動システム」の一例である。
【0096】
プロセッサ151は、ネットワークインターフェイス170を通じて、モーター駆動電流に基づくアナログ電圧の情報をサーバー310に送信する。サーバー310は、アナログ電圧の情報を解析することにより、モーター60の脱調の原因を推定する。これにより、画像形成装置110において脱調の原因を推定する処理が行われないので、プロセッサ151における処理負荷を軽減することができる。なお、脱調の原因を推定する方法は、上記第1実施形態における推定方法と同じである。
【0097】
<モーターにおける脱調の原因の推定方法>
次に、
図11を参照して、モーター60における脱調の原因を推定する方法について説明する。なお、上記第1実施形態における
図8と同様の処理が行われている場合は、説明を省略または簡略化する場合がある。
【0098】
ステップS61の後のステップS80では、プロセッサ151は、ステップS61において取得されたアナログ電圧のデータを、ネットワークインターフェイス170を通じてサーバー310に送信する。
【0099】
ステップS161では、サーバー310は、ステップS80において画像形成装置110から送信されたアナログ電圧のデータを受信する。
【0100】
次に、サーバー310は、ステップS162~S169の処理を実行する。ステップS162~S168の処理は、それぞれ、上記第1実施形態におけるステップS62~S68(
図8参照)の処理と同じであるので、繰り返しの説明は行わない。なお、ステップS168の後のステップS169については、
図12を参照して詳細に説明する。
【0101】
ステップS169において、サーバー310は、推定される脱調の原因を報知する制御を行う。なお、ステップS169は、
図12に示すステップS169a~S169cを含む。なお、ステップS169a~S169cが実行される順番は
図12に示す例に限られず、たとえばステップS169a~S169cが同時に行われてもよい。
【0102】
具体的には、
図12に示すように、ステップS169aにおいて、サーバー310は、脱調の原因の情報を画像形成装置110に送信する。また、ステップS169bおよびS169cは、それぞれ、上記第1実施形態におけるステップS69bおよびS69c(
図9参照)と同様であるので、繰り返しの説明は行わない。その後、サーバー310は、処理は終了する。
【0103】
なお、ステップS169a~S169cが実行される順番は
図12に示す例に限られない。たとえば、ステップS169a~S169cが同時に行われてもよい。また、ステップS169a~S169cの処理のうち、1つまたは2つのみが実行されてもよい。
【0104】
その他の構成および効果については、上記第1実施形態と同様であるので、繰り返しの説明は行わないものとする。
【0105】
上記第1および第2実施形態では、画像形成装置におけるステッピングモーターの脱調の原因を推定する例を示したが、本開示はこれに限られない。画像形成装置以外の装置(たとえば医療機器、分析機器、およびデジタルカメラ等)に用いられるステッピングモーターの脱調の原因が推定されてもよい。
【0106】
上記第1および第2実施形態では、紙詰まりが生じた時点から所定時間遡った期間のアナログ電圧の変化に基づいて、脱調の原因を推定する例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、アナログ電圧が所定の閾値を跨ぐように変化した時点から所定時間遡った期間のアナログ電圧の変化に基づいて、脱調の原因を推定してもよい。
【0107】
上記第1および第2実施形態では、用紙Sを搬送する駆動ローラー39を駆動するモーター60の脱調の原因が推定される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、画像形成装置のプリントヘッドを駆動するモーター(ステッピングモーター)の脱調の原因が推定されてもよい。
【0108】
上記第1および第2実施形態では、アナログ電圧の変化の大きさと、アナログ電圧の変化に要する時間の長さとに基づいて、脱調の原因が推定される例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、アナログ電圧の変化の大きさのみに基づいて脱調の原因が推定されてもよい。
【0109】
上記第1および第2実施形態では、脱調に関する第1の原因および第2の原因の推定が行われる例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、上記2つの原因とは異なる脱調の原因が推定可能であってもよい。また、第1の原因および第2の原因のうちのいずれか一方のみが推定可能であってもよい。
【0110】
上記第1および第2実施形態では、コネクター62によるドライバーIC61とモーター60との接続が判定される例を示したが、本開示はこれに限られない。コネクター62によるドライバーIC61とモーター60との接続の判定は行われなくてもよい。
【0111】
上記第1および第2実施形態では、画像形成装置のプロセッサが、コネクターによるドライバーICとモーターとの接続状態を判定する例を示したが、本開示はこれに限られない。サーバーが、画像形成装置から受信したアナログ電圧に基づいて、上記接続状態を判定してもよい。
【0112】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0113】
39 駆動ローラー(駆動対象物),51、151 プロセッサ(制御部)(コンピューター),52 記憶装置(記憶部),60 モーター,61 ドライバーIC(ドライバー),62 コネクター,80 ディスプレイ(表示部),100、110 画像形成装置,100A、110A 駆動装置,200 端末(通信端末),300 サーバー(第2サーバー),310 サーバー(第1サーバー)(サーバー),910 システム(駆動システム),A 閾値(第1閾値),B 閾値(第2閾値),D 閾値(第4閾値),E 閾値(第3閾値),F 閾値(所定値),P ピーク値,S1、S2 基準値,T1 時間(第1所定時間),T2 時間(第2所定時間),T3 時間(第3所定時間)。