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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169056
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】収納パネル及び防音壁
(51)【国際特許分類】
   E01F 8/00 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
E01F8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086239
(22)【出願日】2023-05-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)JFE建材株式会社の顧客へのメール記録 令和4年10月25日,令和4年11月17日,令和4年12月07日,令和4年12月14日,令和4年12月16日,令和4年12月19日,令和4年12月22日,令和5年01月26日,令和5年03月03日,令和5年03月06日,令和5年03月31日,令和5年04月07日,令和5年04月17日,令和5年05月09日
(71)【出願人】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】岡 恵奈
(72)【発明者】
【氏名】米森 博史
【テーマコード(参考)】
2D001
【Fターム(参考)】
2D001AA01
2D001BA02
2D001BB01
2D001CA01
2D001CB03
2D001CD01
2D001PB00
(57)【要約】
【課題】付帯設備を収納することで保護すると共に、見映えを向上させることができ、防音壁を基礎部に固定する固定具を防音壁の騒音源側(正面側)から保守点検できるようにする。
【解決手段】所定の間隔で設置された支柱(2)間に防音パネル(4)と共に設けられ、付帯設備(200)を収納する収納パネル(3)は、騒音源側に設けられた正面部(31)と、正面部に対して付帯設備の奥行き以上の間隔をあけて対向する背面部(32)と、正面部と背面部とを連結する側面部(33)と、を備えている。正面部は、付帯設備を収納する第1の開口(311)と、正面部と背面部の間の空間内を視認可能とする第2の開口(312)とを有し、正面部又は側面部には、第2の開口を開閉する蓋部(35)が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔で設置された支柱間に防音パネルと共に設けられ、付帯設備を収納する収納パネルであって、
騒音源側に設けられた正面部と、
前記正面部に対して前記付帯設備の奥行き以上の間隔をあけて対向する背面部と、
前記正面部と前記背面部とを連結する側面部と、を備え、
前記正面部は、前記付帯設備を収納する第1の開口と、前記正面部と前記背面部の間の空間内を視認可能とする第2の開口とを有し、
前記正面部又は前記側面部には、前記第2の開口を開閉する蓋部が設けられていることを特徴とする収納パネル。
【請求項2】
前記支柱間に設けた状態において、前記第2の開口から前記支柱の基礎部への固定部位を視認可能であることを特徴とする請求項1に記載の収納パネル。
【請求項3】
前記支柱間に設けた状態において、前記背面部は、前記支柱の基礎部への固定部位よりも背面側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の収納パネル。
【請求項4】
前記側面部は、前記背面部及び前記蓋部に連結されている第1の側面部と、前記背面部及び前記蓋部に連結されている第2の側面部と、前記正面部及び前記背面部に連結されている第3の側面部と、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の収納パネル。
【請求項5】
前記側面部は、前記付帯設備の一部を通す孔を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の収納パネル。
【請求項6】
前記付帯設備は、照明器具やそのプルボックスであることを特徴とする請求項1又は2に記載の収納パネル。
【請求項7】
上方に載置される前記防音パネルと連結される天面部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の収納パネル。
【請求項8】
防音壁であって、
基礎部に所定の間隔で設置された支柱と、
請求項1に記載の収納パネルと、
前記支柱の立設方向に沿って前記収納パネルに積み重ねられた防音パネルと、
を備えることを特徴とする防音壁。
【請求項9】
前記収納パネルは、前記基礎部と前記防音パネルとの間に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の防音壁。
【請求項10】
前記収納パネルは、正面側において、前記防音パネルとほぼ面一に設けられていることを特徴とする請求項8又は9に記載の防音壁。
【請求項11】
前記収納パネルは、背面側において、前記防音パネルよりも背面側に突出していることを特徴とする請求項8又は9に記載の防音壁。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納パネル及び収納パネルを備える防音壁に関する。
【背景技術】
【0002】
道路や線路を走行する車両や工場等の騒音源から発せられる騒音の拡散を抑えるために、騒音源の脇に防音壁が設置されている。防音壁は、例えば、H形鋼等からなる支柱間に、複数枚の防音パネルを嵌め込んで積み重ねることにより構築される。
防音パネルは、正面板、背面板及び側面板を、縦断面形状が平行四辺形となるように組み合わせて箱状に形成し、パネル本体内の空間に吸音材が収容されている。防音パネルは、騒音源に面する正面板にルーバーを形成することにより、パネル本体内に伝達された騒音を吸音材で吸収することができるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-124483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
防音壁の近傍には照明装置等の付帯設備が設けられていることが多い。従来の防音壁には付帯設備を収容するスペースがないため、付帯設備は防音壁の表面や防音壁が設けられている基礎部に外付けされており、付帯設備の保護や見映えの観点から好ましくなかった。
また、防音壁を基礎部に固定する固定具を防音壁の騒音源側(正面側)から保守点検できる構造が望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、付帯設備を収納し保護すると共に、見映えを向上させることができ、防音壁を基礎部に固定する固定具を防音壁の騒音源側(正面側)から保守点検できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る一態様は、所定の間隔で設置された支柱間に防音パネルと共に設けられ、付帯設備を収納する収納パネルであって、騒音源側に設けられた正面部と、前記正面部に対して前記付帯設備の奥行き以上の間隔をあけて対向する背面部と、前記正面部と前記背面部とを連結する側面部と、を備え、前記正面部は、前記付帯設備を収納する第1の開口と、前記正面部と前記背面部の間の空間内を視認可能とする第2の開口とを有し、前記正面部又は前記側面部には、前記第2の開口を開閉する蓋部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
また、前記支柱間に設けた状態において、前記第2の開口から前記支柱の基礎部への固定部位を視認可能であることが好ましい。
【0008】
また、前記支柱間に設けた状態において、前記背面部は、前記支柱の基礎部への固定部位よりも背面側に配置されていることが好ましい。
【0009】
また、前記側面部は、前記背面部及び前記蓋部に連結されている第1の側面部と、前記背面部及び前記蓋部に連結されている第2の側面部と、前記正面部及び前記背面部に連結されている第3の側面部と、を備えることが好ましい。
【0010】
また、前記側面部は、前記付帯設備の一部を通す孔を有していることが好ましい。
【0011】
また、前記付帯設備は、照明器具やそのプルボックスであることが好ましい。
【0012】
また、上方に載置される前記防音パネルと連結される天面部を備えることが好ましい。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明に係る一態様は、防音壁であって、基礎部に所定の間隔で設置された支柱と、上記の収納パネルと、前記支柱の立設方向に沿って前記収納パネルに積み重ねられた防音パネルと、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、前記収納パネルは、前記基礎部と前記防音パネルとの間に設けられていることが好ましい。
【0015】
また、前記収納パネルは、正面側において、前記防音パネルとほぼ面一に設けられていることが好ましい。
【0016】
また、前記収納パネルは、背面側において、前記防音パネルよりも背面側に突出していることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様によれば、付帯設備を収納し保護すると共に、見映えを向上させることができ、防音壁を基礎部に固定する固定具を防音壁の騒音源側(正面側)から保守点検できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】防音壁を示す斜視図である。
図2】収納パネルに直上の防音パネルを積み重ねた状態を示す斜視図である。
図3】収納パネルに直上の防音パネルを積み重ねた状態を示す正面図である。
図4図3のA-A断面図である。
図5】蓋部が閉じた状態における図1のB-B断面図である。
図6】蓋部が開いた状態における図1のB-B断面図である。
図7】蓋部が開いた状態における蓋部周囲の斜視図である。
図8】蓋部が開いた状態における蓋部周囲の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率等が異なる部分が含まれている場合がある。
【0020】
<防音壁の構成>
図1に示すように、防音壁100は、道路や線路上を走行する車両や工場等の騒音源からの騒音の拡散を抑えるために用いられるものであり、騒音源の脇に設置される。
防音壁100は、基礎部1と、支柱2と、収納パネル3と、防音パネル4と、を備えている。
【0021】
(基礎部)
図1に示すように、基礎部1は、防音壁100の設置面から所定の高さだけ延在している、いわゆる壁高欄である。基礎部1は、例えば、コンクリートによって壁状に形成されており、その上端面が騒音源の載置面(例えば、道路面)より高い場所に位置するように形成されている。基礎部1の上端面には、支柱2に支持される最下段のパネル、具体的には、収納パネル3の下端部が載置される。
【0022】
(支柱)
図1に示すように、支柱2は、例えば、H形鋼から形成されている。支柱2は、基礎部1の上端面に所定の間隔、具体的には、防音パネル4の幅よりも少し大きな間隔をあけて立設されている。支柱2は、H形鋼の一対のフランジ部がそれぞれ正面側と背面側に向くように基礎部1に立設されており、隣接するH形鋼の一対のフランジ部で防音パネル4が正面側又は背面側に倒れるのを防止している。すなわち、支柱2は、防音パネル4の幅方向端部が支柱2を構成するH形鋼のフランジ部とリブに囲まれた空間内に収まるような間隔をあけて基礎部1に立設されている。
支柱2は、固定部20を介して基礎部1に固定されている。図5図8に示すように、固定部20は、ベース21と、縦板22と、横板23と、ボルト24と、を備えている。
ベース21は、平面視矩形状の板材であり、基礎部1の上端面に載置されている。ベース21には複数の貫通孔が形成されており、これらの貫通孔を介してボルト24を基礎部1に螺合させ、固定部20を基礎部1に連結する。ベース21の上面には、支柱2の下端が溶接等によって接合されている。
【0023】
縦板22は、防音壁100の幅方向に所定の間隔をあけて、支柱2の一対のフランジ部2aをそれぞれ挟み込むように互いに平行に配置されている。縦板22は、防音壁100の厚さ方向に延在しており、ベース21に接合されている。
横板23は、防音壁100の厚さ方向に所定の間隔をあけて、互いに平行に配置されている。横板23は、防音壁100の幅方向に延在しており、ベース21及び各縦板22に接合されている。横板23は、延在方向における一端部が、立設される支柱2のウェブ2b近傍まで延在している。横板23の間に形成された空間は、支柱2に通されるワイヤーロープを通す経路として形成されている。
ボルト24は、ベース21の貫通孔に挿通され、基礎部1に螺合される。これらのボルト24に緩みが生じると、支柱2がぐらつき、支柱2と共に収納パネル3や防音パネル4が倒れてしまう恐れがあるため、ボルト24の保守点検は重要である。
なお、本実施の形態においては、基礎部1を構築し、この基礎部1に支柱2が立設されているが、道路等の地盤に支柱2を直接立設してもよい。この場合、地盤が基礎部となる。
【0024】
(収納パネル)
図1図8に示すように、収納パネル3は、例えば、合金めっき鋼板を組み合わせることにより箱状に形成されている。収納パネル3は、隣接する支柱2間に防音パネル4と共に設けられ、幅方向における両端部が支柱2に係止されて支持されている。収納パネル3は、基礎部1と防音パネル4との間に設けられており、防音壁100における最下段のパネルである。すなわち、基礎部1には収納パネル3が載置されており、収納パネル3の上方に支柱2の立設方向に沿って複数の防音パネル4が積み重ねられている。収納パネル3は、防音壁100の正面側において、防音パネル4とほぼ面一に設けられている。収納パネル3は、防音壁100の背面側において、防音パネル4よりも背面側に突出している。すなわち、収納パネル3は、防音パネル4よりも厚く形成されている。
収納パネル3は、防音壁100における防音パネルとして機能させるのではなく、主に、防音壁100の付帯設備200を収納するために用いられる。収納パネル3は、防音壁100の防音性能を低下させないよう、防音パネル4よりも壁面の面積が小さくなるように形成されている。すなわち、収納パネル3は、支柱2に支持させる関係上、幅は防音パネル4とほぼ等しく形成されているが、高さは防音パネル4よりも低く形成されている。ここで、付帯設備200は、例えば、防音壁100の正面側を照らす照明器具(光源、電源ケーブル等)やそのプルボックス等が挙げられる。例えば、防音壁100が道路脇に設けられている場合、照明器具は、夜間に道路を照射して車両の走行路を明るくするために有用な装置である。
【0025】
収納パネル3は、正面部31と、背面部32と、側面部33と、天面部34と、蓋部35と、を備えている。
図1図3に示すように、正面部31は、収納パネル3の正面側(騒音源がある側)に設けられた板材であり、例えば、合金めっき鋼板から形成されている。
図7図8に示すように、正面部31は、第1の開口311と、第2の開口312とを有している。
第1の開口311は、正面部31の幅方向における中央から両端部近傍まで延びると共に、高さ方向全域にわたって延びる開口である。第1の開口311により、正面部31は、二つの板材に分断された状態となっている。第1の開口311には、付帯設備200としての照明器具が収納されている。
第2の開口312は、正面部31の幅方向における両端部にそれぞれ形成された開口である。第2の開口312により、収納パネル3の内部空間(正面部31と背面部32の間の空間)が視認可能であり、収納パネル3が基礎部1に載置されていることから、支柱2の固定部20(特に、ボルト24)を視認可能である。
【0026】
図4図8に示すように、背面部32は、収納パネル3の背面側に設けられた板材であり、例えば、合金めっき鋼板から形成されている。
背面部32は、隣接する支柱2間の全域にわたって延在するように形成されている。背面部32は、正面部31に対して少なくとも付帯設備200の奥行き以上の間隔をあけて対向するように配置されている。背面部32は、その面方向が正面部31の面方向と平行となっている。背面部32は、収納パネル3を支柱2間に設けた状態において、固定部20の背面側のボルト24よりも背面側に配置されている。すなわち、収納パネル3を支柱2に設けた状態では、背面側のボルト24は、背面部32よりも正面側にあり、背面部32に視認を阻害されることなく、正面部31の第2の開口312から視認可能となっている。
【0027】
図5図8に示すように、側面部33は、収納パネル3の両側面に設けられた板材であり、例えば、合金めっき鋼板から形成されている。側面部33は、正面部31と背面部32とを連結する。
側面部33は、第1の側面部331と、第2の側面部332と、第3の側面部333と、を備えている。
第1の側面部331は、高さ方向に沿った一端縁が背面部32の高さ方向に沿った一端縁に連結されており、高さ方向に沿った他端縁が蓋部35の高さ方向に沿った一端縁に着脱自在に連結されている。第1の側面部331は、支柱2に接触しないように、途中で屈曲するように形成されている。第1の側面部331には、下端縁に連通する孔331aが形成されている。孔331aは、付帯設備200の一部(例えば、照明器具の電源ケーブル等)や、防音パネル4を保持するワイヤーロープ等を通すものである。
第2の側面部332は、第1の側面部331と背面部32との連結位置よりも幅方向中央側において、高さ方向に沿った一端縁が背面部32に連結されており、高さ方向に沿った他端縁の一部が蓋部35の高さ方向に沿った他端縁に連結されており、高さ方向に沿った他端縁の他部が正面部31の高さ方向に沿った一端縁に連結されている。ここで、蓋部35は、第2の側面部332に蝶番351を介して回転自在に連結されている。第2の側面部332には、下端縁に連通する孔332aが形成されている。孔332aは、付帯設備200の一部(例えば、照明器具の電源ケーブル等)や、防音パネル4を保持するワイヤーロープ等を通すものである。
第3の側面部333は、第2の側面部332と背面部32との連結位置よりも幅方向中央側において、高さ方向に沿った一端縁が背面部32に連結されており、高さ方向に沿った他端縁が正面部31の高さ方向に沿った他端縁に連結されている。第3の側面部333には、下端縁に連通する孔333aが形成されている。孔333aは、付帯設備200の一部(例えば、照明器具の電源ケーブル等)や、防音パネル4を保持するワイヤーロープ等を通すものである。
【0028】
これにより、収納パネル3の幅方向における両端部近傍の正面側において、第1の側面部331と第2の側面部332との間が蓋部35によって覆われ、第2の側面部332と第3の側面部333との間が正面部31によって覆われる。すなわち、二つの第3の側面部333間に形成された開口が第1の開口311となり、第1の側面部331と第2の側面部332との間に形成された開口が第2の開口312となる。
なお、正面部31、背面部32、側面部33及び蓋部35の連結位置は任意であって、必ずしも各部の端縁でなくてもよい。
【0029】
図4に示すように、天面部34は、収納パネル3の上端面を形成する板材であり、正面部31と背面部32とを連結する。天面部34は、例えば、合金めっき鋼板から形成されている。天面部34は、正面側から背面側に向かって下方に向かうように傾斜して配置されている。天面部34には、上方に載置される防音パネル4が載置され、当該防音パネル4とボルト及びナット等により連結される。天面部34を設けることにより、収納パネル3内への雨水等の進入を防止することができる。
【0030】
図3図5図8に示すように、蓋部35は、第2の開口312を開閉するものである。蓋部35は、収納パネル3の正面側に設けられた板材であり、例えば、合金めっき鋼板から形成されている。蓋部35は、高さ方向に沿った一端縁が第1の側面部331に着脱自在に連結されており、高さ方向に沿った他端縁の一部が第2の側面部332に蝶番351を介して当該他端縁を軸として回転自在に設けられている。すなわち、図2図3図5に示すように、蓋部35が第1の側面部331に連結されている場合には、第2の開口312は閉じられた状態となっており、図6図8に示すように、蓋部35が第1の側面部331に連結されておらず、蓋部35の一端縁が収納パネル3の手前側(正面側)に移動している場合には、第2の開口312は開いた状態となっている。
図7図8に示すように、蓋部35には、高さ方向に沿った一端縁及び下端縁に連通する切欠352が形成されている。切欠352は、蓋部35を開閉する際に作業者が把持する把持部分になると共に、固定部20との接触を避けることができる。
なお、蓋部35は、第2の側面部332に回転自在に連結されているが、第3の側面部333や正面部31に回転自在に連結されていてもよい。
【0031】
(防音パネル)
図1図4に示すように、防音パネル4は、例えば、合金めっき鋼板を組み合わせることにより箱状に形成されている。防音パネル4は、隣接する支柱2間に収納パネル3と共に設けられ、幅方向における両端部が支柱2に係止されて支持されている。防音パネル4は、収納パネル3の上方に支柱2の立設方向に沿って複数段にわたって積み重ねられている。防音パネル4は、防音壁100の正面側において、収納パネル3の正面部31とほぼ面一に設けられている。防音パネル4は、収納パネル3よりも厚さが薄くなるように形成されており、防音壁100の背面側においては、防音パネル4より収納パネル3の方が背面側に突出している。
【0032】
防音パネル4は、正面部41と、背面部42と、側面部43と、天面部44と、底面部45と、吸音材46と、を備えている。
図1図4に示すように、正面部41は、防音パネル4の正面側(騒音源がある側)に設けられた板材であり、例えば、合金めっき鋼板から形成されている。正面部41は、隣接する支柱2間の全域にわたって延在するように形成されている。正面部41には音を吸音材46に導くスリット411が複数形成されている。
背面部42は、防音パネル4の背面側に設けられた板材であり、例えば、合金めっき鋼板から形成されている。背面部42は、隣接する支柱2間の全域にわたって延在するように形成されている。背面部42は、正面部41に対して少なくとも吸音材46の厚さ以上の間隔をあけて対向するように配置されている。背面部42は、その面方向が正面部41の面方向と平行となっている。
側面部43は、防音パネル4の両側面に設けられた板材であり、例えば、合金めっき鋼板から形成されている。側面部43は、防音パネル4の厚さ方向(奥行き方向)に延在しており、防音パネル4の幅方向両端部において、それぞれ正面部41と背面部42とを連結する。
【0033】
天面部44は、防音パネル4の上端面を形成する板材であり、例えば、合金めっき鋼板から形成されている。天面部44は、正面部41と背面部42とを連結する。天面部44は、正面側から背面側に向かって下方に向かうように傾斜して配置されている。天面部44には、上方に載置される防音パネル4の底面部45が載置され、当該底面部45に当接する。
底面部45は、防音パネル4の下端面を形成する板材であり、例えば、合金めっき鋼板から形成されている。底面部45は、正面部41と背面部42とを連結する。底面部45は、正面側から背面側に向かって下方に向かうように傾斜しており、天面部44と平行に配置されている。底面部45は、下方に載置される防音パネル4の天面部44に当接する。
吸音材46は、騒音源から発せられる音を吸収する部材である。吸音材46は、例えば、ポリエステル繊維から形成されており、弾性変形可能である。吸音材46は、防音パネル4の内部、すなわち、正面部41、背面部42、側面部43、天面部44及び底面部45に囲まれた空間内に設けられている。
【0034】
<防音壁の構築方法>
防音壁100を構築するには、騒音源の脇の地盤に基礎部1を構築する。騒音源が自動車である場合、道路脇に基礎部1を構築する。
次に、基礎部1の上端面に固定部20を介して支柱2を立設する。支柱2の下端部をベース21に接合し、ベース21をボルト24によって基礎部1に螺合することにより、支柱2は基礎部1に立設され、固定される。支柱2は、基礎部1の上端面に所定の間隔をあけて複数立設する。
次に、隣接する支柱2間に収納パネル3を設ける。
次に、収納パネル3の第1の開口311から付帯設備200を収納パネル3内に収納する。例えば、付帯設備200が照明器具の場合、光源は第1の開口311内に設置され、電源ケーブルは、第1の側面部331、第2の側面部332、第3の側面部333に形成された孔331a,332a,333aに通される。
次に、収納パネル3の上に防音パネル4を積み重ねる。ここで、複数段にわたって設けられた防音パネル4のうち、最下段の防音パネル4は、収納パネル3に連結されており、各防音パネル4は、隣接する支柱2間に嵌め込まれる。その際、各防音パネル4は、互いにワイヤーロープが通されて保持される。
【0035】
<防音壁の点検方法>
防音壁100において、支柱2の固定部20を保守点検する際には、作業者は防音壁100の正面側から収納パネル3の蓋部35を開閉して行う。固定部20におけるボルト24の緩みを確認する際には、蓋部35と第1の側面部331との連結を解除し、蓋部35を、蝶番351を中心として回転させる。蓋部35の回転により、第2の開口312を通してボルト24の状態を視認することができる。また、蓋部35を開いた状態で、必要に応じてレンチ等の工具により、ボルト24を増し締めすることができる。
保守点検作業の終了後、蓋部35を回転させて閉じると共に、蓋部35を第1の側面部331に備え付けのネジ又はボルトにて連結する。
【0036】
以上のような収納パネル3及び防音壁100によれば、収納パネル3には第1の開口311が形成されているので、第1の開口311に照明器具等の付帯設備200を収納することができる。これにより、付帯設備200を防音壁100の表面や基礎部1に外付けする必要がなくなり、防音壁100近傍において、付帯設備200のためのスペースを取られることがなく、付帯設備200を保護することができる。また、付帯設備200を収納パネル3内に収納することができるので、防音壁100からの付帯設備200の張り出しを抑え、防音壁100の見映えを良くすることができる。
また、収納パネル3には第2の開口312が形成されているので、第2の開口312を通して支柱2を固定するボルト24や各防音パネル4を保持するワイヤーロープ等を視認することができ、収納パネル3を設けても防音壁100の保守点検を正面側(騒音源側)から円滑に行うことができる。
【0037】
また、第2の開口312を開閉する蓋部35が設けられているので、保守点検作業の際だけ蓋部35を開けてボルト24を確認し、保守点検作業以外においては、蓋部35を閉じて第2の開口312を覆うことにより、収納パネル3の内部を隠し、見映えを良くすることができる。
また、支柱2間に設けた収納パネル3の背面部32は、支柱2のボルト24よりも背面側に配置されるので、背面部32がボルト24の視認を遮ることがなく、蓋部35を開けるだけでボルト24を確認することができる。
また、複数の側面部331,332,333を設けることにより、収納パネル3の剛性を高めることができると共に、正面部31や蓋部35のレイアウトの自由度を増すことができる。
また、複数の側面部331,332,333には、孔331a,332a,333aが形成されているので、付帯設備200の一部を収納パネル3内で取り回すことができ、収納パネル3内に隠して見映えを良くすることができる。
【0038】
また、収納パネル3は、天面部34を備えているので、防音パネル4と簡単に連結することができる。
また、収納パネル3は、基礎部1と防音パネル4との間に設けられているので、収納パネル3を低い位置に配置することができ、付帯設備200の第1の開口311への収納作業を簡単に行うことができる。特に、付帯設備200が道路の照明器具である場合には、照明器具を路面に近い位置に配置することができ、路面を明るく照らすことができる。
また、収納パネル3は、正面側において、防音パネル4とほぼ面一に設けられているので、防音壁100の見映えを良くすることができる。
また、収納パネル3は、背面側において、防音パネル4よりも背面側に突出しているので、収納パネル3内の容積を増やすことができ、比較的大きな付帯設備200を収納することができる。さらに、固定部20を収納パネル3内に収めることができる。
【0039】
<その他>
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。また、例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
例えば、収納パネル3は、必ずしも防音壁100の最下段に設ける必要はなく、防音壁100の高さや防音壁100を設置する環境に応じて適宜変更可能である。
また、正面部31における第1の開口311及び第2の開口312の位置、大きさ、範囲は、発明の目的を達成する範囲内において自由に変更可能である。
また、蓋部35の形状、開閉機構も発明の目的を達成する範囲内において自由に変更可能である。
また、付帯設備200が外部に露出させないものである場合には、第1の開口311を開閉する新たな蓋部を正面部31や側面部33等に設けてもよい。
また、収納パネル3を構成する各部の構成、形状も発明の目的を達成する範囲内において自由に変更可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 基礎部
2 支柱
20 固定部
21 ベース
22 縦板
23 横板
24 ボルト
3 収納パネル
31 正面部
311 第1の開口
312 第2の開口
32 背面部
33 側面部
331 第1の側面部
332 第2の側面部
333 第3の側面部
331a,332a,333a 孔
34 天面部
35 蓋部
4 防音パネル
100 防音壁
200 付帯設備


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8