(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169070
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両
(51)【国際特許分類】
B62J 45/00 20200101AFI20241128BHJP
B62J 35/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B62J45/00
B62J35/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086256
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 宗一朗
(72)【発明者】
【氏名】北出 琢朗
(72)【発明者】
【氏名】安島 宗典
(57)【要約】
【課題】操舵スペースが形成された鞍乗り型車両において、操舵スペースを有効活用しながら、水抜きが容易な外部機器接続機構を備える鞍乗り型車両を提供する。
【解決手段】鞍乗り型車両は、ヘッドパイプ(18)を有する車体フレーム(11)と、操舵系(50)と、シート(17)と、ヘッドパイプ(18)の後方に配置されたエネルギー貯蔵部(29)と、貯蔵部カバー(62)と、貯蔵部カバー(62)と共に操舵スペース(64)を形成するフロントカバー(61)と、サイドスタンド(38)と、を備え、貯蔵部カバー(62)には、サイドスタンド(38)とは反対側であって操舵スペース(64)に対向する位置に凹部(100)が形成され、凹部(100)の車幅方向外側の内壁(104)に外部機器接続機構(110)が支持される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドパイプ(18)を有する車体フレーム(11)と、前記ヘッドパイプ(18)に操舵可能に支持された操舵系(50)と、前記操舵系(50)の後方に配置されたシート(17)と、前記ヘッドパイプ(18)の後方に配置されて少なくとも一部が前記シート(17)の前方かつ上方に配置されたエネルギー貯蔵部(29)と、前記エネルギー貯蔵部(29)を覆う貯蔵部カバー(62)と、前記貯蔵部カバー(62)の前側に接続され前記貯蔵部カバー(62)と共に前記操舵系(50)が回動可能な操舵スペース(64)を形成するフロントカバー(61)と、前記車体フレーム(11)に支持されたサイドスタンド(38)と、を備える鞍乗り型車両において、
前記貯蔵部カバー(62)には、車幅中心(L0)を挟んで前記サイドスタンド(38)とは反対側の位置であって前記操舵スペース(64)に対向する位置に凹部(100、200)が形成され、
前記凹部(100、200)の車幅方向外側の内壁(104)に、外部機器と接続するための接続端子(111)を有する外部機器接続機構(110)が支持される
ことを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項2】
前記貯蔵部カバー(62)は、前記エネルギー貯蔵部(29)の前方に配置された第1のカバー(81、281)と、前記第1のカバー(81、281)の上方に配置された第2のカバー(82)と、を備え、
前記凹部(100、200)は前記第1のカバー(81、281)に形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項3】
前記第2のカバー(82)には、前記接続端子(111)を上方から覆う屋根部(105)が設けられ、
前記屋根部(105)は、車体側面視で車体前後方向に前下がりになるように傾きが設定される
ことを特徴とする請求項2に記載の鞍乗り型車両。
【請求項4】
前記凹部(100、200)は、前記第1のカバー(81、281)の上端に設けられ、
前記凹部(100、200)と前記屋根部(105)との間には、隙間(107)が設けられ、
前記隙間(107)は、少なくとも車体幅方向内側部(107b)が下方に延伸する
ことを特徴とする請求項3に記載の鞍乗り型車両。
【請求項5】
前記第2のカバー(82)には、前記凹部(100、200)の一部を前方から覆う延長壁(82f2)が設けられる
ことを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項6】
前記エネルギー貯蔵部(29)は、上側ケース(29a)と下側ケース(29b)との上下合わせ構造を有し、
前記凹部(100、200)の下壁(101、201)は、前記エネルギー貯蔵部(29)の上下合わせ部(29c)の傾きに沿って傾斜している
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項7】
前記凹部(100、200)の内壁(104)には、前記外部機器接続機構(110)が支持される端子口(106)が形成され、
前記端子口(106)は、少なくとも上部又は下部に切り欠き(106a、106b)が設けられている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項8】
前記第1のカバー(81、281)には、前方に突出して前記エネルギー貯蔵部(29)に上方から取り付けられる取付部(81e、281e)が設けられ、
前記取付部(81e、281e)は、前記凹部(100、200)の車幅方向に設けられ、
前記取付部(81e、281e)は、前記凹部(100、200)の下壁(101、201)に対して下方に凹んだ段差形状をなす
ことを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項9】
前記第1のカバー(281)には、前方に突出して前記エネルギー貯蔵部(29)に上方から取り付けられる取付部(281e)が設けられ、
前記取付部(281e)は、前記凹部(200)の車幅方向に設けられ、
前記凹部(200)の下壁(201)と、前記取付部(281e)との間には、前記凹部(200)の下壁(201)および前記取付部(281e)の上面よりも上下方向に延びる上下壁(281g)が設けられている
ことを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項10】
前記取付部(281e)は、前記凹部(200)の車幅方向内側に設けられ、
前記取付部(281e)は、車体幅方向外側に進むに連れて下方に傾斜し、
前記凹部(200)の下壁(201)は、車体幅方向内側に進むに連れて下方に傾斜する
ことを特徴とする請求項9に記載の鞍乗り型車両。
【請求項11】
前記接続端子(111)は、車体幅方向内側に進むに連れて下方に傾斜して支持される
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯端末などの外部機器と接続するための接続端子を有する外部機器接続機構を備える鞍乗り型車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、燃料タンクに固定されたフロントカウルによってフロントフォークが覆われた構成の鞍乗り型車両において、ヘッドパイプの前側で、フロントカウルと一体の情報表示装置の下方に、外部機器に電力を供給する電力供給ユニットを配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、外部機器接続機構は外部から保護することが望ましく、外部機器接続機構からケーブルを乗員側に延ばし易いことが望まれる。このため、操舵スペースが形成される鞍乗り型車両においては、操舵スペースを有効活用して外部接続機構を配置することが望ましい。また、鞍乗り型車両では、一般に、雨水等への対策も課題である。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、操舵スペースが形成された鞍乗り型車両において、操舵スペースを有効活用しながら、水抜きが容易な外部機器接続機構を備える鞍乗り型車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
鞍乗り型車両は、ヘッドパイプを有する車体フレームと、前記ヘッドパイプに操舵可能に支持された操舵系と、前記操舵系の後方に配置されたシートと、前記ヘッドパイプの後方に配置されて少なくとも一部が前記シートの前方かつ上方に配置されたエネルギー貯蔵部と、前記エネルギー貯蔵部を覆う貯蔵部カバーと、前記貯蔵部カバーの前側に接続され前記貯蔵部カバーと共に前記操舵系が回動可能な操舵スペースを形成するフロントカバーと、前記車体フレームに支持されたサイドスタンドと、を備える鞍乗り型車両において、前記貯蔵部カバーには、車幅中心を挟んで前記サイドスタンドとは反対側の位置であって前記操舵スペースに対向する位置に凹部が形成され、前記凹部の車幅方向外側の内壁に、外部機器と接続するための接続端子を有する外部機器接続機構が支持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
操舵スペースが形成された鞍乗り型車両において、操舵スペースを有効活用しながら、水抜きが容易な外部機器接続機構を備える鞍乗り型車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の側面図である。
【
図2】車体フレームと燃料タンクとを示す左前方からの斜視図である。
【
図4】車体カバーの要部を示す左前方からの斜視図である。
【
図7】
図1のVII-VII線断面に対応する左前方からの斜視図である。
【
図8】
図1のVIII-VIII線断面に対応する左前方からの斜視図である。
【
図9】第1の実施の形態に係るフロントタンクカバーとセンタータンクカバーとの正面図である。
【
図10】第1の実施の形態に係るフロントタンクカバーとセンタータンクカバーとの右後方からの斜視図である。
【
図11】第1の実施の形態に係るフロントタンクカバーとセンタータンクカバーとの背面図である。
【
図12】第1の実施の形態に係るフロントタンクカバーとセンタータンクカバーとの底面図である。
【
図13】第2の実施の形態に係るフロントタンクカバーとセンタータンクカバーとの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示す。
【0009】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両10の側面図である。
鞍乗り型車両10は、車体フレーム11と、車体フレーム11に支持されるパワーユニット12と、前輪13を操舵自在に支持するフロントフォーク14と、後輪15を支持するスイングアーム16と、乗員用のシート17とを備える車両である。
鞍乗り型車両10は、乗員がシート17に跨るようにして着座する車両である。シート17は、車体フレーム11の後部の上方に設けられる。
【0010】
車体フレーム11は、車体フレーム11の前端部に設けられるヘッドパイプ18と、ヘッドパイプ18の後方に位置するフロントフレーム19と、フロントフレーム19の後方に位置するリアフレーム20とを備える。フロントフレーム19の前端部は、ヘッドパイプ18に接続される。
シート17は、リアフレーム20に支持される。
【0011】
フロントフォーク14は、ヘッドパイプ18によって左右に操舵自在に支持される。前輪13は、フロントフォーク14の下端部に設けられる車軸13aに支持される。乗員が把持する操舵用のハンドル21は、フロントフォーク14の上端部に取り付けられる。
【0012】
スイングアーム16は、車体フレーム11に支持されるピボット軸22に支持される。ピボット軸22は、車幅方向に水平に延びる軸である。スイングアーム16の前端部には、ピボット軸22が挿通される。スイングアーム16は、ピボット軸22を中心に上下に揺動する。
後輪15は、スイングアーム16の後端部に設けられる車軸15aに支持される。
【0013】
パワーユニット12は、前輪13と後輪15との間に配置され、車体フレーム11に支持される。
パワーユニット12は、内燃機関である。パワーユニット12は、クランクケース23と、往復運動するピストンを収容するシリンダー部24とを備える。シリンダー部24の排気ポートには、排気装置25が接続される。
パワーユニット12の出力は、パワーユニット12と後輪15とを接続する駆動力伝達部材によって後輪15に伝達される。
【0014】
また、鞍乗り型車両10は、前輪13を上方から覆うフロントフェンダー26と、後輪15を上方から覆うリアフェンダー27と、乗員が足を載せるステップ28と、パワーユニット12が使用する燃料を蓄える燃料タンク29とを備える。
フロントフェンダー26は、フロントフォーク14に取り付けられる。リアフェンダー27及びステップ28は、シート17よりも下方に設けられる。燃料タンク29は、車体フレーム11に支持される。
【0015】
図2は、車体フレーム11と燃料タンク29とを示す左前方からの斜視図である。
本実施の形態のフロントフレーム19は、ヘッドパイプ18から後下方に延びるメインフレーム31と、メインフレーム31の後端部から下方に延びる左右一対のピボットフレーム32と、ヘッドパイプ18においてメインフレーム31の前端の下方の位置から下方に延びるダウンフレーム33と、ダウンフレーム33の下端から後方に延びてピボットフレーム32の下端部に接続される左右一対のロアフレーム34と、ヘッドパイプ18とメインフレーム31とダウンフレーム33との接続部を補強するガセット35と、左右一対のピボットフレーム32の下端の間を左右方向に接続するクロスメンバ36と、クロスメンバ36の左側(車幅方向一側)に設けられたスタンドステー37と、を備える。スタンドステー37には、サイドスタンド38(
図1参照)が回動可能に支持される。
【0016】
リアフレーム20は、メインフレーム31の後端部から後上がりに車体後端部まで延びる左右一対のシートフレーム41と、左右のピボットフレーム32の上下方向中間部からシートフレーム41の前後方向中間部まで延びる左右一対のリアサブフレーム42と、左右一対のシートフレーム41の前部を左右方向に接続するリア前部クロスメンバ43と、リアサブフレーム42よりも後方で左右一対のシートフレーム41の前後方向中間部を左右方向に接続するリア中間部クロスメンバ44と、左右一対のシートフレーム41の後端部を左右方向に接続するリア後端部クロスメンバ45と、を備える。
【0017】
メインフレーム31の上部には、燃料タンク(エネルギー貯蔵部)29が配置される。燃料タンク29は、上方に凹んだお椀状の上タンク体(上側ケース)29aと、下方に凹んだお椀状の下タンク体(下側ケース)29bと、を備える。上タンク体29aおよび下タンク体29bは、それぞれ、フランジ状の開口端29a1、29b1を備える。上タンク体29aの開口端29a1と下タンク体29bの開口端29b1とが、例えば、シーム溶接により上下に接合されて、中空状の燃料タンク29が構成される。燃料タンク29は、開口端29a1、29b1で構成されたシーム部(上下合わせ部)29cを備える。
【0018】
上タンク体29aの前部には、筒状の給油口29dが設けられている。給油口29dは、フューエルリッド29eで開閉可能に閉塞されている。
下タンク体29bの後部には、燃料ポンプ29f(
図1参照)が配置されている。燃料ポンプ29fは、メインフレーム31の後部の上方に位置する。燃料ポンプ29fは、パワーユニット12に燃料を供給する。
【0019】
燃料タンク29は、前部が、ガセット35に設けられた左右一対の固定部35aに固定される。また、燃料タンク39は、後端部が、リア前部クロスメンバ43に固定される。車体フレーム11に固定された燃料タンク29のシーム部29cは、前端よりも後端が低い。シーム部29cは、車体側面視では、直線状に後ろ下がりに延びている。シーム部29cは、メインフレーム31よりも車体側面視では上方に配置される。
【0020】
図3は、鞍乗り型車両10の前部の平面図である。
燃料タンク29の前方には、フロントフォーク14が回動可能に支持される。フロントフォーク14は、左右一対のフォーク部材51と、左右一対のフォーク部材51の上部を連結するトップブリッジ52と、トップブリッジ52よりも下方で左右一対のフォーク部材51を連結するボトムブリッジ53(
図1参照)と、トップブリッジ52およびボトムブリッジ53に取付けられたステムパイプ54と、を備える。ステムパイプ54がヘッドパイプ18に挿入されることにより、フロントフォーク14がヘッドパイプ18に操舵可能に支持される。フロントフォーク14のフォーク部材51は、テレスコピック型のショックアブソーバである。フォーク部材51には、スプリング及びダンパが内蔵されている。
【0021】
トップブリッジ52には、左右一対のハンドルホルダー55が設けられる。ハンドルホルダー55には、左右方向に延びるハンドル21が支持される。
フロントフォーク14やハンドル21などにより、本実施の形態の操舵系50が構成される。
【0022】
操舵系50のフロントフォーク14には、ヘッドライト57が支持される。ヘッドライト57は、左右一対のフォーク部材51の間に配置される。ヘッドライト57の後方には、左右一対のウインカー58が支持される。ウインカー58の上方前側には、メーター59が配置される(
図1参照)。メーター59は、ヘッドライト57の後上部に支持される。
【0023】
図4は、車体カバー60の要部を示す斜視図である。
鞍乗り型車両10は、車体カバー60を備える。車体カバー60は、車体フレーム11等によって構成される車体を覆う。車体カバー60は、フロントフォーク14の上部を前方及び側方から覆うフロントカバー61と、フロントカバー61の後方で燃料タンク29の前面、側面および上面を外方から覆うタンクカバー(貯蔵部カバー)62と、タンクカバー62の後方でシート17の下方を側方から覆う左右一対のリアカバー63(
図1参照)と、を備える。
【0024】
フロントカバー61とタンクカバー62とは、それぞれ、複数のカバーで構成される。フロントカバー61の後部は、平面視では、後方に開放された略U字状である。フロントカバー61の後部には、タンクカバー62が接続される。タンクカバー62の前部は、平面視では、前方に開放された略U字状である。平面視で、フロントカバー61の略U字状の後部とタンクカバー62の略U字状の前部とが接続された囲み形状により、操舵スペース64(
図3参照)が形成される。操舵スペース64は、左右一対のフォーク部材51よりも開口幅が大きい。操舵スペース64は、後上がりに延びる筒状の内部空間である。操舵系50は、操舵スペース64で回動可能である。
【0025】
図5は、
図3のV-V線断面図である。
図6は、
図3のVI-VI線断面図である。
タンクカバー62の前面には、前面に対して後方に凹んだ凹部100が形成される。凹部100は、車幅中心L0を挟んでサイドスタンド38と反対側に形成される。本実施の形態では、凹部100は、タンクカバー62の右側(車幅方向他側)に形成される。凹部100は、下壁(下側の内壁)101と、下壁101の後端から上方に延びる後側側壁(後側の内壁)102と、後側側壁102の車幅方向内側に形成された左側側壁(車幅方向内側側壁、車幅方向内側の内壁)103と、後側側壁102の車幅方向外側に形成された右側側壁(車幅方向外側側壁、車幅方向外側の内壁)104と、を有する。本実施の形態の凹部100は、上方が開放されている。凹部100の上方には、タンクカバー62の一部で構成される屋根部105が設けられる。屋根部105により、凹部100が上方から閉塞されている。屋根部105は、平面視では、凹部100よりも大きい。
【0026】
右側側壁104には、厚み方向に貫通する端子ユニット装着口(端子口)106が形成される。端子ユニット装着口106は、上下方向に延びる略矩形状である。詳細には、端子ユニット装着口106は、下端が上端よりも前方に位置するように、側面視で後上方に延びる(
図6参照)。端子ユニット装着口106の上下には、切り欠き106a、106bが形成される。切り欠き106a、106bは、端子ユニット装着口106の前部に形成される。切り欠き106a、106bにより、端子ユニット装着口106は、矩形状の開口ではない非対称形状の開口に形成される。
【0027】
端子ユニット装着口106には、
図4、
図5に示すようにUSB(Universal Serial Bus)接続ユニット(外部機器接続機構)110が装着される。USB接続ユニット110は、USBポート(接続端子)111を有する。USBポート111には、USB端子120(
図4参照)が着脱可能に接続される。USBポート111には、軸線111aの方向に、外部からUSB端子120が着脱される。
【0028】
USB接続ユニット110は、USBポート111の軸線111aが車幅方向に延びるように端子ユニット装着口106に装着される。USBポート111は、凹部100内に対向する。このとき、切り欠き106a、106bにより、USB接続ユニット110の上下左右の向きを間違えずに端子ユニット装着口106に装着し易くなっている。USB接続ユニット110の内部(右部)からは図示しないケーブルが延びる。図示しないケーブルは、鞍乗り型車両10が備えるバッテリ(不図示)等に接続される。
【0029】
図4に示すように、USB接続ユニット110のUSBポート111には、USB端子120が接続される。USB端子120から延びるケーブル121には、外部機器(不図示)が接続される。外部機器は、例えば、スマートフォンである。USB接続ユニット110により、外部機器を充電等可能である。
【0030】
このように、本実施の形態では、操舵スペース64に対向するタンクカバー62に凹部100が形成され、凹部100にUSB接続ユニット110が配置される。よって、USB接続ユニット110のUSBポート111は、車体側面視では車体カバー60によって覆われる。このため、USB接続ユニット110は外部から保護され易くなっている。また、USB接続ユニット110は、操舵スペース64の後方に配置される。このため、USB接続ユニット110から延びるケーブル121をフロントフォーク14の操舵範囲に関わらず後方に延ばし易くなっている。したがって、外部機器がハンドル21にマウントされたり、乗員側に配置されたりしても、ケーブル121をUSB接続ユニット110から外部機器に向けて延ばし易くなっている。
【0031】
図7は、
図1のVII-VII線断面に対応する斜視図である。
図8は、
図1のVIII-VIII線断面に対応する斜視図である。
以下、本実施の形態の車体カバー60と凹部100とについて詳述する。
車体カバー60のフロントカバー61は、ヘッドライト57及びメーター59の前方に配置されるフロントバイザー71(
図4参照)を有する。フロントバイザー71は、略左右対称に形成されている。フロントバイザー71は、上下方向に延びる板状である。フロントバイザー71は、側面視では後上がりに延びている(
図1参照)。フロントバイザー71は、車幅方向中央部が前方に凸に湾曲する湾曲板状である。
【0032】
フロントバイザー71は、上方のバイザー本体部71aと、バイザー本体部71aの下方に形成された枠形状のヘッドライト配置部71bと、を有する。バイザー本体部71aはメーター59の前方に配置される。バイザー本体部71aは、メーター59よりも上方に延びる。ヘッドライト配置部71bには、ヘッドライト57の形状に応じて形成された開口71cが形成される。開口71cを通じてヘッドライト57の前面が前方に露出する。
【0033】
バイザー本体部71aの後方には、メータカバー72が配置される。メータカバー72は、メーター59が固定されるセンター部72aを有する。センター部72aには、ヘッドライト57の形状に応じて形成された開口72a1が形成される(
図3参照)。開口72a1を通じてメーター59が後上方に露出する。センター部72aの左右両側には、後方に延びるサイド部72b、72cが形成される。
【0034】
フロントバイザー71およびメータカバー72の車幅方向外側は、左右一対のガーニッシュ73が支持される。ガーニッシュ73は、カバー部材である。ガーニッシュ73は、全体としては、前後方向に延びる。ガーニッシュ73は、前部でフロントバイザー71に固定される。ガーニッシュ73がフロントバイザー71に固定されることにより、フロントバイザー71のヘッドライト配置部71bは、上下に分断された外観形状となる。ガーニッシュ73には、車幅方向に延びる棒状のウインカー58が取り付けられる。
【0035】
メータカバー72および左右一対のガーニッシュ73は、フロントカバー61の平面視における後部形状を形成する(
図3参照)。メータカバー72および左右一対のガーニッシュ73は、平面視で、後方に開放された略U字状の形状を形成する。
【0036】
ガーニッシュ73の前面には、アッパーフェンダー70が支持される(
図1参照)。アッパーフェンダー70は、左右一対のガーニッシュ73に跨って左右一対のガーニッシュ73の前面を覆う。アッパーフェンダー70は、車体側面視で、いわゆる、くちばし形状を形成しており、ヘッドライト57の下方から前方に延出する。
アッパーフェンダー70、フロントバイザー71、メータカバー72、および、ガーニッシュ73により、本実施の形態のフロントカバー61が構成される。
【0037】
フロントカバー61の後方には、タンクカバー62が配置される。
タンクカバー62は、燃料タンク29の上方で前後方向に延びるセンタータンクカバー(第2のカバー)82を有する。センタータンクカバー82の前側下方には、後方に凹んだ湾曲板状のフロントタンクカバー(第1のカバー)81が配置される。
【0038】
センタータンクカバー82およびフロントタンクカバー81の左右には、左右一対のサイドタンクカバー83が支持される。サイドタンクカバー83は、センタータンクカバー82に連なるように形成されたカバー上部83aと、カバー上部83aの下側に形成されたカバー下部83bと、を有する。カバー下部83bとカバー上部83aとの間には、前端側において、後方側に切り欠かれた略U字状の切り欠き83c(
図1参照)が形成されている。
【0039】
カバー上部83aは、車体側面視では、前方に延出する形状をしている。カバー上部83aは、前方に進むにつれて下方に傾斜している。カバー上部83aは、車体平面視では、センタータンクカバー82から車幅方向外側に延び前方に向けて鎌形状に湾曲して延出している。カバー上部83aはアッパーフェンダー70に接続される。
【0040】
カバー下部83bは、
図1に示すように、パワーユニット12の前後長さ程度の前後長さを有する。左側のカバー下部83bと右側のカバー下部83bとの間にはシート17が配置される。シート17は燃料タンク29の後部を上方から覆う。燃料タンク29の前部は、シート17よりも上方に位置する。
【0041】
フロントタンクカバー81および左右一対のサイドタンクカバー83は、タンクカバー62の平面視における前部形状を形成する(
図3参照)。フロントタンクカバー81および左右一対のサイドタンクカバー83は、平面視で、前方に開放された略U字状の形状を形成する。
タンクカバー62におけるフロントタンクカバー81および左右一対のサイドタンクカバー83が、フロントカバー61におけるメータカバー72および左右一対のガーニッシュ73に接続されることにより、本実施の形態では、平面視(
図3参照)で囲み形状の操舵スペース64が形成される。
【0042】
図1に示すように、サイドタンクカバー83の下方には、左右一対のサイドカバー84が固定される。サイドカバー84は、サイドタンクカバー83のカバー下部83bに沿って前後方向に延びている。
【0043】
サイドタンクカバー83およびサイドカバー84の前端部には、アウターシュラウド85が固定される。アウターシュラウド85は、車体側面視で、アッパーフェンダー70の下方に配置される。アウターシュラウド85は、車体側面視で、ヘッドパイプ18に重複しダウンフレーム19cに沿って延びる。アウターシュラウド85は、サイドタンクカバー83の切欠き83cを車幅方向外側から閉塞するような形状に形成されている。アウターシュラウド85の車幅方向内側には、インナーシュラウド86(
図7、
図8参照)が配置される。
フロントタンクカバー81、センタータンクカバー82、左右一対のサイドタンクカバー83、左右一対のサイドカバー84、左右一対のアウターシュラウド85および左右一対のインナーシュラウド86により、本実施の形態のタンクカバー62が構成される。
【0044】
図9は、第1の実施の形態に係るフロントタンクカバー81とセンタータンクカバー82との正面図である。
図10は、第1の実施の形態に係るフロントタンクカバー81とセンタータンクカバー82との右後方からの斜視図である。
図11は、第1の実施の形態に係るフロントタンクカバー81とセンタータンクカバー82との背面図である。
図12は、第1の実施の形態に係るフロントタンクカバー81とセンタータンクカバー82との底面図である。
【0045】
フロントタンクカバー81は、車幅方向に延びるセンター部81aと、センター部81aの車幅方向外端から車幅方向外側に進むに連れて前方に湾曲する左右一対のサイド部81b、81cと、を有する。サイド部81b、81cには、カバー固定部81b1、81c1が形成される。サイド部81b、81cは、センター部81aよりも下方に長い。サイド部81b、81cの下縁は、前方に進むに連れて下方に傾斜している。センター部81aの下縁と左右一対のサイド部81b、81cの下縁とにより上方に凹んだ形状のフレーム回避部81dが形成される。フレーム回避部81dには、メインフレーム31が挿入される。フロントタンクカバー81は、メインフレーム31の上方に跨るように配置される。
【0046】
フロントタンクカバー81のセンター部81aの下端部には、前方に突出する板状のステー部(取付部)81eが形成される。ステー部81eは、燃料タンク29のシーム部29cに沿って前方に突出する。ステー部81eには、左右一対の固定孔81fが形成される。固定孔81fには固定具が挿入され、ステー部81eがシーム部29cの前端部に固定される。
【0047】
ステー部81eの右側には、凹部100が形成される。凹部100は、右側のサイド部81cの上端に形成される。凹部100の下壁101は、ステー部81eの上面に対して段差形状をなす(
図4参照)。すなわち、下壁101は、ステー部81eよりも上方に形成される。
【0048】
図10に示すように、凹部100の右側側壁104の後端には、後側側壁102が形成される。後側側壁102は、右側側壁104から略直交するように左側に延びる。
図11に示すように、後側側壁102の左側には、左側側壁103が形成される。左側側壁103は、後側側壁102よりも前側に延びる。左側側壁103は、フロントタンクカバー81の前面に接続される。
【0049】
左側側壁103は、後側側壁102よりも下壁101に対する高さが低くなっている。後側側壁102および左側側壁103は、上方の屋根部105から離間する。後側側壁102および左側側壁103と、屋根部105との間には、隙間107が形成される。左側側壁103は低いため、隙間107は、左側では下方に延出する。すなわち、隙間107は車幅方向に延びる左右部107aと、左右部107aの左端に形成された下方延出部(車体幅方向内側部)107bとを有する。
【0050】
フロントタンクカバー81の上方には、センタータンクカバー82が配置される。
センタータンクカバー82は、前後方向に延びる本体部82aを有する。本体部82aは、
図6に示すように、前端から後ろ上がりに延びるカバー前部82bと、カバー前部82bの後端から後ろ下がりに延びるカバー後部82cと、を有する。カバー前部82bは、平面視で燃料タンク29の給油口29dに重複する。カバー前部82bには、円形状のリッド開口82b1が形成される。リッド開口82b1を通じて燃料タンク29のフューエルリッド29eにアクセス可能となる(
図3参照)。
【0051】
本体部82aのカバー前部82bには、車幅方向外側に延出する板状の左右一対の拡幅部82d、82eが形成される。拡幅部82d、82eは車幅方向外側に進むに連れて前側に延出する。拡幅部82d、82eは、側面視では、先端側に進むに連れて下方に傾斜する(
図6参照)。拡幅部82d、82eは、底面視では、先端側に進むに連れて先細るように形成される。拡幅部82d、82eは、背面視では、車幅方向外側に進むに連れて上方に傾斜する。右側の拡幅部82eは、凹部100の上方に位置する。右側の拡幅部82eにより、本実施の形態の屋根部105が構成される。
【0052】
本体部82aおよび左右の拡幅部82d、82eにおける前端には、下方に屈曲した板状の前縁部82fが形成される。前縁部82fは、車幅方向に延びる。前縁部82fは、フロントタンクカバー81の前面形状に対応して湾曲しながら延びる。前縁部82fは、フロントタンクカバー81よりも前側に配置されフロントタンクカバー81の前面に重なった状態で配置される。前縁部82fには、複数の固定部82gが形成される(
図7、
図9参照)。本実施の形態では、3つの固定部82gが形成される。固定部82gは、車幅中心L0に対して左側に2つの固定部82gが形成される。固定部82gにより、センタータンクカバー82がフロントタンクカバー81に固定される。
【0053】
前縁部82fの右側には、上方に切り欠かれた形状の切欠き部82f1が形成される。切欠き部82f1は、正面視で、凹部100に重複する位置に形成される。切り欠き部82f1は、左右幅が、凹部100に比べて狭く形成される。すなわち、切り欠き部82f1は、左側側壁103と右側側壁104との左右方向の間隔よりも狭く形成される。換言すれば、前縁部82fには、正面視で、左側側壁103よりも凹部100の内部に進入する延長壁部(延長壁)82f2が形成される。延長壁部82f2により、凹部100の内部が上方から見え難くなっている。
【0054】
切り欠き82f1により、隙間107が正面視で前方に露出する。本実施の形態では、延長壁部82f2は、正面視で、隙間107の下方延出部107bを前方に露出させる長さに形成される。なお、延長壁部82f2は下方延出部107bの全体を覆うように車幅方向に長い形状でもよい。凹部100と屋根部105との間には、前後方向に貫通する空間が形成される。これにより、走行風が凹部100に進入しても抜け易くなっている。したがって、操舵スペース64に進入した走行風が凹部100に滞留することにより、操縦安定性が左右で異なることが抑制される。
【0055】
センタータンクカバー82の本体部82aの左右には、複数のカバー係合部82hが形成される。カバー係合部82hには、左右のサイドタンクカバー83のカバー上部83aが上方から係合される(
図3参照)。
【0056】
タンクカバー62は、燃料タンク29を覆うように配置される。すなわち、フロントタンクカバー81は、燃料タンク29の前方に配置される。また、センタータンクカバー82は燃料タンク29の上方に配置される。さらに、左右のサイドタンクカバー83は、燃料タンク29の左右側方に配置される。
【0057】
フロントタンクカバー81は、ステー部81eが、燃料タンク29のシーム部29cを上方から覆うように配置される。そして、ステー部81eがシーム部29cに固定される。ここで、フロントタンクカバー81に形成される凹部100の下壁101は、シーム部29cの傾斜に沿って形成される(
図6参照)。すなわち、凹部100をシーム部29cに近接させ易くなっており、凹部100の内部のスペースを大きくし易くなっている。よって、凹部100内を広くし易いため、USB接続ユニット110のUSBポート111に、外部からUSB端子120を接続し易くなっている。
【0058】
また、鞍乗り型車両10を、サイドスタンド38を使用して停止させた場合には、鞍乗り型車両10がサイドスタンド38側に傾いて停止する。よって、凹部100の下壁101や、USB接続ユニット110の軸線111aが、車幅方向内側に進むに連れて下方に傾斜する。このため、凹部100や、USB接続ユニット110が被水していても、サイドスタンド38の使用時に水抜きが可能になっている。
【0059】
以上説明したように、本発明を適用した第1の実施の形態によれば、ヘッドパイプ18を有する車体フレーム11と、ヘッドパイプ18に操舵可能に支持された操舵系50と、操舵系50の後方に配置されたシート17と、ヘッドパイプ18の後方に配置されて少なくとも一部がシート17の前方かつ上方に配置された燃料タンク29と、燃料タンク29を覆うタンクカバー62と、タンクカバー62の前側に接続されタンクカバー62と共に操舵系50が回動可能な操舵スペース64を形成するフロントカバー61と、車体フレーム11に支持されたサイドスタンド38と、を備える鞍乗り型車両10において、タンクカバー62には、車幅中心L0を挟んでサイドスタンド38とは反対側の位置であって操舵スペース64に対向する位置に凹部100が形成され、凹部100の車幅方向外側の右側側壁104に、外部機器と接続するためのUSBポート111を有するUSB接続ユニット110が支持される。
【0060】
この構成によれば、USB接続ユニット110を操舵スペース64に対向する凹部100に設けることにより、USB接続ユニット110を外部から保護しつつ、USB接続ユニット110からケーブル121を乗員側に延ばし易くできる。よって、操舵スペース64を有効活用して、USB接続ユニット110を設けることができる。また、USB接続ユニット110は、車幅中心L0を挟んでサイドスタンド38とは反対側の位置に設けられるため、サイドスタンド38の使用時の車幅方向への傾斜を利用して、USB接続ユニット110から自然に水抜きを行うことができる。したがって、この構成によれば、操舵スペース64が形成された鞍乗り型車両10において、操舵スペース64を有効活用しながら、水抜きが容易なUSB接続ユニット110を備える鞍乗り型車両10を提供することができる。
【0061】
本実施の形態では、タンクカバー62は、燃料タンク29の前方に配置されたフロントタンクカバー81と、フロントタンクカバー81の上方に配置されたセンタータンクカバー82と、を備え、凹部100はフロントタンクカバー81に形成される。
この構成によれば、凹部100が、燃料タンク29の前方に配置されたフロントタンクカバー81に形成されるために、操舵スペース64に対向する位置に凹部100を容易に設けることができる。また、タンクカバー62が複数のカバーで構成されるため、凹部100が設けられたタンクカバー62を容易に製造し易くできる。特に、本実施の形態では、フロントタンクカバー81に設けられる凹部100を上方が開放された形状とすることにより、フロントタンクカバー81などの型抜きを容易にし易く、タンクカバー62を容易に製造し易くなっている。
【0062】
また、本実施の形態では、センタータンクカバー82には、USBポート111を上方から覆う屋根部105が設けられ、屋根部105は、車体側面視で車体前後方向に前下がりになるように傾きが設定される。
この構成によれば、前下がりの屋根部105により凹部100が覆われるため、凹部100の前方の開口形状を狭くしながら、雨水等によるUSB接続ユニット110の被水を抑制することができる。また、水が屋根部105に溜まることを抑制できる。
【0063】
また、本実施の形態では、凹部100は、フロントタンクカバー81の上端に設けられ、凹部100と屋根部105との間には、隙間107が設けられ、隙間107は、少なくとも下方延出部107bが下方に延伸する。
この構成によれば、凹部100に走行風が溜まることを抑制し、左右の操縦安定性の差異を抑制することができる。
【0064】
また、本実施の形態では、センタータンクカバー82には、凹部100の一部を前方から覆う延長壁部82f2が設けられる。
この構成によれば、凹部100及びUSB接続ユニット110が車体外部から見え難くできる。よって、意匠性を損ない難くすることができる。
【0065】
また、本実施の形態では、燃料タンク29は、上タンク体29aと下タンク体29bとの上下合わせ構造を有し、凹部100の下壁101は、燃料タンク29のシーム部29cの傾きに沿って傾斜している。
この構成によれば、凹部100のスペースを確保し易いため、USBポート111に外部からUSB端子120を差し込み易くできる。
【0066】
また、本実施の形態では、凹部100の右側側壁104には、USB接続ユニット110が支持される端子ユニット装着口106が形成され、端子ユニット装着口106は、少なくとも上部又は下部に切り欠き106a、106bが設けられている。
この構成によれば、車体組立時に、USB接続ユニット110の上下左右を間違えずに端子ユニット装着口106にUSB接続ユニット110を装着することができる。
【0067】
また、本実施の形態では、フロントタンクカバー81には、前方に突出して燃料タンク29に上方から取り付けられるステー部81eが設けられ、ステー部81eは、凹部100の車幅方向に設けられ、ステー部81eは、凹部100の下壁101に対して下方に凹んだ段差形状をなす。
この構成によれば、ステー部81eが被水したとしても、ステー部81eから凹部100の下壁101に水が移動することを抑制できる。
【0068】
[第2の実施の形態]
本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
【0069】
図13は、第2の実施の形態に係るフロントタンクカバー281とセンタータンクカバー82との正面図である。
第2の実施の形態におけるタンクカバー262は、第1の実施の形態のフロントタンクカバー81に代えて、フロントタンクカバー281を有する。
【0070】
第2の実施の形態におけるフロントタンクカバー281では、ステー部281eの上面が傾斜している。すなわち、ステー部281eは、上面が、車幅方向中央から車幅方向外側に進むに連れて下方に傾斜している。これにより、ステー部281eが被水した場合には、鞍乗り型車両10が直立状態の場合でもステー部281eから水が車幅方向に移動し易くなっている。
【0071】
また、フロントタンクカバー281は、凹部100に代えて凹部200を有する。凹部200では、下壁201が、車幅方向内側に進むに連れて下方に傾斜している。これにより、凹部200が被水した場合には、鞍乗り型車両10が直立状態の場合でも凹部200から水が車幅方向に移動し易くなっている。
【0072】
さらに、フロントタンクカバー281には、凹部200とステー部281eとの間に、上下方向に延びる上下壁281gが形成される。上下壁281gはセンター部81aと面一状である。換言すれば、上下壁281gは、センター部81a内に進入するように上下方向に延びる。上下壁281gにより、凹部200とステー部281eとが離間する。よって、凹部200の下壁201や、ステー部281eから車幅方向に流れる水は、上下壁281gに案内されると、上下壁281gに沿って下方に移動し易くなっている。よって、凹部200とステー部281eとの間で水が行き来することを抑制できる。
【0073】
また、本実施の形態の凹部200では、USB接続ユニット110の軸線111aが車幅方向内側に進むに連れて下方に傾斜する。これにより、鞍乗り型車両10が直立状態の場合でも、USB接続ユニット110が被水した場合には、USB接続ユニット110から水が車幅方向内側に移動させ易くなっている。ここで、USB接続ユニット110を傾かせるには、右側側壁104を上方に進むに連れて車幅方向内側に傾斜させた壁形状としてもよい。また、図示しないアダプタを介してUSB接続ユニット110を右側側壁104に装着することにより傾かせてもよい。
【0074】
以上説明したように、本発明を適用した第2の実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様に、操舵スペース64が形成された鞍乗り型車両10において、操舵スペース64を有効活用しながら、水抜きが容易なUSB接続ユニット110を備える鞍乗り型車両10を提供することができる。
【0075】
特に、本実施の形態では、フロントタンクカバー281には、前方に突出して燃料タンク29に上方から取り付けられるステー部281eが設けられ、ステー部281eは、凹部200の車幅方向に設けられ、凹部200の下壁201と、ステー部281eとの間には、凹部200の下壁201およびステー部281eの上面よりも上下方向に延びる上下壁281gが設けられている。
この構成によれば、凹部200の下壁201とステー部281eとが上下壁281gを挟んで離間するので、凹部200の下壁201やステー部281eが被水したとしても、互いに水が行き来することを抑制できる。また、上下壁281gに沿って水が下方に移動可能であるので、凹部200とステー部281eとの間に水が滞留することを抑制できる。
【0076】
また、本実施の形態では、ステー部281eは、凹部200の車幅方向内側に設けられ、ステー部281eは、車体幅方向外側に進むに連れて下方に傾斜し、凹部200の下壁201は、車体幅方向内側に進むに連れて下方に傾斜する。
この構成によれば、凹部200の下壁201やステー部281eが被水したとしても、凹部200の下壁201やステー部281eから上下壁281gに向けて水を移動させ易くでき、水を滞留させ難くできる。
【0077】
さらに、本実施の形態では、USBポート111は、軸線111aが、車体幅方向内側に進むに連れて下方に傾斜して支持される。
この構成によれば、図示しないセンタースタンドを鞍乗り型車両10に設けることにより、センタースタンドの使用時における鞍乗り型車両10の直立状態であっても、USBポート111の傾斜を利用して、自然に水抜きを行うことができる。
【0078】
[他の実施の形態]
上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
【0079】
上記実施の形態では、内燃機関を有する鞍乗り型車両10を例示し、エネルギー貯蔵部の一例としての燃料タンク29を有する構成を説明したが、鞍乗り型車両は、エネルギーとしての電力を貯蔵するバッテリで駆動する電動車両でもよい。すなわち、鞍乗り型車両は、内燃機関に代えて電動モータをパワーユニットとして備え、エネルギー貯蔵部としては、電動モータに供給する駆動用の電力が貯蔵された駆動用のバッテリを備え、貯蔵部カバーとしては、バッテリを覆うカバーでもよい。なお、駆動用のバッテリは、上側ケースと下側ケースとの上下合わせ構造を有し、凹部100、200の下壁101、201は、駆動用のバッテリの上下合わせ部の傾きに沿って傾斜してもよい。
【0080】
上記実施の形態では、センタータンクカバー82は、本体部82aと左右一対の拡幅部82d、82eとが一体に形成された構成を説明したが、センタータンクカバー82は、この形状に限定されない。例えば、センタータンクカバー82からは、拡幅部82d、82eが省略された構成でもよい。このとき、拡幅部82d、82eを、例えば、左右のサイドタンクカバー83にそれぞれ設けてもよい。よって、この場合には、屋根部105が、右側のサイドタンクカバー83の拡幅部82eにより構成される。
すなわち、具体的なカバーやカバー形状は、上記実施の形態の構成に限定されず、エネルギー貯蔵部を覆う貯蔵部カバーであれば、任意の形状のカバーに凹部100、200を形成してもよい。
【0081】
上記実施の形態では、凹部100、200の車幅方向外側の内壁に、外部機器接続機構の一例として、USBポート(接続端子)111を有するUSB接続ユニット110が装着される構成を例示したが、外部機器接続機構としては、USBに関する構成に限定されない。外部機器と接続するための接続端子を有すれば、任意の外部機器接続機構が支持させてもよい。
【0082】
上記第1の実施の形態でも、第2の実施の形態と同様に、凹部100の下壁101と、ステー部81eとの間には、凹部100の下壁101およびステー部81eの上面よりも上下方向に延びる上下壁が設けられてもよい。
【0083】
上記第1の実施の形態でも、第2の実施の形態と同様に、ステー部81eは、凹部100の車幅方向内側に設けられ、ステー部81eは、車体幅方向外側に進むに連れて下方に傾斜し、凹部100の下壁101は、車体幅方向内側に進むに連れて下方に傾斜してもよい。
【0084】
上記第1の実施の形態でも、第2の実施の形態と同様に、USBポート111は、車体幅方向内側に進むに連れて下方に傾斜して支持されてもよい。
【0085】
上記実施の形態では、鞍乗り型車両10として前輪13と後輪15とを有する自動二輪車を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は、前輪または後輪を2つ備えた3輪の鞍乗り型車両や4輪以上を備えた鞍乗り型車両に適用可能である。
【0086】
[上記実施の形態によりサポートされる構成]
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
【0087】
(構成1)ヘッドパイプを有する車体フレームと、前記ヘッドパイプに操舵可能に支持された操舵系と、前記操舵系の後方に配置されたシートと、前記ヘッドパイプの後方に配置されて少なくとも一部が前記シートの前方かつ上方に配置されたエネルギー貯蔵部と、前記エネルギー貯蔵部を覆う貯蔵部カバーと、前記貯蔵部カバーの前側に接続され前記貯蔵部カバーと共に前記操舵系が回動可能な操舵スペースを形成するフロントカバーと、前記車体フレームに支持されたサイドスタンドと、を備える鞍乗り型車両において、前記貯蔵部カバーには、車幅中心を挟んで前記サイドスタンドとは反対側の位置であって前記操舵スペースに対向する位置に凹部が形成され、前記凹部の車幅方向外側の内壁に、外部機器と接続するための接続端子を有する外部機器接続機構が支持されることを特徴とする鞍乗り型車両。
この構成によれば、外部機器接続機構を操舵スペースに対向する凹部に設けることにより、外部機器接続機構を外部から保護しつつ、外部機器接続機構からケーブルを乗員側に延ばし易くできる。よって、操舵スペースを有効活用して、外部機器接続機構を設けることができる。また、外部機器接続機構は、車幅中心を挟んで前記サイドスタンドとは反対側の位置に設けられるため、サイドスタンドの使用時の車幅方向への傾斜を利用して、外部機器接続機構から自然に水抜きを行うことができる。したがって、この構成によれば、操舵スペースが形成された鞍乗り型車両において、操舵スペースを有効活用しながら、水抜きが容易な外部機器接続機構を備える鞍乗り型車両を提供することができる。
【0088】
(構成2)前記貯蔵部カバーは、前記エネルギー貯蔵部の前方に配置された第1のカバーと、前記第1のカバーの上方に配置された第2のカバーと、を備え、前記凹部は前記第1のカバーに形成されることを特徴とする構成1に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、凹部が、エネルギー貯蔵部の前方に配置された第1のカバーに形成されるために、操舵スペースに対向する位置に凹部を容易に設けることができる。また、貯蔵部カバーが複数のカバーで構成されるため、凹部が設けられた貯蔵部カバーを容易に製造し易くできる。
【0089】
(構成3)前記第2のカバーには、前記接続端子を上方から覆う屋根部が設けられ、前記屋根部は、車体側面視で車体前後方向に前下がりになるように傾きが設定されることを特徴とする構成2に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、前下がりの屋根部により凹部が覆われるため、凹部の前方の開口形状を狭くしながら、雨水等による外部機器接続機構の被水を抑制することができる。また、水が屋根部に溜まることを抑制できる。
【0090】
(構成4)前記凹部は、前記第1のカバーの上端に設けられ、前記凹部と前記屋根部との間には、隙間が設けられ、前記隙間は、少なくとも車体幅方向内側部が下方に延伸することを特徴とする構成2または3に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、凹部に走行風が溜まることを抑制し、左右の操縦安定性の差異を抑制することができる。
【0091】
(構成5)前記第2のカバーには、前記凹部の一部を前方から覆う延長壁が設けられることを特徴とする構成2から4のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、凹部及び外部機器接続機構が車体外部から見え難くできる。よって、意匠性を損ない難くすることができる。
【0092】
(構成6)前記エネルギー貯蔵部は、上側ケースと下側ケースとの上下合わせ構造を有し、前記凹部の下壁は、前記エネルギー貯蔵部の上下合わせ部の傾きに沿って傾斜していることを特徴とする構成1から5のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、凹部のスペースを確保し易いため、接続端子に外部から端子を差し込み易くできる。
【0093】
(構成7)前記凹部の内壁には、前記外部機器接続機構が支持される端子口が形成され、前記端子口は、少なくとも上部又は下部に切り欠きが設けられていることを特徴とする構成1から6のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、車体組立時に、外部機器接続機構の上下左右を間違えずに端子口に外部機器接続機構を装着することができる。
【0094】
(構成8)前記第1のカバーには、前方に突出して前記エネルギー貯蔵部に上方から取り付けられる取付部が設けられ、前記取付部は、前記凹部の車幅方向に設けられ、前記取付部は、前記凹部の下壁に対して下方に凹んだ段差形状をなすことを特徴とする構成2から5のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、取付部が被水したとしても、取付部から凹部の下壁に水が移動することを抑制できる。
【0095】
(構成9)前記第1のカバーには、前方に突出して前記エネルギー貯蔵部に上方から取り付けられる取付部が設けられ、前記取付部は、前記凹部の車幅方向に設けられ、前記凹部の下壁と、前記取付部との間には、前記凹部の下壁および前記取付部の上面よりも上下方向に延びる上下壁が設けられていることを特徴とする構成2、3、4、5、8のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、凹部の下壁と取付部とが上下壁を挟んで離間するので、凹部の下壁や取付部が被水したとしても、互いに水が行き来することを抑制できる。また、上下壁に沿って水が下方に移動可能であるので、凹部と取付部との間に水が滞留することを抑制できる。
【0096】
(構成10)前記取付部は、前記凹部の車幅方向内側に設けられ、前記取付部は、車体幅方向外側に進むに連れて下方に傾斜し、前記凹部の下壁は、車体幅方向内側に進むに連れて下方に傾斜することを特徴とする構成9に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、凹部の下壁や取付部が被水したとしても、凹部の下壁や取付部から上下壁に向けて水を移動させ易くでき、水を滞留させ難くできる。
【0097】
(構成11)前記接続端子は、車体幅方向内側に進むに連れて下方に傾斜して支持されることを特徴とする構成1から10のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、センタースタンドの使用時に、接続端子の傾斜を利用して、自然に水抜きを行うことができる。
【符号の説明】
【0098】
10 鞍乗り型車両
11 車体フレーム
17 シート
18 ヘッドパイプ
29 燃料タンク(エネルギー貯蔵部)
29a 上タンク体(上側ケース)
29b 下タンク体(下側ケース)
29c シーム部(上下合わせ部)
38 サイドスタンド
50 操舵系
61 フロントカバー
62 タンクカバー(貯蔵部カバー)
64 操舵スペース
81 フロントタンクカバー(第1のカバー)
81e ステー部(取付部)
82 センタータンクカバー(第2のカバー)
82f2 延長壁部(延長壁)
100 凹部
101 下壁
104 右側側壁(内壁)
105 屋根部
106 端子ユニット装着口(端子口)
106a 切り欠き
106b 切り欠き
107 隙間
107b 下方延出部(車体幅方向内側部)
110 USB接続ユニット(外部機器接続機構)
111 USBポート(接続端子)
200 凹部
201 下壁
281 フロントタンクカバー(第1のカバー)
281e ステー部(取付部)
281g 上下壁
L0 車幅中心