(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169090
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】サブマウントの製造方法及びレーザモジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20241128BHJP
H01S 5/023 20210101ALI20241128BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H01L23/36 C
H01S5/023
H05K3/34 505B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086280
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳田 光昭
【テーマコード(参考)】
5E319
5F136
5F173
【Fターム(参考)】
5E319AB05
5E319AC04
5E319BB05
5E319BB08
5E319CC22
5E319GG03
5E319GG20
5F136BB11
5F136DA34
5F136EA13
5F136FA82
5F136GA02
5F173MC03
5F173MC12
5F173MD16
5F173MD65
5F173MD84
(57)【要約】
【課題】簡便な方法で、サブマウントの反りを低減し、サブマウントとレーザダイオードバーとの間の介在する金属はんだにボイドが生じるのを抑制することができるサブマウントの製造方法を提供する。
【解決手段】サブマウント20の製造方法は、第1~第5ステップを備えている。第1ステップでは、第1面20aと、第1面20aと対向する第2面20bと、を有し、表面に第1金属層30が設けられたサブマウント20を準備する。第2ステップでは、第1設置台210にサブマウント20を設置する。第3ステップでは、第1設置台210を第1温度T1まで加熱するとともに、第1面20aに第1荷重G1をかけて押圧する。第4ステップでは、第2設置台220にサブマウント20を設置する。第5ステップでは、第2設置台220を第2温度T2まで加熱するとともに、第1面20aに第2荷重G2をかけて押圧する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と前記第1面と厚さ方向に対向する第2面とを有するサブマウントを準備する第1ステップと、
第1設置台の第1設置面に前記サブマウントを設置する第2ステップと、
前記第1設置台を第1温度まで加熱するとともに、前記サブマウントの前記第1面または前記第2面に第1荷重をかけて押圧する第3ステップと、
前記第3ステップの実行後に、第2設置台の第2設置面に前記サブマウントを設置する第4ステップと、
前記第2設置台を第2温度まで加熱するとともに、前記サブマウントの少なくとも前記第1面に第2荷重をかけて押圧する第5ステップと、を少なくとも備え、
前記サブマウントの少なくとも前記第1面と前記第2面とは、第1金属層で覆われており、
前記第1金属層は、前記サブマウントの少なくとも前記第1面と前記第2面とに接する第1密着層と前記第1密着層を覆う第1接合層とを少なくとも含み、
前記第1接合層は、2種以上の金属を含むことを特徴とするサブマウントの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のサブマウントの製造方法において、
前記第3ステップでは、前記サブマウントの長手方向の反りを低減し、
前記第5ステップでは、前記第1金属層を含む前記サブマウントの表面凹凸を低減することを特徴とするサブマウントの製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載のサブマウントの製造方法において、
前記サブマウントは、主たる材料である第1材料と第2材料とを少なくとも含む複合体であり、
前記第1材料の熱伝導率は、第2材料の熱伝導率と異なることを特徴とするサブマウントの製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載のサブマウントの製造方法において、
前記第1設置面には凹部が設けられる一方、前記第2設置面は平坦であり、
前記第2ステップでは、前記凹部を覆うように前記サブマウントを前記第1設置面に設置するサブマウントの製造方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のサブマウントの製造方法を用いて、前記サブマウントを作製する第6ステップと、
前記第6ステップの実行後に、前記サブマウントの前記第1面に、第1金属はんだを設ける第7ステップと、
長手方向に沿って複数のエミッタが設けられたレーザダイオードバーを準備する第8ステップと、
前記第1金属はんだの上面に、前記第1金属はんだと位置合わせを行った上で、前記レーザダイオードバーを設置し、前記サブマウントと前記レーザダイオードバーとを接合する第9ステップと、を少なくとも備えたことを特徴とするレーザモジュールの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載のレーザモジュールの製造方法において、
ベースの表面に第2金属はんだを設ける第10ステップと、
前記第2金属はんだの上面に、前記第2金属はんだと位置合わせを行った上で、前記レーザダイオードバーが接合された前記サブマウントを設置し、前記サブマウントと前記ベースとを接合する第11ステップと、をさらに備えたことを特徴とするレーザモジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サブマウントの製造方法及びレーザモジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、銅、金、樹脂など種々の材料において、レーザ加工への期待が高まっている。例えば、自動車産業では、電動化、小型化、高剛性化、デザイン自由度向上、及び生産性向上などが求められ、レーザ加工への期待は高い。生産性の高い加工を実現するには、高効率で高出力のレーザ光が得られるレーザ光源が要求されている。この要求に好適なレーザ光源として、半導体レーザ素子が知られている。特に、レーザ光の出力を高めるためには、レーザ光を出射するエミッタを複数有するレーザダイオードバーを搭載したレーザモジュールが有用である。
【0003】
ところで、単一エミッタ、複数エミッタに限らず、広義の半導体レーザ素子は、通常サブマウントに実装されて使用される。サブマウントは、通常、板状の部品であり、半導体レーザ素子を機械的に支持するとともに、動作中に半導体レーザ素子で発生した熱を外部に放出しつつ熱応力緩衝材としての役割を有している。なお、半導体レーザ素子とサブマウントとは、放熱性を最大限に高めるために、金属はんだを用いて接合されるのが一般的である。
【0004】
また、サブマウントには高い放熱性が求められるだけでなく、半導体レーザ素子を構成する主たる半導体材料と近い線膨張係数であることが求められる。半導体レーザ素子は動作時に発熱するが、このときの温度上昇によって、半導体レーザ素子とサブマウントがそれぞれ熱膨張する。両者で線膨張係数が大きく異なると、熱膨張力の差に起因した熱応力が半導体レーザ素子に加わり、光出力特性の低下や信頼性の低下が起こるためである。
【0005】
高放熱性と半導体レーザ素子との線膨張係数の整合とを両立させるために、サブマウントの材質を、複数の材料を混合した、いわゆる複合体材料とすることが提案されている。例えば、特許文献1には、アルミニウム-ダイヤモンド系複合体のサブマウントが開示されている。また、特許文献2には、金属からなる母材にダイヤモンド粒子を混入させた複合体であって、ダイヤモンド粒子の表面を母材と同一の材質のコーティング層でコーティングしたサブマウントが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2010/007922号
【特許文献2】特開2005-175006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、金属はんだを用いて、サブマウントに前述のレーザダイオードバーを接合する場合、以下の問題が生じることがある。
【0008】
まず、レーザダイオードバーは、複数のエミッタを有しているため、上から見て長方形であることが多く、サブマウントの形状もこれに合わせて長方形となる。
【0009】
しかし、この場合、長手方向に沿ってサブマウントに反りが生じやすい。反りが生じたサブマウントにレーザダイオードバーを接合すると、サブマウントの反り量に応じた反りがレーザダイオードバーに発生してしまう。レーザダイオードバーに反りが発生すると、各エミッタにおけるレーザ光の出射点位置がばらついてしまう。
【0010】
また、金属はんだと接合させるために、サブマウントの表面には、通常、金属層が形成されている。この金属層は、金属はんだとのなじみを良くするため、金属はんだと同じ組成であるか、または、同種の金属を含んでいる。サブマウントの表面に金属層を形成するにあたって、例えば、電界メッキ法等が用いられる。
【0011】
しかし、電界メッキ等の成膜速度の高い方法で金属層を形成する場合、金属層の表面凹凸が大きくなることがある。この表面凹凸が大きくなると、金属はんだとの間に空隙が生じ、金属層と金属はんだとを接合させた後に、空隙に起因したボイドが金属はんだの内部に残存するおそれがあった。このようなボイドがあると、レーザダイオードバーの動作中に、レーザダイオードバーからサブマウントへの熱排出が阻害されてしまう。
【0012】
本開示はかかる点に鑑みてなされたもので、その目的は、簡便な方法で、サブマウントの反りを低減し、サブマウントとレーザダイオードバーとの間の介在する金属はんだにボイドが生じるのを抑制することができるサブマウントの製造方法及びレーザモジュールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本開示に係るサブマウントの製造方法は、第1面と前記第1面と厚さ方向に対向する第2面とを有するサブマウントを準備する第1ステップと、第1設置台の第1設置面に前記サブマウントを設置する第2ステップと、前記第1設置台を第1温度まで加熱するとともに、前記サブマウントの前記第1面または前記第2面に第1荷重をかけて押圧する第3ステップと、前記第3ステップの実行後に、第2設置台の第2設置面に前記サブマウントを設置する第4ステップと、前記第2設置台を第2温度まで加熱するとともに、前記サブマウントの少なくとも前記第1面に第2荷重をかけて押圧する第5ステップと、を少なくとも備え、前記サブマウントの少なくとも前記第1面と前記第2面とは、第1金属層で覆われており、前記第1金属層は、前記サブマウントの少なくとも前記第1面と前記第2面とに接する第1密着層と前記第1密着層を覆う第1接合層とを少なくとも含み、前記第1接合層は、2種以上の金属を含むことを特徴とする。
【0014】
本開示に係るレーザモジュールの製造方法は、前記サブマウントの製造方法を用いて、前記サブマウントを作製する第6ステップと、前記第6ステップの実行後に、前記サブマウントの前記第1面に、第1金属はんだを設ける第7ステップと、長手方向に沿って複数のエミッタが設けられたレーザダイオードバーを準備する第8ステップと、前記第1金属はんだの上面に、前記第1金属はんだと位置合わせを行った上で、前記レーザダイオードバーを設置し、前記サブマウントと前記レーザダイオードバーとを接合する第9ステップと、を少なくとも備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、簡便な方法で、サブマウントの反りを低減し、サブマウントとレーザダイオードバーとの間の介在する金属はんだにボイドが生じるのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】実施形態に係るレーザモジュールの斜視図である。
【
図2A】レーザモジュールの一の製造工程を説明する模式図である。
【
図2B】
図2Aに示す工程の続きの工程を説明する模式図である。
【
図2C】
図2Bに示す工程の続きの工程を説明する模式図である。
【
図3】サブマウントの製造工程を示すフローチャートである。
【
図4】サブマウントの反り低減工程を説明する模式図である。
【
図5】サブマウントの表面凹凸低減工程を説明する模式図である。
【
図6】反り低減工程を行う前のサブマウントの第1面近傍の断面模式図である。
【
図7】表面凹凸低減工程を行った後のサブマウントの第1面近傍の断面模式図である。
【
図8】実施例に係るレーザモジュールの断面模式図である。
【
図9】比較例に係るレーザモジュールの超音波探傷検査写真である。
【
図10】実施例に係るレーザモジュールの超音波探傷検査写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0018】
(実施形態)
[レーザモジュールの構成]
図1Aは、本実施形態に係るレーザモジュールの斜視図を示し、
図1Bは、
図1AのIB-IB線での断面図を示す。なお、レーザダイオードバー10の形状を分かりやすくするため、
図1A,1Bにおいて、p側電極14(
図8参照)の図示を省略している。また、説明の便宜上、
図1A,1Bに示すエミッタ11や分離溝12の形状、さらに、これらの個数は実際のものとは異なっている。
【0019】
なお、以降の説明において、レーザダイオードバー10におけるエミッタ11の配列方向をX方向と呼び、サブマウント20の厚さ方向をY方向と呼ぶ。Y方向は、レーザダイオードバー10とサブマウント20とベース40とが積み重ねられた方向でもある。X方向及びY方向とそれぞれ直交する方向をZ方向と呼ぶ。Z方向は、エミッタ11の長手方向であり、複数のエミッタ11のそれぞれから出射されるレーザ光の光軸方向でもある。
【0020】
なお、Y方向において、レーザダイオードバー10が配置された側を上または上方と呼び、ベース40が配置された側を下または下方と呼ぶ。Z方向において、エミッタ11におけるレーザ光が出射される端面が配置された側を前または前方と呼び、当該端面と対向する端面が配置された側を後または後方と呼ぶ。また、レーザモジュール100及びこれを構成する各部品をY方向から見た場合を平面視と呼ぶ。
【0021】
なお、本願明細書において、「直交している」または「平行である」あるいは「同じである」とは、レーザモジュール100を構成する各部品の製造公差や部品間の組立公差を含んで直交している、または平行である、あるいは同じであるという意味であり、比較対象同士が厳密に直交している、または平行である、あるいは同じであることまでを意味するものではない。
【0022】
図1A、1Bに示すように、レーザモジュール100は、ベース40とサブマウント20とレーザダイオードバー10とが下からこの順に積み重ねられて構成されている。
【0023】
なお、サブマウント20において、レーザダイオードバー10が設置される面を第1面20aと呼び、第1面20aとY方向に対向する面を第2面20bと呼ぶ。
【0024】
また、レーザダイオードバー10及びサブマウント20以外の部材において、レーザダイオードバー10またはサブマウント20が実装される面を上面と呼び、当該上面とY方向に対向する面を下面と呼ぶ。
【0025】
ベース40は、内部に冷却水路41を有する部品であり、上面に第2金属層50が形成されている。ベース40自体は、例えば、絶縁性のセラミック等で構成される。レーザモジュール100の動作時は、図示しない循環機構により冷却水路41に冷却水を循環させている。
【0026】
図1Bに示すように、第2金属層50に対して、第2金属はんだ70を介してサブマウント20が接合されている。第2金属はんだ70は、銀(Ag)とスズ(Sn)と銅(Cu)とを含む合金はんだである。ただし、これに特に限定されず、第1金属はんだ60の融点よりも低い融点を有する材料であればよい。
【0027】
サブマウント20は、平面視で長方形の板状の導電部材であり、主たる材料である金属、例えば、銅とダイヤモンドとの複合体からなる。ただし、サブマウント20の材質は特にこれに限られず、例えば、銅とタングステン(W)との複合体であってもよい。なお、サブマウント20を構成する主たる材料を第1材料と呼ぶことがある。前述の場合、銅が第1材料であり、ダイヤモンドやタングステンが第2材料である。また、第1材料の熱伝導率は、通常、第2材料の熱伝導率と異なっており、銅とダイヤモンドとの複合体の場合、銅の熱伝導率は、ダイヤモンドの熱伝導率よりも低い。一方、銅とタングステンとの複合体の場合、銅の熱伝導率は、タングステンの熱伝導率よりも高い。
【0028】
なお、サブマウント20が、3種類の材料からなる複合体であれば、サブマウント20が第3材料を含むことは言うまでもない。
【0029】
また、サブマウント20は、レーザダイオードバー10に応力を加えないように、レーザダイオードバー10を構成する主たる半導体材料と線膨張係数が近いことが好ましい。
【0030】
図1Bに示すように、サブマウント20の表面全体、つまり、第1面20a、第2面20b及び第1面20aと第2面20bとに連続する4つの側面は、第1金属層30で覆われている。ただし、他の部材との接合を確保する観点で言えば、少なくとも第1面20aと第2面20bとが第1金属層30で覆われていればよい。第1金属層30は、サブマウント20の表面に対して第1密着層31と第1接合層32とがこの順に積層された構造の導電膜である。例えば、第1密着層31は、白金(Pt)からなる。また、第1接合層32は、金(Au)と他の金属、例えば、スズとを含む合金からなる。なお、第1密着層31と第1接合層32との間に第1拡散防止層(図示せず)を設けてもよい。
【0031】
レーザダイオードバー10は、複数のエミッタ11を有し、平面視で長方形の部材であり、長辺がX方向で、短辺がZ方向である。また複数のエミッタ11のそれぞれは分離溝12で分離されている。複数のエミッタ11はX方向に沿って、互いに間隔をあけて形成されている。
【0032】
図1Bに示すように、レーザダイオードバー10の下面にn側電極13が形成されている。また、図示しないが、複数のエミッタ11のそれぞれの上面にp側電極14(
図8参照)が形成されている。なお、p側電極14は、エミッタ11の上面にオーミック接触するオーミック電極と、オーミック電極の上面を含むエミッタ11の上面と分離溝12とを覆い、外部と接続するためのボンディング電極(いずれも図示せず)と、を含んでいる。本実施形態に示すレーザダイオードバー10は、エミッタ11の発光点がサブマウント20から遠い上面側にある、いわゆるジャンクションアップタイプであるが、特にこれに限定されない。後で示すジャンクションダウンタイプ(
図8参照)であってもよい。
【0033】
レーザダイオードバー10における各エミッタ11からは、所定の波長域のレーザ光がそれぞれ出射される。レーザ光の波長は、レーザダイオードバー10の活性層(図示せず)の組成や層厚に依存して決まる。また、各エミッタ11におけるレーザ光の出射点は、レーザダイオードバー10に下面を基準として同じ高さに位置している。
【0034】
レーザダイオードバー10は、第1金属はんだ60と第1金属層30とを介してサブマウント20と電気的に接続される。なお、第1金属はんだ60は、金とスズとを含む合金はんだである。ただし、これに特に限定されず、第2金属はんだ70の融点よりも高い融点を有する材料であればよい。
【0035】
さらに、レーザダイオードバー10は、サブマウント20と第1金属層30とを介して、ベース40の上面に設けられた第2金属層50に電気的に接続される。例えば、第2金属層50の上面に外部電源(図示せず)との接続電極を設けることで、第2金属はんだ70と第1金属はんだ60とサブマウント20と第1金属層30とを介して、レーザダイオードバー10を外部電源に電気的に接続できる。なお、第2金属層50を一種の電気配線として使用する場合、電気抵抗を所定値以下にするために、第2金属層50のX方向の幅やY方向の厚さを適切に設定する必要がある。
【0036】
[レーザモジュールの製造方法]
図2Aは、レーザモジュールの一の製造工程を説明する模式図であり、
図2Bは、
図2Aに示す工程の続きの工程を説明する模式図であり、
図2Cは、
図2Bに示す工程の続きの工程を説明する模式図である。
【0037】
図2Aに示すように、第1金属層30が形成されたサブマウント20の第1面20aに平面視で長方形の第1金属はんだ60を設ける。なお、第1金属はんだ60が設けられる前のサブマウント20は,後で示す工程(
図3~5参照)を経て、反りと表面凹凸とが低減されている。また、平面視で、第1金属はんだ60の一辺は、レーザダイオードバー10が設置されるサブマウント20の前方側面に一致するか、所定の間隔をあけて当該前方側面よりも後方に位置している。
【0038】
次に、レーザダイオードバー10を準備し、第1金属はんだ60と位置合わせを行った上で、第1金属はんだ60の上面にレーザダイオードバー10を設置する。このとき、第1金属はんだ60の上面にレーザダイオードバー10のn側電極13を当接させる。なお、レーザダイオードバー10がジャンクションダウンタイプ(
図8参照)の場合は、第1金属はんだ60の上面にレーザダイオードバー10のp側電極14を当接させる。
【0039】
さらに、この状態で、サブマウント20とレーザダイオードバー10とを加熱し、第1金属はんだ60を介して、両者を接合する。
【0040】
次に、
図2Bに示すように、ベース40の上面の所定の領域に平面視で長方形の第2金属はんだ70を設ける。平面視で、第2金属はんだ70の一辺は、サブマウント20が設置されるベース40の前方側面に一致するか、所定の間隔をあけて当該前方側面よりも後方に位置している。さらに、
図2Cに示すように、第2金属はんだ70と位置合わせを行った上で、第2金属はんだ70の上面にレーザダイオードバー10が接合されたサブマウント20を設置する。この状態で、サブマウント20とベース40とを加熱し、第2金属はんだ70を介して、両者を接合する。このようにすることで、第1金属はんだ60とサブマウント20と第2金属はんだ70とを介して、レーザダイオードバー10のn側電極13と第2金属層50とが電気的に接続される。
【0041】
なお、図示しないが、
図2Cに示す工程の後は、第2金属層50と外部電源(図示せず)とを電気的に接続する。また、レーザダイオードバー10のp側電極14と外部電源とを電気的に接続する。
【0042】
なお、レーザダイオードバー10の冷却手段が別途準備されていれば、レーザモジュール100において、ベース40は省略することができる。つまり、レーザモジュール100は、レーザダイオードバー10とサブマウント20と第1金属はんだ60とで構成されていてもよい。
【0043】
[サブマウントの製造方法]
図3は、サブマウントの製造工程を示すフローチャートである。
図4は、サブマウントの反り低減工程を説明する模式図である。
図5は、サブマウントの表面凹凸低減工程を説明する模式図である。
図6は、反り低減工程を行う前のサブマウントの第1面近傍の断面模式図である。
図7は、表面凹凸低減工程を行った後のサブマウントの第1面近傍の断面模式図である。
【0044】
以下、
図3~7を参照して、本実施形態のサブマウント20の製造方法を説明する。
【0045】
まず、第1金属層30が表面に形成された状態のサブマウント20を準備し(ステップS1)、サブマウント20を第1設置台210の第1設置面211に設置する(ステップS2)。
【0046】
図4に示すように、第1設置台210は、第1設置面211から内側に窪む凹部212を有している。このため、サブマウント20は、長手方向の両端部分が、第1設置面に当接した状態で、第1設置台210に設置される。また、この状態で、サブマウント20の第1面20aの中央が上方に突出し、サブマウント20に反りが発生している。第1設置面211を基準としたサブマウント20の反り量をL0とする。
【0047】
次に、第1設置台210を第1温度T1まで加熱する(ステップS3)。加熱後に、ローラー200をサブマウント20の第1面20aに当接させ、ローラー200により、サブマウント20に第1荷重G1をかけて下方に押圧する(ステップS4)。また、サブマウント20の長手方向に沿って、ローラー200を往復させながらサブマウント20を押圧する。
【0048】
このようにすることで、サブマウント20の反りが低減される。なお、第1温度T1(℃)及び第1荷重G1(kgf)は、サブマウント20の材質や厚さ、また、反り量L0に応じて適宜設定される。なお、ステップS3とステップS4とを反り低減工程と呼ぶことがある。
【0049】
なお、
図4に示す例では、第1面20aがサブマウント20の上面である。また、第1面20aの中央が上方に突出した状態で、サブマウント20に反りが発生している。このため、ローラー200をサブマウント20の第1面20aに当接させた状態で、ローラー200によりサブマウント20を下方に押圧して、サブマウント20の反りを低減させている。
【0050】
しかし、サブマウント20の第1面20aの中央が下方に突出した状態で、サブマウント20に反りが発生している場合もあり得る。この場合は、ローラー200をサブマウント20の第2面20bに当接させた状態で、ローラー200によりサブマウント20を下方に押圧する。この場合は、第2面20bがサブマウント20の上面である。このようにすることで、サブマウント20の反りを低減させることができる。
【0051】
次に、サブマウント20を第2設置台220の第2設置面221に設置する(ステップS5)。
【0052】
図5に示すように、第2設置台220の第2設置面221は平坦面である。また、ステップ5の実行後に、サブマウント20は、まだ反りが残存している。この場合、第2設置面221を基準としたサブマウント20の反り量をL1(L1<L0)とする。
【0053】
次に、第2設置台220を第2温度T2まで加熱する(ステップS6)。加熱後に、ローラー200をサブマウント20の第1面20aに当接させ、ローラー200により、サブマウント20に第2荷重G2をかけて下方に押圧する(ステップS7)。また、サブマウント20の長手方向に沿って、ローラー200を往復させながらサブマウント20を押圧する。なお、ステップS6とステップS7とを表面凹凸低減工程と呼ぶことがある。
【0054】
図6に示すように、反り低減工程を行う前において、サブマウント20の表面に形成された第1金属層30、特に、第1接合層32の表面は凹凸、言い換えると、所定の面粗さを有している。面粗さを表すパラメータのうち、最大山高さSpについて見ると、
図6に示す第1金属層30の最大山高さSp1は、数十μm程度である。なお、最大山高さSpとは、凹凸を有する領域において、凸部の高さの最大値を表すパラメータである。
【0055】
一方、第1金属はんだ60の厚さは、数十μm~数百μm程度である。このため、第1接合層32の表面において、最大山高さSp1が数十μm程度であると、サブマウント20の第1面20aに第1金属はんだ60を設ける際、第1金属層30と第1金属はんだ60との間に所定の大きさの空隙が生じてしまう。サブマウント20とレーザダイオードバー10との接合時に、この空隙がボイドとなって第1金属はんだ60の内部に残存すると、前述したように、レーザダイオードバー10からサブマウント20への熱排出が、ボイドによって阻害される。
【0056】
そこで、
図3に示すステップS6を実行して、第1接合層32が変形しやすい状態にした後、ステップS7を実行して、サブマウント20の表面凹凸、さらに言うと、第1金属層30の表面凹凸を低減している。このようにすることで、サブマウント20とレーザダイオードバー10との接合時に、第1金属はんだ60の内部にボイドが残存するのを抑制できる。なお、
図7に示す第1接合層32の表面において、最大山高さSpは数μm程度に低減されている。
【0057】
なお、第2温度T2(℃)及び第2荷重G2(kgf)は、第1接合層32の材質や厚さに応じて適宜設定される。
【0058】
また、表面凹凸低減工程を実施した後は、サブマウント20の反りもさらに低減され、
図5に示すサブマウント20の反り量L2は、前述の反り量L1よりも小さくなる。
【0059】
反り量L2を所定値、例えば、10μm以下とすることで、レーザダイオードバー10の各エミッタにおけるレーザ光の出射点の高さばらつきを許容範囲以内に低減できる。
【0060】
なお、サブマウント20の第2面20bにおける表面凹凸を低減したい場合は、前述した表面凹凸低減工程をサブマウント20の第2面20bに対して行ってもよい。
【0061】
この場合、サブマウント20とベース40との接合時に、第2金属はんだ70の内部にボイドが残存するのを抑制できる。
【0062】
[効果等]
以上説明したように、本実施形態に係るサブマウント20の製造方法は、以下に示す第1~第5ステップを少なくとも備えている。
【0063】
第1ステップ(
図3のステップS1)では、第1面20aと第1面20aとY方向に対向する第2面20bとを有するサブマウント20を準備する。
【0064】
第2ステップ(
図3のステップS2)では、第1設置台210の第1設置面211にサブマウント20を設置する。
【0065】
第3ステップ(
図3のステップS3、S4)では、第1設置台210を第1温度T1まで加熱するとともに、サブマウント20の第1面20aまたは第2面20bに第1荷重G1をかけて押圧する。
【0066】
第4ステップ(
図3のステップS5)では、第2設置台220の第2設置面221にサブマウント20を設置する。
【0067】
第5ステップ(
図3のステップS6、S7)では、第2設置台220を第2温度T2まで加熱するとともに、サブマウント20の少なくとも第1面20aに第2荷重G2をかけて押圧する。
【0068】
サブマウント20の少なくとも第1面20aと第2面20bとは、第1金属層30で覆われている。第1金属層30は、サブマウント20の少なくとも第1面20aと第2面20bとに接する第1密着層31と第1密着層31を覆う第1接合層32とを少なくとも含み、第1接合層32は、2種以上の金属を含んでいる。
【0069】
第3ステップでは、サブマウント20の長手方向の反りを低減し、第5ステップでは、第1金属層30を含むサブマウント20の表面凹凸を低減する。
【0070】
本実施形態によれば、サブマウント20を加熱した状態で押圧すると言う簡便な方法で、サブマウント20の長手方向の反りを低減できるとともに、第1金属層30を含むサブマウント20の表面凹凸を低減することができる。以下、反り低減と表面凹凸低減とがもたらす効果についてさらに説明する。
【0071】
複数のエミッタ11を有するレーザダイオードバー10をレーザ光源として用いる場合、高出力化のため、各エミッタ11から出射されるレーザ光を1本のレーザ光に合成する手法が多く採られる。しかし、レーザ光の出射点の高さがエミッタ11毎にばらついていると、レーザ光の合成がうまく行えなかったり、合成のために配置される光学部品の形状が複雑になったり等の問題が生じる。この場合、合成後のレーザ光のビーム品質が低下したり、レーザダイオードバー10を有するレーザ装置のコストが増加したりする等の問題が生じる。
【0072】
本実施形態によれば、サブマウント20の長手方向の反りを低減することで、第1金属はんだ60を介して、サブマウント20の第1面20aに設置されるレーザダイオードバー10が長手方向に反るのを抑制できる。このことにより、レーザダイオードバー10の各エミッタ11におけるレーザ光の出射点の高さばらつきを低減することができる。さらに、各エミッタ11から出射されるレーザ光を合成して得られるレーザ光のビーム品質の低下を抑制できる。また、レーザ光の合成のための光学部品を簡素化でき、レーザダイオードバー10を有するレーザ装置のコスト増加を抑制できる。
【0073】
また、本実施形態によれば、第1金属層30を含むサブマウント20の表面凹凸を低減することで、サブマウント20とレーザダイオードバー10との接合時に、第1金属層30と第1金属はんだ60との間に空隙が生じるのを抑制できる。また、当該空隙の大きさを小さくできる。このことにより、サブマウント20とレーザダイオードバー10との接合時に、この空隙がボイドとなって第1金属はんだ60の内部に残存するのを抑制できる。また、ボイドの大きさや密度を低下させることができる。
【0074】
その結果、レーザダイオードバー10からサブマウント20への熱排出が、ボイドによって阻害され、動作中にレーザダイオードバー10に熱が溜まるのを抑制できる。このことにより、レーザダイオードバー10の長期使用時の動作信頼性が低下するのを抑制でき、また、レーザダイオードバー10の各エミッタ11から出射されるレーザ光の特性が変動するのを抑制できる。
【0075】
また、第1接合層32の表面凹凸を低減する手法としては、例えば、第1接合層32の表面を研磨する方法が考えられる。しかし、本実施形態に示すように、第1接合層32が複数種類の金属(金とスズ)を含んでいる場合、金属の種類の違いにより、研磨速度が異なってしまう。このようなことが起こると、第1接合層32の組成が面内また厚さ方向で不均一となってしまう。
【0076】
第1接合層32は、所定の温度まで加熱されると、第1金属はんだ60と融合して、第1金属はんだ60とサブマウント20が接合される。第1接合層32の組成が不均一であると、第1金属はんだ60との融合が部分的にうまくいかず、第1金属はんだ60とサブマウント20との接合不良、ひいては、レーザダイオードバー10とサブマウント20との接合不良が生じるおそれがある。
【0077】
一方、本実施形態によれば、加熱と同時にサブマウント20を押圧することで、第1金属層30,さらに言うと第1接合層32の表面凹凸を低減している。このため、第1接合層32の組成が不均一となるのを防止でき、第1金属はんだ60とサブマウント20との接合不良、ひいては、レーザダイオードバー10とサブマウント20との接合不良が生じるのを防止できる。
【0078】
また、サブマウント20は、主たる材料である第1材料と第2材料とを少なくとも含む複合体であり、第1材料の熱伝導率は、第2材料の熱伝導率と異なっている。第1材料は、所定以下の導電率を有する金属材料であることが好ましい。
【0079】
サブマウント20を複合体材料とし、各材料の配合比率を適切に調整することで、サブマウント20のヤング率やレーザダイオードバー10を構成する主たる半導体材料との線膨張係数の調整が容易となる。このことにより、レーザダイオードバー10の動作時に、熱膨張力の差に起因した熱応力がレーザダイオードバー10に加わり、レーザダイオードバー10の長期使用時の動作信頼性が低下するのを抑制できる。また、レーザダイオードバー10の各エミッタ11から出射されるレーザ光の特性が変動するのを抑制できる。
【0080】
また、サブマウント20を構成する各材料の種類や配合比率を調整することで、サブマウント20の熱伝導率を所定以上に高めることができ、サブマウント20の放熱性を向上できる。
【0081】
なお、第1材料の材質は、サブマウント20に第1荷重G1をかけて押圧したときに、サブマウント20が変形する程度のヤング率を有する材料であることが好ましい。また、導電率の要請を加味すれば、第1材料は銅や銅合金であることが好ましい。
【0082】
また、第1設置台210の第1設置面211には凹部212が設けられるのが好ましく、この場合、第2ステップでは、凹部212を覆うようにサブマウント20を第1設置面211に設置する。
【0083】
第1設置面211に凹部212が設けられていることで、第2ステップでサブマウント20を下方に押圧する際、サブマウント20の長手方向の中央が下方に変形するのが妨げられない。このことにより、サブマウント20の長手方向の反りを確実に低減することができる。
【0084】
なお、第2設置台220の第2設置面221が平坦であると、第5ステップでサブマウント20を下方に押圧する際、サブマウント20の全体が第2設置面221に押し付けられ、一部が下方に変位することがない。つまり、第2荷重G2が逃げることなく、第1金属層30の全面に加わるため、第1金属層30の全体にわたって、表面凹凸を低減することができる。
【0085】
本実施形態に係るレーザモジュール100の製造方法は、以下に示す第6~第9ステップを少なくとも備えている。
【0086】
第6ステップでは、前述した第1~第5ステップを順次実行することで、サブマウント20を作製する。
【0087】
第7ステップでは、第6ステップの実行後に、サブマウント20の第1面20aにおける所定の領域に第1金属はんだ60を設ける。
【0088】
第8ステップでは、レーザダイオードバー10を準備する。レーザダイオードバー10は、その長手方向に沿って複数のエミッタ11が設けられている。
【0089】
第9ステップでは、第1金属はんだ60の上面に、第1金属はんだ60と位置合わせを行った上で、レーザダイオードバー10を設置する。さらに、この状態で、サブマウント20と第1金属はんだ60とレーザダイオードバー10とを所定の温度まで加熱し、第1金属はんだ60を介して、サブマウント20とレーザダイオードバー10を接合する。
【0090】
このようにすることで、サブマウント20の長手方向の反りを低減できるとともに、第1金属層30を含むサブマウント20の表面凹凸を低減することができる。このことにより、各エミッタ11から出射されるレーザ光を合成して得られるレーザ光のビーム品質の低下を抑制できる。また、レーザ光の合成のための光学部品を簡素化でき、レーザダイオードバー10を有するレーザ装置のコスト増加を抑制できる。また、レーザダイオードバー10とサブマウント20との間に介在する第1金属はんだ60にボイドが発生するのを抑制できる。このことにより、レーザダイオードバー10からサブマウント20への熱排出が、ボイドによって阻害されるのを抑制でき、レーザダイオードバー10の長期使用時の動作信頼性が低下するのを抑制できる。また、レーザダイオードバー10の各エミッタ11から出射されるレーザ光の特性が変動するのを抑制できる。
【0091】
また、本実施形態のレーザモジュール100の製造方法は、以下に示す第10ステップと第11ステップとをさらに備えていてもよい。
【0092】
第10ステップでは、ベース40の表面における所定の領域に第2金属はんだ70を設ける。
【0093】
第11ステップでは、第2金属はんだ70の上面に、第2金属はんだ70と位置合わせを行った上で、レーザダイオードバー10が接合されたサブマウント20を設置する。さらに、この状態で、レーザダイオードバー10が接合されたサブマウント20と第2金属はんだ70とベース40とを所定の温度まで加熱し、第2金属はんだ70を介して、サブマウント20とベース40とを接合する。
【0094】
第10ステップと第11ステップとを設けることで、レーザダイオードバー10が接合されたサブマウント20をベース40に接合して固着させることができる。このことにより、サブマウント20、ひいてはレーザダイオードバー10の位置を確実に固定することができる。
【0095】
また、本実施形態で示したように、ベース40が冷却器である場合、第1金属はんだ60とサブマウント20と第2金属はんだ70とを介して、動作中にレーザダイオードバー10で生じた熱をレーザモジュールの外部に排出することができる。このことにより、レーザダイオードバー10の長期使用時の動作信頼性が低下するのを抑制できる。また、レーザダイオードバー10の各エミッタ11から出射されるレーザ光の特性が変動するのを抑制できる。
【0096】
なお、レーザダイオードバー10の冷却手段が別途準備されていれば、レーザモジュール100において、ベース40は省略することができる。つまり、レーザモジュール100は、レーザダイオードバー10とサブマウント20と第1金属はんだ60とで構成されていてもよい。
【0097】
なお、ベース40は、ステンレス等の金属で構成されていてもよい。その場合、第2金属層50を除くベース40とサブマウント20とを電気的に絶縁する必要がある。また、冷却水路41を流れる冷却水とベース40との電気的絶縁を確保する必要がある。また、ベース40の裏面や側面に冷却水配管を接触させてベース40を冷却するようにしてもよい。その場合は、内部の冷却水路41は省略される。
【0098】
また、本実施形態では、ローラー200を用いてサブマウント20を押圧する例を示したが、サブマウント20を押圧する機構は特にこれに限定されない。
【実施例0099】
図8は、実施例に係るレーザモジュールの断面模式図である。
図9は、比較例に係るレーザモジュールの超音波探傷検査写真である。
図10は、実施例に係るレーザモジュールの超音波探傷検査写真である。なお、比較例及び実施例に係るレーザモジュール100では、ベース40及び第2金属はんだ70は省略されている。また、説明の便宜上、
図9,10において、第1金属はんだ60のみを図示している。
【0100】
<共通構造>
図8に示すレーザモジュール100は、レーザダイオードバー10がジャンクションダウンタイプである点で、
図1Bに示す実施形態のレーザモジュール100と異なっている。つまり、レーザダイオードバー10のp側電極14が、第1金属はんだ60の上面に当接した状態で、第1金属はんだ60を介して、レーザダイオードバー10とサブマウント20とが接合されている。この構造は、比較例でも同じである。
【0101】
サブマウント20は、銅とダイヤモンドとの複合材料であり、長手方向、つまり、X方向の長さは11mmであり、Z方向の幅は4.5mmであり、Y方向の厚さは0.3μmである。なお、当該厚さには、第1金属層30の厚さも含まれる。
【0102】
また、第1金属層30における第1密着層31は白金であり、第1接合層32は金とスズとの合金層である。第1接合層32の平均厚さは5μm~7μm程度である。また、第1金属はんだ60は、金とスズとの合金はんだである。
【0103】
また、レーザダイオードバー10を構成する主たる半導体材料は窒化物半導体(GaN系半導体)である。各エミッタ11からは、青色の波長域のレーザ光がそれぞれ出射される。なお、「青色の波長域」とは、350nm以上、460nm以下の波長範囲をいう。
【0104】
<実施例>
第1金属層30が表面に形成されたサブマウント20に対して、
図3に示す各ステップを順次行った。このとき、第1温度T1は250(℃)で、第1荷重G1は50(kgf)であった。また、第2温度T2は250(℃)で、第2荷重G2は50(kgf)であった。
【0105】
また、
図3に示すステップS1を実行する前の反り量L0と、ステップS4を実行した後の反り量L1とを、それぞれ三次元光学式表面形状/粗さ測定機で測定した。
【0106】
また、ステップS7を実行した後のサブマウント20の表面凹凸を三次元光学式表面形状/粗さ測定機で測定し、その結果から最大山高さSp2を求めた。
【0107】
なお、反り量L0、L1は、それぞれ、
図4に示した状態での値である。また。最大山高さSp2は、
図7に示した状態での値である。
【0108】
次に、サブマウント20の第1面20aに平面視で長方形の第1金属はんだ60を設け、第1金属はんだ60と位置合わせを行った上で、第1金属はんだ60の表面にレーザダイオードバー10を設置した。さらに、この状態で、サブマウント20と第1金属はんだ60とレーザダイオードバー10とを250℃まで加熱し、その後、室温まで降温した。
【0109】
その後、超音波探傷機を用いてレーザモジュール100の検査を行い、第1金属はんだ60に生じたボイドの状態を評価した。
【0110】
<比較例>
第1金属層30が表面に形成されたサブマウント20を準備した。ただし、実施例とは異なり、
図3に示す各ステップをサブマウント20に対して行っていない。
【0111】
この状態での反り量L0を三次元光学式表面形状/粗さ測定機で測定した。また、サブマウント20の表面凹凸を三次元光学式表面形状/粗さ測定機で測定し、その結果から最大山高さSp1を求めた。
【0112】
なお、反り量L0は、
図4に示した状態での値である。また。最大山高さSp1は、
図6に示した状態での値である。
【0113】
次に、サブマウント20の第1面20aに平面視で長方形の第1金属はんだ60を設け、第1金属はんだ60と位置合わせを行った上で、第1金属はんだ60の表面にレーザダイオードバー10を設置した。さらに、この状態で、サブマウント20と第1金属はんだ60とレーザダイオードバー10とを250℃まで加熱し、その後、室温まで降温した。
【0114】
その後、超音波探傷機を用いてレーザモジュール100の検査を行い、第1金属はんだ60に生じたボイドの状態を評価した。
【0115】
<実施例と比較例との評価結果比較>
まず、実施例及び比較例における反り量L0が60μmであったのに対し、実施例における反り量L1は20μmであった。つまり、反り低減工程を行うことで、サブマウント20の反り量を1/3に低減できた。
【0116】
また、比較例に係る最大山高さSp1が27μmであったのに対し、実施例における最大山高さSp2は4.6μmであった。つまり、表面凹凸低減工程を行うことで、サブマウント20、言い換えると第1金属層30の最大山高さを1/5以下に低減できた。
【0117】
また、超音波探傷検査写真で白く見えている箇所は、
図9に示す場合に対して
図10に示す場合で大幅に減少していた。
図9及び
図10において、白く見えている箇所は、ボイドの発生箇所であると推定される。つまり、実施例では、比較例に対して、レーザダイオードバー10とサブマウント20との間に介在する第1金属はんだ60の内部に発生したボイドの個数が大幅に減少していることがわかった。
本開示のサブマウントの製造方法は、サブマウントの反りを低減し、サブマウントとレーザダイオードバーとの間の介在する金属はんだにボイドが生じるのを抑制できるため、サブマウントに実装されたレーザダイオードバーの高出力化や高信頼性化を実現する上で有用である。