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  • 特開-開閉装置 図1
  • 特開-開閉装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169100
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
   H02B 13/035 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
H02B13/035 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086296
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笠原 規宏
(72)【発明者】
【氏名】前嶋 宏行
(72)【発明者】
【氏名】福田 剛
(72)【発明者】
【氏名】岩撫 直和
(72)【発明者】
【氏名】北島 誠也
(72)【発明者】
【氏名】田端 和範
【テーマコード(参考)】
5G017
【Fターム(参考)】
5G017AA04
5G017BB02
5G017BB03
5G017BB20
5G017BB21
5G017JJ01
(57)【要約】
【課題】機器の絶縁設計許容値を超える電圧が印加されるのを防止することができる開閉装置を提供すること。
【解決手段】実施形態の開閉装置は、第1主母線と、第2主母線との間に接続される。第1主母線は、第1周波数の交流を送電する。第2主母線は、第1周波数とは異なる第2周波数の交流を送電する。開閉装置は、第1-1断路器と、第1-2断路器と、第1支線と、第2-1断路器と、第2-2断路器と、第2支線とを持つ。第1支線の第1端が第1主母線に接続され第1主母線に近い順に第1-1断路器と第1-2断路器が直列に設けられている。第2支線の第1端が第2主母線に接続され第2主母線に近い順に第2-1断路器と第2-2断路器が直列に設けられている。第1支線の第2端と、第2支線の第2端は、互いに接続されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1周波数の交流を送電する第1主母線と、前記第1周波数とは異なる第2周波数の交流を送電する第2主母線との間に接続される開閉装置であって、
第1端が前記第1主母線に接続され、前記第1主母線に近い順に第1-1断路器と第1-2断路器が直列に設けられた第1支線と、
第1端が前記第2主母線に接続され、前記第2主母線に近い順に第2-1断路器と第2-2断路器が直列に設けられた第2支線と、
を備え、
前記第1支線の第2端と、前記第2支線の第2端が、互いに接続されている、
開閉装置。
【請求項2】
前記第1支線における前記第1-1断路器と、前記第1-2断路器の間に設けられた第1接地開閉器と、
前記第2支線における前記第2-1断路器と、前記第2-2断路器の間に設けられた第2接地開閉器と、
を更に備える、請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
前記第1支線と、前記第2支線が接続されている箇所に接続された第3支線を更に備え、
前記第3支線には、少なくとも前記第1周波数と前記第2周波数のいずれかで選択的に運転可能な発電機が接続される、
請求項1記載の開閉装置。
【請求項4】
前記第1-2断路器と前記第2-2断路器とが一つのタンクに収納されている、
請求項1記載の開閉装置。
【請求項5】
前記第1-2断路器と前記第2-2断路器は、可動部が共通化された3ポジション断路器を形成し、同時に導通状態とならないように構成されている、
請求項4記載の開閉装置。
【請求項6】
前記3ポジション断路器に、避雷器、計器用変圧器、および接地開閉器のうち一部または全部が取り付けられている、
請求項5記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
日本国内では、東西で50[Hz]、60[Hz]と電力系統の周波数が異なっており、その境目となる周波数変換所近辺の発電所では異なる周波数に対応した送変電設備が必要とされる場合がある。その発電所では、東西どちらの電力系統へも電力を供給することが出来るよう50[Hz]の電力を発電する発電機と60[Hz]の電力を発電する発電機のそれぞれを有している場合がある。そのような発電所における変電設備においては、通常送変電の信頼性を高める際に採用される二重母線方式を経済性の観点から採用しており、片方の主母線に50[Hz]の電力、他方の主母線に60[Hz]の電力を送電するといった方式をとっている。このような送電方式を取る場合、それぞれの主母線のうち同相の主母線を接続する母線用断路器同相主回路(以下、単に主回路と称する)の片方の端子には50[Hz]、他方の端子には60[Hz]の電圧が印加される。母線用断路器同相主回路とは、分岐点から分岐する線路に発電所が接続され、分岐点の両側に断路器がそれぞれ設けられたものである。それぞれの電圧を対地電圧で考えた場合、主回路の端子間には最大で対地電圧の2倍の電位差が生じる。図1は、主回路の端子間に発生する電位差を示す図である。図中、実線は60[Hz]の電位、破線は50[Hz]の電位、一点鎖線は端子間に発生する電位差を表している。
【0003】
図1に示す電位差は、二重母線方式の二つの主母線に同じ周波数の電力が流れる場合は通常起こりえない事象ではあり、仮にその電位差が発生したとしても機器の絶縁設計の範疇であることから問題となることは無い。しかしながら、電位差が最大となるタイミングで主回路のうち一方の断路器に雷サージが印加された場合には、電位差が系統の対地電圧と雷サージの合成となり、機器の絶縁設計許容値を超過する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-128322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、機器の絶縁設計許容値を超える電圧が印加されるのを防止することができる開閉装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の開閉装置は、第1主母線と、第2主母線との間に接続される。第1主母線は、第1周波数の交流を送電する。第2主母線は、第1周波数とは異なる第2周波数の交流を送電する。開閉装置は、第1-1断路器と、第1-2断路器と、第1支線と、第2-1断路器と、第2-2断路器と、第2支線とを持つ。第1支線の第1端が第1主母線に接続され第1主母線に近い順に第1-1断路器と第1-2断路器が直列に設けられている。第2支線の第1端が第2主母線に接続され第2主母線に近い順に第2-1断路器と第2-2断路器が直列に設けられている。第1支線の第2端と、第2支線の第2端は、互いに接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】主回路の端子間に発生する電位差を示す図。
図2】各実施形態に係る開閉装置100または開閉装置100Aを含むガス絶縁装置1の模式図。
図3】第1の実施形態に係る開閉装置100の構成の一例を示す図。
図4】第2の実施形態に係る開閉装置100Aの構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の開閉装置を、図面を参照して説明する。
【0009】
図2は、各実施形態に係る開閉装置100または開閉装置100Aを含むガス絶縁装置1の模式図である。開閉装置100の主母線は三相で構成されるが、そのうちの代表する相に対して符号を付している。開閉装置100は、変電所や発電所などから送られてくる三相交流回路のそれぞれの相の主母線が一括にまとめられている。開閉装置100は、例えば、第1主母線10と、第2主母線20とを備える。それらの間に接続される開閉装置100または100Aには、発電機200が接続される。第1主母線10には、例えば、50[Hz]の周波数で電圧が変動する電流が流れており、第2主母線20には、例えば、60[Hz]の周波数で電圧が変動する電流が流れている。開閉装置100は、密閉されてSF6(六フッ化硫黄)等の絶縁ガスが封入される。
【0010】
(第1の実施形態)
図3は、第1の実施形態に係る開閉装置100の構成の一例を示す図である。開閉装置100は、第1支線110と、第2支線120と、第3支線130とを備える。第1支線110の第1端110Aは、BUSに収容された第1主母線10に接続され、第2端110Bは第2支線120に接続される。第2支線120の第1端120Aは、他のBUSに収容された第2主母線20に接続され、第2端120Bは第1支線110の第2端110Bに接続される。第3支線130は、第1支線110と第2支線120が接続されている箇所と、発電機200とを接続する。開閉装置100は、更に、第1断路器DS1-1と、第2断路器DS1-2と、第1断路器DS2-1と、第2断路器DS2-2と、第1接地開閉器ES-1と、第2接地開閉器ES-2とを備える。各断路器は、手動式の断路器でもよいし、機械式の断路器でもよい。なおガス絶縁装置1の主母線には、電流を遮断するための遮断機などが別途設けられるが、これについての図示および説明を省略する。開閉装置100の各断路器は、例えば、ガス絶縁装置1の遮断機によって、対応する主母線を流れる電流が遮断された状態で開閉操作される。
【0011】
第1断路器DS1-1と第2断路器DS1-2は、第1支線110に直列に設けられる。第1断路器DS2-1と第2断路器DS2-2は、第2支線120に直列に設けられる。
第1接地開閉器ES-1は、第1断路器DS1-1と第2断路器DS1-2の間に設けられる。第2接地開閉器ES-2は、第1断路器DS2-1と第2断路器DS2-2の間に設けられる。開閉装置100は、一つのタンクに接続された分離型の第2断路器DS1-2と第2断路器DS2-2を備える。開閉装置100と第3支線130の接続箇所を、CPとする。
【0012】
発電機200から第1主母線10に電力供給される場合、第1断路器DS1-1と第2断路器DS1-2は導通状態になり、第1断路器DS2-1と第2断路器DS2-2は遮断状態になるように制御される。このとき、第1接地開閉器ES-1は非接地状態になり、第2接地開閉器ES-2は接地状態になるように制御される。これらの状態を第1状態とする。一方、発電機200から第2主母線20に電力供給される場合、第1断路器DS1-1と第2断路器DS1-2は遮断状態になり、第1断路器DS2-1と第2断路器DS2-2は導通状態になるように制御される。このとき、第1接地開閉器ES-1は接地状態になり、第2接地開閉器ES-2は非接地状態になるように制御される。これらの状態を第2状態とする。
【0013】
このように、開閉装置100は、第3支線130に接続する発電機200を流れる電流の周波数を第1周波数と第2周波数に選択的に運転可能とするために、第1状態と第2状態に切り替えが可能である。
【0014】
以上説明をした第1の実施形態によれば、開閉装置100は、第1断路器DS1-1と、第2断路器DS1-2と、第1断路器DS2-1と、第2断路器DS2-2と、第1接地開閉器ES-1と、第2接地開閉器ES-2とを直列に備えることで、異周波数電圧が一つの断路器極間に印加されるのを防ぐことができ、雷サージ侵入時にも絶縁破壊が発生しないようにすることができる。
【0015】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、第2断路器DS1-2と第2断路器DS2-2は独立した構成であるが、第2の実施形態では、第2断路器DS1-2と第2断路器DS2-2が一体に形成されて3ポジション断路器を構成する。便宜上、これらについては同じ符号を付して説明する。
【0016】
図4は、第2の実施形態に係る開閉装置100Aの構成の一例を示す図である。開閉装置100Aでは、第2断路器DS1-2と第2断路器DS2-2を含む3ポジション断路器300が、一つのタンク400に収納されている。3ポジション断路器300において、第2断路器DS1-2と第2断路器DS2-2は、可動部が共通化されており、二つが同時に導通状態にはならないように構成されている。3ポジション断路器300は、可動接点310と、アクチュエータ320とを備える。可動接点310は、例えば直線的に移動するように支持され、第3支線130とは定常的に導通状態になる一方、第1支線110の第2端110Bに接する状態、第2支線120の第2端120Bに接する状態、それらのどちらにも接しない状態のいずれかに切り替え可能である。可動接点310(の図における左端)と第1支線110の第2端110Bに設けられた電極とで第2断路器DS1-2を構成し、可動接点310(の図における右端)と第2支線120の第2端120Bに設けられた電極とで第2断路器DS2-2を構成する。アクチュエータ320は可動接点310を図中、左右に移動させる。
【0017】
開閉装置100Aは、更に、避雷器330、計器用変圧器340、および接地開閉器350を備えてもよい。これらの構成要素は、例えば、第3支線130に取り付けられる。避雷器330は、例えば、接続された電気経路から侵入してくる雷などによる突発的な高電圧をグランド端子に流すことで、開閉装置100Aのそれぞれの機器を保護する。計器用変圧器340は、例えば、電気経路に流れる電圧の大きさを変換して計測器に出力する。接地開閉器350は、例えば、接続された箇所を接地するための開閉器である。
【0018】
以上説明をした第2の実施形態によれば、第2断路器DS1-2と第2断路器DS2-2を一つのタンク400に収納することで小型化を実現することができ、また第2断路器DS1-2と第2断路器DS2-2が同時に導通状態にならないことを保証できるので、より安全に運用することができる。
【0019】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、一つの周波数で変動する電圧の電流のみが流れる構成を持つことにより、機器の絶縁設計許容値を超える電圧が印加されるのを防止することができる。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0021】
1…ガス絶縁装置、10…第1主母線、20‥第2主母線、100…開閉装置、100A…開閉装置、110…第1支線、110A…第1支線の第1端、110B…第1支線の第2端、120…第2支線、120A…第2支線第1端、120B…第2支線の第2端、130…第3支線、DS1-1…第1-1断路器、DS1-2…第1-2断路器、DS2-1第2-1断路器、DS2-2…第2-2断路器、ES-1…第1接地開閉器、ES-2…第2接地開閉器、CP…接続箇所、200…発電機、300…3ポジション断路器、310…可動接点、320…アクチュエータ、330…避雷器、340…計器用変圧器、350…接地開閉器、400…タンク
図1
図2
図3
図4