(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169109
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】電気光学装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H10K 50/852 20230101AFI20241128BHJP
H10K 59/35 20230101ALI20241128BHJP
H10K 59/124 20230101ALI20241128BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H10K50/852
H10K59/35
H10K59/124
G09F9/30 349D
G09F9/30 339Z
G09F9/30 348A
G09F9/30 365
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086312
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】窪田 岳彦
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC33
3K107DD10
3K107DD22
3K107DD27
3K107DD90
3K107EE33
3K107FF13
5C094AA08
5C094AA09
5C094BA27
5C094DA15
5C094EA04
5C094EA05
5C094EA06
5C094EA07
5C094ED11
5C094FA02
5C094HA08
(57)【要約】
【課題】電気光学装置において、色再現性の低下を抑える。
【解決手段】本発明の電気光学装置は、半透過型の第1電極と、第1反射層と、前記第1電極と前記第1反射層との間に設けられた第1画素電極と、第2反射層と、前記第1電極と前記第2反射層との間に設けられた第2画素電極と、前記第1電極と、前記第1画素電極及び前記第2画素電極と、の間に設けられた発光層と、前記第1画素電極と前記第1反射層との間に設けられた絶縁層と、を有する。前記絶縁層は、平面視で前記第1画素電極から前記第1画素電極と前記第2画素電極との間に延在する。前記絶縁層の前記発光層側の面は、平面視で前記第1画素電極と前記第2画素電極との間に、複数の段差を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半透過型の第1電極と、
第1反射層と、
前記第1電極と前記第1反射層との間に設けられた第1画素電極と、
第2反射層と、
前記第1電極と前記第2反射層との間に設けられた第2画素電極と、
前記第1電極と、前記第1画素電極及び前記第2画素電極と、の間に設けられた発光層と、
前記第1画素電極と前記第1反射層との間に設けられた絶縁層と、
を有し、
前記絶縁層は、平面視で前記第1画素電極から前記第1画素電極と前記第2画素電極との間に延在し、
前記絶縁層の前記発光層側の面は、平面視で前記第1画素電極と前記第2画素電極との間に、複数の段差を有する、
電気光学装置。
【請求項2】
平面視で第1電極及び前記第1画素電極と重なる前記発光層は赤色光を発し、
平面視で第1電極と前記第2画素電極と重なる前記発光層は青色光を発する、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記絶縁層は、
前記第1画素電極と前記第1反射層との間に設けられ、平面視で前記第1画素電極から前記第1画素電極と前記第2画素電極との間に延在する第1領域に設けられた第1光学距離調整層と、
前記第1光学距離調整層の前記第1画素電極側に設けられ、平面視で前記第1画素電極から前記第1領域よりも前記第2画素電極側に延在する第2領域に亘って設けられた第2光学距離調整層と、
を有する、
請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記絶縁層は、第1段差と、第2段差と、を有し、
前記第1段差は、平面視で前記第1画素電極と前記第2画素電極との中間位置よりも前記第1画素電極側に形成され、
前記第2段差は、平面視で前記中間位置よりも前記第2画素電極側に形成され、厚み方向で前記第1段差よりも前記第2反射層側に形成されている、
請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記絶縁層は、第1段差と、第2段差と、を有し、
前記第1段差及び前記第2段差は、平面視で前記第1反射層と前記第2反射層との間に設けられている、
請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の電気光学装置を備える、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機エレクトロルミネッセンス(EL;Electro Luminecent)素子や発光ポリマー素子等の有機発光ダイオード(OLED;Organic Light Emitting Diode)と呼ばれる発光素子を用いた電気光学装置の開発が進められている。特許文献1には、複数のサブ画素が設けられた電気光学装置が開示されている。特許文献1に開示されている電気光学装置では、反射層と対向電極とによって、サブ画素毎に光共振構造が形成されている。特許文献1に開示されている電気光学装置の一部の赤色光を発するサブ画素には、第1の距離調節層及び第2の距離調節層が積層されている。他の一部の緑色光を発するサブ画素には、第2の距離調整層が積層されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に開示されている電気光学装置では、赤色光を発するサブ画素と隣り合うサブ画素との間の領域において、第1の距離調節層及び第2の距離調節層とこれらの層と発光層を挟んで配置される対向電極との基板の厚み方向での間隔がサブ画素が配置されている領域での光学距離調整層と対向電極との間隔よりも局所的に減少する箇所があった。平面視において、前述のようにサブ画素の開口領域の周辺で局所的に発光層の膜厚が薄くなる箇所がある場合には、その箇所の抵抗は発光層が厚い箇所に比べて低くなり、陽極と陰極との間に電流が流れる。このことによって、サブ画素の開口領域の周辺領域で不要な周辺発光が生じる。周辺発光が発せられる箇所よりも素子基板側の領域には、当該箇所に隣り合うサブ画素の開口領域とは異なる層構造が設けられている。そのため、周辺発光の色光はサブ画素の開口領域から射出される3原色の何れかの色光とは異なる。特に、低階調の表示時では、周辺発光の量がサブ画素の開口領域に流れる電流による発光量に比べて無視できない量になると、周辺発光の色は例えば隣り合う複数のサブ画素の開口領域から射出される色同士が混ざった色になるため、電気光学装置の色再現性が低下するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの態様の電気光学装置は、半透過型の第1電極と、第1反射層と、前記第1電極と前記第1反射層との間に設けられた第1画素電極と、第2反射層と、前記第1電極と前記第2反射層との間に設けられた第2画素電極と、前記第1電極と、前記第1画素電極及び前記第2画素電極と、の間に設けられた発光層と、前記第1画素電極と前記第1反射層との間に設けられた絶縁層と、を有する。前記絶縁層は、平面視で前記第1画素電極から前記第1画素電極と前記第2画素電極との間に延在する。前記絶縁層の前記発光層側の面は、平面視で前記第1画素電極と前記第2画素電極との間に、複数の段差を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の一実施形態の電気光学装置の構成を示す概略図である。
【
図5】
図1の電気光学装置の要部の製造工程を示す断面図である。
【
図6】
図1の電気光学装置の要部の製造工程を示す断面図である。
【
図7】
図1の電気光学装置の要部の製造工程を示す断面図である。
【
図8】
図1の電気光学装置の要部の製造工程を示す断面図である。
【
図9】
図1の電気光学装置の要部の製造工程を示す断面図である。
【
図10】
図1の電気光学装置の要部の製造工程を示す断面図である。
【
図11】
図1の電気光学装置の要部の製造工程を示す断面図である。
【
図12】
図1の電気光学装置の要部の製造工程を示す断面図である。
【
図13】従来の電気光学装置の要部の平面図である。
【
図14】従来の電気光学装置の要部の断面図である。
【
図15】本発明の一実施形態の電子機器の概略図である。
【
図16】本発明の一実施形態の電子機器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。各図面では、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を変えている場合がある。
【0008】
[電気光学装置]
図1は、本実施形態の電気光学装置1の構成の一例を示す概略図である。
図1に示すように、電気光学装置1は、複数のサブ画素Pxを有する表示パネル10と、表示パネル10の動作を制御する制御回路20と、を備える。サブ画素Pxについては、
図1に示されていないが、後に詳しく説明する。
【0009】
制御回路20には、図示略の上位装置によって、画像データVddが同期信号SSに同期して供給される。画像データVddは、表示パネル10の各々のサブ画素Pxで表示されるべき階調レベルを規定するデジタルデータである。同期信号SSは、垂直同期信号、水平同期信号、及びドットクロック信号等を含む信号である。制御回路20は、同期信号SSに基づいて、表示パネル10の動作を制御するための制御信号Ctrを生成し、制御信号Ctrを表示パネル10に対して供給する。制御回路20は、画像データVddに基づいて、アナログの画像信号Viを生成し、画像信号Viを表示パネル10に供給する。画像信号Viは、各々のサブ画素Pxが画像データVddの指定する階調を表示するように、サブ画素Pxが備える発光素子の輝度を規定する信号である。
【0010】
表示パネル10は、走査線13と、データ線14と、表示部12と、駆動回路11と、を備える。走査線13は、M本設けられ、例えばX軸に沿って延在する。データ線14は、(3×N)本設けられ、X軸に直交するY軸に沿って延在する。Mは1以上の自然数であり、Nは1以上の自然数である。表示部12は、M本の走査線13と(3×N)本のデータ線14との交差位置に配置され、(M×3×N)個の画素回路100を有する。駆動回路11は、表示部12を駆動する。
【0011】
以下では、複数のサブ画素Px、複数の走査線13、及び複数のデータ線14のそれぞれの番号を、互いに区別するために、Y軸において+Y方向から-Y方向に向けて順番に、第1行、第2行、・・・、第M行と称する。また、X軸において-X方向から+X方向に向けて順番に、第1列、第2列、・・・、第3N列と称する。以下では、X軸及びY軸に交差するZ軸に沿う一方の方向を+Z方向又は上方向と称し、反対の方向を-Z方向又は下方向と称する。Z軸に沿って見ることを、「平面視」と記載する場合がある。
【0012】
X軸及びY軸を含む面は、表示部12の複数の画素回路100が配置されている面である。平面視したときに、平面視したときに、+X方向及び+Y方向の双方に対して互いに等しい角度で傾斜する方向を、D1方向とする。平面視したときに、-X方向及び+Y方向の双方に対して互いに等しい角度で傾斜する方向を、D2方向とする。平面視したときに、-X方向及び-Y方向の双方に対して互いに等しい角度で傾斜する方向を、D3方向とする。平面視したときに、+X方向及び-Y方向の間にあり、+X方向及び-Y方向の双方に対して互いに等しい角度で傾斜する方向を、D4方向とする。
【0013】
複数の画素回路100には、赤色を表示可能な画素回路100Rと、緑色を表示可能な画素回路100Gと、青色を表示可能な画素回路100Bと、が含まれる。本実施形態では、nは、1≦n≦Nを満たす自然数とする。例えば、第1列から第(3×N)列のうち、第(3n-2)列には画素回路100Rが配置され、第(3n-1)列には画素回路100Gが配置され、第3n列には画素回路100Bが配置されている。
【0014】
駆動回路11は、走査線駆動回路111と、データ線駆動回路112と、を備える。走査線駆動回路111は、第1行から第M行までの走査線13を順番に走査し、選択する。具体的には、走査線駆動回路111は、1フレームの期間において、第1行から第M行までの走査線13のそれぞれに対して出力する走査信号Gw[1]~Gw[M]を、水平走査期間毎に順番に所定の選択電位に設定する。このことによって、走査線駆動回路111は、走査線13を行単位で水平走査期間毎に順番に選択する。つまり、走査線駆動回路111は、1フレームの期間のうち、m番目の水平走査期間において、第m行の走査線13に出力する走査信号Gw[m]を所定の選択電位に設定することによって、第m行の走査線13を選択する。なお、1フレームの期間とは、電気光学装置1が1個の画像を表示する期間を意味する。
【0015】
データ線駆動回路112は、制御回路20から供給される画像信号Vi及び制御信号Ctrに基づいて、各々の画素回路100が表示する階調を規定するアナログのデータ信号Vd[1]~Vd[3×N]を生成する。データ線駆動回路112は、生成したデータ信号Vd[1]~Vd[3×N]を、水平走査期間毎に、(3×N)本のデータ線14に対して出力する。つまり、データ線駆動回路112は、各水平走査期間において、第k列のデータ線14に対して、データ信号Vd[k]を出力する。なお、本実施形態では、制御回路20が出力する画像信号Viはアナログ信号であるが、制御回路20が出力する画像信号Viはデジタル信号であってもよい。画像信号Viがデジタル信号である場合には、データ線駆動回路112は、画像信号Viをデジタル/アナログ変換し、アナログのデータ信号Vd[1]~Vd[3×N]を生成する。
【0016】
図2は、画素回路100の等価回路図である。
図2では、第m行第k列の画素回路100について例示されている。
図2に示すように、画素回路100は、発光素子3と、発光素子3に供給する電流を出力する供給回路40と、を備える。
【0017】
発光素子3は、画素電極31と、発光層32と、対向電極33とを備える。画素電極31は、発光層32に正孔を供給する陽極として作用する。対向電極33は、画素回路100の低電位側の電源電位である電位Vctに設定された給電線16に電気的に接続されている。対向電極33は、発光層32に電子を供給する陰極として作用する。画素電極31から供給される正孔と、対向電極33から供給される電子とが発光層32で結合し、発光層32が白色に発光する。
【0018】
後述するように、画素回路100Rが有する発光素子3Rには、平面視で赤色のカラーフィルターが重ねて配置されている。画素回路100Bが有する発光素子3Bには、平面視で青色のカラーフィルターが重ねて配置されている。画素回路100Gが有する発光素子3Gには、平面視で緑色のカラーフィルターが重ねて配置されている。このため、発光素子3R,3G,3Bによって、フルカラーの表示が実現される。
【0019】
供給回路40は、Pチャネル型のトランジスター41,42と、保持容量44と、を備える。なお、トランジスター41,42の少なくとも一方は、Nチャネル型のトランジスターであってもよい。本実施形態では、トランジスター41,42は、薄膜トランジスター(thin film transistor;TFT)である。なお、トランジスター41,42は、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)等の電界効果トランジスターであってもよい。
【0020】
トランジスター41のゲートは、第m行の走査線13に電気的に接続されている。トランジスター41のソース又はドレインの一方は、第k列のデータ線14に電気的に接続されている。トランジスター41のソース又はドレインの他方は、トランジスター42のゲートと、保持容量44が有する2つの電極のうち一方の電極と、に電気的に接続されている。
【0021】
トランジスター42のゲートは、トランジスター41のソース又はドレインの他方と、保持容量44の一方の電極と、に電気的に接続されている。トランジスター42のソース又はドレインの一方は、画素電極31に電気的に接続されている。トランジスター42のソース又はドレインの他方は、画素回路100の高電位側の電源電位である電位Velに設定された給電線15に電気的に接続されている。
【0022】
保持容量44は、2つの電極を有する。保持容量44の一方の電極は、トランジスター41のソース又はドレインの他方と、トランジスター42のゲートと、に電気的に接続されている。保持容量44の他方の電極は、給電線15に電気的に接続されている。保持容量44は、トランジスター42のゲートの電位を保持する保持容量として機能する。
【0023】
走査線駆動回路111は、走査信号Gw[m]を所定の選択電位に設定し、第m行の走査線13を選択すると、第m行第k列のサブ画素Px[m][k]に設けられたトランジスター41がオン状態になる。以下では、サブ画素Px[m][k]を、単にサブ画素Pxと記載する場合がある。トランジスター41がオン状態になると、第k列のデータ線14から、トランジスター42のゲートに対して、データ信号Vd[k]が供給される。この場合において、トランジスター42は、発光素子3に対して、ゲートに供給されたデータ信号Vd[k]の電位に応じた電流を供給する。データ信号Vd[k]は、ゲート及びソース間の電位差に相当する。つまり、トランジスター42は、発光素子3へ電流を供給する駆動トランジスターである。発光素子3は、トランジスター42から供給される電流の大きさに応じた輝度、すなわち、データ信号Vd[k]の電位に応じた輝度で発光する。
【0024】
続いて、走査線駆動回路111が第m行の走査線13の選択を解除し、トランジスター41がオフ状態になると、トランジスター42のゲートの電位は、保持容量44によって保持される。発光素子3は、トランジスター41がオフ状態になった後も、データ信号Vd[k]に応じた輝度で発光する。
【0025】
図2では省略されているが、発光素子3が有する画素電極31と供給回路40とを電気的に接続する構成要素を、コンタクト7と称する。各々のサブ画素Pxは、発光素子3と、供給回路40と、コンタクト7が配置されるコンタクト領域CAと、を備える。コンタクト領域CAは、コンタクト7を配置可能な領域である。コンタクト7は、発光素子3が有する画素電極31と供給回路40とを電気的に接続する。以下では、赤色光を発するサブ画素PxRに設けられているコンタクト7を、コンタクト7Rと称する。緑色光を発するサブ画素PxGに設けられているコンタクト7を、コンタクト7Gと称する。青色光を発するサブ画素PxBに設けられているコンタクト7を、コンタクト7Bと称する場合がある。以下では、コンタクト7Rを配置するコンタクト領域CAを、コンタクト領域CRと称する。コンタクト7Gを配置するコンタクト領域CAを、コンタクト領域CGと称する。コンタクト7Bを配置するコンタクト領域CAを、コンタクト領域CBと称する。
【0026】
図3は、表示部12の一部の平面図であり、+Z方向から平面視した場合の図である。
図3では、カラーフィルターは、省略されている。
図3には、表示部12のうち、画素MPxを構成するサブ画素PxR、サブ画素PxG、サブ画素PxB1、及び、サブ画素PxB2が例示されている。サブ画素PxRは、赤色を表示可能な画素回路100Rの発光素子3Rを含む。サブ画素PxGは、緑色を表示可能な画素回路100Gの発光素子3Gを含む。サブ画素PxB1は、青色を表示可能な画素回路100Bの発光素子3B1を含む。サブ画素PxB2は、画素回路100Bの発光素子3B2を含む。サブ画素PxB1,PxB2には、互いに同一の画素回路100Bに含まれる供給回路40から電流が供給される。
【0027】
画素MPxでは、+X方向に沿って、サブ画素PxR,PxB2が順次配置され、これらのサブ画素よりも-Y方向側の領域において、+X方向に沿って、サブ画素PxB1,PxGが順次配置されている。画素MPxでは、+Y方向に沿って、サブ画素PxB1,PxRが順次配置され、これらのサブ画素よりも+X方向側の領域において、+Y方向に沿って、サブ画素PxG,PxB2が配置されている。サブ画素PxB1は、サブ画素PxB1から見てD1方向側に位置するサブ画素PxB2と、後述する反射層52によって接続されている。画素MPxが有する発光素子3R,3G,3B1,3B2の各々によって、+Z方向側の領域に光を射出する発光領域HR,HG,HB1,HB2の各々が形成されている。発光領域HR,HG,HB1,HB2は、画素電極31の領域のうちで画素分離層34によって開口されている領域である。
【0028】
平面視した場合の発光領域HR,HG,HB1,HB2の各々の形状は、矩形である。なお、発光領域HR,HG,HB1,HB2の各々の平面視での形状は、例えば8角形等であってもよい。以下では、発光領域HR,HG,HB1,HB2をまとめて、発光領域HAと記載する場合がある。
【0029】
サブ画素Pxが備えるコンタクト領域CAは、サブ画素Pxが備える発光領域HAから見て、D1方向に位置する。具体的には、サブ画素PxRのコンタクト領域CRは、サブ画素PxRの発光領域HRのD1方向に位置し、D1方向において発光領域HRとサブ画素PxGの発光領域HGとの間に設けられている。同様に、サブ画素PxGのコンタクト領域CGは、サブ画素PxGの発光領域HGのD1方向に位置し、D1方向において発光領域HGとサブ画素PxRの発光領域HRとの間に設けられている。サブ画素PxB1のコンタクト領域CB1は、サブ画素PxB1の発光領域HB1のD1方向に位置し、D1方向において発光領域HB1とサブ画素PxB2の発光領域HB2との間に設けられている。サブ画素PxB2のコンタクト領域CB2は、サブ画素PxB2の発光領域HB2のD1方向に位置し、D1方向において発光領域HB2とサブ画素PxB1の発光領域HB1との間に設けられている。
【0030】
上述のように、複数のコンタクト領域CAは、D1方向に沿って配置されている。各々のコンタクト領域CB1,CB2には、コンタクト電極71を介して画素電極31と反射層52とを電気的に接続する図示略のコンタクト電極が形成されている。コンタクト領域CRには、反射層52とコンタクト電極71とを電気的に接続する図示略のコンタクト電極と、コンタクト電極71と画素電極31とを電気的に接続する図示略コンタクト電極と、が個別に形成されている。同様に、コンタクト領域CGには、反射層52とコンタクト電極71とを電気的に接続する図示略のコンタクト電極と、コンタクト電極71と画素電極31とを電気的に接続する図示略のコンタクト電極と、が個別に形成されている。
【0031】
図3では図示略の赤色のカラーフィルターは、発光素子3Rよりも+Z方向側に設けられ、平面視したときに少なくともサブ画素PxRと重なるように形成されている。図示略の緑色のカラーフィルターは、発光素子3Gよりも+Z方向側に設けられ、平面視したときに少なくともサブ画素PxGと重なるように形成されている。図示略の青色のカラーフィルターは、発光素子3B1よりも+Z方向側に設けられ、平面視したときに少なくともサブ画素PxB1と重なるように形成されている。図示略の前述とは別の青色のカラーフィルターは、発光素子3B2よりも+Z方向側に設けられ、平面視したときに少なくともサブ画素PxB2と重なるように形成されている。
【0032】
表示部12は、Z軸において、後述する素子基板5と、対向基板と、接着層と、を備える。電気光学装置1では、対向基板において接着層に接する板面とは反対側の板面から+Z方向側に光を射出するトップエミッション方式が採用されている。
【0033】
素子基板5の詳しい構造については、後述する。対向基板は、Z軸において接着層を介して素子基板5よりも+Z方向側に配置されている。対向基板は、接着層の+Z方向側に配置される透明な基板である。対向基板は、対向基板よりも-Z方向側に配置される各色のカラーフィルターを含む層構造を保護する。接着層は、素子基板5と対向基板とを接着するための透明な樹脂層である。接着層には、例えば、エポキシ樹脂等の透明な樹脂材料が用いられている。対向基板には、例えば、石英基板が用いられる。
【0034】
素子基板5は、基板と、回路層と、層間絶縁層51と、導電層151と、導電層152と、絶縁層153と、絶縁層154と、絶縁層155と、絶縁層157と、絶縁層158と、導電層131と、導電層132と、導電層133と、絶縁層134と、封止層60と、カラーフィルター層と、を有する。
【0035】
前述の基板は、各種配線及び各種回路を実装可能な基板である。基板の種類は、特に限定されない。基板は、例えば、シリコン基板、石英基板、又は、ガラス基板等である。回路層は、前述の基板の+Z方向側に形成されている。回路層は、走査線13やデータ線14等の各種配線と、薄膜トランジスター等のスイッチング素子と、駆動回路11及び画素回路100等の各種回路と、形成されている。層間絶縁層51は、回路層の+Z方向側に積層されている。
【0036】
図4は、表示部12の一部の断面図であり、
図3に示すC1-C1線で矢視した場合の図である。
図3においてC1-C1線で矢視される領域は、X軸において互いに隣り合う赤色光の発光領域HRの+X方向側の端部及び青色光の発光領域HB2の-X方向側の端部と、発光領域HR,HB2の間の境界をなす周辺領域RHと、を含む。
図4では、表示部12のZ軸に沿った構造のうち、層間絶縁層51から絶縁層163までの積層構造が示されている。
【0037】
層間絶縁層51の材料は、例えば酸化シリコン(SiO
2)である。導電層151は、層間絶縁層51の+Z方向側に積層され、
図4に示す領域の略全体に形成されている。導電層152は、導電層151の+Z方向側に積層され、
図4に示す領域の略全体に形成されている。導電層151,152は、平面視でサブ画素Px毎に個別に島状に形成され、発光層32の発光素子3から射出される光に対して反射性を有する。導電層151は、例えばチタン(Ti)膜で形成されている。導電層152は、例えばチタン(Ti)膜と、その膜上に積層されたアルミニウム(Al)と銅(Cu)との合金(AlCu)膜との複合膜で形成されている。導電層151,152からなる積層構造は、反射層52を構成し、発光層32に含まれる発光素子3から射出される光のうちで-Z方向側に射出される光を+Z方向側に反射する。
【0038】
絶縁層153は、導電層151の+Z方向側に積層され、
図4に示す領域の略全体に形成されている。絶縁層153は、増反射層53を構成し、反射層52による光の反射特性を高めるために設けられ、光透過性を有する絶縁材料で形成されている。光透過性を有する絶縁材料として、例えば酸化シリコンが挙げられる。
【0039】
絶縁層154は、絶縁層153のX軸及びY軸に平行な表面とホールHL52の側壁面及び底壁面とを覆うように形成されている。ホールHL52は、X軸の発光領域HRと発光領域HB2との間に形成され、Z軸において導電層151,152及び絶縁層153を貫通している。すなわち、絶縁層154には、ホールHL52に沿う凹部が形成されている。ホールHL52の側壁には、導電層151,152及び絶縁層153が接している。ホールHL52の底には、層間絶縁層51が接している。絶縁層154は、例えば窒化シリコン(SiN)膜で形成されている。
【0040】
絶縁層156は、ホールHL52に前述のように形成された絶縁層154の凹部に埋設されている。絶縁層156のX軸及びY軸に平行な表面は、絶縁層155は、絶縁層154のX軸及びY軸に平行な表面と面一である。絶縁層156は、例えば酸化シリコンで形成されている。
【0041】
絶縁層155は、
図4に示す領域の略全体に、絶縁層154のX軸及びY軸に平行な表面と絶縁層156のX軸及びY軸に平行な表面とを覆うように形成されている。絶縁層154は、例えば窒化シリコン膜で形成されている。
【0042】
絶縁層157は、少なくとも発光領域HRに形成され、発光領域HRにおける絶縁層155のX軸及びY軸に平行な表面に形成されている。絶縁層157は、発光領域HRの周辺領域RAにおける絶縁層155のX軸及びY軸に平行な表面にもさらに形成され、発光領域HRの絶縁層157と一体に形成されている。周辺領域RAは、発光領域HRと発光領域HB1,HB2との境界領域RHのうちで、平面視において発光領域HRに近い側の領域である。平面視したときに、周辺領域RAにおける発光領域HB2側の端、すなわち絶縁層157における発光領域HB2側の端は、周辺領域RHのX軸での中間位置CHよりも発光領域HR側に配置され、ホールHL52に埋設されている絶縁層154或いは絶縁層156と重なっている。絶縁層157は、少なくとも発光領域HB1,HB2には形成されていない。絶縁層157は、例えば酸化シリコンで形成されている。
【0043】
絶縁層158は、少なくとも発光領域HR,HGに形成され、発光領域HRにおける絶縁層157のX軸及びY軸に平行な表面、及び発光領域HGにおける絶縁層155のX軸及びY軸に平行な表面に形成されている。絶縁層158は、発光領域HR及び周辺領域RAにおいて絶縁層157を覆い、周辺領域RBにおける絶縁層155,157のX軸及びY軸に平行な表面にもさらに形成され、発光領域HRの絶縁層158と一体に形成されている。絶縁層158は、発光領域HGにおいて絶縁層155を覆い、周辺領域RBにおける絶縁層155のX軸及びY軸に平行な表面にもさらに形成され、発光領域HGの絶縁層158と一体に形成されている。周辺領域RBは、境界領域RHのうちで平面視において発光領域HB1,HB2に近い側の領域であり、発光領域HR側では周辺領域RAと重なり、平面視で周辺領域RAよりも発光領域HB1,HB2側に延びる領域である。平面視したときに、周辺領域RBにおける発光領域HB2側の端、すなわち絶縁層157における発光領域HB2側の端は、周辺領域RHのX軸での中間位置CHよりも発光領域HB2側に配置され、ホールHL52に埋設されている絶縁層154或いは絶縁層156と重なっている。絶縁層158は、少なくとも発光領域HB1,HB2には形成されていない。絶縁層158は、絶縁層157と同じ絶縁材料で形成され、例えば酸化シリコンで形成されている。
【0044】
導電層131は、少なくとも、発光領域HR,HGと平面視で重なる領域の絶縁層158のX軸及びY軸に平行な表面に形成され、発光領域HB1,HB2と平面視で重なる領域の絶縁層155のX軸及びY軸に平行な表面に形成されている。導電層131は、周辺領域RCにおける絶縁層158のX軸及びY軸に平行な表面にもさらに形成され、発光領域HR,HGの導電層131と一体に形成されている。周辺領域RCは、境界領域RHのうちで平面視において発光領域HR,HGに近い側の領域であり、周辺領域RAと重なり、平面視で周辺領域RAのうちで発光領域HR,HG側に近い領域である。導電層131は、周辺領域RDにおける絶縁層155のX軸及びY軸に平行な表面にもさらに形成され、発光領域HB1,HB2の導電層131と一体に形成されている。周辺領域RDは、境界領域Rのうちで平面視において発光領域HB1,HB2に近い側の領域であり、平面視で周辺領域RBとは離れている領域である。周辺領域RDのX軸又はY軸での幅は、周辺領域RCのX軸又はY軸での幅と同等である。導電層131は、導電性の透明材料で形成され、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)で形成されている。導電層131は、表示部12における画素電極31を構成している。
【0045】
絶縁層134は、平面視で周辺領域RHに形成されている。絶縁層134は、周辺領域RCの導電層131と、周辺領域RCよりも発光領域HB1,HB2側の周辺領域RBの絶縁層158と、平面視で周辺領域RBと周辺領域RDとの間の領域の絶縁層155と、周辺領域RDの導電層131と、の各々のX軸及びY軸に平行な表面に形成され、これらの表面を+Z方向側から覆っている。絶縁層134は、例えば酸化シリコンで形成されている。絶縁層134は、平面視において、発光領域HR,HG,HB1,HB2同士を区画し、サブ画素Pxを分離し、表示部12における画素分離層34を構成している。
【0046】
Z軸において、発光領域HB1,HB2に設けられる導電層131は、発光領域HR,HG及び周辺領域RAに設けられる絶縁層157、及び平面視で周辺領域RAとは重ならない周辺領域RBに設けられる絶縁層158と同じ位置に形成されている。平面視において、絶縁層157の周縁は、発光領域HR,HGに形成される導電層131の周縁よりも、外側すなわち発光領域HB1,HB2側に配置されている。Z軸で絶縁層157と発光領域HR,HGに形成される導電層131との間に配置される絶縁層158の周縁は、絶縁層157の周縁よりも、さらに外側に配置されている。そのため、絶縁層158は、平面視で絶縁層157の周縁、すなわち周辺領域RAにおける発光領域HB1,HB2側の端と平面視で重なる位置において、-Z方向側に降下する段差ST1を含む。絶縁層158は、平面視で最も発光領域HB2に近い側の端によって段差ST2を含む。
【0047】
周辺領域RAのうちで平面視で周辺領域RCよりも発光領域HB1,HB2側の領域での絶縁層134のX軸及びY軸に平行な表面のZ軸での位置は、周辺領域RCでの絶縁層134のX軸及びY軸に平行な表面のZ軸での位置よりも、発光領域HR,HGの導電層131の厚みに相当するZ軸での高さの分だけ-Z方向側に移動する。周辺領域RBのうちで平面視で周辺領域RAよりも発光領域HB1,HB2側の領域での絶縁層134のX軸及びY軸に平行な表面のZ軸での位置は、周辺領域RAのうちで平面視で周辺領域RCよりも発光領域HB1,HB2側の領域での絶縁層134のX軸及びY軸に平行な表面のZ軸での位置よりも、発光領域HR,HG及び周辺領域RAの絶縁層158の厚みに相当するZ軸での高さの分だけ-Z方向側に移動する。周辺領域RHのうちで平面視で周辺領域RBよりも発光領域HB1,HB2側の領域での絶縁層134のX軸及びY軸に平行な表面のZ軸での位置は、一定である。
【0048】
周辺領域RHにおいて、絶縁層134は、平面視で発光領域HR,HGに形成される絶縁層157の周縁、すなわち周辺領域RCにおける発光領域HB1,HB2側の端と平面視で重なる位置において、-Z方向側に降下する段差ST11を含む。絶縁層134は、平面視で段差ST1と重なる位置において、-Z方向側に降下する段差ST12を含む。
【0049】
導電層132は、
図4に示す領域の略全体に、発光領域HR,HG,HB1,HB2の各々の領域に設けられる導電層131のX軸及びY軸に平行な表面と、周辺領域RHの絶縁層134のX軸及びY軸に平行な表面と、を覆うように形成されている。導電層132は、複数のサブ画素Pxに跨るように配置されている。導電層132は、図示略の正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、及び電子輸送層を含み、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、及び電子輸送層が+Z方向に順次積層された積層構造を有する。導電層132は、表示部12における発光層32を構成している。導電層132に含まれる正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、及び電子輸送層の各々の厚みは、個別に所定の厚みに設定されている。発光層32には、画素電極31のうちで画素分離層34によって覆われていない部分から正孔が供給される。その結果、発光層32は、白色光を発する。白色光は、赤色光と、緑色光と、青色光と、を含む。
【0050】
発光領域HR,HGに設けられる導電層131のX軸及びY軸に平行な表面と、周辺領域RHの絶縁層134のX軸及びY軸に平行な表面と、発光領域HB1,HB2に設けられる導電層131のX軸及びY軸に平行な表面と、は、互いに面一ではない。例えば、発光領域HRの導電層131から、平面視で発光領域HR側の絶縁層134の端部にかけて、+Z方向側に上昇する段差ST21が生じている。発光領域HB1の導電層131から、平面視で発光領域HB1側の絶縁層134の端部にかけて、+Z方向側に上昇する段差ST22が生じている。X軸において、段差ST21と段差ST22との間に、絶縁層134の段差ST11,ST12が生じている。導電層132が前述のように複数の層の積層構造を有し、X軸及びY軸に平行な面内で各層が平坦ではない導電層131上及び絶縁層134上に成膜及び形成される。そのため、導電層132の-Z方向側の底面及び+Z方向側側の表面132aは、段差ST1,ST2,ST11,ST12,ST21,ST22に起因する複数の段差を有し、X軸及びY軸に平行な面内で平坦ではない。
【0051】
具体的には、導電層132の表面132aは、例えば3つの段差ST31,ST32,ST33を有する。段差ST31では、導電層132の表面132aは、発光領域HR,HGから発光領域HB1,HB2に向けて+X方向側に進むにしたがって、段差ST21に沿って、+Z方向側に上昇する。段差ST32では、導電層132の表面132aは、段差ST31と、絶縁層134の段差ST11に沿って、-Z方向側に下降する。段差ST33では、導電層132の表面132aは、絶縁層158の段差ST1及び絶縁層134の段差ST12に沿って、-Z方向側に下降する。
【0052】
導電層133は、
図4に示す領域の略全体に、発光領域HR,HG,HB1,HB2及び周辺領域RHに亘って設けられる導電層132の+Z方向側の表面を覆うように形成されている。導電層133は、導電層132と同様に、ST1,ST11,ST12,ST21,ST22に起因する複数の段差を有し、X軸及びY軸に平行な面内で平坦ではない。
【0053】
導電層133は、光透過性及び光反射性を有し、白色光に対して半透明である。導電層133は、例えばマグネシウム(Mg)及び銀(Ag)を含む半透明の導電層で形成されている。導電層133は、表示部12における対向電極33を構成している。ここで、半透明とは、光透過性及び光反射性の両方の特性が共存することを意味する。導電層133に入射する光の透過率や反射率は、特定値に限定されない。一例として、導電層133の透過率は、40%以上70%以下である。
【0054】
図4では省略されているが、発光領域HR,HG,HB1,HB2の各々の領域の平面視での所定の位置に、コンタクト電極が形成されている。コンタクト電極は、各々の領域において、導電層131からなる画素電極31と導電層151,152からなる反射層52とを電気的に接続する。
【0055】
発光層32は、不図示の発光素子3R,3G,3Bを含む。以下では、発光素子3R,3G,3Bをまとめて発光素子3と記載する場合がある。発光素子3は、+Z方向側及び-Z方向側に光を射出する。
【0056】
表示部12では、平面視において、発光領域HR,HG,HB1,HB2の各々の領域、及び各発光領域に対応するコンタクト領域CAに含まれる積層構造は、サブ画素Pxに相当する。
【0057】
絶縁層157及び絶縁層158は、サブ画素PxR,PxG,PxB毎に、すなわち発光領域HR,HG毎及び発光領域HB1,HB2毎に、対向電極33と反射層52との間のZ軸での色光の光学的距離を調整するための距離調整層を構成している。絶縁層157は、第1光学距離調整層57に相当する。絶縁層158は、第2光学距離調整層58に相当する。絶縁層158からなる第2光学距離調整層58の厚みt58は、絶縁層157からなる第1光学距離調整層57の厚みt57と略同等であり、厚みt57よりも小さくてもよい。サブ画素PxRすなわち発光領域HRの対向電極33と反射層52との間のZ軸での光学的距離と、サブ画素PxBすなわち発光領域HB1,HB2の対向電極33と反射層52との間のZ軸での光学的距離との差は、第1光学距離調整層57のZ軸での厚みと第2光学距離調整層58のZ軸での厚みとの和に依存する光学的距離に相当する。サブ画素PxRすなわち発光領域HRの対向電極33と反射層52との間のZ軸での光学的距離と、サブ画素PxGすなわち発光領域HGの対向電極33と反射層52との間のZ軸での光学的距離との差は、第1光学距離調整層57のZ軸での厚みに依存する光学的距離に相当する。サブ画素PxGすなわち発光領域HGの対向電極33と反射層52との間のZ軸での光学的距離と、サブ画素PxBすなわち発光領域HB1,HB2の対向電極33と反射層52との間のZ軸での光学的距離との差は、第2光学距離調整層58のZ軸での厚みに依存する光学的距離に相当する。
【0058】
封止層60は、絶縁層161と、絶縁層162と、絶縁層163と、を有する。絶縁層161は、
図4に示す領域の略全体に、発光領域HR,HG,HB1,HB2及び周辺領域RHに亘って設けられる導電層133の+Z方向側の表面に形成されている。絶縁層162は、絶縁層161上に積層されている。絶縁層163は、絶縁層162上に積層されている。封止層60のうちの絶縁層161,163は、水分や酸素等の発光層32への侵入を抑止するために設けられている。絶縁層162は、+Z方向側にX軸及びY軸に平行な平坦面を有する。絶縁層161,163は、例えば酸化窒化シリコン(SiON)で形成されている。絶縁層162は、例えばエポキシ樹脂等の無機材料で形成されている。
【0059】
カラーフィルター層は、赤色、緑色或いは青色のカラーフィルターを含み、封止層60の絶対層163上に形成されている。
【0060】
表示部12では、反射層52と対向電極33とによって、光共振構造が形成されている。光共振構造が良好に作用するように、第1光学距離調整層57の厚みt57及び第2光学距離調整層58の厚みt58は、赤色光、緑色光及び青色光の各々の光のピーク波長及び前述の光学的距離等に基づいて適切に調整されている。発光層32から射出される光は、反射層52と対向電極33との間で繰り返し反射される。反射層52と対向電極33との間の光学的距離に対応する波長の光の強度が強められる。強められた光は、対向電極33から、封止層60及びカラーフィルター層よりもさらに+Z方向側に配置されている不図示の対向基板を介して+Z方向側に射出される。
【0061】
次に、
図5から
図12を参照し、表示部12のZ軸における絶縁層157から導電層133までの積層構造が示されている。
図5から
図12までの各図は、Z軸における絶縁層157から導電層133までの積層構造の製造工程を説明するための断面図であり、
図3に示すC1-C1線で矢視したときに対応する図である。
【0062】
図5に示すように、酸化シリコン等の絶縁材料からなる絶縁層155の+Z方向側の面全体に、同じく酸化シリコン等の絶縁材料をデポジットし、絶縁層155上に厚みt57を有する絶縁層157を積層する。
【0063】
次に、平面視で発光領域HR及び周辺領域RAに亘る領域の絶縁層157上、及び周辺領域RAから+X方向側すなわち発光領域HB2側に適当な間隔をあけた箇所から平面視で発光領域HB2に亘る領域の絶縁層157上に、不図示のレジスト膜を設ける。続いて、パターニングによって、レジスト膜に覆われずに+Z方向側に露出している絶縁層157を削除する。
図6に示すように、絶縁層157の+Z方向側の面に、平面視で発光領域HR及び周辺領域RAの絶縁層157と、それに対してX軸で離間して発光領域HB2の絶縁層157と、を形成する。
【0064】
次に、
図7に示すように、+Z方向側に露出している絶縁層155,157の各々のX軸及びY軸に平行な面に、酸化シリコン等の絶縁材料をデポジットし、絶縁層158を形成する。続いて、発光領域HR及び周辺領域RBに亘る領域の絶縁層157上に、不図示のレジスト膜を設ける。続いて、パターニングによって、レジスト膜に覆われずに+Z方向側に露出している絶縁層157,158を削除する。
図8に示すように、平面視において、発光領域HR及び周辺領域RAに亘る領域の絶縁層157と、発光領域HR及び周辺領域RBに亘る絶縁層158と、を形成する。
【0065】
次に、
図9に示すように、平面視において発光領域HR及び周辺領域RCに重なる絶縁層158上、及び発光領域HB2及び周辺領域RCに重なる絶縁層155上に、ITO等からなる導電層131を形成する。本工程では、各領域に導電層131を直接形成してもよく、或いは
図8に示す発光領域HR,HB2及び周辺領域RHの全体に亘って導電層131を積層した後に、平面視で周辺領域RC,RD間の二点鎖線で示されている部分の導電層131を除去してもよい。
【0066】
次に、
図10に示すように、平面視において周辺領域RHの導電層131上、絶縁層158上、及び絶縁層155上に、酸化シリコン等からなる絶縁層134を形成する。
本工程では、周辺領域RHの各層上に絶縁層134を直接形成してもよく、或いは
図9に示す発光領域HR,HB2及び周辺領域RHの全体に亘って絶縁層134を積層した後に、平面視で発光領域HR,HB2の二点鎖線で示されている部分の絶縁層134を除去してもよい。
【0067】
次に、
図11に示すように、発光領域HR,HB1の各々の導電層131上と、周辺領域RHの絶縁層134上に、図示略の正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、及び電子輸送層を順次、所定の厚みで成膜することによって、導電層132を形成する。導電層132に含まれる各層の+Z方向側の表面、及び導電層132の+Z方向側の表面には、絶縁層158の段差及び絶縁層134の段差に応じて、複数の段差が形成される。
【0068】
次に、
図12に示すように、発光領域HR,HB1及び周辺領域RHの各々の導電層132上に、マグネシウム及び銀を含む半透明の導電材料を所定の厚みで積層し、導電層133を形成する。その後、発光領域HR,HB1及び周辺領域RHの各々の導電層132上に封止層60を積層することによって、
図4に示す表示部12の素子基板5の構造が清掃される。
【0069】
以上説明した本実施形態の電気光学装置1は、第1電極201と、第1反射層202と、第1画素電極211と、第2反射層203と、第2画素電極212と、発光層32と、絶縁層250と、を備える。電気光学装置1において、対向電極33は、第1電極201に相当し、赤色光、緑色光及び青色光を含む可視光に対して半透明である。平面視で発光領域HRに重なる増反射層53は、第1反射層202上に設けられる。平面視で発光領域HRに重なる画素電極31は、第1画素電極211に相当し、Z軸において第1電極201と第1反射層202との間に設けられている。平面視で発光領域HB2に重なる増反射層53は、第2反射層203上に設けられる。平面視で発光領域HB1に重なる画素電極31は、第2画素電極212に相当し、Z軸において第1電極201と第2反射層203との間に設けられている。発光層32は、Z軸において対向電極33からなる第1電極201と、発光領域HRの画素電極31からなる第1画素電極211、及び発光領域HB1の画素電極31からなる第2画素電極212との間に設けられている。絶縁層250は、例えば絶縁層157からなる第1光学距離調整層57と絶縁層158からなる第2光学距離調整層58との絶縁性の積層構造であり、Z軸において第1画素電極211と第1反射層202との間に設けられている。絶縁層250は、平面視で発光領域HR及び周辺領域RCに設けられている第1画素電極211から第1画素電極211と周辺領域RD及び発光領域HB1に設けられている第2画素電極212との間に延在している。絶縁層250の+Z方向側の表面250a、すなわち発光層32側の面は、平面視で第1画素電極211と第2画素電極212との間、すなわち領域RC,RDの間に、複数の段差ST1,ST2を有する。
【0070】
本実施形態の電気光学装置1では、赤色光が射出される発光領域HRに第1光学距離調整層57及び第2光学距離調整層58の積層構造からなる光学距離調整層が設けられている。第1光学距離調整層57の厚みt57及び第2光学距離調整層58の厚みt58は、発光領域HRにおける反射層52と対向電極33による赤色光の光共振構造が良好に機能し、光共振構造内の効率良く赤色光が取り出されるように、適切に調整されている。一方で、赤色光よりも波長の短い青色光が射出される発光領域B2には、光学距離調整層が設けられていない。平面視において、絶縁層250のうちの第1光学距離調整層57は、発光領域HRと、発光領域HRと発光領域HB2との間の周辺領域RHのうちの周辺領域RAと、に設けられている。絶縁層250のうちの第2光学距離調整層58は、発光領域HRと、周辺領域RHのうちの周辺領域RBに延出している。平面視において、周辺領域RBは、発光領域HRから周辺領域RAよりも発光領域HB1側に延出する領域である。絶縁層250の+Z方向側の面、すなわち表面250aは、平面視で領域RAの発光領域HB1側の端の段差ST1と、平面視で領域RBの発光領域HB1側の端の段差ST2と、を有する。
【0071】
本実施形態の電気光学装置1では、絶縁層134は、周辺領域RHにおいて、第1光学距離調整層57及び第2光学距離調整層58を覆い、これらの光学距離調整層と発光層32との間に介在する絶縁層134の表面134aは、段差ST11,ST12を有する。本実施形態の電気光学装置1では、絶縁層134の表面134aが例えば2つの段差ST11,ST12を有し、絶縁層134の表面134aが1つの段差のみを有する場合や段差を有していない場合に比べて、周辺領域RHにおける発光層32の厚みt32の変化が緩やかである。すなわち、平面視で発光領域HRから発光領域HB1に向けてX軸に沿って移動する際に、発光層32の厚みt32が複数の段階を経て変化する。
【0072】
本実施形態の電気光学装置1によれば、前述のように周辺領域RHの発光層32の厚みt32が複数の段階を経て変化し、発光領域HR,HB1の発光層32の厚みt32に比べて局所的に薄くならない。このことによって、周辺領域RHの発光層32において抵抗が低くなり難く、周辺領域RHにおいて陽極をなす画素電極31と陰極をなす対向電極33との間に意図しない電流が流れることを防止することができる。その結果、本実施形態の電気光学装置1によれば、サブ画素Pxの周辺領域RHで不要な周辺発光が生じることを防止することができる。そのため、本実施形態の電気光学装置1によれば、電気光学装置1の色再現性の低下を抑えることができる。
【0073】
図示していないが、平面視で第1光学距離調整層57と第2画素電極212との間に設けられている絶縁層134の表面134aに、絶縁層250の表面250aの段差ST2による段差が形成されていてもよい。
【0074】
なお、絶縁層134は、第1画素電極211と第2画素電極212との平面視での間隔が近い場合に、電極間の絶縁性を確実に確保するために設けられているが、省略されてもよい。絶縁層134が設けられていない場合、発光層32の厚みt32は、平面視で第1画素電極211と第2画素電極212との間で、絶縁層250の表面250aの段差ST1,ST2によって緩やかに変化する。その結果、本実施形態の電気光学装置1によれば、サブ画素Pxの周辺領域RHで不要な周辺発光が生じることを防止することができる。X軸における段差ST1,ST2の位置を適宜調節することによって、発光層32の厚みt32を複数の段階を経て緩やかに変化させることができる。
【0075】
図13は、従来の電気光学装置の表示部12の平面図である。
図14は、従来の電気光学装置の表示部12の素子基板5の一部の断面図であり、
図3に示すC1-C1線で矢視した場合に対応する図である。
図13及び
図14に示すように、従来の電気光学装置の表示部では、絶縁層157からなる第1光学距離調整層57と絶縁層158からなる第2光学距離調整層58は、発光領域HR及び周辺領域RBに設けられ、平面視で互いに重なるように形成されている。すなわち、第1光学距離調整層57の発光領域B2側の端と第2光学距離調整層58の発光領域B2側の端とは、平面視で互いに重なっている。絶縁層250は、1つの段差ST1のみを有する。従来の電気光学装置の構成では、発光層32の厚みt32が段差ST1において平面視で周囲よりも局所的に小さい。そのため、段差ST1の近傍で抵抗が低下し、陽極をなす部分と陰極をなす部分との間に電流が回り込み、周辺領域RHに電流が流れる。このことによって、サブ画素の開口領域、すなわち発光領域HR,HB1の周辺領域RHで、赤色光或いは青色光とは異なる波長を有する不要な周辺発光が生じる。その結果、従来の電気光学装置では、色再現性が低下する。
【0076】
本実施形態の電気光学装置1において、平面視で導電層133からなる第1電極201、及び発光領域HRに設けられる画素電極31からなる第1画素電極211と重なる発光層32は、赤色光を発する。平面視で第1電極201、及び発光領域HB1に設けられる画素電極31からなる第2画素電極212と重なる発光層32は、青色光を発する。
【0077】
3原色の色光に関して、赤色光のピーク波長と青色光のピーク波長との差が緑色光のピーク波長と赤色光又は青色光のピーク波長との差よりも大きい。本実施形態の電気光学装置1では、発光領域HRにおける光共振構造の赤色光の光学距離と発光領域HB1における光共振構造の青色光の光学距離との距離差に応じて、1層の光学距離調整層ではなく、第1光学距離調整層57及び第2光学距離調整層58との少なくとも2層を含む積層構造からなる光学距離調整層が発光領域HR及び周辺領域RHの一部の周辺領域RAに設けられている。第2光学距離調整層58は、周辺領域RAよりも平面視で発光領域HB1に近い側、すなわち第2画素電極212側の周辺領域RBにも設けられている。本実施形態の電気光学装置1によれば、青色光を発する発光層32に対して赤色光を発する発光層32のZ軸での位置、すなわち表示部12における高さを、第1光学距離調整層57及び第2光学距離調整層58との積層構造によって容易に調整することができる。赤色光のピーク波長と青色光のピーク波長とを考慮して、第1光学距離調整層57の厚みt57お及び第2光学距離調整層58の厚みt58を適切に設定し、赤色光の発光領域HRにおける共振器長と青色光の発光領域HB1における共振器長との光学距離差を容易に調節することができる。そのため、電気光学装置1の色再現性の低下を抑えることができる。
【0078】
本実施形態の電気光学装置1において、絶縁層250は、絶縁層157からなる第1光学距離調整層57と、絶縁層158からなる第2光学距離絶縁層58と、を有する。第1光学距離調整層57は、Z軸において第1画素電極211と第1反射層202との間に設けられ、平面視で第1画素電極211から周辺領域RAにもさらに設けられている。周辺領域RAは、平面視で少なくとも第1画素電極211と第2画素電極212との間に延在し、具体的には周辺領域RHのうちで発光領域HRと発光領域HB2との間の発光領域HR側の領域である。第2光学距離調整層58は、Z軸において第1光学距離調整層57の第1画素電極211側に設けられ、具体的には第1光学距離調整層57と第1画素電極211との間に設けられている。第2光学距離調整層58は、平面視で第1画素電極211から周辺領域RAよりも第2画素電極212側に延在する周辺領域RBに亘って設けられている。第1光学距離調整層57と第2光学距離調整層58との積層構造からなる絶縁層250は、第1光学距離調整層57において平面視で第2画素電極212側の端部を覆う第2光学距離調整層58で形成される段差ST1と、第2光学距離調整層58の平面視で第2画素電極212側の端部で形成される段差ST2と、を有する。
【0079】
本実施形態の電気光学装置1によれば、第1光学距離調整層57の平面視で第2画素電極212側の端の周辺領域RHにおける位置と、第2光学距離調整層58の平面視で第2画素電極212側の端の周辺領域RHにおける位置と、を調整し、発光層32の厚みt32を複数の段階を経て、緩やかに且つ容易に変化させることができる。そのため、電気光学装置1の色再現性の低下を抑えることができる。
【0080】
なお、絶縁層250は、上述のように第1光学距離調整層57と第2光学距離調整層58との積層構造に限定されず、Z軸及び厚み方向で1つの絶縁層で構成され、1つの絶縁層の発光層32側の面すなわち+Z方向側の表面に複数の段差を有していてもよい。
【0081】
本実施形態の電気光学装置1において、絶縁層250は、第1段差として段差ST1と、第2段差として段差ST2と、を有する。段差ST1は、平面視で第1画素電極211と第2画素電極との中間位置よりも第1画素電極211側に形成されている。平面視において、第1画素電極211と第2画素電極との中間位置は、例えば電気光学装置1の表示部12の発光領域HRと発光領域HB2との中間位置CHと同様の位置に配置されている。段差ST2は、平面視で第1画素電極211と第2画素電極との中間位置よりも第2画素電極側に形成され、Z軸に平行な厚み方向で段差ST1よりも第2反射層203側すなわち-Z方向側に形成されている。
【0082】
本実施形態の電気光学装置1によれば、X軸において中間位置CHを挟んで段差ST1を第1画素電極211側と段差ST2を第2画素電極212側とに配置し、X軸における第1画素電極211から第2画素電極212までの間の発光層32の厚みt32を緩やかに変化させることができる。そのため、電気光学装置1の色再現性の低下を抑えることができる。
【0083】
本実施形態の電気光学装置1において、絶縁層250は、第1段差として段差ST1と、第2段差として段差ST2と、を有する。段差ST1,ST2は、平面視及びX軸で第1反射層202と第2反射層203との間に設けられ、具体的には平面視及びX軸で第1反射層202と第2反射層203との間に形成されるホールHL52内の絶縁層154,156と重なっている。
【0084】
本実施形態の電気光学装置1によれば、絶縁層250の段差ST1,ST2によって周辺領域RHにおいて発光層32の厚みt32が周囲よりも局所的ではなくとも、小さい部分が生じた場合であっても、そのような発光層32の厚みt32が小さい部分の-Z方向側には第1反射層202又は第2反射層203が重ならない。そのため、発光層32の厚みt32が小さい部分から仮に周辺発光が僅かに生じても、+Z方向側には射出され難い。そのため、電気光学装置1の色再現性の低下を抑えることができる。
【0085】
[電子機器]
次いで、本実施形態の電子機器について説明する。
図15は、本実施形態の電子機器の一例であるヘッドマウントディスプレイ300の概略図である。ヘッドマウントディスプレイ300は、テンプル310と、ブリッジ320と、左眼用の投射光学系301Lと、右眼用の投射光学系301Rと、を備える。投射光学系301Lには、不図示の左眼用の電気光学素子1が設けられている。投射光学系301Rには、不図示の左眼用の電気光学素子1が設けられている。
【0086】
図16は、本実施形態の電子機器の別の例であるパーソナルコンピューター400の概略図である。パーソナルコンピューター400は、所望各種の画像を表示するディスプレイ401と、ディスプレイ401の入力装置及び各種処理回路が本体402と、を備える。本体402は、入力装置として、キーボード412や、タッチパネル414と、を備える。
【0087】
本実施形態の電子機器のさらに別の例として、例えば不図示のスマートフォン、テレビ、電子手帳、或いは電子ペーパー等が挙げられる。上述の電気光学装置1は、例えばプリンター、スキャナー、複写機、或いはビデオプレーヤー等の電子機器に適用することができる。
【0088】
本実施形態のヘッドマウントディスプレイ300を含む電子機器によれば、上述の電子光学装置1を備えるため、電子光学装置1における周辺発光を抑え、色再現性の低下を抑えることができる。
【0089】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【0090】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
(付記1)半透過型の第1電極と、第1反射層と、前記第1電極と前記第1反射層との間に設けられた第1画素電極と、第2反射層と、前記第1電極と前記第2反射層との間に設けられた第2画素電極と、前記第1電極と、前記第1画素電極及び前記第2画素電極と、の間に設けられた発光層と、前記第1画素電極と前記第1反射層との間に設けられた絶縁層と、を有し、前記絶縁層は、平面視で前記第1画素電極から前記第1画素電極と前記第2画素電極との間に延在し、前記絶縁層の前記発光層側の面は、平面視で前記第1画素電極と前記第2画素電極との間に、複数の段差を有する、電気光学装置。
【0091】
付記1の構成により、絶縁層の発光層側の面が1つの段差のみを有する場合や段差を有していない場合に比べて、第1画素電極の周辺領域の発光層の厚みの変化を複数の段階を経て緩やかに変化させることができる。付記1の構成により、電気光学装置の色再現性の低下を抑えることができる。
【0092】
(付記2)平面視で第1電極及び前記第1画素電極と重なる前記発光層は赤色光を発し、平面視で第1電極と前記第2画素電極と重なる前記発光層は青色光を発する、付記1の電気光学装置。
【0093】
付記2の構成により、赤色の発光領域における光共振構造の共振器長と青色の発光領域における光共振構造の共振器長との差に応じて、絶縁層の厚みを適切に、且つ余裕を以って設定し、絶縁層の発光層側の面に複数の段差を形成することができる。
【0094】
(付記3)前記絶縁層は、前記第1画素電極と前記第1反射層との間に設けられ、平面視で前記第1画素電極から前記第1画素電極と前記第2画素電極との間に延在する第1領域に設けられた第1光学距離調整層と、前記第1光学距離調整層の前記第1画素電極側に設けられ、平面視で前記第1画素電極から前記第1領域よりも前記第2画素電極側に延在する第2領域に亘って設けられた第2光学距離調整層と、を有する、付記1又は2の電気光学装置。
【0095】
付記3の構成により、平面視で第1光学距離調整層の第2画素電極側の端と第2光学距離調整層の第2画素電極側の端によって絶縁層の発光層側の面に少なくとも2つの段差を形成することができる。
【0096】
(付記4)前記絶縁層は、第1段差と、第2段差と、を有し、前記第1段差は、平面視で前記第1画素電極と前記第2画素電極との中間位置よりも前記第1画素電極側に形成され、前記第2段差は、平面視で前記中間位置よりも前記第2画素電極側に形成され、厚み方向で前記第1段差よりも前記第2反射層側に形成されている、付記1から3の何れか1つの電気光学装置。
【0097】
付記4の構成により、平面視で第1画素電極と第2画素電極との間で絶縁層の発光層側の面に適度な間隔をあけて第1段差及び第2段差を形成することができる。
【0098】
(付記5)前記絶縁層は、第1段差と、第2段差と、を有し、前記第1段差及び前記第2段差は、平面視で前記第1反射層と前記第2反射層との間に設けられている、付記1から4の何れか1つの電気光学装置。
【0099】
付記5の構成により、第1画素電極の周辺領域の発光層の薄い部分で仮に周辺発光が僅かに発生した場合でも、周辺発光が第1反射層又は第2反射層で反射されずに、対向電極側に光が射出されずに済む。
【0100】
(付記6)付記1から5の何れかの電気光学装置を備える、電子機器。
【0101】
付記5の構成により、電子機器の電子光学装置における周辺発光を抑え、色再現性の低下を抑えることができる。
【符号の説明】
【0102】
1…電気光学装置、300…ヘッドマウントディスプレイ(電子機器)、400…パーソナルコンピューター(電子機器)。