(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169112
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、および情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G08C 15/00 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
G08C15/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086317
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小池 亮
【テーマコード(参考)】
2F073
【Fターム(参考)】
2F073AA02
2F073AA03
2F073AA11
2F073AA19
2F073AA40
2F073AB01
2F073AB04
2F073AB05
2F073BB01
2F073BB04
2F073BB07
2F073BC01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC12
2F073CD11
2F073DD02
2F073DE02
2F073DE13
2F073FF01
2F073FF12
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG06
2F073GG08
2F073GG09
(57)【要約】
【課題】様々なセンサに容易に対応可能な汎用性を有するシステムを提供する。
【解決手段】情報処理装置30は、受信部38Cと、特定部38Dと、要素分解処理部38Eと、を備える。受信部38Cは、センサから、センサのセンサIDおよびセンサデータを含むセンサ送信データを受信する。特定部38Dは、センサIDとセンサデータの要素分解情報とを対応付けた要素分解管理情報36Aから、受信したセンサ送信データに含まれるセンサIDに対応する要素分解情報を特定する。要素分解処理部38Eは、特定した要素分解情報を用いてセンサ送信データに含まれるセンサデータの要素分解処理を行う。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサから、前記センサのセンサ識別情報およびセンサデータを含むセンサ送信データを受信する受信部と、
前記センサ識別情報と前記センサデータの要素分解情報とを対応付けた要素分解管理情報から、受信した前記センサ送信データに含まれる前記センサ識別情報に対応する前記要素分解情報を特定する特定部と、
特定した前記要素分解情報を用いて前記センサ送信データに含まれる前記センサデータの要素分解処理を行う要素分解処理部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記要素分解情報は、
前記センサデータに含まれる1または複数の要素ごとの、要素名称、前記センサデータにおける要素を表すデータ列の格納位置、要素の単位、前記格納位置に格納されたデータ列を前記要素の計測結果を表す計測データに変換するための変換条件、の少なくとも1つを表す設定値の規定された情報である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記変換条件は、
前記要素を表すデータ列の前記センサデータにおける配列順、要素符号、および前記要素を表すデータ列を前記要素の計測結果を表す計測データのデータ形式に変換するための演算式、の少なくとも1つを含む、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記センサ識別情報および前記要素分解情報の入力を受付ける受付部と、
受付けた前記センサ識別情報と前記要素分解情報とを対応付けて前記要素分解管理情報に登録する登録部と、
を備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記要素分解処理部は、
特定した前記要素分解情報を用いて、
前記センサデータに含まれる前記要素を表すデータ列ごとに、
前記センサデータにおける要素を表すデータ列の格納位置に格納された前記データ列を、前記変換条件に応じて変換した前記計測データに、前記要素の単位および要素符号を付与するとともに前記要素名称を対応付けた、要素ごとの計測データを生成する、前記要素分解処理を実行する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記要素分解処理による前記要素ごとの要素分解結果を出力する出力制御部、
を備える請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
センサから、前記センサのセンサ識別情報およびセンサデータを含むセンサ送信データを受信するステップと、
前記センサ識別情報と前記センサデータの要素分解情報とを対応付けた要素分解管理情報から、受信した前記センサ送信データに含まれる前記センサ識別情報に対応する前記要素分解情報を特定するステップと、
特定した前記要素分解情報を用いて前記センサ送信データに含まれる前記センサデータの要素分解処理を行うステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項8】
センサから、前記センサのセンサ識別情報およびセンサデータを含むセンサ送信データを受信するステップと、
前記センサ識別情報と前記センサデータの要素分解情報とを対応付けた要素分解管理情報から、受信した前記センサ送信データに含まれる前記センサ識別情報に対応する前記要素分解情報を特定するステップと、
特定した前記要素分解情報を用いて前記センサ送信データに含まれる前記センサデータの要素分解処理を行うステップと、
をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
【請求項9】
センサと、前記センサと通信する中継装置と、前記中継装置と通信する情報処理装置と、を備えた情報処理システムであって、
前記中継装置は、
前記センサから受信した、前記センサのセンサ識別情報およびセンサデータを含むセンサ送信データを前記情報処理装置へ送信し、
前記情報処理装置は、
前記センサ送信データを受信する受信部と、
前記センサ識別情報と前記センサデータの要素分解情報とを対応付けた要素分解管理情報から、受信した前記センサ送信データに含まれる前記センサ識別情報に対応する前記要素分解情報を特定する特定部と、
特定した前記要素分解情報を用いて前記センサ送信データに含まれる前記センサデータの要素分解処理を行う要素分解処理部と、
を備える情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、および情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IoT(Internet of Things)の需要が高まるにつれ、家庭、オフィス、工場、公共施設等の様々な箇所に設定されたセンサのセンサデータを収集して解析し、解析経過を提供することなどが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-233993号公報
【特許文献2】特開2014-39134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、センサデータに含まれる要素の表現方法やデータフォーマットはセンサの種類、センサのバージョン、等により様々である。このため、新たなセンサから収集したセンサデータに対応するためには、センサのプログラムや収集システム側のプログラムの変更処理等が必要であった。すなわち、従来技術では、種類やバージョン等の異なる様々なセンサに容易に対応可能な汎用性を有するシステムが提供されていなかった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、様々なセンサに容易に対応可能な汎用性を有するシステムを提供可能な、情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、および情報処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の情報処理装置は、受信部と、特定部と、要素分解処理部と、を備える。受信部は、センサから、前記センサのセンサ識別情報およびセンサデータを含むセンサ送信データを受信する。特定部は、前記センサ識別情報と前記センサデータの要素分解情報とを対応付けた要素分解管理情報から、受信した前記センサ送信データに含まれる前記センサ識別情報に対応する前記要素分解情報を特定する。要素分解処理部は、特定した前記要素分解情報を用いて前記センサ送信データに含まれる前記センサデータの要素分解処理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態の情報処理システムの一例を示す模式図である。
【
図2A】
図2Aは、センサ送信データのデータ構成の一例の模式図である。
【
図3】
図3は、情報処理装置の一例の機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、要素分解管理情報のデータ構成の一例の模式図である。
【
図6】
図6は、要素分解処理の一例の説明図である。
【
図7】
図7は、情報処理装置が実行する情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、情報処理装置の一例のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、および情報処理システムの一の実施形態を詳細に説明する。
【0009】
図1は、本実施形態の情報処理システム1の一例を示す模式図である。
【0010】
情報処理システム1は、複数のセンサ10の各々のセンサデータを収集するシステムである。
【0011】
情報処理システム1は、複数のセンサ10と、中継装置20と、情報処理装置30と、を備える。複数のセンサ10と情報処理装置30とは、中継装置20およびネットワークN等を介して通信可能に接続されている。複数のセンサ10の内の少なくとも一部は、中継装置20を介さずに情報処理装置30と通信可能に接続されていてもよい。
【0012】
センサ10は、1または複数の要素を計測する計測装置である。要素は、計測可能な項目である。要素は、例えば、温度、湿度、圧力、流量、風速、等である。センサ10には、センサ10を識別するためのセンサIDが付与されている。センサIDは、センサ識別情報の一例である。センサIDは、センサ10の種類、センサ10のハードまたはソフトのバージョン、センサ10の製造会社、等によって特定されるセンサ10を識別可能な識別情報であればよい。
【0013】
センサ10は、センサIDと、センサデータと、を含むセンサ送信データを情報処理装置30へ送信する。
【0014】
図2Aは、センサ送信データのデータ構成の一例の模式図である。
図2Bは、センサデータの一例の説明図である。
【0015】
センサ送信データは、センサ送信データの送信元のセンサ10のセンサIDと、該センサ10のセンサデータと、を含む。センサデータは、センサ10によって測定された要素に関するデータを含む。要素に関するデータには、例えば、要素の測定結果等が含まれる。具体的には、センサデータは、例えば、
図2Bに示すような数字や記号などのデータ列によって表される。
【0016】
【0017】
中継装置20は、センサ10から受信したセンサ送信データを情報処理装置30へ送信する。中継装置20は、例えば、ゲートウェイ等である。本実施形態では、中継装置20は、センサ10から受信したセンサ送信データに対して加工等の処理を行わず、そのまま情報処理装置30へ転送する。
【0018】
情報処理装置30は、複数のセンサ10の各々から受信したセンサ送信データに含まれるセンサデータの要素分解処理等を実行する。要素分解処理の詳細は後述する。
【0019】
図3は、情報処理装置30の一例の機能ブロック図である。
【0020】
情報処理装置30は、通信部32と、UI(ユーザ・インターフェース)部34と、記憶部36と、制御部38と、を備える。通信部32、UI部34、記憶部36、および制御部38は、バス39を介して通信可能に接続されている。
【0021】
通信部32は、ネットワークNを介して、1または複数のセンサ10の各々と通信する。また、通信部32は、ネットワークNおよび中継装置20を介して、1または複数のセンサ10の各々と通信する。
【0022】
UI部34は、ユーザによる操作指示を受付ける受付機能と、各種の情報を表示する表示機能と、を有する。受付機能は、例えば、キーボード、マウス、トラックボール等のポインティングデバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスである。表示機能は、例えば、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ、投影装置、または、ライトなどの表示デバイスである。なお、UI部34を、受付機能および表示機能が一体的に構成されたタッチパネルとして構成してもよい。
【0023】
記憶部36は、各種のデータを記憶する。記憶部36は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等である。なお、記憶部36は、情報処理装置30の外部に設けられた記憶装置であってもよい。また、記憶部36は、記憶媒体であってもよい。具体的には、記憶媒体は、プログラムや各種情報を、LAN(Local Area Network)やインターネットなどを介してダウンロードして記憶または一時記憶したものであってもよい。また、記憶部36を、複数の記憶媒体から構成してもよい。
【0024】
本実施形態では、記憶部36は、要素分解管理情報36Aを記憶する。要素分解管理情報36Aは、センサIDとセンサデータの要素分解情報とを対応付けたデータベースである。要素分解管理情報36Aは、テーブル等であってもよく、要素分解管理情報36Aのデータ形式はデータベースに限定されない。
【0025】
図4は、要素分解管理情報36Aのデータ構成の一例の模式図である。
【0026】
要素分解管理情報36Aは、センサIDと、要素分解情報と、を対応付けたデータベースである。
【0027】
要素分解情報とは、対応するセンサIDによって識別されるセンサ10から受信したセンサ送信データに含まれるセンサデータの、要素分解処理に用いるための情報である。詳細には、要素分解情報は、センサデータに含まれる1または複数の要素ごとの、要素名称、センサデータにおける要素を表すデータ列の格納位置、要素の単位、格納位置に格納されたデータ列を要素の計測結果を表す計測データに変換するための変換条件、の少なくとも1つを表す設定値の規定された情報である。
【0028】
要素名称は、要素の名称を表す。要素名称は、例えば、温度、湿度、などの要素を表す項目の名称である。要素名称は、例えば、温度、湿度、圧力、などであるがこれらに限定されない。
【0029】
格納位置は、センサデータにおける、対応する要素名称によって表される要素の測定結果を表すデータ列の格納位置を表す情報である。格納位置は、例えば、開始位置と終了位置によって表される。開始位置および終了位置は、例えば、センサデータの先頭位置を0とし、センサデータの後端に向かう方向に向かうバイト数またビット数等によって表される。例えば、格納位置が開始位置「0」終了位置「1」によって表される場合、測定結果を表すデータ列の格納位置は、センサデータの先頭から数えて0バイト目から1バイト目までであることを表す。本実施形態では、格納位置の指定が、バイト数によって表される形態を想定して説明する。
【0030】
単位は、対応する要素名称によって表される要素の単位を表す。単位は、例えば、℃、%、等であるが、これらに限定されない。
【0031】
変換条件は、対応する格納位置に格納されたデータ列を要素の計測結果を表す計測データに変換するための条件である。具体的には、変換条件は、エンディアン、符号有無、演算式、の少なくとも1つを含む。
【0032】
エンディアンは、対応する要素名称によって表される要素を表すデータ列のセンサデータにおける配列順を表す情報である。エンディアンには、例えば、ビックエンディアン、リトルエンディアン等が設定可能である。要素符号は、該データ列を、測定結果を表す計測データとしたときに付与する符号である。本実施形態では、要素符号として、符号有または符号無を設定可能である場合を一例として示す。符号有りは、例えば、マイナス(-)を表す符号を付与することを意味し、符号無は、負数を含まない数値として扱うことを表す。
【0033】
演算式は、要素を表すデータ列を、要素の計測結果を表す計測データのデータ形式に変換するための演算式を表す。また、演算式は、要素を表すデータ列に補正を加えることで計測データのデータ形式に変換するための該補正を表す演算式であってもよい。また、演算式は、計測データの提供を希望するユーザの仕様に応じた、工業値変換、レンジ変更、リニアライズ、および補正を実現するための演算式であってもよい。
【0034】
図3に戻り説明を続ける。要素分解管理情報36Aは、ユーザによるUI部34の操作指示に応じた後述する制御部38による処理によって、予め登録および適宜更新される。また、要素分解管理情報36Aは、通信経由(API:Application Programming Interface)等によって登録および更新されてもよい。
【0035】
制御部38は、情報処理装置30において情報処理を実行する。制御部38は、受付部38Aと、登録部38Bと、受信部38Cと、特定部38Dと、要素分解処理部38Eと、出力制御部38Fと、を備える。
【0036】
受付部38A、登録部38B、受信部38C、特定部38D、要素分解処理部38E、および出力制御部38Fは、例えば、1または複数のプロセッサにより実現される。例えば、これらの各部は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよい。上記各部は、専用のIC(Integrated Circuit)などのプロセッサ、すなわちハードウェアにより実現してもよい。上記各部は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。複数のプロセッサを用いる場合、各プロセッサは、各部のうち1つを実現してもよいし、各部のうち2以上を実現してもよい。
【0037】
受付部38Aは、センサ識別情報および要素分解情報の入力を受付ける。
【0038】
詳細には、受付部38Aは、要素分解情報の入力を受付けるための入力画面をUI部34へ表示する。
【0039】
図5は、UI部34に表示される入力画面34Aの一例の模式図である。例えば、ユーザがUI部34を操作することでセンサ識別情報を入力すると、受付部38Aは、要素分解情報の入力を受付けるための入力画面34AをUI部34に表示する。
【0040】
入力画面34Aには、例えば、要素名称である名称、要素単位である単位、格納位置である開始位置および終了位置、変換条件であるエンディアン、符号有無、演算式、の各々を入力するための入力欄が設けられている。ユーザは、入力画面34Aを視認しながらUI部34を操作することで、所望の設定値を入力する。例えば、
図5に示す要素分解情報が入力された場面を想定する。
【0041】
例えば、センサ10から受信したセンサ送信データに含まれるセンサデータが16進数のデータ「000000000000000000000000000000001122000000000000000000000000」であった場合を想定する。この場合、
図5に示す要素分解情報は、該センサデータにおける先頭から17バイト目と18バイト目のデータ列「1122」が要素「AIN3」の計測結果を表すデータ列であることを表す。また、エンディアンがビッグエンディアンであることいから、該データ列「1122」をそのままの配列で用いることを表す。また、該16進数のデータ列「1122」を10進数に変換した「4386」に対して、演算式「val×2」を適用した結果である「8722」に符号を付加せず、且つ単位「mA」を付加した値が、要素「AIN3」の計測データであることを表す。
【0042】
そして、ユーザによるUI部34の操作指示によって更新ボタンが操作されると、登録部38Bは、入力を受付けたセンサ識別情報と要素分解情報とを対応付けて要素分解管理情報36Aに登録する。また、同じセンサ識別情報が既に要素分解管理情報36Aに登録されている場合には、登録部38Bは、該センサ識別情報に対応する要素分解情報を、新たに入力を受付けた要素分解情報に更新すればよい。このため、要素分解管理情報36Aには、様々なセンサ10のセンサIDに対応する要素分解情報が順次登録および更新される。
【0043】
ユーザは、新たなセンサ10の設置または移設、またはセンサ10のバージョンアップ等の事象が発生したときに、該センサ10のセンサIDと要素分解情報を、入力画面34A等を介して入力すればよい。
【0044】
【0045】
受信部38Cは、センサ10から、センサ10のセンサIDおよびセンサデータを含むセンサ送信データを受信する。受信部38Cは、センサ10から直接、または中継装置20を介してセンサ10から、センサ送信データを受信する。
【0046】
特定部38Dは、受信したセンサ送信データに含まれるセンサIDに対応する要素分解情報を要素分解管理情報36Aから特定する。
【0047】
要素分解処理部38Eは、特定した要素分解情報を用いて、受信部38Cで受信したセンサ送信データに含まれるセンサデータの要素分解処理を行う。
【0048】
詳細には、要素分解処理部38Eは、特定した要素分解情報を用いて、センサデータに含まれる要素を表すデータ列ごとに、センサデータにおける要素を表すデータ列の格納位置に格納されたデータ列を変換条件に応じて変換した計測データに、要素単位および要素符号を付与するとともに要素名称を対応付けた、要素ごとの計測データを生成することによって、要素分解処理を実行する。すなわち、要素分解処理とは、センサデータを、センサデータに含まれる1または複数の要素ごとに計測結果を表す計測データに分解する処理である。計測結果を表す計測データとは、ユーザが要素の計測結果であることを理解可能なデータ形式で表された計測データである。
【0049】
図6は、要素分解処理部38Eによる要素分解処理の一例の説明図である。
【0050】
例えば、センサ10から受信したセンサ送信データに含まれるセンサデータが16進数のデータ「00112233445566778899」であった場合を想定する。また、センサ送信データに含まれるセンサIDが「001」であり、特定部38Dが、該センサID「001」に対応する要素分解情報を要素分解管理情報36Aから特定した場面を想定する(
図4も参照)。
【0051】
この場合、要素分解処理部38Eは、該センサデータにおける0バイト目から1バイト目までのデータ列「0011」を、要素「温度」の計測結果を表すデータ列として抽出する。また、要素分解処理部38Eは、抽出したデータ列「0011」をエンディアン「ビッグエンディアン」に応じてエンディアン変換したデータ列「0011」に対して、「符号無し」に応じて負数を含まない数値として扱う。また、要素分解処理部38Eは、該16進数のデータ列「0011」を10進数に変換した「17」に対して、演算式「val」を適用した結果である「17」に単位「℃」を付加した結果を、要素名称「温度」、単位「℃」、及び値「17」の計測データとして生成する。
【0052】
また、要素分解処理部38Eは、該センサデータにおける2バイト目から3バイト目までのデータ列「2233」を、要素「湿度」の計測結果を表すデータ列として抽出する。また、要素分解処理部38Eは、抽出したデータ列「2233」をエンディアン「ビッグエンディアン」に応じてエンディアン変換したデータ列「2233」に対して、「符号無し」に応じて負数を含まない数値として扱う。また、要素分解処理部38Eは、該16進数のデータ列「2233」を10進数に変換した「8755」に対して、演算式「val/100」を適用した結果である「87.55」に単位「%」を付加した結果を、要素名称「湿度」、単位「%」、及び値「87.55」の計測データとして生成する。
【0053】
このため、要素分解処理部38Eが要素分解処理を行うことで、16進数のデータ「00112233445566778899」等によって表される、何れの要素の何れの計測データであるかをユーザが理解困難な形式のセンサデータが、ユーザによって理解可能な形式の要素ごとの計測データに要素分解処理される。
【0054】
【0055】
出力制御部38Fは、要素分解処理部38Eの要素分解処理による要素ごとの要素分解結果を出力する。例えば、出力制御部38Fは、要素分解結果である要素ごとの計測結果を表す計測データを、UI部34へ表示、記憶部36へ記憶、または通信部32を介して外部の情報処理装置へ送信、の何れかの出力処理を実行する。
【0056】
次に、本実施形態の情報処理装置30で実行される情報処理の流れの一例を説明する。
【0057】
図7は、本実施形態の情報処理装置30が実行する情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0058】
受信部38Cは、センサ送信データを受信したか否かを判断する(ステップS100)。ステップS100で否定判断すると(ステップS100:No)、本ルーチンを終了する。ステップS100で肯定判断すると(ステップS100:Yes)、ステップS102へ進む。
【0059】
ステップS102では、特定部38Dが、ステップS100で受信したセンサ送信データに含まれるセンサIDが要素分解管理情報36Aに登録されているか否かを判断する(ステップS102)。ステップS102で否定判断すると(ステップS102:No)、本ルーチンを終了する。ステップS102で肯定判断すると(ステップS102:Yes)、ステップS104へ進む。
【0060】
ステップS104では、特定部38Dは、ステップS100で受信したセンサ送信データに含まれるセンサIDに対応する要素分解情報を要素分解管理情報36Aから特定する。
【0061】
次に、要素分解処理部38Eは、ステップS104で特定した要素分解情報に含まれる要素名称によって表される要素ごとに、ステップS106~ステップS114の処理を実行する。
【0062】
詳細には、要素分解処理部38Eは、ステップS104で特定した要素分解情報を用いて、ステップS100で受信したセンサデータにおける要素を表すデータ列の格納位置に格納されたデータ列を、処理対象の要素の計測結果を表すデータ列として抽出する(ステップS106)。そして、要素分解処理部38Eは、ステップS106で抽出したデータ列をエンディアンに応じてエンディアン変換したデータ列とする(ステップS108)。そして、要素分解処理部38Eは、エンディアン変換したデータ列に対して、符号有無に応じて符号を付与する(ステップS110)。また、要素分解処理部38Eは、エンディアン変換したデータ列を10進数に変換した値(val)に対して、演算式による演算を行う(ステップS112)。
【0063】
そして、要素分解処理部38Eは、演算結果を表す値に要素名称よび単位を付加した要素分解結果を、該要素名称の要素の計測データとして記憶する(ステップS114)。
【0064】
要素分解処理部38Eは、ステップS104で特定した要素分解情報に含まれる要素名称によって表される要素ごとに、ステップS106~ステップS114の処理を実行すると、ステップS116へ進む。
【0065】
ステップS116では、出力制御部38Fが、要素分解処理部38Eの要素分解処理による要素ごとの要素分解結果を出力する(ステップS116)。そして、本ルーチンを終了する。
【0066】
以上説明したように、本実施形態の情報処理装置30は、受信部38Cと、特定部38Dと、要素分解処理部38Eと、を備える。受信部38Cは、センサ10から、センサ10のセンサID(センサ識別情報)およびセンサデータを含むセンサ送信データを受信する。特定部38Dは、センサIDとセンサデータの要素分解情報とを対応付けた要素分解管理情報36Aから、受信したセンサ送信データに含まれるセンサIDに対応する要素分解情報を特定する。要素分解処理部38Eは、特定した要素分解情報を用いてセンサ送信データに含まれるセンサデータの要素分解処理を行う。
【0067】
ここで、情報処理システム1に含まれる複数のセンサ10は、センサ10の種類やバージョン等により、センサデータのどの部分にどのような要素に関する情報がどのような形態で含まれているかといったフォーマットや要素の表現方法が様々である。このため、従来技術では、新たなセンサ10の設置または移設や、センサ10のバージョン変更等が発生した場合、各々のセンサ10ごとに、センサ10や中継装置20や制御部38のプログラム等の変更及び開発などが必要であった。
【0068】
一方、本実施形態の情報処理装置30は、センサ10の種類やバージョン等によって様々な表現方法やデータフォーマットによって表されるセンサデータを、要素分解管理情報36Aを用いて要素分解処理する。このため、本実施形態の情報処理装置30は、新たなセンサ10が情報処理システム1に追加または移設された場合や、センサ10の種類やバージョン等が変更された場合であっても、センサ10のプログラムや中継装置20や制御部38のプログラムを変更することなく、該センサ10から受信したセンサデータを要素分解処理することができる。すなわち、本実施形態の情報処理装置30は、様々なセンサ10に容易に対応することが可能となる。
【0069】
従って、本実施形態の情報処理装置30は、様々なセンサ10に容易に対応可能な汎用性を有するシステムを提供することができる。
【0070】
また、本実施形態の情報処理装置30は、センサ10のプログラムの変更、中継装置20や制御部38のプログラムの変更、またはセンサ10に容易に対応する専用機器の新たな設置を必要とすることなく、新たに設置または移設されたセンサ10やセンサ10のバージョン変更等に対応することができる。このため、本実施形態の情報処理装置30は、上記効果に加えて、開発時間の低減、コストの削減、および情報処理システム1に関わるユーザの負荷削減、を図ることができる。
【0071】
また、本実施形態の情報処理装置30は、要素分解管理情報36Aを用いて要素分解処理を行うため、複数種類のセンサ10の混在環境に対応可能となり、複数種類のセンサ10を統一されたプラットフォームで管理することが可能となる。このため、本実施形態の情報処理装置30は、ユーザの利便性向上を図ることができる。
【0072】
また、本実施形態の情報処理装置30は、要素分解管理情報36Aを用いて要素分解処理を行うため、情報処理装置30の情報処理時に用いるプログラムのコード量の削減を図ることができる。このため、本実施形態の情報処理装置30は、ソフトウェア変更による不具合混入のリスク低減を図ることができ、情報処理装置30の安定性向上、開発工数の軽減、対応可能なセンサ10の拡大、センサデータに対する補正値の自動適用、システム構築時間の短縮、コスト削減、適応可能なセンサ10の異なるハードウェアのソフト開発工数の削減、等を図ることができる。このため、本実施形態の情報処理装置30を有する情報処理システム1は、情報処理システム1のコスト削減を図ることができる。
【0073】
次に、上記実施形態の情報処理装置30の、ハードウェア構成の一例を説明する。
【0074】
図8は、上記実施形態の情報処理装置30の一例のハードウェア構成図である。
【0075】
上記実施形態の情報処理装置30は、CPU50Aなどの制御装置と、ROM(Read Only Memory)50BやRAM(Random Access Memory)50CやHDD(ハードディスクドライブ)などの記憶装置と、各種機器とのインターフェースであるI/F部50Dと、各部を接続するバス50Eとを備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0076】
上記実施形態の情報処理装置30では、CPU50Aが、ROM50BからプログラムをRAM50C上に読み出して実行することにより、上記各機能がコンピュータ上で実現される。
【0077】
なお、上記実施形態の情報処理装置30で実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、HDDに記憶されていてもよい。また、上記実施形態の情報処理装置30で実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、ROM50Bに予め組み込まれて提供されていてもよい。
【0078】
また、上記実施形態の情報処理装置30で実行される上記処理を実行するためのプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供されるようにしてもよい。また、上記実施形態の情報処理装置30で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしてもよい。また、上記実施形態の情報処理装置30で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。
【0079】
なお、上記には、本発明の実施形態および変形例を説明したが、上記実施形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態および変形例やこれらの変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1 情報処理システム
10 センサ
20 中継装置
30 情報処理装置
38A 受付部
38B 登録部
38C 受信部
38D 特定部
38E 要素分解処理部
38F 出力制御部