(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169113
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】扉体
(51)【国際特許分類】
E06B 3/82 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
E06B3/82
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086319
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】仙北谷 美紗
【テーマコード(参考)】
2E016
【Fターム(参考)】
2E016HA10
2E016JA11
2E016JC01
2E016KA05
2E016LA15
2E016LB03
2E016LC01
2E016MA11
2E016MA25
2E016NA02
2E016PA03
2E016QA14
2E016RA01
2E016RA03
(57)【要約】
【課題】
化粧パネルを備えた扉体の製造における生産性を向上させる。
【解決手段】
扉本体1と化粧パネル5と、からなる扉体であって、化粧パネル5は、見付面部60が扉表面材にリベットRで固定されたパネル下地材6と、中間内側見付面部71と、外側見付面部70と、を備え、中間内側見付面部71がパネル下地材6の見付面部60及び扉表面材にリベットRで固定された金属製のパネルライナー7と、見付面部80と、左右の見込面部83を備え、見付面部80が外側見付面部70に接着されてパネル表面材8と、からなる。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉本体と、扉本体の見付面を形成する扉表面材に装着された化粧パネルと、からなる扉体であって、
前記化粧パネルは、
見付面部を備え、前記見付面部が前記扉表面材に固定されたパネル下地材と、
内側見付面部と、外側見付面部と、前記内側見付面部と前記外側見付面部を接続する見込面部と、を備え、前記内側見付面部が前記パネル下地材の前記見付面部に固定された金属製のパネルライナーと、
見付面部と、左右の見込面部を備え、前記見付面部が前記外側見付面部に固定されており、前記パネルライナーを隠蔽しているパネル表面材と、
からなる、扉体。
【請求項2】
前記パネル下地材の前記見付面部は、複数本の止着部材によって前記扉表面材に固定されており、
前記パネルライナーの前記内側見付面部は、当該パネルライナーの幅方向中間に位置する中間内側見付面部を含み、
前記パネルライナーの前記中間内側見付面部は、前記パネル下地材の前記見付面部と共に前記複数本の止着部材の一部の止着部材で、前記扉表面材に固定されている、
請求項1に記載の扉体。
【請求項3】
前記パネルライナーの前記内側見付面部は、前記左右の側面部の端部に形成された左右の内側見付面部を含み、
前記パネルライナーの前記内側見付面部と前記パネル下地材の前記見付面部は接着されており、
前記パネルライナーの前記外側見付面部と前記パネル表面材の前記見付面部は接着されている、
請求項1、2いずれか1項に記載の扉体。
【請求項4】
前記化粧パネルの上下端には上側キャップ、下側キャップがそれぞれ装着されており、
前記パネル下地材は、前記見付面部の上下端に形成した水平状の上辺と下辺とを備え、
前記パネル表面材は、前記見付面部の上下端に形成した水平状の上辺と下辺とを備え、
前記パネル下地材の前記上辺と前記パネル表面材の前記上辺は重なり部を有しており、
前記パネル下地材の前記下辺と前記パネル表面材の前記下辺は重なり部を有しており、
前記上側キャップは、上辺の重なり部に止着部材で固定されており、
前記下側キャップは、下辺の重なり部に止着部材で固定されている、
請求項1に記載の扉体。
【請求項5】
前記止着部材はリベットであり、
前記上辺の重なり部において、前記パネル表面材の前記上辺は前記パネル下地材の前記上辺の上側に位置しており、
前記下辺の重なり部において、前記パネル表面材の前記下辺は前記パネル下地材の前記下辺の下側に位置しており、
前記リベットの尾部は前記パネル下地材の前記上辺及び前記下辺にそれぞれ形成された孔部内にクリアランスを有して位置している、
請求項4に記載の扉体。
【請求項6】
前記キャップには、水抜き孔が形成されている、
請求項4、5いずれか1項に記載の扉体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉体に係り、詳しくは、見付面に化粧パネルを備えた扉体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
玄関ドア等において、扉体の表面に化粧パネルを取付けることで、ドアの意匠性を向上させたものがある(特許文献1)。従来の化粧パネルは、芯材としてペーパコアを用いており、化粧パネル下地材をドアの表面に取り付けた後、下地内部にペーパコアを挿入し、化粧パネル表面材を上に被せてホットプレス(又はコールドプレス)によって貼り合わせて化粧パネルを形成している。
【0003】
ここで、扉本体は、一方の表面材上に接着して組まれた四周枠状のフレーム内に芯材を配置して、他方の表面材を被せて接着し、ホットプレス(又はコールドプレス)によって貼り合わせて製造されることから、扉本体にホットプレス(又はコールドプレス)によって化粧パネルを形成することは、工場の製造ラインで扉本体を行き来させる必要があることを意味し、化粧パネルを備えた扉体の製造の生産性が悪くなっていた。
【特許文献1】特開2009-287253
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、化粧パネルを備えた扉体の製造における生産性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が採用した技術手段は、
扉本体と、扉本体の見付面を形成する扉表面材に装着された化粧パネルと、からなる扉体であって、
前記化粧パネルは、
見付面部を備え、前記見付面部が前記扉表面材に固定されたパネル下地材と、
内側見付面部と、外側見付面部と、前記内側見付面部と前記外側見付面部を接続する見込面部と、を備え、前記内側見付面部が前記パネル下地材の前記見付面部に固定された金属製のパネルライナーと、
見付面部と、左右の見込面部を備え、前記見付面部が前記外側見付面部に固定されており、前記パネルライナーを隠蔽しているパネル表面材と、
からなる、扉体。
【0006】
1つの態様では、前記扉本体の芯材はペーパーコアである。
1つの態様では、前記パネルライナーの前記見込面部は、当該パネルライナーの幅方向両端の側面部を含み、
前記パネルライナーの前記内側見付面部は、前記左右の側面部の端部に形成された左右の内側見付面部を含む。
1つの態様では、前記パネルライナーの前記内側見付面部は、当該パネルライナーの幅方向中間に位置する中間内側見付面部を含み、
前記パネルライナーの前記外側見付面部は、正面視において、前記中間内側見付面部の両側に位置する左右の外側見付面部を含む。
1つの態様では、前記パネル下地材は、前記見付面部の幅方向両端の左右の側面部を備え、
前記パネル表面材の前記見付面部の幅寸法は、前記パネル下地材の前記見付面部の幅寸法よりも大きく、
前記パネル表面材の前記左右の見込面部の端部には左右の内側見付片が形成されており、
前記左右の内側見付片の先端は、前記パネル下地材の前記側面部に近接ないし当接している。
前記止着部材としては、リベットないし螺子を例示することができる。
【0007】
1つの態様では、前記パネル下地材の前記見付面部は、複数本の止着部材によって前記扉表面材に固定されており、
前記パネルライナーの前記内側見付面部は、当該パネルライナーの幅方向中間に位置する中間内側見付面部を含み、
前記パネルライナーの前記中間内側見付面部は、前記パネル下地材の前記見付面部と共に前記複数本の止着部材の一部の止着部材で、前記扉表面材に固定されている。
【0008】
1つの態様では、前記パネルライナーの前記内側見付面部は、前記左右の側面部の端部に形成された左右の内側見付面部を含み、
前記パネルライナーの前記内側見付面部と前記パネル下地材の前記見付面部は接着されており、
前記パネルライナーの前記外側見付面部と前記パネル表面材の前記見付面部は接着されている。
【0009】
1つの態様では、前記化粧パネルの上下端には上側キャップ、下側キャップがそれぞれ装着されており、
前記パネル下地材は、前記見付面部の上下端に形成した水平状の上辺と下辺とを備え、
前記パネル表面材は、前記見付面部の上下端に形成した水平状の上辺と下辺とを備え、
前記パネル下地材の前記上辺と前記パネル表面材の前記上辺は重なり部を有しており、
前記パネル下地材の前記下辺と前記パネル表面材の前記下辺は重なり部を有しており、
前記上側キャップは、上辺の重なり部に止着部材で固定されており、
前記下側キャップは、下辺の重なり部に止着部材で固定されている。
【0010】
1つの態様では、前記止着部材はリベットであり、
前記上辺の重なり部において、前記パネル表面材の前記上辺は前記パネル下地材の前記上辺の上側に位置しており、
前記下辺の重なり部において、前記パネル表面材の前記下辺は前記パネル下地材の前記下辺の下側に位置しており、
前記リベットの尾部は前記パネル下地材の前記上辺及び前記下辺にそれぞれ形成された孔部内にクリアランスを有して位置している。
【0011】
1つの態様では、前記キャップには、水抜き孔が形成されている。
1つの態様では、前記パネル下地材は、前記見付面部と、前記見付面部の幅方向左右に形成した側辺と、からなり、前記水抜き孔は、前記パネル下地材の前記見付面部と前記側辺との角部の直下に位置している。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る化粧パネルにおいて、従来の芯材(ペーパコア等)に代えて、金属製のパネルライナーを採用したことで、扉体に設けられる化粧パネルを、止着部材(リベット等)や接着により組み立てることを可能とし、従来のように、ホットプレス(又はコールドプレス)によって化粧パネルを成形する必要が無いため、化粧パネルの取付のために、扉本体を成形した後に、再び、工場の製造ラインを行き来する必要が無く、化粧パネルを備えた扉体の製造における生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図5】本実施形態に係る化粧パネルのパネル下地材を表す図である。
【
図6】本実施形態に係る化粧パネルのパネルライナーを表す図である。
【
図7】本実施形態に係る化粧パネルのパネル表面材を表す図である。
【
図8】本実施形態に係る化粧パネルのキャップを表す図である。
【
図9】
図5に示すパネル下地材を扉本体の表面材に固定した状態を示す図であり、上図は下図の矢視断面図である。
【
図10】
図9に示す状態において、
図6に示すパネルライナーを固定した状態を示す図であり、上図は下図の矢視断面図である。
【
図11】
図10に示す状態において、
図7に示すパネル表面材を固定した状態を示す図である。
【
図12】
図11に示す状態において、
図7に示すキャップを固定した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[A]扉体の全体構成
図1は、本実施形態に係る玄関ドアを室外側から見た正面図である。
図2は、同玄関ドアの縦断面図、
図3は、同玄関ドアの横断面図である。玄関ドアを構成する扉本体1は、上フレーム1a、下フレーム1b、左右の縦フレーム1c、1dとからなる四周枠状のフレームと、フレーム1a、1b、1c、1dに対して装着された室外側表面材2及び室内側表面材3と、室外側表面材2と室内側表面材3との間の中空部に充填されたペーパコアからなる芯材4と、を備えている。扉本体1の室外側見付面は、室外側表面材2からなり、室内側見付面は、室内側表面材3からなる。室外側表面材2、室内側表面材3は鋼板から形成されており、周縁部を折り曲げることで、扉本体1の上面、下面、左右の側面を形成している。
図2に示すように、扉本体1の室外側見付面を形成する室外側表面材2は、主面部である室外側見付面20と、上辺21、下辺22を備え、扉本体1の室内側見付面を形成する室内側表面材2は、主面部である室内側見付面30と、上辺31、下辺32を備えている。
【0015】
扉本体1の幅方向の中央部位には、高さ方向に延出する嵌め殺しのガラス板Gが設けてある。扉本体1には、上枠1e、下枠1f、側枠1g、1hからなる方形状のガラス用枠が形成されており、ガラス用枠にガラス板Gを嵌め込んで、押縁1i、1jで固定している。扉本体1は、ホットプレス(又はコールドプレス)によって、四周枠状のフレームに室外側表面材2、室内側表面材3を貼り付けることで形成される。
【0016】
扉本体1の室外側見付面20には、扉本体1の高さ方向に延出する3つの化粧パネル5が扉本体1の幅方向に間隔を存して並行状に形成されている。中央の化粧パネル5は、ガラス板Gの前面に位置するように配置されている。化粧パネル5の個数は限定されない。扉本体1の幅方向一端側には、扉体をドア枠10に対して回動可能に装着するための丁番11が設けてあり、扉本体1に設けたハンドルHを持って扉体を回動させて開口部を開閉するようになっている。
【0017】
[B]化粧パネル
[B-1]全体構成
本実施形態に係る化粧パネル5の構成について詳細に説明する。
図1、
図2に示すように、本実施形態に係る化粧パネル5は縦長であり、扉本体1と略同じ高さ寸法を有している。化粧パネル5は、パネル下地材6と、パネルライナー7と、パネル表面材8と、から概ね縦長箱形状に組み立てられており、化粧パネル5は、パネル下地材6において扉本体1の室外側見付面(室外側表面材2)に取り付けられている。化粧パネル5の上下端にはキャップ9が装着されている。化粧パネル5を構成するパネル下地材6、パネル表面材8は共に、扉本体1の表面材2,3に用いる鋼板と同じ肉薄の鋼板を折曲加工することで形成されており、パネルライナー7によって強度が確保されている。
【0018】
[B-2]パネル下地材
本実施形態に係る化粧パネル下地材6は、扉本体1の高さ方向に延びる長尺部材であり、
図5に示すように、縦長の長方形状の見付面部60と、見付面部60の上端に一体形成されて水平状に延びる上辺61と、見付面部60の下端に一体形成された水水平状に延びる下辺62と、見付面部60の幅方向両端に一体形成されて見付面部60に対して垂直に立ち上がる左右の側辺63と、から形成されている。
【0019】
図示の態様では、上辺61、下辺62の見付寸法(長さ寸法)は、見付面部60の見付寸法(幅寸法)よりも小さい。側辺63の高さ寸法は見付面部60の高さ寸法と同じである。上辺61、下辺62の見込寸法(幅寸法)は、側辺63の見込寸法(幅寸法)よりも大きい。
【0020】
化粧パネル下地材6の見付面部60には、幅方向及び高さ方向に間隔を存して複数の孔部600、601が形成されている。化粧パネル下地材6の見付面部60の幅方向中央に位置して、高さ方向に間隔を存して複数の孔部601が形成されており、孔部601からなる縦列の左右に位置して、それぞれ、高さ方向に間隔を存してい複数の孔部600が形成されている。上辺61には、幅方向両端に寄った部位に孔部610が形成されており、下辺62には、幅方向両端に寄った部位に孔部620(
図9参照)が形成されている。
【0021】
[B-2]パネルライナー
本実施形態に係るパネルライナー7は、扉本体1の高さ方向に延びる鋼製(スチール製)の長尺部材であり、化粧パネル5の内部空間の形状に対応する断面形状を有しており、化粧パネル5の内部空間を形成する化粧パネル下地材6の見付面部60に少なくとも部分的に当接する内側見付面部(71、74)と、パネル表面材8の見付面部80に少なくとも部分的に当接する外側見付面部(70)と、前記内側見付面部と前記外側見付面部を接続する見込面部(72、73)と、を備えている。
【0022】
図6に示すように、本実施形態に係るパネルライナー7は、左右の外側見付面部70と、左右の外側見付面部70の間に位置する中間内側見付面部71と、中間内側見付面部71と左右の外側見付面部70をそれぞれ連結する左右の中間見込面部72と、左右の外側見付面部70の端部からそれぞれ内側に見込方向に延びる左右の側面部73と、左右の側面部73の端部に形成された左右の内側見付面部74と、から形成されている。図示の態様では、3つの内側見付面部(71、74、74)と、2つの外側見付面部(70、70)と、4つの見込面部(72、72、73、73)と、を備えている。
【0023】
中間内側見付面部71には、高さ方向に亘って複数の孔部710が形成されている。パネルライナー7をパネル下地材6に位置合わして取り付ける際に、パネルライナー7の中間内側見付面部71の孔部710と、パネル下地材6の見付面部60の孔部601が一致するようになっている。パネルライナー7の左右の側面部73の見込寸法は、パネル下地材6の側辺63の見込寸法よりも少し大きい。パネルライナー7の高さ寸法は、パネル下地材6の高さ寸法よりも少し小さい。
【0024】
パネルライナー7の内側見付面部、具体的には、中間内側見付面部71、左右の内側見付面部74には接着テープ(VHBテープ)75が設けられおり、パネルライナー7は、接着テープ75を介して、内側見付面部(71、74)がパネル下地材6の見付面部60に接着されるようになっている。パネルライナー7の外側見付面部、すなわち、左右の外側見付面部70には接着テープ75が設けられおり、パネル表面材8の見付面部80が接着されるようになっている。
【0025】
[B-3]パネル表面材
図7に示すように、本実施形態に係るパネル表面材8は、扉本体1の高さ方向に延びる長尺部材であり、縦長の長方形状の見付面部80と、見付面部80の上端に一体形成されて水平状に延びる上辺81と、見付面部80の下端に一体形成された水平状に延びる下辺82と、見付面部80の幅方向両端に一体形成されて見付面部80に対して垂直に立ち上がる左右の見込面部83と、左右の見込面部83の先端に形成された左右の端部見付辺84と、から形成されている。
【0026】
上辺81、下辺82の長さ方向両端部位は平面視において段部形状となっており、幅狭部811、821となっている。左右の見込面部83の見込寸法は、上辺81、下辺82の見込寸法(幅寸法)よりも小さく、幅狭部811、821の見込寸法(幅寸法)と略同じである。左右の端部見付辺84は、幅狭部811、821の見付寸法と略同じである。
【0027】
パネル表面材8の見付面部80の見付寸法(幅寸法)は、パネル下地材6及びパネルライナー7の見付寸法よりも大きい。より具体的には、パネル表面材8の見付面部80の見付寸法から左右の幅狭部811、821の見付寸法を除いた寸法は、パネル下地材6及びパネルライナー7の見付寸法と略同じである。パネル表面材8の高さ寸法は、パネル下地材6の高さ寸法よりも少し大きい。
【0028】
[B-4]キャップ
図8に示すように、本実施形態に係るキャップ9は、化粧パネル5の幅方向に延びる長尺状の面部90と、面部90の長さ方向両端に形成された左右の側縁部91と、面部90の前縁に形成された前縁部92と、からなり、面部90は三方によって縁部によって囲まれている。面部90には、長さ方向の両端に寄った部位に孔部900が形成されている。面部90の後縁には、長さ方向の両端に寄った部位に凹部901が形成されている。本実施形態では、上側キャップ及び下側キャップは同じ部材から形成されている。
【0029】
[C]化粧パネルの取付
[C-1]パネル下地材の取付
図9に示すように、本実施形態に係る化粧パネル下地材6は、見付面部60を、扉本体1の室外側見付面20の所定部位に当接させ、孔部600に打ち込んだ複数のリベットRによって、見付面部60を扉本体1の室外側見付面20に固定する。後述するように、本実施形態では、一部のリベットR は、パネル下地材6の見付面部60及びパネルライナー7の中間内側見付面部71を室外側見付面20に対して共締めする。
【0030】
[C-2]パネルライナーの取付
図10に示すように、パネルライナー7の中間内側見付面部71の孔部710を、パネル下地材6の見付面部60の孔部601に一致させて、中間内側見付面部71をパネル下地材6の見付面部60に当接させた状態で、孔部601、710に打ち込んだリベットRによって、扉本体1の室外側見付面20に対して共締めする。本実施形態では、パネルライナー7をリベットRでパネル下地材6と共に扉本体1の室外側見付面20に固定することで、化粧パネル5のサイズが大きくなった場合であっても、リベット本数を調整することで、所望の固定強度を得ることができるため、芯材の接着強度に依存する必要が無い。
【0031】
本実施形態では、さらに、パネルライナー7の内側見付面部、すなわち、中間内側見付面部71、左右の内側見付面部74には接着テープ75が設けられおり、パネルライナー7の内側見付面部(71、74)を、接着テープ75を介して、パネル下地材6の見付面部60に安定的に接着させる。本実施形態に係るパネルライナー7はリベットR及び接着テープ75(全ての内側見付面部71、74に同厚の接着テープ75が設けられる)によって、パネル下地材6に固定されるため、パネルライナー7のより安定的な固定状態を確保することができる。パネルライナー7の中間内側見付面71の固定において、固定強度を考えるとリベットRによる室外側見付面20への固定(パネル下地材6の見付面部60と共締め)で十分であるが、中間内側見付面71の幅方向中央(リベットRの装着部位)の両側に2列で接着テープ75を設けてパネル下地材6の見付面部60と接着させることで、リベットRで締結した時に、パネルライナー7の左右の外側見付面部70が平面視において傾斜ないし傾くことを防止している。
【0032】
図10に示すように、パネル下地材6の見付面部60に接着されたパネルライナー7の左右の側面部73の外側には、パネル下地材6の側辺63が近接対向している。パネルライナー7の左右の側面部73の見込寸法は、パネル下地材6の側辺63の見込寸法よりも少し大きく、パネルライナー7の外側見付面部70は、パネル下地材6の側辺63の先端よりも外側に位置している。また、平面視において、パネルライナー7の外側見付面部70は、パネル下地材6の上辺61、下辺62の先端と略同じ位置にある。
【0033】
パネルライナー7の高さ寸法は、パネル下地材6の高さ寸法よりも少し小さく、パネルライナー7をパネル下地材6に接着した時に、パネルライナー7の上端の上側にパネル下地材6の上辺61が近接して位置し、パネルライナー7の下端の下側にパネル下地材6の下辺62が近接して位置するようになっている。
【0034】
[C-3]パネル表面材の取付
パネルライナー7の左右の外側見付面部70には接着テープ75が設けられており、パネル表面材8を、パネル表面材8の見付面部80を、接着テープ75を介してパネルライナー7の外側見付面部70に接着させて、パネルライナー7に被せることで、パネル表面材8はパネルライナー7を隠蔽するように取り付けられる。
【0035】
パネル表面材8を正面からパネルライナー7に取り付けた時に、左右の端部見付辺84の先端が、パネル下地材6の左右の側辺63に近接するようになっており、化粧パネル5の見込面は、パネル表面材8の見込面部83と、パネル下地材6の側辺63と、から形成される(
図2参照)。なお、パネル下地材6の側辺63は、パネル表面材8の見込面部83に対して奥まって位置するので、パネル表面材8の見込面部83が化粧パネル5の主見込面となっている。
【0036】
パネル表面材8の高さ寸法は、パネル下地材6の高さ寸法よりも少し大きく、パネル表面材8をパネルライナー7に取り付けた状態において、パネル表面材8の上辺81が、パネル下地材6の上辺61の上側に重なるように位置し、パネル表面材8の下辺82が、パネル下地材6の下辺62の下側に重なるように位置している。
【0037】
叙上のように、本実施形態に係る化粧パネル5の組立において、パネル下地材6及びパネルライナー7はリベットRによって扉本体1の室外側見付面20に固定され、パネル表面材8は接着テープ75によって、パネルライナー7に固定されており、従来のように、ホットプレス(又はコールドプレス)によって化粧パネル5を成形する必要が無いため、化粧パネル5の取付のために、扉本体1を成形した後に、再び、工場の製造ラインを行き来する必要が無く、化粧パネルを備えた扉体の製造における生産性の向上につながる。
【0038】
[C-4]キャップの取付
化粧パネル5(パネル下地材6、パネルライナー7、パネル表面材8)の上端に上側キャップ9を被せてリベットRで固定し、化粧パネル5(パネル下地材6、パネルライナー7、パネル表面材8)の下端に下側キャップ9を被せてリベットRで固定する。
【0039】
パネル表面材8をパネルライナー7に固定した状態において、パネル表面材8の上辺81の孔部810は、パネル下地材6の上辺61の孔部610の直上に位置して一致しており、下辺82の孔部(図示せず)は、パネル下地材6の下辺62の孔部620の直下に位置して一致している。パネル下地材6に形成された孔部610、620の径は、パネル表面材8に上辺81に形成された孔部810、下辺82に形成された孔部(図示せず)の径よりも大径である。パネル下地材6の上辺61、下辺62に形成した孔部610、620の径を大きくすることで、工場における上下のキャップ9の組立固定作業において、組立公差に良好に対処することが可能となる。
【0040】
本実施形態に係るキャップ9の固定構造について、
図13を参照しつつ、上側キャップ9の固定構造に基づいて説明する。図示しないものの、下側キャップ9の固定構造も同様であり、以下の記載を適宜援用することができる。パネル表面材8の上辺81はパネル下地材6の上辺61の上側に位置して重なり部を形成しており、キャップ9の面部90の孔部900、パネル表面材8の上辺81の孔部810、パネル下地材6の上辺61の孔部610が高さ方向に一致した状態で、リベットRで締結する。
【0041】
リベットRの頭部R1は、キャップ9の面部90の孔部900に位置し、軸部R2は、キャップ9の面部90の孔部900及びパネル表面材8の上辺81の孔部810に位置し、尾部R3はパネル下地材6の上辺61の孔部610内にクリアランスを有して位置している。
【0042】
この状態において、仮に、パネル表面材8をパネルライナー7に接着する接着力が弱くなって、パネル表面材8が扉本体1の室外側見付面から離れる方向に離脱しようとした場合には、パネル表面材8の上辺81の直下に近接ないし当接してパネル下地材6の上辺61が位置し、パネル表面材8の下辺82の直上に近接ないし当接してパネル下地材6の下辺62が位置し、パネル表面材8の上下動が規制されており、リベットRの尾部R3が、パネル下地材6の上辺61の孔部610内で拘束されているので、パネル表面材8を止めているリベットRが室外側見付面から離れる方向に移動することが規制され、パネル表面材8の離脱が防止される。
【0043】
キャップ9が化粧パネル5の上下端に装着された状態において、キャップ9の面部90に形成した凹部901と扉本体1の室外側見付面20とで孔部が形成され、特に、下側のキャップ9によって形成される孔部は水抜き孔として機能する。
図4、
図12に示すように、水抜き孔は、扉本体1の室外側見付面20とパネル下地材6の側辺63によって形成される隅部、及び、パネル下地材6の見付面部60と側辺63によって形成される角部の直下に位置して形成されているため、特に、パネル下地材6の内部に侵入した雨水を良好に排出させることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 扉本体
2 室外側表面材(扉表面材)
20 室外側見付面
5 化粧パネル
6 パネル下地材
60 見付面部
61 上辺
610 孔部
62 下辺
620 孔部
7 パネルライナー
70 外側見付面部
71 中間内側見付面部(内側見付面部)
72 中間見込面部(見込面部)
73 側面部(見込面部)
74 左右の内側見付面部(内側見付面部)
75 接着テープ
8 パネル表面材
80 見付面部
81 上辺
82 下辺
83 見込面部
9 キャップ(上側キャップ、下側キャップ)
901 凹部(水抜き孔)
R リベット(止着部材)
R3 尾部