(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169128
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】ベイパーチャンバー、放熱装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
F28D 15/02 20060101AFI20241128BHJP
H01L 23/427 20060101ALI20241128BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
F28D15/02 102H
F28D15/02 101H
F28D15/02 L
H01L23/46 B
H05K7/20 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086345
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】武田 利彦
(72)【発明者】
【氏名】太田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】小田 和範
(72)【発明者】
【氏名】寺内 崇之
(72)【発明者】
【氏名】山木 誠
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 雅史
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA06
5E322AA11
5E322DB12
5E322EA11
5E322FA01
5E322FA04
5F136CC14
5F136CC23
5F136CC24
5F136CC26
5F136FA03
(57)【要約】
【課題】デバイスの冷却効率を向上できるベイパーチャンバーを提供する。
【解決手段】本開示によるベイパーチャンバーは、基端部と、基端部から延びる第1枝部と、基端部から延びる第2枝部と、を備えている。第1枝部は、第1対向部を含み、第2枝部は、ベイパーチャンバーの厚さ方向において第1対向部に対向して離間した第2対向部を含んでいる。第1空間部及び第1液流路部は、基端部から第1対向部に延びている。第2空間部及び第2液流路部は、基端部から第2対向部に延びている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体が封入されるベイパーチャンバーであって、
基端部と、
前記基端部から延びる第1枝部であって、第1対向部を含む第1枝部と、
前記基端部から延びる第2枝部であって、前記ベイパーチャンバーの厚さ方向において前記第1対向部に対向して離間した第2対向部を含む第2枝部と、
前記基端部から前記第1対向部に延びる第1空間部と、
前記基端部から前記第1対向部に延びる第1液流路部と、
前記基端部から前記第2対向部に延びる第2空間部と、
前記基端部から前記第2対向部に延びる第2液流路部と、
を備えた、ベイパーチャンバー。
【請求項2】
前記第1空間部及び前記第2空間部は、前記基端部において互いに連通している、
請求項1に記載のベイパーチャンバー。
【請求項3】
前記第1枝部は、前記基端部とは反対側に位置する第1端部を含み、
前記第2枝部は、前記基端部とは反対側に位置する第2端部を含み、
前記第2端部は、前記第1端部よりも前記基端部から遠い位置に位置している、
請求項1又は2に記載のベイパーチャンバー。
【請求項4】
前記第1対向部及び前記第2対向部に、デバイスから熱を受けて前記作動流体が蒸発する蒸発領域が位置している、
請求項1又は2に記載のベイパーチャンバー。
【請求項5】
前記基端部に、デバイスから熱を受けて前記作動流体が蒸発する蒸発領域が位置している、
請求項1又は2に記載のベイパーチャンバー。
【請求項6】
前記第1空間部と前記第2空間部は、互いに分断されている、
請求項1又は2に記載のベイパーチャンバー。
【請求項7】
第1ベイパーチャンバー本体と、第2ベイパーチャンバー本体と、を備え、
前記第1ベイパーチャンバー本体は、前記基端部を構成する、前記第1枝部に連続状に接続された第1基端部と、前記第1枝部と、を含み、
前記第2ベイパーチャンバー本体は、前記基端部を構成する、前記第2枝部に連続状に接続された第2基端部と、前記第2枝部と、を含み、
前記第1基端部は、前記第2基端部に重なって接合されている、
請求項1又は2に記載のベイパーチャンバー。
【請求項8】
前記第1基端部は、第1連通部を含み、
前記第2基端部は、前記第1連通部に連通した第2連通部を含み、
前記第1連通部及び前記第2連通部は、前記第1空間部と前記第2空間部を連通している、
請求項7に記載のベイパーチャンバー。
【請求項9】
前記第1ベイパーチャンバー本体は、前記第1対向部と前記第1基端部との間で屈曲されている、
請求項7に記載のベイパーチャンバー。
【請求項10】
前記第2ベイパーチャンバー本体は、平坦状に形成されている、
請求項9に記載のベイパーチャンバー。
【請求項11】
前記基端部から延びるとともに前記第2枝部に対して前記第1枝部とは反対側に位置する第3枝部であって、前記ベイパーチャンバーの厚さ方向において前記第2対向部に対向して離間した第3対向部を含む第3枝部と、
前記第3対向部から前記基端部に延びる第3空間部と、
前記第3対向部から前記基端部に延びる第3液流路部と、
を更に備えた、請求項1又は2に記載のベイパーチャンバー。
【請求項12】
ハウジングと、
前記ハウジング内に収容されたデバイスと、
前記デバイスに熱的に接続された、請求項1又は2に記載のベイパーチャンバーと、
を備えた、電子機器。
【請求項13】
請求項1又は2に記載のベイパーチャンバーと、
前記基端部に熱的に接続された放熱体と、
を備えた、放熱装置。
【請求項14】
前記放熱体は、前記基端部及び前記第2対向部に熱的に接続されている、
請求項13に記載の放熱装置。
【請求項15】
前記第1枝部は、前記基端部とは反対側に位置する第1端部を含み、
前記第2枝部は、前記基端部とは反対側に位置する第2端部を含み、
前記第2端部は、前記第1端部よりも前記基端部から遠い位置に位置している、
請求項13に記載の放熱装置。
【請求項16】
前記第1枝部は、前記第1対向部に対して前記基端部とは反対側に位置する第1延長部であって、前記第1対向部から延びる第1延長部を含み、
前記第2枝部は、前記第2対向部に対して前記基端部とは反対側に位置する第2延長部であって、前記第2対向部から延びる第2延長部を含み、
前記第1空間部及び前記第1液流路部は、前記第1対向部から前記第1延長部に延び、
前記第2空間部及び前記第2液流路部は、前記第2対向部から前記第2延長部に延び、
前記第1延長部及び前記第2延長部は互いに熱的に接続されている、
請求項13に記載の放熱装置。
【請求項17】
前記第1延長部及び前記第2延長部は、ボルトを用いて放熱体に締結されている、
請求項16に記載の放熱装置。
【請求項18】
ハウジングと、
前記ハウジング内に収容されたデバイスと、
前記デバイスに熱的に接続された、請求項13に記載の放熱装置と、
を備え、
前記デバイスは、前記第1対向部と前記第2対向部との間に位置している、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ベイパーチャンバー、放熱装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル端末等の電子機器には、発熱を伴う電子デバイスが用いられている。この電子デバイスの例としては、中央演算処理装置(CPU)、発光ダイオード(LED)及びパワー半導体等が挙げられる。モバイル端末の例としては、携帯端末及びタブレット端末等が挙げられる。
【0003】
このような電子デバイスは、ヒートパイプ等の放熱装置によって冷却されている(例えば、特許文献1参照)。近年では、電子機器の薄型化のために、放熱装置の薄型化が求められている。放熱装置として、ヒートパイプより薄くできるベイパーチャンバーの開発が進められている。ベイパーチャンバーは、封入された作動流体が電子デバイスの熱を吸収して内部で拡散することにより、電子デバイスを冷却する。
【0004】
より具体的には、ベイパーチャンバー内の作動液は、電子デバイスに近接した部分(蒸発領域)で電子デバイスから熱を受ける。熱を受けた作動液は蒸発して、作動蒸気になる。その作動蒸気は、ベイパーチャンバー内に形成された蒸気流路部内で、蒸発領域から離れる方向に拡散する。拡散した作動蒸気は冷却されて凝縮し、作動液になる。ベイパーチャンバー内には、毛細管構造(ウィック)としての液流路部が設けられている。液流路部の毛細管作用によって作動液は蒸発領域に輸送される。蒸発領域において、作動液は、再び熱を受けて蒸発する。このようにして、作動流体が、相変化、すなわち蒸発と凝縮とを繰り返しながらベイパーチャンバー内を還流する。このことにより、電子デバイスの熱がベイパーチャンバー内で拡散されて、ベイパーチャンバーから放出されている。このようにして、電子デバイスが冷却されている。しかしながら、電子デバイスの冷却効率の向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2018/221369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、デバイスの冷却効率を向上できるベイパーチャンバー、放熱装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本開示は、
作動流体が封入されるベイパーチャンバーであって、
基端部と、
前記基端部から延びる第1枝部であって、第1対向部を含む第1枝部と、
前記基端部から延びる第2枝部であって、前記ベイパーチャンバーの厚さ方向において前記第1対向部に対向して離間した第2対向部を含む第2枝部と、
前記基端部から前記第1対向部に延びる第1空間部と、
前記基端部から前記第1対向部に延びる第1液流路部と、
前記基端部から前記第2対向部に延びる第2空間部と、
前記基端部から前記第2対向部に延びる第2液流路部と、
を備えた、ベイパーチャンバーであってもよい。
【0008】
[2]本開示は、
前記第1空間部及び前記第2空間部は、前記基端部において互いに連通している、
[1]に記載のベイパーチャンバーであってもよい。
【0009】
[3]本開示は、
前記第1枝部は、前記基端部とは反対側に位置する第1端部を含み、
前記第2枝部は、前記基端部とは反対側に位置する第2端部を含み、
前記第2端部は、前記第1端部よりも前記基端部から遠い位置に位置している、
[1]又は[2]に記載のベイパーチャンバーであってもよい。
【0010】
[4]本開示は、
前記第1対向部及び前記第2対向部に、デバイスから熱を受けて前記作動流体が蒸発する蒸発領域が位置している、
[1]~[3]のいずれかに記載のベイパーチャンバーであってもよい。
【0011】
[5]本開示は、
前記基端部に、デバイスから熱を受けて前記作動流体が蒸発する蒸発領域が位置している、
[1]~[4]のいずれかに記載のベイパーチャンバーであってもよい。
【0012】
[6]本開示は、
前記第1空間部と前記第2空間部は、互いに分断されている、
[1]~[5]のいずれかに記載のベイパーチャンバーであってもよい。
【0013】
[7]本開示は、
第1ベイパーチャンバー本体と、第2ベイパーチャンバー本体と、を備え、
前記第1ベイパーチャンバー本体は、前記基端部を構成する、前記第1枝部に連続状に接続された第1基端部と、前記第1枝部と、を含み、
前記第2ベイパーチャンバー本体は、前記基端部を構成する、前記第2枝部に連続状に接続された第2基端部と、前記第2枝部と、を含み、
前記第1基端部は、前記第2基端部に重なって接合されている、
[1]~[6]のいずれかに記載のベイパーチャンバーであってもよい。
【0014】
[8]本開示は、
前記第1基端部は、第1連通部を含み、
前記第2基端部は、前記第1連通部に連通した第2連通部を含み、
第1連通部及び第2連通部は、前記第1空間部と前記第2空間部を連通している、
[7]に記載のベイパーチャンバーであってもよい。
【0015】
[9]本開示は、
前記第1ベイパーチャンバー本体は、前記第1対向部と前記第1基端部との間で屈曲されている、
[7]又は[8]に記載のベイパーチャンバーであってもよい。
【0016】
[10]本開示は、
前記第2基端部と前記第2枝部により第2ベイパーチャンバー本体が構成され、
前記第2ベイパーチャンバー本体は、平坦状に形成されている、
[7]~[9]のいずれかに記載のベイパーチャンバーであってもよい。
【0017】
[11]本開示は、
前記基端部から延びるとともに前記第2枝部に対して前記第1枝部とは反対側に位置する第3枝部であって、前記ベイパーチャンバーの厚さ方向において前記第2対向部に対向して離間した第3対向部を含む第3枝部と、
前記第3対向部から前記基端部に延びる第3空間部と、
前記第3対向部から前記基端部に延びる第3液流路部と、
を更に備えた、
[1]~[10]のいずれかに記載のベイパーチャンバーであってもよい。
【0018】
[12]本開示は、
ハウジングと、
前記ハウジング内に収容されたデバイスと、
前記デバイスに熱的に接続された、[1]~[11]のいずれかに記載のベイパーチャンバーと、
を備えた、電子機器であってもよい。
【0019】
[13]本開示は、
[1]~[11]のいずれかに記載のベイパーチャンバーと、
前記基端部に熱的に接続された放熱体と、
を備えた、放熱装置であってもよい。
【0020】
[14]本開示は、
前記放熱体は、前記基端部及び前記第2対向部に熱的に接続されている、
[13]に記載の放熱装置であってもよい。
【0021】
[15]本開示は、
前記第1枝部は、前記基端部とは反対側に位置する第1端部を含み、
前記第2枝部は、前記基端部とは反対側に位置する第2端部を含み、
前記第2端部は、前記第1端部よりも前記基端部から遠い位置に位置している、
[13]又は[14]に記載の放熱装置であってもよい。
【0022】
[16]本開示は、
前記第1枝部は、前記第1対向部に対して前記基端部とは反対側に位置する第1延長部であって、前記第1対向部から延びる第1延長部を含み、
前記第2枝部は、前記第2対向部に対して前記基端部とは反対側に位置する第2延長部であって、前記第2対向部から延びる第2延長部を含み、
前記第1空間部及び前記第1液流路部は、前記第1対向部から前記第1延長部に延び、
前記第2空間部及び前記第2液流路部は、前記第2対向部から前記第2延長部に延び、
前記第1延長部及び前記第2延長部は互いに熱的に接続されている、
[13]~[15]のいずれかに記載の放熱装置であってもよい。
【0023】
[17]本開示は、
前記第1延長部及び前記第2延長部は、ボルトを用いて放熱体に締結されている、
[16]に記載の放熱装置であってもよい。
【0024】
[18]本開示は、
ハウジングと、
前記ハウジング内に収容されたデバイスと、
前記デバイスに熱的に接続された、[13]~[17]のいずれかに記載の放熱装置と、
を備え、
前記デバイスは、前記第1対向部と前記第2対向部との間に位置している、
電子機器であってもよい。
【発明の効果】
【0025】
本開示によれば、デバイスの冷却効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本開示の第1の実施の形態による電子機器を説明する模式斜視図である。
【
図2】
図2は、本開示の第1の実施の形態によるベイパーチャンバーを示す概略断面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すベイパーチャンバーを示す平面図である。
【
図7】
図7は、
図2に示す第1本体シートの第1本体面を示す平面図である。
【
図8】
図8は、
図2に示す第1本体シートの第2本体面を示す平面図である。
【
図11】
図11は、
図2に示すベイパーチャンバーの変形例を示す概略断面図である。
【
図12】
図12は、
図2に示すベイパーチャンバーの他の変形例を示す概略断面図である。
【
図13】
図13は、
図2に示すベイパーチャンバーの他の変形例を示す概略断面図である。
【
図15】
図15は、本開示の第2の実施の形態による放熱装置を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺及び縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0028】
本明細書において用いる、幾何学的条件と、物理的特性と、幾何学的条件又は物理的特性の程度を特定する用語と、幾何学的条件又は物理的特性を示す数値等については、厳密な意味に縛られることなく解釈してもよい。そして、これらの幾何学的条件、物理的特性、用語、及び数値などについては、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈してもよい。幾何学的条件を特定する用語の例としては、「長さ」、「角度」、「形状」、「平行」、「直交」及び「同一」等が挙げられる。さらに、図面を明瞭にするために、同様の機能を期待し得る複数の部分の形状を、規則的に記載している。しかしながら、厳密な意味に縛られることなく、当該機能を期待できる範囲内で、当該部分の形状は互いに異なっていてもよい。図面においては、部材同士の接合面などを示す境界線を、便宜上、単なる直線で示しているが、厳密な直線であることに縛られることはなく、所望の接合性能を期待できる範囲内で、当該境界線の形状は任意である。
【0029】
(第1の実施の形態)
図1~
図14を用いて、本開示の第1の実施の形態によるベイパーチャンバー及び電子機器について説明する。本実施の形態によるベイパーチャンバー1は、発熱を伴う電子デバイスDとともに電子機器EのハウジングHに収容されており、電子デバイスDを冷却するための部材である。電子機器Eの例としては、携帯端末及びタブレット端末等のモバイル端末等が挙げられる。電子デバイスDの例としては、中央演算処理装置(CPU)、発光ダイオード(LED)及びパワー半導体等が挙げられる。電子デバイスDは、デバイスの一例であって、ベイパーチャンバー1の冷却対象であり、冷却対象装置と称する場合もある。
【0030】
ここではまず、本実施の形態によるベイパーチャンバー1が搭載される電子機器Eについて、タブレット端末を例にとって説明する。
図1に示すように、電子機器Eは、ハウジングHと、ハウジングH内に収容された電子デバイスDと、ベイパーチャンバー1と、を備えていてもよい。
図1に示す電子機器Eでは、ハウジングHの前面にタッチパネルディスプレイTDが設けられている。ベイパーチャンバー1は、ハウジングH内に収容されて、電子デバイスDに熱的に接続されるように配置される。ベイパーチャンバー1は、電子機器Eの使用時に電子デバイスDで発生する熱を受ける。ベイパーチャンバー1が受けた熱は、後述する作動流体2a、2bを介してベイパーチャンバー1の外部に放出し、電子デバイスDは効果的に冷却される。電子機器Eがタブレット端末である場合、電子デバイスDは、中央演算処理装置等に相当する。電子デバイスDは、
図2に示すように、基板Sに実装されていてもよい。しかしながら、電子デバイスDは、基板Sに実装されていなくてもよい。熱的に接続とは、2つの物体が直接接しているか、又は後述するTIMシート若しくは熱伝導性が良好な材料を介して接しており、互いに熱の移動が可能な状態に意図的にされていることを言う。熱伝導性が良好な材料は、熱伝導性が良好なグリース又は熱伝導性が良好な両面テープでもよい。
【0031】
次に、本実施の形態によるベイパーチャンバー1について説明する。
【0032】
図2に示すように、ベイパーチャンバー1は、作動流体2a、2b(
図7参照)が封入された密封空間3を備えていてもよい。密封空間3内の作動流体2a、2bが相変化を繰り返すことにより、電子デバイスDが冷却される。作動流体2a、2bは、水を含んでいてもよい。作動流体2a、2bの例としては、純水、及びその混合液が挙げられる。
【0033】
平面視において、ベイパーチャンバー1は任意の形状で形成されていてもよい。
図3に示すように、ベイパーチャンバー1は、Z方向で見たときに、X方向及びY方向に沿って矩形形状で形成されていてもよい。
図3に示すベイパーチャンバー1は、例えば、1辺が1cmで他の辺が3cmの長方形であってもよく、1辺が15cmの正方形であってもよい。ベイパーチャンバー1の平面寸法は任意である。本実施の形態では、ベイパーチャンバー1の平面形状が、X方向を長手方向とする矩形形状である例について説明する。この場合、後述する各ベイパーチャンバー本体5P、5Q、後述する各シート10P、20P、10Q、20Q及び各本体シート30P、30Qは、ベイパーチャンバー1と同様の平面形状を有していてもよい。ベイパーチャンバー1の平面形状は、矩形形状に限られることはなく、円形形状、楕円形形状、L字形状又はT字形状等、任意の形状であってもよい。
【0034】
X方向は、第1方向の一例であり、
図2及び
図3における左右方向に相当する。Y方向は、第2方向の一例であり、平面視でX方向に直交する方向である。Y方向は、
図3における上下方向に相当する。X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とする。Z方向は、
図2における上下方向に相当しており、ベイパーチャンバー1の厚さ方向に相当している。
【0035】
平面視とは、Z方向で見た状態であって、ベイパーチャンバー1が電子デバイスDから熱を受ける面及び受けた熱を放出する面に直交する方向から見た状態である。本実施の形態による熱を受ける面とは、後述する第1シート10Pの第1シート外面10Pa及び後述する第1シート10Qの第1シート外面10Qaに相当する。本実施の形態による熱を放出する面とは、第2シート20Pの第2シート外面20Pb及び第2シート20Qの第2シート外面20Qbに相当する。後述する断面視は、特に説明がない場合には、Y方向でベイパーチャンバー1の断面を見た状態を意味する用語として用いる。
【0036】
図2及び
図3に示すように、ベイパーチャンバー1は、作動液2bが蒸発する蒸発領域SRと、作動蒸気2aが凝縮する凝縮領域CRと、を有している。作動蒸気2aは、気体状態の作動流体であり、作動液2bは、液体状態の作動流体である。
【0037】
蒸発領域SRは、平面視において電子デバイスDと重なる領域であり、電子デバイスDと熱的に接続される領域である。蒸発領域SRの位置は任意である。蒸発領域SRに電子デバイスDからの熱を受けて作動液2bが蒸発して、作動蒸気2aが生成される。電子デバイスDからの熱は、平面視において電子デバイスDに重なる領域だけではなく、電子デバイスDが重なる領域の周辺にも移動し得る。このため、蒸発領域SRは、平面視において、電子デバイスDに重なっている領域とその周辺の領域とを含んでいてもよい。
【0038】
凝縮領域CRは、平面視において電子デバイスDと重ならない領域であって、主として作動蒸気2aが熱を放出して凝縮する領域である。凝縮領域CRは、蒸発領域SRの周囲の領域であってもよい。凝縮領域CRにおいて作動蒸気2aからの熱が放出される。作動蒸気2aは冷却されて凝縮し、作動液2bが生成される。
【0039】
図2に示すように、本実施の形態によるベイパーチャンバー1は、基端部6と、第1枝部7Pと、第2枝部7Qと、第1蒸気流路部50Pと、第1液流路部60Pと、第2蒸気流路部50Qと、第2液流路部60Qと、を備えていてもよい。
【0040】
基端部6は、第1枝部7P及び第2枝部7Qの基端となる部分である。断面視において、基端部6から2つの枝部7P、7Qが延びていてもよい。基端部6は、第1枝部7Pと第2枝部7Qの分岐位置から第1枝部7Pとは反対側に延びていてもよく、この分岐位置から第2枝部7Qとは反対側に延びていてもよい。本実施の形態による基端部6は、第1枝部7Pに連続状に接続された第1基端部41Pと、第2枝部7Qに連続状に接続された第2基端部41Qと、を含んでいてもよい。第1基端部41Pは、第1枝部7Pと第2枝部7Qの分岐位置から第1枝部7Pとは反対側に延びていてもよい。第2基端部41Qは、第1枝部7Pと第2枝部7Qの分岐位置から第2枝部7Qとは反対側に延びていてもよい。
【0041】
断面視において、第1枝部7Pは、基端部6から延びている。第1枝部7Pは、第1基端部41Pから連続状に延びており、第1枝部7Pと第1基端部41Pとにより第1ベイパーチャンバー本体5Pが構成されている。本実施の形態による第1枝部7Pは、第1対向部42Pと、第1中間部43Pと、を含んでいてもよい。
【0042】
断面視において、第2枝部7Qは、基端部6から延びている。第2枝部7Qは、第1枝部7Pとは異なる位置に向かって基端部6から延びている。第2枝部7Qは、第2基端部41Qから連続状に延びており、第2枝部7Qと第2基端部41Qとにより第2ベイパーチャンバー本体5Qが構成されている。本実施の形態による第2枝部7Qは、第2対向部42Qを含んでいてもよい。第2対向部42Qは、ベイパーチャンバー1の厚さ方向に相当するZ方向において第1対向部42Pに対向して離間している。第2枝部7Qは、平坦状に形成されていてもよい。
【0043】
図2に示すように、本実施の形態によるベイパーチャンバー1は、第1ベイパーチャンバー本体5Pと、第2ベイパーチャンバー本体5Qと、を含んでいてもよい。
【0044】
第1ベイパーチャンバー本体5Pは、上述した第1基端部41Pと、上述した第1枝部7Pと、を含んでいる。第1枝部7Pは、第1対向部42Pと、第1中間部43Pと、を含んでいる。
図3に示すように、第1ベイパーチャンバー本体5Pの平面形状がX方向を長手方向とする矩形形状である場合、第1基端部41PのY方向長さ、第1対向部42PのY方向長さ及び第1中間部43PのY方向長さは等しくてもよい。この場合、第1基端部41PのY方向長さ、第1対向部42PのY方向長さ及び第1中間部43PのY方向長さは、第1ベイパーチャンバー本体5PのY方向長さに相当する。
【0045】
第2ベイパーチャンバー本体5Qは、上述した第2基端部41Qと、上述した第2枝部7Qと、を含んでいる。第2枝部7Qは、第2対向部42Qを含んでいる。第2ベイパーチャンバー本体5Qの平面形状がX方向を長手方向とする矩形形状である場合、第2基端部41QのY方向長さ、第2対向部42QのY方向長さ及び第2中間部43QのY方向長さは等しくてもよい。この場合、第2基端部41QのY方向長さ、第2対向部42QのY方向長さ及び第2中間部43QのY方向長さは、第2ベイパーチャンバー本体5QのY方向長さに相当する。第2ベイパーチャンバー本体5QのY方向長さは、第1ベイパーチャンバー本体5PのY方向長さと等しくてもよい。
【0046】
第1ベイパーチャンバー本体5Pの第1基端部41Pが、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2基端部41Qと接合されていてもよい。第1基端部41P及び第2基端部41Qにより、上述した基端部6が構成されている。本実施の形態においては、第1対向部42Pと第2対向部42Qとの間に電子デバイスDが位置していてもよい。
【0047】
次に、第1ベイパーチャンバー本体5Pについてより詳細に説明する。
【0048】
断面視において、第1基端部41Pは、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2基端部41Qに対向している。第1基端部41Pは、第2基端部41Qに接触していてもよく、重なっていてもよい。第1基端部41Pは、第2基端部41Qに接合されていてもよい。第1基端部41Pは、X方向に沿って形成されていてもよい。
【0049】
本実施の形態においては、第1基端部41Pに、凝縮領域CRが位置していてもよい。このことにより、第1基端部41Pにおいて、作動蒸気2aからの熱が放出される。作動蒸気2aは冷却されて凝縮し、作動液2bが生成される。
【0050】
第1対向部42Pは、Z方向において、第2ベイパーチャンバー本体5Qの後述する第2対向部42Qに離間して対向している。第1対向部42Pは電子デバイスDに対向していてもよく、第1対向部42Pに電子デバイスDが熱的に接続されていてもよい。第1対向部42Pに、上述した蒸発領域SRが位置していてもよい。このため、第1対向部42Pにおいて、電子デバイスDからの熱を受けて作動蒸気2aが生成される。第1対向部42Pは、断面視において、X方向に沿って形成されていてもよい。
【0051】
第1中間部43Pは、第1基端部41Pと第1対向部42Pとの間に位置している。断面視において、第1中間部43Pは、第1基端部41Pに対して傾斜していてもよく、第1対向部42Pに対して傾斜していてもよい。しかしながら、第1中間部43Pの形状は任意であり、例えば、第1中間部43Pは、断面視において湾曲していてもよい。第1中間部43Pが、凝縮領域CRとして機能していてもよい。
【0052】
断面視において、第1ベイパーチャンバー本体5Pは、第1基端部41Pと第1対向部42Pとの間で屈曲されていてもよい。第1ベイパーチャンバー本体5Pを構成する後述の第1シート10P、第2シート20P及び第1本体シート30Pが屈曲されていてもよい。
図2に示す例では、第1ベイパーチャンバー本体5Pは、2つの異なる位置で屈曲されている。第1ベイパーチャンバー本体5Pは、第1基端部41Pと第1中間部43Pとの間で屈曲されているとともに、第1対向部42Pと第1中間部43Pとの間で屈曲されている。第1ベイパーチャンバー本体5Pは、Y方向に延びる屈曲線(図示せず)に沿って屈曲されていてもよい。この場合、第1ベイパーチャンバー本体5Pは、Y方向に沿って平坦状に形成されていてもよい。
【0053】
断面視において、第1ベイパーチャンバー本体5Pの第1枝部7Pは、第1基端部41Pとは反対側に位置する第1端部5Paを含んでいてもよい。第1端部5Paは、第1ベイパーチャンバー本体5Pの先端部に相当していてもよい。
【0054】
図2に示すように、本実施の形態による第1ベイパーチャンバー本体5Pは、第1シート10Pと、第2シート20Pと、第1本体シート30Pと、上述した第1蒸気流路部50Pと、上述した第1液流路部60Pと、を含んでいてもよい。
【0055】
図2に示すように、第1シート10Pは、基端部6から第1枝部7Pにわたって形成されていてもよい。より具体的には、第1シート10Pは、第1基端部41Pから第1中間部43Pを通って第1対向部42Pに延びていてもよい。
図2、
図4及び
図5に示すように、第1シート10Pは、第1本体シート30Pと第2ベイパーチャンバー本体5Qの後述する第2本体シート30Qとの間に位置していてもよい。第1シート10Pは、第1本体シート30Pと後述する第1シート10Qとの間に位置していてもよい。
【0056】
図4及び
図5に示すように、第1シート10Pは、第1本体シート30Pとは反対側に位置する第1シート外面10Paと、第1本体シート30Pに対向する第1シート内面10Pbと、を含んでいる。第1シート外面10Paに、上述した電子デバイスDが熱的に接続されていてもよい。第1シート外面10Paと電子デバイスDとの間に、TIM(Thermal Interface Material)シート70(
図15参照)が介在されていてもよい。第1シート内面10Pbに、第1本体シート30Pの後述する第1本体面30Paが接触して接合されていてもよい。第1シート10Pは、実質的に一定の厚さを有していてもよい。
【0057】
図5及び
図6に示すように、第1シート10Pの第1シート外面10Paの一部分は、第1シート10Qの後述する第1シート外面10Qaに、恒久的に接合されていてもよい。より具体的には、第1シート外面10Paのうちの第1基端部41Pに位置する部分が、第1シート外面10Qaのうちの第2基端部41Qに位置する部分に接合されていてもよい。
【0058】
図2に示すように、第2シート20Pは、基端部6から第1枝部7Pにわたって形成されていてもよい。より具体的には、第2シート20Pは、第1基端部41Pから第1中間部43Pを通って第1対向部42Pに延びていてもよい。
図2、
図4及び
図5に示すように、第2シート20Pは、第1本体シート30Pに対して、第2ベイパーチャンバー本体5Qの後述する第2本体シート30Qとは反対側に位置していてもよい。
【0059】
図4及び
図5に示すように、第2シート20Pは、第1本体シート30Pに対向する第2シート内面20Paと、第1本体シート30Pとは反対側に位置する第2シート外面20Pbと、を含んでいる。第2シート内面20Paに、第1本体シート30Pの後述する第2本体面30Pbが接触して接合されていてもよい。第2シート20Pは、実質的に一定の厚さを有していてもよい。
【0060】
図2に示すように、第1本体シート30Pは、基端部6から第1枝部7Pにわたって形成されていてもよい。より具体的には、第1本体シート30Pは、第1基端部41Pから第1中間部43Pを通って第1対向部42Pに延びている。
図2、
図4及び
図5に示すように、第1本体シート30Pは、第1シート10Pと第2シート20Pとの間に位置していてもよい。
【0061】
図4及び
図5に示すように、第1本体シート30Pは、第1本体面30Paと、第1本体面30Paとは反対側に位置する第2本体面30Pbと、を含んでいる。第1本体面30Paは、第1シート10Pの第1シート内面10Pbに接触して接合されていてもよい。第2本体面30Pbは、第2シート20Pの第2シート内面20Paに接触して接合されていてもよい。第1本体面30Paは、第1シート内面10Pbに恒久的に接合されていてもよい。同様に、第2本体面30Pbは、第2シート内面20Paに恒久的に接合されていてもよい。「恒久的に接合」という用語は、厳密な意味に縛られることはなく、ベイパーチャンバー1の動作時に、密封空間3の密封性を維持可能な程度に接合されていることを意味する用語として用いている。例えば、接合の例としては、ロウ付けによる接合、はんだ付けによる接合又は拡散接合などが挙げられる。
【0062】
第1本体シート30Pは、第1蒸気流路部50Pを画定している。より具体的には、
図4、
図5、
図7及び
図8に示すように、第1本体シート30Pは、枠体部32と、複数のランド部33と、を含んでいてもよい。
【0063】
図7及び
図8に示すように、枠体部32は、平面視においてX方向及びY方向に沿って矩形枠形状に形成されている。ランド部33は、平面視において枠体部32の内側に位置している。ランド部33の周囲に、第1蒸気流路部50Pが位置している。枠体部32及びランド部33は、後述するエッチング工程においてエッチング処理されることなく、第1本体シート30Pの材料が残る部分である。枠体部32及びランド部33は、第1本体面30Pa及び第2本体面30Pbを含んでおり、第1本体面30Paから第2本体面30Pbに延びている。枠体部32と隣り合うランド部33との間に、作動蒸気2aが流れる後述の第1蒸気通路51が形成されている。互いに隣り合うランド部33の間に、作動蒸気2aが流れる後述の蒸気通路52が形成されている。
【0064】
第1本体シート30Pのランド部33は、基端部6から第1枝部7Pにわたって形成されていてもよい。より具体的には、ランド部33は、第1基端部41Pから第1中間部43Pを通って第1対向部42Pに延びていてもよい。ランド部33は、平面視において、X方向を長手方向として細長状に延びていてもよい。ランド部33の平面形状は、細長の矩形形状になっていてもよい。各ランド部33は、互いに平行に位置していてもよい。ランド部33は、
図7及び
図8に示すように枠体部32から離間していてもよく、又は枠体部32に接続されていてもよい。
【0065】
図9に示すように、ランド部33の幅w1は、例えば、100μm~1500μmであってもよい。ここで、ランド部33の幅w1は、ランド部33のY方向寸法である。幅w1は、第1本体面30Pa及び第2本体面30Pbにおけるランド部33の寸法である。
【0066】
枠体部32及びランド部33は、第1シート10Pに接合されていてもよく、第2シート20Pに接合されていてもよい。この場合、ベイパーチャンバー1の機械的強度を向上できる。第1本体シート30Pの第1本体面30Pa及び第2本体面30Pbは、枠体部32及び各ランド部33にわたって、平坦状に形成されていてもよい。
【0067】
第1蒸気流路部50Pは、第1空間部の一例である。第1蒸気流路部50Pは、基端部6から第1枝部7Pにわたって形成されていてもよい。より具体的には、第1蒸気流路部50Pは、
図2に示すように、第1基端部41Pから第1中間部43Pを通って第1対向部42Pに延びている。第1蒸気流路部50Pは、第1本体シート30Pにより形成されている。
図2では、図面を明瞭にするために、ランド部33が存在しない位置における断面が示されている。第1蒸気流路部50Pに、作動流体2a、2bが封入されている。第1蒸気流路部50Pは、主として、作動蒸気2aが通る流路であってもよい。第1蒸気流路部50Pに、作動液2bも通ってもよい。第1蒸気流路部50Pは、密封空間3の一部を構成している。
【0068】
図4、
図5、
図7及び
図8に示すように、本実施の形態による第1蒸気流路部50Pは、第1蒸気通路51と、複数の第2蒸気通路52と、を含んでいてもよい。第1蒸気通路51及び第2蒸気通路52はそれぞれ、空間通路の一例である。第1蒸気通路51は、互いに隣り合う枠体部32とランド部33との間に形成されている。第1蒸気通路51の平面形状は、X方向及びY方向に沿って矩形枠形状になっていてもよい。第2蒸気通路52は、互いに隣り合うランド部33の間に形成されている。第2蒸気通路52は、Y方向に並んでいてもよい。第2蒸気通路52の平面形状は、細長の矩形形状になっていてもよい。
【0069】
図4及び
図5に示すように、第1蒸気通路51及び第2蒸気通路52はそれぞれ、第1本体シート30Pの第1本体面30Paから第2本体面30Pbに延びていてもよく、第1本体シート30Pを貫通していてもよい。第1蒸気通路51及び第2蒸気通路52はそれぞれ、第1本体面30Paにおいて第1シート10Pで覆われていてもよく、第2本体面30Pbにおいて第2シート20Pで覆われていてもよい。
【0070】
図9に示すように、蒸気通路51、52は、第1本体シート30Pの第1本体面30Paに設けられた第1蒸気流路凹部53と、第2本体面30Pbに設けられた第2蒸気流路凹部54と、を含んでいてもよい。第1蒸気流路凹部53と第2蒸気流路凹部54とは接続されて連通している。
【0071】
第1蒸気流路凹部53は、後述するエッチング工程において、第1本体シート30Pの第1本体面30Paをエッチング処理することによって形成されていてもよい。第1蒸気流路凹部53は、第1本体面30Paに凹状に形成されている。第1蒸気流路凹部53の壁面は、湾曲状に形成されていてもよい。
図9に示すように、第1蒸気流路凹部53の幅w2は、例えば、100μm~5000μmであってもよい。幅w2は、Y方向寸法であって、第1本体面30Paにおける第1蒸気流路凹部53の寸法である。
【0072】
第2蒸気流路凹部54は、後述するエッチング工程において、第1本体シート30の第2本体面30Pbをエッチング処理することによって形成されていてもよい。第2蒸気流路凹部54は、第2本体面30Pbに凹状に形成されている。第2蒸気流路凹部54の壁面は、湾曲状に形成されていてもよい。
図9に示すように、第2蒸気流路凹部54の幅w3は、上述した第1蒸気流路凹部53の幅w2と同様に、例えば、100μm~5000μmであってもよい。幅w3は、Y方向寸法であって、第2本体面30Pbにおける第2蒸気流路凹部54の寸法である。
【0073】
図9に示すように、本実施の形態では、蒸気通路51、52の断面形状が、貫通部34を含むように形成されている。貫通部34は、蒸気流路凹部53、54の壁面が内側に張り出すように形成された稜線によって画定されている。貫通部34の先端位置は、第1本体面30Paと第2本体面30Pbとの中間位置に位置していてもよい。あるいは、貫通部34の先端位置は、第2本体面30Pbよりも第1本体面30Paに近い位置に位置していてもよく、又は、第1本体面30Paよりも第2本体面30Pbに近い位置に位置していてもよい。しかしながら、蒸気通路51、52の断面形状は、任意である。例えば、蒸気通路51、52の断面形状は、台形形状や平行四辺形形状であってもよく、又は樽形形状になっていてもよい。各蒸気通路51、52は、作動蒸気2aが通るように比較的大きな流路断面積を有している。
図9は、図面を明瞭にするために、第1蒸気通路51及び第2蒸気通路52を拡大して示している。
図9における後述する主流溝61などの個数若しくは位置は、
図4及び
図5とでは、便宜上、異なっている。
【0074】
図示しないが、各蒸気通路51、52内に、ランド部33を枠体部32に支持する支持部が複数設けられていてもよい。互いに隣り合う2つのランド部33を支持する支持部が設けられていてもよい。支持部は、第1蒸気流路部50Pを拡散する作動蒸気2aの流れを妨げないように形成されていてもよい。
【0075】
第1液流路部60Pは、第1溝流路部の一例である。第1液流路部60Pは、基端部6から第1枝部7Pにわたって形成されていてもよい。より具体的には、
図2に示すように、第1基端部41Pから第1中間部43Pを通って第1対向部42Pに延びている。第1液流路部60Pは、第1蒸気流路部50Pに連通していてもよい。第1液流路部60Pは、第1本体シート30Pの第1本体面30Paに形成されていてもよい。第1液流路部60Pは、主として、作動液2bが通る流路であってもよい。第1液流路部60Pに、作動蒸気2aも通ってもよい。第1液流路部60Pは、密封空間3の一部を構成している。
【0076】
第1液流路部60Pは、作動液2bを蒸発領域SRに輸送するための毛細管構造として構成されている。第1液流路部60Pは、ウィックと称する場合もある。この場合、第1本体シート30Pは、第1ウィックシートとも称される。第1液流路部60Pは、第1本体シート30Pの各ランド部33の第1本体面30Paに形成されていてもよい。
図7等では図示していないが、枠体部32の第1本体面30Paのうちの内側部分に、第1液流路部60Pと同様な液流路部が形成されていてもよい。図示しないが、ランド部33の第1本体面30Paの代わりに第2本体面30Pbに第1液流路部60Pが形成されていてもよい。あるいは、ランド部33の第1本体面30Pa及び第2本体面30Pbのそれぞれに、第1液流路部60Pが形成されていてもよい。
【0077】
図10に示すように、第1液流路部60Pは、複数の主流溝61と、複数の連絡溝65と、を含んでいてもよい。主流溝61及び連絡溝65は、作動液2bが通る流路である。連絡溝65は、主流溝61と接続されて連通している。
【0078】
主流溝61及び連絡溝65は、ランド部33の第1本体面30Paに位置していてもよい。主流溝61及び連絡溝65は、蒸気通路51、52に連通していてもよい。主流溝61及び連絡溝65は、第1シート10Pの第1シート内面10Pbに覆われていてもよい。第1シート内面10Pbは、主流溝61及び連絡溝65に対向していてもよい。
【0079】
各主流溝61は、
図10に示すように、X方向に延びている。主流溝61は、Y方向に並んでいる。主流溝61は、主として、作動液2bが毛細管作用によって流れるように小さな流路断面積を有している。主流溝61の流路断面積は、蒸気通路51、52の流路断面積よりも小さい。主流溝61は、作動蒸気2aから凝縮した作動液2bを蒸発領域SRに輸送するように構成されている。
【0080】
図10に示すように、各連絡溝65は、X方向とは異なる方向に延びている。本実施の形態においては、各連絡溝65はY方向に延びており、主流溝61に垂直に形成されている。連絡溝65は、主として、作動液2bが毛細管作用によって流れるように、小さな流路断面積を有している。連絡溝65の流路断面積は、蒸気通路51、52の流路断面積よりも小さい。
【0081】
主流溝61及び連絡溝65は、後述するエッチング工程において、本体シート30Pの第1本体面30Paをエッチング処理することによって形成されていてもよい。
図9及び
図10に示すように、主流溝61の幅w4は、第1蒸気流路凹部53の幅w2よりも小さくてもよい。幅w4は、例えば、5μm~400μmであってもよい。幅w4は、第1本体面30Paにおける主流溝61の寸法を意味している。幅w4は、主流溝61のY方向寸法に相当している。連絡溝65の幅w5は、主流溝61の幅w4と等しくてもよく、又は異なっていてもよい。幅w5は、第1本体面30Paにおける連絡溝65の寸法を意味している。主流溝61の深さd1は、例えば、3μm~300μmであってもよい。深さd1は、主流溝61のZ方向寸法に相当している。連絡溝65の深さは、主流溝61の深さd1と等しくてもよく、又は異なっていてもよい。連絡溝65の深さは、連絡溝65のZ方向寸法に相当している。
【0082】
図10に示すように、第1液流路部60Pは、ランド部33の第1本体面30Paに位置する複数の凸部64を含んでいてもよい。凸部64は、主流溝61と連絡溝65によって画定されていてもよく、又は、主流溝61と連絡溝65と蒸気通路51、52とによって画定されていてもよい。凸部64は、平面視において、X方向が長手方向となるように矩形形状に形成されていてもよく、丸みを帯びた矩形形状に形成されていてもよい。凸部64は、後述するエッチング工程においてエッチング処理されることなく、本体シート30の材料が残る部分である。凸部64は、第1シート10Pの第1シート内面10Pbに接合されていてもよい。凸部64は、千鳥状に位置していてもよい。より具体的には、Y方向において互いに隣り合う凸部64が、X方向において互いにずれていてもよい。このずれ量は、X方向における凸部64の配列ピッチの半分であってもよい。凸部64の幅は、主流溝61の幅w4と等しくてもよく、又は異なっていてもよい。凸部64の幅は、第1本体面30PaにおけるY方向寸法に相当している。
【0083】
次に、第2ベイパーチャンバー本体5Qについて説明する。
【0084】
断面視において、第2基端部41Qは、第1ベイパーチャンバー本体5Pの第1基端部41Pに対向している。第2基端部41Qは、第1基端部41Pに接触していてもよく、重なっていてもよい。第2基端部41Qは、第1基端部41Pに接合されていてもよい。第2基端部41Qは、X方向に沿って形成されていてもよい。
【0085】
本実施の形態においては、第2基端部41Qに、凝縮領域CRが位置していてもよい。このことにより、第2基端部41Qにおいて、作動蒸気2aからの熱が放出される。作動蒸気2aは冷却されて凝縮し、作動液2bが生成される。
【0086】
第2対向部42Qは、Z方向において、第1ベイパーチャンバー本体5Pの上述した第1対向部42Pに離間して対向している。第2対向部42Qは電子デバイスDに対向していてもよく、第2対向部42Qに、基板Sを介して電子デバイスDが熱的に接続されていてもよい。第2対向部42Qに、上述した蒸発領域SRが位置していてもよい。このため、第2対向部42Qにおいて、電子デバイスDからの熱を受けて作動蒸気2aが生成される。第2対向部42Qは、断面視において、X方向に沿って形成されていてもよい。
【0087】
断面視において、第2ベイパーチャンバー本体5Qは、屈曲されていなくてもよい。第2ベイパーチャンバー本体5Qは、第2対向部42Qから第2基端部41Qにわたって平坦状に形成されていてもよい。第2基端部41Q及び第2対向部42Qが、X方向に沿って直線状に形成されていてもよい。第2ベイパーチャンバー本体5Qは、X方向及びY方向に沿って平坦状に形成されていてもよい。
【0088】
第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2枝部7Qは、第2基端部41Qとは反対側に位置する第2端部5Qaを含んでいてもよい。第2端部5Qaは、第2ベイパーチャンバー本体5Qの先端部に相当していてもよい。
【0089】
平面視において、第2端部5Qaは、第1ベイパーチャンバー本体5Pの上述した第1端部5Paと重なっていてもよい。この場合、第2ベイパーチャンバー本体5QのX方向長さは、屈曲前の第1ベイパーチャンバー本体5PのX方向長さよりも短くなっている。屈曲前の第1ベイパーチャンバー本体5PのX方向長さは、平面展開した第1ベイパーチャンバー本体5PのX方向長さに相当する。
【0090】
図2に示すように、本実施の形態による第2ベイパーチャンバー本体5Qは、第1シート10Qと、第2シート20Qと、第2本体シート30Qと、第2蒸気流路部50Qと、第2液流路部60Qと、を含んでいてもよい。
【0091】
図2に示すように、第1シート10Qは、基端部6から第2枝部7Qにわたって形成されていてもよい。より具体的には、第1シート10Qは、第2基端部41Qから第2対向部42Qに延びていてもよい。
図2、
図4及び
図5に示すように、第1シート10Qは、第2本体シート30Qと第1ベイパーチャンバー本体5Pの第1本体シート30Pとの間に位置していてもよい。第1シート10Qは、第2本体シート30Qと第1シート10Pとの間に位置していてもよい。
【0092】
図4及び
図5に示すように、第1シート10Qは、第2本体シート30Qとは反対側に位置する第1シート外面10Qaと、第2本体シート30Qに対向する第1シート内面10Qbと、を含んでいる。第1シート外面10Qaに、上述した電子デバイスDが熱的に接続されていてもよい。本実施の形態においては、第1シート外面10Qaに、基板Sを介して電子デバイスDが熱的に接続されていてもよい。第1シート外面10Qaと基板Sとの間に、TIMシート70(
図15参照)が介在されていてもよい。第1シート内面10Qbに、第2本体シート30Qの後述する第1本体面30Qaが接触して接合されていてもよい。第1シート10Qは、実質的に一定の厚さを有していてもよい。
【0093】
図5及び
図6に示すように、第1シート10Qの第1シート外面10Qaの一部分は、第1シート10Pの第1シート外面10Paに、恒久的に接合されていてもよい。より具体的には、第1シート外面10Qaのうちの第2基端部41Qに位置する部分が、第1シート外面10Paのうちの第1基端部41Pに位置する部分に接合されていてもよい。
【0094】
図2に示すように、第2シート20Qは、基端部6から第2枝部7Qにわたって形成されていてもよい。より具体的には、第2シート20Qは、第2基端部41Qから第2対向部42Qに延びていてもよい。
図2、
図4及び
図5に示すように、第2シート20Qは、第2本体シート30Qに対して第1ベイパーチャンバー本体5Pの第1本体シート30Pとは反対側に位置していてもよい。第2シート20Qは、第2本体シート30Qに対して第1シート10Qとは反対側に位置していてもよい。
【0095】
図4及び
図5に示すように、第2シート20Qは、第2本体シート30Qに対向する第2シート内面20Qaと、第2本体シート30Qとは反対側に位置する第2シート外面20Qbと、を含んでいる。第2シート内面20Qaに、第2本体シート30Qの後述する第2本体面30Qbが接触して接合されていてもよい。第2シート20Qは、実質的に一定の厚さを有していてもよい。
【0096】
図2に示すように、第2本体シート30Qは、基端部6から第2枝部7Qにわたって形成されていてもよい。より具体的には、第2本体シート30Qは、第2基端部41Qから第2対向部42Qに延びている。
図2、
図4及び
図5に示すように、第2本体シート30Qは、第1シート10Qと第2シート20Qとの間に位置していてもよい。
【0097】
図4及び
図5に示すように、第2本体シート30Qは、第1本体面30Qaと、第1本体面30Qaとは反対側に位置する第2本体面30Qbと、を含んでいる。第1本体面30Qaは、第1シート10Qの第1シート内面10Qbに接触して接合されていてもよい。第2本体面30Qbは、第2シート20Qの第2シート内面20Qaに接触して接合されていてもよい。第1本体面30Qaは、第1シート内面10Qbに恒久的に接合されていてもよい。同様に、第2本体面30Qbは、第2シート内面20Qaに恒久的に接合されていてもよい。
【0098】
第2本体シート30Qは、第2蒸気流路部50Qを画定している。第2本体シート30Qは、上述した第1本体シート30Pと同様に、枠体部32と、複数のランド部33と、を含んでいてもよい。枠体部32及びランド部33は、第1シート10Qに接合されていてもよく、第2シート20Qに接合されていてもよい。第2本体シート30Qのランド部33は、基端部6から第2枝部7Qにわたって形成されていてもよい。より具体的には、ランド部33は、第2基端部41Qから第2対向部42Qに延びていてもよい。第2本体シート30Qは、第1本体シート30Pと同様に構成されているため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0099】
第2蒸気流路部50Qは、第2空間部の一例である。第2蒸気流路部50Qは、基端部6から第2枝部7Qにわたって形成されていてもよい。より具体的には、第2蒸気流路部50Qは、
図2に示すように、第2基端部41Qから第2対向部42Qに延びている。第2蒸気流路部50Qは、第2本体シート30Qにより形成されている。第2蒸気流路部50Qに、作動流体2a、2bが封入されている。第2蒸気流路部50Qは、主として、作動蒸気2aが通る流路であってもよい。第2蒸気流路部50Qに、作動液2bも通ってもよい。第2蒸気流路部50Qは、密封空間3の一部を構成している。
【0100】
第2蒸気流路部50Qは、第1蒸気通路51と、複数の第2蒸気通路52と、を含んでいてもよい。第2蒸気流路部50Qは、第1蒸気流路部50Pと同様に構成される。このため、第2蒸気流路部50Qの詳細な説明は省略する。
【0101】
第2液流路部60Qは、第2溝流路部の一例である。第2液流路部60Qは、基端部6から第2枝部7Qにわたって形成されていてもよい。より具体的には、
図2に示すように、第2基端部41Qから第2対向部42Qに延びている。第2液流路部60Qは、第2蒸気流路部50Qに連通していてもよい。第2液流路部60Qは、第2本体シート30Qの第1本体面30Qaに形成されていてもよい。第2液流路部60Qは、主として、作動液2bが通る流路であってもよい。第2液流路部60Qに、作動蒸気2aも通ってもよい。第2液流路部60Qは、密封空間3の一部を構成している。
【0102】
第2液流路部60Qは、作動液2bを蒸発領域SRに輸送するための毛細管構造として構成されている。第2液流路部60Qは、ウィックと称する場合もある。この場合、第2本体シート30Qは、第2ウィックシートとも称される。第2液流路部60Qは、第2本体シート30Qの各ランド部33の第1本体面30Qaに形成されていてもよい。
図7等では図示していないが、枠体部32の第1本体面30Qaのうちの内側部分に、第2液流路部60Qと同様な液流路部が形成されていてもよい。図示しないが、ランド部33の第1本体面30Qaの代わりに第2本体面30Qbに第2液流路部60Qが形成されていてもよい。あるいは、ランド部33の第1本体面30Qa及び第2本体面30Qbのそれぞれに、第2液流路部60Qが形成されていてもよい。
【0103】
第2液流路部60Qは、複数の主流溝61と、複数の連絡溝65と、を含んでいてもよい。第2液流路部60Qは、第1液流路部60Pと同様に構成される。このため、第2液流路部60Qの詳細な説明は省略する。
【0104】
第1ベイパーチャンバー本体5Pの第1蒸気流路部50Pと、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2蒸気流路部50Qは、互いに連通していてもよい。
【0105】
より具体的には、
図5及び
図6に示すように、第1ベイパーチャンバー本体5Pは、第1連通部55aを含んでいてもよい。第1連通部55aは、第1シート10Pに形成されていてもよく、第1基端部41Pに位置していてもよい。
図5に示すように、第1シート10Pに、複数の第1連通部55aが形成されていてもよい。第1連通部55aは、平面視で第1蒸気流路部50Pの第1蒸気通路51の一部又は第2蒸気通路52の一部に重なっていてもよい。第1連通部55aは、第1蒸気流路部50P及び第2蒸気流路部50Qを連通していてもよい。第1連通部55aは、第1シート10Pを貫通する開口であってもよい。第1連通部55aの平面形状は、矩形形状、円形形状又は楕円形形状等、任意の形状である。
【0106】
図5及び
図6に示すように、第2ベイパーチャンバー本体5Qは、第2連通部55bを含んでいてもよい。第2連通部55bは、第1シート10Qに形成されていてもよく、第2基端部41Qに位置していてもよい。
図5に示すように、第1シート10Qに、複数の第2連通部55bが形成されていてもよい。第2連通部55bは、平面視で第2蒸気流路部50Qの第1蒸気通路51の一部又は第2蒸気通路52の一部に重なっていてもよい。第2連通部55bは、第1蒸気流路部50P及び第2蒸気流路部50Qを連通していてもよい。第2連通部55bは、第1シート10Qを貫通する開口であってもよい。第2連通部55bの平面形状は、矩形形状、円形形状又は楕円形形状等、任意の形状である。
【0107】
第2連通部55bは、第1連通部55aに連通していてもよい。第2連通部55bは、平面視で第1連通部55aに重なっていてもよい。このようにして、第1蒸気流路部50P及び第2蒸気流路部50Qが、第1連通部55a及び第2連通部55bを介して互いに連通していてもよい。
【0108】
各シート10P、20P、10Q、20Q及び各本体シート30P、30Qを構成する材料は、ベイパーチャンバー1としての放熱性能を確保できる程度に熱伝導率が良好な材料であれば、特に限られることはない。例えば、各シート10P、20P、10Q、20Q及び各本体シート30P、30Qは、金属材料で構成されていてもよい。例えば、各シート10P、20P、10Q、20Q及び各本体シート30P、30Qは、銅又は銅合金を含んでいてもよい。銅及び銅合金は、良好な熱伝導率と、作動流体として純水を使用する場合の耐腐食性と、を有している。銅の例としては、純銅及び無酸素銅(C1020)等が挙げられる。銅合金の例としては、錫を含む銅合金、チタンを含む銅合金(C1990等)、並びに、ニッケル、シリコン及びマグネシウムを含む銅合金であるコルソン系銅合金(C7025等)などが挙げられる。錫を含む銅合金は、例えば、りん青銅(C5210等)である。各シート10P、20P、10Q、20Qは、本体シート30P、30Qと異なる材料を用いてもよい。
【0109】
図4に示す第1ベイパーチャンバー本体5Pの厚さt1は、例えば、100μm~1000μmであってもよい。厚さt1を100μm以上にすることにより、蒸気通路51、52を適切に確保できる。このため、ベイパーチャンバー1は適切に機能できる。一方、厚さt1を1000μm以下にすることにより、厚さt1が厚くなることを抑制できる。このため、第1ベイパーチャンバー本体5Pを薄く形成できる。第2ベイパーチャンバー本体5Qの厚さは、第1ベイパーチャンバー本体5Pの厚さt1と等しくてもよい。しかしながら、第2ベイパーチャンバー本体5Qの厚さは、第1ベイパーチャンバー本体5Pの厚さt1と異なっていてもよい。例えば、第1ベイパーチャンバー本体5P及び第2ベイパーチャンバー本体5Qのうちの一方を屈曲し、他方を屈曲しない場合、屈曲するベイパーチャンバー本体の厚さは、屈曲しないベイパーチャンバー本体の厚さよりも小さくてもよい。この場合、ベイパーチャンバーの屈曲を容易化でき、製造効率を向上できる。
【0110】
各本体シート30P、30Qの厚さは、各シート10P、20P、10Q、20Qの厚さよりも厚くてもよい。本実施の形態においては、各シート10P、20P、10Q、20Qの厚さが等しい例を示している。しかしながら、このことに限られることはなく、各シート10P、20P、10Q、20Qの厚さは、異なっていてもよい。
【0111】
第1シート10Pの厚さt2は、例えば、6μm~100μmであってもよい。第1シート10Pの厚さt2を6μm以上にすることにより、第1シート10Pの機械的強度及び長期信頼性を確保できる。一方、第1シート10Pの厚さt2を100μm以下にすることにより、第1ベイパーチャンバー本体5Pの厚さt1が厚くなることを抑制できる。第2シート20Pの厚さt3は、第1シート10Pの厚さt2と等しくてもよく、又は異なっていてもよい。第1シート10Qの厚さも、第1シート10Pの厚さと等しくてもよく、又は異なっていてもよい。第2シート20Qの厚さも、第1シート10Pの厚さと等しくてもよく、又は異なっていてもよい。第2シート20Qの厚さは、第1シート10Qの厚さと等しくてもよく、又は異なっていてもよい。例えば、第1シート10P及び第2シート20Pのうちの屈曲の内側に位置するシートの厚さを屈曲の外側に位置するシートの厚さよりも厚くしてもよい。この場合、屈曲後の蒸気通路51、52が潰れることを抑制でき、蒸気通路51、52の流路断面積を確保できる。このため、作動蒸気2aをスムーズに第1基端部41Pに輸送できる。
【0112】
第1本体シート30Pの厚さt4は、例えば、50μm~400μmであってもよい。第1本体シート30Pの厚さt4を50μm以上にすることにより、第1蒸気流路部50Pを適切に確保できる。この場合、第1ベイパーチャンバー本体5Pは、適切に機能できる。一方、第1本体シート30Pの厚さt4を400μm以下にすることにより、第1ベイパーチャンバー本体5Pの厚さt1が厚くなることを抑制できる。このため、第1ベイパーチャンバー本体5Pを薄くできる。第1本体シート30Pの厚さt4は、第1本体面30Paと第2本体面30Pbとの距離である。第2本体シート30Qの厚さは、第1本体シート30Pの厚さt4と等しくてもよく、又は異なっていてもよい。
【0113】
次に、このような構成からなる本実施の形態によるベイパーチャンバー1の製造方法について説明する。
【0114】
まず、準備工程として、第1シート10P、第2シート20P、第1シート10Q、第2シート20Q、第1本体シート30P及び第2本体シート30Qを準備する。準備工程は、各本体シート30P、30Qをエッチング処理により形成するエッチング工程を含んでいてもよい。エッチング工程において、各本体シート30P、30Qは、フォトリソグラフィー技術によるパターン状のレジスト膜(図示せず)を用いて、エッチング処理によって形成されてもよい。
【0115】
準備工程の後、第1接合工程として、第1シート10P、第2シート20P及び第1本体シート30Pが恒久的に接合されて、第1ベイパーチャンバー本体5Pが形成される。第1シート10Q、第2シート20Q及び第2本体シート30Qが恒久的に接合されて、第2ベイパーチャンバー本体5Qが形成される。
【0116】
第1接合工程の後、屈曲工程として、第1ベイパーチャンバー本体5Pが屈曲される。より具体的には、第1対向部42Pと第1中間部43Pとの間で、Y方向に延びる屈曲線に沿って第1ベイパーチャンバー本体5Pが屈曲される。第1中間部43Pと第1基端部41Pとの間で、Y方向に延びる屈曲線に沿って第1ベイパーチャンバー本体5Pが屈曲される。第2ベイパーチャンバー本体5Qは、屈曲されなくてもよい。
【0117】
屈曲工程の後、第2接合工程として、第1ベイパーチャンバー本体5Pの第1基端部41Pと第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2基端部41Qが恒久的に接合される。
【0118】
第1接合工程の後、第2接合工程を行い、その後に屈曲工程を行ってもよい。この場合、第2接合工程において、第1ベイパーチャンバー本体5Pの第1基端部41Pと第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2基端部41Qが接合される。第1対向部42P及び第1中間部43Pは、第2対向部42Qに接合されない。
【0119】
第2接合工程の後、注入工程として、密封空間3が真空引きされるとともに、図示しない注入部から密封空間3に作動液2bが注入される。
【0120】
注入工程の後、封止工程として、注入部が封止される。このことにより、密封空間3と外部との連通が遮断され、密封空間3が密封される。作動液2bが封入された密封空間3が得られ、密封空間3内の作動液2bが外部に漏洩することが防止される。
【0121】
以上のようにして、本実施の形態によるベイパーチャンバー1が得られる。
【0122】
次に、ベイパーチャンバー1の動作方法、すなわち、電子デバイスDの冷却方法について説明する。
【0123】
上述のようにして得られたベイパーチャンバー1は、モバイル端末等のハウジングH内に設置される。電子デバイスDが発熱すると、第1ベイパーチャンバー本体5Pの第1対向部42Pに位置する作動液2bと、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2対向部42Qに位置する作動液2bが、電子デバイスDから熱を受ける。受けた熱は潜熱として吸収されて作動液2bが蒸発し、作動蒸気2aが生成される。第1ベイパーチャンバー本体5P内で生成された作動蒸気2aは、
図7に示す実線矢印で示されているように、第1蒸気流路部50Pを構成する第1蒸気通路51及び第2蒸気通路52を通って第1基端部41Pに向かって拡散する。第2ベイパーチャンバー本体5Q内で生成された作動蒸気2aは、第2蒸気流路部50Qを構成する第1蒸気通路51及び第2蒸気通路52を通って第2基端部41Qに向かって拡散する。
【0124】
第1ベイパーチャンバー本体5Pの第1基端部41Pにおいて、作動蒸気2aは、主として第2シート20Pに放熱して冷却される。第2シート20Pが作動蒸気2aから受けた熱は、第1ベイパーチャンバー本体5Pの周囲に放出される。同様に、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2基端部41Qにおいて、作動蒸気2aは、第2シート20Qに放熱して冷却される。第2シート20Qが作動蒸気2aから受けた熱は、第2ベイパーチャンバー本体5Qの周囲に放出される。
【0125】
作動蒸気2aは、第1基端部41P及び第2基端部41Qにおいて第2シート20P及び第2シート20Qに放熱することにより、蒸発領域SRにおいて吸収した潜熱を失う。このことにより、作動蒸気2aは凝縮し、作動液2bが生成される。一方、第1対向部42P及び第2対向部42Qでは作動液2bが蒸発し続けている。このため、第1基端部41Pで凝縮した作動液2bは、第1対向部42Pに輸送される。より具体的には、
図7に示す破線矢印に示すように、作動液2bは、第1液流路部60Pの主流溝61の毛細管作用により、蒸発領域SRが位置する第1対向部42Pに輸送される。同様に、第2対向部42Qで凝縮した作動液2bは、第2対向部42Qに輸送される。より具体的には、第2液流路部60Qの主流溝61の毛細管作用により、蒸発領域SRが位置する第2対向部42Qに輸送される。
【0126】
第1対向部42P及び第2対向部42Qに達した作動液2bは、電子デバイスDから再び熱を受けて蒸発する。そして、作動蒸気2aは、各蒸気通路51、52内で拡散する。このようにして、作動流体2a、2bが、相変化、すなわち蒸発と凝縮とを繰り返しながら密封空間3内を還流する。このことにより、電子デバイスDの熱は、第1蒸気流路部50P内の作動蒸気2aの拡散及び第2蒸気流路部50Q内の作動蒸気2aの拡散によって輸送されて、放出される。
【0127】
このようにして、本実施の形態によるベイパーチャンバー1が電子デバイスDの熱を放出して、電子デバイスDを冷却する。
【0128】
作動流体2a、2bが密封空間3内を還流している間、作動蒸気2aの一部は、第1蒸気流路部50Pと第2蒸気流路部50Qとの間を往来する。より具体的には、第1蒸気流路部50P内の作動流体2a、2bの一部が、第1連通部55a及び第2連通部55bを通って第2蒸気流路部50Qに移動する。第2蒸気流路部50Q内の作動流体2a、2bの一部が、第2連通部55b及び第1連通部55aを通って第1蒸気流路部50Pに移動する。例えば、第1対向部42Pにおける作動蒸気2aの蒸発量が第2対向部42Qにおける作動蒸気2aの蒸発量よりも多い場合、第1蒸気流路部50Pから第2蒸気流路部50Qに作動蒸気2aの一部が移動し得る。この場合、第1蒸気流路部50P内の作動液2bの一部が、第2蒸気流路部50Qに移動し得る。
【0129】
このように本実施の形態によれば、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2枝部7Qの第2対向部42Qが、第1ベイパーチャンバー本体5Pの第1枝部7Pの第1対向部42Pに対向して離間している。第1蒸気流路部50P及び第1液流路部60Pが、基端部6から第1対向部42Pに延び、第2蒸気流路部50Q及び第2液流路部60Qが、基端部6から第2対向部42Qに延びている。このことにより、第1対向部42Pと第2対向部42Qに電子デバイスDから熱を受けて作動液2bが蒸発する蒸発領域SRが位置する場合、電子デバイスDからの熱を第1対向部42P及び第2対向部42Qで吸収できる。このため、電子デバイスDからの熱の吸収効率を向上でき、電子デバイスDの冷却効率を向上できる。
【0130】
本実施の形態によれば、第1蒸気流路部50P及び第2蒸気流路部50Qは、互いに連通している。このことにより、第1ベイパーチャンバー本体5Pの蒸発領域SRの蒸発状況及び第2ベイパーチャンバー本体5Qの蒸発領域SRの蒸発状況に応じて、作動蒸気2a及び作動液2bは第1蒸気流路部50Pと第2蒸気流路部50Qとの間で往来できる。このため、第1ベイパーチャンバー本体5P内の作動流体2a、2bの輸送量と第2ベイパーチャンバー本体5Qにおける作動流体2a、2bの輸送量とを調整できる。この結果、電子デバイスDの冷却効率を向上できる。
【0131】
本実施の形態によれば、第1ベイパーチャンバー本体5Pの第1基端部41Pと、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2基端部41Qが重なっている。このことにより、第1基端部41Pと第2基端部41Qを重ねた状態で接合することができる。このため、第1基端部41Pと第2基端部41Qを容易に接合でき、ベイパーチャンバー1の製造効率を向上できる。
【0132】
本実施の形態によれば、第1ベイパーチャンバー本体5Pは、第1基端部41Pに位置する第1連通部55aを含み、第2ベイパーチャンバー本体5Qは、第2基端部41Qに位置する第2連通部55bを含んでいる。第1連通部55a及び第2連通部55bは、第1蒸気流路部50Pと第2蒸気流路部50Qを連通している。このことにより、第1蒸気流路部50Pと第2蒸気流路部50Qを容易に連通できる。このため、より広い範囲に蒸発した作動蒸気2aを拡散でき、電子デバイスDの冷却効率を向上できる。
【0133】
本実施の形態によれば、第1ベイパーチャンバー本体5Pは、第1基端部41Pと第1対向部42Pとの間で屈曲されている。このことにより、第1対向部42Pと、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2枝部7Qの第2対向部42Qとを離間でき、第1対向部42Pと第2対向部42Qとの間に電子デバイスDを位置できる。このため、電子デバイスDのうちの第1対向部42Pに対向する面及び第2対向部42Qに対向する面から熱を吸収でき、電子デバイスDの冷却効率を向上できる。
【0134】
本実施の形態によれば、第2ベイパーチャンバー本体5Qは、第2基端部41Qから第2対向部42Qにわたって平坦状に形成されている。より具体的には、第1ベイパーチャンバー本体5Pが上述のように屈曲されている場合には第1対向部42Pと第2対向部42Qとの間に電子デバイスDを位置できるため、第2ベイパーチャンバー本体5Qを屈曲させることを不要にできる。このため、ベイパーチャンバー1の製造を容易化でき、製造効率を向上できる。
【0135】
第1変形例について説明する。
【0136】
上述した本実施の形態においては、平面視において、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2枝部7Qの第2端部5Qaは、第1ベイパーチャンバー本体5Pの第1枝部7Pの第1端部5Paと重なっている例について説明した。しかしながら、本開示は、このことに限られることはない。例えば、
図11に示すように、第2端部5Qaは、第1端部5Paよりも第2基端部41Qから遠い位置に位置していてもよい。より具体的には、第2端部5Qaは、第1端部5Paよりも第2基端部41QからX方向に離れた位置に位置していてもよい。この場合、第2ベイパーチャンバー本体5Qの長さを長くできる。
【0137】
図11に示す例では、第2ベイパーチャンバー本体5Qは、第2対向部42Qから延びる第2延長部44Qを含んでいてもよい。第2延長部44Qの先端に第2端部5Qaが位置している。断面視において、第2延長部44Qは、第2対向部42Qに対して第2基端部41Qとは反対側に位置しており、第2対向部42Qから、第2基端部41Qとは反対側に延びている。第2蒸気流路部50Q及び第2液流路部60Qは、第2対向部42Qから第2延長部44Qに延びている。第2延長部44Qは凝縮領域CRとして機能できる。この場合、ベイパーチャンバー1の放熱面積を増大でき、ベイパーチャンバー1の放熱性能を向上できる。このため、電子デバイスDの冷却効率を向上できる。
【0138】
第2端部5Qaが第1端部5Paよりも第2基端部41Qから遠い位置に位置する場合、第2ベイパーチャンバー本体5QのX方向長さは、屈曲前の第1ベイパーチャンバー本体5PのX方向長さと等しくしてもよい。この場合、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第1シート10Q及び第2シート20Qを、第1ベイパーチャンバー本体5Pの第1シート10P及び第2シート20Pと同じ大きさを有するシート材料で形成できる。このため、ベイパーチャンバー1の製造効率を向上できる。
【0139】
第2変形例について説明する。
【0140】
上述した本実施の形態においては、第1ベイパーチャンバー本体5Pの第1対向部42P及び第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2対向部42Qのそれぞれに、蒸発領域SRが位置している例について説明した。しかしながら、本開示は、このことに限られることはない。例えば、
図12に示すように、第1基端部41P及び第2基端部41Qに、蒸発領域SRが位置していてもよい。
図12に示す例では、第1対向部42P及び第2対向部42Qに、凝縮領域CRが位置していてもよい。第1中間部43Pが、凝縮領域CRとして機能していてもよい。
【0141】
図12に示すように、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2基端部41Qに電子デバイスDが熱的に接続されていてもよい。第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2シート20Qの第2シート外面20Qb(
図4参照)に、電子デバイスDが熱的に接続されていてもよい。第2シート外面20Qbと電子デバイスDとの間に、TIMシート70(
図15参照)が介在されていてもよい。
【0142】
図12には、第2液流路部60Qが、第2本体シート30Qのランド部33の第2本体面30Qb(
図4参照)に形成されている例が示されている。しかしながら、ランド部33の第2本体面30Qbの代わりに第1本体面30Qa(
図4参照)に第2液流路部60Qが形成されていてもよい。あるいは、ランド部33の第1本体面30Qa及び第2本体面30Qbのそれぞれに、第2液流路部60Qが形成されていてもよい。
【0143】
第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2基端部41Qにおいては、電子デバイスDからの熱を受けて作動蒸気2aが生成される。作動蒸気2aは、第2蒸気流路部50Qを構成する第1蒸気通路51及び第2蒸気通路52を通って、第2対向部42Qに向かって拡散する。第2対向部42Qにおいて、作動蒸気2aは、第1シート10Q及び第2シート20Qに放熱して冷却される。第1シート10Q及び第2シート20Qが作動蒸気2aから受けた熱は、第2ベイパーチャンバー本体5Qの周囲に放出される。放熱した作動蒸気2aは凝縮し、作動液2bが生成される。作動液2bは、第2液流路部60Qの主流溝61の毛細管作用により、蒸発領域SRが位置する第2基端部41Qに輸送される。
【0144】
電子デバイスDから第2基端部41Qが受けた熱の一部は、第1ベイパーチャンバー本体5Pの第1基端部41Pに移動する。第1基端部41Pにおいて、作動蒸気2aが生成される。作動蒸気2aは、第1蒸気流路部50Pを構成する第1蒸気通路51及び第2蒸気通路52を通って、第1対向部42Pに向かって拡散する。第1対向部42Pにおいて、作動蒸気2aは、第1シート10P及び第2シート20Pに放熱して冷却される。第1シート10P及び第2シート20Pが作動蒸気2aから受けた熱は、第1ベイパーチャンバー本体5Pの周囲に放出される。放熱した作動蒸気2aは凝縮し、作動液2bが生成される。作動液2bは、第1液流路部60Pの主流溝61の毛細管作用により、蒸発領域SRが位置する第1基端部41Pに輸送される。
【0145】
第1基端部41P及び第2基端部41Qに蒸発領域SRが位置していることにより、第1対向部42P及び第2対向部42Qは凝縮領域CRとして機能できる。第1対向部42Pと第2対向部42Qが互いに離間していることにより、ベイパーチャンバー1の放熱面積を増大できる。このため、ベイパーチャンバー1の放熱性能を向上でき、電子デバイスDの冷却効率を向上できる。
【0146】
第3変形例について説明する。
【0147】
上述した第2変形例においては、基端部6から2つの枝部が延びている例について説明した。しかしながら、本開示は、このことに限られることはない。例えば、
図13及び
図14に示すように、基端部6から3つの枝部が延びていてもよい。
【0148】
本実施の形態によるベイパーチャンバー1は、基端部6と、第1枝部7Pと、第2枝部7Qと、第3枝部7Rと、第1蒸気流路部50Pと、第1液流路部60Pと、第2蒸気流路部50Qと、第2液流路部60Qと、第3蒸気流路部50Rと、第3液流路部60Rと、を備えていてもよい。
【0149】
基端部6は、第1枝部7P、第2枝部7Q及び第3枝部7Rの基端となる部分である。本実施の形態による基端部6は、第1基端部41Pと、第2基端部41Qと、第3基端部41Rと、を含んでいてもよい。第3基端部41Rは、第3枝部7Rに連続状に接続されている。
【0150】
断面視において、第3枝部7Rは、基端部6から延びている。第3枝部7Rは、第1枝部7P及び第2枝部7Qとは異なる位置に向かって基端部6から延びている。第3枝部7Rは、第3基端部41Rから連続状に延びており、第3枝部7Rと第3基端部41Rとにより第3ベイパーチャンバー本体5Rが構成されている。第3枝部7Rは、第2枝部7Qに対して第1枝部7Pとは反対側に位置している。本実施の形態による第3枝部7Rは、第3対向部42Rと、第3中間部43Rと、を含んでいてもよい。第3対向部42Rは、ベイパーチャンバー1の厚さ方向に相当するZ方向において第2対向部42Qに対向して離間している。第3ベイパーチャンバー本体5Rは、第3基端部41Rと第3対向部42Rとの間で屈曲されていてもよい。
【0151】
図13に示すように、本実施の形態によるベイパーチャンバー1は、第1ベイパーチャンバー本体5Pと、第2ベイパーチャンバー本体5Qと、第3ベイパーチャンバー本体5Rと、を含んでいてもよい。第3ベイパーチャンバー本体5Rは、上述した第3基端部41Rと、上述した第3枝部7Rと、を含んでいる。第3枝部7Rは、第3対向部42Rと第3中間部43Rと、を含んでいる。第3ベイパーチャンバー本体5Rの第3基端部41Rが、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2基端部41Qと接合されていてもよい。第1基端部41P、第2基端部41Q及び第3基端部41Rにより、上述した基端部6が構成されている。本実施の形態においては、基端部6に電子デバイスDが位置していてもよい。
【0152】
図13に示すように、第3ベイパーチャンバー本体5Rは、第2ベイパーチャンバー本体5Qに対して第1ベイパーチャンバー本体5Pとは反対側に位置している。第1ベイパーチャンバー本体5Pと第3ベイパーチャンバー本体5Rとの間に、第2ベイパーチャンバー本体5Qが位置している。
【0153】
断面視において、第3基端部41Rは、第2基端部41Qに対向している。第3基端部41Rは、第2基端部41Qに接触していてもよく、重なっていてもよい。第3基端部41Rは、第2基端部41Qに接合されていてもよい。第3基端部41Rは、X方向に沿って形成されていてもよい。
【0154】
第3対向部42Rは、第2ベイパーチャンバー本体5Qの上述した第2対向部42Qに離間して対向している。第3対向部42Rは、断面視において、X方向に沿って形成されていてもよい。
【0155】
第3中間部43Rは、第3基端部41Rと第3対向部42Rとの間に位置している。断面視において、第3中間部43Rは、第3基端部41Rに対して傾斜していてもよく、第3対向部42Rに対して傾斜していてもよい。しかしながら、第3中間部43Rの形状は任意であり、例えば、第3中間部43Rは、断面視において、湾曲していてもよい。
【0156】
断面視において、第3ベイパーチャンバー本体5Rは、第3基端部41Rと第3対向部42Rとの間で屈曲されていてもよい。第3ベイパーチャンバー本体5Rを構成する後述の第1シート10R、第2シート20R及び第3本体シート30Rが屈曲されていてもよい。
図13に示す例では、第3ベイパーチャンバー本体5Rは、2つの異なる位置で屈曲されている。第3ベイパーチャンバー本体5Rは、第3基端部41Rと第3中間部43Rとの間で屈曲されているとともに、第3対向部42Rと第3中間部43Rとの間で屈曲されている。このことにより、第3ベイパーチャンバー本体5Rの第3対向部42Rと、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2対向部42Qとを、離間できる。第3ベイパーチャンバー本体5Rは、Y方向に延びる屈曲線(図示せず)に沿って屈曲されていてもよい。この場合、第3ベイパーチャンバー本体5Rは、Y方向に沿って平坦状に形成されていてもよい。
【0157】
第3ベイパーチャンバー本体5Rは、第1ベイパーチャンバー本体5P及び第2ベイパーチャンバー本体5Qと同様に、第1シート10Rと、第2シート20Rと、第3本体シート30Rと、上述した第3蒸気流路部50Rと、上述した第3液流路部60Rと、を含んでいてもよい。
【0158】
図13に示すように、第1シート10Rは、基端部6から第3枝部7Rにわたって形成されていてもよい。より具体的には、第1シート10Rは、第3基端部41Rから第3中間部43Rを通って第3対向部42Rに延びていてもよい。第1シート10Rは、第3本体シート30Rと第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2本体シート30Qとの間に位置していてもよい。第1シート10Rは、第3本体シート30Rと第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2シート20Qとの間に位置していてもよい。
【0159】
図14に示すように、第1シート10Rは、第3本体シート30Rとは反対側に位置する第1シート外面10Raと、第3本体シート30Rに対向する第1シート内面10Rbと、を含んでいる。第1シート内面10Rbに、第3本体シート30Rの後述する第1本体面30Raが接触して接合されていてもよい。第1シート10Rは、実質的に一定の厚さを有していてもよい。
【0160】
第1シート10Rの第1シート外面10Raの一部分は、第2シート20Qの第2シート外面20Qbに、恒久的に接合されていてもよい。より具体的には、第1シート外面10Raのうちの第3基端部41Rに位置する部分が、第2シート外面20Qbのうちの第2基端部41Qに位置する部分に接合されていてもよい。
【0161】
図13に示すように、第2シート20Rは、基端部6から第3枝部7Rにわたって形成されていてもよい。より具体的には、第2シート20Rは、第3基端部41Rから第3中間部43Rを通って第3対向部42Rに延びていてもよい。第2シート20Rは、第3本体シート30Rに対して第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2本体シート30Qとは反対側に位置していてもよい。第2シート20Rは、第3本体シート30Rに対して第1シート10Rとは反対側に位置してもよい。
【0162】
図14に示すように、第2シート20Rは、第3本体シート30Rに対向する第2シート内面20Raと、第3本体シート30Rとは反対側に位置する第2シート外面20Rbと、を含んでいる。第2シート内面20Raに、第3本体シート30Rの後述する第2本体面30Rbが接触して接合されていてもよい。第2シート20Rは、実質的に一定の厚さを有していてもよい。
【0163】
図13に示すように、第3本体シート30Rは、基端部6から第3枝部7Rにわたって形成されていてもよい。より具体的には、第3本体シート30Rは、第3基端部41Rから第3中間部43Rを通って第3対向部42Rに延びていてもよい。第3本体シート30Rは、第1シート10Rと第2シート20Rとの間に位置していてもよい。
【0164】
図14に示すように、第3本体シート30Rは、第1本体面30Raと、第1本体面30Raとは反対側に位置する第2本体面30Rbと、を含んでいる。第1本体面30Raに、第1シート10Rが接触して恒久的に接合されていてもよい。第2本体面30Rbに、第2シート20Rが接触して恒久的に接合されていてもよい。
【0165】
第3本体シート30Rは、第3蒸気流路部50Rを画定している。第3本体シート30Rは、上述した第1本体シート30Pと同様に、枠体部32と、複数のランド部33と、を含んでいてもよい。枠体部32及びランド部33は、第1シート10Rに接合されていてもよく、第2シート20Rに接合されていてもよい。第3本体シート30Rのランド部33は、基端部6から第3枝部7Rにわたって形成されていてもよい。より具体的には、ランド部33は、第3基端部41Rから第3中間部43Rを通って第3対向部42Rに延びていてもよい。第3本体シート30Rは、第1本体シート30Pと同様に構成されているため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0166】
第3蒸気流路部50Rは、第3空間部の一例である。第3蒸気流路部50Rは、基端部6から第3枝部7Rにわたって形成されていてもよい。より具体的には、第3蒸気流路部50Rは、
図13に示すように、第3基端部41Rから第3中間部43Rを通って第3対向部42Rに延びている。第3蒸気流路部50Rは、第3本体シート30Rにより形成されており、第3蒸気流路部50Rに、作動流体2a、2bが封入されている。第3蒸気流路部50Rは、主として、作動蒸気2aが通る流路であってもよい。第3蒸気流路部50Rに、作動液2bも通ってもよい。第3蒸気流路部50Rは、密封空間3の一部を構成している。
【0167】
第3蒸気流路部50Rは、第1蒸気通路51と、複数の第2蒸気通路52と、を含んでいてもよい。第3蒸気流路部50Rは、第1蒸気流路部50Pと同様に構成される。このため、第3蒸気流路部50Rの詳細な説明は省略する。
【0168】
第3ベイパーチャンバー本体5Rの第3蒸気流路部50Rは、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2蒸気流路部50Qと連通していてもよい。
【0169】
より具体的には、
図13及び
図14に示すように、第2ベイパーチャンバー本体5Qは、第3連通部55cを含んでいてもよい。第3連通部55cは、第2シート20Qに形成されていてもよく、第2基端部41Qに位置していてもよい。第2シート20Qに、複数の第3連通部55cが形成されていてもよい。第3連通部55cは、平面視で第2蒸気流路部50Qの第1蒸気通路51の一部又は第2蒸気通路52の一部に重なっていてもよい。第3連通部55cは、第2蒸気流路部50Q及び第3蒸気流路部50Rを連通していてもよい。第3連通部55cは、第2シート20Qを貫通する開口であってもよい。第3連通部55cの平面形状は、矩形形状、円形形状又は楕円形形状等、任意の形状である。
【0170】
第3ベイパーチャンバー本体5Rは、第4連通部55dを含んでいてもよい。第4連通部55dは、第1シート10Rに形成されていてもよく、第3基端部41Rに位置していてもよい。第1シート10Rに、複数の第4連通部55dが形成されていてもよい。第4連通部55dは、平面視で第3蒸気流路部50Rの第1蒸気通路51の一部又は第2蒸気通路52の一部に重なっていてもよい。第4連通部55dは、第2蒸気流路部50Q及び第3蒸気流路部50Rを連通していてもよい。第4連通部55dは、第1シート10Rを貫通する開口であってもよい。第4連通部55dの平面形状は、矩形形状、円形形状又は楕円形形状等、任意の形状である。
【0171】
第3液流路部60Rは、第3溝流路部の一例である。第3液流路部60Rは、基端部6から第3枝部7Rにわたって形成されていてもよい。より具体的には、
図13に示すように、第3基端部41Rから第3中間部43Rを通って第3対向部42Rに延びていてもよい。第3液流路部60Rは、第3蒸気流路部50Rに連通していてもよい。第3液流路部60Rは、主として、作動液2bが通る流路であってもよい。第3液流路部60Rに、作動蒸気2aも通ってもよい。第3液流路部60Rは、密封空間3の一部を構成している。
【0172】
第3液流路部60Rは、作動液2bを蒸発領域SRに輸送するための毛細管構造として構成されている。第3液流路部60Rは、ウィックと称する場合もある。この場合、第3本体シート30Rは、第3ウィックシートとも称される。第3液流路部60Rは、第3本体シート30Rの各ランド部33の第2本体面30Rbに形成されていてもよい。
図13等では図示していないが、枠体部32の第2本体面30Rbのうちの内側部分に、第3液流路部60Rと同様な液流路部が形成されていてもよい。図示しないが、ランド部33の第2本体面30Rbの代わりに第1本体面30Raに第3液流路部60Rが形成されていてもよい。あるいは、ランド部33の第1本体面30Ra及び第2本体面30Rbのそれぞれに、第3液流路部60Rが形成されていてもよい。
【0173】
第3液流路部60Rは、複数の主流溝61と、複数の連絡溝65と、を含んでいてもよい。第3液流路部60Rは、第1液流路部60Pと同様に構成される。このため、第3液流路部60Rの詳細な説明は省略する。
【0174】
図13に示すように、第1基端部41P、第2基端部41Q及び第3基端部41Rに、蒸発領域SRが位置していてもよい。第1対向部42P、第2対向部42Q及び第3対向部42Rに、凝縮領域CRが位置していてもよい。第1中間部43P及び第3中間部43Rが、凝縮領域CRとして機能していてもよい。第3ベイパーチャンバー本体5Rの第3基端部41Rに電子デバイスDが熱的に接続されていてもよい。第3ベイパーチャンバー本体5Rの第2シート20Rに、電子デバイスDが熱的に接続されていてもよい。第3ベイパーチャンバー本体5Rの第2シート20Rの第2シート外面20Rb(
図14参照)に、電子デバイスDが熱的に接続されていてもよい。第2シート外面20Rbと電子デバイスDとの間に、TIMシート70(
図15参照)が介在されていてもよい。
【0175】
図12に示す例と同様にして、第1基端部41P、第2基端部41Q及び第3基端部41Rにおいて、電子デバイスDからの熱を受けて作動蒸気2aが生成される。作動蒸気2aは、蒸気流路部50P~50Rを通って、第1対向部42P、第2対向部42Q及び第3対向部42Rに向かって拡散する。第1対向部42P、第2対向部42Q及び第3対向部42Rにおいて、作動蒸気2aは放熱して冷却される。作動蒸気2aから受けた熱は、各ベイパーチャンバー本体5P、5Q、5Rの周囲に放出される。放熱した作動蒸気2aは凝縮し、作動液2bが生成される。作動液2bは、液流路部60P~60Rの主流溝61の毛細管作用により、蒸発領域SRが位置する第1基端部41P、第2基端部41Q及び第3基端部41Rに輸送される。
【0176】
第1基端部41P、第2基端部41Q及び第3基端部41Rに蒸発領域SRが位置していることにより、第1対向部42P、第2対向部42Q及び第3対向部42Rは凝縮領域CRとして機能できる。第1対向部42Pと第2対向部42Qが互いに離間しているとともに、第2対向部42Qと第3対向部42Rが互いに離間していることにより、ベイパーチャンバー1の放熱面積を増大できる。このため、ベイパーチャンバー1の放熱性能を向上でき、電子デバイスDの冷却効率を向上できる。
【0177】
第4変形例について説明する。
【0178】
上述した本実施の形態においては、第1蒸気流路部50Pと第2蒸気流路部50Qが互いに連通している例について説明した。しかしながら、本開示は、このことに限られることはない。例えば、第1蒸気流路部50Pと第2蒸気流路部50Qは、互いに分断されていてもよい。例えば、
図5及び
図6に示す第1連通部55aが第1シート10Pに形成されていなくてもよい。
図5及び
図6に示す第2連通部55bが第1シート10Qに形成されていなくてもよい。この場合においても、第1ベイパーチャンバー本体5P内の作動流体2a、2bは、第1ベイパーチャンバー本体5Pの第1蒸気流路部50P及び第1液流路部60Pで還流できる。このため、電子デバイスDの熱を拡散させて電子デバイスDを冷却できる。第2ベイパーチャンバー本体5Q内の作動流体2a、2bは、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2蒸気流路部50Q及び第2液流路部60Qで還流できる。このため、電子デバイスDの熱を拡散させて電子デバイスDを冷却できる。第1蒸気流路部50Pと第2蒸気流路部50Qが互いに分断される場合、第1蒸気流路部50P内の作動流体2a、2bの量と、第2蒸気流路部50Q内の作動流体2a、2bの量を一定に保つことができる。このことにより、第1蒸気流路部50P及び第2蒸気流路部50Qの一方に作動流体2a、2bが偏って存在して他方で作動流体2a、2bが不足することを抑制できる。
【0179】
第5変形例について説明する。
【0180】
上述した本実施の形態においては、第1ベイパーチャンバー本体5Pの第1液流路部60Pが、毛細管作用を有する主流溝61及び連絡溝65を含んでいる例について説明した。しかしながら、本開示は、このことに限られることはない。例えば、第1液流路部60Pは、金属メッシュ又は多孔質焼結体などにより形成されたウィック部材(図示せず)を含んでいてもよい。ウィック部材が金属メッシュで形成される場合、銅線又はステンレス線を、平織、綾織、平畳織又は綾畳織等の形状で金属メッシュを形成してもよい。ウィック部材は、毛細管作用を発揮することにより、作動液2bに、蒸発領域SRに向かう推進力を与えることができるように構成されている。
【0181】
ウィック部材は、第1蒸気流路部50Pの第1蒸気通路51内及び第2蒸気通路52内に位置していてもよい。この場合、ウィック部材は、ランド部33の周囲に位置していてもよい。第1液流路部60Pがウィック部材を含む場合、第1本体シート30Pが、ランド部33を含んでいなくてもよい。この場合、ウィック部材は、枠体部32で囲まれた空間部として構成される第1蒸気流路部50P内に位置していてもよい。第2ベイパーチャンバー本体5Qについても同様である。
【0182】
第6変形例について説明する。
【0183】
上述した本実施の形態においては、第1ベイパーチャンバー本体5Pの第1本体シート30Pが枠体部32を含み、枠体部32が第1シート10P及び第2シート20Pに接合されている例について説明した。しかしながら、本開示は、このことに限られることはない。例えば、第1本体シート30Pは枠体部32を含んでいなくてもよい。この場合、第1ベイパーチャンバー本体5Pの周縁部において、第1シート10P及び第2シート20Pが、第1本体シート30Pを介在させることなく直接的に接合されていてもよい。第1シート10P及び第2シート20Pは、周縁部において屈曲されて、例えばレーザ溶接されていてもよい。第1シート10P及び第2シート20Pが全周にわたって直接的に接合されていてもよい。第1ベイパーチャンバー本体5Pの周縁部は、平面視において、第1本体シート30Pの枠体部32に対応する部分に相当する。第2ベイパーチャンバー本体5Qについても同様である。本変形例において、第1液流路部60Pは、上述したウィック部材で構成されていてもよい。この場合、第1本体シート30Pは、ランド部33を含んでいなくてもよい。第2ベイパーチャンバー本体5Qについても同様である。
【0184】
第7変形例について説明する。
【0185】
上述した本実施の形態においては、第1ベイパーチャンバー本体5Pの第1シート10Pと第2シート20Pとの間に、1枚の第1本体シート30Pが位置している例について説明した。しかしながら、本開示は、このことに限られることはない。第1シート10Pと第2シート20Pとの間に、複数枚の第1本体シート30Pが位置していてもよい。第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2本体シート30Qについても同様である。
図13及び
図14に示す第3ベイパーチャンバー本体5Rの第3本体シート30Rについても同様である。第1ベイパーチャンバー本体5Pの第1本体シート30Pの枚数と、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2本体シート30Qの枚数は、互いに異なっていてもよい。
【0186】
第8変形例について説明する。
【0187】
上述した本実施の形態においては、第1ベイパーチャンバー本体5Pの第1液流路部60P及び第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2液流路部60Qがそれぞれ、毛細管作用を有する主流溝61及び連絡溝65を含む例について説明した。しかしながら、本開示は、このことに限られることはない。例えば、第1液流路部60P及び第2液流路部60Qのうちの一方が、主流溝61及び連絡溝65を含み、他方が、上述したウィック部材を含んでいてもよい。
【0188】
第9変形例について説明する。
【0189】
上述した本実施の形態においては、基端部6が、第1基端部41Pと第2基端部41Qとを含み、第1基端部41Pと第2基端部41Qが、互いに重なって接合されている例について説明した。しかしながら、本開示は、このことに限られることはない。例えば、基端部6は、第1基端部41P及び第2基端部41Qの一方を含み、他方を含んでいなくてもよい。このことにより、ベイパーチャンバー1の基端部6の厚さを薄くできる。
【0190】
より具体的には、第1ベイパーチャンバー本体5Pは、第1基端部41Pを含んでいなくてもよい。この場合、第1ベイパーチャンバー本体5Pの第1枝部7Pは、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2基端部41Qから延びていてもよい。あるいは、第2ベイパーチャンバー本体5Qは、第2基端部41Qを含んでいなくてもよい。この場合、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2枝部7Qは、第1ベイパーチャンバー本体5Pの第1基端部41Pから延びていてもよい。
【0191】
(第2の実施の形態)
次に、
図15~
図17を用いて、本開示の第2の実施の形態によるベイパーチャンバー、放熱装置及び電子機器について説明する。
【0192】
図15~
図17に示す第2の実施の形態においては、第2ベイパーチャンバー本体の第2基端部に、放熱体が熱的に接続されている点が主に異なる。他の構成は、
図1~
図14に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、
図15~
図17において、
図1~
図14に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0193】
図15に示すように、本実施の形態による放熱装置80は、ベイパーチャンバー1と、放熱体81と、を備えている。
【0194】
より具体的には、本実施の形態によるベイパーチャンバー1は、上述した
図2等に示すベイパーチャンバー1と同様に構成されていてもよい。平面視において、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2端部5Qaは、第1ベイパーチャンバー本体5Pの上述した第1端部5Paと重なっていてもよい。
【0195】
ベイパーチャンバー1に、放熱体81が設けられている。ベイパーチャンバー1及び放熱体81は、本実施の形態による放熱装置80を構成している。放熱装置80は、発熱を伴う電子デバイスDとともに電子機器E(
図1参照)のハウジングHに収容されてもよい。この場合、電子機器Eは、ハウジングHと、ハウジングH内に収容された電子デバイスDと、ベイパーチャンバー1を含む放熱装置80と、を備えていてもよい。放熱装置80のベイパーチャンバー1が、電子デバイスDに熱的に接続されていてもよい。
【0196】
放熱体81は、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2基端部41Qに熱的に接続されていてもよい。放熱体81は、第2シート20Qの第2シート外面20Qb(
図4又は
図6参照)に熱的に接続されていてもよい。本実施の形態による放熱体81は、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2基端部41Q及び第2対向部42Qに熱的に接続されていてもよい。放熱体81は、第2対向部42Qから第2基端部41Qにわたって第2シート外面20Qbに熱的に接続されていてもよい。
【0197】
本実施の形態においては、第1ベイパーチャンバー本体5Pの第1対向部42P及び第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2対向部42Qに、蒸発領域SRが位置していてもよい。第1ベイパーチャンバー本体5Pの第1基端部41P及び第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2基端部41Qに、凝縮領域CRが位置していてもよい。第1ベイパーチャンバー本体5Pの第1中間部43Pは、凝縮領域CRとして機能していてもよい。第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2対向部42Qも、凝縮領域CRとして機能していてもよい。第2対向部42Qが、蒸発領域SRとして機能するとともに凝縮領域CRとして機能してもよい。この場合、蒸発領域SRと凝縮領域CRの一部分とが重なっていてもよい。
【0198】
放熱体81は、ベイパーチャンバー1の放熱を促進するように構成されている。放熱体81は、ヒートシンクであってもよい。ヒートシンクは、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2シート外面20Qbに接触したベースと、ベースから延びる複数の突起部(いずれも図示せず)と、を含んでいてもよい。突起部はフィンとも称される。第2ベイパーチャンバー本体5Qと放熱体81との間に、TIMシート70が介在されていてもよい。放熱体81は、ヒートシンクであることに限られることはない。例えば、放熱体81は、水を冷却媒体として用いた冷却装置であってもよい。あるいは、放熱体81は、金属材料で形成されたブロック状の部材であってもよい。あるいは、放熱体81は、上述したハウジングHを構成する部材であってもよい。
【0199】
第1ベイパーチャンバー本体5Pの蒸発領域SRにおいて生成された作動蒸気2aは、第1基端部41Pに向かって拡散する。第1基端部41Pに達した作動蒸気2aの一部は、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2基端部41Qに達する。第2基端部41Qに達した作動蒸気2aは、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2シート20Qに放熱して凝縮される。第1基端部41P内の作動蒸気2aの一部は、第2シート20Pに放熱して凝縮される。
【0200】
第2ベイパーチャンバー本体5Qの蒸発領域SRにおいて生成された作動蒸気2aは、第2基端部41Qに向かって拡散する。第2基端部41Qに達した作動蒸気2aは、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2シート20Qに放熱して凝縮される。第2蒸気流路部50Q内の作動蒸気2aの一部は、第2対向部42Qにおいても、第2シート20Qに放熱して凝縮される。
【0201】
第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2シート20Qが受けた熱は放熱体81に伝わる。放熱体81が受けた熱は、放熱体81の周囲空間に放出される。このようにして、放熱体81は、第2シート20Qから受けた熱を輸送する。
【0202】
このように本実施の形態によれば、放熱体81が、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2基端部41Qに熱的に接続されている。このことにより、第2基端部41Qにおいて、第1ベイパーチャンバー本体5Pの作動蒸気2a及び第2ベイパーチャンバー本体5Qの作動蒸気2aから第2シート20Qを介して放熱体81に熱を放出できる。放熱体81は作動蒸気2aから受けた熱を輸送し、周囲に放出できる。このため、ベイパーチャンバー1の放熱性能を向上でき、電子デバイスDの冷却効率を向上できる。
【0203】
本実施の形態によれば、放熱体81が、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2基端部41Q及び第2対向部42Qに熱的に接続されている。このことにより、第2対向部42Qにおいても、作動蒸気2aから第2シート20Qを介して放熱体81に熱を放出できる。このため、ベイパーチャンバー1の放熱性能を向上でき、電子デバイスDの冷却効率を向上できる。
【0204】
第10変形例について説明する。
【0205】
上述した本実施の形態においては、平面視において、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2端部5Qaは、第1ベイパーチャンバー本体5Pの上述した第1端部5Paと重なっている例について説明した。しかしながら、本開示は、このことに限られることはない。例えば、
図16に示すように、第2端部5Qaは、第1端部5Paよりも第2基端部41Qから遠い位置に位置していてもよい。より具体的には、第2端部5Qaは、第1端部5Paよりも第2基端部41QからX方向に離れた位置に位置していてもよい。この場合、第2ベイパーチャンバー本体5Qの長さを長くできる。
【0206】
図16に示す例では、第2ベイパーチャンバー本体5Qは、第2対向部42Qから延びる第2延長部44Qを含んでいてもよい。第2延長部44Qの先端に第2端部5Qaが位置している。断面視において、第2延長部44Qは、第2対向部42Qに対して第2基端部41Qとは反対側に位置しており、第2対向部42Qから、第2基端部41Qとは反対側に延びている。第2蒸気流路部50Q及び第2液流路部60Qは、第2対向部42Qから第2延長部44Qに延びている。第2延長部44Qは凝縮領域CRとして機能できる。この場合、ベイパーチャンバー1の放熱面積を増大でき、ベイパーチャンバー1の放熱性能を向上できる。このため、電子デバイスDの冷却効率を向上できる。
【0207】
放熱体81は、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2基端部41Q及び第2対向部42Qだけでなく、第2延長部44Qにも熱的に接続されていてもよい。この場合、ベイパーチャンバー1から放熱体81への放熱面積を増大でき、ベイパーチャンバー1の放熱性能を向上できる。このため、電子デバイスDの冷却効率を向上できる。
【0208】
第2端部5Qaが第1端部5Paよりも第2基端部41Qから遠い位置に位置する場合、第2ベイパーチャンバー本体5QのX方向長さは、屈曲前の第1ベイパーチャンバー本体5PのX方向長さと等しくしてもよい。この場合、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第1シート10Q及び第2シート20Qを、第1ベイパーチャンバー本体5Pの第1シート10P及び第2シート20Pと同じ大きさを有するシート材料で形成できる。このため、ベイパーチャンバー1の製造効率を向上できる。
【0209】
第11変形例について説明する。
【0210】
例えば、
図17に示すように、第1ベイパーチャンバー本体5Pは、第1対向部42Pから延びる第1延長部44Pを含むとともに、第2ベイパーチャンバー本体5Qは、第2対向部42Qから延びる第2延長部44Qを含んでいてもよい。
【0211】
断面視において、第1延長部44Pは、第1対向部42Pに対して第1基端部41Pとは反対側に位置しており、第1対向部42Pから、第1基端部41Pとは反対側に延びている。第1蒸気流路部50P及び第1液流路部60Pは、第1対向部42Pから第1延長部44Pに延びている。第1延長部44Pは凝縮領域CRとして機能できる。
【0212】
図17に示す例では、第1対向部42Pと第1延長部44Pとの間に第4中間部45Pが位置している。断面視において、第4中間部45Pは、第1対向部42Pに対して傾斜していてもよく、第1延長部44Pに対して傾斜していてもよい。しかしながら、第4中間部45Pの形状は任意であり、例えば、第4中間部45Pは、断面視において、湾曲していてもよい。
【0213】
断面視において、第1ベイパーチャンバー本体5Pは、第1対向部42Pと第1延長部44Pとの間で屈曲されていてもよい。第1ベイパーチャンバー本体5Pは、第1対向部42Pと第4中間部45Pとの間で屈曲されているとともに、第4中間部45Pと第1延長部44Pとの間で屈曲されている。
【0214】
断面視において、第2延長部44Qは、第2対向部42Qに対して第2基端部41Qとは反対側に位置しており、第2対向部42Qから、第2基端部41Qとは反対側に延びている。第2蒸気流路部50Q及び第2液流路部60Qは、第2対向部42Qから第2延長部44Qに延びている。第2延長部44Qは凝縮領域CRとして機能できる。
【0215】
第1延長部44P及び第2延長部44Qは、互いに熱的に接続されていてもよい。第1延長部44Pと第2延長部44Qとの間に、TIMシート70が介在されていてもよい。第1延長部44Pに、第1連通部55a等のような連通部は形成されていなくてもよい。第2延長部44Qに、連通部は形成されていなくてもよい。
【0216】
第1延長部44P及び第2延長部44Qは、ボルト82を用いて放熱体81に締結されていてもよい。
【0217】
より具体的には、第1延長部44Pに位置する第1本体シート30Pに第1ボルト穴83aが形成されていてもよい。第1延長部44Pにおいて、第1本体シート30Pの枠体部32は、幅広に形成されていてもよい。第2延長部44Qに位置する第2本体シート30Qに第2ボルト穴83bが形成されていてもよい。第2延長部44Qにおいて、第2本体シート30Qの枠体部32は、幅広に形成されていてもよい。放熱体81に、ねじ穴83cが形成されていてもよい。平面視において、第1ボルト穴83a、第2ボルト穴83b及びねじ穴83cは重なっている。
【0218】
第1ボルト穴83a及び第2ボルト穴83bにボルト82が挿入されて、放熱体81のねじ穴83cにネジ係合している。このようにして、ボルト82を用いて、第1延長部44P及び第2延長部44Qが放熱体81に締結されて取り付けられている。TIMシート70にも、ボルト82が貫通するための穴71が形成されていてもよい。ボルト82は、熱伝導率が良好な材料であれば、特に限られることはないが、例えば、金属材料で構成されていてもよい。
【0219】
第1延長部44Pと第2延長部44Qを締結する前に、電子デバイスDを第1対向部42Pと第2対向部42Qとの間に位置させてもよい。例えば、第1基端部41Pを支点にして第1延長部44Pを持ち上げるように第1ベイパーチャンバー本体5Pを弾性変形させてもよい。この場合、第1対向部42Pと第2対向部42Qとの間の空間に、電子デバイスDを挿入できる。
【0220】
第1ベイパーチャンバー本体5Pの蒸発領域SRにおいて生成された作動蒸気2aの一部は、第1延長部44Pに達する。第1延長部44Pにおいて、作動蒸気2aは、第2シート20Pに放熱して凝縮される。作動蒸気2aから第2シート20Pが受けた熱は、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2延長部44Qを介して放熱体81に放出される。第2シート20Pが受けた熱の一部は、ボルト82に伝わり、ボルト82から放熱体81に放出される。
【0221】
第2ベイパーチャンバー本体5Qの蒸発領域SRにおいて生成された作動蒸気2aの一部は、第2延長部44Qに達する。第2延長部44Qにおいて、作動蒸気2aは、第2シート20Qに放熱して凝縮される。作動蒸気2aから第2シート20Qが受けた熱は、放熱体81に放出される。第2シート20Qが受けた熱の一部は、ボルト82に伝わり、ボルト82から放熱体81に放出される。
【0222】
図17に示す変形例によれば、第1ベイパーチャンバー本体5Pの第1延長部44Pと、第2ベイパーチャンバー本体5Qの第2延長部44Qが、互いに熱的に接続されている。このことにより、第1延長部44Pに達した作動蒸気2aの熱を、第2延長部44Qを介して放熱体81に放出できる。このため、第1ベイパーチャンバー本体5Pの放熱面積を増大でき、電子デバイスDの冷却効率を向上できる。
【0223】
図17に示す例によれば、第1延長部44P及び第2延長部44Qが、ボルト82を用いて放熱体81に締結されている。このことにより、第1延長部44Pに達した作動蒸気2aの熱の一部が、ボルト82を介して放熱体81に放出できる。第2延長部44Qに達した作動蒸気2aの熱の一部が、ボルト82を介して放熱体81に放出できる。このため、ベイパーチャンバー1の放熱性能を向上でき、電子デバイスDの冷却効率を向上できる。
【0224】
本開示は上記各実施の形態及び各変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施の形態及び各変形例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。各実施の形態及び各変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0225】
1 ベイパーチャンバー
2a 作動蒸気
2b 作動液
5P 第1ベイパーチャンバー本体
5Pa 第1端部
5Q 第2ベイパーチャンバー本体
5Qa 第2端部
6 基端部
7P 第1枝部
7Q 第2枝部
7R 第3枝部
41P 第1基端部
41Q 第2基端部
42P 第1対向部
42Q 第2対向部
42R 第3対向部
44P 第1延長部
44Q 第2延長部
50P 第1蒸気流路部
50Q 第2蒸気流路部
50R 第3蒸気流路部
55a 第1連通部
55b 第2連通部
60P 第1液流路部
60Q 第2液流路部
60R 第3液流路部
80 放熱装置
81 放熱体
82 ボルト