(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169136
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】カードスリーブ、シート部材、データ管理システム、及びデータ管理方法
(51)【国際特許分類】
B42D 15/00 20060101AFI20241128BHJP
B42D 12/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B42D15/00 341D
B42D12/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086355
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】522320442
【氏名又は名称】久米 夢菜
(74)【代理人】
【識別番号】100190274
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 滋之
(72)【発明者】
【氏名】久米 夢菜
(57)【要約】 (修正有)
【課題】看者の注意を引き、その存在に素早く気付かせるカードスリーブ、シート部材、データ管理システム、及びデータ管理方法を提供すること。
【解決手段】携行品に備わるポケットにカードと合わせて収納可能なカードスリーブ。カードスリーブは、シート状の第1部材及び第2部材を有する。第1部材と第2部材とは、四方の縁部のうちの、対向する一方の各縁部において繋がっており、対向する他方の各縁部においてカードを挿入可能な開口部を形成している。第1部材は、第2部材と繋がっている縁部のうちの一方側の端部に配置された注意喚起部と、携行者の情報が登録された個人情報ページへアクセスさせる読取部と、を有する。カードスリーブは、開口部からカードを挿入する方向である挿入方向の長さが、カードの挿入方向の長さよりも短くなっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携行品に備わるポケットにカードと合わせて収納可能なカードスリーブであって、
平面視矩形状であるシート状の第1部材と、
平面視矩形状であり、前記第1部材と対向するように配置されたシート状の第2部材と、を有し、
前記第1部材と前記第2部材とは、
四方の縁部のうちの、対向する一方の各縁部において繋がっており、かつ、対向する他方の各縁部において前記カードを挿入可能な開口部を形成しており、
前記第1部材は、
前記第2部材と繋がっている縁部のうちの一方側の端部に配置され、視認者の注意を引くための喚起情報を含む注意喚起部と、
情報端末での読み取りにより、携行者の個人情報に係るWebページを該情報端末に提供する読取部と、を有し、
前記開口部に前記カードを挿入する方向である挿入方向の長さが前記カードの前記挿入方向の長さよりも短い、カードスリーブ。
【請求項2】
前記カードが横向きで挿入されるものであり、
当該カードスリーブの前記挿入方向の長さは、25mm以上70mm以下である、請求項1に記載のカードスリーブ。
【請求項3】
前記挿入方向に直交する方向である収納方向の長さは、55mm以上64mm以下である、請求項1に記載のカードスリーブ。
【請求項4】
当該カードスリーブの前記挿入方向の長さは、25mm以上70mm以下である、請求項3に記載のカードスリーブ。
【請求項5】
前記カードが縦向きで挿入されるものであり、
当該カードスリーブの前記挿入方向の長さは、10mm以上50mm以下である、請求項1に記載のカードスリーブ。
【請求項6】
前記カードが縦向きで挿入されるものであり、
前記挿入方向に直交する方向である収納方向の長さは、86mm以上96mm以下である、請求項1に記載のカードスリーブ。
【請求項7】
前記第1部材は、
前記読取部に隣接する位置に、前記携行者の個人情報を示す個人情報ページのキーとなるパスコードが記載されたコード部を有する、請求項1に記載のカードスリーブ。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載のカードスリーブの材料であるシート部材であって、
前記第1部材と、前記第1部材の一端側の前記第2部材と、前記第1部材の他端側の第3部材とにより、全体が平面視で長方形状に形成されており、
前記第3部材は、
前記第2部材の前記第1部材とは反対側の端部に接合され、前記第1部材と前記第2部材とを繋ぐためのものである、シート部材。
【請求項9】
請求項1~7の何れか一項に記載のカードスリーブと、
前記読取部を介して前記携行者の個人情報を示す個人情報ページにアクセスした前記情報端末に前記携行者の個人情報を提供するデータ管理装置と、を有する、データ管理システム。
【請求項10】
請求項1~7の何れか一項に記載のカードスリーブの前記読取部を読み取った情報端末からのアクセスを受けたデータ管理装置が前記情報端末にパスコード入力用のパス入力ページを提供し、
前記情報端末から正しいパスコードを受信した前記データ管理装置が、前記携行者の個人情報を示す個人情報ページを前記情報端末に提供する、データ管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、財布やスマートフォンケースなどの携行品に備わるポケットに、カードと共に収納可能なカードスリーブ、その材料であるシート部材、該カードスリーブを用いたデータ管理システム、及びデータ管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、健康保険証、運転免許証、クレジットカード、交通系ICカードなどのカードを入れて用いるカードスリーブが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1のカードスリーブは、外縁がカードよりも若干大きく、カードの全体が納まるよう構成されおり、カードを入れた状態で財布のポケットに収納することができる。
【0003】
また、氏名、生年月日、血液型などの情報を記入してユーザに携行させるカードが、行政等から提供されている(以下「緊急カード」という。)。さらに、特許文献2には、健康保険証に貼り付けられ、健康保険証とピタリと重ねて収納される意思表示カードが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7016970号公報
【特許文献2】特開2012-131159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来品は、平面視でのサイズが一般的なカードと大差ないことから、携行品のポケットに、他のカードと同様に収納される。そのため、多様な色彩やデザインがカードに採用されている昨今において、従来品は格別な個性を示さない。特に、携行者の緊急時において第三者に素早く発見させることを目的としたアイテムは、携行品のポケットの中で一際目立たせる必要があるが、従来品の構成では、視認した者の注意を引くことができない。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、看者の注意を引き、その存在に素早く気付かせるカードスリーブ、その材料であるシート部材、該カードスリーブを用いたデータ管理システム、及びデータ管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るカードスリーブは、携行品に備わるポケットにカードと合わせて収納可能なカードスリーブであって、平面視矩形状であるシート状の第1部材と、平面視矩形状であり、第1部材と対向するように配置されたシート状の第2部材と、を有し、第1部材と第2部材とは、四方の縁部のうちの、対向する一方の各縁部において繋がっており、かつ、対向する他方の各縁部においてカードを挿入可能な開口部を形成しており、第1部材は、第2部材と繋がっている縁部のうちの一方側の端部に配置され、視認者の注意を引くための喚起情報を含む注意喚起部と、情報端末での読み取りにより、携行者の個人情報に係るWebページを該情報端末に提供する読取部と、を有し、開口部にカードを挿入する方向である挿入方向の長さがカードの挿入方向の長さよりも短いものである。
【0008】
本発明の一態様に係るシート部材は、上記のカードスリーブの材料であるシート部材であって、第1部材と、第1部材の一端側の第2部材と、第1部材の他端側の第3部材とにより、全体が平面視で長方形状に形成されており、第3部材は、第2部材の第1部材とは反対側の端部に接合され、第1部材と第2部材とを繋ぐためのものである。
【0009】
本発明の一態様に係るデータ管理システムは、上記のカードスリーブと、読取部を介して携行者の個人情報を示す個人情報ページにアクセスした情報端末に携行者の個人情報を提供するデータ管理装置と、を有するものである。
【0010】
本発明の一態様に係るデータ管理方法は、上記のカードスリーブの読取部を読み取った情報端末からのアクセスを受けたデータ管理装置が情報端末にパスコード入力用のパス入力ページを提供し、情報端末から正しいパスコードを受信したデータ管理装置が、携行者の個人情報を示す個人情報ページを情報端末に提供する、という手法を採っている。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、第1部材と第2部材とが、対向する他方の各縁部において開口部を形成しており、第1部材が喚起情報を含む注意喚起部を有し、挿入方向の長さがカードの挿入方向の長さよりも短くなっている。そのため、カードを挿通したカードスリーブを携行品のポケットに収納すると、カードスリーブだけでなく、その脇にカードを視認することができる。よって、第1部材の端部に配置された注意喚起部とカードとのコントラストにより、既存のカード単体とは顕著に異なる印象を看者に与えることができる。そのため、看者の注意を強く引き、その存在に素早く気付かせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態1に係るデータ管理システムの全体的な構成例を示す概要図である。
【
図2】
図1のカードスリーブにカードを挿入する様子を例示した説明図である。
【
図3】
図1のカードスリーブの第1部材の具体例を示す説明図である。
【
図4】
図1のカードスリーブの第2部材の具体例を示す説明図である。
【
図5】
図1のカードが挿通されたカードスリーブを携行品のポケットに収納する様子を例示した説明図である。
【
図6】
図1のカードスリーブの材料であるシート部材を例示した説明図である。
【
図7】本発明の実施の形態1に係るデータ管理方法のうち、カードスリーブのユーザの端末とデータ管理装置との間の連携動作の流れを例示したシーケンスチャートである。
【
図8】本発明の実施の形態1に係るデータ管理方法のうち、カードスリーブの発見者又は救急隊員などの情報端末とデータ管理装置との間の連携動作の流れを例示したシーケンスチャートである。
【
図9】
図1の情報端末に表示されるパス入力ページを例示した説明図である。
【
図10】
図1の情報端末に表示される個人情報ページを例示した説明図である。
【
図11】本発明の実施の形態1の変形例に係るデータ管理方法のうち、カードスリーブの発見者又は救急隊員などの情報端末とデータ管理装置との間の連携動作の流れを例示したシーケンスチャートである。
【
図12】本発明の実施の形態2に係るカードスリーブにカードを挿通させた状態を例示した構成図である。
【
図13】カードを挿通させた
図12のカードスリーブを携行品のポケットに収納する様子を例示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
まず、
図1~
図10に基づき、本発明の実施の形態1に係るデータ管理システム100及びその周辺構成等について説明する。各図のカードスリーブ10は、理解を助けるための例示であり、サイズ及び形状等はこれらに限定されない。以下の各図では、図面の煩雑化を避けるために符号の一部を省略することがある。
【0014】
まず、
図1~
図5を参照し、カードスリーブ10及びデータ管理システム100の構成例について説明する。
図1に示すように、データ管理システム100は、携行品に備わるポケットPにカードCと合わせて収納可能なカードスリーブ10と、カードスリーブ10のユーザ(携行者)の情報を管理するデータ管理装置60と、を有している。データ管理装置60と、携行者端末70と、情報端末80と、運営端末90とは、インターネットなどのネットワークNを介して、有線又は無線による通信が可能となっている。携行者端末70、情報端末80、及び運営端末90は、それぞれ、データ管理システム100の内部の構成と考えてもよく、外部の構成と考えてもよい。
【0015】
携行者端末70は、カードスリーブ10を所有するユーザ(携行者)が使用する端末である。携行者端末70は、スマートフォンやタブレット端末などであり、二次元コード等の読み取りが可能なカメラを有している。携行者端末70は、図示は省略するが、例えばタッチパネルからなる入力表示手段と、CPU(Central Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)等からなる制御手段と、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、eMMC(embedded Multi Media Card)、SSD(Solid State Drive)等からなる記憶手段と、を有している。制御手段は、入力表示手段に対する操作に応じて、外部機器との通信を行ったり、入力表示手段に情報を表示させたり、表示させた情報を変更したりする。記憶手段は、制御手段の動作プログラムなど、種々の情報を格納するものである。
【0016】
情報端末80は、スマートフォンやタブレット端末などの端末である。情報端末80は、ユーザ以外の第三者が使用するもので、二次元コード等の読み取りが可能なカメラを有している。
図1では、情報端末80としてスマートフォンを例示している。よって、情報端末80は、文字又は画像等の表示を行う表示パネルと、該表示パネルに積層されてタッチ操作を検出する検出手段と、を含むタッチパネル85を有している。情報端末80は、図示は省略するが、CPU又はGPU等からなる制御手段と、RAM及びROM、フラッシュメモリ、eMMC、SSD等からなる記憶手段と、を有している。運営端末90は、データ管理装置60内のプログラムを作成し保守する運営側のPC(Personal Computer)等である。PCには、デスクトップ型PC、ノートPC、タブレットPC、スマートフォンなどが含まれる。
【0017】
データ管理装置60は、クラウドコンピューティングに基づくクラウドサーバ、もしくはオンプレミス型の物理サーバ、又はこれらを組み合わせたシステムなどにより構成される。データ管理装置60は、通信部61と、制御部62と、記憶部63と、を有している。通信部61は、携行者端末70、情報端末80、及び運営端末90などの外部機器との間で制御部62が有線又は無線により通信を行うためのインタフェースである。記憶部63には、データ管理プログラム63pなどの制御部62の動作プログラムの他、種々の情報が記憶される。記憶部63は、RAM及びROM、フラッシュメモリ、eMMC、SSD、又はHDD(Hard Disk Drive)等により構成される。
【0018】
制御部62は、カードスリーブ10の読取部22を介して個人情報ページG2(
図10参照)にアクセスした情報端末80に、ユーザの個人情報を提供するものである。制御部62は、CPU又はGPU等により構成される。すなわち、制御部62の各種機能は、CPU又はGPU等の演算装置と、こうした演算装置と協働するソフトウェア(データ管理プログラム63pを含む)とにより実現することができる。もっとも、制御部62の各種機能のうちの一部は、ハードウェアにより実現してもよい。
【0019】
カードスリーブ10は、平面視矩形状であるシート状の第1部材20と、平面視矩形状であり、第1部材20と対向するように配置されたシート状の第2部材30と、を有している。第1部材20と第2部材30とは、四方の縁部のうちの、対向する一方の各縁部において繋がっており、対向する他方の各縁部においてカードCを挿入可能な開口部(51h、52h)を形成している。
【0020】
図2又は
図3では、第1部材20の四方の縁部それぞれに20a~20dの符号を付している。
図2又は
図4では、第2部材30の四方の縁部それぞれに30a~30dの符号を付している。カードスリーブ10において、縁部20aと縁部30aとが繋がった部分を第1閉塞縁部50aといい、縁部20bと縁部30bとが繋がった部分を第2閉塞縁部50bという。開口部51hは、縁部20cと縁部30cとにより構成され、開口部52hは、縁部20dと縁部30dとにより構成されている。
【0021】
本実施の形態1のカードスリーブ10は、
図2に例示するように、第1部材20の縁部20bに繋がった第3部材40を有しており、第3部材40は、第2部材30に接合されている。すなわち、カードスリーブ10は、第2部材30と第3部材40とが両面テープ又は接着剤などで接合されることで、第1部材20の縁部20bと第2部材30の縁部30bとが繋がっている。したがって、各開口部(51h、52h)は、第3部材40の縁部を含む。
【0022】
カードスリーブ10は、開口部51h又は開口部52hにカードCを挿入する方向である挿入方向の長さW1が、カードCの挿入方向の長さよりも短くなっている。挿入方向は、カードスリーブ10にとっても、カードCにとっても、横向きの方向である。本実施の形態1において、カードCの挿入方向の長さは、カードCの長辺の長さY(以下「横幅Y」ともいう。)に相当する。つまり、カードスリーブ10の挿入方向の長さW1(以下「横幅W1」ともいう。)は、カードCの長辺よりも短くなっている。そのため、カードスリーブ10にカードCを挿入して互いの中心を合わせると、カードスリーブ10の両サイドからカードCを視認することができる。
【0023】
カードスリーブ10は、
図2のように、カードCの長辺が第1閉塞縁部50a及び第2閉塞縁部50bと概ね平行となるように配置した上で、開口部51h又は開口部52hからカードCを挿入し、そのままカードCの端部を開口部52h又は開口部51hから出した状態で使用する(
図1、
図3、
図4、
図5参照)。
図3等には、カードスリーブ10にカードCを挿通した状態、すなわち、ループ状のカードスリーブ10によってカードCを挟み、開口部51hと開口部52hとの双方からカードCの端部が出ている状態を例示している。カードスリーブ10は、視認性の観点から、カードCの中央の位置に配置するのが望ましい。
【0024】
カードスリーブ10において、開口部51h及び開口部52hは、カードCが横向きで挿入されるよう構成されている。したがって、カードスリーブ10は、平面視での開口部51hの長さと、平面視での開口部52hの長さとが、何れも、カードCの短辺よりも長くなっている。平面視での開口部51h及び開口部52hの長さは、第1閉塞縁部50aの内側から第2閉塞縁部50bの内側までの長さに相当する。カードスリーブ10の収納方向(
図5参照)の長さT1は、
図3及び
図4に示すように、平面視での第1部材20及び第2部材30の一方の各縁部間の長さであり、平面視での各開口部(51h、52h)の長さよりも若干(第1閉塞縁部50a及び第2閉塞縁部50bの厚み分)長くなっている。
【0025】
第1部材20は、外側に向けられる面に、第2部材30と繋がっている縁部(20a、20b)のうちの一方側の端部に配置され、視認者の注意を引くための喚起情報21aを含む注意喚起部21を有している。各図に例示する注意喚起部21は、喚起情報21aに隣接する位置に、カードスリーブ10をポケットPから抜き出す行為を誘導するための誘導情報21bを有している。
【0026】
また、第1部材20は、情報端末80での読み取りにより、カードスリーブ10の携行者の個人情報に係るWebページを該情報端末80に提供する読取部22を有している。もっとも、携行者端末70などの他の端末によっても、読取部22を読み取ることで、個人情報ページG2にアクセスすることができる。各図では、読取部22として、外側に向けられる面に記載されたQRコード(登録商標:以下同様)を例示している。さらに、第1部材20は、読取部22に隣接する位置に、ユーザ(携行者)の個人情報を示す個人情報ページG2のキーとなるパスコードが記載されたコード部23を有している。加えて、第1部材20は、注意喚起部21と読取部22との間に、読取部22についての説明が記載された説明部24を有している。
【0027】
本実施の形態1のカードスリーブ10は、緊急状態にあるユーザが第三者に発見された際、読取部22を読み取ってもらうことを目的としたものである。緊急状態とは、例えば、ユーザが持病に起因して発作を起こし、意識を失った状態、あるいは身動きが取れなくなった状態のことである。
【0028】
図3等のカードスリーブ10は、緊急状態のユーザを通行人等が発見して救急車を呼び出し、駆け付けた救急隊員などに読取部22を読み取ってもらうことを想定した構成となっている。そのため、カードスリーブ10には、喚起情報21aとして「持病があります」とのメッセージが記載され、誘導情報21bとして矢印と文字とを組み合わせた情報が記載されている。各図では、誘導情報21bに含まれる文字が「搬送先情報」である例を示している。説明部24には、救急隊員向けの情報が記載されている。これらの記載はあくまで一例であり、読取部22を読み取る行動を促進し、読み取り先で確認可能な情報を大まかに認識させる情報であれば、表現などは問わず、適宜変更してもよい。もっとも、注意喚起部21は、喚起情報21aだけで構成されてもよく、喚起情報21aは、ロゴ化されていてもよく、図形を含んでいてもよく、図形だけで構成されてもよい。
【0029】
カードスリーブ10は、各図の例に限らず、緊急状態のユーザを発見した通行人等に読み取ってもらうことを想定した構成としてもよい。この場合、例えば、喚起情報21aとして「助けてください」等を採用し、誘導情報21bに含まれる文字として「詳細情報」等を採用してもよい。注意喚起部21は、「QRコードを読み取ってください」といった喚起情報21aだけを含む構成としてもよく、喚起情報21aはロゴ化されていてもよい。説明部24には、例えば「救急隊が到着するまでの応急処置について記載されています」といった文章等が記載されていてもよく、「発見してくれてありがとうございます」といった感謝の言葉等が記載されていてもよい。
【0030】
図4に例示するように、第2部材30は、外側に向けられる面に、補助的な情報が記載される補助表示部31を有している。補助表示部31には、補助的な情報として、例えば、カードスリーブ10のシリアルナンバーなどが記載される。
【0031】
図5(a)のようにカードスリーブ10で挟んだカードCを、携行品Sのカード用のポケットPに収納すると、外部からは、
図5(b)のように、カードスリーブ10の注意喚起部21の他、その両サイドにカードCの端部を視認することができる。携行品Sは、カードCを横向きで収納可能なポケットPを有するもので、
図5(b)では財布を例示している。実際には、カードCとカードスリーブ10との間には、カードスリーブ10の厚み分の段差があり、この段差は、視覚的効果だけでなく、触覚的な作用ももたらす。よって、第三者がユーザの携行品を手にしたときに、カードスリーブ10の存在に気が付く可能性が高くなる。
【0032】
図5(b)のように、カードスリーブ10で挟んだカードCをポケットPに収納する方向を「収納方向」あるいは「縦方向」とする。収納方向は、挿入方向と直交する方向である。カードスリーブ10は、カードCを横向きで挿入可能となっているため、カードスリーブ10の収納方向の長さT1(以下「縦幅T1」ともいう。)は、当然にカードCの短辺の長さV(以下「縦幅V」ともいう。)よりも長くなっている。
【0033】
ここで、カードスリーブ10のサイズ感について具体的に説明する。その前提として、カードCのサイズについて言及する。カードCは、健康保険証、運転免許証、クレジットカード、ポイントカードなどの一般的なカードである。JIS規格によると、クレジットカードなどの一般的なカードは、長辺の長さが85.59mm、短辺の長さが53.975mm、厚みが0.762mmと定められている。各図では、長辺の長さが約85.6mmで、短辺の長さが約54mmのカードCを例示している。ただし、カードCの長辺及び短辺の長さはこれに限定されず、カードスリーブ10は、携行品のポケットPに収納可能な種々のサイズのカードに対し適用することができる。また、例えば健康保険証のように、ユーザの属性によって厚みや素材が異なるものもあるため、カードCの厚みには特に限定はなく、例えば約0.46mmなど、0.76mm未満であってもよく、0.76mmより厚くてもよい。つまり、カードスリーブ10は、種々の厚みのカードCに適用可能である。
【0034】
カードスリーブ10の横幅W1は、注意喚起部21に記載される文字等の視認性・明確性などの観点から、約25mm以上にするとよく、約30mm以上にするとより好ましい。横幅W1は、カードCとのコントラスト・材料の削減等の観点からは、約70mm以下にするとよく、約60mm以下にするとより好ましく、約50mm以下にすると更に好ましい。目安として、カードスリーブ10は、横幅W1が、カードCの短辺(縦幅V:約54mm)よりも短くなるようにするとよい。このようにすれば、カードCを視認できる領域が相対的に増えることから、カードCとカードスリーブ10とのコントラストが際立つため、看者の注意をより強く引くことができる。また、紙などの材料を減らすことができるため、コスト削減につながると共に、省資源化を図ることができる。各図では、横幅W1が約40.0mmである例を示している。
【0035】
カードスリーブ10の収納方向の長さT1(縦幅T1)は、カードCの短辺の長さ(縦幅V)よりも設定長だけ長くなっている。設定長は、例えば1.0mm以上10.0mm以下に設定するとよい。すなわち、設定長が短すぎると、開口部51h又は開口部52hにカードCを挿入しにくくなるため、設定長は1.0mm以上にするとよい。一方、設定長が長すぎると、携行品のポケットPに収納した際、飛び出た部分が邪魔になるため、設定長は10.0mm以下にするとよい。すなわち、カードスリーブ10の縦幅T1は、例えば55mm以上64mm以下にするとよい。他のポケットPに入れられたカードの視認性を妨げないことを考慮すると、携行品の複数のポケットPの配置スパンにもよるが、カードスリーブ10の縦幅T1は、約59mm以下にするとよい。カードCの挿入しやすさ、疎外性、視認性などの観点を総合的に勘案すると、カードスリーブ10の縦幅T1は、56mm以上58mm以下が好適である。各図では、設定長が約3.0mm、つまり縦幅T1が約57.0mmのカードスリーブ10を例示している。もっとも、バッグのポケットPへの収納などを想定すると、設定長は10.0mmより長くしてもよい。
【0036】
各図では、カードCとして健康保険証を例示しているが、これに限定されない。ただし、ユーザの緊急時における第三者のサポートを想定したカードスリーブ10であれば、救急車を呼ぶ際に聞かれ得る情報や、病院への搬送時に参考となり得る情報等が記載された健康保険証と組み合わせて使用するのが好適である。
【0037】
次に、
図6の例に基づき、カードスリーブ10の材料となるシート部材5と、カードスリーブ10の製造方法について説明する。第1部材20、第2部材30、及び第3部材40については、
図6の状態で視認可能な面を「表面」とし、表面とは反対側の面を「裏面」とする。
【0038】
シート部材5は、第1部材20と、第1部材20の一端側の第2部材30と、第1部材20の他端側の第3部材40とにより、全体が平面視で長方形状に形成されている。第3部材40は、第2部材30の第1部材20とは反対側の端部に接合され、第1部材20と第2部材30とを繋ぐためのものである。シート部材5は、例えば紙製のシートがPP等の樹脂でコーティングされたものである。シート部材5の厚みは、ポケットPへの収納性の観点から、一定程度の強度を確保しつつ、極力薄くするとよい。シート部材5は、注意喚起部21、読取部22、コード部23、説明部24、及び補助表示部31には、それぞれの記載事項が印字等されている。
【0039】
まず、
図6の状態のシート部材5について、第1部材20の裏面と第2部材30の裏面とが対向するように折り線L1で折り曲げると共に(白抜き矢印(1)参照)、第1部材20の裏面と第3部材40の裏面とが対向するように折り線L2で折り曲げる(白抜き矢印(2)参照)。折り線L1での山折りと折り線L2での山折りの順序は問わない。そして、本実施の形態1のカードスリーブ10は、第3部材40の表面と、第2部材30の裏面における第1部材20とは反対側の端部とを、両面テープ又は接着剤などにより接合することにより完成する。第1部材20との境界(折り線L2)で折り曲げた第3部材40を第2部材30に接合することで、第1部材20と第3部材40との間に生じる弾性が、各開口部(51h、52h)を適度に開くよう作用し、カードCを開口部51h又は開口部52hに挿入しやすくなる。
【0040】
なお、
図1では、第3部材40の表面と第2部材30の裏面とが接合された例を示しているが、これに限らず、カードスリーブ10は、第3部材40の裏面と第2部材30の表面とが接合されたものであってよい。ただし、意匠性の観点等から、第3部材40の表面と第2部材30の裏面とを接合する構成の方が好ましい。第3部材40の長さU(縦幅U)は、第2部材30との接合強度を確保できればよく、特に限定されない。ただし、長すぎるとカードCの挿入の邪魔となる可能性があるため、8.0mm~12.0mm程度が好適である。
図6では、第3部材40の縦幅Uが約9.5mmの例を示している。
【0041】
次いで、
図7に基づき、ユーザによる個人情報の事前登録に関する処理の流れについて説明する。各Webページ及びそれらの構成部材(仮想ボタンなど)についての図示は省略する。
【0042】
まず、ユーザが携行者端末70に内蔵されているカメラを起動し、該カメラを読取部22に向ける。すると、携行者端末70は、カメラによって読取部22を読み取り(ステップS101)、初期ページのURL(Uniform Resource Locator)のリンクが貼られたリンク情報を表示する。本実施の形態1において、初期ページは、メールアドレスの登録用のWebページである。リンク情報は、例えば
図1のタッチパネル85に表示されているバー状のものである(ステップS102)。
【0043】
携行者端末70は、リンク情報に対するタップ等の操作を受け付けると(ステップS103)、データ管理装置60にアクセスする(ステップS104)。これに応じて、データ管理装置60は、携行者端末70に初期ページを提供する。初期ページは、例えば、ユーザのメールアドレスとパスコードの登録を要求するページであり、確認コードの送信を指示するコード要求ボタンを有している(ステップS105)。
【0044】
携行者端末70は、初期ページを表示した後(ステップS106)、コード要求ボタンに対する操作を受け付けると(ステップS107)、データ管理装置60にコード要求信号を送信する(ステップS108)。データ管理装置60は、コード要求信号を受信すると、初期ページにて記載されたメールアドレス宛てに認証コードを送信すると共に、携行者端末70に認証用ページを提供する。これにより、ユーザは、送信されたメールを通じて確認コードを知ることができる。認証用ページは、確認コードの入力用のコード入力欄、及び確認コードの認証を指示するための認証ボタンを含む。もっとも、認証コードに関する処理は、メールアドレスを用いた手法に限定されない(ステップS109)。
【0045】
携行者端末70は、認証用ページを表示した後(ステップS110)、コード入力欄に確認コードが正しく入力された状態で、認証ボタンに対する操作を受け付けると(ステップS111)、入力された認証コードを含む認証要求信号をデータ管理装置60に送信する(ステップS112)。データ管理装置60は、メール送信した認証コードと、入力された認証コードとを照合し(ステップS113)、これらが合致していれば、初期登録完了ページを携行者端末70に提供する。初期登録完了ページは、ユーザの具体的な情報を登録するための詳細登録ページへの遷移を指示する詳細登録ボタンを含む(ステップS114)。
【0046】
携行者端末70は、初期登録完了ページを表示した後(ステップS115)、詳細登録ボタンに対する操作を受け付けると(ステップS116)、データ管理装置60を介して詳細登録ページを表示する。詳細登録ページは、種々の情報を入力するための複数の入力欄と、入力した内容を確認するための確認ボタンを含む(ステップS117)。
【0047】
ユーザは、詳細登録ページにおいて、例えば、生年月日、血液型、持病などの知らせたい病気の名称、第三者に伝えたい情報である要請データ、服用中の薬の情報などを入力し、登録することができる。要請データは、救急隊や医者あるいは発見者等に伝えたい情報である。要請データとしては、『どういう病気があるから、どういう状態になり やすいので、・・・・して欲しい、あるいは・・・・しないで欲しい』といった情報が想定される。具体例としては、『糖尿病があって、低血糖になっているかもしれません。ジュースを飲ませてください』、『ペースメーカーを入れているのでAEDの使用時は注意してください』、『下垂体疾患により副腎不全を起こしている可能性があります』などが考えられる。服用中の薬の情報としては、お薬手帳の画像を添付してもよい。
【0048】
携行者端末70は、所定事項の入力操作を受け付け、確認ボタンに対する操作を受け付けると(ステップS118)、データ管理装置60を介して確認ページを表示する。確認ページは、詳細登録ページにおいて入力された情報が整理されたページであり、登録を指示するための登録指示ボタンと、修正を指示するための修正ボタンとを含む(ステップS119)。携行者端末70は、確認ボタンに対する操作を受け付けると(ステップS120)、データ管理装置60に登録要求信号を送信する(ステップS121)。データ管理装置60は、確認ページに表示された種々の情報を、ユーザの個人情報として登録する(ステップS122)。
【0049】
ステップS101~S121の一連の処理で登録されたユーザの個人情報は、読取部22を読み取った端末にデータ管理装置60から提供される個人情報ページで確認することができる。なお、携行者端末70は、確認ページを表示している状態で、修正ボタンに対する操作を受け付けた場合、データ管理装置60を介して詳細登録ページを表示する。
【0050】
続いて、
図8~
図10に基づき、カードスリーブ10を発見した第三者又は救急隊員等が情報端末80で個人情報ページを読み出す際の、データ管理装置60と情報端末80との通信の流れについて説明する。ここでは、複数のユーザそれぞれに専用のカードスリーブ10が発行されていることを前提とする。すなわち、ユーザ個々のカードスリーブ10には、それぞれ、固有のQRコードと、それに紐づくパスコードが割り当てられており、これらの情報は、データ管理装置60の記憶部63に格納されている。
【0051】
まず、ユーザが情報端末80に内蔵されているカメラを起動し、該カメラを読取部22に向ける。すると、情報端末80は、カメラによって読取部22を読み取り(ステップS201)、パス入力ページのURLのリンクが貼られたリンク情報を表示する(ステップS202)。情報端末80は、リンク情報に対する操作を受け付けると(ステップS203)、データ管理装置60にアクセスする(ステップS204)。これに応じて、データ管理装置60は、情報端末80にパス入力ページG1を提供し(ステップS205)、情報端末80は、
図9のようなパス入力ページG1をタッチパネル85に表示する。本実施の形態1において、パス入力ページG1は、ユーザの個人情報に係るWebページに相当する(ステップS206)。
【0052】
図9に例示するパス入力ページG1は、本システムの名称やロゴなどが表示されるタイトル表示部1aと、パスコードを入力するためのパス入力欄3aと、パスコードの照合を要求するための照合ボタン4aと、を有している。
図9のように、パス入力ページG1は、パス入力欄3aへのパスコードの入力を促進するための補助メッセージ2aを有していてもよい。編集遷移ボタン5aは、ユーザ等が個人情報ページを編集等する際に用いる仮想ボタンである。ユーザは、携行者端末70などにパス入力ページG1を表示させた後、編集遷移ボタン5aを押下することで、個人情報の編集を行うことができる。トップボタン6aは、本システムのトップページに遷移させるための仮想ボタンである。
【0053】
情報端末80は、パス入力欄3aへのパスコードの入力を受け付けた後、照合ボタン4aに対する操作、つまり認証指示を受け付けると(ステップS207)、入力されたパスコードを含む照合要求信号をデータ管理装置60へ送信する(ステップS208)。データ管理装置60は、入力されたパスコードと、読取部22に紐付くパスコードとを照合し(ステップS209)、これらが合致していれば、情報端末80に個人情報ページG2を提供する(ステップS210)。これにより、情報端末80は、
図10のような個人情報ページG2をタッチパネル85に表示する。
図10に例示する個人情報ページG2の各情報は、
図7に示す一連の処理により、カードスリーブ10のユーザ等が入力したものである。例えば、
図10の個人情報ページG2上部の「糖尿病で低血糖を起こしている可能性があります」という記載は、詳細登録ページにおいて入力された要請データに基づくものである(ステップS211)。
【0054】
以上のように、カードスリーブ10は、第1部材20と第2部材30とが、対向する他方の各縁部において開口部(51h、52h)を形成している。第1部材20は、喚起情報21aを含む注意喚起部21を有している。カードスリーブ10の横幅W1は、カードCの横幅Yよりも短くなっている。そのため、カードCを挿通したカードスリーブ10を携行品のポケットPに収納すると、カードスリーブ10だけでなく、カードCの一部(第1部材20で隠れていない部分)も視認することができる。よって、第1部材20の端部に配置された注意喚起部21とカードCとのコントラストにより、既存のカード単体とは顕著に異なる印象を看者に与えることができる。そのため、看者の注意を強く引き、その存在に素早く気付かせることができる。加えて、カードCと第1部材20との間の段差は、視覚的効果だけでなく、触覚的にも作用するため、財布やスマートフォンケースなどを開いた者に、カードスリーブ10の存在を高確率で気付かせることができる。
【0055】
カードCが横向きで挿入されるカードスリーブ10は、その横幅W1が25mm以上70mm以下となるように形成してもよい。このようにすれば、注意喚起部21のスペースを一定程度確保することができると共に、カードCとのコントラストを活かすことができる。カードスリーブ10の横幅W1は、カードの短辺(縦幅V)よりも短くしてもよい。このようにしても、注意喚起部21のスペースを一定程度確保することができると共に、カードCとのコントラストを活かすことができる。カードCの挿入しやすさや、ポケットPから飛び出た箇所の取り扱い上の影響などを考慮すると、カードスリーブ10の縦幅T1は、55mm以上64mm以下にするとよい。
【0056】
ところで、従来の緊急カードは、携行者自身が記入する形式を採っているため、記載できる情報量には限度がある。すなわち、従来の緊急カードには、伝えたい情報を書ききれず、伝えるべき情報を十分に伝達できないという課題がある。この点、データ管理システム100は、読取部22を介して個人情報ページにアクセスした情報端末80に、カードスリーブ10の携行者の個人情報を提供するデータ管理装置60を有している。すなわち、データ管理システム100では、個人情報がデータ管理装置60で管理されていることから、情報量に制限がないため、伝えたい情報を過不足なく登録し、伝達することができる。また、データ管理装置60内の個人情報は、システムへのログインにより自由に書き替えができるため、改めて記入し直すような煩雑性からユーザを解放することができる。
【0057】
さらに、第1部材20は、読取部22に隣接する位置に、個人情報ページのキーとなるコード部23を有している。つまり、本実施の形態1におけるデータ管理方法は、読取部22を読み取った情報端末80からのアクセスを受けたデータ管理装置60が情報端末80にパスコード入力用のパス入力ページG1を提供し、情報端末80から正しいパスコードを受信したデータ管理装置60が、情報端末80に個人情報ページG2を提供する、という手法を採っている。よって、個人情報ページへの意図しないアクセスを抑制することができ、個人情報の不要な漏洩を防ぐことができる。なお、正しいパスコードとは、読取部22に紐付けられたパスコードであり、本実施の形態1のカードスリーブ10では、読取部22に隣接する位置に記載されたものである。
【0058】
<変形例>
図11を参照し、本発明の実施の形態1の変形例に係るデータ管理方法について説明する。
図8に示す各工程と同等の工程については、同一の符号を付して説明は省略又は簡略化する。
【0059】
情報端末80は、ユーザの操作に応じて、ステップS201~S204の一連の処理を実行する。すると、データ管理装置60は、情報端末80に一般公開ページ(図示せず)を提供し(ステップS301)、情報端末80がタッチパネル85に一般公開ページを表示する。一般公開ページは、読取部22を読み取るだけでアクセス可能なWebページであり、緊急状態の携行者を発見した者などがアクセスすることを想定している。本変形例において、一般公開ページは、ユーザの個人情報に係るWebページに相当する。一般公開ページは、パスコードを入力するためのパス入力欄3aと、パスコードの照合を要求するための照合ボタン4aと、を有している(ステップS302)。
【0060】
情報端末80は、パス入力欄3aへのパスコードの入力を受け付けた後、照合ボタン4aに対する操作、つまり認証指示を受け付けると(ステップS303)、入力されたパスコードを含む照合要求信号をデータ管理装置60へ送信する(ステップS304)。データ管理装置60は、入力されたパスコードと、読取部22に紐付くパスコードとを照合し(ステップS305)、これらが合致していれば、情報端末80に限定情報ページ(図示せず)を提供する(ステップS306)。これにより、情報端末80はタッチパネル85に限定情報ページを表示する。限定情報ページは、パスコードの入力によりアクセス可能となるWebページであり、専門性の高い情報や秘匿性の高い情報など、一般公開ページには含まれない情報を含む(ステップS307)。
【0061】
以上のように、本変形例に係るデータ管理装置60は、読取部22に対する単純な読取処理の場合と、パスコードの入力を受け付けた場合とで、情報端末80に提供する情報の内容を変えるよう構成されている。より具体的に、データ管理装置60は、単純な読取処理に応じて、応急処置に必要な情報などを迅速に提供し、パスコードの入力処理に応じて、より詳細な携行者の情報を提供するよう構成されている。そのため、応急処置の迅速化を図ると共に、携行者の情報の不必要な開示を抑制することができる。
【0062】
実施の形態2.
図12及び
図13を参照し、本発明の実施の形態2に係るカードスリーブ110について説明する。実施の形態1では、カードCを横向きで収納するポケットPをもつ携行品に適用するカードスリーブ10を例示したが、本実施の形態2のカードスリーブ110は、カードCを縦に向けて収納するポケットPをもつ携行品への適用が前提となっている。したがって、カードスリーブ110は、収納方向(縦方向)の長さがカードスリーブ10とは異なり、その分、注意喚起部21や読取部22などの配置・レイアウトが相違する。ただし、カードスリーブ110の基本的な構成は、カードスリーブ10と同様である。
図12及び
図13では、緊急状態のユーザを通行人等が発見して救急車を呼び出し、駆け付けた救急隊員などに読取部22を読み取ってもらうことを想定したカードスリーブ110を例示している。読取部22を機能させるデータ管理装置60などのシステム構成も、実施の形態1と同様である。加えて、カードスリーブ110の材料となるシート部材の基本構成も、実施の形態1のシート部材5と同様である(
図6の括弧書き参照)。よって、実施の形態1と同等の各構成については同一の符号を付し、それらの説明は省略又は簡略化する。なお、第2部材30及び第3部材40の図示は省略する。
【0063】
本実施の形態2におけるデータ管理システム100は、携行品に備わるポケットPにカードCと合わせて収納可能なカードスリーブ110と、カードスリーブ110のユーザの情報を管理するデータ管理装置60と、を有している。データ管理装置60は、ネットワークNを介して携行者端末70、情報端末80、及び運営端末90との通信が可能となっている。
【0064】
カードスリーブ110は、平面視矩形状であるシート状の第1部材20と、平面視矩形状であり、第1部材20と対向するように配置されたシート状の第2部材30と、を有している。第1部材20と第2部材30とは、四方の縁部のうちの、対向する一方の各縁部において繋がっており、対向する他方の各縁部においてカードCを挿入可能な開口部(51h、52h)を形成している。カードスリーブ110は、第1部材20の縁部20bに繋がった第3部材40を有している。カードスリーブ110は、第2部材30と第3部材40とが両面テープ又は接着剤などで接合されることで、第1部材20の縁部20bと第2部材30の縁部30bとが繋がっている。
【0065】
カードスリーブ110は、挿入方向の長さW2が、カードCの挿入方向の長さよりも短くなっている。挿入方向は、カードスリーブ110にとって横向きの方向であり、カードCにとっては縦向きの方向である。本実施の形態2において、カードCの挿入方向の長さは、カードCの短辺の長さV(縦幅V)に相当する。つまり、カードスリーブ110の挿入方向の長さW2(以下「横幅W2」ともいう。)は、カードCの短辺よりも短くなっている。そのため、カードスリーブ110にカードCを挿入して互いの中心を合わせると、カードスリーブ110の両サイドからカードCを視認することができる。カードスリーブ110において、開口部51h及び開口部52hは、カードCが縦向きで挿入されるよう構成されている。したがって、カードスリーブ110は、平面視での開口部51hの長さと、平面視での開口部52hの長さとが、何れも、カードCの長辺よりも長くなっている。
【0066】
図12のようにカードスリーブ110で挟んだカードCを、携行品Kのカード用のポケットPに収納すると、外部からは、
図13のように、カードスリーブ110の注意喚起部21の他、その両サイドにカードCの端部を視認することができる。携行品Kは、カードCを縦向きで収納可能なポケットPを有するもので、
図13ではスマートフォンケースを例示している。実際には、カードCとカードスリーブ110との間には、カードスリーブ110の厚み分の段差があり、この段差は、視覚的効果だけでなく、触覚的な作用ももたらす。よって、ユーザの携行品を手にした第三者に、高確率でカードスリーブ110の存在に気付かせることができる。カードスリーブ110は、カードCを縦向きで挿入可能となっているため、カードスリーブ110の収納方向の長さT2(以下「縦幅T2」ともいう。)は、当然にカードCの横幅Yよりも長くなっている。
【0067】
カードスリーブ110の横幅W2は、注意喚起部21に記載される文字等の視認性や明確性の他、カードCとのコントラスト等の観点から、10mm以上50mm以下にするとよい。カードスリーブ110は、横幅W2が25mm以上45mm以下となるように形成すると、注意喚起部21が存在感を発揮でき、その存在感を両脇のカードCが浮き立たせるため、好適なバランスといえる。
【0068】
カードスリーブ110の縦幅T2は、カードCの長辺の長さ(横幅Y)よりも設定長だけ長くなっている。設定長は、例えば1.0mm以上10.0mm以下に設定するとよい。すなわち、カードスリーブ110の縦幅T2は、例えば86mm以上96mm以下にするとよい。他のポケットPに入れられたカードCの視認性を妨げないことを考慮すると、携行品の複数のポケットPの配置スパンにもよるが、カードスリーブ110の縦幅T2は、約94mm以下にするとよい。カードCの挿入しやすさ、使いやすさ、視認性などの観点を総合的に勘案すると、カードスリーブ110の縦幅T2は、88mm以上92mm以下が好適である。もっとも、バッグのポケットPへの収納などを想定すると、設定長は10.0mmより長くしてもよい。
【0069】
各図では、横幅W2が約40mmで、縦幅T2が約89mmのカードスリーブ110を例示している。一般的なカードのサイズ、及び携行品のポケットのサイズや配置等を考慮すると、カードスリーブ110は、横幅W2を約32mmとし、縦幅T2を約90mmにするとよい。カードスリーブ110の他の構成は、カードスリーブ10と同様である。本実施の形態2のデータ管理装置60及びデータ管理システム100の各構成は、実施の形態1の例と同様である。本実施の形態2のデータ管理方法は、
図7及び
図8をもとに説明した内容と同様である。そして、本実施の形態2の構成にも、変形例の構成を適用することができる。
【0070】
以上のように、カードスリーブ110は、第1部材20と第2部材30とが、対向する他方の各縁部において開口部(51h、52h)を形成している。第1部材20は、喚起情報21aを含む注意喚起部21を有している。カードスリーブ110の横幅W2は、カードCの縦幅Vよりも短くなっている。そのため、カードCを挿通したカードスリーブ110を携行品のポケットPに収納すると、カードスリーブ110だけでなく、カードCの端部も視認することができる。よって、第1部材20の端部に配置された注意喚起部21とカードCとのコントラストにより、既存のカード単体とは顕著に異なる印象を看者に与えることができる。すなわち、看者の注意を強く引き、その存在に素早く気付かせることができる。
【0071】
カードCが縦向きで挿入されるカードスリーブ110は、その横幅W2が20mm以上45mm以下となるように形成してもよい。このようにすれば、注意喚起部21のスペースを一定程度確保することができると共に、カードCとのコントラストを活かすことができる。カードCの挿入しやすさや、ポケットPから飛び出た箇所の取り扱い上の影響などを考慮すると、カードスリーブ110の縦幅T2は、86mm以上96mm以下にするとよい。他の効果等については、実施の形態1と同様である。
【0072】
ここで、上述した実施の形態は、カードスリーブ、シート部材、データ管理システム、及びデータ管理方法における具体例であり、本発明の技術的範囲は、これらの態様に限定されるものではない。例えば、上述した各実施の形態では、第1部材20と第2部材30とが第1閉塞縁部50aにおいてひとつながりに形成され(
図5等参照)、第2閉塞縁部50bが第2部材30と第3部材40との接合によって繋がっているカードスリーブ10及び110を例示したが、これに限定されない。例えば、カードスリーブ10及び110は、第1部材20の縁部20aに第3部材40が繋がった構成を採ってもよい。すなわち、カードスリーブ10及び110は、第1部材20と第2部材30とが第2閉塞縁部50bにおいてひとつながりに形成され、第1閉塞縁部50aが第2部材30と第3部材40との接合により繋げられる構成を採ってもよい。また、カードスリーブ10及び110は、互いに分離した第1部材20と第2部材30とを材料として形成されたものであってよい。この場合、第1部材20の縁部20a又は第2部材30の縁部30aと、第1部材20の縁部20b又は第2部材30の縁部30bとのそれぞれに、第3部材40が一体的に繋がった材料を用い、各第3部材40に対する接合処理によってループ状のカードスリーブ10及び110を構成するとよい。
【0073】
各実施の形態では、カードスリーブ10及び110が紙製(樹脂コーティング付き)である例を示したが、これに限定されない。カードスリーブ10及び110は、コーティングされていない紙製のものであってよく、樹脂製(プラスチック製)のものであってもよく、紙と樹脂とを混合した材料により形成されたものであってもよい。ただし、SDGsにおける「環境保全」といった観点から、可燃ゴミとして処分することができる紙製が望ましい。なお、SDGsとは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略である。カードスリーブ10及び110は、表面の一部又は全部に彩色が施されたものであってもよい。カードスリーブ10及び110の材料となるシート部材5は、積層構造のものであってもよい。
【0074】
上記の説明では、持病を持っているユーザを対象として説明したが、これに限定されない。カードスリーブ10及び110は、例えば、妊婦さんや認知症の方など、緊急時等に第三者のサポートが必要となる様々な人が対象のユーザとなる。ユーザの携行品は、財布やスマートフォンケースに限らず、パスケースや定期入れなど、カードCの収納が可能なポケットPを有するものであればよい。各図では、読取部22の記載としてQRコードを例示したが、これに限らず、読取部22には、QRコード以外の二次元コードが記載されてもよく、記載情報に過不足がなければ一次元コードが記載されてもよい。
【0075】
データ管理方法については、カードスリーブ10又は110の読取部22を読み取った情報端末80からのアクセスを受けたデータ管理装置60が、パスコードの入力なしで、情報端末80に個人情報ページを提供してもよい。この場合、カードスリーブ10又は110は、コード部23を有しなくてよい。なお、かかる構成における個人情報ページは、ユーザの個人情報に係るWebページに相当する。カードスリーブ10又は110は、説明部24を有しなくてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1a タイトル表示部、2a 補助メッセージ、3a パス入力欄、4a 照合ボタン、5 シート部材、5a 編集遷移ボタン、6a トップボタン、10、110 カードスリーブ、20 第1部材、20a~20d、30a~30d 縁部、21 注意喚起部、21a 喚起情報、21b 誘導情報、22 読取部、23 コード部、24 説明部、30 第2部材、31 補助表示部、40 第3部材、50a 第1閉塞縁部、50b 第2閉塞縁部、51h、52h 開口部、60 データ管理装置、61 通信部、62 制御部、63 記憶部、63p データ管理プログラム、70 携行者端末、80 情報端末、85 タッチパネル、90 運営端末、100 データ管理システム、C カード、G1 パス入力ページ、G2 個人情報ページ、K、S 携行品、L1 折り線、L2 折り線、N ネットワーク、P ポケット、T1、T2 縦幅、V 縦幅、W1、W2 横幅、Y 横幅。