(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169139
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】太陽光発電装置
(51)【国際特許分類】
H01L 31/042 20140101AFI20241128BHJP
【FI】
H01L31/04 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086358
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102141
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲
(74)【代理人】
【識別番号】100137316
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 宏
(72)【発明者】
【氏名】本部 惇史
(72)【発明者】
【氏名】谷本 勉
(72)【発明者】
【氏名】冨田 要介
(72)【発明者】
【氏名】荒井 拓実
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251BA01
5F251KA04
(57)【要約】
【課題】太陽電池単位セルを電気的に直列に接続してなる直列ユニットを収納可能な収納部から直列ユニットを部分的に取り出した状態で発電しても、直列ユニットにおける電圧降下を抑制ないし防止し得る太陽光発電装置を提供する。
【解決手段】太陽光発電装置は、基板上に並置された太陽電池単位セルを電気的に直列に接続してなる直列ユニットと、直列ユニットを収納可能な収納部と、直列ユニットと外部回路とを電気的に接続する外部配線を備える。直列ユニットにおいて、単位セルの並置方向が直列ユニットの収納部への収納方向に垂直な方向であり、かつ、単位セルの接続方向が収納方向に垂直な方向である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に並置された太陽電池単位セルを電気的に直列に接続してなる直列ユニットと、前記直列ユニットを収納可能な収納部と、前記直列ユニットと外部回路とを電気的に接続する外部配線を備え、
前記直列ユニットにおいて、前記単位セルの並置方向が前記直列ユニットの前記収納部への収納方向に垂直な方向であり、かつ、前記単位セルの接続方向が前記収納方向に垂直な方向である
ことを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項2】
前記直列ユニットを複数備え、
前記直列ユニットの配置方向が、前記収納方向に沿った方向であり、
前記直列ユニットが、前記外部配線を介して前記外部回路と電気的に並列に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電装置。
【請求項3】
前記単位セルが、前記収納方向に延伸しており、
前記直列ユニットが、前記外部配線を介して前記外部回路と電気的に直列に接続されている
こと特徴とする請求項1に記載の太陽光発電装置。
【請求項4】
前記単位セルが、前記収納方向に延伸しており、
前記直列ユニットを複数備え、
前記直列ユニットの配置方向が、前記収納方向に垂直な方向であり、
前記直列ユニットが、前記外部配線を介して前記外部回路と電気的に並列に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電装置。
【請求項5】
前記外部配線が、前記直列ユニットの両端部の前記単位セルの接続端子に接続していることを特徴とする請求項1~4のいずれか1つの項に記載の太陽光発電装置。
【請求項6】
前記直列ユニットが、可撓性を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1つの項に記載の太陽光発電装置。
【請求項7】
前記単位セルが、薄膜系単位セルであることを特徴とする請求項6に記載の太陽光発電装置。
【請求項8】
前記薄膜系単位セルの接続端子が、電極又は透明導電膜であることを特徴とする請求項7に記載の太陽光発電装置。
【請求項9】
前記直列ユニットが、前記単位セル上に配置された光透過性及び可撓性を有する保護部材を更に有することを特徴とする請求項6に記載の太陽光発電装置。
【請求項10】
前記収納部が、前記直列ユニットを巻回して収納するための軸部材を更に有することを特徴とする請求項6に記載の太陽光発電装置。
【請求項11】
前記外部配線が、前記直列ユニットの前記軸部材近傍に前記軸部材に沿って配置されていることを特徴とする請求項10に記載の太陽光発電装置。
【請求項12】
前記収納部から前記単位セルの少なくとも一部が取り出された状態で固定可能な固定部を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電装置に係り、さらに詳細には、太陽電池単位セルを電気的に直列に接続してなる直列ユニットを収納可能な収納部から直列ユニットを部分的に取り出した状態で発電しても、直列ユニットにおける電圧降下を抑制ないし防止し得る太陽光発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両用ガラスという限られたスペースに対して発電効率を高めた車両用電源装置を開示している。この車両用電源装置は、車両の内部に収納されている太陽電池モジュールを、フロントガラス等のガラス面に沿って車室内に出し入れ可能な車両用電源装置である。太陽電池モジュールは、可撓性を有した単一のシート状に構成されて、ガラス面の近傍に収納状態で位置している。
【0003】
また、特許文献2は、駐車中における車内の温度上昇を防止する太陽電池付きサンシェードであり、収納スペースの確保が不要であり、破損の危険性がなく、非常に簡便に使用できる太陽電池付きサンシェードを開示している。この太陽電池付きサンシェードにおいては、可撓性フィルム薄膜からなる基材の片面に太陽電池が配置されたサンシェードが車体屋根と車室内の天井内張りとの間に引出し可能に格納されており、太陽電池がベンチレーション・ファンと電気的に接続されている。さらに、この太陽電池付きサンシェードは、過引込み防止用ストッパーをダッシュボード上に取付けられた止め具に固定し使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-91473号公報
【特許文献2】実開平3-43054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示されたような車両用電源装置は、発電効率を高めるため、ガラス面の全面を覆うように設定された太陽電池モジュールを完全に展開した状態で発電している。
【0006】
また、特許文献2に開示されたような太陽電池付きサンシェードにおいても、車内の温度上昇を防止するため、車体屋根と車室内の天井内内張りとの間から太陽電池付きサンシェードを完全に引き出した状態で発電している。
【0007】
上述のような車両用電源装置や太陽電池付きサンシェードにおいては、得られる電圧を大きくするために、一般的に、太陽電池モジュールを構成する太陽電池素子や太陽電池を構成する単位セルの全てが電気的に直列に接続されている。
【0008】
そのため、上述のような車両用電源装置や太陽電池付きサンシェードにおいて、太陽電池モジュールや太陽電池を部分的に展開して発電しようとした場合、部分的な影によって単位セルが完全に遮蔽された際に、完全に遮蔽された単位セル分に応じて太陽電池モジュールや太陽電池の電圧が低下してしまうという問題点があった。
【0009】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであって、太陽電池単位セルを電気的に直列に接続してなる直列ユニットを収納可能な収納部から直列ユニットを部分的に取り出した状態で発電しても、直列ユニットにおける電圧降下を抑制ないし防止し得る太陽光発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、直列ユニットにおいて、単位セルの並置方向を直列ユニットの収納部への収納方向に対して垂直な方向にし、かつ、単位セルの接続方向を収納方向に垂直な方向にすることにより、前記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の太陽光発電装置は、基板上に並置された太陽電池単位セルを電気的に直列に接続してなる直列ユニットと、直列ユニットを収納可能な収納部と、直列ユニットと外部回路とを電気的に接続する外部配線を備える。
直列ユニットにおいて、単位セルの並置方向が直列ユニットの収納部への収納方向に垂直な方向であり、かつ、単位セルの接続方向が収納方向に垂直な方向である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、直列ユニットにおいて、単位セルの並置方向を直列ユニットの収納部への収納方向に対して垂直な方向にし、かつ、単位セルの接続方向を収納方向に垂直な方向にしたため、太陽電池単位セルを電気的に直列に接続してなる直列ユニットを収納可能な収納部から直列ユニットを部分的に取り出した状態で発電しても、直列ユニットにおける電圧降下を抑制ないし防止し得る太陽光発電装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の太陽光発電装置の第1実施形態を模試的に示す説明図である。
【
図2】本発明の太陽光発電装置の第2実施形態を模試的に示す説明図である。
【
図3】本発明の太陽光発電装置の第3実施形態を模試的に示す説明図である。
【
図4】本発明の太陽光発電装置の第4実施形態を模式的に示す説明図である。
【
図5】
図3に示した太陽光発電装置をV-V線に沿って切った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の太陽光発電装置の若干の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下で引用する図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0015】
[第1実施形態]
図1(A)の上側図及び下側図のそれぞれは、第1実施形態の太陽光発電装置において直列ユニットを収納部から完全に引き出した状態を示す平面図及び上側図中のA-A線に沿った断面図である。また、
図1(B)の上側図及び下側図のそれぞれは、第1実施形態の太陽光発電装置において直列ユニットを収納部から部分的に引き出した状態を示す平面図及び上側図中のB-B線に沿った断面図である。さらに、
図1(C)の上側図及び下側図のそれぞれは、第1実施形態の太陽光発電装置において直列ユニットを収納部に収納した状態を示す平面図及び上側図中のC-C線に沿った断面図である。なお、
図1(A)、(B)及び(C)の上側図における外部回路は模式的に示したものである。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の太陽光発電装置1は、例えば、移動体の一例である電動車のルーフパネル60に設けられるガラスルーフ61の室内側に配置され、直列ユニット10と、収納部20と、外部配線30を備えている。また、太陽光発電装置1は、
図1に示すように、更に固定部40を備えていることが好ましい。
【0017】
直列ユニット10は、基板11上に並置された太陽電池単位セル13を電気的に直列に接続して形成されている。詳しくは後述するが、基板11と単位セル13とは一体化されている。
図1中において、単位セルの数は2つであり、単位セル13の平面形状は全て同じ正方形である。収納部20は、収納壁21によって直列ユニット10を収納可能に形成されている。なお、収納壁21は、天井内張り材に相当する。外部配線30は、直列ユニット10と外部回路50とを電気的に接続可能に形成されている。
図1中において、外部回路50は、昇圧型コンバータ51と高電圧バッテリ53を有している。なお、高電圧バッテリ53としては、例えば、電動車の駆動用バッテリを挙げることができる。
【0018】
固定部40は、例えば、図示しないレール機構などに配置され、収納部20から単位セル13の少なくとも一部が取り出された状態で固定可能なものである。なお、固定部40は、凹部40Aと凸部40Bを備えており、これらが係合することで単位セル13をその半分が取り出された状態で固定している(
図1(B)参照)。
【0019】
太陽光発電装置1の直列ユニット10においては、単位セル13の並置方向が、直列ユニット10の収納部20への収納方向に垂直な方向である。なお、直列ユニット10は、収納部20にスライド収納される。ここで、単位セル13の並置方向は、
図1(A)、(B)及び(C)の上側図において矢印Xで示す方向である。また、直列ユニット10の収納部20への収納方向は、
図1(A)、(B)及び(C)の上側図において矢印Yで示す方向である。
【0020】
さらに、太陽光発電装置1の直列ユニット10においては、単位セル13の接続方向が収納方向に垂直な方向である。ここで、単位セル13の接続方向は、
図1(A)、(B)及び(C)の上側図において矢印Xで示す方向である。
【0021】
次に、本実施形態の利点について説明する。本実施形態においては、単位セル13の並置方向(図中矢印Xで示す方向)を直列ユニット10の収納部20への収納方向(図中矢印Yで示す方向)に対して垂直な方向にし、かつ、単位セル13の接続方向(図中矢印Xで示す方向)を収納方向に垂直な方向にした。そのため、収納部20から直列ユニット10を部分的に取り出した状態で発電しても、直列ユニット10の一部の単位セル13が収納部20の影によって完全に遮蔽されにくく、直列ユニットにおける直列接続数が変わらないため、直列ユニットの電圧降下を抑制ないし防止できる。
【0022】
また、本実施形態においては、収納部20から直列ユニット10を部分的に取り出した状態で発電しても、直列ユニット10の一部の単位セルが部分的な影によって完全に遮蔽されにくいので、単位セルにバイパスダイオードを設ける必要がなく、太陽光発電装置における単位セルの受光面積を増大させることができるという利点がある。また、発電面積を単位セル同士で統一することにより、直列ユニットで電流が効率的に取り出せるようになり、出力が最大化される利点がある。
【0023】
さらに、本実施形態においては、固定部40を備えているので、収納部から直列ユニットを部分的に取り出した状態を保つことができ、外部から入射光を部分的に遮ることができるという利点がある。
【0024】
図2~
図5は、第2~第4実施形態の太陽光発電装置を説明する図である。以下の説明では、上述した構成部位と同じ構成部位に同一符号を付して詳細な発明を省略する。
【0025】
[第2実施形態]
図2(A)の上側図及び下側図のそれぞれは、第2実施形態の太陽光発電装置において直列ユニットを収納部から完全に引き出した状態を示す平面図及び上側図中のA-A線に沿った断面図である。また、
図2(B)の上側図及び下側図のぞれぞれは、第2実施形態の太陽光発電装置において直列ユニットを収納部から部分的に引き出した状態を示す平面図及び上側図中のB-B線に沿った断面図である。さらに、
図2(C)の上側図及び下側図のそれぞれは、第2実施形態の太陽光発電装置において直列ユニットを収納部に収納した状態を示す平面図及び上側図中のC-C線に沿った断面図である。なお、
図2(A)、(B)及び(C)の上側図における外部回路は模式的に示したものである。
【0026】
図2に示すように、本実施形態の太陽光発電装置2は、次の構成(1)~(3)を有していること以外は、第1実施形態の太陽光発電装置1と同じ構成を有している。
【0027】
構成(1):太陽光発電装置2が、直列ユニット10を複数備えている。なお、
図2中において、直列ユニット10の数は6つである。また、
図2中において、直列ユニット10における単位セルの数は6つであり、単位セル13の平面形状は全て同じ矩形形状である。さらに、直列ユニット10の配置方向が、収納方向に沿った方向である。なお、直列ユニット10は、収納部20に巻取り収納される。さらに、直列ユニット10が、外部配線30を介して外部回路50と電気的に並列に接続されている。ここで、直列ユニット10の配置方向は、
図2(A)、(B)及び(C)の上側図において矢印Yで示す方向である。なお、電気的に並列に接続された直列ユニット10は、逆流防止ダイオード17を有している。
【0028】
構成(2):収納部20が、直列ユニット10を巻回して収納するための軸部材23を更に有している。さらに、外部配線30が、直列ユニット10の軸部材23近傍に軸部材23に沿って配置されている。
【0029】
構成(3):直列ユニット10が、巻回して収納可能な可撓性を有している。
【0030】
次に、本実施形態の利点について説明する。本実施形態によれば、上述の構成(1)を有するので、収納部20から直列ユニット10を部分的に取り出した際に、収納部20の影によって一部の直列ユニット10が完全に遮蔽された状態で発電しても、残りの直列ユニットにおける直列接続数が変わらないため、第1実施形態と同様に、直列ユニットの電圧降下を抑制ないし防止できる。
【0031】
また、本実施形態によれば、上述の構成(2)を有するので、直列ユニット10を軸部材23で巻回して収納する際や直列ユニット10を取り出す際に、これらの動きを外部配線30が阻害しにくく、直列ユニットの収納や取り出しをしやすいという利点がある。また、直列ユニットの収納や取り出しの際に、外部配線30の配置位置が変動しにくいため、直列ユニットの収納や取り出しの繰り返しに伴う外部配線の摩耗が生じにくく、太陽光発電装置の耐久性を向上させることができるという利点がある。
【0032】
さらに、本実施形態によれば、上述の構成(3)を有するので、直列ユニット10を軸部材23で巻回して収納する際や直列ユニット10を取り出す際に、これらの動きを直列ユニット10自体が阻害しにくく、直列ユニットの収納や取り出しをしやすいという利点がある。
【0033】
さらに、本実施形態においても、単位セルにバイパスダイオードを設ける必要がなく、太陽光発電装置における単位セルの受光面積を増大させることができるだけでなく、可撓性を向上させることができるという利点がある。また、発電面積を単位セル同士で統一することにより、直列ユニットで電流が効率的に取り出せるようになり、出力が最大化される利点がある。さらに、本実施形態においても、収納部から直列ユニットを部分的に取り出した状態を保つことができ、外部から入射光を部分的に遮ることができるという利点がある。
【0034】
[第3実施形態]
図3(A)は、第3実施形態の太陽光発電装置において直列ユニットを収納部から完全に引き出した状態を示す平面図である。また、
図3(B)は、第3実施形態の太陽光発電装置において直列ユニットを収納部から部分的に引き出した状態を示す平面図である。さらに、
図3(C)は、第3実施形態の太陽光発電装置において直列ユニットを収納部に収納した状態を示す平面図である。なお、
図3(A)、(B)及び(C)における外部回路は模式的に示したものである。また、第3実施形態の太陽光発電装置においては、第2実施形態の太陽光発電装置と同様の位置における断面図が同様の断面図となるので、その記載を省略する。
【0035】
図3に示すように、本実施形態の太陽光発電装置3は、次の構成(1’)、(2)及び(3)を有していること以外は、第1実施形態の太陽光発電装置1と同じ構成を有している。
【0036】
構成(1’):単位セル13が、収納方向に延伸している。なお、
図3中において、直列ユニット10における単位セルの数は6つであり、単位セル13の平面形状は全て同じ長尺矩形形状である。さらに、直列ユニット10が、外部配線30を介して外部回路50と電気的に直列に接続されている。
【0037】
構成(2):収納部20が、直列ユニット10を巻回して収納するための軸部材23を更に有している。さらに、外部配線30が、直列ユニット10の軸部材23近傍に軸部材23に沿って配置されている。
【0038】
構成(3):直列ユニット10が、巻回して収納可能な可撓性を有している。
【0039】
次に、本実施形態の利点について説明する。本実施形態によれば、上述の構成(1’)を有するので、収納部20から直列ユニット10を部分的に取り出した際に、収納部20の影によって直列ユニット10の一部の単位セル13が完全に遮蔽されることが殆どなく、直列ユニットにおける直列接続数が変わらないため、第1実施形態と同様に、直列ユニットの電圧降下を抑制ないし防止できる。
【0040】
また、本実施形態によれば、上述の構成(2)を有するので、直列ユニット10を軸部材23で巻回して収納する際や直列ユニット10を取り出す際に、これらの動きを外部配線30が阻害しにくく、直列ユニットの収納や取り出しをしやすいという利点がある。また、直列ユニットの収納や取り出しの際に、外部配線30の配置位置が変動しにくいため、直列ユニットの収納や取り出しの繰り返しに伴う外部配線の摩耗が生じにくく、太陽光発電装置の耐久性を向上させることができるという利点がある。
【0041】
さらに、本実施形態によれば、上述の構成(3)を有するので、直列ユニット10を軸部材23で巻回して収納する際や直列ユニット10を取り出す際に、これらの動きを直列ユニット10自体が阻害しにくく、直列ユニットの収納や取り出しをしやすいという利点がある。
【0042】
さらに、本実施形態においても、単位セルにバイパスダイオードを設ける必要がなく、太陽光発電装置における単位セルの受光面積を増大させることができるだけでなく、可撓性を向上させることができるという利点がある。また、発電面積を単位セル同士で統一することにより、直列ユニットで電流が効率的に取り出せるようになり、出力が最大化される利点がある。さらに、本実施形態においても、収納部から直列ユニットを部分的に取り出した状態を保つことができ、外部から入射光を部分的に遮ることができるという利点がある。
【0043】
[第4実施形態]
図4は、第4実施形態の太陽光発電装置において直列ユニットを収納部から完全に引き出した状態を示す平面図である。なお、
図4における外部回路は模式的に示したものである。また、第4実施形態の太陽光発電装置においては、第2実施形態の太陽光発電装置と同様の位置における断面図が同様の断面図となるので、その記載を省略する。
【0044】
図4に示すように、本実施形態の太陽光発電装置4は、次の構成(1”)、(2)及び(3)を有していること以外は、第1実施形態の太陽光発電装置1と同じ構成を有している。
【0045】
構成(1”):単位セル13が、収納方向に延伸している。なお、
図4中において、直列ユニット10における単位セルの数は6つであり、単位セル13の平面形状は全て同じ長尺矩形形状である。さらに、太陽光発電装置4が、直列ユニット10を複数備えている。なお、
図4中において、直列ユニット10の数は3つである。さらに、直列ユニット10の配置方向が、収納方向に垂直な方向である。さらに、直列ユニット10が、外部配線30を介して外部回路50と電気的に並列に接続されている。ここで、直列ユニット10の配置方向は、
図4において矢印Xで示す方向である。なお、電気的に並列に接続された直列ユニット10は、逆流防止ダイオード17を有している。
【0046】
構成(2):収納部20が、直列ユニット10を巻回して収納するための軸部材23を更に有している。さらに、外部配線30が、直列ユニット10の軸部材23近傍に軸部材23に沿って配置されている。
【0047】
構成(3):直列ユニット10が、巻回して収納可能な可撓性を有している。
【0048】
次に、本実施形態の利点について説明する。本実施形態によれば、上述の構成(1”)を有するので、収納部20から直列ユニット10を部分的に取り出した際や直列ユニット10全部を取り出した際に、部分的な影によって一部の直列ユニット10が完全に遮蔽された状態で発電しても、残りの直列ユニットにおける直列接続数が変わらないため、第1実施形態と同様に、直列ユニットの電圧降下を抑制ないし防止できる。
【0049】
また、通常、太陽電池は、その受光量によってその動作電圧が変動する。変動する動作点を探索してバッテリに給電するために、通常、コンバータが必要となる。通常、直列コンバータは、1つの直列ユニットに1つのコンバータを接続することで、直列ユニットごとに電力を制御し出力を最大化する(
図3参照)。しかしながら、本実施形態においては、上述のような構成とすることにより、直列ユニットの電圧がばらつかないため、コンバータの数を直列ユニットの数よりも減らすことができ、最小の場合は1つでよくなるという利点がある(
図4参照)。
【0050】
また、本実施形態によれば、上述の構成(2)を有するので、直列ユニット10を軸部材23で巻回して収納する際や直列ユニット10を取り出す際に、これらの動きを外部配線30が阻害しにくく、直列ユニットの収納や取り出しをしやすいという利点がある。また、直列ユニットの収納や取り出しの際に、外部配線30の配置位置が変動しにくいため、直列ユニットの収納や取り出しの繰り返しに伴う外部配線の摩耗が生じにくく、太陽光発電装置の耐久性を向上させることができるという利点がある。
【0051】
さらに、本実施形態によれば、上述の構成(3)を有するので、直列ユニット10を軸部材23で巻回して収納する際や直列ユニット10を取り出す際に、これらの動きを直列ユニット10自体が阻害しにくく、直列ユニットの収納や取り出しをしやすいという利点がある。
【0052】
さらに、本実施形態においても、単位セルにバイパスダイオードを設ける必要がなく、太陽光発電装置における単位セルの受光面積を増大させることができるだけでなく、可撓性を向上させることができるという利点がある。また、発電面積を単位セル同士で統一することにより、直列ユニットで電流が効率的に取り出せるようになり、出力が最大化される利点がある。さらに、本実施形態においても、収納部から直列ユニットを部分的に取り出した状態を保つことができ、外部から入射光を部分的に遮ることができるという利点がある。
【0053】
ここで、上述した実施形態における各構成要素の仕様や材種について更に詳細に説明する。
【0054】
(直列ユニット)
図5は、
図3に示した太陽光発電装置を回路に沿ったV-V線に沿って切った断面図である。
図5に示すように、可撓性を有する直列ユニット10は、可撓性を有する基板11上に並置された可撓性を有する薄膜系の単位セル13同士を、アノード133、カソード135を介して、例えば透明導電膜で電気的に直列に接続してなる。アノード133の材料は、例えば、ITO、FTO、IZOなどの透明導電膜、Au、Al、Ag、カーボン系材料が用いられる。直列ユニット10は、単位セル13上に配置された光透過性及び可撓性を有する樹脂フィルムや極薄膜状ガラスなどの保護部材15を更に有している。
図5においては、可撓性を阻害しない従来公知の充填材137が充填されている。そして、外部配線30が、直列ユニット10の両端部の単位セル13のカソード135(若しくはアノード133)又は透明導電膜からなる接続端子131に接続している。
図5中左側の外部配線30は、アノード133と直接接続していてもよい。
【0055】
基板11は、直列ユニットがスライド収納される場合は特に限定されないが、直列ユニットが巻取り収納される場合は可撓性を有することが好ましい。このような可撓性を有する基板としては、例えば、従来公知の樹脂フィルムなどを挙げることができる。
【0056】
単位セル13は、直列ユニットがスライド収納される場合は特に限定されないが、直列ユニットが巻取り収納される場合は可撓性を有することが好ましい。このような可撓性を有する単位セル13としては、例えば、pn接合若しくはドナーアクセプタ接合を有する薄膜系太陽電池単位セルを挙げることができる。より具体的には、例えば、CdTe系、CIGS系などの化合物太陽電池、a-Si系などの非晶質型太陽電池、ペロブスカイト系太陽電池、有機系太陽電池を挙げることができる。これは2つ以上を積層させたタンデム型太陽電池としてもよい。
【0057】
上述のように、直列ユニットの単位セル同士が透明導電膜によって電気的に直列に接続されていると、直列ユニットの単位セル同士を外部配線のようなケーブル状の配線によって電気的に直列に接続する場合と比較して、直列ユニットの収納や取り出しの際の妨げとなる太陽光発電装置内の配線を減らすことが可能になる。また、直列ユニットの収納や取り出しの繰り返しに伴う配線の摩耗が生じないので、太陽光発電装置の耐久性を向上させることができるという利点がある。さらに、保護部材や充填材で太陽電池単位セル周囲が封止されているので、太陽光発電装置の耐久性を向上させることができるという利点がある。
【0058】
(収納部)
収納部20としては、上述した直列ユニットを収納することができれば特に限定されないが、直列ユニットがスライド収納される場合は、従来公知のガラスルーフのシェード構造を用いることが好ましい。また、直列ユニットが巻取り収納される場合は、従来公知のロールカーテンに利用されている構造を適宜用いることが好ましい。
【0059】
(外部配線)
外部配線30としては、従来公知のケーブル状、ハーネス状の配線を用いることができる。また、説明の便宜上、上述した実施形態においては、逆流防止ダイオード17を直列ユニット10が有しているものとして説明したが、逆流防止ダイオードを外部配線に設けてもよい。
【0060】
以上、本発明を若干の実施形態によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0061】
本発明においては、収納部から直列ユニットを部分的に取り出した状態で発電しても、直列ユニットにおける電圧降下を抑制ないし防止すべく、直列ユニットにおいて、単位セルの並置方向を直列ユニットの収納部への収納方向に対して垂直な方向にし、かつ、単位セルの接続方向を収納方向に垂直な方向にすることを骨子とする。
【0062】
従って、上述の実施形態においては、太陽光発電装置を電動車のルーフパネル60に設けられるガラスルーフ61の室内側に配置される場合を例示して説明したが、本発明においては、これに限定されない。本発明の太陽光発電装置は、例えば、電動車でない自動車のガラスルーフの室内側に配置してもよく、電動車を含む自動車のサンルーフの室内側に配置してもよい。ここで、サンルーフは開閉可能である点で開閉可能でないガラスルーフと異なる。また、本発明の太陽光発電装置は、例えば、鉄道車両、電動車を含む自動車、航空機、船舶などの移動体の窓ガラスの室内側に配置してもよい。
【0063】
また、上述の実施形態においては、固定部40として、レール機構などに配置され、凹部40Aと凸部40Bを備える場合を例示して説明したが、本発明においては、これに限定されない。本発明の太陽光発電装置においては、例えば、固定部を収納部に設けてもよい。また、上述の実施形態においては、単位セル13が部分的に取り出された場合として単位セルが半分取り出された場合を例示して説明したが、本発明においては、これに限定されない。本発明の太陽光発電装置においては、例えば、
図2に示すような直列ユニットが1つずつ取り出されるように固定部を設けてもよい。
【0064】
さらに、上述の実施形態においては、外部回路50として、昇圧型コンバータ51と高電圧バッテリ53を有する場合を例示して説明したが、本発明においては、これに限定されない。本発明の太陽光発電装置は、例えば、従来公知の熱源、動力源、蓄電池などの外部回路に適用することができる。
【0065】
さらに、例えば、上述した構成要素は、上述した実施形態に限定されるものではなく、直列ユニット、収納部、外部配線、固定部、外部回路の仕様や材質の細部を変更することが可能である。また、一の実施形態の構成要素を他の実施形態に適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0066】
1,2,3,4 太陽光発電装置
10 直列ユニット
11 基板
13 太陽電池単位セル
131 接続端子
133 アノード
135 カソード
137 充填材
15 保護部材
17 逆流防止ダイオード
20 収納部
21 収納壁
23 軸部材
30 外部配線
40 固定部
40A 凹部
40B 凸部
50 外部回路
51 昇圧型コンバータ
53 高電圧バッテリ