(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169143
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20241128BHJP
H02M 7/12 20060101ALI20241128BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20241128BHJP
【FI】
H02M3/28 C
H02M7/12 H
H02M7/48 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086363
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】吉田 恒平
(72)【発明者】
【氏名】野村 尚弘
(72)【発明者】
【氏名】秋山 直輝
【テーマコード(参考)】
5H006
5H730
5H770
【Fターム(参考)】
5H006BB00
5H006CA01
5H006CA02
5H006CB01
5H006CB08
5H006DB01
5H006DC02
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5H006FA01
5H730AA15
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5H770DA10
5H770DA41
5H770HA02Y
5H770HA03W
5H770LA01W
5H770LB08
(57)【要約】
【課題】消費電力を低減すること。
【解決手段】制御部は、双方向AC/DC変換器から所定値以上の交流電力が出力されているか否かを判別するとともに、第1電圧センサから検出されたコンデンサの電圧値が閾値以上か否かを判別する。制御部は、双方向AC/DC変換器から所定値以上の交流電力が出力されていないと判別した場合であって、コンデンサの電圧値が閾値以上であると判別した場合、双方向DC/DC変換器の制御を停止する。制御部は、双方向AC/DC変換器から所定値以上の交流電力が出力されていないと判別した場合であって、コンデンサの電圧値が閾値未満であると判別した場合、双方向DC/DC変換器を制御することでコンデンサを充電する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された交流電力を直流電力に変換して出力するとともに入力された直流電力を交流電力に変換して出力する双方向AC/DC変換器と、
前記双方向AC/DC変換器が接続されるACアウトレットと、
前記双方向AC/DC変換器を介して入力された直流電力の電圧値を異なる電圧値に変換して出力する双方向DC/DC変換器と、
前記双方向AC/DC変換器と前記双方向DC/DC変換器との間に設けられたコンデンサと、
前記双方向AC/DC変換器及び前記双方向DC/DC変換器を制御する制御部と、
前記コンデンサの電圧値を検出する電圧検出部と、を備え、
前記制御部は、前記双方向AC/DC変換器から前記所定値以上の交流電力が出力されているか否かを判別するとともに、前記電圧検出部から検出された前記コンデンサの電圧値が閾値以上か否かを判別し、
前記双方向AC/DC変換器から前記所定値以上の交流電力が出力されていないと判別した場合であって、前記コンデンサの電圧値が閾値以上であると判別した場合、前記双方向DC/DC変換器の制御を停止し、
前記双方向AC/DC変換器から前記所定値以上の交流電力が出力されていないと判別した場合であって、前記コンデンサの電圧値が閾値未満であると判別した場合、前記双方向DC/DC変換器を制御することで前記コンデンサを充電する、電力変換装置。
【請求項2】
系統電源と前記双方向AC/DC変換器とを電気的に接続するか、前記ACアウトレットと前記双方向AC/DC変換器とを電気的に接続するかを選択可能に構成された切替部を備える、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記双方向AC/DC変換器から前記所定値以上の交流電力が出力されていないと判別した場合であって、前記コンデンサの電圧値が閾値未満であると判別した場合、前記双方向DC/DC変換器の出力電力が一定となるように前記双方向DC/DC変換器を制御することで前記コンデンサを充電する、請求項1又は請求項2に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の電力変換装置は、切替部と、双方向充電器と、を備える。切替部は、双方向充電器とインレットとを接続するか、双方向充電器とACアウトレットとを接続するかを切り替える。インレットには、外部電源が接続される。インレットに外部電源が接続されている場合、双方向充電器によってバッテリを充電することができる。ACアウトレットには、電気機器が接続される。ACアウトレットに電気機器が接続されている場合、双方向充電器によって電気機器に電力を供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
双方向充電器は、AC/DC変換器と、双方向DC/DC変換器と、を備えている場合がある。外部機器に電力を供給する際には、双方向DC/DC変換器がバッテリから入力された電力を変換してAC/DC変換器に出力する。AC/DC変換器は、入力された直流電力を交流電力に変換して外部機器に供給する。双方向DC/DC変換器は、スイッチング素子のスイッチング動作によって電力変換を行う。ACアウトレットに外部機器が接続されていない場合であっても双方向DC/DC変換器を駆動すると、スイッチング素子のスイッチング動作によって消費電力が大きくなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する電力変換装置は、入力された交流電力を直流電力に変換して出力するとともに入力された直流電力を交流電力に変換して出力する双方向AC/DC変換器と、前記双方向AC/DC変換器が接続されるACアウトレットと、前記双方向AC/DC変換器を介して入力された直流電力の電圧値を異なる電圧値に変換して出力する双方向DC/DC変換器と、前記双方向AC/DC変換器と前記双方向DC/DC変換器との間に設けられたコンデンサと、前記双方向AC/DC変換器及び前記双方向DC/DC変換器を制御する制御部と、前記コンデンサの電圧値を検出する電圧検出部と、を備え、前記制御部は、前記双方向AC/DC変換器から前記所定値以上の交流電力が出力されているか否かを判別するとともに、前記電圧検出部から検出された前記コンデンサの電圧値が閾値以上か否かを判別し、前記双方向AC/DC変換器から前記所定値以上の交流電力が出力されていないと判別した場合であって、前記コンデンサの電圧値が閾値以上であると判別した場合、前記双方向DC/DC変換器の制御を停止し、前記双方向AC/DC変換器から前記所定値以上の交流電力が出力されていないと判別した場合であって、前記コンデンサの電圧値が閾値未満であると判別した場合、前記双方向DC/DC変換器を制御することで前記コンデンサを充電する。
【0006】
制御部は、双方向AC/DC変換器から所定値以上の交流電力が出力されていないと判別した場合であって、コンデンサの電圧値が閾値以上であると判別した場合、双方向DC/DC変換器の制御を停止する。これにより、スイッチング動作による消費電力を低減することができる。
【0007】
上記電力変換装置について、系統電源と前記双方向AC/DC変換器とを電気的に接続するか、前記ACアウトレットと前記双方向AC/DC変換器とを電気的に接続するかを選択可能に構成された切替部を備えていてもよい。
【0008】
上記電力変換装置について、前記制御部は、前記双方向AC/DC変換器から前記所定値以上の交流電力が出力されていないと判別した場合であって、前記コンデンサの電圧値が閾値未満であると判別した場合、前記双方向DC/DC変換器の出力電力が一定となるように前記双方向DC/DC変換器を制御することで前記コンデンサを充電してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図2は双方向AC/DC変換器の回路図である。
【
図3】
図3は制御部が行う制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
電力変換装置の一実施形態について説明する。
図1に示すように、電源システム100は、系統電源101と、バッテリ120と、電力変換装置10と、を備える。バッテリ120は、例えば、直流電力を充放電可能な二次電池である。二次電池、例えば、リチウムイオン蓄電池、又は鉛蓄電池である。
【0012】
<電力変換装置>
電力変換装置10は、切替部11と、ACアウトレット12と、双方向AC/DC変換器13と、双方向DC/DC変換器14と、を備える。切替部11は、双方向AC/DC変換器13と系統電源101とを電気的に接続するか、双方向AC/DC変換器13とACアウトレット12とを電気的に接続するかを選択可能に構成されている。切替部11は、例えば、2つのc接点スイッチによって構成される。
【0013】
ACアウトレット12には、外部機器が電気的に接続される。外部機器は、ACアウトレット12を介して入力した交流電力によって動作する機器である。
双方向AC/DC変換器13は、入力された交流電力を直流電力に変換して出力するとともに入力された直流電力を交流電力に変換して出力する。具体的には、
図2に示すように、双方向AC/DC変換器13は、スイッチング素子Q11~Q14を備え、スイッチング素子Q11~Q14をスイッチング動作させることで、入力された交流電力を直流電力に変換して出力するとともに入力された直流電力を交流電力に変換して出力する。更に詳述すると、双方向AC/DC変換器13は4つのスイッチング素子Q11~Q14と、リアクトルL1と、から構成されている。スイッチング素子Q11とスイッチング素子Q12とは互いに直列接続されている。スイッチング素子Q13とスイッチング素子Q14とは互いに直列接続されている。スイッチング素子Q11とスイッチング素子Q12との接続点は、リアクトルL1を介して切替部11に電気的に接続されている。スイッチング素子Q13とスイッチング素子Q14との接続点は、切替部11に電気的に接続されている。双方向AC/DC変換器13は、双方向DC/DC変換器14と接続され、系統電源101が電気的に接続されている場合、系統電源101から入力された交流電力を直流電力に変換して双方向DC/DC変換器14に出力する。また、双方向AC/DC変換器13は、ACアウトレット12が電気的に接続されている場合、双方向DC/DC変換器14から入力された直流電力を交流電力に変換してACアウトレット12に出力する。これにより、ACアウトレット12を介して外部機器に交流電力が供給される。
【0014】
双方向DC/DC変換器14は、デュアルアクティブブリッジ方式のDC/DCコンバータである。双方向DC/DC変換器14は、双方向AC/DC変換器13とバッテリ120との間に設けられている。双方向DC/DC変換器14は、双方向AC/DC変換器13を介して入力される直流電力の電圧値を異なる電圧値に変換してバッテリ120に出力する。また、双方向DC/DC変換器14は、バッテリ120から入力された直流電力の電圧値を異なる電圧値に変換して双方向AC/DC変換器13に出力可能である。
【0015】
更に双方向DC/DC変換器14について詳述すると、双方向DC/DC変換器14は、トランス20を備える。トランス20は、絶縁型である。トランス20は、磁性体のコア21と、1次側巻線22と、2次側巻線23と、を備える。1次側巻線22及び2次側巻線23は、コア21に巻かれている。トランス20は、リアクトルLを有する。リアクトルLは、チョークコイルなどの素子であってもよいし、1次側巻線22及び2次側巻線23の漏れインダクタンスであってもよい。
【0016】
双方向DC/DC変換器14は、1次側フルブリッジ回路30を備える。1次側フルブリッジ回路30は、第1レグ31と、第2レグ32と、を備える。第1レグ31と第2レグ32とは、互いに並列接続されている。第1レグ31は、第1スイッチング素子Q1と、第2スイッチング素子Q2と、ダイオードD1,D2と、を備える。第1スイッチング素子Q1と第2スイッチング素子Q2とは、互いに直列接続されている。第2レグ32は、第3スイッチング素子Q3と、第4スイッチング素子Q4と、ダイオードD3,D4と、を備える。第3スイッチング素子Q3と第4スイッチング素子Q4とは、互いに直列接続されている。第1スイッチング素子Q1及び第3スイッチング素子Q3は、上アームを構成している。第2スイッチング素子Q2及び第4スイッチング素子Q4は、下アームを構成している。
【0017】
第1スイッチング素子Q1、第2スイッチング素子Q2、第3スイッチング素子Q3、及び第4スイッチング素子Q4は、複数の1次側スイッチング素子Q1~Q4である。1次側スイッチング素子Q1~Q4は、例えば、n型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。1次側スイッチング素子Q1~Q4は、p型のMOSFET、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、又はGaN-HEMTであってもよい。
【0018】
ダイオードD1~D4は、それぞれ1次側スイッチング素子Q1~Q4に並列接続されている。ダイオードD1~D4は、寄生ダイオードであってもよいし、素子であってもよい。
【0019】
第1スイッチング素子Q1と第2スイッチング素子Q2との接続点、及び第3スイッチング素子Q3と第4スイッチング素子Q4との接続点は、それぞれ1次側巻線22に接続されている。これにより、1次側フルブリッジ回路30は、1次側巻線22に接続されている。
【0020】
双方向DC/DC変換器14は、2次側フルブリッジ回路40を備える。2次側フルブリッジ回路40は、第3レグ41と、第4レグ42と、を備える。第3レグ41は、第5スイッチング素子Q5と、第6スイッチング素子Q6と、ダイオードD5,D6と、を備える。第5スイッチング素子Q5と第6スイッチング素子Q6とは、互いに直列接続されている。第4レグ42は、第7スイッチング素子Q7と、第8スイッチング素子Q8と、ダイオードD7,D8と、を備える。第7スイッチング素子Q7と第8スイッチング素子Q8とは、互いに直列接続されている。第5スイッチング素子Q5及び第7スイッチング素子Q7は、上アームを構成している。第6スイッチング素子Q6及び第8スイッチング素子Q8は、下アームを構成している。
【0021】
第5スイッチング素子Q5、第6スイッチング素子Q6、第7スイッチング素子Q7、及び第8スイッチング素子Q8は、複数の2次側スイッチング素子Q5~Q8である。2次側スイッチング素子Q5~Q8は、例えば、n型のMOSFETである。2次側スイッチング素子Q5~Q8は、p型のMOSFET、IGBT、又はGaN-HEMTであってもよい。
【0022】
ダイオードD5~D8は、それぞれ2次側スイッチング素子Q5~Q8に並列接続されている。ダイオードD5~D8は、寄生ダイオードであってもよいし、素子であってもよい。
【0023】
第5スイッチング素子Q5と第6スイッチング素子Q6との接続点、及び第7スイッチング素子Q7と第8スイッチング素子Q8との接続点は、それぞれ2次側巻線23に接続されている。これにより、2次側フルブリッジ回路40は、2次側巻線23に接続されている。
【0024】
第3レグ41と第4レグ42とは、互いに並列接続されるようにバッテリ120に接続されている。2次側フルブリッジ回路40は、バッテリ120に電気的に接続されている。2次側フルブリッジ回路40の出力電力は、バッテリ120に供給される。これにより、電力変換装置10は、バッテリ120を充電する。
【0025】
電力変換装置10は、コンデンサ50を備える。コンデンサ50は、リンクコンデンサ、又は平滑コンデンサである。コンデンサ50は、第1レグ31及び第2レグ32と並列接続されている。コンデンサ50は、双方向AC/DC変換器13と双方向DC/DC変換器14との間に設けられている。
【0026】
電力変換装置10は、第1電圧センサ61を備える。第1電圧センサ61は、コンデンサ50の電圧値を検出する電圧検出部として機能する。
電力変換装置10は、第2電圧センサ62を備える。第2電圧センサ62は、バッテリ120の電圧値を検出する。
【0027】
電力変換装置10は、第1電流センサ63を備える。第1電流センサ63は、双方向AC/DC変換器13からACアウトレット12に出力される電流の電流値を検出する。
電力変換装置10は、第2電流センサ64を備える。第2電流センサ64は、バッテリ120から双方向DC/DC変換器14に入力される電流の電流値を検出する。
【0028】
電力変換装置10は、制御部71を備える。制御部71は、プロセッサと、記憶部と、を備える。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、及びDSP(Digital Signal Processor)を挙げることができる。記憶部は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部は、処理をプロセッサに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御部71は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御部71は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0029】
制御部71は、双方向AC/DC変換器13及び双方向DC/DC変換器14の制御を行う。制御部71は、双方向AC/DC変換器13に系統電源101が電気的に接続されている場合、電力変換装置10が、系統電源101から入力された交流電力を直流電力に変換してバッテリ120に出力するように電力変換装置10を制御する。詳細にいえば、制御部71は、双方向AC/DC変換器13が、系統電源101から入力された交流電力を直流電力に変換して出力するように双方向AC/DC変換器13のスイッチング素子Q11~Q14をスイッチング動作させるとともに、双方向DC/DC変換器14が、入力された直流電力の電圧値を異なる電圧値に変換して出力するように、1次側スイッチング素子Q1~Q4及び2次側スイッチング素子Q5~Q8をスイッチング動作させる。
【0030】
制御部71は、ACアウトレット12に外部機器が接続されている場合、電力変換装置10が、バッテリ120から入力された直流電力を交流電力に変換してACアウトレット12に出力するように電力変換装置10を制御する。詳細にいえば、制御部71は、双方向DC/DC変換器14が、入力された直流電力の電圧値を異なる電圧値に変換して出力するように、1次側スイッチング素子Q1~Q4及び2次側スイッチング素子Q5~Q8をスイッチング動作させるとともに、双方向AC/DC変換器13が、入力された直流電力を交流電力に変換して出力するように、双方向AC/DC変換器13のスイッチング素子Q11~Q14をスイッチング動作させる。
【0031】
制御部71は、電力変換装置10が、バッテリ120から入力された直流電力を交流電力に変換してACアウトレット12に出力する場合に以下の制御を行う。即ち、以下の制御は、電力変換装置10によってバッテリ120を充電しない場合に行われる。以下の制御は、所定の制御周期で繰り返し実行される。
【0032】
<制御部が行う制御>
図3に示すように、ステップS1において、制御部71は、双方向AC/DC変換器13から所定値以上の交流電力が出力されているか否かを判別する。制御部71は、例えば、ACアウトレット12に流れる電流の電流値が予め定められた値より大きい場合、双方向AC/DC変換器13から所定値以上の交流電力が出力されていると判別する。所定値の交流電力とは、例えば、ACアウトレット12に外部機器が電気的に接続されている状態で双方向AC/DC変換器13から出力される交流電力の最小値である。即ち、本実施形態において、所定値の交流電力とは、外部機器がACアウトレット12に電気的に接続されているか否かを判定するために設定されている。予め定められた値は、例えば、1[A]である。制御部71は、例えば、ACアウトレット12に流れる電流の電流値が予め定められた値より小さい場合、双方向AC/DC変換器13から所定値以上の交流電力が出力されていないと判別する。ACアウトレット12に流れる電流の電流値は、第1電流センサ63から取得可能である。ステップS1の判定結果が肯定の場合、制御部71は、ステップS2の処理を行う。ステップS1の判定結果が否定の場合、制御部71は、ステップS3の処理を行う。
【0033】
ステップS2において、制御部71は、双方向DC/DC変換器14が、入力された直流電力の電圧値を異なる電圧値に変換して出力するように、1次側スイッチング素子Q1~Q4及び2次側スイッチング素子Q5~Q8をスイッチング動作させるとともに、双方向AC/DC変換器13が、入力された直流電力を交流電力に変換して出力するように、双方向AC/DC変換器13のスイッチング素子Q11~Q14をスイッチング動作させる。これにより、外部機器に交流電力が供給される。
【0034】
ステップS3において、制御部71は、コンデンサ50の電圧値が閾値以上か否かを判定する。コンデンサ50の電圧値は、第1電圧センサ61から取得することができる。閾値は、ACアウトレット12に外部機器が電気的に接続される等、負荷に変動が生じた場合であっても外部機器に定常的に交流電力を出力できるように設定されている。負荷に変動が生じた場合、コンデンサ50の電圧値が急激に低下することで外部機器に定常的に交流電力を出力できなくなる場合がある。閾値は、負荷の変動によりコンデンサ50の電圧値が低下した場合であっても、外部機器に定常的に交流電力を出力できるような電圧値に設定されている。ステップS3の判定結果が肯定の場合、制御部71は、ステップS4の処理を行う。ステップS3の判定結果が否定の場合、制御部71は、ステップS5の処理を行う。
【0035】
ステップS4において、制御部71は、双方向DC/DC変換器14の制御を停止する。すなわち、制御部71は、1次側スイッチング素子Q1~Q4及び2次側スイッチング素子Q5~Q8のスイッチング動作を停止させる。
【0036】
ステップS5において、制御部71は、双方向DC/DC変換器14の制御を行う。すなわち、制御部71は、1次側スイッチング素子Q1~Q4及び2次側スイッチング素子Q5~Q8をスイッチング動作させる。これにより、コンデンサ50は充電される。この際、制御部71は、1次側フルブリッジ回路30からの出力電力が一定となるように1次側スイッチング素子Q1~Q4及び2次側スイッチング素子Q5~Q8のスイッチング動作を行う。例えば、制御部71は、バッテリ120から双方向DC/DC変換器14に入力される入力電流が一定になるように制御を行うことで、1次側フルブリッジ回路30からの出力電力が一定となるように制御を行う。入力電流は、第2電流センサ64から取得することができる。制御部71は、目標入力電流と入力電流との偏差が小さくなるようにフィードバック制御を行うことで、入力電流が一定になるように制御を行う。例えば、コンデンサ50の電圧が所望の電圧となるように急激に充電しようとすると、突入電流が発生してしまうため、本実施形態では、制御部71は、1次側フルブリッジ回路30からの出力電力が一定となるように1次側スイッチング素子Q1~Q4及び2次側スイッチング素子Q5~Q8のスイッチング動作を行う。
【0037】
[本実施形態の作用]
制御部71は、双方向AC/DC変換器13から所定値以上の交流電力が出力されていないと判別した場合であって、コンデンサ50の電圧値が閾値以上であると判別した場合、双方向DC/DC変換器14の制御を停止する。本実施形態において、双方向AC/DC変換器13から所定値以上の交流電力が出力されていない場合、ACアウトレット12に外部機器が電気的に接続されていない。この場合、制御部71は、双方向DC/DC変換器14の制御を停止する。
【0038】
制御部71は、双方向AC/DC変換器13から所定値以上の交流電力が出力されていないと判別した場合であって、コンデンサ50の電圧値が閾値未満であると判別した場合、双方向DC/DC変換器14を制御する。これにより、コンデンサ50が充電される。
【0039】
[本実施形態の効果]
(1)制御部71は、双方向AC/DC変換器13から所定値以上の交流電力が出力されていないと判別した場合であって、コンデンサ50の電圧値が閾値以上であると判別した場合、双方向DC/DC変換器14の制御を停止する。これにより、スイッチング動作による消費電力を低減することができる。制御部71は、双方向AC/DC変換器13から所定値以上の交流電力が出力されていないと判別した場合であって、コンデンサ50の電圧値が閾値未満であると判別した場合、双方向DC/DC変換器14を制御する。即ち、コンデンサ50の電圧値に応じて、双方向DC/DC変換器14を間欠動作させる。これにより、コンデンサ50の電圧値が閾値未満になることを抑制できる。
【0040】
(2)電力変換装置10は、系統電源101と双方向AC/DC変換器13とを電気的に接続するか、ACアウトレット12と双方向AC/DC変換器13とを電気的に接続するかを選択可能に構成された切替部11を備える。系統電源101と双方向AC/DC変換器13とを電気的に接続して双方向AC/DC変換器13及び双方向DC/DC変換器14を制御することで、バッテリ120を充電することができる。
【0041】
(3)制御部71は、双方向AC/DC変換器13から所定値以上の交流電力が出力されていないと判別した場合であって、コンデンサ50の電圧値が閾値未満であると判別した場合、双方向DC/DC変換器14の出力電力が一定となるように双方向DC/DC変換器14を制御する。コンデンサ50の電圧値が高くなっていく速度は、電力に依存する。コンデンサ50に大電力が供給される場合、コンデンサ50の等価直列抵抗によってはコンデンサ50の電圧値が過剰に高くなりすぎる場合がある。コンデンサ50の電圧値が過剰に高くなりすぎないように出力電力を設定し、出力電力が一定となるように制御を行うことで、コンデンサ50が過電圧になることを抑制できる。
【0042】
[変更例]
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0043】
○制御部71は、双方向AC/DC変換器13から所定値以上の交流電力が出力されていないと判別した場合であって、コンデンサ50の電圧値が閾値未満であると判別した場合、位相シフト量一定制御を行ってもよい。位相シフト量一定制御は、1次側フルブリッジ回路30と2次側フルブリッジ回路40との位相シフト量を一定にする制御である。1次側フルブリッジ回路30では、第1スイッチング素子Q1と第4スイッチング素子Q4とを同時にオンする第1動作と、第2スイッチング素子Q2と第3スイッチング素子Q3とを同時にオンする第2動作とが切り替えられる。2次側フルブリッジ回路40では、第5スイッチング素子Q5と第8スイッチング素子Q8とを同時にオンする第3動作と、第6スイッチング素子Q6と第7スイッチング素子Q7とを同時にオンする第4動作とが切り替えられる。位相シフト量は、第1動作と第2動作とを切り替えるタイミングと、第3動作と第4動作とを切り替えるタイミングとの位相差である。
【0044】
制御部71は、双方向AC/DC変換器13から所定値以上の交流電力が出力されていないと判別した場合であって、コンデンサ50の電圧値が閾値未満であると判別した場合、コンデンサ50の電圧を一定にするようにフィードバック制御を行ってもよい。この場合、制御部71は、目標電圧とコンデンサ50の電圧値との偏差が小さくなるようにフィードバック制御を行う。
【0045】
○制御部71は、双方向AC/DC変換器13から所定値以上の交流電力が出力されていないと判別した場合であっても、双方向AC/DC変換器13を停止させることなく動作させていてもよい。
【0046】
外部機器に供給されている交流電力が小さい場合で、双方向AC/DC変換器13から所定値以上の交流電力が出力されていないと誤判別された場合であっても、外部機器への電力供給が遮断されることを抑制できる。
【0047】
また、外部機器に供給されている交流電力が小さい場合に双方向AC/DC変換器13を停止させていると、外部機器に供給されている交流電力を大きくする際に起動が遅れてしまうおそれがある。双方向DC/DC変換器14を間欠動作させる間も双方向AC/DC変換器13を動作させることで、起動が遅れることを抑制できる。
【0048】
○ステップS1において、制御部71は、ACアウトレット12に出力される電力の電力値から、双方向AC/DC変換器13から所定値以上の交流電力が出力されているか否かを判別判してもよい。
【0049】
○ステップS1において、制御部71は、ACアウトレット12に流れる電流の電流値が所定時間以上継続して予め定められた値より小さい場合、双方向AC/DC変換器13から所定値以上の交流電力が出力されていないと判別してもよい。所定時間は、例えば、10[sec]である。
【0050】
○双方向DC/DC変換器14は、スイッチング素子を備え、入力された直流電力の電圧値を異なる電圧値に変換して出力するものであればよい。例えば、双方向DC/DC変換器14は、非絶縁型でもよい。
【0051】
○双方向AC/DC変換器13は、スイッチング素子を備え、入力された直流電力を交流電力に変換するとともに入力された交流電力を直流電力に変換して出力するものであればよい。
【符号の説明】
【0052】
Q1~Q4…1次側スイッチング素子、Q5~Q8…2次側スイッチング素子、10…電力変換装置、12…ACアウトレット、13…双方向AC/DC変換器、14…双方向DC/DC変換器、30…1次側フルブリッジ回路、40…2次側フルブリッジ回路、50…コンデンサ、61…電圧検出部である第1電圧センサ、71…制御部、120…バッテリ。